(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】改善された伝熱を有する熱流束センサ
(51)【国際特許分類】
G01K 17/06 20060101AFI20221021BHJP
G01K 13/02 20210101ALI20221021BHJP
【FI】
G01K17/06
G01K13/02
(21)【出願番号】P 2020546436
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 US2019019153
(87)【国際公開番号】W WO2019173066
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-10-27
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ルッド,ジェイソン・エイチ
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-008739(JP,U)
【文献】特表2015-513668(JP,A)
【文献】特開2008-241267(JP,A)
【文献】国際公開第2016/193887(WO,A1)
【文献】中国実用新案第206281586(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱流量センサ用のセンサカプセルであって、カプセルが:
熱流量センサの高温端部と;
熱流量センサの低温端部と;
金属で形成され、高温端部から低温端部に向かって伸びる熱伝導体と;
高温端部から異なる距離で熱伝導体に連結された3つの温度センサであって、3つの温度センサの少なくとも1つは、異種金属の接点で形成された熱電対であり、異種金属の1つは、熱伝導体の金属と同じ金属である温度センサと
を含むセンサカプセル。
【請求項2】
低温端部がポッティングを包含する、請求項1記載のセンサカプセル。
【請求項3】
熱伝導体が銅で形成される、請求項1記載のセンサカプセル。
【請求項4】
熱伝導体がアルミニウムで形成される、請求項1記載のセンサカプセル。
【請求項5】
熱伝導体が鉄で形成される、請求項1記載のセンサカプセル。
【請求項6】
3つの温度センサすべてが熱電対である、請求項1記載のセンサカプセル。
【請求項7】
熱電対がタイプT熱電対である、請求項1記載のセンサカプセル。
【請求項8】
高温端部に隣接して配置されたRTD素子をさらに含む、請求項1記載のセンサカプセル。
【請求項9】
熱伝導体が熱電対の負のリード線である、請求項1記載のセンサカプセル。
【請求項10】
熱伝導体が熱伝導体の長さに沿って間隔を置かれた少なくとも二つの熱電対接点を含む、請求項1記載のセンサカプセル。
【請求項11】
熱伝導体がソースに熱的に連結され、ソースが周囲温度を含む、請求項1記載のセンサカプセル。
【請求項12】
熱伝導体が高温端部と低温端部との間の距離に沿って伸びる、請求項1記載のセンサカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
温度および熱流量測定の知識がプロセスを制御または監視するために重要である多くの工業用途がある。熱流束センサは、材料間の熱流量を測定することを可能にする公知の計器である。
【0002】
発明の概要
熱流束センサ用のセンサカプセルは、高温端部と、低温端部とを包含する。センサカプセルは、高温端部から低温端部に向かって伸びる熱伝導体と、高温端部から異なる距離で熱伝導体に連結された複数の温度センサとを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】本発明の実施態様に従う温度測定アセンブリの概略図である。
【
図2A】本発明の実施態様が特に有効であるパイプスキン測定アセンブリの概略図を例示する。
【
図2B】本発明の実施態様が特に有効であるパイプスキン測定アセンブリの概略図を例示する。
【
図3A】本発明の一部の実施態様に従うセンサ構成の例を例示する。
【
図3B】本発明の一部の実施態様に従うセンサ構成の例を例示する。
【
図3C】本発明の一部の実施態様に従うセンサ構成の例を例示する。
【
図4】本発明の実施態様に従うリード線構成の一つの例を例示する。
【
図5】本発明の実施態様に従う、伝熱熱伝導体に連結されたセンサを使用してプロセス流体の温度の表示を提供する方法のフロー図である。
【
図6】本発明の実施態様に従う装置電子機器のブロック図である。
【
図7A】本発明の一部の実施態様に従うセンサ構成の例を例示する。
【
図7B】本発明の一部の実施態様に従うセンサ構成の例を例示する。
【
図7C】本発明の一部の実施態様に従うセンサ構成の例を例示する。
【
図8】本発明の一部の実施態様に従う異なるセンサ構成の温度分布の例を例示する。
【0004】
例示的な実施態様の詳細な記載
熱流量測定がプロセス温度を測定するより良いやり方を提供する多数の用途がある。例として、Emerson Automation Solutions社から入手可能なRosemount X-Well(商標)技術は、非侵入型または非侵襲型の要領でプロセス温度を測定するために使用され得る。この技術は、パイプ表面温度測定、トランスミッタ端子温度測定および導管内の内部プロセス流体温度を推測するための熱流量算出を使用する。サーモウェルは、通常、プロセス導管内に据え付けられて、それがサーモウェル先端の直径のおよそ10倍伸びている。これは、周囲温度からのステップ伝導の効果を最小限に抑えるために使用される。「短い」サーモウェルは、サーモウェル先端の直径の10倍未満の長さを有する。短いサーモウェル内の温度センサは、しかしながら、周囲およびプロセス温度の相違が増大するにつれ、周囲温度変動およびプロセス温度差によるステム温度伝導を通した有意な誤差を起こしやすい。熱流束センサは、これらの懸念に対処することができるが、素子配置は、十分な性能を確保し、熱流量の適切な把握を提供するために重要である。
【0005】
図1は、本発明の実施態様に従う温度測定アセンブリの概略図である。アセンブリ100は、プロセス容器壁110に連結されたセンサアセンブリ130を包含する。連結は、
図1に例示されるように、パイプクランプ120であることができる。センサアセンブリ130は、センサアセンブリ130にローカルに、または、からリモートに接続され得るトランスミッタ140に伸びる一つまたは複数のリード線150を有することができる。トランスミッタ140は、熱流束算出を実施するように構成され得る。
【0006】
トランスミッタ140は、センサアセンブリ130からのセンサ信号を使用して、導管内の内部プロセス温度を推測するために、熱流量算出を計算する。しかしながら、この算出は、プロセスからトランスミッタ端子への熱伝導率がわかっていることに依存し、多くの場合、センサがトランスミッタに直接接続されることを必要とする。また、一部の実施態様では、熱流は、リモートに測定可能であることもできる。
【0007】
図2Aおよび2Bは、本発明の実施態様が特に有効であるパイプスキン測定アセンブリの概略図を例示する。アセンブリは、パイプクランプ212の使用を通してセンサ220に連結されたパイプ210を包含する。センサ220は、トランスミッタ222に直接連結される。トランスミッタ222は、センサ220からの受信された信号に基づいて熱流量を算出するように構成され得る。
【0008】
図2Bは、パイプ210とセンサカプセル260との間の連結の拡大図示250を例示する。センサカプセル260は、例として、トランスミッタに連結するように構成されたリード線262を包含する。
図2Bは、センサ素子270の配置が測定精度にとって重要である理由を例示する。図示250に例示されるセンサカプセル260は、パイプ210の表面に隣接して配置されたセンサカプセル260内に測温抵抗体(RTD)素子270を包含する。アセンブリ中、センサ素子270は、熱グリース層280内に設置される。素子配置またはパイプ210と素子270との間の距離252は、製造限界のために制御するのが難しい。熱グリース280は、パイプ210からセンサ素子270への伝熱を補助する。しかしながら、熱グリース280は、最適な熱伝導率を有しないが、空気や無機絶縁されたパウダーよりもより良いものであることができる。図示250に例示されるように、熱は、センサカプセル260の外側シースおよび熱グリース280を通って分配され、したがって、熱の一部分のみが素子270に伝えられる。低い熱伝導率では、素子270の配置は、測定仕様を生成する際、敏感なパラメータである。素子270のバリエーションおよび配置は、測定の精度、時間応答および再現性に影響を及ぼし得る。
【0009】
単一のセンサ入力トランスミッタを使用して測定する熱流束センサを開発することが望ましい。センサ内に組み込まれた複数の測定点は、二つ以上のトランスミッタまたは高密度装置、例として、Emerson Automation Solutions社から入手可能な848TフィールドバスまたはWireless HART(登録商標)製品を必要とし得る。
【0010】
以下にさらに詳細に記載したように、本発明の一部の実施態様は、熱流をセンサカプセルの高温端部から低温端部へ向かわせる改善されたやり方を提供する、熱流束センサの端部キャップに取り付けられた熱伝導性ロッドを提供する。そのような構成は、高温および低温素子にわたって温度勾配を生成することを補助し得る。これは、素子間の間隔感度を低下させ、高温および低温端部の両方における応答時間を改善する。これは、改善されたセンサ測定再現性および精度を可能にする。
【0011】
熱伝導体は、取り付けられた温度センサ素子間で良好な相関関係を提供する。熱伝導体のいずれかの部分が外部の影響、例として、周囲温度によって影響を与えられる場合、すべての素子は、影響の一部を測定する。以下に論じた一つの実施態様では、三つの感温素子は、熱伝導性素子上に設置され得、二次補正係数を可能にし、熱流束センサが絶縁なしで水平に備え付けられる場合、好ましくは、有用であり得る。三つの素子すべては、シングルまたはデュアル温度トランスミッタで測定され得る。そのようなシナリオでは、センサアセンブリは、非線形熱損失を経験し得る。熱伝導体は、比較的高い熱伝導率を有する材料、例えば、金属(例えば、銅、アルミニウム、鉄など)または好適なポリマーで形成される。熱伝導体は、任意の好適な断面(円形を包含する)を有することができ、その長さに沿って異なり得る。一つの実施態様では、熱伝導体は、ロッドである。
【0012】
図3A~3Cは、本発明の一部の実施態様に従うセンサ構成の例を例示する。
図3A~3Cは、センサカプセルの中央にある熱伝導性熱伝導体の三つの変形態様を例示する。しかしながら、三つの変形態様のみが詳細に論じられるものの、他の好適な構成も想定される。例示される例では、熱伝導体は、絶縁物、例えば、無機絶縁されたパウダーを必要とするであろう標準的なセンサカプセルよりもずっとより速く高温端部と低温端部との間で温度が平衡を保つことを可能にする極めて良い熱伝導率を呈する、銅で形成される。銅は、その負のリード線として、タイプT熱電対に使用される材料でもある。タイプT熱電対の正のリード線を銅熱伝導体に取り付けることは、高インピーダンス測定入力装置、例として、任意の好適なトランスミッタ、例えば、Emerson Automation Solutions社から入手可能な644または3144トランスミッタのどちらかが6線式リード線構成を使用する三つの熱電対すべてを測定することを可能にする。もう一つの例では、トランスミッタ、例えば、Emerson Automation Solutions社から入手可能な248トランスミッタは、4線式リード線構成を使用する熱電対を測定することができる。
【0013】
図3Aは、実施態様に従う、センサカプセル内に配置され、異なる位置において銅熱伝導体に取り付けられた三つの熱電対電線を有する互い違いに置かれた熱電対構成を例示する。一つの実施態様では、銅熱伝導体は、センサカプセル300内で中央に置かれる。しかしながら、他の内部位置および形状寸法も想定される。センサカプセル300は、それらの間に伸びる熱伝導体310を有し、低温端部302から間隔を置かれた高温端部304を包含する。低温端部302は、何らかのポッティング樹脂320を包含する。ポッティングは、例として、衝撃、振動に耐える、および/または水分もしくは腐食性物質を除くように構成された任意の好適な固形またはゲル状樹脂を含む。熱伝導体310は、熱伝導体の材料が感温素子(例えば、コピーロッドおよびタイプT熱電対)に使用される熱電対のタイプとマッチする実施態様では、負のリード線としての機能を果たすこともできる。電線322は、二次補正係数が算出されることを可能にするために、ポッティング320を通って伸び、様々な長さにおいて熱伝導体310に連結して、熱伝導体310に沿って多数の熱電対を形成する。
【0014】
図3Bは、実施態様に従う、RTD補償を有する互い違いに置かれた熱電対を使用する実施態様を例示する。RTDセンサ312は、高温端部334の近くに設置され、伝熱のための熱伝導体340に直接連結される。RTD素子312が熱電対よりもより安定した、精密な温度センサであるため、それは、改善された精度を提供できる。熱電対354は、熱流量の勾配評価に対して有効であり得る。熱電対354からの測定は、温度勾配を判定するために、各熱電対点において、または熱電対354間で別個に評価され得る。
図3Bに例示されるように、追加の電線、例として、RTD素子312と関連する3線式RTD構成による
図3Aに例示される三つの電線と、熱伝導体340を伸ばす電線とが包含され得る。
【0015】
図3Cは、互い違いに置かれたRTD構成を使用する実施態様を例示する。互い違いに置かれたRTD構成は、熱伝導体370に取り付けられた三つのRTD素子372を例示する。RTD素子372は、精度および熱流量評価の両方に対して有効である。センサカプセル360を使用して、測定手法は、六つの電線382のリード線構成を使用して三つの素子すべてを測定するために、デュアルセンサ製品を使用できる。リード線を共有することによって、RTD372の各々は、4線方式を使用して測定され得る。他の配線変形態様も検討される。また、
図3Cに例示されるように、追加の電線386は、熱伝導体370から周囲温度測定ソースへの熱的接続を任意で提供できる。
【0016】
図4は、本発明の実施態様に従うリード線構成の例を例示する。
図4に例示されるように、リード線構成400は、それぞれ電線442~454として例示される6線式構成に連結された三つのRTD素子410、420および430を包含する。電線444と446との間に励磁電流を生成し、電線442と448との間の電圧降下を測定することによって、測定がRTD410から得られ得る。電線446と448との間に励磁電流を生成し、電線444と452との間の対応する電圧を測定することによって、測定がRTD420から得られ得る。電線448と452との間に励磁電流を生成し、電線446と454との間の対応する電圧降下を測定することによって、測定がRTD430から得られ得る。
【0017】
図5は、本発明の実施態様に従う、伝熱熱伝導体に連結されたセンサを使用してプロセス流体の温度の表示を提供する方法のフロー図である。方法500は、他の適宜に構成された熱流束または伝熱センサだけでなく、例として、
図3A~3Cに例示される実施態様のいずれかと共に用いられ得る。
【0018】
ブロック510では、センサ信号が受信される。例として、センサ信号は、ブロック512に示されるように、熱伝導性ロッド、例えば、
図3Aに図示されるそれに連結された互い違いに置かれた熱電対から受信され得る。センサ信号は、ブロック514に示されるように、RTD補償熱電対からも受信され得る。また、センサ信号は、ブロック516に示されるように、単一のセンサカプセル内の複数のRTD素子から受信され得る。ブロック518に示されるように、他の適当な構成も想定される。
【0019】
ブロック520では、伝熱、熱流束または伝熱に関係する他の量、例えば、センサ示度の比が計算される。熱流束は、トランスミッタ、例として、例えば、それぞれブロック522および524によって示されるように、伝熱センサにローカルにまたはリモートに連結されたトランスミッタ140を使用して計算され得る。また、伝熱は、ブロック526に示されるように、他の公知の計算方式を使用しても計算され得る。
【0020】
例として、熱流束は、以下の式1を使用して算出され得る:
【数1】
【0021】
Q/Aが熱流束(単位面積当たりの伝熱)である場合には、Kはメータ材料の熱伝導率であり、ΔTは二つの熱電対間で測定された温度の変化であり、Lは熱電対間の長さである。
【0022】
ブロック530では、計算された伝熱が補正される。一部のプロセス構成では、ブロック532に示されるように、線形補正が入手可能である。しかしながら、本明細書で論じたように、とりわけ、絶縁が妥当でないシナリオにおいては、ブロック534に示されるように、二次補正が用いられる。しかしながら、ブロック536に示されるように、他の補正係数も想定される。例として、トランスミッタは、現在の周囲温度についての情報を受信し、それ応じて補正できる。ブロック540では、プロセス流体温度は、算出された伝熱に基づいて推定される。一部の実施態様では、補正された伝熱または熱流束値(単位面積当たりの伝熱)も算出される。
【0023】
一部の実施態様では、ブロック520に例示されるように伝熱を計算し、ブロック530に示されるように伝熱を補正することは、伝熱の直接的な測定なしに達成される、複数のセンサの単一の比補正ステップを含む。
【0024】
ブロック550では、プロセス流体温度の表示が提供される。表示は、例として、プロセスの状態、例えば、「過熱」または「許容範囲内」を包含することができる。また、数値の温度表示も、例として、華氏、摂氏またはケルビンで提供され得る。表示は、ブロック552に示されるように、可聴または視覚警報の形態、例として、所望の範囲を超えるもしくは満たない温度に対する点滅光または可聴出力でも提供され得る。表示は、温度センサと近接するまたは離れることができる別の計算装置にも提供され得る。表示を提供することは、ブロック558に示されるように、例として、スクリーンもしくはセンサに連結された視聴覚警報メカニズムに、またはもう一つのメカニズムを通して、プロセスの流れに沿った測定の点に近接している温度を映し出すことも包含する。
【0025】
表示を提供することは、ブロック556に示されるように、測定された温度を記憶することも包含できる。検出されたプロセス温度またはセンサ信号の一部またはすべてを記憶することは、追加の分析、例えば、経時的なプロセスの流れ内のトレンドを生成することを可能にできる。提供された表示を記憶することは、ローカルに、例として、マイクロボルトメータのメモリ内に記憶することまたはリモートに記憶すること、例として、検出された温度を離れた記憶媒体に送ることを包含できる。
【0026】
図6は、本発明の実施態様に従う装置電子機器のブロック図である。電子機器600は、電子機器筐体614内に収容され得る。電子機器筐体614は、トランスミッタ、例として、
図1のトランスミッタ140と関連され得る。また、電子機器600の少なくとも一部は、センサアセンブリの部分、例えば、本明細書に記載したセンサを形成できる。電子機器600は、一つの実施態様では、プロセッサ650、一つまたは複数のアナログ-デジタル(AD)コンバータ654およびメモリ656を包含する。プロセッサ650は、デジタルマイクロプロセッサであり得る。メモリ656は、プロセッサ650に電気的に連結されたデジタルデータ記憶装置を包含できる。電子機器600は、例として、温度または装置状態を映し出せるローカルオペレータインターフェース666を通して、ローカルにアクセス可能であり得る。
【0027】
プロセッサ650は、A/Dコンバータ654と一つまたは複数のセンサリード線642との間の連結によって、温度センサ、例として、本明細書で論じたセンサに接続される。複数のRTDセンサが存在する実施態様では、複数のA/Dコンバータが必要とされ得、それらが検知装置からのアナログ電気信号をプロセッサ650用のデジタル信号に変換できるようにする。
【0028】
一つの実施態様では、電子機器筐体614は、通信インターフェース658も包含できる。通信インターフェース658は、電子機器600と制御または監視システム662との間の通信を提供する。電子機器600は、プロセス内のプロセス流体の算出された温度を制御システム662に送信できる。温度測定アセンブリ600と制御システム662との間の通信は、任意の好適な無線または有線接続を通したものであり得る。例として、通信は、4~20mAに及ぶ2線式ループ上のアナログ電流によって代表され得る。あるいは、通信は、HART(登録商標)デジタルプロトコルを使用する2線式ループ上でまたはデジタルプロトコルを使用する通信バス、例えば、FOUNDATION(商標)フィールドバス上で、デジタル形態で送信され得る。
【0029】
通信インターフェース658は、無線プロトコル、例えば、WirelessHART(IEC62591)を使用する無線送信による通信用の無線通信回路664を任意で包含できる。その上、コントローラ監視システム662との通信は、直接であるまたは任意の数の媒介装置のネットワーク、例として、無線メッシュネットワーク(
図6には図示せず)を通したものであり得る。通信インターフェース658は、温度測定アセンブリ600への/からの通信を管理および制御するのに役立ち得る。例として、制御または測定システム662は、通信インターフェース658と経由して、基本構造パラメータ、プロセス容器壁パラメータを入力もしくは選択することまたは具体的な用途のための伝熱モデルを選択することを包含する、温度測定アセンブリ600の構成を提供できる。
【0030】
図3A~Cに関して先に論じた伝熱センサが先行センサからの改善を代表するものの、素子配置は、依然として厄介であり得る。熱伝導性ロッド(例えば、ロッド310)は、高温端部(例えば、端部キャップ304)と低温端部(例えば、低温端部302)との間に伸びる。この位置付けは、アセンブリの至る所で改善された熱流を可能にし、素子が固定された所定の位置で測定されることを可能にする。ロッドが両方の端に接続し、均一な熱伝導率を有するため、理想的には、それは、温度の変化対高温端部からの距離に関して線形の温度分布を示すべきである。これは、ロッドの全長にわたって実質的に均一な感度(例えば、℃/mmで)を可能にすべきである。例として、センサの中間点に設置された素子は、高温と低温の平均であるべきである。このように、高温端部が300℃、低温端部が20℃、センサ長さが140mmである場合、感度は約2℃/mmである。しかしながら、一部のケースでは、感度は、素子接点を取り付ける際に一部の製造プロセス限界が±1mmの許容差を可能にするため、有意である。
【0031】
図7A~7Cは、本発明の一部の実施態様に従うセンサ構成の例を例示する。
図7A~7Cのセンサ構成は、高められた感度を提供できる。
【0032】
図7Aは、端部キャップ704に取り付けられた、そこに連結された二つのRTD素子712、717を有する熱伝導性ロッド710の形態の短い熱伝導体を例示する。ロッド710がセンサカプセル700の中央に設置されるように例示されるものの、少なくとも一部の実施態様では、それは、依然として測定完全性を維持しつつ、中央から間隔を置かれ得る。二つのRTD素子712、717が図示されるものの、線形化を高めるために追加の素子が追加され得る。RTD素子712、717は、精密なプロセス流体温度推定出力を提供するのに役立つ温度差の測定を可能にする信号を提供する。一つの実施態様では、無機的に絶縁されたパウダーは、それを通って電線722が伸びるセンサカプセル700を満たす。電線722は、ロッド710を低温端部702に取り付ける第二の材料として働き、ロッド710に沿ったより制御され、感度が高く、線形の温度分布を提供するために、熱流を妨げる。
【0033】
低温端部702は、何らかのポッティング樹脂720を包含する。ポッティングは、例として、衝撃、振動に耐える、および/または水分もしくは腐食性物質を除くように構成された任意の好適な固形またはゲル状樹脂を含む。
【0034】
図7Bは、RTD素子の代わりに熱電対を使用する実施態様を例示する。熱電対接点754、756は、高温端部734から異なる距離で伝導性ロッド740に連結する。センサカプセル730は、低温端部732にポッティング750を包含し、それを通って電線752が伸びる無機的に絶縁されたパウダーを包含できる。
【0035】
図7Cは、第一の伝導性ロッド772に連結された追加の伝導性ロッド770を使用するもう一つの実施態様を例示する。第二の伝導性ロッド770は、第一の側にある第一の伝導性ロッド772に連結し、低温端部762内のポッティング780の中に伸びる。
図7Cに例示されるように、電線782は、センサカプセル760を通って伸び、第一の伝導性ロッド772上の熱電対774、776に連結する。
【0036】
図8は、本発明の一部の実施態様に従う異なるセンサ構成の温度分布の例を例示する。例示されるように、グラフ800は、センサ先端からの距離802に沿った温度804の理想的な分布を提示する。グラフ800は、伝熱のための二つ以上の材料を使用する複数材料ロッド810とは対照的に、単一材料ロッド820を使用するセンサ、例えば、
図3A~3Cに関して先に記載したそれらの温度分布を例示する。
図8の例では、複数材料ロッドは、低温端部に伸びる鉄ロッドに取り付けられた、高温端部から伸びる30mm長の銅ロッドを使用して作成された。これは、ロッドの銅セクションにおいて最小限に抑えられた温度勾配を可能にした。しかしながら、銅および鉄が材料の例として論じられるものの、好適な熱伝導性特性を有する他の材料が理解される。
【0037】
好ましい実施態様を参照しながら本発明が記載されてきたが、当業者は、本発明の本質および範囲を逸することなく、形態および詳細において変更が行われ得ることを認識する。