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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】蓄電素子
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/533 20210101AFI20221021BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20221021BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20221021BHJP
   H01M 50/567 20210101ALI20221021BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20221021BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20221021BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20221021BHJP
   H01M 50/54 20210101ALI20221021BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20221021BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/55 101
H01M50/176
H01M50/567
H01M50/593
H01M50/586
H01M50/557
H01M50/54
H01G11/74
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021120557
(22)【出願日】2021-07-21
(62)【分割の表示】P 2017148357の分割
【原出願日】2017-07-31
(65)【公開番号】P2021180183
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】榎本 行生
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-510959(JP,A)
【文献】特開2016-91659(JP,A)
【文献】特開2002-324541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/50-50/598
H01M50/176
H01G11/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋板に外部端子が設けられた外装体と、
タブを有して前記外装体に収容された極板と、
前記蓋板を貫通して一端が前記外部端子に接続された導電軸部と、
前記外装体に収容され、第一の表面に前記導電軸部の他端が接続され第二の表面に前記タブが接続された導電板部と
を備え、
前記蓋板の面方向における前記導電板部及びタブのそれぞれの寸法は前記外部端子の寸法よりも大きく、
前記タブは、前記極板と一体に形成され、
前記タブは、前記面方向において、前記外装体の側面から離間して配置され、
前記極板は、正極板と負極板とを有し、
前記タブは、前記正極板の直線状の端縁から前記蓋板に向かって延びる正極タブと、前記負極板の直線状の端縁から前記蓋板に向かって延びる負極タブとを有する
蓄電素子。
【請求項2】
前記外部端子には貫通孔が形成されており、
前記導電軸部の一端は前記貫通孔に挿入されて前記外部端子にかしめられている
請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記導電板部の第二の表面は平坦に形成され、
前記タブは、少なくとも、前記導電板部の前記導電軸部に対向する部分に接続されている
請求項1又は2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
断面視において前記外部端子の一側端及び他側端のそれぞれより前記導電板部の一端及び他端が前記蓋板の面方向に突出しており、
前記タブは、前記導電板部の前記外部端子の一側端より突出した部分から前記外部端子の他側端より突出した部分に亘って前記導電板部に接続されている
請求項1から3のいずれか一つに記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記導電板部及び導電軸部は一体成形されている
請求項1から4のいずれか一つに記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記蓋板の面方向における前記タブの寸法は、前記外部端子より大きく、前記蓋板と前記導電板部との間に配置された電気的絶縁性を有する部材より小さい
請求項1から5のいずれか一つに記載の蓄電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、自動車等の様々な機器に、充放電可能な蓄電素子が使用されている。電気自動車(EV)又はプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の電気エネルギーを動力源とする車両は、大きなエネルギーを必要とするため、複数の蓄電素子を備える大容量の蓄電モジュールを搭載している。
【0003】
蓄電素子は、外装体と、該外装体に収容されセパレータを介して積層された複数の正極板及び負極板を有する電極体とを備える。正極板及び負極板それぞれに、タブが設けられている。外装体には正極板及び負極板に対応した外部端子が二つ設けられている。
【0004】
特許文献1は、角型のケースを有するリチウムイオン二次電池を開示している。ケースの蓋は、貫通孔を有する。貫通孔に棒状の胴部が挿入され、該胴部の一端部にはケース内で第1フランジ部が連結され、胴部の他端部には端子板(外部端子)が接続されている。第1フランジ部には、電極体のタブが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-91659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、急速充電及び急速放電が可能な蓄電素子が求められている。急速充電又は急速放電の際、電流経路に比較的大きい電流が流れる。大電流が流れても、電流経路における抵抗ロスが小さい、高性能な蓄電素子が求められている。大電流が流れても電流経路が溶断しないことも求められている。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、電流経路の抵抗を十分に低くできる蓄電素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る蓄電素子は、蓋板に外部端子が設けられた外装体と、タブを有して前記外装体に収容された極板と、前記蓋板を貫通して一端が前記外部端子に接続された導電軸部と、前記外装体に収容され、第一の表面に前記導電軸部の他端が接続され第二の表面に前記タブが接続された導電板部とを備え、前記蓋板の面方向における前記導電板部及びタブのそれぞれの寸法は前記外部端子の寸法よりも大きく、前記タブは、前記極板と一体に形成され、前記タブは、前記面方向において、前記外装体の側面から離間して配置され、前記極板は、正極板と負極板とを有し、記タブは、前記正極板の直線状の端縁から前記蓋板に向かって延びる正極タブと、前記負極板の直線状の端縁から前記蓋板に向かって延びる負極タブとを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明にあっては、蓋板の面方向における導電板部及びタブのそれぞれの寸法は外部端子の寸法よりも大きい。前記面方向における導電板部及びタブのそれぞれの寸法が外部端子の寸法よりも小さい場合に比べて、タブと導電板部との接触面積を大きくし、電流経路の抵抗を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】蓄電素子の概略斜視図である。
図2】蓄電素子の概略正面図である。
図3図2に示すIII-III線を切断線とした蓄電素子の概略断面図である。
図4図2に示すIV-IV線を切断線とした蓋板付近の部分拡大断面図である。
図5】複数の蓄電素子を有する蓄電モジュールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、実施の形態に係る蓄電素子を示す図面に基づいて説明する。図1は、蓄電素子の概略斜視図、図2は、蓄電素子の概略正面図である。蓄電素子1は、リチウムイオン二次電池であってもよい。
【0012】
蓄電素子1は、直方体状の外装体2を備える。外装体2には、電解液と共に、後述する積層電極体3が収容される。本実施形態では、外装体2として金属ケースが用いられてい
る。金属ケースの材質は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、又はステンレスであってもよい。外装体2は、対向して配設される大きさが略等しい長方形状の底壁7及び天壁8と、底壁7及び天壁8の短辺間を接続し、底壁7及び天壁8よりも面積が小さい長方形状の蓋板9及び後壁10と、底壁7及び天壁8の長辺間を接続し、底壁7及び天壁8よりも面積が大きい長方形状の二つの側壁11、11とを備える。本実施形態では、蓄電素子1の設置面(図示せず)に設置される底壁7に対し、蓋板9が垂直に延びて、蓋板9が蓄電素子1の側面の一部を形成している。代替的に、蓄電素子1の底壁7とは反対側の天壁8の位置に蓋板があってもよい。
【0013】
図2に示すように、蓋板9の外面の一端部に正極外部端子4が外側ガスケット19を介して設けられ、蓋板9の外面の他端部に負極外部端子5が外側ガスケット19を介して設けられている。正極外部端子4及び負極外部端子5は、その平坦な外面が露呈して、バスバー等の導電部材(図示せず)が溶接されるようになっている。蓋板9の、正極外部端子4と負極外部端子5との間に、破裂弁(Rupture Valve)6が設けられている。
【0014】
図3は、図2に示すIII-III線を切断線とした蓄電素子1の概略断面図である。図3に示すように、積層電極体3は、複数の正極板12、複数の負極板13及び複数のセパレータ14を備える。正極板12、負極板13及びセパレータ14はそれぞれ、図3における側壁11、11を貫通する方向視において方形状をなす。複数の正極板12及び負極板13は、セパレータ14を介して交互に積層されている。図3は、それぞれの負極板13から延びる負極タブ16(後述)が、それらの先端側で束ねられて導電板部18aに接合されている様子を示す。負極タブ16は、蓄電素子1のエネルギー密度を向上できるよう(負極外部端子5と負極板13との間の電流経路による占有スペースを小さくできるよう)、外装体2内に湾曲した状態で収容されている。図示しないが、正極板12から延びる正極タブ15(後述)も、負極タブ16と同様に構成されている。
【0015】
正極板12は、導電性を有する箔状乃至シート状の正極基材と、該正極基材の両面に積層される正極活物質層とを有する。負極板13は、導電性を有する箔状乃至シート状の負極基材と、該負極基材の両面に積層される負極活物質層とを有する。
【0016】
セパレータ14は、電解液が浸潤するシート状乃至フィルム状の材料から形成される。セパレータ14を形成する材料としては、例えば織布、不織布、又は多孔性かつシート状乃至フィルム状の樹脂が挙げられる。セパレータ14は正極板12と負極板13とを離隔すると共に、正極板12と負極板13との間に電解液を保持する。
【0017】
図4は、図2に示すIV-IV線を切断線とした蓋板9付近の部分拡大断面図である。蓋板9には、二つの貫通孔9a、9bが蓋板9の長手方向に間隔をあけて設けられている。二つの貫通孔9a、9bの間に破裂弁6が配置されている。代替的に、破裂弁6は、蓋板9と対向する後壁10(図3参照)に配置されてもよい。
【0018】
図4に示すように、蓋板9の内面において、貫通孔9a付近に、電気的絶縁性を有する内側ガスケット20が設けられている。内側ガスケット20は、蓋板9の長手方向に平行な長辺を持つ長方形板状のガスケット本体を有し、該ガスケット本体が、蓋板9の内面に接して延びている。内側ガスケット20のガスケット本体には、貫通孔が設けられ、その貫通孔を囲うように筒状のボス20bが設けられている。内側ガスケット20のガスケット本体の、積層電極体3に対向する面には、蓋板9の長手方向に延びる凹部20aが形成されている。内側ガスケット20は、ボス20bの外周側におけるガスケット本体の両面に、リング状の被圧縮凸部を有する。被圧縮凸部はリング状に限定されず、周方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。被圧縮凸部は、ガスケット本体の片面(外面又は内面)のみに設けられてもよい。被圧縮凸部を押し潰すことで、外装体2の気密性が確保される。
【0019】
蓋板9の外面において、貫通孔9a付近に、電気的絶縁性を有する外側ガスケット19が設けられている。外側ガスケット19は、内側ガスケット20と同様に長方形板状をなし、その中央部に貫通孔19aが形成されている。貫通孔19aの直径は、内側ガスケット20のボス20bの外径よりも大きい。外側ガスケット19の一面には凹部19bが形成されている。外側ガスケット19の他面は蓋板9の外面に対向する。蓋板9の貫通孔9a及び外側ガスケット19の貫通孔19aには、内側ガスケット20のボス20bが挿入されている。該ボス20bの先端面は外側ガスケット19の凹部19bの底面に略面一である。
【0020】
前記正極外部端子4は板状をなし、その中央付近に貫通孔4aが形成されている。貫通孔4aの直径はボス20bの内径と略同じである。正極外部端子4の一面において、貫通孔4aの周辺にはザグリ4bが形成されている。正極外部端子4は、正極外部端子4の他面と、外側ガスケット19の凹部19bの底面とが対向するように、凹部19b内に配置されている。貫通孔4aとボス20bとは同軸的に配置されており、ザグリ4bは外側に露出する。
【0021】
蓋板9の外面に、正極外部端子4と外側ガスケット19が配置され、蓋板9の内面に、内側ガスケット20と正極集電体17が配置される。正極外部端子4にバスバー等を溶接する際、外側ガスケット19には、溶接により生じる熱が伝わりやすい。外装体2の気密性を確保するための被圧縮凸部は、上述のように内側ガスケット20に設けられており、熱が伝わりにくいため、被圧縮凸部により外装体2の気密性を維持できる。
【0022】
正極集電体17が、正極外部端子4に取り付けられている。正極集電体17は、蓋板9の長手方向に平行な長辺を持つ長方形状をなす正極導電板部17aと、該正極導電板部17aの一面から突出した筒状の正極導電軸部17bとを備える。正極導電軸部17bの外径は、正極外部端子4の貫通孔4aの直径及び内側ガスケット20のボス20bの内径よりも小さい。本実施形態では、正極導電軸部17bは中空(中空リベット)であるが、代替的に正極導電軸部は中実(中実リベット)であってもよい。正極導電板部17aの他面は平坦に形成されている。正極導電板部17aの他面は平坦面であることが好ましいが、タブの接合性を失わない範囲であれば、多少の凹みがあってもよい。正極導電板部17a及び正極導電軸部17bは一体成形されている。本実施形態では、正極導電板部17a及び正極導電軸部17bは同じ材質からなる一つの部品として形成されている。
【0023】
蓋板9の長手方向、換言すれば面方向における正極導電板部17aの寸法は正極外部端子4よりも大きい。図4に示すように、断面視において、正極外部端子4の一側端4c及び他側端4dのそれぞれより正極導電板部17aの一端17d及び他端17eが蓋板9の面方向に突出している。
【0024】
正極導電軸部17bは内側ガスケット20の凹部20aからボス20bに挿入されており、その先端部17cは正極外部端子4の貫通孔4aよりも外側に配置されて、かしめられ(押し拡げられ)ている。かしめられた先端部17cはザグリ4b内に配置される。正極導電板部17aは凹部20aの内側に配置される。先端部17cをかしめることによって、先端部17cと正極導電板部17aとの間に、正極外部端子4、外側ガスケット19、蓋板9及び内側ガスケット20が狭持される。
【0025】
図4に示すように、複数の正極板12はそれぞれ帯状の正極タブ15を有する。蓋板9の長手方向、換言すれば面方向における正極タブ15の寸法は正極外部端子4よりも大きい。正極タブ15は、正極導電板部17aの他面、即ち正極導電軸部17bが突出してい
る面と反対側の面に、例えば超音波溶接、レーザー溶接又はかしめによって、接続されている。正極タブ15は、正極導電板部17aの、正極外部端子4の一側端4cより突出した部分から正極外部端子4の他側端4dより突出した部分に亘って、正極導電板部17aに接続されている。正極タブ15は、少なくとも、正極導電板部17aの他面における正極導電軸部17bに対向する部分に接続されている。
【0026】
蓋板9の貫通孔9b付近に、内側ガスケット20、外側ガスケット19、負極外部端子5及び負極集電体18が設けられている。これら内側ガスケット20、外側ガスケット19、負極外部端子5及び負極集電体18は、貫通孔9a付近に設けられた前記内側ガスケット20、外側ガスケット19、正極外部端子4及び正極集電体17と同様な構成を有するので、以下、その詳細な説明は適宜省略する。
【0027】
負極外部端子5は、貫通孔5a及びザグリ5bを備える。負極集電体18は、負極導電板部18aと、負極導電板部18aの一面から突出した負極導電軸部18bとを備え、負極導電軸部18bの先端部18cはかしめられている。蓋板9の長手方向、換言すれば面方向における負極導電板部18aの寸法は負極外部端子5よりも大きい。
【0028】
複数の負極板13はそれぞれ帯状の負極タブ16を有する。蓋板9の長手方向、換言すれば面方向における負極タブ16の寸法は負極外部端子5よりも大きい。負極外部端子5の一側端5c及び他側端5dのそれぞれより負極導電板部18aの一端18d及び他端18eが蓋板9の面方向に突出している。負極タブ16は、負極導電板部18aの、負極外部端子5の一側端5cより突出した部分から負極外部端子5の他側端5dより突出した部分に亘って、負極導電板部18aの他面に、例えば超音波溶接、レーザー溶接又はかしめによって、接続されている。
【0029】
上述した蓄電素子1においては、複数の正極板12及び負極板13を積層させた積層電極体を用いているが、代替的に、一枚の正極板及び一枚の負極板をセパレータを介して巻回した巻回電極体を用いてもよい。蓋板9に正極外部端子4及び負極外部端子5を並べているが、外装体2の二面に正極外部端子4及び負極外部端子5をそれぞれ設けてもよい。
【0030】
上述した蓄電素子1にあっては、蓋板9の面方向における導電板部17a、18a及びタブ15、16のそれぞれの寸法は外部端子4、5の寸法よりも大きい。前記面方向における導電板部17a、18a及びタブ15、16のそれぞれの寸法が外部端子4、5の寸法よりも小さい場合に比べて、タブ15、16と導電板部17a、18aとの接触面積を大きくし、電流経路の抵抗を小さくできる。タブ15、16の幅寸法が大きいため、大電流が流れても、タブ15、16が溶断しにくい。
【0031】
タブ15、16は、少なくとも、導電板部17a、18aの導電軸部17b、18bに対向する部分に接続されているので、タブ15、16から外部端子4、5に至る電流経路が最短になり、電流経路の抵抗値を低くできる。
【0032】
外部端子4、5の一側端4c、5c及び他側端4d、5dのそれぞれより導電板部17a、18aの一端17d、18d及び他端17e、18eが蓋板9の面方向に突出しており、タブ15、16は、導電板部17a、18aの、外部端子4、5の一側端4c、5cより突出した部分から外部端子4、5の他側端4d、5dより突出した部分に亘って接続されている。そのため、十分な大きさのタブ15、16と導電板部17a、18aとの接触面積が確保され、電流経路の抵抗値を低くできる。
【0033】
導電板部17a、18a及び導電軸部17b、18bは一体成形されており、両者を別部品により構成した場合に比べて、電流経路の抵抗値を低くでき、集電体17、18の強
度は向上する。
【0034】
導電軸部17b、18bの一端は外部端子4、5の貫通孔4a、5aに挿入されて外部端子4、5にかしめられている。例えば、スピンかしめ加工により、簡易且つ短時間で導電軸部17b、18bを外部端子4、5に取り付けることができる。かしめ部を、蓋板9の外側に配置することで、蓋板9の内側にかしめ部が存在しない。そのため、導電板部17a、18aの、積層電極体3に対向する面を凹凸のない平坦面にすることができ、タブ15、16を容易かつ確実にその平坦面に接合できる。
【0035】
複数の蓄電素子1を使用して、蓄電モジュールを作製することができる。図5は、複数の蓄電素子1を有する蓄電モジュール26の概略図である。蓄電モジュール26は、ボックスやエンドプレート等の保持部材24と、該保持部材24により保持された複数の蓄電素子1を備える。複数の蓄電素子1は、外部端子が設けられた壁(蓋板)が、同じ方向を向くように配置される。本実施形態では、設置面から、複数の蓄電素子1の蓋板が立ち上がり、それら蓋板に設けられた外部端子が蓄電素子モジュールの側方に向けられている。複数の蓄電素子1において、隣り合う蓄電素子は正極外部端子4と負極外部端子5が上下逆になるように配置される。隣接する蓄電素子1の正極外部端子4と負極外部端子5とをバスバー25によって接続することで、複数の蓄電素子1を直列接続できる。同極を接続して、複数の蓄電素子1を並列接続してもよい。
【0036】
蓄電素子1の導電板部17a、18aは導電軸部17b、18bの直下に配置されているので、導電板部17a、18aが導電軸部17b、18bの直下に配置されていない場合に比べて、蓋板9の長手方向における集電体17、18の寸法を小さくすることができる。そのため、蓄電モジュール26の高さ寸法も小さくでき、高さの限られたスペースに蓄電モジュールを配置することが求められる場合に適用できる。
【0037】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではない。記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【0038】
電流経路の抵抗を十分に抑制できる範囲であれば、タブ15、16の寸法は、外部端子4、5の寸法と比較して同等か若干小さくてもよい。タブ15、16を、導電板部17a、18aの、積層電極体3に対向する面における、導電軸部17b、18bに対向する部分とその両側部分とに接合することで、タブ15、16と導電板部17a、18aとの接触面積を確保できる。
【0039】
蓄電素子1がリチウムイオン二次電池である場合につき説明したが、蓄電素子1はリチウムイオン二次電池には限定されない。蓄電素子1は、ニッケル水素電池等の他の二次電池であってもよいし、一次電池であってもよいし、キャパシタ等の電気化学セルであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 蓄電素子
2 外装体
4 正極外部端子
5 負極外部端子
9 蓋板
12 正極板
13 負極板
17 正極集電体
17a 正極導電板部
17b 正極導電軸部
18 負極集電体
18a 負極導電板部
18b 負極導電軸部
26 蓄電モジュール
図1
図2
図3
図4
図5