(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】放熱効率の高いドライヤー
(51)【国際特許分類】
A45D 20/10 20060101AFI20221021BHJP
H01L 23/467 20060101ALI20221021BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
A45D20/10 Z
H01L23/46 C
H05K7/20 D
(21)【出願番号】P 2021510300
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2019126728
(87)【国際公開番号】W WO2020186854
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】201910199571.5
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517384844
【氏名又は名称】キングクリーン エレクトリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニ ズーゲン
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-033965(JP,A)
【文献】特開平09-224736(JP,A)
【文献】特開平02-034992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/00 - 20/52
H01L 23/46
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱効率の高いドライヤーであって、
本体(1)と、
前記本体(1)内に配置された発熱部品(2)と、を備え、
前記本体(1)内にエアダクト(11)が形成され、
熱伝導性材料からなる放熱装置(3)をさらに備え、
前記ドライヤーにおいて、前記発熱部品(2)は
、前記エアダクト(11)を取り囲み、前記エアダクト(11)の外に位置し、
前記放熱装置(3)は前記発熱部品(2)に熱伝導するように接続され、前記放熱装置(3)の少なくとも一部が前記エアダクト(11)内に配置され
、
前記放熱装置(3)は、給気方向に沿って前記発熱部品(2)の上流側に配置されている、
ことを特徴とする放熱効率の高いドライヤー。
【請求項2】
複数の前記放熱装置(3)を備え、複数の前記放熱装置(3)はそれぞれに前記発熱部品(2)の異なる発熱箇所に熱伝導するように接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の放熱効率の高いドライヤー。
【請求項3】
前記放熱装置(3)は、複数の放熱フィン(31)を備え、前記放熱フィン(31)は前記発熱部品(2)から給気端に向かって延びるように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の放熱効率の高いドライヤー。
【請求項4】
前記放熱フィン(31)は、前記エアダクト(11)内に位置する頂部(312)と、風上側に位置する前側面(313)と、風下側に位置する後側面(314)と、を備え、前記頂部(312)は斜面であり、前記前側面(313)は凸でアーチ形を呈し、前記後側面(314)と前記頂部(312)との接続箇所は円弧面である、
ことを特徴とする請求項3に記載の放熱効率の高いドライヤー。
【請求項5】
前記放熱装置(3)は、ベース(32)をさらに含み、前記放熱フィン(31)の底部(311)は、前記ベース(32)に設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の放熱効率の高いドライヤー。
【請求項6】
前記ベース(32)は、扇形であり、扇形の前記ベース(32)は前記発熱部品(2)の発熱箇所に位置あわせしており、または、前記ベース(32)は、環状であり、環状の前記ベース(32)は前記発熱部品(2)の全体に位置合わせしている、
ことを特徴とする請求項5に記載の放熱効率の高いドライヤー。
【請求項7】
前記ベース(32)は、前記発熱部品(2)の発熱箇所に熱伝導するように接続される、
ことを特徴とする請求項6に記載の放熱効率の高いドライヤー。
【請求項8】
前記ベース(32)には、段差面(321)が設けられ、前記段差面(321)は前記発熱部品(2)に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の放熱効率の高いドライヤー。
【請求項9】
前記放熱装置(3)と前記発熱部品(2)との隙間には熱伝導材料が充填されている、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の放熱効率の高いドライヤー。
【請求項10】
前記発熱部品(2)は、MOSトランジスタおよび/またはサイリスタである、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の放熱効率の高いドライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭電気用品の技術分野に関し、特に放熱効率の高いドライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライヤーは、ファンの回転により吹き出した風で、湿った物体を乾燥する家庭電気用品である。そのうち、モータによりファンを回転させる。
【0003】
製品の品質を向上させ、ユーザの体験を改善するために、今のドライヤーのモータはブラシレスモータを利用することが多くなっている。しかしながら、このドライヤーは、ブラシレスモータの主制御基板(主にその上のMOSトランジスタ)の発熱が深刻で、また、エアダクト内に直接に主制御基板を配置してはいけない(エアダクト内に主制御基板を配置すると、騒音が大きくなり、給気に乱流が発生する)ので、主制御基板の放熱能力が不十分となり、ドライヤーの動作性能が安定ではないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、主制御基板の放熱効果が優れ、放熱効率の高いドライヤーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は以下の技術案を採用する。
【0006】
本体と、前記本体内に配置された発熱部品と、を備え、前記本体内にエアダクトが形成され、熱伝導性材料からなる放熱装置をさらに備え、前記発熱部品は前記エアダクトの外に位置し、前記放熱装置は前記発熱部品に熱伝導するように接続され、前記放熱装置の少なくとも一部が前記エアダクトの内に配置される放熱効率の高いドライヤー。
【0007】
好ましくは、複数の前記放熱装置を備え、複数の前記放熱装置はそれぞれに前記発熱部品の異なる発熱箇所に熱伝導するように接続されている。
【0008】
好ましくは、前記放熱装置は、複数の放熱フィンを備え、前記放熱フィンは前記発熱部品から給気端に向かって延びるように配置されている。
【0009】
好ましくは、前記放熱フィンは、前記エアダクト内に位置する頂部と、風上側に位置する前側面と、風下側に位置する後側面と、を備え、前記頂部は斜面であり、前記前側面は凸でアーチ形を呈し、前記後側面と前記頂部との接続箇所は円弧面である。
【0010】
好ましくは、前記放熱装置は、ベースをさらに含み、前記放熱フィンの底部は、前記ベースに設けられる。
【0011】
好ましくは、前記ベースは、扇形であり、扇形の前記ベース(32)は前記発熱部品の発熱箇所に位置あわせしており、または、前記ベースは、環状であり、環状の前記ベースは前記発熱部品の全体に位置合わせしている。
【0012】
好ましくは、前記ベースは、前記発熱部品の発熱箇所に熱伝導するように接続される。
【0013】
好ましくは、前記ベースには、段差面が設けられ、前記段差面は前記発熱部品に取り付けられている。
【0014】
好ましくは、前記放熱装置と前記発熱部品との隙間には熱伝導材料が充填されている。
【0015】
好ましくは、前記発熱部品は、MOSトランジスタおよび/またはサイリスタである。
【0016】
本発明は、放熱効率の高いドライヤーに熱伝導材料からなる放熱装置が設けられている。放熱装置は、発熱部品に熱伝導するように接続され、少なくとも一部がエアダクト内に配置される。自然風などの放熱装置の温度よりも低温の気流によって放熱装置から熱を奪い、発熱部品を放熱する効果が得られ、従来のドライヤーで主制御基板から効果的に放熱できないという問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の具体的な実施形態に係る放熱効率の高いドライヤーの断面図である。
【
図2】本発明の具体的な実施形態に係る放熱効率の高いドライヤーの一つの構造模式図である。
【
図3】本発明の具体的な実施形態に係る放熱効率の高いドライヤーのもう一つの構造模式図である。
【
図4】本発明の具体的な実施形態に係る放熱装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の具体的な実施形態を利用して本願発明を詳細に説明する。
【0019】
本実施形態は放熱効率の高いドライヤーを開示する。
図1~
図3に示すように、このドライヤーは、本体1と、本体1内に配置された発熱部品2と、熱伝導性材料からなる放熱装置3とを備えている。該熱伝導性材料は金属であってよいが、金属に限らない。本体1内には、エアダクト11が形成されている。発熱部品2はエアダクト11の外に配置される。放熱装置3は、発熱部品2に熱伝導するように接続され、少なくとも一部がエアダクト11内に設置されている。ここで、発熱部品2は、MOSトランジスタやサイリスタ等の発熱素子が設けられた主制御基板であってもよいが、これに限定されない。また、発熱部品2は従来のドライヤーに利用される気流加熱用の電熱線と異なる。熱伝導するように接続されるとは、放熱装置3と発熱部品2とが直接に接触していてもよく、放熱装置3と発熱部品2とが他の構造を介して間接的に接触していてもよく、熱を伝導させることができればよい。
【0020】
放熱装置3と発熱部品2とが熱伝導するように接続されることによって、発熱部品2の熱を放熱装置3に伝達することができる。放熱装置3はエアダクトの中にあるので、自然風などの放熱装置3よりも低温の気流によって放熱装置3の熱を奪い、発熱部品2を放熱する効果が得られる。即ち、発熱部品2の補助放熱装置としての放熱装置3は、発熱部品2の熱を迅速且つ効率的に排出し、主制御基板等の構造を正常に動作させて、製品の寿命を延ばす。従来のドライヤーで制御基板から効果的に放熱できないという問題を解決する。
【0021】
放熱を良好に行うために、複数の放熱装置3を給気方向に設けてもよい。複数の放熱装置3は、それぞれに発熱部品2の異なる発熱箇所に熱伝導するように接続されており、それぞれに異なる発熱箇所から放熱されて放熱効率がより高くなる。ここで、発熱箇所は、主制御基板上のMOSトランジスタやサイリスタ素子であってもよいが、これらに限定されない。
【0022】
放熱装置3は具体的な構成が限定されない。好ましくは、
図4に示すように、放熱装置3は、ベース32と、ベース32に設けられた複数の放熱フィン31とを備える。放熱フィン31は、発熱部品2から給気端に向かって延びるように配置されている。好ましくは、放熱フィン31は、風向方向に向かって傾斜して設けられ、気流との熱交換面積を大きくするとともに、風の抵抗をできるだけ小さくして、騒音を小さくする。即ち、放熱フィン31の延伸方向とドライヤーの給気方向とが逆向きであることにより、放熱フィン31は、より上流側でより低温の気流に接触することができる。
【0023】
放熱フィン31は、給気端から離れた底部311と、給気端に近い頂部312と、風上側に位置する前側面313と、風下側に位置する後側面314とを有する。放熱フィン31の底部311は、ベース32に設けられ、構造がより安定である。頂部312は、必ずエアダクト11内に位置するが、他の構成がエアダクト11内に位置するか否かは、実際の需要に応じて決定される。
【0024】
頂部312と底部311との間の距離は給気方向に沿って徐々に小さくなる。すなわち、頂部312は給気方向に沿うように傾斜する斜面であり、放熱に影響を与えることなく風抵抗を低減して騒音を低減する。前側面313は、凸でアーチ状を呈し、つまりタイル状に膨らみ、給気が前側面313を通過する際に気流がより滑らかであるので、騒音が小さい。後側面314と頂部312との接続箇所は、円弧面であり、すなわち、後側面314と頂部312とは滑らかに接続することによって、後側面314と頂部312との接続箇所において、給気が妨げられることを回避する。
【0025】
ベース32には、段差面321が設けられており、段差面321は発熱部品2に取り付けられていることにより、熱伝導効率が向上している。また、段差面321は、ベース32と発熱部品2との間で両者の位置を規制することもできる。
【0026】
ベース32は、発熱部品2から効率よく熱を伝えることができればよく、具体的な形状が特に限定されない。好ましくは、ベース32は発熱部品2の発熱箇所に位置合わせする扇形、又は発熱部品2の全体に位置合わせする環状のシートに形成されている。環形の場合には、放熱面積が大きく、放熱効率が高い。扇形の場合には、小型、軽量でドライヤーの小型化、軽量化に有利である。好ましくは、ベース32は、発熱部品2の発熱箇所に直接に熱伝導するように接続されているので、熱伝導効率がより高い。
【0027】
ベース32は、発熱部品2に取り付けた部分が熱を伝導するだけではなく、発熱部品2に取り付けていない部分も発熱部品2の周囲空間の熱を速やかに伝導することができるので、発熱部品2の放熱を補助する役割を果たす。
【0028】
上記構成に基づいて、放熱装置3と発熱部品2との隙間には熱伝導材料が充填されることによって、放熱装置3と発熱部品2とを確実に熱伝導するように接続する。これによって、空気の遮断により発熱部品2の熱が放熱装置3に伝達されなくなることを回避する。この熱伝導材料は、熱伝導シリコングリスであってもよいが、効率的に熱を伝達することが保証できればよく、特に限定されない。
【0029】
なお、以上の記載は、本発明の好適な実施形態及び使用される技術原理に過ぎない。当業者は、本発明がここに記載された特定の実施形態に限定されず、本発明の保護範囲から逸脱することなく、当業者において様々な明らかな変更、修正、および置換が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明は、上述した実施形態でより詳細に説明されたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない他の均等な実施形態も含むことができる。本発明の範囲は、添付の請求項によって定められる。
【符号の説明】
【0030】
1 本体、2 発熱部品、3 放熱装置、11 エアダクト、31 放熱フィン、32 ベース、311 底部、312 頂部、313 前側面、314 後側面、321 段差面。