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特許7162732フィードバック機構を備える動的レースシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-20
(45)【発行日】2022-10-28
(54)【発明の名称】フィードバック機構を備える動的レースシステム
(51)【国際特許分類】
   A43C 7/00 20060101AFI20221021BHJP
   A43C 11/16 20060101ALI20221021BHJP
【FI】
A43C7/00
A43C11/16
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021512662
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019049658
(87)【国際公開番号】W WO2020051278
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】62/727,916
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/561,323
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ダイアー,ケイレブ ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】オランド,オースティン ジェイ.
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-527001(JP,A)
【文献】登録実用新案第3222495(JP,U)
【文献】特開2005-118430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0291242(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0020767(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43C 7/00 - 7/08
A43C 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物物品であって、
内部空隙を画定するアッパーと、
前記アッパーを締め付けられた状態に移動させるよう締付方向に移動可能であり且つ前記アッパーを緩められた状態に移動させるよう緩み方向に移動可能であるケーブルと、
当該履物物品と連結され、ハウジングを含み、前記緩み方向における前記ケーブルの移動を制限するようロック状態において動作可能であり、前記緩み方向における前記ケーブルの移動を許容するようロック解除状態において動作可能である、ケーブルロックとを含み、該ケーブルロックは、スライドロック部材と、前記ハウジング内に配置される第1のプーリを含み、該第1のプーリは、前記スライドロック部材と前記第1のプーリの外周部分との間での前記ハウジングを通じる前記ケーブルの移動に応答して自由に回転するように位置付けられる、
履物物品。
【請求項2】
前記ケーブルは、前記締付方向において前記ケーブルを移動させるために第1の方向において前記アッパーから離れる方向に移動させられるように動作可能な制御部分を含む、請求項1に記載の履物物品。
【請求項3】
前記ケーブルロックは、前記制御部分から遠隔に配置される、請求項2に記載の履物物品。
【請求項4】
前記第1のプーリは、前記第1のプーリの回転軸から延びる複数の突起を含み、該突起は、前記複数の突起の隣接する突起の間に配置される開口を画定する、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の履物物品。
【請求項5】
前記第1のプーリは、前記第1のプーリの外周の周囲に延在する溝を画定し、該溝は、前記ケーブルを内部に受け入れるように動作可能である、請求項4に記載の履物物品。
【請求項6】
前記溝は、前記第1のプーリの第1の側面と反対側の第2の側面の各々にある対応する突起の間に画定される、請求項5に記載の履物物品。
【請求項7】
前記ハウジングと連結され、前記第1のプーリが回転するときに前記複数の突起が断続的に係合するように動作可能な第1の端を有する、プロングを更に含む、請求項4に記載の履物物品。
【請求項8】
前記プロングは、前記ハウジングに取り付けられた第2の端を含み、該第1の端は、前記第1のプーリが回転するときに前記第2の端に対して移動する、請求項7に記載の履物物品。
【請求項9】
前記プロングは、前記ハウジングと一体的に形成される、請求項8に記載の履物物品。
【請求項10】
前記プロングは、前記第2の端と前記第1の端との間に延びる第1の長さを有し、前記プロングは、前記第1の長さの一部に沿って平坦化されている、請求項8に記載の履物物品。
【請求項11】
前記ケーブルロックは、前記ケーブルが前記締付方向において前記ハウジング内で前記ハウジングに対して並進させられるときに可聴フィードバック及び触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを提供するように動作可能である第2のプーリを含み、該第2のプーリは、前記第1のプーリとは異なる前記ケーブルの部分と係合する、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の履物物品。
【請求項12】
付勢バネが前記第1のプーリと前記第2のプーリとの間に延在し、該付勢バネの第1の端が前記ハウジングと連結され、該付勢バネの第2の端が前記スライドロック部材と連結される、請求項11に記載の履物物品。
【請求項13】
前記ハウジングは、左右対称である、請求項1~12のうちのいずれか1項に記載の履物物品。
【請求項14】
前記ハウジングは、前記ハウジングの各々のそれぞれの隅に配置される孔を含み、前記ケーブルの一部分が、前記ハウジングの各々のそれぞれの隅に配置される各孔を通じて延びる、請求項1~13のうちのいずれか1項に記載の履物物品。
【請求項15】
前記ケーブルは、前記ケーブルが前記第1のプーリの一部分の周りに延び且つ前記ハウジングにある孔を通じて延びるときに方向を変化させ、該方向の変化は、35度よりも大きく、120度よりも小さい、請求項1~14のうちのいずれか1項に記載の履物物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は、2018年9月6日に出願された米国仮特許出願第62/727,916に対する35U.S.C.§119(e)の下の優先権を主張する、2019年9月5日に出願された米国非仮特許出願第16/561,323に対する優先権を主張し、それらの開示の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、一般的に、締め付けられた状態と緩められた状態との間で履物を移動させるための動的レースシステム(dynamic lacing system)を有する履物物品(articles of footwear)に関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションは、必ずしも先行技術ではない本開示に関する背景情報を提供する。
【0004】
履物の物品は、従来、アッパーと、ソール構造とを含む。アッパーは、ソール構造上で足を受け、固定し且つ支持するために、任意の適切な(複数の)材料から形成されることがある。足の底面に近接するアッパーの底部分は、ソール構造に付着する。ソール構造は、一般に、地面との牽引及び耐摩耗性を提供するアウトソール(本底)と足のためのクッションを提供するためにアウトソールとアッパーとの間に配置されるミッドソール(中底)との間に延在する層状構成を含む。
【0005】
アッパーは、レース、ストラップ、又は他の締結具と協働して、足の周りのアッパーのフィット(適合)を調整することがある。例えば、レースを締め付けて足の周りでアッパーを閉じ、足の周りでアッパーの所望のフィットがひとたび得られたら、結び付けてよい。レースを結び付けるたびに、アッパーが足の周りで緩すぎたりきつすぎたりしないように注意が必要である。その上、履物の着用中にレースが緩んだり解れたりすることがある。フック及びループファスナのような締結具は、従来のレースよりも操作が容易且つ迅速であるが、これらの締結具は、時間の経過と共に摩耗する傾向があり、アッパーを足に固定するときに所望の張力を得るためにより多くの注意を必要とする。
【0006】
知られている締め付けシステムは、典型的には、足の周りでアッパーを閉じるためにアッパーと相互作用する1つ以上のケーブルに張力を加えるよう操作されることができる、回転可能なノブのような、締め付け機構を含む。これらの締め付けシステムは、足の周りでのアッパーの所望のフィットを達成するために1つ以上のケーブルの張力の大きさを増分的に増加させることができるが、それらは足の周りでアッパーを固定するためにケーブルを適切に張力付けるために締め付け機構を操作するという時間のかかる作業を必要とし、履物を足から取り外すことが望まれるときに、着用者は、解放機構を押すと同時に、ケーブルの張力を解放するために足からアッパーを引き離す必要がある。よって、知られている締め付けシステムは、足の周りでアッパーを閉じるためにケーブルの張力を迅速に調整すること、及び足から履物を取り外すためにアッパーを迅速に緩めることができるようケーブルに加えられる張力を迅速に解放することの両方のための、適切な装備を欠いている。その上、これらの知られている締め付けシステムによって利用される締め付け機構は、足の周りでのアッパーのフィットを調整するために締め付け機構が着用者にアクセス可能であり、それによって履物の一般的な外観及び美観を損なうように、アッパーの外側に組み込まれる必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載される図面は、選択された構成を例示する目的のものであるにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の原理に従ったケーブルの移動を制限するロック状態とケーブルの移動を許容するロック解除状態との間で移動可能なロックデバイスを有する履物物品の側面図である
【0009】
図2】ケーブルが締め付け方向に移動するときにアッパーを緩められた状態から締め付けられた状態に移動させるように動作可能な横方向レースセグメント及び内側レースセグメントを有するケーブルを示す、図1の履物物品の頂面斜視図である。
【0010】
図2A図2の断面線2A-2Aで取られた、本開示の原理に従ったケーブルガイドの断面図である。
【0011】
図2B図2の領域2Bで取られた、本開示の原理に従ったケーブルガイドの拡大図である。
【0012】
図3】ストロベルの底面に配置されたロックデバイスを露出させるようアッパーから取り外されたソール構造を示す図1の履物物品の底部斜視図である。
【0013】
図4】ロックデバイスをロック状態からアッパーを緩められた状態から締め付けられた状態に移行させるよう動作可能な制御部分と実質的に整列させられたロック解除状態に移行させるように動作可能な緩めグリップを示す、図1の履物物品の代替的な図である。
【0014】
図5】緩められた状態にある間の図1の履物物品のアッパーのパターンの頂面図である。
【0015】
図6】締め付けられた状態にある間の図1の履物物品のアッパーのパターンの頂面図である。
【0016】
図7】ロックデバイスを受け入れること及びミッドソールを通じた張力ケーブルの経路指定のためにミッドソールを通じて形成された空洞及び複数の通路を示す、図1の履物物品のミッドソールの底面図である。
【0017】
図8】本開示の原理に従ったロックデバイス及びケーブルの斜視図である。
【0018】
図9】ロックデバイスのハウジング及びロック部材を示す、図8のロックデバイスの分解図である。
【0019】
図10】ロック部材がロック位置にあるときのハウジング内にスライド可能に配置されたロック部材を露出するために取り外された蓋を有するハウジングを示す、図8のロックデバイスの頂面図である。
【0020】
図11】ロック部材がロック解除位置にあるときのハウジング内にスライド可能に配置されたロック部材を露出するために取り外された蓋を有するハウジングを示す、図8のロックデバイスの頂面図である。
【0021】
図12図10の断面線12-12に沿って取られた、ロックデバイスのプロングとプーリとの間のインターフェースを示す、図8のロックデバイスの断面図である。
【0022】
図13】ハウジングがロックデバイスのプーリとインターフェース接続するためのプロングを含む、図8のロックデバイスのハウジングの斜視図である。
【0023】
図14図13のプロングがない図8のロックデバイスのハウジングの別の例の斜視図である。
【0024】
図15図8のロックデバイスのプーリの斜視図である。
【0025】
図16】履物物品の踵領域の後方端で図8のロックデバイスを組み込んだ履物物品の後方斜視図である。
【0026】
図17】履物物品の内側の踵領域で図8のロックデバイスを組み込んだ履物物品の後方斜視図である。
【0027】
図18】履物物品の爪革領域で図8のロックデバイスを組み込んだ履物物品の頂面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
対応する参照番号は、図面を通じて対応する部分を示す。
【0029】
以下、添付の図面を参照して、例示的な構成をより完全に記載する。例示的な構成は、この開示が徹底的であり、当業者に本開示の範囲を完全に伝えるように、提供される。本開示の構成の徹底的な理解のために、特定の構成要素、デバイス、及び方法の例のような、特定の詳細が記載される。特定の詳細が利用される必要がないこと、例示的な構成が多くの異なる形態で具現されてよいこと、並びに特定の詳細及び例示的な構成が本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことが、当業者に明らかであろう。
【0030】
本明細書で使用される用語法は、特定の例示的な構成を記載する目的のためだけのものであり、限定的であることを意図しない。本明細書で使用するとき、単数形の表現は、文脈が他のことを明確に示していない限り、複数の形態も含むことが意図されることがある。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」という用語は、包括的であり、従って、構成、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の構成、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しない。本明細書に記載する方法ステップ、プロセス、及び動作は、性能の順序として特別に特定されない限り、議論される或いは図示される特定の順序でそれらの性能を必ず必要とすると解釈されるべきでない。追加又は代替のステップが利用されてよい。
【0031】
ある要素又は層が、別の要素又は層「の上にある」、「に係合される」、「に接続される」、「に取り付けられる」、或いは「に連結される」と称されるとき、それは、他の要素又は層の直ぐ上にあってよく、他の要素に直接的に係合されてよく、接続されてよく、取り付けられてよく、或いは連結されてよく、或いは、介在する要素又は層が存在してよい。対照的に、ある要素が別の要素又は層「の直ぐ上にある」、「直接的に係合される」、「直接的に接続される」、「直接的に取り付けられる」、或いは「直接的に連結される」と称されるとき、介在する要素又は層は存在しないことがある。要素間の関係を記載するために使用される他の語は、同様の方法(例えば、「~の間」対「直接的に~の間」、「隣接」対「直ぐ隣接」など)で解釈されるべきである。本明細書で使用するとき、「及び/又は」という用語は、関連させられて列挙される品目の1つ以上の品目のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0032】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又は区画を記載するために本明細書で使用されることがある。これらの要素、構成要素、領域、層及び/又は区画は、これらの用語によって限定されてはならない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層又は区画を別の領域、層又は区画から区別するために使用されるにすぎないことがある。「第1」、「第2」のような用語、及び他の数値用語は、文脈によって明確に示されない限り、シーケンス又は順序を暗示しない。よって、以下に議論する第1の要素、構成要素、領域、層又は区画は、例示的な構成の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層又は区画と称されることができる。
【0033】
本開示の1つの態様は、履物物品(article of footwear)を提供する。履物物品は、内部空隙を画定するアッパー(upper)と、アッパーを締め付けられた状態に移動させるよう締め付け方向に移動可能であり、アッパーを緩められた状態に移動させるよう緩み方向に移動可能である、ケーブルとを含む。履物物品は、履物物品と連結され、ハウジングを含み、緩み方向へのケーブルの移動を制限するロック状態において動作可能であり且つ緩み方向へのケーブルの移動を許容するロック解除状態において動作可能である、ケーブルロックも含む。ケーブルロックは、ハウジング内に配置される第1のプーリを含み、第1のプーリは、第1のプーリの外周部分に沿うハウジングを通じるケーブルの移動に応答して自由に回転するように位置付けられる。
【0034】
本開示の実装は、以下の任意的な構成のうちの1つ以上を含んでよい。幾つかの実装において、ケーブルは、ケーブルを締め付け方向に移動させるために第1の方向においてアッパーから離れる方向に移動させられるよう動作可能な制御部分を含む。ここで、ケーブルロックは、制御部分から遠隔に配置されてよい。
【0035】
幾つかの例において、第1のプーリは、第1のプーリの回転軸から延びる複数の突起(protrusions)を含み、突起は、複数の突起の隣接する突起の間に配置される開口を画定する。第1のプーリは、第1のプーリの外周の周りに延在する溝を画定してよく、溝は、その中にケーブルを収容するように動作可能である。ここで、溝は、第1のプーリの第1の側面及び対向する第2の側面の各々にある対応する突起の間に画定されてよい。任意的に、履物物品は、ハウジングに連結され、第1のプーリが回転するときに複数の突起に断続的に係合するように動作可能な第1の端を有する、プロング(prong)を含んでもよい。ここで、プロングは、ハウジングに取り付けられる第2の端を含んでよく、第1の端は、第1のプーリが回転するときに、第2の端に対して移動する。プロングは、ハウジングと一体的に形成されてよい。追加的に又は代替的に、プロングは、第2の端と第1の端との間に延びる第1の長さを有してよく、プロングは、第1の長さの一部に沿って平坦化される。
【0036】
幾つかの構成において、ケーブルロックは、ケーブルがハウジングに対してハウジング内で締め付け方向に並進させられるときに可聴フィードバック及び触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを提供するように動作可能な第2のプーリを含み、第2のプーリは、第1のプーリとは異なるケーブルの部分に係合する。ここでは、付勢バネが第1のプーリと第2のプーリとの間に延在してよく、付勢バネの第1の端がハウジングに連結され、付勢バネの第2の端がスライドロック部材と連結される。追加的に又は代替的に、ハウジングは、細長くてよく、長手方向の中線(midline)を有してよく、第1のプーリは、第2のプーリに対してハウジングの長手方向の中線の反対側に配置されてよく、第1のプーリ及び第2のプーリの両方は、ハウジングの第1の端に隣接して配置されてよい。
【0037】
幾つかの実装において、ハウジングは、第1の平面的な外面と、対向する第2の平面的な外面とを有し、第1の平面的な外面と第2の平面的な外面との間の最大厚さは、0.6cm~1.2cmの範囲内である。ハウジングは、左右対称であってよい。任意的に、ハウジングは、丸みを帯びた長方形として成形されてよい。ハウジングが丸みを帯びた長方形として成形されるとき、履物物品は、ハウジングの各々のそれぞれの隅に配置される孔を更に含んでよい。ここでは、ケーブルの一部分がハウジングの各々のそれぞれの隅に配置される各孔を通じて延びてよい。
【0038】
幾つかの例において、ハウジングは、剛的である。他の例において、ハウジングは、ハウジングの周縁に隣接して配置され、締結具の挿入を受け入れるように構成された、1つ以上の孔を含む。この例において、締結具は、糸、フィラメント、ストラップ、リベット、ボルト、ネジ、フック、及びロッドからなる群から選択される1つ以上のものである。
【0039】
幾つかの構成において、ケーブルは、第1のプーリの一部の周りに延び、ハウジングの孔を通じて延びるにつれて、方向を変え、方向の変化は、35度よりも大きく、120度よりも小さい。履物物品は、ハウジングの内面から延びるシャフトを含んでもよく、第1のプーリは、シャフトに取り付けられ、シャフトの周りで回転可能である。ケーブルは、張力の下にあるときに、ハウジングの孔を通じて、第1のプーリの外周部分に対して接線方向に第1のプーリから延びる。
【0040】
本開示の別の態様は、履物物品を提供する。履物物品は、内部空隙を画定するアッパーを含む。履物物品は、アッパーを締め付けられた状態に移動させるよう締め付け方向に移動可能であり、且つアッパーを緩められた状態に移動させるよう緩み方向に移動可能である、ケーブルも含む。履物物品は、更に、ハウジングを含み、緩み方向へのケーブルの移動を制限するようロック状態において動作可能であり、且つ緩み方向へのケーブルの移動を許容するようロック解除状態において動作可能である、ケーブルロックを含む。ケーブルロックは、ケーブルの異なる部分を受け、ケーブルがハウジング内でハウジングに対して並進させられるときにハウジングに対して回転するように動作可能である、第1のプーリ及び第2のプーリを含む。
【0041】
本開示の実装は、以下の任意的な構成のうちの1つ以上を含んでよい。幾つかの例において、ケーブルは、ケーブルを締め付け方向に移動させるよう第1の方向においてアッパーから離れる方向に動作可能な制御部分を含む。ここで、ケーブルロックは、制御部分から遠隔に配置されてよい。別の例において、第1のプーリ及び第2のプーリは、締め付け方向において第1の距離だけケーブルの移動に対応する増分フィードバックを提供するように構成される。
【0042】
幾つかの実施態様において、第1のプーリ及び第2のプーリの少なくとも一方は、第1のプーリ及び第2のプーリの少なくとも一方の回転軸から延びる複数の突起を含み、突起は、複数の突起の隣接する突起間に配置される開口を画定する。ここで、第1のプーリ及び第2のプーリのうちの少なくとも1つは、第1のプーリ及び第2のプーリの少なくとも一方の外周の周りに延在する溝を画定してよく、溝は、その中にケーブルを収容するように動作可能である。任意的に、履物物品は、ケーブルが締め付け方向に移動させられるときに複数の突起に断続的に係合するように動作可能な第1の端を有するプロングを含んでよい。ここで、プロングは、ハウジングに取り付けられる第2の端を含んでよく、第1の端は、ケーブルが締め付け方向に移動させられたときに、第2の端に対して移動する。プロングは、ハウジングと一体的に形成されてよい。幾つかの例において、第1のプーリ及び第2のプーリは、ケーブルがハウジング内でハウジングに対して締め付け方向に並進させられるときに可聴フィードバック及び触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを提供するように動作可能である。
【0043】
本開示の別の態様は、ケーブルのためのケーブルロックを提供する。ケーブルロックは、ハウジングを含み、ハウジングは、第1の端と、第1の端とは反対のハウジングの端に配置された第2の端とを有する。ケーブルロックは、ハウジングによって回転可能に支持され、第1の端及び第2の端の一方に近接して配置される、第1のプーリも含む。第1のプーリは、第1のプーリの外周部分に沿ってハウジングを通じるケーブルの移動に応答して自由に回転するように動作可能である。ケーブルロックは、ハウジングによって回転可能に支持され、第1の端及び第2の端の一方に近接して配置される、第2のプーリを含む。第2のプーリは、第2のプーリの外周部分に沿ってハウジングを通じるケーブルの移動に応答して自由に回転するように動作可能である。ケーブルロックは、ハウジング内にスライド可能に配置され、ハウジングに対して第1の方向におけるケーブルの移動を制限するよう動作可能なロック状態と、ハウジングに対して第1の方向におけるケーブルの移動を許容するよう動作可能なロック解除状態との間で移動可能である、ロック部材も含む。ロック部材は、第1のプーリ及び第2のプーリよりもハウジングの第1の端及び第2の端の他方に近接して配置される。
【0044】
本開示の実装は、以下の構成の1つ以上を含んでよい。幾つかの構成において、第1のプーリ及び第2のプーリは、それぞれ、第1のプーリ及び第2のプーリの回転軸から延びる複数の突起を含み、突起は、複数の突起の隣接する突起間に配置された開口を画定する。ここで、第1のプーリは、第1のプーリの外周の周りに延在する第1の溝を画定してよく、第2のプーリは、第2のプーリの外周の周りに延在する第2の溝を画定してよく、第1の溝及び第2の溝は、ケーブルをその中に収容するよう動作可能である。任意的に、第1の溝は、第1のプーリの第1の側面及び対向する第2の側面の各々にある対応する突起の間に画定されてよく、第2の溝は、第2のプーリの第1の側面及び対向する第2の側面の各々にある対応する突起の間に画定されてよい。この構成において、ケーブルロックは、ハウジングに連結され、第1のプーリが回転するときに複数の突起に断続的に係合するよう動作可能な第1の端を有する、第1のプロングと、ハウジングに連結され、第2のプーリが回転するときに複数の突起に断続的に係合するよう動作可能な第1の端を有する、第2のプロングとを含んでもよい。第1のプロング及び第2のプロングは、それぞれ、ハウジングに取り付けられる第2の端を含んでよく、第1の端は、第1のプーリ及び第2のプーリが回転するときに、第2の端に対して弾性的に偏向する。第1のプロング及び第2のプロングは、ハウジングと一体的に形成されてよい。追加的に又は代替的に、第1のプロング及び第2のプロングは、それぞれ、第2の端と第1の端との間に延びる第1の長さを有してよく、第1のプロング及び第2のプロングは、第1の長さの一部に沿って平坦化されてよい。
【0045】
幾つかの例において、第1のプーリ及び第2のプーリの一方又は両方は、ケーブルがハウジング内でハウジングに対して並進させられることに応答して回転させられるときに可聴フィードバック及び触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを提供するよう動作可能であり、第2のプーリは、第1のプーリとは異なるケーブルの部分又は異なるケーブルと係合する。ケーブルロックは、第1のプーリと第2のプーリとの間に延在する付勢バネを含み、付勢バネの第1の端がハウジングに連結され、付勢バネの第2の端がロック部材に連結される。
【0046】
幾つかの実装において、ハウジングは細長く、長手方向の中線を有し、第1のプーリは、第2のプーリに対してハウジングの長手方向の中線の反対側に配置される。任意的に、ハウジングは、第1の平面的な外面と対向する第2の平面的な外面とを有してよく、第1の平面的な外面と第2の平面的な外面との間の最大厚さは、0.6cm~1.2cmの範囲内である。追加的に又は代替的に、ハウジングは、左右対称であってよい。
【0047】
幾つかの構成において、ハウジングは、丸みを帯びた長方形として成形される。ここで、ケーブルロックは、ハウジングの各々のそれぞれの隅に配置される孔を含んでもよい。ケーブルの一部分が、ハウジングの各々のそれぞれの隅に配置される各孔を通じて延びてよい。追加的に又は代替的に、ハウジングは、剛的であってよい。他の構成において、ハウジングは、ハウジングの周縁に隣接して配置され、締結具の挿入を受け入れるように構成される、1つ以上の孔を含む。ここで、締結具は、糸、フィラメント、ストラップ、リベット、ボルト、ネジ、フック、及びロッドからなる群から選択される1つ以上であってよい。
【0048】
幾つかの例において、ケーブルは、第1のプーリの一部分の周りに延び、ハウジングの第1の孔を通じて延びるにつれて、方向を変え、第2のプーリの一部分の周りに延び、ハウジングの第2の孔を通じて延びるにつれて、方向を変え、方向の変化は、35度よりも大きく、120度よりも小さい。ケーブルロックは、ハウジングの内面から延びる第1のシャフトと、ハウジングの内面から延びる第2のシャフトとを含んでよく、第1のプーリは、第1のシャフトの周りに取り付けられ、第1のシャフトの周りで回転可能であり、第2のプーリは、第2のシャフトの周りに取り付けられ、第2のシャフトの周りで回転可能である。
【0049】
幾つかの実装において、ケーブルは、張力の下にあるときに、ハウジングの第1の孔を通じて第1のプーリの外周部分に対して接線方向に第1のプーリから延び、ハウジング内の第2の孔を通じて第2のプーリの外周部分に対して接線方向に第2のプーリから延びる。他の実装において、ロック部材は、互いに向かって収束する第1のロック面及び第2のロック面を含み、第1のロック面は、ロック状態においてハウジングの第1の係合面と第1のロック面との間でケーブルの第1の部分を狭窄(ピンチ)するよう動作可能であり、第2のロック面は、ハウジングに対する第1の方向へのケーブルの移動を制限するために、ロック状態においてハウジングの第2の係合面と第2のロック面との間でケーブルの第2の部分を狭窄(ピンチ)するよう動作可能である。
【0050】
本開示の1つ以上の実装の詳細は、添付の図面及び以下の記述に記載される。他の態様、構成、及び利点は、本記述及び図面から並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【0051】
図1図18を参照すると、幾つかの実装において、履物物品10(article of footwear)は、アッパー100(upper)と、アッパー100に取り付けられたソール構造200(sole structure)とを含む。履物物品10は、更に、ロックデバイス又はケーブルロック300と、アッパー100及びソール構造200のうちの少なくとも1つに一体化された締め付けシステム400とを含む。締め付けシステム400は、以下に詳述するように、履物物品10を締め付けられた状態と緩められた状態との間で移動させるようロックデバイス300と協働するケーブル402を含む。
【0052】
以下により詳細に記載するように、ケーブル402は、履物物品10を締め付けられた状態に移動させるよう締め付け方向Dにおいて移動可能であり、履物物品10を緩められた状態に移動させるよう緩み方向Dにおいて移動可能である。幾つかの実装において、アッパー100及びソール構造200は、ロックデバイス300を通じてケーブル402の一部分を経路指定する(routing)ための通路及びガイドを提供するように協働する。ロックデバイス300は、締め付け状態においてケーブル402を選択的に固定するように構成される。
【0053】
履物物品10は、1つ以上の領域に分割されてよい。領域は、前足領域12(forefoot region)、中足領域14(midfoot region)、及び踵領域16(heel region)を含んでよい。前足領域12は、足の中足骨を趾骨と接続する足指及び関節に対応してよい。中足領域14は、足の土踏まず領域に対応してよく、踵領域16は、踵骨を含む足の後方領域に対応してよい。履物10は、履物10の両側にそれぞれ対応し、領域12、14、16を通じて延在する、外側側面18(lateral side)及び内側側面20(medial side)を含んでよい。
【0054】
アッパー100は、ソール構造200で支持するために足を受け入れて固定するように構成された内部空隙102を画定する内部表面を含む。踵領域16の足首開口104が、内部空隙102へのアクセスを提供してよい。例えば、足首開口104は、足を受け入れて足を空隙102内で固定し、内部空隙102への足の進入及び内部空隙102からの足の除去を容易にすることがある。アッパー100は、外側側面18と内側側面20との間に延在し且つ内部空隙102を覆う、舌革部分106(tongue portion)を含んでよい。
【0055】
アッパー100は、内部空隙102を形成するために互いに縫合又は接着される1つ以上の材料から形成されてよい。アッパーの適当な材料は、織物、フォーム、皮革、及び合成皮革を含むが、これらに限定されない。例示的なアッパー100は、締め付けられた状態と緩められた状態との間のアッパー100の移動を容易にするために、アッパー100の異なる領域に配置される1つ以上の実質的に非弾性又は非伸縮性の材料と1つ以上の実質的に弾性又は伸縮性の材料との組み合わせから形成されてよい。
【0056】
1つ以上の弾性材料は、非限定的に、スパンデックス(登録商標)、エラスタン(elastane)、ゴム又はネオプレンのような、1つ以上の弾性織物の任意の組み合わせを含んでよい。1つ以上の非弾性材料は、熱可塑性ポリウレタン、ナイロン、皮革、ビニル、又は弾性特性を付与しない別の材料/織物のうちの1つ以上のものの任意の組み合わせを含んでよい。例えば、アッパー100の外側側面18及び内側側面20の一方又は両方は、1つ以上の弾性材料から形成された弾性領域110と、1つ以上の非弾性材料から形成された非弾性領域112とを含んでよい。図示の例において、非弾性領域112は、弾性領域110を取り囲んでいる。例えば、非弾性領域112は、外側側面18及び内側側面20の一方又は両方で前足領域12から中足領域14に延びる弾性領域110の上縁及び下縁を結合する上方非弾性領域112a及び下方非弾性領域112bを含んでよい。
【0057】
幾つかの構成では、図2に示すように、甲領域114(instep region)が1つ以上の弾性材料から形成され、アッパー100に沿って舌革106から前足領域12を通じて外側側面18及び内側側面20のそれぞれの上方非弾性領域112aの間に延在する。従って、弾性の甲領域114は、アッパー100の外側側面18及び内側側面20を分離する。他の構成において、弾性の甲領域114は省略され、非弾性の外側及び内側のアッパー非弾性領域112aは協働して内部空隙102内の足の甲(instep)を覆う。幾つかの構成において、アッパー100全体は、1つ以上の弾性材料から形成され、1つ以上の非弾性材料は、局所的な非弾性領域を画定するために、所定の場所で弾性材料に取り付けられる(例えば、結合される或いは締め付けられる)。
【0058】
図2は、喉閉鎖部116(throat closure)を含むアッパー100を示す履物10の頂面図であり、喉閉鎖部116は、甲領域114に対応し、外側側面18及び内側側面20の弾性領域110の間に延在する。幾つかの例において、アッパー100の喉閉鎖部116は、1つ以上の非弾性材料から舌革部分106を一体的に形成する。よって、喉閉鎖部116は、内部空隙102の一部を画定することがあり、アッパー100が締め付けられた状態又は緩められた状態のいずれかにあるときに、足をその中に閉じ込めることがある。
【0059】
幾つかの実施態様において、ソール構造200は、層状構成に配置されたミッドソール210(中底)(midsole)と、アウトソール220(外底)(outsole)とを含む。例えば、アウトソール220は、履物10の使用中に地面と係合し、ミッドソール210は、アッパー100とアウトソール220との間に配置される。幾つかの例において、ソール構造200は、履物10の快適性を高めるために足の足底面を受け入れるようアッパー100の内部空隙102内に存在することがあるインソール(内底)(insole)又はソックライナ(中敷)(sockliner)のような追加的な層を含んでもよい。
【0060】
ミッドソール210は、底面212と、底面212とは反対のミッドソール210の側に配置された頂面又はフットベッド214(足床)(foot bed)とを含んでよい。幾つかの例では、ミッドソール210の側壁216が、下面212と上面214との間に延在する。縫合(stitching)又は接着剤が、ミッドソール210をアッパー100に固定することがある。加えて、ミッドソール210は、図3に示すように、アッパー100とミッドソール210との間に概ね配置されたストロベル218に取り付けられてよい。フットベッド214は、足の底面(例えば、足底)のプロファイルに適合するように輪郭付けられてよい。幾つかの例において、インソール又はソックライナは、アッパー100の内部空隙102の少なくとも一部分内の足の下でフットベッド上に配置されてよい。
【0061】
幾つかの例において、アウトソール220は、地面係合面222と、反対側の内面224とを含む。アウトソール220は、ミッドソール210を介してアッパー100に取り付けられてよい。アウトソール220は、一般的に、地面との摩耗抵抗及び牽引を提供し、耐久性及び耐摩耗性を付与し且つ地面との牽引を高める1つ以上の材料から形成されてよい。例えば、ゴムが、アウトソール220の少なくとも一部分を形成してよい。
【0062】
図1に示すように、ソール構造200は、ロックデバイス300をカプセル化するための空洞230と、ケーブル402を経路指定するためにミッドソール210を通じて形成された通路/チャネルとを含んでよい。図示の例において、空洞230は、ストロベル218に固定されたロックデバイス300が空洞230内に存在するように、ミッドソール210のフットベッド214及び底面212を通じて形成される。他の構成は、底面212を通じて延びないでフットベッド214内に形成される空洞230を含んでよい。幾つかの例において、ミッドソール210は、ストロベル218にもアウトソール220の内面224にも結合されないのに対し、ロックデバイス300は、ストロベル218の底面に付着/結合する。
【0063】
以下に更に詳細に記載するように、アッパー100及びソール構造200は、ロックデバイス300を履物物品10に一体化するための複数の構成及び要素を含んで、ロックデバイス300が履物物品10を締め付けられた状態と緩められた状態との間で移動することを可能にしてよい。
【0064】
図8及び図9に示すように、ロックデバイス300は、ハウジング304とカバー306とを有する筐体302と、筐体302内に配置され且つケーブル402と選択的に係合するように構成されたロック部材又はロック308と、筐体302内に配置された1つ以上の回転ケーブルガイド310とを含む。以下に詳細に記載するように、幾つかの例において、回転ケーブルガイド310は、ケーブル402及び筐体302と協働して、ケーブル402がロックデバイス300を通過するときに可聴フィードバック及び触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを提供する。ロックデバイス300は、係合された位置又はロックされた位置に向かってロック部材308を付勢するように構成された第1の付勢部材又はバネ312と、図5及び図6に関して以下に記載するように、ロック部材308を係合されていない位置又はロックされていない位置に保持するようハウジング304と協働するように構成された一対の第2の付勢部材又はバネ314とを更に含む。
【0065】
図9図13を引き続き参照すると、ハウジング304は、第1の端316と第2の端318との間に延びる長さを画定する。ハウジング304は、ベース部分320を含み、ベース部分320は、外面322と、外面322とは反対のベース部分320の側に形成されたケーブル受け入れ内面324とを有する。周壁326が、内面324から延び、ベース部分320及びカバー306と協働して、ケーブル402、ロック部材308、及びケーブルガイド310を受け入れるように構成された、筐体302の主空洞328を画定する。図示の例において、周壁326は、第1の端316及び第2の端318の各々に一対の端壁326aを含み、端壁326aの間に延在する対向する一対の側壁326bが、実質的に長方形のハウジングを画定する。他の例において、周壁326は、連続的であってよく、円形の筐体302の環状周壁を画定してよく、或いは、周壁326は、多数の切子面が作られて(multi-faceted)よく、多角形の筐体302を画定してよい。
【0066】
側壁326は、主空洞328と筐体302の外部との間の通信を提供するために、側壁を通じて形成された複数のケーブル開口330を含んでよい。図示の例において、開口330は、ケーブル402の第1の端を受け入れるための第1の端316に近接した第1の対の開口330aと、ケーブル402の第2の端を受け入れるための第2の端318に近接した第2の対の開口330bとを含む。図示した例の開口330a、330bは、筐体の隅を通じて形成されてるように示されているが、開口330a、330bは、端壁326a内に完全に形成されてよく、或いは側壁326b内に完全に形成されてよい。
【0067】
引き続きロックデバイス300を参照すると、ハウジング304は、ロックチャネルがハウジング304の第2の端318に向かってテーパ状になった楔形の構成と関連付けられるように、互いに向かって収束する対向する一対のロック面又は係合面334によって画定されるロックチャネル332を含む。従って、係合面334は、ロックチャネル332を画定するよう、互いに向かって集束し且つベース部分320の内面324とカバー306との間に延在する、ハウジング304の対応する側壁によって画定される。以下に詳細に記載するように、係合面334は、ロック部材308と協働して、ケーブル402を固定する。
【0068】
ハウジング304は、ケーブルガイド310によって受けられ、ケーブルガイドが同軸的に回転する心棒又はスピンドルとして作用するように構成された、1つ以上のシャフト336を更に含む。図13に示すように、ハウジング304は、ロックチャネル332と第2の開口330bの各々との間にそれぞれ配置された一対のシャフト336を含む。従って、シャフト336は、図10及び11に示すように、ケーブル402がロックチャネル332と第2の開口330bとの間を通るときに、ケーブルガイド310がケーブル402に係合するように、ハウジング304内に位置付けられる。しかしながら、シャフト336は、ケーブルガイド310がケーブル402の経路に沿って配置されるように、ハウジング304の他の領域に位置付けられてよい。
【0069】
引き続き図13を参照すると、シャフト336の各々は、ベース部分320の内面324から第1の距離だけ突出し且つ第1の直径を有するショルダ部分338を含んでよい。シャフト336は、ショルダ部分338の遠位端から第2の距離だけ延び且つ第2の直径を有するネック部分340を更に含む。ショルダ部分338とネック部分340との間の直径の差は、図12に示すように、ケーブルガイド310を回転可能に支持するための平面的な支承面341を画定する。ケーブルガイド310の1つを回転可能に受けるように構成された環状凹部342が、ベース部分320の内面324に形成され、シャフト336と同心である。従って、以下に議論するように、ケーブルガイド310は、ケーブル402がロックデバイス300を通過するときに、凹部342内でシャフト336の周りで回転するように構成される。
【0070】
図14に示すように、ハウジング304は、ハウジング304に固定された第1の端346と、以下により詳細に記載するように、ケーブルガイド310と断続的に係合して、所定の距離だけハウジング304を通じるケーブル402の移動に対応する増分的な可聴出力を生成するように構成された、自由吊り下げ遠位端348とを有する、一対のプロング344を含んでよい。図示の例において、各プロング344の第1の端346は、ベース部分320の内面324から延びるボスの側部に取り付けられる。他の例において、プロング344は、ハウジング304のベース部分320又は側壁326の1つに直接的に取り付けられてよい。別の例において、ハウジング304、304aは、図15に示すように、プロングなしで形成されてよい。
【0071】
各プロング344は、長手軸Aに沿って第1の端346からシャフト336のそれぞれ1つに向かう方向に延びる。幾つかの例において、各プロング344の長手軸Aは、シャフト336のそれぞれの1つのシャフトの中心軸ASと交差する。プロング344は、プロング344の遠位端348が干渉位置とクリアランス位置との間で動作可能となるように、長手軸Aに沿って弾性的に撓むように構成される。干渉位置において、プロング344の遠位端348は、ケーブルガイド310の外周の回転経路内に延在するのに対し、プロング344の遠位端348は、プロング344がクリアランス位置にあるときに、ケーブルガイド310の外周の外側に配置される。従って、ケーブル402がロックデバイス300を通じて引かれると、ケーブルガイド310は、シャフト336について回転させられて、プロング344の遠位端348に断続的に係合し、それによって、可聴フィードバック及び触覚フィードバックをユーザに提供させて、ケーブル402の移動を示す。従って、プーリ310とプロング344との協働は、ロックデバイス300のフィードバック機構349を画定することがある。上述のように、ハウジング304aは、図14に示すように、プロングなしで形成されてよい。ハウジング304aがプロングを備えずに形成されるとき、プーリ310は、ユーザにフィードバックを提供することなく、ハウジング内で自由に回転することがある。
【0072】
図10及び図13を参照すると、ハウジング304は、図13に示すように、ロック部材308と選択的に係合してロック部材308をロック解除位置に固定するように構成された一対の保持構成350を含む。ハウジング304に関連する保持構成350は、ハウジング304の両側に配置された第1の保持構成350及び第2の保持構成350を含んでよく、それによって、保持構成350は、第2の付勢部材314によってロック部材308に向かって内方に付勢される。図示の例において、保持構成350は、それぞれ、係合部材308がそれらの間を通るのを可能にするために、保持構成350が係合状態と係合解除状態との間で移動可能な一体ヒンジ(リビングヒンジ)(living hinges)として作用するように、ハウジング304と一体的に形成された可撓性タブ352を含む。従って、各タブ352は、長手軸ATに沿って固定された第1の端354から分離された遠位端356まで延在する。図示のように、各タブ352の遠位端356は、ロックチャネル332とハウジング304の第1の端316にある開口330aとの間のケーブル402の経路を部分的に画定してよい。従って、遠位端356は、ケーブル402がロックチャネル332と第1の開口330aのそれぞれの1つとの間を通る凸状の内側ガイド面358を含んでよい。
【0073】
保持構成350の各々は、タブ352の遠位端356からロックチャネル332内に横方向に延びる突起360を更に含む。突起360の幅は、突起360が、ハウジング304の第1の端316に面する保持面362と、保持面362とは反対の突起360の側に形成された付勢面364とを含むように、第1の端316から第2の端318への方向に沿ってテーパ状になってもよい。保持面362及び付勢面364の各々は、ハウジング304の長手軸AHに対して斜角に形成されてよい。しかしながら、長手軸AHに対する保持面362の角度は、保持面362が、第1の端316(すなわち、ロック解除状態)に向かうよりも第2の端318(すなわち、ロック状態)に向かうロック部材308の移動に対してより大きな抵抗を提供するよう構成されるように、付勢面364の角度よりも大きくてよい。図示の例において、突起360は、タブ352の遠位端356から離間し、遠位端356と協働して、ケーブル402をロックチャネル332から第1の開口330aのうちの1つに案内するためのトラック366又は通路を画定する。
【0074】
図9図11を引き続き参照すると、ロックデバイス300は、遠位端356を付勢し、その結果、保持構成350の突起360をロックチャネル332に向かって内方に付勢するように構成された、一対の第2の付勢部材314を含む。図示の例において、付勢部材314は、タブ352の遠位端356に連続的な付勢力Fを加える圧縮バネである。他の例において、付勢力Fは、張力バネ、コイルバネのような、他のタイプの付勢部材314によって、或いは、タブ352の第1の端354を弾性的な一体ヒンジとして形成することによって、加えられてよい。
【0075】
図10及び図11を参照すると、ロック部材308は、ハウジング304のロックチャネル332内にスライド可能に受け入れられるように構成される。上述のように、ロック部材308は、ケーブル402を選択的にロックするために、ロック状態とロック解除状態との間で動作可能である。ロック部材308は、第1の端368と、第2の端370と、第1の端368と第2の端370との間のロック部材の両側に形成された一対のロック面372とを含む。幾つかの例において、ロック面372は、ロック部材308がロックチャネル332内に配置されるときに、ロック面372がハウジング304の係合面334のそれぞれ1つに平行であるように、第1の端368から第2の端370への方向に沿って互いに集束する。図示の例において、ロック面372は、ロック部材308がロック状態にあるときにケーブル402を把持することによって、ケーブル402によるハウジング304の第2の端318に向かう移動を制限しながら、ケーブル402によるハウジング304の第1の端316に向かう移動を許容するように構成された、突起又は歯373を含む。
【0076】
ロック部材308の第1の端368は、そこから外方に延びるフレア状の突出部376を有するタブ部分374と、突出部376とロック面372との間に形成された一対の戻止め378とを含んでよい。一般的に、突出部376は、ロック部材308の第1の端368に面する付勢面380と、付勢面380とは反対方向に面する保持面382とを含む。保持面382は、戻止め378の一部分を画定する。突出部376の付勢面380は、ロック部材308がハウジング304の第1の端316に向かって移動させられるときに、突出部376が突起360の間を通るにつれて、突起360を互いに離間させて広げるよう、保持構成350の付勢面364とインターフェース接続するように構成される。突出部376の保持面382は、図13に示すように、ロック部材308をロック解除状態において固定するために、保持構成350の保持面362とインターフェース接続するように構成される。
【0077】
図9図11を引き続き参照すると、ロック部材308は、第2の端370に取り付けられた第1の付勢部材312と、第1の端368に取り付けられた解放コード384とを含む。図示のように、第1の付勢部材312は、ロック部材308の第2の端370に取り付けられた第1の端と、ハウジング304の第2の端318に取り付けられた第2の端とを有する、引張バネである。従って、第1の付勢部材312は、ロック部材308をロック状態に付勢するために、ロック部材308に連続的な係合力Fを適用するように構成される。逆に、解放コード384は、ロック部材308の第1の端368でタブ374に取り付けられ、選択的に適用される解放力Fをロック部材308の第1の端368に伝達するように構成される。以下で議論するように、解放力Fが係合力Fよりも大きいとき、ロック部材308は、ロック状態からロック解除状態に向かって移動する。
【0078】
図10は、ロック状態にある間にハウジング304のロックチャネル332内に配置されるロック部材308を示すために、カバー306が取り外された、ロックデバイス300の頂面図を提供する。幾つかの例において、ロック部材308は、第1の付勢部材312によってロック状態に付勢される。例えば、図10は、ロック部材308に係合力Fを加えて、ロック部材308の第2の端370をハウジング304の第2の端318に向かって付勢し、それによって、ロック部材308をロック状態に付勢する、第1の付勢部材312を示している。ロック状態にある間に、ロック部材308は、係合面334とロック面372との間でケーブル402のロック部分410a、410bをピンチする(挟んで締め付ける)ことによって、ハウジング304に対するケーブル402の移動を制限する。従って、ロック部材308のロック状態は、緩め力Fが緩みグリップ118に適用されるときに、ケーブル402が緩み方向Dに移動するのを制限する。図示の例において、ロック部材308は、締付力F(tightening force)がケーブル402に適用されるときに、ケーブル402の移動を許容する。何故ならば、この方向は、概ね楔形状のロック部材308の故に、ケーブル402に、固定部材308に対する力を適用させ、それによって、ロック部材308をロック解除状態に移動させるからである。ロック部材308は、ケーブル402に適用される力が、付勢部材312によってロック部材308に付与される力の故にひとたび解放されると、自動的にロック状態に戻る。
【0079】
図11は、ロック解除位置にある間にハウジング304のロックチャネル332内に配置されるロック部材308を示すためにカバー306が取り外された、ロックデバイス300の頂面図である。幾つかの例においてロック部材308のタブ374に取り付けられた解放コード384は、ロック部材308に解放力Fを適用して、ロック部材308を係合面334から離れるよう移動させる。ここで、解放力Fは、ロック面372と係合面334との間のケーブル402のロック部分410a、410bに対するピンチングが解放されるように、第1の付勢部材312の係合力FEに打ち勝って、ロック部材308がハウジング304に対して移動することを許容するのに十分である。幾つかの例において、係合力Fは、解放コード384によって加えられる解放力Fが除去されるときに、ロック部材308をロック位置に移行させて戻す。
【0080】
ロック解除状態にある間に、ロック部材308は、ケーブル402のロック部分410a、410bがそれぞれのロック面372と係合面334との間を自由に移動できるようにすることによって、ハウジング304に対するケーブル402の移動を許容する。ロック部材308のロック解除状態は、引張力F、F(pulling forces)が制御部分406(control portion)及び締付部分408(fastening portion)のそれぞれに加えられるときに、締付方向D(tightening direction)及び緩み方向D(loosening direction)の両方におけるケーブル402の移動を許容する。締付方向Dにおけるケーブル402の移動は、締付部分408の有効長を減少させて、アッパー100の弾性領域110を収縮させ、それによって、足の周囲の内部空隙102を閉じるためにアッパー100を締付状態に移動させる一方で、緩み方向Dにおけるケーブル402の移動は、締付部分408の有効長を増加させて、弾性領域110がそれらの平坦で緩められた状態に戻ることを可能にし、それによって、図5及び図6に示すように、足を内部空隙102から除去し得るように、締め付けられた状態から緩められた状態へのアッパー100の移行を容易にする。
【0081】
幾つかの例では、ロック部材308がハウジング304に対して係合面334から離れてハウジング304の第1の端316に向かって移動するように、解放コード384に加えられる解放力Fの十分な大きさ及び/又は持続時間が、解放コード384に、係合力Fの方向とは反対の方向においてロック部材308に対して解放力Fを加えさせる。ハウジング304の保持構成350のうちの少なくとも1つは、図13に示すように、解放力Fがロック部材308をハウジング304の係合面334から所定の距離だけ離れて移動させるときに、ロック部材308の戻止め378と係合してよい。ここで、ロック部材308の戻止め378とハウジング304の少なくとも1つの保持構成350との係合は、解放力FRがひとたび解放されると、ロック部材308をロック解除位置に維持する。第1の付勢部材312の係合力F及び一対の第2の付勢部材314によって保持構成350に加えられる力は、ロック部材308が所定の距離を移動して、解放力Fがもはや加えられなくなった後に、保持構成350の突起360をロックしてロック部材308の戻止め378と係合させる。
【0082】
幾つかのシナリオでは、第1の大きさに関連する解放力Fを解放コード384に加えて、保持構成350が係合しないように所定の距離より短い距離だけロック部材308を係合面334から離れる方向に移動させてよい。これらのシナリオでは、足の周囲の内部空隙102のフィットを調整するために、ケーブル402を(例えば、緩み力Fを緩みグリップ118に加えることによって)緩み方向Dに或いは(例えば、締付力Fを制御部分406に加えることによって)締付方向Dに移動させることが望ましいときに、第1の大きさに関連する解放力Fを維持することができる。足の周囲の内部空隙102の所望のフィットがひとたび達成されると、解放力Fを解放して、ロック部材308をロック位置に移行させて戻すことができるので、ケーブル402の移動が緩み方向Dにおいて制限され、所望のフィットが維持されることができる。ロック部材308がロック位置にあるときでさえも、ケーブル402を締付方向Dに移動させ得ることが留意されるべきである。よって、ひとたび緩め力Fが解放され、所望のフィットが達成されると、ロック部材308は、ハウジング304に対するケーブル402の位置をロックすることによって、所望のフィットを自動的に維持する。
【0083】
他のシナリオでは、第1の大きさよりも大きい第2の大きさに関連する解放力Fを解放コード384に適用して、係合面334から所定の距離だけロック部材308を移動させて、対応する保持構成350を戻止め378と係合させることができる。保持構成350の係合は、解放コード384が所定の距離だけ引っ張られるときに、ロック部材308が第2の付勢部材314によって付与される付勢力Fに対して保持構成350をより容易に動かすことを可能にするよう、ロック部材308に対向するテーパ付きの付勢面364を保持構成350の突起360に設けることによって容易にされる。これらのシナリオにおいて、対応する保持構成350と戻止め378との間の係合は、解放力Fが解放されるときに、ロック部材308をロック解除位置に維持する。
【0084】
ロック部材308は、締付力Fが制御部分406に適用されると、ロック位置に戻される。すなわち、締付力Fが制御部分406に適用されると、外側制御部分406a及び内側制御部分406bは、張力の下に置かれ、次に、それは、図10に示すように、外側制御部分406a及び内側制御部分406bが第1の開口330aを通過するときに、保持構成350のタブ352の遠位端356を介して第2の付勢部材314に力を加える。そうする際に、保持構成350の遠位端356は、第2の付勢部材314を圧縮し、そのようにして、保持構成350の突起360を互いに離れる方向に移動させ、ロック部材308の戻止め378をロック解除させ、それによって、第1の付勢部材312がロック部材308をロック位置に戻すことを可能にする。
【0085】
図9図12を参照すると、ケーブルガイド310は、ハウジング304のシャフト336に回転可能に連結されたプーリ310であることができる。図15に示すように、各プーリ310は、上面386と、プーリ310の厚さを画定する下面388と、プーリ310の厚さを通じて延在し且つハウジング304のシャフト336を回転可能に受け入れるように構成された孔390とを含む。孔390は、図12に示すように、シャフト336のネック部分340を回転可能に受ける内面と、シャフト336のショルダ部分338の支承面341によって支持される下面とを有する、内方に延びるフランジ391を含んでよい。プーリ310の外壁392が、上面386と下面388との間に延在し、プーリの小径を画定する。
【0086】
図15を参照すると、各プーリ310は、上方フランジ394aと、下方フランジ394bとを含む。上方フランジ394aは、上面386に隣接して、プーリ310の外壁392の周囲に均等に間隔を置いて配置された複数の上方突起396aによって集合的に形成される。上方突起396aは、それぞれ、プーリ310の外壁392の周囲に第1の長さL1で延在し、第1の距離D1だけ離間する。同様に、下方フランジ394bは、下面388に隣接して、プーリ310の外壁392の周囲に均等に間隔を置いて配置された複数の下方突起396bによって集合的に形成される。下方突起396bは、プーリの外壁392の周囲に第2の長さL2で延在し、第2の距離D2だけ離間する。
【0087】
図示の例において、上方突起396aの第1の長さL1は、下方突起396bの間の第2の距離D2と同じであり、下方突起396bの第2の長さL2は、上方突起396aの間の第1の距離D1と同じである。更に、上方突起396aの各々は、下方突起396bの隣接する突起の間に形成された空間と軸方向に整列させられる。従って、上方突起396a及び下方突起396bは、外壁392の周囲に交互に配置され、プーリ310の軸方向において重なり合わない。他の例では、突起396a、396bが軸方向において互いに重なり合うように、異なる長さ及び空間が使用されてよい。
【0088】
上方突起396a及び下方突起396bは、プーリ310の外壁392と協働して、その中にケーブル402の一部分を受け入れるように構成された溝398を画定する。上述のように、フランジ394a、394bが突起396a、396bによって画定されるとき、溝398は、突起396a、396bによって断続的に且つ交互に画定されてよい。従って、ケーブル402は、上方突起396a及び下方突起396bのうちの少なくとも1つによって溝398内に連続的に収容される。
【0089】
図12の断面図を参照すると、プーリ310の各々は、プロング344のうちの1つのプロングの遠位端348が下方突起396bの隣接する下方突起の間に形成された空間内に延在するように、ハウジング304の環状凹部342のそれぞれの1つの内に収容されるように構成される。従って、プロング344の遠位端348は、下方突起396bの回転経路と干渉する。プーリ310が回転すると、下方突起396bは、プロング344の遠位端348と断続的に係合する。この断続的な係合は、クリックノイズの形態の可聴フィードバック及び抵抗の断続的な増加の形態の触覚フィードバックの両方を提供する。従って、プーリ310及びプロング344の協働は、ロックデバイス300のフィードバック機構349を画定するものとして言及されることがある。
【0090】
図1及び図9を参照すると、締付システム400は、ケーブル402と、ケーブル402を経路指定し且つ履物物品10に沿ってケーブル402の張力を分配するためにアッパー100及びソール構造200上又は内に形成されたトラッキングシステム404とを含む。
【0091】
ケーブル402は、1つ以上のファイバから形成されてよい。例えば、ファイバは、ポリエチレンファイバを含んでよい。追加的に又は代替的に、ケーブル402は、成形モノフィラメントポリマ及び/又は他の潤滑コーティングを有する又は有さない織鋼から形成されてよい。幾つかの例において、ケーブル402は、一緒に織られた複数の材料ストランドを含む。
【0092】
図示の例において、ケーブル402は、第1の端316に近接して形成された第1の開口330aから延びる制御部分406と、第2の開口330bから延びる締付部分408と、制御部分406と締付部分408との間に延在する一対のロック部分410とを含む。
【0093】
制御部分406は、ケーブル402を締付方向Dに移動させるために、適用される締付力Fを有するように構成される。履物物品10に組み込まれるときに、制御部分406は、ケーブル402を締付方向Dに引っ張るためにユーザによって容易に把持され得るように、履物物品10上に配置されてよい。締付部分408は、締付力Fが制御部分406に適用されるときに履物物品10を締め付けるために、トラッキングシステム404(追跡システム)と協働するように構成される。逆に、締付部分408は、ケーブル402を緩み方向Dに移動させるために、適用される緩み力Fを有するように構成される。ロック部410aは、ハウジング304内に配置されており、(i)ケーブルが締付方向Dに引っ張られるときにプーリ310を回転させ、(ii)ロック部材308とインターフェース接続して制御部分406の位置を固定する、ように構成される。
【0094】
幾つかの例において、制御部分406及び締付部分408の各々は、外側部分406a、408a(lateral portion)及び内側部分406b、408b(medial portion)を含むと称されることがある。外側部分406a、408a及び内側部分406b、408bは、制御部分406及び締付部分408の各々が開口330a、330bの間に延びるケーブル402の連続的な有効長を画定するように、互いに接続されてよい。代替的に、制御部分406及び締付部分408のうちの少なくとも1つは、分離された外側部分406a、408a及び内側部分406b、408bを含んでよい。例えば、図3に示すように、締付部分408は、第1の開口330aの一方から外側末端409aまで延びる外側締付部分408aと、第1の開口330aの他方から内側末端409bまで延びる内側締付部分408bとを含んでよい。末端409a、409bは、履物10の前足領域12内のストロベル218の底面に沿って互いに動作的に接続してよい。外側制御部分406aは、外側ロック部分410aによって内側締付部分408aに接続され、内側制御部分406bは、内側ロック部分410bによって内側締付部分408bに接続される。
【0095】
ケーブル402の全長は一定であるが、ケーブル402の締付部分408及び制御部分406の有効長は、ロックデバイス300に対するケーブル402の位置に依存する。例えば、制御部分406が引っ張られ、ケーブル402がロックデバイス300を通じて締付方向Dに移動するとき、制御部分406の有効長は増大し、締付部分408の有効長は減少する。逆に、締付部分408が引っ張られ、ケーブル402がロックデバイス300を通じて緩み方向Dに移動するとき、締付部分408の有効長は増大して履物物品10を緩め、制御部分406の有効長は減少する。上述のように、ロック部分410は、ケーブル402の位置に関係なく、ロックデバイス300内に含まれるケーブル402の部分を指す。従って、有効長制御部分406、締付部分408、及びロック部分410は、ケーブル402自体の固定区画でないが、ロックデバイス300に対するケーブル402の位置に依存する。
【0096】
図示の例は、連続的に形成されたものとしてケーブル402を示しているが、他の例において、ケーブル402は、断片的であってよく、それによって、1つ以上のケーブルの端が互いに直接的又は間接的に取り付けられて、ケーブル402を形成する。例えば、ケーブル402は、外側制御部分406aと、外側締付部分408aと、外側ロック部分410aとを含む、第1のセグメントと、内側制御部分406bと、内側締付部分408bと、内側ロック部分410bとを含む、別個に形成された第2のセグメントとを含んでよい。この例においてセグメントの各セグメントの制御部分406a、406bの端は、互いに直接的に又は中間構成要素によって取り付けられて、ループを形成する。上述のように、締付部分408a、408bの端は、互いに取り付けられてよく、或いはアッパー100に取り付けられてよい。
【0097】
制御部分406は、ケーブル402が締め付けられた位置から緩められた位置に移動させられるときに、制御部分406をアッパー100に対して所定の位置に維持するように構成された1つ以上のアキュムレータ411を含んでよい。例えば、締付力Fが制御部分406に適用されるとき、制御部分406の有効長は、ケーブル402が締付方向Dに移動するにつれて増大することがある。制御部分406が余分な弛みを有すること及びアッパー100から弛むことを防止するために、アキュムレータ411は、制御部分406がアッパー100に対して張り続けるよう、制御部分406の追加の有効長を縮める(take up)。図示の例において、アキュムレータ411は、ケーブル402の断面よりも大きな断面を有するチューブ又は導管であってよい。1つの構成において、アキュムレータ411は、アキュムレータ411に加えられる力が解放されるときに、ケーブル402がアッパー100から離れて締付方向Dに移動させられ、アッパー100に隣接する位置に自動的に戻ることを可能にするよう、弾性材料から形成されてよい。ひとたび力が解放され、ケーブル402が締付方向Dに移動されると、図1及び図3に示すように、ケーブル402の余分な弛みは、アキュムレータ411内に収容される。
【0098】
締付システム400は、履物物品10に沿ってケーブル402の張力を分散させるよう、アッパー100及びソール構造200に一体化された複数のケーブルガイド412及び導管414を含むトラッキングシステム404を更に含む。
【0099】
幾つかの例では、アッパー100の外側側面18と内側側面20のうちの少なくとも1つは、弾性領域110の両側に沿って延びる一連の係合構成又はケーブルガイド412を含む。図2Aの断面図に示すように、ケーブルガイド412は、それぞれ、ベース416と、ベース416から延びるフランジ418とを含んでよい。ベース416は、ベース416がアッパー100から延びるように、アッパー100に取り付けられてよい。フランジ418は、ベース416と一体的に形成されてよく、弧状経路に沿って延在する凹状の内面420を含んでよい。図示の例において、ケーブルガイド412は、内面420の弧状経路が凸状になるように方向付けられている。ケーブルガイド412、よって、内面420は、例えば、ナイロンのような、低摩擦材料から形成されてよい。更に、ベース416及びフランジ418は、非弾性領域112に対するケーブルガイド412の動きを制限して、ケーブルガイド412がアッパー100に対して所望の位置に留まることを可能にし、それによって、内面420がアッパー100に対してケーブル402を十分に案内することを可能にするよう、比較的剛性の材料から形成されてよい。最後に、フランジ418は、内面420に実質的に平行であり且つ凹状の形状を含む外面422を含んでよい。他の例において、外面422は、平面的であってよく、或いは凸状の形状を有してよい。
【0100】
図示の例において、内面420及び外面422は協働して、図2の領域2A及び領域2Bに示すように、内面420がケーブル402の締付部分408を受け入れて案内するのに役立つ実質的なC形状を含むように、全体的に湾曲したプロファイルをケーブルガイド412に提供する。1つの構成において、外側及び内側締付部分408a、408bは、ケーブルガイド412に入り、内面420に沿って延び、内面420に接してケーブルガイド412から出る。ケーブルガイド412は、開口しており且つC形状を有するものとして図示及び記載されているが、ケーブルガイド412の1つ以上は、内面が、図4の履物物品10、10aの例に示すように、湾曲した管組織(tubing)の内面によって画定されるように、湾曲した管組織から形成されることができる。そのような構成において、管組織は、フランジ418と同じ又は類似の半径で形成することができる。
【0101】
上述のように、ケーブルガイド412の管組織は、実質的に剛性の材料から形成されてよく、ケーブル402が締付方向Dと緩み方向Dとの間を移動するときに、締付部分408a、408bをスライド可能に受ける内面420を画定してよい。更に、チューブは完全に閉鎖されなくてよく、それによって、ケーブルガイド412は、締付部分408a、408bがケーブルガイド412と接触する場所で、壁のみを含む。例えば、ケーブルガイド412のフランジ418は、弾性領域110から見て外方を向く方向に開放されてよく、弾性領域110に対向する側(すなわち、ケーブル402と接触する側)で閉鎖されてよい。
【0102】
幾つかの例において、ケーブルガイド412の内面(ケーブル接触面)420は、内部のケーブル402の移動を容易にする、潤滑性ポリマ(例えば、高密度ポリエチレン、テフロン(登録商標)のようなフロオロポリマ、ポリテトラフルオロエチレンベース及び/又はペルフルオロアルコキシベースのポリマ、フッ素化エチレンプロピレンなど)のような、低摩擦材料で裏打ち又は被覆される。ケーブルガイドの部分を低摩擦材料で被覆することによって、各レースパターン(lacing pattern)によって得られる巻数(number of turns)を増加させることができる。例えば、ケーブルガイド412は、締付方向Dにおけるケーブル402による移動を不利に阻害する摩擦を伴わずに、外側側面18及び内側側面20の各々にケーブル402の5つの巻き(ターン)を提供する。他の例において、ケーブルガイド412は、締付部分408a、408bを受け入れるために、アッパー100の非弾性領域112a、112bを通じて形成された孔(例えば、アイレット)、又はアッパー100の非弾性領域112a、112bに取り付けられた織物もしくはメッシュループを含む。織物又はメッシュのループ/ウェビングは、低摩擦材料で裏打ちされたケーブルガイドと比較して、ケーブル402が締付方向Dに移動するときに、ケーブル402でより大きな摩擦を生成するこいとがある。従って、ケーブルガイド412としての使用のための織物又はメッシュループの最大数は、摩擦が締付方向Dにおけるケーブル402による移動を有害に阻害しないように、ケーブル402の閾値巻数を超えないように制限されてよい。
【0103】
引き続き図1及び図2を参照すると、外側締付部分408a及び内側締付部分408bは、アッパー100の喉閉鎖部116に沿って配置されたケーブルガイド412の対応するものを通じて進む(route)。ケーブルガイドを通じて進んだ後に、外側締付部分408a及び内側締付部分408bの末端409a、409bは、図3に示すように、前足領域12に近接した場所でストロベル218の底面に沿って互いに動作的に接続してよい。例えば、コネクタ424が、末端409a、409bを互いに接続してよく、或いは、末端409a、409bは、互いに結び付けられてよく、互いに接着的に結合されてよく、或いは融着されてよい。他の構成において、締付部分408の末端409a、409bは、喉閉鎖部116の遠位端に近接する別個の場所でアッパー100に固定される。
【0104】
図1及び図2を参照すると、アッパー100の外側側面18及び内側側面20の各々は、上方非弾性領域112a上に配置された一組の上方ケーブルガイド412aと、一組の上方ケーブルガイド412aに対向し且つ下方非弾性領域112b上に配置された一組の下方ケーブルガイド412bとを含む。従って、弾性領域110は、上方ケーブルガイド412aと下方ケーブルガイド412bとの間に配置される。図1の例は、各々が、弾性領域110を横切って締付部分408a、408bの末端409a、409bのそれぞれ1つを受け入れるための対応する入口と、弾性領域110を横切って戻って末端409a、409bを方向付けるための対応する出口とを有する、チューブの個々の区画を含む、上方ケーブルガイド412a及び下方ケーブルガイド412bを示している。幾つかの例において、各ケーブルガイド412は、連続的な湾曲を通じて実質的に90度(90°)で曲げられた管組織の区画と関連付けられ、上方及び下方の非弾性領域112a、112bに取り付けられている。例えば、ケーブルガイド412と関連付けられた管組織は、非弾性領域112に、或いは非弾性領域112に取り付けられた中間材料に、縫合又は接着されてよい。この例は、3つの上方ケーブルガイド412a及び2つの下方ケーブルガイド412bを含む、外側側面18及び内側側面20の各々にあるケーブルガイド412を示しているが、他の構成は、より多く又はより少ない数のケーブルガイド412a、412bを含む各セットを含んでよい。幾つかの例において、下方ケーブルガイド412bは、上方ケーブルガイド412aよりも多い数のケーブルガイド412を含む。更に別の例において、上方及び下方ケーブルガイド412a、412bは、それぞれ、同じ数のケーブルガイド412を含む。
【0105】
上方及び下方ケーブルガイド412a、412bの数は、ケーブル402が締付方向Dに移動するときの摩擦を低減するために最適化されてよい。その上、アッパーへの上方及び下方ケーブルガイド412a、412bの配置は、上方及び下方ケーブルガイド412a、412bの各々の対応する対の間に延在するケーブル402の各区画が、ケーブルが締付方向及び緩み方向D、Dに移動するときの摩擦を低減するために実質的に真っ直ぐであるように、選択されてよい。幾つかの実施態様では、アッパー100が締付状態に移動するときに等しい締付分布を提供するために、外側側面18にある上方ケーブルガイド412aの数は、内側側面20にある上方ケーブルガイド412aの数と等しく、外側側面18にある下方ケーブルガイド412bの数は、内側側面20にある下方ケーブルガイド412bの数と等しい。
【0106】
幾つかの実施態様では、1つ以上の経路指定チューブ426が、制御部分406及び締付部分408を履物10に沿って履物10を通じて経路指定するために、ケーブル402の部分を受け入れるように構成される。経路指定チューブ426の各々は、ケーブル402の受け入れ部分の外径よりも大きい内径を含んでよい。幾つかの例において、経路指定チューブ426は、ケーブル402が締付方向D及び緩み方向Dに移動させられるときに、アッパー100に対する制御部分406及び締付部分408の移動を容易にする。
【0107】
図1及び図2を参照すると、第1の経路指定チューブ426aが、ロックデバイス300から延びる外側締付部分408aの一部分を受け入れて、経路指定してよく、第2の経路指定チューブ426bが、内側締付部分408bの一部分を受け入れて、ミッドソール210及びアッパー100を通じて経路指定してよい。同様に、第3の経路指定チューブ426cが、外側制御部分406aを受け入れて、経路指定してよく、第4の経路指定チューブ426dが、内側制御部分406bを受け入れて、アッパー100に沿ってミッドソール210を通じて経路指定してよい。その上、第5の経路指定チューブ426eが、解放コード384の一部分を受け入れて、ミッドソール210及びアッパー100を通じて経路指定してよい。これらの例は、アッパー100を通じて形成される通路を通じてミッドソール210の中足領域14からアッパー100の喉閉鎖部116又は踵領域16にあるアッパー100の足首開口104に向かって延びるチューブ426を全て示すが、チューブ426のうちの1つ以上は、アッパー100の外面に配置されてよく、或いは内部空隙102内のアッパー100の内面に配置されてよい。
【0108】
図7に示すように、締付システム400は、ソール構造200に形成された複数の通路428を含む。通路428は、中足領域14に配置されたロックデバイス300から延びるケーブル402及び解放コード384の端を受け取って経路指定するように構成される。ここでは、第1の通路428aが、ロックデバイス300と第1の経路指定チューブ426aとの間に延在する外側締付セグメント408aの端を受け入れてよく、第2の通路428bが、ロックデバイス300と第2の経路指定チューブ426bとの間に延在する内側締付部分408bの端部を受け入れてよい。幾つかの実装において、第1の通路428a及び対応する第1の経路指定チューブ426aは、それぞれ、ロックデバイス300からミッドソール210の外側側面18に向かって曲げ区画まで延びる第1の部分と、曲げ区画から踵領域16にある足首開口104に向かって延びる第2の部分とを含む。経路指定チューブ426aの第2の部分は、ミッドソール210の通路428aから出て、アッパー100の外側側面18の一部分に沿って延びてよい。同様に、第2の通路428b及び対応する第2の経路指定チューブ426bは、それぞれ、ロックデバイス300からミッドソール210の内側側面20に向かって曲げ区画まで延びる第1の部分と、曲げ区画から踵領域16にある足首開口104に向かって延びる第2の部分とを含んでよい。経路指定チューブ426bの第2の部分は、ミッドソール210の通路428bから出て、アッパー100の内側側面20の一部分に沿って延びてよい。従って、図1図3を参照すると、アッパー100は、喉閉鎖部116の外側側面及び内側側面18、20に沿って配置された対応する外側及び内側ケーブルガイド412を通じて進む前に、アッパー100の外側側面及び内側側面18、20の対応するものに沿って外側締付部分408a及び内側締付部分408bを方向付けるために、ケーブル402の締付部分408のための追加的な経路指定構成を含む。
【0109】
図1図3を参照すると、第3及び第4の通路428c、428dが、ロックデバイス300から延びる外側制御部分406a及び内側制御部分406bの端を受け入れて経路指定するように構成される。ここで、第3の通路428cは、内部に封入された外側横方向制御部分406aを有する第3の経路チューブ426cの一部分を受け入れてよく、第4の経路428dは、内部に封入されたケーブル402の内側制御部分406bを有する第4の経路チューブ426dの一部分を受け入れてよい。幾つかの実装において、第3の通路428c及び対応する第3の経路指定チューブ426cは、それぞれ、ロックデバイス300からミッドソール210の外側側面18に向かって曲げ区画に延びる第1の部分と、曲げ区画から喉閉鎖部116及び足首開口104が交差する場所に近接する場所に向かって延びる第2の部分とを含む。第3の経路指定チューブ426cの第2の部分は、ミッドソール210の第3の通路428cから出て、アウトソール220から離れる方向にアッパー100の外側側面18に沿って延びてよい。同様に、第4の通路428d及び対応する第4の経路指定チューブ426dは、それぞれ、ロックデバイス300からミッドソール210の内側側面20に向かって曲げ区画に延びる第1の部分と、曲げ区画から喉閉鎖部116及び足首開口104が交差する場所に近い場所に向かって延びる第2の部分とを含んでよい。第4の経路指定チューブ426dの第2の部分は、ミッドソール210の第4の通路428dから出て、アウトソール220から離れる方向にアッパー100の内側側面20に沿って延びてよい。
【0110】
図3及び図7を引き続き参照すると、解放通路428eが、ロックデバイス300の第1の端316から延びる解放コード384の部分を受け取って経路指定するように構成される。ここで、解放通路428eは、内部に封入される解放コード384の一部分が有する経路指定チューブ426eの部分を受け入れてよい。幾つかの実装において、解放通路428eは、ロックデバイス300からミッドソール210の踵領域16に向かって第1の曲げ区画に延びる第1の部分と、第1の曲げ区画からミッドソール210の内側側面20に向かって第2の曲げ区画に延びる第2の部分と、第2の曲げ区画から喉閉鎖部116及び足首開口104が交差する場所に近接する場所に向かって延びる第3の部分とを含む。第5の経路指定チューブ426eの第3の部分は、ミッドソール210の解放通路428eから出て、アッパー100を通じて形成された対応する通路に入ってよく、対応する通路は、図2及び図3の矢印によって示すように、ユーザがロックデバイス300をロック解除状態に移行させる解放力Fを適用することを可能にする解放グリップ430を提供するために、通路から出て第2の端でアッパー100に取り付く前に、アッパー100の内側側面20に沿って延びる。
【0111】
ミッドソール210に形成された対応する通路428を通じて延びる経路指定チューブ426の部分は、1つ以上の位置にあるストロベル218の表面及び/又はミッドソール210の対向する表面に取り付けられてよい。経路指定チューブ426は、実質的に剛性の材料から形成されてよく、締付方向及び緩み方向D、Dにおけるケーブル402の移動を容易にするように構成された内壁を画定してよい。幾つかの例において、経路指定チューブ426は、そこを通じるケーブル402の移動を容易にする潤滑性ポリマ(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)のような、低摩擦材料で裏打ち又は被覆される。
【0112】
上述のように、ケーブル402の制御部分406は、ロックデバイス300の第1の端316から延びる連続的なループである。図1図3に示すように、制御部分406は、足首開口104及び喉閉鎖部116が接する場所に近接して(すなわち、着用者の足の甲より上の領域に近接して)舌革部分106の周囲に延在する。舌革部分106の周囲に延在する制御部分406の部分は、シース432内に封入されてよい。シース432は、制御部分406のバンチング(集群)(bunching)を収容するために、ケーブル402の外径よりも大きな断面積を有する内部空洞又は空間を含んでよい。
【0113】
シース432は、更に、制御部分406が締付力Fによってアッパー100から離れる方向に移動させられるときに(すなわち、ケーブル402が締付方向DTに移動させられるときに)、シース432が緩められた状態から伸張させられた状態又は拡張された状態に移動することを可能にする材料及び/又は織物から形成されてよい。締付力Fが除去されるときに、シース432の材料及び/又は織物は、シース432を自動的に緩められた状態に収縮させ、その内部に制御部分406によるバンチングを収容する。
【0114】
図示の例では、別個の制御部分グリップ434が、舌革部分106に近接した取付場所でシース432に動作的に接続し、ユーザが締付力FTを適用して、アッパー100から離れる方向に制御部分406を引き、それによって、上方及び下方非弾性領域112a、112bを互いに向かって同時に引っ張ることによって弾性領域110を収縮させ、アッパー100を締め付けられた状態に移動させることを可能にする。他の構成は、制御部分グリップ434を制御部分406の長さに沿ってシース432の他の部分に作動的に接続することを含んでよい。幾つかの実装において、制御部分グリップ434は省略され、シース432は、ユーザが把持して締付力FTを適用して、制御部分406をアッパー100から離れる方向に引くことを可能にすることによって、制御部分406に対応する。
【0115】
図1及び図2を参照すると、締付システム400は、ソール構造200とケーブルガイド412との間でケーブル402を経路指定するために、アッパー100の外面に配置された複数の導管414を含んでよい。例えば、外側締付部分408aは、中足領域14にあるロックデバイス300からアッパー100の外側側面18に沿って踵領域16に近接して配置された第1の導管414aに延びている。第2の導管414bは、外側締付部分408aのためのアンカポイントとしての役割を果たして、外側締付部分408aを、アッパー100の外側側面18に沿って、足首開口104に近接する方向において、足首開口104及び喉閉鎖部116が接する場所に近接して配置されたケーブルガイド412に延ばす。次に、外側締付部分408aは、最後方の上方ケーブルガイド412aを通じて、弾性領域110を横切って、最後方の下方ケーブルガイド412bを通じて送られる。外側締付部分408aは、弾性領域110を横切ってジグザグ動作を続けて、図3に示すように、最終的に末端409a、409bで内側締付部分408bに動作的に接続される前に、上方及び下方ケーブルガイド412a、412bを通じて順次式に送られる。図2に示すように、内側締付部分408bは、履物物品10の内側側面20に沿って実質的に類似の方法で経路指定される。
【0116】
図5及び図6を参照すると、幾つかの実装において、外側締付部分408aと関連付けられるレースパターン及び内側締付部分408bと関連付けられるレースパターンは、外側側面18上の上方非弾性領域112aと下方非弾性領域112bとの間の全閉鎖が内側側面20の上方非弾性領域112aと下方非弾性領域112bとの間の全閉鎖距離に略等しいように、選択される。図5は、弛んだ状態又は緩められた状態におけるアッパー100を示している一方で、図6は、締め付けられた状態におけるアッパー100を示しており、それによって、締付部分408が締付方向Dに移動するときに、上方非弾性領域112aと下方非弾性領域112bとの間の距離は低減される。
【0117】
幾つかの実装では、外側締付部分408aの巻取距離(take-up)は、ケーブル402が締付方向DTに移動するときの内側締付部分408bの巻取距離に実質的に等しい。従って、側方締付部分408aの巻取距離は、外側側面18の弾性領域110の幅の減少に略等しい一方で、内側締付部分408bの巻取距離は、内側側面20の弾性領域110の幅の減少に略等しい。よって、ケーブル402の外側及び内側締付部分408a、408bと関連付けられるレースパターンは、ロックデバイス300が、アッパー100を、図5の弾性領域110の第1の幅W1によって示されるような弛んだ状態から、図6の弾性領域110の縮小された幅W2によって示されるような締め付けられた状態に移行させるときに、弾性領域110を収縮させることによって、喉閉鎖部116に亘る張力を均一に分配させることがある。
【0118】
その上、図2及び図3を引き続き参照すると、アッパー100は、ケーブル402が両方向D、Dに移動するのを許容するために、ロックデバイス300をロック状態からロック解除状態に移行させる解放コード384の部分を案内するための内側側面20に沿った通路を画定してよい。例えば、解放コード384は、ロックデバイス300をロック解除状態に移行させるために引っ張られてよく、ユーザがロックデバイス300をロック状態からロック解除状態に移動させるために解放コード384を把持して引っ張ることを可能にするよう、ロックデバイス300に取り付けられた第1の端からアッパー100から露出させられた第2の端まで延びてよい。幾つかの例では、ロックデバイス300をロック解除状態に移動させること及び/又はロックデバイス300をロック解除状態から解放することが望ましいときに、ユーザが解放コード384を把持して引っ張ることを可能にするために、解放コード384の第2の端は、ループ及び/又は把持構成430を備えてよい。例示的な履物100は、ユーザが解放力F図3)をシース440及び/又は解放コード384に適用して、解放コード384をアッパー100から離れる方向に移動させることによって、ロックデバイス300をロック解除状態に移動させることを可能にする緩みグリップ430に対応するシース440に取り付けられ且つその中に封入された解放コード384の第2の端を示している。シース440は、ミッドソール210から延びて第2の端で解放コード384を動作可能に接続する解放コード384の部分を案内し且つ封入するためのスリーブ又は通路を画定するために、アッパー100の外面に取り付けられた織物材料を含んでよい。シース440によって画定されるスリーブ又は通路は、制御部分406のアキュムレータ411に関して上述したバンチングと同様に、解放力Fが適用された後に、解放コード384によるバンチングを収容してよい。他の例において、解放コード384の第2の端は、舌革部分106、アッパー100の外側側面18、又はアッパー100の踵領域16の近くのような、履物10の他の領域に近接して配置されることができる。
【0119】
図4は、アッパー100、100aの内側側面20に沿って通路から延びる解放コード384と、制御部分406及び解放コード384が同じケーブル/コードに対応する外観を提供するためにアッパー100aによって画定された対応する通路内に延びる制御部分406とを示す、履物10、10aの代替的な構成の斜視図である。ここで、舌革部分106の周囲に延在する制御部分406の露出部分は、解放コード384の露出部分と実質的に整列させられている。制御部分は、シース432内に封入されてよく、任意的に、ユーザが締付力FTを適用することを可能にするためんの制御部分406を含んでよく、解放コード384は、シース440内に封入されてよく、ユーザがロックデバイス300をロック状態からロック解除状態に移動させるために解放力Fを適用することを可能にする解放グリップ430を提供するようアッパー100aに取り付けられた第2の端を有してよい。シース432、440は、実質的に等しい厚さ及び実質的に等しい幅を画定してよい。よって、解放グリップ430を形成することに加えて、解放コード384の第2の端を内側側面20に沿う取付場所でアッパー100に取り付けることは、解放コード384及び制御部分406が互いに独立して移動するという事実にもかかわらず、2つのシース432、440が両方とも同じケーブル/コードの露出部分を経路指定しているという認識を与える。代替的な構成には示されていないが、解放コード384の第1の端は、ロックデバイス300に取り付けられる。
【0120】
図10及び図11に関して上述したように、ロックデバイス300は、緩み方向Dにおけるケーブル402の移動を制限するロック状態と、緩み方向D及び締付方向Dの両方におけるケーブル402の移動を許容するロック解除状態との間で動作可能である。幾つかの実装において、ロックデバイス300は、ロックデバイス300がロック状態にあるときに、締付方向Dにおけるケーブル402の移動を許容する。この構成は、締付力Fが制御部分406に適用される毎にケーブル402が締付方向DTに移動することを可能にする一方で、締付力Fが解放されるときに、締付方向D又は緩み方向Dのいずれかにおける移動を制限する。そうする際に、所望のフィットが達成されるまで、内部空隙102が足の周囲で増分的に締め付けられることができる。これらの実装では、ロックデバイス300は、緩み力Fが締付部分408に適用されるときに、ケーブル402が緩み方向Dに移動することを許容するために、ロック状態からロック解除状態に移行しなければならない。換言すれば、ケーブル402は、ロックデバイス300がロック解除状態にない限り、緩み力FLが締付部分408に適用されるときに緩み方向Dに移動することが制限される。
【0121】
図1を参照すると、ケーブル402は、締付力Fが制御部分406に加えられて制御部分406をアッパー100から離れる方向に引いてケーブルガイド412を締め付けるときに、締付方向Dに移動可能であり、それによって、アッパー100を締付状態に移動させる。例えば、ひとたび足が内部空隙102によって受け入れられ、ソール構造200上で支持されると、アッパー100は、靴紐を手作業で結び付けること又はアッパー100を締め付けるために他の締結具を手作業で締めることを必要とせずに、締付力Fを制御部分406に適用することによって、足の周囲の内部空隙102のフィットを固定するために、自動的に締め付けられてよい。ここで、締付方向Dにおけるケーブル402の移動は、制御部分406の有効長を増大させ、締付部分408の有効長を減少させる。締付部分408の有効長の減少は、図5及び図6に図示するように、足がソール構造200上で支持されている間に、足が内部空隙102内で固定されるように、上方ケーブルガイド412aを下方ケーブルガイド412bに向かって引かせて、アッパー100を足の周囲で掴んで締め付けるように作動する。すなわち、締付部分408の有効長を減少させることは、ケーブルガイド412に対して張力を加え、それによって、ケーブルガイド412を互いに向かって引き寄せさせて、足の周囲でアッパー100を締め付ける。何故ならば、締付部分408は、ケーブルガイド412に取り付けられているからである。
【0122】
幾つかの例では、足の周囲の内部空隙102の所望のフィットは、制御部分406に適用される締付力Fの大きさに基づいて調整可能である。例えば、締付力Fの大きさを増大させることは、アッパー100に沿うケーブルガイド412の締付けが増大して足の周囲の内部空隙102のより緊密なフィットを達成するように、ケーブル402を締付方向Dに更に移動させることがある。追加的に又は代替的に、足の周囲の内部空隙102のフィットは、制御部分406に加えられる締付力Fの持続時間に基づいて調整可能であってよい。例えば、より長い持続時間に亘って制御部分406に適用される締付力Fは、締付方向Dに更に距離を移動させるケーブル402をもたらして、足の周囲の内部空隙102のより緊密なフィットを達成することがある。
【0123】
図1を参照すると、ケーブルロック300がロック解除状態にある間に緩み力FLが緩みグリップ118に適用されるときに、ケーブル402は緩み方向DLに移動可能である。上述のように、ケーブルロック300は、ロック部材308を係合面334から離れる方向に移動させるよう解放コード384に解放力Fを適用することによって、ロック解除状態に移動させられる。
【0124】
図示の例において、ケーブル402は、緩みグリップ118を引くことによって、緩み方向Dに間接的に移動させられてよい。例えば、緩み力Fが緩みグリップ118に適用されるとき、舌革部分106は、アッパー100から離れる方向に引っ張られて、内部キャビティ102を拡張させる。舌革部分106がアッパー100から引き離される結果、上方ケーブルガイド412aは、下方ケーブルガイド412bから引き離され、締付部分408の有効長は増大させられる。緩み力Fが緩みグリップ118から解放されるときに、アッパー100は、弛んだ状態に移動することがあり、それによって、締付部分408の有効長の増大は、履物10の着脱のために内部空洞102が拡張されることを可能にする。他の例では、緩み力Fは締付部分408に直接的に適用されて、締付部分408の有効長を増大させてよい。例えば、締付部分408は、緩み力Fを加えるためにユーザによって把持されることができる1つ以上のプルタブを含んでよい。
【0125】
従って、履物10は、靴紐を解いたり或いは1つ以上の締結具を取り外してアッパー100を緩めたりすることを必要とせずに着脱されることがある。特に、ケーブル402が緩み方向DLに移動すると、ケーブル402の締付部分408の有効長は、制御部分406の有効長が減少されるにつれて増大される。ここで、締付部分408の有効長の増加は、上方ケーブルガイド412aが下方ケーブルガイド412bから離れる方向に移動することを可能にして、足首開口104を通じて足を内部空隙102から除去し得るように、締め付けられた状態から緩められた状態へのアッパー100の移行を容易にする。
【0126】
ケーブル402がロックデバイスを通じて締付方向D及び緩み方向Dの1つにおいて引っ張られると、ケーブル402はそれぞれのプーリ310の溝398に係合し、各プーリ310をハウジング304のシャフト336の周りで回転させる。プーリ310が回転すると、プロング344の遠位端348は、プーリ310の下方突起396bと断続的に係合させられる。上述のように、下方突起396bの各々は、プーリ310の外壁392の周囲に同じ長さL2で延在し、距離D2だけ互いに規則的に離間する。従って、プロング344の遠位端348と突起396bとの断続的な係合は、突起396bとの間の距離D2と下方突起396bの長さL2との合計に対応する増分だけ、ケーブル402の移動に対応する。例えば、ケーブル402が、締付方向D、D2及びL2の合計に等しい距離だけ引っ張られるときに、プーリ310は、1増分に等しい量だけ回転する。各増分は、可聴フィードバック及び/又は触覚フィードバックの形態におけるプロング344の遠位端348と下方突起396bとの間の断続的な係合によって示される。例えば、突起396bがプロング344の遠位端348と係合するときに、クリックノイズを生成して、ケーブル402がロックデバイス300を通じて移動していることをユーザに示してよい。同様に、プロング344の遠位端348とプーリ310との係合は、触覚フィードバックの形態においてユーザによって感じられることがある。何故ならば、締付方向DTにおける移動に対する抵抗が断続的にもたらされることがあるからである。
【0127】
図1図18のロックデバイス300は、中足領域14のストロベル218の底面上に配置され、ミッドソール210の空洞によってカプセル化されているものとして記載されているが、ロックデバイス300は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の場所に配置されてよい。例えば、ロックデバイス300の場所は、足の下にあって、中足領域14から前足領域12又は踵領域16のいずれか一方にシフトしてよい。他の構成において、ロックデバイス300は、例えば、図16及び図17に示すように、アッパー100の踵領域に沿う、或いは、図18に示すように、アッパー100又は舌革部分106の上の足の頂部に亘る(例えば、甲の上方の)任意の適切な場所で、アッパー100の外面に配置されてよい。他の構成において、ロックデバイス300は、ストロベル218の内面とドロップインミッドソールとの間でアッパー100の内部空隙102内に配置されてよい。制御部分406、制御部分406、及び解放コード384の経路指定は、ロックデバイス300の場所の変化に順応するように構成されることがあるので、アッパー100は、緩められた状態と締め付けられた状態との間で移動させられることがある。解放コード384の第2の端を密封する通路は、ロックデバイス300が踵領域16にあるアッパー100上に配置されるときに、アッパー100の外側側面18又は内側側面20に、或いは任意の他の適切な場所に配置されてよい。
【0128】
以下の条項は、本開示の原理に従った履物物品及びケーブルロックのための例示的な構成を提供する。
【0129】
条項1:履物物品であって、内部空隙を画定するアッパーと、アッパーを締め付けられた状態に移動させるよう締付方向に移動可能であり且つアッパーを緩められた状態に移動させるよう緩み方向に移動可能であるケーブルと、履物物品と連結され、ハウジングを含み、緩み方向における前記ケーブルの移動を制限するようロック状態において動作可能であり、緩み方向におけるケーブルの移動を許容するようロック解除状態において動作可能である、ケーブルロックとを含み、ケーブルロックは、ハウジング内に配置される第1のプーリを含み、第1のプーリは、第1のプーリの外周部分に沿うハウジングを通じるケーブルの移動に応答して自由に回転するように位置付けられる、履物物品。
【0130】
条項2:ケーブルは、締付方向においてケーブルを移動させるために第1の方向においてアッパーから離れる方向に移動させられるように動作可能な制御部分を含む、条項1に記載の履物物品。
【0131】
条項3:ケーブルロックは、制御部分から遠隔に配置される、条項2に記載の履物物品。
【0132】
条項4:第1のプーリは、第1のプーリの回転軸から延びる複数の突起を含み、突起は、複数の突起の隣接する突起の間に配置される開口を画定する、条項1に記載の履物物品。
【0133】
条項5:第1のプーリは、第1のプーリの外周の周囲に延在する溝を画定し、溝は、ケーブルを内部に受け入れるように動作可能である、条項4に記載の履物物品。
【0134】
条項6:溝は、第1のプーリの第1の側面と反対側の第2の側面の各々にある対応する突起の間に画定される、条項5に記載の履物物品。
【0135】
条項7:ハウジングと連結され、第1のプーリが回転するときに複数の突起が断続的に係合するように動作可能な第1の端を有する、プロングを更に含む、条項4に記載の履物物品。
【0136】
条項8:プロングは、ハウジングに取り付けられた第2の端を含み、第1の端は、第1のプーリが回転するときに第2の端に対して移動する、条項7に記載の履物物品。
【0137】
条項9:プロングは、ハウジングと一体的に形成される、条項8に記載の履物物品。
【0138】
条項10:プロングは、第2の端と第1の端との間に延びる第1の長さを有し、プロングは、第1の長さの一部に沿って平坦化されている、条項8に記載の履物物品。
【0139】
条項11:ケーブルロックは、ケーブルが締付方向においてハウジング内でハウジングに対して並進させられるときに可聴フィードバック及び触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを提供するように動作可能である第2のプーリを含み、第2のプーリは、第1のプーリとは異なるケーブルの部分と係合する、条項1に記載の履物物品。
【0140】
条項12:付勢バネが第1のプーリと第2のプーリとの間に延在し、付勢バネの第1の端がハウジングと連結され、付勢バネの第2の端がスライドロック部材と連結される、条項11に記載の履物物品。
【0141】
条項13:ハウジングは、細長く、長手方向の中線を有し、第1のプーリは、第2のプーリに対してハウジングの長手方向の中線の反対側に配置され、第1のプーリ及び第2のプーリの両方は、ハウジングの第1の端に隣接して配置される、条項11に記載の履物物品。
【0142】
条項14:ハウジングは、第1の平面的な外面と、反対側の第2の平面的な外面とを有し、第1の平面的な外面と第2の平面的な外面との間の最大厚さは、0.6mm~1.2cmの範囲内にある、条項1に記載の履物物品。
【0143】
条項15:ハウジングは、左右対称である、条項1に記載の履物物品。
【0144】
条項16:ハウジングは、丸みを帯びた長方形として成形される、条項1に記載の履物物品。
【0145】
条項17:ハウジングの各々のそれぞれの隅に配置される孔を更に含む、条項16に記載の履物物品。
【0146】
条項18:ケーブルの一部分は、ハウジングの各々のそれぞれの隅に配置される孔を通じて延びる、条項17に記載の履物物品。
【0147】
条項19:ハウジングは、剛性である、条項1に記載の履物物品。
【0148】
条項20:ハウジングは、ハウジングの周縁に隣接して配置され、ハウジングを通じる締結具の挿入を受け入れるように構成された、1つ以上の孔を更に含む、条項1に記載の履物物品。
【0149】
条項21:締結具は、糸、フィラメント、ストラップ、リベット、ボルト、ネジ、フック、及びロッドからなる群から選択される1つ以上である、条項20に記載の履物物品。
【0150】
条項22:ケーブルが第1プーリの一部分の周囲に延び、ハウジングにある孔を通じて延びるにつれて、ケーブルは方向を変化させ、方向の変化は、35度よりも大きく、120度よりも小さい、条項1に記載の履物物品。
【0151】
条項23:ハウジングの内面から延びるシャフトを更に含み、第1プーリは、シャフトの周囲に取り付けられ、回転可能である、条項1に記載の履物物品。
【0152】
条項24:ケーブルは、張力の下にあるときに、第1のプーリの外周部分に対する接線にある第1プーリから延び、ハウジングにある孔を通じる、条項1に記載の履物物品。
【0153】
条項25:内部空隙を画定するアッパーと、アッパーを締め付けられた状態に移動させるために締付方向に移動可能であり、アッパーをゆるめられた状態に移動させるために緩み方向に移動可能である、ケーブルと、ハウジングを含み、緩み方向におけるケーブルの移動を制限するようロック状態において動作可能であり、緩み方向におけるケーブルの移動を許容するようロック解除状態において動作可能である、ケーブルロックとを含み、ケーブルロックは、ケーブルの異なる部分を受け、ケーブルがハウジング内でハウジングに対して移動させられるときに、ハウジングに対して回転するように動作可能である、第1プーリ及び第2プーリを含む、履物物品。
【0154】
条項26:ケーブルは、ケーブルを締付方向に移動させるために第1の方向においてアッパーから離れる方向に動かされるよう動作可能な制御部分を含む、条項25に記載の履物物品。
【0155】
条項27:ケーブルロックは、制御部分から遠隔に配置される、条項26に記載の履物物品。
【0156】
条項28:第1のプーリ及び第2のプーリは、締付方向における第1の距離だけケーブルの移動に対応する増分フィードバックを提供するように構成される、条項25に記載の履物物品。
【0157】
条項29:第1プーリ及び第2プーリの少なくとも一方は、第1プーリ及び第2プーリの少なくとも一方の回転軸から延びる複数の突起を含み、突起は、複数の突起の隣接する突起の間に配置される開口を画定する、条項25に記載の履物物品。
【0158】
条項30:第1プーリ及び第2プーリの少なくとも一方は、第1プーリ及び第2プーリの少なくとも一方の外周の周囲に延在する溝を画定し、溝は、溝内にケーブルを受けるように動作可能である、条項29に記載の履物物品。
【0159】
条項31:ケーブルが締付方向において移動させられるときに、複数の突起に断続的に係合するように動作可能な第1の端を有するプロングを更に含む、条項29に記載の履物物品。
【0160】
条項32:プロングは、ハウジングに取り付けられる第2の端を含み、第1の端は、ケーブルが締付方向に移動させられるときに、第2の端に対して移動する、条項31に記載の履物物品。
【0161】
条項33:プロングは、ハウジングと一体的に形成される、条項32に記載の履物物品。
【0162】
条項34:第1プーリ及び第2プーリは、ケーブルが締付方向においてハウジング内でハウジングに対して並進させられるときに、可聴フィードバック及び触覚フィードバックの少なくとも1つを提供するように動作可能である、条項25に記載の履物物品。
【0163】
条項35:ハウジングであって、第1の端と、第1の端とは反対のハウジングの端に配置される第2の端とを含む、ハウジングと、ハウジングによって回転可能に支持され、第1の端及び第2の端の一方に近接して配置される、第1のプーリであって、第1のプーリの外周部分に沿うハウジングを通じるケーブルの移動に応答して自由に回転するように動作可能である、第1のプーリと、ハウジングによって回転可能に支持され、第1の端及び第2の端の一方に近接して配置される、第2のプーリであって、第2のプーリの外周部分に沿うハウジングを通じるケーブルの移動に応答して自由に回転するように動作可能である、第2のプーリと、ハウジング内にスライド可能に配置され、ハウジングに対する第1の方向におけるケーブルの移動を制限するように動作可能であるロック状態とハウジングに対する第1の方向におけるケーブルの移動を許容するように動作可能であるロック解除状態との間で移動可能である、ロック部材とを含み、ロック部材は、第1のプーリ及び第2のプーリよりもハウジングの第1の端及び第2の端の他方により近接して配置される、ケーブルのためのケーブルロック。
【0164】
条項36:第1プーリ及び第2プーリは、それぞれ、第1プーリ及び第2プーリの回転軸から延びる複数の突起を含み、突起は、複数の突起の隣接する突起の間に配置される開口を画定する、条項35に記載のケーブルロック。
【0165】
条項37:第1プーリは、第1プーリの外周の周囲に延在する第1の溝を画定し、第2プーリは、第2プーリの外周の周囲に延在する第2の溝を画定し、第1の溝及び第2の溝は、第1の溝及び第2の溝内にケーブルを受けるように動作可能である、条項36に記載のケーブルロック。
【0166】
条項38:第1の溝は、第1のプーリの第1の側面及び対向する第2の側面の各々にある対応する突起の間に画定され、第2の溝は、第2のプーリの第1の側面及び対向する第2の側面の各々にある対応する突起の間に画定される、条項37に記載のケーブルロック。
【0167】
条項39:ハウジングに連結され、第1のプーリが回転するときに複数の突起と断続的に係合するように動作可能である第1の端を有する、第1のプロングと、ハウジングに連結され、第2のプーリが回転するときに、複数の突起に断続的に係合するように動作可能である第1の端を有する、第2のプロングとを更に含む、条項36に記載のケーブルロック。
【0168】
条項40:第1のプロング及び第2のプロングは、それぞれ、ハウジングに取り付けられる第2の端を含み、第1の端は、第1のプーリ及び第2のプーリが回転するときに第2の端に対して移動する、条項39に記載のケーブルロック。
【0169】
条項41:第1のプロング及び第2のプロングは、ハウジングと一体的に形成される、条項40に記載のケーブルロック。
【0170】
条項42:第1のプロング及び第2のプロングは、それぞれ、第2の端と第1の端との間に延びる第1の長さを有し、第1のプロング及び第2のプロングは、第1の長さの一部に沿って平坦化される、条項40に記載のケーブルロック。
【0171】
条項43:第1プーリ及び第2プーリは、ケーブルがハウジング内でハウジングに対して移動させられるときに、可聴フィードバック及び触覚フィードバックのうちの少なくとも1つを提供するように動作可能であり、第2プーリは、第1プーリとは異なるケーブルの部分と係合する、条項35に記載のケーブルロック。
【0172】
条項44:付勢バネが第1のプーリと第2のプーリとの間に延在し、付勢バネの第1の端はハウジングと連結され、付勢バネの第2端はロック部材と連結される、条項35に記載のケーブルロック。
【0173】
条項45:ハウジングは、細長く、長手方向の中線を有し、第1のプーリは、第2のプーリに対してハウジングの長手方向の中線の反対側に配置される、条項35に記載のケーブルロック。
【0174】
条項46:ハウジングは、第1の平面的な外面と、対向する第2の平面的な外面とを有し、第1の平面的な外面と第2の平面的な外面との間の最大厚さは、0.6cm~1.2cmの範囲内にある、条項35に記載のケーブルロック。
【0175】
条項47:ハウジングは、左右対称である、条項35に記載のケーブルロック。
【0176】
条項48:ハウジングは、丸みを帯びた長方形として成形される、条項35に記載のケーブルロック。
【0177】
条項49:ハウジングの各々のそれぞれの隅に配置される孔を更に含む、条項48に記載のケーブルロック。
【0178】
条項50:ケーブルの一部分がハウジングの各隅に配置される各孔を通じて延びる、条項49に記載のケーブルロック。
【0179】
条項51:ハウジングは、剛性である、条項35に記載のケーブルロック。
【0180】
条項52:ハウジングは、ハウジングの周縁に隣接して配置され、ハウジングを通じる締結具の挿入を受け入れるように構成される、1つ以上の孔を更に含む、条項35に記載のケーブルロック。
【0181】
条項53:締結具は、糸、フィラメント、ストラップ、リベット、ボルト、ネジ、フック、及びロッドからなる群から選択される1つ以上である、条項52に記載のケーブルロック。
【0182】
条項54:ケーブルが第1のプーリの一部分の周囲に延び、ハウジングにある第1の孔を通じて延びるにつれて、ケーブルは方向を変化させ、ケーブルが第2のプーリの一部分の周囲に延び、ハウジングにある第2の孔を通じて延びるにつれて、ケーブルは方向を変化させ、方向の変化は、35度よりも大きく、120度よりも小さい、条項35に記載のケーブルロック。
【0183】
条項55:ハウジングの内面から延びる第1のシャフトと、ハウジングの内面から延びる第2のシャフトとを更に含み、第1のプーリは、第1のシャフトに取り付けられ、第1のシャフトの周りで回転可能であり、第2のプーリは、第2のシャフトに取り付けられ、第2のシャフトの周りで回転可能である、条項35に記載のケーブルロック。
【0184】
条項56:ケーブルは、張力の下にあるときに、ハウジングにある第1の孔を通じて第1のプーリの外周部分に対する接線方向に第1のプーリから延び、ハウジングにある第2の孔を通じて、第2のプーリの外周部分に対する接線方向に第2プーリから延びる、条項35に記載のケーブルロック。
【0185】
条項57:ロック部材は、互いに向かって収束する第1のロック面及び第2のロック面を含み、ハウジングに対する第1の方向におけるケーブルの移動を制限するために、第1のロック面は、ロック状態においてハウジングの第1の係合面と第1のロック面との間でケーブルの第1の部分を狭窄(ピンチ)するように動作可能であり、第2のロック面は、ロック状態においてハウジングの第2の係合面と第2のロック面との間でケーブルの第2の部分を狭窄(ピンチ)するように動作可能である、条項35に記載のケーブルロック。
【0186】
前述の記載は、例示及び記述の目的で提供されている。それは網羅的であることも本開示を制限することも意図していない。特定の構成の個々の要素又は構成は、一般的に、その特定の構成に限定されないが、適用可能な場合には、互換性があり、具体的に図示又は記載されていないとしても、選択された構成で使用されることができる。同じことは、多くの方法で変更されてもよい。そのような変更は、本開示からの逸脱とはみなされず、全てのそのような変更は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図15
図16
図17
図18