(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】流量制限ステントグラフト
(51)【国際特許分類】
A61F 2/07 20130101AFI20221024BHJP
A61F 2/89 20130101ALI20221024BHJP
【FI】
A61F2/07
A61F2/89
(21)【出願番号】P 2021546829
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(86)【国際出願番号】 US2020018323
(87)【国際公開番号】W WO2020168216
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-09-30
(32)【優先日】2019-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521353621
【氏名又は名称】エイオート メディカル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AORTO MEDICAL LLC
【住所又は居所原語表記】Blvd. v. rue Marseille Res Madrague N.2. Tangier Morocco
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】エル アゾウジ,ユースフ
(72)【発明者】
【氏名】ガニー,サリーム アブドゥル
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/140637(WO,A1)
【文献】特表2014-525811(JP,A)
【文献】特開平10-295819(JP,A)
【文献】特開2007-135965(JP,A)
【文献】国際公開第2011/158045(WO,A1)
【文献】米国特許第8870938(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞を形成
するステントフレームであって、前記空洞が前記ステントフレームの近位開口部から前記ステントフレームの遠位開口部まで延在し、流体が前記近位開口部から前記遠位開口部まで前記空洞を通って流れることに適したステントフレームと、
前記ステントフレームの周囲の周りに延在する複数のフレームワイヤと、
を含むステントグラフトであって、
前記空洞の断面積が流量制限セクションの第1の長さ方向に沿って前記空洞の三日月状の最小断面積まで減少し、前記流量制限セクションの第2の長さ方向に沿って増加するように、前記ステントフレームが形成され、前記第1の長さが、前記空洞の近位断面積から前記空洞の三日月状の最小断面積まで延び、前記第2の長さが、前記空洞の三日月状の最小断面積から前記空洞の遠位断面積まで延
び、
前記複数のフレームワイヤは、前記三日月状の最小断面積において、前記ステントフレームの前記周囲に対応する1つのフレームワイヤを含み、前記1つのフレームワイヤは、閾値流体圧力未満の流体が前記空洞を通って流れる場合、前記ステントフレームの前記空洞の三日月状の最小断面積を維持するように構成され、
前記1つのフレームワイヤは、前記閾値流体圧力を満たす流体が前記空洞を通って流れる場合、変形するように構成され、これにより前記ステントフレームが前記三日月状の最小断面積において拡張することを可能とする、
ステントグラフト。
【請求項2】
前記流量制限セクションに沿った前記ステントフレームの周囲が前記空洞へと延在する凹面を含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項3】
前記複数のフレームワイヤのうちの1本以上が、前記凹面に沿って延在する湾曲部を含む、請求項2に記載のステントグラフト。
【請求項4】
前記ステントフレーム周囲の前記凹面が第1のファブリック片を含み、周囲の残りが第2のファブリック片を含み、前記第1のファブリック片が前記第2のファブリック片に接続される、請求項2に記載のステントグラフト。
【請求項5】
前記ステントフレーム及び前記複数のフレームワイヤが伸縮して、前記空洞の断面積を増減させるように構成される、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項6】
前記ステントフレームが、前記空洞の最小断面積が前記空洞の近位断面積の2%~
20%に等しくなるように構成される、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項7】
前記空洞の最小断面積が左流端、中央流部及び右流端を含むように、前記ステントフレームが構成され、前記左流端及び前記右流端がそれぞれ個々に前記中央流部よりも広い幅を有する、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項8】
前記ステントフレームが外壁及び内壁を含み、前記近位開口部から前記空洞を通って流れる流体が前記左流端及び前記右流端に向けられ、前記中央流部への到達が妨げられるように、前記外壁が線に沿って前記内壁に接続される、請求項7に記載のステントグラフト。
【請求項9】
前記空洞の最小断面積が左流端、中央流部及び右流端を含むように前記ステントフレームが構成され、前記左流端及び前記右流端がそれぞれ個々に前記中央流部より狭い幅を有する、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項10】
前記空洞の最小断面積における前記ステントフレームが外壁及び内壁を含み、前記中央流部の内壁が前記中央流部の外壁から離れるように湾曲するように、前記ステントフレームが構成される、請求項9に記載のステントグラフト。
【請求項11】
前記空洞の最小断面積における前記ステントフレームが外壁及び内壁を含み、第1のブリッジが、前記外壁を前記内壁に接続し、ここで、前記左流端が前記中央流部と交わり、第2のブリッジが、前記外壁を前記内壁に接続し、ここで、前記右流端が前記中央流部と交わる、請求項9に記載のステントグラフト。
【請求項12】
前記空洞の最小断面積における前記ステントフレームが外壁及び内壁を含み、前記左流端及び前記右流端を通って流体が流れることが妨げられるように、前記左流端における前記外壁及び前記内壁と、前記右流端における前記外壁及び前記内壁とが、それぞれ一緒に接続される、請求項9に記載のステントグラフト。
【請求項13】
前記ステントフレームが外壁及び内壁を含み、前記近位開口部から前記空洞を通って流れる流体が中央流部に導かれ、前記左流端及び前記右流端への到達が妨げられるように、前記外壁が線に沿って内壁に接続される、請求項9に記載のステントグラフト。
【請求項14】
前記複数のフレームワイヤのそれぞれ個々のフレームワイヤが波状部を含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項15】
前記複数のフレームワイヤが、前記ステントフレームの前記流量制限セクション内に複数の流量制限フレームワイヤを含
み、前記複数の流量制限フレームワイヤは、前記三日月状の最小断面積において、前記ステントフレームの前記周囲に対応する前記1つのフレームワイヤを含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項16】
それぞれ個々の流量制限フレームワイヤが、波状部及び湾曲部を含む、請求項15に記載のステントグラフト。
【請求項17】
それぞれ個々の流量制限フレームワイヤの前記波状部分と前記湾曲部分との間の曲率半径が、0.1~1.0ミリメートルである、請求項16に記載のステントグラフト。
【請求項18】
前記複数の流量制限フレームワイヤのうちの少なくとも1本が、腹部大動脈内に配置される場合、前記腹大動脈の周囲の少なくとも40%で少なくとも時々接触するように構成される、請求項15に記載のステントグラフト。
【請求項19】
前記複数の流量制限フレームワイヤが等しい周囲長を有する、請求項15に記載のステントグラフト。
【請求項20】
それぞれ個々の流量制限フレームワイヤが形状記憶材料から構築される、請求項15に記載のステントグラフト。
【請求項21】
前記形状記憶材料がニチノールである、請求項20に記載のステントグラフト。
【請求項22】
前記複数の流量制限フレームワイヤが、前記空洞の最小断面積で前記ステントフレームの周囲の周りに延在する第1の流量制限フレームワイヤと、前記第1の流量制限フレームワイヤの周りに配置される第2の流量制限フレームワイヤとを含み、前記第2の流量制限フレームワイヤが、前記第1の流量制限フレームワイヤよりも高い形状記憶転移温度を有する、請求項15に記載のステントグラフト。
【請求項23】
それぞれ個々の流量制限フレームワイヤが、第1の流量制限フレームワイヤの周りに配置される第2の流量制限フレームワイヤを含み、前記第2の流量制限フレームワイヤが、前記第1の流量制限フレームワイヤよりも高い形状記憶転移温度を有する、請求項15に記載のステントグラフト。
【請求項24】
前記複数のフレームワイヤが、前記ステントの近位開口部に固定フレームワイヤを含み、前記固定フレームワイヤが、前記ステントを動脈壁に固定するように構成される、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項25】
前記ステントフレームが、ポリウレタン、ポリエステル及びポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される1つ以上のファブリックから構成される、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項26】
前記近位開口部又は前記遠位開口部の少なくとも1つの近くに無線経皮圧力モニタをさらに含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項27】
前記無線経皮圧力モニタが、縫合、磁石又は機械的クリップのうちの少なくとも1つに基づいて前記ステントグラフトと一体化される、請求項26に記載のステントグラフト。
【請求項28】
前記空洞と流体連通している2つの腎グラフト分岐部をさらに含む、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項29】
前記空洞と流体連通している少なくとも1つの第2のグラフト分岐部をさらに含み、前記少なくとも1つの第2のグラフト分岐部が、前記少なくとも1つの第2のグラフト分岐部の断面積を減少させる流体体積減少部分を含む、請求項28に記載のステントグラフト。
【請求項30】
前記少なくとも1つの第2のグラフト分岐部が上腸間膜動脈又は腹腔動脈(coeliac trunk artery)内に挿入される一方で、それぞれ個々の腎グラフト分岐部が個々の腎動脈内に挿入され得るように、前記ステントグラフトが構成される、請求項29に記載のステントグラフト。
【請求項31】
前記近位開口部が胸部大動脈に存在し、一方で、2つの腎グラフト分岐部のそれぞれ個々の前記腎グラフト分岐部が個々の腎動脈内に挿入されるように、前記ステントグラフトが構成され、患者の大動脈内に前記ステントが配置されるときに前記肋間動脈分岐部からの流体の流れを遮断するように構成される遮断スリーブを前記ステントグラフトがさらに含む、請求項29に記載のステントグラフト。
【請求項32】
前記ステントフレームが、複数の流量制限セクションとともに形成される、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項33】
空洞を形成し、前記空洞が前記ステントフレームの近位開口部から前記ステントフレームの遠位開口部まで延在し、流体が前記近位開口部から前記遠位開口部まで前記空洞を通って流れることに適したステントフレームと、
前記近位開口部において前記ステントフレームの周囲の周りに延在する固定フレームワイヤと、
前記ステントフレームの周囲の周りに延在するシールフレームワイヤと、
前記遠位開口部において前記ステントフレームの周囲の周りに延在する流量制限フレームワイヤと、
を含むステントグラフトであって、
前記空洞の断面積が前記近位開口部から前記遠位開口部における前記空洞の三日月状の最小断面積まで減少するように前記ステントフレームが形成さ
れ、
前記流量制限フレームワイヤは、閾値流体圧力未満の流体が前記遠位開口部を通って流れることを防止するように構成される、
ステントグラフト。
【請求項34】
前記三日月状の最小断面積がカール部分を含むように、前記ステントフレームが形成される、請求項
33に記載のステントグラフト。
【請求項35】
前記ステントフレームが、患者の尿道内に配置されたときに、前記近位開口部及び前記遠位開口部が膀胱頸部括約筋と第2の括約筋との間にあるような長さを有する、請求項33に記載のステントグラフト。
【請求項36】
前記ステントフレームが、患者の尿道内に配置されたときに膀胱頸部括約筋と第2の括約筋との間に前記固定フレームワイヤ及び前記シールフレームワイヤがあり、前記第2の括約筋と尿道開口部との間に前記流量制限フレームワイヤがあるような長さを有する、請求項33に記載のステントグラフト。
【請求項37】
前記流量制限フレームワイヤは、ニチノールを含む形状記憶材料から構成される、請求項33に記載のステントグラフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、2019年2月17日出願の米国仮出願第62/806,855号明細書;2019年3月11日出願の米国仮出願第62/816,395号明細書;2019年4月23日出願の米国仮出願第62/837,324号明細書;2019年9月13日出願の米国仮出願第62/899,914号明細書;及び2019年9月19日出願の米国仮出願第62/902,462号の優先権及び利益を主張する。それぞれの全体が参照により本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
人口のかなりの割合が毎年うっ血性心不全と診断される。うっ血性心不全(CHF)は、患者の心筋の拍出力に影響を及ぼす慢性の進行性状態である。患者の心臓が患者の身体に十分な血液体積を拍出し得なくなり、最終的には血液及び他の体液が患者の肺、腹部、肝臓及び/又は下半身の内部への逆流を引き起こすとき、うっ血性心不全が発症する。うっ血性心不全は、具体的には、体液が心臓周囲に蓄積し、体液の拍出が非効率的になる段階を指す。うっ血性心不全は様々な段階を経て進行し得、その初期段階は生活習慣の変化及び投薬によって管理され得る。しかし、処置せずに放置すると、うっ血性心不全が進行して生命を脅かし得るので、うっ血性心不全を管理するために様々な処置方法が患者に施され得る。
【0003】
CHFの処置に役立つ1つの方法は、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)アンタゴニスト薬によるものであり、これは慢性CHF患者の生存を改善する。しかし、CHFの進行及び付随する心拍出量の減少により、心臓での大動脈内圧の低下及び大動脈分岐部低灌流に起因して、血液が腎臓によってどの程度良好に濾過されるかを判断する見積となる、糸球体濾過率(GFR)が低下する。腎機能の低下によりGFRが閾値レベルに達すると、最大の医薬ACE阻害剤及びARB活性にもかかわらず、かなりの量のアルドステロン及び/又はアンジオテンシンII残基が患者の血液循環中に残留し得る。薬学的に推進されるレニン阻害剤は、プラセボと比較してCHF患者において改善が著しく限定されるようになることが示されており、ACE阻害剤の使用と比較した場合、高カリウム血症、低血圧症及び腎不全を含め、CHF患者において非常により多くの有害作用を引き起こすことが示されている。
【0004】
CHF、特に末期CHFの管理に役立つ別の方法は、従来の大動脈内バルーンポンプ並びに他の経皮的心室除荷装置(例えばTandemHeart(登録商標)及びImpella(登録商標))によるものである。このような従来の経皮的心室除荷装置は、低侵襲性であり、心原性ショックを呈する患者の安定化に役立つが;しかし、それらは短期間の使用のためにのみ設計されている。例えば、このような装置は、大腿カテーテルを介した介入のための外部コンソールトリガーに依存する。従って、従来の経皮的心室除荷装置は、急性心臓代償不全の処置に役立ち得るが、慢性的な長期CHF管理には効果がない。
【0005】
CHFの管理に役立つ別の方法は、血液拍出において心臓を支援することによって長期の循環支援を提供するために心臓の下行大動脈レベルで配置され得る非侵襲性ポンプ装置によるものである。このようなポンプ装置は、開放手術を必要としないが、患者の皮膚を通じて接続され、一貫した再充電を必要とするバッテリーを必要とする。従って、このような装置は、患者がバッテリーを一貫して再充電しなければならないことが面倒であり得、これはまた、バッテリーを充電するための電力へのアクセスを提供する場所に患者がいることを必要とする。このような一貫した電力へのアクセスは、全患者にとって利用可能というわけではない。さらに、脳卒中、アルツハイマー病又は認知症などによる著しい認知障害を有する患者は、装置を適切に制御及び維持不能であるため、これらの装置で長期間処置することは不可能である。従って、このような患者に残される治療選択肢は限られている。
【0006】
さらに、集団のかなりの割合が尿失禁を経験し得る。尿失禁は、不随意性の尿漏れであり、望まないときに排尿することを意味し、患者の尿道括約筋制御の喪失又は減弱の結果であり得る。尿失禁の例は、人間が咳又はくしゃみをするなどの圧力上昇による尿の不随意の漏れである腹圧性尿失禁である。腹圧性尿失禁を処置する一方法は、外科医が異種移植片メッシュ又はヒト組織から「スリング」インプラントを作製することを含む、スリング外科手順である。外科医は、「スリング」インプラントを患者の尿道の下に配置して、患者の膀胱の尿道及び頸部を持ち上げて支持し、尿漏れを防ぐのを助ける。しかし、スリング手順は、かなり長い手順である。「スリング」インプラントはまた、「スリング」インプラントがもはや必要とされないか、又はそうでなければ除去されることが望まれる状況が発生した場合に容易に除去できない。患者は、異種移植片メッシュを除去するために観血的侵襲手術を受けなければならず、術後入院及び/又はさらなる外科的処置を必要とし得る。さらに、メッシュ「スリング」インプラントからの患者合併症の発生率が高くなっている。例えば、異種移植片メッシュは、骨盤領域の患者の神経を侵食して融合し得、慢性の消耗性疼痛をもたらし得る。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、新規かつ革新的なステントグラフトを提供する。大動脈血液の制御された近位灌流勾配を生じさせることを促進し、より完全な腎動脈充満を達成し、より大きい体積の血液を腎臓に導くために、ステントグラフトを先細状にし得る。ステントグラフトはまた、尿失禁の防止を助けるためにも先細状にされ得る。本明細書中の開示に照らして、決して本発明の範囲を限定することなく、別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせ得る本開示の第1の態様では、ステントは、空洞を形成するステントフレームと、ステントフレームの周囲の周りに延在する複数のフレームワイヤとを含む。空洞は、ステントの近位開口部からステントの遠位開口部まで延在し、ステントフレームは、流体が近位開口部から遠位開口部まで空洞を通って流れることに適している。ステントフレームは、空洞断面積が流量制限セクションの第1の長さ方向に沿って三日月状の空洞最小断面積まで減少し、流量制限セクションの第2の長さ方向に沿って増加するように形成される。第1の長さ方向は、空洞近位断面積から三日月状の空洞最小断面積まで延び、第2の長さ方向は、三日月状の空洞最小断面積から空洞遠位断面積まで延びる。
【0008】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第2の態様では、流量制限セクションに沿ったステントフレーム周囲は、空洞内に延在する凹面を含む。
【0009】
特に明記しない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第3の態様では、複数のフレームワイヤのうちの1つ以上が凹面に沿って延在する湾曲部分を含む。
【0010】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第4の態様では、ステントフレーム周囲の凹面は、第1のファブリック片を含み、周囲の残りの部分は、第2のファブリック片を含み、第1のファブリック片は、第2のファブリック片に接続される。
【0011】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第5の態様では、ステントグラフトは、ステントフレーム及び複数のフレームワイヤが拡張及び収縮して空洞の断面積を増減するように構成される。
【0012】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第6の態様では、ステントフレームは、空洞の最小断面積が空洞の近位断面積の2%~40%に等しくなるように構成される。
【0013】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第7の態様では、ステントフレームは、空洞の最小断面積が、左流端、中央流部及び右流端を含み、左流端及び右流端がそれぞれ個々に中央流部よりも大きい幅を有するように構成される。
【0014】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第8の態様では、近位開口部から空洞を通って流れる流体が、左流端及び右流端に導かれ、中央流部への到達が妨げられるように、ステントフレームは、外壁及び内壁を含み、外壁は線に沿って内壁に接続される。
【0015】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第9の態様では、ステントフレームは、空洞の最小断面積が、左流端、中央流部及び右流端を含み、左流端及び右流端がそれぞれ個々に中央流部よりも小さい幅を有するように構成される。
【0016】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第10の態様では、空洞の最小断面積でのステントフレームは外壁及び内壁を含み、このステントフレームは、中央流部の内壁が中央流部の外壁から湾曲して離れていくように構成される。
【0017】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第11の態様では、空洞の最小断面積でのステントフレームは外壁及び内壁を含み、第1のブリッジは、外壁を内壁に接続し、ここで左流端が中央流部と交わり、第2のブリッジは 外壁を内壁に接続し、ここで右流端が中央流部と交わる。
【0018】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第12の態様では、空洞の最小断面積におけるステントフレームは外壁及び内壁を含み、左流端の外壁及び内壁、及び右流端の外壁及び内壁は個々に、流体が左流端及び右流端を通過して流れるのを防ぐように一緒に縫合される。
【0019】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第13の態様では、近位開口部から空洞を通って流れる流体が中央流部に導かれ、左流端及び右流端への到達が妨げられるように、ステントフレームが外壁と内壁とを含み、外壁が線に沿って内壁に接続される。
【0020】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第14の態様では、複数のフレームワイヤのそれぞれ個々のフレームワイヤは波状部分を含む。
【0021】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第15の態様では、複数のフレームワイヤは、ステントフレームの流量制限セクション内に複数の流量制限フレームワイヤを含む。
【0022】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第16の態様では、それぞれ個々の流量制限フレームワイヤは波状部分及び湾曲部分を含む。
【0023】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第17の態様では、それぞれ個々の流量制限フレームワイヤの波状部分と湾曲部分との間の曲率半径は、0.1~1.0ミリメートルである。
【0024】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第18の態様では、複数の流量制限フレームワイヤのうち少なくとも1本は、腹部大動脈内に配置される場合、少なくとも時には腹部大動脈の周囲の少なくとも40%と接触するように構成される。
【0025】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第19の態様では、複数の流量制限フレームワイヤの周囲長は等しい。
【0026】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第20の態様では、複数のフレームワイヤのそれぞれ個々の流量制限フレームワイヤは、形状記憶材料から構成される。
【0027】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第21の態様では、形状記憶材料はニチノールである。
【0028】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第22の態様では、複数の流量制限フレームワイヤは、空洞の最小断面積でステントフレームの周囲の周りに延在する第1の流量制限フレームワイヤと、第1の流量制限フレームワイヤの周りに配置される第2の流量制限フレームワイヤとを含み、第2の流量制限フレームワイヤは、第1の流量制限フレームワイヤよりも高い形状記憶転移温度を有する。
【0029】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第23の態様では、それぞれ個々の流量制限フレームワイヤは、第1の流量制限フレームワイヤの周りに配置される第2の流量制限フレームワイヤを含み、第2の流量制限フレームワイヤは、第1の流量制限フレームワイヤよりも高い形状記憶転移温度を有する。
【0030】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第24の態様では、複数のフレームワイヤは、ステントの近位開口部で固定フレームワイヤを含み、固定フレームワイヤは、ステントを動脈壁に固定するように構成される。
【0031】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第25の態様では、ステントフレームは、ポリウレタン、ポリエステル及びポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される1つ以上のファブリックから構築される。
【0032】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第26の態様では、ステントは、近位又は遠位開口部のうちの少なくとも1つの近くに無線経皮圧力モニタをさらに含む。
【0033】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第27の態様では、無線経皮圧力モニタは、縫合、磁石又は機械的クリップの少なくとも1つに基づきステントグラフトと一体化される。
【0034】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第28の態様では、ステントは、空洞と流体連通している2つの腎グラフト分岐部をさらに含む。
【0035】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第29の態様では、ステントは、空洞と流体連通している少なくとも1つの第2のグラフト分岐部をさらに含み、少なくとも1つの第2のグラフト分岐部は、少なくとも1つの第2のグラフト分岐部の断面積を減少させる流体体積減少部分を含む。
【0036】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第30の態様では、ステントは、2つの腎グラフト分岐部のそれぞれの個々の腎グラフト分岐部が個々の腎動脈内に挿入され得る一方で、少なくとも1つの第2のグラフト分岐部が上腸間膜動脈又は腹腔動脈(coeliac trunk artery)内に挿入されるように構成される。
【0037】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第31の態様では、ステントは、近位開口部が胸部大動脈に存在する一方で、2つの腎グラフト分岐部のそれぞれ個々の腎グラフト分岐部が個々の腎動脈内に挿入されるように構成される。ステントは、患者の大動脈内にステントが配置されるときに肋間動脈分岐部からの流体の流れを遮断するように構成される遮断スリーブをさらに含む。
【0038】
別段の指定がない限り本明細書で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第32の態様では、ステントフレームは、複数の流量制限セクションとともに形成される。
【0039】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第33の態様では、ステントグラフトは、空洞を形成するステントフレーム、固定フレームワイヤ、シールフレームワイヤ及び流量制限フレームワイヤを含む。空洞は、ステントの近位開口部からステントの遠位開口部まで延在する。ステントフレームは、流体が近位開口部から遠位開口部まで空洞を通って流れることに適している。固定フレームワイヤは、近位開口部においてステントフレームの周囲の周りに延在する。シールフレームワイヤは、ステントフレームの周囲の周りに延在する。流量制限フレームワイヤは、遠位開口部においてステントフレームの周囲の周りに延在する。ステントフレームは、空洞の断面積が近位開口部から遠位開口部における空洞の三日月状の最小断面積まで減少するように形成される。
【0040】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第34の態様では、流量制限フレームワイヤは、閾値流体圧力未満の流体が遠位開口部を通って流れるのを防ぐ。
【0041】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第35の態様では、ステントフレームは、三日月状の最小断面積がカール部を含むように形成される。
【0042】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第36の態様では、ステントフレームは、患者の尿道内に配置されたときに、近位開口部及び遠位開口部が膀胱頸部括約筋と第2の括約筋との間にあるような長さを有する。
【0043】
別段の指定がない限り本明細書中で列挙される何らかの他の態様と組み合わせられ得る本開示の第37の態様では、ステントフレームは、患者の尿道内に配置されたときに、固定フレームワイヤ及びシールフレームワイヤが膀胱頸部括約筋と第2の括約筋との間にあり、流量制限フレームワイヤが第2の括約筋と尿道開口部との間にあるような長さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1A】
図1Aは、本開示の一態様による、ステントグラフト例の等角図を示す。
【
図1B】
図1Bは、本開示の一態様による、ステントグラフト例の側面図を示す。
【0045】
【
図2】
図2は、本開示の一態様による、大動脈管内の
図1A及び
図1Bのステントグラフト例の最小断面積での断面図を示す。
【0046】
【
図3A】
図3Aは、本開示の一態様による、流端を含む最小断面積を有するステントグラフト例の等角図を示す。
【
図3B】
図3Bは、本開示の一態様による、流端を含む最小断面積を有するステントグラフト例の側面図を示す。
【0047】
【
図4A】
図4Aは、本開示の一態様による、流端が中央流部分よりも広い、三日月状の最小断面積の例を示す、大動脈管内の、流端を有するステントグラフトの断面図を例示する。
【0048】
【
図4B】
図4Bは、本開示の一態様による、大動脈管内の、流端を有するステントグラフトの断面図を例示し、中央流部分が流端よりも広い、三日月状の最小断面積の例を示す。
【0049】
【
図4C】
図4Cは、本開示の一態様による、ブリッジを有する三日月状の最小断面積の例を示す、大動脈管内の、流端を有するステントグラフトの断面図を例示する。
【0050】
【
図4D】
図4Dは、本開示の一態様による、流端が縫合閉鎖された、三日月状の最小断面積の例を示す、大動脈管内の、流端を有するステントグラフトの断面図を例示する。
【0051】
【
図5A】
図5Aは、本開示の一態様による、血液を中央流部分に流し込むための縫合線を含むステントグラフト例を示す。
【0052】
【
図5B】
図5Bは、本開示の一態様による、血液を流端に流し込むための縫合線を含むステントグラフト例を示す。
【0053】
【
図6】
図6は、本開示の一態様による、ステントフレームワイヤ例の等角図を示す。
【0054】
【
図7】
図7は、本開示の一態様による、空洞の最小断面積の周りに2本のステントフレームワイヤを含むステントグラフト例の正面図を示す。
【0055】
【
図8】
図8は、本開示の一態様による、患者の腹部大動脈内に本開示のステントグラフトが挿入された患者を示す。
【0056】
【
図9A】
図9Aは、本開示の一態様による、グラフト分岐部を含むステントグラフト例の正面図を示す。
【
図9B】9Bは、本開示の一態様による、グラフト分岐部を含むステントグラフト例の等角図を示す。
【0057】
【
図10】
図10は、本開示の一態様による、尿道適用のためのステントグラフト例の等角図を示す。
【0058】
【
図11】
図11は、本開示の一態様による、尿道内での拡張状態のステントグラフト例の最小断面積における断面の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本開示は、一部には、末期CHF患者の生存期間を延長するのに役立つ長期の低侵襲性の処置を提供する。特に、本開示は、末期CHF患者の下流RAASアンタゴニスト薬物療法に対して患者の抵抗性が発生するので、上流レニン阻害に対する機械的な介入アプローチを提供する。より具体的には、本開示は、CHF患者の血液分布効率を改善し、RAAS活動亢進によって引き起こされるさらなる全身性の体液貯留の防止を支援するために全身灌流レベルを調整するための、患者の腹部大動脈に配置され得る先細状の流量調整ステントを提供する。CHF患者における低い心拍出量は、過剰なRAAS刺激及び、従って全身性浮腫及び多血に寄与するので、大動脈血液の近位灌流勾配が調節されるのを助けて、より完全な腎動脈充満を達成し、最終的にはより大きな体積の血液を腎臓に導くために、提供されるステントグラフトの腎下部セグメントは先細状にされる。従って、灌流勾配を生じさせるための先細状構造は、機械的に利尿を増加させることを介して、RAASの阻害並びに全身的なうっ血除去をもたらし得る。
【0060】
心不全の病態生理学における主要な段階は、患者の心筋のリモデリングを引き起こし、最終的にその効率の低下及び従って拍出量のさらなる低下を引き起こす有害ホルモンのその後の分泌による、患者の腎器官の低灌流である。患者の腹部大動脈に配置されると、本開示のステントグラフトは、有害ホルモンの分泌を阻害するために、患者の下肢行きの血流が患者の腎臓に迂回させられるように、患者の体内で血液を再分配するのに役立つ。患者の腎臓への血流の迂回はまた、患者の利尿を促進し、心不全患者で典型的に観察される体液過剰の症状を軽減するのに役立つ。
【0061】
さらに、提供されるステントは、従来のステントグラフトよりも効果的に長期の変位力に対抗するために、患者の大動脈壁又は他の空洞へのステントの固定を強化し得る全体構造を有する。従来の血管内ステントグラフトは、典型的には動脈瘤を処置し、このようなグラフトの中間部分は、典型的には、大動脈の管腔直径が動脈瘤のレベルで広がるため、患者の大動脈壁に半径方向力を殆ど又は全く及ぼさない。従って、従来のステントグラフトの近位端及び遠位端のみが、典型的には、半径方向力を介してステントの脱落を防ぐ。逆に、一貫した外径を有する本開示のステントグラフトの構造は、ステントグラフト本体のより広い部分が大動脈壁の周縁と接触することを可能にし、従って、ステントグラフト本体のより広い部分がステントの移動及びエンドリーク発生の防止に寄与することを可能にする。さらに、本開示のステントグラフトは、周囲が実質的に一貫しており、異なる治療用途で使用される他の典型的な先細状ステントと比較した場合、製造をより容易にすることが可能になる。提供されるステントグラフトはまた、電池又は何らかの他の電源を必要としないパッシブ装置でもある。
【0062】
いくつかの実施の例では、腎器官に対する利益の最大化を支援するために、提供されるステントは、両方の腎動脈の近位セグメントに展開される2つのバルーン拡張型末梢ステントと組み合わせて使用され得る。このような実施の例は、血流調節を強化するために腎動脈の個々のベースライン直径を増加させ得る。従って、上記の長所を考慮して、提供されるステントを従来の臨床レジメンプロトコールで実施することによって、提供されるステントは、短期及び長期にわたるCHF患者におけるより効果的な血行動態安定化のための現在の標準治療を補完し得る。
【0063】
本開示はまた、尿失禁の予防に役立つ処置を提供する。提供されるステントグラフトのいくつかの実施形態は、患者の尿道内への挿入に適している。ステントグラフトのこのような実施形態は、ステントグラフトの上流の流体圧力が閾値を満たすまで、流体がステントグラフトを通過するのを防ぐ。従って、ステントグラフトは、患者の尿失禁につながる、弱まっている可能性がある、又は患者が制御を失っている可能性がある患者の尿道括約筋の機能を置き換え得る。例えば、患者が排尿する必要がない場合、ステントグラフトは閉じられ、尿が通過するのを防ぐ。しかし、患者の膀胱が尿で満たされ、患者が排尿する必要があると、尿の静水圧が上昇し、これによりステントグラフトが開かれ、尿が通過できるようになる。このようにして、提供されるステントグラフトは、尿失禁の予防に役立ち得る。
【0064】
提供されるステントグラフトを患者の尿道に挿入するための外科的手順は、スリング外科的手順よりも時間が著しく短い。提供されるステントグラフトはまた、もはや必要とされないか、又はそうでなければ外植される必要がある場合、より容易に除去可能でもある。さらに、提供されるステントグラフトは、金属フレームワイヤ又は他の適切な医療グレード材料とともにファブリックで構築され得、従ってメッシュインプラントで生じ得る合併症を排除する。
【0065】
図1A及び
図1Bは、それぞれ、本開示の一態様によるステントグラフト例の斜視図及び側面図を示す。ステントグラフト例100は、ステントグラフト100の近位端104の開口部からステントグラフト100の遠位端102の開口部まで延在する空洞132を形成するステントフレーム130を含む。従って、流体(例えば血液)は、近位開口部に流入し、空洞を通って遠位開口部から流出し得る。ステントフレーム130は、ファブリック又は他の適切な医療グレード材料の単一片から形成され得る。ステントフレーム130は、代替的に、互いに接続されるファブリック又は他の適切な医療グレード材料の複数片から形成され得る。例えば、いくつかの例では、ステントフレーム130は、ポリウレタン、ポリエステル若しくはポリテトラフルオロエチレンのうちの1つ又はそれらの組み合わせから形成され得る。いくつかの例では、ステントフレーム130の材料の厚さは0.05~0.90mmであり得る。ステントグラフト例100は、様々な例において、15~100mmの範囲の近位端104から遠位端102までの長さを有し得る。
【0066】
ステントグラフト例100はまた、ステントフレーム130の周囲の周りに延在する1つ以上のシールフレームワイヤ110A、110Bも含み得る。1つ以上のシールフレームワイヤ110A、110Bは、その最大の周囲長で、例えば、後述する流量制限セクション118の外側でステントフレーム130の周りに延在し得る。ステントグラフト例100は、以下で詳細に記載される1つ以上の固定フレームワイヤ116を含み得る。例えば、ステントグラフト100は、ステントグラフト100の近位端104及び遠位端102の一方又は両方において固定フレームワイヤ116を含み得る。ステントグラフト例100はまた、流量制限セクション118内でステントフレーム130の周囲の周りに延在する複数の流量制限フレームワイヤ112A、112B、114も含み得る。以下、流量制限フレームワイヤ112A、112B、114についてもより詳細に説明する。明確にするために、流量制限セクション118内のフレームワイヤの一部のみが、例示される図面上で参照番号により示されていることを理解されたい。
【0067】
ステントフレーム例130は、流量制限セクション118又は小葉状閉塞部(lobular obstruction)を含むように形成される。流量制限セクション118内で、空洞132の断面積は、近位端104の開口部の断面積に等しい近位断面積(例えば20~42mmの直径を有する)から最小断面積120まで減少し、最小断面積120から遠位端102の開口部の断面積に等しい遠位断面積まで増加する。空洞132の断面積は、最小断面積120の上流で減少し得、いくつかの例では、近位端104と最小断面積120との中間で、空洞の断面積は、近位端104の断面積の40~90%(例えば80%)である。他の例では、このような空洞中間断面積は、40~75%(例えば60%)であり得る。
【0068】
最小断面積120は、いくつかの態様では、近位端104での断面積の2~40%(例えば20%)に等しくなり得る。このような態様では、ステントグラフト100は、ステントグラフト100の最小断面積120で患者の腹部大動脈の断面積の60~98%(例えば80%)を通る血液の流れを妨げる。他の態様では、最小断面積120は、近位端104における断面積の5~20%(例えば6%)に等しくなり得る。
【0069】
空洞132の断面積は、最小断面積120の下流で増加し得、いくつかの例では、最小断面積120と遠位端102との中間で、空洞の断面積は、遠位端102の断面積の40~90%(例えば80%)である。他の例では、このような空洞中間の断面積は、40~75%(例えば50%)であり得る。近位端104と最小断面積120との間の中間の空洞132の断面積は、様々な事例において、最小断面積120と遠位端102との間の中間の空洞132の断面積に等しくなり得る。空洞132の断面積は、ステントグラフト100の長さ方向に沿って対称的に減少及び増加し得る。いくつかの態様では、近位端104の開口部の断面積は、遠位端102の開口部の断面積に等しくなり得る。
【0070】
空洞開口部が徐々に小さくなると通過可能な流体が少なくなるので、空洞132の断面積の減少によって、空洞132を通って流れる流体の流体圧力が最小断面積120の上流で上昇する。最小断面積120の上流の流体圧力の上昇は、ステントグラフト例100が患者の腹部大動脈内に挿入されるときに腎動脈に向けられる血液量を増加させるために役立ち得る。最小断面積120の下流の空洞132の断面積の増加は、ステントグラフト例100を患者の大動脈壁に固定されたままにするために役立つ。
【0071】
本開示のいくつかの態様では、ステントフレーム例130は、複数の流量制限セクション118又は小葉状閉塞部(lobular obstruction)を含むように形成され得る。例えば、ステントフレーム130は、空洞132の断面積が第1の断面積(例えば近位端104の断面積)から第2の断面積(例えば第1の最小断面積)まで減少し、第3の断面積まで増加し、第4の断面積(例えば第2の最小断面積)まで減少し、第5の断面積(例えば遠位端102の断面積)まで増加するように、2つの流量制限セクション118とともに形成され得る。第3の断面積は、第1の断面積以下であり得る。いくつかの例では、第2の断面積は、第4の断面積に等しくなり得る。複数の流量制限セクション118で形成されたステントフレーム130は、ステントグラフト100を通る血液の乱流を減少させるのに役立ち得る。複数の流量制限セクション118はまた、赤血球の分解を低減するのに役立ち得る。
【0072】
患者の心臓が収縮期及び拡張期を通して血液を周期的に拍出するので、患者の大動脈における血圧は周期的に変動する。様々な態様では、ステントグラフト例100は、空洞132が最小断面積120で拡張可能であるように形成される。例えば、ステントフレーム130は、流体圧力の変化に応答して屈曲可能な材料(例えばポリウレタン及びポリエステル)から形成され得る。フレームワイヤ110A、110B、112A、112B、114は、形状記憶材料(例えばニチノール)など、その形状を屈曲させて保持することが可能な材料から形成され得る。様々な例では、ステントグラフト例100は、患者の大動脈内に配置されたときに、最小断面積120(例えば45mm2)が収縮期中の近位開口部の断面積(例えば225mm2)の2~30%(例えば20%)に等しくなるように形成され得る。しかし、拡張期の間、最小断面積120(例えば67.5mm2)は、近位開口部の断面積の4~40%(例えば30%)に等しい。様々な例では、ステントグラフト100は、患者の大動脈内に配置されるとき、最小断面積120の上流のステントグラフト100の内側の血圧が収縮期中に90~150mmHgであり、拡張期中に50~100mmHgとなるように形成され得る。
【0073】
本開示の様々な態様では、ステントグラフト例100のステントフレーム130は、空洞132の断面積を減少させるために流量制限部分118に沿って空洞132へと徐々に延びる凹面106とともに形成される。
図1A及び
図1Bで示されるように、いくつかの例では、ステントフレーム130は、空洞132を通って流れる流体を空洞132の最小断面積120に流れ込ませるように、窪み部分134とともに形成され得る。しかし、他の例(例えば
図3A及び
図3B)では、ステントフレーム130は、そのような窪み部分134なしで形成され得る。
【0074】
身体活動を行うなど、患者が動き回ると、それに応じて患者の血液も患者の体内で動き回る。従って、ステントが患者の大動脈内に配置されるとき、患者の血液がステントに加える変位力は、患者の動きに基づいて変動し得る。様々な態様では、患者内のステントの望ましくない軸方向移動を制限することを支援するために、ステントグラフト例100は、流量制限部分118内のステントフレーム130及びフレームワイヤ(例えば112A、112B)が三日月形状を有するように構成される。三日月形状は、近位端104から最小断面積120まで減少し、遠位端102まで増加する、徐々に先細りするステントグラフト100を可能にする。三日月形状はまた、ステントグラフト100の外面と大動脈壁との間の接触を維持して、ステントグラフト100を定位置に固定することを支援するためにも役立つ。例えば、三日月形状は、流量制限部分118内のステントグラフト100の少なくとも一部が大動脈壁の周縁の50%以上に接触することを可能にし得る。このような例では、ステントグラフト100は、大動脈壁の逆側の端部において対立する力を及ぼし得る。対立する力は、ステントグラフト100を定位置に固定し、望ましくない軸方向の動きを防止するために役立ち得る。
【0075】
図2は、本開示の一態様による、大動脈管204内のステントグラフト例100の最小断面積202における断面
図200を示す。最小断面積202は、例えば、三日月形状のフレームワイヤ114によって維持される三日月形状を有する。最小断面積202の三日月形状は、大動脈管204の壁の50%以上に接触しないため、大動脈管壁の逆側において対立する力をかけない。ステントグラフト例100は、代わりに、ステントグラフト100を固定し、望ましくない軸方向の動きを防止することを助けるために、最小断面積120の上流及び下流のステントフレーム130及びフレームワイヤ(例えば112A、112B)に依存しており、これらは、大動脈管204の壁の50%以上に接触する。また、血液の流れが妨げられている大動脈管204の領域206も示される。代わりに、血液は、ステントグラフト例100の空洞の最小断面積202を通って流れる。
【0076】
図3A及び
図3Bは、本開示の一態様による、流端を含む最小断面積を有するステントグラフト例のそれぞれ斜視図及び側面図を示す。ステントグラフト例300は、ステントグラフト300の近位端304の開口部からステントグラフト300の遠位端302の開口部まで延在する空洞318を形成するステントフレーム316を含む。ステントフレーム例316はまた、流量制限部分320を形成するために空洞318内に延在する凹面306も含み得る。流量制限部分320は、空洞318の断面積を最小断面積308まで減少させる。ステントグラフト例300はまた、複数のフレームワイヤ310、314と、シールフレームワイヤ322と、固定フレームワイヤ312とを含み得、これについては以下でより詳細に記載する。
【0077】
図3A及び
図3Bで示されるように、ステントフレーム例316は、空洞318の最小断面積308がステントフレーム316の近位端304の外周の半分に延在するように形成される。例えば、
図3Bで示される側面図は、ステントフレーム316が、ステントグラフト例300を側面から見たときに凹面306を見ることが妨げられるように形成されることを示す。別の言い方をすれば、ステントフレーム例316は、ステントフレーム例130が形成される窪み部分134なしで形成され、代わりに流端324を有する。他の例では、ステントグラフト300は、空洞の最小断面積308がステントフレーム316の近位端304の外周の半分を超えて延在するように形成され得る。窪み部分の代わりに流端324を含むステントフレーム例316の構造は、最小断面積308におけるステントフレーム316が大動脈周縁の少なくとも50%に外向きの固定力を加えることを可能にする。窪み部分134を有するステントグラフト例100と比較した場合、追加される固定力は、患者の大動脈内に配置されたときにステントグラフト例300の動きを制限するのにさらに役立つ。
【0078】
さらに、流量制限部分320内のステントグラフト300を取り囲むフレームワイヤ310は、ステントグラフト300の外周に接触するフレームワイヤ310の部分と凹面306に接触する部分との間に、ある曲率半径を有し得る。言い換えると、流量制限部分320内のフレームワイヤ310のそれぞれは、ある曲率半径で流端324の周りで屈曲する。様々な事例では、流量制限部分320内のフレームワイヤ310のこのような曲率半径は、0.1~1.0ミリメートルであり得る。
【0079】
流端324により提供されるステントフレーム316の外周が一貫していることにより、製造効率が高くなる。例えば、ステントグラフト例100の窪み部分は、製造のためにより複雑な折り畳みパターンを必要とし得る。窪み部分をなくすことにより、ステントグラフト例300は、さらに容易かつ迅速に製造され得る。
【0080】
図4Aは、本開示の一態様による、三日月状の最小断面積の例を示す、大動脈管406内の、流端を有するステントグラフト400の断面図を例示する。大動脈管406は、ステントグラフト400が血液をその空洞の最小断面積に導くので、血液の流れが妨げられる領域408を含む。ステントグラフト例400は、空洞の例となる最小断面積が、左流端404A、中央流部402及び右流端404Bを含むように形成される。図示されるように、左流端404A及び右流端404Bのそれぞれは、中央流部402よりも広い。血液は最も抵抗の小さい経路に流れる傾向があるため、左右の流端404A、404Bの幅が大きいと、血流が左右の流端404A、404Bに導かれるようになる。このようなステントグラフト例400のいくつかの態様では、左流端404A及び右流端404Bの合わせた断面積は、総最小断面積の60~90%に等しい。例えば、いくつかの例では、左流端404A又は右流端404Bの少なくとも一方の断面積は2.1~21mm
2に等しい。
【0081】
左右の流端404A、404Bの端部における広い湾曲は、左右の流端404A、404Bにおける鋭い角と比較して、ステントグラフト400の疲労寿命を延長させるのに役立ち得る。ステントグラフト400の三日月状の角部における疲労寿命は、そのような疲労寿命を延長させることがフレームワイヤ破断のリスクを減らすのに役立ち得るため、特に重要である。フレームワイヤの破断が生じると、フレームワイヤの破断した端部の1つがステントフレームの材料を穿刺し得、従って漏出を引き起こし得る。さらに又は代替的に、フレームワイヤの破断端部の1つは、患者の大動脈の壁を穿刺し得るが、大動脈管腔から血液が漏出するため、生命を脅かし得るが、これは臨床的に大動脈解離と呼ばれる。
【0082】
しかし、様々な事例では、
図4Aで示される最小断面積を有するステントグラフト例400は、右流端404Bと比較した場合、左流端404Aを通ってより多くの血液が流れ得るか、又はその逆もあり得る。このような事例では、患者の下肢の一方には、他方と比較してより多くの血液が流れ得、これは、下肢が受ける血液量が少なくなる血液循環の合併症につながり得るため望ましくない。
【0083】
様々な態様では、提供されるステントグラフトは、患者の下肢のそれぞれの間で血液をより均一に分布させるのを助けるために、左右の流動部よりも広い中央部を含み得る。
図4Bは、本開示の一態様による、三日月状の最小断面積の例を示す、大動脈管430内の、流端を有するステントグラフト例420の断面図を例示する。大動脈管430は、ステントグラフト420が血液をその空洞の最小断面積に導くので、血液の流れが妨げられる領域432を含む。ステントグラフト420は、空洞の最小断面積の例が、左流端424A、中央流部422及び右流端424Bを含むように形成される。図面で示されるように、中央流部422は、左流端424A及び右流端424Bのそれぞれよりも広い。血液は最も抵抗の小さい経路に流れる傾向があるため、中央流部422の幅が大きくなると、血流は中央流部422に導かれることになる。血流を中央流部に導くことは、下肢への不均一な血液分布に関して起こり得る上述の問題を制限するのに役立ち得る。例えば、血液を単一の中央部分に向けることによって、血液は患者の下肢のそれぞれの間でより均一に分布し得る。均一な血液分布はまた、ステントグラフト例420が患者内でどのように配向されるかによって補助され得、これについては以下でより詳細に説明する。
【0084】
様々な態様では、中央流部422を形成するステントフレームの部分は、大動脈管430の壁に接触するステントフレームの外周から離れるように湾曲する内壁426を含み得る。内壁426がステントフレームの外周から離れるように湾曲することにより、中央流部422を左流端424A及び右流端424Bよりも広くすることが可能になる。いくつかの例では、内壁426は、0.01~3.00mmの曲率半径を有し得る。内壁426はまた、左流端424A及び右流端424Bをそれぞれ形成するステントフレームの部分のそれぞれの個々の内壁と一体的に形成され得るか、又はこれらに接続され得る。ステントフレームは、内壁426がそれぞれ左流端424A及び右流端424Bの内壁と交わる各折り畳み軸428A、428Bで折り畳みまれ得る。折り目によって、中央流部422が左流端424A及び右流端424Bよりも広く拡張することが可能になる。いくつかの事例では、個々の折り畳みの角度は、60~270度であり得、角度が大きいほど、中央流部422が狭くなるようになる。
【0085】
しかし、様々な例では、患者の血圧は収縮期と拡張期との間で脈打つので、血流は、ステントグラフト例420の空洞の最小断面積にわたって一貫性がないものであり得る。例えば、一部の事例では空洞が拡張し得るため、血液は、意図されたものよりも多く左流端424A及び/又は右流端424Bに流れることがあり得るか、又は上述のように左及び右流端424A及び424Bとの間で不均一に流れ得る。いくつかの事例では、ステントグラフト例420を通る一貫性のない血流によって、その結果、一貫性のない血液体積が腎臓に向け直され、及び/又は患者の下肢に向けられることになり得る。
【0086】
様々な態様では、提供されるステントグラフトは、空洞の内壁を外側ステントフレーム周囲に最小断面積で接続するブリッジを含み得る。ブリッジは、ステントグラフトがその最小断面積で均一に一貫して拡張するのを助けることによって血流の一貫性を提供するのに役立ち得る。
図4Cは、本開示の一態様による、ブリッジを有する三日月状の最小断面積の例を示す、大動脈管448内の、流端を有するステントグラフト440の断面図を例示する。大動脈管448は、ステントグラフト440が血液をその空洞の最小断面積に導くので、血液の流れが妨げられる領域450を含む。ステントグラフト440は、空洞の最小断面積例が、左流端444A、中央流部442及び右流端444Bを含むように形成される。左流端444A及び右流端444Bのそれぞれは、ステントグラフト例420の左流端424A及び右流端424Bの鋭い折り目と比較した場合、外周ステントフレーム周囲からの折り目がより鈍い。他の例では、ステントグラフト例440は、ステントグラフト例420に関して示される鋭い折り目を含み得るか、又は、ステントグラフト例420は、ステントグラフト例440に関して例示されるより鈍い折り目を含み得る。
【0087】
ステントグラフト例440は、ブリッジ446A及び446Bをさらに含む。ブリッジ446A、446Bは、大動脈管448の壁に接触するステントフレームの外周をステントフレームの内壁452に接続する。内壁452は、ステントフレーム外周ととともに空洞を形成する。いくつかの事例では、ステントグラフト例440は、例示されるように、2つのブリッジ446A、446Bを含み得る。例えば、ブリッジ446Aは、左流端444Aと中央流部442との間の折り畳み軸で内壁452をステントフレーム外周に接続し得る。同様に、ブリッジ446Bは、右流端444Bと中央流部442との間の折り畳み軸で内壁452をステントフレーム外周に接続し得る。他の例では、ステントグラフト440は、単一のブリッジ又は2つを超えるブリッジを含み得る。いくつかの態様では、ブリッジ446A、446Bは、空洞の最小断面積で内壁452をステントフレーム外周に接続するのみである。他の態様では、ブリッジ446A、446Bは、ステントのより大きな部分(例えばステントの全長)に延在し得、ブリッジ446A、446Bが延在する長さに沿って内壁452をステントフレームの外周に接続し得る。
【0088】
内壁452をステントフレーム外周に固定するブリッジ446A、446Bを含むことは、ステントグラフト例440の空洞が最小断面積においてより一貫して均一に拡張するのに役立ち得る。より一貫した均一な拡張は、ステントグラフト例420に関連して起こり得る上記の一貫性のない及び/又は不均一な血流の問題を制限するのに役立ち得る。例えば、ブリッジ446A、446Bは、ステント材料が曲がることを依然として可能にしながら、空洞の一方の側が他方の側よりもはるかに大きく拡張するのを防止することによって、空洞の断面積をより一貫して維持する。しかし、一部の例では、左流端444A及び右流端444Bなどの細長い空間を通って流れる血液に加えられるせん断応力は、溶血のリスク上昇を引き起こし得る。
【0089】
さらに、本開示のステントグラフト(例えばステントグラフト440)は、患者の下肢に流れる血液体積を減少させているので、身体は、それに応じて患者の腹部大動脈を拡張させ得る。別の言い方をすれば、下半身への血流を増加させようとするために腹部大動脈を拡張することによって、身体は、開示されるステントグラフトによって引き起こされる上半身と下半身との間の血流の不均衡な分布として認識されるものを補正しようとする。腹部大動脈が拡張するにつれて、大動脈壁に対して径方向の圧力を及ぼす開示されるステントグラフトは、大動脈壁との接触を維持するように構造変化(例えば拡張)を受ける。構造変化は、開示されるステントグラフトが大動脈壁に適合するように伸長するにつれて、開示されるステントフレーム空洞の内壁と外壁との間の空間をますます狭くし得る。空洞は、最小断面積で特に狭くなり得、さらにより具体的には流端(例えば流端444 A及び444B)で狭くなり得る。最小断面積での空洞がますます狭くなることにより、本開示のステントグラフトを通って流れる血液に課されるせん断応力がさらに上昇し得、従って溶血のリスクがさらに上昇し得る。
【0090】
様々な態様では、提供されるステントは、溶血のリスクを低減するのを助けるために縫合閉鎖される左右の流端を含み得る。
図4Dは、本開示の一態様による、流端が縫合閉鎖された三日月状の最小断面積の例を示す、大動脈管466内の、流端を有するステントグラフト460の断面図を例示する。大動脈管466は、ステントグラフト460が血液をその空洞の最小断面積に導くので、血液の流れが妨げられる領域468を含む。ステントグラフト460は、空洞の最小断面積の例が、左流端464A、中央流部462及び右流端464Bを含むように形成される。例示されるように、左流端464Aは、血液が左流端464Aを通って流れるのを防止するように縫合閉鎖される。同様に、右流端464Bは、血液が右流端464Bを通って流れるのを防止するように縫合閉鎖される。例えば、ステントフレームの内壁470は、ステントフレームの外周に縫合され得、これは左流端464A及び右流端464Bのそれぞれにおいてそれぞれ大動脈管466の壁に接触する。様々な例では、使用される縫合糸は、適切なファブリック(例えばポリウレタン又はポリエステル)から形成され得る。
【0091】
左右の流端464A、464Bを縫合して閉鎖し、血液がそれらを通って流れるのを防止することによって、血液は中央流部462のみに導かれる。従って、溶血リスクを上昇させ得る細長い空間を通って血液が流れることが防止される。従って、ステントグラフト例460の構造は、溶血リスクを低下させるのに役立ち得る。さらに、縫合閉鎖される左右の流端464A、464Bは、大動脈壁に対して半径方向力を提供することによって、患者の大動脈内の中央流部462を安定させるのに役立ち得る。提供される半径方向力は、流れる血液からの力に起因するステントのずれを防止するために役立ち得る。従って、左右の流端464A、464Bを完全に排除するのではなく、左右の流端464A、464Bが縫合閉鎖されたステントグラフト例460は、左右の流端464A、464Bがないステントよりも大動脈内でより安定化され得る。別の言い方をすれば、縫合閉鎖された左右の流端464A、464Bを含むことにより、より詳細に上述したように、ステントグラフト例460の最小断面積におけるその外周が大動脈壁の少なくとも50%に接触して、望ましくない軸方向の動きを防止するのに役立つ固定力を提供することが可能になる。
【0092】
しかし、いくつかの事例では、縫合閉鎖される左右の流端464A、464Bは、縫合閉鎖された左右の流端464A、464Bで血液の貯留を引き起こし得る。例えば、空洞を通って縫合閉鎖される左右の流端464A、464Bに流れる血液は、連続することが妨げられるが、空洞を通り、中央流部462を通って真っ直ぐに流れる血液によって及ぼされる力により、中央流部462を通って流れることもある程度防止され得る。従って、血液は、縫合閉鎖される左右の流端464A、464Bに貯留し得、これにより、空洞の最小断面積の上流で血圧が所望の上昇よりも大きくなり得る。血液貯留はまた、貯留位置でステントフレームワイヤに接続されるステントグラフト460のファブリックの疲労も引き起こし得る。例えば、貯留される血液は、その位置でファブリックに応力を加える。ファブリック疲労は、いくつかの状況において、ファブリックの断裂及びステントグラフト460の破損につながり得る。
【0093】
様々な態様では、提供されるステントグラフトは、縫合閉鎖される左右の流端での血液貯留の防止を促進するために、空洞の最小断面積の上流に縫合線を含み得る。縫合線は、空洞を通って流れる血液を空洞の最小断面積の中央流部に徐々に導くか、又はそこに流し込むのに役立ち得、それにより、縫合閉鎖される左右の流端への血液の到達が防止されるようになる。
図5Aは、本開示の一態様による、血液を中央流部に流し込むための縫合線510Aを含むステントグラフト例500Aを示す。ステントグラフト例500は、近位端504及び遠位端502を含む。ステントグラフト例500は、ステントフレーム材料の外壁514をステントフレーム材料の内壁512に接続する縫合線510Aを含み得る。1つの縫合線510Aのみが示されており、左流端への血液の到達を防止している一方で、ステントグラフト例500Aはまた、その他方の側に縫合線510Aも含み得、右流端への血液の到達を防ぎ得ることが認められよう。材料の外壁514及び材料の内壁512は、流体が縫合線510Aを通過することを防ぐように接続され得る。いくつかの例では、外壁514及び内壁512は、それらを互いに縫合する材料によって接続され得る。他の例では、外壁514及び内壁512は、接着材料、ステープルなどの他の適切な手段によって縫合線510Aに沿って接続され得る。さらに他の例ではまた、外壁514及び内壁512は、縫合線510 Aで接続されるのではなく、互いに一体化され得る。例えば、縫合線510Aは、外壁514と内壁512との間の折り目であり得る。
【0094】
図面で示されるものなどの様々な態様では、縫合線510Aは、空洞の最小断面積におけるフレームワイヤ506とフレームワイヤ506の上流の次の隣接するフレームワイヤ508との間に延在し得る。他の態様では、縫合線510Aは、ステントフレームのより大きい部分、例えばフレームワイヤ508の上流の次のフレームワイヤまで延在し得る。縫合線510Aはまた、隣接するフレームワイヤ間の全距離よりも短く延在し得る。縫合線510Aは、図示の例のようなものなど、ステントフレームの縁部から流端が中央流部と交わる点まで直線状に延在し得る。他の例では、縫合線510Aは、凸状又は凹状の曲線などの他の適切な形状をとり得る。
【0095】
本開示の他の態様では、提供されるステントグラフトは、ステントグラフトの左右の流端に血液を導き易くするために、空洞の最小断面積の上流に縫合線を含み得る。例えば、ステントグラフトが流端(例えば
図4A)を有する三日月状の最小断面積を含む態様では、空洞の中央部分よりも大きい断面積を有する流端に血流を導くことが望ましいものであり得る。このように血流を導くことは、血液に加えられるせん断応力の低減に役立ち得、従って、このようなステントグラフト構造における溶血リスクの低減に役立ち得る。
図5Bは、本開示の一態様による、流端に血液を流し込むための縫合線例510Bを含むステントグラフト500Bを示す。縫合線例510Bは、上下逆さまの「V」の形状であり、ステントグラフト500Bの正中線に「V」の点を有する。他の例では、縫合線510Bは、2つの凹線を有する上下逆さまの「V」又は単一の凸線などの他の適切な形状をとり得る。
【0096】
材料の外壁514及び材料の内壁512は、流体が縫合線510Bを通過することを防ぐように接続され得る。いくつかの例では、外壁514及び内壁512は、それらを互いに縫合する材料によって接続され得る。他の例では、外壁514及び内壁512は、接着材料、ステープルなどの他の適切な手段によって縫合線510Bに沿って接続され得る。他の例ではまた、外壁514及び内壁512は、縫合線510ABで接続されるのではなく、互いに一体化され得る。例えば、縫合線510Bは、外壁514と内壁512との間の折り目であり得る。図面で示される態様などの様々な態様では、縫合線510Bは、空洞の最小断面積のフレームワイヤ506と、フレームワイヤ506の上流の次の隣接するフレームワイヤ508との間に延在し得る。他の態様では、縫合線510Bは、ステントフレームのより大きい部分、例えばフレームワイヤ508の上流の次のフレームワイヤまで延在し得る。縫合線510Bはまた、隣接するフレームワイヤ間の全距離よりも短く延在し得る。
【0097】
上述されるように、提供されるステントグラフトは、ステントグラフトフレーム周囲の周りに延在する複数のフレームワイヤを含み得る。
図6は、本開示の一態様による、ステントフレームワイヤ例600の斜視図を示す。ステントフレームワイヤ例600は、波状波又は正弦波を有するように示される。様々な例では、ステントフレームワイヤ600は、記載されるフレームワイヤ(例えば固定フレームワイヤ116、312、シールフレームワイヤ110A、110B、322又は流量制限フレームワイヤ112A、112B、114、310、314)の何れかの形状をとるように形成され得る。いくつかの例では、提供されるステントグラフト上のそれぞれ個々のステントフレームワイヤ600の直径は、0.3~0.8mmである。ステントフレームワイヤ600は、ニチノールなどの形状記憶材料から構成され得る。形状記憶材料は、収縮期及び拡張期を通じた患者の心臓周期の血圧変化中に、提供されるステントグラフトが拡張し、その静止形状に戻ることを可能にする。
【0098】
いくつかの態様では、提供されるステントグラフト上の個々のフレームワイヤのそれぞれは、波状である少なくとも一部を含む。例えば、
図1A及び
図1Bを参照すると、ステントグラフト例100は、ステントグラフト例100の長さ方向に沿って軸の方向に波打つシールフレームワイヤ110A及び110Bを含み得る。シールフレームワイヤ110A及び110Bは、ステントフレーム130の周りに延在するとき、それらの全周囲に沿って波打ち得る。シールフレームワイヤ110A及び110Bは、血液がステントと患者の大動脈壁との間に染み出し得る、管周囲の漏洩発生の防止に役立ち得る。例えば、シールフレームワイヤ110A及び110Bは、心臓が血液を送り出すときに心臓から来る周期的な血圧/流れに起因する大動脈の周期的な拡張及び収縮とともに動き得る。
図3A及び
図3Bを参照して、同じ説明がシールフレームワイヤ322にも等しく適用され得る。
【0099】
ステントグラフト例100はまた、流量制限部分118内のステントフレーム130周囲長の周りに延在する流量制限フレームワイヤ112A、112B及び114も含み得る。流量制限フレームワイヤ112A、112B及び114は、ステントフレーム130の外周の周りに延在しながらステントグラフト例100の長さ方向に沿った軸の方向に波打ち得るが、凹面106に沿って延在しながらその方向に対して垂直に湾曲する湾曲部(例えば湾曲部分136)を含み得る。例えば、凹面106は、空洞へと延在し、従って、ステントフレーム130の周囲長に沿って延在し、流量制限フレームワイヤ112A、112B及び114の湾曲部分もその方向に延在し得る。従って、流量制限フレームワイヤ112A、112B、114は、ステントグラフト例100の長さ方向に沿った軸から見下ろしたときに三日月状である。例えば、起伏部及び湾曲部は、三日月形状を形成する。いくつかの例では、凹面106に沿って延在する流量制限フレームワイヤ112A、112B及び114の湾曲部分は、ステントフレーム130の周囲に沿ってさらに波打ち得る。ステントフレームワイヤ112A、112B及び114は、ステントグラフト例100の流量制限セクション118内の空洞132の断面積減少を維持するための支持を提供し得る。各流量制限フレームワイヤ112A、112B、114の波状部分はまた、提供されるステントグラフトが患者の大動脈壁に対して放射状に拡張するようにし得る。
【0100】
いくつかの態様では、1つ以上の流量制限フレームワイヤ112A、112B、114は、血圧の変化に応答してそれらの形状が一定のままである静的構造を有し得る。他の態様では、1つ以上の流量制限フレームワイヤ112A、112B、114は、血圧の変化に応答して拡張及び収縮するように構成され得る。例えば、各流量制限フレームワイヤ112A、112B、114の波状部分は患者の大動脈壁に対して固定されるため、各流量制限フレームワイヤ112A、112B、114の湾曲部分は、血圧の変化に応答してその湾曲を変化させ得、これにより、空洞の断面積を増減させる。例えば、湾曲部分は、血圧の上昇に応答してより平坦になり得、血流及び血圧の低下に応答してその静止時の湾曲に戻り得る。湾曲部分が平坦になると、波状部と湾曲部との間の空間、ひいては空洞が大きくなる。湾曲部がその曲率を変化させる量は、流量制限フレームワイヤの直径に依存し得る。例えば、より厚いフレームワイヤはより剛性であり得、従って、フレームワイヤがその形状を変化させるためにはより大きな血圧を必要とし得る。
【0101】
いくつかの例では、1つ以上の流量制限フレームワイヤ112A、112B、114は、その静止状態において、波状部分及び湾曲部分が空洞を完全に閉じるように構成され得る。このような例では、閾値圧力以上の血圧が流量制限フレームワイヤ112A、112B、114の波状部分と湾曲部分とを引き離すまで、血液は流量制限セクションを通って流れ得ない。いくつかの例では、最小断面積120の流量制限フレームワイヤ114は、空洞を完全に閉じる唯一の流量制限フレームワイヤであり得る。形状変更湾曲部を含む流量制限フレームワイヤの上述の構造は、それに対して弁としての性質がより大きく、上半身の低血圧がより顕著であり、長期補正がより緊急に必要である慢性低血圧症に寄与するか又はそれによって引き起こされる患者状態を管理するために適用され得る。流量制限フレームワイヤ112A、112B、114に関する上記の説明は、
図3A及び
図3Bを参照して流量制限フレームワイヤ310、314にも等しく適用され得る。
【0102】
いくつかの例では、提供されるステントグラフトは、空洞の最小断面積でステントフレーム周囲の周りに延在する複数の流量制限フレームワイヤ114を含み得る。
図7は、本開示の一態様による、空洞の最小断面積の周りに2本の流量制限フレームワイヤを含むステントグラフト例700の正面図を示す。ステントグラフト例700は、流量制限セクションを形成する凹面702及び空洞の最小断面積704を含む。ステントグラフト例700はまた、内側ステントフレームワイヤ706及び内側ステントフレームワイヤ706の周囲長に配置される外側ステントフレームワイヤ708も含み得る。例えば、内側ステントフレームワイヤ706及び外側ステントフレームワイヤ708は、それらがいくつかの点で交差するように例示のように波打ち得る。一例において、内側ステントフレームワイヤ706及び外側ステントフレームワイヤ708は、実質的に90度の角度で交差し得る。
図7は、明確にするために、ステントグラフト例700上の内側ステントフレームワイヤ706及び外側ステントフレームワイヤ708のみを示しており、ステントグラフト例700は、本開示で論じられる様々な態様の全てを含み得ることを理解されたい。
【0103】
他の例では、ステントグラフト例700は、空洞の最小断面積704に2本を超えるフレームワイヤ、例えば、外側ステントフレームワイヤ708の周りに配置される第3のフレームワイヤを含み得る。いくつかの態様では、ステントグラフト700は、空洞の最小断面積704のみではなく、内側ステントフレームワイヤ706及び外側ステントフレームワイヤ708を有し得る。例えば、凹面702の流量制限セクション内の流量制限フレームワイヤの複数又は全ては、内側ステントフレームワイヤ706及び外側ステントフレームワイヤ708を含み得る。このような流量制限フレームワイヤはまた、外側ステントフレームワイヤ708の周りに配置される第3のフレームワイヤなど、2本を超えるフレームワイヤも含み得る。
【0104】
様々な態様では、内側ステントフレームワイヤ706及び外側ステントフレームワイヤ708は両方とも、ニチノールなどの形状記憶材料から構成され得る。外側ステントフレームワイヤ708の形状記憶転移温度(例えば40℃)は、内側ステントフレームワイヤ706の形状記憶転移温度(例えば35℃)よりも高いものであり得る。いくつかの例では、患者のうっ血性心不全が進行し、その結果、提供されるステントグラフトが最初に患者の大動脈内に挿入されたときよりも患者の腎臓への血流がさらに少なくなり得る。内側ステントフレームワイヤ706及び外側ステントフレームワイヤ708の形状記憶転移温度が異なることにより、空洞の最小断面積704をさらに縮小させて、最小断面積704の上流の血圧をさらに上昇させ、さらなる血液を腎動脈及び腎臓に流すようにし易くなり得る。ステントグラフト700が最小断面積704を取り囲む2本を超えるステントフレームワイヤを含む例では、外側ステントフレームワイヤ708を取り囲む第3のステントフレームワイヤは、外側ステントフレームワイヤ708の転移温度よりも高い転移温度(例えば42℃)を有し得る。第3のステントフレームワイヤを取り囲む第4のステントフレームワイヤは、第3のステントフレームワイヤよりも高い転移温度(例えば45℃)を有し得、以下同様である。
【0105】
例えば、患者の平均体温は37.5℃であり得、これは、内側ステントフレームワイヤ706の形状記憶転移温度(例えば35℃)より高いが、外側ステントフレームワイヤ708の形状記憶転移温度(例えば40℃)より低い。従って、内側ステントフレームワイヤ706の形状記憶特性は活性化されているが、外側ステントフレームワイヤ708については活性化されていない。上述したように、患者のうっ血性心不全が進行すると、外側ステントフレームワイヤ708に40℃以上の温度で熱を加えて、その形状記憶特性を活性化し得る。例えば、外側ステントフレームワイヤ708の形状記憶特性を活性化することにより、外側ステントフレームワイヤ708を所望の形状に収縮させて、内側ステントフレームワイヤ706及びステントフレームを収縮させ、それにより、空洞の最小断面積704を減少させるようになり得る。次に、外側ステントフレームワイヤ708は、発生する可能性が低い非常に低い温度(例えば15℃)に達するまで所望の収縮した形状のままである。熱は、例えば拡張可能なバルーンを介したカテーテルに基づく熱アブレーションによって、又はステントグラフト例700が患者内に留まることを可能にする他の適切な方法によって、外側ステントフレームワイヤ708に適用され得る。
【0106】
本開示のいくつかの態様では、提供されるステントグラフトは、ステントグラフト例100(
図1)の固定フレームワイヤ116及びステントグラフト例300(
図3)の固定フレームワイヤ312などの固定フレームワイヤを含み得る。
図3で示されるように、固定フレームワイヤ312及びステントグラフト例300を参照するが、この説明は固定フレームワイヤ116にも適用されることを認められたい。固定フレームワイヤ312は、波打ち、ステントフレーム316の外周を越えて外向きに延び得る。固定フレームワイヤ312の外側への延長は、ステントグラフト300を大動脈壁に固定するのに役立ち、血液変位力によるステントグラフト300のずれを防ぎ得る。例示される例において、ステントグラフト300は、その近位端304で固定フレームワイヤ312を含む。いくつかの例では、ステントグラフト300は、追加的又は代替的に、その遠位端302で固定フレームワイヤ312を含み得る。
【0107】
本開示のいくつかの態様では、提供されるステントグラフトは、無線経皮圧力モニタを含み得る。無線経皮圧力モニタは、例えば、ステントグラフトがステントグラフトの上流で所望の血圧を生成させている場合及び/又はステントグラフトの下流で満足のいく血圧を生じさせている場合に、ステントグラフトが患者にどのように影響を及ぼしているかを医療専門家が計測するのに役立ち得る。医療従事者は、このような情報を使用して、上述のように、外側ステントフレームを有効にし、さらにステントグラフトを制限するか否かなど、患者の処置計画に関する判断を行い得る。
【0108】
無線経皮圧力モニタは無線であり得る。これはまた、外部装置からの高周波エネルギーによって電力供給され得る。圧力モニタは、その近位端及び/又はその遠位端の近くで、提供されたステントグラフトと一体化され得る。いくつかの事例では、圧力モニタは、ファブリック又は金属縫合、磁石又は機械的クリップホルダに基づいてステントグラフトと一体化され得る。機械的クリップホルダは、ホルダの一端のステントグラフト上のフレームワイヤに固定し得、ホルダの他端で圧力モニタに取り付け得る。
【0109】
図8は、本開示の一態様による、提供されるステントグラフトが患者800の腹部大動脈内に挿入された患者800を示す。ステントグラフト例820は、腎動脈804A、804Bの下及び総腸骨動脈808A、808Bからの分岐部の上で腹部大動脈802内に挿入されて示される。腎動脈804A及び804Bは、それぞれ腎臓806A及び806Bに通じる。腹腔動脈(celiac trunk artery)810及び上腸間膜動脈812も示される。ステントグラフト820の配置例は、ステントグラフト820の上流で血圧を上昇させることを可能にする。血圧上昇は、ステントグラフト820を有さない患者800と比較したとき、増加した血液体積が腎臓806A、806Bに向けられるように、腎動脈804A、804Bのより完全な充満を引き起こすのに役立ち得る。
【0110】
ステントグラフト820は、例示されるように、空洞の最小断面積が患者800の左側と右側との間に均等に分布した状態で、腹部大動脈802内に配向され得る。例えば、空洞の最小断面積が患者800の左側に向けられている場合、血液は患者800の左側の総腸骨動脈808Bに流れる可能性がより高く、従ってその結果、下肢への血液の不均一な分布が生じ得る。ステントグラフト820はまた、例示されるように、空洞の最小断面積の中央流部が腹部大動脈の後方に向けられた状態で配向され得る。後方配向は、腎臓806A、806Bに血流を導くのに役立ち得る。例えば、中央流部が腹部大動脈の前部に向けられて配向される場合、血液は、腹部大動脈の前部に位置する腹腔動脈(celiac trunk artery)810及び/又は上腸間膜動脈812に流れる可能性がより高くなり得る。いくつかの例では、ステントグラフト820は、患者800の腹部大動脈802内でステントグラフト820を適切に位置合わせする際に医療専門家を支援するのに役立つ放射線不透過性マーカーを含み得る。
【0111】
本開示のいくつかの例では、提供されるステントグラフトは、血流を導くためのグラフト分岐部を含み得る。
図9A及び9Bは、本開示の一態様による、グラフト分岐部を含むステントの例の、それぞれ正面図及び透視図を示す。ステントグラフト例900は、近位端904及び遠位端902を有するステントフレーム932を含む。ステントグラフト例900はまた、ステントグラフト900を通って延在する空洞の最小断面積915も含み得る。空洞と流体連通している腎グラフト分岐部930A及び930Bは、ステントフレーム932から延び得る。このような例では、ステントグラフト900は、それぞれ個々の腎グラフト分岐部930A及び930Bが個々の腎動脈内に配置されるように、患者の腹部大動脈内に配置され得る。腎グラフト分岐部930A及び930Bは、腎グラフト分岐部930A及び930Bが腎動脈内に挿入されるため、血流を腎臓へとより明確に導くのに役立ち得る。腎グラフト分岐部930A及び930Bはまた、ステントグラフト900の本体を腹部大動脈内に固定するためにも役立ち得る。
【0112】
ステントグラフト900は、空洞と流体連通している1つ以上の第2のグラフト分岐部をさらに含み得る。例えば、ステントグラフト900は、第2のグラフト分岐部925A及び第2のグラフト分岐部925Bを含み得る。第2のグラフト分岐部は流体体積減少部分を含み得る。流体体積減少部分は、第2のグラフト分岐部に流体体積減少部分がなかった場合よりも多くの血液が腎グラフト分岐部930A、930Bに流れるように、第2のグラフト分岐部の下流で液圧上昇を生じさせ得る。例えば、流体体積減少部分は、第2のグラフト分岐部925Bの流体体積減少部分934など、第2のグラフト分岐部に沿って断面積が減少する第2のグラフト分岐部の一部であり得る。
【0113】
ステントグラフト900が第2のグラフト分岐部を含むこのような事例では、ステントグラフト900は、腎グラフト分岐部930A及び930Bが個々の腎動脈内に配置されるとき、第2のグラフト分岐部925Aが上腸間膜動脈内に配置され得、第2のグラフト分岐部925Bが腹腔動脈(celiac trunk artery)内に配置され得るように構成され得る。いくつかの例では、ステントグラフト900は、第2のグラフト分岐部925A、925Bの一方のみを含み得る。第2のグラフト分岐部925A、925Bは、上腸間膜動脈及び腹腔動脈(celiac trunk artery)への血流をより明確に導くのに役立ち得る。第2のグラフト分岐部925A、925Bはまた、ステントグラフト900を腹部大動脈内に固定するのにも役立ち得る。
【0114】
患者は、いくつかの事例では、患者の胸部大動脈における患者の肋間動脈分岐部への望ましくない体積の血流を有し得る。例えば、空洞の最小断面積の上流にある提供されるステントグラフトによってもたらされる血圧上昇によって、患者の肋間動脈分岐部への望ましくない体積の血流が生じ得る。いくつかの例では、肋間動脈分岐部への望ましくない体積の血流を防ぎ易くするために、提供されるステントグラフトが患者の胸部大動脈から患者の腹部大動脈まで延在し得る。このような例において、ステントグラフトは、肋間動脈分岐部への血液の流入を防止する遮断スリーブを含み得る。
【0115】
本開示の様々な態様では、提供されるステントグラフトは、尿失禁がある患者の処置を支援するために適したものであり得る。
図10は、本開示の一態様による、患者の尿道内での配置に適したステントグラフト例1000の等角図を示す。ステントグラフト例1000は、ステントグラフト1000の近位端1004の開口部からステントグラフト1000の遠位端1002の開口部まで延在する空洞1116を形成するステントフレーム1118を含む。従って、流体(例えば尿)は、近位開口部に流入し、空洞を通って遠位開口部から流出し得る。
【0116】
ステントグラフト1000は、近位開口部1004においてステントフレーム1118の周囲の周りに延在する固定フレームワイヤ1012を含み得る。固定フレームワイヤ116及び312に関する上記の説明は、患者の尿道内へのステントグラフト1000の固定に適していることを除いて、固定フレームワイヤ1012に等しく適用され得る。ステントグラフト1000はまた、ステントフレーム1118の周囲の周りに延在するシールフレームワイヤ1010も含み得る。シールフレームワイヤ110A、110B及び322に関する上記の説明は、ステントグラフト1000と尿道壁との間の尿漏れの防止に適していることを除いて、シールフレームワイヤ1010に等しく適用され得る。
【0117】
ステントグラフト1000はまた、遠位開口部1002においてステントフレーム1118の周囲の周りに延在する流量制限フレームワイヤ1008も含み得る。流量制限フレームワイヤ1008は、流量制限フレームワイヤ112A、112B、114、310及び314に関連して上記で記載されるように、流体(例えば尿)圧力の変化に応答して伸縮するように構成される。流量制限フレームワイヤ1008はまた、流量制限フレームワイヤ112A、112B、114、310及び314に関連して上記でまた記載されるように、静止状態にあるときに空洞を完全に閉じるように構成される。閾値圧力(例えば20mmHg)以上の流体圧力が流量制限フレームワイヤ1008の波状部分及び湾曲部分を引き離すまで、流体(例えば尿)がステントグラフト1000の空洞を通って流れることが妨げられる。様々な事例において、閾値圧力はおよそ10~40 mmHgであり得る。従って、流量制限フレームワイヤ1008は、患者が排尿する必要がないときに尿が通過することを防ぐが、患者の膀胱が十分に満たされ、患者が排尿する必要があるときに尿が通過することを可能にするために適用され得る、それに対する弁の性質を有する。
【0118】
流量制限フレームワイヤ1008を開くために必要な閾値圧力は、流量制限フレームワイヤ1008の直径に依存し得る。例えば、より厚いフレームワイヤはより剛性であり得、従って、流量制限フレームワイヤ1008がその形状を変化させるためにより大きな流体圧力を必要とし得る。従って、流量制限フレームワイヤ1008の直径を、特定の患者に適するように適合させ得る。様々な例では、流量制限フレームワイヤ1008の直径は、0.05~0.5ミリメートルであり得る。例えば、流量制限フレームワイヤ1008の直径は0.1ミリメートルであり得る。
【0119】
さらに、上記構造では、流量制限フレームワイヤ1008の波状部分が患者の尿道壁に接触する。しかし、流量制限フレームワイヤ1008の湾曲部分は、患者の尿道壁に接触しない。この構造により、医療従事者は、ステントグラフト1000を取り外すことが望まれる状況で、ステントグラフト1000を取り外す際に、器具(例えばピンセット)を用いて流量制限フレームワイヤ1008の湾曲部分を把持することが可能になる。尿道壁に接触しない湾曲部分を医療従事者が把持することを可能にすることは、器具から患者の尿道壁への偶発的な損傷を防ぐことに役立つ。
【0120】
ステントグラフト例1000は、空洞1116の断面積が近位端1004での断面積から遠位端1002での最小断面積1114まで減少するように構築され得る。様々な例において、近位端1004におけるステントグラフト1000の直径はおよそ9.5~17ミリメートルであり得る。ステントグラフト1000の直径は、患者の尿道内でのステントグラフト1000のずれを防ぐために外向きの半径方向力を利用するために、患者の尿道の直径と比較しておよそ20~30%大きいものであり得る。最小断面積1114は、上述の最小断面積の三日月状構造などの三日月形状であり得る。このような態様では、ステントフレーム1118は、空洞1116の断面積を減少させるために空洞1116へと延在する凹面1006を含む。上述のように、流量制限フレームワイヤ1008は、静止状態でステントグラフト1000の空洞を完全に閉鎖し得、従って、静止状態でのステントグラフト1000の最小断面積はゼロに等しい。閾値静水圧が流量制限フレームワイヤ1008を拡張させると、最小断面積は、様々な事例において、尿が患者の身体を通過して出ることを可能にするために、およそ8~530mm2に等しい断面積まで拡張し得る。
【0121】
血液とは異なり、尿は凝固せず、従って、尿は血液に関して上述したものと同じせん断応力の懸念を共有しない。尿はせん断応力の厄介な問題の影響を受けにくいため、ステントグラフト1000は、様々な事例において、上記のうっ血性心不全適応とは異なる最小断面積で構築され得る。例えば、
図11は、本開示の一態様による、尿道1104内での拡張状態のステントグラフト例1000の最小断面積1102における断面の例1100を示す。尿は、せん断応力の懸念及び血液に付随する溶血のリスクなく、狭い空間を通って流れ得、従って、
図11で例示されるような空洞とともに構築されるステントグラフトは、尿失禁の処置を助けるために本開示の適応において患者にリスクをもたらさない。
【0122】
ステントグラフト例1000はまた、最小断面積1102における空洞がカール部分1106A、1106Bを含むようにも構成され得る。カール部分1106A、1106Bがないと、ステントグラフト1000の鋭い縁部により、尿道1104の壁を穿刺するリスクが増大し得る。例えば、尿の液圧がステントグラフト1000を拡張させるのに十分である場合、液圧は尿道1104の直径も拡張させる。尿の液圧が低下すると、尿道1104の直径が小さくなり、ステントグラフト1000が収縮し、これによりステントグラフト1000の鋭い端部による尿道1104の壁の穿刺が起こり得る。カール部分1106A、1106Bは、ステントグラフト1000が拡張及び収縮するときに、ステントグラフト1000の鋭い端部が尿道1104の壁に接触することを防ぐことによって、尿道1104の壁の穿刺の防止に役立つ。
【0123】
さらに、尿はせん断応力の懸念を示さないので、ステントグラフト例1000は、提供されるステントグラフトのうっ血性心不全適応に関して上述したように徐々に先細状にすることなく構成され得る。別の言い方をすれば、ステントグラフト1000は、最小断面積1114の後に、空洞1116の断面積が最小断面積1114まで徐々に減少することなく、及び徐々に増加することなく、又は全く増加することなく構築される。代わりに、ステントグラフト1000は、空洞1116の断面積が近位端1004での断面積から遠位端1002での最小断面積1114まで急激に減少するように構築され得る。これは、患者の尿道内に挿入されるので、有利であり、ステントグラフト例1000は、うっ血性心不全を処置するために腹部大動脈に配置することに適したステントグラフト(例えばステントグラフト100及び300)よりも小さい。例えば、尿失禁は女性において最も頻度が高く、女性患者の尿道の平均長はおよそ4センチメートルである。女性患者は男性患者よりも尿道長が短い。従って、空洞1116の断面積を急激に減少させることにより、ステントグラフト1000をより短くし、患者の尿道内に適合可能にすることができるようになる。様々な例において、ステントグラフト1000は、長さが5~40ミリメートルであり得る。
【0124】
ステントグラフト例1000のさらなる利点は、尿失禁の一種である過活動膀胱がある患者を特に助け得る。患者は2つの尿道括約筋を有し、1つは膀胱頸部にあり、2つ目は尿道のさらに下方にある。第1の尿道括約筋は、尿が膀胱内に十分な程度まで蓄積した後に尿が通過可能になるように開く。第2の尿道括約筋は、患者が排尿を望むので患者が意識的にそれを開くことを選択したときに開く。2つの括約筋の間の尿道壁に隣接して、感覚陰部神経を含む豊富な神経叢があり、これは、尿が存在することを感知して膀胱に信号を送る。過活動膀胱を有する患者では、陰部神経から受信した信号に膀胱が過剰反応する。膀胱からのこの過剰反応は、患者に本来よりも頻繁に排尿しなければならないように感じさせ、患者が排尿を望まないときに患者に不本意に尿漏れを引き起こし得る。
【0125】
過活動膀胱を有する患者の処置を助けるために、ステントグラフト例1000は、2つの括約筋間の患者の尿道の長さを延長させる長さで構成され得る。このような事例では、ステントグラフト例1000は、尿が2つの括約筋間の尿道壁に直接曝されるのを防ぎ、従って排尿中にステントグラフト1000を通る尿の通過を可能にすることによって陰部神経の刺激を和らげる。陰部神経の刺激を弱めることにより、ステントグラフト1000は、患者の膀胱の過剰刺激を防ぐために役立つ。
【0126】
いくつかの例では、患者の2つの尿道括約筋間の距離は、ステントグラフト1000を収容するのに十分に大きくなくてもよい。このような事例では、ステントグラフト1000は、ステントフレーム1118がシールフレームワイヤ1010と流量制限フレームワイヤ1008との間にさらなる距離を延ばすように構成され得る。例えば、ステントグラフト1000が患者の尿道内に配置される場合、このようなさらなる距離によって、固定フレームワイヤ1012及びシールフレームワイヤ1010が2つの尿道括約筋間の尿道内に存在することが可能になり、流量制限フレームワイヤ1008が第2の尿道括約筋の反対側に存在し、さらに患者の尿道を下ることが可能になる。
【0127】
この構造は、それが尿道括約筋内に配置されるべきものである場合、流量制限フレームワイヤ1008が第2の尿道括約筋の残留機能と相互作用することを回避する。流量制限フレームワイヤ1008が尿道括約筋内に配置された場合、括約筋の剰余収縮は、流量制限フレーム1008及び従ってステントグラフト1000の位置ずれを生じさせ得る。従って、シールフレームワイヤ1010と流量制限フレームワイヤ1008との間のステントフレーム1118におけるさらなる距離は、流量制限フレーム1008を第2の尿道括約筋よりも患者の尿道のさらに下方に配置することによって、流量制限フレームワイヤ1008と第2の尿道括約筋との間の相互作用の防止に役立つ。
【0128】
本明細書中で使用される場合、「約(about)」、「およそ(approximately)」及び「実質的に(substantially)」は、数値範囲内の数字、例えば、言及される数字の-10%~+10%、好ましくは言及される数字の-5%~+5%、より好ましくは言及される数字の-1%~+1%、最も好ましくは言及される数字の-0.1%~+0.1%の範囲を指すと理解される。
【0129】
さらに、本明細書中の全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数、全体又は一部分を含むと理解されるべきである。さらに、これらの数値範囲は、その範囲中の何らかの数又は数のサブセットを対象とする請求項に対する裏付けを提供すると解釈されるべきである。例えば、1から10の開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲を支持すると解釈されるべきである。
【0130】
さらなる詳述がなくても、当業者は、特許請求される発明を最大限に利用するために前述の説明を使用し得ると考えられる。本明細書中で開示される実施例及び実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。論じた基本原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に変更を加え得ることは、当業者には明らかであろう。換言すれば、上記の説明で具体的に開示される実施形態の様々な修正及び改良は、添付の特許請求の範囲内にある。例えば、記載された様々な実施形態の特徴の何らかの適切な組み合わせが企図される。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。