(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】出庫支援システム及び出庫支援方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/00 20060101AFI20221024BHJP
E04H 6/12 20060101ALI20221024BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20221024BHJP
H04W 4/021 20180101ALI20221024BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221024BHJP
【FI】
E04H6/00 A
E04H6/12 A
E04H6/18 601A
E04H6/18 601G
H04W4/021
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2018141372
(22)【出願日】2018-07-27
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】399069060
【氏名又は名称】株式会社ニッセイコム
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】三木 隆司
(72)【発明者】
【氏名】外崎 由似
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-172947(JP,A)
【文献】特開2003-150992(JP,A)
【文献】特開2002-030823(JP,A)
【文献】特開2018-112048(JP,A)
【文献】特開2018-044423(JP,A)
【文献】特開2019-027054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
H04W 4/021
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが用いる情報端末から送信された、駐車車両を出庫する意思があることを示す出庫意思通知を受信する受信部と、
前記駐車車両に対応する駐車場の周辺に設けられた所定エリアに前記情報端末が位置するか否かを判定する判定部と、
前記判定部により、前記所定エリアに前記情報端末が位置すると判定された場合に、前記駐車車両に対応するパレットを搬送するように指示するメッセージを、前記駐車場を制御する駐車場制御装置に送信するメッセージ送信部と、
を備
え、
前記所定エリアは、少なくとも、近距離無線通信の通信可能範囲及び前記駐車場からの距離のいずれかにより画定され、
前記メッセージ送信部は、
前記近距離無線通信の通信可能範囲により画定される第1のエリアに前記情報端末が位置すると前記判定部により判定された場合に、前記駐車車両に対応するパレットを、前記駐車場の乗降室に搬送するように指示するメッセージを、前記駐車場制御装置に送信し、
前記駐車場からの距離により画定され、前記第1のエリアよりも広い第2のエリアに前記情報端末が位置すると前記判定部により判定された場合に、前記駐車車両に対応するパレットを、前記駐車場の乗降室に搬入するための準備エリアに搬送するように指示するメッセージを、前記駐車場制御装置に送信する、
出庫支援システム。
【請求項2】
ユーザを特定するユーザIDに対応付けて、ユーザが利用可能な車両を特定する車両IDを一つ以上記憶させる第1の記憶部と、
前記車両が駐車場に駐車している間に載せられている前記パレットを特定するパレットIDを含む車両情報を、前記車両IDに対応付けて記憶させる第2の記憶部と、
前記情報端末から送信されたログイン情報に含まれる前記ユーザIDに基づいて特定される前記車両情報を、前記情報端末に送信する車両情報送信部と、
をさらに備え、
前記出庫意思通知には、少なくとも、前記情報端末に送信した前記車両情報のうちユーザにより選択された前記車両情報に対応する前記車両ID、及び前記ユーザIDが含まれ、
前記メッセージ送信部は、前記出庫意思通知に含まれる前記車両IDに対応付けて記憶されている前記パレットIDを、前記パレットを搬送するように指示するメッセージに含めて前記駐車場制御装置に送信する、
請求項1記載の出庫支援システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記駐車場の乗降室に出入りする扉を開くための所定操作が前記情報端末において行われたか否かを、さらに判定し、
前記メッセージ送信部は、前記判定部により、前記所定操作が前記情報端末において行われたと判定された場合に、前記駐車場の乗降室に出入りする扉を開けるように指示するメッセージを前記駐車場制御装置に送信する、
請求項1
又は2記載の出庫支援システム。
【請求項4】
前記所定操作は、少なくとも、前記情報端末において前記駐車場の乗降室に出入りする扉を開けるように指示する操作、及び所定の非接触ICカードと前記駐車場の乗降室に出入りする扉を開ける際に操作する操作盤に設けられたリーダ/ライタとの間で無線通信を行わせる操作のいずれかである、
請求項
3記載の出庫支援システム。
【請求項5】
プロセッサにより実行される出庫支援方法であって、
ユーザが用いる情報端末から送信された、駐車車両を出庫する意思があることを示す出庫意思通知を受信する受信ステップと、
前記駐車車両に対応する駐車場の周辺に設けられた所定エリアに前記情報端末が位置するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記所定エリアに前記情報端末が位置すると判定された場合に、前記駐車車両に対応するパレットを搬送するように指示するメッセージを、前記駐車場を制御する駐車場制御装置に送信するメッセージ送信ステップと、
を含
み、
前記所定エリアは、少なくとも、近距離無線通信の通信可能範囲及び前記駐車場からの距離のいずれかにより画定され、
前記メッセージ送信ステップは、
前記近距離無線通信の通信可能範囲により画定される第1のエリアに前記情報端末が位置すると前記判定ステップにおいて判定された場合に、前記駐車車両に対応するパレットを、前記駐車場の乗降室に搬送するように指示するメッセージを、前記駐車場制御装置に送信し、
前記駐車場からの距離により画定され、前記第1のエリアよりも広い第2のエリアに前記情報端末が位置すると前記判定ステップにおいて判定された場合に、前記駐車車両に対応するパレットを、前記駐車場の乗降室に搬入するための準備エリアに搬送するように指示するメッセージを、前記駐車場制御装置に送信する、
出庫支援方法。
【請求項6】
ユーザを特定するユーザIDに対応付けて、ユーザが利用可能な車両を特定する車両IDを一つ以上記憶する第1の記憶装置と、前記車両が駐車場に駐車している間に載せられている前記パレットを特定するパレットIDを含む車両情報を、前記車両IDに対応付けて記憶する第2の記憶装置と、を参照し、前記情報端末から送信されたログイン情報に含まれる前記ユーザIDに基づいて、前記車両情報を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおいて特定された前記車両情報を、前記情報端末に送信する車両情報送信ステップと、
をさらに含み、
前記出庫意思通知には、少なくとも、前記情報端末に送信した前記車両情報のうちユーザにより選択された前記車両情報に対応する前記車両ID、及び前記ユーザIDが含まれ、
前記メッセージ送信ステップは、前記出庫意思通知に含まれる前記車両IDに対応付けて記憶されている前記パレットIDを、前記パレットを搬送するように指示するメッセージに含めて前記駐車場制御装置に送信する、
請求項
5記載の出庫支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出庫支援システム及び出庫支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
都心部の商業施設等では、限られたスペースを有効に活用するために、機械式駐車場が設置されている。下記特許文献1には、車両を格納するための複数の格納棚を有する格納層を複数形成した機械式駐車場が開示されている。この機械式駐車場では、車両を入出庫する際に、車両をパレットに載せ、エレベータや台車を用いてパレットを移動させることで、車両を搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された機械式駐車場では、車両を搬送する際にエレベータや台車を用いてパレットを移動させるため、駐車した車両を出庫する際に、出庫を指示してから車両が乗降室に搬入されるまでに時間がかかってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、駐車場から出庫する際に要する時間を短縮することができる出庫支援システム及び出庫支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る出庫支援システムは、ユーザが用いる情報端末から送信された、駐車車両を出庫する意思があることを示す出庫意思通知を受信する受信部と、前記駐車車両に対応する駐車場の周辺に設けられた所定エリアに前記情報端末が位置するか否かを判定する判定部と、前記判定部により、前記所定エリアに前記情報端末が位置すると判定された場合に、前記駐車車両に対応するパレットを搬送するように指示するメッセージを、前記駐車場を制御する駐車場制御装置に送信するメッセージ送信部と、を備える。
【0007】
上記態様において、ユーザを特定するユーザIDに対応付けて、ユーザが利用可能な車両を特定する車両IDを一つ以上記憶させる第1の記憶部と、前記車両が駐車場に駐車している間に載せられている前記パレットを特定するパレットIDを含む車両情報を、前記車両IDに対応付けて記憶させる第2の記憶部と、前記情報端末から送信されたログイン情報に含まれる前記ユーザIDに基づいて特定される前記車両情報を、前記情報端末に送信する車両情報送信部と、をさらに備え、前記出庫意思通知には、少なくとも、前記情報端末に送信した前記車両情報のうちユーザにより選択された前記車両情報に対応する前記車両ID、及び前記ユーザIDが含まれ、前記メッセージ送信部は、前記出庫意思通知に含まれる前記車両IDに対応付けて記憶されている前記パレットIDを、前記パレットを搬送するように指示するメッセージに含めて前記駐車場制御装置に送信することとしてもよい。
【0008】
上記態様において、前記所定エリアは、少なくとも、近距離無線通信の通信可能範囲及び前記駐車場からの距離のいずれかにより画定されることとしてもよい。
【0009】
上記態様において、前記メッセージ送信部は、前記近距離無線通信の通信可能範囲により画定される第1のエリアに前記情報端末が位置すると前記判定部により判定された場合に、前記駐車車両に対応するパレットを、前記駐車場の乗降室に搬送するように指示するメッセージを、前記駐車場制御装置に送信することとしてもよい。
【0010】
上記態様において、前記メッセージ送信部は、前記駐車場からの距離により画定され、前記第1のエリアよりも広い第2のエリアに前記情報端末が位置すると前記判定部により判定された場合に、前記駐車車両に対応するパレットを、前記駐車場の乗降室に搬入するための準備エリアに搬送するように指示するメッセージを、前記駐車場制御装置に送信することとしてもよい。
【0011】
上記態様において、前記判定部は、前記駐車場の乗降室に出入りする扉を開くための所定操作が前記情報端末において行われたか否かを、さらに判定し、前記メッセージ送信部は、前記判定部により、前記所定操作が前記情報端末において行われたと判定された場合に、前記駐車場の乗降室に出入りする扉を開けるように指示するメッセージを前記駐車場制御装置に送信することとしてもよい。
【0012】
上記態様において、前記所定操作は、少なくとも、前記情報端末において前記駐車場の乗降室に出入りする扉を開けるように指示する操作、及び所定の非接触ICカードと前記駐車場の乗降室に出入りする扉を開ける際に操作する操作盤に設けられたリーダ/ライタとの間で無線通信を行わせる操作のいずれかであることとしてもよい。
【0013】
本発明の他の態様に係る出庫支援方法は、プロセッサにより実行される出庫支援方法であって、ユーザが用いる情報端末から送信された、駐車車両を出庫する意思があることを示す出庫意思通知を受信する受信ステップと、前記駐車車両に対応する駐車場の周辺に設けられた所定エリアに前記情報端末が位置するか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて前記所定エリアに前記情報端末が位置すると判定された場合に、前記駐車車両に対応するパレットを搬送するように指示するメッセージを、前記駐車場を制御する駐車場制御装置に送信するメッセージ送信ステップと、を含む。
【0014】
上記他の態様において、ユーザを特定するユーザIDに対応付けて、ユーザが利用可能な車両を特定する車両IDを一つ以上記憶する第1の記憶装置と、前記車両が駐車場に駐車している間に載せられている前記パレットを特定するパレットIDを含む車両情報を、前記車両IDに対応付けて記憶する第2の記憶装置と、を参照し、前記情報端末から送信されたログイン情報に含まれる前記ユーザIDに基づいて、前記車両情報を特定する特定ステップと、前記特定ステップにおいて特定された前記車両情報を、前記情報端末に送信する車両情報送信ステップと、をさらに含み、前記出庫意思通知には、少なくとも、前記情報端末に送信した前記車両情報のうちユーザにより選択された前記車両情報に対応する前記車両ID、及び前記ユーザIDが含まれ、前記メッセージ送信ステップは、前記出庫意思通知に含まれる前記車両IDに対応付けて記憶されている前記パレットIDを、前記パレットを搬送するように指示するメッセージに含めて前記駐車場制御装置に送信することとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、駐車場から出庫する際に要する時間を短縮することができる出庫支援システム及び出庫支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る出庫支援システムの構成を例示する図である。
【
図2】出庫支援システムの機能構成を例示する図である。
【
図3】ユーザ情報データベースに格納されるユーザ情報のデータ構成を例示する図である。
【
図4】車両情報データベースに格納される車両情報のデータ構成を例示する図である。
【
図5】情報端末が出庫支援サーバに出庫意思通知を送信する際の手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図6】出庫支援サーバが情報端末から出庫意思通知を受信したときの手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図7】出庫支援装置が出庫支援サーバから出庫意思通知を受信したときの手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図8】
図7に示す所定操作対応処理の手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図9】
図8に示す乗降室対応処理の手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図10】
図7、8に示す第1のエリア対応処理の手順の一例を説明するフローチャートである。
【
図11】
図7、9に示す第2のエリア対応処理の手順の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは同一又は同様の構成を有する。
【0018】
図1を参照し、実施形態に係る出庫支援システムの構成について説明する。出庫支援システムは、例えば、出庫支援サーバ1と、出庫支援装置2とを備える。出庫支援装置2は、機械式駐車場3ごとに設けられる。
【0019】
出庫支援サーバ1は、例えばクラウドベースのサーバであり、情報端末4を操作するユーザに関するユーザ情報とユーザが利用可能な車両に関する車両情報とを紐付けて管理する。出庫支援サーバ1は、車両を出庫する意思があることを示す出庫意思通知を情報端末4から受信した場合に、その車両が駐車されている機械式駐車場3を特定し、特定した機械式駐車場3に対応して設けられた出庫支援装置2に、出庫意思通知及び情報端末4の位置情報等を送信する。出庫支援サーバ1の詳細については後述する。
【0020】
出庫支援装置2は、出庫支援サーバ1から受信した出庫意思通知及び情報端末4の位置情報等に基づいて、車両を載せたパレットの搬送を指示するメッセージを、機械式駐車場3を制御する駐車場制御装置に送信する。出庫支援装置2の詳細については後述する。
【0021】
機械式駐車場3は、例えば、ユーザが乗車又は降車するための乗降室と、駐車する車両を格納する格納棚と、車両を搬送するパレットと、パレットを含む駐車場の各種設備を制御する駐車場制御装置と、を含んで構成される。パレットは、駐車場制御装置からの制御信号に従って、乗降室と車両を格納する格納棚(車両格納スペース)との間を、車両を載せて移動できるように機械的に構成されている。
【0022】
情報端末4は、例えば、スマートフォン等の端末装置であり、ユーザが用いる端末装置である。ここで、情報端末4は、スマートフォンに限定されず、例えば、タブレット端末、携帯情報端末、ノートPC(パーソナルコンピュータ)等の可搬型の端末装置を適宜用いることができる。
【0023】
図2を参照して、出庫支援サーバ1について説明する。出庫支援サーバ1は、機能的な構成として、例えば、制御部11と、通信部12とを有し、制御部11が参照等するユーザ情報データベース13及び車両情報データベース14を備える。出庫支援サーバ1は、物理的な構成として、例えば、CPU(プロセッサ)及びメモリを含む制御ユニット、通信ユニット、並びに記憶ユニット等を備えて構成される。CPUがメモリに格納された所定のプログラムを実行することにより、制御部11及び通信部12等の各機能が発現する。
【0024】
ユーザ情報データベース(第1の記憶部)13は、ユーザに関するユーザ情報を記憶する。
図3に示すように、ユーザ情報には、例えば、ユーザID、パスワード、氏名、決済方法、車両ID、車両種別及びホーム駐車場が含まれる。車両ID、車両種別及びホーム駐車場は、一つのユーザIDに対し、複数組登録することができる。また、同一の車両IDを、複数のユーザIDに対して登録することができる。これにより、例えば営業車のように、1台の車両を複数のユーザが共同して利用する車両についても管理することができる。
【0025】
ユーザIDは、ユーザを特定する情報である。決済方法は、駐車場の利用料金を決済する手段であり、例えば、クレジットカード、非接触ICカード、現金等が該当する。車両IDは、出庫支援システム内でユニークな情報であり、車両を特定する情報である。車両IDとして、例えば、車台番号やナンバープレートの番号等を登録することができるが、出庫支援システム内でユニークとなる情報を付与して登録することとしてもよい。車両種別は、車両の種別であり、例えば、自宅用、営業車、レンタカー等が該当する。ホーム駐車場は、その車両が本拠とする駐車場である。
【0026】
車両情報データベース14(第2の記憶部)は、ユーザが利用可能な車両に関する車両情報を記憶する。
図4に示すように、車両情報には、例えば、車両ID、車両種別、入出庫状態、駐車場ID、パレットID、駐車場種別、入庫時刻、駐車時間、料金及び出庫意思ユーザIDが含まれる。車両IDにより、ユーザ情報と車両情報とが紐付けられる。車両情報のデータ項目は、車両種別又は駐車場種別ごとに特有のデータ項目を設けることができる。
【0027】
入出庫状態は、車両が入庫状態であるか、出庫待状態であるか、出庫状態であるかを識別するための情報である。入出庫状態には、入庫状態、出庫待状態及び出庫状態の他に、任意のステータスを適宜追加することができる。駐車場IDは、駐車場を特定する情報である。パレットIDは、駐車場に駐車する車両を載せたパレットを特定する情報である。このパレットIDと駐車場IDとを合わせて、パレットIDと呼ぶこととしてもよい。駐車場種別は、駐車場の種別であり、例えば、時間貸し、月極め等が該当する。出庫意思ユーザIDは、後述する出庫意思通知を送信したユーザに対応するユーザIDである。
【0028】
図2の説明に戻る。出庫支援サーバ1の通信部(受信部)12は、情報端末4から送信される、ログイン情報、情報端末4の現在位置情報及び出庫意思通知を受信する。ログイン情報は、出庫支援システムにログインする際にユーザにより入力される情報であり、例えばユーザID及びパスワードを含む。なお、パスワードに替えて指紋認証等の個人を認証可能な情報を用いることができる。出庫意思通知は、駐車場から車両を出庫する意思をユーザが示す際に情報端末4から送信されるメッセージである。出庫意思通知には、例えば、ユーザID、車両ID、情報端末4の現在位置情報及び決済方法が含まれる。情報端末4の現在位置情報は、例えば、情報端末4のGPS(global positioning system)機能を利用して取得され、出庫意思通知が送信されてから出庫が完了するまでの間、所定の間隔で情報端末4から出庫支援サーバ1に送信される他、ログイン時及び出庫意思通知の送信時に情報端末4から出庫支援サーバ1に送信される。
【0029】
出庫支援サーバ1の制御部(車両情報特定部)11は、情報端末4から送信されるログイン情報に含まれるユーザIDに基づいて、ユーザ情報データベース13及び車両情報データベース14を参照し、ユーザIDに対応する車両情報を特定する。
【0030】
出庫支援サーバ1の通信部(車両情報送信部)12は、制御部11により特定された車両情報を、情報端末4に送信する。送信した車両情報は、情報端末4の画面に一覧表示される。一覧表示される車両情報は、ユーザの現在位置から距離が近い順に表示させることとしてもよいし、駐車場に駐車された時間が現時点から近い順に表示させることとしてもよい。一覧表示される車両情報のうち、入出庫状態が“入庫”である車両情報は、ユーザが選択して出庫の意思を示し、出庫意思通知を送信させることができる一方、入出庫状態が“出庫”又は“出庫待”である車両情報は、出庫の意思を示す対象として選択することができないようにしてもよい。
【0031】
ここで、例えば営業車のように、1台の車両を複数のユーザで共用する場合、複数のユーザが同じ車両をユーザ情報データベース13に登録することになる。この場合、複数のユーザの情報端末4に、同じ車両の車両情報が表示され、それぞれの情報端末4から早い者勝ちで出庫の意思を示すことができるようにしてもよい。以下に、具体的に説明する。
【0032】
例えば、AさんとBさんとが同じ車両を営業車として登録した場合、その営業車の車両情報は、Aさん、Bさん双方の情報端末4に表示される。その営業車が駐車場に駐車されている間は、Aさん、Bさんともに、各自の情報端末4からその営業車の出庫の意思を示すことができる。Aさん、Bさんのいずれかがその営業車の出庫の意思を示すと、他者はその営業車の出庫の意思を示すことができなくなるようにしてもよい。
【0033】
出庫支援サーバ1の制御部(駐車場特定部)11は、情報端末4から送信される出庫意思通知に含まれる車両IDに基づいて、車両情報を参照し、車両IDに対応する車両が駐車されている機械式駐車場3及びパレットIDを特定する。これにより、複数のユーザが同一の車両を共同して利用する場合であっても、出庫意思通知に含まれる車両IDに基づいて、駐車しているパレットIDを特定することができる。
【0034】
出庫支援サーバ1の制御部(駐車場情報付加部)11は、情報端末4から送信された出庫意思通知に、車両情報に含まれるパレットID等の駐車場に関する情報を付加する。
【0035】
出庫支援サーバ1の通信部(送信部)12は、制御部11により特定された機械式駐車場3に対応する出庫支援装置2に対し、パレットID等を付加した出庫意思通知を送信する。通信部(送信部)12は、出庫意思通知を送信してから出庫が完了するまでの間、情報端末4の現在位置情報を所定の間隔で出庫支援装置2に送信する。この現在位置情報に加え、車両情報を特定可能な情報(例えばパレットID等)を送信することとしてもよい。また、現在位置情報の替りに、機械式駐車場3と情報端末4との間の距離D4(
図1参照)を出庫支援装置2に送信することとしてもよい。この距離D4は、機械式駐車場3の位置と情報端末4の現在位置とを用いて算出することができる。
【0036】
図2の出庫支援装置2について説明する。出庫支援装置2は、機能的な構成として、例えば、制御部21と、通信部22と、記憶部23と、を有する。出庫支援装置2は、物理的な構成として、例えば、CPU及びメモリを含む制御ユニット、通信ユニット、並びに記憶ユニット等を備えて構成される。CPUがメモリに格納された所定のプログラムを実行することにより、制御部21及び通信部22等の各機能が発現する。
【0037】
出庫支援装置2の通信部(受信部)22は、出庫意思通知を出庫支援サーバ1から受信する。また、通信部(受信部)22は、出庫意思通知を受信してから出庫が完了するまでの間、情報端末4の現在位置情報を所定の間隔で出庫支援サーバ1から受信する。記憶部23は、出庫意思通知に対応するパレットID、ユーザID及び位置情報等を含む出庫意思情報を一時的に格納するテーブルを有する。
【0038】
出庫支援装置2の制御部(判定部)21は、出庫意思通知に対応する機械式駐車場3の周辺に設けられた所定エリアに情報端末4が位置するか否かを判定する。通信部(メッセージ送信部)22は、制御部21により、所定エリアに情報端末4が位置すると判定された場合に、駐車車両に対応するパレットを搬送するように指示するメッセージ(以下、「パレットの搬送指示メッセージ」ともいう。)を、機械式駐車場3の駐車場制御装置に送信する。パレットの搬送指示メッセージには、出庫意思通知に含まれるパレットIDが含まれる。
【0039】
所定エリアとして、例えば、
図1に示す、近距離無線通信の通信可能範囲により画定されるエリア(以下、「第1のエリア」ともいう。)Raと、機械式駐車場3からの距離Dbにより画定され、第1のエリアRaよりも広いエリア(以下、「第2のエリア」ともいう。)Rbと、を設けることができる。所定エリアとして、上記双方のエリアを設けることとしてもよいし、一方のエリアのみを設けることとしてもよい。近距離無線通信として、例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)等を採用することが好ましい。
【0040】
情報端末4が第1のエリアRaに位置するか否かは、例えば、駐車場制御装置が情報端末4との間で近距離無線通信の通信路が確立されているか否かにより判定することができる。具体的に、近距離無線通信の通信路が確立されている場合に、情報端末4が第1のエリアRaに位置すると判定する一方、近距離無線通信の通信路が確立されていない場合に、情報端末4が第1のエリアRaに位置していないと判定する。
【0041】
情報端末4が第2のエリアRbに位置するか否かは、例えば、機械式駐車場3の位置と情報端末4の現在位置との間の距離D4が、所定距離Db(
図1参照)未満であるか否かにより判定することができる。具体的に、機械式駐車場3の位置と情報端末4の現在位置との間の距離D4が所定距離Db未満である場合に、情報端末4が第2のエリアRbに位置すると判定する一方、距離D4が所定距離Db以上である場合に、情報端末4が第2のエリアRbに位置していないと判定する。ここで、所定距離Dbは、第2のエリアRbの範囲が第1のエリアRaの範囲よりも広くなるように、第2のエリアRbの範囲を設けることで定めることができる。
【0042】
図1に示す第1のエリアRa及び第2のエリアRbを用いてパレットの搬送指示メッセージの送信を制御する仕組みについて、以下に具体的に説明する。
【0043】
(1)第2のエリアRbを用いて制御する具体例:
通信部(メッセージ送信部)22は、制御部21により、情報端末4が第2のエリアRbに位置する(進入している)と判定された場合に、出庫意思通知に対応する機械式駐車場3のパレットを、乗降室に搬入するための準備エリア(以下、「乗降室搬入準備エリア」ともいう。)に搬送するように指示するメッセージを、駐車場制御装置に送信する。乗降室搬入準備エリアは、例えば、乗降室に隣接するエリアであり、乗降室と昇降ゲート等を隔てて設けられるエリアである。
【0044】
情報端末4が第2のエリアRbに進入したことを検知した場合に、車両の移動を開始させ、乗降室搬入準備エリアで車両を待機させておくことで、ユーザが機械式駐車場3に到着したときには、車両をすぐに乗降室に搬入することできる。
【0045】
(2)第1のエリアRaを用いて制御する具体例:
図2に示す出庫支援装置2の通信部(メッセージ送信部)22は、制御部21により、情報端末4が第1のエリアRaに位置する(進入している)と判定された場合に、出庫意思通知に対応する機械式駐車場3のパレットを、乗降室に搬送するように指示するメッセージを、駐車場制御装置に送信する。
【0046】
情報端末4が第1のエリアRaに進入したことを検知した場合に、車両の移動を開始させることで、ユーザが機械式駐車場3の乗降室前に到着する頃に、車両を乗降室に搬入することが可能となる。
【0047】
出庫支援装置2の制御部(判定部)21は、機械式駐車場3の乗降室に出入りする扉を開くための所定操作が情報端末4において行われたか否かを、さらに判定する。通信部(メッセージ送信部)22は、制御部21により、所定操作が情報端末4において行われたと判定された場合に、乗降室に出入りする扉を開けるように指示するメッセージ(以下、「扉開放指示メッセージ」ともいう。)を駐車場制御装置に送信する。
【0048】
所定操作として、例えば、情報端末4において機械式駐車場3の乗降室に出入りする扉を開けるように指示する操作と、情報端末4に搭載された非接触ICカードと機械式駐車場3の乗降室に出入りする扉を開ける際に操作する操作盤に設けられたリーダ/ライタとの間で無線通信を行わせる操作と、を設定することができる。所定操作として、上記双方の操作を設定することとしてもよいし、一方の操作のみを設定することとしてもよい。
【0049】
非接触ICカードとリーダ/ライタとの間で無線通信を行わせる操作を採用する場合、非接触ICカードの認証機能を利用してユーザの正当性を認証することができるため、操作盤に暗証番号を入力する手間を省くことが可能となる。なお、非接触ICカードは、情報端末4に搭載されている必要はなく、非接触ICカード単体であってもよいし、情報端末4以外の端末に搭載されている非接触ICカードであってもよい。
【0050】
次に、
図5乃至
図7を参照して、実施形態における出庫支援システムの動作について説明する。まず、
図5を参照して、情報端末4が出庫支援サーバ1に出庫意思通知を送信する際の手順の一例について説明する。
【0051】
最初に、ユーザが情報端末4を操作して出庫支援アプリを起動し、出庫支援システムへのログイン処理を実行する(ステップS101)と、情報端末4は、ユーザID及びパスワードを含むログイン情報並びに現在位置情報を出庫支援サーバ1に送信する(ステップS102)。
【0052】
続いて、情報端末4は、ユーザが登録した車両に関する車両情報を出庫支援サーバ1から受信し、画面に一覧表示する(ステップS103)。
【0053】
続いて、ユーザが情報端末4を操作し、一覧表示されている車両情報の中から、いずれかの車両情報を選択する(ステップS104)と、情報端末4は、選択された車両情報に含まれる駐車場種別が“時間貸し”であるか否かを判定する(ステップS105)。この判定がNOである場合(ステップS105;NO)には、後述するステップS107に処理を移行する。ここで、ユーザが選択できる車両情報は、一覧表示されている車両情報のうち、入出庫状態が“入庫”である車両情報となる。
【0054】
上記ステップS105で駐車場種別が“時間貸し”であると判定された場合(ステップS105;YES)に、情報端末4は、ユーザに決済方法を選択させる(ステップS106)。決済方法として、例えば、クレジットカード、非接触ICカード、現金等を選択することができる。
【0055】
続いて、情報端末4は、ユーザに出庫するか否かを選択させ(ステップS107)、ユーザが出庫しないことを選択した場合(ステップS107;NO)には、前述したステップS104に処理を移行する。
【0056】
上記ステップS107でユーザが出庫することを選択した場合(ステップS107;YES)に、情報端末4は、ユーザID、車両ID、現在位置情報及び決済方法を含む出庫意思通知を出庫支援サーバ1に送信する(ステップS108)。そして、本動作を終了する。
【0057】
図6を参照して、出庫支援サーバ1が情報端末4から出庫意思通知を受信したときの手順の一例について説明する。
【0058】
最初に、出庫支援サーバ1が出庫意思通知を情報端末4から受信する(ステップS201)と、出庫支援サーバ1は、その出庫意思通知に含まれる車両IDに基づいて、車両情報を参照し、その車両IDに対応する車両が駐車されている機械式駐車場3及びパレットIDを特定する(ステップS202)。
【0059】
続いて、出庫支援サーバ1は、上記ステップS201で受信した出庫意思通知に、上記ステップS202で特定したパレットIDを付加するとともに、特定した機械式駐車場3に対応する出庫支援装置2に対し、パレットIDを付加した出庫意思通知を送信する(ステップS203)。
【0060】
続いて、出庫支援サーバ1は、上記ステップS202で参照した車両情報に含まれる入出庫状態を“入庫”から“出庫待”に変更する(ステップS204)。そして、本動作を終了する。
【0061】
図7を参照して、出庫支援装置2が出庫支援サーバ1から出庫意思通知を受信したときの手順の一例について説明する。ここでは、出庫支援装置2に格納されたプログラムの実行方式が、イベントドリブン方式であることを前提として説明する。なお、本発明に適用可能なプログラムの実行方式はイベントドリブン方式に限定されず、例えば、リクエストリプライ方式等の他の実行方式であってもよい。
【0062】
最初に、出庫支援装置2が出庫支援サーバ1から情報を受信する(ステップS301)と、出庫支援装置2は、受信情報が出庫意思通知であるか否かを判定する(ステップS302)。この判定がYESである場合(ステップS302;YES)に、出庫支援装置2は、出庫意思通知に対応するパレットID、ユーザID及び位置情報等をテーブルに格納し、出庫意思情報として管理する(ステップS303)。そして、後述するステップS306に処理を移行する。
【0063】
上記ステップS302において、受信情報が出庫意思通知ではないと判定された場合(ステップS302;NO)に、出庫支援装置2は、情報端末4において所定操作が行われたか否かを判定する(ステップS304)。この判定がYESである場合(ステップS304;YES)に、出庫支援装置2は、非同期に所定操作対応処理を実行し(ステップS305)、その後、前述したステップS301に処理を移行する。所定操作対応処理の詳細については後述する。
【0064】
上記ステップS304において、情報端末4において所定操作が行われていないと判定された場合(ステップS304;NO)に、出庫支援装置2は、情報端末4が第1のエリアに位置するか否かを判定する(ステップS306)。この判定がYESである場合(ステップS306;YES)に、出庫支援装置2は、非同期に第1のエリア対応処理を実行し(ステップS307)、その後、前述したステップS301に処理を移行する。第1のエリア対応処理の詳細については後述する。
【0065】
上記ステップS306において、情報端末4が第1のエリアに位置しないと判定された場合(ステップS306;NO)に、出庫支援装置2は、情報端末4が第2のエリアに位置するか否かを判定する(ステップS308)。この判定がYESである場合(ステップS308;YES)に、出庫支援装置2は、非同期に第2のエリア対応処理を実行し(ステップS309)、その後、前述したステップS301に処理を移行する。第2のエリア対応処理の詳細については後述する。
【0066】
上記ステップS308において、情報端末4が第2のエリアに位置しないと判定された場合(ステップS308;NO)に、出庫支援装置2は、前述したステップS301に処理を移行する。
【0067】
図8を参照して、
図7のステップS305で実行される所定操作対応処理の手順の一例について説明する。
【0068】
最初に、出庫支援装置2は、出庫意思通知に対応する機械式駐車場3が入出庫動作中であるか否かを判定する(ステップS401)。この判定がYESである場合(ステップS401;YES)に、出庫支援装置2は、入出庫動作が完了するまで待機し(ステップS402)、前述したステップS401に処理を移行する。
【0069】
上記ステップS401において、機械式駐車場3が入出庫動作中ではないと判定された場合(ステップS401;NO)に、出庫支援装置2は、他のパレットが乗降室にあるか否かを判定する(ステップS403)。この判定がYESである場合(ステップS403;YES)に、出庫支援装置2は、乗降室対応処理を実行し(ステップS404)、非同期に第1のエリア対応処理を実行する(ステップS405)。そして、後述するステップS406に処理を移行する。乗降室対応処理及び第1のエリア対応処理の詳細については後述する。
【0070】
上記ステップS403において、他のパレットが乗降室にないと判定された場合(ステップS403;NO)に、出庫支援装置2は、自パレットが乗降室にあるか否かを判定する(ステップS406)。この判定がNOである場合(ステップS406;NO)に、出庫支援装置2は、乗降室に自パレットが搬送されるまで待機し(ステップS407)、前述したステップS406に処理を移行する。
【0071】
上記ステップS406において、自パレットが乗降室にあると判定された場合(ステップS406;YES)に、出庫支援装置2は、乗降室に出入りする扉を開ける(ステップS408)。そして、所定操作対応処理を終了する。
【0072】
ここで、出庫支援装置2は、
図8のステップS408を処理した後に、車両IDを含む出庫完了通知を出庫支援サーバ1に送信するとともに、テーブルに一時的に格納した出庫意思情報を削除する。また、出庫完了通知を受信した出庫支援サーバ1は、出庫完了通知に対応する車両情報の入出庫状態を“出庫待”から“出庫”に変更する。
【0073】
図9を参照して、
図8のステップS404で実行される乗降室対応処理の手順の一例について説明する。
【0074】
最初に、出庫支援装置2は、乗降室にある他のパレットに対応する情報端末4(以下、「他の端末装置4」ともいう。)に、所定操作を行うように促すメッセージを送信し、所定時間待機する(ステップS501)。
【0075】
続いて、出庫支援装置2は、他の端末装置4で所定操作が行われたか否かを判定する(ステップS502)。この判定がNOである場合(ステップS502;NO)に、出庫支援装置2は、非同期に他のパレットを対象にして行う第2のエリア対応処理を実行する(ステップS503)。そして、乗降室対応処理を終了する。
【0076】
上記ステップS502において、他の端末装置4で所定操作が行われたと判定された場合(ステップS502;YES)に、出庫支援装置2は、他のパレットのために、乗降室に出入りする扉を開け(ステップS504)、入出庫動作が完了するまで待機する(ステップS505)。そして、乗降室対応処理を終了する。
【0077】
図10を参照して、
図7のステップS307及び
図8のステップS405で実行される第1のエリア対応処理の手順の一例について説明する。
【0078】
最初に、出庫支援装置2は、パレットが乗降室搬入準備エリアに位置するか否かを判定する(ステップS601)。この判定がNOである場合(ステップS601;NO)に、出庫支援装置2は、乗降室搬入準備エリアにパレットを搬送するように指示するメッセージを、機械式駐車場3の駐車場制御装置に送信する(ステップS602)。そして、後述するステップS603に処理を移行する。
【0079】
上記ステップS601において、パレットが乗降室搬入準備エリアに位置すると判定された場合(ステップS601;YES)に、出庫支援装置2は、機械式駐車場3が入出庫動作中であるか否かを判定する(ステップS603)。この判定がYESである場合(ステップS603;YES)に、出庫支援装置2は、入出庫動作が完了するまで待機し(ステップS604)、前述したステップS603に処理を移行する。
【0080】
上記ステップS603において、機械式駐車場3が入出庫動作中ではないと判定された場合(ステップS603;NO)に、出庫支援装置2は、他のパレットが乗降室にあるか否かを判定する(ステップS605)。この判定がYESである場合(ステップS605;YES)に、出庫支援装置2は、乗降室対応処理を実行する(ステップS606)。そして、後述するステップS607に処理を移行する。
【0081】
上記ステップS605において、他のパレットが乗降室にないと判定した場合(ステップS605;NO)に、出庫支援装置2は、乗降室にパレットを搬送するように指示するメッセージを、機械式駐車場3の駐車場制御装置に送信する(ステップS607)。そして、第1のエリア対応処理を終了する。
【0082】
図11を参照して、
図7のステップS309及び
図9のステップS503で実行される第2のエリア対応処理の手順の一例について説明する。
【0083】
最初に、出庫支援装置2は、パレットが乗降室搬入準備エリアに位置するか否かを判定する(ステップS701)。この判定がNOである場合(ステップS701;NO)に、出庫支援装置2は、乗降室搬入準備エリアにパレットを搬送するように指示するメッセージを、機械式駐車場3の駐車場制御装置に送信する(ステップS702)。そして、第2のエリア対応処理を終了する。
【0084】
上記ステップS701において、パレットが乗降室搬入準備エリアに位置すると判定された場合(ステップS701;YES)に、出庫支援装置2は、第2のエリア対応処理を終了する。
【0085】
前述したように、実施形態における出庫支援システムによれば、ユーザが用いる情報端末4から送信された出庫意思通知を受信し、その受信した出庫意思通知に対応する機械式駐車場3の周辺に設けられた第2のエリアRb又は第1のエリアRaに情報端末4が位置するか否かを判定し、第2のエリアRb又は第1のエリアRaに情報端末4が位置すると判定された場合に、駐車車両に対応するパレットを、乗降室搬入準備エリア又は乗降室に搬送するように指示するメッセージを、機械式駐車場3を制御する駐車場制御装置に送信することができる。
【0086】
これにより、ユーザが機械式駐車場3の乗降室前に到着するまでに、車両を乗降室に搬入することが可能となる。また、情報端末4が第2のエリアRbに位置すると判定され、車両が乗降室搬入準備エリアに搬送された後に、車両の出庫がキャンセルされた場合であっても、他の車両を出庫する制御をすぐに開始することが可能となる。
【0087】
それゆえ、実施形態における出庫支援システムによれば、駐車場から出庫する際に要する時間を短縮することができる。
【0088】
また、実施形態における出庫支援システムによれば、複数のユーザが1台の車両を共同して利用する場合であっても、出庫意思通知に含まれる車両IDに基づいて、その車両に対応するパレットIDを特定することができるため、複数のユーザにより共用される車両を出庫する際に要する時間も短縮することができる。
【0089】
[変形例]
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。したがって、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、前述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、又は並列に実行することができる。
【0090】
また、前述した実施形態では、出庫支援システムを、出庫支援サーバ1と出庫支援装置2とで構成しているが、これに限定されず、例えば、それぞれが有する機能を統合し、一つのサーバ装置で構成することとしてもよいし、それぞれが有する機能を分散して、三つ以上のサーバ装置で構成することとしてもよい。
【0091】
また、出庫支援サーバ1及び出庫支援装置2の構成要素は、前述した実施形態における構成要素に限定されることなく、必要に応じて任意の構成要素を適宜追加することができる。
【0092】
また、前述した実施形態では、本発明をパレット式の駐車場に適用した場合について説明しているが、パレット式の駐車場以外にも本発明を適用することができる。例えば、コンベア式の駐車場、フォーク式の駐車場又はロック板式の駐車場にも本発明を適用することができる。コンベア式の駐車場、フォーク式の駐車場又はロック板式の駐車場に本発明を適用する場合、乗降室や乗降室搬入準備エリア等の概念がパレット式の駐車場とは異なる。それらの相違内容について以下に説明する。
【0093】
コンベア式の駐車場では、車両格納スペースに格納されている車両を、例えば、以下の手順で出庫する。(1)車両格納スペースに格納されている車両を、駐車場の各階に設けられた走行台車レーンの脇まで水平移動させる。(2)走行台車レーンに沿って水平移動する台車に車両を乗せる。(3)車両を乗せた台車を水平移動させて出庫リフトの脇まで車両を搬送する。(4)車両を出庫リフトまで水平移動させ、車両を乗せた出庫リフトを垂直移動させる。(5)出庫リフトから出庫バースまで車両を水平移動させる。
【0094】
コンベア式の駐車場に本発明を適用する場合、(5)の出庫バースが、パレット式駐車場の乗降室に相当し、(1)の走行台車レーンの脇が、パレット式駐車場の乗降室搬入準備エリアに相当する。
【0095】
フォーク式の駐車場では、車両格納スペースに格納されている車両を、例えば、以下の手順で出庫する。(1)車両が格納されている車両格納スペースがあるフロアまで入出庫リフトを垂直移動させる。(2)車両を乗せているトレイを車両格納スペースから入出庫リフトまで水平移動させる。(3)トレイを車両から外し、車両格納スペースまで水平移動させる。(4)車両を乗せた入出庫リフトを乗降フロアまで垂直移動させる。
【0096】
フォーク式の駐車場に本発明を適用する場合、(4)の乗降フロアが、パレット式駐車場の乗降室に相当し、パレット式駐車場の乗降室搬入準備エリアに相当するエリアは存在しない。したがって、フォーク式の駐車場に本発明を適用する場合には、第2のエリアRbを用いて制御する処理を省略することとなる。
【0097】
ロック板式の駐車場では、車両格納スペースに駐車している車両を、例えば、以下の手順で出庫する。(1)駐車場に設置されている精算機でユーザが駐車料金を精算する。(2)駐車料金の精算が終わると、ロック板を下降させる。
【0098】
ここで、ロック板式の駐車場は、車両格納スペースが固定されているため、パレット式駐車場の乗降室や乗降室搬入準備エリアに相当するものがない。したがって、ロック板式の駐車場に本発明を適用した場合、第2のエリアRbを用いて制御する処理及び第1のエリアRaを用いて制御する処理については省略することとなる。
【0099】
他方、ロック板式の駐車場に本発明を適用した場合、パレット式の駐車場で行う、乗降室に出入りする扉を開くための所定操作が、ロック板式の駐車場では、ロック板を下降させるための所定操作となる点で異なる。ロック板式の駐車場で行う所定操作として、例えば、情報端末4においてロック板を下降させるように指示する操作や、情報端末4に搭載された電子マネー決済機能を利用して駐車料金を決済する操作等を採用することができる。所定操作として、ロック板を下降させるように指示する操作を採用した場合、当該操作を受け付けた後に、ユーザが事前に登録したクレジットカード情報により駐車料金の決済処理を行うこととしてもよい。
【0100】
これにより、従来、ロック板式の駐車場から出庫する際に行っていた、駐車格納スペースの番号を確認することや、駐車料金を現金で清算する作業を省略することができる。それゆえ、駐車場から出庫する際に要する時間を短縮することが可能となる。
【0101】
また、前述した実施形態において、情報端末4の画面に一覧表示された車両情報のうち、入出庫状態が“出庫待”である車両情報を選択して、出庫の意思を示すことができるようにしてもよい。この場合、複数のユーザが共有する同じ車両に対して、いずれかのユーザが出庫の意思を示すと、その車両の入出庫状態が“出庫待”になる。その車両を共有する他のユーザは、その車両の入出庫状態が“出庫”になるまでは、その車両を選択して出庫の意思を示すことができる。複数のユーザが出庫の意思を示した車両は、第1のエリアRaに最初に進入したユーザが乗車できるように、その車両に乗車するユーザ情報を割り当てる。
【符号の説明】
【0102】
1…出庫支援サーバ、2…出庫支援装置、3…機械式駐車場、4…情報端末、11…制御部、12…通信部、13…ユーザ情報データベース、14…車両情報データベース、21…制御部、22…通信部、23…記憶部。