(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】解錠装置及び解錠システム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20221024BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
H04M9/00 H
H04M11/00 302
(21)【出願番号】P 2018152240
(22)【出願日】2018-08-13
【審査請求日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2018106782
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503060547
【氏名又は名称】株式会社インテリックス
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】山本 卓也
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-125058(JP,A)
【文献】特開2007-318663(JP,A)
【文献】特表2016-511963(JP,A)
【文献】特開2009-263892(JP,A)
【文献】特開2001-323694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B1/00-85/28
H01H3/00-7/16
H03J9/00-9/06
H04M1/02-1/23
3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-11/10
H04Q9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の玄関に設置される玄関機と、前記建物の居室に設置されるとともに前記玄関機が操作されたことにより所定の音及び光の少なくとも一方を出力する居室機とを備えるインターホンシステムの前記居室機に取り付けられる筐体と、
前記音及び光の少なくとも一方を検出する検出部と、
前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した場合に携帯端末に通知を送信し、前記通知を送信した後であって前記携帯端末が前記通知を受信した後に前記携帯端末
から切替情報を受信する通信部と、
前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記切替情報を受信した場合に、前記玄関を解錠するように前記居室機を操作する居室機操作部と、
を有する解錠装置。
【請求項2】
前記筐体上で前記居室機の前方に支持され、前記居室機上に設けられたボタンの押下状態を切り替えるボタン押下部をさらに有し、
前記居室機操作部は、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記切替情報を受信した場合に、前記玄関を解錠するように前記ボタンの押下状態を前記ボタン押下部に切り替えさせる、請求項1に記載の解錠装置。
【請求項3】
前記居室機操作部は、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記切替情報を受信した場合に、前記玄関機と前記居室機との間の音の授受を開始させるように前記ボタンの押下状態を前記ボタン押下部に切り替えさせる、請求項2に記載の解錠装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記切替情報として第1切替情報と第2切替情報とを受信し、
前記居室機操作部は、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記第1切替情報を受信した場合に、前記玄関機と前記居室機との間の音の授受を開始させるように前記ボタンの押下状態を前記ボタン押下部に切り替えさせ、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記第2切替情報を受信した場合に、前記玄関を解錠するように前記ボタンの押下状態を前記ボタン押下部に切り替えさせる、請求項3に記載の解錠装置。
【請求項5】
前記居室機に接続されており、前記居室機に信号を送信するための信号線をさらに有し、
前記居室機操作部は、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記切替情報を受信した場合に、前記玄関を解錠する信号を前記居室機に前記信号線を介して送信する、請求項1に記載の解錠装置。
【請求項6】
解錠装置と、携帯端末と、を備え、
前記解錠装置は、
建物の玄関に設置される玄関機と、前記建物の居室に設置されるとともに前記玄関機が操作されたことにより所定の音及び光の少なくとも一方を出力する居室機とを備えるインターホンシステムの前記居室機に取り付けられる筐体と、
前記音及び光の少なくとも一方を検出する検出部と、
前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した場合に前記携帯端末に通知を送信し、前記通知を送信した後に
前記
携帯端末から切替情報を受信する通信部と、
前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記切替情報を受信した場合に、前記玄関を解錠するように前記居室機を操作する居室機操作部と、
を有し、
前記携帯端末は、
前記解錠装置から前記通知を受信し、前記通知を受信した後に、前記解錠装置に対して、前記切替情報を送信する通信部を有する、解錠システム。
【請求項7】
前記携帯端末を認証するサーバをさらに備え、
前記携帯端末の前記通信部は、前記携帯端末が前記サーバによって認証された場合に、前記切替情報を送信する、請求項
6に記載の解錠システム。
【請求項8】
前記携帯端末は、前記解錠装置から受信した前記通知を表示する表示部をさらに有し、
前記携帯端末の前記通信部は、前記表示部が前記通知を表示した後にユーザが所定の操作を行った場合に、前記解錠装置に対して、前記切替情報を送信する、
請求項6又は7に記載の解錠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の玄関を解錠するための解錠装置及び解錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アパート、団地、マンション等の集合住宅において、共用スペースである集合玄関にドアを設け、各住民の居室から遠隔で集合玄関のドアを解錠可能なインターホンシステムが導入されている場合がある。そのようなインターホンシステムにおいて、集合玄関には訪問先の居室の番号を入力して呼び出す玄関機が設置され、居室には呼び出しを受けて集合玄関のドアを解錠する居室機が設置される。
【0003】
また特許文献1には、玄関機から住民が有する携帯端末に無線通信を介して呼び出しを行い、携帯端末から集合玄関のドアを解錠可能にするインターホンシステムが記載されている。このような技術により、居室に居室機を設置する必要がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、居室の工事を行う際や、居室の販売や貸出のための下見を行う際に、玄関の鍵を有さない第三者を居室に受け入れることがある。このような状況において、居室機から集合玄関のドアを解錠する操作を行うためには、居室内に人が待機する必要があり、不便であるという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術において、住民は、居室にいなくとも携帯端末から集合玄関のドアを解錠する操作を行うことができる。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、集合住宅内の一部の居室にのみ導入することができず、導入には玄関機及び居室機の全体を入れ替えするための大きなコストが掛かるという問題があった。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、低コストで導入することができ、居室内で人が操作することを必要とせずに遠隔でドアを解錠することができる解錠装置及び解錠システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る解錠装置は、建物の玄関に設置される玄関機と、前記建物の居室に設置されるとともに前記玄関機が操作されたことにより所定の音及び光の少なくとも一方を出力する居室機とを備えるインターホンシステムの前記居室機に取り付けられる筐体と、前記音及び光の少なくとも一方を検出する検出部と、前記筐体の外部から切替情報を受信する通信部と、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記切替情報を受信した場合に、前記玄関を解錠するように前記居室機を操作する居室機操作部と、を有する。
【0009】
前記解錠装置は、前記筐体上で前記居室機の前方に支持され、前記居室機上に設けられたボタンの押下状態を切り替えるボタン押下部をさらに有し、前記居室機操作部は、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記切替情報を受信した場合に、前記玄関を解錠するように前記ボタンの押下状態を前記ボタン押下部に切り替えさせてもよい。
【0010】
前記居室機操作部は、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記切替情報を受信した場合に、前記玄関機と前記居室機との間の音の授受を開始させるように前記ボタンの押下状態を前記ボタン押下部に切り替えさせてもよい。
【0011】
前記通信部は、前記切替情報として第1切替情報と第2切替情報とを受信し、前記居室機操作部は、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記第1切替情報を受信した場合に、前記玄関機と前記居室機との間の音の授受を開始させるように前記ボタンの押下状態を前記ボタン押下部に切り替えさせ、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記第2切替情報を受信した場合に、前記玄関を解錠するように前記ボタンの押下状態を前記ボタン押下部に切り替えさせてもよい。
【0012】
前記解錠装置は、前記居室機に接続されており、前記居室機に信号を送信するための信号線をさらに有し、前記居室機操作部は、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記切替情報を受信した場合に、前記玄関を解錠する信号を前記居室機に前記信号線を介して送信してもよい。
【0013】
前記通信部は、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した場合に、外部へ通知を送信してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様に係る解錠システムは、解錠装置と、携帯端末と、を備え、前記解錠装置は、建物の玄関に設置される玄関機と、前記建物の居室に設置されるとともに前記玄関機が操作されたことにより所定の音及び光の少なくとも一方を出力する居室機とを備えるインターホンシステムの前記居室機に取り付けられる筐体と、前記音及び光の少なくとも一方を検出する検出部と、前記筐体の外部から切替情報を受信する通信部と、前記検出部が前記音及び光の少なくとも一方を検出した後に前記通信部が前記切替情報を受信した場合に、前記玄関を解錠するように前記居室機を操作する居室機操作部と、を有し、前記携帯端末は、前記解錠装置に対して、前記切替情報を送信する通信部を有する。
【0015】
前記解錠システムは、前記携帯端末を認証するサーバをさらに備え、前記携帯端末の前記通信部は、前記携帯端末が前記サーバによって認証された場合に、前記切替情報を送信してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低コストで導入することができ、居室内で人が操作することを必要とせずに遠隔でドアを解錠することができる解錠装置及び解錠システムを実現するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態に係る解錠システムの模式図である。
【
図2】第1の実施形態に係る解錠装置の前面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る解錠装置の前面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る受話ボタン押下部の側面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る解錠システムによる解錠方法の模式図である。
【
図6】第1の実施形態に係る解錠装置のブロック図である。
【
図7】第1の実施形態に係る携帯端末のブロック図である。
【
図8】第1の施形態に係る解錠システムによる解錠方法のフローチャートを示す図である。
【
図9】第2の実施形態に係る解錠装置のブロック図である。
【
図10】携帯端末が解錠音を生成する具体的な方法を説明する模式図である。
【
図11】第1の実施形態に係る解錠装置の前面図である。
【
図12】第3の実施形態に係る解錠装置の前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
[解錠システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る解錠システムSの模式図である。解錠システムSは、解錠装置100と、携帯端末200と、管理サーバ300とを備える。解錠システムSは、集合住宅に設けられたインターホンシステムを利用する。インターホンシステムは、集合住宅の共用スペースである集合玄関に設置された玄関機10と、居室に設置された居室機20とを備える。玄関機10は、集合玄関のドアの近傍に設置され、ドアの施錠及び解錠を制御する。玄関機10と居室機20とは、有線又は無線で電気的に接続される。
【0019】
玄関機10は、居室の番号を入力するための番号ボタン11と、入力された番号の居室に設置された居室機20への呼び出しを行うための呼び出しボタン12とを有する。居室機20は、玄関機10からの呼び出しを受けた際に音の授受を開始するための受話ボタン21と、集合玄関のドアを解錠するための解錠ボタン22とを有する。
【0020】
また、玄関機10は、居室機20の音入力部24から受信した音を出力するスピーカを有する音出力部13と、居室機20の音出力部23へ音を送信するマイクロホンを有する音入力部14とを備える。
【0021】
居室機20は、呼び出しが行われた際の呼び出し音及び玄関機10の音入力部14から受信した音を出力するスピーカを有する音出力部23と、玄関機10の音出力部13へ音を送信するマイクロホンを有する音入力部24とを備える。
【0022】
このような構成のインターホンシステムにおいて、まず訪問者であるユーザは、玄関機10において訪問先の居室の番号を番号ボタン11で入力し、呼び出しボタン12を押下する。入力された番号に対応する居室機20は、呼び出し音を音出力部23から出力する。居室内の住民は、居室機20において受話ボタン21を押下し、ユーザに進入を許可する場合には解錠ボタン22を押下する。これにより、玄関機10及び居室機20は、集合玄関のドアを解錠する。本実施形態に係る解錠システムSは、この一連の解錠の流れを居室内に住民がいなくとも実行することができる。
【0023】
携帯端末200は、ユーザによって持ち運ばれる、スマートホン、タブレット端末等の通信機能を有するコンピュータである。携帯端末200は、表示部210と、音出力部220と、音入力部230とを有する。音出力部220は、音を出力するスピーカを有する。音入力部230は、周囲から音を取得するマイクロホンを有する。
【0024】
表示部210は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(OLED: Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等、情報を表示可能な表示装置を有する。表示部210は、ユーザによる接触の位置を検出可能なタッチスクリーンを用いて構成されており、操作部としても機能する。
【0025】
携帯端末200は、解錠に用いるアプリケーション(ソフトウェア)を実行し、解錠装置100との間で玄関機10及び居室機20を介して音を授受することによって、解錠装置100に解錠を行わせる。
【0026】
携帯端末200は、有線又は無線のネットワークを介して管理サーバ300と通信を行う。管理サーバ300は、携帯端末200のユーザを認証し、携帯端末200による解錠を許可するか否かを判定する。また、管理サーバ300は、解錠を行ったユーザ及び解錠の時間を記録する。
【0027】
解錠装置100は、居室機20に取り付けられ、携帯端末200との間で玄関機10及び居室機20を介して音を授受することによって、居室機20の受話ボタン21及び解錠ボタン22を操作して解錠を行う装置である。
【0028】
[解錠装置100の説明]
図2及び
図3は、本実施形態に係る解錠装置100の前面図である。
図2及び
図3において、部材の内部の構造は破線で表されている。
図2の解錠装置100は、受話器を備えない居室機20に取り付けられている状態にある。
図3の解錠装置100は、受話器を備える居室機20に取り付けられている状態にある。受話器を備える居室機20は、受話器上に音出力部23及び音入力部24を有する。
【0029】
解錠装置100は、筐体110と、制御部120と、受話ボタン押下部130と、解錠ボタン押下部140と、音出力部150と、音入力部160とを有する。
【0030】
筐体110は、樹脂、金属等によって形成されている。筐体110は、固定部111によって居室機20に取り付けられる。固定部111は、ばね等の弾性部材が上下方向、左右方向等の対向する2方向から筐体110を挟持することによって、筐体110を居室機20上に固定する。固定部111は、弾性部材に限られず、ネジ、ボルト、ナット等の締結部材によって筐体110を固定してもよい。固定部111は、居室機20が固定されている壁面上に筐体110を固定してもよい。
【0031】
筐体110は、受話ボタン押下部130を支持する棒状の第1レール112と、解錠ボタン押下部140を支持する棒状の第2レール113とを有する。第1レール112及び第2レール113は、居室機20の前方(すなわち居室機20の受話ボタン21及び解錠ボタン22が設けられている側)に横架され、かつ居室機20に沿って筐体110を移動可能に構成される。
【0032】
さらに筐体110は、居室機20の受話器を支持するためのフック114を有する。
図3のように受話器を備える居室機20を用いる場合に、フック114は居室機20の受話器を支持する。
【0033】
受話ボタン押下部130は、第1レール112上で、居室機20の前方に設けられている。受話ボタン押下部130は、制御部120による制御に従って、居室機20の受話ボタン21を押下した状態(以下、押下状態という)と押下していない状態(以下、非押下状態)とを切り替えるように駆動する。受話ボタン押下部130は、筐体110及び第1レール112の内部又は表面に配設された導線等を介して制御部120と電気的に接続されており、制御部120からの制御信号を受ける。
【0034】
受話ボタン押下部130の背面側(すなわち受話ボタン21の反対側)には、支持部131が設けられている。支持部131は、第1レール112を通す孔を有しており、受話ボタン押下部130を第1レール112上で摺動可能に支持する。
【0035】
解錠ボタン押下部140は、第2レール113上で、居室機20の前方に設けられている。解錠ボタン押下部140は、制御部120による制御に従って、居室機20の解錠ボタン22を押下状態と非押下状態とを切り替えるように駆動する。解錠ボタン押下部140は、筐体110及び第2レール113の内部又は表面に配設された導線等を介して制御部120と電気的に接続されており、制御部120からの制御信号を受ける。
【0036】
解錠ボタン押下部140の背面側(すなわち解錠ボタン22の反対側)には、支持部141が設けられている。支持部141は、第2レール113を通す孔を有しており、解錠ボタン押下部140を第2レール113上で摺動可能に支持する。
【0037】
このような構成によって、筐体110の第1レール112及び第2レール113の位置と、第1レール112及び第2レール113上の受話ボタン押下部130及び解錠ボタン押下部140の位置とを、所望の状態に調整することができる。このような構成により、解錠装置100は、様々な配置の受話ボタン21及び解錠ボタン22を有する居室機20に取り付け可能である。
【0038】
本実施形態では第1レール112及び第2レール113を筐体110上で移動可能に構成したが、これに限られず、居室機20の前方に横架された複数のレールを筐体110上に設け、受話ボタン押下部130及び解錠ボタン押下部140をレール上に付け外し自在に構成してもよい。受話ボタン押下部130及び解錠ボタン押下部140は、複数のレール上の所望の位置に取り付けられる。このような構成により、解錠装置100は、様々な配置の受話ボタン21及び解錠ボタン22を有する居室機20に取り付け可能である。
【0039】
音出力部150は、制御部120による制御に従って音を出力するスピーカを有する。音入力部160は、周囲から取得した音の信号を制御部120に入力するマイクロホンを有する。
【0040】
制御部120は、受話ボタン押下部130、解錠ボタン押下部140、音出力部150及び音入力部160に電気的に接続され、後述する解錠方法に従って各部を制御するコンピュータである。制御部120は、筐体110内に設けられた電池から供給される電力によって稼働してもよく、外部の電源から供給される電力によって稼働してもよい。
【0041】
図4(a)及び
図4(b)は、本実施形態に係る受話ボタン押下部130の側面図である。ここでは受話ボタン押下部130の構成を説明するが、解錠ボタン押下部140も受話ボタン押下部130と同様の構成を有する。
図4(a)及び
図4(b)において、部材の内部の構造は破線で表されている。
図4(a)の受話ボタン押下部130は受話ボタン21を押下しない非押下状態にあり、
図4(b)の受話ボタン押下部130は受話ボタン21を押下する押下状態にある。
【0042】
図4(a)、
図4(b)は、第1レール112の長手方向から受話ボタン押下部130及び受話ボタン21を見た図である。受話ボタン押下部130の支持部131は、第1レール112上において、受話ボタン21を押下可能な位置に受話ボタン押下部130を支持している。
【0043】
受話ボタン押下部130は、突起部132と、駆動部133とを有する。突起部132は、棒状の部材であり、長手方向に沿って前後に移動可能に構成されている。駆動部133は、電力によって動力を発生させるモータ、アクチュエータ等の駆動機構である。突起部132は、駆動部133の動力によって、長手方向に沿って移動して受話ボタン21を押下することができる。
【0044】
突起部132及び駆動部133として、駆動部133の動力によって突起部132を移動させ、受話ボタン押下部130を非押下状態と押下状態との間で切り替え可能な任意の構成を用いることができる。例えば突起部132の側面に歯(ラック)を設けるとともに、駆動部133に突起部132の歯に噛合する歯車(ピニオン)を設けることによって、駆動部133の歯車が回転すると、突起部132が長手方向に沿って前後に移動する。
【0045】
図2のように普段は押されていない受話ボタン21が押されることによって音授受を開始する居室機20の場合には、受話ボタン押下部130は、非押下状態から押下状態へ切り替わることによって、音授受を開始するとともに、解錠ボタン22の押下の受け付けを開始する。
図3のように受話器によって普段は押されている受話ボタン21が解放されることによって音授受を開始する居室機20の場合には、受話ボタン押下部130は、押下状態から非押下状態へ切り替わることによって、音授受を開始するとともに、解錠ボタン22の押下の受け付けを開始する。受話ボタン押下部130を非押下状態から押下状態へ切り替えるか、又は押下状態から非押下状態へ切り替えるかは、制御部120に予め設定される。また、受話ボタン押下部130を非押下状態から押下状態へ切り替えた後に非押下状態に切り替えるように、又は押下状態から非押下状態へ切り替えた後に押下状態に切り替えるように、制御部120に設定されてもよい。
【0046】
[解錠方法の説明]
図5は、本実施形態に係る解錠システムSによる解錠方法の模式図である。具体的には、まず訪問者であるユーザは、玄関機10において訪問先の居室の番号を入力して呼び出しを行う。入力された番号に対応する居室機20は、呼び出し音Aを出力するとともに、受話ボタン21の押下の受け付けを開始する。
【0047】
解錠装置100は、呼び出し音Aを音入力部160において検出すると、受話ボタン押下部130によって居室機20の受話ボタン21を押下し、音出力部150から開始音Bを出力する。開始音Bは、居室機20を介して玄関機10から出力される。開始音Bは、「いらっしゃいませ」のような声でもよい。また、開始音Bは、人間に聞こえない周波数の音(例えば超音波)でもよい。
【0048】
また、開始音Bとして所定の規則によって符号化した音を用いてもよい。この場合に、携帯端末200は、音入力部230において取得した音を所定の規則によって復号したものを開始音Bとして検出する。これによって、セキュリティを向上できる。
【0049】
ユーザが有する携帯端末200は、音入力部230において開始音Bを検出すると、管理サーバ300から解錠許可の取得を行う。携帯端末200は、管理サーバ300から解錠許可を取得できた場合に、表示部210上に仮想的な解錠ボタン211を表示する。
【0050】
本実施形態では携帯端末200は居室機20からの開始音Bを検出することを契機として管理サーバ300から解錠許可の取得を行っているが、開始音Bの検出を省略してもよい。この場合には、携帯端末200は、開始音Bの検出に関係なく表示部210上に仮想的なボタンを表示する。そして携帯端末200は、ユーザが表示部210上の該ボタンを押下した際に、管理サーバ300から解錠許可の取得を行い、解錠許可を取得できた場合に、以降の処理を行う。
【0051】
ユーザが表示部210上の解錠ボタン211を押下すると、携帯端末200は、解錠装置100の解錠ボタン押下部140を非押下状態から押下状態に切り替えさせる切替情報として解錠音Cを音出力部220から出力する。解錠音Cは、玄関機10を介して居室機20から出力される。解錠音Cは、「解錠します」のような声でもよい。また、解錠音Cは、人間に聞こえない周波数の音(例えば超音波)でもよい。
【0052】
また、解錠音Cとして所定の規則によって符号化した音を用いてもよい。この場合に、解錠装置100は、音入力部160において取得した音を所定の規則によって復号したものを解錠音Cとして検出する。これによって、セキュリティを向上できる。
【0053】
解錠装置100は、音入力部160において切替情報としての解錠音Cを検出すると、解錠ボタン押下部140によって居室機20の解錠ボタン22を押下する。それと同時に、解錠装置100は、音出力部150から「お入りください」のような声を出力してもよい。以上の解錠方法によって、解錠システムSは、既存のインターホンシステムにおいて、集合玄関のドアを遠隔で解錠することができる。
【0054】
[解錠装置100の構成]
図6は、本実施形態に係る解錠装置100のブロック図である。
図6において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図6に示したもの以外のデータの流れがあってよい。
図6において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図6に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてよい。
【0055】
解錠装置100は、上述の制御部120、受話ボタン押下部130、解錠ボタン押下部140、音出力部150及び音入力部160に加えて、記憶部170を有する。制御部120は、音検出部121と、ボタン押下制御部122と、音生成部123とを有する。
【0056】
記憶部170は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部170は、制御部120が実行するプログラムを予め記憶している。
【0057】
制御部120は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部170に記憶されたプログラムを実行することにより、音検出部121、ボタン押下制御部122及び音生成部123として機能する。制御部120の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。
【0058】
音検出部121は、音入力部160が取得した音から、呼び出し音A又は解錠音Cを検出する。具体的には、解錠装置100は、記憶部170に、予め呼び出し音A及び解錠音C(又は呼び出し音A及び解錠音Cから生成した特徴情報)を記録しておく。音検出部121は、音入力部160が取得した音の全部又は一部が、記憶部170に記憶された呼び出し音A又は解錠音Cと一致又は類似する場合に、呼び出し音A又は解錠音Cを検出する。
【0059】
解錠音Cとして所定の規則によって符号化した音を用いる場合には、音検出部121は、該所定の規則によって音入力部160が取得した音を復号する。そして音検出部121は、復号した音の全部又は一部が、記憶部170に記憶された解錠音Cと一致又は類似する場合に、解錠音Cを検出する。
【0060】
ボタン押下制御部122は、居室機20のボタンの押下状態を切り替えることによって、居室機20を操作する居室機操作部として機能する。ボタン押下制御部122は、音検出部121が呼び出し音Aを検出した場合に、受話ボタン押下部130を制御して非押下状態から押下状態へ切り替えさせ、居室機20の受話ボタン21を押下させる。
図3のように受話器によって普段は押されている受話ボタン21が解放されることによって音授受を開始する居室機20の場合には、ボタン押下制御部122は、音検出部121が呼び出し音Aを検出したときに、受話ボタン押下部130を制御して押下状態から非押下状態へ切り替えさせてもよい。また、ボタン押下制御部122は、受話ボタン押下部130を制御して非押下状態から押下状態へ切り替えた後に非押下状態に切り替えさせてもよく、又は押下状態から非押下状態へ切り替えた後に押下状態に切り替えさせてもよい。
【0061】
これにより、玄関機10と居室機20との間で音の授受が開始されるため、解錠装置100から携帯端末200へ開始音Bを到達させ、また携帯端末200から解錠装置100へ解錠音Cを到達させることが可能になる。
【0062】
ボタン押下制御部122は、音検出部121が呼び出し音Aを検出したことに代えて、居室機20上に設けられた画面又はランプの発光を検出することによって、玄関機10と居室機20との間で音の授受を開始させるように居室機20を操作してもよい。この場合に、解錠装置100は、居室機20上に設けられた画面又はランプの発光を検出する光検出部を有する。光検出部は、画面又はランプの発光を検出した場合に解錠装置100の制御部120へ信号を出力する光検出器(光センサ)を含む。
【0063】
居室機20は、玄関機10から呼び出しを受けた場合に、呼び出し音Aを出力し、画面又はランプを発光させるとともに、受話ボタン21の押下の受け付けを開始する。ボタン押下制御部122は、光検出部が画面又はランプの発光を検出した場合に、受話ボタン押下部130を制御して、玄関機10と居室機20との間で音の授受を開始させるように居室機20の受話ボタン21の押下状態を切り替える。これにより、玄関機10と居室機20との間で音の授受が開始されるため、解錠装置100から携帯端末200へ開始音Bを到達させ、また携帯端末200から解錠装置100へ解錠音Cを到達させることが可能になる。
【0064】
このように、光検出部が居室機20の画面又はランプの発光を検出した場合にボタン押下制御部122が居室機20を操作することで、外部音が大きい環境においても誤動作の確率を下げることができる。
【0065】
また、ボタン押下制御部122は、音検出部121が呼び出し音Aを検出したことと、光検出部が居室機20の画面又はランプの発光を検出したこととの少なくとも一方を条件として、玄関機10と居室機20との間で音の授受を開始させるように居室機20を操作してもよい。
【0066】
また、ボタン押下制御部122は、音検出部121が解錠音C(すなわち、携帯端末200からの、解錠ボタン押下部140を非押下状態から押下状態に切り替えさせる切替情報)を検出した場合に、解錠ボタン押下部140を制御して非押下状態から押下状態へ切り替えさせ、居室機20の解錠ボタン22を押下させる。これにより、玄関機10及び居室機20は、集合玄関のドアを解錠する。
【0067】
音生成部123は、受話ボタン押下部130が居室機20の受話ボタン21を押下した後、開始音Bを生成し、音出力部150から出力させる。これにより、開始音Bは玄関機10及び居室機20を介して携帯端末200へ到達する。
【0068】
本実施形態に係る解錠装置100は、
図6に示す具体的な構成に限定されない。解錠装置100は、1つの装置に限られず、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。
【0069】
[携帯端末200の構成]
図7は、本実施形態に係る携帯端末200のブロック図である。
図7において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図7に示したもの以外のデータの流れがあってよい。
図7において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図7に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてよい。
【0070】
携帯端末200は、上述の表示部210、音出力部220及び音入力部230に加えて、制御部240と、通信部250と、操作部260と、記憶部270とを有する。制御部240は、音検出部241と、解錠許可取得部242と、表示制御部243と、操作検出部244と、音生成部245とを有する。
【0071】
通信部250は、有線又は無線のネットワークを介して管理サーバ300との間で通信をするための通信インターフェースである。通信部250は、通信を行うためのプロセッサ、コネクタ、アンテナ等を含む。通信部250は、管理サーバ300から受信した通信信号に所定の処理を行ってデータを取得し、取得したデータを制御部240に入力する。また、通信部250は、制御部240から入力されたデータに所定の処理を行って通信信号を生成し、生成した通信信号を管理サーバ300に送信する。
【0072】
操作部260は、ユーザからの操作を受け付ける入力装置を有する。操作部260は、ユーザによる入力を示す情報を制御部240に入力する。本実施形態では、表示部210としてユーザによる接触の位置を検出可能なタッチスクリーンを用いることによって、表示部210と操作部260とが一体に構成されている。
【0073】
記憶部270は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部270は、制御部240が実行するプログラムを予め記憶している。
【0074】
制御部240は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部270に記憶されたプログラムを実行することにより、音検出部241、解錠許可取得部242、表示制御部243、操作検出部244及び音生成部245として機能する。制御部240の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部240の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0075】
音検出部241は、音入力部230が取得した音から、開始音Bを検出する。具体的には、携帯端末200は、記憶部270に、予め開始音B(又は開始音Bから生成した特徴情報)を記録しておく。音検出部241は、音入力部230が取得した音の全部又は一部が、記憶部270に記憶された開始音Bと一致又は類似する場合に、開始音Bを検出する。
【0076】
開始音Bとして所定の規則によって符号化した音を用いる場合には、音検出部241は、該所定の規則によって音入力部230が取得した音を復号する。そして音検出部241は、復号した音の全部又は一部が、記憶部270に記憶された開始音Bと一致又は類似する場合に、開始音Bを検出する。
【0077】
解錠許可取得部242は、音検出部241が開始音Bを検出した場合に、管理サーバ300から、解錠許可を示す情報を取得する。具体的には、管理サーバ300は、予めユーザを認証し、認証されたユーザが有する携帯端末200の識別情報(ID、電話番号等)と、解錠を許可する時間とを関連付けて記憶する。ユーザの認証は、例えば携帯端末200において管理サーバ300からユーザに割り振られたID及びパスワードを入力することによって行われる。
【0078】
解錠許可取得部242は、管理サーバ300に、携帯端末200の識別情報を送信する。管理サーバ300は、受信した携帯端末200の識別情報に関連付けられた解錠を許可する時間を読み出し、現在時間が解錠を許可する時間に該当する場合に、携帯端末200に解錠許可を示す情報を送信する。これにより解錠許可取得部242は、管理サーバ300から、解錠許可を示す情報を取得することができる。
【0079】
表示制御部243は、解錠許可取得部242が管理サーバ300から解錠許可を取得できた場合に、仮想的な解錠ボタン211を表示部210に表示させる制御を行う。操作検出部244は、操作部260(本実施形態ではタッチスクリーンである表示部210)においてユーザが解錠ボタン211を押下したことを検出する。このとき、操作検出部244は、解錠を行った携帯端末200のユーザ及び時間を示す情報を管理サーバ300に送信し、記録させる。これにより、解錠システムSは誰がいつ解錠を行ったかを管理することができるため、セキュリティが向上する。
【0080】
音生成部245は、操作検出部244が仮想的な解錠ボタン211の押下を検出した場合に、解錠装置100の解錠ボタン押下部140を非押下状態から押下状態に切り替えさせる切替情報としての解錠音Cを生成し、音出力部220から出力させる。これにより、解錠音Cは玄関機10及び居室機20を介して解錠装置100へ到達する。
【0081】
図10は、携帯端末200が解錠音Cを生成する具体的な方法を説明する模式図である。居室に設置されるそれぞれの解錠装置100には、解錠装置100を識別するための識別情報(例えば解錠装置ID)が割り振られている。また、解錠装置100の記憶部170は、解錠装置100ごとに設定された鍵情報を予め記憶している。管理サーバ300は、解錠装置100の識別情報と、解錠装置100ごとに設定された鍵情報とを、関連付けて予め記憶部に記憶している。鍵情報は、後述する解錠用パスワードを生成するための文字列を含む。
【0082】
解錠の事前準備として、ユーザは、ユーザを識別するための識別情報であるユーザIDとともに、解錠をしたい解錠装置100の識別情報及び解錠をしたい時間を、管理サーバ300に対して予め申請しておく。管理サーバ300は、申請されたユーザIDと、該ユーザに対して解錠を許可する解錠装置100の識別情報と、該ユーザに対して解錠を許可する時間範囲とを、関連付けて記憶する。解錠を許可する時間範囲は、例えばユーザが申請した解錠をしたい時間を含む所定の長さの時間範囲である。解錠装置100を提供する事業者が、ユーザが申請した解錠をしたい時間に基づいて、解錠装置100に対して解錠を許可する時間範囲を設定してもよい。あるいは、解錠装置100が、ユーザが申請した解錠をしたい時間に基づいて、解錠を許可する時間範囲を自動的に決定してもよい。
【0083】
解錠を実行する際に、まず表示制御部243は、ユーザIDを入力するためのID欄212と、認証のためのパスワードを入力するためのパスワード欄213と、仮想的な送信ボタン214とを表示部210に表示させる制御をする。ユーザがID欄212及びパスワード欄213に自身のユーザID及びパスワードを入力した後に送信ボタン214を押下すると、解錠許可取得部242は、管理サーバ300に、該ID及び該パスワードを携帯端末200の識別情報として送信する。携帯端末200の識別情報として、携帯端末200の電話番号、製造番号等の情報を用いてもよい。
【0084】
管理サーバ300は、受信した携帯端末200の識別情報(ここではユーザID及びパスワード)を用いて、携帯端末200のユーザを認証する。そして管理サーバ300は、認証したユーザのユーザIDに関連付けられた解錠を許可する時間範囲と、解錠を許可する解錠装置100の識別情報とを記憶部から取得する。現在時刻が解錠を許可する時間範囲に含まれる場合に、管理サーバ300は、解錠装置100の識別情報に関連付けられた鍵情報に対応する情報である解錠コードを生成する。ユーザを認証できない場合又は現在時刻が解錠を許可する時間範囲に含まれない場合に、管理サーバ300は、解錠許可を示す情報を携帯端末200に送信しない。
【0085】
具体的には、管理サーバ300は、解錠コードとして、鍵情報及び現在時刻に基づいてワンタイムパスワードを生成する。ワンタイムパスワードは、現在時刻を含む所定の時間範囲内(例えば30秒間又は60秒間)に有効となり、該時間範囲外に無効となるパスワードの文字列である。管理サーバ300は、鍵情報及び現在時刻に基づいてワンタイムパスワードを生成するために、既知の方法を用いることができる。
【0086】
解錠コードとしてワンタイムパスワードを用いることによって、第三者がワンタイムパスワードを入手したとしても、有効な時間範囲を過ぎればワンタイムパスワードが無効になり、解錠装置100の解錠を行えなくなるため、安全性を向上できる。また、正規のユーザであっても、有効な時間範囲を過ぎればワンタイムパスワードが無効になり、解錠装置100の解錠を行えなくなるため、ユーザごと及び時間ごとの解錠可否の管理が容易になる。
【0087】
そして管理サーバ300は、生成した解錠コードを、解錠許可を示す情報として携帯端末200に送信する。管理サーバ300は、鍵情報そのものではなく、鍵情報に基づいて生成された解錠コードを携帯端末200に送信するため、通信経路において第三者に鍵情報が不正に取得されるおそれがないという利点がある。
【0088】
携帯端末200が、鍵情報に基づいて解錠コードを生成してもよい。この場合に、管理サーバ300は、鍵情報を、解錠許可を示す情報として携帯端末200に送信する。携帯端末200は、管理サーバ300から受信した鍵情報と、現在時刻とに基づいて、上述の解錠コード(ワンタイムパスワード)を生成する。このような方法により、例えば携帯端末200が管理サーバ300から鍵情報を受信した後に通信不可能な場所に移動した場合であっても、受信済の鍵情報と現在時刻に基づいて解錠コードを生成できるため、利便性を向上できる。
【0089】
そして携帯端末200において、解錠許可取得部242が管理サーバ300から受信することによって又は自身で生成することによって解錠コードを取得すると、表示制御部243は、取得した解錠コード215と、仮想的な再生ボタン216(解錠ボタン)とを表示部210に表示させる制御をする。表示制御部243は、解錠コード215の表示を省略し、再生ボタン216のみを表示してもよい。
【0090】
音生成部245は、操作検出部244が再生ボタン216の押下を検出した場合に、解錠コードに対応する解錠音Cを生成し、音出力部220から出力させる。具体的には、携帯端末200には、文字と所定の音との間の対応関係が予め記憶される。音生成部245は、該対応関係に基づいて、解錠コードの文字列が含む各文字に対応する音を順に繋げることによって、解錠音Cを生成する。これにより、解錠音Cは玄関機10及び居室機20を介して解錠装置100へ到達する。
【0091】
表示制御部243は、再生ボタン216の代わりに、文字及び数字を示す仮想的なキーを含むキーボードを表示部210に表示させてもよい。この場合に、ユーザが解錠コード215が示す文字又は数字のキーを順に押下すると、音生成部245は、押下された文字又は数字に対応する音を、解錠音Cとして順に音出力部220から出力させる。携帯端末200がハードウェアであるキーボードを備える場合には、該キーボードのキーを用いてもよい。
【0092】
解錠装置100において、音検出部121は、音入力部160が取得した音から解錠音Cを検出する際に、解錠音Cが示す解錠コードを取得する。具体的には、解錠装置100には、携帯端末200と共通の、文字と所定の音との間の対応関係が予め記憶される。音検出部121は、該対応関係に基づいて、解錠音Cが含む音が示す文字を順に繋げることによって、解錠コードを取得する。
【0093】
ボタン押下制御部122は、記憶部170から鍵情報を取得し、取得した鍵情報と、現在時刻とに基づいて、上述の解錠コード(ワンタイムパスワード)を生成する。そしてボタン押下制御部122は、解錠音Cが示す解錠コードと、鍵情報に基づいて生成した解錠コードとが一致した場合に、解錠ボタン押下部140を制御して非押下状態から押下状態へ切り替えさせ、居室機20の解錠ボタン22を押下させる。
【0094】
本実施形態に係る携帯端末200は、
図7に示す具体的な構成に限定されない。携帯端末200は、1つの装置に限られず、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。
【0095】
図6に示す構成の解錠装置100及び
図7に示す構成の携帯端末200が協働することによって、
図5に示す解錠方法が実現される。
【0096】
[解錠方法のフローチャート]
図8は、本実施形態に係る解錠システムSによる解錠方法のフローチャートを示す図である。
図8のフローチャートは、例えば居室機20に取り付けられた解錠装置100が起動されることによって開始される。
【0097】
まず解錠装置100の音検出部121は、音入力部160が取得した音から、呼び出し音Aを検出する(S11)。ステップS11で音検出部121が呼び出し音Aを検出しない場合に(S12のNO)、音検出部121は、ステップS11を繰り返す。
【0098】
ステップS11で音検出部121が呼び出し音Aを検出した場合に(S12のYES)、解錠装置100のボタン押下制御部122は、受話ボタン押下部130を制御して非押下状態から押下状態へ切り替えさせ、居室機20の受話ボタン21を押下させる(S13)。
図3のように受話器によって普段は押されている受話ボタン21が解放されることによって音授受を開始する居室機20の場合には、ボタン押下制御部122は、音検出部121が呼び出し音Aを検出したときに、受話ボタン押下部130を制御して押下状態から非押下状態へ切り替えさせてもよい。
【0099】
その後、解錠装置100の音生成部123は、開始音Bを生成し、音出力部150から出力させる(S14)。開始音Bは、居室機20及び玄関機10を介して携帯端末200に到達する。携帯端末200の音検出部241は、音入力部230が取得した音から、開始音Bを検出する(S15)。そして携帯端末200の解錠許可取得部242は、音検出部241が開始音Bを検出した後、管理サーバ300から、解錠許可を示す情報を取得する(S16)。
【0100】
ステップS16で解錠許可取得部242が管理サーバ300から解錠許可を取得できない場合に(S17のNO)、解錠システムSはステップS11に戻る。
【0101】
ステップS16で解錠許可取得部242が管理サーバ300から解錠許可を取得できた場合に(S17のYES)、携帯端末200の表示制御部243は仮想的な解錠ボタン211を表示部210に表示させる制御を行い、操作検出部244は操作部260においてユーザによる操作を検出する(S18)。
【0102】
そして携帯端末200の音生成部245は、操作検出部244が仮想的な解錠ボタン211の押下を検出した後、解錠音Cを生成し、音出力部220から出力させる(S19)。解錠音Cは、玄関機10及び居室機20を介して解錠装置100に到達する。
【0103】
解錠装置100の音検出部121は、音入力部160が取得した音から、解錠音Cを検出する(S20)。ステップS20で音検出部121が解錠音Cを検出しない場合に(S21のNO)、解錠システムSはステップS11に戻る。
【0104】
ステップS20で音検出部121が解錠音Cを検出した場合に(S21のYES)、解錠装置100のボタン押下制御部122は、解錠ボタン押下部140を制御して非押下状態から押下状態へ切り替えさせ、居室機20の解錠ボタン22を押下させる(S22)。これにより、玄関機10及び居室機20は、集合玄関のドアを解錠する。
【0105】
本実施形態に係る解錠装置100は、
図2及び
図3に例示した受話ボタン21及び解錠ボタン22を備える居室機20に限らず、受話ボタン21及び解錠ボタン22の機能を兼ねる1つのボタンを備えた居室機20にも適用可能である。
【0106】
図11は、本実施形態に係る解錠装置100の前面図である。
図11の居室機20は、
図2の居室機20の構成において、受話ボタン21及び解錠ボタン22の代わりに、兼用ボタン25を有する。居室機20は、玄関機10からの呼び出しを受けた際に兼用ボタン25が押下されると音の授受を開始し、音の授受を開始した後に兼用ボタン25が再び押下されると集合玄関のドアを解錠する。
【0107】
受話ボタン押下部130は、第1レール112上で、居室機20の前方に設けられている。受話ボタン押下部130は、制御部120による制御に従って、兼用ボタン25を押下した状態(押下状態)と押下していない状態(非押下状態)とを切り替えるように駆動する。受話ボタン押下部130に代えて、解錠ボタン押下部140が兼用ボタン25の押下状態及び非押下状態を切り替え可能に設けられてもよい。
【0108】
ボタン押下制御部122は、音検出部121が呼び出し音Aを検出した場合に、受話ボタン押下部130を制御して非押下状態から押下状態へ切り替えさせ、兼用ボタン25を押下させる。そして、ボタン押下制御部122は、受話ボタン押下部130を制御して押下状態から非押下状態へ切り替えさせ、兼用ボタン25の押下を解除する。その後、ボタン押下制御部122は、音検出部121が解錠音Cを検出した場合に、受話ボタン押下部130を制御して非押下状態から押下状態へ切り替えさせ、兼用ボタン25を再び押下させる。これにより、玄関機10及び居室機20は、集合玄関のドアを解錠する。
【0109】
ボタン押下制御部122が受話ボタン21及び解錠ボタン22の押下状態を切り替えるか、兼用ボタン25の押下状態を切り替えるかは、制御部120に予め設定される。このような構成により、解錠装置100は、受話ボタン21及び解錠ボタン22を備える居室機20と、兼用ボタン25を備える居室機20との両方に適用可能である。
【0110】
[第1の実施形態の効果]
本実施形態に係る解錠システムSにおいて、解錠装置100及び携帯端末200は、インターホンシステムの玄関機10及び居室機20を介して切替情報としての音を授受することによって解錠を行うため、居室内に人がいなくても遠隔で集合玄関のドアを解錠することができる。携帯端末200は管理サーバ300によって認証され、解錠を行ったユーザや時間の情報が記録されるため、セキュリティを向上させることができる。
【0111】
また、解錠装置100は既存のインターホンシステムに取り付けることができる。そのため、必要なときのみ解錠装置100を取り付けることができ、不要になったら解錠装置100を取り外して再利用できるため、低コストである。
【0112】
(第2の実施形態)
第1の実施形態における解錠装置100は切替情報として音を授受することによって解錠を行うのに対して、本実施形態における解錠装置100は切替情報としてデータを通信で授受することによって解錠を行う。第1の実施形態とは異なる構成について、以下に説明する。
【0113】
[解錠装置100の構成]
図9は、本実施形態に係る解錠装置100のブロック図である。本実施形態に係る解錠装置100は、音生成部123を有さず、代わりに通信部180を有する。通信部180は、有線又は無線のネットワークを介して管理サーバ300との間で通信をするための通信インターフェースである。通信部180は、通信を行うためのプロセッサ、コネクタ、アンテナ等を含む。通信部180は、管理サーバ300から受信した通信信号に所定の処理を行ってデータを取得し、取得したデータを制御部120に入力する。また、通信部180は、制御部120から入力されたデータに所定の処理を行って通信信号を生成し、生成した通信信号を管理サーバ300に送信する。
【0114】
通信部180は、例えば解錠装置100から着脱可能なSIM(Subscriber Identity Module)カードを含む。通信部180は、SIMカードを用いることにより、通信キャリア等のサーバ及びネットワーク網を介して、携帯端末200と通信可能である。
【0115】
携帯端末200において、解錠許可取得部242は、携帯端末200の識別情報(ID、電話番号等)に基づいて、管理サーバ300から解錠許可を示す情報を取得する。表示制御部243は、解錠許可取得部242が管理サーバ300から解錠許可を取得できた(すなわちユーザが認証された)場合に、仮想的な受話ボタンと、
図5のような仮想的な解錠ボタン211とを、表示部210に表示させる制御を行う。
【0116】
次にユーザは、玄関機10において訪問先の居室の番号を番号ボタン11で入力し、呼び出しボタン12を押下する。入力された番号に対応する居室機20は、呼び出し音Aを出力するとともに、居室機20上に設けられた画面又はランプを発光させる。
【0117】
解錠装置100において、音検出部121は呼び出し音Aを検出することによって、玄関機10から居室機20への呼び出しを検出する。あるいは解錠装置100は、居室機20の画面又はランプが発する光を検出することによって、玄関機10から居室機20への呼び出しを検出してもよい。この場合に、解錠装置100は、居室機20上に設けられた画面又はランプの発光を検出する光検出部を有する。光検出部は、画面又はランプの発光を検出した場合に解錠装置100の制御部120へ信号を出力する光検出器(光センサ)を含む。
【0118】
ユーザは、玄関機10の呼び出しボタン12を押下した後に、表示部210に表示された仮想的な受話ボタンを押下する。操作検出部244は、操作部260においてユーザが仮想的な受話ボタンを押下したことを検出した場合に、仮想的な受話ボタンが押下されたことを示す情報を、受話ボタン21を押下するための第1切替情報として通信部250を介して管理サーバ300に送信する。管理サーバ300は、携帯端末200から受信した第1切替情報を、解錠装置100に転送する。
【0119】
解錠装置100のボタン押下制御部122(居室機操作部)は、通信部180を介して管理サーバ300から第1切替情報を受信する。そしてボタン押下制御部122は、音検出部121又は光検出部によって居室機20が出力した音及び光の少なくとも一方を検出した後、第1切替情報を受信した場合に、受話ボタン押下部130を制御して居室機20の受話ボタン21の押下状態を切り替える。これにより、居室機20は、玄関機10との間の音授受を開始するとともに、解錠ボタン22の押下の受け付けを開始する。
【0120】
次にユーザは、仮想的な受話ボタンを押下してから(すなわち解錠装置100が居室機20の受話ボタン21が押下してから)所定時間以内に、表示部210に表示された仮想的な解錠ボタン211を押下する。携帯端末200の操作検出部244は、操作部260においてユーザが仮想的な解錠ボタン211を押下したことを検出した場合に、仮想的な解錠ボタン211が押下されたことを示す情報を、解錠装置100の解錠ボタン22を押下するための第2切替情報として通信部250を介して管理サーバ300に送信する。管理サーバ300は、携帯端末200から受信した第2切替情報を、解錠装置100に転送する。
【0121】
解錠装置100のボタン押下制御部122(居室機操作部)は、通信部180を介して管理サーバ300から第2切替情報を受信する。そしてボタン押下制御部122は、音検出部121又は光検出部によって居室機20が出力した音及び光の少なくとも一方を検出した後、第2切替情報を受信した場合に、解錠ボタン押下部140を制御して居室機20の解錠ボタン22の押下状態を切り替える。これにより、玄関機10及び居室機20は、集合玄関のドアを解錠する。
【0122】
通信部180は、第1切替情報及び第2切替情報を管理サーバ300から常時受信可能であってもよい。あるいは通信部180は、音検出部121が呼び出し音Aを検出した後又は光検出部が画面又はランプの発光を検出した後の所定時間の間のみ、第1切替情報及び第2切替情報を管理サーバ300から受信可能であってもよい。
【0123】
このような構成により、解錠装置100は、インターホンシステムのスピーカやマイクの性能や周囲の騒音等の理由によって音を授受することが難しい場合であっても、通信によるデータ授受によって解錠を行うことができる。
【0124】
本実施形態において、解錠装置100は、通信部180を介して携帯端末200と所定の切替情報を授受することによって、受話ボタン21及び解錠ボタン22の両方の押下状態を切り替える制御を行っているが、受話ボタン21及び解錠ボタン22のどちらか一方の押下状態を切り替える制御のみを行ってもよい。この場合には、解錠装置100は、
図9に示す通信部180を用いた通信による切替情報の授受と、
図6に示す音検出部121を用いた音による切替情報の授受とを組み合わせて行ってもよい。
【0125】
本実施形態において、携帯端末200は、仮想的な受話ボタンと仮想的な解錠ボタン211とを表示しているが、単一の仮想的なボタンを表示してもよい。この場合に、ユーザが単一の仮想的なボタンを押下すると、携帯端末200は、上述の仮想的な受話ボタンが押下された場合の処理と仮想的な解錠ボタン211が押下された場合の処理との両方を自動的に続けて行う。
【0126】
本実施形態において、携帯端末200と解錠装置100とは管理サーバ300を介して情報を授受しているが、これに限られず、携帯端末200と解錠装置100とは管理サーバ300を経由せずに情報を授受してもよい。
【0127】
[変形例]
本実施形態において、ユーザは玄関機10からの呼び出しを受けた居室機20が受話及び解錠をできる状態になった段階で携帯端末200上の仮想的ボタンを押下する必要があるが、ユーザは居室の外にいるため居室機20の状態を直接的には視認できない。そこで、本変形例に係る解錠装置100は、居室機20が受話及び解錠をできる状態になった旨を、携帯端末200へ通知してもよい。
【0128】
ユーザは、玄関機10において訪問先の居室の番号を番号ボタン11で入力し、呼び出しボタン12を押下する。入力された番号に対応する居室機20は、呼び出し音Aを出力するとともに、居室機20上に設けられた画面又はランプを発光させる。解錠装置100において、音検出部121が呼び出し音Aを検出し、あるいは光検出部が居室機20の画面又はランプが発する光を検出する。
【0129】
解錠装置100の通信部180は、音検出部121が呼び出し音Aを検出した場合、又は光検出部が画面又はランプの発光を検出した場合に、居室機20が受話及び解錠をできる状態になったことを示す通知を、管理サーバ300を介して携帯端末200に送信する。通知は、文字列であってもよく、音声であってもよい。携帯端末200は、解錠装置100から受信した通知を表示部210に表示させる制御、又は解錠装置100から受信した通知の音声を音出力部220に出力させる制御を行う。
【0130】
ユーザは、解錠装置100から受信した通知を見た又は聞いた後に、表示部210に表示された想的な解錠ボタン211を押下する。その後、解錠装置100において、上述の仮想的な受話ボタンが押下された場合の処理と仮想的な解錠ボタン211が押下された場合の処理とが行われる。このような構成により、ユーザは、居室機20が受話及び解錠をできる状態になったことを遠隔で認識してから、居室機20に解錠を行わせることができる。
【0131】
携帯端末200は、解錠装置100から通知を受信した場合に、上述の仮想的な受話ボタンが押下された場合の処理と仮想的な解錠ボタン211が押下された場合の処理とを自動的に開始してもよい。これにより、携帯端末200は、ユーザによるボタン押下を必要とせずに、居室機20に解錠を行わせることができる。
【0132】
[第2の実施形態の効果]
本実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。また、第1の実施形態に係る解錠装置100は所定の音を授受することによって解錠を行うため、インターホンシステムのスピーカやマイクの性能が悪い場合や周囲に騒音がある場合に解錠がうまくいかない可能性がある。それに対して、本実施形態に係る解錠装置100は、インターホンシステムのスピーカやマイクの性能や周囲の騒音に左右されることなく、通信によるデータ授受によって解錠を行うことができる。
【0133】
(第3の実施形態)
本実施形態に係る解錠装置100は、第1の実施形態又は第2の実施形態の構成において、居室機20のボタンの押下状態を切り替えることなく、音の授受及び解錠を行う。
図12は、本実施形態に係る解錠装置100の前面図である。本実施形態に係る解錠装置100は、
図2の解錠装置100の構成と比較して、第1レール112、第2レール113、受話ボタン押下部130、及び解錠ボタン押下部140が省略されている。解錠装置100の制御部120は、居室機20に信号を送信するための信号線115を介して、居室機20と電気的に接続されている。
【0134】
居室機20は、制御部120から信号線115を介して所定の受話信号を受信した場合に、玄関機10との間で音の授受を開始する。居室機20は、制御部120から信号線115を介して所定の解錠信号を受信した場合に、集合玄関のドアを解錠する。
【0135】
本実施形態に係る解錠装置100において、ボタン押下制御部122は、居室機20のボタンの押下状態を切り替える代わりに、信号線115を介して居室機20に受話信号又は解錠信号を送信することによって、居室機20に音の授受及び解錠を行わせる居室機操作部として機能する。
【0136】
具体的には、ボタン押下制御部122は、音検出部121が呼び出し音Aを検出した場合に、信号線115を介して居室機20に受話信号を送信することによって、居室機20と玄関機10との間で音の授受を開始させる。その後、ボタン押下制御部122は、音検出部121が解錠音Cを検出した場合に、信号線115を介して居室機20に解錠信号を送信することによって、居室機20及び玄関機10に集合玄関のドアを解錠させる。
【0137】
このように本実施形態に係る解錠装置100は、居室機20のボタンを押下することなく、居室機20に信号線115を介して信号を送信することによって、居室内に人がいなくても遠隔で集合玄関のドアを解錠することができる。
【0138】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0139】
解錠装置100及び携帯端末200のプロセッサは、
図8に示す解錠方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、プロセッサは、
図8に示す解錠方法を実行するための解錠プログラムを記憶部から読み出し、該解錠プログラムを実行して解錠装置100及び携帯端末200の各部を制御することによって、
図8に示す解錠方法を実行する。
【符号の説明】
【0140】
S 解錠システム
100 解錠装置
110 筐体
111 固定部
112 第1レール
113 第2レール
120 制御部
121 音検出部
122 ボタン押下制御部
123 音生成部
130 受話ボタン押下部
140 解錠ボタン押下部
150 音出力部
160 音入力部
180 通信部
200 携帯端末
220 音出力部
230 音入力部
240 制御部
300 管理サーバ