(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】細胞評価用デバイス及び細胞評価用システム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20221024BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20221024BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20221024BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
C12M1/34 A
G01N27/04 Z
C12M1/00 A
C12Q1/02
(21)【出願番号】P 2018218390
(22)【出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤山 陽一
(72)【発明者】
【氏名】三宅 力
(72)【発明者】
【氏名】田川 陽一
【審査官】進士 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513483(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0065660(US,A1)
【文献】特表2007-515958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0190040(US,A1)
【文献】国際公開第2012/032646(WO,A1)
【文献】島津評論, 2010, Vol.67, No.1,2, pp.53-59
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12N
C12Q
G01N 27/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と第2主面とを有する多孔性膜と、
前記多孔性膜の第1主面において細胞が載置される
、長手方向と短手方向を有する二次元の第1領域に面
し、該第1領域の長手方向に沿って延びる第1流路部を有する第1流路と、
前記多孔性膜の第2主面において前記第1領域の裏側に位置する
、長手方向と短手方向を有する二次元の第2領域に面
し、該第2領域の長手方向に沿って延びる第2流路部を有する第2流路と、
前記多孔性膜の前記第1主面側に設けられた第1電極部材と、
前記多孔性膜の前記第2主面側に設けられた第2電極部材と、
前記細胞の電気抵抗を測定するための、第1電極及び第2電極からなる電圧測定用電極対と、第3電極及び第4電極からなる電流測定用電極対と
を備え、
前記第1電極及び前記第3電極は、前記第1電極部材の、前記第1流路部を臨む位置に、前記第1領域の長手方向に沿って配置され、
前記第2電極及び前記第4電極は、前記第2電極部材の、前記第2流路部を臨む位置に、前記第2領域の長手方向に沿って配置され、
前記第1電極と前記第2電極は、
前記第1領域及び前記第2領域を挟むように
配置され、
前記第3電極と前記第4電極は、前記第1領域及び前記第2領域を挟むように配置されている、
細胞評価用デバイス。
【請求項2】
前記第1電極及び前記第3電極は、前記第1電極部材の、前記第1流路部を臨む位置に、前記第1領域を長手方向に覆うように配置され、
前記第2電極及び前記第4電極は、前記第2電極部材の、前記第2流路部を臨む位置に、前記第2領域を長手方向に覆うように配置される、請求項1に記載の細胞評価用デバイス。
【請求項3】
前記第1流路部の側から平面視して前記第1領域のうちの少なくとも一部を視認可能であるように前記第1電極
及び前記第3電極が設けられている、請求項1又は2に記載の細胞評価用デバイス。
【請求項4】
前記第1電極は透明電極である、請求項1から3のいずれかに記載の細胞評価用デバイス。
【請求項5】
前記第1領域が、前記多孔性膜の前記第1主面に固定された細胞載置領域規定部材が有する開口により規定され、
前記第1流路が、前記細胞載置領域規定部材の、前記多孔性膜と反対側に固定された第1流路部材が有する開口により規定され
、
前記第2流路が、前記多孔性膜の、前記細胞載置領域規定部材と反対側に固定された第2流路部材が有する開口により規定され
、
全体が1つのチップ状に形成されている、請求項1から
4のいずれかに記載の細胞評価用デバイス。
【請求項6】
前記第2領域が、前記多孔性膜の前記第2主面に固定された部材が有する開口により規定される、請求項
5に記載の細胞評価用デバイス。
【請求項7】
前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極、及び前記第4電極が
前記細胞評価用デバイスの一方の側からコンタクト可能に形成されている、請求項1から
6のいずれかに記載の細胞評価用デバイス。
【請求項8】
請求項
1から7のいずれかに記載の細胞評価用デバイスと、
電圧
計と
電流計を備え、前記
電圧計が有する2つの端子が前記第1電極と前記第2電極に取り付けられ、前記
電流計が有する2つの端子が前記第3電極と前記第4電極に取り付けられる、抵抗計と
を備えた細胞評価用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞評価用デバイス、及びこれを備えた細胞評価用システムに関し、特に、細胞の培養時に細胞間に形成されるタイトジャンクションの状態を確認するために用いられるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
生体内には多くの上皮細胞がタイトジャンクションを形成しており、この組織は吸収や代謝などの重要な機能に関わっている。このため、様々な機能解明のための実験前には細胞がタイトジャンクションを形成していることを確認する必要がある。腸管上皮細胞は、生体の腸管の内部表面を形成する細胞である。腸管上皮細胞は相互の細胞間にタイトジャンクションを形成することにより微生物や有害物質が生体に侵入することを防止している。こうした腸管上皮細胞を対象として、腸管の機能回復等を目的とする医薬品や食品の開発が行われている(例えば特許文献1)。
【0003】
こうした開発では、まず腸管上皮細胞を培養して細胞間にタイトジャンクションを形成させる。そして、タイトジャンクションが形成された腸管上皮細胞に対象物質を作用させて細胞の状態変化を観察する。こうした一連の処理には、従来、セルカルチャーインサートが広く用いられている。
【0004】
セルカルチャーインサートは、ウェルプレートのウェル内にインサートを吊り下げたものである。インサートの底面は多孔性膜で構成されている。セルカルチャーインサートでは、インサートの内部に第1培養液を、インサートとウェルプレートの間に第2培養液をそれぞれ導入し、該多孔性膜上で細胞を培養する。
【0005】
そして、インサートとウェルプレートの間、及びインサートの内部にそれぞれ、抵抗計の電極を差し込んで電気抵抗を測定する。こうして測定される電気抵抗には多孔性膜の抵抗と細胞の抵抗が含まれる。細胞の培養開始後、細胞間に形成されるタイトジャンクションの数が増えるにつれて細胞の電気抵抗が上昇し、測定される電気抵抗の値が高くなっていく。細胞間に十分なタイトジャンクションが形成されると、それ以上、電気抵抗が上昇しなくなるため、電気抵抗の測定値がほぼ一定になったことを確認することにより、細胞間に十分なタイトジャンクションが形成されたと判断する。細胞間にタイトジャンクションが形成されたことを確認した後、第2培養液に代えて対象物質を含んだ培養液を導入し、細胞の変化を観察する。
【0006】
近年、細胞評価用デバイスに電極を一体化したものが提案されている(例えば非特許文献1)。非特許文献1に記載の細胞評価用デバイスは、いずれも略S字状のチューブである第1流路部材と第2流路部材、及び多孔性膜を有している。第1流路部材と第2流路部材は上下に、平面視して交差するように隣接配置されている。第1流路部材の内部に形成された第1流路と第2流路部材の内部に形成された第2流路とが交差する位置に多孔性膜が配置されている。また、第1流路と第2流路は多孔性膜に形成された孔を通じて連通している。第1流路部材の流路入口端には第1電極が設けられており、第2流路部材の流路出口端には第2電極が設けられている。
【0007】
細胞評価用デバイスでは、第1流路に第1培養液、第2流路に第2培養液をそれぞれ流通させつつ多孔性膜上で細胞を培養する。また、2つの電極間の電気抵抗を測定して細胞間に形成されるタイトジャンクションの状態を確認する。細胞間に十分なタイトジャンクションの形成が確認された後、第1培養液に代えて対象物質を含んだ培養液を導入し、細胞の変化を観察する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Odijk M. et al., "Measuring direct current trans-epithelial electrical resistance in organ-on-a-chip microsystems", Lab on a chip, 15(3), 745-752 (2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
非特許文献1の細胞評価用デバイスでは、上述の通り、第1電極が第1流路部材の流路入口端に設けられ、第2電極が第2流路部材の流路出口端に設けられる。2つの電極間の電気抵抗には、細胞及び多孔性膜の電気抵抗だけでなく、第1流路及び第2流路の電気抵抗が含まれる。そのため、細胞間にタイトジャンクションが形成される前後の電気抵抗の差が相対的に小さくなり、細胞間にタイトジャンクションが形成されることにより生じる電気抵抗の上昇を確認することが難しいという問題があった。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、細胞の培養により該細胞間にタイトジャンクションを形成させる細胞評価用デバイスにおいて、該タイトジャンクションの形成により生じる電気抵抗の上昇を容易に確認できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために成された本発明に係る細胞評価用デバイスは、
第1主面と第2主面とを有する多孔性膜と、
前記多孔性膜の第1主面において細胞が載置される第1領域に面する第1流路部を有する第1流路と、
前記多孔性膜の第2主面において前記第1領域の裏側に位置する第2領域に面する第2流路部を有する第2流路と、
前記第1領域及び前記第2領域を挟むように、前記第1流路部に設けられた第1電極及び前記第2流路部に設けられた第2電極と
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る細胞評価用デバイスでは、細胞が載置される第1領域と、該第1領域の裏面に位置する第2領域を挟むように、第1流路部に第1電極を設け、第2流路部に第2電極を設けた構成としており、第1領域に面した第1流路部及び第2領域に面した第2流路部以外の流路抵抗の影響が抑制される。従って、細胞の培養時に細胞間にタイトジャンクションの形成により生じる電気抵抗の上昇を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る細胞評価用デバイスの一実施例を構成する各部材の構造を示す図。
【
図2】本実施例の細胞評価用デバイスを備えた細胞評価システムの概略構成図。
【
図3】本実施例の細胞評価用システムの内部に形成される細胞載置領域を説明する図。
【
図4】従来の細胞評価システムにおける電気抵抗の変化を説明する図。
【
図5】本実施例の細胞評価システムにおける電気抵抗の変化を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る細胞評価用デバイスの一実施例について、以下、図面を参照して説明する。本実施例の細胞評価用デバイスは、内部に設けた膜上で細胞を培養して細胞間にタイトジャンクションを形成させ、十分なタイトジャンクションが形成された後に菌を含む培地と作用させて細胞の変化を観察するために用いられる。本実施例の細胞評価用デバイスを嫌気チャンバー内に設置し、膜面に酸素を含む培地を流すことにより、例えば腸管上皮細胞に対する腸内細菌の作用を観察することができる。
【0016】
本実施例の細胞評価用デバイス1は8つの部材を重ね合わせることにより構成されている。8つの部材は、使用時に上方に位置するものから順に、フタ部材10、上電極部材20、上流路部材30、上部フィルタ抑え部材40、フィルタ部材50、下部フィルタ抑え部材60、下流路部材70、下電極部材80である(
図1参照)。
【0017】
図1に各部材の構造を示す。
フタ部材10は、板状部材に、上流路入口用孔111、上流路出口用孔112、下流路入口用孔121、及び下流路出口用孔122を形成したものである。これらの各孔にはシリコーンゴムチューブが取り付けられる。また、後述する各電極の端部が位置する箇所に、切り込み部15が設けられている。フタ部材10は、樹脂で作られていてもよい。当該樹脂の例はポリジメチルシロキサン(PDMS: polydimethylsiloxane)樹脂を含み、一例ではシルポット184(東レ・ダウコーニング株式会社製)である。
【0018】
上電極部材20は、上流路入口用孔211、上流路出口用孔212、下流路入口用孔221、下流路出口用孔222、上部第1電極導通用孔231、上部第2電極導通用孔232、下部第1電極端子用孔241、及び下部第2電極端子用孔242が設けられている。上電極部材20は、ガラス板であってよく、一例ではEagleXG(コーニング インコーポレイテッド社の登録商標)である。上電極部材20の例示的な厚さは、0.5mmである。
【0019】
上電極部材20の下面には、T字状の上部第1電極251が設けられている。上電極部材20の上面の、前記切り込み部15に対応する位置にも直線状の上部第1電極251が設けられている。上電極部材20の上面と下面に設けられた上部第1電極251は、上部第1電極導通用孔231を介して電気的に接続されている。
【0020】
また、上電極部材20の下面には、T字状の上部第1電極251のうちの頂部の直線部分と並行な直線部分と、該直線部分の一端から上部第1電極251を迂回するように上部第2電極導通用孔232に達する部分を有する上部第2電極252が設けられている。さらに、上電極部材20の上面の、前記切り込み部15に対応する位置にも直線状の上部第2電極252が設けられている。上電極部材20の上面と下面に設けられた上部第2電極252は、上部第2電極導通用孔232を介して電気的に接続されている。
【0021】
上電極部材20の上記各孔は、リソグラフィ及びサンドブラスト加工により形成されている。スパッタリングによりPt/Ti(白金でコーティングしたチタン)電極を、0.2μm/0.1μmの厚さで成膜することにより上部第1電極251及び上部第2電極252を形成した。上部第1電極251及び上部第2電極252のパターニング時にはメタルマスクを使用した。
【0022】
上流路部材30には、下流路入口用孔321、下流路出口用孔322、下部第1電極端子用孔341、及び下部第2電極端子用孔342が設けられている。上流路部材30には、例えばシリコーンゴムシートからなるものを用いることができる。また、その厚さは、例えば0.2mmである。上流路部材30には、3つの直線を連結した形状を有し、一端が上流路入口用孔211の下方に、他端が上流路出口用孔212の下方となる位置する、上流路37が形成されている。上流路37は、例えば、幅3mm、長さ37mm(中央の直線部の流路の長さ14mm、その両端に接続された側部流路の長さ11.5mm)である。なお、中央の直線部の流路の長さは、該流路の中心線と側部流路の中心線の交点間の距離である。本実施例では、カッティングプロッタにより加工して上流路部材30(及び後記の上部フィルタ抑え部材40、下部フィルタ抑え部材60、及び下流路部材70)が作製されているが、レーザ加工等、別の加工方法を用いてもよい。
【0023】
上部フィルタ抑え部材40には、下流路入口用孔421、下流路出口用孔422、下部第1電極端子用孔441、及び下部第2電極端子用孔442が設けられている。上部フィルタ抑え部材40には、例えば、シリコーンゴムシートからなるものを用いることができる。また、その厚さは、例えば0.2mmである。上部フィルタ抑え部材40には、上流路37の一部(中央の直線部の流路)に対応する位置に、後述するフィルタ部材50上の細胞載置領域100を規定する開口47が設けられている。開口47の大きさは、例えば、幅2mm、長さ16mmである。
【0024】
フィルタ部材50には、下流路入口用孔521、下流路出口用孔522、下部第1電極端子用孔541、及び下部第2電極端子用孔542が設けられている。フィルタ部材50には、例えば、ポリカーボネートからなる膜(例示的な厚さ20μm)に貫通孔(例示的な大きさ5μmの)をランダムに形成したトラックエッチ膜(本発明における多孔性膜に相当)を用いることができる。また、トラックエッチ膜として、例えばipPORE(エア・ブラウン株式会社製)を用いることができる。
【0025】
下部フィルタ抑え部材60は、上部フィルタ抑え部材40と同一の材料からなり同一の構造を有する部材である。即ち、下流路入口用孔621、下流路出口用孔622、下部第1電極端子用孔641、及び下部第2電極端子用孔642が設けられている。下部フィルタ抑え部材60にも、例えば、シリコーンゴムシートからなるものを用いることができる。また、その厚さは、例えば0.2mmである。また、後記の下流路77の一部に対応する位置に、細胞に接触する流路部を規定する開口67が設けられている。開口67の大きさは、例えば、幅2mm、長さ16mmである。
【0026】
下流路部材70には、下部第1電極端子用孔741及び下部第2電極端子用孔742が設けられている。下流路部材70には、例えばシリコーンゴムシートからなるものを用いることができる。また、その厚さは、例えば0.2mmである。また、上流路37と左右対称な形状の下流路77が形成されている。下流路77は、例えば、幅3mm、長さ37mm(中央の直線部の流路の長さ14mm、その両端に接続された側部流路の長さ11.5mm)である。下流路77の一端は下流路入口用孔621の下方に、他端は下流路出口用孔622の下方に位置している。
【0027】
下電極部材80の上面には、上部第1電極251(T字状の電極)と左右対称に下部第2電極852が設けられており、また上部第2電極252(上部第1電極251を迂回するように設けられた電極)と左右対称に下部第1電極851が設けられている。下部第1電極851及び下部第2電極852もPt/Ti電極であり、上部第1電極251及び上部第2電極252と同様の方法で形成されている。下電極部材80は、ガラス板であってよく、一例ではEagleXGである。下電極部材80の例示的な厚さは、0.5mmである。
【0028】
フィルタ部材50と、上部フィルタ抑え部材40及び下部フィルタ抑え部材60は、プラズマ処理等により接着されている。両者を接着した後にフィルタ部材50上に形成される細胞載置領域には、必要に応じて細胞接着用の足場がコーティングされる。これは、例えば上部フィルタ抑え部材40の開口47からコラーゲン溶液を滴下し乾燥させる等の方法により行うことができる。
【0029】
上電極部材20と上流路部材30、下電極部材80と下流路部材70は、それぞれ酸素プラズマ処理によって接合されている。また、上流路部材30と上部フィルタ抑え部材40、下部フィルタ抑え部材60と下流路部材70も、それぞれ酸素プラズマ処理によって接合されている。これにより本実施例の細胞評価用デバイス1が得られる。
【0030】
図2は、こうして作製された細胞評価用デバイス1、及び後述する抵抗計90並びに制御・処理部9を含んだ細胞評価システムの概略構成図である。
図2では細胞評価用デバイス1を平面図で示している。また。
図2には、フタ部材10の上流路入口用孔111、上流路出口用孔112、下流路入口用孔121、及び下流路出口用孔122のそれぞれに、シリコーンゴムチューブ101-104を取り付けた状態を示した。破線で付した部分は細胞評価用デバイス1の内部の構成である。また、
図2では、同じ位置に複数の孔等が存在するものについて、最も上に位置する部材の符号のみを付している。
【0031】
細胞評価用デバイス1の内部の構造を分かりやすく示すために、
図3に、細胞評価用デバイス1の一部(上流路部材30、上部フィルタ抑え部材40、フィルタ部材50、下部フィルタ抑え部材60、下流路部材70)を重ねた状態の平面図を示す。図にハッチングで示すように、細胞評価用デバイス1のフィルタ部材50の上面のうち、上部フィルタ抑え部材40の開口47が形成された位置に、細胞載置領域100が形成される。
図3でも、細胞評価用デバイス1の内部の構成は破線で示し、同じ位置に複数の孔等が存在するものについて、最も上に位置する部材の符号を付している。
【0032】
図2に示すとおり、上流路37(本発明における第1流路に相当)のうち細胞載置領域100に面する部分371(本発明における第1流路部に相当)の上方の一部を覆うように上部第1電極251と上部第2電極252が設けられている。また、下流路77(本発明における第2流路に相当)のうち細胞載置領域100の裏側の領域に面する部分771(本発明における第2流路部に相当)の一部を下方から覆うように下部第1電極851と下部第2電極852が設けられている。
【0033】
図2に示すように、本実施例の細胞評価システムは、細胞評価用デバイス1に加え、抵抗計90、及び制御・処理部9を備えている。抵抗計90は電流計901と電圧計902を備えており、それぞれが2つの端子を有している。即ち、抵抗計90は四端子法で電気抵抗を測定する。
【0034】
制御・処理部9は、記憶部91のほかに、機能ブロックとして培養制御部92、及び判定部93を備えている。制御・処理部9の実体はパーソナルコンピュータであり、入力部94と表示部95が接続されている。
【0035】
本実施例の細胞評価用システムを用いて細胞を培養し、該細胞間に形成されるタイトジャンクションの状態を評価する場合の手順を説明する。
【0036】
まず、抵抗計90が有する電圧計902の端子を、上部第1電極251の、フタ部材10の切り込み部15から露出している部分と、下部第1電極851のうち下部第1電極端子用孔241から露出している部分に、それぞれ取り付ける。また、抵抗計90が有する電流計901の端子を上部第2電極252のうちフタ部材10の切り込み部15から露出している部分と、下部第2電極852のうち下部第2電極端子用孔242から露出している部分に、それぞれ取り付ける。即ち、四端子法により、上部第2電極252と下部第2電極852の間の電気抵抗を測定するように各端子を取り付ける。なお、電流計901の端子と電圧902の端子を取り付ける電極の組は逆であってもよい。
【0037】
次に、細胞載置領域100に細胞定着剤をコーティングし、その上に培養する細胞を載置する。
【0038】
使用者が、入力部94を通じた所定の入力を行う等により細胞の培養開始を指示すると、培養制御部92は、図示しない培養液供給部を動作させ、シリコーンゴムチューブ101から上流路入口用孔111、211を介して上流路37に第1培養液を導入する。上流路37を流通した第1培養液は、上流路出口用孔212、112を通ってシリコーンゴムチューブ102から流出する。また、シリコーンゴムチューブ103から下流路入口用孔121、221、321、421、521、621を介して下流路77に第2培養液を導入する。下流路77を流通した第2培養液は、下流路出口用孔622、522、422、322、222、122を通ってシリコーンゴムチューブ104から流出する。
【0039】
第1培養液と第2培養液の導入により、細胞載置領域100上の細胞が培養され、該細胞間にタイトジャンクションが形成される。細胞の培養開始後、判定部93は、上部第2電極252と下部第2電極852の間の電気抵抗を所定の時間間隔で測定し、測定値を記憶部91に保存する。また、表示部95に測定値の変化をグラフで表示する。判定部93は、さらに、新たな測定値を取得する毎に、電気抵抗の変化の割合(所定時間あたりの電気抵抗値の上昇量)が予め決められた変化の割合を下回ったか否かを判定する。そして、電気抵抗の変化の割合が予め決められた変化の割合を下回ったと判定した時点で、細胞の培養が完了した(細胞間に十分なタイトジャンクションが形成された)ことを示すメッセージを表示部95に表示する。
【0040】
上記メッセージが表示されると、使用者は、細胞評価用デバイス1の上方から細胞載置領域100内の細胞の状態を確認する。そして、細胞間に十分なタイトジャンクションが形成されていると判断した場合には、入力部94を通じた所定の入力により細胞の培養の終了を指示する。使用者が細胞間に十分なタイトジャンクションが形成されていないと判断した場合には、判定部93による判定結果をリセットして細胞の培養を継続する。この場合、判定部93は再び上述の動作を繰り返す。
【0041】
非特許文献1で提案されている従来の細胞評価用デバイスでは、フィルタの上側に第1流路を形成するチューブ状の第1流路部材を設け、多孔性膜の下側に第2流路を形成するチューブ状の第2流路部材を設けて、抵抗計が有する1対の電極を第1流路の流路入口端と第2流路の流路出口端に取り付けて電気抵抗を測定していた。そのため、2つの電極間の電気抵抗には、細胞及び多孔性膜の電気抵抗だけでなく、第1流路及び第2流路の電気抵抗や抵抗計の配線の電気抵抗が含まれ(
図4参照)、細胞間にタイトジャンクションが形成される前後の電気抵抗の差が相対的に小さくなり、細胞間にタイトジャンクションが形成されることにより生じる電気抵抗の上昇を確認することが難しく、細胞間に十分なタイトジャンクションが形成された時点(t
0)を把握することができないという問題が生じていた。
【0042】
本実施例の細胞評価用デバイス1では、電圧測定用の1対の電極252、852が、上流路37のうちの細胞載置領域に面した部分である第1流路部371の外縁と下流路77のうちの細胞載置領域100に面した部分である第2流路部771の外縁に配置される。また、各電極251、252、851、852が、細胞載置領域100の長手方向(上流路37及び下流路77が延びる方向)の長さと同一あるいはそれ以上の長さを有している。そのため、フィルタ部材50の細胞載置領域100を斜めに通過する電流パスが形成され、また該細胞載置領域100を挟んで第1流路部371と第2流路部771の上下にかかる電圧が測定される。このような構成を取ることにより、細胞載置領域100以外の流路の抵抗成分の影響が除去される。セルカルチャーインサートのようにウェル内に培養液を満たした状態で電気抵抗を測定する場合とは異なり、本実施例のように、幅3mm程度、深さ0.2mm程度の流路を用いて微量の被検細胞を観察する場合には、流路内の電気抵抗が大きくなり、市販の装置では電気抵抗が大きすぎて計測不可能な場合があった。これに対し、本実施例の構成を採ることにより、幅3mm程度、深さ0.2mm程度の流路であっても十分に電気抵抗の変化を確認することができる。このように、測定される電気抵抗には、実質的にフィルタ部材50及び該フィルタ部材50の細胞載置領域100内の細胞の電気抵抗のみが含まれる(
図5参照)ため、細胞間にタイトジャンクションが形成されることにより生じる電気抵抗の上昇を容易に確認することができる。
【0043】
また、本実施例の細胞評価用デバイス1は2対の電極(上部第1電極251と下部第1電極851の対、及び上部第2電極252と下部第2電極852の対)を備えており、四端子法により電気抵抗を測定することができる。従って、この細胞評価用デバイス1を備えた細胞評価用システムでは、抵抗計の配線の電気抵抗の影響も抑制され、細胞間にタイトジャンクションが形成されることにより生じる電気抵抗の上昇を容易に確認することができる。
【0044】
本実施例の細胞評価用デバイス1では、上流路37と下流路77に培地(10%FSB DMEM)を満たした状態での電気抵抗の例示的な測定値は2500Ω程度であり、この培地を用いたCaco2細胞(ヒト結腸癌由来の細胞)の培養時にCaco2細胞間にタイトジャンクションが形成されることによる電気抵抗値の上昇を確認することができた。一方、従来同様に流路端に電極を設けた構成の細胞評価用デバイスでは、培地を満たした時点での抵抗値が高すぎて、Caco2細胞間にタイトジャンクションが形成されることによる電気抵抗値の上昇を確認することができなかった。
【0045】
本実施例の細胞評価用デバイス1では、上電極部材20に上部第1電極導通用孔231と上部第2電極導通用孔232を形成し、上部第1電極251と上部第2電極252の一部を細胞評価用デバイス1の上面側に露出している。また、各部材に下部第1電極端子用孔(241等)及び下部第2電極端子用孔(242等)を設け、下部第1電極851及び下部第2電極852の一部を細胞評価用デバイス1の上面側に露出している。そのため、これらのいずれの電極についても、細胞評価用デバイス1の上面側からコンタクトを取ることができる。
【0046】
また、本実施例の細胞評価用デバイス1では、上部第1電極251と上部第2電極252を、これらが細胞載置領域100の全体を覆わないような大きさ及び位置としている。つまり、第1流路部371の側から平面視して、細胞載置領域100のうちの少なくとも一部を視認可能であるように2つの電極251、252が設けられている。そのため、細胞の培養中に、電気抵抗値の測定と並行して、視覚的に細胞の状態を確認することができる。
【0047】
上記実施例は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。
本実施例の細胞評価システムは、腸管上皮細胞に限らず、タイトジャンクション形成が必要である細胞の評価に広く用いることができる。また、上記実施例ではPt/Ti電極を使用したが、ITOなどの透明電極を用いることにより細胞載置領域100内の細胞を確認できるように構成することができる。
【0048】
以上、図面を参照して本発明における種々の実施形態を詳細に説明したが、最後に、本発明の種々の態様について説明する。なお、以降に付した符号は理解を容易にするためのものであって、本発明の構成を限定するものではない。
【0049】
本発明の第1態様の細胞評価用デバイス(1)は、
第1主面と第2主面とを有する多孔性膜(50)と、
前記多孔性膜(50)の第1主面において細胞が載置される第1領域(100)に面する第1流路部(371)を有する第1流路(33)と、
前記多孔性膜(50)の第2主面において前記第1領域(100)の裏側の領域に位置する第2領域に面する第2流路部(771)を有する第2流路(77)と、
前記第1領域(100)及び前記第2領域を挟むように、前記第1流路部(371)に設けられた第1電極(252)及び前記第2流路部(771)に設けられた第2電極(852)と
を備える。
【0050】
第1態様の細胞評価用デバイスでは、第1電極が第1流路部に、第2電極が第2流路部に、細胞が載置される第1領域とその裏側に位置する第2領域を挟むように設けられており、これら各部の電気抵抗のみが測定されるため、細胞の培養時に細胞間にタイトジャンクションの形成により生じる電気抵抗の上昇を容易に確認することができる。
【0051】
また、本発明の第2態様の細胞評価用デバイス(1)は、上記第1態様の細胞評価用デバイス(1)において、
前記第1流路部(371)と前記第2流路部(771)は、前記第1領域に沿って共通する方向に設けられており、
前記共通する方向において、前記第1電極(252)の長さが前記第1領域(100)の長さの半分以上であり、前記第2電極(852)の長さが前記第2領域の長さの半分以上である。
【0052】
細胞間にタイトジャンクションが形成される速度は、必ずしも第1領域(細胞載置領域)の全体にわたって一様であるとは限らない。例えば、細胞間のタイトジャンクションの形成速度が速い位置に局所的に電極が配置されていると、電極から遠い位置では未だ細胞間に十分なタイトジャンクションが形成されていないにも関わらず電気抵抗が大きくなる場合がある。第2態様の細胞評価用デバイスを用いることにより、タイトジャンクションの形成速度が一様でない場合にも、細胞載置領域全体におけるタイトジャンクションの形成状況に応じた電気抵抗の変化をより正確に確認することができる。なお、第1領域は、上記実施例のような直線状に限定されず、屈曲していてもよい。そして、第1流路部と第2流路部も同様に、上記実施例のような直線状に限定されず、屈曲していても良い。また、第1流路部と第2流路部は屈曲している場合に、その曲率が均一である必要もない。上記実施例では、第1流路部及び第2流路部は、それぞれ、第1流路と第2流路の幅方向全体に広がった形状を有しているが、これらは必須の要件ではなく、第1流路部(又は第2流路部)は、第1流路(又は第2流路)の幅方向の一部に設けられていても良い。
【0053】
また、本発明の第3態様の細胞評価用デバイス(1)は、上記第1態様又は第2態様の細胞評価用デバイス(1)において、
前記第1流路部(371)の側から平面視して前記第1領域(100)のうちの少なくとも一部を視認可能であるように前記第1電極(252)が設けられたものである。
【0054】
第3態様の細胞評価用デバイスを用いることにより、細胞載置領域上で細胞間にタイトジャンクションが形成される状況を視覚的に確認することができる。これは、例えば、第1流路方向と直交する方向において第1領域の長さ(幅)よりも短い形状の電極を用いることによっても具現化することができる。さらには、第1流路部材の外側から平面視して第1領域の少なくとも一部を覆わないような位置に第1電極を配置することによっても具現化することができる。
【0055】
また、本発明の第4態様の細胞評価用デバイス(1)は、上記第1態様から第3態様の細胞評価用デバイス(1)のいずれかにおいて、
前記第1電極(252)を透明電極としたものである。
【0056】
第4態様の細胞評価用デバイスでは、不透明の電極を用いる場合に比べ、電極配置の自由度が高くなる。
【0057】
また、本発明の第5態様の細胞評価用デバイス(1)は、上記第1態様から第4態様の細胞評価用デバイス(1)のいずれかにおいて、さらに、
前記第1領域(100)及び前記第2領域を挟むように、前記第1流路部(371)に設けられた第3電極(251)及び前記第2流路部(771)に設けられた第4電極(851)と
を備えたものである。
【0058】
第5態様の細胞評価用デバイスは、2対の電極(第1電極と第2電極からなる対と、第3電極と第4電極からなる対)を、電流計接続用電極と電圧計接続用電極として用いる、いわゆる四端子法により電気抵抗を測定する構成のものである。従来の細胞評価用デバイスは、いわゆる二端子法により電気抵抗を測定するものであり、測定により得られる電気抵抗には配線の抵抗が含まれる。そのため、配線抵抗によって細胞にタイトジャンクションが形成される前後の電気抵抗の差が相対的に小さくなっていた。一方、第5態様の細胞評価用デバイスでは四端子法で電気抵抗が測定されるため、その測定値に対する配線抵抗の影響が抑制される。従って、細胞の培養時に細胞間にタイトジャンクションの形成により生じる電気抵抗の上昇をより一層、容易に確認することができる。
【0059】
また、本発明の第6態様の細胞評価用デバイス(1)は、上記第1態様から第5態様の細胞評価用デバイス(1)のいずれかにおいて、
前記第1領域(100)が、前記多孔性膜(50)の前記第1主面に固定された細胞載置領域規定部材(40)が有する開口(47)により規定され、
前記第1流路(37)が、前記細胞載置領域規定部材(40)の、前記多孔性膜(50)と反対側に固定された第1流路部材(30)が有する開口(37)により規定され、
前記第1電極(252)が、前記第1流路部材(30)の、前記多孔性膜(50)と反対側に固定された第1電極部材(20)の前記第1領域(100)を臨む位置に形成され、
前記第2流路(77)が、前記多孔性膜(50)の、前記細胞載置領域規定部材(40)と反対側に固定された第2流路部材(70)が有する開口(77)により規定され、
前記第2電極(852)が、前記第2流路部材(70)の、前記多孔性膜(50)と反対側に固定された第2電極部材(80)の前記第2領域を臨む位置に形成され、
全体が1つのチップ状に形成されたものである。
【0060】
第6態様の細胞評価用デバイスは、多孔性膜の一方の側に細胞載置領域規定部材、第1流路部材、及び第1電極部材を配置し、該多孔性膜の他方の側に第2流路部材及び第2電極部材を配置することにより構成されており、全体が1つのチップ状に形成される。そのため、各部を個別に備えた構成のものに比べて取り扱いが容易である。
【0061】
また、本発明の第7態様の細胞評価用デバイス(1)は、上記第6態様の細胞評価用デバイス(1)において、
前記第2領域が、前記多孔性膜(50)の前記第2主面に固定された部材(60)が有する開口(67)により規定されたものである。
【0062】
第7態様の細胞評価用デバイスでは、第2流路が多孔性膜の表面、該多孔性膜に隣接して設けられた第2流路部材の開口によって第2流路が規定されるため、少なくとも第2流路全体を覆うような大きさの多孔性膜を用いる必要がある。一方、第7態様の細胞評価用デバイスでは、第2流路が上記部材と、該部材に隣接して設けられた第2流路部材の開口によって第2流路が規定されるため、第1領域のみを覆う大きさの多孔性膜を使用することが可能になる。第2流路部材には、例えば上記実施例のようにシリコーンゴムシートからなるものが用いられる。第6態様の細胞評価用デバイスにおいて上記部材(60)を有しない場合には、シリコーンゴムシートと多孔性膜を貼り合わせて第2流路を規定することになる。シリコーンゴムシート同士の貼り合わせは容易であるが、多孔質膜とシリコーンゴムシートの貼り合わせは難易度が高い。上記第7態様の細胞評価用デバイスの構成を採ることにより精確に第2流路を規定して必要な機能を容易に実現することができる。
【0063】
また、本発明の第8態様の細胞評価用デバイス(1)では、
前記第1電極(252)と前記第2電極(852)の両方が、前記細胞評価用デバイス(1)の一方の側からコンタクト可能に形成されている。
【0064】
第8態様の細胞評価用デバイスでは、第1電極及び第2電極が細胞評価用デバイスの一方の側からコンタクト可能に形成されているため、抵抗計の端子の接続が容易である。
【0065】
さらに、本発明の第9態様は、
上記第5態様の細胞評価用デバイス(1)と、
電流計(901)と電圧計(902)を備え、前記電流計(901)が有する2つの端子が前記第1電極(252)と前記第2電極(852)に取り付けられ、前記電圧計(902)が有する2つの端子が前記第3電極(251)と前記第4電極(851)に取り付けられる、抵抗計(90)と
を備えた細胞評価用システムである。
【0066】
上記第9態様の細胞評価用システムでは、第1領域で培養される細胞等の電気抵抗が四端子法で測定されるため、その測定値に与える配線抵抗の影響が抑制される。従って、第9態様の細胞評価用システムでは、測定値の変化から、細胞の培養時に細胞間にタイトジャンクションの形成により生じる電気抵抗の上昇を容易に確認することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…細胞評価用デバイス
100…細胞載置領域
10…フタ部材
15…切り込み部
20…上電極部材
251…上部第1電極
252…上部第2電極
30…上流路部材
37…上流路
371…上流路のうち細胞載置領域に面する部分(第1流路部)
40…上部フィルタ抑え部材
47…開口
50…フィルタ部材
60…下部フィルタ抑え部材
67…開口
70…下流路部材
77…下流路
771…下流路のうち細胞載置領域の裏側の領域に面する部分(第2流路部)
80…下電極部材
851…下部第1電極
852…下部第2電極
90…抵抗計
9…制御・処理部
91…記憶部
92…培養制御部
93…判定部
94…入力部
95…表示部