(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】太陽光出力オプティマイザ回路
(51)【国際特許分類】
G05F 1/67 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
G05F1/67 A
(21)【出願番号】P 2020560002
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 JP2019047618
(87)【国際公開番号】W WO2020116559
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2018228830
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514200291
【氏名又は名称】Mersintel株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508276121
【氏名又は名称】CEF株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093506
【氏名又は名称】小野寺 洋二
(72)【発明者】
【氏名】西村 弘之
【審査官】猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-039673(JP,A)
【文献】特開2016-057685(JP,A)
【文献】特開2018-038149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力が変動する太陽光パネルの発電出力から安定的に電力を収穫する太陽光発電システムに用いる太陽光出力オプティマイザ回路であって、
前記太陽光パネルの発電出力を入力する太陽光発電入力手段と、前記太陽光発電入力手段に入力したDC電圧を所定のパルス電圧もしくはAC電圧に変換するスイッチング手段と、倍電圧整流手段とからなり、
前記太陽光発電入力手段は、前記太陽光パネルの「+」出力に一端を接続したインダクタンスと、前記一端にカソード電極を接続した第3のダイオードと、第3のダイオードのアノード電極にドレイン電極を接続し、ソース電極を接地した第8のスイッチングトランジスタと、第3のダイオードのアノード電極にカソード電極を接続し、アノード電極を接地した第4のダイオードとを有し、
前記スイッチング手段は、
前記インダクタンスの他端にドレインを接続し、ソース電極を接地した第1のスイッチングトランジスタと、
前記インダクタンスの他端にドレイン電極を接続した第2のスイッチングトランジスタと、第2のスイッチングトランジスタのソース電極にドレイン電極を接続し、ソース電極を接地した第3のスイッチングトランジスタと、前記インダクタンスの前記他端にドレイン電極を接続した第4のスイッチングトランジスタと第4のスイッチングトランジスタのソース電極にドレイン電極を接続し、ソース電極を接地した第5のスイッチングトランジスタを有し、
前記倍電圧整流手段は、
第2のスイッチングトランジスタのソース電極と第3のスイッチングトランジスタのドレイン電極の接続点に一次巻線の一端を接続し、第4のスイッチングトランジスタのソース電極に前記一次巻線の他端を接続したトランスと、
前記トランスの二次巻線に接続する倍電圧整流回路を有し、
前記スイッチング手段を構成する第2のスイッチングトランジスタのソース電極と倍電圧整流手段を構成する前記トランスの一次巻線の一端の接続点を前記太陽光発電入力手段を構成する第6のスイッチングトランジスタのドレイン電極に接続した第1の電力回収回路と、
前記トランスの一次巻線の他端にソース電極を接続して前記スイッチング手段を構成する第5のスイッチングトランジスタのドレイン電極にドレイン電極を接続し、前記第1の電力回収回路を構成する第6のスイッチングトランジスタのソース電極と第3のダイオードのアノード電極にソース電極を接続した第7のスイッチングトランジスタで構成した第2の電力回収回路を具備し、
前記太陽光パネルの発電出力が小さい立ち上がり時および立下り時における前記インダクタンスのエネルギーを前記トランスから前記倍電圧整流手段を介して負荷に供給することを特徴とする太陽光出力オプティマイザ回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記太陽光出力オプティマイザ回路の前記倍電圧整流手段は、一次巻線の一端aを前記スイッチング手段を構成する第2のスイッチングトランジスタのソース電極と第3のスイッチングトランジスタのドレイン電極との接続点に接続したトランスと、
前記トランスの二次巻線の一端にアノード電極を接続し、カソード電極を前記倍電圧整流手段の「+」出力端子に接続した第1のダイオードと、前記トランスの二次巻線の一端にカソード電極を接続し、アノード電極を前記倍電圧整流手段の「-」出力端子に接続した第2のダイオードと、
一端を前記トランスの二次巻線の他端に接続し、他端を前記倍電圧整流手段の「+」出力端子に接続した第1のコンデンサと、一端を前記トランスの二次巻線の他端に接続し、他端を前記倍電圧整流手段の「-」出力端子に接続した第2のコンデンサとで構成したことを特徴とする太陽光出力オプティマイザ回路。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記太陽光出力オプティマイザ回路の一方の出力は、外部系統にAC電力を出力するパワーコンディショナに接続されることを特徴とする太陽光出力オプティマイザ回路。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかにおいて、
前記太陽光出力オプティマイザ回路は複数の太陽光パネル毎に接続され、それらの出力を並列接続することを特徴とする太陽光出力オプティマイザ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルを用いた発電システムに係り、特に出力変動が大きい太陽光パネルの出力をオプティマイズ(最適化)することで安定した発電出力の高効率収穫を可能とした太陽光出力のオプティマイザ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー資源の多様化に伴い、再生可能エネルギーの一つとして太陽光パネルを利用する発電が普及している。近年のエネルギー源不足やCO2の排出抑制を背景として、1000kWを超える大規模な太陽光発電プラント(所謂、メガソーラー)の建設も盛んになっている。なお、以下では、太陽光発電をPV(Photo-Voltaic)、それに用いる太陽光パネル(あるいは、ソーラーパネル)をPVパネルとも称する。
【0003】
PVパネルの出力は、照射される光量により変化する。特に夜明けなどの光量が少ないときには出力は小さく、内部インピーダンスが高くなっている。内部インピーダンスが高い状態で負荷を接続すると電圧が下がって電源としての正常な動作ができず、不安定な電源となる。PVパネルが低光量の状態にあっても安定に動作する制御が必要となる。このような制御を最適化(オプティマイズ)と称し、具体的な最適化手段(回路)をオプティマイザと称する。
【0004】
図8は、従来のPVオプティマイザの基本構成を説明する回路図である。また、
図9は、
図8の回路を構成するスイッチングトランジスタのゲート信号のレベルで示す動作波形図である。
図8において、PVパネル(図示せず)の「+」出力と「-」出力は、それぞれオプティマイザ100のPV入力101(IN+)とPV入力102(IN-):接地に入力する。Q1、Q2、Q3、Q4、Q5は第1、第2、第3、第4、第5のスイッチングトランジスタで、Nチャンネル電力用MOSFETを用いている。この回路では、図示のエンハンスメント型が好適であるが、同様の機能を有するものであればこれに限らない。L1は、一端aがPV入力101に接続され、他端bが第1のスイッチングトランジスタQ1と第2のスイッチングトランジスタQ2及び第4のスイッチングトランジスタQ4のドレイン電極端子に接続されたインダクタンスである。
【0005】
また、T1はトランスで、一次巻線(一次側)の一端aが第2のスイッチングトランジスタQ2のソース電極と第3のスイッチングトランジスタQ3のドレイン電極に接続され、他端bが第4のスイッチングトランジスタQ4のソース電極と第5のスイッチングトランジスタQ5のドレイン電極に接続されている。トランスT1の二次巻線(二次側)の前記一次側の一端aと同極である一端cは第1のダイオードD1のアノードと第2のダイオードD2のカソードに接続され、他端dは直列接続された第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2の直列接続点に接続される。第1のコンデンサC1の一端は第1のダイオードD1のカソードに接続されると共にオプティマイザ出力の一方104(OUT+)に接続される。そして、第2のコンデンサC2の一端は第2のダイオードD2のアノードに接続されると共にオプティマイザ出力の他方105(OUT-)に接続される。
【0006】
なお、第1のスイッチングトランジスタQ1のソース電極、第3のスイッチングトランジスタQ3のソース電極、第5のスイッチングトランジスタQ5のソース電極は接地に接続される。第2のトランジスタQ2と第4のスイッチングトランジスタQ4はハイサイドドスイッチを構成し、第3のスイッチングトランジスタQ3と第5のスイッチングトランジスタQ5はローサイドスイッチを構成する。
【0007】
図8に示したPVオプティマイザ100は、第1のスイッチングトランジスタQ1、第2のスイッチングトランジスタQ2、第3のスイッチングトランジスタQ3、第4のスイッチングトランジスタQ4、第5のスイッチングトランジスタQ5の各ゲート信号Q1-G、Q2-G、Q3-G、Q4-G、Q5-Gは
図9に示した波形が印加されるようになっている。第1~第5のスイッチングトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4、Q5の各ゲート信号Q1-G、Q2-G、Q3-G、Q4-G、Q5-Gの生成手段は後述する。このPVオプティマイザ100はブリッジ型の昇圧・倍電圧整流回路(以下、単に倍電圧整流回路)である。
図9において、スイッチング周波数は、例えば50kHzであり、その1周期Tの前半をA、後半をBとし、前半、後半における各ゲート信号Gがハイレベル(H)で対応するトランジスタがON、ローレベル(L)でOFFとなる。
【0008】
通常動作状態では、周期Tの前半Aのときは、Aa区間で第1~第5のスイッチングトランジスタQ1~Q5は全てONにしてインダクタンスL1を励磁し、Ab区間になると第1のスイッチングトランジスタQ1、第3のスイッチングトランジスタQ3、第4のスイッチングトランジスタQ4をOFFすることで第2のスイッチングトランジスタQ2と第5のスイッチングトランジスタQ5がONとなる。これにより、トランスT1の一次側の一端aがプラス(+)、他端bが接地(GND)となってトランスT1が一端aから他端b方向に励磁される。
【0009】
1周期Tの後半Bに入ると、再度Ba区間で第1~第5のスイッチングトランジスタQ1~Q5のすべてをONにしてインダクタンスL1を励磁し、Bb区間になると第1のスイッチングトランジスタQ1,第2のスイッチングトランジスタQ2、第5のスイッチングトランジスタQ5をOFFすることで、第3のスイッチングトランジスタQ3と第4のスイッチングトランジスタQ4だけがONとなって、今度はトランスT1の一次側の他端bがプラス(+)、トランスT1の一次側の一端aが接地(GND)となって、トランスT1が上記と逆に他端bから一端a方向に励磁される。
【0010】
これでスイッチング周波数の1周期Tの動作が終了し、その後はその繰り返しとなる。トランンスT1の2次側は、1次側と同様に、スイッチング周波数の半周期(T/2)毎にプラス(+)とマイナス(-)を繰り返し、第1のダイオードD1、第2のダイオードD2と第1のコンデンサC1、第2のコンデンサC2による倍電圧整流によって、トランスT1の2次側電圧の2倍に昇圧された電圧が得られる。なお、第1のスイッチングトランジスタQ1は無くても良いが、これを設けたことによって第2のスイッチングトランジスタQ2~第5のスイッチングトランジスタQ5がONとなった時のON抵抗を下げ、負担を軽くすることができる。
【0011】
通常の動作をしているときは、
図9に示したゲート信号によって動作しており、スイッチング周期の前半AのAa区間および後半BのBa区間のパルス幅を変えるPWM制御と、スイッチング周期Tの前半Aと後半Bの時間、即ち周期を変えるPFM制御を行っている。
【0012】
基本的に、太陽光パネル(PVパネル)の出力は当該パネルに照射される光量により変化するが、特に夜明け等の光量が小さいときは出力も小さく内部インピーダンスが高くなっている。内部インピーダンスが高い状況で負荷を接続すると電圧が下がって電力源として正常な動作ができないため、この状況でも安定に動作する制御が必要となる。
【0013】
PVパネルが低出力であっても、電力源として安定に動作させるため、
図8のインダクタンスL1を励磁する時間(
図9に示されたスイッチング信号の周期T)のAa区間およびBa区間を非常に短いパルスで駆動するか、もしくはA+Bの周期を非常に長くすることが有効である。
【0014】
しかしながら、
図9に示したAa区間およびBa区間が短くなった場合、トランスT1があるために、第2のスイッチングトランジスタQ2と第5のスイッチングトランジスタQ5、もしくは第3のスイッチングトランジスタQ3と第4のスイッチングトランジスタQ4のONする時間が長くなり、結局PVパネルの出力を短絡することになってしまう。
【0015】
図10は、PVパネルへの照射光量が少ない場合のAa区間およびBa区間が短くなった場合の各スイッチングトランジスタのスイッチング信号の波形図である。上記したPVパネルの出力の短絡を防止するため、
図10に示したように周期Tの前半のAb区間の終端、および後半のBb区間の終端から第2のスイッチングトランジスタQ2および第4のスイッチングトランジスタQ4を一定時間でOFFして、Ac区間およびBc区間に示した状態にするように各スイッチングトランジスタのゲート信号を生成する。
【0016】
特に、PVパネルが非常に低出力状態にあるときは、上記Ac区間およびBc区間の時間を極力長くすることで、低電力でも安定な動作を続けることができる。
【0017】
ところが、上記のように第2のスイッチングトランジスタQ2および第4のスイッチングトランジスタQ4をOFFにした瞬間にインダクタンスL1の他端bが解放状態になって非常に高いサージ電圧が発生する。その結果、第1のスイッチングトランジスタQ1、第2のスイッチングトランジスタQ2、第4のスイッチングトランジスタQ4に上記のサージ電圧が加わり、これらのスイッチングトランジスタの破壊を起こす可能性がある。
【0018】
この対策として、本願の出願人は
図3に示した回路を提案した(特許文献4参照)。特許文献4に記載の太陽光出力オプティマイザ回路は、PVパネルが非常に低出力状態の低電力でも安定な動作を続行する際のインダクタンスに生じるサージ電圧からトランジスタを保護する手段を備えたものである。
【0019】
この種の従来技術を開示したものとしては、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】特開2006-101581号公報
【文献】特開2011―170836号公報
【文献】特開2013―541930号公報
【文献】特許公報第6005109号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
特許文献4に開示された回路としたことで、PVパネルが非常に低出力状態の低電力でも安定な動作を続行する際のインダクタンスに生じるサージ電圧からトランジスタを保護することができる。しかしながら、特許文献4に開示された回路は、PVパネルの立ち上がり時におけるスイッチングトランジスタを保護するために、昇圧型(ステップアップ)の回路にエネルギーを逃がすことでスイッチングトランジスタを保護する構成としたものであるが、スイッチングトランジスタの保護が完全でなく、低出力時の発電エネルギーを回路内で消費するため、PVの発電出力を常に有効利用するものでもない。
【0022】
本発明は、PVパネルの発電出力が低い場合でのスイッチングトランジスタの保護と発電エネルギーを無駄なく利用可能とした太陽光出力オプティマイザ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するため、本発明に係る太陽光出力のオプティマイザ回路は、上記特許文献4に開示の昇圧型の回路に加えて降圧型(ステップダウン)の回路を設けた。本発明の構成例を挙げれば、次のとおりである。なお、以下の課題を解決するための手段の説明欄においては、各構成部分に
図1に示した実施例の符号を付記して構成を明確にした。
【0024】
本発明は、出力が変動する太陽光パネル50(
図7)の発電出力から安定的に電力を収穫する太陽光発電システムに用いる太陽光出力オプティマイザ回路100であり、以下の構成としたことを特徴とする。
【0025】
(1)前記太陽光パネル50の発電出力を入力する太陽光発電入力手段200Aと、前記太陽光発電入力手段200Aに入力したDC電圧を所定のパルス電圧もしくはAC電圧に変換するスイッチング手段300と、前記スイッチング手段300の出力電力をさらに所定の電圧に昇圧する倍電圧整流手段400とからなり、
前記太陽光発電入力手段200Aは、前記太陽光パネル50の「+」出力に一端aを接続したインダクタンスL1と、前記一端aにカソード電極を接続した第3のダイオードD3と、前記第3のダイオードD3のアノード電極にドレイン電極を接続し、ソース電極を接地したスイッチングトランジスタQ8と、前記第3のダイオードD3のアノード電極にカソード電極を接続し、アノード電極を接地した第4のダイオードD4とを有し、
前記スイッチング手段300は、
前記インダクタンスL1の他端bにドレインを接続し、ソース電極を接地した第1のスイッチングトランジスタQ1と、
前記インダクタンスL1の他端bにドレイン電極を接続した第2のスイッチングトランジスタQ2と、前記第2のスイッチングトランジスタQ2のソース電極にドレイン電極を接続し、ソース電極を接地した第3のスイッチングトランジスタQ3と、前記インダクタンスL1の他端bにドレイン電極を接続した第4のスイッチングトランジスタQ4と
前記スイッチングトランジスタQ4のソース電極にドレイン電極を接続し、ソース電極を接地したスイッチングトランジスタQ5を有し、
前記倍電圧整流手段400は、
前記第2のスイッチングトランジスタQ2のソース電極と前記第3のスイッチングトランジスタQ3のドレイン電極の接続点に一次巻線の一端aを接続し、前記第4のスイッチングトランジスタQ4のソース電極に前記一次巻線の他端bを接続したトランスT1と、 前記トランスT1の二次巻線の一端cと他端dの間に接続した第1のダイオードD1、第2のダイオードD2、第1のコンデンサC1、第2のコンデンサC2のブリッジで構成された倍電圧整流回路を有し、
前記スイッチング手段300を構成する前記第2のスイッチングトランジスタQ2のソース電極と前記倍電圧整流手段400を構成する前記トランスT1の一次巻線の一端aの接続点を前記太陽光発電入力手段200Aを構成する前記第6のスイッチングトランジスタQ6のドレイン電極に接続した第1の電力回収回路110と、
前記トランスT1の一次巻線の他端bにソース電極を接続して前記スイッチング手段300を構成する前記第5のスイッチングトランジスタQ5のドレイン電極にドレイン電極を接続し、前記第1の電力回収回路110を構成するスイッチングトランジスタQ6のソース電極と前記ダイオードD3のアノード電極にソース電極を接続したスイッチングトランジスタQ7で構成した第2の電力回収回路120を具備し、
前記太陽光パネル50の発電出力が小さい立ち上がり時および立下り時(典型的には、朝明け時、あるいは日没時)における前記インダクタンスL1のエネルギーをトランスT1から前記倍電圧整流手段400を介して負荷に供給する構成とした。
【0026】
(2)前記太陽光出力オプティマイザ回路100の前記倍電圧整流手段400は、一次巻線の一端aを、前記スイッチング手段300を構成する前記スイッチングトランジスタQ2のソース電極とスイッチングトランジスタQ3のドレイン電極との接続点に接続したトランスT1と、
前記トランスT1の二次巻線の一端cにアノード電極を接続し、カソード電極を前記倍電圧整流手段400の「+」出力端子104に接続したダイオードD1と、前記トランスT1の前記二次巻線の一端cにカソード電極を接続し、アノード電極を前記倍電圧整流手段400の「-」出力端子に接続したダイオードD2と、
一端を前記トランスT1の前記二次巻線の他端dに接続し、他端を前記倍電圧整流手段400の「+」出力端子104に接続したコンデンサC1と、一端を前記トランスT1の前記二次巻線の他端dに接続し、他端を前記倍電圧整流手段400の「-」出力端子105に接続したコンデンサC2とで構成した。
【0027】
(3)
図7に示したように、本発明に係る前記太陽光出力オプティマイザ回路100も、その一方の出力は、外部系統にAC電力を出力するパワーコンディショナ150に接続される。
【0028】
(4)同様に、本発明に係る前記太陽光出力オプティマイザ回路100は複数の太陽光パネル50毎に接続され、それらの出力を並列接続する。
【0029】
本発明は、上記の構成、後述する発明の詳細な説明に記載された技術思想を逸脱することなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る太陽光出力オプティマイザ回路によれば、その入力回路に設けた昇圧型回路と降圧型回路により、PVパネルの発電エネルギーを有効に利用でき、スイッチングトランジスタの損失もなく、PVパネルの出力変動に対して安定した動作を得ることができる。
【0031】
また、本発明の構成により、インダクタンスL1とトランスT1を直列した状態でインダクタンスに蓄積されたエネルギーを放電することで、放電エネルギーはトランスT1の二次巻線につながる負荷に供給されるため、入力手段200Aを構成する第6や第7のスイッチングトランジスタQ6、Q7や第3のダイオードD3の発熱を抑え、安定した動作と高い発電効率の太陽光発電システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明に係る太陽光出力オプティマイザ回路の一実施例の説明図である。
【
図2】
図1の回路を構成するスイッチングトランジスタのゲート信号のレベルで示す動作タイミング波形図である。
【
図3】本発明の太陽光出力オプティマイザ回路の基本となった本発明者の発明に係る太陽光出力オプティマイザ回路(構成例1)の説明図である。
【
図4】
図3の回路を構成するスイッチングトランジスタのゲート信号のレベルで示す動作タイミング波形図である。
【
図5】本発明の太陽光出力オプティマイザ回路の基本となった本発明者の発明に係る他の太陽光出力オプティマイザ回路(構成例2)の説明図である。
【
図6A】
図3と
図5で説明した太陽光出力オプティマイザ回路を構成するスイッチングトランジスタのON・OFFを制御するゲート信号Q1-G~Q7-Gを生成する制御回路を説明するブロック図である。
【
図6B】本発明に係る太陽光出力オプティマイザ回路を構成するスイッチングトランジスタのON・OFFを制御するゲート信号Q1-G~Q8-Gを生成する制御回路を説明するブロック図である。
【
図7】太陽パネル発電システムの基本的な構成例および本発明に係る太陽光出力オプティマイザ回路の接続状態を説明する図である。
【
図8】従来のPVオプティマイザの基本構成を説明する回路図である。
【
図9】
図8の回路を構成するスイッチングトランジスタの動作をゲート信号のレベルで示す波形図である。
【
図10】PVパネルへの照射光量が少ない場合のAa区間およびBa区間が短くなった場合の各スイッチングトランジスタのスイッチング信号の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための形態を、構成例と実施例の図面を参照して詳細に説明する。先ず、本発明の基本発明となる太陽光出力オプティマイザ回路の基本となった構成例を説明する。
【構成例1】
【0034】
図3は本発明の太陽光出力オプティマイザ回路の基本となった本発明者の発明に係る太陽光出力オプティマイザ回路(構成例1)の説明図である。
図4は
図3の回路を構成するスイッチングトランジスタのゲート信号のレベルで示す動作タイミング波形図である。
図4には、本構成例の動作説明を明確にするため、前記した従来技術で説明した動作タイミング波形も含み、
図4の「4」は
図9の丸で囲んだ4に、「1」は
図10の丸で囲んだ1に対応する。
【0035】
図3に示した構成例1のPVオプティマイザ回路100は、PV入力手段200、スイッチング手段300および倍電圧整流手段400で構成される。スイッチング手段300および倍電圧整流手段400の構成は前記した従来のPVオプティマイザ回路と同様である。回路の動作、作用については、前記の従来技術の説明に負うところもあり、また、説明が重複する部分もある。
【0036】
図3において、PVパネル(
図7の50)の「+」出力と「-」出力は、それぞれオプティマイザ100のPV入力101(IN+)とPV入力102(IN-:接地)に入力する。Q1、Q2、Q3、Q4、Q5は第1、第2、第3、第4、第5のスイッチングトランジスタで、Nチャンネル電力用MOSFETを用いている。この回路では、図示のエンハンスメント型が好適であるが、同様の機能を有するものであればこれに限らない。他の図面においても同様である。
【0037】
PV入力手段200を構成するインダクタンスL1のPV入力101(IN+)側(一端a)と前記インダクタンスL1の他端bにはサージ保護回路250が接続されている。このサージ保護回路250はインダクタンスL1に並列になるように接続されている。インダクタンスL1の他端bは第1のスイッチングトランジスタQ1、第2のスイッチングトランジスタQ2および第3のスイッチングトランジスタQ3、第4のスイッチングトランジスタQ4および第5のスイッチングトランジスタQ5で構成されたスイッチング手段300に接続されている。倍電圧整流手段400のDC電圧出力はAC電圧出力に変換して外部系統に出力するパワーコンディショナ150に入力される。
【0038】
倍電圧整流手段400を構成するトランスT1の一次巻線(一次側)の一端aは、スイッチング手段300を構成する第2のスイッチングトランジスタQ2のソース電極と第3のスイッチングトランジスタQ3のドレイン電極に接続されている。そして、トランスT1の一次側の他端bは第4のスイッチングトランジスタQ4のソース電極と第5のスイッチングトランジスタQ5のドレイン電極に接続されている。
【0039】
トランスT1の二次巻線(二次側)の前記一次側の一端aと同極である一端cは第1のダイオードD1のアノードと第2のダイオードD2のカソードに接続され、他端dは直列接続された第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2の直列接続点に接続される。第1のコンデンサC1の一端は第1のダイオードD1のカソードに接続されると共にオプティマイザ出力の一方104(OUT+)に接続される。そして、第2のコンデンサC2の一端は第2のダイオードD2のアノードに接続されると共にオプティマイザ出力の他方105(OUT-)に接続される。
【0040】
なお、スイッチング手段300を構成する第1のスイッチングトランジスタQ1のソース電極、第3のスイッチングトランジスタQ3のソース電極、第5のスイッチングトランジスタQ5のソース電極は接地に接続される。第2のトランジスタQ2と第4のスイッチングトランジスタQ4はハイサイドドスイッチを構成し、第3のスイッチングトランジスタQ3と第5のスイッチングトランジスタQ5はローサイドスイッチを構成する。
【0041】
入力手段200に設けられたサージ保護回路250は、PVパネルの(+)出力を入力する入力101(IN+)に一端aを接続したインダクタンスL1と、第3のダイオード(一方のダイオード)D3を介してソース電極をインダクタンスL1の一端aに接続し、前記インダクタンスL1の他端bにドレイン電極を接続した第6のスイッチングトランジスタ(一方のスイッチングトランジスタ)Q6と、第6のスイッチングトランジスタQ6のソース電極にドレイン電極を接続し、前記ソース電極を接地に接続した第7のスイッチングトランジスタ(他方のスイッチングトランジスタ)Q7と、前記第6のスイッチングトランジスタQ6のソース電極と前記インダクタンスL1の一方の端子aとの間に、前記第6のスイッチングトランジスタQ6のソース電極にアノードを接続し、前記インダクタンスL1の一方の端子aにカソードを接続した第3のダイオードD3を接続して構成される。
【0042】
前記第6のスイッチングトランジスタQ6のソース電極と前記第7のスイッチングトランジスタQ7のドレイン電極の接続点にはカソードが接続されてアノードを接地に接続した第4のダイオード(他方のダイオード)D4を有する。この第4のダイオード(他方のダイオード)D4は、前記第7のスイッチングトランジスタQ7の内部に存在する寄生ダイオード(回路図には不記載)で代用することができる場合は省略可能である。第7のスイッチングトランジスタQ7の内部に存在する寄生ダイオードで代用することができる場合とは、寄生ダイオードの特性(最大順方向電流値等)が第4のダイオードに必要な特性を備えていることである。
【0043】
このように、構成例1では、前記したインダクタンスL1に生じるサージ電圧の発生を抑えるため、入力回路内に第6のスイッチングトランジスタQ6、もしくは第6のスイッチングトランジスタQ6と第7のスイッチングトランジスタQ7からなる回路を設けた構成が特徴である。
【0044】
PVオプティマイザ100の出力はパワーコンディショナ150(
図7参照)に入力し、所定AC電圧として商用電力系統に出力する。
【0045】
第6のスイッチングトランジスタQ6および第7のスイッチングトランジスタQ7は、PVパネルの出力電力が小さくて通常の制御ができないときだけ作用し、出力電力が大きくなると、PWM制御もしくはPFM制御により、途中で自動的にQ6をOFFしたままの状態となる。この「途中」は、PWM制御もしくはPFM制御が実行されているスイッチング周期Tの前半または後半の範囲内の任意の時点である。
【0046】
以下、
図4を参照してサージ保護回路の動作について順を追って説明する。図中、Tはスイッチング周波数の1周期の期間を示し、「A」は期間Tの前半、「B」は同後半を示す。「Q1-G」~「Q7-G」は、
図3に示された第1~第7のスイッチングトランジスタQ1~Q7をON・OFFさせるゲート信号(ゲートパルス)の印加レベルとそのタイミングである。ハイレベル「H」はスイッチングトランジスタをONさせるゲート信号、ローレベル「L」はスイッチングトランジスタをOFFさせるゲート信号である。
【0047】
図4の[1]は、PVパネルの出力が非常に小さいとき(朝明け時や日没時:日暮れ時など)のスイッチングトランジスタの制御タイミングを示す。
図4の[1]の「A」では、ゲート信号Q1-GのパルスAaの幅が非常に狭く(持続時間が短く)、PVパネルの電力出力が小さくてもスイッチング手段300への入力電圧があまり下がらない、即ち、負荷の影響が少ないパルス幅となっている。このパルスAaのパルス幅の期間で励磁されたインダクタンスL1はパルスAbの期間で倍電圧整流手段400を構成するトランスT1の一次側の一端aに伝えられる。しかし、パルスAbの持続時間が長いと短絡状態となるため、トランスT1の一次側の一端aを励磁する時間をパルスAbの持続時間に限定して第2のスイッチングトランジスタQ2をONにして、その後はOFFにする。
【0048】
これにより、倍電圧整流手段400のトランスT1と入力手段200のインダクタンスL1は切断されるが、同時に追加した第6のスイッチングトランジスタQ6を短絡することによりインダクタンスL1に発生するサージ電圧を吸収することができる。同時に、第3のスイッチングトランジスタQ3もONにしてトランスT1を短絡しておく。第7のスイッチングトランジスタQ7は第6のスイッチングトランジスタQ6と逆相にしてAa+Abの期間内にハイサイドドライバーの電源を充電しておく。
【0049】
図4の[1]における「B」も同様に、第1のスイッチングトランジスタQ1-GのパルスBaの幅を「A」のパルスAaと同様に非常に短くして、インダクタンスL1の励磁後にBbの限定された時間だけ第4のスイッチングトランジスタQ4をONにしてトランスT1の一次側の他端bに伝え、その後は第4のスイッチングトランジスタQ4をOFFする。
【0050】
これにより、トランスT1とインダクタンスL1は切断されるので、同時に追加した第6のスイッチングトランジスタQ6を短絡することによりインダクイタンスL1に発生するサージ電圧を吸収する。これと同時に、第5のスイッチングトランジスタQ5もONしてトランスT1を短絡しておく。第7のスイッチングトランジスタQ7も同様に、第6のスイッチングトランジスタQ6と逆相でBa+Bbの期間内にハイサイドドライバーの電源を充電しておく。
【0051】
図4の[2]はPVパネルの電力出力が大きくなってきたときのスイッチングトランジスタの制御タイミングを示す。PVパネルの電力出力が大きくなってくると、それを検知して制御することにより、トランスT1は第1のスイッチングトランジスタQ1のゲート信号Q1-GのパルスAaの幅とパルスBaの幅を少し長くしてインダクタンスL1の励磁時間を増やす。インダクタンスL1の励磁後のトランスT1の伝達時間であるパルスAbとパルスBbの幅は第1のスイッチングトランジスタQ1のゲート信号Q1-Gのパルス幅に比例するように広く(時間が長く)なるよう制御する。そうしておくと、ゲート信号Q1-GのパルスAaの幅とパルスBaの幅がある程度長くなって、トランスT1の伝達時間であるパルスAbとパルスBbの幅も広く(時間が長く)なり、同時に伝達がOFFするパルスAcとパルスBcの時間が短くなる。
【0052】
図4の[3]はPVパネルの電力出力が大きくなって通常の動作状態[4]に到達する過程でのスイッチングトランジスタの制御タイミングを示す。
図4の[2]の制御を経ることで制御タイミングの波形は
図4の[3]のようになり、通常の動作状態(
図4の[4])に変化する。
【0053】
上記したように、PVパネルの電力出力が非常に小さいときは、スィッチング周波数の周期Tを長くし、かつゲート信号のパルス幅も狭い状態としてスタートする。最大電力点追従制御(MPPT)をしながら、PVパネルの電力出力が大きくなるにつれ周期を短くしていき、一定の周期になれば次にパルス幅を広くしていくことで、本来のMPPT制御のDC-DCコンバータとして動作する。
【0054】
これとは逆に、夕方に近づくとき(日没時)など、PVパネルの電力出力が徐々に小さくなってきたときは、これまでの説明と逆に、やはりMPPT制御をしながら、パルス幅を狭めて行き、一定(最低限)のパルス幅まで小さくなれば、次に周期を長くしていき、最終的にデフォルトの状態で制御ができなくなるまで待機する。
【0055】
構成例1によれば、入力回路に設けた保護回路の動作で前記したサージ電圧の発生を抑制し、スイッチングトランジスタの破壊を防止してPVパネルの出力変動に対しても安定した動作を得ることができる。
【構成例2】
【0056】
図5は、本発明の太陽光出力オプティマイザ回路の基本となった本発明者の発明に係る構成例2を説明する回路図である。前記した構成例1では、入力手段200に第6のスイッチングトランジスタQ6と第7のスイッチングトランジスタQ7で構成したサージ保護回路を設けた。実施例2では、入力手段200に設けるサージ保護回路を、
図3に示した回路から第7のスイッチングトランジスタQ7を取り去り、第6のスイッチングトランジスタQ6と第3のダイオードD3および第4のダイオードD4のみとしたものである。
【0057】
図5に示した本発明の構成例2の太陽光出力オプティマイザ回路の動作は、構成例1の説明における第7のスイッチングトランジスタQ7の部分を省いたものとなる。すなわち、ハイサイドドライバー電源を省略した回路である。
【0058】
構成例2によっても、ハイサイドドライバーを絶縁型の回路で構成すれば、入力回路に設けた保護回路の動作で前記したサージ電圧の発生を抑制し、スイッチングトランジスタの破壊を防止してPVパネルの出力変動に対しても安定した動作を得ることができる。
【0059】
次に、上記構成例1及び構成例2で説明した本発明におけるスイッチングトランジスタの制御信号生成について説明する。
図6Aは、前記した構成例1の太陽光出力オプティマイザ回路を構成するスイッチングトランジスタのON・OFFを制御するゲート信号Q1-G~Q7-Gを生成する制御回路を説明するブロック図である。この制御回路500は、マイクロプロセッサ1000と、各種センサ(検出回路)、スイッチングトランジスタのゲート駆動用のMOSドライバで構成される。
【0060】
マイクロプロセッサ1000は、制御ロジック1001、MPPT制御部1002、PWM制御部1003、PFM制御部1004、タイマ制御部1006、およびポート1005を有する。このポート1005には、PVパネルの電圧を検出するPV電圧検知回路1101、PVパネルの電流を検出するPV電流検知回路1102、太陽光出力オプティマイザ回路100の出力電圧を検出する出力電圧検知回路1201、同出力電流を検出する出力電流検知回路1202、および各種MOSドライバが接続されている。
【0061】
各種のMOSドライバは、第1のスイッチングトランジスタQ1を駆動するローサイドMOSドライバ1301、第2のスイッチングトランジスタQ2を駆動するハイサイドMOSドライバ1302、第3のスイッチングトランジスタQ3を駆動するローサイドMOSドライバ1303、第4のスイッチングトランジスタQ4を駆動するハイサイドMOSドライバ1304、第5のスイッチングトランジスタQ5を駆動するローサイドMOSドライバ1305、第6のスイッチングトランジスタQ6を駆動するハイサイドMOSドライバ1306、および第7のスイッチングトランジスタQ7を駆動するMOSドライバ1307で構成されている。
【0062】
スイッチングトランジスタのゲート手前には全てゲート駆動用のMOSドライバがあり、そのドライバを
図6Aの制御回路で生成される信号に接続してスイッチングトランジスタのON/OFFを制御する。
【0063】
制御回路の信号は全てマイクロプロセッサ(MPU)1000が制御している。MPU1000はプログラムされたソフトウェアにより制御入力信号から制御ロジック1001の信号を作って、スイッチングトランジスタに駆動信号(ゲート信号)を送り込む。MPU1000の入出力信号はフィードバック(FB)ループを形成する。
【0064】
MPU1000が太陽光出力オプティマイザ回路100の制御に使う入力信号には、PV電圧検知回路1101、PV電流検知回路1102、出力電圧検知回路1201、出力電流検知回路1202の各検知回路から入力ポート1005を通してMPUの制御ロジック部1001に伝達される。
【0065】
MPU1000内には、基本的な制御としてPWM制御部1003、PFM制御部1004、タイマ制御部1006、MPPT制御部1002がある。制御ロジック部1001は、これらの制御部と検知した前記核検知回路からの入力信号に基づいて最適な制御ロジックを形成する。この制御ロジック部から、最終的には各スイッチングトランジスタのゲート駆動に使う信号が生成され、ポート1005を通して各ドライバ1301~1307(
図6A)に伝達される。
【0066】
図7は、太陽パネル発電システムにおける構成例および本発明に係る太陽光出力オプティマイザ回路の接続状態の説明図である。PVパネル50の出力は太陽光出力(PV)オプティマイザ100の入力101(IN+)と102(IN-)に接続される。PVパネル50の出力電圧範囲は、具体的に30V~60V/300W(ただし,電流は10Amax)となっているが、定数等(例えば、トランンスT1の巻線比)の選択によりこの限りではない。
【0067】
PVオプティマイザ100の出力104(OUT+)と105(OUT-)はパワーコンディショナ150の入力106(DC+)と107(DC-)に接続される。推奨するパワーコンディショナ150の入力電圧は700~800Vの定電圧負荷であるが、ある程度の電圧範囲は許容される。上記定数等の選択により更に幅広い電圧範囲の入力が可能である。パワーコンディショナ150のAC出力は図示しない商用電力系統等に接続される。
【0068】
実際の接続においては、太陽光発電サイトのPVパネル50は複数枚で構成されるので、PVパネル毎に本発明に係るPVオプティマイザ100を取り付けてその出力をすべて並列接続にする。一般的なPVパネルのシリーズ接続と違いストリングの概念がないことから、各PVパネルが夫々最大パワーを出すことができる。
【0069】
以上説明した構成例をベースとした本発明に係る太陽光出力オプティマイザ回路を実施例の図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0070】
図1は本発明に係る太陽光出力オプティマイザ回路の一実施例の説明図、
図2は
図1の回路を構成するスイッチングトランジスタのゲート信号のレベルで示す動作タイミング波形図である。
【0071】
図1において、本実施例は、
図7で説明したパワーコンディショナ150にその処理に適した形で供給するためのオプティマイザ回路である点で前記した構成例1,2と同様の目的でPVパネル50の出力とパワーコンディショナ150の間に接続される。
【0072】
図1は、出力が変動する太陽光パネルの発電出力(電力)が低い場合でも、その電力を効果的にかつ安定的に利用可能とした太陽光発電システムに用いる太陽光出力オプティマイザ回路である。
【0073】
すなわち、本実施例の太陽光出力オプティマイザ回路は、太陽光パネル50(
図7参照)の発電出力を入力する太陽光発電入力手段200Aと、太陽光発電入力手段200Aに入力したDC電圧を所定のパルス電圧もしくはAC電圧に変換するスイッチング手段300と、スイッチング手段300の出力電力をさらに所定の電圧に昇圧する倍電圧整流手段400とから構成される。
【0074】
太陽光発電入力手段200Aは、太陽光パネル50の「+」出力に一端aを接続したインダクタンスL1と、前記一端aにカソード電極を接続した第3のダイオードD3と、第3のダイオードD3のアノード電極にドレイン電極を接続し、ソース電極を接地した第8のスイッチングトランジスタQ8と、第3のダイオードD3のアノード電極にカソード電極を接続し、アノード電極を接地した第4のダイオードD4とで構成されている。
【0075】
スイッチング手段300は、インダクタンスL1の他端bにドレインを接続し、ソース電極を接地した第1のスイッチングトランジスタQ1と、インダクタンスL1の他端bにドレイン電極を接続した第2のスイッチングトランジスタQ2と、第2のスイッチングトランジスタQ2のソース電極にドレイン電極を接続し、ソース電極を接地した第3のスイッチングトランジスタQ3と、インダクタンスL1の他端bにドレイン電極を接続した第4のスイッチングトランジスタQ4と、第4のスイッチングトランジスタQ4のソース電極にドレイン電極を接続し、ソース電極を接地した第5のスイッチングトランジスタQ5で構成されている。
【0076】
そして、倍電圧整流手段400は、第2のスイッチングトランジスタQ2のソース電極と第3のスイッチングトランジスタQ3のドレイン電極の接続点に一次巻線の一端aを接続し、第4のスイッチングトランジスタQ4のソース電極に一次巻線の他端bを接続したトランスT1と、トランスT1の二次巻線の一端cと他端dの間に接続した第1のダイオードD1、第2のダイオードD2、第1のコンデンサC1、第2のコンデンサC2のブリッジで構成された倍電圧整流回路で構成されている。
【0077】
本実施例では、スイッチング手段300を構成する第2のスイッチングトランジスタQ2のソース電極と倍電圧整流手段400を構成するトランスT1の一次巻線の一端aの接続点を、太陽光発電入力手段200Aを構成する第6のスイッチングトランジスタQ6のドレイン電極に接続した第1の電力回収回路110と、スイッチング手段300を構成する第5のスイッチングトランジスタQ5のドレイン電極に第7のスイッチングトランジスタQ7のドレイン電極を接続し、第1の電力回収回路110を構成する第6のスイッチングトランジスタQ6のソース電極とダイオードD3のアノード電極にソース電極を接続した第7のスイッチングトランジスタQ7で構成した第2の電力回収回路120を具備している。
【0078】
図6Bは
図1に示した本発明の実施例に係る太陽光出力オプティマイザ回路を構成するスイッチングトランジスタのON・OFFを制御するゲート信号Q1-G~Q8-Gを生成する制御回路を説明するブロック図である。この制御回路501は、マイクロプロセッサ1000と、各種センサ(検出回路)、スイッチングトランジスタのゲート駆動用のMOSドライバで構成される。
図6Bは、第8のスイッチングトランジスタQ8を制御するMOSドライバ1308が増設されている点で
図6Aと異なる。基本的な構成と動作は前記した
図6Aと同様である。
【0079】
マイクロプロセッサ1000は、制御ロジック1001、MPPT制御部1002、PWM制御部1003、PFM制御部1004、タイマ制御部1006、およびポート1005を有する。このポート1005には、PVパネルの電圧を検出するPV電圧検知回路1101、PVパネルの電流を検出するPV電流検知回路1102、太陽光出力オプティマイザ回路100の出力電圧を検出する出力電圧検知回路1201、同出力電流を検出する出力電流検知回路1202、および各種MOSドライバが接続されている。
【0080】
各種のMOSドライバは、第1のスイッチングトランジスタQ1を駆動するローサイドMOSドライバ1301、第2のスイッチングトランジスタQ2を駆動するハイサイドMOSドライバ1302、第3のスイッチングトランジスタQ3を駆動するローサイドMOSドライバ1303、第4のスイッチングトランジスタQ4を駆動するハイサイドMOSドライバ1304、第5のスイッチングトランジスタQ5を駆動するローサイドMOSドライバ1305、第6のスイッチングトランジスタQ6を駆動するハイサイドMOSドライバ1306、および第7のスイッチングトランジスタQ7を駆動するハイサイドMOSドライバ1307、第8のスイッチングトランジスタQ8を駆動するローサイドMOSドライバ1308で構成されている。
【0081】
スイッチングトランジスタのゲート手前には全てゲート駆動用のMOSドライバがあり、そのドライバを
図6Bの制御回路で生成される信号に接続してスイッチングトランジスタのON/OFFを制御する。
【0082】
制御回路の信号は全てマイクロプロセッサ(MPU)1000が制御している。MPU1000はプログラムされたソフトウェアにより制御入力信号から制御ロジック1001の信号を作って、スイッチングトランジスタに
図2に示した駆動信号(ゲート信号)を送り込む。
【0083】
図2の(1)はPVパネルの出力が非常に小さいときのスイッチングトランジスタQ1乃至Q8の制御タイミング、
図2の(2)はPVパネルの出力が大きくはなっているが通常の動作状態に達していないときのスイッチングトランジスタQ1乃至Q8の制御タイミング、
図2の(3)はPVパネルの出力が通常の動作状態のときのスイッチングトランジスタQ1乃至Q8の制御タイミング、
をそれぞれ示す。
MPU1000の入出力信号はフィードバック(FB)ループを形成する。
【0084】
MPU1000が太陽光出力オプティマイザ回路100の制御に使う入力信号には、PV電圧検知回路1101、PV電流検知回路1102、出力電圧検知回路1201、出力電流検知回路1202の各検知回路から入力ポート1005を通してMPUの制御ロジック部1001に伝達される。
【0085】
MPU1000内には、基本的な制御としてPWM制御部1003、PFM制御部1004、タイマ制御部1006、MPPT制御部1002がある。制御ロジック部1001は、これらの制御部と検知した前記核検知回路からの入力信号に基づいて最適な制御ロジックを形成する。この制御ロジック部から、最終的には各スイッチングトランジスタのゲート駆動に使う信号が生成され、ポート1005を通して各ドライバ1301~1308に伝達される。
【0086】
この構成により、太陽光パネル50の発電出力が小さい場合でも、既存のシステムでは捨てていた立ち上がり時および立下り時における電力を回収し、トランスT1を通して負荷に供給することができる。
【0087】
なお、太陽光出力オプティマイザ回路100の倍電圧整流手段400は、一次巻線の一端aをスイッチング手段300を構成する第2のスイッチングトランジスタQ2のソース電極と第3のスイッチングトランジスタQ3のドレイン電極との接続点に接続したトランスT1と、トランスT1の二次巻線の一端cにアノード電極を接続し、カソード電極を倍電圧整流手段400の「+」出力端子104に接続した第1のダイオードD1と、トランスT1の二次巻線の一端cにカソード電極を接続し、アノード電極を倍電圧整流手段400の「-」出力端子に接続した第2のダイオードD2と、一端をトランスT1の二次巻線の他端dに接続し、他端を倍電圧整流手段400の「+」出力端子104に接続したコンデンサC1と、一端をトランスT1の二次巻線の他端dに接続し、他端を倍電圧整流手段400の「-」出力端子105に接続したコンデンサC2とで構成される。
【0088】
太陽光出力オプティマイザ回路100の一方の出力は、外部系統(電力系統)にAC電力を出力するパワーコンディショナ150に接続される。太陽光出力オプティマイザ回路100は複数の太陽光パネル50毎に接続され、それらの出力を並列接続する。
【産業上の利用可能性】
【0089】
上記実施例では、本発明を、太陽パネルを用いた電力収穫システムに適用したものとして説明したが、電力出力が変動するエネルギー源、たとえば電池や蓄電器の昇圧システムなどにも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0090】
50・・・太陽光パネル(PVパネル)
100・・・PVオプティマイザ
101・・・PV入力(+)
102・・・PV入力(-)
103・・・第7のスイッチングトランジスタQ7のゲート端子
104・・・PV出力(+)
105・・・PV出力(-)
110・・・第1の電力回収回路
120・・・第2の電力回収回路
150・・・パワーコンディショナ
200・・・入力手段
300・・・スイッチング手段
400・・・倍電圧整流手段
Q1~Q8・・・第1乃至第8のスイッチングトランジスタ(MOSFET)
D1~D4・・・第1乃至第4のダイオード
C1、C2・・・第1及び第2のコンデンサ
L1・・・インダクタンス
T1・・・トランス