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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】消火設備および可燃物消火用ノズル
(51)【国際特許分類】
   A62C 31/02 20060101AFI20221024BHJP
   A62C 35/62 20060101ALI20221024BHJP
   A62C 3/06 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
A62C31/02
A62C35/62
A62C3/06 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021134834
(22)【出願日】2021-08-20
(62)【分割の表示】P 2020132332の分割
【原出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2022029449
(43)【公開日】2022-02-17
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000229405
【氏名又は名称】日本ドライケミカル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390002118
【氏名又は名称】株式会社いけうち
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大原 明
(72)【発明者】
【氏名】権藤 政則
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204073217(CN,U)
【文献】特開2012-130646(JP,A)
【文献】特開2004-351361(JP,A)
【文献】中国実用新案第206372429(CN,U)
【文献】特開2016-182225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火剤を供給する消火剤供給部と、
前記消火剤供給部から延出している配管と、
前記配管に固定するための基端側部位と、
前記基端側部位と固定して連結する先端側部位と、
前記配管に設けられ前記消火剤供給部から供給され前記配管内を流れてきた消火剤を、螺旋状に形成されている前記先端側部位の消火剤放出部から消火対象物に向けて放出する可燃物消火用ノズルと、
し、
前記可燃物消火用ノズルは、前記配管に接続される基端側部位と、前記基端側部位から突出している螺旋状の先端側部位とを備えて構成されており、
前記基端側部位には、前記配管とつながっている第1の空洞部が設けられており、
前記先端側部位には、前記第1の空洞部につながっている第2の空洞部が設けられており、
前記消火剤放出部は、前記先端側部位に設けられており、
前記配管と前記第1の空洞部と前記第2の空洞部とを流れてきた消火剤が、前記消火剤放出部から放出されるように構成されており、
前記第1の空洞部から前記第2の空洞部へ向かう方向が上から下へ向かう方向になっており、
前記消火剤放出部から放出される消火剤の放出方向は、上から下へ向かう方向に対して交差する方向になっており、
水平方向で広い範囲に消火剤を散布するために、前記消火剤放出部の一部の部位からは、斜め上方向に向かって消火剤が放出されるように構成されていることを特徴とする消火設備。
【請求項2】
請求項1に記載の消火設備であって、
前記可燃物消火用ノズルからの消火剤の吐出圧力が、0.1MPa~0.2MPaである ことを特徴とする消火設備。
【請求項3】
消火剤を供給する消火剤供給部と、
前記消火剤供給部から延出している配管と、
前記配管に固定するための基端側部位と、
前記基端側部位と固定して連結する先端側部位と、
前記配管に設けられ前記消火剤供給部から供給され前記配管内を流れてきた消火剤を、螺旋状に形成されている前記先端側部位の消火剤放出部から消火対象物に向けて放出する可燃物消火用ノズルと、
を有し、
前記可燃物消火用ノズルは、前記配管に接続される基端側部位と、前記基端側部位から突出している螺旋状の先端側部位とを備えて構成されており、
前記基端側部位には、前記配管とつながっている第1の空洞部が設けられており、
前記先端側部位には、前記第1の空洞部につながっている第2の空洞部が設けられており、
前記消火剤放出部は、前記先端側部位に設けられており、
前記配管と前記第1の空洞部と前記第2の空洞部とを流れてきた消火剤が、前記消火剤放出部から放出されるように構成されており、
前記第1の空洞部から前記第2の空洞部へ向かう方向が上から下へ向かう方向になっており、
前記消火剤放出部から放出される消火剤の放出方向は、上から下へ向かう方向に対して交差する方向になっており、
前記先端側部位には、第1の消火剤ガイド面と第2の消火剤ガイド面と第3の消火剤ガイド面とが設けられており、
前記第1の消火剤ガイド面は、前記先端側部位の、前記基端側部位側の部位に配置されており、前記第2の消火剤ガイド面は、前記第1の消火剤ガイド面を間にした前記基端側部位とは反対側で、前記先端側部位に配置されており、前記第3の消火剤ガイド面は、前記第2の消火剤ガイド面を間にした前記第1の消火剤ガイド面とは反対側で、前記先端側部位に配置されており、
前記第1の消火剤ガイド面によって、前記消火剤放出部から放出される消火剤が、斜め上方向に放出されるように構成されており、
前記第3の消火剤ガイド面によって、前記消火剤放出部から放出される消火剤が、斜め下方向に放出されるように構成されており、
前記第2の消火剤ガイド面によって、前記消火剤放出部から放出される消火剤が、前記第1の消火剤ガイド面による斜め上方向と前記第3の消火剤ガイド面による斜め下方向との間の方向に放出されるように構成されていることを特徴とする消火設備。
【請求項4】
前記可燃物消火用ノズルからの消火剤の吐出圧力を0.1MPa程度にして、前記可燃物消火用ノズルから下側に向けて消火剤を放出すると、1つの前記可燃物消火用ノズルによって、前記可燃物消火用ノズルを中心とした直径11m程度の範囲に、1m あたり10L/minの消火剤を撒布できるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の消火設備。
【請求項5】
消火剤を供給する消火剤供給部と、
前記消火剤供給部から延出している配管と、
前記配管に設けられ前記消火剤供給部から供給され前記配管内を流れてきた消火剤を、螺旋状に形成されている消火剤放出部から消火対象物に向けて放出する可燃物消火用ノズルと、を有し、
前記可燃物消火用ノズルが、前記配管に接続される基端側部位と、前記基端側部位から突出している先端側部位と、からなり、
前記基端側部位の外周の一部には、管用のオスネジが形成され、
前記先端側部位には、第1の消火剤ガイド面と第2の消火剤ガイド面と第3の消火剤ガイド面とが設けられ、
前記第1の消火剤ガイド面と前記第2の消火剤ガイド面との間には、前記第1の消火剤ガイド面と前記第2の消火剤ガイド面とを滑らかにつなぐための面が形成されており、前記第2の消火剤ガイド面と前記第3の消火剤ガイド面との間には、前記第2の消火剤ガイド面と前記第3の消火剤ガイド面とを滑らかにつなぐための面が形成されていることを特徴とする消火設備。
【請求項6】
前記可燃物消火用ノズルは、前記配管に接続される基端側部位と、前記基端側部位から突出している螺旋状の先端側部位とを備えて構成されており、
前記基端側部位には、前記配管とつながっている第1の空洞部が設けられており、
前記先端側部位には、前記第1の空洞部につながっている第2の空洞部が設けられており、
前記消火剤放出部は、前記先端側部位に設けられており、
前記配管と前記第1の空洞部と前記第2の空洞部とを流れてきた消火剤が、前記消火剤放出部から放出されるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の消火設備。
【請求項7】
前記第1の空洞部から前記第2の空洞部へ向かう方向が上から下へ向かう方向になっており、
前記消火剤放出部から放出される消火剤の放出方向は、上から下へ向かう方向に対して交差する方向になっており、
前記消火剤放出部の一部の部位からは、斜め上方向に向かって消火剤が放出されるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の消火設備。
【請求項8】
前記第1の空洞部から前記第2の空洞部へ向かう方向が上から下へ向かう方向になっており、
前記消火剤放出部から放出される消火剤の放出方向は、上から下へ向かう方向に対して交差する方向になっており、
前記第1の消火剤ガイド面は、前記先端側部位の、前記基端側部位側の部位に配置されており、前記第2の消火剤ガイド面は、前記第1の消火剤ガイド面を間にした前記基端側部位とは反対側で、前記先端側部位に配置されており、前記第3の消火剤ガイド面は、前記第2の消火剤ガイド面を間にした前記第1の消火剤ガイド面とは反対側で、前記先端側部位に配置されており、
前記第1の消火剤ガイド面によって、前記消火剤放出部から放出される消火剤が、斜め上方向に放出されるように構成されており、
前記第3の消火剤ガイド面によって、前記消火剤放出部から放出される消火剤が、斜め下方向に放出されるように構成されており、
前記第2の消火剤ガイド面によって、前記消火剤放出部から放出される消火剤が、前記第1の消火剤ガイド面による斜め上方向と前記第3の消火剤ガイド面による斜め下方向との間の方向に放出されるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の消火設備。
【請求項9】
前記可燃物消火用ノズルからの消火剤の吐出圧力を0.1MPa程度にして、前記可燃物消火用ノズルから下側に向けて消火剤を放出すると、1つの前記可燃物消火用ノズルによって、前記可燃物消火用ノズルを中心とした直径11m程度の範囲に、1m あたり10L/minの消火剤を撒布できるように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の消火設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火設備および可燃物消火用ノズルに係り、特に、螺旋状の消火剤放出部から消火剤を放出し消火をするものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、指定可燃物貯蔵所の消火設備が知られている。この消火設備では、水噴霧ノズル(放水型ヘッド)によって天井から下方に貯蔵されている指定可燃物に水を放出している。従来の消火設備では、水噴霧ノズルとして、たとえば、特許文献1で示すような、散布される水滴の大きさを確保しつつ水平方向への飛距離を伸ばして防護エリアが拡大可能なものが採用される。
【0003】
また、従来の消火設備では、水噴霧ノズルの吐出圧力を0.35MPa~0.55MPaとしている。そして、1つの水噴霧ノズルあたりの吐出量を500L/minとし、直径11m程度の範囲(内接する正方形での床面積では50m2)に0.35MPa~0.55MPa、500L/minで水を放出することで、1m2あたり10L/minの水を放出して消防法の条件を満たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-128629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したように、従来の消防設備では、1つの水噴霧ノズル(可燃物消火用ノズル)での吐出量500L/minを確保するとなると、水噴霧ノズルの吐出圧力がたとえば0.35MPaまで上昇してしまう。
【0006】
そこで、消防設備の可燃物消火用ノズルに水を供給する消火ポンプの揚程を下げ出力を下げることで設備のイニシャルコストとランニングコストを下げたいという要望が発生する。
【0007】
本発明は、可燃物消火用ノズルに水を供給する消火ポンプの揚程を下げ出力を下げることで設備のイニシャルコストとランニングコストを下げることができる消防設備とこの消火設備に使用される可燃物消火用ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、消火剤を供給する消火剤供給部と、前記消火剤供給部から延出している配管と、前記配管に固定するための基端側部位と、前記基端側部位と固定して連結する先端側部位と、前記配管に設けられ前記消火剤供給部から供給され前記配管内を流れてきた消火剤を、螺旋状に形成されている前記先端側部位の消火剤放出部から消火対象物に向けて放出する可燃物消火用ノズルと有し、前記可燃物消火用ノズルは、前記配管に接続される基端側部位と、前記基端側部位から突出している螺旋状の先端側部位とを備えて構成されており、前記基端側部位には、前記配管とつながっている第1の空洞部が設けられており、前記先端側部位には、前記第1の空洞部につながっている第2の空洞部が設けられており、前記消火剤放出部は、前記先端側部位に設けられており、前記配管と前記第1の空洞部と前記第2の空洞部とを流れてきた消火剤が、前記消火剤放出部から放出されるように構成されており、前記第1の空洞部から前記第2の空洞部へ向かう方向が上から下へ向かう方向になっており、前記消火剤放出部から放出される消火剤の放出方向は、上から下へ向かう方向に対して交差する方向になっており、水平方向で広い範囲に消火剤を散布するために、前記消火剤放出部の一部の部位からは、斜め上方向に向かって消火剤が放出されるように構成されている消火設備である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に係る消火設備であって、前記可燃物消火用ノズルからの消火剤の吐出圧力が、0.1MPa~0.2MPaである消火設備である。
【0010】
第3の発明は、消火剤を供給する消火剤供給部と、前記消火剤供給部から延出している配管と、前記配管に固定するための基端側部位と、前記基端側部位と固定して連結する先端側部位と、前記配管に設けられ前記消火剤供給部から供給され前記配管内を流れてきた消火剤を、螺旋状に形成されている前記先端側部位の消火剤放出部から消火対象物に向けて放出する可燃物消火用ノズルとを有し、前記可燃物消火用ノズルは、前記配管に接続される基端側部位と、前記基端側部位から突出している螺旋状の先端側部位とを備えて構成されており、前記基端側部位には、前記配管とつながっている第1の空洞部が設けられており、前記先端側部位には、前記第1の空洞部につながっている第2の空洞部が設けられており、前記消火剤放出部は、前記先端側部位に設けられており、前記配管と前記第1の空洞部と前記第2の空洞部とを流れてきた消火剤が、前記消火剤放出部から放出されるように構成されており、前記第1の空洞部から前記第2の空洞部へ向かう方向が上から下へ向かう方向になっており、前記消火剤放出部から放出される消火剤の放出方向は、上から下へ向かう方向に対して交差する方向になっており、前記先端側部位には、第1の消火剤ガイド面と第2の消火剤ガイド面と第3の消火剤ガイド面とが設けられており、前記第1の消火剤ガイド面は、前記先端側部位の、前記基端側部位側の部位に配置されており、前記第2の消火剤ガイド面は、前記第1の消火剤ガイド面を間にした前記基端側部位とは反対側で、前記先端側部位に配置されており、前記第3の消火剤ガイド面は、前記第2の消火剤ガイド面を間にした前記第1の消火剤ガイド面とは反対側で、前記先端側部位に配置されており、前記第1の消火剤ガイド面によって、前記消火剤放出部から放出される消火剤が、斜め上方向に放出されるように構成されており、前記第3の消火剤ガイド面によって、前記消火剤放出部から放出される消火剤が、斜め下方向に放出されるように構成されており、前記第2の消火剤ガイド面によって、前記消火剤放出部から放出される消火剤が、前記第1の消火剤ガイド面による斜め上方向と前記第3の消火剤ガイド面による斜め下方向との間の方向に放出されるように構成されている消火設備である。
【0011】
第4の発明は、第3の発明に係る消火設備であって、前記可燃物消火用ノズルからの消火剤の吐出圧力を0.1MPa程度にして、前記可燃物消火用ノズルから下側に向けて消火剤を放出すると、1つの前記可燃物消火用ノズルによって、前記可燃物消火用ノズルを中心とした直径11m程度の範囲に、1m あたり10L/minの消火剤を撒布できるように構成されている消火設備である。
【0012】
第5の発明は、消火剤を供給する消火剤供給部と、前記消火剤供給部から延出している配管と、前記配管に設けられ前記消火剤供給部から供給され前記配管内を流れてきた消火剤を、螺旋状に形成されている消火剤放出部から消火対象物に向けて放出する可燃物消火用ノズルとを有し、前記可燃物消火用ノズルが、前記配管に接続される基端側部位と、前記基端側部位から突出している先端側部位とからなり、前記基端側部位の外周の一部には、管用のオスネジが形成され、前記先端側部位には、第1の消火剤ガイド面と第2の消火剤ガイド面と第3の消火剤ガイド面とが設けられ、前記第1の消火剤ガイド面と前記第2の消火剤ガイド面との間には、前記第1の消火剤ガイド面と前記第2の消火剤ガイド面とを滑らかにつなぐための面が形成されており、前記第2の消火剤ガイド面と前記第3の消火剤ガイド面との間には、前記第2の消火剤ガイド面と前記第3の消火剤ガイド面とを滑らかにつなぐための面が形成されている消火設備である。
【0013】
第6の発明は、第5の発明に係る消火設備であって、前記可燃物消火用ノズルは、前記配管に接続される基端側部位と、前記基端側部位から突出している螺旋状の先端側部位とを備えて構成されており、前記基端側部位には、前記配管とつながっている第1の空洞部が設けられており、前記先端側部位には、前記第1の空洞部につながっている第2の空洞部が設けられており、前記消火剤放出部は、前記先端側部位に設けられており、前記配管と前記第1の空洞部と前記第2の空洞部とを流れてきた消火剤が、前記消火剤放出部から放出されるように構成されている記載の消火設備である。
【0014】
第7の発明は、第6の発明に係る消火設備であって、前記第1の空洞部から前記第2の空洞部へ向かう方向が上から下へ向かう方向になっており、前記消火剤放出部から放出される消火剤の放出方向は、上から下へ向かう方向に対して交差する方向になっており、前記消火剤放出部の一部の部位からは、斜め上方向に向かって消火剤が放出されるように構成されている消火設備である。
【0015】
第8の発明は、第6の発明に係る消火設備であって、前記第1の空洞部から前記第2の空洞部へ向かう方向が上から下へ向かう方向になっており、前記消火剤放出部から放出される消火剤の放出方向は、上から下へ向かう方向に対して交差する方向になっており、前記第1の消火剤ガイド面は、前記先端側部位の、前記基端側部位側の部位に配置されており、前記第2の消火剤ガイド面は、前記第1の消火剤ガイド面を間にした前記基端側部位とは反対側で、前記先端側部位に配置されており、前記第3の消火剤ガイド面は、前記第2の消火剤ガイド面を間にした前記第1の消火剤ガイド面とは反対側で、前記先端側部位に配置されており、前記第1の消火剤ガイド面によって、前記消火剤放出部から放出される消火剤が、斜め上方向に放出されるように構成されており、前記第3の消火剤ガイド面によって、前記消火剤放出部から放出される消火剤が、斜め下方向に放出されるように構成されており、前記第2の消火剤ガイド面によって、前記消火剤放出部から放出される消火剤が、前記第1の消火剤ガイド面による斜め上方向と前記第3の消火剤ガイド面による斜め下方向との間の方向に放出されるように構成されている消火設備である。
また、第9の発明は、第8の発明に係る消火設備であって、前記可燃物消火用ノズルからの消火剤の吐出圧力を0.1MPa程度にして、前記可燃物消火用ノズルから下側に向けて消火剤を放出すると、1つの前記可燃物消火用ノズルによって、前記可燃物消火用ノズルを中心とした直径11m程度の範囲に、1m あたり10L/minの消火剤を撒布できるように構成されている消火設備である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、可燃物消火用ノズルに水を供給する消火ポンプの揚程を下げ出力を下げることで設備のイニシャルコストとランニングコストを下げることができる消防設備とこの消火設備に使用される可燃物消火用ノズルを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る消火設備の配管図である。
図2】本発明の実施形態に係る消火設備の可燃物消火用ノズルでの水の散布状態を示す平面図である。
図3】(a)は本発明の実施形態に係る消火設備の可燃物消火用ノズルの斜視図であり、(b)は本発明の実施形態に係る消火設備の可燃物消火用ノズルの別の斜視図である。
図4】(a)は本発明の実施形態に係る消火設備の可燃物消火用ノズルの正面図であり、(b)は(a)におけるIVB矢視図であり、(c)は(a)におけるIVC矢視図であり、(d)は(a)におけるIVD矢視図であり、(e)は(a)におけるIVE矢視図である。
図5】(a)は図4におけるVA-VA断面を示す図であり、(b)は図4におけるVB-VB断面を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る消火設備の可燃物消火用ノズルでの水の噴出量(放出量)等を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る消火設備の可燃物消火用ノズルのスプレーパターンを示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る消火設備の動作を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る消火設備の動作を示す図である。
図10】変形例に係る消火設備の配管図である。
図11】変形例に係る消火設備の可燃物消火用ノズルでの水の散布状態を示す平面図である。
図12】変形例に係る消火設備の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る消火設備(指定可燃物貯蔵所の消火設備;水噴霧消火設備)1は、図1図2で示すように、消火対象物3に向けて消火剤8を放出(放射;噴霧)して消火対象物3を消火するものであり、消火剤供給部5と配管7と可燃物消火用ノズル(水噴霧ヘッド;たとえば、指定可燃物消火用ノズル)9とを備えて構成されている。
【0019】
消火対象物3は、たとえば、指定可燃物貯蔵所(指定可燃物貯蔵タンク)11に貯蔵されている。消火対象物3として、石炭発電所やバイオマス発電所で使用される石炭や再生資源燃料等の指定可燃物、さらに具体的には、石炭粉や木質粉等の粉状の燃料を掲げる。
【0020】
消火剤供給部5は、液体状もしくは流動体状の消火剤8を供給する。消火剤8として水を掲げる。配管7は、水8を流すために消火剤供給部5から延出している。
【0021】
図3図5で示すように、可燃物消火用ノズル9には、螺旋状に形成されている消火剤放出部13が設けられている。可燃物消火用ノズル9は、配管7に設けられ、消火剤供給部5から供給されて配管7内を流れてきた水8を、消火剤放出部13から消火対象物3に向けて放出する。
【0022】
可燃物消火用ノズル9は、配管7に接続される筒状の基端側部位(ノズル本体部)15と、基端側部位15から突出している螺旋状の先端側部位(放出部構成部)17とを備えて構成されている。基端側部位15の外周の一部には、管用のオスネジが形成されている。
【0023】
また、基端側部位15には、配管7とつながっている第1の空洞部19が設けられており、先端側部位17には、第1の空洞部19とつながっている第2の空洞部21が設けられている。消火剤放出部13は、先端側部位17に設けられており、配管7と第1の空洞部19と第2の空洞部21とをこの順に流れてきた水8が、消火剤放出部13から消火対象物3に向けて放出される構成になっている。
【0024】
さらに説明すると、第2の空洞部21の内径(基端側部位15の内径)の値は、基端側部位15から離れるにしたがって次第に小さくなっており、螺旋状の先端側部位17の外径の値も、基端側部位15から離れるにしたがって次第に小さくなっている。
【0025】
また、消火設備1では、第1の空洞部19から第2の空洞部21へ向かう方向が上から下へ向かう方向になっている。すなわち、基端側部位15が上側に位置し、先端側部位17が下側に位置している。消火剤放出部13から放出される水8の放出方向は、上から下へ向かう方向に対して交差する方向になっている。また、可燃物消火用ノズル9の消火剤放出部13の一部の部位からは、斜め上方向に向かって水8が放出されるような構成になっている。
【0026】
さらに説明すると、可燃物消火用ノズル9の先端側部位17には、第1の消火剤ガイド面23と第2の消火剤ガイド面25と第3の消火剤ガイド面27とが設けられている。
【0027】
第1の消火剤ガイド面23は、先端側部位17の、基端側部位15側の部位に配置されている(先端側部位17の基端部に設けられている)。第2の消火剤ガイド面25は、第1の消火剤ガイド面23を間にした基端側部位15とは反対側で、先端側部位17に配置されている(先端側部位17の中間部に設けられている)。第3の消火剤ガイド面27は、第2の消火剤ガイド面25を間にした第1の消火剤ガイド面23とは反対側で、先端側部位17に配置されている(先端側部位17の先端部に設けられている)。
【0028】
これにより、上から下に向かう方向で、第1の消火剤ガイド面23と第2の消火剤ガイド面25と第3の消火剤ガイド面27とがこの順にならんでいる。
【0029】
消火設備1の可燃物消火用ノズル9では、第1の消火剤ガイド面23によって、消火剤放出部13から放出される水8が、斜め上方向に放出されるように構成されている。また、第3の消火剤ガイド面27によって、消火剤放出部13から放出される水8が、斜め下方向に放出されるように構成されている。さらに、第2の消火剤ガイド面25によって、消火剤放出部13から放出される水8が、第1の消火剤ガイド面23による斜め上方向と第3の消火剤ガイド面27による斜め下方向との間の方向(たとえばほぼ水平方向)に放出されるように構成されている。
【0030】
すなわち、配管7の、基端側部位15近傍の部位内を流れてきた水8は、その流れ方向(たとえば上から下に向かう方向)をほぼ変えることなく、可燃物消火用ノズル9の第1の空洞部19および第2の空洞部21内を流れ、この後、流れの方向を変えて(上側から下側に向かう方向に対して交差する方向に変えて)消火剤放出部13から放出される。
【0031】
消火剤放出部13から放出された直後の水(消火剤放出部13から出た直後の水)8は、上記交差する交差する方向(大雑把いえば水平方向)で所定の速度をもっているが、重力加速度と空気抵抗とにより、速度の方向を次第に下向きに変え、消火対象物3に至る。
【0032】
ここで、消火設備1について、図1図2を参照しつつさらに詳しく説明する。
【0033】
消火剤供給部5は、消火水槽(地上式消火用水槽)29と消火ポンプ31とモータ33とモータ制御盤35と消火設備制御盤37とを備えて構成されている。消火水槽(貯水タンク)29には、水供給源39から水8が供給されこの供給された水8が貯蔵される。消火水槽29の地面や床面からの高さ位置は2m~10m程度になっている。
【0034】
消火ポンプ31は、モータ33によって駆動され、消火ポンプ31が稼働することで、水8が配管7を通って可燃物消火用ノズル9に供給される。なお、図1に参照符号41で示すものは仕切弁であり、参照符号43で示すものはボールタップであり、参照符号45で示すものは水8の液面センサであり、参照符号47で示すものはストレーナであり、参照符号49で示すものは連成計であり、参照符号51で示すものは圧力計である。
【0035】
また、図1に参照符号53で示すものは自動弁であり、参照符号55で示すものはドレン弁であり、参照符号57で示すものはカップリングジョイントであり、参照符号58で示すものは逆止弁であり、参照符号62で示すものは流量計であり、参照符号60で示すものはリリーフ弁である。流量計62は、消火ポンプ31が正常に稼働しているか否かを検査するときに使用されるものであり、リリーフ弁60は、消火ポンプ31の吐出圧が所定の値を超えた場合に、水8を消火水槽29に戻すためのものである。
【0036】
指定可燃物貯蔵タンク11の内部は、図2で示すように平面視において円形状に形成されており、可燃物消火用ノズル9は、1つの指定可燃物貯蔵タンク11について、所定の間隔をあけて複数(たとえば9つ)配置されている。図2に二点鎖線で示す円59は、消火対象物3における可燃物消火用ノズル9での水8の放出範囲である。たとえば、中央の可燃物消火用ノズル9Aからは、円59Aの内側に水8が散布される。
【0037】
消火設備1において、可燃物消火用ノズル9からの水8の吐出圧力を0.1MPa程度にしておき、可燃物消火用ノズル9から下側に向けて消火剤を放出する。この場合、消火設備1では、1つの可燃物消火用ノズル9によって、可燃物消火用ノズル9を中心とした直径11m程度の範囲に、1m2あたり10L/minの水を撒布できる。上記直径11m程度の範囲(平面視における範囲)は、可燃物消火用ノズル9から所定の距離(たとえば1m)だけ下方に離れて水平方向に展開している平面における範囲である。
【0038】
さらに説明すると、消火設備1において、可燃物消火用ノズル9からの水8の吐出圧力を0.1MPa以上にしておき、可燃物消火用ノズル9から下側に向けて消火剤を放出すると、1つの可燃物消火用ノズル9によって、可燃物消火用ノズル9を中心とした直径11m以上の範囲に、1m2あたり10L/minの水を撒布できる。
【0039】
また、可燃物消火用ノズル9からの水8の吐出圧力として、0.1MPaから0.2MPaの間の所定の圧力を掲げることができ、好ましくは、0.1MPaから0.15MPaの間の所定の圧力を掲げることができ、さらに好ましくは、0.1MPaから0.12MPaの間の所定の圧力を掲げることができる。直径11m程度の範囲として、直径9mから直径13mの間の所定の範囲を掲げることができ、好ましくは、直径10mから直径12mの間の所定の範囲を掲げることができ、さらに好ましくは、直径10.5mから直径11.5mの間の所定の範囲を掲げることができる。
【0040】
次に、図1図2で示す消火設備1の動作について図8図9を参照しつつ説明する。
【0041】
まず、手動起動(現場起動操作)について図8を参照しつつ説明する。
【0042】
平常状態(S5)では、管理者が手動位置(手動操作するための位置)に待機しており(S1)、消火設備制御盤(水噴霧消火設備制御盤)37に設けられている手動表示灯が点灯している(S3)。
【0043】
指定可燃物貯蔵タンク11で火災が発生すると(S7)、管理者が目視による火災の確認をする(S9)。火災が発生したと確認できたときには、消火設備制御盤37に設けられている起動準備押ボタンを押してオン状態にし(S11)、消火設備制御盤37に設けられている起動押ボタンを押して消火設備1を起動する(S13)。
【0044】
続いて、消火設備制御盤37から消火ポンプ31に起動指令を発し(S17)、消火ポンプ31を起動する(S19)とともに、地区選択弁(自動弁)53に電磁弁開指令を発する(S15)。地区選択弁53への電磁弁開指令は、たとえば、3つの指定可燃物貯蔵タンク11(11A、11B、11C)のうちの1つの指定可燃物貯蔵タンク11Aで火災が発生した場合、3つの自動弁53(53A、53B、53C)のうちの1つの自動弁(指定可燃物貯蔵タンク11Aとつながっている自動弁)53Aに向けてなされる。
【0045】
続いて、地区選択弁53が開状態になり(S21)、指定可燃物貯蔵タンク11への放水がされる(S23)。たとえば、指定可燃物貯蔵タンク11Aで火災が発生した場合、自動弁53Aが開状態になり、指定可燃物貯蔵タンク11A内での放水がされる。
【0046】
なお、複数の地区選択弁53のうちのいずれの地区選択弁53を開状態にするかは、管理者が手動で指定してもよいし、各指定可燃物貯蔵タンク11のそれぞれに火災検出センサを設けておいて、自動で行ってもよい。
【0047】
続いて、管理者によって消火が確認されると(S25)、消火設備1の復旧がされる(S27)。
【0048】
次に、手動起動(遠隔起動操作)について図9を参照しつつ説明する。
【0049】
平常状態(S55)では、管理者が手動位置に待機しており(S51)、消火設備制御盤(水噴霧消火設備制御盤;中央防災盤)37に設けられている手動表示灯が点灯している(S53)。
【0050】
指定可燃物貯蔵タンク11で火災が発生すると(S57)、管理者が目視による火災の確認をする(S59)。火災が発生したと確認できたときには、消火設備制御盤37に設けられている起動準備押ボタンを押してオン状態にし(S61)、消火設備制御盤37に設けられている起動押ボタンを押して消火設備1を起動する(S63)。
【0051】
続いて、消火設備制御盤37から消火ポンプ31に起動指令を発し(S69)、消火ポンプ31を起動する(S71)とともに、図8で示した場合と同様にして、地区選択弁(自動弁)53に電磁弁開指令を発する(S67)。
【0052】
続いて、地区選択弁53が開状態になり(S73)、指定可燃物貯蔵タンク11への放水がされる(S75)。続いて、管理者によって消火が確認されると(S77)、消火設備1の復旧がされる(S79)。
【0053】
消火設備1によれば、可燃物消火用ノズル9の螺旋状の消火剤放出部13から消火対象物3に向けて水8を放出するので、可燃物消火用ノズル9に水8を供給する消火ポンプ31の揚程を下げ出力を下げても、上述した消防法の条件を満たす水8の放出をすることができる。そして、消火設備1のイニシャルコストとランニングコストを下げることができる。
【0054】
さらに説明すると、消火設備1に螺旋状の消火剤放出部13を備えた可燃物消火用ノズル9を使用することで、可燃物消火用ノズル9における水8の流路抵抗の値を下げることができる。そして、工事費全体の割合が高い消火ポンプ31の能力の1つである揚程(ポンプの全揚程=噴霧ノズルの設計圧力換算水頭+配管の摩擦損失水頭+落差(水源水槽から水噴霧ノズルまでの高低差))を単純に圧力換算水頭で25m(35m-10m)下げることができる。それによって、消火ポンプ31のモータ33の出力も下げることができ、消火設備1を稼働するための電力の消費量を下げることができ、さらに、消火ポンプ31として能力を2ランク下げたものを使用することができ、コストダウンをはかることができる。
【0055】
また、可燃物消火用ノズル9が設置されている指定可燃物貯蔵タンク11では、石炭・再生資源燃料が舞い上がり可燃物消火用ノズル9に付着してしまうことがあるが、可燃物消火用ノズル9では螺旋状に形成されている消火剤放出部13から水8を放出するので、この放出される水8によって、可燃物消火用ノズル9に付着している石炭粉・木質粉を吹き飛ばしやすくなる。
【0056】
また、消火設備1では、可燃物消火用ノズル9が基端側部位15と基端側部位15から突出している螺旋状の先端側部位17とを備えて構成されており、基端側部位15には配管7とつながっている第1の空洞部19が設けられており、先端側部位17には1の第1の空洞部19とつながっている第2の空洞部21が設けられており、消火剤放出部13が先端側部位17に設けられており、配管7と第1の空洞部19と第2の空洞部21とをこの順に流れてきた水8が、消火剤放出部13から放出されるように構成されている。これにより、可燃物消火用ノズル9における水8の流路の抵抗値を確実に下げることができる。
【0057】
また、消火設備1では、第1の空洞部19から第2の空洞部21へ向かう方向が上から下へ向かう方向になっており、消火剤放出部13から放出される水8の放出方向が上から下へ向かう方向に対して交差する方向になっており、消火剤放出部13の一部の部位からは、斜め上方向に向かって水8が放出されるように構成されている。これにより、消火剤放出部13から放出される水8が水平方向で広い範囲に広がり、消火対象物3とこの消火対象物3の上側に設置されている可燃物消火用ノズル9との間の高さ方向での距離の値が小さくても、広範囲の消火対象物3の広い範囲に水8を散布することができる。
【0058】
また、消火設備1では、第1の消火剤ガイド面23によって消火剤放出部13から放出される水8が斜め上方向に放出されるように構成されており、第3の消火剤ガイド面27によって消火剤放出部13から放出される水8が斜め下方向に放出されるように構成されており、第2の消火剤ガイド面25によって消火剤放出部13から放出される水が第1の消火剤ガイド面23による斜め上方向と第3の消火剤ガイド面27による斜め下方向との間の方向に放出されるように構成されている。これにより、消火剤放出部13から放出される水8を水平方向の広い範囲で消火対象物3に均一に散布することができる。
【0059】
次に、ここで、変形例に係る消火設備1aについて、図10図11を参照しつつ説明する。
【0060】
消火設備1aでは、消火剤供給部5が、消火水槽(地下消火用水槽)29を除き、消火ポンプ室61内に設置されている。地下消火用水槽29は、地下4m程度のところに位置している。消火剤供給部5は、呼水槽63と消火水槽29と消火ポンプ31とモータ33とモータ制御盤35と消火設備制御盤(図示せず)とを備えて構成されている。なお、図10図11で示す参照符号と、図1図2で示す参照符号とは同じものを示している。呼水槽63は、消火ポンプ31本体に水8を入れることで、床下にある消火水槽29の水8をくみ上げることができる。
【0061】
指定可燃物貯蔵所11は建屋で構成されており、指定可燃物貯蔵所11の内部は、図11で示すように直方体状に形成されており、可燃物消火用ノズル9は、1つの指定可燃物貯蔵所11について、所定の間隔をあけて複数配置されている。図11で示す二点鎖線59は、可燃物消火用ノズル9における水8の噴霧範囲である。たとえば、図11(b)では、二点鎖線59の下側で水8が散布される。
【0062】
次に、図10図11で示す消火設備1の手動起動(現場起動操作)の動作について図12を参照しつつ説明する。
【0063】
平常状態(S101)において、指定可燃物貯蔵所11で火災が発生すると(S103)、管理者が目視による火災の確認をする(S105)。火災が発生したと確認できたときには、消火設備制御盤(ポンプ制御盤)37に設けられている起動準備押ボタンを押してオン状態にする(S107)。
【0064】
続いて、消火設備制御盤37から消火ポンプ31に起動指令を発し(S109)、消火ポンプ31を起動し(S111)、地区選択弁(手動弁)53を開き(S113)、指定可燃物貯蔵所11への放水がされる(S115)。
【0065】
続いて、管理者によって消火が確認されると(S117)、消火設備1の復旧がされる(S119)。
【0066】
次に、図3図5を参照しつつ可燃物消火用ノズル9についてさらに詳しく説明する。
【0067】
可燃物消火用ノズル9は、筒状の基端側部位15と螺旋状の先端側部位17とを備えて構成されている。基端側部位15には、水8が供給される消火剤供給口65と、消火剤供給口65から所定の方向に延びている第1の空洞部19とが設けられている。
【0068】
先端側部位17には、第1の空洞部19につながっている第2の空洞部21と、第2の空洞部21につながっており第2の空洞部21内の水8を放出するための螺旋状の消火剤放出部13とが形成されている。また、先端側部位17は、消火剤供給口65とは異なる箇所で(たとえば、消火剤供給口65とは反対側で)、基端側部位15から突出している。
【0069】
第1の空洞部19内では、消火剤供給口65側である基端側から第2の空洞部21側である先端側に向かって消火剤供給口65で供給された水8が流れる構成になっている。第2の空洞部21内では、第1の空洞部19側である基端側から第1の空洞部19とは反対側である先端側に向かって、消火剤供給口65で供給され第1の空洞部19内を流れてきた水(消火剤)8が流れる構成になっている。なお、第1の空洞部19での水8の流れる方向と第2の空洞部21での水8の流れる方向とはお互いがほぼ一致している。
【0070】
先端側部位17(消火剤放出部13)には、第1の消火剤ガイド面23が形成されている。そして、第1の消火剤ガイド面23によって、消火剤放出部13から放出される水8が、第1の斜め方向で放出されるように構成されている。
【0071】
第1の消火剤ガイド面23による第1の斜め方向は、基端側と先端側とをお互いにむすぶ方向(たとえば上下方向)での、先端側から基端側に向う方向(たとえば上から下に向かう方向)と、基端側と先端側とをお互いにむすぶ方向に対して直交する方向(たとえば水平方向)での、先端側部位17から離れる方向とをあわせた方向である。
【0072】
また、先端側部位17には、第2の消火剤ガイド面25と第3の消火剤ガイド面27とが形成されている。
【0073】
第1の消火剤ガイド面23は、先端側部位17の、基端側部位15側の部位に配置されている(先端側部位17の基端部に設けられている)。第2の消火剤ガイド面25は、第1の消火剤ガイド面23を間にした基端側部位15とは反対側で、先端側部位17に配置されている(先端側部位17の中間部に設けられている)。第3の消火剤ガイド面27は、第2の消火剤ガイド面25を間にした第1の消火剤ガイド面23とは反対側で、先端側部位17に配置されている(先端側部位17の先端部に設けられている)。
【0074】
また、第3の消火剤ガイド面27によって、消火剤放出部13から放出される水8が、第2の斜め方向で放出されるように構成されている。
【0075】
第3の消火剤ガイド面27による第2の斜め方向は、基端側と先端側とをお互いにむすぶ方向での、基端側から先端側に向う方向(第1の消火剤ガイド面23の場合とは逆の方向)と、基端側と先端側とをお互いにむすぶ方向に対して直交する方向での、先端側部位17から離れる方向(第1の消火剤ガイド面23の場合と同じ方向)とをあわせた方向である。
【0076】
また、第2の消火剤ガイド面25によって、消火剤放出部13から放出される水8が、第1の消火剤ガイド面23による第1の斜め方向と第3の消火剤ガイド面27による第2の斜め方向との間の方向に放出されるように構成されている。
【0077】
第2の消火剤ガイド面25での、第1の斜め方向と第2の斜め方向との間の方向について例示する。第1の斜め方向を1時の方向とし、第2の斜め方向を5時の方向とすると、第1の斜め方向と第2の斜め方向との間の方向は、1時の方向と5時の方向と間の方向である2時の方向や3時の方向や4時の方向等ということになる。
【0078】
螺旋状の先端側部位17の径は、上述したように、前記基端側部位から離れるにしたがって次第に小さくなっており、先端側部位17には、第1の消火剤ガイド面23と第2の消火剤ガイド面25と第3の消火剤ガイド面27とが形成されている。
【0079】
そして、第1の消火剤ガイド面23の法線ベクトル(先端側部位17の肉部から離れる方向を向いている法線ベクトル)の向きが、基端側と先端側とをお互いにむすぶ方向では先端側から基端側に向う方向になっており、基端側と先端側とをお互いにむすぶ方向に対して直交する方向では先端側部位17の中心に向かう方向になっている。
【0080】
また、第2の消火剤ガイド面25の法線ベクトル(先端側部位17の肉部から離れる方向を向いている法線ベクトル)の向きが、基端側と先端側とをお互いにむすぶ方向では先端側から基端側に向う方向になっている。基端側と先端側とをお互いにむすぶ方向に対して直交する方向での、第2の消火剤ガイド面25の法線ベクトルの成分の値はほぼ「0」になっている。
【0081】
第3の消火剤ガイド面27の法線ベクトル(先端側部位17の肉部から離れる方向を向いている法線ベクトル)の向きが、基端側と先端側とをお互いにむすぶ方向では先端側から基端側に向う方向になっており、基端側と先端側とをお互いにむすぶ方向に対して直交する方向では先端側部位17の中心から離れる方向になっている。
【0082】
さらに説明すると、基端側部位15は筒状(たとえば円筒状)に形成されている。第1の空洞部19は、筒状の基端側部位15の内側のくり抜かれている部位で形成されており、たとえば円柱状になっている。第1の空洞部19の円柱の中心軸と基端側部位15の円筒の中心軸とはお互いが一致している。消火剤供給口65は、第1の空洞部19を構成している円柱の中心軸の延伸方向の一方の側にある開口部(第1の空洞部19の一端)で形成されている。
【0083】
先端側部位17は、消火剤供給口65とは反対側で基端側部位15から突出している。螺旋状の先端側部位17の中心軸と第1の空洞部19の円柱の中心軸(基端側部位15の中心軸)とはお互いが一致している。
【0084】
先端側部位17の螺旋の径(内径と外径)は、基端側部位15側である基端側から先端側に向かうにしたがって次第に小さくなっている。第2の空洞部21は円錐台状に形成されている。円錐台状の第2の空洞部21の底面の直径は、円柱状の第1の空洞部19の直径とはお互いが等しくなっており、円錐台状の第2の空洞部21の中心軸と円柱状の第1の空洞部19の中心軸とはお互いが一致している。
【0085】
螺旋状の消火剤放出部13は、先端側部位17の螺旋の間隙で形成されている。図5(a)で示すように、先端側部位17の断面の形状(先端側部位17の中心軸を含む平面による断面の形状)は、第1の消火剤ガイド面23のところではたとえば平行四辺形状の矩形状に形成されている。先端側部位17の断面の形状は、第2の消火剤ガイド面25や第3の消火剤ガイド面27のところでは、台形に近い矩形状に形成されている。
【0086】
第1の消火剤ガイド面23のところにおける先端側部位17の断面の4つの辺のうちの1つの辺(1つ目の辺)23Aが、第1の消火剤ガイド面23になっている。第1の消火剤ガイド面23になっている1つ目の辺(消火剤ガイド面構成辺)23Aは、基端側部位15側(基端側)を向いている辺である。なお、消火剤ガイド面構成辺23Aが、消火剤放出部13を構成している壁面になっている。
【0087】
第1の消火剤ガイド面23のところにおける先端側部位17の断面の4つの辺のうちの2つ目の辺23Bは、第2の空洞部21の壁面(先端側部位17の内面)になっており、4つの辺のうちの3つ目の辺23Cは、先端側部位17の外面になっている。4つの辺のうちの4つ目の辺23Dは、基端側部位15とは反対側を向いている辺であって第1の消火剤ガイド面23とは反対側に位置している辺である。なお、4つ目の辺23Dも、消火剤放出部13を構成している壁面になっている。
【0088】
さらに、図5(a)で示すように、消火剤ガイド面構成辺23Aと先端側部位17の中心軸との交差角度θ1は、60°から75°の間の所定の角度が好ましく、65°から70°の間の所定の角度がさらに好ましい。
【0089】
第2の消火剤ガイド面25のところにおける先端側部位17の断面の4つの辺のうちの1つの辺(1つ目の辺)25Aは第2の消火剤ガイド面25になっている。1つ目の辺(消火剤ガイド面構成辺)25Aは、基端側部位15側(基端側)を向いている辺である。なお、消火剤ガイド面構成辺25Aが、消火剤放出部13を構成している壁面になっている。また、消火剤ガイド面構成辺25Aは、第2の空洞部21の中心軸に対して直交しているかもしくは直角に近い角度で交差している。すなわち、図5(a)で示すように、消火剤ガイド面構成辺25Aと先端側部位17の中心軸との交差角度θ2は、75°から95°の間の所定の角度が好ましく、80°から90°の間の所定の角度がさらに好ましい。
【0090】
第2の消火剤ガイド面25のところにおける先端側部位17の断面の4つの辺のうちの2つ目の辺25Bは、第2の空洞部21の壁面(先端側部位の内面)になっており、4つの辺のうちの3つ目の辺25Cは、先端側部位17の外面になっている。4つの辺のうちの4つ目の辺25Dは、基端側部位15とは反対側を向いている辺であって第2の消火剤ガイド面25とは反対側に位置している辺である。なお、4つ目の辺25Dも、消火剤放出部13を構成している壁面になっている。
【0091】
第3の消火剤ガイド面27のところにおける先端側部位17の断面の4つの辺のうちの1つの辺(1つ目の辺)27は、第3の消火剤ガイド面27になっている。1つ目の辺(消火剤ガイド面構成辺)27Aは、基端側部位15側(基端側)を向いている辺である。なお、消火剤ガイド面対構成辺27Aが、消火剤放出部13を構成している壁面になっている。
【0092】
第3の消火剤ガイド面27のところにおける先端側部位17の断面の4つの辺のうちの2つ目の辺27Bは、第2の空洞部21の壁面(先端側部位の内面)になっており、4つの辺のうちの3つ目の辺27Cは、先端側部位17の外面になっている。4つの辺のうちの4つ目の辺27Dは、基端側部位15とは反対側を向いている辺であって第3の消火剤ガイド面27とは反対側に位置している辺である。
【0093】
さらに、図5(a)で示すように、消火剤ガイド面構成辺27Aと先端側部位17の中心軸との交差角度θ3は、45°から70°の間の所定の角度が好ましく、55°から65°の間の所定の角度がさらに好ましい。
【0094】
また、図3(b)で示すように、第1の消火剤ガイド面23と第2の消火剤ガイド面25との間には、第1の消火剤ガイド面23と第2の消火剤ガイド面25とを滑らかにつなぐための面67が形成されており、第2の消火剤ガイド面25と第3の消火剤ガイド面27との間には、第2の消火剤ガイド面25と第3の消火剤ガイド面27とを滑らかにつなぐための面69が形成されている。面67や面69は三角形状に形成されているが、台形等の矩形状に形成されている場合もある。さらに、消火剤ガイド面23から消火剤ガイド面25へは(面67が)滑らかに連続して形成されていてもよく、消火剤ガイド面25から消火剤ガイド面27へも(面69も)滑らかに連続して形成されていてもよい。
【0095】
螺旋状の先端側部位17(消火剤放出部13)は、3重の螺旋状に形成されており、第1の消火剤ガイド面23は、基端側部位15側の1巻き目の箇所に形成されており、第2の消火剤ガイド面25は、第1の消火剤ガイド面23を間にした基端側部位15側とは反対側の2巻き目の箇所に形成されており、第3の消火剤ガイド面27は、第2の消火剤ガイド面25を間にした第2の消火剤ガイド面25とは反対側の3巻き目の箇所に形成されている。
【0096】
次の可燃物消火用ノズル9における水8の放出態様(噴霧態様)について図6図7を参照しつつ説明する。
【0097】
図6(a)は、可燃物消火用ノズル9における水8の吐出量(噴量)と可燃物消火用ノズル9における水8の吐出圧(圧力)との関係を示している。図6(a)の横軸は、可燃物消火用ノズル9における水8の吐出量を示しており、図6(a)の縦軸は、可燃物消火用ノズル9における水8の吐出圧を示している。線図L1によって、可燃物消火用ノズル9における水8の吐出量と可燃物消火用ノズル9における水8の吐出圧との関係が示されている。図6(a)から圧力0.1MPaであれば570L/minの噴量が得られることがわかる。
【0098】
図6(b)は、可燃物消火用ノズル9における水8の噴角と可燃物消火用ノズル9における水8の吐出圧(圧力)との関係を示している。図6(b)の横軸は、可燃物消火用ノズル9における水8の噴角を示しており、図6(b)の縦軸は、可燃物消火用ノズル9における水8の吐出圧を示している。可燃物消火用ノズル9の基端側部位15を上側にして先端側部位17を下側に配置した状態で、可燃物消火用ノズル9から水8を放出したときに、噴角が180°よりも大きいことで、水8に一部が斜め上側に放出される。
【0099】
図L2によって、可燃物消火用ノズル9における水8の噴角と可燃物消火用ノズル9における水8の吐出圧との関係が示されている。図6(b)から圧力0.1MPaのときに噴角が220°となることがわかる。
【0100】
図7は、可燃物消火用ノズル9からの水8の放出方向を示している。図7の横軸は、可燃物消火用ノズル9からの水平方向の距離を示しており、図7の縦軸は、可燃物消火用ノズル9からの垂直方向(下方向)方向の距離を示している。図7の点P1に可燃物消火用ノズル9が設置されている。
【0101】
図L3によって、点P1に設置されている可燃物消火用ノズル9における水8の放出領域が示されており、線図L3よりも下側に水8が放出されるようになっている。なお、図7の左上の隅には、可燃物消火用ノズル9が示されている。
【0102】
図7を参照すると、可燃物消火用ノズル9の下方1mの箇所で水平半径5.5mのところを線図L3が通っている。また、可燃物消火用ノズル9から水平方向に2m~3m離れたところで、可燃物消火用ノズル9よりも0.6m上方に水流が存在している。
【符号の説明】
【0103】
1 消火設備
3 消火対象物(指定可燃物)
5 消火剤供給部
7 配管
8 消火剤(水)
9 可燃物消火用ノズル
13 消火剤放出部
15 基端側部位
17 先端側部位
19 第1の空洞部
21 第2の空洞部
23 第1の消火剤ガイド面
25 第2の消火剤ガイド面
27 第3の消火剤ガイド面
65 消火剤供給口
図1
図2
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