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特許7162857壁紙用巻取り装置及び壁紙用巻取り装置付き糊付機
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  • 特許-壁紙用巻取り装置及び壁紙用巻取り装置付き糊付機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】壁紙用巻取り装置及び壁紙用巻取り装置付き糊付機
(51)【国際特許分類】
   B44C 7/04 20060101AFI20221024BHJP
   B05C 1/08 20060101ALN20221024BHJP
【FI】
B44C7/04
B05C1/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017246341
(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公開番号】P2019111715
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】591012738
【氏名又は名称】ヤヨイ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】二口 真
(72)【発明者】
【氏名】関根 啓次
(72)【発明者】
【氏名】新川 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 泰之
【審査官】梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-081680(JP,A)
【文献】特開2003-261121(JP,A)
【文献】特開2016-215413(JP,A)
【文献】特開昭59-124645(JP,A)
【文献】特公平07-090975(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 7/04
B05C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部内に配設された複数の回転ロールによりシート状壁装材を前記本体部の後部から内部に引き入れるとともに、本体部内の所定経路に沿って移動させ、前記本体部下方に配設された糊桶内の糊を前記複数の回転ロールのうちの糊付けロールにより前記壁装材の裏面に連続的に塗布する壁紙糊付機又はシート状壁装材の耳部を切断して予め定められた幅にする壁紙裁断機から搬出された壁装材を巻取りモータの回動によって巻取り軸に巻取る壁紙用巻取り装置であって、
前記壁紙糊付機又は壁紙裁断機から搬出された壁装材の表面から裏面方向に一定のテンションを掛けるテンションバーと、
一定のテンションが掛けられた壁装材からの前記テンションバーへの反発量に応じて前記巻取りモータの回転数を変動させる巻取りモータ回転制御手段とを備えたものであり、
前記テンションバーが前記巻取り装置の本体部に設けられた支点に前記テンションバーの端部を連結する上部連結アームを介して回動可能に支持されており、
前記巻取りモータ回転制御手段が、
前記上部連結アームの支点側に連結された垂下分岐バーと、前記垂下分岐バーの上下動に連動する下部連結アームと、前記下部連結アームに連結してその上下動によって回動する回動ギアと、を備え、
前記反発量としての前記テンションバーの上下移動量に対応する前記回動ギアの回動角度に応じて前記回動角度が大きくなれば前記巻取りモータの回転速度を小さくし、前記回動角度が小さくなれば前記巻取りモータの回転速度を大きくする制御を行うものであることを特徴とする壁紙用巻取り装置。
【請求項2】
前記巻取りモータ回転制御手段は、前記回動ギアの回動が過敏となることを防ぐために回動を付勢する付勢ギアが前記回動ギアに噛み合って配されている ことを特徴とする請求項1に記載の壁紙用巻取り装置。
【請求項3】
記テンションバーを前記壁装材の表面から裏面方向に付勢する付勢手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の壁紙用巻取り装置。
【請求項4】
前記巻取り軸に巻き取れられる前の壁紙糊付機又は壁紙裁断機から搬出された壁装材の糊付け面に剥離シートを供給する剥離シート供給手段を備えたことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の壁紙用巻取り装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の壁紙用巻取り装置を備えたことを特徴とする壁紙用巻取り装置付き糊付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内装工事の際に壁面に貼着される壁紙の裏面に澱粉糊を主体とした糊剤を予め塗布し、剥離シートで覆ってロール状に巻き取られた糊付き壁紙ロールや壁紙の耳部を裁断して所定の幅としてロール状に巻取られた壁紙ロールを作成する壁紙用巻取り装置及び壁紙用巻取り装置付き糊付機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータにより連動して回転駆動される複数のローラの内、シート状壁装材を表裏面よりピンチする一対のピンチローラにより本体後面より所定の経路に沿って移動させつつ、同じく回転駆動される糊上げローラによって糊付けローラに塗布された糊桶内の糊液をドクターローラとの隙間分の糊厚に絞られた後に前記壁装材の裏面に連続的に塗布して、本体前面に排出する壁紙糊付機は、壁紙の裏面に澱粉糊を主体とした糊剤を塗布する装置として既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この壁紙糊付機は、個人で所有することはほとんど無く、内装施工者が所有し、依頼を受けた依頼主の選択した壁紙を内装施工する際に、内装施工現場又はその近傍に壁紙糊付機を搬入し、壁紙の裏面に糊剤を塗布しつつ内装施工を行うことが主であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-159148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、自身の部屋の内装を自身で変更するDIYが盛んになりつつあり、ホームセンター内のDIYコーナー等では、裏面に糊剤を塗布した後に糊剤を乾燥させ、使用の際に乾燥した糊剤に水で濡らして内装壁面に貼付する糊付壁紙が市販されている。しかしながら、その種類が少なく、一部のホームセンターのDIYコーナーでは、糊付されていない壁紙について、依頼者が選択した壁紙を依頼者が指示した長さに糊剤を塗布して剥離シートで覆いつつロール状に巻き取った糊付き壁紙ロールを販売するサービスを行っている。
【0006】
このサービスについては、市販の壁紙糊付機に類似の糊付機で壁紙の裏面に糊剤を糊付しつつ、一定の張力でロール状に巻取る必要がある。流動性のある糊剤を一定の厚さとなるようにするためである。また、輸出用の壁紙については、日本で用いる幅と相違するため、輸出先の国で用いられる幅にカットする必要があり、糊付機に搭載されたスリッター等の壁紙裁断機を用いることもあった。
【0007】
しかしながら、糊付機から一定の速度で排出される糊付き壁紙又は裁断された壁紙は、巻取り機の回転速度が一定であった場合には、ロール状に巻き取られた糊付き壁紙の径が大きくなると径が小さい場合よりも巻取り速度が速くなり、一致の速度で糊付機から搬出される糊付き壁紙ロールの内側と外側とで糊剤の厚さが相違するものとなったり、搬出速度よりも速い速度で巻取ろうとするため、巻取りモータに負担を掛ける結果となっていた。そのため、巻取り機の操作者が巻取り始めの速度に対して巻取り終わりの速度を小さくする操作を行う必要があり、操作者が巻取り機につきっきりとならざるを得ないものであった。
【0008】
本発明は、簡易な構成の制御機構を追加することにより、巻取り機を操作する際に、操作者がつきっきりとならずに、壁紙糊付機又は壁紙裁断機の搬出速度に応じて巻取離速度を変更させることができる壁紙用巻取り装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された発明に係る壁紙用巻取り装置は、本体部内に配設された複数の回転ロールによりシート状壁装材を前記本体部の後部から内部に引き入れるとともに、本体部内の所定経路に沿って移動させ、前記本体部下方に配設された糊桶内の糊を前記複数の回転ロールのうちの糊付けロールにより前記壁装材の裏面に連続的に塗布する壁紙糊付機又はシート状壁装材の耳部を切断して予め定められた幅にする壁紙裁断機から搬出された壁装材を巻取りモータの回動によって巻取り軸に巻取る壁紙用巻取り装置であって、
前記壁紙糊付機又は壁紙裁断機から搬出された壁装材の表面から裏面方向に一定のテンションを掛けるテンションバーと、
一定のテンションが掛けられた壁装材からの前記テンションバーへの反発量に応じて前記巻取りモータの回転数を変動させる巻取りモータ回転制御手段とを備えたものであり、
前記テンションバーが前記巻取り装置の本体部に設けられた支点に前記テンションバーの端部を連結する上部連結アームを介して回動可能に支持されており、
前記巻取りモータ回転制御手段が、
前記上部連結アームの支点側に連結された垂下分岐バーと、前記垂下分岐バーの上下動に連動する下部連結アームと、前記下部連結アームに連結してその上下動によって回動する回動ギアと、を備え、
前記反発量としての前記テンションバーの上下移動量に対応する前記回動ギアの回動角度に応じて前記回動角度が大きくなれば前記巻取りモータの回転速度を小さくし、前記回動角度が小さくなれば前記巻取りモータの回転速度を大きくする制御を行うものである。
【0010】
請求項2に記載された発明に係る壁紙用巻取り装置は、請求項1に記載の巻取りモータ回転制御手段が、前記回動ギアの回動が過敏となることを防ぐために回動を付勢する付勢ギアが前記回動ギアに噛み合って配されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載された発明に係る壁紙用巻取り装置は、請求項1又は2に記載のンションバーを前記壁装材の表面から裏面方向に付勢する付勢手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載された発明に係る壁紙用巻取り装置は、請求項1~3の何れかに記載の巻取り軸に巻き取れられる前の壁紙糊付機又は壁紙裁断機から搬出された壁装材の糊付け面に剥離シートを供給する剥離シート供給手段を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載された発明に係る壁紙用巻取り装置付き糊付機は、請求項1~4の何れかに記載の壁紙用巻取り装置を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、巻取り機を操作する際に、操作者がつきっきりとならずに、壁紙糊付機又は壁紙裁断機の搬出速度に応じて巻取離速度を変更させることができる壁紙用巻取り装置を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の壁紙用巻取り装置を備えた糊付機の一実施例の構成を示す側面図である。
図2図1の平面図である。
図3図1の正面図である。
図4図1の壁紙用巻取り装置の要部の説明図であり、a図は正面図、b図は右側面図である。
図5図4のb図の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明においては、本体部内に配設された複数の回転ロールによりシート状壁装材を本体部の後部から内部に引き入れるとともに、本体部内の所定経路に沿って移動させ、本体部下方に配設された糊桶内の糊を前記複数の回転ロールのうちの糊付けロールにより壁装材の裏面に連続的に塗布する壁紙糊付機又はシート状壁装材の耳部を切断して予め定められた幅にする壁紙裁断機から搬出された壁装材を巻取りモータの回動によって巻取り軸に巻取る壁紙用巻取り装置であって、壁紙糊付機又は壁紙裁断機から搬出された壁装材の表面から裏面方向に一定のテンションを掛けるテンションバーと、一定のテンションが掛けられた壁装材からの前記テンションバーへの反発量に応じて前記巻取りモータの回転数を変動させる巻取りモータ回転制御手段とを備える。これにより、巻取り機を操作する際に、操作者がつきっきりとならずに、糊付機で糊付された壁紙の糊厚を一定の厚さとしつつ巻取ることができる。
【0017】
即ち、本発明では、壁紙糊付機から搬出された糊付済み壁装材又は壁紙裁断機から搬出された所定の幅に裁断された壁装材を巻取りモータの回動によって巻取る壁紙用巻取り装置である。この巻取り装置は、具体的には、糊付けされた糊付済み壁装材や予め定められた幅に壁紙裁断機で裁断された壁装材を、巻取りモータで回動する巻取り軸でロール状に巻取るものである。この巻取り装置の巻取り軸で巻取られる壁装材にテンションバーで壁装材の表面から裏面方向に一定のテンションを掛ける。
【0018】
即ち、壁装材の搬送路は側方から見ると、テンションバーで「く」字状に折れた状態となる。壁装材が巻取り軸に巻取られる初期から後期では径が大きくなる。このため、一定の回転速度で回答する巻取り軸では、巻取り後期の方が速度が大きくなる。このため、テンションバーで付勢された壁装材の搬送路では後期の方がテンションが大きくなるため、テンションバーへの反発量が大きくなる。
【0019】
本発明では、巻取りモータ回転制御手段によって、テンションバーの壁装材からの反発量に応じて巻取りモータの回転数を変動させるため、一定のテンションで巻取り軸に壁装材が巻取られることになり、巻取り機を操作する際に、操作者がつきっきりとならずに、糊付機で糊付された壁紙の糊厚を一定の厚さとしつつ巻取ることができ、駆動時間や巻取り量をカウントするカウント手段を備えることにより、壁紙糊付機と共に自動的に壁装材を巻取ることが可能となる。
【0020】
本発明のテンションバーとしては、壁紙糊付機から搬出された糊付け済み壁装材の表面から裏面方向に一定のテンションを掛けるものであればよく、より好ましくは、テンションバーが巻取り装置の本体部に設けられた支点にテンションバーの端部を連結する連結アームを介して回動可能に支持され、テンションバーを前記糊付済み壁装材の表面から裏面方向に付勢する付勢手段とを備えるものが挙げられる。
【0021】
この付勢手段としては、テンションバーを前記糊付済み壁装材の表面から裏面方向に付勢するものであればよく、例えば、連結アームの先端部やアームの途中に重りを取り付け、この重りの自重で一定のテンションを掛けたり、バネ等の弾性部材を連結アームに取り付けたり、支点の回動軸に一定の回転方向に付勢するものとしても良い。
【0022】
本発明の巻取りモータ回転制御手段としては、テンションバーの高さ位置等の移動量に応じて巻取りモータの回転数を変動させるものであればよく、より好ましくは、巻取りモータ回転制御手段が、反発量として前記付勢に抗して持ち上げられたテンションバーの移動量に応じて巻取りモータの回転数を変動させるものが挙げられる。
【0023】
本発明における糊付済み壁装材としては、巻取り軸に巻き取れられる前に糊付済み壁装材の糊付け面に剥離シートが貼着された上で、巻取られる。この剥離シートを糊付済み壁装材に供給する剥離シート供給手段としては、糊付済み壁装材の糊付面の下面側に剥離シートを沿わせた後に搬送経路を「く」字状に変更させる搬送路を横切る軸のような簡便な構成で行われればよい。
【0024】
尚、壁装材同士を重ね合わせた上でカットする際に下方の壁装材に糊が付着しないようにクロスカットテープを貼着する場合には、剥離シートの貼着前に糊付済み壁装材の両側縁部に沿わせてクロスカットテープを貼着させた後に、剥離シートを貼着させることで簡単に達成することができる。
【0025】
本発明の壁紙用巻取り装置付き糊付機は、前述の壁紙用巻取り装置を糊付機下流側に備えることで壁装材を糊付させつつロール状に巻取らせることで、糊付機及び巻取り機を操作する際に、操作者がつきっきりとならずに、糊付機で糊付された壁紙の糊厚を一定の厚さとしつつ巻取ることができる。
【実施例
【0026】
図1は本発明の壁紙用巻取り装置を備えた壁紙用巻取り装置付き糊付機の一実施例の構成を示す側面図である。図2図1の平面図である。図3図1の正面図である。図4図1の壁紙用巻取り装置の要部の説明図であり、a図は正面図、b図は右側面図である。図5図4のb図の要部拡大図である。
【0027】
図に示す通り、本実施例の壁紙用巻取り装置付き糊付機1は、糊付機10と壁紙用巻取り装置30とからなる。糊付機10は、糊付機本体部11が糊桶14を主とする下部構体13とその上に開閉可能に載置される上部構体12とによって構成される。上下部構体12,13間に挟み込まれているクロスロールR1から一端が解けたクロスCを後方から前方へ搬送し、その途中で糊付けローラ15上を搬送される際に糊桶14から引き上げられた糊がクロス裏面に転写塗布される。
【0028】
クロスCの両側縁部を切断しつつクロスCを糊付機本体部11に搬送するスリッター16は、糊付機本体部11の後部側の下部構体13のフレームの上部に斜めに装着されている。スリッター16は後背面の中央部にクロスCの搬送路となるガイド面部17が配され、そのガイド面部17には回転刃18が配され、これにより、クロスCの両側縁部を切断される。
【0029】
糊付けローラ15は、下部構体13の左右両側壁面の軸支板に軸支され、できるだけ糊桶14内に沈む下方位置の配置となるように構成されている。また、糊桶14内の糊は糊付けローラ15に当接する糊上げローラ19によって行われ、糊上げローラ19は糊桶14の両側側面に中心より後面側寄りの位置で軸支され、糊桶14内の糊を回転によって掻き上げて糊付けローラ15に転写する。糊付けローラ15は、糊付機本体部11に着脱自在に取付けられる駆動源である電動モータを備えたコントローラ27の駆動軸に連結されている。
【0030】
糊付けローラ15の回転軸は、下部構体13に配置される下ピンチローラ20、ドクターローラ22、均しローラ23及び上部構体12に配置される検尺ローラとして用いられる上ピンチローラ21、押さえローラ24、ドライブローラ25のうちの所定ローラの回転軸とギアを介して連動される。尚、糊付機本体部11の下部構体13の下方の両側部には、糊付けされたクロスCにクロスカットテープを供給するクロスカットテープホルダー26が配されている。
【0031】
壁紙用巻取り装置30は、糊付機本体部11の下流側に配され、糊付機10で糊付けされた糊付済みのクロスCを、巻取りモータ31で回動する巻取り軸32でロール状に巻取るものである。具体的には、壁紙用巻取り装置30の下方に吊架された剥離シートロールR2から一端が解けた剥離シートC2を均しローラ23の下方へ搬送し、均しローラ23で糊付済みのクロスCに張り合わせられつつ糊付機本体部11から搬出される。
【0032】
剥離シートC2を張り合わせられた張り合わせクロスC3は、搬送経路を「く」字状に変更させるテンションバー33で張り合わせクロスC3の表面から裏面方向に一定のテンションを掛けられている。具体的には、テンションバー33は巻取り装置30の本体部に設けられた支点34を介してテンションバー33の端部とを連結する上部連結アーム35を回動可能に支持されており、テンションバー33を前記糊付済み壁装材の表面から裏面方向に付勢する付勢手段としての重り36が、上部連結アーム35の先端部に取り付けられている。
【0033】
張り合わせクロスC3の搬送路は側方から見ると、テンションバー33で「く」字状に折れた状態となる。張り合わせクロスC3が巻取り軸に巻取られる初期から後期では径が大きくなる。このため、一定の回転速度で回答する巻取り軸32では、巻取り後期の方が速度が大きくなる。このため、テンションバー33で付勢された張り合わせクロスC3の搬送路では後期の方がテンションが大きくなるため、テンションバー33への反発量が大きくなる。即ち、FI性手段による付勢に抗してテンションバー33を持ち上げる力が大きくなり上方へ変位する。
【0034】
本実施例では、図5に示す通り、テンションバー33の張り合わせクロスC3からの反発量に応じて巻取りモータの回転数を変動させる巻取りモータ回転制御手段として、上部連結アーム35の重り36の支点34側に垂下分岐バー37が連結され、この垂下分岐バー37の上下動を壁紙用巻取り装置30下方の制御コントローラ38に伝達する。
【0035】
制御コントローラ38は、垂下分岐バー37の上下動に連動する下部連結アーム39と、この下部連結アーム39に連結して上下動によって回動する回動ギア40と、回動ギア40の回動が過敏となることを防ぐために回動を付勢する回動ギア40に噛み合って配された付勢ギア41と、同じく回動ギア40に噛み合い回動ギア40の回動に応じて巻取りモータ31の回転数を変動させるスピードコントローラ42とを備える。尚、上部連結アーム35及び下部連結アーム39の回動角度は本実施例では52°としている。
【0036】
具体的には、テンションバー33は、巻取り装置30本体部に設けられた支点34とテンションバー33の端部とを連結する上部連結アーム35と、この上部連結アーム35の先端部に取付けられた重り36によって、張り合わせクロスC3の表面から裏面方向に付勢されつつ、貼り合わせクロスC3は巻取り軸32に巻取られる。巻取りに応じて貼り合わせクロスC3のテンションが変動した場合に、テンションバー33への反発量が変動され、高さ位置等の移動量が変化する。
【0037】
テンションバー33の高さ位置の変動は垂下分岐バー37を介して下部連結アーム39から回動ギア40に伝達され、回動ギア40に噛み合うスピードコントローラ42によって巻取りモータ31の回動速度を変更する。即ち、テンションバー33への反発量が大きくなると回転速度を小さくし、テンションバー33への反発量が小さくなると回転速度を大きくすることにより、ほぼ一定のテンションで貼り合わせクロスC3を巻取り軸32に巻取られることと成り、糊付機及び巻取り機を操作する際に、操作者がつきっきりとならずに、糊付機で糊付された壁紙の糊厚を一定の厚さとしつつ巻取ることができる。
【0038】
尚、本実施例の壁紙用巻取り装置付き糊付機1では、糊付機10の糊桶14内に糊を入れず、スリッター16を駆動させながら、所定の幅に切断することにより、壁紙裁断機としても使用できる。この際にも、壁紙用巻取り装置30で同様にほぼ一定のテンションで耳部を切断された壁装材を巻取り軸32に巻取られることと成り、壁紙裁断機及び巻取り機を操作する際に、操作者がつきっきりとならずに、巻取りモータ31の負荷を無くすことができる。
【符号の説明】
【0039】
1…壁紙用巻取り装置付き糊付機、
R1…クロスロール、
C1…クロス、
10…糊付機、
11…糊付機本体部、
12…上部構体、
13…下部構体、
14…糊桶、
15…糊付けローラ、
16…スリッター、
17…ガイド面部、
18…回転刃、
19…糊上げローラ、
20…下ピンチローラ、
21…上ピンチローラ(検尺ローラ)、
22…ドクターローラ、
23…均しローラ、
24…押さえローラ、
25…ドライブローラ、
26…クロスカットテープホルダー、
27…コントローラ、
R2…剥離シートロール、
C2…剥離シート、
C3…張り合わせクロス、
30…壁紙用巻取り装置、
31…巻取りモータ、
32…巻取り軸、
33…テンションバー、
34…支点、
35…上部連結アーム、
36…重り、
37…垂下分岐バー、
38…制御コントローラ、
39…下部連結アーム、
40…回動ギア、
41…付勢ギア、
42…スピードコントローラ、
図1
図2
図3
図4
図5