(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
A63F7/02 316B
(21)【出願番号】P 2018078572
(22)【出願日】2018-04-16
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】森本 陽児
(72)【発明者】
【氏名】若林 貴之
【審査官】廣瀬 貴理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-131347(JP,A)
【文献】特開2008-229094(JP,A)
【文献】特開2003-340072(JP,A)
【文献】特開昭63-238892(JP,A)
【文献】特開2015-097738(JP,A)
【文献】特開2016-96945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に、特定の通過領域と、その特定通過領域を通過した遊技球が導かれたことに起因して開成する開閉式の役物装置とが設けられた遊技機であって、
前記特定通過領域
を遊技球が通過したことを検知する通過検知手段と、
前記特定通過領域を通過した遊技球が前記役物装置まで導かれて到達したことを検知する到達検知手段と、
前記通過検知手段による遊技球通過の検知から、前記到達検知手段による遊技球
到達の検知までの時間を計測し、計測された時間が予め設定された所定の時間よりも長い場合に、異常発生と判断する異常制御手段とが設けられ
ている一方、
前記役物装置が、
到達した遊技球を載置可能で、その遊技球の重力によって上下に回動する作動部材と、
上部を互いに近接・離反させるように回動可能な左右一対の開閉部材と、
それらの開閉部材と係合する係合体を有しており前記作動部材の回動と連動して回動する制御部材とを有しており、
前記作動部材に遊技球が載置されていない場合には、前記左右一対の開閉部材が前記制御部材の係合部と係合した状態を保つことによって閉成状態を保持し、
前記作動部材に遊技球が載置されると、作動部材の回動に伴って前記制御部材が回動し、前記左右一対の開閉部材と前記制御部材の係合部との係合状態が解除され、前記左右一対の開閉部材が上部を互いに離反させるように回動するとともに、
前記到達検知手段が、前記作動部材に一体的に設けられた突出片と、その突出片と隣接した位置に設置され、光信号の送受信を行う光学センサとを備え、
前記作動部材上に遊技球が載置されたことで、前記突出片が前記光学センサによる光信号の送受信を遮断することにより、前記役物装置まで遊技球が導かれて到達したことを検知することを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシーン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種であるパチンコ機の中には、遊技盤面上に遊技球を入賞可能な始動口が設けられており、当該始動口へ遊技球が入賞したことを契機として内部抽選を実行し、その内部抽選の結果が、予め設定された所定の結果である場合には、遊技者にとって有利な特別遊技状態(所謂、「大当たり状態」等)を生起させるものが知られている。
【0003】
かかるパチンコ機においては、基台全面に設けられた開閉可能な前面扉と遊技盤を固定する枠(所謂、ミドル枠)との隙間等からピアノ線等の細い針金を挿入させて、開閉式の始動口を無理矢理に開放させる不正行為(所謂、ピアノ線ゴト行為)が行われることがある。それゆえ、そのような不正行為を防止すべく、前面扉とミドル枠との間に弾性部材を介在させたパチンコ機が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の如く、開閉可能な前面扉とミドル枠との間に弾性部材を介在させたパチンコ機においても、弾性部材のない部分からピアノ線等が挿入され、開閉式の始動口が無理矢理に解放されてしまうこともある。また、前面扉の外周全体に亘ってピアノ線等の挿入を防止するための弾性部材を設置すると、前面扉が開けにくいものとなる、という不具合が生じてしまう。
【0006】
本発明の目的は、上記従来のパチンコ機が有する課題を解消し、前面扉とミドル枠との間等からピアノ線等を挿入させて開閉式の始動口を無理矢理に解放させる不正行為を効果的に抑制・防止することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技領域に、特定の通過領域と、その特定通過領域を通過した遊技球が導かれたことに起因して開成する開閉式の役物装置とが設けられた遊技機であって、前記特定通過領域を遊技球が通過したことを検知する通過検知手段と、前記特定通過領域を通過した遊技球が前記役物装置まで導かれて到達したことを検知する到達検知手段と、前記通過検知手段による遊技球通過の検知から、前記到達検知手段による遊技球到達の検知までの時間を計測し、計測された時間が予め設定された所定の時間よりも長い場合に、異常発生と判断する異常制御手段とが設けられている一方、前記役物装置が、到達した遊技球を載置可能で、その遊技球の重力によって上下に回動する作動部材と、上部を互いに近接・離反させるように回動可能な左右一対の開閉部材と、それらの開閉部材と係合する係合体を有しており前記作動部材の回動と連動して回動する制御部材とを有しており、前記作動部材に遊技球が載置されていない場合には、前記左右一対の開閉部材が前記制御部材の係合部と係合した状態を保つことによって閉成状態を保持し、前記作動部材に遊技球が載置されると、作動部材の回動に伴って前記制御部材が回動し、前記左右一対の開閉部材と前記制御部材の係合部との係合状態が解除され、前記左右一対の開閉部材が上部を互いに離反させるように回動するとともに、前記到達検知手段が、前記作動部材に一体的に設けられた突出片と、その突出片と隣接した位置に設置され、光信号の送受信を行う光学センサとを備え、前記作動部材上に遊技球が載置されたことで、前記突出片が前記光学センサによる光信号の送受信を遮断することにより、前記役物装置まで遊技球が導かれて到達したことを検知することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の遊技機は、役物装置(遊技球の入賞によって内部抽選を実行させる入賞装置の一つ)が予定されていないタイミングで開成した場合に、その事態を検知して異常発生と判断する(すなわち、不正行為があったものと判断する)ため、ピアノ線を遊技領域内に進入させて役物装置を無理矢理に開成させる不正行為(ピアノ線ゴト行為)を効果的に阻止することができる。
【0011】
また、請求項1に記載の遊技機は、始動口に入賞した遊技球が役物装置まで導かれた場合に、作動部材と制御部材とが連動することによって左右一対の開閉部材を確実に開成させることができるので、不正行為が行われていないにも拘わらず左右一対の開閉部材が開成しない(すなわち、役物装置が開成しない)という作動エラーを高い精度で防止することができる。
【0012】
さらに、請求項1に記載の遊技機は、予定されていないタイミングで役物装置が開成した場合に、その事態を確実に検知することができるので、ピアノ線ゴト行為をきわめて効果的に阻止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】センター部材を示す説明図(前方斜視図)である。
【
図5】センター部材を示す説明図(後方斜視図)である。
【
図6】非電動役物(閉成した状態)を示す説明図である(aは前方斜視図であり、bは後方斜視図である)。
【
図7】非電動役物(閉成した状態)の内部を示す説明図である(aは前方斜視図であり、bは後方斜視図である)。
【
図8】非電動役物(開成した状態)を示す説明図である(aは前方斜視図であり、bは後方斜視図である)。
【
図9】非電動役物(開成した状態)の内部を示す説明図である(aは前方斜視図であり、bは後方斜視図である)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の遊技機の一実施形態であるパチンコ機について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
<パチンコ機の構造>
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図である。
図2は、遊技盤2を前面側から示した説明図である。
図3は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス板を支持してなる前扉4が、機枠3に左端縁を軸として片開き可能に蝶着されており、その前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域16とされている。
【0016】
当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23および内レール24等によって囲まれており、遊技領域16の左部における両レール23、24の間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の中央やや上寄りとなる位置には、「0」~「9」の数字からなる装飾図柄やキャラクター等を表示するための演出用表示部6、演出用表示部6の下辺に沿って左右方向に延設されており、その上面を遊技球が左右に転動可能なステージ81、および、遊技領域16内を流下する遊技球をステージ81上へ導くためのワープ通路82等を有する表示部材80が設置されている。さらに、表示部材80の下方で遊技領域16の中央部から下部にかけて、遊技球が進入可能な進入口31、進入口31から分岐しつつ下方へ延びる遊技球流路32、種々の電動役物、および、遊技球が入賞可能な役物装置(遊技球が入賞すると内部抽選の契機となるである非電動役物42、始動口22、誘導路27等を備えたセンター部材26が設置されている。加えて、始動口22の内部には、遊技球の通過(入賞)を検知するための入賞検知センサ(図示せず)が設けられている。
【0017】
また、センター部材26の下端際の中央には、遊技球が転動可能なステージ77が設けられており、その中心に非電動役物42の開口部19が位置した状態になっている。そして、その開口部19の右側には、特定通過領域である入球口39が設けられており、ステージ77上を転動した遊技球が通過(入球)可能になっている。さらに、入球口39の下側には、入球口39への遊技球の通過を検知するための通過検知手段である通過検知センサ40が設置されている。加えて、入球口39は、導球路(図示せず)によって非電動役物42と連結されており、入球口39へ入り込んだ遊技球が、非電動役物42の後方側(後述する作動部材43の設置位置)まで導かれるようになっている。
【0018】
また、表示部材80およびセンター部材26の左方には、遊技球が流下可能で、遊技球が入賞可能な入賞部材84,84が設置された左打ち用スペースSLが形成されており、この左打ち用スペースSLを流下させることで、ワープ通路82への進入(すなわち、ステージ81上への誘導)や進入口31への進入(すなわち、センター部材26への進入)を効率良く狙えるようになっている。一方、表示部材80およびセンター部材26の右方にも遊技球が流下可能な右打ち用スペースSRが形成されている。この右打ち用スペースSRには、遊技球が通過可能なゲート部材20、一対の可動片を有するチューリップ式電動役物17、所謂「大当たり状態」において交互に開閉する2つの可動入賞装置18A,18Bが設置されている。そして、遊技球を右打ち用スペースSRへ流下させることで、ゲート部材20を通過させたり、開動作しているチューリップ式電動役物17へ遊技球を入賞させたり、開成している可動入賞装置18A,18Bへ遊技球を入賞させたりすることができるようになっている。なお、左打ち用スペースSLや右打ち用スペースSRには、多数の遊技釘が植設されている。また、遊技領域16外となる遊技盤2の右下部には、第1特別図柄および第2特別図柄をそれぞれ別個に表示可能とした特別図柄表示部83が設けられている。
【0019】
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、発射装置10へ供給する遊技球を貯留するための供給皿7、および、供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が取り付けられており、供給皿7は前扉4の開放に伴い、貯留皿8はミドル枠5の開放に伴い、それぞれ機枠3に対して片開き可能となっている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させ、遊技球の遊技領域16への打ち込み強度を調整するためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。加えて、供給皿7の前方には、遊技者が任意に押し込み操作可能な遊技ボタン25が設けられている。さらに、前扉4の上部には、効果音や各種メッセージ等を報音するそれぞれ一対のスピーカ14、14が設けられている。加えて、前扉4の左右両側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを内蔵したランプ部材15、15・・が設けられている。
【0020】
一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、および、各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、機枠3の後面側の中央上部には、合成樹脂製のカバー状に形成されたセンターカバー21が装着されており、当該センターカバー21の内部には、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂「大当たり抽選」等)を実行するためのメイン制御装置61、演出用表示部6における表示動作等を制御する表示制御装置63、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置64、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置65、および、表示制御装置63や音制御装置65等の動作を統合的に制御するサブ制御装置62等が設置されている。なお、メイン制御装置61は、後述するセンサ48、非電動役物42の入賞検知センサ(図示せず)、始動口22の入賞検知センサ(図示せず)等とインターフェイスを介して接続されている。
【0021】
<パチンコ機の特徴部分の説明>
図4、
図5は、センター部材26の一部を示したものであり、センター部材26の外周フレーム41の下部中央には、遊技球が入賞すると内部抽選(すなわち、「大当たり抽選」)の契機となる非電動役物42が設置されている。
図6は、非電動役物42(外周フレーム41から取り外した状態)を示したものであり、
図7は、非電動役物42の内部の機構を示したものである。非電動役物42は、前端際の回転軸を中心として回動可能な作動部材43、下端際が遊技盤2の盤面に対して垂直な軸を中心として回動可能に枢着された左右一対の開閉部材45a,45b、作動部材43と係合しており開閉部材45a,45bの開閉を制御する制御部材46、組み付けられた作動部材43および制御部材46の外周を覆う左右のケース部材47a,47b、作動部材43まで遊技球が到達したこと(すなわち、非電動役物42が開成したこと)を検知するための到達検知手段である開成検知センサ(光学センサ)48、遊技球技球が入賞可能な筒状の開口部19等によって構成されている(なお、
図6においては、開口部19の記載は省略されている)。
【0022】
作動部材43は、大径の円柱体52と小径の円柱体53とを連ねた形状の係合部と、前後に長尺な板状に形成された作動部とを有している。係合部の大径の円柱体52および小径の円柱体53の内部には、それぞれ、円柱状の錘52c,52dが埋め込まれている。また、大径の円柱体52aの前側には、制御部材46と係合する係合突起(係合体)50が前方へ突出するように設けられている。一方、作動部の前端には、略筒状の軸支部56が設けられており、その軸支部56と係合部の大径の円柱体52とが連結片57によって一体的に連結された状態になっている。また、作動部の後端縁は、上向きに屈曲してガイド壁58を形成しており、そのガイド壁58の内側に、遊技球を載置可能な載置部59が形成された状態になっている。さらに、載置部59の右端縁には、検知片(突出片)60が外側に突出するように一体的に設けられている。
【0023】
また、制御部材46は、左右の鉛直支持板71a,71bを略板状の連結体72で連結した左右対称の形状を有しており、左右の鉛直支持板71a,71bには、それぞれ、略円柱状の上側支持突起73および下側支持突起74が外向きに突出するように設けられている。さらに、左右の鉛直支持板71a,71bの下端には、開閉部材45の開閉を制御するための制御片75が外向きに突出するように一体的に設けられている。
【0024】
一方、開閉部材45a,45bは、所謂、チューリップ状開閉扉として機能する本体部91が、略一定幅(前後幅)の扁平な半円柱状に形成されており、その本体部91の背面に、円柱状の作動突起92が後方へ突出するように設けられている。なお、左右の開閉部材45a,45bは、対称な形状を有している。また、各開閉部材45a,45bの中央よりやや下側には、軸挿通孔93が前後に貫通するように設けられており、各開閉部材45a,45bの外端縁際には、錘94が埋め込まれている。
【0025】
また、左右のケース部材47a,47bは、透明な合成樹脂によって形成されており、内側に、作動部材43および制御部材46を収納するための凹部34が形成されている。さらに、ケース部材47a,47bの上部後方には、作動部材43の載置部59を露出させるための開口部35が形成されている。また、ケース部材47a,47bの前端際には、制御部材46の上側支持突起73を遊嵌するための鉛直方向に長い楕円状の遊嵌孔36が穿設されており、その下側には、制御部材46の下側支持突起74を遊嵌するための遊嵌長孔37が穿設されている。当該遊嵌長孔37は、鉛直方向に長い楕円状部と略円弧状の屈曲部とを連ねた形状になっている。さらに、ケース部材47a,47bの各凹部34,34の内部には、作動部材43の軸支部56を軸支するための円筒状の支承部(図示せず)が設けられている。
【0026】
また、右側のケース部材47bの後端際には、中空直方体状の収納部38が外向きに突出するように設けられており、当該収納部38の内部には、発光部と受光部とを有する光学式の到達検知センサ48が収納されている。また、収納部38の上部には、スリット状の開口部39が設けられており、当該開口部39から、作動部材43の検知片60が、到達検知センサ48の発光部と受光部との間に挿入可能になっている(すなわち、到達検知センサ48をON・OFF可能になっている)。
【0027】
非電動役物42は、左右のケース部材47a,47bの内部に作動部材43および制御部材46を収納した状態で、図示しないネジ等によって一体的に組み付けられている。そして、作動部材43の軸支部56が左右のケース部材47a,47bの円筒状の支承部(図示せず)に軸支されており、制御部材46の上側支持突起73,73、下側支持突起74,74が、それぞれ、左右のケース部材47a,47bの遊嵌孔36、遊嵌長孔37に遊嵌された状態になっている。
【0028】
そして、そのように一体的に組み付けられた非電動役物42は、
図4、
図5の如く、左右一対の開閉部材45a,45bが、それぞれ、遊技球が入賞可能な筒状の開口部19の左右に位置するように、センター部材26の外周フレーム41の下部中央にネジ等によって固着されている。さらに、そのように設置された非電動役物42の前部では、開閉部材45a,45bが、軸装通孔93を利用して外周フレーム41に枢着されており、各開閉部材45a,45bの作動突起92,92が、制御部材46の制御片75,75と係合した状態になっている(
図7(b)参照)。
【0029】
また、
図2の如く、センター部材26の内部においては、始動口22の下部と非電動役物42とを繋ぐように、円筒状の導球路27が設けられている。そして、始動口22へ入賞した遊技球が、当該導球路27の内部を流下して、非電動役物42の作動部材43の載置部59の上側へ導かれるようになっている。
【0030】
<パチンコ機の遊技内容>
以上のようなパチンコ機1では、遊技者はハンドル9を回動操作して発射装置10を作動させ、発射通路13を介して遊技球を遊技領域16内へ打ち込み、まずは左打ち用スペースSLを流下させ(所謂、“左打ち”を行い)、センター部材26の進入口31への遊技球の進入(入賞)を狙う。
【0031】
そして、始動口22あるいは非電動役物42(筒状の開口部19)への遊技球の入賞検知に起因して、内部抽選(所謂、「大当たり抽選」)が実行され、その「大当たり抽選」の結果が「大当たり」になると、特別図柄表示部83および演出用表示部6にそれぞれ所定の「大当たり図柄」が確定表示される(たとえば、演出用表示部6に「7、7」が表示される)。また、「大当たり図柄」が確定表示されると、可動入賞装置18A,18Bをそれぞれ1回ずつ開成させる遊技状態(所謂、「大当たり状態」)が生起する。そこで、遊技者は、遊技球を右打ち用スペースSRへ打ち込んで流下させ(所謂、“右打ち”を行い)、開成する可動入賞装置18A,18Bへの遊技球の入賞を狙う。
【0032】
また、「大当たり状態」が終了すると、ゲート部材20への遊技球の通過検知に起因して実行される所謂「当たり抽選」の結果が「当たり」となりやすく、チューリップ式電動役物17が頻繁に開状態となって遊技球の入賞が可能となるとともに、チューリップ式電動役物17への入賞検知に起因して実行される「大当たり抽選」の結果が「大当たり」となりやすい所謂「確変状態」が生起する。そこで、遊技者は右打ちを継続し、ゲート部材20への遊技球の通過、および、頻繁に開状態となるチューリップ式電動役物17への遊技球の入賞を狙う。また、チューリップ式電動役物17への遊技球の入賞に応じて実行された「大当たり抽選」の結果が「大当たり」になると、特別図柄表示部83および演出用表示部6に「大当たり図柄」が確定表示され、可動入賞装置18A,18Bをそれぞれ1回ずつ開成させる「大当たり状態」が再び生起する。したがって、「大当たり状態」が生起した場合には、遊技者は、きわめて高い確率で多くの遊技球を獲得することが可能となる。
【0033】
そして、上記「大当たり状態」の終了後に生起する「確変状態」の生起回数が所定回数(たとえば10回)に達し、所定回数目の「確変状態」における「大当たり図柄」の確定表示に伴い生起した「大当たり状態」が終了すると、「確変状態」を生起させることなく、ゲート部材20への遊技球の通過検知に起因して実行される「当たり抽選」の結果が「当たり」となりにくく(あるいは「当たり」とならず)、チューリップ式電動役物17がほとんど開状態とならない(あるいは開状態になることがない)上、「大当たり抽選」の結果が「大当たり」となりにくい遊技開始当初の「通常状態」へ復帰する。そのため、遊技者は、右打ちを止めて左打ちを行う上記遊技へと戻る。
【0034】
さらに、上記の如く、遊技球がセンター部材26の進入口31へ入賞すると、当該遊技球は、センター部材26の内部で左右に振り分けられ、右側に振り分けられた遊技球の一部が、始動口22へ入賞する。一方、左側に振り分けられた遊技球は、ステージ77上を転動し、その一部が、入球口39へ入り込む(入球する)。そして、入球口39へ入球した遊技球は、導球路(図示せず)の内部を流下して、非電動役物42の作動部材43の載置部59の上側へ導かれる(到達する)。作動部材43は、大円柱体52、小円柱体53の内部に錘54a,54bが入っていることによって、後部が上向きに付勢されているが、そのように遊技球が載置部59の上面に導かれて転動すると、その遊技球の荷重によって、作動部材43の後部が前端際の回転軸(軸支部56)を中心として下方へ回動するとともに、前方の係合突起50が上方へに回動する。
【0035】
そのように作動部材43の係合突起50が、回転軸(軸支部56)を中心として上方へ回動すると、連結体72によって係合突起50と係合した制御部材46が、上側支持突起73を中心として、後部を上向きに回動させる。また、そのように制御部材46の後部が上向きに回動する際には、 作動部材43の係合突起50の上方への回動に伴って、制御部材46の上側支持突起73,73を、遊嵌孔36内で下方から上方へ移動させるとともに、制御部材46の下側支持突起74,74を、遊嵌長孔37の鉛直な楕円状部分内で下方から上方へ移動させた後に略円弧状の屈曲部内を移動させることによって、制御部材46の後部の回動が可能となる。
【0036】
そして、上記の如く、制御部材46の後部が上向きに回動すると、制御部材46の制動片75,75と左右の開閉部材45a,45bとの係合状態が解除されるため、各開閉部材45a,45bが、下端の軸挿通孔93の穿設部分を中心として、上部を離反させるように回動することによって、非電動役物42が開成する(
図8、
図9参照)。なお、各開閉部材45a,45bは、通常、閉じた状態になっているが、そのように各開閉部材45a,45bが閉じた状態であっても、筒状の開口部19内に遊技球が入賞可能になっている。
【0037】
上記の如く、非電動役物42が開成状態となると、筒状の開口部19内に入賞しなかった遊技球であっても、拡がった開閉部材45a,45bの上部に載置されれば、筒状の開口部19の側部の孔(図示せず)から非電動役物42へ入賞することが可能になる。そして、非電動役物42に入賞すると(開口部19の上部あるいは側部から入賞すると)、非電動役物42の内部に設置された入賞検知センサの開口部19の下側に設けられた入賞検知センサ30によって、その入賞が検知され、上記の如き「大当たり抽選」を実行する。
【0038】
したがって、遊技球が入球口39に入賞すると、結果的に、開閉部材45a,45bが開成するため(非電動役物42が開成するため)、遊技球が非電動役物42に入賞しやすくなり、メイン制御装置61での内部抽選の回数が多くなる可能性が増大する。
【0039】
一方、遊技球が入球口39へ入り込んで、その入球が通過権検知センサ40によって検知されると、メイン制御装置61内でタイマ(図示せず)が予め設定された時間(「許容時間」)にセットされる。また、入球口39へ入球した遊技球が非電動役物42まで導かれて、作動部材43の後部が下方へ回動すると、作動部材43の検知片60が、収納部38内に設置された到達検知センサ48の発光部と受光部との間に挿入されて、遊技球が非電動役物42まで到達したことを検知する。そのようにセンサ48が遊技球の非電動役物42までの到達を検知すると、(結果的に)開閉部材45a,45bが開成したものとして、所定の開成検知信号がメイン制御装置61へ送信される。
【0040】
メイン制御装置61は、到達検知センサ48から開成検知信号を受けると、その開成検知信号の受信が上記した「許容時間」内であるか否かを判断し、「許容時間」内であると判断した場合には、他の部材や装置に制御信号を送信せず、非電動役物42への遊技球の入賞を契機として「大当たり抽選」を実行する。一方、メイン制御装置61は、到達検知センサ48からの開成検知信号の受信が「許容時間」外であると判断した場合、あるいは、タイマ(図示せず)が起動してない状態で到達検知センサ48から開成検知信号を受信したと判断した場合には、不正行為が行われたことによって非電動役物42の作動部材43が動かされたものと判断し、その後の非電動役物42への遊技球の入賞を無効にして「大当たり抽選」を実行しないように制御するとともに、演出表示部6の液晶画面に、不正行為が行われた可能性がある旨を表示し、外部へ不正警報信号を出力する。
【0041】
<パチンコ機の効果>
パチンコ機1は、上記の如く、特定通過領域である入球口39に遊技球が入球したこと(すなわち、特定通過領域を遊技球が通過したこと)を検知する通過検知手段である通過検知センサ40と、入球口39を通過した遊技球が非電動役物42まで到達したことを検知する到達検知手段である到達検知センサ48と、通過検知センサ40による遊技球通過の検知から、到達検知センサ48による遊技球誘導(到達)の検知までの時間を計測し、計測された時間が予め設定された所定の時間よりも長い場合に、異常発生と判断する異常制御手段であるメイン制御装置61とが設けられている。すなわち、パチンコ機1は、予定されていないタイミングで非電動役物42が開成した場合に、その事態を検知して異常発生と判断する(すなわち、不正行為があったものと判断する)ため、ピアノ線を遊技領域内に進入させて非電動役物42を無理矢理に開成させる不正行為(ピアノ線ゴト行為)を効果的に阻止することができる。
【0042】
また、パチンコ機1は、非電動役物42が、到達した遊技球を載置可能で、その遊技球の重力によって上下に回動する作動部材43と、上部を互いに近接・離反させるように回動可能な左右一対の開閉部材45a,45bと、それらの開閉部材45a,45bと係合する係合突起50を有しており作動部材43の回動と連動して回動する制御部材46とを有するものであり、作動部材43に遊技球が載置されていない場合には、左右一対の開閉部材45a,45bが制御部材46の係合突起50と係合した状態を保つことによって閉成状態を保持し、作動部材43に遊技球が載置されると、作動部材43の回動に伴って制御部材46が回動し、左右一対の開閉部材45a,45bと制御部材46の係合突起50との係合状態が解除され、左右一対の開閉部材45a,45bが上部を互いに離反させるように回動することによって開成するものである。したがって、パチンコ機1は、始動口22に入賞した遊技球が非電動役物42まで流下した場合に、作動部材43と制御部材46とが連動することによって左右一対の開閉部材45a,45bを確実に開成させることができるので、不正行為が行われていないにも拘わらず左右一対の開閉部材45a,45bが開成しないという作動エラーを高い精度で防止することができる。
【0043】
さらに、パチンコ機1は、作動部材43に検出片60が一体的に設けられているとともに、その検知片60と隣接した位置に、光信号の送受信を行う光学式のセンサ48が設置されており、作動部材43上に遊技球が載置されると、検知片60がセンサ48による光信号の送受信を遮断することによって、非電動役物42へ遊技球が導かれたことを検知するため、予定されていないタイミングで非電動役物42が開成した場合に、その事態を確実に検知することができるので、ピアノ線ゴト行為をきわめて効果的に阻止することができる。
【0044】
加えて、パチンコ機1は、制御部材46の上側支持突起73を遊嵌するための遊嵌孔36が鉛直方向に長い楕円状に形成されているとともに、制御部材の下側支持突起74を遊嵌するための遊嵌長孔37が、鉛直方向に長い楕円状部と略円弧状の屈曲部とを連ねた形状になっており、非電動役物42まで遊技球が流下して作動部材43の載置部59に遊技球が載ったことを契機として、制御部材46の上側支持突起73,73を遊嵌孔36内で下方から上方へ移動させ、制御部材46の下側支持突起74,74を遊嵌長孔37の鉛直な楕円状部分内で下方から上方へ移動させた後に略円弧状の屈曲部内を移動させることによって、制御部材46の回動を可能とする。したがって、パチンコ機1によれば、ピアノ線を遊技領域内に進入させて制御部材46を無理矢理に回動させて非電動役物42を開成させる不正行為をも効果的に阻止することができる。
【0045】
<遊技機の変更例>
なお、本発明に係る遊技機の構成は、上記実施形態の構成に何ら限定されるものではなく、非電動役物(作動部材、制御部材、センサ)、始動口、誘導路等の形状、構造等の構成や、「大当たり状態」の生起時の作動内容等の遊技内容等を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
【0046】
たとえば、本発明に係る遊技機は、上記実施形態の如く、特定領域を通過した遊技球が役物装置(非電動役物)まで導かれたことを検知するセンサが役物装置に一体的に設けられたものに限定されず、特定領域を通過した遊技球が役物装置まで導かれたことを検知するセンサと役物装置とが別々に設けられたものでも良い。また、特定領域を通過した遊技球が役物装置まで導かれたことを検知するセンサは、上記実施形態の如く、光学式のものに限定されず、遊技球の通過に伴って閉じた電気回路(あるいは開いた電気回路)を形成する接触式のセンサ等に変更することも可能である。
【0047】
また、本発明に係る遊技機は、上記実施形態の如く、メイン制御装置が異常制御手段として機能するものに限定されず、サブ制御装置等のメイン制御装置以外の制御装置が異常制御手段として機能するものや、メイン制御装置以外の制御装置とメイン制御装置とが協働して異常制御手段として機能するもの等に変更することも可能である。たとえば、本発明に係る遊技機は、通過検知手段による特定通過領域の遊技球通過の検知および到達検知手段による役物装置までの遊技球到達の検知をメイン制御装置側にて実行し、特定通過領域の遊技球通過から役物装置までの遊技球到達の時間計測および異常事態発生の有無の判断をサブ制御装置側にて実行するもの等とすることも可能である。加えて、本発明に係る遊技機は、上記実施形態の如く、異常を検知した場合に以降の役物装置への遊技球の入賞を無効にして内部抽選を実行しないように制御するものに限定されず、異常を検知した場合に単にその事態を報知するもの(たとえば、演出表示部において異常事態の発生を表示するものや異常事態発生の検知信号をホールコンピュータ等に送信するもの)等に変更することも可能である。
【0048】
なお、特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(たとえば、非電動役物(作動部材、制御部材、センサ)、始動口、誘導路等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。さらには、上述した全ての要素のうちの複数の要素を一体的に構成するか、もしくは一つの要素を複数の要素に分けて構成するかは、あえて特許請求の範囲等において特定していない限り、いずれも当業者であればきわめて容易に考えられる事項であるため、あえて明細書等において全パターンを記載しなくてもいずれのパターンも想定範囲内であることが明らかであることから、本発明に係る権利範囲に含まれることに疑いの余地はない。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異しかない遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由にするのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【符号の説明】
【0049】
1・・パチンコ機(遊技機)
16・・遊技領域
18A,18B・・可動式入賞装置
39・・入球口(特定領域)
40・・通過検知センサ(通過検知手段)
42・・非電動役物(役物装置)
43・・作動部材
46・・制御部材
48・・到達検知センサ(到達検知手段)
50・・係合突起(係合体)
60・・検知片(突出片)