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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20221024BHJP
   F24H 9/1836 20220101ALI20221024BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
F24H9/1836
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018199441
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2020067218
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】本間 勉
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-044422(JP,A)
【文献】特開2011-214771(JP,A)
【文献】実開昭63-052053(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
F24H 9/1836
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、
複数のバーナが左右方向に並設されてなるバーナユニットと、
前記バーナユニットを収容するインナーケースとを有し、
前記インナーケースの後壁部の内面の上側に、前記内面の過熱を防止するための過熱防止板が、前記内面の下側に、前記バーナユニットの後部を支持する支持板がそれぞれ取り付けられる給湯器であって、
前記過熱防止板の上下部位には、後方へ突出して取り付け状態で前記過熱防止板と前記内面との間に隙間を生じさせる複数のボス部が形成されて、上側の前記ボス部のみが前記内面に取り付けられており、
前記支持板は、その上部が前記過熱防止板の下部に前方から重なる位置で前記内面に取り付けられていることを特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記後壁部における前記支持板の取り付け領域には、前方又は後方へ突出する膨出部が形成されている一方、前記支持板には、前方又は後方へ突出して取り付け位置で前記膨出部と嵌合する嵌合部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記支持板の上端には、前記過熱防止板との重合部を越える位置まで下向きに延びる複数のスリットが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に、バーナユニットを収納するインナーケースを内設した給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器は、筐体内に、複数のバーナを左右方向に並設してなるバーナユニットを備えた燃焼装置と、燃焼装置の上部に配置される熱交換器とを備え、燃料ガスと燃焼用空気との混合気に点火して燃焼するバーナユニットの燃焼排気により、熱交換器を通過する水を加熱して出湯させる。
また、燃焼装置は、特許文献1に開示されるように、バーナユニットを左右方向に支持する支持板を、収納ケース(インナーケース)内に固定し、そのインナーケースを筐体内に固定することで組み付けられる。また、インナーケースの後壁部の内面には、後壁部の過熱を防止するための板材(過熱防止板)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-80613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の燃焼装置においては、過熱防止板をインナーケースに取り付けるためにネジ止めや溶接等の作業が必要となるため、工数や部品点数が増加してコストアップの要因となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、少ない工数や部品点数でインナーケースに過熱防止板を組み付け可能としてコストアップを低減することができる給湯器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、筐体内に、複数のバーナが左右方向に並設されてなるバーナユニットと、バーナユニットを収容するインナーケースとを有し、インナーケースの後壁部の内面の上側に、当該内面の過熱を防止するための過熱防止板が、当該内面の下側に、バーナユニットの後部を支持する支持板がそれぞれ取り付けられる給湯器であって、
過熱防止板の上下部位には、後方へ突出して取り付け状態で過熱防止板と当該内面との間に隙間を生じさせる複数のボス部が形成されて、上側のボス部のみが当該内面に取り付けられており、支持板は、その上部が過熱防止板の下部に前方から重なる位置で当該内面に取り付けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、後壁部における支持板の取り付け領域には、前方又は後方へ突出する膨出部が形成されている一方、支持板には、前方又は後方へ突出して取り付け位置で膨出部と嵌合する嵌合部が形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、支持板の上端には、過熱防止板との重合部を越える位置まで下向きに延びる複数のスリットが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、支持板を利用して少ない工数や部品点数でインナーケースに過熱防止板が組み付け可能となり、コストアップを低減することができる。また、過熱防止板を上側のボス部のみで取り付けても、支持板の上部を過熱防止板の下部に前方から重ねて固定しているため、過熱防止板が後壁部から前方へ浮いたりがたついたりすることを効果的に防止可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、膨出部と嵌合部との嵌合により、支持板の位置ズレを防止して過熱防止板を確実に固定することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、支持板によって過熱防止板を押圧しつつ、後壁部の内面と過熱防止板との隙間にインナーケース内の空気を好適に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】フロントカバーを外した状態での給湯器の正面図である。
図2】燃焼装置の斜視図である。
図3】燃焼装置の分解斜視図である。
図4】バーナユニットを省略した燃焼装置の正面図である。
図5図4のA-A線断面図である。
図6】ケース本体への支持板の取り付け状態を示す部分斜視図である。
図7】ケース本体への内板及び前壁の取り付け状態を示す部分斜視図である。
図8】前壁の後方からの斜視図である。
図9】前壁の組み付け前の燃焼装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、給湯器の一例を示す説明図で、前面のフロントカバーを外した筐体2を正面から示している。給湯器1は、四角箱状の筐体2内に、燃焼装置3と、熱交換器4と、排気フード5とを下方から順番に設置してなる。燃焼装置3の前面には、燃焼装置3内の後述するバーナユニット21に燃料ガスを分配供給するためのガス供給ユニット6が組み付けられ、燃焼装置3の下面には、燃焼用空気を供給する給気ファン7が組み付けられる。給気ファン7の前方側で燃焼装置3の下方には、電装基板を収容してなるコントローラ8が、筐体2の内底面上で横向きに立設されている。
熱交換器4は、ケーシング内部に図示しない複数のフィンを左右方向に所定間隔をおいて備えると共に、各フィンを蛇行状に貫通する伝熱管9を備えて、下方からフィン間を通過する燃焼排気と伝熱管9内を流れる水との熱交換が可能となっている。
排気フード5は、前面に横長長円状の排気筒10を備えてフロントカバーを貫通して前方へ突出させており、熱交換器4を通過した燃焼排気を外部へ排出可能となっている。
【0010】
筐体2の下面には、外部のガス管が接続されるガス入口11と、水道管が接続される水入口12と、給湯栓への配管が接続される湯出口13とが設けられている。このうちガス入口11は、筐体2内で、元弁や比例弁等を備えたガス管14を介してガス供給ユニット6に接続される。また、水入口12は、給水管15を介して熱交換器4の伝熱管9の上流端に接続され、湯出口13は、出湯管16を介して伝熱管9の下流端に接続されている。
【0011】
そして、燃焼装置3は、図2に示すように、筐体2内に収まる角箱状のインナーケース20内に、複数の扁平状の濃淡バーナ22,22・・を左右方向に並設したバーナユニット21を組み付けている。
インナーケース20は、図3及び図4にも示すように、上面及び前面を開口したケース本体23と、ケース本体23の前面に組み付けられる前壁24とを有する金属製(例えばアルミメッキ鋼板)で、バーナユニット21は、前後の内板25と支持板26とを介してケース本体23に固定される。
まず、ケース本体23は、後壁部30と、後壁部30の左右端から前側に折曲される左右の側壁部31,31と、後壁部30と側壁部31,31とに取り付けられて下面を閉塞する底壁部32と、後壁部30に取り付けられる過熱防止板33とからなる。
【0012】
後壁部30の上端と側壁部31,31の上端とには、全長に亘って横断面L字状の立ち上げ部34,34・・が上向きに折曲形成されており、各立ち上げ部34には、所定間隔をおいて複数のかしめ片35,35・・が形成されている。
また、側壁部31,31の前端には、前壁24及びガス供給ユニット6のネジ止め用のネジ孔を形成した固定片36,36がそれぞれ外向きに折曲形成されている。
さらに、底壁部32には、給気ファン7が接続される透孔37が形成されている。
【0013】
過熱防止板33は、後壁部30の上側部分を覆う横長矩形状の金属板(例えばステンレス板)で、上辺寄り及び下辺寄りの部位には、左右方向に等間隔をおいて3つの円形のボス部38,38・・及びボス部39,39・・が後ろ向きに突設されている。ここでは上側のボス部38の方が下側のボス部39よりも大径となっており、上側の左右両端のボス部38,38は、リベット40,40によって後壁部30に結合されている。
よって、過熱防止板33は、図5に示すように、各ボス部38,39を後壁部30の内面30aに当接させて内面30aとの間に隙間Sを生じさせた状態で、左右2つのリベット40,40によって後壁部30に吊り下げ支持される。
この過熱防止板33の下方で後壁部30には、左右方向に延びる横長矩形状の膨出部41が後ろ向きに突設されている。
【0014】
支持板26は、後壁部30の内面30aに沿って設けられる横長矩形状の背板部42と、背板部42の左右両端から前向きに折曲される一対の横板部43,43とを有する平面視コ字状となっている。背板部42には、膨出部41に前方から嵌合する同形状の嵌合部44が後ろ向きに突設されて、背板部42の上下端縁には、バーナユニット21の各濃淡バーナ22の間に係合する複数の支持片45,45・・が、左右方向に等間隔でそれぞれ前向きに折曲形成されている。また、背板部42の上端縁で各支持片45の間には、下向きにスリット46,46・・が切り込み形成されている。
横板部43は、バーナユニット21が収まる左右幅を有して側壁部31,31の内側で側壁部31と平行に延びている。但し、中間部位では外向きに折曲されて左右の間隔が広がった後、前向きに折曲されて、前半部位が側壁部31,31の内面に当接した状態となっている。横板部43,43の前端には、ネジ孔を備えた取付片47,47が内側へ折曲形成されている。
【0015】
この支持板26は、図5及び図6に示すように、嵌合部44が膨出部41に嵌合する位置で後壁部30にリベット48,48により取り付けられる。この取り付け状態では、支持板26の上部が過熱防止板33の下部に前方から重なり、過熱防止板33の下部を後壁部30側へ押し付けて固定することになる。このとき支持板26の各スリット46は、過熱防止板33の下端よりも下方に延びて、後壁部30の内面30aと過熱防止板33との間に生じる隙間Sと連通するようになっている。
【0016】
バーナユニット21の各濃淡バーナ22は、前方に開口して燃料ガス及び一次空気が導入される下側の淡側導入口50と、上側の濃側導入口51と、その下流側で内部が導入口毎に分離される混合部52と、混合部52の上端に開口し、中央の淡炎孔及びその左右両側の濃炎孔からなる炎孔部53とを有する。この濃淡バーナ22を左右方向に重ねた状態でバーナユニット21の全体は、略直方体形状となっている。
【0017】
内板25は、バーナユニット21の下側に位置する下板部60と、バーナユニット21の前側に位置する前板部61とを有する側面視L字状で、下板部60には、複数の小孔62,62・・が前後左右に所定間隔で形成されている。下板部60の前端には、下向きにネジ止め片63が折曲形成されて、図4,5及び図7に示すように、後壁部30に前方から左右2つのネジ64,64によってネジ止めされる。下板部60の左右両端縁には、側壁部31,31の内面に当接する下折り曲げ片65,65が下向きに形成されている。
前板部61は、上端縁に、バーナユニット21の各濃淡バーナ22の間に係合する複数の支持片66,66が、左右方向に等間隔でそれぞれ後ろ向きに折曲形成されている。また、支持片66の下方には、各濃淡バーナ22の淡側導入口50と濃側導入口51とにそれぞれ対応して、長円状のバーリング孔である下側の淡ガス供給孔67と、円形状のバーリング孔である上側の濃ガス供給孔68とが左右方向に並設されている。さらに、前板部61の左右には、側壁部31,31の内面に当接する前折り曲げ片69,69が前向きに形成されて、各前折り曲げ片69の内側で前板部61の背面に当接する支持板26の左右の取付片47,47を、前方からネジ70,70によってネジ止めしている。
【0018】
前壁24は、ケース本体23の前面上半分を覆う横長矩形状を有し、裏面には、図8に示すように、前側過熱防止板75がリベット止めされている。前壁24の上端縁には、全長に亘って横断面L字状の立ち上げ部76が上向きに折曲形成されて、立ち上げ部76には、所定間隔をおいて複数のかしめ片77,77・・が形成されている。
また、前壁24には、点火用の放電電極78の取付孔79と、炎検出用電極としてのフレームロッド80の取付孔81と、覗き窓82用の透孔83とが左右方向に所定間隔をおいて形成されている。ここでの放電電極78とフレームロッド80とは、取付孔79,81を介して前壁24の後方へそれぞれ突出した状態で、前壁24に前方からネジ止めされる抑え板84と前壁24との間でそれぞれのフランジ78aと80aとが挟持されることで取り付けられる。覗き窓82も前壁24に前方からネジ止めされる。
【0019】
ここで、前壁24の前面には、図3,4に示すように、正面視で抑え板84の右下角部の下側に対応する左右方向の第1ビード部85と、抑え板84の左上角部の上側に対応する左右方向の第2ビード部86とが設けられている。また、第1ビード部85には、抑え板84の右下角部の横側に対応する上下方向の第1副ビード部87が一体に形成されている。
同様に、前壁24の前面には、正面視で覗き窓82の右下角部の下側に対応する左右方向の第3ビード部88と、覗き窓82の左上角部の上側及び横側に対応する逆L字状の第4ビード部89とが突設されている。
よって、放電電極78とフレームロッド80とを取り付ける際、抑え板84の右下角部を第1ビード部85と第1副ビード部87との内側に、左上角部を第2ビード部86の下側にそれぞれ当接させて抑え板84を位置決めすることができる。この状態でネジ止めを行えば、第1ビード部85及び第2ビード部86、第1副ビード部87とによって抑え板84が回り止めされ、位置ズレすることなく迅速にネジ止め可能となる。これは覗き窓82においても同様で、第3ビード部88と第4ビード部89とによって位置決めされる。
こうして放電電極78とフレームロッド80、覗き窓82が取り付けられた前壁24は、図9に示すように、左右両端の上側が、ケース本体23の側壁部31,31に設けた固定片36,36に、前方からネジ90,90によってネジ止めされる。
【0020】
以上の如く構成された給湯器1において、燃焼装置3を組み立てる際、まず、過熱防止板33をリベット40,40で吊り下げ支持したケース本体23に、支持板26を前方から差し入れて、嵌合部44を後壁部30の膨出部41に嵌合させた位置で前方からリベット48,48により取り付ける(第1工程)。但し、リベット止めでなく支持板26は後壁部30にネジ止めしてもよい。
この支持板26の取り付けにより、前述のように過熱防止板33は、その下部が支持板26の上部によって前方から後壁部30に押し付けられて固定される。この状態で後壁部30の内面30aと過熱防止板33との間の隙間Sは、支持板26の各スリット46を介してケース本体23内と連通し、ケース本体23内の空気は隙間Sを通過可能となる。
【0021】
次に、バーナユニット21を、支持板26の前方から両横板部43,43の間に差し入れて、支持板26の上下の支持片45,45をバーナユニット21の後部で各濃淡バーナ22の間にそれぞれ係合させて支持させる(第2工程)。
この状態で内板25を、下板部60をバーナユニット21の下側にして前方から差し入れて、ネジ止め片63を後壁部30に前方からネジ64でネジ止めする。また、前板部61の上端の支持片66をバーナユニット21の前部で各濃淡バーナ22の間にそれぞれ係合させると共に、各濃淡バーナ22の淡側導入口50と濃側導入口51との位置に淡ガス供給孔67と濃ガス供給孔68とをそれぞれ合わせる。こうして位置決めした後、前板部61の左右両端を支持板26の横板部43,43に設けた取付片47,47に前方からネジ70によってネジ止めする(第3工程)。
【0022】
そして、放電電極78及びフレームロッド80、覗き窓82を取り付けた前壁24を、前板部61に前方からあてがい、前壁24の左右両端をケース本体23の側壁部31,31に設けた固定片36,36に前方からネジ90によってネジ止めする(第4工程)。
すると、図2のように燃焼装置3の組み付けは完了する。この状態でケース本体23の底壁部32と内板25の下板部60との間には、給気ファン7と連通する給気室27が形成される。下板部60は、給気室27から上方へ供給される燃焼用空気を小孔62を介して整流し、各濃淡バーナ22へ均等に分配する整流板として機能する。
この燃焼装置3の前面に、前壁24の下部と固定片36,36、底壁部32とに跨がってガス供給ユニット6を前方からネジ止めし、燃焼装置3の下面に給気ファン7を取り付ける。そして、インナーケース20の上側に、排気フード5を組み付けた熱交換器4のケーシングを、ケース本体23及び前壁24に設けたかしめ片35,77によりかしめ結合して筐体2内に収容し、各配管及び配線を取り付ければ、図1のように給湯器1の組み立ては完了する。
【0023】
よって、湯出口13の配管に接続される給湯栓を開栓して器具内に通水させると、これを検知したコントローラ8がガス管14のガス流路を開いてガス供給ユニット6から燃料ガスを供給させると共に、給気ファン7を作動させて燃焼用空気を供給させる。よって、ガス供給ユニット6から供給される燃料ガスは、各淡ガス供給孔67及び濃ガス供給孔68から一次空気と共に各淡側導入口50及び濃側導入口51を介して各濃淡バーナ22に供給される。そして、コントローラ8により放電電極78が連続放電すると、各濃淡バーナ22の炎孔部53から噴出する混合気が燃焼する。バーナユニット21の燃焼排気は、給水管15から熱交換器4の伝熱管9を通過する水と熱交換され、設定温度の湯となって出湯管16から出湯される。
このとき、燃焼装置3では、支持板26の各スリット46を介してインナーケース20内の空気が後壁部30の内面30aと過熱防止板33との間の隙間Sに導かれるため、インナーケース20の後壁部30の過熱が防止される。
【0024】
(支持板及び過熱防止板の取り付け構造の発明に係る効果)
このように、上記形態の給湯器1によれば、過熱防止板33の上下部位には、後方へ突出して取り付け状態で過熱防止板33と内面30aとの間に隙間Sを生じさせる複数のボス部38,39が形成されて、上側のボス部38のみが内面30aに取り付けられており、支持板26は、その上部が過熱防止板33の下部に前方から重なる位置で内面30aに取り付けられているので、支持板26を利用して少ない工数や部品点数でインナーケース20に過熱防止板33が組み付け可能となり、コストアップを低減することができる。また、過熱防止板33を上側のボス部38のみで取り付けても、支持板26の上部を過熱防止板33の下部に前方から重ねて固定しているため、過熱防止板33が後壁部30から前方へ浮いたりがたついたりすることを効果的に防止可能となる。
【0025】
特にここでは、後壁部30における支持板26の取り付け領域には、後方へ突出する膨出部41が形成されている一方、支持板26には、後方へ突出して取り付け位置で膨出部41と嵌合する嵌合部44が形成されているので、支持板26の位置ズレを防止して過熱防止板33を確実に固定することができる。
また、支持板26の上端には、過熱防止板33との重合部を越える位置まで下向きに延びる複数のスリット46が設けられているので、支持板26によって過熱防止板33を押圧しつつ、後壁部30の内面30aと過熱防止板33との隙間Sにインナーケース20内の空気を好適に導くことができる。
【0026】
なお、支持板及び過熱防止板の取り付け構造に係る発明において、過熱防止板に設けるボス部や、後壁部の膨出部及び支持板の嵌合部の数や形状は上記形態に限らず、ボス部を長円形や突条とする等、適宜変更可能である。過熱防止板をリベットでなく後壁部にネジ止めしてもよい。
また、後壁部の膨出部と支持板の嵌合部とを後方でなく前方へ突出させて支持板の位置決めを行うこともできる。膨出部と嵌合部とは同じ形状とせず、例えば嵌合部を膨出部の内側に嵌合する枠状やリブ等としてもよい。膨出部と嵌合部とを省略することもできる。
【0027】
(前壁のビード部の発明に係る効果)
このように、上記形態の給湯器1によれば、前壁24の前面には、正面視で抑え板84の右下側に当接する第1ビード部85と、抑え板84の左上側に当接する第2ビード部86とが形成されているので、抑え板84を位置ズレさせることなく放電電極78とフレームロッド80とを簡単に取り付けることができる。
特にここでは、第1ビード部85は、抑え板84の右横側に当接する第1副ビード部87をさらに備えるので、抑え板84の位置決めがさらに容易になると共に、位置ズレの防止により効果的となる。
【0028】
また、ケース本体23の上端と前壁24の上端とにはかしめ片35,77がそれぞれ形成されて、前壁24の取り付け状態では、ケース本体23と前壁24とのかしめ片35,77が、インナーケース20の上端全周に亘って所定間隔で配置されることで、前壁24を利用して熱交換器4のケーシングとかしめ結合でき、製造コストの低減に繋がる。
【0029】
なお、前壁のビード部に係る発明において、各ビード部の長さや幅等は上記形態に限らず、適宜変更可能で、例えば第1ビード部と第1副ビード部とは別々に設けてもよい。また、抑え板と覗き窓との間にスペースがあれば、第2ビード部にも抑え板の左横側に当接する第2副ビード部を設けることもできる。このように第2副ビード部を設ければ、抑え板の位置決めがさらに容易に行える。
さらに、放電電極とフレームロッドとの位置は上記形態に限らず、バーナユニットの形態に合わせて適宜変更できる。左右逆に配置してもよい。
【0030】
(給湯器及びその製造方法に係る発明の効果)
このように、上記形態の給湯器1では、インナーケース20は、後壁部30及び左右の側壁部31とを備えたケース本体23と、後壁部30に前方から重ねて固定され、バーナユニット21の後端を支持する支持片45(後側支持片)を前向きに形成した支持板26と、バーナユニット21の下側に位置する下板部60と、下板部60の前端から上向きに延設されてバーナユニット21の前側に位置する前板部61とからなり、下板部60には、バーナユニット21に下方から供給される燃焼用空気を整流する複数の小孔62(孔)が形成され、前板部61には、各濃淡バーナ22(バーナ)に設けられた燃料ガスの淡側導入口50及び濃側導入口51(導入口)にそれぞれ前方から重なる複数の淡ガス供給孔67及び濃ガス供給孔68(供給孔)が形成されると共に、バーナユニット21の前端を支持する支持片66(前側支持片)が後ろ向きに形成される内板25と、支持板26、バーナユニット21、内板25が組み付けられている状態でケース本体23に前方から組み付けられる前壁24と、を含んでなる。
【0031】
これにより、給湯器1の製造に際しては、ケース本体23に支持板26を前方から差し入れて後壁部30に固定する第1工程と、ケース本体23にバーナユニット21を前方から差し入れて後端を支持板26の支持片45に支持させる第2工程と、ケース本体23に内板25を前方から差し入れて、下板部60をバーナユニット21の下側で後壁部30に前方からネジ止めすると共に、前板部61の支持片66でバーナユニット21の前端を支持させて各淡ガス供給孔67及び濃ガス供給孔68を各淡側導入口50及び濃側導入口51にそれぞれ前方から位置合わせする第3工程と、ケース本体23に前壁24を前方からネジ止めする第4工程と、を含んでなる手順で製造できる。
よって、バーナユニット21の先組み工程を省略でき、組み付けに係る作業工程を削減可能となる。また、全ての工程が前方から行えるので、自動組み付けも容易となり、生産性を向上させることができる。
【0032】
なお、給湯器の製造に係る発明において、支持板や内板の構造は上記形態に限らず、例えば支持板の横板部を内板の前板部にネジ止めせずに係止させてもよいし、支持板の横板部自体を省略して、前板部をケース本体の側壁部に係止させたりネジ止めしたりしてもよい。各ネジの位置や数も適宜変更可能である。
【0033】
そして、各発明に共通して、給湯器自体の構成は上記形態に限らず、副熱交換器を備えた潜熱回収型であったり、排気フードが筐体から上向きに突出する排気筒を備えるものであったり、バーナユニットの各バーナが濃淡バーナでなく、導入口及び供給孔がそれぞれ1つずつ設けられるものであったりしても、上記各発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1・・給湯器、2・・筐体、3・・燃焼装置、4・・熱交換器、6・・ガス供給ユニット、7・・給気ファン、8・・コントローラ、20・・インナーケース、21・・バーナユニット、22・・濃淡バーナ、23・・ケース本体、24・・前壁、25・・内板、26・・支持板、30・・後壁部、30a・・内面、31・・側壁部、32・・底壁部、33・・過熱防止板、34,76・・立ち上げ部、35,77・・かしめ片、38,39・・ボス部、41・・膨出部、42・・背板部、43・・横板部、44・・嵌合部、46・・スリット、60・・下板部、61・・前板部、64,70,90・・ネジ、78・・放電電極、80・・フレームロッド、84・・抑え板、85・・第1ビード部、86・・第2ビード部、87・・副ビード部、S・・隙間。
図1
図2
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図5
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図8
図9