(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】中空構造体
(51)【国際特許分類】
B32B 3/12 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
B32B3/12 B
(21)【出願番号】P 2018200195
(22)【出願日】2018-10-24
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】堀 誠斗
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-066914(JP,A)
【文献】特開平10-109299(JP,A)
【文献】登録実用新案第3160687(JP,U)
【文献】特開2015-047653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に並設された複数のセルを閉塞する閉塞壁を備え、
前記閉塞壁には、前記セルの内外を連通する連通孔が形成され、
前記連通孔の周縁の少なくとも一部には、前記閉塞壁が前記周縁の形状に沿って切断された切断縁が形成されて
おり、
前記連通孔は、その周縁の全部に前記切断縁が形成されている第1の連通孔と、その周縁の一部に前記切断縁が形成されているとともに前記切断縁が形成された部分以外には前記閉塞壁が前記セルの内方に向かって曲げられた曲がり部が形成されている第2の連通孔とを有していることを特徴とする中空構造体。
【請求項2】
内部に並設された複数のセルを閉塞する閉塞壁を備え、
前記閉塞壁には、前記セルの内外を連通する連通孔が形成され、
前記連通孔には、その周縁の一部に前記閉塞壁が切断された切断縁が形成されているとともに前記切断縁が形成された部分以外には前記閉塞壁が前記セルの内方に向かって曲げられた曲がり部が形成されていることを特徴とする中空構造体。
【請求項3】
内部に複数のセルが並設された中空板材の少なくとも一方の主面にスキン層が積層されて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の中空構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に複数のセルが並設され、セルの内外を連通させる連通孔が形成された中空構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
中空構造体は軽量でありながら適度な強度を備えているため、各種車両の構成部材や建材等に使用する場合がある。また、こうした中空構造体に何らかの機能を付加して、その汎用性を向上させようとする試みが行われている。特許文献1には、内部に複数のセルが立設された中空構造体の上面に複数の連通孔を形成し、吸音性能を向上させた中空構造体に係る発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される中空構造体では、連通孔は、複数のセルを閉塞する閉塞壁に対して、上方から断面円形状で先鋭状の針状部材を貫通させることによって形成されている。針状部材は閉塞壁を貫通する際、その先端で中空構造体の閉塞壁を突き破り、閉塞壁を押し広げながら徐々にセル内方へ進んでいく。これにより、閉塞壁には所定の大きさの連通孔が形成される。
【0005】
ところで、こうして連通孔が形成された中空構造体では、上方への反りが発生しやすくなる。これは、針状部材が閉塞壁を押し広げようとする際に横方向への応力が掛かり、閉塞壁には、その応力を逃がそうとする力が働くためであると考えられる。中空構造体の上方への反りが発生すると、その反りを解消して平坦にするための工程が別途必要となる。
【0006】
本発明は、従来のこうした問題を解決するためになされたものであり、その目的は、反りにくい中空構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、内部に並設された複数のセルを閉塞する閉塞壁を備え、前記閉塞壁には、前記セルの内外を連通する連通孔が形成され、前記連通孔の周縁の少なくとも一部には、前記閉塞壁が前記周縁の形状に沿って切断された切断縁が形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、連通孔の周縁の少なくとも一部では、閉塞壁が連通孔の周縁の形状に沿って切断された切断縁が形成されている。そのため、閉塞壁に連通孔を形成する際に、閉塞壁に対して押し広げようとする横方向への応力が掛かりにくく、また、応力が掛かったとしても閉塞壁が切断されることにより逃がされる。これにより、中空構造体の上方への反りが抑制され、反りにくい中空構造体が得られる。
【0009】
上記の構成において、前記連通孔は、その周縁の全部に前記切断縁が形成されている第1の連通孔と、その周縁の一部に前記切断縁が形成されているとともに前記切断縁が形成された部分以外には前記閉塞壁が前記セルの内方に向かって曲げられた曲がり部が形成されている第2の連通孔とを有していることが好ましい。
【0010】
上記の構成において、内部に複数のセルが並設された中空板材の少なくとも一方の主面にスキン層が積層されて形成されていることが好ましい。
上記課題を解決するため、本発明は、上記の中空構造体に連通孔を形成するための貫通治具であって、長尺状に形成され、その先端には、周面の少なくとも一部に沿って延びる切断刃が形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記の発明によれば、貫通治具は、先端に形成された切断刃によって閉塞壁を切断しながら連通孔を形成することができる。そのため、貫通治具が閉塞壁を通過する際に、閉塞壁に対して押し広げようとする横方向への応力が掛かりにくい。また、横方向への応力が掛かったとしても、貫通治具が閉塞壁を切断していくことにより逃がされる。閉塞壁に横方向への応力が蓄積されにくく、応力を逃がそうとする力が働きにくい。これにより、中空構造体の上方への反りが抑制され、反りにくい中空構造体が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、反りにくい中空構造体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は中空構造体の斜視図、(b)は(a)におけるβ-β線断面図、(c)は(a)におけるγ-γ線断面図。
【
図3】(a)は中空構造体のコア層を構成するシート材の斜視図、(b)は同シート材の折り畳み途中の状態を示す斜視図、(c)は同シート材を折り畳んだ状態を示す斜視図。
【
図4】(a)~(c)は、連通孔成形工程における中空構造体の断面図。
【
図5】(a)は貫通治具の先端部の拡大斜視図、(b)は貫通治具の先端部の正面図。
【
図6】(a)、(b)は貫通治具の変更例について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した中空構造体10を
図1に従って説明する。
図1(a)に示すように、本実施形態の中空構造体10は、内部に複数のセルSが並設された中空板材としてのコア層20と、コア層20の主面20aに接合されたシート状のスキン層30と、コア層20の主面20bに接合されたシート状のスキン層40とで構成されている。本実施形態のコア層20及びスキン層30、40は、熱可塑性樹脂製とされている。
【0015】
コア層20を構成する熱可塑性樹脂は、従来周知の熱可塑性樹脂であればよく、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。本実施形態のコア層20はポリプロピレン樹脂製とされている。また、スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂も、従来周知の熱可塑性樹脂であればよい。スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂は、コア層20と同じ材質の熱可塑性樹脂であることが好ましい。本実施形態のスキン層30、40はポリプロピレン樹脂製とされている。
【0016】
中空構造体10におけるスキン層30側の表面には、セルSの内外を連通させる複数の連通孔15が形成されている。本実施形態の連通孔15は、上面視円形状に形成されている。各連通孔15の大きさは特に限定されないが、例えば、連通孔15の開孔径(直径)が、0.5~4.0mm程度であることが好ましく、0.5~2.0mm程度であることがより好ましい。また、隣り合う連通孔15の間隔は、隣り合うセルSの中心同士の間隔とほぼ同一となっており、その結果、各セルSには連通孔15が1箇所ずつ形成されている。
【0017】
図1(b)及び
図1(c)に示すように、コア層20は、所定形状に成形された1枚の熱可塑性樹脂製のシート材を折り畳んで形成されている。そして、コア層20は、コア層20の厚み方向に立設されてセルSを区画する側壁部23と、側壁部23の上端縁に設けられてコア層20の主面20aを形成する主面壁部としての上壁部21と、側壁部23の下端縁に設けられてコア層20の主面20bを形成する主面壁部としての下壁部22とで構成されている。
【0018】
セルSの大きさは、特に限定されないが、例えば、セルSの断面形状である正六角形の対向する辺の間の長さが、5~20mm程度であることが好ましい。また、中空構造体10の厚み方向におけるセルSの高さは、例えば、5~40mm程度であることが好ましく、10~30mm程度であることがより好ましい。
【0019】
図1(b)及び
図1(c)に示すように、コア層20の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第1セルS1及び第2セルS2が存在する。
図1(b)に示すように、第1セルS1においては、側壁部23の上端縁に2層構造の上壁部21が設けられている。この2層構造の上壁部21の各層は互いに接合されている。また、第1セルS1においては、側壁部23の下端縁に1層構造の下壁部22が設けられている。一方、
図1(c)に示すように、第2セルS2においては、側壁部23の上端縁に1層構造の上壁部21が設けられている。また、第2セルS2においては、側壁部23の下端縁に2層構造の下壁部22が設けられている。この2層構造の下壁部22の各層は互いに接合されている。また、
図1(b)及び
図1(c)に示すように、隣接する第1セルS1同士の間、及び隣接する第2セルS2同士の間は、それぞれ2層構造の側壁部23によって区画されている。
【0020】
図1(a)に示すように、第1セルS1はX方向に沿って列を成すように並設されていて、上面視した場合に、隣り合う2つの第1セルS1が六角形の1辺を共有している。同様に、第2セルS2はX方向に沿って列を成すように並設されていて、上面視した場合に、隣り合う2つの第2セルS2が六角形の1辺を共有している。第1セルS1の列及び第2セルS2の列は、X方向に直交するY方向において交互に配列されている。そして、これら第1セルS1及び第2セルS2により、コア層20は、全体としてハニカム構造をなしている。
【0021】
図1(a)~
図1(c)に示すように、上記のように構成されたコア層20の主面20a、20bにスキン層30、40が接合されて中空構造体10が構成されている。コア層20における側壁部23の上端縁には、コア層20の上壁部21及びスキン層30が設けられてセルSが閉塞されている。したがって、コア層20の上壁部21とスキン層30とで、セルSの上部を閉塞する閉塞壁が構成されている。同様に、コア層20における側壁部23の下端縁には、コア層20の下壁部22及びスキン層40が設けられてセルSが閉塞されている。したがって、コア層20の下壁部22とスキン層40とで、セルSの下部を閉塞する閉塞壁が構成されている。なお、
図1(b)、
図1(c)及び
図4以外の図では、上壁部21及び下壁部22をすべて1層構造として示している。
【0022】
図1(b)及び
図1(c)に示すように、複数の連通孔15は、中空構造体10におけるスキン層30側に設けられている。
図1(b)に示すように、第1セルS1において連通孔15は、スキン層30及び2層構造の上壁部21で構成された閉塞壁を貫通するように設けられている。また、
図1(c)に示すように、第2セルS2において連通孔15は、スキン層30及び1層構造の上壁部21で構成された閉塞壁を貫通するように設けられている。すなわち、連通孔15は、各セルSの閉塞壁のうち、セルSの上部を閉塞する閉塞壁を貫通するように設けられており、スキン層30に設けられた連通部35と上壁部21に設けられた連通部25とが連続した形状に形成されている。
【0023】
図2に示すように、連通孔15には、その周縁の形態が異なる2種類のものが存在している。
図2(a)に示すように、第1の連通孔15aは、セルSを閉塞する閉塞壁が後述する貫通治具60によって上面視円形状に打ち抜かれて切断されることにより形成されており、連通孔15aの全周縁には閉塞壁が連通孔15aの周縁の形状に沿って切断された切断縁16aが形成されている。第1の連通孔15aのうち、スキン層30の連通部35には、スキン層30が切断されてなる切断縁35aが形成され、上壁部21の連通部25には、上壁部21が切断されてなる切断縁25aが形成されている。つまり、第1の連通孔15aは、周縁の全周が切断縁35a及び切断縁25aが連続した形状の切断縁16aで形成されている。第1の連通孔15aが形成されたセルSでは、閉塞壁が打ち抜かれることにより切断された閉塞壁からなる切断片がセルS内に残存している。
【0024】
図2(b)に示すように、第2の連通孔15bは、上面視円形状の周縁の一部に、セルSを閉塞する閉塞壁が切断された切断縁16bが形成されている。第2の連通孔15bの切断縁16bは、第1の連通孔15aと同様、上壁部21が切断されてなる切断縁25bとスキン層30が切断されてなる切断縁35bが連続した形状に形成されている。一方、第2の連通孔15bにおいて切断縁16bが形成されていない部分では、切断された閉塞壁がセルSの内方に向かって曲げられた曲がり部17が形成されている。曲がり部17は、スキン層30及び上壁部21が貫通治具60によって切断されるとともにセルSの内方に向かって押されることにより形成されており、スキン層30と上壁部21が一体になっている。
【0025】
また、
図2(c)に示すように、第2の連通孔15bには、切断縁16bが複数個所に形成されたものや、曲がり部17が複数形成されたものも存在する。ここでは、少なくとも1箇所に曲がり部17が形成されたものを第2の連通孔15bといい、曲がり部17が形成されずに連通孔15の全周に亘って切断縁16aが形成されたものを第1の連通孔15aというものとする。第2の連通孔15bが形成されたセルSでは、切断された閉塞壁の一部である切断片がセルS内に残存しているものと、切断片がセルS内に残存していないものが混在している。
【0026】
なお、
図1(b)及び
図1(c)では、隣接するセルSに、周縁の形態が異なる第1の連通孔15a及び第2の連通孔15bが形成された様子を示している。
図1(b)及び
図1(c)の左側のセルSに形成された連通孔15aは、
図2(a)に示す第1の連通孔15aに対応する。
図1(b)及び
図1(c)の真ん中のセルSに形成された連通孔15bは、
図2(b)に示す第2の連通孔15bに対応し、
図1(b)及び
図1(c)の右側のセルSに形成された連通孔15bは、
図2(c)に示す第2の連通孔15bに対応する。実際には、第1の連通孔15aと第2の連通孔15bがこうした配列で並設されるとは限らないが、後述する貫通孔成形工程での説明の便宜上、
図1(b)及び
図1(c)では、
図4に示す貫通治具60によって形成された連通孔15の例として示している。なお、
図1(a)では、すべての連通孔15を第1の連通孔15aの形状で示しているが、実際には、貫設された連通孔15の中には、第1の連通孔15aだけでなく、第2の連通孔15bもが混在している。
【0027】
次に、中空構造体10を製造する方法を、
図3~
図5に従って説明する。
中空構造体10を製造する方法は、折り畳み工程と、スキン層接合工程と、連通孔成形工程とからなる。折り畳み工程は、所定の凹凸形状に真空形成されたシート材を折り畳み成形して中空板材としてのコア層20を形成する工程である。スキン層接合工程は、コア層20の主面20a、20bにスキン層30、40を接合して中間体50を形成する工程である。連通孔成形工程は、中間体50におけるスキン層30側の面に、セルSの内外を連通させるように連通孔15を形成する工程である。
【0028】
まず、折り畳み工程について
図3に従って説明する。
図3(a)に示すように、第1シート材100は、塑性を有する1枚の熱可塑性樹脂製(ポリプロピレン樹脂製)のシートを所定の形状に成形することにより形成されている。第1シート材100には、帯状をなす平面領域110及び膨出領域120が、第1シート材100の長手方向(X方向)に交互に配置されている。膨出領域120には、上面と一対の側面とからなる断面下向溝状をなす第1膨出部121が膨出領域120の延びる方向(Y方向)の全体にわたって形成されている。なお、第1膨出部121の上面と側面とのなす角は90度であることが好ましく、その結果として、第1膨出部121の断面形状は下向コ字状となる。また、第1膨出部121の幅(上面の短手方向の長さ)は平面領域110の幅と等しく、かつ第1膨出部121の膨出高さ(側面の短手方向の長さ)の2倍の長さとなるように設定されている。
【0029】
また、膨出領域120には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部122が、第1膨出部121に直交するように形成されている。第2膨出部122の膨出高さは第1膨出部121の膨出高さと等しくなるように設定されている。また、隣り合う第2膨出部122間の間隔は、第2膨出部122の上面の幅と等しくなっている。
【0030】
なお、こうした第1膨出部121及び第2膨出部122は、塑性を利用してシートを部分的に上方に膨出させることにより形成されている。また、第1シート材100は、真空成形法や圧縮成形法等の周知の成形方法によって1枚のシートから成形することができる。
【0031】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、上述のように構成された第1シート材100を、境界線P、Qに沿って折り畳むことでコア層20が形成される。具体的には、第1シート材100を、平面領域110と膨出領域120との境界線Pにて谷折りするとともに、第1膨出部121の上面と側面との境界線Qにて山折りしてX方向に圧縮する。そして、
図3(b)及び
図3(c)に示すように、第1膨出部121の上面と側面とが折り重なるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なることによって、一つの膨出領域120に対して一つのY方向に延びる角柱状の区画体130が形成される。こうした区画体130がX方向に連続して形成されていくことにより中空板状のコア層20が形成される。なお、この実施形態では、第1シート材100を折り畳むために圧縮する方向が、セルSが並設される方向(X方向)である。
【0032】
上記のように第1シート材100を圧縮するとき、第1膨出部121の上面と側面とによってコア層20の上壁部21が形成されるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とによってコア層20の下壁部22が形成される。なお、
図3(c)に示すように、上壁部21における第1膨出部121の上面と側面とが折り重なって2層構造を形成する部分、及び下壁部22における第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なって2層構造を形成する部分がそれぞれ重ね合わせ部131となる。
【0033】
また、第2膨出部122が折り畳まれて区画形成される六角柱形状の領域が第2セルS2となるとともに、隣り合う一対の区画体130間に区画形成される六角柱形状の領域が第1セルS1となる。本実施形態では、第2膨出部122の上面及び側面が第2セルS2の側壁部23を構成するとともに、第2膨出部122の側面と、膨出領域120における第2膨出部122間に位置する平面部分とが第1セルS1の側壁部23を構成する。そして、第2膨出部122の上面同士の当接部位、及び膨出領域120における上記平面部分同士の当接部位が2層構造をなす側壁部23となる。また、第1セルS1では、一対の重ね合わせ部131によってその上部が区画され、第2セルS2では、一対の重ね合わせ部131によってその下部が区画されている。なお、こうした折り畳み工程を実施するに際して、第1シート材100を加熱処理して軟化させた状態としておくことが好ましい。
【0034】
次に、スキン層接合工程について説明する。
図4(a)に示すように、折り畳み工程によって得られたコア層20の主面20a、20bには、それぞれ熱可塑性樹脂製の第2シート材200が熱溶着により接合されることにより中間体50が形成される。コア層20に接合される第2シート材200は、コア層20を形成する第1シート材100より厚く形成されている。
【0035】
コア層20の主面20aに接合された第2シート材200はスキン層30となり、コア層20の上壁部21とともに側壁部23の上端縁に接合されてセルSの上部を閉塞する閉塞壁となる。コア層20の主面20bに接合された第2シート材200は、スキン層40となり、コア層20の下壁部22とともに側壁部23の下端縁に接合されてセルSの下部を閉塞する閉塞壁となる。コア層20の主面20aにスキン層30が接合され、コア層20の主面20bにスキン層40が接合されたものが中間体50である。
【0036】
なお、第2シート材200(スキン層30、40)をコア層20に熱溶着する際には、第1セルS1における2層構造の上壁部21(重ね合せ部131)が互いに熱溶着される。同様に、第2セルS2における2層構造の下壁部22(重ね合せ部131)が互いに熱溶着される。また、第2シート材200の熱溶着によるコア層20の熱収縮により、コア層20における2層構造の上壁部21及び2層構造の下壁部22には、部分的に開口部が形成されることがある。
【0037】
次に、連通孔成形工程について
図4及び
図5に従って説明する。
折り畳み工程及びスキン層接合工程によって得られた中間体50は、その後、貫通治具60を用いた連通孔成形工程に供される。
【0038】
先ず、貫通治具60について説明する。
図5(a)に示すように、貫通治具60は径方向断面が円形状とされた中実長尺状をなしている。
図5(b)に示すように、その先端部は、円形状の断面の中心線に対して対称となるように、先端縁から基端側に向かって切り欠かれた形状をなしている。これにより、貫通治具60の先端縁には、断面の中心線に対して対向する位置に、先端ほど細くなることによって形成された切断刃61が設けられている。
【0039】
また、貫通治具60としては、
図6(a)、(b)に示すような形状のものを使用することができる。例えば、
図6(a)に示す貫通治具60は、一方の周面側から対向する周面側に切り欠かれた形状とされて、先端縁の1箇所に切断刃61が形成されている。また、
図6(b)に示す貫通治具60は、
図5に示す貫通治具60と同様、対向する位置に切断刃61が形成されており、切断刃61が形成されていない対向面には、軸方向に延びる溝62が形成されている。
【0040】
図4(a)に示すように、貫通治具60は、セルSが並設された方向であるX方向(
図4において左右方向)に複数配列されている。X方向に隣り合う各貫通治具60の間隔は、X方向に隣り合うセルSの中心同士の間隔とほぼ同一とされている。なお、実際の貫通孔成形工程では、先端形状が同じ貫通治具60が複数配列された状態で行うが、説明の便宜上、
図4では、
図5及び
図6に示す貫通治具60がそれぞれ配列された状態を示している。具体的には、
図4(a)に示す左側のセルSの位置には
図5に示す貫通治具60が配置され、真ん中のセルSの位置には
図6(a)に示す貫通治具60が配置され、右側のセルSの位置には
図6(b)に示す貫通治具60が配置された状態を示している。
【0041】
連通孔成形工程では、先ず、
図4(a)に示すように、各貫通治具60の下方側に、中間体50を配置して固定する。そして、
図4(b)に示すように、各貫通治具60を下降移動させ、スキン層30及びコア層20の上壁部21(閉塞壁)を貫通させる。このとき、各貫通治具60の先端縁に形成された切断刃61により閉塞壁が切断される。
【0042】
各貫通治具60が閉塞壁を貫通した後、
図4(c)に示すように、各貫通治具60を上昇移動させて中空構造体10から各貫通治具60を抜き取る。この一連の連通孔成形工程により、中空構造体10の上面側における各セルSの閉塞壁(スキン層30及びコア層20の上壁部21)に、連通孔15が形成される。
【0043】
図4(c)の左側のセルSに示されるように、
図5に示す貫通治具60は、閉塞壁をほぼ完全に切断する。閉塞壁が連通孔15の形状で完全に切断された部分は、閉塞壁に切断縁16a(25a、35a)が形成された第1の連通孔15aとなる(
図2(a)参照)。
【0044】
一方、
図4(c)の真ん中のセルSに示されるように、
図6(a)に示す貫通治具60は、閉塞壁の一部を切断し、閉塞壁を切断しなかった部分では、閉塞壁が切断されずに繋がった部分をセルS内に押圧する。セル内に押圧された部分は、閉塞壁に対して略直交して下方へ延びるように曲げられる(
図2(b)参照)。同様に、
図4(c)の右側のセルSに示されるように、
図6(b)に示す貫通治具60は、対向する位置に形成された切断刃61で閉塞壁を切断するとともに、対向面に形成された溝62が形成されていることによって閉塞壁の切断を切断することなくセルS内に押圧する。閉塞壁が切断されずにつながった部分はセルS内に押圧される(
図2(c)参照)。このように、閉塞壁の一部が連通孔15の形状で切断され、残りがセルSの内方に押圧されて曲げられた部分は、閉塞壁に切断縁16b(25b、35b)が形成されるとともに曲がり部17が形成された第2の連通孔15bとなる。曲がり部17は、閉塞壁に対して略直交するように下方へ延びている。貫通孔成形工程を経て、第1の連通孔15a及び第2の連通孔15bが貫通形成された中空構造体10が得られる。
【0045】
なお、
図5に示す貫通治具60によって
図4(c)の真ん中や右側のセルSに示されるような第2の連通孔15bが形成されることもある。また、
図6(a)に示す貫通治具60によって
図4(c)の左側のセルSに示されるような第1の連通孔15aや右側のセルSに示されるような第2の連通孔15bが形成されることもある。さらに、
図6(b)に示す貫通治具60によって
図4(c)の左側のセルSに示されるような第1の連通孔15aや真ん中のセルSに示される第2の連通孔15bが形成されることもある。
【0046】
次に、上記実施形態の中空構造体の作用をその効果とともに説明する。
(1)上記実施形態では、中空構造体10の各セルSの閉塞壁(スキン層30及びコア層20の上壁部21)に、セルSの内外を連通させる連通孔15が貫通形成されている。連通孔15は、第1の連通孔15aと第2の連通孔15bを備え、第1の連通孔15aでは閉塞壁が完全に切断されている。また、第2の連通孔15bでは閉塞壁の一部が切断され、残りの部分には切断された閉塞壁がセルSの内方に曲げられた曲がり部17が形成されている。
【0047】
中空構造体に連通孔を形成する場合、例えば、断面円形状で先鋭状の針状部材を閉塞壁に対して貫通させることが考えられる。針状部材は、その先端で中空構造体の閉塞壁を突き破り、その外周面で閉塞壁を押し広げながら徐々にセル内方へ進んでいく。こうして連通孔が形成された中空構造体では、閉塞壁に対して押し広げようとする際に掛かった横方向への応力が蓄積され、その応力を逃がそうとして、中空構造体に上方への反りが発生しやすくなる。
【0048】
この点、上記実施形態の中空構造体10に形成された連通孔15では、第1の連通孔15a及び第2の連通孔15bのいずれにおいても、閉塞壁が切断されてなる切断縁16a、16bが形成されている。そのため、連通孔15a、15bを形成する際には、閉塞壁が切断されることにより、閉塞壁に対して押し広げようとする横方向への応力が掛かりにくい。また、閉塞壁を押し広げようとする横方向への応力が掛かったとしてもそれが蓄積されにくい。中空構造体10の上方への反りが抑制され、反りにくい中空構造体10が得られる。
【0049】
(2)第1の連通孔15aは閉塞壁が完全に切断されて、周縁の全周に切断縁16a(25a、35a)が形成されている。そのため、連通孔15aの開口面積を広く確保することができる。また、第2の連通孔15bは閉塞壁の一部が切断されて、周縁の一部に切断縁16b(25b、35b)が形成されているとともに、曲がり部17が閉塞壁に対して略直交するように下方へ延びている。そのため、連通孔15bを上面視したとき、連通孔15bは上面視円形状の開口形状をなしており、連通孔15の開口面積を広く確保することができる。
【0050】
(3)第1の連通孔15aでは、閉塞壁が切断された切断片がセルSの内部に入り込むが、第2の連通孔15bでは、切断片の発生量が僅かである。第1の連通孔15aと第2の連通孔15bが混在しているため、第1の連通孔15aのみで形成されている場合に比べてセルS内に残存する切断片の発生量が抑制される。
【0051】
(4)上記実施形態の中空構造体10の製造方法では、貫通治具60を使用して連通孔15を形成する。貫通治具60の先端縁には切断刃61が形成されている。そのため、貫通治具60が閉塞壁を貫通する際には、切断刃61によって閉塞壁が容易に切断され、閉塞壁を押し広げようとする横方向への応力が掛かりにくい。
【0052】
(5)切断刃61が貫通治具60の先端縁に形成されていることから、先に閉塞壁が切断される。そして、切断されなかった部分は、切断された部分を押圧しながら曲がり部17を形成する。閉塞壁が先に切断されることから、閉塞壁を押し広げようとする横方向の応力が蓄積されにくい。
【0053】
(6)
図5に示す貫通治具60では、切断刃61が貫通治具60の円形断面の中心線に対して対向する位置にそれぞれ形成されており、連通孔15の周縁の形状において円形断面の中心線に対して対向する位置がまず切断される。そのため、1箇所だけが切断される場合に比べて、閉塞壁が打ち抜かれた形状の第1の連通孔15aが形成されやすい。閉塞壁の切断部分を多くすることができて、閉塞壁を押し広げようとする横方向への応力が掛かることを抑制することができる。
【0054】
(7)
図6(a)に示す貫通治具60では、切断刃61が先端縁の1箇所に形成されている。また、
図6(b)に示す貫通治具60は、対向する位置に切断刃61が形成されており、切断刃61が形成されていない対向面には、軸方向に延びる溝62が形成されている。こうした形状の貫通治具60では、閉塞壁が完全に切断されずに曲がり部17が形成されやすい。そのため、曲がり部17が形成された第2の連通孔15b内部には、閉塞壁が切断されてできる切片が入り込みにくい。
【0055】
(8)上記実施形態では、中空構造体10の各セルSの閉塞壁にセルSの内外を連通させる連通孔15が複数形成されている。そのため、連通孔15に音波が入射すると音波に押されたセルS内の空気は圧縮と膨張を繰り返してバネとして作用する。そして、ある特定の周波数で連通孔15の空気が激しく振動して摩擦損失することによって空気の振動が急速に減衰する。すなわち、中空構造体10の各セルSは、いわゆる「ヘルムホルツ共鳴器」として機能する。中空構造体10の吸音性能を向上させることができる。吸音用の中空構造体10として多数の連通孔15を形成すれば、吸音パネルに好適に適用することができる。
【0056】
(9)上記実施形態では、コア層20に接合される第2シート材200は、コア層20を形成する第1シート材100より厚く形成されている。そのため、中間体50の曲げ強度が向上し、中空構造体10としての曲げ強度が向上する。例えば、曲げ強度が要求される自動車のラゲッジボードに適用する場合に好適である。
【0057】
上記各実施形態は、次のように変更することができる。なお、上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
・連通孔15は各セルSに1箇所ずつ形成されているものでなくてもよい。各セルSの複数箇所形成されていてもよく、形成されていないセルSが混在していてもよい。また、中空構造体10の上下両面に連通孔15が形成されていてもよい。
【0058】
・連通孔15bは、不規則に形成されていてもよい。また、連通孔15が、セルSの並設方向に沿って形成されていなくてもよい。或いは、中空構造体10の面方向の一部の領域に、連通孔15が局在していてもよい。
【0059】
・連通孔15は、各セルSの略中央部分に形成されているものでなくてもよい。例えば、各セルSにおける側壁部23寄りに形成されていてもよく、側壁部23の位置に形成されていてもよい。
【0060】
・上記実施形態では、連通孔15は上面視円形状に形成されているが、開口の形状は特に限定されない。上面視四角形状であってもよく、上面視多角形状であってもよい。また上面視不定形状であってもよい。いずれの形状であっても、先端に切断刃が形成された貫通治具によって、第1の連通孔15a及び第2の連通孔15bを形成することができる。
【0061】
・複数の連通孔15は、すべて同一形状でなくてもよい。異なる形状の連通孔15が混在していてもよい。
・上記実施形態では、第2の連通孔15bに形成された曲がり部17は、スキン層30が切断されて曲げられた部分と上壁部21が切断されて曲げられた部分とが一体になっているが、スキン層30と上壁部21の両方が曲げられていなくてもよい。例えば、コア層20において側壁部23が形成された部分に連通孔15が形成されると、貫通治具60を貫通させる際に側壁部23が閉塞壁を下支えする状態となり、スキン層30は連通孔15の周縁の形状の全周に沿って切断され、コア層20のみに曲がり部17が形成される場合がある。また、スキン層30を形成する第2シート材200がコア層20を形成する第1シート材100より厚く形成されていることから、スキン層30が上壁部21より剛性が高く、この剛性の違いによってスキン層30がより切断されやすくなる場合がある。
【0062】
・上記実施形態の貫通治具60は、径方向断面が円形状の中実長尺状をなしているが、これに限定されず、内部が中空とされた長尺筒状であってもよい。
・貫通治具60の先端形状は、切断刃61が形成されていれば特に限定されない。例えば、先端縁が軸方向に凹凸形状とされて複数の切断刃が形成されていてもよい。
【0063】
・貫通治具60の径方向断面は円形状でなくてもよい。径方向断面が四角形状であってもよく多角形状であってもよい。また、不定形状であってもよい。
・コア層20を形成する第1シート材100は、コア層20に接合される第2シート材200より薄く形成されていなくてもよい。つまり、コア層20を形成する第1シート材100は、スキン層30、40と同じ厚みとされていてもよく、スキン層30、40より厚く形成されていてもよい。
【0064】
・コア層20及びスキン層30、40の材料は、合成樹脂材料でなくてもよい。例えば、紙製、布製、金属製であってもよい。
・コア層20、スキン層30、及びスキン層40を構成する熱可塑性樹脂に対して、例えば、難燃性の樹脂を添加して難燃性を高めるなどのように、機能性の樹脂を添加してもよい。中空構造体10に異なる機能を付与することができ、中空構造体10の汎用性が向上する。
【0065】
・コア層20は、一枚の第1シート材100を折り畳み成形して形成するのに限らず、複数枚の第1シート材を用いて形成してもよい。例えば、帯状の第1シート材を所定間隔毎に屈曲させ、これら複数の第1シート材を並設することでコア層を形成してもよい。この変更例の場合、各第1シート材において屈曲させた部分がセルの側壁部を構成することになる。
【0066】
・中空構造体10は、一枚の第1シート材100を折り畳み成形してなるコア層20にスキン層30、40を接合したものに限らない。例えば、特許第4368399号に記載されるようなシート材を折り畳み成形したものに、スキン層30、40を接合して形成してもよい。
【0067】
・セルSの形状は特に六角柱形状に限定されるものではない。例えば、円柱形状でもよいし、四角柱形状、八角柱形状などの多角柱形状であってもよい。また、セルSの形状は、例えば、錐台形状や錐台形状の頂面同士を突き合わせたような形状であってもよい。すなわち、全体として柱形状をなしているのであればどのような形状であってもよい。さらに、コア層20内において異なる形状のセルが混在していてもよいし、セルとセルとの間に空間(隙間)が生じていてもよい。なお、セルとセルとの間に空間が生じている場合、セルの内外を連通するように連通孔を形成するのに加えて、セルとセルとの隙間が中空構造体の外部に連通するように連通孔を形成してもよい。
【0068】
・スキン層30、40を熱溶着でコア層20に接合するのに限らず、例えば、接着剤等でスキン層30、40をコア層20に貼り付けて接合してもよい。また、コア層20とスキン層30、40との間に例えば熱可塑性樹脂製の接着層を介在させ、この接着層の接着力により、スキン層30、40をコア層20に接合してもよい。
【0069】
・スキン層30及びスキン層40の少なくともいずれか一方を省略してもよい。この場合、省略されたスキン層30、40では、コア層20の上壁部21或いは下壁部22に連通孔15を形成することができる。
【0070】
・スキン層30及びスキン層40の少なくともいずれかの外面に他のシート材を接合してもよい。この外面側のシート材は合成樹脂製でなくてもよく、例えば金属シート(金属箔、鋼板)、紙、布などであってもよく、不織布シート、織物シート、編物シートであってもよい。また、印刷を施した樹脂シートやメラミン等の樹脂シートであってもよい。ただし、他のシート材を接合した後に連通孔15を形成できるように、他のシート材として、貫通治具60が貫通できる程度の強度の材料、厚み等のものを採用することが好ましい。さらに、スキン層30やスキン層40そのものを、金属シート(金属箔、鋼板)、紙、布などで構成してもよい。
【0071】
例えば、他のシート材として鋼板を接合したり、スキン層30、40を鋼板としたりしたような場合であっても、貫通治具60の先端に切断刃61が形成されているため、連通孔15を容易に形成することができる。
【0072】
また、他のシート材として不織布シートを接合したり、スキン層30、40を不織布シートとしたりしたような場合には、連通孔15を容易に形成することができるだけでなく、切断刃61で切断されて形成された連通孔15では、開口形状を好適に維持することができる。例えば、断面円形状で先鋭状の従来の針状部材で連通孔15を形成するような場合には、不織布を構成する繊維がずれるようにして連通孔15が形成される。そして、針状部材を抜くと、不織布を構成する繊維が移動して、形成された連通孔15に覆い被さるようになってしまう場合がある。この点、本実施形態の貫通治具60では、閉塞壁が切断されるため、不織布を構成する繊維が切断され、連通孔15が塞がることが抑制される。
【0073】
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に追記する。
(イ)塑性を有する1枚のシートから所定の凹凸形状を有するように成形されたシート材を折り畳んでコア層を形成する折り畳み工程と、コア層の上下両面にスキン層を接合して中間体を形成するスキン層接合工程と、中間体の一方の面に連通孔を形成する連通孔成形工程を備え、連通孔成形工程では、周面の少なくとも一部に沿って延びる切断刃が先端に形成された長尺状の貫通治具を使用して連通孔を形成する。
【符号の説明】
【0074】
S…セル、S1…第1セル、S2…第2セル、10…中空構造体、15…連通孔、15a…第1の連通孔、15b…第2の連通孔、16a、16b…切断縁、17…曲がり部、20…コア層、21…上壁部、22…下壁部、23…側壁部、25a、25b…切断縁、30…スキン層、35a、35b…切断縁、40…スキン層、60…貫通治具、61…切断刃。