IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイエイアイコーポレーションの特許一覧

特許7162878撮像装置、及び撮像装置を用いた被写体の検査方法
<>
  • 特許-撮像装置、及び撮像装置を用いた被写体の検査方法 図1
  • 特許-撮像装置、及び撮像装置を用いた被写体の検査方法 図2
  • 特許-撮像装置、及び撮像装置を用いた被写体の検査方法 図3
  • 特許-撮像装置、及び撮像装置を用いた被写体の検査方法 図4
  • 特許-撮像装置、及び撮像装置を用いた被写体の検査方法 図5
  • 特許-撮像装置、及び撮像装置を用いた被写体の検査方法 図6
  • 特許-撮像装置、及び撮像装置を用いた被写体の検査方法 図7
  • 特許-撮像装置、及び撮像装置を用いた被写体の検査方法 図8
  • 特許-撮像装置、及び撮像装置を用いた被写体の検査方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】撮像装置、及び撮像装置を用いた被写体の検査方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 9/09 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
H04N9/09 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018215579
(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公開番号】P2020088438
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】392025696
【氏名又は名称】株式会社ジェイエイアイコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】渡部 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】田島 芳雄
(72)【発明者】
【氏名】勝又 徹
(72)【発明者】
【氏名】高野 光司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信一
(72)【発明者】
【氏名】黒瀧 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/067028(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/042731(WO,A1)
【文献】特開2012-027773(JP,A)
【文献】国際公開第2017/029784(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 9/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不可視光線を照射する光源と、
前記不可視光線及び可視光線を含む光が照射された被写体を撮像する撮像部と、
処理回路と、
を備え、
前記処理回路は、
前記被写体が撮像された前記不可視光線の撮像画像から、前記被写体の所定の部位における位置に対する高さ情報を取得する高さ取得部と、
前記被写体が撮像された撮像画像から、前記被写体の所定の部位における位置に対する色情報を取得する色取得部と、
前記高さ情報と前記色情報とに基づいて、前記高さ情報と前記色情報の同一の前記位置に対する前記高さ情報に前記色情報をマッピングさせて合成する合成部と、
を有し、
前記高さ情報に前記色情報をマッピングさせた合成画像に、被写体の検査を実行する 、撮像装置。
【請求項2】
前記撮像部が、
入射された前記光を前記不可視光線と前記可視光線とに分光するプリズムと、
前記不可視光線に分光された光を撮像する不可視光センサと、
前記可視光線に分光された光を撮像する可視光センサと、
を備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記不可視光センサで撮像された撮像画像に基づいて、前記高さ取得部が前記高さ情報を取得し、
前記可視光センサで撮像された撮像画像に基づいて、前記色取得部が前記色情報を取得する、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記被写体の前記高さ情報に前記色情報をマッピングさせた合成画像を出力する出力部を、更に備える、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記被写体がベルトコンベアに載置され、
前記撮像部が、前記ベルトコンベアに載置された前記被写体を撮像する、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項6】
不可視光線を照射する光源と、前記不可視光線及び可視光線を含む光が照射された被写体を撮像する撮像部と、を備える、撮像装置を用いた被写体の検査方法であって、
処理回路が、前記被写体が撮像された前記不可視光線の撮像画像から、前記被写体の所定の部位における位置に対する高さ情報を取得するステップと、
前記処理回路が、前記被写体が撮像された撮像画像から、前記被写体の所定の部位における位置に対する色情報を取得するステップと、
前記処理回路が、前記高さ情報と前記色情報とに基づいて、前記高さ情報と前記色情報の同一の前記位置に対する前記高さ情報に前記色情報をマッピングさせて合成するステップと、
前記処理回路が、前記高さ情報に前記色情報をマッピングした前記被写体の合成画像に、被写体の検査を実行するステップと、
を含む、撮像装置を用いた被写体の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に、被写体を撮像して、その被写体の検査に用いる撮像装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、3次元計測カメラにおいて、レーザを使用したレーザ切断法という3D(3-dimension)計測が知られている。3D計測は、3次元計測カメラにより被写体の高さ情報を取得して、高さを計測する方法である。
【0003】
従来の3D計測では、高さ情報のみ取得することができ、色情報を同時に取得することができなかったため、3次元計測カメラとは別のカメラで、別途、色情報だけ取得して、色の計測や検査に用いられていた。
【0004】
そのため、3D計測では、高さ情報だけでなく色情報も同時に取得し、被写体の形状に色が付された画像を取得したいというニーズがあった。そこで、例えば、近赤外線(NIR)撮像センサと可視撮像センサとを用いてNIR画像と可視画像を取得して、ピクセル視差を計算し、NIR画像を可視画像に位置合わせするマルチスペクトル撮像システムが検討されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2015-502058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
NIR画像と可視画像とを位置合わせする場合、2つのカメラでそれぞれ別々に被写体を撮像する必要があり、視差の計算が難しく、かつ計算量が膨大であった。また、計算量が膨大になると、精度が欠けてしまい、リアルタイムに検査を実行することができないという問題もあった。そのため、NIR画像に基づく高さ情報の検査と、可視画像に基づく色情報の検査とを同時に実施することが難しかった。
【0007】
そこで、本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高さ情報の検査と色情報の検査とを同時に実行することができる、撮像装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上述の目的を解決するために鋭意研究を行った結果、被写体の外形(形状)に色情報をマッピングすることにより、高さ情報の検査と色情報の検査とを同時に実行することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明では、不可視光線を照射する光源と、前記不可視光線及び可視光線を含む光が照射された被写体を撮像する撮像部と、処理回路と、を備え、前記処理回路は、
前記被写体が撮像された前記不可視光線の撮像画像から、前記被写体の所定の部位における位置に対する高さ情報を取得する高さ取得部と、前記被写体が撮像された撮像画像から、前記被写体の所定の部位における位置に対する色情報を取得する色取得部と、前記高さ情報と前記色情報とに基づいて、前記高さ情報と前記色情報の同一の前記位置に対する前記高さ情報に前記色情報をマッピングさせて合成する合成部と、を有し、前記高さ情報に前記色情報をマッピングさせた合成画像に、被写体の検査を実行する、撮像装置を提供する。
【0010】
また、本発明では、不可視光線を照射する光源と、前記不可視光線及び可視光線を含む光が照射された被写体を撮像する撮像部と、を備える、撮像装置を用いた被写体の検査方法であって、処理回路が、前記被写体が撮像された前記不可視光線の撮像画像から、前記被写体の所定の部位における位置に対する高さ情報を取得するステップと、前記処理回路が、前記被写体が撮像された撮像画像から、前記被写体の所定の部位における位置に対する色情報を取得するステップと、前記処理回路が、前記高さ情報と前記色情報とに基づいて、前記高さ情報と前記色情報の同一の前記位置に対する前記高さ情報に前記色情報をマッピングさせて合成するステップと、前記処理回路が、前記高さ情報に前記色情報をマッピングした前記被写体の合成画像に、被写体の検査を実行するステップと、を含む、撮像装置を用いた被写体の検査方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高さ情報の検査と色情報の検査とを同時に実行することができる。なお、本発明の効果は、必ずしも上記の効果に限定されるものではなく、本発明に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る第1の実施形態の撮像システムのブロック図である。
図2】本発明に係る第1の実施形態の撮像装置の撮像部の構成を示すブロック図である。
図3】本発明に係る第1の実施形態の撮像システムが、被写体であるリンゴを撮像している状態を示した説明図である。
図4】光切断法を用いて、被写体であるリンゴの高さ情報を取得する概念を示す説明図である。
図5】被写体であるリンゴの色情報を取得する概念を示す説明図である。
図6】リンゴAPの合成画像APCIを示した説明図である。
図7】本発明に係る第2の実施形態の撮像システムが、ベルトコンベアに載置されたリンゴを撮像し、被写体の検査をしている状態を示す説明図である。
図8】4チャンネルにより構成された撮像装置の撮像部の構成を示したブロック図である。
図9】入射される光を同時に分光しない撮像部の構成の例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0014】
<1.第1の実施形態(撮像装置の例1)>
図1に、本発明に係る第1の実施形態の撮像システム300のブロック図を示す。図1は、本発明に係る第1の実施形態の撮像システム300のブロック図である。
【0015】
[構成]
第1の実施形態の撮像システム300は、光源100と、撮像装置200とを備えている。なお、撮像システム300は、光源100と撮像装置200とを備えているが、撮像装置200が光源100を有するようにしてもよい。この場合、光源100を備える撮像装置200が、撮像システム300を構成することができる。
【0016】
光源100は、ライン状の不可視光線を照射する。不可視光線とは、可視光以外の光線であって、紫外線や赤外線等が該当する。例えば、近赤外線で使用することができる波長は、700nm~950nmである。このため、光源100は、700nm~950nmの領域の波長のレーザ光源を使用することができる。また、照射する光は、特に限定されるものではなく、例えば、レーザ光やスリット光であってもよい。
【0017】
撮像装置200は、撮像部210、処理回路220、記憶回路230、入力回路240、ディスプレイ250、画像記憶回路260、及び内部バス270を備えて構成されている。
【0018】
図2に、本発明に係る第1の実施形態の撮像装置200の撮像部210の構成を示すブロック図を示す。図2は、撮像部210の構成を示すブロック図である。
【0019】
撮像部210は、不可視光線が照射された被写体を撮像する。撮像部210は、例えば、プリズムPS1と、可視光センサ211と、不可視光センサ212とを有する。プリズムPS1は、入射された光を同時に不可視光線と可視域光線とに分光する。可視光センサ211は、可視光線に分光された光を撮像する。不可視光センサ212は、不可視光線に分光された光を撮像する。可視光センサ211は、例えば、カラーセンサを用いて撮像し、不可視光センサ212は、例えば、白黒センサを用いて撮像する。カラーセンサは、例えば、原色フィルタを使用したベイヤータイプのセンサを使用することができる。
【0020】
第1の実施形態では、可視域光線から色情報を取得するため、高さ情報を取得する場合には、可視域光線に影響を与えないレーザ光源を使用する。なお、図2では、プリズムPS1が、可視光センサ211と不可視光センサ212の2チャンネルにより構成されているが、これに限定されるものではない。プリズムPS1の他の構成については、図8及び図9を用いて後述する。
【0021】
処理回路220は、プログラムをメモリ(記憶回路230)から読み出し、実行することにより、プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。具体的には、処理回路220(プロセッサ)は、読み出したプログラムを実行することによって、高さ取得部221、色取得部222、及び合成部223の機能を実現する。
【0022】
高さ取得部221は、被写体が撮像された不可視光線の撮像画像から、被写体の所定の部位における位置に対する高さ情報を取得する機能を有している。例えば、高さ取得部221は、不可視光センサ212で撮像された撮像画像に基づいて、被写体の所定の部位における底面からの高さ情報を取得する。
【0023】
色取得部222は、被写体が撮像された撮像画像から、被写体の所定の部位における位置に対する色情報を取得する機能を有している。例えば、色取得部222は、可視光センサ211で撮像された撮像画像に基づいて、被写体の所定の部位における色情報を取得する。
【0024】
合成部223は、高さ情報と前記色情報とに基づいて、高さ情報と色情報の同一の位置に対する高さ情報に色情報をマッピングさせて合成する機能を有している。
【0025】
なお、処理回路220が構成するプロセッサという文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)などの回路を意味する。
【0026】
プロセッサは、メモリに保存された、もしくはプロセッサの回路内に直接組み込まれたプログラムを読み出し、実行することで各機能を実現する。プロセッサが複数設けられた場合、プログラムを記憶するメモリは、プロセッサごとに個別に設けられるものであっても構わないし、或いは、図1の記憶回路230が各プロセッサの機能に対応するプログラムを記憶するものであっても構わない。
【0027】
入力回路240は、操作者によって操作が可能な操作ボタン、キーボード、ポインティングデバイス(マウスなど)などの入力デバイスからの信号を入力する回路であり、ここでは入力デバイス自体も入力回路240に含まれるものとする。この場合、操作に従った入力信号が、入力回路240から処理回路220に送られる。
【0028】
ディスプレイ250は、撮像部210によって撮像された撮像画像を表示する機能を備える表示装置である。ディスプレイ250は、図示しない画像合成回路、VRAM(Video Random Access Memory)および画面等を含んでいる。ディスプレイ250は、例えば、液晶ディスプレイで構成される。例えば、ディスプレイ250は、出力部に該当し、被写体の高さ情報に色情報をマッピングさせた合成画像を出力することができる。
【0029】
なお、出力部は、ディスプレイ250に限定されるものではなく、例えば、プリンターも出力部に該当する。この場合、プリンターは、被写体の高さ情報に色情報をマッピングさせた合成画像を紙で出力することができる。また、出力部は、被写体の高さ情報に色情報をマッピングさせた合成画像をファイルで出力させ、画像記憶回路260に記憶させるようにしてもよい。
【0030】
記憶回路230は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)等を含む記憶装置により構成されている。記憶回路230は、IPL(Initial Program Loading)、BIOS(Basic Input/Output System)及びデータを記憶したり、処理回路230のワークメモリとして使用されたり、または、データを一時的に記憶する場合に用いられる。HDDは、撮像装置200にインストールされたプログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる。)やデータを記憶する記憶装置である。また、操作者に対するディスプレイ250への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力回路240によって行なうことができるGUI(Graphical User Interface)を、OSに提供することもできる。
【0031】
画像記憶回路260は、例えば、処理回路220の合成部223で合成した撮像画像(即ち、被写体の同一の位置に対する高さ情報に色情報をマッピングさせた画像)を記憶するようになっている。画像記憶回路260は、例えば、RAM、HDD等を含む記憶回路によって構成される。
【0032】
内部バス270は、処理回路220によって撮像装置200が統括制御されるように、各構成要素に接続されている。内部バス270は、例えば、撮像装置200内で、データや信号を伝達するための回路により構成される。
【0033】
[動作]
次に、図3乃至図6を用いて、第1の実施形態の撮像システム300の動作について、詳しく説明する。
【0034】
図3は、本発明に係る第1の実施形態の撮像システム300が、被写体であるリンゴAPを撮像している状態を示した説明図である。
【0035】
図3に示すように、リンゴAPは、ベルトコンベアBCに載置され、方向Sに沿って搬送されている。撮像システム300の光源100は、所定の位置で、ベルトコンベアBCに不可視光線を照射している。撮像システム300の撮像装置200は、光源100が照射する対象を撮像するようになっており、例えば、ベルトコンベアBCに載置されて、搬送されるリンゴAPを撮像する。
【0036】
撮像装置200は、不可視光線が照射されたリンゴAPを撮像する。この場合、撮像装置200は、高さ取得部221において、リンゴAPが撮像された不可視光線の撮像画像から、リンゴAPの所定の部位における位置に対する高さ情報を取得する。
【0037】
図4に、被写体であるリンゴAPIVの高さ情報を取得する概念を示す。図4は、光切断法を用いて、被写体であるリンゴAPIVの高さ情報を取得する概念を示す説明図である。
【0038】
撮像装置200は、不可視光線が照射されたリンゴAPを撮像部210により撮像して、撮像画像(リンゴAPIV)を取得し、レーザ切断法により高さ情報を取得する。この場合、例えば、リンゴAPが搭載されたベルトコンベアBCの面、即ち、リンゴAPの底の部分を高さの基準とする。そして、不可視光線が照射したリンゴAPの表面の部分が所定の部位となり、リンゴAPの底の部分から不可視光線が照射されたリンゴAPの表面までが、高さ情報hとなる。これにより、被写体(リンゴAP)の所定の部位における位置とは、例えば、リンゴAPの底を基準にして、不可視光線が照射されている位置とすることができる。具体的には、リンゴAPの果梗に不可視光線が照射されている場合には、リンゴAPの果梗が所定の部位となり、撮像装置200は、照射されたリンゴAPの果梗の位置に対する高さ情報を取得することができる。
【0039】
図4に示すように、撮像装置200の処理回路220の高さ取得部221は、リンゴAPが撮像された不可視光線の撮像画像(リンゴAPIV)から、被写体(リンゴAP)の所定の部位における位置に対する高さ情報hを取得する。なお、不可視光線でリンゴAPに照射しているため、撮像装置200は、撮像部210のカラー画像の撮像には影響を与えることなく、リンゴAPの高さ情報hを取得することができる。なお、高さ情報hは、被写体であるリンゴAPの底の部分から垂直方向の距離に相当する。
【0040】
また、撮像装置200は、撮像部210により同時に撮像された被写体(リンゴAP)の撮像画像(リンゴAPIV)から、被写体(リンゴAP)の所定の部位における位置に対する色情報を取得するようになっている。この場合、撮像装置200は、色取得部222において、被写体(リンゴAP)が撮像されたの撮像画像(リンゴAPIV)から、被写体(リンゴAP)の所定の部位における位置に対する色情報を取得する。
【0041】
図5に、被写体であるリンゴAPの色情報を取得する概念を示す。図5は、被写体であるリンゴAPの色情報を取得する概念を示す説明図である。
【0042】
図5に示すように、撮像装置200は、被写体(リンゴAP)の色情報を取得する。撮像装置200の処理回路220の色取得部222は、被写体(リンゴAP)が撮像されたの撮像画像(リンゴAPVI)から、被写体(リンゴAP)の所定の部位における位置に対する色情報を取得する。この場合、色取得部222は、可視光センサで撮像された撮像画像(リンゴAPVI)に基づいて、色情報を取得する。
【0043】
次に、処理回路220の合成部223は、高さ情報と色情報とに基づいて、高さ情報と色情報の被写体(リンゴAP)の同一の位置に対する高さ情報に色情報をマッピングさせて合成する。
【0044】
図6に、被写体(リンゴAP)の高さ情報と色情報とに基づいて、被写体(リンゴAP)における同一の位置に対する高さ情報に色情報をマッピングさせた合成図を示す。図6は、リンゴAPの合成画像APCIを示した説明図である。
【0045】
図6に示すように、処理回路220の合成部223は、被写体(リンゴAP)の位置に対する高さ情報に色情報をマッピングし、被写体(リンゴAP)の合成画像(リンゴAPCI)を生成することができる。例えば、処理回路220の合成部223は、不可視光線が照射された被写体(リンゴAP)の位置において、高さ情報に色情報をマッピングする。
【0046】
これにより、撮像装置200のディスプレイ250は、被写体(リンゴAP)の高さ情報に色情報をマッピングさせた合成画像(リンゴAPCI)を出力することができる。なお、撮像装置200は、合成画像(リンゴAPCI)をプリンタ(図示しない)から紙で出力してもよい。
【0047】
また、出力フォーマットは、特に限定されるものではなく、例えば、RGBと高さを合わせた4チャンネルの信号として出力するようにしてもよい。また、色空間についても、RGBに限定されるものではなく、例えば、色相、彩度、明度からなるHSVモデルや、色相、彩度、輝度からなるHSIモデル、及びLab色空間に変換して出力するようにしてもよい。
【0048】
以上説明したように、本発明に係る第1の実施形態の撮像システム300は、光源100と、撮像装置200とを備えている。光源100は、不可視光線を照射する。撮像装置200は、撮像部210が、不可視光線が照射された被写体(リンゴAP)を撮像する。撮像装置200の処理回路220は、被写体(リンゴAP)が撮像された不可視光線の撮像画像(リンゴAPIV)から、被写体(リンゴAP)の所定の部位における位置に対する高さ情報を取得するとともに、被写体(リンゴAP)の撮像画像(リンゴAPVI)から、被写体(リンゴAP)の所定の部位における位置に対する色情報を取得する。また、処理回路220は、高さ情報と色情報とに基づいて、被写体(リンゴAP)の同一の位置に対する高さ情報に色情報をマッピングさせて合成する。
【0049】
これにより、第1の実施形態の撮像システム300は、被写体(リンゴAP)の外形(形状)に色情報をマッピングすることにより、高さ情報の検査と色情報の検査とを同時に実行することができる。
【0050】
<2.第2の実施形態(撮像装置を用いた被写体の検査方法の例)>
本発明に係る第2の実施形態の撮像装置を用いた被写体の検査方法は、不可視光線を照射する光源と、不可視光線が照射された被写体を撮像する撮像部とを備える撮像装置を用いた被写体の検査方法であって、処理回路が、被写体が撮像された不可視光線の撮像画像から、被写体の所定の部位における位置に対する高さ情報を取得するステップと、処理回路が、被写体が撮像された撮像画像から、被写体の所定の部位における位置に対する色情報を取得するステップと、処理回路が、高さ情報と色情報とに基づいて、高さ情報と色情報の同一の位置に対する高さ情報に色情報をマッピングさせて合成するステップと、処理回路が、高さ情報に色情報をマッピングした被写体の合成画像に、被写体の検査を実行するステップと、を含む、撮像装置を用いた被写体の検査方法である。
【0051】
本発明に係る第2の実施形態の撮像装置を用いた被写体の検査方法よれば、被写体の外形(形状)に色情報をマッピングすることにより、高さ情報の検査と色情報の検査とを同時に実行することができる。
【0052】
図7に、本発明に係る第2の実施形態の撮像システム300において、撮像装置200がベルトコンベアBCに載置された被写体(リンゴAP)を撮像し、被写体(リンゴAP)の検査をしている状態を示す。図7は、本発明に係る第2の実施形態の撮像システム300において、撮像装置200がベルトコンベアBCに載置された被写体(リンゴAP)を撮像し、被写体の検査をしている状態を示す説明図である。
【0053】
図7に示すように、撮像システム300は、光源100と、撮像装置200とを備えている。なお、撮像システム300は、光源100と撮像装置200とを備えているが、撮像装置200が光源100を有するようにしてもよい。この場合、光源100を備える撮像装置200が、撮像システム300を構成することができる。
【0054】
撮像装置200を用いた被写体の検査方法は、まず、処理回路220が、被写体(リンゴAP)が撮像された不可視光線の撮像画像から、被写体(リンゴAP)の所定の部位における位置に対する高さ情報を取得する。なお、高さ情報は、被写体(リンゴAP)の底を基準とし、その底の垂直方向の距離を高さ情報とする。そして、処理回路220が、被写体(リンゴAP)が撮像された撮像画像から、被写体(リンゴAP)の所定の部位における位置に対する色情報を取得する。なお、被写体(リンゴAP)の所定の部位における位置とは、不可視光線が照射された被写体(リンゴAP)の位置とすることができる。次に、処理回路220が、高さ情報と色情報とに基づいて、被写体(リンゴAP)の同一の位置に対する高さ情報に色情報をマッピングさせて合成する。そして、処理回路220が、高さ情報に色情報をマッピングした被写体(リンゴAP)の合成画像に、被写体(リンゴAP)の検査を実行する、撮像装置による検査方法である。
【0055】
例えば、移動体であるベルトコンベアBCに被写体であるリンゴAPが載置され、撮像装置200は、ベルトコンベアBCの移動に伴って、リンゴAPを順番に撮像する。そして、撮像装置200は、ベルトコンベアBCの移動に伴って、リンゴAP1、リンゴAP2・・・と、順に検査を実行する。
【0056】
この場合、撮像装置200は、例えば、リンゴAP1、リンゴAP2のそれぞれの高さ情報に基づいて、表面の凹凸を検査したり、リンゴAP1、リンゴAP2のそれぞれの色情報から、表面の一部に変色がないか検査することができる。
【0057】
また、被写体は、特に限定されるものではなく、例えば、焼き菓子やクッキーなどであってもよい。この場合、例えば、焼き菓子やクッキーの表面の凹部の検査に適用することができる。また、被写体を自動車とした場合には、車の表面の色の検査にも適用することができる。この場合、車の表面の色ムラの検査をすることができる。このように、3次元的な形状の検査とその色を検査とを同時に行うことができる。
【0058】
さらに、物品の形状において色の検査を同時に行うこともでき、例えば、印刷面の一部に凸部を有する印刷ずれなどの検査にも適用することができる。この場合、凸部の頂点の形状が印刷ずれをしていないか判定し、印刷ずれを生じている場合は、不良品と判定することができる。また、例えば、被写体の形状の外形に凹部の形状が含まれている場合は、不良品と判定する一方、表面の色が汚れている程度なら良品と判定することもできる。
【0059】
このように、被写体の形状において、表面の凹凸の有無や程度を検査したり、被写体の色の検査を同時に実行することができる。
【0060】
以上説明したように、本発明に係る第2の実施形態の撮像装置200を用いた被写体の検査方法によれば、被写体(リンゴAP)の外形(形状)に色情報をマッピングすることにより、高さ情報の検査と色情報の検査とを同時に実行することができる。
【0061】
また、本発明に係る第1及び第2の実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、第1の実施形態の撮像装置200の撮像部210は、可視光センサ211と不可視光センサ212の2チャンネルにより構成されていた。撮像部210は、これに限定されるものではなく、例えば、可視光センサ212が3チャンネルにより構成され、撮像部210が4チャネルにより構成されていてもよい。
【0063】
図8は、4チャンネルにより構成された撮像装置200の撮像部210aの構成を示したブロック図を示す。
【0064】
図8に示すように、撮像部210aは、可視光センサ211が、3つのラインセンサにより構成される。可視光センサ211は、ラインセンサ毎に、赤(R)、緑(G)、及び青(G)のうち何れかのフィルタを備えている。例えば、赤(R)のフィルタを有するラインセンサをラインセンサRとし、緑(G)のフィルタを有するラインセンサをラインセンサGとし、青(G)のフィルタを有するラインセンサをラインセンサBとする。プリズムPS2は、撮像部210のプリズムPS1と同様に、入射された光を同時に不可視光線と可視光線に分光することができる。
【0065】
このように、撮像部は4チャンネルにより構成される撮像部210aであってもよい。また、プリズムは、入射される光を同時に分光しない形態であってもよい。
【0066】
図9は、入射される光を同時に分光しない撮像部210bの構成の例を示したブロック図である。
【0067】
撮像部210bのプリズムPS3は、入射された光を不可視光線に分光するミラーM1を有している。プリズムPS3は、ミラーM1で分光した不可視光線をミラーM2に反射させ、不可視光センサ212で撮像させる。また、プリズムPS3は、入射された可視光線を赤(R)、緑(G)、及び青(G)に分光する。可視光センサ211は、赤(R)のフィルタを有するラインセンサR、緑(G)のフィルタを有するラインセンサG、青(G)のフィルタを有するラインセンサBを有している。
【0068】
このように、撮像部は、可視域と不可視域とに分光することができるプリズムを用いることにより、高さ情報と色情報を取得することができるので、プリズムの種類には、特に限定されるものではない。
【0069】
また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0070】
例えば、第1及び第2の実施形態では、撮像装置200は、ディスプレイ250、及び画像記憶回路260を備えて構成されていたが、本実施の形態は、これに限定されるものではない。例えば、撮像装置200は、ディスプレイ250、及び画像記憶回路260を有さず、有線や無線のネットワークを介して、別体のディスプレイや外部の画像記憶回路を備えるようにしてもよい。この場合、撮像装置200は、画像記憶回路260に記憶させるべき撮像画像を、外部の画像記憶回路に記憶させたり、別体のディスプレイにその撮像画像を表示させることができる。
【符号の説明】
【0071】
100 光源
200 撮像装置
210 撮像部
220 処理回路
221 高さ取得部
222 色取得部
223 合成部
230 記憶回路
250 ディスプレイ
260 画像記憶回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9