(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】粉砕機
(51)【国際特許分類】
B02C 18/06 20060101AFI20221024BHJP
B02C 18/14 20060101ALI20221024BHJP
B02C 18/18 20060101ALI20221024BHJP
B29B 17/04 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
B02C18/06 Z ZAB
B02C18/14 A
B02C18/14 B
B02C18/18 A
B02C18/18 B
B29B17/04
(21)【出願番号】P 2020530878
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(86)【国際出願番号】 JP2018044983
(87)【国際公開番号】W WO2020017073
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】P 2018134510
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000146054
【氏名又は名称】株式会社松井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】山下 宰司
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特公昭47-040016(JP,B1)
【文献】実公昭61-029484(JP,Y2)
【文献】実公昭52-033653(JP,Y2)
【文献】実開昭62-123248(JP,U)
【文献】特開平11-188279(JP,A)
【文献】特開平11-333313(JP,A)
【文献】特開昭54-030907(JP,A)
【文献】米国特許第05052630(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 18/00-18/38
B29B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に開口部を有する筐体と、該筐体内で横置きされた回転軸に取り付けられた回転刃と、前記筐体内に配置され前記回転刃と係合する固定刃とを備え、前記回転刃と固定刃との協働により被粉砕物を粉砕する粉砕機であって、
前記回転刃は、
前記回転軸方向に沿って隣接するように並べた複数の刃部群を備え、
前記複数の刃部群それぞれは、
前記回転軸に嵌装された円筒体の外周に前記回転軸回りに沿って形成された複数の刃部を備え、
前記回転刃を前記回転軸方向に沿って適長離隔して複数配置してあ
り、
前記複数の刃部は、
前記回転軸回りの先端部に刃先を形成してあり、
前記複数の刃部の前記回転軸の中心からの径方向の寸法が、前記回転軸方向に沿って前記複数の刃部群毎に段階的に小さくなる粉砕機。
【請求項2】
一の刃部群の複数の刃部の前記回転軸方向の一方の側端部は、前記一の刃部群に隣接する他の刃部群の円筒体に当接し、
前記複数の刃部の前記回転軸方向の他方の側端部は、露出している請求項
1に記載の粉砕機。
【請求項3】
前記固定刃よりも前記回転軸側であって、前記回転軸の中心からの径方向の寸法が最小となる前記回転刃の端部に対向する前記筐体の対向壁に、前記端部の外周に沿って円弧の一部をなす溝を設けてある請求項1
又は請求項
2に記載の粉砕機。
【請求項4】
前記複数の刃部の前記他方の側端部に刃面を形成してある請求項
2に記載の粉砕機。
【請求項5】
前記複数の刃部は、
前記回転軸回りの後端部に刃先を形成してある請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の粉砕機。
【請求項6】
前記回転刃を前記回転軸方向に沿って適長離隔するスペーサを備え、
前記スペーサを間にして対向する刃部群の一方の刃部群の複数の刃部の前記回転軸の中心からの径方向の寸法が最大寸法であり、他方の刃部群の複数の刃部の前記回転軸の中心からの径方向の寸法が最小寸法である請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の粉砕機。
【請求項7】
前記回転刃を前記回転軸方向に沿って適長離隔する大回転刃を備え、
前記大回転刃は、
前記回転軸回りの先端部が湾曲したアーム状をなす請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の粉砕機。
【請求項8】
前記固定刃は、
前記回転刃に係合する固定刃面を有し、
前記固定刃面は、
前記複数の刃部群それぞれの複数の刃部の先端部に対応して段階的に形成してある請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の粉砕機。
【請求項9】
前記回転軸方向に沿って前記筐体に固定された固定板を備え、
前記固定刃は、
前記回転刃に係合する固定刃面を有し、前記固定板に適長離隔して固定された複数の小固定刃を有する請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の粉砕機。
【請求項10】
前記回転刃が取り付けられ、前記筐体内で横置きされた第1回転軸及び第2回転軸を備え、
前記第1回転軸の中心から径方向の寸法が大きくなる複数の刃部を備える刃部群の位置に、前記第2回転軸の中心から径方向の寸法が小さくなる複数の刃部を備える刃部群の位置を対応させて前記回転刃を取り付けてある請求項
1に記載の粉砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にプラスチックの射出成形時に不要物として取り出されるスプルランナ、あるいは成形不良となった成形不良品(被粉砕物とも称する)は、再び成形材料として使用できるように粉砕される。被粉砕物を粉砕する場合、成形前の材料であるペレットの形状に近い形に粉砕するのがよいとされており、主に低速の粉砕機が用いられている。
【0003】
特許文献1には、投入ホッパから投入されたスプルランナを粉砕刃に食い込み易くするため、まず粗砕刃で粗砕し、粗砕されたスプルランナを粉砕刃で所定の粒形状の粉砕材に粉砕する粉砕機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の粉砕機では、粉砕刃は、回転軸に固定された円筒部の外周に回転軸回りの刃列が回転軸方向に適長離隔して形成され、刃列と刃列との間には円筒状の溝が存在する。このため、被粉砕物の一部が刃列と刃列との間に嵌ると、被粉砕物の一部が溝に停留するため、粉砕効率が悪くなり、単位時間当たりの粉砕処理能力が低下する。また、被粉砕物が溝と擦れることにより、粉が発生する場合があり、粉砕物の粒度が不均一になる可能性がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、粉砕処理能力の向上、及び粉の発生を抑制して粉砕物の粒度を均一にすることができる粉砕機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る粉砕機は、上側に開口部を有する筐体と、該筐体内で横置きされた回転軸に取り付けられた回転刃と、前記筐体内に配置され前記回転刃と係合する固定刃とを備え、前記回転刃と固定刃との協働により被粉砕物を粉砕する粉砕機であって、前記回転刃は、前記回転軸方向に沿って隣接するように並べた複数の刃部群を備え、前記複数の刃部群それぞれは、前記回転軸に嵌装された円筒体の外周に前記回転軸回りに沿って形成された複数の刃部を備え、前記複数の刃部は、前記回転軸回りの先端部に刃先を形成してあり、前記複数の刃部の前記回転軸の中心からの径方向の寸法が、前記回転軸方向に沿って前記複数の刃部群毎に段階的に小さくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、刃列と刃列との間の円筒状の溝に代わりに刃部群が設けられるので、粉砕処理能力の向上し、粉の発生を抑制して粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態の粉砕機の構成の第1例を示す要部平面図である。
【
図2】本実施の形態の粉砕機の構成の一例を示す要部側面図である。
【
図3】本実施の形態の粉砕刃の構成の第1例を示す外観斜視図である。
【
図4】本実施の形態の粉砕刃の構成の第1例を示す正面図である。
【
図5】
図4のAA′線から見た要部縦断面図である。
【
図6】本実施の形態の粉砕刃と固定刃との間に被粉砕物Sが捕らえられた状態の一例を示す模式図である。
【
図7】本実施の形態の粉砕刃により被粉砕物Sが粉砕される様子の一例を示す模式図である。
【
図8】比較例としての粉砕機の構成の一例を示す要部平面図である。
【
図9】比較例としての粉砕刃と固定刃との間に被粉砕物Sが捕らえられた状態の一例を示す模式図である。
【
図10】比較例としての粉砕刃により被粉砕物Sが粉砕される様子の一例を示す模式図である。
【
図11】本実施の形態の粉砕刃の構成の第2例を示す外観斜視図である。
【
図12】本実施の形態の粉砕刃の構成の第2例を示す要部縦断面図である。
【
図13】本実施の形態の粉砕刃により被粉砕物Sが粉砕される様子の一例を示す模式図である。
【
図14】本実施の形態の固定側壁の内側壁の構成の一例を示す模式図である。
【
図15】本実施の形態の固定側壁の要部を示す縦断面図である。
【
図16】本実施の形態の粉砕機の構成の第2例を示す要部平面図である。
【
図17】粉砕刃の刃部の形状の他の例を示す模式図である。
【
図18】本実施の形態の粉砕機の構成の第3例を示す要部平面図である。
【
図19】本実施の形態の粉砕機の構成の第4例を示す要部平面図である。
【
図20A】固定刃付近の要部の一例を示す説明図である。
【
図20B】固定刃付近の要部の一例を示す説明図である。
【
図20C】固定刃付近の要部の一例を示す説明図である。
【
図21】第2実施形態の粉砕刃の要部の一例を示す側面図である。
【
図22】第2実施形態の粉砕機の粉砕刃付近の要部の一例を示す側面図である。
【
図23】被粉砕物が排出される様子の一例を示す模式図である。
【
図24】被粉砕物が排出される様子の一例を示す模式図である。
【
図25】第2実施形態の粉砕機の構成の他の例を示す要部平面図である。
【
図26】第2実施形態の粉砕機の構成の他の第1例を示す要部側面図である。
【
図27】第2実施形態の粉砕機の構成の他の第2例を示す要部側面図である。
【
図28】斜め押し込みタイプの押し込み装置の一例を示す側面図である。
【
図29】上下押し込みタイプの押し込み装置の一例を示す側面図である。
【
図30A】回転押し込みタイプの押し込み装置の一例を示す説明図である。
【
図30B】回転押し込みタイプの押し込み装置の一例を示す説明図である。
【
図31】2軸の粉砕機の構成の第1例を示す要部平面図である。
【
図32】2軸の粉砕機の構成の第1例を示す要部側面図である。
【
図33】2軸の粉砕機の構成の第2例を示す要部平面図である。
【
図34】2軸の粉砕機の構成の第2例を示す要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は本実施の形態の粉砕機50の構成の第1例を示す要部平面図であり、
図2は本実施の形態の粉砕機50の構成の一例を示す要部側面図である。なお、
図1及び
図2では投入ホッパを省略している。
図1及び
図2に示すように、支持台1の上面には、適長離隔した1対の金属製の固定側壁2、2を対設してあり、固定側壁2、2の両側部には、1対の金属製の揺動側壁3、3が固定側壁2、2で挟まれるように配置してあり、固定側壁2、2、及び揺動側壁3、3により筐体を構成している。粉砕機50の筐体は、上側及び下側に開口部を有する。
【0011】
一方の固定側壁2の略中央部には、軸受10が取り付けられてあり、他方の固定側壁2には、電動モータが取り付けられた減速機11が取り付けられてあり、減速機11を介して電動モータのモータ軸に連動する回転軸25が固定側壁2、2の間に軸架されている。
【0012】
固定側壁2、2、及び揺動側壁3、3で囲まれる空間(粉砕室)には、回転軸25に嵌装された回転刃としての粉砕刃6、6、6が収容される。適長離隔して設けられた粉砕刃6の間には、円筒状のスペーサ9が固定されている。粉砕刃6の詳細は後述する。
【0013】
回転軸25の略鉛直下であって揺動側壁3の固定側壁2と近接する面には、回転軸25の軸方向と平行に支点軸21を垂設している。揺動側壁3、3は、支点軸21の回りに揺動可能であり、揺動側壁3、3を開くことにより、筐体内部が上向きに開放される。一方の揺動側壁3の内側には、各粉砕刃6との協働により被粉砕物(例えば、成形不良品又は余剰の成形品などであるが、スプルランナを含めてもよい)を粉砕するための固定刃7が、内側に向かって下方向に傾斜するようにボルト(不図示)で揺動側壁3の内側に固定されている。
【0014】
また、他方の揺動側壁3の内側には、被粉砕物が下方に落下することを防止するための落下防止板8が、内側に向かって下方向に傾斜するようにボルト(不図示)で揺動側壁3の内側に固定されている。
【0015】
各固定側壁2及び各揺動側壁3で構成される筐体の4隅には、揺動側壁3、3を固定側壁2、2に固定するため一面がテーパ状のロック部材13、…が取り付けられるようになっており、テーパ状の一面で固定側壁2、揺動側壁3の端部を挟み込み、ロック部材13に螺合したレバー12を締め付けることにより、揺動側壁3、3を固定側壁2、2に固定する。各揺動側壁3は、揺動側壁3に固定されたハンドル14を持って開閉することができる。
【0016】
被粉砕物を粉砕する場合、レバー12を締め付けることにより、揺動側壁3、3を固定側壁2、2に固定する。筐体の上部に配置された投入ホッパに被粉砕物を投入し、電動モータの電源をオンにすると、回転軸25が所定の回転数で回転し、粉砕刃6が回転する。回転方向は、粉砕刃6が上側から下側に向かって固定刃7と噛み合う方向である。
【0017】
これにより、被粉砕物は、粉砕刃6と固定刃7との協働により所定の大きさの粉砕材に粉砕され、粉砕刃6の回転に伴って筐体の下側に送られ、材料受部に排出される。
【0018】
図3は本実施の形態の粉砕刃6の構成の第1例を示す外観斜視図であり、
図4は本実施の形態の粉砕刃6の構成の第1例を示す正面図であり、
図5は
図4のAA′線から見た要部縦断面図である。
図5に示すように、粉砕刃6は、回転軸方向(図中、符号Xで示す方向)に沿って隣接するように並べた複数の刃部群60を備える。図の例では、刃部群60の数は8個であるが、8個に限定されない。複数の刃部群60それぞれは、回転軸25に嵌装された円筒体62の外周に回転軸回りに沿って形成された複数の刃部61を備える。複数の刃部61は刃列とも称する。刃部61は、回転軸回りの先端部に刃先611を形成してある(
図3又は
図4参照)。すなわち、刃部群60、すなわち複数の刃部61(刃列)が回転軸方向に沿って隣接するように複数並べられているので、刃列と刃列との間には溝は存在しない構成となっている(
図5参照)。
【0019】
図5において、一番左側の刃部群60の刃部61の回転軸の中心から径方向(図中、符号Yで示す方向)の寸法よりも、一番左側から2番目の刃部群60の刃部61の回転軸の中心から径方向の寸法が、刃部61の高さ寸法(Y方向の寸法)だけ小さくなっている。また、一番左側から2番目の刃部群60の刃部61の回転軸の中心から径方向の寸法よりも、一番左側から3番目の刃部群60の刃部61の回転軸の中心から径方向の寸法が、刃部61の高さ寸法だけ小さくなっている。以降、同様に、一番左側から7番目の刃部群60の刃部61の回転軸の中心から径方向の寸法よりも、一番左側から8番目(すなわち、一番右側)の刃部群60の刃部61の回転軸の中心から径方向の寸法が、刃部61の高さ寸法だけ小さくなっている。また、スペーサ9の回転軸の中心から径方向の寸法は、一番左側から8番目(すなわち、一番右側)の刃部群60の刃部61の高さ寸法だけ小さくなっている。
【0020】
このように、本実施の形態の粉砕刃6では、複数の刃部61の回転軸の中心からの径方向の寸法が、回転軸方向に沿って複数の刃部群60毎に段階的に小さくなっている。すなわち、刃列の回転軸の中心からの径方向の寸法が回転軸方向の一端側から他端側に向かう方向に沿って段階的に小さくなっている。あるいは、刃列の回転軸の中心からの径方向の寸法が回転軸方向の他端側から一端側に向かう方向に沿って段階的に大きくなっているということもできる。
【0021】
また、別の見方をすれば、例えば、一番左側から2番目の刃部群60の刃部61の一方の側端部612は、一番左側の刃部群60の円筒体62に当接している。また、一番左側から2番目の刃部群60の刃部61の他方の側端部613は、一番左側から3番目の刃部群60の刃部61の回転軸の中心から径方向の寸法が、刃部61の高さ寸法だけ小さくなっている結果、露出することになる。ここで、側端部613が露出とは、側端部613の表面が何処にも当接しておらず、塞がれていないということである。
【0022】
また、一番左側から3番目の刃部群60の刃部61の一方の側端部612は、一番左側から2番目の刃部群60の円筒体62に当接し、一番左側から3番目の刃部群60の刃部61の他方の側端部613は、露出している。以降、同様に、一番左側から8番目の刃部群60の刃部61の一方の側端部612は、一番左側から7番目の刃部群60の円筒体62に当接し、一番左側から8番目の刃部群60の刃部61の他方の側端部613は、露出している。
【0023】
このように、本実施の形態の粉砕刃6では、一の刃部群60の複数の刃部61の回転軸方向の一方の側端部612は、一の刃部群60に隣接する他の刃部群の円筒体62に当接する。当該一の刃部群60の複数の刃部61の回転軸方向の他方の側端部613は、露出している。すなわち、刃列の一方の側端部612は、隣接する刃列が形成された円筒体62に当接し、刃列の他方の側端部613(すなわち、刃列の径方向の寸法が回転軸方向に向かって段階的に小さく側の側端部)は露出している。
【0024】
次に、本実施の形態の粉砕機50の粉砕刃6による被粉砕物の粉砕について説明する。
【0025】
図6は本実施の形態の粉砕刃6と固定刃7との間に被粉砕物Sが捕らえられた状態の一例を示す模式図であり、
図7は本実施の形態の粉砕刃6により被粉砕物Sが粉砕される様子の一例を示す模式図である。なお、実際の被粉砕物は、スプルランナや成形不良品など様々な形状のものが存在するが、
図6及び
図7では、便宜上、板状の被粉砕物Sが粉砕される様子を示す。
図6は、投入ホッパ(不図示)から投入された被粉砕物Sが、粉砕刃6の回転に伴って固定刃7の方に移動し、粉砕刃6と固定刃7との協働により粉砕されようとする状態を示す。
【0026】
図7は、
図6において、固定刃7の方に向かって見た場合を示す。
図7の左側の図では、各刃部群60の複数の刃部61(刃列)それぞれの刃先611が被粉砕物Sを粉砕する。被粉砕物Sの下部が粉砕刃6で粉砕されると、各刃部61の片方の側端部は露出(開放)しているので、被粉砕物Sは、各刃部61の側端部に沿って矢印の向きに移動(落下)することができ、結果として、被粉砕物Sは、粉砕刃6に向かって下方に下がり、
図7の中央の図のようになる。
【0027】
さらに、粉砕刃6が回転して、被粉砕物Sの下部が粉砕刃6で粉砕されると、各刃部61の片方の側端部は露出しているので、被粉砕物Sは、各刃部61の側端部に沿って矢印の向きに移動(落下)することができ、結果として、被粉砕物Sは、粉砕刃6に向かって下方に下がり、
図7の右側の図のようになり、最後には、所定の大きさ(粒度)で粉砕され、粉砕機50の下方に落下する。
【0028】
上述のように、各刃部61(刃列)の径方向の寸法が回転軸方向に向かって段階的に小さくなるので、被粉砕物は、刃部61の方に向かって移動しやすくなり、被粉砕物が移動することにより、被粉砕物をさらに粉砕することができる。また、刃列と刃列との間の円筒状の溝に代わりに刃部群60が設けられるので、被粉砕物の一部が溝で停留することを防止でき、粉砕処理能力を向上させることができる。また、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0029】
また、各刃部61(刃列)の片方の側端部が露出しているので、被粉砕物は、各刃部61の側端部に沿って移動(落下)することができ、粉砕刃6と固定刃7との協働によって粉砕された粉砕物は、各刃部61(刃列)から離れて自由に落下することができ、所定の回収箱などに回収することができる。これにより、従来の粉砕機では、粉砕刃で所定の大きさ(粒形状)に粉砕された粉砕材を掻き落して、筐体の下側の材料受部へ排出するための板状のスクレーパが設けられていたが、本実施の形態では、スクレーパはなくてもよい。
【0030】
次に、比較例について説明する。
【0031】
図8は比較例としての粉砕機100の構成の一例を示す要部平面図である。
図8に示すように、比較例としての粉砕機100は、固定側壁2、2、及び揺動側壁3、3で囲まれる空間(粉砕室)には、回転軸に嵌装された大回転刃としての粗砕刃104、104、及び小回転刃としての粉砕刃106、106、106が収容される。粗砕刃104、104は、回転軸の周面から円弧状に突出している。すなわち、粗砕刃104、104は、回転方向に向かって先端部(刃先部)が湾曲したアーム状をなし回転軸の軸方向に適長離隔して配置されている。粉砕刃106、106、106は、固定側壁2と粗砕刃104との間、及び粗砕刃104、104の間に配置され、回転軸方向に所定の間隔で環状溝が形成され、隣接する環状溝間の環状突起部の外周面を鋸歯状に形成している。
【0032】
一方の揺動側壁3の内側には、各粗砕刃104及び各粉砕刃106との協働によりスプルランナを粉砕するための矩形の板状の第1固定刃107a、…、及び第2固定刃107bで構成される固定刃107が、内側に向かって下方向に傾斜するように固定されている。
【0033】
第1固定刃107aは、長手方向の寸法が粉砕刃106の軸方向の寸法と略同一であり、長辺側の一方の縁部は、粉砕刃106の刃先と噛み合うように凹凸状に形成された歯部を有し、ボルト(不図示)で揺動側壁3の内側に固定されている。また、第1固定刃107aの短辺側であって粗砕刃104と近接する縁部には、粗砕刃104との協働によりスプルランナを粉砕する歯部を形成している。
【0034】
第2固定刃107bは、長手方向の寸法が揺動側壁3の軸方向の寸法と略同一であり、長辺側の一方の縁部であって、粗砕刃104と近接する箇所には、粗砕刃104との協働によりスプルランナを粉砕する歯部を形成している。第2固定刃107bは、ボルト(不図示)により第1固定刃107a、…の長辺側の他方の縁部に当接するように揺動側壁3の内側に固定されている。
【0035】
他方の揺動側壁3の内側には、粉砕刃106で所定の大きさ(粒形状)に粉砕された粉砕材を掻き落とし、筐体の下側の材料受部(不図示)へ排出するための略矩形の板状のスクレーパ105が、ボルト(不図示)により内側に向かって下方向に傾斜するように固定されている。
【0036】
図9は比較例としての粉砕刃106と固定刃107との間に被粉砕物Sが捕らえられた状態の一例を示す模式図であり、
図10は比較例としての粉砕刃106により被粉砕物Sが粉砕される様子の一例を示す模式図である。なお、実際の被粉砕物は、スプルランナや成形不良品など様々な形状のものが存在するが、
図9及び
図10では、便宜上、板状の被粉砕物Sが粉砕される様子を示す。
図9は、投入ホッパ(不図示)から投入された被粉砕物Sが、粉砕刃106の回転に伴って固定刃107の方に移動し、粉砕刃106と固定刃107との協働により粉砕されようとする状態を示す。
【0037】
図10は、
図9において、固定刃107の方に向かって見た場合を示す。比較例としての粉砕刃106は、円筒体の外周に適長離隔して複数の刃部161(刃列)が形成されている。すなわち、隣り合う刃列の間には、溝162が存在する。
図10に示すように、被粉砕物Sが投入されると、被粉砕物の刃部161に当たる箇所は、粉砕刃106で粉砕されるが、被粉砕物Sの溝162に当たる箇所は、粉砕されず、被粉砕物Sの一部が溝162の間に嵌って停留する可能性がある。この状態で、粉砕刃106が回転すると、被粉砕物Sと溝162とが擦れて粉が発生する。このため、比較例の粉砕機100では、粉砕物の粒度が不均一になる可能性がある。
【0038】
しかし、本実施の形態によれば、前述のとおり、各刃部61(刃列)の径方向の寸法が回転軸方向に向かって段階的に小さくなるので、被粉砕物は、刃部61の方に向かって移動しやすくなり、被粉砕物が移動することにより、被粉砕物をさらに粉砕することができる。また、刃列と刃列との間に溝が存在しないので、被粉砕物の一部が溝で停留することを防止できる。これにより、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0039】
本実施の形態において、複数の刃部61の他方の側端部613に刃面を形成することができる。すなわち、
図5に示すように、刃列の露出している側端部613に刃面を形成することができる。これにより、側端部613の刃面でも被粉砕物を粉砕することができるので、粉砕能力が増大する。
【0040】
また、
図1に例示したように、粉砕刃6を回転軸方向に沿って適長離隔して複数(
図1の例では3個)配置してある。これにより、被粉砕物の処理量を増加することができる。
【0041】
また、
図1に例示したように、固定刃7は、粉砕刃6に係合する固定刃面71を有し、固定刃面71は、複数の刃部群60それぞれの複数の刃部61(刃列)の先端部に対応して段階的に形成してある。粉砕刃6と固定刃7とが協働して、被粉砕物を粉砕する際に、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0042】
図11は本実施の形態の粉砕刃6の構成の第2例を示す外観斜視図であり、
図12は本実施の形態の粉砕刃6の構成の第2例を示す要部縦断面図である。
図3~
図5に例示した第1例との相違点は、円筒状のスペーサ9の外周に複数の刃部91(刃列)を設けた点である。刃部91の形状は、刃部61と同様の形状でもよく、異なる形状でもよい。
図12に示すように、スペーサ9の刃部91の回転軸の中心から径方向の寸法は、一番左側から8番目(すなわち、一番右側)の刃部群60の刃部61の高さ寸法だけ小さくなっている。
【0043】
図13は本実施の形態の粉砕刃6により被粉砕物Sが粉砕される様子の一例を示す模式図である。なお、
図13では、便宜上、板状の被粉砕物Sが粉砕される様子を示す。
図13の左側の図では、スペーサ9の刃部91、及び各刃部群60の複数の刃部61(刃列)それぞれの刃先611が被粉砕物Sを粉砕する。被粉砕物Sの下部が粉砕刃6で粉砕されると、各刃部61の片方の側端部は露出(開放)しているので、被粉砕物Sは、各刃部61の側端部に沿って矢印の向きに移動(落下)することができ、結果として、被粉砕物Sは、粉砕刃6に向かって下方に下がり、
図13の中央の図のようになる。
【0044】
さらに、粉砕刃6が回転して、被粉砕物Sの下部が粉砕刃6で粉砕されると、各刃部61の片方の側端部は露出しているので、被粉砕物Sは、各刃部61の側端部に沿って矢印の向きに移動(落下)することができ、結果として、被粉砕物Sは、粉砕刃6に向かって下方に下がり、
図13の右側の図のようになり、最後には、所定の大きさ(粒度)で粉砕され、粉砕機50の下方に落下する。
【0045】
上述のように、各刃部61(刃列)の径方向の寸法が回転軸方向に向かって段階的に小さくなるので、被粉砕物は、刃部61の方に向かって移動しやすくなり、被粉砕物が移動することにより、被粉砕物をさらに粉砕することができる。また、刃列と刃列との間に溝が存在しないので、被粉砕物の一部が溝で停留することを防止でき、粉砕処理能力を向上することができる。また、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0046】
次に、固定側壁2の構造について説明する。
【0047】
図14は本実施の形態の固定側壁2の内側壁22の構成の一例を示す模式図であり、
図15は本実施の形態の固定側壁2の要部を示す縦断面図である。
図14では、位置関係を明瞭にするため、回転軸25、粉砕刃6のスペーサ9、固定刃7、落下防止板8を図示している。
図14は、固定側壁2を粉砕刃6側から見たものであり、固定側壁2の内側壁22が図示されている。固定側壁2の内側壁22には、形状が円弧の一部をなす溝23が設けられている。すなわち、溝23は、円弧状の形状の一部をなす形状とすることができる。なお、
図14の例では、溝23は、半円弧状であり、回転軸25の中心から溝23の一端に向かう線分と、回転軸25の中心から溝23の他端に向かう線分とが交差する回転軸25の中心において、当該二つの線分のなす角度が180度であるが、これに限定されるものではなく、当該なす角度は、例えば、190度、200度、210度などであってもよい。
【0048】
図15に示すように、内側壁22は、回転軸25の中心からの径方向の寸法が最小となる粉砕刃6の端部に対向する筐体の対向壁である。ここで、端部とは、
図15に示すように、径方向の寸法が最も小さい刃部群60と固定側壁2(筐体)との間に円筒状のスペーサ9が配置されている場合には、スペーサ9とすることができる。なお、
図15の例では、スペーサ9の外周に刃部91を設けてあるが、刃部91を具備しなくてもよい。
【0049】
半円弧状の溝23は、粉砕刃6の端部の外周、すなわち粉砕刃6の回転により刃部91が移動する移動軌跡に沿って設けられている。
図15に示すように、溝23は、底面230、底面230から回転軸25方向に屈曲した内側面231、及び外側面232で囲まれている。内側面231は外側面232よりも回転軸25に近い面である。すなわち、外側面232は、溝23の下側の面となる。また、刃部91の外周部911は、内側面231と外側面232との間に位置するように溝23が設けられている。すなわち、刃部91と固定側壁2の内側壁22との間には、溝23によって空間(隙間)が形成されている。
【0050】
上述のように、端部(スペーサ9)の外周(刃部91)に沿って半円弧状の溝23が設けられているので、端部と内側壁22(対向壁)とによって粉砕された粉砕物が挟まったとしても、溝23によって形成された空間を通じて粉砕物が容易に移動することができるので、粉砕物を取り除くことができる。
【0051】
また、
図15に示すように、外側面232は、底面230から溝23の開口に向かって溝23の幅が大きくなるように傾斜してある。これにより、溝23に入り込んだ粉砕物が外側面232上を下方に滑って、さらに移動し易くなるので、粉砕物を一層良く取り除くことができる。
【0052】
図15の例では、スペーサ9に刃部91が設けられている構成を図示しているが、スペーサ9に刃部91を具備しない構成でもよい。また、スペーサ9を具備しない構成でもよい。この場合、端部は、粉砕刃6の複数の刃部群60のうち、径方向の寸法が最も小さい刃部群とすることができる。
【0053】
図16は本実施の形態の粉砕機50の構成の第2例を示す要部平面図である。前述の第1例では、粉砕刃6は、回転軸方向の一方側から他方側に向かって、回転軸の中心から刃部61までの径が段階的に小さくなる構成であったが、これに限定されない。例えば、
図16に示すように、粉砕刃6の中央部から回転軸方向の両端側に向かって、回転軸の中心から刃部61までの径が段階的に小さくなる構成でもよい。別言すれば、粉砕刃6の回転軸方向の両端側から中央部に向かって、回転軸の中心から刃部61までの径が段階的に大きくなる。
【0054】
第2例においても、各刃部61(刃列)の径方向の寸法が回転軸方向に向かって段階的に小さくなるので、被粉砕物は、刃部61の方に向かって移動しやすくなり、被粉砕物が移動することにより、被粉砕物をさらに粉砕することができる。また、刃列と刃列との間の円筒状の溝に代わりに刃部群60が設けられるので、被粉砕物の一部が溝で停留することを防止でき、粉砕処理能力を向上させることができる。また、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0055】
図17は粉砕刃6の刃部61の形状の他の例を示す模式図である。
図17に示すように、複数の刃部61それぞれは、回転軸回り(図中、符号Bで示す方向)の先端部に設けた刃先611だけでなく、後端部に刃先615を形成することができる。これにより、刃列の先端部だけでなく後端部にも刃先615を形成してあるので、粉砕刃6を符号Bで示す回転方向だけでなく、逆回転させても被粉砕物を粉砕することができる。なお、この場合、落下防止板8に代えて固定刃7を取り付ければよい。これにより、粉砕刃6を逆転させることができるので、粉砕刃6の寿命を長くすることができる。また、粉砕刃6を逆転することにより、被粉砕物の停留をさらに防止できる。
【0056】
図18は本実施の形態の粉砕機50の構成の第3例を示す要部平面図である。前述の第1例との違いは、隣り合う粉砕刃6の間に粗砕刃4を備える点である。粗砕刃4(大回転刃との称する)は、回転軸回りの先端部が湾曲したアーム状をなす。
図18の例では、粉砕機50は、2枚の粗砕刃4を備える。粗砕刃4を備えることにより、形状が大きなスプルランナを粉砕することができる。なお、粗砕刃4は必須ではないので、具備しなくてもよい。対象とする被粉砕物の種類に応じて、必要であれば、粗砕刃4を取り付けるようにすればよい。ただし、粗砕刃4を取り付ける場合は、粉砕室に投入する被粉砕物の量が所定量を超えないように、制限する必要がある。
【0057】
図19は本実施の形態の粉砕機50の構成の第4例を示す要部平面図である。前述の第2例との違いは、第3例と同様に、隣り合う粉砕刃6の間に粗砕刃4を備える点である。粗砕刃4は、回転軸回りの先端部が湾曲したアーム状をなす。
図19の例では、粉砕機50は、2枚の粗砕刃4を備える。粗砕刃4を備えることにより、形状が大きなスプルランナを粉砕することができる。なお、粗砕刃4は必須ではない。対象とする被粉砕物の種類に応じて、必要であれば、粉砕室に投入する被粉砕物の量を制限した上で、粗砕刃4を取り付けるようにすればよい。
【0058】
上述のように、本実施の形態によれば、被粉砕物が粉砕刃上で、例えば、溝に嵌って停留することがないので、被粉砕物が溝などの表面で擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0059】
また、刃部の片方の側端部を露出することができ、当該側端部に刃面を形成することにより、刃部の先端部だけでなく側端部でも被粉砕物を粉砕することができるので、粉砕能力を増大させることができる。また、
図1と
図16において例示したように、刃列の組み合わせを変更することができるので、被粉砕物の種類や形状など様々な態様の被粉砕物(例えば、不良成形品のようなブロック状の塊など)を粉砕することができる。
【0060】
また、本実施の形態の粉砕機50は、被粉砕物が停留しないので、従来の粉砕機のように粗砕刃(大回転刃)で停留している被粉砕物を粗砕する必要がなく、結果として粗砕刃を必要としない。これにより、形状の大きな大回転刃による粗砕に必要な大きな切断トルクが不要となり、粉砕機を小型化することができる。また、大回転刃によって粗砕された形状の比較的大きな粉砕物が回収されないように、半円弧状のカバーを回転軸の下方に設ける必要がなく、結果として、粉砕機を軽量、小型化することができ、コストを低減することもできる。また、大きな切断トルクが不要となるので、例えば、モータの容量を、大回転刃を備える粉砕機の場合のモータの容量の1/3程度にすることができ、減速機トルクで十分となり、強度が不要となる。また、大きなモータが不要となるので、消費電力を低減することができる。
【0061】
また、
図17において例示したように、刃部61の先端部と後端部に刃先611、615を設けることにより、粉砕刃6を逆回転させて被粉砕物を粉砕することができ、粉砕刃6の寿命を長くすることができる。また、粉砕刃6を正回転と逆回転とを適度な時間間隔又は頻度で繰り返すことにより、被粉砕物の停留をさらに防止することができる。
【0062】
また、従来の大回転刃を備える構成の場合、大回転刃は、粉砕刃に比べると、その形状が大きく、一度に多量の被粉砕物を取り込んでしまうため、筐体で囲まれた粉砕室に多量の被粉砕物を収容することができない。このため、投入ホッパから被粉砕物を投入する際にインターバルを設けて、一定量以上の被粉砕物が投入されるのを制限する必要があったが、本実施の形態によれば、被粉砕物が停留しないので、かつ大回転刃を具備しないので、そのようなインターバルを設ける必要がなく、処理時間を短縮することができる。また、被粉砕物の投入量の多少に応じて、粉砕刃6の回転数を増やす(例えば、従来であれば、25rpmから30rpm程度であったものを、さらに増やす)ことができる。
【0063】
図20A、
図20B及び
図20Cは固定刃7付近の要部の一例を示す説明図である。
図20Aは、固定刃7と粉砕刃6との係合状態を示す平面図を示し、
図20Bは、固定刃7の構造を分かりやすくするため、粉砕刃6を省略した平面図を示し、
図20Cは、
図20Bの符号Cで示す方向から見た正面図である。符号72は固定板である。固定板72は、回転軸方向(図の符号Xで示す方向)に沿って長尺上の板体であり、ボルト172により筐体に固定されている。固定刃7は、固定板72と複数の小固定刃73とを有する。小固定刃73は、固定刃7と同様に、粉砕刃6に係合する固定刃面を有し、固定刃面は、複数の刃部群60それぞれの複数の刃部61(刃列)の先端部に対応して段階的に形成してある。粉砕刃6と小固定刃73とが協働して、被粉砕物を粉砕する際に、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0064】
小固定刃73は、お互いに適長(符号dで示す)離隔して、ボルト171によって固定板72に固定してある。なお、小固定刃73は、回転軸方向に沿って微小の移動が可能に取り付けられ、位置を微調整した後にボルト171によって固定できる。小固定刃73は、回転軸方向に沿って適長離隔して固定板72に固定されているので、隣り合う小固定刃73の間隔を調整して固定板72に固定することができる。粉砕刃6の複数の刃部群が回転軸方向に沿って隣接するように並べられた場合に、各刃部群の回転軸方向の寸法誤差が累積されても、小固定刃73の固定位置を調整することができるので、粉砕刃6と小固定刃73とを適切に係合させることができる。なお、小固定刃73の間に寸法調整用のスペーサを装着してもよい。また、粉砕刃6の隣り合う刃部群のうち所望の位置にスキマゲージのような寸法調整用の部材を装着してもよい。
【0065】
(第2実施形態)
前述の第1実施形態では、複数の刃部群60それぞれの複数の刃部61(刃列)の先端部が段階的に形成してある構成であったが、これに限定されない。以下、第2実施形態について説明する。
【0066】
図21は第2実施形態の粉砕刃6の要部の一例を示す側面図である。
図22は第2実施形態の粉砕機の粉砕刃6付近の要部の一例を示す側面図である。図に示すように、複数の刃部の回転軸の中心からの径方向の寸法は、隣接する刃部群で異なる。各刃部(刃列)の径方向の寸法が隣接する刃部群で異なるので、被粉砕物は、刃部の方に向かって移動しやすくなり、被粉砕物が移動することにより、被粉砕物をさらに粉砕することができる。これにより、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。以下、具体的に説明する。
【0067】
図21に示すように、第1刃部群は、回転軸25に嵌装された円筒体162の外周に回転軸回りに沿って形成された複数の刃部161を備える。刃部161は、回転軸回りの先端部に刃先を形成してある。第2刃部群は、回転軸25に嵌装された円筒体262の外周に回転軸回りに沿って形成された複数の刃部261を備える。刃部261は、回転軸回りの先端部に刃先を形成してある。第1刃部群の複数の刃部161の回転軸の中心からの径方向の寸法は、第2刃部群の複数の刃部261の回転軸の中心からの径方向の寸法より大きい。また、第1刃部群と第2刃部群とは、回転軸方向に沿って隣接(密接)するように並べられているので、刃列と刃列との間には溝は存在しない構成となっている。
【0068】
図22に示すように、第2刃部群の複数の刃部261それぞれの回転軸25の軸回りの寸法は、回転軸25の中心からの径方向に向かって小さくなる。別言すれば、第2刃部群の円筒体の外周262aに形成された刃部261の先端側面又は後端側面と、回転軸25の中心と刃部261の先端部又は後端部261aとを結ぶ面とのなす角度αが0°以上となっている。なお、
図22に示すように、第1刃部群の円筒体の外周162aに形成された刃部161の先端側面又は後端側面と、回転軸25の中心と刃部161の先端部又は後端部161aとを結ぶ面とのなす角度βを0°以上としてもよい。
【0069】
図23及び
図24は被粉砕物が排出される様子の一例を示す模式図である。
図23に示すように、第2刃部群の複数の刃部261それぞれの回転軸の軸回りの寸法は、回転軸の中心からの径方向に向かって小さくなる。これにより、第2刃部群の隣り合う刃部261の隙間に被粉砕物(符号Sで示す)が入り込んでも、刃部261から被粉砕物に対して弾性反力を作用させることができ、被粉砕物が隙間から排出される。これにより、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0070】
また、
図24に示すように、第1刃部群は、複数の刃部161の回転軸の中心からの径方向の寸法が大きく、第2刃部群は、複数の刃部261の回転軸の中心からの径方向の寸法が第1刃部群の場合よりも小さい。第2刃部群の隣り合う刃部261の隙間を間にして第2刃部群に隣接する2つの第1刃部群それぞれの円筒体162を対向配置してある。当該円筒体162の回転軸方向の寸法(幅寸法)は、回転軸の中心からの径方向に向かって小さくなる。
【0071】
上述の構成により、第2刃部群の隣り合う刃部261の隙間に被粉砕物が入り込んでも、円筒体162の幅寸法が径方向に向かって小さくなるように、円筒体162はテーパ面162bを有している(テーパ状にしてある)ので、円筒体162から被粉砕物(符号Sで示す)に対して弾性反力を作用させることができ、被粉砕物が隙間から排出される。これにより、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。なお、
図24に示すように、第1刃部群の複数の刃部161の回転軸方向の寸法(幅寸法)を、回転軸の中心からの径方向に向かって小さくすることもできる。この場合、円筒体162のテーパ面162bと刃部161のテーパ面161bとが同一平面となるようにすればよい。これにより、被粉砕物をさらに排出し易くなる。
【0072】
図25は第2実施形態の粉砕機50の構成の他の例を示す要部平面図であり、
図26は第2実施形態の粉砕機50の構成の他の第1例を示す要部側面図である。図に示すように、複数の刃部61は、回転軸25回りの先端部に刃先を形成してあり、複数の刃部61の回転軸25の中心からの径方向の寸法は、隣接する刃部群(第1刃部群及び第2刃部群)で同等である。これにより、刃部群を共通化することができ、固定刃7の刃先を直線状にすることができ、固定刃7の形状も簡単になる。
【0073】
また、
図26に示すように、第2刃部群(例えば、
図26で手前の刃部群)の隣り合う刃部61aの隙間Gaを間にして第2刃部群に隣接する2つの第1刃部群(例えば、
図26で奥側の刃部群)それぞれの刃部61bを対向配置してある。これにより、第2刃部群の隣り合う刃部61aの間の隙間Gaと、第1刃部群の隣り合う刃部61bの間の隙間Gbとが回転軸25方向に沿って重ならないので、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0074】
図27は第2実施形態の粉砕機50の構成の他の第2例を示す要部側面図である。
図26との相違点は、固定刃7と落下防止板8とが、略同一平面となるように配置してある。すなわち、固定刃7の上面と落下防止板8の上面とのなす角度は、
図27のように略180°としてもよく、
図26のように略90°としてもよく、あるいは被粉砕物の種類に応じて略90°から略180°の範囲内の適切な角度とすることができる。
【0075】
上述の実施の形態において、粉砕機が粗砕刃4を備えない場合には、押し込み装置によって被粉砕物を粉砕刃に向かって押し込むことにより、処理能力(例えば、粉砕量、粉砕時間)を向上させることができる。以下、押し込み装置の具体例について説明する。
【0076】
図28は斜め押し込みタイプの押し込み装置120の一例を示す側面図である。
図28では、便宜上、粉砕刃が見えるように図示している。投入ホッパ110から投入された被粉砕物は、粉砕機50の粉砕刃の方へ落下すると、ガイド付きエアシリンダ121によって押し込み部が所定のストロークで斜め前後運動を行い、これによって被粉砕物を粉砕刃の方へ押し込むことができる。
【0077】
図29は上下押し込みタイプの押し込み装置130の一例を示す側面図である。
図29では、便宜上、粉砕刃が見えるように図示している。投入ホッパ110から投入された被粉砕物は、粉砕機50の粉砕刃の方へ落下すると、ガイド付きエアシリンダによって押し込み部131が所定のストロークで上下運動を行い、これによって被粉砕物を粉砕刃の方へ押し込むことができる。
【0078】
図30A及び
図30Bは回転押し込みタイプの押し込み装置140の一例を示す説明図である。
図30は、正面から見た構成を示し、
図30Bは、側面から見た構成を示す。
図30では、便宜上、粉砕刃が見えるように図示している。投入ホッパ110から投入された被粉砕物は、粉砕機50の粉砕刃の方へ落下すると、駆動部141による駆動によって、回転押し込み部142が回動し、これによって被粉砕物を粉砕刃の方へ押し込むことができる。
【0079】
上述の実施の形態では、1軸の粉砕機について説明したが、粉砕機は1軸に限定されるものではなく、多軸の粉砕機でもよい。以下では、2軸の粉砕機について説明する。
【0080】
図31は2軸の粉砕機の構成の第1例を示す要部平面図であり、
図32は2軸の粉砕機の構成の第1例を示す要部側面図である。一方の固定側壁2には、軸受10aが取り付けられてあり、他方の固定側壁2には、電動モータが取り付けられた減速機11aが取り付けられてあり、減速機11aを介して電動モータのモータ軸に連動する回転軸25aが固定側壁2、2の間に軸架されている。また、他方の固定側壁2には、軸受10bが取り付けられてあり、一方の固定側壁2には、電動モータが取り付けられた減速機11bが取り付けられてあり、減速機11bを介して電動モータのモータ軸に連動する回転軸25bが固定側壁2、2の間に軸架されている。
【0081】
固定側壁2、2、及び揺動側壁3、3で囲まれる空間(粉砕室)には、回転軸25aに嵌装された回転刃としての粉砕刃6aが収容され、回転軸25bに嵌装された回転刃としての粉砕刃6bが収容される。一方の揺動側壁3には、粉砕刃6aと係合する固定刃7aが固定され、他方の揺動側壁3には、粉砕刃6bと係合する固定刃7bが固定されている。
【0082】
図31に示すように、回転軸25aの中心から径方向の寸法が大きくなる複数の刃部を備える刃部群の位置に、回転軸25bの中心から径方向の寸法が小さくなる複数の刃部を備える刃部群の位置を対応させて粉砕刃6a、6bを取り付けてある。また、別言すれば、回転軸25bの中心から径方向の寸法が大きくなる複数の刃部を備える刃部群の位置に、回転軸25aの中心から径方向の寸法が小さくなる複数の刃部を備える刃部群の位置を対応させて粉砕刃6a、6bを取り付けてある。径方向の寸法が大きい刃部群での粉砕処理能力は、比較的大きく、径方向の寸法が小さい刃部群での粉砕処理能力は、比較的小さいので、上述の構成により、粉砕処理能力を均等化することができる。
【0083】
図32に示すように、回転軸25aは左右回転(図の符号A1、A2)させることができ、回転軸25bは左右回転(図の符号B1、B2)させることができる。通常運転の場合(負荷が余り大きくない場合)には、回転軸25aを符号A1の向きに回転させ、回転軸25bを符号B2の向きに回転させる。負荷が大きい場合には、以下の順番で回転方向を変えることができる。すなわち、回転軸25aを符号A1の向きに回転させ、回転軸25bを符号B1の向きに回転させる。次に、回転軸25aを符号A2の向きに回転させ、回転軸25bを符号B2の向きに回転させる。そして、回転軸25aを符号A2の向きに回転させ、回転軸25bを符号B1の向きに回転させる。
【0084】
図33は2軸の粉砕機の構成の第2例を示す要部平面図であり、
図34は2軸の粉砕機の構成の第2例を示す要部側面図である。
図31及び
図32に示す第1例との相違点は、固定刃7cを備える点である。すなわち、粉砕刃6aと粉砕刃6bとの間に固定刃7cを設けている。固定刃7は、粉砕刃6a及び粉砕刃6bと係合して被粉砕物を粉砕することができる。他の構成は第1例と同様であるので、説明は省略する。固定刃7cを備えることにより、粉砕能力を向上させることができる。
【0085】
本実施の形態の粉砕機は、上側に開口部を有する筐体と、該筐体内で横置きされた回転軸に取り付けられた回転刃と、前記筐体内に配置され前記回転刃と係合する固定刃とを備え、前記回転刃と固定刃との協働により被粉砕物を粉砕する粉砕機であって、前記回転刃は、前記回転軸方向に沿って隣接するように並べた複数の刃部群を備え、前記複数の刃部群それぞれは、前記回転軸に嵌装された円筒体の外周に前記回転軸回りに沿って形成された複数の刃部を備える。
【0086】
粉砕機は、上側に開口部を有する筐体と、筐体内で横置きされた回転軸に取り付けられた回転刃(粉砕刃とも称する)と、筐体内に配置され回転刃と係合する固定刃とを備える。回転刃は、回転軸方向に沿って隣接するように並べた複数の刃部群を備える。複数の刃部群それぞれは、回転軸に嵌装された円筒体の外周に回転軸回りに沿って形成された複数の刃部を備える。複数の刃部は刃列とも称する。すなわち、刃列が回転軸方向に沿って隣接するように複数並べられているので、刃列と刃列との間には溝は存在しない。
【0087】
刃列と刃列との間に溝が存在しないので、被粉砕物の一部が溝で停留することを防止できる。
【0088】
本実施の形態の粉砕機において、前記複数の刃部は、前記回転軸回りの先端部に刃先を形成してあり、前記複数の刃部の前記回転軸の中心からの径方向の寸法が、前記回転軸方向に沿って前記複数の刃部群毎に段階的に小さくなる。
【0089】
複数の刃部の回転軸の中心からの径方向の寸法が、回転軸方向に沿って複数の刃部群毎に段階的に小さくなる。すなわち、刃列の回転軸の中心からの径方向の寸法が回転軸方向に向かって段階的に小さくなる。
【0090】
各刃部(刃列)の径方向の寸法が回転軸方向に向かって段階的に小さくなるので、被粉砕物は、刃部の方に向かって移動しやすくなり、被粉砕物が移動することにより、被粉砕物をさらに粉砕することができる。これにより、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0091】
本実施の形態の粉砕機において、一の刃部群の複数の刃部の前記回転軸方向の一方の側端部は、前記一の刃部群に隣接する他の刃部群の円筒体に当接し、前記複数の刃部の前記回転軸方向の他方の側端部は、露出している。
【0092】
一の刃部群の複数の刃部の回転軸方向の一方の側端部は、一の刃部群に隣接する他の刃部群の円筒体に当接する。当該一の刃部群の複数の刃部の回転軸方向の他方の側端部は、露出している。すなわち、刃列の一方の側端部は、隣接する刃列が形成された円筒体に当接し、刃列の他方の側端部(すなわち、刃列の径方向の寸法が回転軸方向に向かって段階的に小さく側の側端部)は露出している。刃列の側端部が露出しているので、回転刃と固定刃との協働によって粉砕された粉砕物は、刃列から離れて自由に落下することができ、所定の回収箱などに回収することができる。
【0093】
本実施の形態の粉砕機は、前記固定刃よりも前記回転軸側であって、前記回転軸の中心からの径方向の寸法が最小となる前記回転刃の端部に対向する前記筐体の対向壁に、前記端部の外周に沿って円弧の一部をなす溝を設けてある。
【0094】
回転軸の中心からの径方向の寸法が最小となる回転刃の端部に対向する筐体の対向壁であって、固定刃よりも回転軸側の箇所に、回転刃の当該端部の外周に沿って円弧の一部をなす溝を設けてある。回転刃の端部には、回転刃の複数の刃部群のうち、径方向の寸法が最も小さい刃部群が含まれ、あるいは、径方向の寸法が最も小さい刃部群と筐体との間に円筒状のスペーサが配置されている場合には、当該スペーサが含まれる。端部の外周に沿って円弧の一部をなす溝が設けられているので、端部と筐体の対向壁とによって粉砕された粉砕物が挟まったとしても、溝を通じて取り除くことができる。
【0095】
本実施の形態の粉砕機は、前記複数の刃部の前記他方の側端部に刃面を形成してある。
【0096】
複数の刃部の他方の側端部に刃面を形成してある。すなわち、刃列の露出している側端部に刃面を形成しているので、粉砕能力が増大する。
【0097】
本実施の形態の粉砕機において、前記複数の刃部は、前記回転軸回りの後端部に刃先を形成してある。
【0098】
複数の刃部は、回転軸回りの後端部に刃先を形成してある。これにより、刃列の先端部だけでなく後端部にも刃先を形成してあるので、回転刃を逆転させることができ、回転刃の寿命を長くすることができる。また、回転刃を逆転することにより、被粉砕物の停留をさらに防止できる。
【0099】
本実施の形態の粉砕機は、前記回転刃を前記回転軸方向に沿って適長離隔して複数配置してある。
【0100】
回転刃を回転軸方向に沿って適長離隔して複数配置してある。これにより、被粉砕物の処理量を増加することができる。
【0101】
本実施の形態の粉砕機は、隣り合う前記回転刃の間の回転軸に取り付けられ、前記回転軸回りの先端部が湾曲したアーム状をなす大回転刃を備える。
【0102】
隣り合う回転刃の間の回転軸に取り付けられ、回転軸回りの先端部が湾曲したアーム状をなす大回転刃(粗砕刃とも称する)を備える。大回転刃を備えることにより、形状が大きなスプルランナを粉砕することができる。
【0103】
本実施の形態の粉砕機において、前記固定刃は、前記回転刃に係合する固定刃面を有し、前記固定刃面は、前記複数の刃部群それぞれの複数の刃部の先端部に対応して段階的に形成してある。
【0104】
固定刃は、回転刃に係合する固定刃面を有し、固定刃面は、複数の刃部群それぞれの複数の刃部の先端部に対応して段階的に形成してある。回転刃と固定刃とが協働して、被粉砕物を粉砕する際に、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0105】
本実施の形態の粉砕機は、前記回転軸方向に沿って前記筐体に固定された固定板を備え、前記固定刃は、前記回転刃に係合する固定刃面を有し、前記固定板に適長離隔して固定された複数の小固定刃を有する。
【0106】
小固定刃は、回転軸方向に沿って適長離隔して固定板に固定されているので、隣り合う小固定刃の間隔を調整して固定板に固定することができる。回転刃の複数の刃部群が回転軸方向に沿って隣接するように並べられた場合に、各刃部群の回転軸方向の寸法誤差が累積されても、小固定刃の固定位置を調整することができるので、回転刃と固定刃とを適切に係合させることができる。
【0107】
本実施の形態の粉砕機において、前記複数の刃部は、前記回転軸回りの先端部に刃先を形成してあり、前記複数の刃部の前記回転軸の中心からの径方向の寸法は、隣接する刃部群で異なる。
【0108】
複数の刃部の回転軸の中心からの径方向の寸法は、隣接する刃部群で異なる。各刃部(刃列)の径方向の寸法が隣接する刃部群で異なるので、被粉砕物は、刃部の方に向かって移動しやすくなり、被粉砕物が移動することにより、被粉砕物をさらに粉砕することができる。これにより、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0109】
本実施の形態の粉砕機は、複数の刃部の前記回転軸の中心からの径方向の寸法が大きい第1刃部群と、前記第1刃部群に隣接し、複数の刃部の前記回転軸の中心からの径方向の寸法が小さい第2刃部群とを備え、前記第2刃部群の隣り合う刃部の隙間を間にして前記第2刃部群に隣接する2つの前記第1刃部群それぞれの円筒体を対向配置してあり、前記円筒体の前記回転軸方向の寸法は、前記回転軸の中心からの径方向に向かって小さくなるようにしてある。
【0110】
複数の刃部の回転軸の中心からの径方向の寸法が大きい第1刃部群と、第1刃部群に隣接し、複数の刃部の回転軸の中心からの径方向の寸法が小さい第2刃部群とを備える。第2刃部群の隣り合う刃部の隙間を間にして第2刃部群に隣接する2つの第1刃部群それぞれの円筒体を対向配置してある。当該円筒体の回転軸方向の寸法(幅寸法)は、回転軸の中心からの径方向に向かって小さくなる。
【0111】
上述の構成により、第2刃部群の隣り合う刃部の隙間に被粉砕物が入り込んでも、円筒体の幅寸法が径方向に向かって小さくなるようにテーパ状にしてあるので、円筒体から被粉砕物に対して弾性反力を作用させることができ、被粉砕物が隙間から排出される。これにより、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0112】
本実施の形態の粉砕機において、前記第2刃部群の複数の刃部それぞれの前記回転軸の軸回りの寸法は、前記回転軸の中心からの径方向に向かって小さくなるようにしてある。
【0113】
第2刃部群の複数の刃部それぞれの回転軸の軸回りの寸法は、回転軸の中心からの径方向に向かって小さくなる。上述の構成により、第2刃部群の隣り合う刃部の隙間に被粉砕物が入り込んでも、刃部から被粉砕物に対して弾性反力を作用させることができ、被粉砕物が隙間から排出される。これにより、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0114】
本実施の形態の粉砕機は、前記複数の刃部は、前記回転軸回りの先端部に刃先を形成してあり、前記複数の刃部の前記回転軸の中心からの径方向の寸法は、隣接する刃部群で同等である。
【0115】
複数の刃部は、回転軸回りの先端部に刃先を形成してあり、複数の刃部の回転軸の中心からの径方向の寸法は、隣接する刃部群で同等である。これにより、刃部群を共通化することができ、固定刃の刃先を直線状にすることができ、固定刃の形状も簡単になる。
【0116】
本実施の形態の粉砕機は、一の刃部群の隣り合う刃部の隙間を間にして前記一の刃部群に隣接する2つの他の刃部群それぞれの刃部を対向配置してある。
【0117】
一の刃部群の隣り合う刃部の隙間を間にして当該一の刃部群に隣接する2つの他の刃部群それぞれの刃部を対向配置してある。これにより、一の刃部群の隣り合う刃部の間の隙間と、他の刃部群の隣り合う刃部の間の隙間とが回転軸方向に沿って重ならないので、被粉砕物が停留し、擦れて粉が発生することを防止でき、粉砕物の粒度を均一にすることができる。
【0118】
本実施の形態の粉砕機は、前記回転刃が取り付けられ、前記筐体内で横置きされた第1回転軸及び第2回転軸を備え、前記第1回転軸の中心から径方向の寸法が大きくなる複数の刃部を備える刃部群の位置に、前記第2回転軸の中心から径方向の寸法が小さくなる複数の刃部を備える刃部群の位置を対応させて前記回転刃を取り付けてある。
【0119】
第1回転軸の中心から径方向の寸法が大きくなる複数の刃部を備える刃部群の位置に、第2回転軸の中心から径方向の寸法が小さくなる複数の刃部を備える刃部群の位置を対応させて回転刃を取り付けてある。径方向の寸法が大きい刃部群での粉砕処理能力は、比較的大きく、径方向の寸法が小さい刃部群での粉砕処理能力は、比較的小さいので、上述の構成により、粉砕処理能力を均等化することができる。
【0120】
なお、前述の実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0121】
2 固定側壁(筐体)
3 揺動側壁(筐体)
4 粗砕刃(大回転刃)
6、6a、6b 粉砕刃(回転刃)
7、7a、7b、7c 固定刃
8 落下防止板
9 スペーサ
22 内側壁
23 溝
25、25a、25b 回転軸
50 粉砕機
60 刃部群
61、61a、61b、91、161、261 刃部
62、162、262 円筒体
611、615 刃先
612、613 側端部
72 固定板
73 小固定刃
120、130、140 押し込み装置
161a、261a 先端部又は後端部
161b、162b テーパ面
162a、262a 外周
171、172 ボルト