(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】拡径アタッチメント、床面均し装置改造方法及び改造床面均し装置
(51)【国際特許分類】
E04F 21/24 20060101AFI20221024BHJP
E04G 21/10 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
E04F21/24 D
E04G21/10 Z
(21)【出願番号】P 2021075926
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】509205696
【氏名又は名称】株式会社上成テクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】木場 義幸
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04046483(US,A)
【文献】米国特許第06019545(US,A)
【文献】米国特許第05658089(US,A)
【文献】米国特許第06582153(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/24
E04G 21/10
E01C 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工対象床面に接触しながらプロペラ状に回転する動力式の回転鏝と、前記回転鏝の回転領域を覆うように配置された保護リングと、を有する床面均し装置に着脱可能に装着する拡径アタッチメントであって、最外周に位置する前記保護リングの周りを囲んだ状態に配置可能なフレームと、前記フレームを前記保護リングの周りを囲んだ状態に保持する固定手段と、を備えた拡径アタッチメント。
【請求項2】
前記固定手段が、前記保護リングと、前記フレームと、の間に係脱可能に介在する連結部材である請求項1記載の拡径アタッチメント。
【請求項3】
前記連結部材が、少なくとも最外周に位置する前記保護リングに係脱可能に係合する係合部と、前記係合部と一体化し前記フレームを係脱可能に挟持する挟持部と、を備えた請求
項2記載の拡径アタッチメント。
【請求項4】
前記固定手段が、前記フレームに固着され前記保護リングに着脱可能な連結部材若しくは前記保護リングに固着され前記フレームに着脱可能な連結部材である請求項1記載の拡径アタッチメント。
【請求項5】
前記フレームが、互いに連結・分離可能な複数のセグメント部材で形成された請求項1~4の何れかの項に記載の拡径アタッチメント。
【請求項6】
前記フレームが、最外周に位置する前記保護リングと相似形をなす請求項1~5の何れかの項に記載の拡径アタッチメント。
【請求項7】
施工対象床面に接触しながらプロペラ状に回転する動力式の回転鏝と、前記回転鏝の回転領域を覆うように配置された保護リングと、を備えた床面均し装置に対して、請求項1~6の何れかの項に記載の拡径アタッチメントを装着する床面均し装置改造方法。
【請求項8】
施工対象床面に接触しながらプロペラ状に回転する動力式の回転鏝と、前記回転鏝の回転領域を覆うように配置された保護リングと、請求項1~6の何れかの項に記載の拡径アタッチメントと、を備えた改造床面均し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル建設現場や各種コンクリート構造物の建設工事現場などにおいて、打設後のコンクリート床面やモルタル床面の均し作業や仕上げ作業などを行う際に使用する床面均し装置の改造方法、改造に用いる拡径アタッチメント及び拡径アタッチメントを備えた改造床面均し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートやモルタルを使用して建築物の床面を施工する場合、施工現場に打設された生コンクリートを平坦に均す、床レベル出し作業を行った後、数時間放置し、その後、「トロウェル」と呼ばれる床面均し装置を用いてコンクリート床面を満遍なく加圧して平面化する作業が行われている。
【0003】
前記作業において使用される床面均し装置(トロウェル)は、コンクリート床面に接触した状態でプロペラ状に回転する動力式の回転鏝を有するものが代表的である(例えば、特許文献1参照)。このような床面均し装置を使用することにより、コンクリート床面を加圧平面化する作業を効率化することができる。
【0004】
前述した床面均し装置(トロウェル)の性能は、回転鏝の回転面の半径(以下「回転半径」と略記することがある)で左右されるので、施工現場の床面積が広い場合は回転半径が大きな床面均し装置が使用され、床面積が狭い場合は回転半径が小さな床面均し装置が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、床面均し装置は、施工現場の床面積の広狭に応じて使い分けられているが、施工現場の状況によっては、回転半径の大きな床面均し装置のみ、若しくは、回転半径の小さな床面均し装置のみでは対応できない場合がある。このような場合、回転鏝の回転半径が大小異なる複数の床面均し装置を使用することによって対応できるのであるが、複数の床面均し装置を施工現場に搬入するには大型の搬送車両を必要とするだけでなく、運搬車両への床面均し装置の積み下ろしにも労力と時間を要するので、実際には単数の床面均し装置で作業が行われている状況である。
【0007】
このため、床面積の広い施工現場において回転半径の小さな床面均し装置による均し作業が行われたり、床面積の狭い施工現場において回転半径の大きな床面均し装置による均し作業が行われたりしているのが実状であり、前者の場合は均し作業に多大なる時間を要しており、後者の場合は床面の隅々などにおける均し作業に支障が生じている。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、施工現場の床面積の広狭や床面形状の違いなどに応じて、床面均し装置の回転鏝の回転半径を変更する場合に使用可能な拡径アタッチメント、前記拡径アタッチメントを用いた床面均し装置改造方法及び前記拡径アタッチメントを備えた改造床面均し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る拡径アタッチメントは、施工対象床面に接触しながらプロペラ状に回転する動力式の回転鏝と、前記回転鏝の回転領域を覆うように配置された保護リングと、を有する床面均し装置に着脱可能に装着する拡径アタッチメントであって、最外周に位置する前記保護リングの周りを囲んだ状態に配置可能なフレームと、前記フレームを前記保護リングの周りを囲んだ状態に保持する固定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
なお、前記拡径アタッチメントのフレームは、最外周に位置する前記保護リングの周りを囲む状態に配置可能なものであればよく、その平面視形状は限定しないので、最外周に位置する前記保護リングの形状や施工現場の条件などに応じて、例えば、円形状、長円形状、楕円形状、多角形状、閉曲線形状などとすることができる。
【0011】
前記拡径アタッチメントにおいて、前記固定手段は、前記保護リングと、前記フレームと、の間に係脱可能に介在する連結部材を用いることができる。
【0012】
ここで、前記連結部材は、少なくとも最外周に位置する前記保護リングに係脱可能に係合する係合部と、前記係合部と一体化し前記フレームを係脱可能に挟持する挟持部と、を備えたものを用いることができる。
【0013】
また、拡径アタッチメントにおいて、前記固定手段は、前記フレームに固着され前記保護リングに着脱可能な連結部材若しくは前記保護リングに固着され前記フレームに着脱可能な連結部材を用いることもできる。
【0014】
前記拡径アタッチメントにおいては、前記フレームを、互いに連結・分離可能な複数のセグメント部材で形成することができる。
【0015】
前記拡径アタッチメントにおいては、前記フレームが、最外周に位置する前記保護リングと相似形をなすようにすることができる。
【0016】
次に、本発明に係る床面均し装置改造方法は、施工対象床面に接触しながらプロペラ状に回転する動力式の回転鏝と、前記回転鏝の回転領域を覆うように配置された保護リングと、を備えた床面均し装置に対して、前述した何れかの拡径アタッチメントを装着することを特徴とする。
【0017】
次に、本発明に係る改造床面均し装置は、施工対象床面に接触しながらプロペラ状に回転する動力式の回転鏝と、前記回転鏝の回転領域を覆うように配置された保護リングと、前述した何れかの拡径アタッチメントと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、施工現場の床面積の広狭や床面形状の違いなどに応じて、床面均し装置の回転鏝の回転半径を変更する場合に使用可能な拡径アタッチメント、前記拡径アタッチメントを用いた床面均し装置改造方法及び前記拡径アタッチメントを備えた改造床面均し装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態である改造床面均し装置の一部省略斜視図である。
【
図2】
図1に示す改造床面均し装置の一部省略拡大図である。
【
図3】
図2中に示す拡径アタッチメントの一部省略平面図である。
【
図4】
図3中の矢線Aで示す領域の一部省略底面図である。
【
図5】
図1中に示す拡径アタッチメントを構成するフレームの一部省略平面図である。
【
図6】
図5に示すフレームの一部省略分解図である。
【
図7】その他の実施形態である拡径アタッチメントを示す一部省略平面図である。
【
図8】その他の実施形態である拡径アタッチメントを示す一部省略平面図である。
【
図9】その他の実施形態である改造床面均し装置の一部省略平面図である。
【
図10】
図9に示す改造床面均し装置の一部省略側面図である。
【
図11】
図9中に示す拡径アタッチメントを構成するフレームの一部省略平面図である。
【
図13】連結部材に関するその他の実施形態を示す一部省略断面図である。
【
図14】連結部材に関するその他の実施形態を示す一部省略断面図である。
【
図15】連結部材に関するその他の実施形態を示す一部省略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1~
図15に基づいて、本発明の実施形態である改造床面均し装置100,200、拡径アタッチメント30,50及び床面均し装置改造方法などについて説明する。
【0021】
初めに、
図1~
図5に基づいて、改造床面均し装置100並びに拡径アタッチメント30について説明する。
図1に示すように、改造前の床面均し装置99は、トロウェルとも呼ばれ、施工対象床面(例えば、打設後のコンクリート床面)に接触しながら、原動機5により駆動されプロペラ状に回転する複数の回転鏝1と、安全確保のため回転鏝1の回転領域を覆うように配置された保護リング2,3と、を備えている。
【0022】
原動機5は取付ベース4に搭載され、原動機5の出力軸(図示せず)は減速機6を介して複数の放射状アームから成る回転伝達体7に連接されている。複数の回転伝達体7の先端側には、それぞれ文鎮状の固定部材8及びネジ9を介して回転鏝1が取り付けられている。ネジ9を緩めれば、回転鏝1は固定部材8とともに回転伝達体7に着脱可能である。取付ベース4から斜め下方に複数の支持脚10が延設され、支持脚10の下端側に保護リング2,3が取り付けられている。
【0023】
改造前の床面均し装置99に拡径アタッチメント30を装着すると、改造床面均し装置100が形成される。拡径アタッチメント30は、フレーム36と、複数の連結部材35と、を備えている。フレーム36は、最外周の保護リング3より直径が大きな円形状をなしている。複数の連結部材35はフレーム36の固定手段である。フレーム36は、最外周に位置する保護リング3の周りを同心円状に囲む状態で配置され、複数の連結部材35を介して保護リング3に着脱可能に固定されている。
【0024】
図2,
図3に示すように、連結部材35は、最外周に位置する保護リング3と支持脚10との接合部に係脱可能に取り付けられている。連結部材35は、保護リング3に係脱可能に係合する断面L字状の複数の係合部31a,31bと、フレーム36を係脱可能に挟持するUボルト32を備えた挟持部33と、係合部31a,31bと挟持部33とを一体的に結合する結合板34を備えている。複数の係合部31a,31bは、結合板34の長手方向(保護リング3の円周方向)に隙間d1を隔てて配置され、一方の係合部31aの上面には、他方の係合部31bに向かって突出するように係止杆37が固着されている。
【0025】
係止杆37の先端部37aと他方の係合部31bとの間には、支持脚10が通過可能な隙間d2が設けられている。係止杆37と結合板34との間には支持脚10が進入可能な隙間d3が設けられ、この隙間は係止杆37の基端部37bから先端部37aに向かうにつれて拡幅している。また、係止杆37と結合板34との間に進入した支持脚10を固定するための係止ボルト38が結合板34の外面(挟持部33が固着された面)から係止杆37に向かって螺着されている。
【0026】
最外周に位置する保護リング3に拡径アタッチメント30を装着する場合、フレーム36を、保護リング3の周りを囲んだ状態に配置する。この後、
図2,
図3に示すように、複数の連結部材35を、それぞれ支持脚10と保護リング3との接合部13(倒立T字状をなす部分)に取り付ける。この場合、接合部13付近の保護リング3の外側に連結部材35を配置し、係止杆37の先端部37aと係合部31bの隙間d2に支持脚10を差し込み、係合部31a,31bにより保護リング3を上方から挟んだ状態にした後、連結部材35全体を保護リング3の円周方向に沿って反時計回り(
図2,
図3中の矢線S方向)に移動させ、支持脚10を係止杆37と結合板34との隙間d3に進入させる。
【0027】
係止杆37と結合板34との隙間d3は係合部31aに近づくにつれて狭まっているので、支持脚10の外径に応じて適切な位置まで支持脚10を進入させることができる。支持脚10が係止杆37と結合板34との間に挟まれたら、係止ボルト38を締め付けることにより、連結部材35を支持脚10と保護リング3との接合部13(倒立T字状をなす部分)に固定する。
【0028】
この後、
図3,
図4に示すように、挟持部33の下面側に位置するフレーム36を挟持するようにUボルト32を取り付け、挟持部33の上面側からナット39で締め付ける。このような作業を複数の連結部材35について行えば、フレーム36が保護リング3の周りにおいて、保護リング3との間に距離Dを隔てて保護リング3を囲んだ状態に保持、固定される。
【0029】
この後、保護リング3の外径より大きく、且つ、フレーム36の外径より小さな回転面を有する回転鏝1を回転伝達体7に取り付ければ、回転鏝1の回転面は、既設の回転鏝の回転面よりも広くなるので、改造前の床面均し装置99(
図1参照)に比べ、改造床面均し装置100の作業効率は、大幅に向上する。
【0030】
また、フレーム36は、係合部31a,31b、結合板34及び係止杆37などを有する複数の連結部材35によって保護リング3に固定されているので、フレーム36の周りに複数の作業者を配置して、それぞれフレーム36を把持すれば、改造床面均し装置100を容易に持ち上げたり、運んだりすることができる。
【0031】
一方、拡径アタッチメント30は保護リング3に着脱可能であるため、前述と逆の手順で作業を行い、拡径アタッチメント30を保護リング3から離脱させ、回転鏝1を元の回転鏝に交換すれば、改造床面均し装置100は改造前の床面均し装置99の状態に戻すことができる。このように、拡径アタッチメント30を使用することにより、施工現場の床面積の広狭や床面形状の違いなどに応じて、床面均し装置99の回転鏝の回転半径より大きな回転半径の回転鏝を有する改造床面均し装置100に改造することができる。
【0032】
前述した拡径アタッチメント30を構成するフレーム36は保護リング3と相似形をなす一体的に連続した円形の部材であるが、
図5,
図6に示すフレーム36Xのように、互いに連結・分離可能な複数のセグメント部材36a,36bで形成することもできる。
図5に示すフレーム36Xは、
図6に示すように半円形をした二つのセグメント部材36a,36bで形成されている。セグメント部材36a,36bは金属管で形成され、それぞれの一方の端部は開口部36e,36fとなっており、他方の端部には開口部36e,36fに挿入・離脱可能な細径部36c,36dが設けられている。
【0033】
セグメント部材36aの細径部36cをセグメント部材36bの開口部36fに挿入するとともに、セグメント部材36bの細径部36dをセグメント部材36aの開口部36eに挿入することによって
図5に示す円形のフレーム36Xを形成することができる。また、前述と逆の作業を行うことにより、フレーム36Xは
図6に示す二つのセグメント部材36a,36bに分離することができるので、運んだり、保管したりする際の収容スペースを削減することができる。互いに連結・分離可能な拡径部品の個数は限定しないので、三つ以上のセグメント部材でフレームを形成することもできる。
【0034】
次に、
図7,
図8に基づいて、本発明のその他の実施形態である拡径アタッチメント20,25について説明する。なお、拡径アタッチメント20,25を構成する部分において
図1~
図4中に示す拡径アタッチメント30を構成する部分と共通する部分については
図1~
図4中の符号と同符号を付して説明を省略することがある。
【0035】
図7に示す拡径アタッチメント20は、改造前の床面均し装置99(
図1参照)の保護リング3の周りを囲むように配置可能なフレーム36と、フレーム36を保護リング3に着脱可能に固定する複数の連結部材21とを備えている。
図7に示す拡径アタッチメント20と、
図3に示す拡径アタッチメント30と、は、フレーム36に対する連結部材21の固定手段が異なっている。
【0036】
具体的には、連結部材21を構成する係止板22は、
図3中に示す挟持部33と同形状であるが、拡径アタッチメント20においては、係止板22が溶接部Wによってフレーム36に固着されている。フレーム36の円周方向における複数の連結部材21の取り付け位置は、拡径アタッチメント20の取り付け対象である保護リング3における支持脚10との接合部13の位置に対応している。
【0037】
拡径アタッチメント20を保護リング3に装着する場合、
図7に示すように、フレーム36に固定された複数の連結部材21の位置を、保護リング3と支持脚10との接合部13の位置に合うように配置し、保護リング3の上方から、支持脚10の接合部13側を係止杆37の先端部37aと係合部31bとの隙間d2に進入させた後、フレーム36全体を反時計回り(矢線S方向)に回転させて支持脚10を係止杆37と結合板34との隙間d3に進入させ、この後、それぞれの連結部材21の係止ボルト38を締め付ければ、連結部材21が接合部13付近に固定されることにより、フレーム36が保護リング3に固定され、拡径アタッチメント20の装着が完了する。
【0038】
拡径アタッチメント20を取り外す場合は、それぞれの連結部材21の係止ボルト38を緩めた後、フレーム36全体を時計回り(矢線Sと逆方向)に回転させ、前述と逆の作業を行えばよいので、拡径アタッチメント20の着脱は容易である。
【0039】
図8に示す拡径アタッチメント25は、改造前の床面均し装置99(
図1参照)の保護リング3の周りを囲むように配置可能なフレーム36と、フレーム36を保護リング3に着脱可能に固定する複数の連結部材26とを備えている。
図8に示す拡径アタッチメント25と、
図7に示す拡径アタッチメント20と、は、フレーム36に対する連結部材21の固定手段が異なっている。
【0040】
具体的には、連結部材26を構成する係止板27は、
図7中に示す係止板22と同形状であるが、拡径アタッチメント25においては、係止板27が溶接部Wによって円弧状の管状体28に固着されている。管状体28はフレーム36の外周に装着されている。管状体28の内径はフレーム36の外径以上であり、管状体28の曲率半径はフレーム36の曲率半径と同等であるため、複数の管状体28はそれぞれ連結部材26と共にフレーム36の円周方向(矢線R方向)に沿ってスライド可能である。
【0041】
従って、フレーム36の円周方向における複数の連結部材26の位置は、拡径アタッチメント25の取り付け対象である保護リング3における支持脚10との接合部13の位置に応じて変更可能である。
【0042】
拡径アタッチメント25を保護リング3に装着する場合、
図8に示すように、フレーム36の円周方向に沿ってスライド可能に装着された複数の連結部材26の位置を、保護リング3と支持脚10との接合部13の位置に合うように調整し、保護リング3の上方から、支持脚10の接合部13側を係止杆37の先端部37aと係合部31bとの隙間d2に進入させた後、連結部材26を管状体28と共に反時計回りに回転させて支持脚10を係止杆37と結合板34との隙間d3に進入させ、この後、それぞれの連結部材26の係止ボルト38を締め付ければ、連結部材26が接合部13付近に固定されることによりフレーム36が保護リング3に固定され、拡径アタッチメント25の装着が完了する。
【0043】
拡径アタッチメント25を取り外す場合は、それぞれの連結部材26の係止ボルト38を緩めた後、連結部材26を管状体28と共にフレーム36の円周方向に沿って時計回りに回転させ、前述と逆の作業を行えばよいので、拡径アタッチメント25の着脱は容易である。
【0044】
次に、
図9~
図13に基づいて、改造床面均し装置200並びに拡径アタッチメント50などについて説明する。
【0045】
図9,
図10に示すように、改造前の床面均し装置199は、騎乗式トロウェルとも呼ばれ、均し対象床面Fに接触しながらプロペラ状に回転する複数の動力式の回転鏝11,12と、安全確保のため回転鏝11,12の回転領域を覆うように配置された保護リング201,202と、を備えている。取付ベース205から下方に向かって複数の支持脚203,204が延設され、支持脚203,204の下端側に保護リング202が取り付けられている。
【0046】
取付ベース205の上方には、作業者(図示せず)が搭乗して腰掛けるための搭乗部16が設けられ、搭乗部16の下方には、回転鏝11,12を駆動するための原動機14及び原動機14の回転を減速して回転鏝11,12に伝えるための動力伝達機構15などが配置され、搭乗部16の前方には、作業者が左右の手で操作する2本の操作ハンドルH1,H2が起立状に配置されている。
【0047】
取付ベース205上に搭載された動力伝達機構15の出力軸15aの回転は複数のプーリP1,P2,P3及びベルトB1,B2などを介して取付ベース205の下方に設けられた複数の放射状アームから成る回転伝達体7に伝えられる。複数の回転伝達体7の先端側には、それぞれ文鎮状の固定部材8及びネジ9を介して回転鏝11,12が取り付けられている。ネジ9を緩めれば、回転鏝1は固定部材8とともに回転伝達体7に着脱可能である。
【0048】
改造前の床面均し装置199に拡径アタッチメント50を装着すると、改造床面均し装置200が形成される。拡径アタッチメント50は、フレーム51と、複数の連結部材35,40と、を備えている。フレーム51は、最外周に位置する保護リング202より長径及び短径が大きな長円形状をなしている。複数の連結部材35,40はフレーム51の固定手段である。フレーム51は、最外周に位置する保護リング202の周りを囲む状態で配置され、複数の連結部材35,40を介して保護リング202に着脱可能に固定されている。
【0049】
図9,
図10に示す連結部材35は、
図2~
図4中に示す連結部材35と同様の構造、機能を有しており、各々の連結部材35は、支持脚203,204の下方側と保護リング203との接合部53,54付近において、保護リング202と、保護リング202を囲むように配置されたフレーム51と、を着脱可能に固定する機能を有する。
【0050】
図9に示す連結部材40は、保護リング202とフレーム51とを着脱可能に固定する機能を有する。連結部材40は、
図13に示すように、上下に重合可能な複数の挟持部材41,42と、重合した挟持部材41,42をその状態に保持するボルト43及び蝶ナット44と、を備えている。挟持部材41,42の両端部分にはそれぞれ短樋形状の挟持部41a,41b,42a,42bが設けられている。
【0051】
図13に示すように、保護リング202を挟持部41a,42aの間に挟持し、フレーム51を挟持部41b,42bの間に挟持し、挟持部41a,42aと挟持部41b,42bとの中間付近に位置するボルト43及び蝶ナット44を締め付ければ、保護リング202とフレーム51とは距離Dを隔てた状態で固定される。
【0052】
図9に示すように、保護リング202の周りにおいて、保護リング202との間に距離Dを隔てて保護リング3を囲んだ状態に配置されたフレーム51が複数の連結部材35,40によって保持、固定されたら、保護リング202の範囲内で回転する改造前の回転刃(図示せず)より回転面が大きく、且つ、フレーム51の範囲内で回転する複数の回転鏝11,12を回転伝達体7に取り付けると、改造床面均し装置200が完成する。
【0053】
改造床面均し装置200の使い方は、改造前の床面均し装置199と同様であり、作業者(図示せず)は搭乗部16に腰掛けて、2本の操作ハンドルH1,H2をそれぞれ左右の手で把持し、前後左右に傾動操作することにより、改造床面均し装置200全体を前進後退させたり、左右移動させたり、方向変換させたりすることができる。前述したように、回転鏝11,12の回転面は、改造前の回転鏝の回転面よりも広くなるので、改造前の床面均し装置199に比べ、改造床面均し装置200の作業効率は、大幅に向上する。
【0054】
また、フレーム51は複数の連結部材35,40によって保護リング202に固定されているので、フレーム51の周りに複数の作業者を配置して、それぞれフレーム51を把持すれば、改造床面均し装置200を容易に持ち上げたり、運んだりすることができる。
【0055】
一方、拡径アタッチメント50は保護リング202に着脱可能であるため、前述と逆の手順で作業を行い、拡径アタッチメント50を保護リング202から離脱させ、回転鏝11,12を元の回転鏝に交換すれば、改造床面均し装置200は改造前の床面均し装置199の状態に戻すことができる。このように、拡径アタッチメント50を使用することにより、施工現場の床面積の広狭や床面形状の違いなどに応じて、床面均し装置199の回転鏝の回転半径より大きな回転半径の回転鏝を有する改造床面均し装置100に改造することができる。
【0056】
前述した拡径アタッチメント50を構成するフレーム51は保護リング202と相似形をなす一体的に連続した長円形の部材であるが、
図11に示すフレーム51Xのように、互いに連結・分離可能な複数のセグメント部材51a,51b,51c,51dで形成することもできる。
図11に示すフレーム51Xは、
図12に示すように半円形状の二つのセグメント部材51a,51bと、直線状の二つのセグメント部材51c,51dで形成されている。
【0057】
セグメント部材51a,51b,51c,51dは何れも金属管で形成され、セグメント部材51c,51dの両端部分は開口部51h,51i,51j,51kとなっており、セグメント部材51a(51b)の両端部分にはそれぞれ開口部51h,51j(51i,51k)に挿入・離脱可能な細径部51e,51f(51g,51h)が設けられている。
【0058】
セグメント部材51aの細径部51e,51fをセグメント部材51c,51dの開口部51h,51jに挿入するとともに、セグメント部材51bの細径部51g,51hをセグメント部材51c,51dの開口部51i,51kに挿入することにより、
図11に示す長円形のフレーム51Xを形成することができる。また、前述と逆の作業を行うことにより、フレーム51Xは
図12に示す四つのセグメント部材51a,51b,51c,51dに分離することができるので、運んだり、保管したりする際の収容スペースを削減することができる。互いに連結・分離可能な拡径部品の個数は限定しないので、四つ以上のセグメント部材でフレームを形成することもできる。
【0059】
次に、
図14,
図15に基づいて、その他の実施形態である連結部材60,70について説明する。
図14に示す連結部材60並びに
図15に示す連結部材70は何れも
図9中に示す連結部材40に代えて使用可能である。
【0060】
図14に示す連結部材60は、ヒンジ部65を介して、互いに重合したり分離したりするように開閉できるように連結された二つの挟持部材61,62と、重合した挟持部材61,62をその状態に保持するボルト63及び蝶ナット64と、を備えている。挟持部材61,62の両端部分にはそれぞれ短樋形状の挟持部61a,61b,62a,62bが設けられている。挟持部材61,62においてヒンジ部65と反対側の端部(挟持部61b,62bの外側)に平板状の係合部61c,62cが設けられ、上下に対向する係合部61c,62cを下から上に向かって貫通するようにボルト63が配置され、係合部61cから突出するボルト63の先端側に蝶ナット64が螺着されている。
【0061】
図14に示すように、挟持部62a上に保護リング202を配置し、挟持部62b上にフレーム51を配置した後、ヒンジ部65を閉じて保護リング202を挟持部61a,62aの間に挟持するとともに、フレーム51を挟持部61b,62bの間に挟持した後、対向する係合部61c,62cを下から上に貫通するようにボルト63を挿通し、係合部61cから突出するボルト63の先端側に蝶ナット64を螺着して締め付ければ、保護リング202とフレーム51とは距離Dを隔てた状態で固定される。
【0062】
次に、
図15に示す連結部材70は、ヒンジ部73を介して、互いに重合したり分離したりするように開閉できるように連結された二つの挟持部材71,72と、重合した挟持部材71,72をその状態に保持する磁石74,75と、を備えている。挟持部材71,72の両端部分にはそれぞれ短樋形状の挟持部71a,71b,72a,72bが設けられている。挟持部材71,72においてヒンジ部73と反対側の端部(挟持部71b,72bの外側)に平板状の係合部71c,72cが設けられている。また、挟持部材71,72が上下に対向する部分(挟持部71a,72aと挟持部71b,72bとの間で対向する部分)の間並びに係合部71c,72cが上下に対向する部分の間に、それぞれ磁石74,75が挟持されている。
【0063】
図15に示すように、保護リング202を挟持部72a上に配置し、フレーム51を挟持部72b上に配置し、挟持部72aと挟持部72bとの間の挟持部材72上に磁石74を吸着させるとともに係合部72c上に磁石75を吸着させた後、ヒンジ部73を閉じて保護リング202を挟持部71a,72aの間に挟持するとともに、フレーム51を挟持部71b,72bの間に挟持した状態にすると、磁石74,75の磁力により挟持部材71,72は対向状態に保持されるので、保護リング202とフレーム51とは距離Dを隔てた状態で固定される。
【0064】
図15に示す連結部材70を構成する磁石74,75は限定しないが、
図9に示す改造床面均し装置200の使用中に挟持部材71,72が分離しない程度に両者を吸着保持できる強力な磁力を有する磁石(例えば、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石、プラセオジム磁石など)が好適である。
【0065】
図13,
図14,
図15に示す連結部材40,60,70は、
図9に示す騎乗式の改造床面均し装置200におけるフレーム51の固定手段として使用可能であるが、これに限定するものではないので、
図1に示す改造床面均し装置100におけるフレーム36の固定手段としても使用可能である。
【0066】
なお、
図1~
図15に基づいて説明した床面均し装置の改造方法、改造床面均し装置100,200並びに拡径アタッチメント30,20,25,50は、本発明に係る床面均し装置の改造方法、改造床面均し装置並びに拡径アタッチメントを例示するものであり、本発明に係る床面均し装置改造方法、改造床面均し装置並びに拡径アタッチメントは前述した床面均し装置の改造方法、改造床面均し装置100,200並びに拡径アタッチメント30,20,25,50に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る床面均し装置及び拡径アタッチメントは、コンクリート床面やモルタル床面などの構築工事を行う土木建設業や土木建築業などの産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1,11,12 回転鏝
2,3,202,203 保護リング
4,205 取付ベース
5,14 原動機
6 減速機
7 回転伝達体
8 固定部材
9 ネジ
10,203,204 支持脚
13 接合部
15 動力伝達機構
15a 出力軸
16 搭乗部
21,26,35,40,60,70 連結部材
22,27 係止板
20,25,30,50 拡径アタッチメント
28 管状体
31a,31b,61c,62c,71c,72c 係合部
32 Uボルト
33,41a,41b,42a,42b,61a,61b,62a,62b,71a,71b,72a,72b 挟持部
34 結合板
36,36X,51,51X 拡径フレーム
36a,36b,51a,51b,51c,51d セグメント部材
36c,36d,51e,51f,51g,51h 細径部
36e,36f,51h,51i,51j,51k 開口部
37 係止杆
37a 先端部
37b 基端部
38 係止ボルト
39 ナット
41,42,61,62,71,72 挟持部材
43,63 ボルト
44,64 蝶ナット
65,73 ヒンジ部
74,75 磁石
99,199 改造前の床面均し装置
100,200 改造床面均し装置
d1,d2,d3 隙間
D 距離
F 均し対象床面
H1,H2 操作ハンドル
P1,P2,P3 プーリ
W 溶接部
【要約】
【課題】施工現場の床面積の広狭や床面形状の違いなどに応じて床面均し装置の回転鏝の回転半径を変更する場合に使用可能な拡径アタッチメント、拡径アタッチメントを用いた床面均し装置改造方法及び拡径アタッチメントを備えた改造床面均し装置を提供する。
【解決手段】改造床面均し装置100は、施工対象床面(例えば、打設後のコンクリート床面)に接触しながらプロペラ状に回転する動力式の複数の回転鏝1と、回転鏝1の回転領域を覆うように配置された保護リング2,3と、を有し、最外周に位置する保護リング3の周りを囲む状態で拡径アタッチメント30が着脱可能に装着されている。拡径アタッチメント30は、外周に位置する保護リング3の周りを囲んだ状態に配置可能なフレーム36と、拡径フレーム36を保護リング3の周りを囲んだ状態に保持する複数の連結部材35と、を備えている。
【選択図】
図1