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特許7162939電力ケーブル、その製造方法、およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】電力ケーブル、その製造方法、およびその使用
(51)【国際特許分類】
   H01B 9/00 20060101AFI20221024BHJP
   H01B 9/02 20060101ALI20221024BHJP
   H01B 7/14 20060101ALI20221024BHJP
   H01B 13/14 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
H01B9/00 Z
H01B9/02 A
H01B7/14
H01B13/14 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021568849
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 NO2020050076
(87)【国際公開番号】W WO2020190149
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】20190358
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521434838
【氏名又は名称】ブルー シー ノルウェー アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘレソエ、ベルント ヘンリック
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-032205(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109192372(CN,A)
【文献】国際公開第2015/005857(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0234596(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 9/00
H01B 9/02
H01B 7/14
H01B 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海中用途のための電力ケーブルであって、
前記電力ケーブルは、
前記電力ケーブルの中心に配置される抗張力体(1)と、
第1の絶縁層(3)であって、前記抗張力体(1)が前記第1の絶縁層(3)に埋設される第1の絶縁層(3)と、
保護用の外側シース(9)と
を備え、
前記電力ケーブルは、前記第1の絶縁層(3)の中に埋設される、1つまたは複数の第1のアルミニウム導体(4)をさらに備え、
前記第1の絶縁層(3)は、非架橋の固体の、エチレン、ポリエチレン、またはエチレンプロピレンゴムを含む、
電力ケーブル。
【請求項2】
前記抗張力体(1)と前記第1の絶縁層(3)との間に位置付けられる第1の半導電性の外側遮蔽体(2)と、
前記絶縁層(3)を囲む第2の半導電性の外側遮蔽体(5)と、
を備える、請求項1記載の電力ケーブル。
【請求項3】
前記電力ケーブルは、第3の半導電性の外側遮蔽体(5’)に囲む第2の絶縁層(3’)を備え、
前記第2の絶縁層(3’)は、前記第2の半導電性の外側遮蔽体(5)を囲み、
1つまたは複数の第2のアルミニウム導体(4’)は、前記第2の絶縁層(3’)の中に埋設されている、請求項2記載の電力ケーブル。
【請求項4】
前記電力ケーブルは、円形の断面を備え、
前記電力ケーブルは、周方向に等間隔に配置される、2つ以上の第1のアルミニウム導体(4)をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の電力ケーブル。
【請求項5】
前記電力ケーブルは、周方向に等間隔に配置される、2つ以上の第2のアルミニウム導体であって、前記第1のアルミニウム導体(4)の各々の中点が、前記電力ケーブルの中点を通り、かつ、第2のアルミニウム導体(4’)の1つだけの中点を通る1つの直線上にあるように、周方向に等間隔に配置される、第2のアルミニウム導体をさらに備える、請求項4記載の電力ケーブル。
【請求項6】
前記抗張力体(1)は、ワイヤの束を備え、
前記第1のアルミニウム導体(4)は、複数のアルミニウムワイヤからなる、1つまたは複数のリングを備える、請求項1記載の電力ケーブル。
【請求項7】
前記電力ケーブルは、
前記絶縁層(3)を囲む第2の半導電性の外側遮蔽体(5)と、
前記第2の半導電性の外側遮蔽体(5)を囲む第2の絶縁層(3’)と、
前記第2の絶縁層(3’)を囲む第3の半導電性の外側遮蔽体(5’)と
をさらに備える、請求項6記載の電力ケーブル。
【請求項8】
前記第2の絶縁層(3’)は、非架橋の固体ポリマーを含む、請求項7記載の電力ケーブル。
【請求項9】
前記第2の絶縁層(3’)は、非架橋の固体の、エチレン、ポリエチレン、またはエチレンプロピレンゴムを含む、請求項7記載の電力ケーブル。
【請求項10】
前記電力ケーブルは、第1の金属遮蔽体(6)および/または第2の金属遮蔽体(7)をさらに備え、
前記第1の金属遮蔽体(6)および/または前記第2の金属遮蔽体(7)は、半導電性のテープ包装部(8)に包まれ、前記外側シース(9)の内側の直近に位置付けられている、請求項1~9のいずれか1項に記載の電力ケーブル。
【請求項11】
記第1の金属遮蔽体(6)および/または前記第2の金属遮蔽体(7)は、銅または鉛を含む、請求項10記載の電力ケーブル。
【請求項12】
前記第1の金属遮蔽体(6)および/または前記第2の金属遮蔽体(7)は、軟銅を含む、請求項11記載の電力ケーブル。
【請求項13】
前記電力ケーブルは、前記外側シース(9)を囲む鉛カバーをさらに備える、請求項1~12のいずれか1項に記載の電力ケーブル。
【請求項14】
前記電力ケーブルは、マルチコア電力ケーブルであり、
前記マルチコア電力ケーブルは、請求項1~13のいずれか1項に記載の1つまたは複数の電力ケーブル(10)を備え、
前記マルチコア電力ケーブルにおいて、前記1つまたは複数の電力ケーブル(10)、1つまたは複数の重み要素(11)、および少なくとも1つの機能要素(12)が、押出絶縁層(13)に埋設されている、電力ケーブル。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の電力ケーブルを製造するための方法であって、
前記抗張力体(1)および1つまたは複数の前記導体(4)の上に、1つの単一ステップにおいて、ポリマーの第1の絶縁層(3)を押出成形するステップを含む、方法。
【請求項16】
第2の絶縁層(3’)が、前記第1の絶縁層(3)および1つまたは複数の第2のアルミニウム導体(4’)の上に押出成形される、電力ケーブルを製造するための請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記第2の絶縁層(3’)は、前記第1の絶縁層(3)とともに共押出成形される、電力ケーブルを製造するための請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第1の絶縁層(3)および前記第2の絶縁層(3’)は、順に押出成形される、電力ケーブルを製造するための請求項16記載の方法。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか1項に記載の電力ケーブルの使用であって、
中電圧から高電圧までの海中用途における、電力ケーブルの使用。
【請求項20】
請求項15~18のいずれか1項に記載の電力ケーブルを製造するための方法によって製造される電力ケーブルの使用であって、
中電圧から高電圧までの海中用途における、電力ケーブルの使用。
【請求項21】
前記中電圧から高電圧までの海中用途が、洋上の風車のためのケーブル基盤、または海中用ポンプの駆動の用途を含む、請求項19または20記載の電力ケーブルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電力ケーブル、その製造方法、および海中用途(subsea applications)におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年にわたって、海中用の高電圧(HV)電力ケーブルの予期しない故障が増加している。ほとんどの場合、そのような故障は、架橋ポリエチレン(PEX)、高度に複雑化された材料の使用によって生じているように思われている。PEXは、最大70℃までの温度に代わって、最大90℃までの導体動作温度に適応させるという、陸上用のケーブルに対する設計上の要求の変化に応じて、HVケーブル製造用の材料として最初に導入された。この温度要求は、周囲の温度が0℃を超えて数℃よりも大きな温度に達することはほとんどない、一般的に冷たい海中の海洋環境とは無関係のように思われる。
【0003】
材料の観点からは、最大66キロボルトまで動作する、特に導体の電界ストレスが低下したレベルで維持されるときに動作するHVケーブルには、エチレン、ポリエチレン、およびエチレンプロピレンゴムなどの非架橋ポリマーが使用され得ない理由はない。しかし、HVケーブルにおいて、電界ストレスを許容レベルまで低下させるためには、導体の外径を増加させる必要があり、そのため、外側のケーブル用の外装のコストが、かなりの程度まで増加し、重大な重量の不利益をもたらし、さらにはHVケーブルの取り扱いの容易性を低下させる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、電力ケーブルに関するものであり、電力ケーブルは、電力ケーブルの中心に配置される抗張力体と、第1の絶縁層であって、抗張力体が第1の絶縁層に埋設される第1の絶縁層と、保護用の外側シースとを備え、電力ケーブルは、第1の絶縁層の中に埋設される、1つまたは複数の第1のアルミニウム導体をさらに備える。
【0005】
本発明は、独創的な電力ケーブルを製造するための方法にも関するものであり、当該方法は、抗張力体および1つまたは複数の導体の上に、1つの単一ステップにおいて、ポリマーの第1の絶縁層を押出成形するステップを含む。
【0006】
最後に、本発明は、洋上の風車(offshore windmill)のためのケーブル基盤、または海中用ポンプの駆動などの、中電圧から高電圧までの海中用途における、独創的な電力ケーブルの使用に関する。
【0007】
本発明は、アルミニウム系導体を使用しているが、これは、従来使用されている銅系導体に比較して、導体の径が増加することを必要とする。さらに、本発明は、従来使用されている外側の外装を、電力ケーブルの中心に配置される内側の抗張力体に置き換えている。内側の抗張力体を使用することによって、導体の外径は、抗張力体を収容するように径方向に拡大されるという点で、さらに増加する。この構成でもって、従来の電力ケーブルと比較して、電界ストレスを著しく減少させ、高価な外側の外装を安全に省略することができる。さらに、電界ストレスの低下により、絶縁体の厚さを低減させることができ、固体で非架橋の、エチレン、ポリエチレン、またはエチレンプロピレンゴム材料を絶縁体として使用することが可能であり、これにより、PEXを置き換えて、上記の問題を解決する。
【0008】
内側に抗張力体を設け、従来使用されている外側の外装を省略することのさらなる利点は、全体的なケーブルの直径、全体的なケーブルの重量、およびケーブルの剛性が減少することである。本発明に係る低比重の電力ケーブルは、水に沈めたときに、その剛性を低減するとともに、キャタピラの設置中のように、電力ケーブルを設置するときに、クランプ力を低くし、取り扱いを改善することができる。したがって、本発明に係る電力ケーブルは、従来のケーブルよりも柔軟であり、その結果、より束縛しやすく。
【0009】
最後に、一般的には、外側の外装は電力ケーブルの材料のコスト全体の40%を占めるので、従来の外側の外装を省略することで、コストを著しく低下させる。
【0010】
本発明に係る電力ケーブルのさらなる利点は、アルミニウムの導体が、半導電部の絶縁を不要にすることであり、これにより、電力ケーブルを形成する多面日必要な構成要素の数を減少させるとともに、電力ケーブル自体の全体的な直径を減少させる。
【0011】
最後に、固体の絶縁材料は、従来の電力ケーブルに比べて、通常ではみられない、耐破砕性を電力ケーブルに持たせる。固体設計と、その結果として、PEX泡沫(PEX foam)に存在するようなボイドがないことにより、本願に係る電力ケーブルは、いわゆるスーパードライ設計(super dry design)を保証する。スーパードライ設計は、厳密な乾燥構造を意味し、ケーブルの耐用年数のどの時点においても、ケーブル材料に存在するボイドが水で充填される潜在的な危険性はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電力ケーブルの概略断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る電力ケーブルの概略断面図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係る電力ケーブルの概略断面図である。
図4A】マルチコア電力ケーブルの構成を示す図である。
図4B】マルチコア電力ケーブルの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力ケーブルの概略断面図である。電力ケーブルは、電力ケーブルの中心に配置される抗張力体1と、抗張力体1を囲む第1の絶縁層3とを備え、外側シース9によって環境から保護されている。第1の絶縁層3の中には、1つまたは複数の、好ましくは3つの第1のアルミニウム導体4が埋設されている。各第1のアルミニウム導体は、各導体に対して直径は同じである円形の断面を有していてもよい。導体の直径は、電力ケーブルの所望の用途に応じて、選択され得る。
【0014】
さらに、電力ケーブルは、抗張力体1を囲む第1の半導電性の外側遮蔽体2と、絶縁層3を囲む第2の半導電性の外側遮蔽体5とを備えていてもよい。電力ケーブルは、第1の金属遮蔽体6および/または第2の金属遮蔽体7を随意に備えていてもよく、ここで、第1および/または第2の金属遮蔽体は、不良検査を容易にするなどの、種々の機能を有していてもよい。第1および/または第2の金属遮蔽体は、半導電性のテープ包装部8によって包まれている。
【0015】
円形の断面および2つ以上の第1のアルミニウム導体4を備える電力ケーブルに対して、当該導体は、好ましくは、周方向に等間隔に配置される。このことは、3つの導体を備える一実施形態についての図1に示されている。(最大1kVまでの)中電圧から(1kVを超える)高電圧までの用途では、通常、3つ以上の相が必要とされ、電力ケーブルは、対応する数の導体を備えている。
【0016】
表1に、第1の実施形態に係る例示的な電力ケーブルの典型的な機械的性質を示す。
【0017】
【表1】
【0018】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る電力ケーブルの断面の概略図である。第1の実施形態に対応する特徴部には、同じ引用符号が付されている。第2の実施形態は、好ましくは、第3の半導電性の外側遮蔽体5’によって囲まれている第2の絶縁層3’がさらに設けられるという点で、第1の実施形態と相違する。第2の絶縁層3’は、第1の絶縁層3を囲み、存在する場合、第2の半導電性の外側遮蔽体5を囲んでいる。第2の絶縁層3’の中には、1つまたは複数の第2のアルミニウム導体4’が埋設されている。各第2のアルミニウム導体は、円形の断面を有していてもよく、好ましくは、第1のアルミニウム導体4の直径と第2のアルミニウム導体4’の直径は、同じである。
【0019】
円形の断面を有し、2つ以上の第2のアルミニウム導体4’を備える電力ケーブルについては、当該導体は、周方向に等間隔に配置されるのが好ましい。このことは、3つの導体を備える一実施形態についての図2に示されている。
【0020】
図2は、第1のアルミニウム導体4の各々の中点が、電力ケーブルの中点を通り、かつ、第2のアルミニウム導体4’の1つだけの中点を通る1つの直線上にあるように、周方向に等間隔に配置される、3つの第1のアルミニウム導体4および3つの第2のアルミニウム導体4’を備える電力ケーブルを示している。図2の構成は、代わりに、2つ、4つ、または5つ以上の第1および第2のアルミニウム導体を備えていてもよい。この構成により、電力ケーブルを、2つの中電圧から高電圧の用途で作動するときに、同時に使用することができる。たとえば、交流用途で電力ケーブルが使用されるときは、2つの海中用ポンプを同時に作動させることができ、一式のアルミニウム導体4および4’それ自体によって、電力をそれぞれに供給することができる。代替的に、電力ケーブルが直流送電ケーブル(DC export cable)として使用されるときは、3つの第1のアルミニウム導体4は、1つの直流導体相として機能してもよく、一方で、3つの第2のアルミニウム導体4’は、アース線として機能してもよい。後者の使用では、海上の風車からの電力の供給に特に関連する。
【0021】
抗張力体1は、鋼、好ましくは、高張力鋼などの高張力材料、複合材料またはアラミド材(Kelvar)を含んでいる。さらに、抗張力体1は、たとえば、ロッド、ワイヤ、またはワイヤの束の形態の固体であってもよい。代替的に、抗張力体は、チューブの形態の中空であってもよい。抗張力体1は、その中心に位置付けられる温度センサーなどのさらなる要素を備えていてもよい。
【0022】
本発明の第3の実施形態に係る電力ケーブルの概略断面図が図3に示されている。本実施形態では、ワイヤの束の形態の抗張力体1が、1つまたは複数のワイヤからなるリングの形態の、1つまたは複数の第1のアルミニウム導体4によって囲まれていて、両方とも第1の絶縁層3に埋設されている。第2の絶縁層5は、第1の外側の半導電性シート2によって第1の絶縁層3から分離されるように設けられている。
【0023】
第3の実施形態に係る1つまたは複数の電力ケーブルは、束ねられてマルチコア電力ケーブルとなり、その変形例が、図4Aおよび図4Bに示されている。マルチコア電力ケーブルは、第3実施形態に係る1つまたは複数の電力ケーブル10を備え、随意に、1つまたは複数の重み要素11と、随意に、さらなる機能要素12とを備えていてもよい。機能要素は、たとえば、光ファイバケーブルまたは信号ケーブルを備えていてもよい。重み要素11は、亜鉛または鉛を含んでいてもよい。1つまたは複数の電力ケーブル10、重み要素11、および機能要素12は、押出絶縁層13に埋設されている。半導電性の外側遮蔽体は、絶縁層13を囲むように設けられている。マルチコア電力ケーブルは、半導電性の外側遮蔽体を囲む外側シースによって、環境から保護されている。
【0024】
図4Aおよび図4Bは、3つの電力ケーブル10と、1つのさらなる機能要素12と、を備える構成を示している。図4Aでは、2つの重み要素11が設けられ、図4Bでは、多数の重み要素11が設けられている。
【0025】
図4Aの実施形態に係る例示的な電力ケーブルの典型的な機械的性質が表2に示されている。表1に列挙される種々のケーブル質量、水中重量、重量比、および剛性の値は、存在する重み要素の量と種類に応じて、当然変わってもよい。
【0026】
【表2】
【0027】
本発明に係る電力ケーブルを製造するための方法は、抗張力体1上と、1つまたは複数の第1のアルミニウム導体4の上に、第1の絶縁層3を押出成形するステップを含んでいる。その結果、抗張力体1および1つまたは複数の第1のアルミニウム導体4は、第1の絶縁層3の中に埋設されることになる。さらに、1つまたは複数の第2のアルミニウム導体4’のすべては、第2の絶縁層3’の中に埋設されている。第2の実施形態に係る電力ケーブルを製造するために、第2の絶縁層3’は、さらなる工程ステップにおいて、1つまたは複数の第2のアルミニウム導体4’の上に押出成形される。第1の工程ステップおよび第2の工程ステップは、既に押出成形されている第1の絶縁層3上に第2の絶縁層3’を押出成形するように、順に行われてもよいし、または共押出成形によって同時に行われてもよい。
【0028】
本発明に係る方法は、従来の電力ケーブル製造方法とは反対に、各導体は、まず自身の絶縁層に最初に埋設され、その際に、所望の数の絶縁された導体が一緒に束ねられて、別の外側の層によって所定の位置で保持される。その結果、本発明に係る方法は、かなりのコスト削減を実現し、かつ、従来の電力ケーブル製造方法に比べて、はるかに簡単に実施される。
【0029】
第1、第2、および第3の半導電性の外側遮蔽体2、5、および5’は、ポリマー、好ましくはポリエチレン、ポリスチレン、またはポリアミドを含んでいる。
【0030】
第1および第2の絶縁層3および3’は、非架橋ポリマー、好ましくは、エチレン、ポリエチレン、またはエチレンプロピレンゴムを含んでいる。
【0031】
随意的な第1および第2の金属遮蔽体6および7は、銅、好ましくは、軟銅(annealed copper)または鉛を含んでいる。金属遮蔽体は、好ましくは、テープまたはシースの形態で設けられる。半導電性テープ包装部8は、ポリアミド(ナイロン)を含んでいる。最後に、外側シース9は、高密度ポリエチレンを含み、下層の上に押出成形されてもよいし、テープの形態で下層の周囲を包んでいてもよい。
【0032】
図1図2、および図3の電力ケーブルは、円形の断面を有するように示されているが、これは、単に例示目的としているだけであり、決して限定されない。楕円形や長方形など、他の断面形状を使用することもできる。
【0033】
本発明に係る電力ケーブルは、外側シースを囲む鉛ジャケット(lead jacket)をさらに設けてもよい。そのような鉛カバーの追加により、重量が重くなり、海中用途には望ましい。さらに、鉛カバーは、電力ケーブルの耐用年数を、最大50年までと、かなり増加させる。
【0034】
添付のクレームによって規定された発明の範囲は、上記実施形態および実施例によっては決して限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B