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特許7162943てんかん診断用の情報処理装置、てんかん診断用の情報処理方法、およびてんかん診断用のコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】てんかん診断用の情報処理装置、てんかん診断用の情報処理方法、およびてんかん診断用のコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/37 20210101AFI20221024BHJP
   A61B 5/384 20210101ALI20221024BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
A61B5/37
A61B5/384
A61B5/055 383
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022041129
(22)【出願日】2022-03-16
(62)【分割の表示】P 2021199978の分割
【原出願日】2021-12-09
【審査請求日】2022-03-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521061715
【氏名又は名称】株式会社E.P.Medical
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】松丸 祐司
(72)【発明者】
【氏名】石田 宏輝
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0120457(US,A1)
【文献】特開2007-111118(JP,A)
【文献】特開2020-192327(JP,A)
【文献】特表2016-528002(JP,A)
【文献】特開2002-360538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/291-5/293
A61B 5/369-5/37
A61B 5/055
A61B 5/06
A61B 10/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の脳組織における、電気信号の検出の標的である第1箇所の指定を受け付ける受付手段と、
血管内に配置されるてんかん診断用のデバイスにおける、血管内デリバリー性能、サイズ、拡張力、有効長、径、併用に適したカテーテルの径のうち、少なくとも1つを含むワイヤー情報を受け付けるワイヤー情報受付手段と、
前記被験者の脳組織内または近傍における血管のうち、前記ワイヤー情報に基づいて、前記デバイスを配置可能な血管の位置または領域であって、前記デバイスによる前記第1箇所からの電気信号の検出に適した第2箇所を特定する特定手段と、
前記血管における前記第2箇所を所定の表示部に表示する表示制御手段と、
を有するてんかん診断用の情報処理装置。
【請求項2】
前記デバイスの情報を受け付けるデバイス受付手段をさらに有し、
前記特定手段は、前記デバイスの情報に基づいて前記第2箇所を特定する、
請求項1に記載のてんかん診断用の情報処理装置。
【請求項3】
前記デバイスの情報には、前記デバイスの血管内デリバリー性能に関わる情報が含まれる、
請求項2に記載のてんかん診断用の情報処理装置。
【請求項4】
前記デバイスの情報には、前記デバイスのサイズおよび/または拡張力に関わる情報が含まれる、
請求項2または3に記載のてんかん診断用の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2箇所は、上矢状静脈洞より血流の上流側の前記血管における位置である、
請求項1から4のいずれか一項に記載のてんかん診断用の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2箇所は、前記血管の内径が1mm以上10mm以下の前記血管における位置である、
請求項1から5のいずれか一項に記載のてんかん診断用の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記脳組織を示す第1画像と前記血管を示す第2画像とを並べて前記表示部に表示する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のてんかん診断用の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記第1画像と前記第2画像に加えて、血管造影検査によって得られた第4画像を所定の表示部に表示する、
請求項7に記載のてんかん診断用の情報処理装置。
【請求項9】
生物の血管内に配置され、その付近の血管外に位置する脳組織の活動の検知のための電極を少なくとも一つ備えるワイヤー型の血管内デバイスであって、
請求項1から8のいずれか一項に記載のてんかん診断用の情報処理装置によって表示される前記第2箇所に配置して、前記第1箇所からの電気信号の検出に用いられる、
血管内デバイス。
【請求項10】
コンピュータが、
被験者の脳組織における、電気信号の検出の標的である第1箇所の指定を受け付ける受付ステップと、
血管内に配置されるてんかん診断用のデバイスにおける、血管内デリバリー性能、サイズ、拡張力、有効長、径、併用に適したカテーテルの径のうち、少なくとも1つを含むワイヤー情報を受け付けるワイヤー情報受付ステップと、
前記被験者の脳組織内または近傍における血管のうち、前記ワイヤー情報に基づいて、前記デバイスを配置可能な血管の位置または領域であって、前記デバイスによる前記第1箇所からの電気信号の検出に適した第2箇所を特定する特定ステップと、
前記血管における前記第2箇所を所定の表示部に表示する表示制御ステップと、
を実行するてんかん診断用の情報処理方法。
【請求項11】
被験者の脳組織における、電気信号の検出の標的である第1箇所の指定を受け付ける受付ステップと、
血管内に配置されるてんかん診断用のデバイスにおける、血管内デリバリー性能、サイズ、拡張力、有効長、径、併用に適したカテーテルの径のうち、少なくとも1つを含むワイヤー情報を受け付けるワイヤー情報受付ステップと、
前記被験者の脳組織内または近傍における血管のうち、前記ワイヤー情報に基づいて、前記デバイスを配置可能な血管の位置または領域であって、前記デバイスによる前記第1箇所からの電気信号の検出に適した第2箇所を特定する特定ステップと、
前記血管における前記第2箇所を所定の表示部に表示する表示制御ステップと、
をコンピュータによって実行させるためのてんかん診断用のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、てんかん診断用の情報処理装置、てんかん診断用の情報処理方法、およびてんかん診断用のコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
難治性てんかん(薬剤によって発作症状の緩和が認められないてんかん)等の手術では、外科的に脳組織の一部を切除する手術が行われている。切除する箇所の同定には様々な手法がとられているが、それぞれ課題が多い。
例えば、頭皮に貼り付けられた電極により脳波を測定することが行われている。このような脳波の測定は、非侵襲であって、多くの施設で実施可能である反面、空間分解能や時間分解能が低く、切除すべき箇所を正しく同定できない虞がある。
【0003】
また、例えば、開頭の上、硬膜下電極の貼付や深部脳波電極を挿入することにより脳波を測定することが行われている。このような脳波の測定は、空間分解能や時間分解能が高い一方で、非常に高侵襲であり、上述のような頭蓋内電極によって合併症が発生する虞もある。また、脳表の状態により長期間、上述のような頭蓋内電極を留置することができないことや、脳外科手術の専門医が少ないため実施施設が限られることも問題となっていた。
【0004】
近年では、血管内に電極を設けて、当該電極により血管内で神経組織の電気的活動を感知する技術が開示されている。特許文献1には、電極が設けられたステントを脳血管内で拡張させて血管壁に係止させることで、近傍の神経組織の電気的活動を感知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-159079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、てんかん焦点の特定やてんかん発作の検知に際して、指定した脳組織の信号を、血管内のどの位置で受信すればよいかが問題となる。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、てんかん診断において脳組織の電気的活動を適切に感知するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、
被験者の脳組織における、電気信号の検出の標的である第1箇所の指定を受け付ける受付手段と、
血管内に配置されるてんかん診断用のデバイスにおける、血管内デリバリー性能、サイズ、拡張力、有効長、径、併用に適したカテーテルの径のうち、少なくとも1つを含むワイヤー情報を受け付けるワイヤー情報受付手段と、
前記被験者の脳組織内または近傍における血管のうち、前記ワイヤー情報に基づいて、前記デバイスを配置可能な血管の位置または領域であって、前記デバイスによる前記第1箇所からの電気信号の検出に適した第2箇所を特定する特定手段と、
前記血管における前記第2箇所を所定の表示部に表示する表示制御手段と、
を有するてんかん診断用の情報処理装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、てんかん診断において脳組織の電気的活動を適切に感知するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像表示の概要を示す図である。
図2】システムの構成の概略を示す図である。
図3】サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5】画像表示処理の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】対応付けテーブルの一例を示す図である。
図7】画像表示処理の動作の一例を示すフローチャートである。
図8】脳波解析処理の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】脳内の血管を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
<概要>
以下、本実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るサーバ1(情報処理装置)が適用される画像表示の概要を示す図である。
【0012】
図1の例では、サーバ1は、各種画像を画像取得装置IMから取得する。
画像取得装置IMは、患者PT(被験者;動物又は人間等の生物)の生体内の情報を示す画像を取得する装置である。より具体的には、画像取得装置IMは、生体内の情報として、電気信号を発生する生体組織を示す画像(第1画像)、および生体組織内または近傍における血管を示す血管画像(第2画像)を取得する。
生体組織は、脳等の神経(神経組織)や、心臓等の筋肉(筋組織)等を含むものとするが、本実施形態では、生体組織として、脳組織を例に説明する。すなわち、サーバ1は、画像取得装置IMから、患者PTの脳組織を示す脳組織画像BI(第1画像)および血管画像VI(第2画像)を取得する。
【0013】
脳組織画像BIは、例えば、MRI(Magnetite Resonance Imaging:磁気共鳴映像法)を用いて取得された脳組織の画像である。具体的には、脳組織画像BIは、核磁気共鳴現象を利用して、脳組織の断層画像を撮影することにより得られる画像であって、当該断層画像やこれらに基づく3次元画像である。脳組織画像BIは、対象となる脳組織を様々な角度から眺めることができる。医師DCは、脳組織画像BIによって、脳組織の形状、大きさや、脳組織の状態(例えば、腫瘍の有無)等を把握することができる。
【0014】
血管画像VIは、例えば、上述のMRIを用いて取得された磁気共鳴血管画像(MRA:Magnetic Resonance Angiography)である。血管画像VIは、対象となる血管(血管走行)を様々な角度から眺めることができる。医師DCは、血管画像VIによって、頭部における血管走行や血管の太さ、血管の状態(例えば、腫瘍の有無)等を把握することができる。
【0015】
サーバ1は、取得した脳組織画像BIと血管画像VIとを、医師DCの端末2(端末2の表示部;所定の表示部)に表示する。本実施形態では、サーバ1は、位置指定モード(所定モード)の設定に応じて、2種類の表示を行う。
例えば、サーバ1は、位置指定モードがONである場合に、脳組織画像BIと血管画像VIとを並べて端末2に表示する。このとき、サーバ1は、脳組織における電気信号の検出の標的である箇所(以下、第1箇所DPと称する。)の指定を受け付ける。そして、サーバ1は、血管のうち、上述の第1箇所DPに対応する箇所であって、血管内に配置されるデバイスによる、上述の第1箇所DPからの電気信号の検出に適した箇所(以下、第2箇所CPと称する。)を特定する。さらに、サーバ1は、特定した第2箇所CPを端末2に表示する。
また、例えば、サーバ1は、位置指定モードがOFFである場合に、脳組織画像BIと血管画像VIとを対応付ける。そして、サーバ1は、脳組織画像BIと血管画像VIとを重ねて(合成して)、合成画像FI(第3画像)として、端末2に表示する。脳組織画像BIと血管画像VIとを対応付ける方法については後述する。
【0016】
医師DCは、端末2に表示された脳組織画像BIおよび血管画像VI、または合成画像FIを参照して、血管内デバイス(不図示;てんかん診断用のデバイス)を配置する位置(血管内の位置)を確認する。そして、医師DCは、血管内デバイスを、従来から行われている脳血管内手術に用いられるカテーテルに内挿した状態で、患者PTの脳血管内へデリバリーする。このとき、医師DCは、図1に示すように、血管造影検査AM(アンギオグラフィー)によって得られたアンギオ画像AI(リアルタイム画像;第4画像)を端末2の表示部または別の表示装置(例えば、図1の外部表示装置3)に表示して、当該アンギオ画像AIを参照しながら、血管内デバイスを患者PTの脳血管内へデリバリーする。具体的には、医師DCは、端末2に表示された第2箇所CPに血管内デバイスを配置して、留置した血管内デバイスを使って第1箇所DPからの電気信号の検出を行う。なお、挿入される血管内デバイスは、単数であっても複数であってもよい。
なお、アンギオ画像AIは、血管走行とともに血管内デバイスの位置を示す画像である。例えば、図1のアンギオ画像AIにおいて、符号VDで示される位置が、血管における血管内デバイスの現在位置(例えば、先端の位置)を示す。医師DCは、上述のアンギオ画像AI(第4画像)と、上述の合成画像FI(第3画像)をあわせて見ることで、血管内デバイスを第2箇所へと正しくデリバリーしやすくなる。
なお、脳組織画像BI、血管画像VI、合成画像FIと、アンギオ画像AIとの対応付けは任意でよく、行ってもよいし、行わなくてもよい。
なお、アンギオ画像AIは単体で表示されてもよく、脳組織画像BI、血管画像VI、合成画像FIの少なくとも1つ以上の画像と並べて表示されてもよい。
【0017】
血管内デバイスは、脳血管内手術に用いられるカテーテルを通して脳血管内へ挿入される。血管内デバイスは、生物の血管内に配置され、その付近の血管外に位置する生体組織の活動の検知のための電極を少なくとも一つ備える。血管内デバイスは、血管内の所定の位置に固定されることで、脳波を安定して計測することが可能となる。また、血管内デバイスは、極めて細い血管に挿入されるので、組織内での留置位置の同定が臨床上重要になる。
【0018】
血管内デバイスでは、電極がワイヤー部材に設けられていてもよく、この場合、ステントに比べて拡張力が小さく、カテーテルに対する摺動性に優れるから、屈曲度が高く径が小さい脳血管へのデリバリー性に優れる。また、ワイヤー部材は血管との接触が抑制される(特に自然状態で棒状のワイヤー部材は、血管壁にほぼ接触しない)ため、長時間に亘って留置しても有害事象を生じにくい点で好ましい。このため、1日以上に亘って血管内に留置されることが好ましい。
血管内デバイスは、芯材と絶縁体とを備えている。より具体的には、芯材の外周を絶縁体で被覆してよい。
芯材として、例えばステンレス鋼製またはニッケルチタン合金製等の極細ワイヤーを用いてよい芯材の極細ワイヤーとしては、例えば、直径0.1mm~1mm程度のものが例示できる。
絶縁体としては、例えば、ポリイミドチューブやPTFEチューブ等が例示できる。なお、絶縁体自体は筒状体であるが、その内側に芯材が充填されているため、血管内デバイスとしてはワイヤー部材と捉えることもできる。
【0019】
また、血管内デバイスは、血管内電極と、血管内予備電極とを備え、これらは互いにわずかに離間しかつ同じワイヤー部材に設けられていてもよい。なお、これに限られず、1つの血管内デバイスに設けられる電極は、1個であっても、3個以上の複数であってもよい。
このような細く拡張力のない血管内デバイスを用いることにより、血管の末梢部分であっても、第1箇所の近傍へ血管内デバイスを運びやすい。換言すると、このタイプの血管内デバイスは、血管内設置箇所の自由度が高いため、第2箇所を把握しつつデリバリー操作を行う必要性が高い。これは、固有のサイズ及び拡張力によって血管内設置箇所が自ずと制約されるステント型の血管内デバイスと対照的である。
【0020】
なお、血管内デバイスは、X線不透過性部材(例えば白金)で構成される部分を有していてよい。これにより前述のアンギオ画像AI(第4画像)等のように、血管内での血管内デバイスの位置をリアルタイムに把握することができる。
サーバ1は、(血管内デバイス、端末2を介して)血管内電極から得られた電位情報を取得し、脳波の測定結果を演算する(脳波解析)。
【0021】
医師DCは、脳波の測定結果に基づいて、切除すべき箇所(例えば、腫瘍)を同定する。そして、医師DCは、同定された脳組織の一部を切除する外科手術を行う。
以下、画像表示および脳波解析について、詳細に説明する。
【0022】
<システム構成>
図2は、本実施形態に係るシステムの構成の概略を示す図である。本実施形態に係るシステムは、処理を行うサーバ1と、端末2と、画像取得装置IMとが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることで構成される。また、端末2と、血管内デバイスとが、接続されている。
【0023】
サーバ1は、端末2と画像取得装置IMの各動作と協働して各種処理を実行する。端末2は、患者PTのカルテを表示したりする。
【0024】
<ハードウェア構成>
図3は、本実施形態に係るサーバ1のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0025】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0026】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0027】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0028】
なお、図示はしないが、端末2は、図3に示すハードウェア構成を有する。
【0029】
<機能構成>
図4は、本実施形態に係るサーバ1における機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0030】
サーバ1のCPU11においては、動作する際に、画像取得部31、指定受付部32、位置特定部33、対応付け部34、脳波取得部35、脳波解析部36、表示制御部37が機能する。また、サーバ1の記憶部18においては、画像DB41、脳波情報DB42が設けられる。
【0031】
画像取得部31は、画像取得装置IMによって取得された、患者PTの脳組織画像BIおよび血管画像VIを取得する。画像取得部31によって取得された各種画像情報は、画像DB41に格納される。
【0032】
指定受付部32(受付手段)は、医師DCから、脳組織画像BIにおける第1箇所DPの指定を受け付ける。
本実施形態では、指定受付部32は、端末2に脳組織画像BIが表示されている状態で、医師DCによる第1箇所DPの指定を受け付ける。
第1箇所DPは、医師DCが脳波を測定したい脳組織の部位(例えば、側頭葉・海馬・扁桃核・皮質結節等)であると捉えることもできる。
なお、第1箇所DPの指定方法は特に限定されず、例えば、指定受付部32は、画像ではなく、医師DCから脳組織における部位の選択を受け付けることによって、第1箇所DPの指定を受け付けてもよい。この場合、記憶部18に、脳組織の位置(または部位、領域)と、血管の位置(部位、または領域)を対応付ける対応付けテーブル(図6Aまたは図6B)を予め用意しておき、後述する位置特定部33は、当該対応付けテーブルを参照して、後述する第2箇所CPを特定してもよい。
【0033】
位置特定部33(特定手段)は、血管画像VIのうち、上述の第1箇所DPに対応する第2箇所CPを特定する。
ここで、第1箇所DPは脳組織における箇所であって、第2箇所CPは血管(走行)における第1箇所DPに対応する箇所である。第2箇所CPは、脳組織における第1箇所DPに最も距離(例えば、ユークリッド距離)が短い血管走行上の箇所であることが望ましい。これは、血管内の第2箇所CPにおいて、第1箇所DPの脳波をより正確に取得できるためである。
なお、特定方法は特に限定されず、種々の方法が適用可能である。
例えば、位置特定部33は、上述の対応付けテーブルを用いて、第1箇所DPに対応する第2箇所CPを特定してもよい。
また、例えば、位置特定部33は、脳組織画像BIと血管画像VIとが3次元画像であった場合、それぞれの重心の位置および断面方向に基づいて、脳組織画像BIと血管画像VIの位置関係を合わせた上で、上述の第1箇所DPに対応する第2箇所CPを特定してもよい。
また、例えば、合成画像FIが医師DC等によって手動で合成された場合、当該合成画像FIを用いて、上述の第1箇所DPに対応する第2箇所CPを特定してもよい。
【0034】
なお、位置特定部33は、血管内デバイス(デバイス)の情報に基づいて、第2箇所CPを特定してもよい。
血管内デバイスの情報としては、例えば、血管内デバイスの血管内デリバリー性能に関わる情報や、血管内デバイスのサイズおよび/または拡張力に関わる情報等が挙げられる。
ワイヤーの場合、例えば、血管内デバイスの情報(ワイヤー情報)として、有効長、(解放時の)径、併用(内挿)に適したカテーテルの径等が挙げられる。
例えば、位置特定部33は、血管内デバイスの血管内デリバリー性能や、サイズ、拡張力に応じて、当該血管内デバイスを配置可能な位置を求める。具体的には、位置特定部33は、血管内デバイスのサイズ等に応じて、当該血管内デバイスを配置可能な血管の位置や領域(例えば、上矢状静脈洞より血管径が太い血管)を求める。そして、位置特定部33は、当該配置可能な血管において、第1箇所DPに最も距離が短い血管走行の箇所を第2箇所CPとして特定する。
ここで、血管内デリバリー性能とは、カテーテルに対する摺動性を示す指標である。摺動性が高い程、血管内デリバリー性能が優れる。
また、拡張性とは、血管内での拡張力を示す指標である。電極が設けられた血管内デバイスを脳血管内で拡張させて血管壁に係止させることで、近傍の神経組織の電気的活動を感知するため、例えば、拡張性が高い血管内デバイスを用いる場合、血管内デバイスを係止させる血管径もある程度大きい(太い)必要がある。
なお、血管内デバイスの情報の取得方法については特に限定されず、例えば、不図示の受付部(デバイス受付手段)によって、血管内デバイスの情報を受け付けてもよく、予め、記憶部18内に格納されるDB等から取得してもよい。
【0035】
対応付け部34は、脳組織画像BIと血管画像VIとを対応付ける。例えば、対応付け部34は、脳組織画像BIと血管画像VIとが3次元画像であった場合、それぞれの重心の位置および断面方向に基づいて、脳組織画像BIと血管画像VIの位置関係を対応付けてもよい。なお、対応付け部34は、脳組織画像BIと血管画像VIとを対応付けて、合成画像FIを生成してもよい。
【0036】
脳波取得部35は、医師DCによって患者PTの脳血管内へ挿入された血管内デバイスから、脳波を取得する。具体的には、脳波取得部35は、血管内デバイスにおける血管内電極から得られた電位情報を取得する。取得された脳波は、脳波情報DB42に格納される。
【0037】
脳波解析部36は、脳波取得部35によって取得された脳波を解析する。例えば、脳波解析部36は、上述の脳波に対してフーリエ変換等を施して、医師DCが診断を行うための情報を生成する。
【0038】
表示制御部37(表示制御手段)は、各種情報を端末2に表示する。
例えば、表示制御部37は、脳組織画像BIと血管画像VIとを端末2に表示する。そして、表示制御部37は、脳組織画像BIにおける第1箇所DP、および血管画像VIにおける第2箇所CPを示すアイテムを端末2に表示する。ここで、アイテムとは、第1箇所DPや第2箇所CPを示す、ドットや枠などのアイコン等である。なお、表示制御部37は、脳組織画像BI(第1画像)を表示せずに、血管画像VI(第2画像)および第2箇所CPを示すアイテムを端末2に表示してもよい。
また、例えば、表示制御部37は、脳波解析部36によって解析された解析結果を端末2に表示する。
【0039】
<処理内容:画像表示処理>
図5は、本実施形態に係る画像表示処理の一例を示す図である。図5において、サーバ1は、画像取得装置IMから脳組織画像BIおよび血管画像VIを取得して、端末2に表示する。図5は、例えば、位置指定モードがONの場合における画像表示処理である。
【0040】
ステップS1において、画像取得部31は、画像取得装置IMによって取得された脳組織画像BIを取得して、画像DB41に格納する。脳組織画像BIは、例えば、MRIを用いて取得された脳組織の画像である。
【0041】
ステップS2において、画像取得部31は、画像取得装置IMによって取得された血管画像VIを取得して、画像DB41に格納する。血管画像VIは、例えば、上述のMRIを用いて取得された磁気共鳴血管画像(MRA)である。
【0042】
ステップS3において、指定受付部32は、脳組織画像BIにおける第1箇所DPの指定を受け付ける。例えば、指定受付部32は、医師DCによって、脳組織画像BIにおける一部が選択されたり、脳組織における一部の部位が選択されることにより、第1箇所DPの指定を受け付ける。
【0043】
ステップS4において、位置特定部33は、上述のように、ステップS4で指定された脳組織画像BIにおける第1箇所DPに対応する、血管画像VIにおける第2箇所CPの位置を特定する。
【0044】
位置特定部33は、例えば、図6Aに示す対応付けテーブルを用いて、第2箇所CPを特定する。図6Aに示す対応付けテーブルは、例えば、記憶部18にあらかじめ格納される。
図6Aは、本実施形態における対応付けテーブルの一例を示す。図6Aに示す対応付けテーブルでは、脳組織における第1箇所と、当該第1箇所に対応する、血管における第2箇所とが、対応付けられている。
例えば、指定受付部32が、脳組織の一部である「脳組織xxx」を第1箇所DPとして受け付けた場合に、位置特定部33は、図6Aを参照し、「脳組織xxx」に対応する血管内の箇所である「血管内箇所aaa」を第2箇所CPとして特定する。
また、上述のように血管内デバイスの情報が取得される場合に、位置特定部33は、例えば、図6Bに示す対応付けテーブルを用いて、第2箇所CPを特定してもよい。図6Bに示す対応付けテーブルは、例えば、記憶部18にあらかじめ格納される。
図6Bは、本実施形態における対応付けテーブルの一例を示す。図6Bに示す対応付けテーブルでは、脳組織における第1箇所と、当該第1箇所に対応する、血管における1つ以上の第2箇所とが、対応付けられている。
例えば、指定受付部32が、脳組織の一部である「脳組織xxx」を第1箇所DPとして受け付け、かつ、血管内デバイスの情報(例えば、サイズ、拡張性等)が取得された場合に、位置特定部33は、図6Bを参照し、「脳組織xxx」に対応する血管内の箇所である「血管内箇所ppp」、「血管内箇所qqq」、「血管内箇所rrr」を取得する。そして、位置特定部33は、「血管内箇所ppp」、「血管内箇所qqq」、「血管内箇所rrr」のうち、血管内デバイスを配置可能な箇所を特定する。このとき、対応付けテーブルにおいて、血管径や対応する脳組織からの距離の情報が、血管内箇所に紐づけて記録されているとよい。これにより、位置特定部33は、例えば、血管径と血管内デバイスのサイズとを考慮して、血管内デバイスを配置可能な箇所において、対応する組織との距離が最も近い箇所を、第2箇所CPとして特定することができる。
なお、位置特定部33は、上述のテーブルに限定されず、例えば、第1箇所DP、血管内デバイスの情報(サイズ、拡張性など)を入力すると、第2箇所CPを出力する所定の関数を用いて、第2箇所CPを特定してもよい。
【0045】
ステップS5において、表示制御部37は、脳組織画像BIと血管画像VIとを、端末2に並べて表示する。本実施形態において、並べて表示するとは、脳組織画像BIと血管画像VIとを、重ならないように、1つの表示部に、または複数の表示部に分けて表示することや、脳組織画像BIと血管画像VIとが一部または全部重なるように表示部に表示することを含むものとする。脳組織画像BIと血管画像VIとが一部重なるとは、例えば、脳組織画像BIの端に、縮小した血管画像VIを表示することが挙げられる。脳組織画像BIと血管画像VIとが全部重なるとは、いずれかまたは両方の画像の透過度を調整して、重ねて表示することが挙げられる。
また、表示制御部37は、脳組織画像BIと血管画像VIとを並べて表示した場合に、一方の画像の表示角度や表示モード(例えば、断面2D表示モード、3D表示モード等)が変更された場合に、追従(連動)して他方の画像の表示角度や表示モードを変更してもよい。
なお、表示制御部37は、上述の合成画像を端末2の表示部に表示してもよい。
【0046】
ステップS6において、表示制御部37は、血管画像VI上に第2箇所CPを示すアイテムを表示する。なお、表示制御部37は、脳組織画像BI上に第1箇所DPを示すアイテムを表示してもよい。
【0047】
図7は、本実施形態に係る画像表示処理の一例を示す図である。図6において、サーバ1は、画像取得装置IMから脳組織画像BIおよび血管画像VIを取得して、端末2に表示する。図6は、例えば、位置指定モードがOFFの場合における画像表示処理である。
【0048】
ステップS11、ステップS12は、上述のステップS1、ステップS2と同様のため、説明を省略する。
【0049】
ステップS13において、対応付け部34は、上述のとおり、脳組織画像BIと血管画像VIとを対応付ける。また、対応付け部34は、対応付けられた脳組織画像BIと血管画像VIと合成した合成画像FIを生成する。上述のように、対応付け部34は、脳組織画像BIと血管画像VIとが3次元画像であった場合、例えば、それぞれの重心の位置および断面方向に基づいて、脳組織画像BIと血管画像VIの位置関係を対応付けてもよい。
なお、対応付け部34は、医師DC等の人によって手動で脳組織画像BIと血管画像VIとを合成した合成画像FIを取得してもよい。合成画像FIの生成方法については、例えば、医師DCは、MRIによる脳組織データおよび血管データを取得する。そして、医師DCは、所定のソフトウェアを用いて、脳組織データおよび血管データを重ね合わせて合成画像FIを生成する。
なお、対応付け部34は、例えば、MRI等の装置によって、脳組織画像BIと血管画像VIとの合成が行われる場合は、MRI等から合成された合成画像FIを取得してもよい。
【0050】
ステップS14において、表示制御部37は、脳組織画像BIと血管画像VIとを合成した合成画像FIを端末2に表示する。
【0051】
<処理内容:脳波解析処理>
図8は、本実施形態に係る画像表示処理の一例を示す図である。図8において、サーバ1は、血管内デバイスから脳波を取得して、脳波の解析を行った結果を端末2に表示する。
具体的には、ステップS21において、脳波取得部35は、血管内電極から脳波(脳波信号)を取得して、脳波情報DB42に格納する。
そして、ステップS22において、脳波解析部36は、取得した脳波を解析する。
さらに、ステップS23において、表示制御部37は、解析結果を端末2に表示する。
【0052】
<脳内血管における血管走行>
図9は、脳内血管における血管走行の一例を示す図である。
例えば、0.25ミリ程度の細い血管内デバイスによれば、血管内の末梢部分(細い部分)に血管内電極を留置することができる。例えば、図9において黒丸で示される箇所(領域)に、上述の血管内電極を留置することが想定される。
例えば、第2箇所CPは、上矢状静脈洞より上流側の血管における位置であってもよい。ここで、上矢状静脈洞より上流側とは、上矢状静脈洞より細い血管であって、血流の上流側に位置する血管を示す。
また、例えば、第2箇所CPは、血管の内径が1mm以上10mm以下の血管における位置であってもよい。血管の内径としては、血管が円形なら直径、血管が楕円形なら一番大きくとれる箇所の内径でもよい。なお、1mmや10mmは一例であって、血管の内径が所定の範囲内の血管における位置であってもよい。
また、第2箇所CPは、所定の領域(例えば、図9において黒丸で示される領域)内の血管における位置であってもよい。
【0053】
<本実施形態の有利な効果>
上述の実施形態によれば、例えば、脳血管内で左脳及び右脳の各々に近い箇所に、本発明の血管内デバイスを適切に配置して脳波を検出すれば、てんかん焦点の特定やてんかん発作の検知に使用することができる。脳組織と血管との対応付けを行い、脳組織の第1箇所に対応する、血管中の第2箇所を示すことで、電気信号を発生する生体組織の電気的活動を適切に感知するために血管内電極を配置する箇所を、医師が容易に把握することができる。
また、上述の実施形態によれば、脳組織画像と血管画像との合成画像を表示することで、電気信号を発生する生体組織の電気的活動を適切に感知するために血管内電極を配置する箇所を、医師が容易に把握することができる。
これにより、脳組織の第1箇所における脳波の測定において、空間分解能や時間分解能を高くすることができる。
また、これにより、頭蓋内電極と比較して、長期間、血管内電極を血管内に留置することができるため、継続的に脳波を測定することができる。
また、これにより、脳外科手術の専門医でなくても、血管内手術を行える医師であればよいため、硬膜下電極の貼付や深部脳波電極の挿入を行う場合と比較して、実施可能な施設が多くなる。
【0054】
また、上述の実施形態によれば、血管内電極から得られた脳波に対して、解析処理を行うことで、リアルタイムに脳波の状態を把握することができる。
【0055】
また、上述の実施形態によれば、第2箇所として、血管の細い部分を示すことで、従来の血管内デバイスでは到達が難しかったが、例えば、細く、(0.25ミリ程度)、拡張力が小さい血管内デバイスを用いれば到達可能な末梢部分にも血管内電極を留置できるため、様々な診断が可能になる。
このような血管内デバイスは、頭蓋内電極と比較して、極めて低侵襲であるため、当該血管内デバイスを用いることによる副作用や合併症の危険が少ない。
また、頭蓋内電極は脳表面の電位のみ計測するが、上述の血管内デバイスは脳深部の電位を得ることが可能であるため、より広範囲の脳領域をモニタリングすることができる。
さらに、頭蓋内電極は開頭の必要があり、貼付できる面積が限られる。一方で、上述の血管内デバイスは、例えば額と後頭部のような極めて距離のある部分でも容易に留置することができる。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0057】
(変形例)
上述の実施形態では、難治性てんかんに対する外科手術のための検査において、脳組織画像および血管画像を表示する例について説明したが、てんかん診断用であれば、上述とどうように脳組織画像および血管画像を表示してもよい。
【0058】
上述の実施形態では、モード(位置指定モード)に応じて、脳組織画像と血管画像とを並べて表示したり、合成画像を表示する例について説明したが、これに限定されない。
例えば、第2箇所を示す情報とアンギオ画像情報に基づいて、血管内デバイスが第2箇所に近づいたり、到達したり、通り過ぎたことの一以上を検知した場合に、検知した旨をリアルタイムで報知(表示)してもよい。
また、例えば、モードを設けずに、脳組織画像と血管画像を表示してもよい。
また、例えば、モードを設けずに、合成画像を表示してもよい。また、例えば、脳組織画像、血管画像、合成画像を並べて表示してもよい。
【0059】
上述の実施形態では、MRIを用いて脳組織画像を取得する例について説明したが、これに限定されない。脳組織画像は、CT(Computed Tomography)やMEG(Magneto Encephalo Graphy)を用いて取得されてもよい。
【0060】
上述の実施形態では、MRAを血管画像として用いたが、血管画像を取得する方法は特に限定されず、種々の方法で取得されたものでもよい。
【0061】
上述の実施形態では、血管内電極から生体組織の電気信号を感知(脳波を測定)する例について説明したが、これに限定されず、様々な用途で血管内電極を用いてもよい。
【0062】
また、例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が上述のシステムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、図4に特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバの機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲させてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0063】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0064】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。
【0065】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【符号の説明】
【0066】
1:サーバ 2:端末 11:CPU
18:記憶部 19:通信部 31:画像取得部
32:指定受付部 33:位置特定部 34:対応付け部
35:脳波取得部 36:脳波解析部 37:表示制御部
【要約】
【課題】てんかん診断において脳組織の電気的活動を適切に感知するための技術を提供する。
【解決手段】てんかん診断用の情報処理装置は、被験者の脳組織における、電気信号の検出の標的である第1箇所の指定を受け付ける受付手段と、血管内に配置されるてんかん診断用のデバイスにおける、血管内デリバリー性能、サイズ、拡張力、有効長、径、併用に適したカテーテルの径のうち、少なくとも1つを含むワイヤー情報を受け付けるワイヤー情報受付手段と、前記被験者の脳組織内または近傍における血管のうち、前記ワイヤー情報に基づいて、前記デバイスを配置可能な血管の位置または領域であって、前記デバイスによる前記第1箇所からの電気信号の検出に適した第2箇所を特定する特定手段と、前記血管における前記第2箇所を所定の表示部に表示する表示制御手段と、を有する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9