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  • 特許-移植可能な医療機器の頭部の製造方法 図1
  • 特許-移植可能な医療機器の頭部の製造方法 図2a
  • 特許-移植可能な医療機器の頭部の製造方法 図2b
  • 特許-移植可能な医療機器の頭部の製造方法 図3
  • 特許-移植可能な医療機器の頭部の製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】移植可能な医療機器の頭部の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/375 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
A61N1/375
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020531631
(86)(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018081922
(87)【国際公開番号】W WO2019115176
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】102017222364.2
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517119556
【氏名又は名称】ニューロループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キミッヒ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ボレティウス,ティム
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許第02134418(EP,B1)
【文献】独国実用新案第202013012073(DE,U1)
【文献】特開平02-186571(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0059639(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/375
A61N 1/362
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部ハウジングを備える移植可能な医療機器(17)の頭部(14)の製造方法であって、
前記頭部ハウジングは、止まり孔状の凹部を有し、
前記凹部に沿って、同軸配置においてかつ軸方向に一続きに連続して、少なくとも1つの電導接点リング要素(2)と弾性変形可能な電気絶縁シールリング(3)とが軸方向の接合力下で圧入により互いに接合されており、
前記少なくとも1つの接点リング要素(2)と前記少なくとも1つのシールリング(3)とは、ロッド状組立ツール(1)に沿って配置され、接合力(F)の生成により、前記ロッド状組立ツール(1)に沿って圧入により互いに接合され、
少なくとも、前記ロッド状組立ツール(1)に沿って配置され、圧入により前記少なくとも1つのシールリング(3)と接合された前記少なくとも1つの接点リング要素(2)が、流動状で存在する凝固可能な注入成型材(12)により封入される、前記方法において、
前記組立ツール(1)に沿った前記少なくとも1つの接点リング要素(2)と前記シールリング(3)との間の前記接合力(F)の前記生成が、前記組立ツール(1)に沿って前記少なくとも1つの接点リング要素(2)と前記シールリング(3)との両側に取り付けられた近位側連結手段(5)及び遠位側連結手段(6)によって行われ、
前記遠位側連結手段(6)が、軸方向に可動にかつ脱着可能に、軸方向に固定して前記組立ツール(1)に固定されており、かつ雌ねじを含むナット状に設計されており、前記遠位側連結手段(6)が、前記組立ツール(1)に沿って設けられた雄ねじ(11)と係合させられ、これにより、ナット状に設計された前記遠位側連結手段(6)は、一方の側が、前記組立ツール(1)の前記雄ねじ(11)に沿った相対的な回転によって、前記少なくとも1つの接点リング要素(2)又は前記シールリング(3)と圧入により係合させられ、これにより前記接合力(F)が形成され、
前記ロッド状組立ツール(1)が、前記注入成型材(12)が凝固した後に、前記少なくとも1つの接点リング要素(2)及び前記少なくとも1つのシールリング(3)から解放されて取り外され、前記注入成型材(12)は、前記頭部ハウジングの少なくとも一部を形成する寸法安定性を備えたマトリクスの形態により、軸方向の前記接合力(F)を機械的に支持し、
前記近位側連結手段(5)は、前記組み立てツールが引き抜かれる方向に対して近位側に配置され、前記遠位側連結手段(6)は、前記組み立てツールが引き抜かれる前記方向に対して遠位側に配置されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ロッド状組立ツール(1)に沿って一続きに交互に連なって配置された複数の接点リング要素(2)及びシールリング(3)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組立ツール(1)の前記解放及び前記取り外しの後に、前記遠位側連結手段(6)が、凝固した前記注入成型材(12)中に残っていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記注入成型材(12)による前記封入及び前記注入成型材(12)の前記凝固の前又は後で、前記少なくとも1つの接点リング要素(2)が、前記注入成型材(12)を通って導出される少なくとも1つの電導構造(16)に接続されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ロッド状組立ツール(1)に沿って配置され圧入により接合された前記少なくとも1つの接点リング要素(2)及び前記シールリング(3)の前記封入は、鋳型(13)を利用して行われることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの接点リング要素(2)及び前記シールリング(3)からの前記ロッド状組立ツール(1)の前記解放及び前記取り外しの後に、前記少なくとも1つの接点リング要素(2)及び前記シールリング(3)により包囲された筒状容積へのオープンアクセスが、前記頭部(14)の内部に形成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記頭部(14)は、パルス生成器として設計された移植可能な医療機器(17)に機械的及び電気的に結合するために設計されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部ハウジングを備える移植可能な医療機器の頭部の製造方法であって、頭部ハウジングは、止まり孔状の凹部を有し、凹部に沿って、同軸配置においてかつ軸方向に一続きに連続して、少なくとも1つの電導接点リング要素と弾性変形可能な電気絶縁シールリングとが、軸方向の接合力下で圧入(force fit)により互いに接合される、上記方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体内の局所的領域への電気刺激のための移植可能な医療機器、簡単に言うと、例えば心臓病治療としての除細動、ペースメーカー、及び、再同期を用途とし、例えば、数例挙げると、脊髄刺激、脳刺激、又は、迷走神経刺激といった神経刺激治療処置のための移植可能なパルス発生器(IPG:implantable pulse genertor)は、通常では、自給式のハウジングを有しており、当該ハウジング内には、電気パルス生成のための構成要素、例えば、少なくとも1つの電気エネルギー源及び当該電気エネルギー源に接続された電気回路構造が含まれている。さらに、ハウジングには、所謂頭部が隣接しており、この頭部の中には、エネルギー源及び/又は電気回路構造と電気的に接続された電気接点構成が含まれており、この電気接点構成へと、頭部と共に液密にシールされたコネクタ構成が導入可能であり、当該コネクタ構成は、電気刺激信号の体内での局所的な印加のため、及び、必要な場合には、ハウジング内に存在する電気回路構造への、体内で局所的に生成される電気信号の供給のために、給電線及び放電線と接触している。
【0003】
欧州特許第2134418号明細書には、一般的な移植可能な医療機器の頭部が記載されており、この頭部は、接合継ぎ目に沿って互いに接合可能な2つのハーフ頭部ハウジングを含んでおり、このハーフハウジングのそれぞれの中に、半円筒状の凹部が、一続きに連なって、互いの間の仕切りにより離間した状態で導入されており、当該凹部のそれぞれに、電導接点リング要素及び電気絶縁シールリングが一続きに交互に連なって挿入されている。従って、2つのハーフ頭部ハウジングから組み立てられた頭部は、電気接点を形成するための、同軸上に整列され電気的に絶縁された接点リング要素の構成を有しており、これにより、頭部内で横方向のアクセスが提供され、この横方向のアクセスを通じて、電気コネクタ構成が、全ての環状の接点リング要素により包囲されたキャビティへと液密に導入されうる。
【0004】
独国特許出願公開第102012010901号明細書は、移植可能な医療機器との電気接点を形成するために、頭部の内部に電気接点及びシールを配置し保持するための方法を開示している。生体適合性を備えた電気絶縁材料から成る頭部ハウジング内では、一方の側に、止まり孔状の孔が導入されており、この孔の中へと、キャビティを共に包囲する電導接点リング及び環状シール要素が交互に連なって導入されており、上記キャビティの中にロッド状のコネクタ構成を導入することができる。頭部の内部の個々の環状接点リングのそれぞれは、電気接続線を介して、移植可能な医療機器のハウジングの内部に位置する電気部品に接続されている。
【0005】
可能な限り継続する液密なシールと、個々の電気接点リング要素の互いの電気的絶縁と、を実現するために、電気接点リング要素とシールリングとの交互の連なりを、最大の軸方向接合力によって頭部内で固定する必要がある。これには、通常では手動でのみ、かつ高度な器用さでのみ行いうる複雑な組み立て措置が必要となる。
【0006】
独国実用新案第202013012073号明細書には、コネクタ孔モジュールアセンブリが開示されており、当該コネクタ孔モジュールアセンブリを組み立てるために、幾つかの接点リング及びシール要素が、ロッド状組立ツールに沿って交互に連なって配置されている。締め付け装置を用いて、組立ツールに沿って取り付けられた全ての接点リング及びシール要素が、軸方向の接合力が加えられた状態で、共に締結されている。接合力を保つために、グラブネジによって軸方向に固定して組立ツール上に取り付けられたスリーブ要素が利用されており、このスリーブ要素が、一方の側の組立ツール頭部と共に、接点リング及びシール要素から成る構成を、軸方向に両側で制限(bound)する。この締結された状態で、上記構成は、硬化可能な注入成型材によって封入され、この注入成型材は、凝固した状態で上記接合力を支持(host)する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の根底にある課題は、頭部ハウジングを備える移植可能な医療機器の頭部の製造方法であって、頭部ハウジングは止まり孔状の凹部を有し、凹部に沿って、同軸配置においてかつ軸方向に一続きに連続して、少なくとも1つの電導接点リング要素と弾性変形可能な電気絶縁シールリングとが軸方向の接合力下で圧入により互いに接合されている、上記製造方法をさらに発展させ、これにより、個々に組み立てられる頭部と大量に製造される頭部との双方の製造についての処理技術的な複雑性、並びに、時間及びコストに関する経費を著しく低減することである。さらに、頭部の製造品質、及び液密性、並びに、これらと関連する頭部の寿命が、最も高い要件を満たす必要があることに特に注目される。
【0008】
本発明の根底にある課題の解決手段が、請求項1に規定されている。本発明の思想を有利にさらに発展させる特徴は、従属請求項の発明の主題であり、以下の明細書の記載においても、特に図示された実施形態の例を参照すれば分かる。
【0009】
請求項1の導入部の特徴に係る、移植可能な医療機器の頭部の製造のための解決手段による方法は、以下の処理ステップで構成される。
【0010】
少なくとも1つの電導接点リング要素と、弾性変形可能な材料から成る少なくとも1つの電気絶縁シールリングとが、好適にはロッド、棒、又はピンとして設計されるロッド状組立ツールに沿って配置される。上記配置は、好適には多数の接点リング要素及びシールリング要素をロッド状組立ツールに対し単にねじ込むことによって行われ、接点リング要素とシールリング要素とは一続きに交互に連なっている。
【0011】
続いて、少なくとも1つの接点リング要素と少なくとも1つのシールリングとが互いに接合され、即ち、ロッド状組立ツールに沿って方向付けられた接合力を用いて、圧入により互いに接合される。これにより、少なくとも1つの弾性変形可能な電気絶縁シールリングが、当該シールリングに面する電導接点リング要素の表面に密に接触し、これにより、力が掛けられた環状で液密の接合部が形成される。
【0012】
少なくとも1つの接点リング要素とシールリングとの間の、ロッド状組立ツールに沿って軸方向に作用する接合力を生成するために、連結手段が、少なくとも1つの接点リング要素とシールリングとの両側に、組立ツールに沿って取り付けられており、連結手段のうち少なくとも1つの連結手段は、軸方向に可動にかつ脱着可能に、軸方向に固定して組立ツールに固定されており、かつ雌ねじを含むナット状に設計されており、かつ組立ツールに沿って設けられた雄ねじと係合させられ、これにより、ナット状に設計された連結手段は、一方の側が、組立ツールの雄ねじに沿った相対的な回転によって、これにより接合力が形成された状態で、少なくとも1つの接点リング要素又はシールリングと圧入により係合させられる。ナット状に設計された連結手段の雌ねじと、組立ツールに設けられた雄ねじと、のねじ結合に付随した、組立ツールに沿った連結手段の相対的な長手方向での調整性によって、連結手段に対して相対的な組立ツールの回転のみによって生成可能な接合力の微調整が可能となる。組立ツールは、好適には、例えば、マイナス若しくはプラスの(slotted or cross-headed)スクリュードライバー、又はアレンキー等の回転工具による着脱可能に固定される係合のための、一端に形成されたツールフランジを含むツールヘッドを有する。
【0013】
ナット状に設計された連結手段は、複数の異なる方法で構造的に形成することができる。従来のナットに加えて、プレート要素に、雌ねじを含む少なくとも1つのねじ孔を設けることができる。プレート要素に2つ以上のねじ孔を設けることによって、頭部内で、互いに空間的に隣り合って配置され寸法が設定された接点リング要素とシールリングとの同軸での連なりを含む別々に隣接して配置される構成の数が、要求に応じて規定されうる。このようにして、頭部が、複数の電気接続ソケットにより設計可能であり、これは、コンパクトで実装形態が容易な構造である。さらに、プレート要素の利用によって、頭部の内部に配置される2つ以上の電気接続ソケット間で規定される特定の相対的な空間配置が可能となる。互いに合致するように雌ねじ及び雄ねじの軸方向のねじ長の寸法を定めること、及び、連結手段の雌ねじへの、組立ツールの関連する規定可能な最大回転によって、接点リング要素とシールリングとの間の規定可能な所定の最大接合力を構造的に規定することができ、その結果として、組み立てプロセスは、信頼性が高く再現可能な方法で実行することができる。
【0014】
好適な実施形態において、ロッド状組立ツールはその頭部側に、軸方向に固定して接続された機械的ストッパを有し、この機械的ストッパは、組立ツールに着脱可能に固定して接続され又は組立ツールと一体的に接続されており、この機械的ストッパの1つの側に、少なくとも1つの接点リング要素及びシールリングから成る軸方向スタック構成が支持されて接触(sit)している。軸方向スタック構成のための機械的ストッパの向かい側には、ロッド状組立ツールに沿って移動可能であり及び軸方向に着脱可能に組立ツールに固定して接続可能なナット状の連結手段が取り付けられている。
【0015】
少なくとも1つの電導接点要素及び少なくとも1つシールリングが組み立てられた(prefabricated)上記の組立ツールは、1つのユニットとして取り扱うことが可能な半製品であり、更なる処理ステップにおいて注入成型材によって封入される。このために、互いに圧入により接合された、ロッド状組立ツールに沿って配置された少なくとも1つの接点リング要素と少なくとも1つのシールリングが、流動状で存在する凝固可能な注入成型材に封入される。少なくとも1つの接点リング要素とシールリングとが形状嵌め合いで(in a form fit)液密に互いに接合することによって、流動性の注入成型材は、少なくとも1つの接点リング要素及びシールリングにより一緒に包囲された内部空間には進入しえない。
【0016】
注入成型材は、好適には、生体適合性プラスチック又は樹脂組成物であり、好適にはエポキシであり、短時間後に完全に凝固して、寸法安定性を備えた本体を形成する。注入成型材が凝固した後で、ロッド状組立ツールが、最後に、少なくとも1つの接点リング要素及びシールリングから解放されて取り外される。少なくとも1つの接点リング要素とシールリングとの間に作用する軸方向の接合力が変わらぬまま維持され、頭部ハウジングの少なくとも一部を形成する寸法安定性を備えたマトリクス状の凝固した注入成型材によって、完全に支持(host)される。ナット状に設計された連結手段は、凝固した注入成型材の中に残っている。
【0017】
頭部からの組立ツールの解放及び取り外しを容易にするために、ナット状に設計された連結手段の雌ねじを通って突出する組立ツールの端部には、流動性の注入成型材が注入される前に、保護材、好適にはシリコーン等により湿潤され、これにより、凝固した注入成型材が、組立ツールの突出する端部に強固に付着することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下では、本発明の思想全般を限定することなく、実施例を用いて以下の図を参照しながら本発明を例示的に説明する。
図1】ロッド状に設計された組立ツールに沿った、接点リング要素及びシールリングの軸方向スタック構成の概略図を示す。
図2a】ロッド状組立ツールに沿って軸方向に固定して着脱可能に取り付けられる連結手段の設計の詳細図を示す。
図2b】ロッド状組立ツールに沿って軸方向に固定して着脱可能に取り付けられる連結手段の構成の詳細図を示す。
図3】ロッド状組立ツールに取り付けられた、接点リング要素及びシールリングのスタック構成を注入成型材で封入する処理ステップを示す。
図4】接点リング要素及びシールリングから成るスタック構成が封入された状態にある、凝固した注入成型材の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、ロッド状組立ツール1を概略的に示しており、このロッド形組立ツール1に沿って、電導接点リング要素2と、エラストマー材料で作製された電気絶縁シールリング3と、が軸方向に一続きに交互に連なって配置されている。接点リング要素2とシールリング3とが交互に連なった連なりから成る軸方向スタック構成4の両側には、連結手段5、6が、ロッド状組立ツール1に沿って取り付けられている。図1に示す連結手段5の場合、これは、プレート状又はディスク状に設計された機械的ストッパであり、この機械的ストッパは、さもなければロッド状に構成された組立ツール1と一体に接合されており、この機械的ストッパに対して、軸方向スタック構成4の一方の側が直接的に隣接している。軸方向スタック構成4に沿って当該ストッパの反対側に配置された連結手段6は、ロッド状組立ツール1に沿って軸方向に可動に設計されており、さらに、連結手段6をロッド状組立ツール1に対して軸方向に固定可能なロック機構を有している。
【0020】
図2a及び図2bは、軸方向に可動であり軸方向に確実にロック可能な連結手段6の実現のための好適な実施形態を示している。図2aは、雌ねじを含むナット10を示しており、このナット10は、ロッド状組立ツール1の一端に設けられた雄ねじ11と係合している。ナット10として設計された連結手段6は、必ずしも従来のナットとして設計される必要はない。実際には、雌ねじ18を含む如何なる本体又は本体形状も、連結手段6として機能しうる。図2bは、連結手段6としてのプレート要素10’を示しており、このプレート要素10’には、互いに隣り合って配置された2つの開口が設けられている。この2つの開口はそれぞれ雌ねじ11を含んでおり、当該雌ねじのそれぞれに、組立ツール1がその雄ねじ11により係合させられる。プレート要素10’は、二次元又は三次元で任意に成形及び寸法を定めることができる。さらに、雌ねじ11を含む任意の数の開口をプレート要素10’に導入することができる。これにより、それぞれが同軸上に配置された接点リング要素2及びシールリング3から成る複数の構成を頭部の内部で実現することが可能であり、上記構成のそれぞれが、コネクタユニットのための電気差し込みソケットとして機能する。プレート要素10’の設計と、プレート要素10’に設けられる雌ねじ11を含む開口の数及び配置と、に従って、製造及び組み立ての大きな労力を払うことなく、どんな複雑な頭部も実現することができる。
【0021】
ロッド状組立ツール1に対して軸方向に方向付けられた接合力を印加し、それによって接点リング要素2とシールリング3との交互の連なりを一緒に、即ち、これらを互いに圧入により接合するためには、組立ツール1を、例えば、当該組立ツールの端部の雄ねじ11の、雌ねじ11の中への完全な回転により、ナット10又はプレート要素10’に対して回転させる必要があり、その結果として、組立ツールに配置された接点リング要素2及びシールリング3に沿って作用する、規定可能な所定の接合力が設定される。最も簡単なケースでは、上記相対的な回転は、例えば、組立ツールと係合可能なスパナ状の回転工具を用いて実現することができる。
【0022】
交互に連なってロッド状組立ツール1にねじ込まれた幾つかの電気接点リング要素2及びシールリング3から成り、連結手段5及び6によって、軸方向に作用する規定の接合力F下で互いに接合された、図1に示す軸方向スタック構成4は、1つのユニットとして手動により又は自動的に取り扱われる半製品であり、後に、図3に示す方法で、流動状の凝固可能な注入成型材12によって封入される。このために、有利に、鋳型(casting mould)13が役立ち、この鋳型13へと、軸方向に予め負荷が掛かった接点リング要素及びシールリングを有する上述の半製品が、組立ツールと共に導入される。次いで、鋳型13に流動性の注入成型材12が充填され、ここで、注入成型材12は、スタック構成4全体、即ち、連結手段6、並びに、全ての接点リング要素及びシールリングを取り囲み、さらに好適には、連結手段5も少なくとも部分的に取り囲んでいる。
【0023】
注入成型材12が凝固した後に、組立ツール1が取り外され(図4参照)、ここで、連結手段6及び軸方向スタック構成4は、注入成型材12の中に残っている。連結手段5が、図1に示すように、一体に組立ツールに取り付けられておらず、連結手段6と同様に、着脱可能に組立ツールに固定して取り付けられる場合には、この場合も、連結手段5が、硬化した注入成型材の中に残されうる。
【0024】
連結手段6の雌ねじ18を超えて突出している組立ツール1の端部が、凝固した注入成型材12との強固な材料結合を形成し、これにより、組立ツール1を解放することが少なくともより困難となりうることを防止するために、組立ツールの端部は、注入成形の前に、例えばシリコーン等の保護材19で湿潤される(図2a参照)。
【0025】
組立ツール1が外された後で、接点リング要素2とシールリング1との間に加わる軸方向の接合力Fは、特に当該接合力Fが凝固した注入成型材12により支持されているため、変わらぬまま維持される。連結手段5及び6によって2つの側で、接合力Fが生成され維持される図3に示した製造ステップとは対照的に、図4の場合には、組立ツール1が取り外された後に、接合力Fが、凝固した注入成型材12のみによって補強又は支持され、凝固した注入成型材の寸法安定性のおかげで変わらぬまま維持される。
【0026】
同時に、組立ツール12が取り外された後で、キャビティの内部のオープンアクセス15が、注入成型材の凝固によって頭部14の内部に形成され、個々の電気接点リング要素2との電気接続を形成するために、このキャビティの中へと、図示されないコネクタ構成を導入することができる。
【0027】
さらに、電導構造16が、各電導接点リング要素2から出ている。この電導構造は、一方の側が頭部14の中を通って、移植可能な医療機器17内の電気部品に接続されている。このために、電導構造を、半製品の注入成形の前に既に各電気接点リング要素と接続させて、上記の半製品と共に注入成形することが可能である。代替的に、硬化したマトリクスに孔をあけて当該孔に導電構造を適切に挿入することで、電導構造を後に接点リング要素と接触させることが可能である。
【0028】
冒頭で言及したように、移植可能な医療機器17は、好適には、図4に示されないコネクタユニット及びこれと関連付けられた電気線を介して或る特定の体内領域に印加することが可能な電気刺激信号を生成するための、収容されたパルス発生器である。頭部14が典型的に、着脱可能に医療機器17に取り付けられ、これにより、体内に位置する電気線に影響を与えることなく、例えばパルス発生器の取り換えが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1:ロッド状に設計された組立ツール
2:電導接点リング要素
3:電気絶縁シールリング
4:スタック構成
5、6:連結手段
7:スリーブ
8:雌ねじを含む孔
9:グラブねじ
10:ナット
10’:プレート要素
11:雄ねじ
12:注入成型材
13:鋳型
14:頭部
15:キャビティ、オープンアクセス
16:電導構造
17:移植可能な医療機器
18:雌ねじ
19:保護材
D:回転
F:接合力
図1
図2a
図2b
図3
図4