IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルパイン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車載装置 図1
  • 特許-車載装置 図2
  • 特許-車載装置 図3
  • 特許-車載装置 図4
  • 特許-車載装置 図5
  • 特許-車載装置 図6
  • 特許-車載装置 図7
  • 特許-車載装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20221024BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60R11/02 S
G11B20/10 E
G11B20/10 321Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019007471
(22)【出願日】2019-01-21
(65)【公開番号】P2020116986
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】利光 悟武
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-114027(JP,A)
【文献】特開2004-082835(JP,A)
【文献】特開2007-008354(JP,A)
【文献】特開2003-089331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
G11B 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオおよび/またはオーディオを再生するビデオ・オーディオ再生手段と、
前記ビデオ・オーディオ再生手段によって再生されたビデオおよび/またはオーディオを前席の搭乗者に向けて出力する前席側出力手段と、
前記ビデオ・オーディオ再生手段によって再生されたビデオおよび/またはオーディオを後席の搭乗者に向けて出力する後席側出力手段と、
挿抜可能な外部デバイスに記録された情報が前記ビデオ・オーディオ再生手段によるビデオ再生を伴うビデオ情報か、伴わないオーディオ情報かを判定する再生内容判定手段と、
前記外部デバイスが挿入されたときであって、前記再生内容判定手段によってビデオ情報である旨の判定が行われた場合に、前記後席側出力手段から出力する内容を、前記ビデオ情報に基づく前記ビデオ・オーディオ再生手段による再生結果に切り替え、前記再生内容判定手段によってオーディオ情報である旨の判定が行われた場合に、前記前席側出力手段から出力する内容を、前記オーディオ情報に基づく前記ビデオ・オーディオ再生手段による再生結果に切り替える出力内容切替手段と、
を備え、前記外部デバイスが挿入される前に、前記前席出力手段から出力する内容が前記ビデオ・オーディオ再生手段によるビデオ再生を伴う内容であった場合に、
前記出力内容切替手段は、前記外部デバイスが挿入されたときであって、前記再生内容判定手段によってビデオ情報である旨の判定が行われた場合に、前記前席側出力手段から出力する内容を、前記ビデオ情報に基づく前記ビデオ・オーディオ再生手段による再生結果に切り替えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記外部デバイスが挿入されたときに、この外部デバイスに記録された情報に基づく前記ビデオ・オーディオ再生手段による再生結果を出力する前記前席側出力手段および/または前記後席側出力手段を選択する選択画面を作成して表示する選択画面表示手段と、
利用者によって操作され、前記選択画面を用いて選択する前記前席側出力手段および/または前記後席側出力手段を指定する操作手段と、
をさらに備え、前記出力内容切替手段は、前記外部デバイスが挿入されたときに、前記操作手段を用いた指定の内容に基づいて、前記外部デバイスに記録された情報に基づく前記ビデオ・オーディオ再生手段による再生結果を出力する前記前席側出力手段および/または前記後席側出力手段の切り替えを行い、前記操作手段を用いた指定が所定時間行われない場合に、前記再生内容判定手段の判定結果に基づく切り替え行うことを特徴とする請求項に記載の車載装置。
【請求項3】
前記後席側出力手段の電源切断の有無を検出する電源状態検出手段をさらに備え、
前記出力切替手段は、前記外部デバイスが挿入されたときであって、前記電源状態検出手段によって前記後席側出力手段の電源切断が検出されたときに、前記再生内容判定手段の判定結果にかかわらず、前記外部デバイスに記録された情報に基づく前記ビデオ・オーディオ再生手段による再生結果を前記前席側出力手段から出力する切り替えを行うことを特徴とする請求項に記載の車載装置。
【請求項4】
後席の搭乗者の不在を検出する搭乗者検出手段をさらに備え、
前記出力切替手段は、前記外部デバイスが挿入されたときであって、前記搭乗者検出手段によって後席の搭乗者の不在が検出されたときに、前記再生内容判定手段の判定結果にかかわらず、前記外部デバイスに記録された情報に基づく前記ビデオ・オーディオ再生手段による再生結果を前記前席側出力手段から出力する切り替えを行うことを特徴とする請求項に記載の車載装置。
【請求項5】
自車両が停車中あるいは駐車中の非走行状態にあることを検出する走行状態検出手段をさらに備え、
前記出力切替手段は、前記外部デバイスが挿入されたときであって、前記走行状態検出手段によって自車両の非走行状態が検出されたときに、前記再生内容判定手段の判定結果にかかわらず、前記外部デバイスに記録された情報に基づく前記ビデオ・オーディオ再生手段による再生結果を前記前席側出力手段から出力する切り替えを行うことを特徴とする請求項に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部デバイスに記録された映像情報を読み出して再生を行う車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のダッシュボードに設置されたフロント席用表示ユニットと、座席のヘッドレストの後部に設置されたリヤ席用表示ユニットとを備え、各表示ユニットにおいて別々のA/Vソース(ラジオ受信機、TV受信機、SV/DVDプレーヤ等)を選択して個別に再生を行うことができる車載用オーディオ/ビデオシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムでは、CD/DVDプレーヤにDVDが装填されたときに、このDVDに記録された映像を再生してこれらの各表示ユニットに表示するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-282433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示された車載用オーディオ/ビデオシステムでは、CD/DVDプレーヤにDVDを挿入すると、このDVDの再生が開始され、フロント席用表示ユニットとリヤ席用表示ユニットの両方において再生映像の表示が開始される。しかし、車両走行中は、フロント席用表示ユニットを用いたDVDの再生映像の表示は制限されるため、リヤ席用表示ユニットを用いたDVDの再生映像の表示のみを行い、フロント席用表示ユニットについてはDVDの挿入前の再生状態を維持することが望ましく、このようなDVDの挿入前の再生状態に戻すために操作が煩雑になるという問題があった。例えば、フロント席用表示ユニットとリヤ席用表示ユニットの両方において再生映像の表示が行われた状態において、フロント席用表示ユニットのみを指定し、かつ、再生対象となるソースを選択するなどの操作が必要になり、操作性がいいとはいえない。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、DVD等の外部デバイスを挿入して映像を再生する際の操作性を向上させることができる車載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の車載装置は、ビデオおよび/またはオーディオを再生するビデオ・オーディオ再生手段と、ビデオ・オーディオ再生手段によって再生されたビデオおよび/またはオーディオを前席の搭乗者に向けて出力する前席側出力手段と、ビデオ・オーディオ再生手段によって再生されたビデオおよび/またはオーディオを後席の搭乗者に向けて出力する後席側出力手段と、挿抜可能な外部デバイスに記録された情報がビデオ・オーディオ再生手段によるビデオ再生を伴うビデオ情報か、伴わないオーディオ情報かを判定する再生内容判定手段と、外部デバイスが挿入されたときであって、再生内容判定手段によってビデオ情報である旨の判定が行われている場合に、後席側出力手段から出力する内容を、ビデオ情報に基づくビデオ・オーディオ再生手段による再生結果に切り替え、再生内容判定手段によってオーディオ情報である旨の判定が行われている場合に、前席側出力手段から出力する内容を、オーディオ情報に基づくビデオ・オーディオ再生手段による再生結果に切り替える出力内容切替手段とを備えている。
【0007】
外部デバイスが挿入されてビデオ再生を行う場合に、前席側ではなく後席側にその再生映像を表示することができるため、前席側における再生映像の表示を中止したり、後席側における再生映像の表示を指示するなどの煩雑な操作が不要になり、操作性を向上させることができる。
【0009】
また、上述した外部デバイスが挿入される前に、前席側出力手段から出力する内容がビデオ・オーディオ再生手段によるビデオ再生を伴う内容であった場合に、出力内容切替手段は、外部デバイスが挿入されたときであって、再生内容判定手段によってビデオ情報である旨の判定が行われている場合に、前席側出力手段から出力する内容を、ビデオ情報に基づくビデオ・オーディオ再生手段による再生結果に切り替える。これにより、外部デバイス挿入前に前席側において映像表示が行われていた場合には外部デバイスに記録された情報に基づく映像表示に切り替えても支障がないと考えられるため、このような切り替えを自動で行うことにより、追加の操作を行うことによって前席側の映像表示に切り替える場合に比べて操作の簡略化が可能になる。
【0010】
また、上述した外部デバイスが挿入されたときに、この外部デバイスに記録された情報に基づくビデオ・オーディオ再生手段による再生結果を出力する前席側出力手段および/または後席側出力手段を選択する選択画面を作成して表示する選択画面表示手段と、利用者によって操作され、選択画面を用いて選択する前席側出力手段および/または後席側出力手段を指定する操作手段とをさらに備え、出力内容切替手段は、外部デバイスが挿入されたときに、操作手段を用いた指定の内容に基づいて、外部デバイスに記録された情報に基づくビデオ・オーディオ再生手段による再生結果を出力する前席側出力手段および/または後席側出力手段の切り替えを行い、操作手段を用いた指定が所定時間行われない場合に、再生内容判定手段の判定結果に基づく切り替え行うことが望ましい。これにより、前席側と後席側において、利用者の意思を確実に反映した映像表示の切り替えが可能となる。
【0011】
また、上述した後席側出力手段の電源切断の有無を検出する電源状態検出手段をさらに備え、出力切替手段は、外部デバイスが挿入されたときであって、電源状態検出手段によって後席側出力手段の電源切断が検出されたときに、再生内容判定手段の判定結果にかかわらず、外部デバイスに記録された情報に基づくビデオ・オーディオ再生手段による再生結果を前席側出力手段から出力する切り替えを行うことが望ましい。また、後席の搭乗者の不在を検出する搭乗者検出手段をさらに備え、出力切替手段は、外部デバイスが挿入されたときであって、搭乗者検出手段によって後席の搭乗者の不在が検出されたときに、再生内容判定手段の判定結果にかかわらず、外部デバイスに記録された情報に基づくビデオ・オーディオ再生手段による再生結果を前席側出力手段から出力する切り替えを行うことが望ましい。再生結果の出力を前席側のみで行うことが明らかな場合に、挿入された外部デバイスに記録された情報に基づく映像表示に前席側を切り替えることにより、利用者の意思を確実に反映した映像表示の切り替えが可能となる。
【0012】
また、自車両が停車中あるいは駐車中の非走行状態にあることを検出する走行状態検出手段をさらに備え、出力切替手段は、外部デバイスが挿入されたときであって、走行状態検出手段によって自車両の非走行状態が検出されたときに、再生内容判定手段の判定結果にかかわらず、外部デバイスに記録された情報に基づくビデオ・オーディオ再生手段による再生結果を前席側出力手段から出力する切り替えを行うことが望ましい。これにより、前席側において映像表示が可能な非走行状態のときに、挿入された外部デバイスに記録された情報に基づく映像表示に前席側を切り替えることにより、利用者の意思を確実に反映した映像表示の切り替えが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の車載装置の構成を示す図である。
図2】CPUによって実現されるディスク切替制御部の機能ブロックを示す図である。
図3】ディスク装置にディスクが挿入されたときに行われるディスク切替動作の動作手順を示す流れ図である。
図4】ディスク切替動作の変形例の動作手順を示す流れ図である。
図5】ディスク切替動作の他の変形例の動作手順を示す流れ図である。
図6】ディスク切替動作の他の変形例の動作手順を示す流れ図である。
図7】ディスク切替動作の他の変形例の動作手順を示す流れ図である。
図8】ディスク切替動作の他の変形例の動作手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した一実施形態の車載装置について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、一実施形態の車載装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の車載装置1は、ナビゲーション処理部10、TVチューナ処理部14、ラジオチューナ処理部16、AV処理部18、操作部20F、20R、タッチパネル22F、22R、入力制御部24F、24R、表示処理部30F、30R、表示部32F、32R、デジタル-アナログ変換器(D/A)40F、40R、スピーカ42、ヘッドホン44、CPU50、メモリ60、ディスク装置70、USBインタフェース部(USB I/F)80、SD(Secure Digital)インタフェース部(SD I/F)82、ブルートゥース・インタフェース部(BT I/F)84を備えている。
【0016】
ナビゲーション処理部10は、メモリ60に格納されている地図データを用いて、車載装置1が搭載された車両の走行を案内するナビゲーション動作を行う。自車位置を検出するGPS(Global Positioning System)装置12とともに用いられ、車両の走行を案内するナビゲーション動作には、地図表示、経路探索・誘導、周辺施設検索などが含まれる。なお、自車位置検出は、GPS12の他にジャイロセンサや車速センサ等の自律航法センサを組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0017】
TVチューナ処理部14は、地上デジタル放送等の放送信号を受信し、映像および音声を再生する処理を行う。ラジオチューナ処理部16は、ラジオ放送の信号を受信し、音声を再生する処理を行う。なお、本明細書では、主に人が発する音声や、楽器等が発する音楽などの音全般を「オーディオ」と称する。また、これに合わせて、ナビゲーション処理部10、TVチューナ処理部14、AV処理部18で処理する映像を「ビデオ」と称する。
【0018】
AV処理部18は、圧縮されて外部デバイス(ディスク装置70に挿入されるディスクや、USBインタフェース部80に挿入されるUSBメモリ、SDインタフェース部82に挿入されるSDメモリカードなど)や、メモリ60に記録されている情報(ビデオ情報、オーディオ情報)を読み出してビデオおよび/またはオーディオの再生を行う。
【0019】
操作部20Fは、車両前席の搭乗者(利用者)による各種操作を受け付けるためのものである。タッチパネル22Fは、前席の表示部32Fの画面に重ねて配置されており、利用者の指が接触した画面上の位置を検出する。入力制御部24Fは、操作部20Fおよびタッチパネル22Fの操作状態を監視し、利用者による操作内容を検出する。
【0020】
表示処理部30Fは、各種の操作画面等を表示する映像信号を出力して表示部32Fにこれらの画面を表示するとともに、ナビゲーション処理部10、TVチューナ処理部14、AV処理部18のそれぞれの処理内容に対応するビデオ信号を出力して表示部32Fにこれらの処理内容を示す画面を表示する。表示部32Fは、前席の搭乗者に見える位置(例えば、ダッシュボード中央)に設置されており、液晶表示装置(LCD)等を用いて構成され、表示処理部30Fから出力されるビデオ信号に対応する画面を表示する。
【0021】
また、操作部20Rは、車両後席の搭乗者(利用者)による各種操作を受け付けるためのものである。タッチパネル22Rは、後席の表示部32Rの画面に重ねて配置されており、利用者の指が接触した画面上の位置を検出する。入力制御部24Rは、操作部20Rおよびタッチパネル22Rの操作状態を監視し、利用者による操作内容を検出する。
【0022】
表示処理部30Rは、各種の操作画面等を表示する映像信号を出力して表示部32Rにこれらの画面を表示するとともに、TVチューナ処理部14、AV処理部18のそれぞれの処理内容に対応するビデオ信号を出力して表示部32Rにこれらの処理内容を示す画面を表示する。表示部32Rは、後席の搭乗者に見える位置(例えば、運転席と助手席の各シートバックの中央)に設置されており、液晶表示装置(LCD)等を用いて構成され、表示処理部30Rから出力されるビデオ信号に対応する画面を表示する。
【0023】
デジタル-アナログ変換器40Fは、ナビゲーション処理部10、TVチューナ処理部14、ラジオチューナ処理部16、AV処理部18のそれぞれの処理によって生成されるオーディオデータをアナログのオーディオ信号に変換してスピーカ42から出力する。なお、実際には、デジタル-アナログ変換器40Fとスピーカ42の間には信号を増幅する増幅器が接続されているが、図1ではこの増幅器は省略されている。また、デジタル-アナログ変換器40Fとスピーカ42との組合せは再生チャンネル数分備わっているが、図1では一組のみが図示されている。
【0024】
デジタル-アナログ変換器40Rは、ナビゲーション処理部10、TVチューナ処理部14、ラジオチューナ処理部16、AV処理部18のそれぞれの処理によって生成されるオーディオデータをアナログのオーディオ信号に変換してヘッドホン44から出力する。なお、実際には、デジタル-アナログ変換器40Rとヘッドホン44の間には信号を増幅する増幅器が接続されているが、図1ではこの増幅器は省略されている。また、デジタル-アナログ変換器40Rとヘッドホン44は、後席の搭乗者がオーディオを聴取するためのものであり、これらは後席に搭乗可能な搭乗者の数に合わせて用意されている。
【0025】
CPU50は、メモリ60に格納された所定のプログラムを実行することにより、車載装置1の全体を制御する。また、CPU50は、ディスク装置70にDVDやCD等の外部デバイスとしてのディスクが挿入された際にこのディスクの再生結果の出力先を切り替える動作(ディスク切替動作)を行うディスク切替制御部として機能する。
【0026】
メモリ60は、CPU50の動作プログラムを格納するとともに、CPU50の動作に必要な各種データを格納する作業領域として用いられる。CPU50によって実行される動作プログラムには、上述したディスク切替動作を行う動作プログラム(再生先切替プログラム)が含まれている。メモリ60は、例えば、ROMやRAM等の半導体メモリによって構成されており、これら以外にハードディスク装置などを含むようにしてもよい。
【0027】
ディスク装置70は、挿入されたDVDやCD等のディスクに記録されたビデオ情報やオーディオ情報を光学的に読み取る。本実施形態の車載装置1は、操作部20R、タッチパネル22R、表示部32R、ヘッドホン44以外の構成が前席側に設けられた筐体内に収まっており、ディスク装置70に対するディスクの挿抜は前席の搭乗者によって行われる。
【0028】
USBインタフェース部80は、USBメモリやスマートフォン等の携帯端末装置などとの間で信号の入出力を行うためのものである。このUSBインタフェース部80には、USBポートやUSBホストコントローラが含まれる。外部デバイスとしてのUSBメモリは、このUSBポートに、直接あるいはUSBケーブルを介して接続することができる。
【0029】
SDインタフェース部82は、外部デバイスとしてのSDメモリカードとの間で信号の入出力を行うためのものであり、SDカードスロットとSDホストコントローラが含まれる。
【0030】
ブルートゥース・インタフェース部84は、ブルートゥース(登録商標)によって携帯端末装置等との間で信号の送受信を行う通信装置(ブルートゥース機器)である。
【0031】
図2は、CPU50によって実現されるディスク切替制御部の機能ブロックを示す図である。図2に示すディスク切替制御部150は、メモリ60に格納されている再生先切替プログラムをCPU50によって実行することにより動作する各種の機能を有する。
【0032】
具体的には、ディスク切替制御部150は、ディスク検出部151、再生内容判定部152、出力内容切替部153、選択画面作成部154、電源状態検出部155、搭乗者検出部156、走行状態検出部157を含んで構成されている。
【0033】
ディスク検出部151は、ディスク装置70にディスクが挿入されたことを検出する。ディスクには、DVDやCDが含まれるが、これらに限定されるものではなく、それ以外を検出対象に加えてもよい。
【0034】
再生内容判定部152は、ディスク装置70に装填されたディスクに記録された情報がAV処理部18によるビデオ再生を伴うビデオ情報か、ビデオ再生を伴わないオーディオ情報かを判定する。
【0035】
出力内容切替部153は、ディスクがディスク装置70に挿入されたときであって、再生内容判定部152によってディスクの情報がビデオ情報である旨の判定が行われた場合に、後席側に出力する内容を、このビデオ情報に基づくAV処理部18による再生結果に切り替え、再生内容判定部152によってディスクの情報がオーディオ情報である旨の判定が行われた場合に、前席側に出力する内容を、このオーディオ情報に基づくAV処理部18による再生結果に切り替える。
【0036】
選択画面作成部154は、ディスクがディスク装置70に挿入されたときに、このディスクに記録された情報に基づくAV処理部18による再生結果の出力先を選択する選択画面を作成する。この選択画面は、表示処理部30Fによって表示部32Fに表示される。。この選択画面には、再生結果の出力先として、「前席」、「後席」、「全て(前席&後席)」の3つの選択肢が含まれており、利用者(前席の搭乗者)は、いずれかの選択肢を直接指で指し示す(指示した位置がタッチパネル22Fによって検出される)ことにより、出力先を選択することができる。
【0037】
電源状態検出部155は、後席側の表示部32Rや操作部20Rなどの電源切断の有無を検出する。例えば、表示部32R、操作部20R、タッチパネル22Rが一つの筐体に収納されており、この筐体に電源スイッチが設けられているものとすると、電源状態検出部155は、この電源スイッチのON/OFFを検出する。
【0038】
搭乗者検出部156は、後席の搭乗者の不在を検出する。例えば、後席のシートベルトの使用状況に基づいて後席の搭乗者がいないことを検出することができる。また、カメラ(図示せず)を用いて後席を撮像し、得られた画像に基づいて搭乗者がいないことを検出するようにしてもよい。
【0039】
走行状態検出部157は、自車両が停車中あるいは駐車中の非走行状態にあることを検出する。非走行状態にあるか否かは、例えば、走行時に出力される車速パルスの有無に基づいて判定することができる。あるいは、ナビゲーション処理部10によって検出される自車位置の変化に基づいて判定するようにしてもよい。
【0040】
上述したTVチューナ処理部14、ラジオチューナ処理部16、AV処理部18がビデオ・オーディオ再生手段に、表示処理部30F、表示部32F、デジタル-アナログ変換器40F、スピーカ42が前席側出力手段に、表示処理部30R、表示部32R、デジタル-アナログ変換器40R、ヘッドホン44が後席側出力手段に、再生内容判定部152が再生内容判定手段に、出力内容切替部153が出力内容切替手段に、選択画面作成部154、表示処理部30F、表示部32Fが選択画面表示手段に、操作部20F、タッチパネル22Fが操作手段に、電源状態検出部155が電源状態検出手段に、搭乗者検出部156が搭乗者検出手段に、走行状態検出部157が走行状態検出手段にそれぞれ対応する。
【0041】
本実施形態の車載装置1はこのような構成を有しており、次に、ディスク切替制御部150によるディスク切替動作について説明する。
【0042】
図3は、ディスク装置70にディスクが挿入されたときに行われるディスク切替動作の動作手順を示す流れ図である。
【0043】
車載装置1に電源が投入されてディスク装置70にディスクが装填されていない状態において、ディスク検出部151は、ディスク装置70にディスクが挿入されたか否かを判定する(ステップ100)。ディスクが挿入されるまでは否定判断が行われ、この判定が繰り返される。また、ディスクが挿入されるとステップ100の判定において肯定判断が行われる。
【0044】
次に、再生内容判定部152は、ディスク装置70に挿入されたディスクに記録された情報がAV処理部18によるビデオ再生を伴うビデオ情報か否かを判定する(ステップ102)。ビデオ情報の場合には肯定判断が行われ、出力内容切替部153は、後席側に出力する内容を、このビデオ情報に基づくAV処理部18によるビデオ再生結果に切り替える(ステップ104)。以後、後席の表示部32Rにはビデオ再生結果としての映像が表示され、後席のヘッドホン44からはこの映像に付加されたオーディオ音が出力される。
【0045】
また、挿入されたディスクに記録された情報がビデオ情報でない場合(オーディオ情報)の場合にはステップ102の判定において否定判断が行われる。この場合は、出力内容切替部153は、前席側に出力する内容を、このオーディオ情報に基づくAV処理部18によるオーディオ再生結果に切り替える(ステップ106)。以後、前席のスピーカ42からは再生されたオーディオ音が出力される。
【0046】
このように、本実施形態の車載装置1では、外部デバイスとしてのディスクがディスク装置70に挿入されてビデオ再生を行う場合に、前席側ではなく後席側にそのビデオ映像を表示することができるため、前席側におけるビデオ映像の表示を中止したり、後席側におけるビデオ映像の表示を指示するなどの煩雑な操作が不要になり、操作性を向上させることができる。
【0047】
なお、上述した説明では、ディスク挿入前の再生状態については説明していないが、この再生状態についてはいくつかのパターンが考えられる。
(パターン1)TVチューナ処理部14、ラジオチューナ処理部16、AV処理部18のいずれか一つによる共通の再生結果を、前席側と後席側の両方から同時に出力している。
(パターン2)TVチューナ処理部14、ラジオチューナ処理部16、AV処理部18のいずれか二つによる再生結果のそれぞれを、前席側と後席側から別々に出力している。この場合に、AV処理部18によって、USBメモリに記録された情報に基づく再生動作と、SDメモリカードに記録された情報に基づく再生動作と、携帯端末装置に記録された情報に基づく再生動作などの中の2つの再生動作を並行して行うことができる場合には、AV処理部18による二つの再生結果のそれぞれを、前席側と後席側から別々に出力することもパターン2に含まれる。
【0048】
図3に示したステップ104では、後席側についてビデオ映像への切り替えが行われるが、前席側については、それまで出力していた再生内容(パターン1あるいはパターン2のいずれであってもよい)がこの切替後も維持される。また、図3に示したステップ106では、前席側についてオーディオ音への切り替えが行われるが、後席側については、それまで出力していた再生内容(パターン1あるいはパターン2のいずれであってもよい)がこの切替後も維持される。
【0049】
(変形例1)
図4は、ディスク切替動作の変形例の動作手順を示す流れ図である。図4に示した流れ図は、図3に示した流れ図に対して、ステップ200、202の動作が追加された点が異なっている。以下では、この追加されたステップ200、202の動作に着目して説明を行う。
【0050】
ディスクに記録された情報がビデオ情報であってステップ102の判定において肯定判断が行われると、出力内容切替部153は、その時点で前席側においてビデオ再生中(ビデオ映像出力中)か否かを判定する(ステップ200)。ビデオ再生中でない場合には否定判断が行われ、ステップ104に移行して後席側のビデオ映像への切り替えが行われる。また、前席側においてビデオ再生中の場合にはステップ200の判定において肯定判断が行われる。この場合には、出力内容切替部153は、前席側と後席側の両方に出力する内容を、ディスクに記録されたビデオ情報に基づくAV処理部18によるビデオ再生結果に切り替える(ステップ202)。
【0051】
このように、ディスク挿入前に前席側においてビデオ映像が表示されていた場合にはディスクに記録された情報に基づくビデオ映像に切り替えても支障がないと考えられるため、このような切り替えを自動で行うことにより、追加の操作を行うことによって前席側のビデオ映像に切り替える場合に比べて操作の簡略化が可能になる。
【0052】
(変形例2)
図5は、ディスク切替動作の他の変形例の動作手順を示す流れ図である。図5に示した流れ図は、図3に示した流れ図に対して、ステップ210、212、214、216の動作が追加された点が異なっている。以下では、この追加されたステップ210~2162の動作に着目して説明を行う。
【0053】
ディスクに記録された情報がビデオ情報であってステップ102の判定において肯定判断が行われると、選択画面作成部154は、ディスクに記録された情報に基づくAV処理部18による再生結果の出力先を選択する選択画面を作成し、表示する(ステップ210)。上述したように、この選択画面には、再生結果の出力先として、「前席」、「後席」、「全て(前席&後席)」の3つの選択肢が含まれており、前席の搭乗者は、操作部20Fやタッチパネル22Fを用いてこれら3つの選択肢のいずれかを選択することができる。
【0054】
次に、出力内容切替部153は、前席の搭乗者によっていずれかの選択肢が選択されたか否かを判定する(ステップ212)。いずれの選択肢も選択されない場合は否定判断が行われ、次に、出力内容切替部153は、所定時間経過したか否かを判定する(ステップ214)。所定時間が経過するまでは否定判断が行われ、ステップ212に戻って選択肢選択の有無判定が繰り返される。また、いずれかの選択肢も選択されずに所定時間が経過するとステップ214の判定において肯定判断が行われる。この場合には、ステップ104に移行して後席側のビデオ映像への切り替えが行われる。また、いずれかの選択肢が選択されるとステップ212の判定において肯定判断が行われる。次に、出力内容切替部153は、選択された選択肢で示された前席側および/または後席側に出力する内容を、ディスクに記録されたビデオ情報に基づくAV処理部18によるビデオ再生結果に切り替える(ステップ216)。
【0055】
このように、ディスクに記録された情報がビデオ情報であった場合に、自動的に後席側をビデオ映像に切り替える前に、選択画面を表示して前席の搭乗者にビデオ信号の出力先を選択させることにより、前席側と後席側において、利用者(前席の搭乗者)の意思を確実に反映したビデオ映像の切り替えが可能となる。
【0056】
(変形例3)
図6は、ディスク切替動作の他の変形例の動作手順を示す流れ図である。図6に示した流れ図は、図3に示した流れ図に対して、ステップ220、222の動作が追加された点が異なっている。以下では、この追加されたステップ220、222の動作に着目して説明を行う。
【0057】
ディスクが挿入されてステップ100の判定において肯定判断が行われると、電源状態検出部155は、後席側の表示部32Rや操作部20Rなどの電源が切断(電源OFF)されているか否かを判定する(ステップ220)。電源が切断されていない場合には否定判断が行われ、ステップ102に移行してディスク内容の判定動作が行われる。また、電源が切断されている場合にはステップ220の判定において肯定判断が行われる。この場合には、出力内容切替部153は、前席側に出力する内容を、ディスクに記録された情報に基づくAV処理部18による再生結果(ビデオ再生あるいはオーディオ再生)に切り替える(ステップ222)。
【0058】
このように、再生結果の出力を前席側のみで行うことが明らかな場合に、挿入されたディスクに記録された情報に基づくビデオ再生あるいはオーディオ再生に前席側を切り替えることにより、利用者の意思を確実に反映したビデオ映像への切り替えが可能となる。
【0059】
(変形例4)
図7は、ディスク切替動作の他の変形例の動作手順を示す流れ図である。図7に示した流れ図は、図6に示した流れ図に対して、ステップ220をステップ220Aの動作に置き換えた点が異なっている。以下では、この置き換えたテップ220Aの動作に着目して説明を行う。
【0060】
ディスクが挿入されてステップ100の判定において肯定判断が行われると、搭乗者検出部156は、後席の搭乗者が不在か否かを判定する(ステップ220A)。後席に搭乗者がいる場合には否定判断が行われ、ステップ102に移行してディスク内容の判定動作が行われる。また、後席に搭乗者がいない場合にはステップ220Aの判定において肯定判断が行われる。この場合には、出力内容切替部153は、前席側に出力する内容を、ディスクに記録された情報に基づく再生結果(ビデオ再生あるいはオーディオ再生)に切り替える(ステップ222)。
【0061】
このように、再生結果を前席側のみで視聴することが明らかな場合に、挿入されたディスクに記録された情報に基づくビデオ再生あるいはオーディオ再生に前席側を切り替えることにより、利用者の意思を確実に反映したビデオ映像への切り替えが可能となる。
【0062】
(変形例5)
図8は、ディスク切替動作の他の変形例の動作手順を示す流れ図である。図8に示した流れ図は、図3に示した流れ図に対して、ステップ230、232の動作が追加された点が異なっている。以下では、この追加されたステップ230、232の動作に着目して説明を行う。
【0063】
ディスクが挿入されてステップ100の判定において肯定判断が行われると、走行状態検出部157は、車両が非走行状態(停車中あるいは駐車中)であるか否かを判定する(ステップ230)。車両が走行中の場合には否定判断が行われ、ステップ102に移行してディスク内容の判定動作が行われる。また、車両が非走行状態にある場合にはステップ230の判定において肯定判断が行われる。この場合には、出力内容切替部153は、前席側に出力する内容を、ディスクに記録された情報に基づく再生結果(ビデオ再生あるいはオーディオ再生)に切り替える(ステップ232)。なお、後席側については、前席と同じ再生内容に切り替えてもよいが、ディスク挿入前の再生状態を維持するようにしてもよい。
【0064】
このように、車両が非走行状態にある場合には、前席側でビデオ再生やオーディオ再生をするためにビデオを挿入したと考えることができるため、このような場合に、挿入されたディスクに記録された情報に基づくビデオ再生あるいはオーディオ再生に前席側を切り替えることにより、利用者の意思を確実に反映したビデオ映像への切り替えが可能となる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、挿入される外部デバイスとしてディスクを考えたが、本発明が適用される外部デバイスはディスクに限定されるものではなく、USBメモリやSDメモリカードを含めるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
上述したように、本発明によれば、外部デバイスが挿入されてビデオ再生を行う場合に、前席側ではなく後席側にその再生映像を表示することができるため、前席側における再生映像の表示を中止したり、後席側における再生映像の表示を指示するなどの煩雑な操作が不要になり、操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 車載装置
50 CPU
60 メモリ
70 ディスク装置
150 ディスク切替制御部
151 ディスク検出部
152 再生内容判定部
153 出力内容切替部
154 選択画面作成部
155 電源状態検出部
156 搭乗者検出部
157 走行状態検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8