(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】写真ファイル名変換システム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/14 20190101AFI20221024BHJP
G06F 16/587 20190101ALI20221024BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20221024BHJP
【FI】
G06F16/14 100
G06F16/587
G06Q10/00 300
(21)【出願番号】P 2019112451
(22)【出願日】2019-06-18
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】391007460
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉 浩一
(72)【発明者】
【氏名】大須 正和
(72)【発明者】
【氏名】久田 翔太
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-352218(JP,A)
【文献】特開2004-356694(JP,A)
【文献】特開2009-079964(JP,A)
【文献】特開2008-042887(JP,A)
【文献】特表2008-512933(JP,A)
【文献】特開2018-147314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS機能付きデジタルカメラで撮影された高速道路の写真データを読み込む写真データ読込手段と、
高速道路名と、キロポスト値と、緯度経度データとを対応させて登録した道路情報データベースと、
読み込まれた写真データから、撮影日付と撮影ポイントの緯度経度データを抽出する抽出手段と、
抽出された緯度経度データを道路情報データベースの緯度経度データと突合し、撮影ポイントの高速道路名と、キロポスト値を取得する演算手段と、
写真データのファイル名を、撮影日付と、高速道路名と、キロポスト値とを含むファイル名に変換するファイル名変換手段とを備えた
写真ファイル名変換システムであって、
撮影ポイントの緯度経度データがキロポスト値のない側道に対応する場合には、演算手段は、その位置から高速道路の本線に向かって引いた垂線が本線と交差する点のキロポスト値を、撮影ポイントのキロポスト値とすることを特徴とする写真ファイル名変換システム。
【請求項2】
道路情報データベースは更に、インターチェンジ、パーキングエリア、トンネル、橋を含む道路施設のキロポスト値及び緯度経度データを含むものであり、演算手段が緯度経度データからこれらの道路施設を取得したときには、ファイル名変換手段は道路施設名を含むファイル名に変換することを特徴とする請求項1に記載の写真ファイル名変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路の現場で撮影した写真のファイル名を、検索し易い名称に変換する写真ファイル名変換システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速道路の現場では、点検や補修工事などが日常的に行われており、その現場の状況を記録するために多数の写真が撮影されている。撮影された写真データは事務所でプリントし整理されるが、自動的に設定される写真データのファイル名は連続番号となっているため、ファイル名を見ただけでは撮影ポイントを特定することができない。このため、撮影者は持参している野帳に撮影ポイントをメモし、どの写真がどの位置で撮影されたのかを後で判断できるようにしている。
【0003】
しかしこの野帳へのメモ作業も、事務所に帰ってから写真と野帳のメモとを対応させる作業も煩雑であり、写真整理に多くの手数を要しているという問題があった。
【0004】
そこで特許文献1に示されるように、工事写真をサーバに取り込み、写真のファイル名を撮影日、撮影場所、工事の種類を含む名称に変換し、工事写真帳を作成する工事写真帳作成支援システムが提案されている。ところがこの特許文献1のシステムは建物や橋梁等の一定位置における工事を対象としたものである。これに対して写真は非常に広範囲を移動しながら、各所で撮影されるため、撮影場所が特定されている特許文献1のシステムでは対応することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、上記した従来の問題点を解決し、広範囲を移動しながら高速道路の各所で撮影された写真のファイル名を、検索し易い名称に自動的に変換することができる写真ファイル名変換システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明の写真ファイル名変換システムは、GPS機能付きデジタルカメラで撮影された高速道路の写真データを読み込む写真データ読込手段と、高速道路名と、キロポスト値と、緯度経度データとを対応させて登録した道路情報データベースと、読み込まれた写真データから、撮影日付と撮影ポイントの緯度経度データを抽出する抽出手段と、抽出された緯度経度データを道路情報データベースの緯度経度データと突合し、撮影ポイントの高速道路名と、キロポスト値を取得する演算手段と、写真データのファイル名を、撮影日付と、高速道路名と、キロポスト値とを含むファイル名に変換するファイル名変換手段とを備えた写真ファイル名変換システムであって、撮影ポイントの緯度経度データがキロポスト値のない側道に対応する場合には、演算手段は、その位置から高速道路の本線に向かって引いた垂線が本線と交差する点のキロポスト値を、撮影ポイントのキロポスト値とすることを特徴とするものである。
【0008】
なお、道路情報データベースは更に、インターチェンジ、パーキングエリア、トンネル、橋を含む道路施設のキロポスト値及び緯度経度データを含むものであり、演算手段が緯度経度データからこれらの道路施設を取得したときには、ファイル名変換手段は道路施設名を含むファイル名に変換することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の写真ファイル名変換システムによれば、GPS機能付きデジタルカメラを用いて高速道路で撮影した写真データのファイル名を、撮影日付と、高速道路名と、キロポスト値とを含むファイル名に自動的に変換することができる。このため撮影者は従来のように野帳に撮影ポイントをメモする作業が不要になる。また撮影ポイントが側道である場合にも、どの高速道路のどのキロポスト位置で撮影された写真であるかがファイル名に表示されるので、写真の整理が非常に容易になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】高速道路の高架橋の点検作業を撮影した写真のイメージ図である。
【
図3】高速道路の高架橋を地上から撮影した写真のイメージ図である。
【
図4】側道から高速道路の本線を撮影した写真のイメージ図である。
【
図5】側道のキロポスト値の算出法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態を示すブロック図である。本発明のシステムは例えば道路管理事務所などに設置されたサーバ10やパソコンにインストールして用いられるもので、写真データ読込手段11、抽出手段12、演算手段13、ファイル名変換手段14、表示手段15、道路情報データベース16等を備えている。
【0013】
図2は高速道路の高架橋の点検作業を撮影した写真のイメージ図である。
図3は高速道路の高架橋を地上から撮影した写真のイメージ図である。
図4はインターチェンジを構成する側道から高速道路の本線を撮影した写真のイメージ図である。本発明ではこれらの写真はGPS機能付きデジタルカメラ17を用いて撮影される。
【0014】
GPS機能付きデジタルカメラ17は、デジタルカメラにGPS受信機能を付加したカメラであり、カメラメーカから複数種類が販売されている。GPSは米国の複数の人工衛星から発射される電波を利用した位置特定システムであるが、その位置特定誤差はかなり大きかった。しかし最近日本が打ち上げ、日本の上空に留まる時間に長い「みちびき」と呼ばれる人工衛星を利用することにより、国内における位置特定誤差を数cmにまで高めることが可能となっている。
【0015】
GPS機能付きデジタルカメラで撮影された写真データには、撮影日と、撮影ポイントにおける緯度経度データが含まれている。ただしカメラにより自動的に設定される写真のファイル名は、例えば「DSC00001.JPG」、「DSC00002.JPG」、「DSC00003.JPG」・・のように連続番号となっている。撮影された写真データの記録媒体を事務所に持ち帰り、サーバ10の写真データ読込手段11が番号順に読み込む。しかし撮影した場所が事務所から遠く離れている場合には、電子メール等に添付してサーバ10に送信してもよい。
【0016】
写真データ読込手段11が読み込んだ緯度経度データと画像データとからなる写真データは、サーバ10の適宜の記憶手段に記憶される。次に抽出手段12が個々の写真データから、撮影日と緯度経度データを抽出する。
【0017】
次に演算手段13が、抽出された緯度経度データを道路情報データベース16と突合する。道路情報データベース16は、高速道路名と、キロポスト値と、緯度経度データを含む。キロポスト値は道路の起点からの距離をkm単位で示すものであり、高速道路では原則として0.1km置きにキロポスト表示板が設置されている。交差点の多い一般道とは異なり高速道路は位置を特定しにくいため、キロポスト表示が設置され、道路名とキロポスト値とを組み合わせれば高速道路上の位置を特定できるようになっている。
【0018】
表1に示すように、道路情報データベース16には、高速道路の道路ID、上下ID、道路施設ID、キロポスト値が、緯度経度データとともに登録されている。道路IDは、例えば東名高速は1010、名神高速は1011、東名阪は1070などのように高速道路毎に付けられた記号である。上下IDは上り車線であるか下り車線であるかを示す。道路施設IDは、例えば東名高速の三ケ日ジャンクションは101000001、豊川インターチェンジは101000002、赤塚パーキングエリアは101000003、釣橋川橋は110103560、豊川高架橋は110003670、三ケ日トンネルは2101000110などのように、道路施設毎につけられた記号であり、この実施形態では最初の4文字は道路IDである。インターチェンジやパーキングエリア等の道路施設については、入口地点と出口地点のキロポスト値がKP1、KP2として登録されている。
【0019】
【0020】
また道路施設以外の高速道路の本線部分についても、表2に示すように道路ID、上下ID、キロポスト値、緯度経度データが登録されている。なお、高速道路に表示されているキロポストは100m間隔であるため表2のデータも100m間隔となっている。しかし、本実施形態ではその間を100等分して1m間隔の緯度経度データを算出している。これは撮影ポイントをより正確に特定できるようにするためである。
【0021】
【0022】
演算手段13は抽出された緯度経度データを、道路情報データベース16に登録されている緯度経度データと突合し、撮影ポイントがどの高速道路の何キロポストの位置であるのかを取得する。撮影ポイントが高速道路の本線上であった場合には正確にキロポストの値を算出することができる。しかし、
図4の写真のように撮影ポイントがキロポストが付与されていない側道である場合には、
図5に示すように、演算手段13は側道20の撮影ポイントAから高速道路の本線30に向かって引いた垂線が本線と交差する点Bのキロポスト値を、撮影ポイントのキロポスト値とする。
【0023】
また橋については起点に近い側から橋脚に番号が付されているので、演算手段13は抽出された緯度経度データから撮影ポイントが橋脚であると判断した場合には、何番目の橋脚であるかを特定する。
【0024】
上記のようにして、写真の緯度経度データから撮影ポイントの道路ID、上下ID、道路施設ID、キロポスト値を特定したのち、ファイル名変換手段14が対応する写真データのファイル名を変換する。本実施形態では、ファイル名は例えば「撮影日・キロポスト値・道路名・道路施設名」とした。道路名や道路施設名はID表示のままでは分かりにくいので、「東名・豊川インターチェンジ」のように具体的な名称に置き換えて表示することが好ましい。撮影ポイントが本線上である場合には、「撮影日・キロポスト値・道路名」となり、撮影ポイントが橋脚である場合には、橋脚ナンバーも加入した。なお、撮影日付と、高速道路名と、キロポスト値とを含むファイル名とすることは必要であるが、道路施設名や橋脚ナンバーをファイル名に加えるか否かは自由である。また各項目の表示順も自由に変更することができる。
【0025】
ファイル名変換手段14がファイル名を変換した写真データは、表示手段15が表示する。
図1には、このようにして取り込まれた写真のファイル名が「DSC00001.JPG」から「20180703.KP350.100.名神.●●高架橋.JPG」に変換された様子を示した。このようなファイル名に変換すれば、撮影日、道路名、撮影場所が一目で分かるようになり、従来のような写真整理の手数を大幅に削減できることとなる。
【0026】
図6に本発明のシステムにおける処理フローを示した。先ずステップ1(S1)で抽出手段12が写真データから緯度経度情報を読み出す。ステップ2で緯度経度情報を取得できたか否かを判断し、取得できた場合にはステップ3に進み、演算手段13が道路情報データベース16と緯度経度を突合し、ステップ4で突合の成否を判断する。ステップ2で緯度経度情報を取得できなかった場合、及びステップ4で突合できなかった場合にはステップ6のエラーログ記載に進む。ステップ4で突合に成功した場合には、ステップ7でファイル名変換手段14がファイル名の変換を行い、ステップ7で処理ログを記載して終了する。
【0027】
以上に説明したように、本発明の写真ファイル名変換システムによれば、GPS機能付きデジタルカメラで撮影した写真のファイル名を、撮影日付と、高速道路名と、キロポスト値とを含むファイル名に自動的に変換することができるので、写真の整理が非常に容易になる利点がある。
【符号の説明】
【0028】
10 サーバ
11 写真データ読込手段
12 抽出手段
13 演算手段
14 ファイル名変換手段
15 表示手段
16 道路情報データベース
17 GPS機能付きデジタルカメラ
20 側道
30 本線