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特許7163005判定装置、判定装置の制御方法、部屋管理システム、および制御プログラム
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  • 特許-判定装置、判定装置の制御方法、部屋管理システム、および制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】判定装置、判定装置の制御方法、部屋管理システム、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20221024BHJP
【FI】
G06Q10/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2016229106
(22)【出願日】2016-11-25
(65)【公開番号】P2018085045
(43)【公開日】2018-05-31
【審査請求日】2019-09-20
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 昭広
【合議体】
【審判長】高瀬 勤
【審判官】古川 哲也
【審判官】松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-182408(JP,A)
【文献】特開2004-334470(JP,A)
【文献】特開2013-45369(JP,A)
【文献】特開2008-304124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0157366(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋内の環境を良好に保つための機器が配置された部屋の使用状況を判定する判定装置であって、
種類の異なる複数の検出機器による上記部屋の内部状況の検出結果を示す複数のデータを取得するデータ取得部と、
上記複数のデータの中から、判定時の季節または天候に応じて組み合わせを決定した第1のデータと第2のデータとの両方を用いて、上記部屋が使用中であるか否かおよび上記部屋の使用時間の少なくとも何れかを判定する判定部とを備え、
記第1のデータおよび上記第2のデータは、上記部屋に設置された部屋内の環境を良好に保つための機器の制御に用いられるデータであことを特徴とする判定装置。
【請求項2】
上記判定部は、
上記第1のデータおよび上記第2のデータをそれぞれ用いて上記部屋の使用状況が変化したか否かを判定し、
何れのデータを用いた判定においても使用状況が変化したと判定した場合に、上記部屋の使用状況が変化したと判定し、
少なくとも何れかのデータを用いた判定にて使用状況が変化していないと判定した場合には、上記部屋の使用状況は変化していないと判定することを特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
上記部屋の使用予約がなされている時間帯に上記判定部が上記部屋は使用中ではないと判定した場合に、上記使用予約をキャンセルして、上記時間帯に上記部屋の使用を希望する希望者が上記部屋を使用できるように予約内容を更新する予約部を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の判定装置。
【請求項4】
上記複数のデータは、上記部屋の内部の明るさを示す照度データ、上記部屋の室温を示す温度データ、上記部屋の内部の絶対湿度を示す湿度データ、および上記部屋の内部のCO濃度を示すCO濃度データの少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の判定装置。
【請求項5】
部屋内の環境を良好に保つための機器が配置された部屋の使用状況を判定する判定装置の制御方法であって、
種類の異なる複数の検出機器による上記部屋の内部状況の検出結果を示す複数のデータを取得するデータ取得ステップと、
上記複数のデータの中から、判定時の季節または天候に応じて組み合わせを決定した第1のデータと第2のデータとの両方を用いて、上記部屋が使用中であるか否かおよび上記部屋の使用時間の少なくとも何れかを判定する判定ステップとを含み、
記第1のデータおよび上記第2のデータは、上記部屋に設置された部屋内の環境を良好に保つための機器の制御に用いられるデータであることを特徴とする判定装置の制御方法。
【請求項6】
部屋の使用状況を判定する判定装置と、上記部屋に設置された空気調和機とを含む部屋管理システムであって、
上記空気調和機は、上記部屋の空調のために該部屋の内部状況を検出する検出機器として、上記空気調和機の制御に用いられる種類の異なる複数の検出機器を備え、
上記判定装置は、上記複数の検出機器による検出結果を示す複数のデータの中の、第1のデータと第2のデータとの両方を用いて、上記部屋が使用中であるか否かおよび上記部屋の使用時間の少なくとも何れかを判定し、
上記判定装置は、上記判定に用いる上記第1のデータと上記第2のデータとの組み合わせを、判定時の季節または天候に応じて決定する、ことを特徴とする部屋管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の判定装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記データ取得部および上記判定部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の使用状況を判定する判定装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
会議室に人の有無を検出するセンサを設置して、会議室が使用中であるかを検出する技術が従来技術として知られている(下記特許文献1)。このような技術によれば、予約されているが実際には使用されていない会議室を検出して、有効に利用することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-79319号公報(2015年4月23日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、会議室が使用中であるか否かの判定の精度が十分ではないという問題がある。例えば、人の有無を検出するセンサとして、会議室内の温度分布の変化を検出するセンサを用いた場合、会議中において参加者が動いていない時間帯には、人がいない(会議室は使用されていない)と誤判定されるおそれがある。また、例えば会議室内の設備の確認などのために会議室に人が立ち入ることも考えられるが、このような会議外での人の立ち入りがセンサで検出されて会議室が使用中であると誤判定されるおそれもある。これは、会議室の使用・不使用の判定に限られず、任意の部屋についての使用状況の判定における共通の問題である。
【0005】
本発明の一態様は、部屋の使用状況を高精度に判定することができる判定装置等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る判定装置は、部屋内の環境を良好に保つための機器が配置された部屋の使用状況を判定する判定装置であって、種類の異なる複数の検出機器による上記部屋の内部状況の検出結果を示す複数のデータを取得するデータ取得部と、上記複数のデータの中から、判定時の季節または天候に応じて組み合わせを決定した第1のデータと第2のデータとの両方を用いて上記部屋が使用中であるか否かおよび上記部屋の使用時間の少なくとも何れかを判定する判定部とを備え、記第1のデータおよび上記第2のデータは、上記部屋に設置された部屋内の環境を良好に保つための機器の制御に用いられるデータである。
【0007】
また、本発明の一態様に係る判定装置の制御方法は、上記の課題を解決するために、部屋内の環境を良好に保つための機器が配置された部屋の使用状況を判定する判定装置の制御方法であって、種類の異なる複数の検出機器による上記部屋の内部状況の検出結果を示す複数のデータを取得するデータ取得ステップと、上記複数のデータの中から、判定時の季節または天候に応じて組み合わせを決定した第1のデータと第2のデータとの両方を用いて上記部屋が使用中であるか否かおよび上記部屋の使用時間の少なくとも何れかを判定する判定ステップとを含み、記第1のデータおよび上記第2のデータは、上記部屋に設置された部屋内の環境を良好に保つための機器の制御に用いられるデータである。
【0008】
さらに、本発明の一態様に係る部屋管理システムは、上記の課題を解決するために、部屋の使用状況を判定する判定装置と、上記部屋に設置された空気調和機とを含む部屋管理システムであって、上記空気調和機は、上記部屋の空調のために該部屋の内部状況を検出する検出機器として、上記空気調和機の制御に用いられる種類の異なる複数の検出機器を備え、上記判定装置は、上記複数の検出機器による検出結果を示す複数のデータの中の、第1のデータと第2のデータとの両方を用いて、上記部屋が使用中であるか否かおよび上記部屋の使用時間の少なくとも何れかを判定し、上記判定装置は、上記判定に用いる上記第1のデータと上記第2のデータとの組み合わせを、判定時の季節または天候に応じて決定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、部屋の使用状況を高精度に判定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る判定装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図2】上記判定装置を含む会議室管理システムの構成例を示すブロック図である。
図3】照度データと温度データの一例を示す図である。
図4】上記判定装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図5】照度データとCO濃度データの一例を示す図である。
図6】照度データと相対湿度データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について図1から図4に基づいて説明する。
【0012】
〔システムの概要〕
本実施形態に係る会議室管理システムの概要を図2に基づいて説明する。図2は、会議室管理システム(部屋管理システム)100の構成例を示すブロック図である。会議室管理システム100は、会議室を管理するためのシステムであり、会議室の使用状況の判定や会議室の予約の管理等を行う。本例では、会議室AおよびBの2つの会議室が管理対象である例を説明するが、管理対象とする会議室の数は特に限定されない。また、会議室管理システム100は、会議室以外にも、複数人で共用する部屋であれば任意の用途の部屋の管理を行うことが可能である。
【0013】
会議室管理システム100は、図2に示すように、判定装置101、管理装置102、および端末装置103を含む。また、会議室Aには、環境モニタ104A、空気清浄機105A、および空気調和機106Aが配置されている。同様に、会議室Bには、環境モニタ104B、空気清浄機105B、および空気調和機106Bが配置されている。なお、環境モニタ104Aは環境モニタ104Bと同様の構成であるから、以下の説明ではこれらを区別する必要のないときには、単に環境モニタ104と記載する。空気清浄機105A、105B、および空気調和機106A、106Bについても同様である。
【0014】
環境モニタ104、空気清浄機105、および空気調和機106は、何れも管理装置102と通信可能に接続されている。また、管理装置102は、判定装置101と通信可能に接続されている。そして、判定装置101は、端末装置103と通信可能に接続されている。これらの通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。以下では、環境モニタ104、空気清浄機105、および空気調和機106と、管理装置102とがLAN(Local Area Network)を介して通信し、管理装置102と判定装置101、および判定装置101と端末装置103は、WAN(Wide Area Network)を介して通信する例を説明する。
【0015】
なお、会議室管理システム100の各構成要素が使用するネットワークは特に限定されない。例えば、これらの各構成要素が何れも同一の建物内に配置されているような場合には、管理装置102と判定装置101、および判定装置101と端末装置103もLANを介して通信するようにしてもよい。このように、会議室管理システム100は、WANを使用しないクローズドネットワークで実現することもできる。また、この場合、管理装置102の機能を判定装置101に持たせて、これらの装置を1つの判定装置101に統合してもよい。
【0016】
判定装置101は、会議室の使用状況を判定してその判定結果をユーザに通知するサービスを提供するサーバである。判定装置101は、例えばパーソナルコンピュータ等であってもよい。判定装置101の詳細は後述する。
【0017】
管理装置102は、各会議室の環境モニタ104、空気清浄機105、および空気調和機106を管理するサーバである。管理装置102は、これらの機器の動作制御や、判定装置101が使用状況の判定に使用する各種データをこれらの機器から取得して判定装置101に転送する処理等を行う。管理装置102は、例えばパーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0018】
端末装置103は、会議室を使用するユーザが使用する装置である。例えば、端末装置103は、判定装置101による会議室の使用状況の判定結果を表示させたり、会議室を予約したり、予約内容を更新したりするために使用される。端末装置103は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等であってもよい。
【0019】
環境モニタ104は、会議室内の温度および照度(明るさ)をモニタリングする装置である。より詳細には、環境モニタ104は、会議室内の温度(室温)を検出する温度センサ(検出機器)と、会議室内の照度を検出する照度センサ(検出機器)とを含む複合センサユニットである。環境モニタ104は、上記のセンサ以外にも、例えば絶対湿度を検出する湿度センサ、UV(紫外線)強度を検出するセンサ、二酸化炭素(CO)濃度を検出するCO濃度センサ、ほこりやPM2.5等の微粒子の飛散量を検出するセンサ、においの強さを検出するにおいセンサ等の検出機器を含んでいてもよい。また、環境モニタ104は、管理装置102と通信するための通信部を備えている。環境モニタ104は、これらのセンサの出力するセンシングデータを、上記通信部を介して管理装置102に送信する。これにより、管理装置102は、環境モニタ104のセンシング結果に応じて空気清浄機105および空気調和機106を動作させ、会議室内の環境を良好に保つことができる。また、これらのセンシングデータは、会議室の内部状況をセンサによって検出した結果を示している。このため、詳細は後述するが、これらのセンシングデータは、会議室の使用状況の判定にも用いられる。以下説明する、空気清浄機105および空気調和機106の備えるセンサの出力するセンシングデータも同様である。
【0020】
空気清浄機105は、会議室内の空気を清浄化する装置であり、空気調和機の一種である。また、空気清浄機105は、会議室の室温を検出する温度センサと、会議室内の照度を検出する照度センサとを備えていると共に、管理装置102と通信するための通信部を備えている。空気清浄機105は、これらのセンサの出力するセンシングデータを、上記通信部を介して管理装置102に送信する。また、空気清浄機105は、管理装置102からの制御信号を、上記通信部を介して受け付けて、該制御信号に従って動作する。
【0021】
空気調和機106は、会議室内の温度および湿度を調節する装置である。また、空気調和機106は、会議室の室温を検出する温度センサと、会議室内の照度を検出する照度センサとを備えている。さらに、空気調和機106は、空気清浄機105と同様に、管理装置102と通信するための通信部を備え、これらのセンサの出力するセンシングデータを、通信部を介して管理装置102に送信する。また、空気調和機106は、管理装置102からの制御信号を、上記通信部を介して受け付けて、該制御信号に従って動作する。
【0022】
以上のように、環境モニタ104、空気清浄機105、および空気調和機106は、会議室内の環境を良好に保つための機器であるが、会議室管理システム100はこれらの機器の備えるセンサを利用して会議室の使用状況を判定する。よって、会議室の使用状況を判定するための特別なシステムの導入(インフラの構築・設置)を行うことなく、会議室の使用状況を判定することができる。ただし、会議室の使用状況を判定するためのセンサを、これらの機器とは別に設け、当該センサの検出値から会議室の使用状況を判定する構成とすることも当然可能である。
【0023】
なお、照度センサは、環境モニタ104、空気清浄機105、および空気調和機106の少なくとも何れかが備えていればよく、温度センサについても同様である。これらの機器のうち複数が同種のセンサを備えている場合、管理装置102は、何れか1つの機器からセンシングデータを取得してもよい。
【0024】
〔判定装置の構成〕
判定装置101の詳細について、図1に基づいて説明する。図1は、判定装置101の要部構成の一例を示すブロック図である。判定装置101は、判定装置101の各部を統括して制御する制御部10、判定装置101が使用する各種データを記憶する記憶部20、および判定装置101が外部の装置と通信するための通信部30を備えている。また、制御部10には、データ取得部11、判定部12、通知部13、および予約部14が含まれている。そして、記憶部20には、照度DB21、温度DB22、および予約情報23が記憶されている。
【0025】
データ取得部11は、会議室の使用状況を判定する際に用いる各種データを取得する。具体的には、データ取得部11は、会議室内の照度を示す照度データ(第1のデータ)と、会議室の室温を示す温度データ(第2のデータ)とを管理装置102から取得する。照度データは、会議室内の照度センサ(第1の検出機器)による会議室の内部状況の検出結果を示すデータであり、温度データは、会議室内の温度センサ(第2の検出機器)による会議室の内部状況の検出結果を示すデータである。これらのセンサは、上述のように、環境モニタ104、空気清浄機105、および空気調和機106の少なくとも何れかが備えている。
【0026】
判定部12は、データ取得部11が取得した照度データと温度データの両方を用いて会議室の使用状況を判定する。具体的には、判定部12は、会議室が使用中であるか否かを判定する。また、判定部12は、会議室の使用時間についても判定する。なお、判定部は、これらの何れか一方のみを判定してもよい。
【0027】
通知部13は、判定部12の判定結果をユーザに通知する。例えば、判定部12が、会議室が使用中であると判定した場合には、通知部13は、会議室が使用中であることをユーザに通知する。なお、通知対象のユーザは、会議室の使用状況に関連したユーザであればよく、例えば端末装置103のユーザであってもよいし、管理装置102のユーザであってもよい。また、ユーザへの通知方法は特に限定されない。例えば、通知部13は、会議室の使用状況を示す情報を端末装置103に送信して、端末装置103に会議室が使用中であることを示すメッセージを画像や音声で出力させることによってユーザに通知してもよい。また、例えば、ユーザ宛の電子メールにて会議室の使用状況を通知してもよい。
【0028】
予約部14は、会議室の予約に関する処理を行う。具体的には、予約部14は、会議室の使用予約がなされている時間帯に判定部12が当該会議室は使用中ではないと判定した場合に、その使用予約をキャンセルする。そして、キャンセル待ちのユーザ(その時間帯に会議室の使用を希望する希望者)がその時間帯に当該会議室を使用できるように予約内容を更新する。なお、予約に関する処理は、管理装置102で行ってもよいし、判定装置101および管理装置102の何れとも異なる装置で行ってもよく、予約部14は予約に関する処理を行う装置が備えていればよい。判定装置101とは異なる他の装置が予約部14を備えている場合、判定装置101は他の装置に使用状況の判定結果を通知して、当該他の装置の予約部14がその判定結果に基づいて上記のような予約内容の更新を行う。
【0029】
照度DB21は、データ取得部11が取得した照度データを記録するデータベースであり、温度DB22は、データ取得部11が取得した温度データを記録するデータベースである。照度DB21には、照度データが時系列のデータとして記録されており、各照度データにはその照度データの取得時刻(センサによる検出時刻等であってもよい)が対応付けられている。温度DB22における温度データも同様である。
【0030】
予約情報23は、会議室の予約状況を示す情報である。予約情報23は、各会議室について、その会議室の使用予約がなされている時間帯および使用予定者等を示す情報であってもよい。
【0031】
〔照度データと温度データとを用いた使用状況の判定〕
照度データと温度データとを用いた使用状況の判定について、図3に基づいて説明する。図3は、照度データと温度データの一例を示す図である。なお、ここでは会議室Aの使用状況を判定する例を説明するが、会議室Bの使用状況の判定も同様にして行われる。
【0032】
<照度データを用いた判定>
判定部12は、会議室Aの使用状況を判定する対象期間における照度データを照度DB21から読み出し、この対象期間に会議室Aの使用状況が変化したか否かを判定する。通常、会議室Aの使用開始時には、照明が点灯されて会議室A内は明るくなり、使用終了時には、照明が消灯された会議室A内は暗くなる。よって、判定部12は、対象期間の照度データに、照度値が低い状態から高い状態に変化している部分または高い状態から低い状態に変化している部分が含まれていれば、照度値が変化した時刻に使用状況が変化したと判定することができる。
【0033】
さらに、判定部12は、照度データの変化の態様から、会議室Aの使用状況の変化が、不使用状態から使用状態への変化であるか、使用状態から不使用状態への変化であるかを判定する。具体的には、判定部12は、照度値が低い状態から高い状態に変化したときには、不使用状態から使用状態への変化と判定することができる。また、照度値が高い状態から低い状態に変化したときには、使用状態から不使用状態への変化と判定することができる。
【0034】
<温度データを用いた判定>
また、判定部12は、上記対象期間における温度データを温度DB22から読み出し、この対象期間に会議室Aの使用状況が変化したか否かを判定する。会議室Aの室温は、外気温等と連動して変化するが、空気調和機106Aを稼働させたときには急速に変化し、また、空気調和機106Aを動作停止させたときにも室温は変化する。そして、会議室Aの使用開始時には、空気調和機106Aを稼働させることが多く、使用終了時には空気調和機106Aを動作停止させることが多い。よって、判定部12は、対象期間の温度データに、室温の変化率が変わっている部分が含まれていれば、室温の変化率が変化した時刻に会議室Aの使用状況が変化したと判定することができる。
【0035】
なお、冬場には空気調和機106Aにより暖房運転が行われるから、温度データに室温が上昇している部分が含まれていれば、会議室Aが不使用状態から使用状態に変化したとみなすことができる。例えば、図3の時刻T1の直前の期間では、室温が横ばいまたは下降(室温の変化率はゼロまたはマイナス)であるが、時刻T1以後、室温は急変(室温の変化率はプラスに急変)している。よって、判定部12は、変化率がゼロまたはマイナスからプラスに転じた時刻T1に使用状態が変化したと判定することができる。また、暖房運転を終了すると、通常は室温が低下してゆくから、温度データに室温が低下している部分が含まれていれば、会議室Aが使用状態から不使用状態に変化したと判定することができる。例えば、図3の時刻T3の直前の期間では、室温が上昇または横ばい(室温の変化率はゼロまたはプラス)であるが、時刻T3以後、室温は急変(室温の変化率はマイナスに急変)している。よって、判定部12は、変化率がゼロまたはプラスからマイナスに転じた(変化率の絶対値が大きくなった)時刻T3に使用状態が変化したと判定することができる。
【0036】
一方、夏場には空気調和機106Aにより冷房や除湿運転が行われるから、温度データに室温が低下している部分が含まれていれば、会議室Aが不使用状態から使用状態に変化したとみなすことができる。また、冷房や除湿運転を終了すると、通常は室温が上昇してゆくから、温度データに室温が上昇している部分が含まれていれば、会議室Aが使用状態から不使用状態に変化したと判定することができる。このように、判定部12は、室温の変化率が急変したときに、使用状態が変化したと判定することができる。
【0037】
ただし、夏場であっても午後には室温が低下し、冬場であっても午前には室温が上昇するので、判定部12は、室温の変化率が所定の閾値を超えたときに使用状態が変化したと判定してもよい。また、上記閾値としては、例えば、予め測定しておいた、空気調和機106Aを使用していないときの室温の変化率を用いてもよい。この場合、時間帯(例えば午前、午後、夜間等)ごとに使用する閾値を変更してもよく、また時期(季節、月など)ごとに使用する閾値を変更してもよい。例えば、冷房を使用する可能性がある期間(5月~9月)には、1時間当たり1℃以上の変化率で室温が下降したときに使用状態が変化したと判定してもよい。そして、暖房を使用する可能性がある期間(11月~3月)には、1時間当たり1℃以上の変化率で室温が上昇したときに使用状態が変化したと判定してもよい。つまり、室温の変化率の閾値は1℃/1時間であってもよい。なお、使用状態が変化したか否かの判定は、例えば10~15分おきに行えばよい。15分おきに行う場合、上記の変化率の閾値は0.25℃/15分ということになる。
【0038】
さらに、判定部12は、温度データの変化の態様から、会議室Aの使用状況の変化が、不使用状態から使用状態への変化であるか、使用状態から不使用状態への変化であるかを判定する。例えば、判定部12は、冬場(空気調和機106Aを暖房運転する場合)には、温度が上昇したときに、不使用状態から使用状態に変化したと判定することができる。また、温度が低下したときには、使用状態から不使用状態に変化したと判定することができる。一方、夏場(空気調和機106Aを冷房運転または除湿運転する場合)には、例えば、温度が低下したときに、不使用状態から使用状態に変化したと判定することができる。また、温度が上昇したときには、使用状態から不使用状態に変化したと判定することができる。
【0039】
<最終的な使用状況の判定>
そして、判定部12は、温度データおよび照度データの何れを用いた判定においても使用状況が変化したと判定した場合、それらの変化のタイミングが所定時間(例えば10~15分)以内であれば、会議室Aの使用状態が変化したと判定する。言い換えれば、判定部12は、照度値が変化することと、室温の変化率が変化することとが所定時間内に検出された場合に、会議室Aの使用状態が変化したと判定する。
【0040】
例えば、図3の対象期間P1においては、時刻T1に室温が上昇し始めており、時刻T2には照度値が高くなっている。このため、判定部12は、温度データを用いた判定では、時刻T1に会議室Aが不使用状態から使用状態に変化したと判定する。また、照度データを用いた判定では、時刻T2に会議室Aが不使用状態から使用状態に変化したと判定する。よって、時刻T1とT2の時間差が所定時間以内であれば、判定部12は、対象期間P1において、会議室Aの使用状態が不使用状態から使用状態に変化したと判定する。また、対象期間P2においては、時刻T3に室温が低下し始めると共に、照度値が低くなっている。よって、判定部12は、対象期間P2において、会議室Aの使用状態が使用状態から不使用状態に変化したと判定する。
【0041】
また、判定部12は、会議室Aの使用開始時刻を判定してもよい。この場合、照度データが変化した時刻を使用開始時刻としてもよいし、温度データが変化した時刻を使用開始時刻としてもよい。また、照度データが変化した時刻と、温度データが変化した時刻のうち、より早い時刻あるいはより遅い時刻を使用開始時刻としてもよい。使用終了時刻についても同様である。使用終了時刻についても特定した場合、使用終了時刻から使用開始時刻を減算することにより、使用時間を算出することができる。また、使用継続中であれば、現在時刻から使用開始時刻を減算することにより、使用開始から現在までの使用時間を算出することができる。
【0042】
〔処理の流れ〕
判定装置101が実行する処理(判定装置の制御方法)の流れを図4に基づいて説明する。図4は、判定装置101が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは説明を簡単にするため、会議室Aについてのみ使用状況を判定する例を説明する。また、ここでは、本処理を、会議室Aの使用可能な時間帯において、所定の周期(例えば10分毎)で行うことを想定している。つまり、本処理を実行する契機は、前回の処理から所定時間が経過したことである。また、図示していないが、本処理の前提として、環境モニタ104A、空気清浄機105A、および空気調和機106Aの少なくとも何れかは、会議室Aの照度データと温度データを管理装置102に随時送信している。
【0043】
S1(データ取得ステップ)では、判定装置101のデータ取得部11は、会議室Aの照度データと温度データを管理装置102から取得して、それぞれ照度DB21と温度DB22に記憶する。
【0044】
S2では、判定部12は、照度DB2から対象期間の照度データを読み出し、また、温度DB22から、上記対象期間における温度データを読み出して、これらのデータから会議室Aの使用状況が変化したか否かを判定する。この判定方法は、上記〔照度データと温度データとを用いた使用状況の判定〕で説明した通りである。本例では、所定の周期で処理を行うことを想定しているので、上記対象期間は、前回会議室Aの使用状況を判定する際に用いたデータよりも後の時刻が対応付けられた最新のデータである。例えば、10分周期で図4の処理を行う場合、この処理の直前の10分間にセンサによって検出され、照度DB21と温度DB22にそれぞれ記憶されたデータである。S2で使用状況が変化していないと判定した場合(S2でNO)、図示の処理は終了する。一方、使用状況が変化したと判定した場合(S2でYES)、S3の処理に進む。
【0045】
S3(判定ステップ)では、判定部12は、会議室Aが使用中であるか否かを判定する。この判定方法も、上記〔照度データと温度データとを用いた使用状況の判定〕で説明した通りである。すなわち、判定部12は、S2で判定した使用状況の変化が、使用状態から不使用状態への変化であれば会議室Aは使用中ではないと判定し、不使用状態から使用状態への変化であれば使用中であると判定する。判定部12がS3で使用中であると判定した場合(S3でYES)、処理はS4に進み、使用中ではないと判定した場合(S3でNO)、処理はS5に進む。
【0046】
S4では、通知部13が、会議室Aの使用状況をユーザに通知し、これにより図示の処理は終了する。この際、通知部13は、使用状況が変化した時刻(会議室Aの使用開始時刻や使用終了時刻)についても併せて通知してもよい。S3からS4に遷移した場合、会議室Aが使用中であることがユーザに通知される。また、会議室Aの使用開始時刻や使用継続時間についても算出している場合、これらの情報をユーザに通知してもよい。
【0047】
S5では、予約部14が、予約情報23を参照して、会議室Aに現在時刻を含む期間について予約がなされており、かつその予約期間について使用キャンセル待ちの予約があるか否かを判定する。ここで、キャンセル待ちの予約がないと判定した場合(S5でNO)、処理はS4に進み、通知部13が、会議室Aの使用状況を端末装置103のユーザに通知して、図示の処理は終了する。S5からS4に遷移した場合、会議室Aが使用されていないことがユーザに通知される。また、会議室Aの直前の使用時間についても算出している場合、使用時間もユーザに通知してもよい。これにより、会議室Aは使用されていないこと、および直前の会議の継続時間をユーザに認識させることができる。このように、会議室Aが実際に利用されているかどうかや、実際に利用された時間をユーザに通知することにより、複数のグループで利用し、予約時点で競合することの多い会議室を、高い稼働率で運用することが可能になる。
【0048】
一方、キャンセル待ちの予約があると判定した場合(S5でYES)、処理はS6に進み、予約部14は、予約情報23を更新する。具体的には、予約部14は、先の予約をキャンセルして、その予約の入っていた時間帯に、キャンセル待ちの予約を入れる。
【0049】
S7では、通知部13が、予約の更新内容をユーザに通知し、これにより図示の処理は終了する。なお、通知先のユーザには、キャンセル待ちをしていたユーザと、先に予約していたユーザとが少なくとも含まれていることが好ましい。各ユーザの通知先は、予約情報23に含めておけばよい。
【0050】
〔処理の変形例〕
上記の例では、使用されていない会議室Aにキャンセル待ちの予約がある場合に、自動的に予約を更新しているが、予約の更新の可否をユーザに確認して、ユーザの同意が得られた場合に更新するようにしてもよい。例えば、通知部13は、キャンセル待ちをしていたユーザに、会議室Aを今から使用するか否かを問い合わせると共に、先に予約していたユーザに、会議室Aの予約をキャンセルとすることの可否を問い合わせてもよい。そして、予約部14は、これらの問い合わせの回答が何れも可であった場合に、予約を更新してもよい。また、会議室Aを今から使用するか否かの問い合わせに対する回答が可であり、会議室Aの予約をキャンセルとすることの可否の問い合わせに対する回答が、その問い合わせの送信後、所定時間が経過しても得られない場合にも予約を更新してもよい。
【0051】
また、上記S4の処理は必ずしも毎回行う必要はない。例えば、S4の処理は、端末装置103から判定装置101に対して、会議室Aの使用状況の問合せがあったときに行ってもよいし、会議室Aが使用状態から不使用状態に変化したときのみに行ってもよい。
【0052】
〔実施形態2〕
本実施形態では、会議室内の照度を示す照度データと、会議室内のCO濃度を示すCO濃度データとを用いて会議室の使用状況を判定する例を説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。実施形態3以降についても同様である。
【0053】
本実施形態では、実施形態1で使用した温度データの代わりにCO濃度データを用いるので、本実施形態の判定装置101の記憶部20にはCO濃度データを記憶するCO濃度DBが含まれている。また、本実施形態では、環境モニタ104、空気清浄機105、および空気調和機106の少なくとも何れかが会議室内のCO濃度を検出するセンサを備えている。そして、判定装置101のデータ取得部11は、このセンサが検出したCO濃度を示すCO濃度データを、管理装置102を介して取得し、CO濃度DBに記憶する。照度データについては、実施形態1と同様にして照度DB21に記憶され、判定部12は、これらのDBから読み出したCO濃度データと照度データを用いて会議室の使用状況を判定する。
【0054】
〔照度データとCO濃度データとを用いた使用状況の判定〕
照度データとCO濃度データとを用いた使用状況の判定について、図5に基づいて説明する。図5は、照度データとCO濃度データの一例を示す図である。なお、ここでは会議室Aの使用状況を判定する例を説明するが、会議室Bの使用状況の判定も同様にして行われる。また、照度データを用いた判定および最終的な使用状況の判定については、実施形態1で説明した通りであるからここでは説明を省略する。
【0055】
<CO濃度データを用いた判定>
判定部12は、対象期間におけるCO濃度データをCO濃度DBから読み出し、この対象期間に会議室Aの使用状況が変化したか否かを判定する。会議室Aが使用中であれば、会議の参加者の呼気に含まれるCOにより、会議室A内のCO濃度は上昇する。そして、会議が終了し、会議室A内から参加者が退出して会議室A内でのCO排出が終了すると、COは会議室Aの外に拡散して会議室A内のCO濃度は低下する。よって、判定部12は、対象期間のCO濃度データに、CO濃度の変化率が変わっている部分が含まれていれば、CO濃度の変化率が変化した時刻に会議室Aの使用状況が変化したと判定することができる。
【0056】
さらに、判定部12は、CO濃度データの変化の態様から、会議室Aの使用状況の変化が、不使用状態から使用状態への変化であるか、使用状態から不使用状態への変化であるかを判定する。例えば、判定部12は、CO濃度が上昇したときに、不使用状態から使用状態に変化したと判定することができる。また、CO濃度が低下したときには、使用状態から不使用状態に変化したと判定することができる。
【0057】
例えば、図5の対象期間P10においては、時刻T10にCO濃度が上昇し始めると共に、照度値が高くなっている。この上昇率は例えば200~300ppm/1時間である。よって、判定部12は、対象期間P10において、会議室Aの使用状態が不使用状態から使用状態に変化したと判定する。また、対象期間P11においては、時刻T11にCO濃度が低下し始めると共に、照度値が低くなっている。よって、判定部12は、対象期間P11において、会議室Aの使用状態が使用状態から不使用状態に変化したと判定する。
【0058】
〔実施形態3〕
本実施形態では、会議室内の絶対湿度を示す湿度データと、会議室内のCO濃度を示すCO濃度データとを用いて会議室の使用状況を判定する例を説明する。本実施形態では、実施形態2における照度データの代わりに湿度データを用いるので、本実施形態の判定装置101の記憶部20には湿度データを記憶する湿度DBが含まれている。また、本実施形態では、環境モニタ104、空気清浄機105、および空気調和機106の少なくとも何れかが会議室内の絶対湿度を検出するセンサを備えている。そして、判定装置101のデータ取得部11は、このセンサが検出した絶対湿度を示す湿度データを、管理装置102を介して取得し、湿度DBに記憶する。CO濃度データについては、実施形態2と同様にしてCO濃度DBに記憶され、判定部12は、これらのDBから読み出したCO濃度データと湿度データを用いて会議室の使用状況を判定する。
【0059】
<湿度データを用いた判定>
判定部12は、対象期間における湿度データを湿度DBから読み出し、この対象期間に会議室Aの使用状況が変化したか否かを判定する。会議室Aが使用中であれば、会議の参加者の呼気に含まれる水分や体から蒸発する水分により、会議室A内の湿度は上昇する。そして、会議が終了し、会議室A内から参加者が退出して会議室A内での水分の排出が終了すると、水分は会議室Aの外に拡散して会議室A内の湿度は低下する。よって、判定部12は、対象期間の湿度データに、湿度の変化率が変わっている部分が含まれていれば、湿度の変化率が変化した時刻に会議室Aの使用状況が変化したと判定することができる。
【0060】
さらに、判定部12は、湿度データの変化の態様から、会議室Aの使用状況の変化が、不使用状態から使用状態への変化であるか、使用状態から不使用状態への変化であるかを判定する。例えば、判定部12は、湿度が上昇したときに、不使用状態から使用状態に変化したと判定することができる。また、湿度が低下したときには、使用状態から不使用状態に変化したと判定することができる。
【0061】
〔変形例〕
判定装置101は、CO濃度データ、湿度データ、照度データ、および温度データの任意の組み合わせにより会議室の使用状況を高精度に判定することができる。すなわち、実施形態1~3で説明した組み合わせの他、照度データと湿度データ、温度データと湿度データ、および温度データとCO濃度データの組み合わせであっても会議室の使用状況を高精度に判定することができる。
【0062】
例えば、会議中にプロジェクタやOHP(overhead projector)を使用する場合、照明を消灯することがあるが、照度データと照度データ以外の上記何れかのデータとを用いることにより、このような場合に会議が終了したと誤判定することを回避できる。また、例えば、会議室内の湿度は天候によって上昇することがあるが、湿度データを用いる場合であっても、湿度データ以外の上記何れかのデータも用いることにより、このような場合に会議が開始されたと誤判定することを回避できる。さらに、例えば、会議室内のCO濃度は会議室周辺の空気環境の影響によって上昇することがある。また、COセンサが換気ダクトの排気口付近に配置されている場合、換気ダクトからの排気の影響によってCO濃度の検出値が上昇することがある。しかし、CO濃度データを用いる場合であっても、CO濃度データ以外の上記何れかのデータも用いることにより、このような場合に会議が開始されたと誤判定することを回避できる。
【0063】
また、上記各実施形態では、絶対湿度を示す湿度データを用いる例を示したが、湿度データは相対湿度を示すものであってもよい。これについて図6に基づいて説明する。図6は、照度データと相対湿度データの一例を示す図である。図示のように、相対湿度も絶対湿度と同様に、会議室の使用状況に応じて変動する。具体的には、会議室の使用中には相対湿度は上昇し、使用終了時には下降する。
【0064】
図6の対象期間P20においては、時刻T20に相対湿度が上昇し始め、時刻T21に照度値が高くなっている。よって、判定部12は、時刻T20と時刻T21の時間差が所定時間以内であれば、対象期間P20において会議室Aの使用状態が不使用状態から使用状態に変化したと判定する。また、対象期間P21においては、時刻T22に相対湿度が低下し始め、時刻T23に照度値が低くなっている。よって、判定部12は、時刻T22と時刻T23の時間差が所定時間以内であれば、対象期間P21において、会議室Aの使用状態が使用状態から不使用状態に変化したと判定する。このように、会議室の冷暖房を行っていない場合には、相対湿度は絶対湿度と同様にして使用状態の判定に利用することができる。相対湿度は、室内環境を示す数値として絶対湿度よりも一般的に用いられているので、相対湿度を用いた判定は絶対湿度を用いた判定よりも汎用性に優れている。
【0065】
さらに、判定部12は、会議室の使用状況の判定に用いるデータの組み合わせを、判定時の状況に応じて動的に決定してもよい。例えば、判定部12は、夏・冬等の冷暖房を使用する季節には、照度データと、温度データまたは絶対湿度データとの組み合わせを用いてもよい。これは、冷暖房が行われる季節には、冷暖房による変動量が、人の在/不在の影響による変動量よりも大きくなりがちな相対湿度データを用いないようにすることが好ましいためである。一方、判定部12は、春・秋等の冷暖房を使用しない季節には、照度データと、CO濃度データ、相対湿度データ、または絶対湿度データとの組み合わせを用いてもよい。春・秋のような室温変化が比較的小さい季節には温度データを用いないようにすることが好ましいためである。
【0066】
なお、上記の例において、何れの季節(期間)に何れの組み合わせを用いるかは予め定めておけばよい。また、空気調和機106が冷房または暖房運転中であるか、所定期間(例えば3日以内)に冷房または暖房運転を行った履歴が記録されている場合に、夏・冬用の組み合わせを用いてもよい。そして、空気調和機106が冷房および暖房運転の何れも行っておらず、前回の冷房または暖房運転の履歴が所定期間(例えば3日)以前である場合に、春・秋用の組み合わせを用いてもよい。
【0067】
また、判定部12は、会議室の使用状況の判定に用いるデータの組み合わせを、会議室周辺の天候に応じて動的に決定してもよい。例えば、判定部12は、天候が曇り、雨、雪等である場合には、絶対湿度データおよび相対湿度データ以外のデータから選択したデータの組み合わせにて会議室の使用状況を判定してもよい。これは、このような天候下では、天候の影響によって絶対湿度および相対湿度が、判定結果に影響を与える程度に大きくなる可能性があるためである。なお、天候は例えばインターネットを介して天候情報を提供するサービス等にアクセスすることにより特定可能である。
【0068】
会議室の使用状況の判定に用いるデータは、会議室の内部状況を示すデータであり、かつ該データから会議室の使用状況およびを判定可能なデータであればよく、上記の例に限られない。例えば、においセンサによって検出したにおいの強さを示すデータや、ほこりやPM2.5等の飛散量を検出するセンサによって検出した空気清浄度を示すデータ等を用いて会議室の使用状況を判定してもよい。会議室内に人が集まると室内のにおいが強くなり、会議室の開始時や終了時に人が会議室に出入りするとほこりなどが舞い上がって一時的に空気清浄度が低下するためである。
【0069】
また、UV強度を検出するUVセンサは、上記の照度センサの代替として利用することができる。これは、照明器具が発する光には紫外線が含まれており、窓等から室内に入る外光にも紫外線が含まれているためである。つまり、会議室の使用時に照明器具を点灯したりカーテンやブラインドを開けて外光を室内に入れたりしたときには、UVセンサの検出値は照度センサと同様に上昇する。また、会議室の使用終了時に照明器具を消灯したりカーテンやブラインドを閉めて外光を遮断したりしたときには、UVセンサの検出値は照度センサと同様に下降する。よって、UVセンサの検出値から会議室の使用状況を判定することが可能である。UVセンサを用いる場合、会議室の使用者が日焼けしないように対策を促すこともできる。例えば、管理装置102は、UVセンサの検出値が所定値以上であった場合に、会議室内が日焼けしやすい環境にあることを報知するメッセージや、日焼け対策を勧めるメッセージを音声や画像等でユーザに提示してもよい。
【0070】
この他にも、例えば人感センサで検出した会議室内の人の有無を示すデータや、カメラで会議室内を撮影した画像データ、マイクで検出した会議室内の音声データ等を用いて会議室の使用状況を判定してもよい。ただし、会議参加者のプライバシーを保護するという観点からは、画像データや音声データの使用は避けることが好ましい。また、機密情報を扱う会議であれば、情報漏えいの防止という観点から、画像データや音声データの使用は避けることが好ましい。
【0071】
さらに、例えば管理装置102による、空気清浄機105や空気調和機106に対する制御内容(運転開始・終了等)を示すデータを用いて会議室の使用状況を判定してもよい。また、管理装置102が空気清浄機105や空気調和機106に対して、その動作状態(運転中・停止中等)を通知するように指示し、この指示に対する通知内容を示すデータを用いて会議室の使用状況を判定してもよい。
【0072】
また、会議室の使用状況の判定に用いるデータは、会議室の空調等、他の用途で使用されるデータを流用することが好ましい。これにより、既存のデータを利用して会議室の使用状況を判定することができ、会議室の使用状況を判定するためのデータを生成する検出機器を新たに設ける場合と比べて、低コストで会議室管理システム100を構築することができる。
【0073】
〔ソフトウェアによる実現例〕
判定装置101の制御ブロック(特にデータ取得部11、判定部12、通知部13、および予約部14)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0074】
後者の場合、判定装置101は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0075】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る判定装置(101)は、部屋(会議室)の使用状況を判定する判定装置であって、第1の検出機器(照度センサ)による上記部屋の内部状況の検出結果を示す第1のデータ(照度データ)と、上記第1の検出機器とは別種の第2の検出機器(温度センサ)による上記部屋の内部状況の検出結果を示す第2のデータ(温度データ)とを取得するデータ取得部(11)と、上記第1のデータと上記第2のデータとの両方を用いて上記部屋の使用状況を判定する判定部(12)とを備えている構成である。
【0076】
上記の構成によれば、種類の異なる2つの検出機器の検出結果に基づいて部屋の使用状況を判定するから、1種類の検出機器の検出結果に基づいて判定する従来技術と比べて、部屋の使用状況を高精度に判定することができる。なお、部屋の使用状況としては、例えば部屋が使用されている、使用されていない、部屋の使用継続時間等が挙げられる。
【0077】
本発明の態様2に係る判定装置は、上記態様1において、上記判定部は、上記第1のデータおよび上記第2のデータをそれぞれ用いて上記部屋の使用状況が変化したか否かを判定し、何れのデータを用いた判定においても使用状況が変化したと判定した場合に、上記部屋の使用状況が変化したと判定し、少なくとも何れかのデータを用いた判定にて使用状況が変化していないと判定した場合には、上記部屋の使用状況は変化していないと判定する構成としてもよい。
【0078】
上記の構成によれば、第1のデータと第2のデータの一方から見れば、部屋の使用状況が変化したように見えるが、実際には使用状況が変化していない場合においても、使用状況を正しく判定することができる。例えば、部屋の使用中に一時的に部屋の照明を消灯するか、または照明の光量を下げた場合であっても、部屋が暗くなったことをもって部屋の使用が終了したと誤判定することなく、部屋の使用が継続していると正しく判定することが可能になる。
【0079】
本発明の態様3に係る判定装置は、上記態様1または2において、上記部屋の使用予約がなされている時間帯に上記判定部が上記部屋は使用中ではないと判定した場合に、上記使用予約をキャンセルして、上記時間帯に上記部屋の使用を希望する希望者が上記部屋を使用できるように予約内容を更新する予約部(14)を備えている構成としてもよい。
【0080】
上記の構成によれば、使用予約がなされていたが、実際には使用されていなかったことを自動で検出して、その部屋を希望者が使用できるようにするから、部屋をより有効に活用することができる。
【0081】
本発明の態様4に係る判定装置は、上記態様1から3の何れか1態様において、上記第1のデータは、上記部屋の内部の明るさを示す照度データ、上記部屋の室温を示す温度データ、上記部屋の内部の絶対湿度を示す湿度データ、および上記部屋の内部のCO濃度を示すCO濃度データの何れかであり、上記第2のデータは、上記照度データ、上記温度データ、上記湿度データ、および上記CO濃度データのうち、上記第1のデータとは異なる何れかのデータである構成としてもよい。
【0082】
部屋が使用中であるときには、使用者の呼気等により室内の絶対湿度およびCO濃度が、使用中でないときよりも上昇する。また、部屋が使用中であるときには、快適に部屋が使用できるように、空気調和機を動作させる等により室温を調整し、照明を点灯する等して室内を明るくする。よって、上記各データは、部屋の使用状況を示すデータであると言えるから、これらのデータを用いることにより、部屋の使用状況を判定することができる。また、これらのデータからは、部屋の使用者や、室内で話された内容等は特定できないから、使用者のプライバシーを守ることができ、またこれらのデータが盗出されたとしても、機密が漏えいすることもない。さらに、人感センサを用いる場合とは異なり、部屋の使用者が動いているか否かにかかわらず、部屋の使用状況を正確に判定することができる。
【0083】
本発明の態様5に係る判定装置(101)の制御方法は、部屋の使用状況を判定する判定装置の制御方法であって、第1の検出機器(照度センサ)による上記部屋の内部状況の検出結果を示す第1のデータと、上記第1の検出機器とは別種の第2の検出機器(温度センサ)による上記部屋の内部状況の検出結果を示す第2のデータとを取得するデータ取得ステップ(S1)と、上記第1のデータと上記第2のデータとの両方を用いて上記部屋の使用状況を判定する判定ステップ(S3)とを含む方法である。該方法によれば、上記態様1と同様の作用効果を奏する。
【0084】
本発明の態様6に係る部屋管理システム(部屋管理システム100)は、部屋の使用状況を判定する判定装置(101)と、上記部屋に設置された空気調和機(空気清浄機105、空気調和機106)とを含む部屋管理システムであって、上記空気調和機は、上記部屋の空調のために該部屋の内部状況を検出する検出機器として、第1の検出機器および上記第1の検出機器とは別種の第2の検出機器の少なくとも何れかを備え、上記判定装置は、上記第1の検出機器の検出結果を示す第1のデータと、上記第2の検出機器の検出結果を示す第2のデータとの両方を用いて上記部屋の使用状況を判定する構成である。
【0085】
上記の構成によれば、空気調和機が空調のために使用する検出機器を利用して部屋の使用状況を判定するので、上記態様1の効果に加え、新たに検出機器を設けることなく、低コストで部屋管理システムを構築することができるという効果を奏する。
【0086】
本発明の各態様に係る判定装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記判定装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記判定装置をコンピュータにて実現させる判定装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0087】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0088】
11 データ取得部
12 判定部
14 予約部
100 会議室管理システム(部屋管理システム)
101 判定装置
104 環境モニタ
105 空気清浄機(空気調和機)
106 空気調和機
図1
図2
図3
図4
図5
図6