(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20221024BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20221024BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20221024BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
H05K7/20 D
H05K7/14 F
B60R16/02 610D
H02G3/16
(21)【出願番号】P 2017237999
(22)【出願日】2017-12-12
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】山家 慎也
(72)【発明者】
【氏名】清水 浩一
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-198551(JP,A)
【文献】特開2017-130514(JP,A)
【文献】特開2015-153901(JP,A)
【文献】特開2003-152419(JP,A)
【文献】実開平06-079195(JP,U)
【文献】特開2009-164352(JP,A)
【文献】特開2008-288411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H05K 7/14
B60R 16/02
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースとこのケースの開口を塞ぐカバーとから成る筐体と、この筐体に収納されたプリント基板と、このプリント基板に実装された発熱性電子部品とを含み、
前記ケースと前記カバーのいずれか一方は、金属製部品であるとともに、複数の固定用取付ボスを有している電子制御装置において、
前記プリント基板のなかの、前記発熱性電子部品が配置された領域のことを、発熱性電子部品配置領域とし、
前記金属製部品のなかの、前記プリント基板とは反対側の面のことを、反対面とし、
この反対面のなかの、前記発熱性電子部品配置領域を投影した領域のことを、投影領域とし、
前記発熱性電子部品から前記複数の固定用取付ボスの取付面までの、距離を短くするべく、前記複数の固定用取付ボスは、前記反対面の端部に且つ前記投影領域の近傍に位置しており、
前記金属製部品の前記反対面に形成されてなる放熱用フィンを有し、
この放熱用フィンは、前記投影領域に位置しているとともに、前記複数の固定用取付ボスの少なくとも一部に、一体に形成されて
なり、
前記金属製部品の前記反対面の端部には、複数の凹部が形成されてなり、
この複数の凹部は、前記金属製部品の中央に位置した第1底板と、この第1底板の両縁に連続して位置するとともに段差を有している第2底板及び第3底板とによって形成されており、
前記複数の固定用取付ボスは、前記複数の凹部に位置しているとともに、前記第1底板の縁から前記第2底板の端まで、又は、前記第1底板の縁から前記第3底板の端まで延びるとともに、それぞれ横向きのネジ孔が形成されている、
ことを特徴とする電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱性電子部品を備えた電子制御装置の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子制御装置のなかには、発熱を伴う発熱性電子部品を備えたものがある。このような電子制御装置は自動車等の車両に搭載されることが多く、放熱性が求められる。これに対し、放熱性を考慮した電子制御装置の技術が提案されてきた(例えば、特許文献1)
【0003】
特許文献1で知られている電子制御装置は、発熱性電子部品を実装した基板が筐体に収納されている。この筐体は、金属材料によって構成されたケースと、このケースの開口を塞ぐカバーとから成る。ケースの外面には、多数の放熱フィンと、複数の固定用取付ボスとが、一体に形成されている。
【0004】
しかし、複数の固定用取付ボスは、ケースの側面から側方へ突出している。その分だけ、電子制御装置は比較的大型にならざるを得ない。電子制御装置を小型化するには、ケースに対する固定用取付ボスの位置や大きさを変更することが考えられる。しかし、そのために電子制御装置の放熱構造を変更するのでは、放熱性能に影響を及ぼすので、得策ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、固定用取付ボスのために電子制御装置の放熱構造を変更することなく、電子制御装置の小型化を図ることができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明の電子制御装置は、ケースとこのケースの開口を塞ぐカバーとから成る筐体と、この筐体に収納されたプリント基板と、このプリント基板に実装された発熱性電子部品とを含む。前記ケースと前記カバーのいずれか一方は、金属製部品であるとともに、複数の固定用取付ボスを有している。前記プリント基板のなかの、前記発熱性電子部品が配置された領域のことを、発熱性電子部品配置領域とする。前記金属製部品のなかの、前記プリント基板とは反対側の面のことを、反対面とする。この反対面のなかの、前記発熱性電子部品配置領域を投影した領域のことを、投影領域とする。前記発熱性電子部品から前記複数の固定用取付ボスの取付面までの、距離を短くするべく、前記複数の固定用取付ボスは、前記反対面の端部に且つ前記投影領域の近傍に位置しており、前記金属製部品の前記反対面に形成されてなる放熱用フィンを有し、この放熱用フィンは、前記投影領域に位置しているとともに、前記複数の固定用取付ボスの少なくとも一部に、一体に形成されてなる。前記金属製部品の前記反対面の端部には、複数の凹部が形成されてなる。この複数の凹部は、前記金属製部品の中央に位置した第1底板と、この第1底板の両縁に連続して位置するとともに段差を有している第2底板及び第3底板とによって形成されている。前記複数の固定用取付ボスは、前記複数の凹部に位置しているとともに、前記第1底板の縁から前記第2底板の端まで、又は、前記第1底板の縁から前記第3底板の端まで延びるとともに、それぞれ横向きのネジ孔が形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、金属製部品のなかの、プリント基板とは反対側の面(反対面)の端部に、且つ発熱性電子部品配置領域を投影した投影領域の近傍に、複数の固定用取付ボスを集めている。つまり、複数の固定用取付ボスを金属製部品の内側に寄せた。このため、筐体をプリント基板の基板面の方向から見て、金属製部品の側面から外方へは、複数の固定用取付ボスが突出していない。従って、電子制御装置の小型化を図ることができる。しかも、固定用取付ボスが発熱性電子部品の放熱構造に影響を及ぼすことはない。このため、固定用取付ボスのために電子制御装置の放熱構造を変更することなく、電子制御装置の小型化を図ることができる。
【0012】
さらには、複数の固定用取付ボスは、車体などの相手部材に取り付けられるものである。複数の固定用取付ボスを投影領域の近傍に集めたので、発熱性電子部品から複数の固定用取付ボスの取付面までの、距離を短くすることができる。この結果、発熱性電子部品と複数の固定用取付ボスの取付面との間の、熱抵抗を低減することができる。このため、筐体の放熱性を高めることができる。
【0013】
さらには、複数の固定用取付ボスは、金属製部品の側面から外方へは、突出しない。電子制御装置の小型化を図るために、金属製部品自体を小型にする必要はない。このため、筐体に収納されるプリント基板を小型にする必要はない。プリント基板の実装面積を十分に確保することができる。
【0014】
さらには、複数の固定用取付ボスを投影領域の近傍に集めることによって、各固定用取付ボス間の距離を、耐振動性を考慮した、より適切な大きさまで小さくすることができる。
さらに、請求項1に係る発明では、金属製部品の反対側の面に形成された放熱用フィンが、投影領域に位置している。発熱性電子部品が発した熱を、投影領域から放熱用フィンによって放散することができる。固定用取付ボスは、投影領域の近傍に位置しているので、放熱用フィンからの放熱性に影響を及ぼすことはない。
さらに、請求項1に係る発明では、固定用取付ボスに放熱用フィンを一体化することによって、放熱用フィンの強度を高めることができる。
【0015】
さらに、請求項1に係る発明では、複数の固定用取付ボスが配置される部分は、金属製部品の反対面の端部に形成されている、複数の凹部である。このため、プリント基板の基板面の方向と板厚方向の両方から見て、金属製部品から外方へ複数の固定用取付ボスが突出しない。従って、電子制御装置の一層の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例1による電子制御装置の構成図であり、(a)は、分解した構成の斜視図、(b)はプリント基板が組み付けられたケースからカバーを外した構成の平面図である。
【
図2】
図1に示されるケースの構成図であり、(a)はケースを開口側から見た平面図、(b)はケースを下方から見た斜視図、(c)は(b)のc部を拡大した図、(d)はケースの底面図である。
【
図3】
図1に示される電子制御装置のケースにカバーを組み付けた構成の断面図であり、(a)は
図1(b)の3a-3a線に沿った断面であってカバーを組み付けた構成の断面図、(b)は
図1(b)の3b-3b線に沿った断面であってカバーを組み付けた構成の断面図である。
【
図4】本発明の実施例2~3による電子制御装置の構成図であり、(a)は実施例2のケースの底面図、(b)は実施例3のケースの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【0020】
<実施例1>
図1~
図3を参照しつつ実施例1の電子制御装置10を説明する。この電子制御装置10は、筐体11と、この筐体11に収納されたプリント基板61と、このプリント基板61に実装された少なくとも1つの発熱性電子部品62とを含む。この発熱性電子部品62としては、例えばパワーデバイス、電解コンデンサ、抵抗器が挙げられる。
【0021】
筐体11は、平面視略矩形状(正方形を含む)を呈しており、ケース20とこのケース20の開口21を塞ぐカバー40とから成る。このカバー40は、ケース20の開口21の縁に対して、重ねられ且つ複数のビス41によって取り外し可能に取り付け可能な、概ね平坦な部材である。
【0022】
ケース20とカバー40の、少なくともいずれか一方(例えばケース20)は、金属製部品であり、アルミニウム合金等の高熱伝導性を有する材料によって構成されることが好ましい。ここでは、ケース20が金属製部品である例について説明するが、これに限定されるものではない。以下、ケース20のことを、適宜「金属製部品20」と言い換える。
【0023】
ケース20は、平面視略矩形状の底板22と、この底板22の周縁から起立して周縁を囲う側板23とからなる。底板22は、ケース20の中央に位置した第1底板24と、この第1底板24の両縁に連続して位置した第2底板25及び第3底板26とからなる。ケース20の放熱性を高める上で、全ての底板24~26の板厚は同一で、しかも小さいことが好ましい。
【0024】
底板22の底面22a(開口21に向いている面22a)は、第1底板24の底面24aと第2底板25の底面25aと第3底板26の底面26aとからなる。第1底板24の底面24aは、開口21からケース20の最も低位に位置した平坦な面である。第2底板25の底面25aと第3底板26の底面26aは、第1底板24の底面24aよりも高位に位置した平坦な面である。つまり、第2底板25の底面25aと第3底板26の底面26aは、第1底板24の底面24aに対して1段高い段差状に形成されてなる。さらに、第2底板25の底面25aと第3底板26の底面26aは、互いに同一高さに設定されているとともに、第1底板24の底面24aに対して平行である。第1底板24の縁と第2底板25の縁との間、及び、第1底板24の縁と第3底板26の縁との間は、縦板27,27によって一体に繋がっている。
【0025】
第2底板25の底面25aと第3底板26の底面26aには、それぞれ開口21へ向かって突出した台座28,29が一体に形成されてなる。これらの台座28,29のなかの、端面28a,29a(開口21に向いている面28a,29a)は、各底板24~26の底面24a~26aに対して平行な平坦面である。
【0026】
上述のように、第1底板24と第2底板25との間、及び、第1底板24と第3底板26との間には、段差が有る。この段差の分だけ、第2底板25の下方と第3底板26の下方とには、空きスペースSp,Spが形成されてなる。この空きスペースSp,Spは、ケース20の底板22の下面22b(ケース20の開口21とは反対側の面22b)の端部に形成されてなる凹部である。以下、この空きスペースSp,Spのことを、適宜「凹部Sp,Sp」と言い換える。一方の凹部Spは、第2底板25の下面25bと一方の縦板27とによって形成されてなる。他方の凹部Spは、第3底板26の下面26bと他方の縦板27とによって形成されてなる。
【0027】
図2及び
図3に示されるように、前記ケース20は、複数の固定用取付ボス31と複数の放熱用フィン32とを有している。複数の固定用取付ボス31と複数の放熱用フィン32とは、複数の凹部Sp,Spに位置しており、ケース20に一体に形成されてなる。この結果、複数の固定用取付ボス31と複数の放熱用フィン32とは、ケース20の内側に寄って位置することになる。複数の固定用取付ボス31と複数の放熱用フィン32は、ケース20から外方へ突出しない。
【0028】
以下、先に複数の固定用取付ボス31を説明し、次に複数の放熱用フィン32を説明する。
【0029】
図2及び
図3に示されるように、ケース20の底板22の下面22bは、第1底板24の下面24bと第2底板25の下面25bと第3底板26の下面26bとからなる。複数の固定用取付ボス31は、ケース20の底板22の下面22b、且つ、ケース20の端部に位置している。より具体的には、ケース20の底板22の下面22bの四隅(
図2参照)には、1つずつの固定用取付ボス31が一体に形成されてなる。詳しく述べると、複数の固定用取付ボス31は、第2底板25の下面25bと第3底板26の下面26bとに一体に形成されてなる。
【0030】
これらの複数の固定用取付ボス31には、それぞれ横向きのネジ孔31aが形成されてなる。電子制御装置10を取り付けるための相手部材50(
図3(b)参照)のブラケット51に対して、複数の固定用取付ボス31を横方向にボルト止めすることができる。
【0031】
複数の放熱用フィン32は、固定用取付ボス31と同様に、ケース20の底板22の下面22bに位置している。より具体的には、複数の放熱用フィン32は、第2底板25の下面25bや第3底板26の下面26bから下方(ケース20の開口21とは反対側)へ延びている。全ての放熱用フィン32の下端面(先端面)は、第1底板24の下面24bに対して、同一又は第2、第3底板25,26の下面25b,下面26b寄りに位置していることが好ましい。ケース20全体が小型になるからである。
【0032】
図2に示されるように、第2底板25の下面25bに位置している複数の放熱用フィン32は、同じく第2底板25の下面25bに位置している2つの固定用取付ボス31の配置方向へ延びている。また、第3底板26の下面26bに位置している複数の放熱用フィン32は、同じく第3底板26の下面26bに位置している2つの固定用取付ボス31の配置方向へ延びている。
【0033】
さらに、複数の放熱用フィン32は、複数の固定用取付ボス31の少なくとも一部に、一体に形成されることが、より好ましい。固定用取付ボス31に放熱用フィン32を一体化することによって、放熱用フィン32の強度を高めることができる。
【0034】
図1及び
図2に示されるように、前記プリント基板61は、ケース20の周壁を成す側板23の内周面に対し、若干の隙間を有して嵌め込み可能な形状及び大きさの平面視略矩形状を呈している。このプリント基板61は、底板22に対して平行に位置して、ケース20の内部に配置され、底板22から起立した複数のボス63に重ねられ且つビス64によって取り外し可能に取り付けられている。この結果、プリント基板61は筐体11に収納されることになる。
【0035】
このプリント基板61には、発熱性電子部品62の他に、発熱が少ない種々の電子部品65(以下、「その他の電子部品65」という)も実装されている。以下、このプリント基板61のなかの、カバー40に向かい合う一方の基板面61aのことを「第1の基板面61a」といい、この第1の基板面61aに対して反対側の面61b、つまり底板22に向かい合う他方の基板面61bのことを「第2の基板面61b」という。
【0036】
詳しく述べると、第1の基板面61aには複数の発熱性電子部品62と、複数のその他の電子部品65とが実装されている。その他の電子部品65は、第1の基板面61aのなかの、中央の配置領域A1に実装されている。複数の発熱性電子部品62は、第1の基板面61aのなかの、中央の配置領域A1に対して両側の配置された領域A2,A2(端部の配置領域A2,A2)に実装されている。以下、プリント基板61のなかの、発熱性電子部品62が配置された領域A2,A2のことを、「発熱性電子部品配置領域A2,A2」という。
【0037】
図3に示されるように、プリント基板61の発熱性電子部品配置領域A2,A2を、ケース20の底板22に投影した場合に、発熱性電子部品配置領域A2,A2は台座28,29の端面28a,29aに合致する。つまり、ケース20の開口21側から見て、発熱性電子部品配置領域A2,A2は、台座28,29の端面28a,29aの範囲内に重なる。プリント基板61がケース20に取り付けられた状態(複数のボス63にビス止めされた状態)において、第2の基板面61bは放熱グリースの層66,66(放熱グリース層66,66)を介して台座28,29の端面28a,29aに接している。
【0038】
各発熱性電子部品62が発生した熱は、プリント基板61と放熱グリース層66,66とを介して第2底板25や第3底板26に伝わり、ケース20から外方へ放散される。特に、ケース20の複数の放熱用フィン32から外方へ熱を放散する放散効率は高い。
【0039】
図1に示されるように、プリント基板61の第2の基板面61bには、コネクタ67が実装されている。このコネクタ67の差し込み口は、ケース20の側面からケース外方へ向いている。なお、第2の基板面61bには図示せぬ種々の電子部品(発熱性電子部品を除く)を実装することが可能である。
【0040】
次に、
図2(d)及び
図3(a),(b)を参照しつつ、複数の固定用取付ボス31と発熱性電子部品配置領域A2,A2との位置関係について説明する。
【0041】
筐体11にプリント基板61が収納された状態において、ケース20の底板22の下面22bは、「ケース20のなかの、プリント基板61とは反対側の面22b」であると、いうことができる。以下、この反対側の面22bのことを、適宜「反対面22b」と言い換えることにする。
【0042】
ケース20の反対面22bのなかの、発熱性電子部品配置領域A2,A2を投影した領域のことを、「投影領域Pra,Pra」という。複数の固定用取付ボス31は、反対面22bの端部に且つ投影領域Pra,Praの近傍(投影領域Pra,Praに合致を含む)に位置している。
【0043】
以上の説明をまとめると、次の通りである。
【0044】
図2(d)及び
図3(a),(b)に示されるように、金属製部品20(ケース20)のなかの、プリント基板61とは反対側の面22b(反対面22b)の端部に、且つ発熱性電子部品配置領域A2,A2を投影した投影領域Pra,Praの近傍に、複数の固定用取付ボス31を集めている。つまり、複数の固定用取付ボス31を金属製部品20の内側に寄せた。このため、筐体11をプリント基板61の基板面61aの方向から見て、金属製部品20の側面から外方へ複数の固定用取付ボス31が突出していない。従って、電子制御装置10の小型化を図ることができる。しかも、複数の固定用取付ボス31が発熱性電子部品62の放熱構造に影響を及ぼすことはない。このため、複数の固定用取付ボス31のために電子制御装置10の放熱構造を変更することなく、電子制御装置10の小型化を図ることができる。
【0045】
さらには、複数の固定用取付ボス31は、車体などの相手部材50(
図3(b)参照)に取り付けられるものである。複数の固定用取付ボス31を投影領域Pra,Praの近傍に集めたので、発熱性電子部品62から複数の固定用取付ボス31の取付面までの、距離を短くすることができる。この結果、発熱性電子部品62と複数の固定用取付ボス31の取付面との間の、熱抵抗を低減することができる。このため、筐体11の放熱性を高めることができる。
【0046】
さらには、複数の固定用取付ボス31は、金属製部品20の側面から外方へ突出しない。電子制御装置10の小型化を図るために、金属製部品20自体を小型にする必要はない。このため、筐体11に収納されるプリント基板61を小型にする必要はない。プリント基板61の実装面積を十分に確保することができる。
【0047】
さらには、複数の固定用取付ボス31を投影領域Pra,Praの近傍に集めることによって、各固定用取付ボス31,31間の距離を、耐振動性を考慮して、より適切な大きさまで小さくすることができる。
【0048】
複数の固定用取付ボス31が配置される部分は、金属製部品20の反対面22bの端部に形成されている、複数の凹部Sp,Spである。このため、プリント基板61の基板面61aの方向と板厚方向の両方から見て、金属製部品20から外方へ複数の固定用取付ボス31が突出しない。従って、電子制御装置10の一層の小型化を図ることができる。
【0049】
さらには、金属製部品20の反対面22bに形成された放熱用フィン32が、投影領域Pra,Praに位置している。発熱性電子部品62が発した熱を、投影領域Pra,Praから複数の放熱用フィン32によって放散することができる。複数の固定用取付ボス31は、投影領域Pra,Praの近傍に位置しているので、複数の放熱用フィン32からの放熱性に影響を及ぼすことはない。
【0050】
さらには、複数の固定用取付ボス31に複数の放熱用フィン32を一体化することによって、複数の放熱用フィン32の強度を高めることができる。
【0051】
<実施例2>
図4(a)を参照しつつ実施例2の電子制御装置10Aを説明する。
図4(a)は、前記
図2(d)に対応している。実施例2の電子制御装置10Aは、
図1~
図3に示される実施例1の、ケース20(金属製部品20)の複数の固定用取付ボス31を、
図4(a)に示されるケース20A(金属製部品20A)の複数の固定用取付ボス31Aに変更したことを特徴とし、他の構成は実施例1と同じなので、説明を省略する。
【0052】
複数の固定用取付ボス31Aは、第1底板24の縁から第2底板25の端まで、又は、第1底板24の縁から第3底板26の端まで延びている。複数の放熱用フィン32Aは、複数の固定用取付ボス31Aに一体に形成されてなる。このため、複数の固定用取付ボス31A及び放熱用フィン32Aの強度を、より高めることができる。固定用取付ボス31Aに設けられたネジ孔31Aaの方向は、横向きと縦向きのどちらでもよい。その他の作用、効果は、前記実施例1と同様であり、説明を省略する。
【0053】
<実施例3>
図4(b)を参照しつつ実施例3の電子制御装置10Bを説明する。
図4(b)は、前記
図4(a)に対応している。実施例3の電子制御装置10Bは、
図4(a)に示される実施例2のケース20A(金属製部品20A)を、
図4(b)に示される実施例3のケース20B(金属製部品20B)に変更したことを特徴とし、他の構成は実施例2と同じなので、説明を省略する。
【0054】
詳しく述べると、実施例3のケース20Bは、第1底板24の全周囲を第2底板25と第3底板26とによって囲んでいる点と、複数の固定用取付ボス31Bが第1底板24の四隅から斜向かいに延びている点を特徴とする。複数の放熱用フィン32Bは、複数の固定用取付ボス31B間に延びており。複数の固定用取付ボス31Bに一体に形成されてなる。このため、ケース20Bの強度を、より高めることができる。固定用取付ボス31Bに設けられたネジ孔31Baの方向は、横向きと縦向きのどちらでもよい。その他の作用、効果は、前記実施例1及び実施例2と同様であり、説明を省略する。
【0055】
なお、第2底板25や第3底板26に設けた台座28,29の有無は任意である。台座28,29を廃止した場合には、第2底板25や第3底板26に対して放熱グリース層66を直接に設ければよい。
また、複数の凹部Sp,Spの形状は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の電子制御装置10,10A,10Bは、自動車等の車両に搭載するのに好適である。
【符号の説明】
【0057】
10,10A,10B…電子制御装置、11…筐体、20,20A,20B…金属製部品(ケース)、21…開口、22…底板、22a…底面、22b…反対面、31,31A,31B…固定用取付ボス、32,32A,32B…放熱用フィン、40…カバー、61…プリント基板、61a…第1の基板面、61b…第2の基板面、62…発熱性電子部品、A2…発熱性電子部品配置領域、Pra…投影領域、Sp…凹部。