(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
B65D5/54 F
(21)【出願番号】P 2017248074
(22)【出願日】2017-12-25
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】宮下 裕介
(72)【発明者】
【氏名】関 亮一
(72)【発明者】
【氏名】白石 一也
(72)【発明者】
【氏名】石井 一志
(72)【発明者】
【氏名】富田 将斗
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-071422(JP,A)
【文献】特開2002-002684(JP,A)
【文献】特開2012-153395(JP,A)
【文献】特開2000-025746(JP,A)
【文献】特開2014-037254(JP,A)
【文献】特開2017-214132(JP,A)
【文献】特開2003-040255(JP,A)
【文献】特開平08-198247(JP,A)
【文献】特開2012-126444(JP,A)
【文献】実開昭60-057517(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板、側板、天板、及び前記側板と対向する他の側板の順で、第1稜部を介してそれぞれ連設された四角筒状の外周壁と、
前記第1稜部と交差する第2稜部を介して一対の前記側板にそれぞれ連設された一対の内フラップと、前記第2稜部と交差する第3稜部を介して前記底板と前記天板にそれぞれ連設され、前記内フラップの外面に接着部によって接着された一対の外フラップとを有し、前記外周壁の両端の開口をそれぞれ閉塞した一対の蓋壁と、
前記接着部に沿うように前記内フラップにそれぞれ設けられた第1破断線と、
前記側板の両端に位置する前記第2稜部
の一方側から他方側にかけて前記第1稜部に沿うように前記側板にそれぞれ設けられた第2破断線と、
前記側板にそれぞれ設けられ、前記第2破断線に沿って前記側板を破断するための操作部と
を備え、
前記第2稜部は、切断部を含まない罫線によって構成され、
前記第1破断線は、
前記接着部よりも前記外フラップの先端側に設けられ、前記内フラップの先端側から前記第2稜部側へ延びる第1破断部と、
前記第2稜部側に位置する前記第1破断部の端から前記天板に向けて、前記第2稜部と交差する向きに延びる第2破断部と
を有し、
前記第2稜部側に位置する前記第2破断部の端は、
前記接着部と前記第2稜部の間において、前記第2破断線の端よりも前記天板側
、かつ包装箱の全高に対して上側の1/3の領域で前記接着部の上端と下端の間に位置し、
前記第2破断部の前記端と前記第2破断線の前記端とは、いずれも前記第2稜部に対して間隔をあけて位置しており、
前記間隔は、前記第2稜部に沿った前記内フラップと前記側板の折り曲げによって、前記第1破断線に沿った折目が前記内フラップに付くこと、及び前記第2破断線に沿った折目が前記側板に付くことを防止可能な距離に設定され、
前記天板に連なる前記外フラップの操作による前記第1破断線に沿った前記内フラップの破断と、前記操作部の操作による前記第2破断線に沿った前記側板の破断とによって、前記天板側を分離したトレイ状に開封可能である、包装箱。
【請求項2】
前記第2破断部は、前記第2稜部に向かって凸となるように、前記接着部に沿って湾曲している、請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前
記間隔は5mm以上である、請求項
1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記内フラップの先端には、前記第1破断部の近傍に位置するように切欠部が設けられている、請求項1から
3のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
包装箱として、四角筒状の外周壁の両端開口を、一対の内フラップと一対の外フラップとを有する蓋壁によってそれぞれ閉塞したラップアラウンドケースが知られている。特許文献1に開示された包装箱は、第1の破断線に沿って外周壁の側板を破断し、第2の破断線に沿って側板と内フラップの間の稜部の上側部分を破断し、内フラップに対して外フラップを剥離することで、上部を分離してトレイ状に開封できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の包装箱では、側板と内フラップの稜部に破断線が設けられているため、上側部分を分離する開封作業性は良好である。しかし、破断線を設けた稜部の耐圧縮性が低下するため、保管時に複数の包装箱を積み重ねると、下段の包装箱が潰れ、外観が悪くなるという不都合がある。また、製函前のブランクの状態でも、破断線を設けた部分の剛度(腰)が低下するため、側板に対して内フラップが意図しないタイミングで折れ曲がり、製函装置による包装箱の自動製函に支障をきたすことがある。
【0005】
本発明は、開封作業性を低下させることなく、製函性と耐圧縮性を向上できる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、底板、側板、天板、及び前記側板と対向する他の側板の順で、第1稜部を介してそれぞれ連設された四角筒状の外周壁と、前記第1稜部と交差する第2稜部を介して一対の前記側板にそれぞれ連設された一対の内フラップと、前記第2稜部と交差する第3稜部を介して前記底板と前記天板にそれぞれ連設され、前記内フラップの外面に接着部によって接着された一対の外フラップとを有し、前記外周壁の両端の開口をそれぞれ閉塞した一対の蓋壁と、前記接着部に沿うように前記内フラップにそれぞれ設けられた第1破断線と、前記側板の両端に位置する前記第2稜部の一方側から他方側にかけて前記第1稜部に沿うように前記側板にそれぞれ設けられた第2破断線と、前記側板にそれぞれ設けられ、前記第2破断線に沿って前記側板を破断するための操作部とを備え、前記第2稜部は、切断部を含まない罫線によって構成され、前記第1破断線は、前記接着部よりも前記外フラップの先端側に設けられ、前記内フラップの先端側から前記第2稜部側へ延びる第1破断部と、前記第2稜部側に位置する前記第1破断部の端から前記天板に向けて、前記第2稜部と交差する向きに延びる第2破断部とを有し、前記第2稜部側に位置する前記第2破断部の端は、前記接着部と前記第2稜部の間において、前記第2破断線の端よりも前記天板側、かつ包装箱の全高に対して上側の1/3の領域で前記接着部の上端と下端の間に位置し、前記第2破断部の前記端と前記第2破断線の前記端とは、いずれも前記第2稜部に対して間隔をあけて位置しており、前記間隔は、前記第2稜部に沿った前記内フラップと前記側板の折り曲げによって、前記第1破断線に沿った折目が前記内フラップに付くこと、及び前記第2破断線に沿った折目が前記側板に付くことを防止可能な距離に設定され、前記天板に連なる前記外フラップの操作による前記第1破断線に沿った前記内フラップの破断と、前記操作部の操作による前記第2破断線に沿った前記側板の破断とによって、前記天板側を分離したトレイ状に開封可能である、包装箱を提供する。
【0007】
この包装箱では、側板と内フラップの間の第2稜部は、切断部を含まない罫線からなるため、ブランクの第2稜部の剛度の低下を防止できる。よって、包装箱を製函する際、側板に対する内フラップの意図しない折れ曲がりを防止できるため、製函装置による包装箱の自動製函に支障をきたすことはない。第2稜部が切断部を含まないため、包装状態での耐圧縮性の低下を防止できる。よって、複数の包装箱を積み重ねても、下段の包装箱が潰れて外観が悪くなることはない。
【0008】
この包装箱を開封する場合、例えば天板に連続した外フラップを、天板側に引き上げる。これにより、第1破断線を構成する第1破断部に沿って内フラップが破断された後、引き続いて第2破断部に沿って天板に向けて内フラップが破断される。この際、内フラップよりも硬い接着部が天板側を支持するガイド部として機能するため、第1破断線に沿って内フラップを効果的に破断できる。
【0009】
その後、破断は、第2破断部の端から第2稜部に向けて進み、続いて折癖が付いた第2稜部に沿って天板に向けて進む。これにより、天板側に位置する内フラップの一部が、外フラップに接着した状態で分離される。続いて、第2破断線に沿って側板を破断すると、第2破断線の端から第2稜部に向けて破断が進み、先に破断した部分に繋がる。これにより、包装箱は、天板、内フラップの第1破断線よりも天板側、天板に連続した外フラップ、及び側板の第2破断線よりも天板側を含む上側部分を分離した開封状態となる。
【0010】
このように、第1破断線に沿って内フラップを破断した後、第2破断線に沿って側板を破断することで、上側部分を分離したトレイ状に包装箱を開封できる。また、この開封状態では、内フラップの天板側が分離されるため、底板に連続した外フラップよりも上側が大きく開放される。よって、内部に収容した物品の露出面積を大きくできるため、物品を取り出す作業性を向上できる。
【0011】
第2稜部側に位置する第1破断線の端と第2破断線の端とは、いずれも第2稜部に対して間隔をあけて位置し、その間隔は、第2稜部に沿った内フラップと側板の折り曲げによって、第1破断線に沿った折目が内フラップに付くこと、及び第2破断線に沿った折目が側板に付くことを防ぐことが可能な距離に設定されている。そのため、第2稜部に作用する圧縮力が第1破断線と第2破断線に伝わり、内フラップと側板が折れ曲がることを防止できる。よって、包装箱の外観が悪くなることを確実に防止できる。
【0012】
前記第2破断部は、前記第2稜部に向かって凸となるように、前記接着部に沿って湾曲している。この態様によれば、接着部を沿って内フラップを確実に破断しつつ、第2破断部の端から第2稜部へ破断を進めることができる。
【0013】
前記間隔は5mm以上である。
【0014】
前記内フラップの先端には、前記第1破断部の近傍に位置するように切欠部が設けられている。この態様によれば、外フラップを操作した力が切欠部に集中することで、切欠部を起点として第1破断線を破断できるため、内フラップを破断する作業性を向上できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の包装箱では、側板と内フラップの間の第2稜部は、切断部を含まない罫線からなる。よって、ブランクの状態では、側板に対する内フラップの意図しない折れ曲がりを防止できるため、包装箱の製函性を向上できる。また、包装状態では、耐圧縮性の低下を防止できるため、内フラップと側板の潰れを防止でき、包装箱の外観が悪くなることを防止できる。
【0016】
さらに、第1破断線に沿って内フラップを破断し、第2破断線に沿って側板を破断することで、簡単に上部を分離した状態に包装箱を開封できる。しかも、この際には、接着部が第1破断線の天板側を支持するガイド部として機能するため、第1破断線に沿って内フラップを効果的に破断できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1から
図3は、本発明の第1実施形態に係る包装箱10を示す。この包装箱10は、四角筒状の外周壁12と、外周壁12の開口を塞ぐ蓋壁20とを備えるラップアラウンドケースである。包装箱10は、第1破断線30によって蓋壁20を構成する内フラップ21を破断し、第2破断線35によって外周壁12を構成する側板13を破断することで、
図3に示すように、上部を分離したトレイ状に開封できるよう構成されている。本実施形態では、第1破断線30と第2破断線35を設けることによる包装箱10の耐圧縮性の低下を防止しつつ、包装箱10の製函性を向上するものである。
【0020】
以下の説明では、一対の蓋壁20が対向する包装箱10の長さ方向をX方向といい、一対の側板13が対向する包装箱10の幅方向をY方向といい、外周壁12を構成する底板14と天板15が対向する包装箱10の高さ方向をZ方向という。本実施形態の包装箱10は、X方向の寸法がY方向の寸法よりも長く形成され、Y方向の寸法がZ方向の寸法よりも長く形成されているが、これらの寸法は内部に収容する物品に応じて変更される。
【0021】
(包装箱の概要)
包装箱10は、
図4Aから
図4Fに示す六面図、及び
図5Aに示す展開図に示す一枚のブランクを、所定部位で折り曲げて固着することで形成されている。ブランクは、周知の紙器打抜装置によって、紙製の段ボールシートを打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、表ライナ(包装箱10の外面)と裏ライナ(包装箱10の内面)の間に波状の中しんを配設した構成である。
図4Bに細い実線で示し、
図5Aに一点鎖線で示す部分は、肉厚を圧縮するように裏ライナの方から罫を入れて形成した汎用罫線である。
図4Aに細い実線で示し、
図5Aに二点鎖線で示す部分は、肉厚を圧縮するように表ライナの方から罫を入れて形成した逆罫線である。
図4A、
図4B、及び
図5Aに太い実線で示す部分は、裏ライナから表ライナにかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(辺)である。
【0022】
図1及び
図2に示すように、外周壁12は、一対の側板13、底板14、及び天板15を備える。そのうち、一対の側板13は同一の四角形状に形成され、底板14と天板15は概ね同一の四角形状に形成されている。これらは、底板14、側板13、天板15、及び側板13の順で、第1稜部を構成する折曲線17を介して連続し、それぞれ直交方向に折り曲げられている。
【0023】
図5Aを参照すると、天板15、一方の側板13、底板14、及び他方の側板13は、この順で上側から下側へ、折曲線17を介して連設されている。
図5Aの下端に位置する側板13には、折曲線17を介して接続板16が連設されている。接続板16は、
図5Aの上端に位置する天板15の内面(裏ライナ)に接着部28(
図1参照)を介して接着されている。つまり、
図5Aの下端に位置する側板13と、
図5Aの上端に位置する天板15とは、接続板16を介して連続している。折曲線17は、汎用罫線からなり、
図1及び
図2の組立状態ではX方向に延びている。
【0024】
引き続いて
図1及び
図2を参照すると、一対の蓋壁20は、同一の四角形状に形成されている。個々の蓋壁20は、側板13のX方向の端に連設された一対の内フラップ21と、底板14のX方向の端に連設された外フラップ23と、天板15のX方向の端に連設された外フラップ25とで構成されている。
【0025】
内フラップ21は、側板13のZ方向に延びる端辺に、第2稜部を構成する折曲線22を介して連設されている。内フラップ21は、底板14及び天板15と同じY方向に延びるように、側板13に対して内向きに折り曲げられている。折曲線22は、切断部を含まない汎用罫線によって構成されている。ここで、切断部とは、裏ライナから表ライナにかけて刃を入れて形成した切断線(全切り線)、及び段ボールシートの一部(例えば裏ライナ側)のみに刃を入れて形成した半切り線を意味する。
【0026】
下側の外フラップ23は、底板14のY方向に延びる端辺に、第3稜部を構成する折曲線24を介して連設されている。上側の外フラップ25は、天板15のY方向に延びる端辺に、第3稜部を構成する折曲線26を介して連設されている。これら一対の外フラップ23,25は、一対の内フラップ21の外面(表ライナ)側に重なるように折り曲げられ、接着部28A,28Bを介してそれぞれ接着されている。折曲線24,26は、汎用罫線によって構成されている。
【0027】
図5Aを参照すると、折曲線22,24,26は、概ね直線上に位置するように形成されている。内フラップ21と外フラップ23,25の先端も、概ね直線上に位置するように形成されている。折曲線24から外フラップ23の先端までの外フラップ23の突出寸法と、折曲線26から外フラップ25の先端までの外フラップ25の突出寸法とは、組立状態で互いの先端が突き合う長さに設定されている。これにより、一対の内フラップ21の先端間には、所定の空隙が形成されている。この空隙は、外フラップ25を開封操作するための操作部としての機能を兼ね備えている。
【0028】
接続板16と天板15の接着部28、及び一対の内フラップ21と外フラップ23,25の接着部28A,28Bとしては、例えば熱溶融樹脂を用いた接着剤(ホットメルト)が用いられている。
【0029】
(包装箱の開封用罫線構造)
図3に示すように、本実施形態の包装箱10は、上部を取り除いたトレイ状に開封できるように構成されている。この開封状態とするために、
図1及び
図2に示すように、内フラップ21には第1破断線30が設けられ、側板13には第2破断線35が設けられている。また、第1破断線30に沿った内フラップ21の破断を促進するために、内フラップ21には1本の補助折曲線41が設けられている。第2破断線35に沿った側板13の破断を促進するために、側板13には2種(合計で4本)の補助折曲線42,43が設けられている。これらは包装箱10の開封用として設けられており、解体用ではない。
【0030】
(第1破断線の詳細)
図1から
図3に示すように、第1破断線30は、天板15に連続した外フラップ25の操作により、接着部28Aによって外フラップ25に接着された内フラップ21を破断するものである。第1破断線30は、ミシン目状をなすように断続的に設けた複数の切断線からなる。
図1に最も明瞭に示すように、第1破断線30は、内フラップ21において、外フラップ25によって覆い隠される位置に形成されている。本実施形態の第1破断線30は、内フラップ21の先端側に位置する第1破断部31と、内フラップ21の折曲線22側に位置する第2破断部32とで構成されている。
【0031】
図5Bに示すように、第1破断部31は、接着部28A,28B間に位置するように、天板15側の接着部28Aよりも外フラップ25の先端側に設けられている。第1破断部31は、外フラップ25の操作方向(Z方向上向き)と交差するように、内フラップ21の先端側から折曲線22側へ、折曲線26(Y方向)に沿って直線状に延びている。内フラップ21の先端には、内フラップ21の先端側に位置する第1破断部31の端31aの近傍に位置するように、切欠部33が設けられている。切欠部33と第1破断部31の端31aとは、切欠部33から始まる破断が第1破断部31に進むことが可能な比較的短い間隔i1(例えば2mm)をあけて位置している。折曲線22側に位置する第1破断部31の端31bは、Y方向における接着部28Aの概ね中央に位置するように、設定されている。
【0032】
第2破断部32は、第1破断部31に引き続いて内フラップ21を破断するものである。第2破断部32は、第1破断部31の端31bから天板15に向けて、折曲線22と交差する向きに延びるように設けられている。本実施形態の第2破断部32は、折曲線22に向かって凸となるように、第1破断部31に接し、接着部28Aに沿って湾曲する円弧状に形成されている。円弧状の第2破断部32が折曲線22と交差する向きに延びるとは、第2破断部32に接し、折曲線22側に位置する第2破断部32の端32aを通る仮想接線VTが、折曲線22と交差することを意味する。第2破断部32の端32aは、折曲線22に対して定められた間隔i2をあけて位置し、第2破断線35の端35aよりも天板15側(Z方向上側)に位置するように、設定されている。間隔i2は、側板13に対して内フラップ21を折曲線22に沿って折り曲げる際、第2破断部32の端32aを通る意図しない折目が付くことを防ぐことが可能な距離に設定されており、上記間隔i1よりも大きい。例えば、間隔i2は、5mm以上に設定することが好ましく、本実施形態では7mmに設定されている。
【0033】
第1破断線30に沿って内フラップ21を破断する際、内フラップ21よりも硬い接着部28Aは、第1破断線30の天板15側を支持するガイド部として機能する。そのため、第1破断線30と接着部28Aは、可能な限り近接する位置に設けることが好ましい。具体的には、第1破断線30と接着部28Aの間隔は、0mm以上40mm以下に設定することが好ましく、0.5mm以上30mm以下に設定することがより好ましい。0mm未満、つまり接着部28Aが第1破断線30を越えて底板14側まで設けられると、第1破断線30に沿った内フラップ21の破断が不可能になるためである。40mmを超えた設定にすると、第1破断線30と接着部28Aが過剰に離れるため、接着部28Aによって第1破断線30の天板15側を支持できず、第1破断線30に沿った内フラップ21の破断が困難になるためである。従って、これらを除く上記適正な範囲に第1破断線30と接着部28Aを形成することで、効果的に内フラップ21を破断することができる。
【0034】
第1破断線30と接着部28Aの間隔の設定は、第1破断線30の形成位置、接着部28Aを構成する接着剤の塗布位置、及び接着剤の塗布量の設定により可能である。そのうち、接着剤の塗布量は、内フラップ21と外フラップ23,25の面積に応じて、これらを確実に固着できる定められた分量に設定されている。しかし、第1破断線30の形成位置、接着剤の塗布位置、及び接着剤の塗布量には、多少の誤差が生じる。よって、接着剤の塗布位置(接着部28Aの中心)と第1破断線30の間隔は、2.5mm以上55mm以下に設定することが好ましく、3mm以上45mm以下に設定することがより好ましい。このように設定することで、第1破断線30と接着部28Aの間隔を上記適正な範囲に設定できる。
【0035】
(第2破断線の詳細)
図1及び
図5Aに示すように、第2破断線35は、操作部36の操作により側板13を破断するものである。第2破断線35は、操作部36の操作方向(Z方向上向き)と交差するように、側板13のX方向の両端に位置する一対の折曲線22のうち、一方側から他方側にかけて折曲線17に沿って設けられている。第2破断線35は、ミシン目状をなすように断続的に設けた複数の切断線からなる。本実施形態の第2破断線35は、Z方向に凹凸を繰り返す波状に形成されているが、全体として直線状に形成してもよいし、全体として円弧状に形成してもよく、その形状は必要に応じて変更が可能である。
【0036】
図5Bを参照すると、折曲線22側に位置する第2破断線35の端35aは、折曲線22に対して定められた間隔i3をあけて位置し、第2破断部32の端32aよりもZ方向下側に位置するように、設定されている。本実施形態では、第2破断線35全体が、第1破断線30よりも底板14側に位置するように形成されている。間隔i3は、間隔i2と同様に、側板13に対して内フラップ21を折曲線22に沿って折り曲げる際、第2破断線35の端35aを通る意図しない折目が付くことを防ぐことが可能な距離に設定されている。例えば、間隔i3は、5mm以上15mm以下に設定することが好ましく、本実施形態では11.5mmに設定されている。
【0037】
Z方向における第1破断線30の端32aの位置は、第1破断線30に沿った内フラップ21の破断後、天板15まで折曲線22に沿って破断する距離に対応する。Z方向における第2破断線35の端35aの位置は、第2破断線35に沿った側板13の破断後、第1破断線30によって破断した部分まで折曲線22に沿って破断する距離に対応する。これらの距離は、長すぎると破断が意図しない向きに進む可能性があるため、好ましくない。逆に短すぎると、特に側板13の取り除かれる部分が少なくなり、物品の露出面積が少なくなるため、好ましくない。そこで、本実施形態では、包装箱10のZ方向の全高に対して、第1破断線30の端32aを上側の1/3の領域に設定し、第2破断線35の端35aを下側の1/3の領域に設定している。これにより、意図しない向きへの破断を防止しつつ、物品の露出面積を確保している。
【0038】
操作部36は、第2破断線35のX方向中央に位置するように、側板13に設けられている。なお、操作部36を設けた部分には、第2破断線35は設けられていない。操作部36は、折曲線37、一対の第1破線38、及び第2破線39によって画定されている。
【0039】
折曲線37は、汎用罫線からなり、折曲線17に沿ってX方向に延びている。第1破線38は、間隔をあけて形成された2以上の切断線からなり、折曲線37の両端から内フラップ21に向けて円弧状に形成されている。第2破線39は、間隔をあけて形成された2以上の切断線からなり、一対の第1破線38のX方向の外端のうち、一方から他方にかけて円弧状に形成されている。第2破線39の両端には、第2破断線35が連続している。
【0040】
(補助折曲線の詳細)
図1、
図2、及び
図5Bに示すように、補助折曲線41は、第1破断線30に沿った内フラップ21の破断を補助するものである。補助折曲線41は、汎用罫線からなり、第1破断線30よりも天板15側、かつ内フラップ21の先端側に位置するように形成されている。補助折曲線41は、第1破断線30側の端が天板15側の端よりも、内フラップ21の先端側に位置するように、傾斜されている。つまり、補助折曲線41は、第1破断線30側から天板15側に向けて、次第に内フラップ21の先端に近づく向きに傾斜されている。
【0041】
図1及び
図5Aに示すように、一対の第1補助折曲線42と一対の第2補助折曲線43とは、第2破断線35に沿った側板13の破断を補助するものである。第1補助折曲線42と第2補助折曲線43は、第2破断線35よりも天板15側に位置するように形成されている。
【0042】
第1補助折曲線42は、汎用罫線からなり、側板13のX方向の中央部分に形成されている。第1補助折曲線42は、操作部36側から天板15側に延び、X方向外向きに傾斜されている。第1補助折曲線42の操作部36側の端は、操作部36と間隔をあけて位置するように設定されている。第1補助折曲線42の天板15側の端は、折曲線17と間隔をあけて位置するように設定されている。この間隔は、間隔i2,i3と同様に、側板13に対して天板15を折曲線17に沿って折り曲げる際、第1補助折曲線42の端を通る意図しない折目が付くことを防ぐことが可能な距離に設定されている。
【0043】
第2補助折曲線43は、逆罫線からなり、第1補助折曲線42よりもX方向の外側に位置するように形成されている。第2補助折曲線43は、第1補助折曲線42とは逆向きに傾斜されている。つまり、第2補助折曲線43は、第2破断線35側から天板15側に延び、X方向内向きに傾斜している。第2補助折曲線43の第2破断線35側の端は、第2破断線35及び折曲線22と間隔をあけて位置するように設定されている。第2補助折曲線43の天板15側の端は、折曲線17と間隔をあけて位置するように設定されている。これらの間隔は、間隔i2,i3と同様に、側板13に対して内フラップ21を折曲線22に沿って折り曲げる際、及び側板13に対して天板15を折曲線17に沿って折り曲げる際、第2補助折曲線43の端を通る意図しない折目が付くことを防ぐことが可能な距離に設定されている。
【0044】
(包装箱の製函作業)
この包装箱10は、例えば次のように製函される。まず、
図4Bに示すように、裏ライナが上側に位置するようにブランクを配置し、底板14上に物品を配置する。ついで、底板14に対して一対の側板13を折り曲げた後、一対の側板13に対して接続板16と天板15をそれぞれ折り曲げる。そして、重なり合った天板15と接続板16を接着部28によって接着する。
【0045】
次に、側板13に対して内フラップ21を折り曲げた後、底板14と天板15に対して外フラップ23,25を折り曲げる。そして、重なり合った内フラップ21と外フラップ23,25の一部分を、接着部28A,28Bによって接着する。これにより、蓋壁20が形成され、外周壁12の開口が閉塞される。
【0046】
この際、側板13と内フラップ21の間の折曲線22は、切断部を含まない汎用罫線からなるため、ブランクの折曲線22部分の剛度の低下を防止できる。よって、ブランクを製函ラインへ移送する際、意図しないタイミングで側板13に対して内フラップ21が折れ曲がることを防止できる。また、第1破断線30の端32aと第2破断線35の端35aとは、折曲線22に対して間隔i2,i3をあけて位置しているため、折曲線22に沿って側板13と内フラップ21を折り曲げる際に、折曲線22に沿って確実に折り曲げることができる。その結果、製函装置によって包装箱10を自動製函しても、支障をきたすことはない。
【0047】
製函された包装箱10は、Z方向に延びる折曲線(第2稜部)22が切断部を含まないため、耐圧縮性が低下することはなく、所定の耐圧強度が確保されている。また、第1破断線30の端32aと第2破断線35の端35aとは、折曲線22に対して間隔i2,i3をあけて位置しているため、包装箱10を積み重ねた際、折曲線22に作用する圧縮力が第1破断線30と第2破断線35に伝わり、内フラップ21と側板13が折れ曲がる(潰れる)ことを防止できる。よって、包装箱10の外観が悪くなることを確実に防止できる。
【0048】
(包装箱の開封作業)
包装箱10を開封する場合、まず、一対の外フラップ23,25間に手を差し込み、天板15に連続した外フラップ25の先端中央を把持し、天板15側に引き上げる。すると、外フラップ25への操作力は、接着部28Aを介して内フラップ21に伝わり、
図6に示すように、第1破断線30の第1破断部31に沿って内フラップ21を破断した後、引き続いて第2破断部32に沿って内フラップ21が破断する。
【0049】
この際、内フラップ21の先端には切欠部33が設けられているため、内フラップ21に伝った外フラップ25の操作力は、切欠部33に集中する。よって、切欠部33を起点として、第1破断線30に沿って内フラップ21を破断できるため、作業性を向上できる。また、補助折曲線41に沿って内フラップ21が山折れすることで、第1破断線30には、X方向のせん断力とZ方向上向きの引張り力が作用する。よって、特に補助折曲線41の付近では、第1破断線30に沿った内フラップ21の破断を促進できる。
【0050】
また、接着部28Aは、第1破断線30の天板15側を支持し、第1破断線30に沿った内フラップ21の破断を促進させるガイド部の役割をなす。特に、破断部位が第1破断部31から第2破断部32に移ると、破断が進む向きはY方向からZ方向に変わるが、第2破断部32は、接着部28Aに沿って湾曲する円弧状に形成されているため、接着部28Aに沿って内フラップ21を確実に破断できる。
【0051】
図7に示すように、第2破断部32は折曲線22と交差する向きに延びるため、第2破断部32の端32aに達した破断は、引き続いて折曲線22に向けて進んだ後、折癖が付いた折曲線(第2稜部)22に沿って天板15に向けて進む。これにより、天板15側に位置する内フラップ21の一部が、外フラップ25に接着した状態で分離され、
図8に示すように、蓋壁20の概ね半分が開封された状態になる。
【0052】
この際、第2破断部32の端32aは第1破断部31よりも天板15側に位置し、第2破断部32は折曲線22と交差する向きに延びている。よって、破断が折曲線22に達する位置は天板15に近づき、折曲線22に沿った破断は可能な限り少なくなっている。その結果、折曲線22が切断部を含まないことによって、意図しない方向に破断が進んだり、開封作業性が損なわれたりすることはない。
【0053】
両端の蓋壁20の一部を破断すると、続いて、第2破断線35に沿って側板13を破断する。詳しくは、まず、操作部36をY方向の内向きに押す。これにより、第1破線38と第2破線39に沿って側板13を破断し、操作部36を開口させる。次に、操作部36に手を差し込み、側板13の天板15側を把持して、天板15の方へ引き上げる。これにより、第2破断線35に沿って側板13をY方向に破断する。
【0054】
この際、側板13には操作部36が設けられているため、第2破断線35に沿った側板13の破断作業性を向上できる。また、側板13は、中央の第1補助折曲線42に沿って山折れし、両側の第2補助折曲線43に沿って谷折れする。これにより、第2破断線35には、Y方向のせん断力とZ方向の引張り力が作用するため、第2破断線35に沿った側板13の破断を促進できる。
【0055】
第2破断線35の端35aに達した破断は、折曲線22に向けて進み、続いて折癖が付いた折曲線(第2稜部)22に沿って天板15に向けて進んだ後、
図3に示すように先に破断した部分に繋がる。これにより、天板15、内フラップ21の第1破断線30よりも天板15側、天板15に連続した外フラップ25、及び側板13の第2破断線35よりも天板15側を含む上側部分が、展開状態で分離される。その結果、開封状態の包装箱10は、底板14、内フラップ21の下部、底板14に連続した外フラップ23、側板13の下部からなるトレイ状態になる。
【0056】
このように、本実施形態の包装箱10では、第1破断線30に沿って内フラップ21を破断した後、第2破断線35に沿って側板13を破断することで、上側部分を分離した状態に開封できる。そして、開封状態では、底板14に連続した外フラップ23よりも上側が大きく開放されているため、内部に収容した物品の露出面積を大きくでき、物品を取り出す作業性を向上できる。
【0057】
以上のように、本実施形態の包装箱10では、側板13と内フラップ21の間の折曲線22が切断部を含まない汎用罫線からなり、内フラップ21の第1破断線30が湾曲した第2破断部32を備えるため、開封作業性を損なうことなく、製函性及び耐圧縮性の低下を確実に防止できる。
【0058】
(第2の開封状態)
図1及び
図5Aに示す符号45は、包装箱10内の物品の一部だけを取り出す際に用いられる折曲線である。この折曲線45は、天板15に設けられ、Y方向における接続板16側の端中央から、逆側の側板13のX方向の一端にかけて形成されている。折曲線45は、汎用罫線上に間隔をあけて複数の切断線を設けたリード罫によって構成されている。
【0059】
第2の開封状態とする場合、
図8に示すように、一方の蓋壁20の外フラップ25側を開封した状態で、接続板16(接着部28)から天板15の半分を剥離させる。その後、折曲線45に沿って天板15を外側へ折り曲げる。これにより、天板15の一部を開封した第2の開封状態とすることができる。
【0060】
(第2実施形態)
図9から
図12は、第2実施形態の包装箱10を示す。この第2実施形態では、内フラップ21の補助折曲線41(
図5A参照)と、天板15の折曲線45(
図5A参照)とを設けていない点で、第1実施形態と相違する。
【0061】
(第3実施形態)
図13から
図15は、第3実施形態の包装箱10を示す。この第3実施形態では、
図5Aに示す内フラップ21の補助折曲線41、第1補助折曲線42、第2補助折曲線43、及び折曲線45を設けていない点で、第1実施形態と相違する。
【0062】
【0063】
このように構成した第2実施形態と第3実施形態の包装箱10では、第1実施形態と同様に、開封作業性を損なうことなく、製函性及び耐圧縮性の低下を確実に防止できる。
【0064】
なお、本発明の包装箱10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0065】
例えば、第1破断線30と第2破断部32は、所定間隔をあけて形成した切断線の一端に、斜めに延びるガイド用の切断線を設けた片ジッパーによって構成してもよいし、裏ライナ及び表ライナのうち一方を破断した半切り線によって構成してもよい。また、操作部36は、側板13を開口させて、第2破断線35に沿って側板13を破断操作できる構成であれば、必要に応じて変更が可能である。
【0066】
内フラップ21を破断する第1破断線30の第1破断部31は、曲線によって構成してもよい。また、第1破断線30の第2破断部32は、接着部28Aに沿う形状であれば、多角形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…包装箱
12…外周壁
13…側板
14…底板
15…天板
16…接続板
17…折曲線(第1稜部)
20…蓋壁
21…内フラップ
22…折曲線(第2稜部)
23…外フラップ
24…折曲線(第3稜部)
25…外フラップ
26…折曲線(第3稜部)
28,28A,28B…接着部
30…第1破断線
31…第1破断部
31a,31b…端
32…第2破断部
32a…端
33…切欠部
35…第2破断線
35a…端
36…操作部
37…折曲線
38…第1破線
39…第2破線
41…補助折曲線
42…第1補助折曲線
43…第2補助折曲線
45…折曲線