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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】不妊症の処置方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/24 20060101AFI20221024BHJP
   A61P 15/08 20060101ALI20221024BHJP
   C12N 5/075 20100101ALN20221024BHJP
【FI】
A61K38/24 ZMD
A61P15/08
C12N5/075
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017545238
(86)(22)【出願日】2016-02-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2016053934
(87)【国際公開番号】W WO2016135221
(87)【国際公開日】2016-09-01
【審査請求日】2018-11-26
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】62/121,113
(32)【優先日】2015-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/121,131
(32)【優先日】2015-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15157661.8
(32)【優先日】2015-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】15185191.2
(32)【優先日】2015-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500297535
【氏名又は名称】フェリング ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(72)【発明者】
【氏名】アルセ サエス,ジョアン カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ルマン,ジェーン
【合議体】
【審判長】森井 隆信
【審判官】冨永 みどり
【審判官】齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】Arce JC et al.,The rate of high ovarian response in women identified at risk by a high serum AMH level is influenced by the type of gonadotropin,Gynecological Endocrinology,2014年,Vol.30, No.6,p.444-450,doi: 10.3109/09513590.2014.892066
【文献】Weghofer A et al.,The impact of LH-containing gonadotropins on diploidy rates in preimplantation embryos: long protocol stimulation,Human Reproduction,2008年,Vol.23, No.3,p.499-503,doi: 10.1093/humrep/dem412
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K38/00-58
A61K45/00-08
A61K35/00-768
BIOSIS/CAPLUS/EMBASE/MEDLINE/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞の発生を促進するための患者における不妊症の処置における使用のための、メノトロピン(hMG)を含む組成物であって、前記処置が、
処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.2±0.5ng/mlおよび両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧10を有する患者を、前記処置のための患者として同定すること;ならびに
処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与すること
を含む、組成物。
【請求項2】
将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞の発生を促進するための前記処置が、異数体胚盤胞の割合/パーセンテージと比較して正倍数体胚盤胞の割合/パーセンテージを増加させ、および/または異数性率を低下させる、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記処置が、排卵を誘発するためにhCGを投与することをさらに含む、請求項1または2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記処置が、
卵母細胞を回収する(例えば、採取する)こと;
卵母細胞を受精させる(例えば、授精させる)こと;および
受精卵母細胞が胚盤胞期に発育することを可能にすること
をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記処置が、前記採取された卵母細胞の受精後に得られる胚盤胞の染色体の質を評価することをさらに含む、請求項4に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記処置が、前記胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞の移植、または胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞を凍結することをさらに含む、請求項5に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記メノトロピンが高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記処置が、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~200IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップを含む、請求項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記処置が、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり150IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップを含む、請求項7または8に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
処置の6日目にGnRHアンタゴニストを投与するさらなるステップを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記処置が、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.2±0.5ng/mlおよび両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧15を有する患者を、前記処置のための患者として同定することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.2±0.5ng/mlを有し、かつ、処置/刺激前に、両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧10を有すると同定された患者において、将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞の発生を促進するための不妊症の処置における使用のための、メノトロピン(hMG)を含む組成物であって、前記処置が、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与することを含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された発明は、補助生殖医療に関する。特に、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性に特に有用であり得る調節卵巣刺激法を含む不妊症を処置するための方法が本明細書に記載されている。
【背景技術】
【0002】
補助生殖医療(ART)手順は、一般的に、卵の産生〔egg production〕を刺激し、女性の卵巣から卵子を採取し、インビトロでそれらを精子と結合させ、それらを女性(ドナーまたは別の女性)の子宮に移植することを含む。ARTの成功は、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)および子宮外妊娠などの、卵の産生の刺激に関連した母体および周産期のリスクによって阻まれる。ARTにおいて生じる他の懸念は、継続妊娠率および生児出生率を支える、良質の胚および正倍数体胚盤胞の産生である。
【0003】
メノトロピン(例えば、ヒト閉経期ゴナドトロピンまたはhMG)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、および黄体形成ホルモン(LH)などのゴナドトロピンは、調節卵巣刺激(COS)に広く用いられており、高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)および組換えヒトFHS(r-hFSH)は、より最近になって、用いられている。卵巣刺激プロトコールの効力は、周期調節のための長期ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストまたはGnRHアンタゴニストを用いて増強され得る。例えば、Devroeyら、Fertility and Sterility 97:561~71(2012)参照。
【0004】
卵巣刺激に対する患者応答は非常に様々であるため、処置は個別化される場合が多い。例えば、個別化は、低い、正常な、または高い応答を予測する、ゴナドトロピン刺激に対する卵巣応答の予想に基づき得る。高い卵巣応答者は、通常、調節卵巣刺激(COS)の標準プロトコール後に多数の発育濾胞を生じる女性として定義される。これらの患者は、一般的に、ARTの良い候補と考えられるが、高い卵巣応答は、正常な卵巣応答と比較して、より低い着床率およびより高い流産率、したがって、成功を収める結果の確率の減少と関連し得る。これらの高い応答者はまた、OHSSおよびそれに関連した合併症のリスクがより高い。
【0005】
卵巣刺激は、形態学的パラメータおよび/または染色体分析(例えば、正倍数性対異数性)により評価されるような、胚の質に全体的なマイナスの影響を生じ得るとの仮説が立てられてきた。例えば、Hamdineら、「Ovarian Stimulation for IVF:Mild Approaches」、Human Fertility:Methods and Protocols,Methods in Molecular Biology、1154巻、Springer Science+Business Media、New York(2014)参照。さらに、Haafら、Fertility and Sterility 91(3):733~38(2009)は、高い卵母細胞産出量が染色体エラー率の増加と関連することを報告した。しかしながら、Fatemiら、Human Reproduction 28(2) 442~52(2013)は、高い卵巣応答が、継続妊娠率を危うくせず、むしろ、累積妊娠率を増加させることを報告した。
【0006】
改善されたART方法を開発しようとする取り組みは、より穏やかな刺激のプロトコールを探求することに関与している。例えば、Rubioら、Human Reproduction 25(9):2290~2010(2010)は、高応答者に投与されるゴナドトロピン用量を減少させることが、より低い用量では卵母細胞数の減少を生じるが、受精率および胚の質を向上させ得ることを報告した。他の試みは、用いられる特定のゴナドトロピンが結果に影響するかどうかを考慮している。例えば、Ziebeら、Human Reproduction 22(9)2404~13(2007)は、rFSHに対するHP-hMGの使用が、胚の形態に影響を与えることができ、rFSHと比較して、HP-hMGでの刺激に由来した最高の質の胚の間で、着床率、継続妊娠率、および生児出生率の向上を観察したと報告した。しかしながら、Ziebeらの所見は、回収後3日目における卵母細胞/胚の視覚的評価に基づいており、染色体分析に基づいていなかったことは留意されるべきである。下記で明確に述べられているように、3日目におけるそのような視覚的評価によって、異数性を検出することは不可能である。同じように、La Marcaら、Fertility and Sterility O-169(2012)は、推定の高応答者(AMH≧5.2ng/mlを有する対象)の間で、rFSHで刺激された群は、HP-hMGで刺激された群と比較して、回収された卵母細胞が有意により多く、周期あたりの生児出生率が有意により低かったことを報告した。
【0007】
それゆえに、特に、調節卵巣刺激に対する高応答のリスクがある女性のための、改善された補助生殖医療方法の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明により、将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞の発生を促進する、患者(例えば、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性)の処置における使用のための、メノトロピン(ヒト閉経期ゴナドトロピンまたはhMG)を含む組成物(例えば、医薬組成物)が提供され、その処置は:
処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)[例えば、Arceら、Fertility and Sterility 99:1644~53(2013)に記載されているようなBeckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、または異なる方法により評価された等価のAMHレベル(±それの変動係数)]を有する患者を同定すること;および
処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与するステップ
を含む。その用量は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり100~300IU hMGまたはそれと等価であり得る。
【0009】
処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧10を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧15を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧18を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧20を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣における合計10以上の胞状卵胞数(AFC)を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣における合計8以上の胞状卵胞数(AFC)を有する患者を同定することを含み得る。
【0010】
将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞の発生を促進するための処置は、異数体胚盤胞の割合/パーセンテージと比較して、正倍数体胚盤胞の割合/パーセンテージを増加させ得る。将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞の発生を促進するための処置は、異数性率を低下させ得る。異数性率は下記で論じられている。
【0011】
処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、例えば、処置の1日目から10日目まで、例えば、処置の1日目から14日目まで、例えば、処置の1日目から20日目まで、1日あたり100~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与することを含み得る。
【0012】
将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞の発生を促進するための処置は、ゴナドトロピンとして組換え卵胞刺激ホルモン(rFSH)を用いる同様の方法と比較して、正倍数体胚盤胞の発生を促進し得る(例えば、異数体胚盤胞の割合/パーセンテージと比較して正倍数体胚盤胞の割合/パーセンテージを増加させる)。
【0013】
処置は、排卵を誘発するためにhCG(例えば、組換えhCG)を投与することをさらに含み得る。
【0014】
処置は、卵母細胞を回収する(例えば、採取する)こと;卵母細胞を受精させる(例えば、授精させる)こと;および受精卵母細胞が胚盤胞期に発育するのを可能にすることをさらに含み得る。受精(例えば、授精)は、体外受精〔in vitro fertilization〕、任意選択で、卵細胞質内精子注入(ICSI)であり得る。
【0015】
処置は、(例えば、1個または複数の正倍数体胚盤胞を同定するために、)採取された卵母細胞の受精後に得られた胚盤胞の染色体の質を評価することをさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞の移植(例えば、新鮮移植)をさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞を凍結することをさらに含み得る。
【0016】
メノトロピンは、高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)であり得る。
【0017】
一例において、処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり100~200IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップ、例えば、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり150IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップを含み得る。処置は、処置の6日目にGnRHアンタゴニストを投与するさらなるステップを含み得る。
【0018】
患者(対象)は、好ましくは、排卵性患者である。言い換えれば、患者(対象)は無排卵性ではないことが好ましい。
【0019】
本発明によれば、別の態様において、(不妊症処置おける使用のための)正倍数体胚盤胞の発生を促進することにおける使用のための、メノトロピン(ヒト閉経期ゴナドトロピンまたはhMG)を含む組成物が提供され、その処置は:
処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)[例えば、Arceら、Fertility and Sterility 99:1644~53(2013)に記載されているようなBeckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、または異なる方法により評価された等価のAMHレベル(±それの変動係数)]を有する患者を同定すること;および
処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与すること
を含む。その用量は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり100~300IU hMGまたはそれと等価であり得る。
【0020】
処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧10を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧15を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧18を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧20を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣における合計10以上の胞状卵胞数(AFC)を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣における合計8以上の胞状卵胞数(AFC)を有する患者を同定することを含み得る。
【0021】
(不妊症処置における使用のための)正倍数体胚盤胞の発生の促進は、異数体胚盤胞の割合/パーセンテージと比較して正倍数体胚盤胞の割合/パーセンテージを増加させ得る。
【0022】
処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、例えば、処置の1日目から10日目まで、例えば、処置の1日目から14日目まで、例えば、処置の1日目から20日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与することを含み得る。
【0023】
(不妊症処置における使用のための)正倍数体胚盤胞の発生の促進は、ゴナドトロピンとして組換え卵胞刺激ホルモン(rFSH)を用いる同様の方法と比較して、正倍数体胚盤胞の割合/パーセンテージの増加をもたらし得る。
【0024】
処置は、排卵を誘発するためにhCG(例えば、組換えhCG)を投与することをさらに含み得る。
【0025】
処置は、卵母細胞を回収する(例えば、採取する)こと;卵母細胞を受精させる(例えば、授精させる)こと;および受精卵母細胞が胚盤胞期に発育するのを可能にすることをさらに含み得る。受精(例えば、授精)は、体外受精、任意選択で、卵細胞質内精子注入(ICSI)であり得る。
【0026】
処置は、(例えば、1個または複数の正倍数体胚盤胞を同定するために、)採取された卵母細胞の受精後に得られた胚盤胞の染色体の質を評価することをさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞の移植(例えば、新鮮移植)をさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された胚盤胞を凍結することをさらに含み得る。
【0027】
メノトロピンは、高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)であり得る。
【0028】
一例において、処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~200IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップ、例えば、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり150IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップを含み得る。処置は、処置の6日目にGnRHアンタゴニストを投与するさらなるステップを含み得る。
【0029】
患者(対象)は、好ましくは、排卵性患者である。言い換えれば、患者(対象)は無排卵性ではないことが好ましい。
【0030】
本発明によれば、さらなる態様において、将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞を発生させるための不妊症の処置(例えば、調節卵巣刺激)における使用のための、メノトロピン(ヒト閉経期ゴナドトロピンまたはhMG)を含む組成物が提供され、その処置は:
処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)[例えば、Arceら、Fertility and Sterility 99:1644~53(2013)に記載されているようなBeckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、または異なる方法により評価された等価のAMHレベル(±それの変動係数)]を有する患者を同定すること;および
処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与すること
を含む。その用量は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり100~300IU hMGまたはそれと等価であり得る。
【0031】
処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧10を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧15を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧18を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧20を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣における合計10以上の胞状卵胞数(AFC)を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣における合計8以上の胞状卵胞数(AFC)を有する患者を同定することを含み得る。
【0032】
将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞を発生させるための処置は、異数体胚盤胞の割合/パーセンテージと比較して正倍数体胚盤胞の割合/パーセンテージを増加させ得る。
【0033】
処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、例えば、処置の1日目から10日目まで、例えば、処置の1日目から14日目まで、例えば、処置の1日目から20日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与することを含み得る。
【0034】
将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞を発生させるための処置は、ゴナドトロピンとして組換え卵胞刺激ホルモン(rFSH)を用いる同様の方法と比較して、正倍数体胚盤胞の発生を増加させ得る(例えば、異数体胚盤胞の割合/パーセンテージと比較して正倍数体胚盤胞の割合/パーセンテージを増加させ得る)。
【0035】
処置は、排卵を誘発するためにhCG(例えば、組換えhCG)を投与することをさらに含み得る。
【0036】
処置は、卵母細胞を回収する(例えば、採取する)こと;卵母細胞を受精させる(例えば、授精させる)こと;および受精卵母細胞が胚盤胞期に発育するのを可能にすることをさらに含み得る。受精(例えば、授精)は、体外受精、任意選択で、卵細胞質内精子注入(ICSI)であり得る。
【0037】
処置は、(例えば、1個または複数の正倍数体胚盤胞を同定するために、)採取された卵母細胞の受精後に得られた胚盤胞の染色体の質を評価することをさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞の移植(例えば、新鮮移植)をさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞を凍結することをさらに含み得る。
【0038】
メノトロピンは、高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)であり得る。
【0039】
例において、処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~200IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップ、例えば、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり150IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップを含み得る。処置は、処置の6日目にGnRHアンタゴニストを投与するさらなるステップを含み得る。
【0040】
患者(対象)は、好ましくは、排卵性患者である。言い換えれば、患者(対象)は無排卵性ではないことが好ましい。
【0041】
本発明によれば、さらなる態様において、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性における不妊症の処置における使用のための、メノトロピン(ヒト閉経期ゴナドトロピンまたはhMG)を含む組成物が提供され、その処置は:
処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)[例えば、Arceら、Fertility and Sterility 99:1644~53(2013)に記載されているようなBeckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、または異なる方法により評価された等価のAMHレベル(±それの変動係数)]および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧10を有する患者を同定すること;ならびに
処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与すること
を含む。その用量は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり100~300IU hMGまたはそれと等価であり得る。
【0042】
処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧15を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧18を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧20を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣における合計10以上の胞状卵胞数(AFC)を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣における合計8以上の胞状卵胞数(AFC)を有する患者を同定することを含み得る。
【0043】
処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、例えば、処置の1日目から10日目まで、例えば、処置の1日目から14日目まで、例えば、処置の1日目から20日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与することを含み得る。
【0044】
処置は、排卵を誘発するためにhCG(例えば、組換えhCG)を投与することをさらに含み得る。
【0045】
処置は、卵母細胞を回収する(例えば、採取する)こと;卵母細胞を受精させる(例えば、授精させる)こと;および受精卵母細胞が胚盤胞期に発育するのを可能にすることをさらに含み得る。受精(例えば、授精)は、体外受精、任意選択で、卵細胞質内精子注入(ICSI)であり得る。
【0046】
処置は、(例えば、1個または複数の正倍数体胚盤胞を同定するために、)採取された卵母細胞の受精後に得られた胚盤胞の染色体の質を評価することをさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞の移植(例えば、新鮮移植)をさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞を凍結することをさらに含み得る。
【0047】
メノトロピンは、高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)であり得る。
【0048】
患者(対象)は、好ましくは、排卵性患者である。言い換えれば、患者(対象)は無排卵性ではないことが好ましい。
【0049】
一例において、処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~200IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップ、例えば、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり150IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップを含み得る。処置は、処置の6日目にGnRHアンタゴニストを投与するさらなるステップを含み得る。処置は、FSHでの等価の処置と比較して、(例えば、処置に起因する)減数第二分裂中期卵母細胞の数を増加させ得る。減数第二分裂中期卵母細胞の数は、下記で論じられているように当技術分野において周知の方法により評価される。
【0050】
本発明によれば、さらなる態様において、処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)[例えば、Arceら、Fertility and Sterility 99:1644~53(2013)に記載されているようなBeckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、または異なる方法により評価された等価のAMHレベル(±それの変動係数)]を有すると同定され、かつ任意選択で、処置/刺激の前に、両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧10を有すると同定された患者(例えば、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性)における将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞の発生を促進する不妊症の処置における使用のための、メノトロピン(ヒト閉経期ゴナドトロピンまたはhMG)を含む組成物(例えば、医薬組成物)が提供され、その処置が、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与することを含む。用量は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり100~300IU hMGまたはそれと等価であり得る。
【0051】
患者は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧10を有すると同定され得る。患者は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧15を有すると同定され得る。患者は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧18を有すると同定され得る。患者は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧20を有すると同定され得る。患者は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣における合計10以上の胞状卵胞数(AFC)を有すると同定され得る。患者は、処置/刺激前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)および両卵巣における合計8以上の胞状卵胞数(AFC)を有すると同定され得る。
【0052】
将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞の発生を促進するための処置は、異数体胚盤胞の割合/パーセンテージと比較して、正倍数体胚盤胞の割合/パーセンテージを増加させ得る。将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞の発生を促進するための処置は、異数性率を低下させ得る。異数性率は下記で論じられている。
【0053】
処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、例えば、処置の1日目から10日目まで、例えば、処置の1日目から14日目まで、例えば、処置の1日目から20日目まで、1日あたり100~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与することを含み得る。
【0054】
将来の胚盤胞移植のための正倍数体胚盤胞の発生を促進するための処置は、ゴナドトロピンとして組換え卵胞刺激ホルモン(rFSH)を用いる同様の方法と比較して、正倍数体胚盤胞の発生を促進し得る(例えば、異数体胚盤胞の割合/パーセンテージと比較して正倍数体胚盤胞の割合/パーセンテージを増加させ得る)。
【0055】
処置は、排卵を誘発するためにhCG(例えば、組換えhCG)を投与することをさらに含み得る。
【0056】
処置は、卵母細胞を回収する(例えば、採取する)こと;卵母細胞を受精させる(例えば、授精させる)こと;および受精卵母細胞が胚盤胞期に発育するのを可能にすることをさらに含み得る。受精(例えば、授精)は、体外受精、任意選択で、卵細胞質内精子注入(ICSI)であり得る。
【0057】
処置は、(例えば、1個または複数の正倍数体胚盤胞を同定するために、)採取された卵母細胞の受精後に得られた胚盤胞の染色体の質を評価することをさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞の移植(例えば、新鮮移植)をさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞を凍結することをさらに含み得る。
【0058】
メノトロピンは、高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)であり得る。
【0059】
一例において、処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり100~200IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップ、例えば、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり150IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップを含み得る。処置は、処置の6日目にGnRHアンタゴニストを投与するさらなるステップを含み得る。
【0060】
患者(対象)は、好ましくは、排卵性患者である。言い換えれば、患者(対象)は無排卵性ではないことが好ましい。
【0061】
前述の一般的な記載および詳細な記載は、例示的で、かつ説明のためのものであり、本発明のさらなる説明を提供することを意図される。本発明の詳細にわたる理解のために、添付の図面と共に挙げられた、特定の実施形態の以下の詳細な記載が参照される。本発明の以下の詳細な記載から、他の目的、利点、および新規な特徴は、当業者に容易に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】高い最初の抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベルにより潜在的高応答者として分類された女性の間での、(A)高い卵巣応答(15個以上の卵母細胞が回収される)の発生率、および(B)生児出生率(LBR)を示す図である。棒内の値は、n/総数である。p値はカイ二乗検定に基づいている。高い卵巣応答を有する女性のパーセンテージは、長期アゴニストプロトコールとアンタゴニストプロトコールのどちらにおいても、rFSHと比較して、HP-hMGに関して有意に低い。
図2】実施例2の臨床試験についての研究デザインのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
補助生殖医療方法、例えば、不妊症を処置するための方法が本明細書に記載される。特に、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性に特に有用であり得る、調節卵巣刺激(COS)方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、方法は、COSに対する卵巣応答を最適化し、胚の質を向上させ、調節卵巣刺激後の体外受精により生じる正倍数体胚盤胞の割合を増加させ、調節卵巣刺激後の体外受精により生じる異数体胚盤胞の割合を減少させ、例えば調節卵巣刺激後の、異数性率を減少させ、継続妊娠率を増加させ、および/または生児出生率を増加させるのに有用である。
【0064】
本発明は、調節卵巣刺激(COS)を受ける潜在的卵巣高応答者における高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)の使用が、卵巣応答を最適化し、胚の質を向上させ、正倍数体胚盤胞の割合を増加させ、異数体胚盤胞の割合を減少させ、ならびに継続妊娠率を向上させ、および生児出生率を増加させ得るという、本発明者らによる予期しない発見に基づく。
【0065】
定義
本明細書で用いられる技術的および科学的用語は、他に規定がない限り、本発明が属する補助生殖医療の分野における当業者によって一般的に理解されている意味を有する。当業者に公知の様々な方法論が、本明細書において参照される。当業者に公知の任意の適切な材料および/または方法が、本発明を実行するのに利用することができる。しかしながら、特定の材料および方法が記載されている。以下の説明および実施例において言及される試薬などは、他に指示がない限り、商業的供給源から入手できる。
【0066】
本明細書で用いられる場合、単数形「1つの〔a〕」、「1つの〔an〕」、および「その〔the〕」は、その単数形のみを表すと明確に述べられていない限り、単数と複数の両方を表す。
【0067】
本明細書で用いられる場合、用語「約」は、その数または範囲が、示された、まさにその数または範囲に限定されず、その数または範囲が用いられている文脈に応じて、当業者により理解されるような、列挙された数または範囲を取り巻く範囲を包含することを意味する。文脈または当技術分野における慣例から明らかな別な意味がない限り、「約」は、その特定の用語のプラスまたはマイナス10%までを意味する。
【0068】
本明細書で用いられる場合、「卵巣応答を最適化すること」とは、4~15個の発育濾胞、約8~15個の発育濾胞、約8~14個の発育濾胞、または約11個の発育濾胞などの最適な数の発育濾胞に達するように、COSに対する卵巣応答を最適化することを指す。
【0069】
本明細書で用いられる場合、「胚の質を向上させること」とは、COS、続いて、体外受精を含むARTの単一周期において生じる正倍数体胚盤胞(例えば、正しい数の染色体を有する胚盤胞)の割合を増加させ、および/または異数体胚盤胞(例えば、正しくない数の染色体を有する胚盤胞)の割合を減少させることを指す。
【0070】
本明細書で用いられる場合、「継続妊娠」とは、妊娠10~11週目、例えば、胚盤胞/胚移植後8~9週間目において、生存胎児および検出可能な胎児心拍を有する妊娠を指す。
【0071】
本明細書で用いられる場合、「臨床妊娠」は、妊娠5~6週目、例えば、胚盤胞/胚移植後3~4週間目における、妊娠および検出可能な胎児心拍を指す。
【0072】
本明細書で用いられる場合、「女性」は、成体の雌のヒトを指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法に従って処置される女性は、35歳以下と同定され、または34歳以下と同定される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法に従って処置される女性は、(処置前に)21~38歳であると同定され、または21~37歳であると同定され、または21~36歳であると同定され、または21~34歳であると同定され、または21~32歳であると同定され、または21~31歳であると同定される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法に従って処置される女性は、18~38、18~36、18~34、18~32、18~30、または18~28kg/mのBMIなどの38kg/m以下、36kg/m以下、34kg/m以下、32kg/m以下、30kg/m以下、または28kg/m以下のBMIを有すると(処置前に)同定される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法に従って処置される女性は、18~25kg/m、18~26kg/m、18~29kg/m、18~30kg/m、18~32kg/m、18~34kg/m、18~36kg/m、または18~38kg/mのBMIを有すると同定される。
【0073】
本明細書で用いられる場合、「調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある」と分類される対象は、15個以上の卵母細胞を生じる見込みが平均より高い女性などの、調節卵巣刺激(COS)の標準プロトコール後に多数の卵胞または卵母細胞を発生すると見込まれる女性を指す。女性は、以前のART周期、例えば、以前のCOS処置において15個以上の卵母細胞を生じている場合には、リスクがあると同定され得る。追加的に、または代替的に、女性は、OHSSを発症するリスクがあると考えられる場合には、リスクがあると同定され得る。追加的に、または代替的に、女性は、本明細書において下で記載されているように評価されるとき、約5.0ng/ml以上(例えば、約5.2ng/ml以上など)(または異なる方法により評価されるときの等価のレベル)の抗ミュラー管ホルモン(AMH)の血清中レベルを有する場合には、リスクがあると同定され得る。追加的に、または代替的に、女性は、刺激前に、両卵巣において合計15以上、18以上、または20以上の胞状卵胞数(AFC)を有する場合には、リスクがあると同定され得る。
【0074】
本明細書で用いられる場合、用語「メノトロピン」は、ヒト閉経期ゴナドトロピンまたはhMGを含む。本明細書で用いられる場合、用語「高度に精製されたメノトロピン」は、卵胞刺激ホルモン(FSH)とヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)誘導性〔driven〕黄体形成ホルモン(LH)活性の両方を含有する、Ferring B.V.製の商標MENOPUR(登録商標)として入手可能なHP-hMGを含む。
【0075】
本明細書で用いられる場合、用語「GnRHアゴニスト」は、ブセレリン(例えば、Suprecur(登録商標))、リュープロレリン(例えば、Lupron(登録商標))、ナファレリン(例えば、Synarel(登録商標))、およびトリプトレリン(例えば、Trelstar(登録商標))などのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストを含む。
【0076】
本明細書で用いられる場合、用語「GnRHアンタゴニスト」は、ガニレリクス酢酸塩(例えば、Orgalutran(登録商標))および酢酸セトロレリクス(例えば、Cetrotide(登録商標))などのゴナドトロピンホルモン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニストを含み、それらは、GnRH受容体の競合的ブロックによりGnRHの下垂体ゴナドトロピン産生細胞への作用をブロックし、それによって、ゴナドトロピン産生および卵子の成熟前の放出を防ぐ。
【0077】
本明細書で用いられる場合、句「有効量」とは、薬物がそのような処置を必要としている対象に投与されて、特定の薬理学的効果を与える用量を指す。治療的有効量は、そのような用量が当業者により治療的有効量であると見なされているとしても、本明細書に記載された状態を処置するのに必ずしも有効であるとは限らないことは強調しておく。便宜上としてのみ、例示的な用量および治療的有効量が、成体の雌ヒト対象に関して下記で提供される。当業者は、特定の対象および/または状態/疾患を処置するのに必要とされる場合、標準的技法に従ってそのような量を調整することができる。
【0078】
上記で述べられているように、本発明は、COSに対する高い卵巣応答のリスクがあり、かつCOSを受ける女性において、高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を用いることを含む生殖医療方法を提供する。同じく上記で述べられているように、本明細書に開示された方法の目的のために、女性は、Arceら、Fertility and Sterility 99:1644~53(2013)に記載されているようなBeckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上、例えば、約5.2±0.5ng/ml以上などの約5.0ng/ml以上の抗ミュラー管ホルモン(AMH)の血清中レベル、または異なる方法により評価された等価のAMHレベル(±それの変動係数)を有するならば、COSに対する高い卵巣応答のリスクがあると同定され得る。AMHの血清中レベルは、機能性卵胞予備能についての代替マーカーであり、AMHの血清中レベルと卵巣応答(例えば、卵母細胞産出量)の間の正相関が報告されている。同上。しかしながら、Arceらによれば、AMHレベルは胚の質と相関していなかった。同上。
【0079】
追加的に、または代替的に、同じく上記で述べられているように、本明細書に開示された方法の目的のために、女性は、刺激前に、両卵巣において合計15以上、18以上、または20以上の胞状卵胞数(AFC)を有するならば、COSに対する高い卵巣応答のリスクがあると同定され得る。胞状卵胞は、経腟超音波により可視化および測定することができる小さな卵胞(直径約2~8mm)である。胞状卵胞は、卵巣予備能についてのもう一つのマーカーであり、AFCは、COSに対する卵巣応答を予測するために、例えば、所定の対象が、低応答者か、正常な応答者か、または高応答者かを予測するために(他のマーカーと共に)用いられている。しかしながら、AFCは、胚の質と相関していなかった。
【0080】
補助生殖医療方法
本明細書に記載された方法は、受精卵(例えば、胚盤胞/胚)の新鮮移植を含む方法、および後の移入のために受精卵(例えば、胚盤胞/胚)を凍結することを含む方法を含め、卵細胞質内精子注入(ICSI)を含む体外受精のためなどの調節卵巣刺激(COS)を含む、任意の生殖医療方法において有用である。
【0081】
特定の実施形態において、COSを受ける対象は、COSに対する高い卵巣応答のリスクがある。特定の実施形態おいて、対象は、Arceら、Fertility and Sterility 99:1644~53(2013)に記載されているようなBeckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上、例えば、約5.2±0.5ng/ml以上などの約5.0ng/ml以上のAMHの血清中レベル、または異なる方法により評価された等価のAMHレベル(±それの変動係数)を有することにより同定される。
【0082】
いくつかの実施形態において、対象は、追加的に、または代替的に、刺激前に、両卵巣において合計15以上、18以上、または20以上のAFCを有することにより同定される。いくつかの実施形態において、対象は、刺激前に、両卵巣において合計8未満または10未満のAFCを有する場合には、本明細書に記載された方法による処置から除外される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法により処置される対象は、刺激前に、両卵巣において合計少なくとも10(≧10)のAFCを有する(有すると同定される)。
【0083】
対象は、追加的に、または代替的に、以前のART周期、例えば、以前のCOS処置において、15個以上の卵母細胞を産生している場合、および/またはOHSSを発症するリスクがあるとみなされる場合には、リスクがあると同定され得る。
【0084】
特定の実施形態おいて、方法は、HP-hMGを、卵胞発育を刺激するのに有効な量で対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、HP-hMGは、少なくとも5日間などの約1日間~約20日間、約75IUもしくは100IU/日から約300IU/日まで、または約75IU/日から約200IU/日まで、または約100IU/日から約200IU/日までの用量で投与される。HP-hMGを含む医薬組成物は市販されており、例えば、皮下注射用に製剤化されている、Ferring B.V.により販売されるMENOPUR(登録商標)製品がある。典型的には、開始用量は、最初の5日間、150IU/日であり、その後(例えば、6日目以後)、例えば経腟超音波(TVUS)により、評価され得る対象の卵巣(卵胞)応答に基づいて調整され得る。例えば、主席卵胞が直径>12mmに達したならば、用量は、調整あたり75IUずつ、調整することができる。典型的には、用量は、血清中エストラジオールレベルと12mmより大きい卵胞の数の両方が、刺激の6日目において低すぎるか、または高すぎるかのいずれかである場合、上に、または下に調整される。HP-hMGは、卵胞産生の望ましいレベルに達するまで毎日、投与される。例えば、HP-hMGは、3個の卵胞が、発育して、TVUSによって決定される場合、17mmより長い直径を有するまで、投与され得る。典型的には、HP-hMG最長投与期間は20日間である。
【0085】
いくつかの実施形態において、方法は、HP-hMG投与の期間の一部の間、GnRHアンタゴニストの投与を含む。例えば、GnRHアンタゴニストは、主席卵胞が直径14mmに達した時点で投与され、HP-hMG投与の期間の残りの間中、継続され得る。GnRHアンタゴニストがガニレリクス酢酸塩(例えば、Orgalutran(登録商標))である場合、典型的な用量は、皮下投与される0.25mg/日である。
【0086】
他の実施形態において、方法は、卵巣刺激前のGnRHアゴニストの投与、例えば、トリプトレリン(典型的には、皮下に0.1mg/日)またはリュープロレリン(例えば、Lupron(登録商標))の投与を含む。
【0087】
卵胞産生の望ましいレベルに達したならば、排卵は、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)のボーラス注射によるなどの、当技術分野において公知の方法により刺激することができる。組換えhCG(例えば、Ovitrelle(登録商標))の典型的な用量は、通常、単回の皮下注射により投与される、250μg(6,500IUのhCG活性)である。その後、卵母細胞を回収し、ICSIなどの、当技術分野において公知の方法により受精させる。
【0088】
新鮮移植方法について、受精から数日後(例えば、5日後)、1個または複数の胚盤胞を移植のために選択する。残りの胚盤胞は、将来の移植のために当技術分野において公知の方法(ガラス化を含む)により凍結することができる。特定の実施形態おいて、本明細書に記載された方法は、単一の胚盤胞が新鮮移植のために選択される、単回の胚盤胞移植プロトコールに用いられる。それらの実施形態に従って、残りの胚盤胞は、将来の移植のために当技術分野において公知の方法により凍結することができる。
【0089】
「全部を凍結する」方法について、選択された胚盤胞は、将来の移植のために当技術分野において公知の方法により凍結される。
【0090】
特定の実施形態において、胚盤胞選択は、形態学的分析によって導かれる。例えば、形態学的な胚盤胞の質は、Gardner胚盤胞グレード評価システムに従って、胚盤胞拡張および孵化状態、内部細胞塊グレード評価、ならびに栄養外胚葉グレード評価を決定することにより評価することができる。例えば、Van den Abbeelら、Reproductive Biomed. OnLine 27:353~61(2013)参照。例えば、胚盤胞拡張および孵化状態4、5、または6、内部細胞塊グレード評価A、ならびに栄養外胚葉グレード評価AまたはBを有する胚盤胞は、「優秀な」質とみなされ得、一方、胚盤胞拡張および孵化状態3、4、5、または6、内部細胞塊グレード評価AまたはB、ならびに栄養外胚葉グレード評価AまたはBを有する胚盤胞は、「良い」質とみなされ得る。
【0091】
追加的に、または代替的に、胚盤胞の質は、異数性を検出するための遺伝子スクリーニング(例えば、着床前遺伝子スクリーニング、またはPGS)を含む染色体分析によって評価される。いくつかの実施形態において、染色体分析は、例えば、Formanら、Fertility and Sterility 100:718~24(2013)に記載されているような包括的染色体スクリーニング(CCS)を含む。この論文に報告されているように、CCSは、新鮮移植の前、または将来の移植のための胚盤胞凍結の前に行うことができる。
【0092】
本発明によれば、さらなる態様において、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)[および、任意選択で、処置/刺激の前に、両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧10、例えば、両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧15]を有すると同定された患者における、生じる胚盤胞における異数性率を低下させるための不妊症の処置における使用のための、メノトロピンを含む組成物が提供され、その処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与することを含む。
【0093】
本明細書において、用語「異数性率」は、[例えば、対象(患者)についての]パーセンテージとして定義され、胚盤胞の総数に対する異数体胚盤胞の数の比率の100倍として計算される。異数体胚盤胞の数は、例えば、上記の方法(例えば、PGS、CCSなどの染色体分析)により、決定され得る。胚盤胞の総数は、例えば、当技術分野において周知の方法により(例えば、下記の実施例2に記載および言及された方法により)、決定され得る。
【0094】
「生じた胚盤胞における異数性率を低下させるための不妊症の処置」とは、その処置が、その処置に起因する胚盤胞における異数性率を低下させる(例えば、その処置により生成された胚盤胞の総数に対する、その処置により生成された異数体胚盤胞の数を効果的に低下させる)ことを意味する。処置は、FSHでの等価の処置と比較して、異数性率を低下させ得る。
【0095】
患者は、処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)、および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧15を有すると同定され得る。患者は、処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)、および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧18を有すると同定され得る。患者は、処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)、および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧20を有すると同定され得る。患者は、処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)、および両卵巣における合計10以上の胞状卵胞数(AFC)を有すると同定され得る。患者は、処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)、および両卵巣における合計8以上の胞状卵胞数(AFC)を有すると同定され得る。
【0096】
処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、例えば、処置の1日目から10日目まで、例えば、処置の1日目から14日目まで、例えば、処置の1日目から20日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与することを含み得る。
【0097】
処置は、排卵を誘発するためにhCG(例えば、組換えhCG)を投与することをさらに含み得る。
【0098】
処置は、卵母細胞を回収する(例えば、採取する)こと;卵母細胞を受精させる(例えば、授精させる)こと;および受精卵母細胞が胚盤胞期に発育するのを可能にすることをさらに含み得る。受精(例えば、授精)は、体外受精、任意選択で、卵細胞質内精子注入(ICSI)であり得る。
【0099】
処置は、(例えば、1個または複数の正倍数体胚盤胞を同定するために、)採取された卵母細胞の受精後に得られた胚盤胞の染色体の質を評価することをさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞の移植(例えば、新鮮移植)をさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞を凍結することをさらに含み得る。
【0100】
メノトロピンは、高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)であり得る。
【0101】
一例において、処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~200IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップ、例えば、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり150IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップを含み得る。処置は、処置の6日目にGnRHアンタゴニストを投与するさらなるステップを含み得る。
【0102】
本発明によれば、さらなる態様において、将来の胚盤胞移植のための生じる胚盤胞における異数性率を低下させるための(患者における)不妊症の処置における使用のための、メノトロピンを含む組成物が提供され、その処置は:
血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)[および、任意選択で、処置/刺激の前に、両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧10、例えば、両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧15]を有する患者を同定すること;および
処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与すること
を含む。
【0103】
処置は、処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)、および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧15を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)、および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧18を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)、および両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧20を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)、および両卵巣における合計10以上の胞状卵胞数(AFC)を有する患者を同定することを含み得る。処置は、処置/刺激の前に、血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル≧5.0±0.5ng/ml(例えば、≧5.2±0.5ng/ml)、および両卵巣における合計8以上の胞状卵胞数(AFC)を有する患者を同定することを含み得る。
【0104】
処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、例えば、処置の1日目から10日目まで、例えば、処置の1日目から14日目まで、例えば、処置の1日目から20日目まで、1日あたり75~300IU hMGの用量またはそれと等価の用量を投与することを含み得る。
【0105】
処置は、排卵を誘発するためにhCG(例えば、組換えhCG)を投与することをさらに含み得る。
【0106】
処置は、卵母細胞を回収する(例えば、採取する)こと;卵母細胞を受精させる(例えば、授精させる)こと;および受精卵母細胞が胚盤胞期に発育するのを可能にすることをさらに含み得る。受精(例えば、授精)は、体外受精、任意選択で、卵細胞質内精子注入(ICSI)であり得る。
【0107】
処置は、(例えば、1個または複数の正倍数体胚盤胞を同定するために、)採取された卵母細胞の受精後に得られた胚盤胞の染色体の質を評価することをさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞の移植(例えば、新鮮移植)をさらに含み得る。処置は、胚盤胞の染色体の質の評価により同定された正倍数体胚盤胞を凍結することをさらに含み得る。
【0108】
メノトロピンは、高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)であり得る。
【0109】
患者(対象)は、好ましくは、排卵性患者である。言い換えれば、患者(対象)は無排卵性ではないことが好ましい。
【0110】
一例において、処置は、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり75~200IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップ、例えば、処置の1日目から少なくとも5日目まで、1日あたり150IU HP-hMGの用量またはそれと等価の用量を患者に投与するステップを含み得る。処置は、処置の6日目にGnRHアンタゴニストを投与するさらなるステップを含み得る。
【0111】
いくつかの実施形態において、黄体期サポートが、当技術分野において公知のプロトコールに従って、卵母細胞回収の翌日から胚盤胞/胚移植の10~15日後まで、および/または胚盤胞/胚移植の日から継続妊娠の確認まで、プロゲステロン腟挿入剤などのプロゲステロンの投与によりもたらされる。
【0112】
いくつかの実施形態において、臨床妊娠は、妊娠5~6週目(例えば、胚盤胞/胚移植から3~4週間後)にTVUSによって確認される。いくつかの実施形態において、継続妊娠は、妊娠10~11週目(例えば、胚盤胞/胚移植から8~9週間後)にTVUSによって確認される。
【0113】
いくつかの実施形態において、対象は、妊娠成績(例えば、生児出生)および/または新生児の健康を評価するために追跡される。
【0114】
上記で示されているように、本明細書に記載された方法は、ゴナドトロピンとして組換え卵胞刺激ホルモン(rFSH)を用いる同様の方法と比較して、胚の質を向上させ、正倍数体胚盤胞の割合を増加させ、異数体胚盤胞の割合を減少させ、継続妊娠率を増加させ、および/または生児出生率を増加させるのに有用である。特に、本明細書に記載された方法は、ゴナドトロピンとしてrFSHを用いる同様の方法と比較して、正倍数体胚盤胞の割合の増加(例えば、異数性胚盤胞の割合の減少)を生じ得る。本明細書に記載された方法はまた、ゴナドトロピンとしてrFSHを用いる同様の方法と比較して、継続妊娠率の増加および/または生児出生率の増加、例えば、8%または10%またはそれ以上の継続妊娠率の増加および/または生児出生率の増加を生じ得る。いくつかの実施形態において、方法は、ゴナドトロピンとしてrFSHを用いる同様の方法と比較して、より少ない卵子であるが、より高い割合の正倍数体胚盤胞を生じる。
【0115】
本明細書に記載された方法のさらなる態様は、以下の実施例において例証され、その実施例は、いかなる点においても限定するものではない。
【実施例
【0116】
[実施例1]後向き分析
HP-hMGまたは組換えFSHでの刺激、続いて長期GnRHアゴニストプロトコール(Anckaertら、Human Reproduction 27:1829~39(2012))またはGnRHアンタゴニストプロトコール(Arceら、Fertility and Sterility、99:1644~53(2013))を受けた患者における処置成績を比較する2つの無作為化対照臨床試験において収集されたデータの後向き分析を行った。
【0117】
1.研究対象母集団
長期アゴニスト試験についての主要な組み入れ基準は、IVFの主要な適応症(例えば、卵管因子不妊症、原因不明の不妊症、または軽度男性因子不妊症)、正常範囲(1~12IU/L)内のFSHレベル、18~29のBMI、および排卵性であると推定される21~35日間の規則的な月経周期を有する21~37歳の女性であった。アンタゴニスト試験についての主要な組み入れ基準は、原因不明の不妊症または軽度男性因子不妊症の一次不妊症診断、1~12IU/LのFSHレベル、18~25のBMI、および24~35日間の規則的な月経周期を有する21~34歳の女性であった。
【0118】
2.研究プロトコール
長期アゴニストプロトコールにおいて、トリプトレリン(0.1mg/日)(Decapeptyl(登録商標)、Ferring Pharmaceuticals A/S)の使用を、次の月経の推定される始まりの5~7日前に開始して、ゴナドトロピン投与の終わりまで継続することで、下方制御を実施した。ゴナドトロピン(HP-hMGまたはrFSH)を最初の5日間、225IU/日で投与し、その後、卵巣応答に従って調整した。
【0119】
アンタゴニストプロトコールにおいて、ゴナドトロピン(HP-hMGまたはrFSH)を最初の5日間、150IU/日で投与し、その後、6日目から卵巣応答に従って調整した。6日目において、GnRHアンタゴニスト(ガニレリクス、Orgalutran、MSD)を0.25mg/日で開始し、ゴナドトロピン処置の間中、継続した。
【0120】
両方のプロトコールにおいて、直径17mm以上の3個の卵胞が観察された時点で、250μg hCG(絨毛性ゴナドトロピンアルファ、Ovitrelle、Merck Serono)を投与し、36±2時間後、卵母細胞回収を行った。
【0121】
プロゲステロンの膣内投与により、黄体サポートを与えた。
【0122】
長期アゴニストプロトコールにおいて、3日目に、1個または2個の胚を移植した。アンタゴニストプロトコールにおいて、5日目に、1個の胚盤胞を移植した。
【0123】
生児出生を、(少なくとも)1人の生産児の出産として定義した。
【0124】
3.血清アッセイ
AMHを、酵素結合性免疫吸着アッセイにより分析した(長期アゴニスト試験:Immunotech Beckman Coulter AMH ELISA;アンタゴニスト試験:Beckman Coulter Gen 2 ELISA;1ng/ml=7.14pmol/L)。AMHアッセイは、Immunotech Beckman CoulterおよびBeckman Coulter Gen 2、それぞれにおいて、0.35ng/mlおよび0.08ng/mlの感度、ならびに<9.5および<7.7の不正確性の合計(%変動係数)を有した。FSH、エストラジオール、およびプロゲステロンを、電気化学発光イムノアッセイ(Roche-Diagnostics ECLIA)により分析した。
【0125】
4.統計解析
合計すると、2つの試験は1372人の女性を含んだ。後向き分析において、最初のAMHが、観察されたAMH分布の最高位の四分位範囲(75パーセンタイル)にある場合には、女性を潜在的高応答者と分類した。両方のプロトコールにおいて、75パーセンタイルは同じであった(5.0ng/ml=37.4pmol/l)。後向き分析において、長期GnRHアゴニストプロトコールにおいて処置された155人の女性(HP-hMG群およびrFSH群、それぞれにおいて76人および79人)およびGnRHアンタゴニストプロトコールにおける188人の女性(HP-hMG群およびrFSH群、それぞれにおいて87人および101人)が、潜在的高応答者と分類された。
【0126】
各プロトコールにおいて、ベースライン特性、刺激の終了時点データ、卵巣応答、および胚データを、刺激1日目におけるAMH値に従ってグループ化された女性の間で比較した(75未満パーセンタイル対75以上パーセンタイル)。各プロトコール内のゴナドトロピン処置(HP-hMG対rFSH)を比較する同様の分析を、潜在的高応答者について実施した。連続データおよびカテゴリーデータを、それぞれ、ウィルコクソン検定およびカイ二乗検定またはフィッシャー直接確率検定を用いて、比較した。潜在的高応答者について、高応答(15個以上の卵母細胞が回収される)のリスクおよび生児出生の確率を、カイ二乗検定を用いて、処置間で比較した。ゴナドトロピン処置群間の生児出生率の観察された差を、それらが、ベースライン特性または刺激終了時点の変数に起因し得るかどうかを決定するために、両方のプロトコールからの潜在的高応答者のプールされた集団においてさらに分析した。各変数について、処置群および線形予測における問題の変数を含む、ロジスティック回帰モデルをフィッティングした。新鮮処置周期のみが、本データセットに含まれた。
【0127】
5.結果
高AMHカテゴリー対高くないAMHカテゴリー
長期アゴニストプロトコールおよびアンタゴニストプロトコールの両方において、高AMHカテゴリーにおける女性は、高くないAMHカテゴリーにおける女性より、刺激の開始時点において、より若い年齢、より長い月経周期長、より高いAFC、より低いFSH、およびより大きい卵巣体積によって特徴づけられた(各変数についてp≦0.003)。これらの特徴は表1に示されている。
【0128】
【表1-1】
【表1-2】
【0129】
後向き分析により、用いられたプロトコールから独立して、高AMHを有する女性は、刺激の終了時点で、有意に(各変数についてp<0.001)、より高いエストラジオールおよびプロゲステロンの血清中レベル、並びに12mm以上の発育卵胞の数の増加を示すことが明らかにされた。さらに、高AMHを有する女性は、有意に(各変数についてp≦0.003)、より多い卵母細胞の回収、高応答の発生の増加、より高い頻度の早期OHSS、および過剰応答のための治療介入を有した。長期アゴニストプロトコールにおいて、卵巣の過剰応答による周期中止は、高AMHカテゴリーにおける女性の間でより頻繁に起こった(p=0.001)。刺激の終了時点において、2つのAMHカテゴリーの間で、子宮内膜の厚さまたはエコー輝度パターンの臨床的に関連した差は認められなかった。高AMHを有する女性において、有意により多い、3日目における胚(長期アゴニストプロトコール:p=0.029)または5日目における胚盤胞(アンタゴニストプロトコール:p<0.001)が利用可能であったが、最高の質の胚または良い質の胚盤胞を有する女性の割合は、2つのAMHカテゴリーにおいて類似していた。
【0130】
6.高AMHカテゴリーにおけるHP-hMG対rFSH刺激
各プロトコール内において、下記の表2に示されているように、高AMHカテゴリーにおける2つのゴナドトロピン処置群間で、個体群統計学、受胎能歴、および卵巣予備能のマーカーに関して、臨床的に関連する差はなかった。BMIは、rFSH処置された女性において有意により低かったが、臨床的に関連するとは考えられなかった。(しかしながら、より高いBMIが卵巣応答を鈍らせ得ることはあり得る。)刺激の終了時点において、アンタゴニストプロトコールおよび長期アゴニストプロトコール、それぞれにおいて、HP-hMGに関して、より高いエストラジオールレベル(p=0.012)およびより低いプロゲステロンレベル(p<0.001)が観察された。
【0131】
【表2-1】
【表2-2】
【0132】
後向き分析により、HP-hMGは、rFSHと比較して、高AMHを有する女性において、回収された、より少ない卵母細胞数の中央値と関連していることが明らかにされた(長期アゴニストプロトコール:-3 卵母細胞、p=0.007;アンタゴニストプロトコール:-2 卵母細胞、p=0.033)。両方のプロトコールにおいて、高い卵巣応答を有する女性のパーセンテージは、rFSHと比較して、HP-hMGについて有意に低かった(長期アゴニストプロトコール:33%対51%、p=0.025;アンタゴニストプロトコール:31%対49%、p=0.015)(図1A参照)。したがって、高応答のリスクは、HP-hMGで、それぞれ、35%および37%、低下した。いずれのプロトコールにおいても、過剰な応答、早期の中等度/重度OHSSによる周期中止、または過剰な応答のための治療介入に関して、2つのゴナドトロピン群間で明らかな差はなかった。
【0133】
各プロトコール内において、高AMHカテゴリーにおけるHP-hMG群とrFSH群の間で、受精率、移植に利用可能な胚/胚盤胞の数、最高の質の胚/良い質の胚盤胞を有する女性、および移植を受けた女性のパーセンテージは類似していた。しかしながら、両方のプロトコールにおいて、rFSHと比較して、HP-hMGについて、開始された周期あたりの生児出生率の向上についての統計的傾向(p<0.10)が、観察された(図1B参照)。胚移植を受けた女性に制限した場合、HP-hMGとrFSHの間での生児出生率の差は、アンタゴニストプロトコールにおいて統計的に有意(p=0.043)であった。
【0134】
両方のプロトコールからの高AMHを有する女性のデータを統合した場合、HP-hMG処置は、rFSH処置と比較して、有意により低い高応答の発生率(32%(52/163)対49%(89/180)、p<0.001)、開始された周期あたり(34%(55/163)対22%(39/180)、p=0.012)ならびに胚移植周期あたり(41%(55/133)対26%(39/148)、p=0.008)の生児出生率の増加と関連した。ロジスティック回帰分析(下記の表3)は、HP-hMGとrFSHの間での生児出生率の差が、調整された分析において有意(p=0.012)のままであったため、GnRHプロトコールの型によって説明されないことを示した。移植のための最高の質の胚/良い質の胚盤胞の利用可能性と共に、生児出生の可能性が有意に増加したが(p<0.001)、刺激の終了時点におけるプロゲステロンレベルの増加(p=0.042)およびプロゲステロン/エストラジオール比の増加(p=0.042)が、生児出生の可能性を有意に減少させた(下記の表3)。しかしながら、全ての調整された分析において、2つのゴナドトロピン調製物間の差は有意のままであり(p<0.05)、高AMHを有し、かつHP-hMGで刺激された女性におけるより高い生児出生率は、調べられたベースラインと刺激の終了時点の変数における差に起因し得ないことを示した。
【0135】
【表3-1】
【表3-2】
【0136】
これらの結果より、高い卵巣応答(すなわち、15個以上の卵母細胞が回収された)に関する患者の罹患率が、長期GnRHアゴニストプロトコールおよびGnRHアンタゴニストプロトコールのどちらにおいても、高くないAMHカテゴリーの女性においてより、高AMH(≧5.2ng/ml)を有する女性において、およそ3倍、高いことが示されている。高AMHを有する女性は、アンタゴニストプロトコールおよび長期アゴニストプロトコールのどちらにおいても、卵巣の過剰応答を示したが、HP-hMGでの卵巣刺激は、rFSHでの刺激より実質的に低い高応答率と関連した。したがって、過剰な応答が予測される場合の高応答を生じるリスクは、GnRHアンタゴニストプロトコールにおいてさえも、調節卵巣刺激のためにFSHの代わりにHP-hMGを用いることにより、およそ3分の1、低下し得る。
【0137】
いかなる理論によっても縛られるつもりはないが、rFSHと比較して、HP-hMGでのより穏やかな卵巣応答、およびその結果としての、HP-hMGでの過剰応答のリスクの低下は、HP-hMGとrFSHの異なるFSHアイソフォームのプロファイルに少なくとも一部、起因しているかもしれず、そのFSHアイソフォームプロファイルが、ヒトにおけるインビボ生物作用能、およびそれにより、潜在的高応答者の間での高い卵巣応答率に影響するかもしれない。他の寄与因子は、rFSHに存在しない、HP-hMGにより供給されるLH活性、およびHP-hMGのFSH活性に見出される閉経後FSHアイソフォームプロファイルであるかもしれない。
【0138】
母集団全体におけるロジスティック回帰分析は、HP-hMG刺激とrFSH刺激の間での異なる生児出生率を説明するいかなる特定の変数も同定しなかったが、刺激の終了時点でのプロゲステロンレベルおよびプロゲステロン/エストラジオール比、ならびに最高の質の胚/良い質の胚盤胞(形態学的に評価された場合;異数性は評価されなかった)の利用可能性が、生児出生率に影響することを示した。
【0139】
本出願人らは、回収後3日目における卵母細胞/胚の視覚的評価[例えば、Ziebeら、Human Reproduction 22(9)2404~13(2007)参照]が異数性のいかなる指標も与えないことを見出している。実際、本出願人らは、(3日目における視覚的評価に基づいた)「一番良い見た目」の卵母細胞/胚が、(染色体分析/遺伝子スクリーニング後、)異数体であることが見出され、失敗の結果をもたらすことはまれではないこと見出している。したがって、卵母細胞/胚の視覚的評価の重視を減らすために、正倍数体胚盤胞を発生させる見込みを高める(異数体胚盤胞の割合/パーセンテージを減少させる)技術の必要性がある。
【0140】
結果のさらなる分析により、調節卵巣刺激のためのHP-hMGの使用が、卵母細胞の質の向上に直接的な効果を生じて、異数性率を低下させ得ることが本発明者らに示唆され、プロゲステロン、プロゲステロン/エストラジオール比、および胚の質が、高い血清中AMHレベルに基づいた過剰応答のリスクがある患者において、処置成績に役割を果たすことが示されている。
【0141】
[実施例2]前向き臨床試験
高応答者対象集団における強制的単一胚盤胞移植に関して、GnRHアンタゴニスト周期におけるHP-hMGとrFSHを比較する、無作為化の、評価者盲検〔assessor-blind〕第IV相臨床試験を、米国で計画している。この研究の目的は、IVF/ICSI処置を受ける潜在的高応答者において、継続妊娠率(OPR)に関して、HP-hMGが、rFSHより少なくとも劣らないことを実証することである。対象は、Beckman Coulter-DSLアッセイ(Chaska、MN)からの材料および試薬を利用する単一の参照試験所(ReproSource,Inc.、Woburn、MA)を用いて、Arceら、Fertility and Sterility 99:1644~53(2013)に記載されているようなBeckmann-Coulter Gen 2アッセイによるAMHの血清中レベル≧5.0ng/ml(例えば、≧5.2ng/ml)に基づいた、潜在的な高い卵巣応答者として前向きに分類される。
【0142】
第IV相、無作為化、オープンラベル、評価者盲検、並行群、多施設研究が、米国において、およそ25~30箇所の不妊症センターで行われる。およそ600人の女性が登録される。対象は、21~35日間、さらに45日間まで(21~45日間)の規則的な排卵性月経周期、18~32kg/mまたは18~30kg/mの間の肥満度指数(BMI)、1年以上の間の原因不明または軽度の男性因子不妊症を有し、研究者によればICSIに適格であり、AMH≧5.0ng/ml(例えば、≧5.2ng/ml)を有する、21歳から36歳までであることを予定している。追加の組み入れ基準は、両卵巣において合計したAFC≧10、≧15、≧18、または≧20を有することであり得る。主要な除外基準には、子宮内膜症I~IV、重度男性因子不妊症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、および以前の、COS周期に対する不良な応答を挙げられる。追加の除外基準は、両卵巣において合計したAFC<8または<10を有することであり得る。
【0143】
基本的なプロトコールは、図2に概要が示されている。任意選択で、その前の月経周期に開始される混合型経口避妊薬(COCP)を、最長21日間、継続する。対象は、GnRHアンタゴニスト周期においてHP-hMGかまたはrFSHのいずれかでのCOSを受けるのに1:1に無作為化される。COCPを中止した後、ゴナドトロピン(HP-hMGかまたはrFSHのいずれか)を、消退出血の3日目であるが、COCPの中止後5日目になるとすぐに、開始する。ゴナドトロピン用量は、最初の5日間、150IUで開始される。刺激の6日目以後、TVUSによって評価される卵胞応答に基づいて、投薬は、必要に応じて毎日、調整あたり75IUずつ、調整することができる。しかしながら、最高ゴナドトロピン用量は、300IU/日である;ゴナドトロピン投薬は、最長20日間、継続することができる。コースティング法〔coasting〕は禁止される。
【0144】
主席卵胞の直径が14mmより長い場合、GnRHアンタゴニスト(ガニレリクス酢酸塩)を、0.25mgの一日量で開始し、ゴナドトロピン処置期間を通して継続する。TVUSで直径17mm以上の3個の卵胞が観察されるとすぐに、最終の卵胞成熟を誘導するために250μg hCG(絨毛性ゴナドトロピンアルファ)の単回注射を投与する。対象が、25個より多い卵胞を有する場合には、彼女はGnRHアゴニストのトリガーを受け、全ての生じた胚盤胞を、栄養外胚葉生検後、ガラス化し、OHSSのリスクを減少させるために新鮮な胚移植を行わない。
【0145】
卵母細胞回収は、hCG投与からおおよそ36時間後に行う。回収から4±1時間後、ICSIによりパートナーの精子を用いて卵母細胞を授精させる。卵母細胞、胚、および胚盤胞の質を、卵母細胞回収後5日間、毎日、評価する。ICSI後5日目、利用可能な最良の質の単一の胚盤胞を移植する;全ての残りの胚盤胞を、ガラス化法を用いて凍結する。
【0146】
着床前遺伝子スクリーニング(PGS)のための栄養外胚葉(TE)生検を、任意選択で次世代シーケンシング(NGS)テクノロジーを用いて、拡張した胚盤胞の5日目または6日目にレーザーで行うが、結果は、新鮮移植のための胚盤胞の選択を決定するためには用いない。
【0147】
卵母細胞回収の翌日、黄体期サポートのためにプロゲステロン腟挿入剤(100mg、1日2回 - Endometrin(登録商標);Ferring)を開始し、β-hCG検査の日(胚盤胞/胚移植から10~15日後)まで継続する。黄体サポートは、継続妊娠が確認されるまで継続され得る。
【0148】
生化学的妊娠は、胚盤胞移植からおよそ2週間後、β-hCG陽性によって確認される。臨床妊娠は、妊娠5~6週目における、胎児心拍と共に、少なくとも1つの子宮内胎嚢を示すTVUSによって確認される。継続妊娠は、妊娠10~11週目における少なくとも1つの子宮内生存胎児によって確認される。
【0149】
新鮮周期において継続妊娠がない対象について、各対象の処置の開始時点から1年以内に単一の凍結胚盤胞移植を始めることができる。PGS結果を用いて、凍結移植のための正倍数体胚盤胞を選択する。胚盤胞移植情報、β-hCG検査、臨床妊娠、および継続妊娠を含む、凍結融解胚移植周期データを収集する。
【0150】
試験後のフォローアップは、出産情報(生児出生および新生児の健康)の収集を含み、その情報は、新鮮周期、または無作為化から1年の凍結融解胚移植周期において、継続妊娠を有する全対象について収集される。新鮮周期後の生児出生率、ならびに新鮮周期および無作為化から1年の凍結融解胚移植周期後の累積生児出生率は、試験後フォローアップの一部として評価される。
【0151】
用いられるHP-hMGは、粉末(75IU FSH活性および75IU LH活性)を含むバイアルおよび(それぞれ、1.1mLを含有する)溶媒を含む2つのプレフィルドシリンジとして提供される、Menopurである。再構成後、各バイアルは、75IUのFSH活性および75IUのLH活性を与える。
【0152】
用いられるFSHは、ペンおよび注射用の1.08mLあたり300IU、450IU、または900IUのいずれかのFSH活性を有する溶液で充填されたカートリッジとして提供される、組換えFSH(GONAL-F)である。
【0153】
用いられる他の薬物は以下である:
・0.25mgガニレリクスを与えるプレフィルドシリンジ(0.5mL)として提供される、Merckにより製造された、ガニレリクス酢酸塩注射剤。0.25mgの一日量が、ゴナドトロピン処置期間を通して継続される。
・直径17mm以上の3個の卵胞がTVUSにおいて観察されるとすぐに、単回注射として投与される、250μg絨毛性ゴナドトロピンアルファを与えるプレフィルドシリンジ(0.5mL)として提供される、EMD Seronoにより製造された、Ovidrel(絨毛性ゴナドトロピンアルファ)。
・Ferringにより製造されたEndometrin(プロゲステロン)は、1日2回、腟内に投与されるカプセルとして提供され、それぞれ100mgのプロゲステロン(200mg/日)を与える。
【0154】
プライマリーエンドポイントは、妊娠10~11週目において検出可能な胎児心拍がある生存胎児を有する、少なくとも1つの子宮内妊娠の存在として定義される継続妊娠率である。セカンダリーエンドポイントは以下を含む。
・生化学的妊娠率(β-hCG陽性)
・臨床妊娠率(経腟超音波検査が、妊娠5~6週目において胎児心拍を有する、少なくとも1つの子宮内胎嚢を示す)
・初期妊娠損失(β-hCG検査結果が2回陽性であるが、新鮮周期において妊娠10~11週目に継続妊娠がないこととして定義される)
・生児出生率
・TVUS、卵胞レベル(卵胞の総数、9mm以下、10~11mm、12~14mm、15~16mm、および17mm以上の卵胞の数)、および対象レベル(最大卵胞サイズ、平均卵胞サイズ、3個の最大卵胞の平均サイズ、ならびに17mm以上、15mm以上、および12mm以上の卵胞の平均数)により評価される場合の卵胞発育
・内分泌プロフィール(血清中エストラジオール[E2]、プロゲステロン[P4]、hCG、LH)
・回収された卵母細胞、受精率、および胚の質
【0155】
回収された卵母細胞の数、減数第二分裂中期卵母細胞の数、および正常に受精した(2PN)卵母細胞の数は、度数分布および各処置群についての記述統計学により要約される。
【0156】
卵母細胞成熟度段階は、ICSIを受ける前に評価される。成熟度段階は、卵核胞、減数第一分裂中期、減数第二分裂中期、退行、またはその他として分類される。
【0157】
受精率は、各対象についてのパーセンテージとして表され、回収された卵母細胞の数に対する受精した2PN卵母細胞の数の比率の100倍として計算される。
【0158】
卵母細胞回収から3日後の胚の質を、卵割期、卵割球均一性、細胞サイズ、フラグメンテーションの度合、および多核細胞化の視覚的徴候により評価する。
【0159】
卵母細胞回収から5日後の胚盤胞の質を、胚盤胞拡張および孵化状態、胚盤胞内部細胞塊グレード評価、ならびに栄養外胚葉グレード評価により評価する。胚盤胞レベルにおいて各処置群について、度数分布が提供される。対象レベルにおける、卵母細胞回収から5日後の最良の質の胚盤胞は、記述統計学を用いて、処置により別々に、優秀な質の胚盤胞および良い質の胚盤胞について要約される。
・異数性率
異数性率は、各対象についてのパーセンテージとして表され、胚盤胞の総数に対する異数体胚盤胞の数の比率の100倍として計算される。異数体胚盤胞の数は、例えば上記の方法(例えば、PGS、CCSなどの染色体分析)により、決定され得る。
・TVUSによる子宮内膜評価
子宮内膜の厚さおよびエコー輝度パターンは、刺激の6日目、刺激の最終日、および新鮮周期における胚盤胞移植の時点において、各処置群について、それぞれに見合った、度数分布および記述統計学により要約される。
【0160】
胚および胚盤胞の検査
3日目における胚の数および質
各胚を、授精後3日目に評価する。質の評価は、卵割期および胚の形態学的パラメータ(卵割球均一性、細胞サイズ、フラグメンテーションの度合、および多核細胞化の視覚的徴候)の評価からなる。
卵割期は、卵割球の数によって定義される。
卵割球均一性は、同じサイズの卵割球、またはサイズが同じではない卵割球(最小卵割球と比較して平均直径が25%より長い、最大卵割球)として分類される。
細胞サイズは、期に特異的な細胞サイズ、または期に特異的ではない細胞サイズとして分類される。
フラグメンテーションの度合は、以下のうちの1つとして分類される:0%、1~10%、11~20%、21~25%、26~30%、31~50%、もしくは50%超のフラグメンテーション、または全体的にフラグメンテーションされている(認識される卵割球がない)。
多核細胞化の視覚的徴候は、「はい」、または「いいえ」として評価される。
【0161】
5日目における胚盤胞の数および質
胚盤胞拡張および孵化状態、胚盤胞内部細胞塊グレード評価、ならびに栄養外胚葉グレード評価
卵母細胞回収後5日目における胚盤胞の質の評価は、3つのパラメータの評価:胚盤胞拡張および孵化状態、胚盤胞内部細胞塊グレード評価、ならびに栄養外胚葉グレード評価からなる。そのスコアリングは、内部細胞塊および栄養外胚葉についてのD-カテゴリーを加えた、Gardner & Schoolcraft、1999[Gardner DK、Schoolcraft WB.In vitro culture of human blastocysts.Towards reproductive certainty(Jansen R & Mortimer D編)。The plenary proceedings of the 11th world congress on in vitro fertilization and human reproductive genetics.The Parthenon Publishing Group.1999.378~88]による分類システムに基づいている。
【0162】
胚盤胞拡張および孵化状態は、以下のうちの1つとして評価される。
1:初期胚盤胞、胞胚腔が胚の体積の半分未満の体積である
2:体積が胚の体積の半分、または半分より大きい胞胚腔を有する胚盤胞
3:胞胚腔が胚を完全に満たしている、胚盤胞
4:胞胚腔体積が初期胚の体積より大きく、薄くなった帯を有する、拡張胚盤胞
5:栄養外胚葉が帯を通って脱出し始めている、孵化中胚盤胞
6:胚盤胞が帯から完全に抜け出している、孵化後胚盤胞
【0163】
拡張および孵化状態3~6を有する胚盤胞について、胚盤胞内部細胞塊グレード評価および栄養外胚葉グレード評価が評価される。
胚盤胞内部細胞塊グレード評価は、以下のうちの1つとして評価される。
A:密集した、多数の細胞
B:緩く群れをなす、数個の細胞
C:非常に少ない細胞
D:退行した内部細胞塊、または内部細胞塊がない
栄養外胚葉グレード評価は、以下のうちの1つとして評価される。
A:粘着性上皮を形成する多数の細胞
B:緩い上皮を形成する少数の細胞
C:非常に数が少なく、大きい細胞
D:退行した、または非常に大きい細胞
【0164】
拡張および孵化状態3~6を有する胚盤胞は、3つのパラメータ(胚盤胞拡張および孵化状態、内部細胞塊、ならびに栄養外胚葉)を組み合わせたスコアを有する;例えば、胚盤胞拡張および孵化状態4、内部細胞塊グレード評価A、ならびに栄養外胚葉グレード評価Bについては4AB。
【0165】
5日目における全体的な胚盤胞の質
5日目における全体的な胚盤胞の質は、胚盤胞拡張および孵化状態、内部細胞塊グレード評価、ならびに栄養外胚葉グレード評価に基づいている。
【0166】
優秀な質の胚盤胞は、胚盤胞拡張および孵化状態4、5、または6、内部細胞塊グレード評価A、ならびに栄養外胚葉グレード評価AまたはBを有するものとして定義される。5日目における優秀な質の胚盤胞の数およびパーセンテージはセカンダリーエンドポイントである。これは、授精後5日目の評価の最良の全体的な質のスコアに基づいている。
【0167】
良い質の胚盤胞は、胚盤胞拡張および孵化状態3、4、5、または6、内部細胞塊グレード評価AまたはB、ならびに栄養外胚葉グレード評価AまたはBを有するものとして定義される。5日目における良い質の胚盤胞の数およびパーセンテージは、最良の全体的な質のスコアに基づいている。
【0168】
5日目における優秀な質の胚盤胞および良い質の胚盤胞の数およびパーセンテージが計算される。5日目の形態に基づいた最良の胚盤胞が移植される。
【0169】
桑実胚における緊密化評価
5日目において胚盤胞期に達していないが、桑実胚である胚もまた、評価する。桑実胚は、以下の3つの選択肢のうちの1つとして分類される。
緊密化している:完全な緊密化。しっかりと緊密化した細胞。個々の細胞膜はもはや目に見えない。
緊密化中:初期。細胞は区別することができる。
異常な緊密化:局所的または部分的緊密化、または少数の細胞(<8)が緊密化している。
5日目の桑実胚は、医療の研究者/サイトの基準により、培養の延長が考慮され得る。
6日目の胚は、その後、栄養外胚葉生検およびガラス化を受けることができる、または廃棄することができる。6日目の胚の質は、上記の方法と類似した方法で評価されて、eCRF上に記録されるべきである。
【0170】
試験後のエンドポイントは以下を含む:
新鮮および凍結胚盤胞移植についての累積生児出生率(妊娠21週目を超す、少なくとも1つの実行可能な生児出生を有する対象の割合として定義される);
新鮮な胚盤胞移植についての生児出生率(妊娠21週目を超す、少なくとも1つの実行可能な生児出生を有する対象の割合として定義される);
凍結胚盤胞移植における初期妊娠損失率は、β-hCG検査結果が2回陽性であるが、凍結周期における妊娠10~11週目での継続妊娠なしとして定義される;
後期妊娠損失率(継続妊娠が確認されたが、妊娠21週目を超える、実行可能な生児出生がないこととして定義される);ならびに
凍結胚盤胞移植についてのβ-hCG陽性率、臨床妊娠率、および継続妊娠率。
【0171】
本発明者らは、この研究が、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性のHP-hMGでの刺激が、ゴナドトロピンとして組換え卵胞刺激ホルモン(rFSH)を用いる同様の方法と比較して、胚の質を向上させ、正倍数体胚盤胞の割合を増加させ、異数体胚盤胞の割合を減少させ、異数性率を減少させ、継続妊娠率を増加させ、および/または生児出生率を増加させることを示すだろうと考えている。例えば、本発明者らは、この研究が、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性のHP-hMGでの刺激が、ゴナドトロピンとしてrFSHを用いる同様の方法と比較して、より少ない卵子であるが、より高い割合の正倍数体胚盤胞を生じることを示すだろうと考えている。さらに、本発明者らは、この研究が、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性のHP-hMGでの刺激が、ゴナドトロピンとしてrFSHを用いる同様の方法と比較して、より少ない卵子であるが、より低い異数性率を生じることを示すだろうと考えている。
【0172】
以下の番号が付された項により定義された方法は、上記に開示されている。
1.Beckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上(例えば、5.2±0.5ng/ml以上)の血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル、または異なる方法により測定された同等のAMHレベルを有する、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性を選択すること;および
選択された女性に、卵胞発育を刺激するのに有効な量の高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を投与すること
を含む、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性において、調節卵巣刺激後の体外受精により産生される胚の質を向上させるための方法。
2.調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがあるとして選択された女性に、卵胞発育を刺激するのに有効な量の高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を投与することを含み、ここで、その選択された女性は、Beckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上(例えば、5.2±0.5ng/ml以上)の血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル、または異なる方法により測定された同等のAMHレベルを有する、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性において、調節卵巣刺激後の体外受精により産生される胚の質を向上させるための方法。
3.Beckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上(例えば、5.2±0.5ng/ml以上)の血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル、または異なる方法により測定された同等のAMHレベルを有する、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性を選択すること;および
選択された女性に、卵胞発育を刺激するのに有効な量の高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を投与すること
を含む、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性において、調節卵巣刺激後の体外受精により産生される正倍数体胚盤胞の割合を増加させるための方法。
4.調節卵巣刺激に対する高応答のリスクがあるとして選択された女性に、卵胞発育を刺激するのに有効な量の高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を投与することを含み、ここで、その選択された女性は、Beckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上(例えば、5.2±0.5ng/ml以上)の血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル、または異なる方法により測定された同等のAMHレベルを有する、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性において、調節卵巣刺激後の体外受精により産生される正倍数体胚盤胞のパーセンテージを増加させるための方法。
5.Beckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、(i)5.0±0.5ng/ml以上(例えば、5.2±0.5ng/ml以上)の血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル、または異なる方法により測定された同等のAMHレベルを有する、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性を選択すること;および
選択された女性に、卵胞発育を刺激するのに有効な量の高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を投与すること
を含む、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性において、不妊症を処置するための方法。
6.調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがあるとして選択された女性に、卵胞発育を刺激するのに有効な量の高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を投与することを含み、ここで、その選択された女性が、Beckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上(例えば、5.2±0.5ng/ml以上)の血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル、または異なる方法により測定された同等のAMHレベルを有する、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性において、不妊症を処置するための方法。
7.Beckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上(例えば、5.2±0.5ng/ml以上)の血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル、または異なる方法により測定された同等のAMHレベルを有する、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性を選択すること;および
選択された女性に、卵胞発育を刺激するのに有効な量の高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を投与すること
を含む、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性において、調節卵巣刺激をもたらすための方法。
8.調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがあるとして選択された女性に、卵胞発育を刺激するのに有効な量の高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を投与することを含み、ここで、その選択された女性が、Beckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上(例えば、5.2±0.5ng/ml以上)の血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル、または異なる方法により測定された同等のAMHレベルを有する、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性において、調節卵巣刺激をもたらすための方法。
9.Beckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上(例えば、5.2±0.5ng/ml以上)の血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル、または異なる方法により測定された同等のAMHレベルを有する、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性を選択すること;および
選択された女性に、卵胞発育を刺激するのに有効な量の高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を投与すること
を含む、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性において、継続妊娠率を増加させるための方法。
10.調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがあるとして選択された女性に、卵胞発育を刺激するのに有効な量の高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を投与することを含み、ここで、その選択された女性が、Beckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上(例えば、5.2±0.5ng/ml以上)の血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル、または異なる方法により測定された同等のAMHレベルを有する、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性において、継続妊娠率を増加させるための方法。
11.Beckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上(例えば、5.2±0.5ng/ml以上)の血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル、または異なる方法により測定された同等のAMHレベルを有する、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性を選択すること;および
選択された女性に、卵胞発育を刺激するのに有効な量の高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を投与すること
を含む、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性において、生児出生率を増加させるための方法。
12.調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがあるとして選択された女性に、卵胞発育を刺激するのに有効な量の高度に精製されたメノトロピン(HP-hMG)を投与することを含み、ここで、その選択された女性が、Beckmann-Coulter Gen 2アッセイを用いて測定される場合、5.0±0.5ng/ml以上(例えば、5.2±0.5ng/ml以上)の血清中抗ミュラー管ホルモン(AMH)レベル、または異なる方法により測定された同等のAMHレベルを有する、調節卵巣刺激に対する高い卵巣応答のリスクがある女性において、生児出生率を増加させるための方法。
13.女性が、刺激前に、両卵巣における合計で10以上の胞状卵胞数(AFC)を有する、前の項のいずれか一項に記載の方法。
14.女性が、刺激前に、両卵巣における合計で15以上の胞状卵胞数(AFC)を有する、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
15.ゴナドトロピンとして組換え卵胞刺激ホルモン(rFSH)を用いる同様の方法と比較して、正倍数体胚盤胞の割合の増加を生じる、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
16.継続妊娠率の増加を生じる、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
17.生児出生率の増加を生じる、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
18.投与されるHP-hMGの量が、約1日間~約20日間、1日あたり75~300IUである、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
19.投与されるHP-hMGの量が、約1日間~約20日間、1日あたり75~200IUである、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
20.HP-hMGが少なくとも5日間投与される、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
21.ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストを投与することをさらに含む、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
22.GnRHアンタゴニストを投与することをさらに含む、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
23.排卵を誘発するのに有効な量のhCGを投与することをさらに含む、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
24.女性から卵母細胞を採取することをさらに含む、項23に記載の方法。
25.採取された卵母細胞の体外受精をさらに含む、項25に記載の方法。
26.体外受精が卵細胞質内精子注入(ICSI)を含む、項25に記載の方法。
27.女性から採取された卵母細胞の体外受精後、女性から得られた胚盤胞の染色体の質を評価することをさらに含む、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
28.正倍数体胚盤胞であると決定された胚盤胞の胚盤胞移植をさらに含む、項27に記載の方法。
29.移植が新鮮移植である、項28に記載の方法。
30.正倍数体胚盤胞であると決定された胚盤胞を凍結することをさらに含む、項27に記載の方法。
図1
図2