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7163028CD3反応性に基づくT細胞リクルートポリペプチド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】CD3反応性に基づくT細胞リクルートポリペプチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20221024BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221024BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221024BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221024BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20221024BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221024BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20221024BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221024BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20221024BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20221024BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61P37/02
C07K16/18
C07K16/28
C07K16/30
C07K16/46
C12N5/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2017559449
(86)(22)【出願日】2016-05-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2016060919
(87)【国際公開番号】W WO2016180982
(87)【国際公開日】2016-11-17
【審査請求日】2018-01-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】62/160,794
(32)【優先日】2015-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505166225
【氏名又は名称】アブリンクス エン.ヴェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ルーブルック,アンリース
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ホーリック,ダイアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィエイラ,ジョアン
【合議体】
【審判長】福井 悟
【審判官】長井 啓子
【審判官】宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-500879(JP,A)
【文献】特表2008-523783(JP,A)
【文献】特表2015-509951(JP,A)
【文献】Postepy Hig Med Dosw,vol.66,pp.348-358(2012)
【文献】BioTechniques,vol.40,pp.199-207(2006)
【文献】Immunol.Lett., vol.76,pp.25-30(2001)
【文献】mAbs,vol.6, pp.95-107(2014)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00 - 15/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)を含む、ポリペプチドであって、
前記第1ISVが、T細胞上に存在する表面抗原分類3(CD3)に結合し、
前記第2ISVが、ターゲット細胞上の第1抗原に結合し、
ここで、前記第1抗原が、前記CD3とは異なり、そして
ここで、前記ターゲット細胞が、前記T細胞とは異なり、そして
前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とからなり、ここで、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81~87、及び
(b)配列番号:81のアミノ酸配列に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、前記アミノ酸差は、次の5つの位置の5つの置換の中から選択され、かつ
-位置1で、GがRに置換されており;及び/又は
-位置3で、TがAに置換されており;及び/又は
-位置4で、YがFに置換されており;及び/又は
-位置8で、SがGに置換されており;及び/又は
-位置10で、GがAに置換されている;前記アミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:101~109、及び
(d)配列番号:101のアミノ酸配列に対して、1、2又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、前記アミノ酸差は、次の4つの位置の4つの置換の中から選択され、かつ
-位置3で、VがT又はAに置換されており;及び/又は
-位置5で、SがTに置換されており;及び/又は
-位置6で、GがD又はEに置換されており;及び/又は
-位置9で、TがS、A又はPに置換されている;前記アミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:123~127、及び
(f)配列番号:123のアミノ酸配列に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、前記アミノ酸差は、次の3つの位置の3つの置換の中から選択され、かつ
-位置2で、IがTに置換されており;及び/又は
-位置9で、IがVに置換されており;及び/又は
-位置10で、AがPに置換されている;前記アミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチド。
【請求項2】
ターゲット細胞上の前記第1抗原が、腫瘍抗原である、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
腫瘍抗原が、腫瘍関連抗原(TAA)である、請求項2記載のポリペプチド。
【請求項4】
第3ISVを更に含み、同第3ISVが、ターゲット細胞上の第2抗原に結合し、ここで、前記第2抗原が、前記第1抗原とは異なる、請求項1~3のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項5】
ターゲット細胞上の前記第2抗原が、腫瘍抗原である、請求項4記載のポリペプチド。
【請求項6】
腫瘍抗原が、腫瘍関連抗原(TAA)である、請求項5記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記TAAが、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、上皮成長因子レセプター(EGFR)、MART-1、ガン胎児性抗原(CEA)、gp100、MAGE-1、HER-2、ルイスY抗原、CD123、CD44、CLL-1、CD96、CD47、CD32、CXCR4、Tim-3、CD25、TAG-72、Ep-CAM、PSMA、PSA、GD2、GD3、CD5、CD19、CD20、CD22、CD33、CD36、CD45、CD52、CD147、ErbB3及びErbB4を含む成長因子レセプター、インターロイキン-2レセプターのガンマ鎖(CD132抗原)、インターロイキン-10レセプターのアルファ鎖(IL-10R-A)、インターロイキン-10レセプターのベータ鎖(IL-10R-B)、インターロイキン-12レセプターのベータ-1鎖(IL-12R-ベータ1)、インターロイキン-12レセプターのベータ-2鎖(IL-12レセプターのベータ-2)、インターロイキン-13レセプターのアルファ-1鎖(IL-13R-アルファ-1)(CD213a1抗原)、インターロイキン-13レセプターのアルファ-2鎖(インターロイキン-13結合タンパク質)、インターロイキン-17レセプター(IL-17レセプター)、インターロイキン-17Bレセプター(IL-17Bレセプター)、インターロイキン21レセプター前駆体(IL-21R)、インターロイキン-1レセプターI型(IL-1R-1)(CD121a)、インターロイキン-1レセプターII型(IL-1R-ベータ)(CDw121b)、インターロイキン-1レセプターのアンタゴニストタンパク質(IL-1ra)、インターロイキン-2レセプターのアルファ鎖(CD25抗原)、インターロイキン-2レセプターのベータ鎖(CD122抗原)、インターロイキン-3レセプターのアルファ鎖(IL-3R-アルファ)(CD123抗原)を含むサイトカインレセプター、CD30、IL23R、IGF-1R、IL5R、IgE、CD248(エンドシアリン)、CD44v6、gpA33、Ron、Trop2、PSCA、クラウディン6、クラウディン18.2、CLEC12A、CD38、ephA2、c-Met、CD56、MUC16、EGFRvIII、AGS-16、CD27L、ネクチン-4、SLITRK6、メソセリン、葉酸レセプター、組織因子、axl、グリピカン-3、CA9、Cripto、CD138、CD37、MUC1、CD70、ガストリン放出ペプチドレセプター、PAP、CEACAM5、CEACAM6、CXCR7、N-カドヘリン、FXYD2ガンマa、CD21、CD133、Na/K-ATPase、mIgM(膜結合IgM)、mIgA(膜結合IgA)、Mer、Tyro2、CD120、CD95、CA195、DR5、DR6、DcR3、及びCAIX、及び関連する多形変異体及びアイソフォームからなる群より独立して選択される、請求項3又は6記載のポリペプチド。
【請求項8】
血清タンパク質結合部分を更に含む、請求項1~7のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記血清タンパク質結合部分が、血清アルブミンに結合するISVである、請求項8記載のポリペプチド。
【請求項10】
CD3に特異的に結合し、かつ4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とを含むか、又は、これらからなる、免疫グロブリン単一可変ドメインであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81~87、又は
(b)配列番号:81のアミノ酸配列に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、前記アミノ酸差は、次の5つの位置の5つの置換の中から選択され、かつ
-位置1で、GがRに置換されており;及び/又は
-位置3で、TがAに置換されており;及び/又は
-位置4で、YがFに置換されており;及び/又は
-位置8で、SがGに置換されており;及び/又は
-位置10で、GがAに置換されている;前記アミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:101~109、又は
(d)配列番号:101のアミノ酸配列に対して、1、2又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、前記アミノ酸差は、次の4つの位置の4つの置換の中から選択され、かつ
-位置3で、VがT又はAに置換されており;及び/又は
-位置5で、SがTに置換されており;及び/又は
-位置6で、GがD又はEに置換されており;及び/又は
-位置9で、TがS、A又はPに置換されている;前記アミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:123~127、又は
(f)配列番号:123のアミノ酸配列に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、前記アミノ酸差は、次の3つの位置の3つの置換の中から選択され、かつ
-位置2で、IがTに置換されており;及び/又は
-位置9で、IがVに置換されており;及び/又は
-位置10で、AがPに置換されている;前記アミノ酸配列
からなる群より選択される、免疫グロブリン単一可変ドメイン
【請求項11】
血清タンパク質結合部分を更に含む、請求項10記載の免疫グロブリン単一可変ドメイン
【請求項12】
前記血清タンパク質結合部分が、血清アルブミンに結合するISVである、請求項11記載の免疫グロブリン単一可変ドメイン
【請求項13】
請求項1~のいずれか一項で定義されたポリペプチド又は請求項10~12のいずれか一項で定義された免疫グロブリン単一可変ドメインをコードする、核酸、又は該核酸を含む、ベクター。
【請求項14】
請求項13で定義された核酸、又はベクターにより形質転換され、又は、トランスフェクションされた、宿主細胞。
【請求項15】
請求項14で定義されたホスト細胞を、請求項1~のいずれか一項で定義されたポリペプチド又は請求項10~12のいずれか一項で定義された免疫グロブリン単一可変ドメインの発現を可能にする条件下において培養することと、生成されたポリペプチド又は免疫グロブリン単一可変ドメインを、培養物から収集することとを含む、請求項1~のいずれか一項記載のポリペプチド又は請求項10~12のいずれか一項で定義された免疫グロブリン単一可変ドメインを製造するための方法。
【請求項16】
増殖性疾患及び感染性疾患からなる群より選択される疾患の予防、治療、又は緩和のための、請求項1~のいずれか一項記載のポリペプチド又は請求項10~12のいずれか一項で定義された免疫グロブリン単一可変ドメインを含む、医薬組成物。
【請求項17】
増殖性疾患及び感染性疾患からなる群より選択される疾患の、予防、治療、又は緩和に使用するための、請求項1~のいずれか一項記載のポリペプチド又は請求項10~12のいずれか一項で定義された免疫グロブリン単一可変ドメイン
【請求項18】
前記増殖性疾患が、ガンである、請求項17記載の使用のためのポリペプチド又は免疫グロブリン単一可変ドメイン
【請求項19】
前記ガンが、ガン腫、神経膠腫、中皮腫、メラノーマ、リンパ腫、白血病、腺ガン、乳ガン、卵巣ガン、子宮頚ガン、神経膠芽腫、多発性骨髄腫(意義不明の単一クローン性免疫グロブリン血症、無症候性及び症候性骨髄腫を含む)、前立腺ガン、及びバーキットリンパ腫、頭頚部ガン、結腸ガン、結腸直腸ガン、非小細胞肺ガン、小細胞肺ガン、食道ガン、胃ガン、膵臓ガン、肝胆道ガン、胆嚢ガン、小腸ガン、直腸ガン、腎臓ガン、膀胱ガン、前立腺ガン、陰茎ガン、尿道ガン、精巣ガン、膣ガン、子宮ガン、甲状腺ガン、副甲状腺ガン、副腎ガン、膵内分泌ガン、カルチノイドガン、骨ガン、皮膚ガン、網膜芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病、又はAIDS関連原発性浸出性リンパ腫、神経外胚葉性腫瘍、横紋筋肉腫、ならびに、上記ガンのいずれかの任意の転移からなる群より選択される、請求項18記載の使用のためのポリペプチド又は免疫グロブリン単一可変ドメイン
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、T細胞上のCD3と、ターゲット細胞上の少なくとも1つの抗原とに結合する、多重特異性T細胞リクルートポリペプチドを提供する。また、本発明は、これらの多重特異性ポリペプチドに使用するための、一価のT細胞リクルートポリペプチドに関する。また、本発明は、処置のための方法及びそれを提供するキットも提供する。
【0002】
[背景]
ガンは、世界中で、非常に多くのヒトを死に至らしめている。近年、ガンは、世界中の死亡の主因であり、続いて、心疾患及び脳卒中である。ガンは、中でも、世界中の疾病及び死亡の主因であると考えられ、2012年において、約1400万人の新たな症例と、820万人のガン関連死を伴っている。新たな症例数は、今後20年にわたって、約70%増大すると予測されている(出典:WHO Cancer)。世界中のガンによる早期死亡及び障害の経済的影響の合計は、2008年において、約9000億ドルであった。これは、世界の国内総生産の1.5%を占める。
【0003】
固体腫瘍の利用可能な処置計画は、典型的には、外科的切除、化学療法、及び放射線療法の組み合わせを含む。40年の臨床経験において、特に、進行期のガンにおいて、ほとんど進歩していない。
【0004】
ガンに対抗する新たな治療が、待ちわびられている。
【0005】
現在、抗体治療は、疾患、特に、ガンと戦うための、医師の医療道具の重要な一部である。モノクローナル抗体は、既に数年間、一定範囲の疾患のための重要な治療的アプローチとして確立されてきた。同時期に認可された抗体治療は全て、単特異性モノクローナル抗体(mAb)による。今日まで、mAbの大部分のターゲットは、アゴニスト性又はアンタゴニスト性アプローチのいずれかを必要とする。細胞表面抗原自体をターゲッティングすることは、アポトーシスの誘引により抗腫瘍活性を媒介することができるが、悪性血液疾患に対する大部分のmAbに基づく活性は、Fc媒介性エフェクター機能、例えば、補体依存性細胞傷害(CDC)及び抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)のいずれかによる。
【0006】
免疫療法は、ガン研究の急速に成長している領域として現れてきた。免疫療法は、身体の免疫監視系、及び特に、T細胞を、ガン細胞に向かわせる。
【0007】
細胞傷害性T細胞(CTL)は、ガン細胞、(特にウイルスに)感染した細胞、又は、他の方法で傷を負った細胞を殺傷するTリンパ球である。Tリンパ球(又はT細胞)は、細胞表面上に、T細胞レセプター又はTCR分子及びCD3レセプターを発現する。αβ TCR-CD3複合体(又は「TCR複合体」)は、6種類のI型1回貫通型膜タンパク質:リガンド認識を担うTCRヘテロ二量体を形成するTCRα及びTCRβ鎖、ならびに、非共有的に会合したCD3γ、CD3δ、CD3ε、及びζ鎖から構成される。これらは、レセプター活性化時にリン酸化される細胞質配列モチーフを有し、大量のシグナル伝達成分をリクルートする(Call et al. 2004, Molecular Immunology 40: 1295-1305)。
【0008】
T細胞レセプターのα及びβの両鎖は、定常ドメインと可変ドメインとからなる。生理学的に、T細胞レセプターのαβ鎖は、ペプチドロードMHC複合体を認識し、CD3鎖への結合時に結合する。その後、これらのCD3鎖は、結合シグナルを細胞内環境に伝達する。
【0009】
細胞溶解を媒介する天然の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の能力を考慮して、種々の戦略が、腫瘍細胞殺傷を媒介するCTLをリクルートするのに調査されてきた。Tリンパ球は、Fcレセプターの発現を欠いているため、抗腫瘍モノクローナル抗体のFcテイルによっては、腫瘍部位にリクルートされない。代替手段として、患者のT細胞が、規定された腫瘍抗原に対する公知の特異性の第2TCRを有するように改変された。この養子細胞移植は、本質的に、非常に個別化され、多大な労力を必要とする。しかしながら、T細胞治療の主な問題は依然として、ガン患者に生じることが知られている数多くの免疫逃避メカニズムである(Nagorsen et al. 2012, Pharmacology & Therapeutics 136: 334-342)。
【0010】
MHC分子のガン細胞による発現ならびに特異的なペプチド抗原の存在、生成、輸送、及び提示によって、特異的なT細胞応答を誘引するのではなく、より近年の開発は、免疫療法の利点を、リコンビナント抗体系技術によるポリクローナル法において、患者の全ての細胞傷害性T細胞に携わらせることによる抗体治療と組み合わせることが試みられてきた:「二重特異性抗体」。
【0011】
一方のアーム(ターゲット結合アーム)に腫瘍認識部分を有し、一方、分子の他方のアームが、T細胞抗原、主にCD3に対する特異性を有する(エフェクター結合アーム)、二重特異性抗体が操作されてきた。2つのアームのそれらの各ターゲット抗原への同時結合により、Tリンパ球が、その細胞溶解機能を発揮することができる腫瘍細胞に向けられ、同腫瘍細胞において活性化される。
【0012】
腫瘍細胞に対するT細胞を活性化するための二重特異性抗体を使用する概念は、20年以上も前に記載されていたが、製造上の問題及び臨床上の失敗により、停滞したままであった。より小型のフォーマットの二重特異性抗体が開発された。この二重特異性抗体は、従来の抗体より容易に組織及び腫瘍に浸透する。加えて、より小型のフォーマットは、ターゲット細胞を殺傷する細胞傷害性シナプスを形成するのにより良好である。より小型のフォーマットの二重特異性抗体は、従来の抗体より製造が容易であり、免疫原性が少ないであろうと考えられた。しかしながら、5つのアミノ酸のペプチドリンカーにより結合された、2つの一本鎖可変フラグメント(scFv)からなる、より小型の二重特異性抗体であるBiTE分子は、安定性を欠いており(scFvは凝集する傾向にある)、発現力価が低く、溶解性が乏しい。さらに、CD3鎖を認識するブリナツモマブ(BiTE分子)の第1相臨床試験は、一方で神経学的に有害なイベント、サイトカイン放出症候群、及び感染により、他方で目的とする臨床応答又は生体活性の堅牢なサインの不存在のために、早期に中断された。有効性は別として、BiTEは、おそらく、Fcドメインを欠いているために、連続的に注入しなければならず、患者コンプライアンスに貢献しない。同じ問題は、DART(MacroGenicsにより開発された二重親和性再ターゲッティング分子)にも当てはまる。同DARTにおいて、一方の抗体(Ab)からの重鎖可変ドメインは、他方のAbの軽鎖可変ドメインと結合している。MacroGenicsでは、現在、その次世代DARTにFcドメインを融合させることにより、この問題の解決が試みられている。次世代DARTは、分子がより大きくなるだけでなく、製造上の問題及び他のFc機能の移入ももたらす。Fcを有するより大型のフォーマットは、より良好なPKを有するであろうが、offターゲット活性のリスクを再度招いてしまう(Garber 2014, Nature reviews 13: 799-801)。
【0013】
代替となる二重特異性フォーマットについての必要性が残っている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、第1及び少なくとも1つの更なる免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)を含む多重特異性ポリペプチドであって、前記第1ISVが、CD3に対する高い親和性を有し/同CD3に結合し、前記少なくとも1つの更なるISVが、ターゲット細胞上に存在する抗原に対する高い親和性を有し/同抗原に結合する、多重特異性ポリペプチドを提供することにより、この問題を解決する。特定の態様では、第1ISVの結合により、MHC1とは独立して、ターゲット細胞に対するT細胞の本来の細胞溶解活性が活性化されるであろう。
【0015】
このため、第1態様において、本発明は、第1及び第2免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)を含むポリペプチドであって、
前記第1ISVが、T細胞上に存在する表面抗原分類3(CD3)に対する高い親和性を有し/同CD3に結合し、
前記第2ISVが、ターゲット細胞上の第1抗原に対する高い親和性を有し/同第1抗原に結合し、
ここで、前記第1抗原が、前記CD3とは異なり、そして
ここで、前記ターゲット細胞が、前記T細胞とは異なる、ポリペプチドを提供する。
【0016】
更なる態様では、本発明は、T細胞をターゲット細胞に向かわせる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0017】
更なる態様では、本発明は、T細胞活性化を誘引する、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0018】
更なる態様では、本発明は、前記T細胞活性化が、MHC認識とは独立している、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0019】
更なる態様では、本発明は、前記T細胞活性化が、ターゲット細胞上の前記第1抗原に結合した前記ポリペプチドを、T細胞に提示することに依存している、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0020】
更なる態様では、本発明は、前記T細胞活性化が、前記T細胞の1つ以上の細胞応答を生じさせ、ここで、前記細胞応答が、増殖、分化、サイトカイン分泌、細胞傷害性エフェクター分子放出、細胞傷害活性、活性化マーカーの発現、及び再指向性を有するターゲット細胞溶解からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0021】
更なる態様では、本発明は、前記T細胞活性化が、約10%超、例えば、20%、30%、もしくは40%、又は更に、50%超、例えば、60%超、例えば、70%、80%、又は更に、90%超、例えば、100%で、前記ターゲット細胞の活性の阻害を生じさせる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0022】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、TCR複合体のCD3γ(配列番号:292)、CD3δ(配列番号:291)、及び/もしくはCD3ε(配列番号:293)、又は、それらの多形変異体もしくはアイソフォームに結合する、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0023】
あるいは、本発明は、前記第1ISVが、TCR複合体のCD3γ(配列番号:379)、CD3δ(配列番号:291)、及び/もしくはCD3ε(配列番号:380)、又は、それらの多形変異体もしくはアイソフォームに結合する、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0024】
更なる態様では、本発明は、前記ポリペプチド及び/又は第1ISVが、好ましくは、表面プラズモン共鳴により測定された場合、少なくとも約10M-1s-1、少なくとも約10M-1s-1、少なくとも約10M-1s-1、少なくとも約10M-1s-1、少なくとも約10M-1s-1、10M-1s-1、少なくとも約10M-1s-1、少なくとも約10M-1s-1、及び少なくとも約1010M-1s-1からなる群より選択される、前記CD3に対する結合についてのonレート定数(Kon)を有する、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0025】
更なる態様では、本発明は、前記ポリペプチド及び/又は第1ISVが、好ましくは、表面プラズモン共鳴により測定された場合、最大約10-3-1、最大約10-4-1、最大約10-5-1、最大約10-6-1、最大約10-7-1、最大約10-8-1、最大約10-9-1、及び最大約10-10-1からなる群より選択される、前記CD3に対する結合についてのoffレート定数(Koff)を有する、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0026】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、好ましくは、フローサイトメトリーにより測定された場合、100nM~1pMのEC50値で、例えば、100nM以下の平均EC50値で、更により好ましくは、90nM以下、例えば、80未満、70、60、50、40、30、20、10、5nM以下、例えば、4未満、3、2、もしくは1nM以下、例えば、500未満、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5pM以下、例えば、4pM未満の平均EC50値で、前記CD3に結合する、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0027】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、100nM~10pMの平均KD値で、例えば、90nM以下の平均KD値で、更により好ましくは、80nM以下、例えば、70未満、60、50、40、30、20、10、5nM以下、例えば、4、3、2、もしくは1nM未満、例えば、500未満、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20pM以下、例えば、10pM未満の平均KD値で、前記CD3に結合する、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。好ましくは、KDは、例えば、Proteonにより測定された場合、SPRにより測定される。
【0028】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81~100、及び
(b)配列番号:81のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:101~122、及び
(d)配列番号101のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:123~143、及び
(f)配列番号123のアミノ酸配列に対して、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0029】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81~100、又は、(b)配列番号:81のアミノ酸配列、もしくは、配列番号:81~100のいずれかに対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:101~122、又は、(d)配列番号:101のアミノ酸配列、もしくは、配列番号:101~122のいずれかに対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:123~143、又は、(f)配列番号:123のアミノ酸配列、もしくは、配列番号:123~143のいずれかに対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0030】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、
(a)配列番号:81、及び
(b)配列番号81に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-1位において、Gが、Rに変更されており、
-3位において、Tが、Aに変更されており、
-4位において、Yが、Fに変更されており、
-8位において、Sが、Gに変更されており、かつ/又は
-10位において、Gが、Aに変更されている、ポリペプチドを提供する。
【0031】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR2が、
(a)配列番号:101、及び
(b)配列番号101に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-3位において、Vが、T又はAに変更されており、
-5位において、Sが、Tに変更されており、
-6位において、Gが、D又はEに変更されており、かつ/又は
-9位において、Tが、S、A、又はPに変更されている、ポリペプチドを提供する。
【0032】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR3が、
(a)配列番号:123、及び
(b)配列番号123に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Iが、Tに変更されており、
-9位において、Iが、Vに変更されており、かつ/又は
-10位において、Aが、Pに変更されている、ポリペプチドを提供する。
【0033】
好ましくは、3、2、又は1つのアミノ酸差を有する1つ以上のCDRを含むポリペプチドは、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDRを含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合する。
【0034】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81、及び
(b)配列番号81に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-1位において、Gが、Rに変更されており、
-3位において、Tが、Aに変更されており、
-4位において、Yが、Fに変更されており、
-8位において、Sが、Gに変更されており、かつ/又は
-10位において、Gが、Aに変更されており、
ただし、2又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、2又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であり、
かつ、
(ii)CDR2が、
(a)配列番号:101、及び
(b)配列番号101に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-3位において、Vが、T又はAに変更されており、
-5位において、Sが、Tに変更されており、
-6位において、Gが、D又はEに変更されており、かつ/又は
-9位において、Tが、S、A、又はPに変更されており、
ただし、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であり、
かつ、
(iii)CDR3が、
(a)配列番号:123、及び
(b)配列番号123に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Iが、Tに変更されており、
-9位において、Iが、Vに変更されており、かつ/又は
-10位において、Aが、Pに変更されており、
ただし、2又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、2又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件である、ポリペプチドを提供する。
【0035】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81~87、及び
(b)配列番号81のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:101~109、及び
(d)配列番号101のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:123~127、及び
(f)配列番号123のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0036】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81~87、及び
(b)配列番号81のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:101~109、及び
(d)配列番号:101のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:123~127、及び
(f)配列番号:123のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0037】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:81により表わされ、CDR2が、配列番号:101により表わされ、CDR3が、配列番号:123により表わされる、ポリペプチドを提供する。
【0038】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:1~50からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0039】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:1~50を有する少なくとも1つのポリペプチドによるCD3に対する結合をクロスブロックする、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0040】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:1~50を有する少なくとも1つのポリペプチドによるCD3に対する結合からクロスブロックされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0041】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:88である、ポリペプチドを提供する。
【0042】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR2が、配列番号:110である、ポリペプチドを提供する。
【0043】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR3が、配列番号:128である、ポリペプチドを提供する。
【0044】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:88、及び
(b)配列番号:88のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:110、及び
(d)配列番号:110のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:128、及び
(f)配列番号:128のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0045】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:88、及び
(b)配列番号88のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:110、及び
(d)配列番号:110のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:128、及び
(f)配列番号:128のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0046】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:88により表わされ、CDR2が、配列番号:110により表わされ、CDR3が、配列番号:128により表わされる、ポリペプチドを提供する。
【0047】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:51である、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0048】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:51を有するポリペプチドによるCD3に対する結合をクロスブロックする、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0049】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:51を有するポリペプチドによるCD3に対する結合からクロスブロックされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0050】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:90である、ポリペプチドを提供する。
【0051】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR2が、
(a)配列番号:112、及び
(b)配列番号:112に対して、1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Vが、Aに変更されている、ポリペプチドを提供する。
【0052】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR3が、配列番号:130である、ポリペプチドを提供する。
【0053】
好ましくは、1つのアミノ酸差を有する1つ以上のCDRを含むポリペプチドは、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、1つのアミノ酸差を有さないCDRを含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合する。
【0054】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、配列番号:90であり、
かつ、
(ii)CDR2が、
(a)配列番号:112、及び
(b)配列番号:112に対して、1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Vが、Aに変更されており、
ただし、1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であり、
かつ、
(iii)CDR3が、配列番号:130である、ポリペプチドを提供する。
【0055】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:90、及び
(b)配列番号:90のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:112~113、及び
(d)配列番号:112のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:130、及び
(f)配列番号130のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0056】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:90、及び
(b)配列番号90のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:112~113、及び
(d)配列番号:112のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:130、及び
(f)配列番号:130のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0057】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:90により表わされ、CDR2が、配列番号:112により表わされ、CDR3が、配列番号:130により表わされる、ポリペプチドを提供する。
【0058】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:53~56からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0059】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:53~56を有する少なくとも1つのポリペプチドによるCD3に対する結合をクロスブロックする、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0060】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:53~56を有する少なくとも1つのポリペプチドによるCD3に対する結合からクロスブロックされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0061】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:89である、ポリペプチドを提供する。
【0062】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR2が、配列番号:111である、ポリペプチドを提供する。
【0063】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR3が、配列番号:129である、ポリペプチドを提供する。
【0064】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:89、及び
(b)配列番号:89のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:111、及び
(d)配列番号:111のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:129、及び
(f)配列番号:129のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0065】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:89、及び
(b)配列番号:89のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:111、及び
(d)配列番号:111のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:129、及び
(f)配列番号:129のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0066】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:89により表わされ、CDR2が、配列番号:111により表わされ、CDR3が、配列番号:129により表わされる、ポリペプチドを提供する。
【0067】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:52である、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0068】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:52を有するポリペプチドによるCD3に対する結合をクロスブロックする、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0069】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:52を有するポリペプチドによるCD3に対する結合からクロスブロックされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0070】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、
(a)配列番号:91、及び
(b)配列番号:91に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-6位において、Rが、N又はTに変更されており、
-7位において、Nが、Hに変更されており、かつ/又は
-8位において、Mが、Tに変更されている、ポリペプチドを提供する。
【0071】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR2が、
(a)配列番号:114、及び
(b)配列番号:114に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-1位において、Rが、Qに変更されており、
-3位において、Tが、Sに変更されており、かつ/又は
-7位において、Dが、A又はKに変更されている、ポリペプチドを提供する。
【0072】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR3が、
(a)配列番号:131、及び
(b)配列番号:131に対して、1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Sが、Rに変更されており、かつ/又は
-6位において、Sが、Vに変更されている、ポリペプチドを提供する。
【0073】
好ましくは、3、2、又は1つのアミノ酸差を有する1つ以上のCDRを含むポリペプチドは、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDRを含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合する。
【0074】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:91、及び
(b)配列番号:91に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-6位において、Rが、N又はTに変更されており、
-7位において、Nが、Hに変更されており、かつ/又は
-8位において、Mが、Tに変更されており、
ただし、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であり、
かつ、
(ii)CDR2が、
(a)配列番号:114、及び
(b)配列番号:114に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-1位において、Rが、Qに変更されており、
-3位において、Tが、Sに変更されており、かつ/又は
-7位において、Dが、A又はKに変更されており、
ただし、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であり、
かつ、
(iii)CDR3が、
(a)配列番号:131、及び
(b)配列番号:131に対して、1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Sが、Rに変更されており、かつ/又は
-6位において、Sが、Vに変更されており、
ただし、1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件である、ポリペプチドを提供する。
【0075】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:91~93、及び
(b)配列番号:91のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:114~117、及び
(d)配列番号:114のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:131~133、及び
(f)配列番号:131のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0076】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:91~93、及び
(b)配列番号:91のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、約同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:114~117、及び
(d)配列番号:114のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、約同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:131~133、及び
(f)配列番号131のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、約同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0077】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:91により表わされ、CDR2が、配列番号:114により表わされ、CDR3が、配列番号:131により表わされる、ポリペプチドを提供する。
【0078】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:57~65からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0079】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:57~65を有する少なくとも1つのポリペプチドによるCD3に対する結合をクロスブロックする、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0080】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:57~65を有する少なくとも1つのポリペプチドによるCD3に対する結合からクロスブロックされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0081】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、
(a)配列番号:94、及び
(b)配列番号:94に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-3位において、Sが、T、A、又はGに変更されており、
-5位において、Nが、Sに変更されており、
-6位において、Mが、T又はAに変更されており、かつ/又は
-9位において、Lが、Mに変更されている、ポリペプチドを提供する。
【0082】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR2が、
(a)配列番号:118、及び
(b)配列番号:118に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Hが、Vに変更されており、
-5位において、Sが、H又はAに変更されており、
-8位において、Nが、Sに変更されており、かつ/又は
-10位において、Yが、Fに変更されている、ポリペプチドを提供する。
【0083】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR3が、
(a)配列番号:134、及び
(b)配列番号:134に対して、1、2、3、4、又は5つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-6位において、Aが、S又はDに変更されており、
-7位において、Fが、Y又はAに変更されており、
-8位において、Rが、Hに変更されており、
-9位において、Sが、Aに変更されており、
-11位において、Gが、D、T、N、S、K、又はRに変更されており、かつ/又は
-14位において、Vが、Iに変更されている、ポリペプチドを提供する。
【0084】
好ましくは、5、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有する1つ以上のCDRを含むポリペプチドは、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、5、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDRを含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合する。
【0085】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:94、及び
(b)配列番号:94に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-3位において、Sが、T、A、又はGに変更されており、
-5位において、Nが、Sに変更されており、
-6位において、Mが、T又はAに変更されており、かつ/又は
-9位において、Lが、Mに変更されており、
ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であり、
かつ、
(ii)CDR2が、
(a)配列番号:118、及び
(b)配列番号:118に対して、1、2又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Hが、Vに変更されており、
-5位において、Sが、H又はAに変更されており、
-8位において、Nが、Sに変更されており、かつ/又は
-10位において、Yが、Fに変更されており、
ただし、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であり、
かつ、
(iii)CDR3が、
(a)配列番号:134、及び
(b)配列番号:134に対して、1、2、3、4、又は5つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-6位において、Aが、S又はDに変更されており、
-7位において、Fが、Y又はAに変更されており、
-8位において、Rが、Hに変更されており、
-9位において、Sが、Aに変更されており、
-11位において、Gが、D、T、N、S、K、又はRに変更されており、かつ/又は
-14位において、Vが、Iに変更されており、
ただし、5、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、5、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件である、ポリペプチドを提供する。
【0086】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:94~100、及び
(b)配列番号:94のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:118~122、及び
(d)配列番号:118のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:134~143、及び
(f)配列番号:134のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0087】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:94~100、及び
(b)配列番号:94のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:118~122、又は
(d)配列番号:118のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、約同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:134~143、又は
(f)配列番号:134のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0088】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:94により表わされ、CDR2が、配列番号:118により表わされ、CDR3が、配列番号:134により表わされる、ポリペプチドを提供する。
【0089】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:66~80からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0090】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:66~80を有する少なくとも1つのポリペプチドによるCD3に対する結合をクロスブロックする、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0091】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:66~80を有する少なくとも1つのポリペプチドによるCD3に対する結合からクロスブロックされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0092】
更なる態様では、本発明は、ターゲット細胞上の前記第1抗原が、腫瘍抗原、好ましくは、腫瘍関連抗原(TAA)である、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0093】
更なる態様では、本発明は、第3ISVを更に含み、同第3ISVが、ターゲット細胞上の第2抗原に対する高い親和性を有し/同第2抗原に結合し、ここで、前記第2抗原が、前記第1抗原とは異なる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0094】
更なる態様では、本発明は、ターゲット細胞上の前記第2抗原が、腫瘍抗原、好ましくは、腫瘍関連抗原(TAA)である、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0095】
更なる態様では、本発明は、前記第1抗原及び前記第2抗原が、同じターゲット細胞上に存在する、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0096】
更なる態様では、本発明は、前記第1抗原及び前記第2抗原が、異なるターゲット細胞上に存在する、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0097】
更なる態様では、本発明は、前記TAAが、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、上皮成長因子レセプター(EGFR)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、MART-1、ガン胎児性抗原(CEA)、gp100、MAGE-1、HER-2、ルイスY抗原、CD123、CD44、CLL-1、CD96、CD47、CD32、CXCR4、Tim-3、CD25、TAG-72、Ep-CAM、PSMA、PSA、GD2、GD3、CD4、CD5、CD19、CD20、CD22、CD33、CD36、CD45、CD52、CD147、ErbB3及びErbB4を含む成長因子レセプター、インターロイキン-2レセプターのガンマ鎖(CD132抗原)、インターロイキン-10レセプターのアルファ鎖(IL-10R-A)、インターロイキン-10レセプターのベータ鎖(IL-10R-B)、インターロイキン-12レセプターのベータ-1鎖(IL-12R-ベータ1)、インターロイキン-12レセプターのベータ-2鎖(IL-12レセプターのベータ-2)、インターロイキン-13レセプターのアルファ-1鎖(IL-13R-アルファ-1)(CD213a1抗原)、インターロイキン-13レセプターのアルファ-2鎖(インターロイキン-13結合タンパク質)、インターロイキン-17レセプター(IL-17レセプター)、インターロイキン-17Bレセプター(IL-17Bレセプター)、インターロイキン21レセプター前駆体(IL-21R)、インターロイキン-1レセプターI型(IL-1R-1)(CD121a)、インターロイキン-1レセプターII型(IL-1R-ベータ)(CDw121b)、インターロイキン-1レセプターのアンタゴニストタンパク質(IL-1ra)、インターロイキン-2レセプターのアルファ鎖(CD25抗原)、インターロイキン-2レセプターのベータ鎖(CD122抗原)、インターロイキン-3レセプターのアルファ鎖(IL-3R-アルファ)(CD123抗原)を含むサイトカインレセプター、CD30、IL23R、IGF-1R、IL5R、IgE、CD248(エンドシアリン)、CD44v6、gpA33、Ron、Trop2、PSCA、クラウディン6、クラウディン18.2、CLEC12A、CD38、ephA2、c-Met、CD56、MUC16、EGFRvIII、AGS-16、CD27L、ネクチン-4、SLITRK6、メソセリン、葉酸レセプター、組織因子、axl、グリピカン-3、CA9、Cripto、CD138、CD37、MUC1、CD70、ガストリン放出ペプチドレセプター、PAP、CEACAM5、CEACAM6、CXCR7、N-カドヘリン、FXYD2ガンマa、CD21、CD133、Na/K-ATPase、mIgM(膜結合IgM)、mIgA(膜結合IgA)、Mer、Tyro2、CD120、CD95、CA195、DR5、DR6、DcR3、及びCAIX(関連する多形変異体及びアイソフォームを含む)からなる群より独立して選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0098】
更なる態様では、本発明は、前記TAAが、CD20(Uniplot 11836)、HER2(Uniplot P04626)、それらの多形変異体又はアイソフォームである、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0099】
更なる態様では、本発明は、前記第1抗原及び前記第2抗原が、
-第1抗原としてEGFR及び第2抗原としてCEA、
-第1抗原としてCD19及び第2抗原としてCD20、
-第1抗原としてCD19及び第2抗原としてCD22、
-第1抗原としてCD123及び第2抗原としてTim-3、ならびに
-第1抗原としてCD132及び第2抗原としてCD69
からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0100】
更なる態様では、本発明は、血清タンパク質結合部分を更に含む、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0101】
更なる態様では、本発明は、前記血清タンパク質結合部分が、血清アルブミンに結合する、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0102】
更なる態様では、本発明は、前記血清タンパク質結合部分が、血清アルブミンに結合するISVである、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0103】
更なる態様では、本発明は、前記血清アルブミンに結合するISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDRがKabat定義により決定された場合、CDR1が、SFGMS(配列番号:373)であり、CDR2が、SISGSGSDTLYADSVKG(配列番号:374)であり、CDR3が、GGSLSR(配列番号:375)であり、及び/又は、ここで、CDRがKontermann2010により決定された場合、CDR1が、GFTFSSFGMS(配列番号:376)もしくはGFTFRSFGMS(配列番号:377)であり、CDR2が、SISGSGSDTL(配列番号:378)であり、CDR3が、GGSLSR(配列番号:375)である、ポリペプチドを提供する。
【0104】
更なる態様では、本発明は、前記血清アルブミンに結合するISVが、Alb8、Alb23、Alb129、Alb132、Alb11、Alb11(S112K)-A、Alb82、Alb82-A、Alb82-AA、Alb82-AAA、Alb82-G、Alb82-GG、及びAlb82-GGG(配列番号:348~360)から選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0105】
更なる態様では、本発明は、前記ISVが、互いに直接結合しているか、又は、リンカーを介して結合している、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0106】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISV及び/又は前記第2ISV、及び/又は場合により、前記第3ISV、及び/又は場合により、前記血清アルブミンに結合するISVが、リンカーを介して結合している、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0107】
更なる態様では、本発明は、前記リンカーが、5GS、7GS、9GS、10GS、15GS、18GS、20GS、25GS、30GS、及び35GS(配列番号:362~372)のリンカーからなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0108】
更なる態様では、本発明は、前記血清タンパク質結合部分が、非抗体系ポリペプチドである、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0109】
更なる態様では、本発明は、PEGを更に含む、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0110】
更なる態様では、本発明は、前記ISVが、Nanobody(登録商標)、VHH、ヒト化VHH、又はラクダ化Vである、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0111】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:1~80からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0112】
更なる態様では、本発明は、前記第1ISVが、配列番号:1~80からなる群より選択され、かつ、前記第2ISVが、配列番号:297~304からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0113】
更なる態様では、本発明は、配列番号:249~250、252~253、255~256、258~260、263、265~283、286~289、306~307、309~310、312~313、315~317、320、322~340、及び343~346からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0114】
更なる態様では、本発明は、CD3に特異的に結合し、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とを含むか、又は、これらから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81~100、又は
(b)配列番号:81~100のいずれかのアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:101~122、又は
(d)配列番号:101~122のいずれかのアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:123~143、又は
(f)配列番号:123~143のいずれかのアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドを提供する。
【0115】
また、本発明は、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81~87、及び
(b)配列番号:81のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:101~109、及び
(d)配列番号:101のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:123~127、及び
(f)配列番号:123のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0116】
更なる態様では、本発明は、CDR1が、
(a)配列番号:81、及び
(b)配列番号:81に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-1位において、Gが、Rに変更されており、
-3位において、Tが、Aに変更されており、
-4位において、Yが、Fに変更されており、
-8位において、Sが、Gに変更されており、かつ/又は
-10位において、Gが、Aに変更されている、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0117】
更なる態様では、本発明は、CDR2が、
(a)配列番号:101、及び
(b)配列番号101に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-3位において、Vが、T又はAに変更されており、
-5位において、Sが、Tに変更されており、
-6位において、Gが、D又はEに変更されており、かつ/又は
-9位において、Tが、S、A、又はPに変更されている、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0118】
更なる態様では、本発明は、CDR3が、
(a)配列番号:123、及び
(b)配列番号123に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Iが、Tに変更されており、
-9位において、Iが、Vに変更されており、かつ/又は
-10位において、Aが、Pに変更されている、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0119】
更なる態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:81により表わされ、CDR2が、配列番号:101により表わされ、CDR3が、配列番号:123により表わされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0120】
更なる態様では、本発明は、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:88、及び
(b)配列番号:88のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:110、及び
(d)配列番号:110のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:128、及び
(f)配列番号:128のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0121】
更なる態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:88である、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0122】
更なる態様では、本発明は、CDR2が、配列番号:110である、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0123】
更なる態様では、本発明は、CDR3が、配列番号:128である、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0124】
更なる態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:88により表わされ、CDR2が、配列番号:110により表わされ、CDR3が、配列番号:128により表わされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0125】
更なる態様では、本発明は、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:90、及び
(b)配列番号:90のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:112~113、及び
(d)配列番号:112のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:130、及び
(f)配列番号:130のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0126】
更なる態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:90である、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0127】
更なる態様では、本発明は、CDR2が、
(a)配列番号:112、及び
(b)配列番号:112に対して、1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Vが、Aに変更されている、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0128】
更なる態様では、本発明は、CDR3が、配列番号:130である、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0129】
更なる態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:90により表わされ、CDR2が、配列番号:112により表わされ、CDR3が、配列番号:130により表わされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0130】
更なる態様では、本発明は、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:89、及び
(b)配列番号:89のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:111、及び
(d)配列番号:111のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:129、及び
(f)配列番号:129のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0131】
更なる態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:89である、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0132】
更なる態様では、本発明は、CDR2が、配列番号:111である、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0133】
更なる態様では、本発明は、CDR3が、配列番号:129である、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0134】
更なる態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:89により表わされ、CDR2が、配列番号:111により表わされ、CDR3が、配列番号:129により表わされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0135】
また、本発明は、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:91~93、及び
(b)配列番号:91のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:114~117、及び
(d)配列番号:114のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:131~133、及び
(f)配列番号:131のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0136】
更なる態様では、本発明は、CDR1が、
(a)配列番号:91、及び
(b)配列番号:91に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-6位において、Rが、N又はTに変更されており、
-7位において、Nが、Hに変更されており、かつ/又は
-8位において、Mが、Tに変更されている、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0137】
更なる態様では、本発明は、CDR2が、
(a)配列番号:114、及び
(b)配列番号:114に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-1位において、Rが、Qに変更されており、
-3位において、Tが、Sに変更されており、かつ/又は
-7位において、Dが、A又はKに変更されている、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0138】
更なる態様では、本発明は、CDR3が、
(a)配列番号:131、及び
(b)配列番号:131に対して、1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Sが、Rに変更されており、かつ/又は
-6位において、Sが、Vに変更されている、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0139】
更なる態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:91により表わされ、CDR2が、配列番号:114により表わされ、CDR3が、配列番号:131により表わされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0140】
また、本発明は、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:94~100、及び
(b)配列番号:94のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:118~122、及び
(d)配列番号:118のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:134~143、及び
(f)配列番号:134のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0141】
更なる態様では、本発明は、CDR1が、
(a)配列番号:94、及び
(b)配列番号:94に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-3位において、Sが、T、A、又はGに変更されており、
-5位において、Nが、Sに変更されており、
-6位において、Mが、T又はAに変更されており、かつ/又は
-9位において、Lが、Mに変更されている、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0142】
更なる態様では、本発明は、CDR2が、
(a)配列番号:118、及び
(b)配列番号:118に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Hが、Vに変更されており、
-5位において、Sが、H又はAに変更されており、
-8位において、Nが、Sに変更されており、かつ/又は
-10位において、Yが、Fに変更されている、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0143】
更なる態様では、本発明は、CDR3が、
(a)配列番号:134、及び
(b)配列番号:134に対して、1、2、3、4、又は5つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-6位において、Aが、S又はDに変更されており、
-7位において、Fが、Y又はAに変更されており、
-8位において、Rが、Hに変更されており、
-9位において、Sが、Aに変更されており、
-11位において、Gが、D、T、N、S、K、又はRに変更されており、かつ/又は
-14位において、Vが、Iに変更されている、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0144】
更なる態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:94により表わされ、CDR2が、配列番号:118により表わされ、CDR3が、配列番号:134により表わされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0145】
更なる態様では、本発明は、ナノボディ、VHH、ヒト化VHH、又はラクダ化Vである、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0146】
更なる態様では、本発明は、血清タンパク質結合部分を更に含む、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0147】
更なる態様では、本発明は、前記血清タンパク質結合部分が、血清アルブミンに結合する、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0148】
更なる態様では、本発明は、前記血清タンパク質結合部分が、血清アルブミンに結合するISVである、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0149】
更なる態様では、本発明は、前記血清アルブミンに結合するISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDRがKabat定義により決定された場合、CDR1が、SFGMS(配列番号:373)であり、CDR2が、SISGSGSDTLYADSVKG(配列番号:374)であり、CDR3が、GGSLSR(配列番号:375)であり、かつ/又は、CDRがKontermann2010に従って決定された場合、CDR1が、GFTFSSFGMS(配列番号:376)もしくはGFTFRSFGMS(配列番号:377)であり、CDR2が、SISGSGSDTL(配列番号:378)であり、CDR3が、GGSLSR(配列番号:375)である、ポリペプチドを提供する。
【0150】
更なる態様では、本発明は、前記血清アルブミンに結合するISVが、Alb8、Alb23、Alb129、Alb132、Alb11、Alb11(S112K)-A、Alb82、Alb82-A、Alb82-AA、Alb82-AAA、Alb82-G、Alb82-GG、及びAlb82-GGG(配列番号:348~360)から選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0151】
更なる態様では、本発明は、前記ISVが、直接結合しているか、又は、リンカーを介して結合している、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0152】
更なる態様では、本発明は、前記リンカーが、5GS、7GS、9GS、10GS、15GS、18GS、20GS、25GS、30GS、及び35GS(配列番号:362~372)のリンカーからなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0153】
更なる態様では、本発明は、PEG部分を更に含む、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0154】
更なる態様では、本発明は、本明細書で定義されたポリペプチドをコードする、核酸又は核酸配列を提供する。
【0155】
更なる態様では、本発明は、本明細書で定義された核酸又は核酸配列を含む、ベクターを提供する。
【0156】
更なる態様では、本発明は、本明細書で定義された核酸又は核酸配列、又は、本明細書で定義されたベクターにより形質転換されたか、又は、トランスフェクションされた、宿主細胞を提供する。
【0157】
更なる態様では、本発明は、本明細書で定義された宿主細胞を、本明細書で定義されたポリペプチドの発現を可能にする条件下において培養することと、生成されたポリペプチドを、培養物から収集することとを含む、本明細書で定義されたポリペプチドを製造するための方法を提供する。
【0158】
更なる態様では、本発明は、本明細書で記載されたポリペプチド、又は、本明細書で記載された方法により製造されたポリペプチドを含む、医薬組成物を提供する。
【0159】
更なる態様では、本発明は、それを必要とする対象を処置するのに使用するための、本明細書で記載されたポリペプチド、又は、本明細書で記載されたように製造されたポリペプチドを提供する。
【0160】
更なる態様では、本発明は、身体における特定の位置、組織、又は細胞種に対して、予防的又は治療的ポリペプチドを送達するための方法であって、本明細書で記載されたポリペプチド、又は、本明細書で記載されたように製造されたポリペプチドを、対象に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0161】
更なる態様では、本発明は、増殖性疾患、炎症性疾患、感染性疾患、及び自己免疫性疾患からなる群より選択される疾患の、予防、治療、又は緩和に使用するための、本明細書で記載されたポリペプチド、又は、本明細書で記載されたように製造されたポリペプチドを提供する。
【0162】
更なる態様では、本発明は、増殖性疾患、炎症性疾患、感染性疾患、及び自己免疫性疾患からなる群より選択される疾患の予防、治療、又は緩和のための方法であって、本明細書で記載されたポリペプチド、又は、本明細書で記載されたように製造されたポリペプチドを、それを必要とする対象に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0163】
更なる態様では、本発明は、前記増殖性疾患が、ガンである、本明細書で記載された疾患の予防、治療、又は緩和に使用するためのポリペプチド又は方法を提供する。
【0164】
更なる態様では、本発明は、前記ガンが、ガン腫、神経膠腫、中皮腫、メラノーマ、リンパ腫、白血病、腺ガン、乳ガン、卵巣ガン、子宮頚ガン、神経膠芽腫、多発性骨髄腫(意義不明の単一クローン性免疫グロブリン血症、無症候性及び症候性骨髄腫を含む)、前立腺ガン、及びバーキットリンパ腫、頭頚部ガン、結腸ガン、結腸直腸ガン、非小細胞肺ガン、小細胞肺ガン、食道ガン、胃ガン、膵臓ガン、肝胆道ガン、胆嚢ガン、小腸ガン、直腸ガン、腎臓ガン、膀胱ガン、前立腺ガン、陰茎ガン、尿道ガン、精巣ガン、膣ガン、子宮ガン、甲状腺ガン、副甲状腺ガン、副腎ガン、膵内分泌ガン、カルチノイドガン、骨ガン、皮膚ガン、網膜芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病、又はAIDS関連原発性浸出リンパ腫、神経外胚葉性腫瘍、横紋筋肉腫、ならびに、上記ガンのいずれかの任意の転移、ならびに、非ガン兆候、例えば、鼻ポリープからなる群より選択される、本明細書で記載された疾患の予防、治療、又は緩和に使用するためのポリペプチド又は方法を提供する。
【0165】
更なる態様では、本発明は、処置が、組み合わせ処置である、本明細書で記載された疾患の予防、治療、又は緩和に使用するためのポリペプチド又は方法を提供する。
【0166】
更なる態様では、本発明は、本明細書で定義されたポリペプチド、本明細書で定義された核酸もしくは核酸配列、本明細書で定義されたベクター、又は、本明細書で定義された宿主細胞を含む、キットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0167】
図1】100mM 抗ヒトTCRα/β抗体(クローンBW242/412)(黒色)及び100mM 抗ヒトCD3抗体(クローンOKT-3)(灰色)を使用した、ヒトTCR/CD3及びヒトCD3トランスフェクション細胞系統のQC。MCF値(平均チャネル蛍光)を、各細胞系統についてプロットする。
図2】一価CD3ナノボディの、CHO-K1細胞上に発現しているヒトTCR/CD3(図2A)、及び、精製された初代ヒトT細胞(図2B)に対する用量依存性結合。MCF値(平均チャネル蛍光)を、ナノボディの濃度に対してプロットする。
図3】一価CD3ナノボディの、HEK293HヒトTCR(2IAN)/CD3(黒丸)、HEK293HヒトCD3(バツ)、及びHEK293H親細胞系統(白丸)に対する用量依存性結合。MCF値(平均チャネル蛍光)を、ナノボディの濃度に対してプロットする。
図4】ビーズに結合した一価CD3ナノボディのT細胞活性化データ(図4A)。溶液中に存在する一価CD3ナノボディのT細胞活性化データ(図4B)。活性化を、初代ヒトT細胞上でのCD69アップレギュレーションをモニターすることにより測定する。MCF値(平均チャネル蛍光)を、各ナノボディについてプロットする。
図5】希釈系列のCD20×CD3(実線)及びCD3×CD20(破線)二重特異性ナノボディの、CHO-K1細胞に発現しているヒトTCR/CD3(図5A)、初代ヒトT細胞(図5B)、及びRamos細胞(図5C)に対する結合。MCF値(平均チャネル蛍光)を、ナノボディの濃度に対してプロットする。
図6】フローサイトメトリーに基づいたヒトT細胞媒介性Ramos(図6A)及びRaji(図6B)B細胞殺傷アッセイ法における、CD20×CD3(実線)及びCD3×CD20(破線)二重特異性ナノボディの用量依存性殺傷効果。細胞死%(TOPRO陽性細胞の%)を、ナノボディの濃度に対してプロットする。
図7】抗CD20ナノボディの、ヒトCD20 Ramos(白丸)及びRaji(黒丸)細胞への用量依存性結合。MCF値(平均チャネル蛍光)を、ナノボディの濃度に対してプロットする。
図8】xCELLigenceに基づいたヒトT細胞媒介性CHO-K1ヒトCD20殺傷アッセイ法における、CD20×CD3(実線)及びCD3×CD20(破線)二重特異性ナノボディの用量依存性殺傷効果。CIを、ナノボディの濃度に対してプロットする。
図9】TAA依存性殺傷を説明するための、CHO-K1ヒトCD20細胞(黒色のバー)及びCHO-K1親細胞系統(灰色のバー)を使用するxCELLigenceに基づいた殺傷アッセイ法における、1μM CD20×CD3及び無関係の構築物の殺傷効果。細胞指数(CI)を、ナノボディの濃度に対してプロットする。
図10】Ramosを使用するフローサイトメトリーに基づいた殺傷アッセイ法における、9GSリンカー(白丸-破線)及び35GSリンカー(黒四角-破線)を有するCD20×CD3ナノボディ、ならびに、35GSリンカー(黒菱形-実線)を有するCD3×CD20ナノボディの用量依存性殺傷効果。細胞死%(TOPRO陽性細胞)を、ナノボディの濃度に対してプロットする。
図11】種々のターゲット(T)に対するエフェクター(E)の比(E:T比 10:1-黒丸、E:T比 5:1-白四角、E:T比 2:1-黒三角、及びE:T比 1:1-白菱形)を使用する、フローサイトメトリーに基づいたヒトT細胞媒介性Ramos B細胞殺傷アッセイ法における、T017000062の用量依存性殺傷。細胞死%(TOPRO陽性細胞の%)は、ナノボディの濃度に対してプロットする。
図12】CHO-K1ヒトCD20ターゲット細胞を使用するxCELLigenceでの、精製された初代ヒトT細胞媒介性殺傷アッセイ法における、CD20/CD3の時間依存性細胞溶解活性。特異的溶解%を、構築物の濃度に対してプロットする。種々の曲線は、T細胞添加後の分析時間を表わす。
図13】系列希釈のHLE構築物の、CHO-K1細胞上に発現しているヒトTCR/CD3(図13A)、初代ヒトT細胞(図13B)、及びRamos細胞(図13C)に対する結合。MCF値(平均チャネル蛍光)を、ナノボディの濃度に対してプロットする。
図14】フローサイトメトリーに基づいたヒトT細胞媒介性Ramos B細胞殺傷アッセイ法における、CD20×CD3二重特異性ナノボディ(実線-菱形)対CD20×CD3×ALB11構築物(実線-黒三角)の用量依存性殺傷(図14A図14C)、及び、30μM HSAの不存在下(実線-黒三角)又は存在下(破線-白三角)でのCD20×CD3×ALB11構築物の用量依存性殺傷効果(図14B図14D)。細胞死%(TOPRO陽性細胞の%)を、ナノボディの濃度に対してプロットする。
図15】HER2発現レベルを比較するための、フローサイトメトリーにおける100nM 一価抗HER2ナノボディ(5F07)の、SK-BR-3、MCF-7、及びMDA-MB-468細胞系統に対する結合。MCF値(平均チャネル蛍光)を、各細胞系統についてプロットする。
図16】xCELLigenceに基づいたヒトT細胞媒介性細胞殺傷アッセイ法における、二重特異性CD3×HER2ナノボディ(破線)及び二重特異性HER2×CD3(実線)の用量依存性殺傷効果。18時間のデータを使用して、データを分析した。細胞指数(CI)を、ナノボディの濃度に対してプロットした。
図17】フローサイトメトリーに基づいた殺傷アッセイ法における、ヒトCD20陽性CHO-K1細胞と二重特異性CD20×CD3ナノボディとのインキュベーション後のヒトT細胞による用量依存性INF-γ生成。データは72時間のインキュベーションの後に分析した。450nmでのODを、ナノボディの濃度に対してプロットした。
図18】PBMC B細胞枯渇モデルの研究設計。PBMCを、3日目(D3)に、動物の腹腔内に注入した。マウスを、D3からD7において、T017000084(CD3/CD20) IV Q1D×5又はT017000088 IV Q1D×5(無関係のナノボディ)により処置した。
図19】logスケールにおけるPBMC由来B細胞の絶対数。個々の動物の結果を示す。B細胞数を、種々の処置群の関数において示す。
図20】Ramosモデルの研究設計。Ramos細胞を、D1に、マウスの静脈内に注入した。PBMCを、D3に、動物の腹腔内に注入した。マウスを、D3からD7において、T017000084(CD3/CD20) IV Q1D×5又はT017000088 IV Q1D×5(無関係のナノボディ)により処置した。
図21-1】logスケールにおけるRamos B細胞の絶対数。個々の動物の結果を示す。グラフ上部の白丸は、活性な用量が、混合効果ANOVA分析からのF検定に基づいて、無関係のNB(T017000088)と統計学的に有意に異なったことを示す。全ての効果が、5%レベルの有意差において、統計学的に有意である。
図21-2】logスケールにおけるRamos B細胞の絶対数。個々の動物の結果を示す。グラフ上部の白丸は、活性な用量が、混合効果ANOVA分析からのF検定に基づいて、無関係のNB(T017000088)と統計学的に有意に異なったことを示す。全ての効果が、5%レベルの有意差において、統計学的に有意である。
図22-1】logスケールにおけるPBMC由来B細胞の絶対数。個々の動物の結果を示す。グラフ上部の白丸は、活性な用量が、混合効果ANOVA分析からのF検定に基づいて、無関係のNB(T017000088)と統計学的に有意に異なったことを示す。全ての効果が、5%レベルの有意差において、統計学的に有意である。
図22-2】logスケールにおけるPBMC由来B細胞の絶対数。個々の動物の結果を示す。グラフ上部の白丸は、活性な用量が、混合効果ANOVA分析からのF検定に基づいて、無関係のNB(T017000088)と統計学的に有意に異なったことを示す。全ての効果が、5%レベルの有意差において、統計学的に有意である。
図23】フローサイトメトリーにおける、HER14、Hela、LoVo、及びLS174-T細胞系統での、EGFR(図23A:;Santa Cruz, sc-120 PE)又はCEACAM5(図23B;Sino Biological, 11077-MM02-P)発現レベルの測定。MCF値(平均チャネル蛍光)を、各細胞系統についてプロットする。
【0168】
[発明の詳細な説明]
本発明者らは、T細胞と腫瘍細胞とがまとめて免疫応答を誘引するようにするフォーマットは、種々の及び高頻度に相反する要求に適合する必要があることを理解した。このフォーマットは、広く適用可能である必要がある。特に、このフォーマットは、好ましくは、広い範囲の患者に有用であり、好ましくは、広い範囲の腫瘍に対しても有用であるべきである。このフォーマットは、好ましくは、安全であり、意図した細胞のみをターゲットすべきである。加えて、このフォーマットは、好ましくは、組織及び腫瘍に容易に浸透するのに十分小さくあるべきであり、一方で、このフォーマットは、患者に優しくあるべきである。例えば、このフォーマットは、長い半減期を有するべきであり、これにより、このフォーマットは、投与時に、腎クリアランスにより即座に除去されない。しかしながら、半減期を長くすることは、好ましくは、offターゲット活性及び副作用を誘導するべきではなく、又は、組織及び腫瘍への浸透を制限するべきでない。加えて、腫瘍細胞は、多くの場合、治療においてターゲットされた抗原のダウンレギュレーションによる回避メカニズムを生じさせることが認識された。したがって、更に好ましいバージョンでは、このフォーマットは、同時に複数の抗原をターゲットすべきである。
【0169】
本発明は、これらの要求の少なくとも1つを実現する。
【0170】
特に、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)は、原理的に理想的な候補であろうことが仮定された。それらは、(腫瘍)組織に容易に浸透するのに十分小さく、構築ブロックとしての他のISVと組み合わせることができるためである。次に、CD3、特に、CD3εに指向性を有するISVは、広い適用可能性を有するであろう。
【0171】
6つのクラスターの関連するISVが特定された。同ISVは、予期しない様々な有利な特徴を有した。第一に、このISVは、予期せず広く適用可能であった。すなわち、CD3 ISVは、高い親和性で、種々のドナーからのT細胞に結合することができた。多重特異性ポリペプチドにフォーマットされると、CD3 ISVは、種々の腫瘍関連抗原により、腫瘍細胞殺傷が可能となった。したがって、CD3 ISVは、多くのガンに対して使用することができる。加えて、CD3 ISVを含む多重特異性ポリペプチドは、アルブミンに結合した状態で活性なままであった。このことは、副作用を最小化しながら、好ましいPKプロファイル及び患者コンプライアンスに寄与する。本発明のポリペプチドは、T細胞とターゲット細胞との両方に結合した際にのみ効果を示した。このことは、その安全性を示している。
【0172】
本発明者らは、複数の抗原の同時ターゲッティングにより、腫瘍回避変異体が発生する可能性を低下させられると考えた。それにより、T細胞関与戦略の治療活性が改善されるためである。種々のターゲット抗原及び/又は特定の抗原における種々のエピトープに対する免疫グロブリン単一可変ドメイン(二重パラトープ)と組み合わせられたCD3 ISVを含む、多重特異性ポリペプチドが提供される。
【0173】
免疫グロブリン配列、例えば、抗体及びそれから得られる抗原結合フラグメント(例えば、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はISV)は、調査及び治療用途において、その各抗原を特異的にターゲットするのに使用される。免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えば、VHH又はナノボディ等の生成は、実験動物、例えば、ラマの免疫化、免疫組織からのファージライブラリの構築、抗原結合免疫グロブリン単一可変ドメインを提示するファージの選択、ならびに、所望の特異性についての前記ドメイン及びその操作された構築物のスクリーニングによることができる(国際公開公報第94/04678号)。あるいは、類似する免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えば、dAb等を、抗原結合免疫グロブリン単一可変ドメインを提示するファージをナイーブ又は合成ライブラリから直接選択し、その後、所望の特異性について、前記ドメイン及びその操作された構築物をスクリーニングすることにより生成することができる(Ward et al., Nature, 1989, 341: 544-6;Holt et al., Trends Biotechnol., 2003, 21(11):484-490;ならびに、例えば、国際公開公報第06/030220号、同第06/003388号、及びDomantis Ltdの他の公開された特許出願)。残念ながら、モノクローナル抗体及び/又は高度に操作された抗体の使用にも、高い製造コストがかかり、他の戦略と比較して、最適以下の腫瘍浸透をもたらす場合がある。
【0174】
本発明は、予期しなかった様々な有利な特徴を有する、T細胞レセプター複合体のCD3に特異的に結合する、多重特異性ポリペプチドを提供する。まず、本ポリペプチドは、製造が容易である。さらに、本ISVは、予期せず広く適用可能である。すなわち、CD3 ISVは、高い親和性で、種々のドナーからのT細胞に結合することができた。多重特異性ポリペプチドにフォーマットされると、CD3 ISVは、種々の腫瘍関連抗原により、腫瘍細胞殺傷が可能となった。対照的に、本ポリペプチドがT細胞及びターゲット細胞に結合しなかった場合には、殺傷は観察されなかった。このことは、本発明のポリペプチドの安全性を強調している。したがって、CD3 ISVは、多くのガンに対して使用することができる。さらに、CD3 ISVは、安全であると考えることができる。加えて、CD3 ISVを含む多重特異性ポリペプチドは、アルブミンに結合した状態で活性なままであった。このことは、副作用を最小化しながら、好ましいPKプロファイル及び患者コンプライアンスに寄与するであろう。
【0175】
したがって、本発明は、第1及び第2免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)を含むポリペプチドであって、第1ISVが、CD3に対する高い親和性を有し/同CD3に結合し、第2ISVが、細胞(ターゲット細胞)、好ましくは、腫瘍細胞上の抗原に対する高い親和性を有し/同抗原に結合する、ポリペプチドに関する。該抗原は、好ましくは、前記ターゲット細胞に特異的であり、例えば、腫瘍関連抗原(TAA)等である。本発明の多重特異性ポリペプチドは、T細胞を、腫瘍細胞等の細胞に向かわせ、前記T細胞が前記ターゲット細胞、例えば、前記腫瘍細胞を阻害し、又は、殺傷するのを可能にするために、T細胞活性化を誘引する。
【0176】
定義:
a)他に指示又は規定がなければ、使用される全ての用語は、当業者に明らかであろう、当技術分野におけるその通常の意味を有する。例えば、国際公開公報第08/020079号の第46頁の段落a)で言及されている標準的なハンドブックが参照される。
【0177】
b)「免疫グロブリン単一可変ドメイン」という用語は、「単一可変ドメイン」及び「ISV」と互換的に使用され、抗原結合部位が1つの免疫グロブリンドメイン上に存在し、それにより形成される分子を定義する。これは、2つの免疫グロブリンドメイン、特に、2つの可変ドメインが相互作用して、抗原結合部位を形成している、「従来の」免疫グロブリン又はそのフラグメント(例えば、Fab、scFv等)とは別に、免疫グロブリン単一可変ドメインと位置づけられる。典型的には、従来の免疫グロブリンでは、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)が相互作用して、抗原結合部位を形成している。この場合、VH及びVLの両方の相補性決定領域(CDR)が、抗原結合部位に寄与するであろう。すなわち、合計6つのCDRが、抗原結合部位の形成に関与するであろう。対照的に、免疫グロブリン単一可変ドメインの結合部位は、1つのVH又はVLドメインにより形成されている。したがって、免疫グロブリン単一可変ドメインの抗原結合部位は、3つ以下のCDRにより形成される。
【0178】
したがって、「免疫グロブリン単一可変ドメイン」、「単一可変ドメイン」、及び「ISV」という用語は、抗原結合部位の形成のために、少なくとも2つの可変ドメインの相互作用を必要とする、従来の免疫グロブリン又はそのフラグメントを含まない。ただし、これらの用語は、抗原結合部位が1つの可変ドメインにより形成されている、従来の免疫グロブリンのフラグメントを含むものとする。
【0179】
「免疫グロブリン単一可変ドメイン」又は「ISV」という用語は、抗原結合ドメイン又はフラグメント、例えば、VHHドメイン又はVもしくはVドメインそれぞれを含む(が、これらに限定されない)。抗原結合分子又は抗原結合タンパク質という用語は、互換的に使用され、ナノボディという用語も含む。免疫グロブリン単一可変ドメインは、軽鎖可変ドメイン配列(例えば、V配列)又は重鎖可変ドメイン配列(例えば、V配列)であることができる。より具体的には、それらは、従来の4本鎖抗体から得られた重鎖可変ドメイン配列、又は、重鎖抗体から得られた重鎖可変ドメイン配列であることができる。したがって、免疫グロブリン単一可変ドメインは、ドメイン抗体もしくはドメイン抗体として使用するのに適した免疫グロブリン配列、単一ドメイン抗体もしくは単一ドメイン抗体として使用するのに適した免疫グロブリン配列、「dAb」もしくはdAbとして使用するのに適した免疫グロブリン配列、又はナノボディであることができる。ナノボディは、VHH配列、ヒト化VHH配列、又はラクダ化VH配列を含むが、これらに限定されない。本発明は、マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヒトを含む種々の起源の免疫グロブリン配列、及び、ラクダ化免疫グロブリン配列を含む。免疫グロブリン単一可変ドメインは、完全にヒト、ヒト化、他の方法で配列最適化された又はキメラ化された免疫グロブリン配列を含む。免疫グロブリン単一可変ドメイン及び免疫グロブリン単一可変ドメインの構造は、4つのフレームワーク領域又は「FR」から構成されていると考えることができるが、これには限定されない。同フレームワーク領域又は「FR」は、当技術分野及び本明細書において、それぞれ、「フレームワーク領域1」又は「FR1」、「フレームワーク領域2」又は「FR2」、「フレームワーク領域3」又は「FR3」、及び「フレームワーク領域4」又は「FR4」と呼ばれる。同フレームワーク領域の間には、3つの相補性決定領域又は「CDR」が挿入される。同相補性決定領域又は「CDR」は、当技術分野において、それぞれ、「相補性決定領域1」又は「CDR1」、「相補性決定領域2」又は「CDR2」、及び「相補性決定領域3」又は「CDR3」と呼ばれる。ナノボディ(Nanobody)又はナノボディ(Nanobodies)という用語は、Ablynx N. V.の登録商標であるため、それぞれ、Nanobody(登録商標)又はNanobodies(登録商標)とも呼ぶことができることが、留意される。
【0180】
c)特に断りない限り、「免疫グロブリン配列」、「配列」、「ヌクレオチド配列」、及び「核酸」という用語は、国際公開公報第08/020079号の第46頁の段落b)に記載されたとおりである。
【0181】
d)特に断りない限り、具体的に詳細に記載されていない全ての方法、工程、技術、及び操作を行うことができ、当業者に明かであろうように、それ自体公知の方法において行われている。例えば、再度、標準的なハンドブック及び本明細書において言及された一般的な背景技術、ならびに、本明細書において引用された更なる参考文献;ならびに、例えば、以下のレビュー、Presta 2006(Adv. Drug Deliv. Rev. 58 (5-6): 640-656)、Levin and Weiss 2006(Mol. Biosyst. 2(1): 49-57)、Irving etal. 2005(J. Immunol. Methods 248(1-2): 31-45)、Schmitz et al. 2000(Placenta 21 Suppl.A: S106-112)、Gonzales et al. 2005(Tumour Biol. 26(1): 31-43)が参照され、それらには、タンパク質工学のための技術、例えば、親和性成熟ならびにタンパク質、例えば、免疫グロブリンの特異性及び他の所望の特性を改善するための他の技術が記載されている。
【0182】
e)アミノ酸残基は、標準的な3文字又は1文字アミノ酸コードに従って示されるであろう。国際公開公報第08/020079号(Ablynx N.V.)、発明の名称「Il-6媒介性シグナル伝達に関連する疾患及び障害の処置のための、IL-6Rに指向性を有する免疫グロブリン単一ドメイン及びそれを含むポリペプチド」の第48頁の表A-2が参照される。
【0183】
f)2つ以上のヌクレオチド配列を比較する目的で、第1ヌクレオチド配列と第2ヌクレオチド配列との間の「配列同一性」のパーセンテージを、(参照により本明細書に組み入れられる)国際公開公報第08/020079号の第49頁の段落e)に記載されているように、例えば、[第2ヌクレオチド配列中の対応する位置でのヌクレオチドと同一である第1ヌクレオチド配列中のヌクレオチドの数]を、[第1ヌクレオチド配列中のヌクレオチドの総数]により割り、[100%]を掛けることにより算出し、又は、決定することができる。ここで、第1ヌクレオチド配列と比較して、第2ヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの欠失、挿入、置換、又は付加はそれぞれ単一ヌクレオチド(位置)での差異として、考慮されるか、又は、再度(参照により本明細書に組み入れられる)国際公開公報第08/020079号の第49頁の段落e)に記載されているように、適切なコンピューターアルゴリズムもしくは技術を使用して考慮される。
【0184】
g)2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン又は他のアミノ酸配列、例えば、本発明のポリペプチド等を比較する目的で、第1アミノ酸配列と第2アミノ酸配列のと間の「配列同一性」(本明細書において「アミノ酸同一性」とも呼ばれる)のパーセンテージを、(参照により本明細書に組み入れられる)国際公開公報第08/020079号の第49及び50頁の段落f)に記載されているように、例えば、[第2アミノ酸配列中の対応する位置でのアミノ酸残基と同一である第1アミノ酸配列中のアミノ酸残基の数]を、[第1アミノ酸配列中のアミノ酸残基の総数]により割り、[100%]を掛けることにより算出し、又は、決定することができる。ここで、第1アミノ酸配列と比較して、第2アミノ酸配列におけるアミノ酸残基の欠失、挿入、置換、又は付加はそれぞれ、単一アミノ酸残基(位置)での差異として、すなわち、本明細書で定義された「アミノ酸差」として考慮されるか、又は、再度(参照により本明細書に組み入れられる)国際公開公報第08/020079号の第49及び50頁の段落f)に記載されているように、適切なコンピューターアルゴリズムもしくは技術を使用して考慮される。
【0185】
また、2つの免疫グロブリン単一可変ドメイン間の配列同一性の程度を決定するのにおいて、当業者であれば、国際公開公報第08/020079号の第50頁に記載されているように、いわゆる「保存的」アミノ酸置換を考慮することができる。
【0186】
本明細書で記載されたポリペプチドに適用される任意のアミノ酸置換は、Schulz et al. 1978(Principles of Protein Structure, Springer-Verlag)により開発された異なる種の相同的なタンパク質間のアミノ酸変異の頻度分析に、Chou and Fasman 1975(Biochemistry 13: 211)及び1978((Adv. Enzymol. 47: 45-149)により開発された構造形成電位の分析に、ならびに、Eisenberg et al. 1984(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 140-144)、Kyte & Doolittle 1981(J Molec. Biol. 157: 105-132)、及びGoldman et al. 1986(Ann. Rev. Biophys. Chem. 15: 321-353)により開発されたタンパク質中の疎水性パターンの分析に基づくこともできる。これらの文献は全て、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。ナノボディの一次、二次、及び三次構造の情報は、本明細書における説明及び上記引用された一般的な背景技術において提供される。また、この目的で、ラマから得られたVHHドメインの結晶構造は、例えば、Desmyter et al. 1996(Nature Structural Biology, 3: 803)、Spinelli et al. 1996(Natural Structural Biology 3: 752-757)、及びDecanniere et al. 1999(Structure, 7: 361)により提供されている。従来のVドメインにおいて、V/V界面及びこれらの位置における潜在的なラクダ化置換を形成し、幾つかのアミノ酸残基についての更なる情報は、上記で引用された先行技術に見出すことができる。
【0187】
h)免疫グロブリン単一可変ドメイン及び核酸配列は、それらが全長にわたって100%の(本明細書で定義された)配列同一性を有する場合、「正確に同じ」であると言われる。
【0188】
i)2つの免疫グロブリン単一可変ドメインを比較する場合、「アミノ酸差」という用語は、第2配列と比較して、第1配列の位置での単一アミノ酸残基の挿入、欠失、又は置換を指す。2つの免疫グロブリン単一可変ドメインが、1、2、又はそれ以上のこのようなアミノ酸差を含有することができることが理解される。
【0189】
j)ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列が別のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列それぞれを「含む」と言われるか、又は、別のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列「から本質的になる」と言われる場合、これは、国際公開公報第08/020079号の第51~52頁の段落i)で与えられる意味を有する。
【0190】
k)「から本質的に単離された」という用語は、国際公開公報第08/020079号の第52及び53頁の段落j)で与えられる意味を有する。
【0191】
l)「ドメイン」及び「結合ドメイン」という用語は、国際公開公報第08/020079号の第53頁の段落k)で与えられる意味を有する。
【0192】
m)「抗原決定基」及び「エピトープ」という用語は、本明細書で互換的に使用することもでき、国際公開公報第08/020079号の第53頁の段落l)で与えられる意味を有する。
【0193】
n)国際公開公報第08/020079号の第53頁の段落m)に更に記載されているように、特定の抗原決定基、エピトープ、抗原、又はタンパク質に(又は、その少なくとも1つの部分、フラグメント、もしくはエピトープに)(特異的に)結合することができ、これらに対する親和性を有し、及び/又は、これらに対する特異性を有するアミノ酸配列(例えば、抗体、本発明のポリペプチド、又は一般的には、抗原結合タンパク質もしくはポリペプチド、又はそのフラグメント)は、前記抗原決定基、エピトープ、抗原、又はタンパク質「に対する(against)」、又は、「に指向性を有する(directed against)」と言われる。
【0194】
o)「特異性」という用語は、特定の抗原結合分子又は抗原結合タンパク質(例えば、本発明のISV、ナノボディ、又はポリペプチド)が結合することができる、様々な種類の抗原又は抗原決定基の数を意味する。抗原結合タンパク質の特異性は、親和性及び/又は結合活性に基づいて決定することができる。
【0195】
抗原と抗原結合タンパク質との解離についての平衡定数(K又はKD)により表わされる親和性は、抗原決定基、すなわち、ターゲットと、抗原結合タンパク質、すなわち、ISV又はナノボディにおける抗原結合部位との間の結合強度についての尺度である。Kの値が小さいほど、抗原決定基と抗原結合分子との間の結合強度が強くなる(あるいは、親和性は、1/Kである親和性定数(K)として表現することもできる)。(例えば、本明細書における更なる開示に基づいて)当業者に明らかであろうように、親和性は、対象となる具体的な抗原に応じて、それ自体公知の方法において決定することができる。
【0196】
結合活性は、ポリペプチドの親和性である。すなわち、リガンドは、2つ(又はそれ以上)のファルマコフォア(ISV)を介して結合することができる。同結合において、複数の相互作用が、「見掛けの」親和性を向上させるのに協同する。結合活性は、本発明のポリペプチドと適切な抗原との間の結合強度の尺度である。本発明のポリペプチドは、その2つ(又はそれ以上)の構築ブロック、例えば、ISV又はナノボディを介して、少なくとも2つのターゲットに結合することができる。同結合において、複数の相互作用、例えば、第1ターゲットに結合する第1構築ブロック、ISV、又はナノボディと、第2ターゲットに結合する第2構築ブロック、ISV、又はナノボディとが、「見掛けの」親和性を向上させるのに協同する。結合活性は、抗原決定基とその抗原結合分子における抗原結合部位との間の親和性と、該抗原結合分子に存在する適切な結合部位の数との両方に関連する。例えば、限定されるものではないが、細胞上の異なるターゲットに指向性を有する、2つ以上の構築ブロック、例えば、ISV又はナノボディを含有するポリペプチドは、本発明のポリペプチドに含まれる、個々の単量体又は個々の構築ブロック、例えば、一価ISV又はナノボディ等のそれぞれより、高い結合活性で結合することができる(通常、結合するであろう)。
【0197】
10-4mol/リットル超の任意のK値(又は、10M-1(リットル/mol)未満の任意のK値)は、非特異的結合を示すと一般的に考えられる。
【0198】
本発明のポリペプチドは、第1及び第2構築ブロック、例えば、第1及び第2ISV又は第1及び第2ナノボディを含む。好ましくは、各構築ブロック、例えば、ISV又はナノボディの親和性は、個々に決定される。言い換えれば、親和性は、一価の構築ブロック、ISV、又はナノボディについて、存在してもよいし、又は、存在しなくてもよい、他の構築ブロック、ISV、又はナノボディによる結合活性作用とは独立して決定される。一価の構築ブロック、ISV、又はナノボディについての親和性は、一価の構築ブロック、ISV、又はナノボディ自体について、すなわち、前記一価の構築ブロック、ISV、又はナノボディが、本発明のポリペプチドに含まれない場合に、決定することができる。代替的に又は付加的に、一価の構築ブロック、ISV、又はナノボディについての親和性は、他のターゲットが存在しない状態で、1つのターゲットについて決定することができる。
【0199】
抗原結合タンパク質の抗原又は抗原決定基への結合は、それ自体公知の任意の適切な方法において、決定することができる、同方法は、例えば、散乱分析及び/又は競合的結合アッセイ法、例えば、放射性免疫アッセイ法(RIA)、酵素免疫アッセイ法(EIA)、及びサンドイッチ競合アッセイ法、ならびに、当技術分野においてそれ自体公知のそれらの種々の変法、ならびに、本明細書で言及された他の技術を含む。
【0200】
当業者に明らかであろうように、解離定数は、実際又は見掛けの解離定数であることができる。解離定数を決定するための方法は、当業者に明らかであろうし、例えば、本明細書で言及された技術を含む。これに関して、10-4モル/リットル又は10-3モル/リットル超(例えば、10-2モル/リットル)の解離定数を測定することができないことも、明らかであろう。また場合により、当業者に明らかであろうように、(実際又は見掛けの)解離定数は、(実際又は見掛けの)会合定数(K)に基づいて、相関[K=1/K]により算出することができる。
【0201】
親和性は、分子間相互作用の強度又は安定性を意味する。親和性は、一般的には、K又は解離定数により与えられ、mol/リットル(又はM)の単位を有する。親和性は、会合定数Kとしても表現することができ、1/Kに等しく、(mol/リットル)-1(又はM-1)の単位を有する。本明細書において、2つの分子(例えば、本発明のアミノ酸配列、ナノボディ、又はポリペプチドと、その意図されたターゲットとの)間の相互作用の安定性は、それらの相互作用のK値に関して、主に表現されるであろう。相関K=1/Kの観点から、そのK値により分子相互作用の強度を特定することは、対応するK値を算出するのに使用することもできることは、当業者に明らかである。KD値は、周知の相関DG=RT.In(K)(DG=RT.In(K)に等しい)(式中、Rは、気体定数に等しく、Tは、絶対温度に等しく、Inは、自然対数を意味する)による結合の自由エネルギー(DG)に関連するため、熱力学的な意味においても、分子間相互作用の強度を特徴付ける。
【0202】
意味がある(例えば、特異的である)と考えられる生物学的相互作用についてのKは、典型的には、10-10M(0.1nM)~10-5M(10000nM)の範囲にある。相互作用が強いほど、そのKは小さくなる。
【0203】
は、複合体の解離速度定数(koffと示され)とその会合の速度(konと示される)に対する比としても表現することもできる。(K=koff/kon及びK=kon/koffとなる)。offレートkoffは、s-1の単位を有する(ここで、sは、秒のSI単位表記である)。onレートkonは、M-1s-1の単位を有する。生体分子間相互作用についての拡散律速会合速度定数のアプローチから、onレートは、10M-1s-1~約10M-1s-1で変動することができる。offレートは、相関t1/2=In(2)/koffにより、所定の分子間相互作用の半減期に関連する。offレートは、10-6s-1(数日のt1/2を有する不可逆的に近い複合体)~1s-1(t1/2=0.69s)で変動することができる。
【0204】
2つの分子間の分子間相互作用の親和性は、それ自体公知の種々の技術、例えば、周知の表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサ技術(例えば、Ober et al. 2001, Intern. Immunology, 13: 1551-1559を参照のこと)により測定することができる。本明細書で使用する場合、「表面プラズモン共鳴」という用語は、バイオセンサマトリックス内でのタンパク質濃度における変化の検出により、リアルタイムな生体分子特異的相互作用の分析を可能にする光学的現象を指す。同マトリックスでは、一方の分子が、バイオセンサチップに固定されており、他方の分子が、流動条件下において、固定された分子上を通過し、kon、koffの測定値、このため、K(又はK)値が得られる。例えば、これは、周知のBIAcore(登録商標)システム(BIAcore International AB, a GE Healthcare company, Uppsala, Sweden and Piscataway, NJ)を使用して行うことができる。更なる説明については、Jonsson et al. 1993(Ann. Biol. Clin. 51: 19-26)、Jonsson et al. 1991(Biotechniques 11: 620-627)、Johnsson, et al. 1995(J. Mol. Recognit. 8: 125-131)、及びJohnnson, et al. 1991 (Anal. Biochem. 198: 268-277)を参照のこと。
【0205】
あるいは、親和性は、KinExA(登録商標)プラットホーム(Sapidyne Instruments Inc, Boise, USA)を使用する、Kinetic Exclusionアッセイ法(KinExA)(例えば、Drake et al. 2004, Anal. Biochem., 328: 35-43を参照のこと)において測定することができる。本明細書で使用する場合、「KinExA」という用語は、非改変分子の真の平衡結合親和性及び反応速度を測定する溶液ベースの方法を意味する。抗体/抗原複合体の平衡化された溶液を、抗原(又は抗体)で予めコートされたビーズを含むカラムに通過させ、遊離抗体(又は抗原)がコートされた分子に結合することができる。このようにして捕捉された抗体(又は抗原)の検出は、蛍光ラベルタンパク質を抗体(又は抗原)に結合させることにより達成される。
【0206】
測定方法が、例えば、1つの分子のバイオセンサ上でのコーティングに関連するアーティファクトにより、意味される分子の本来の結合親和性に何らかの影響を及ぼす場合、測定されたKは、見掛けのKに相当することができることも、当業者に明らかであろう。また、1つ分子が他の分子に対する2つ以上の認識部位を含有する場合、見掛けのKDを測定することができる。このような状況において、測定された親和性は、2つの分子による相互作用の結合活性により影響を受ける場合がある。
【0207】
親和性を評価するのに使用することができる別のアプローチは、Friguet et al. 1985(J. Immunol. Methods, 77: 305-19)の2工程ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ法)法である。この方法により、液相結合平衡測定が確立され、支持体、例えば、プラスチック上の分子の内の1つの吸着に関連する可能性のあるアーティファクトが避けられる。
【0208】
ただし、Kの正確な測定は、多大な労力を必要とする場合があり、その結果として、多くの場合、見掛けのK値が、2つの分子の結合強度を評価するのに測定される。全ての測定が、(例えば、アッセイ条件を変えずに)一貫した方法で行われる場合に限り、見掛けのK測定値を、真のKの近似値として使用することができ、このため、本文書において、K及び見掛けのKは、等しい重要性又は関連性で取り扱われるべきであることに、留意されたい。
【0209】
最後に、多くの状況において、経験を有する科学者は、幾つかの参照分子に対して、結合親和性を決定するのにKが都合が良いと判断することができることに、留意されたい。例えば、分子AとBとの間の結合強度を評価するために、例えば、Bに結合することが公知であり、蛍光体もしくは発色団基又は他の化学部分、例えば、ELISAもしくはFACS(蛍光活性化セルソーター)における容易な検出のためのビオチン、又は、他のフォーマット(蛍光検出用の蛍光体、吸光検出用の発色団、ストレプトアビジン媒介性ELISA検出用のビオチン)により適切にラベルされている参照分子Cを使用することができる。典型的には、参照分子Cは、固定濃度で維持され、Aの濃度が、Bの所定濃度又は量に対して変動される。結果として、Aの不存在下においてCについて測定されたシグナルが二等分されるAの濃度に対応するIC50値が得られる。参照分子のKであるKD ref及び参照分子の総濃度Crefが公知であるという条件で、相互作用A-Bについての見掛けのKは、下記式:K=IC50/(1+cref/KD ref)から得ることができる。cref<<KD refである場合、K≫IC50であるかが留意される。IC50の測定が、比較されるバインダーについて(例えば、Crefを固定して維持した)一貫した方法において行われるという条件で、分子間相互作用の強度又は安定性を、IC50により評価することができ、この測定値は、この本文全体を通して、K又は見掛けのKに等しいと判断される。
【0210】
p)本発明のアミノ酸配列、化合物、又はポリペプチドの半減期は、一般的には、国際公開公報第08/020079号の第57頁の段落o)に記載のように定義することができ、そこで言及されるように、例えば、自然機構による配列もしくは化合物の分解、及び/又は、配列もしくは化合物のクリアランスもしくはゼクエストレーションのために、in vivoにおいて、アミノ酸配列、化合物、又はポリペプチドの血清濃度が50%低減するのにかかる時間を指す。本発明のアミノ酸配列、化合物、又はポリペプチドのin vivo半減期は、それ自体が公知の任意の方法において、例えば、薬物動態解析により決定することができる。適切な技術は、当業者に明らかであろうし、例えば、一般的には、国際公開公報第08/020079号の第57頁の段落o)に記載のようなものであることができる。また、国際公開公報第08/020079号の第57頁の段落o)で言及されるように、半減期は、t1/2-アルファ、t1/2-ベータ、及び曲線下面積(AUC)等のパラメータを使用して表わすことができる。例えば、以下の実験部分、及び標準的なハンドブック、例えば、Kenneth et al. 1996(Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for Pharmacists)及びPeters et al. 1996(Pharmacokinete analysis: A Practical Approach)が参照される。Gibaldi & Perron 1982(Pharmacokinetics, Dekker M, 2nd Rev. edition)も参照される。「半減期の延長」又は「延長した半減期」という用語は、国際公開公報第08/020079号の第57頁の段落o)で定義されたとおりであり、特に、t1/2-ベータの延長を指し、t1/2-アルファ及び/もしくはAUC又は両方は増大しても又は増大しなくてもよいのいずれかである。
【0211】
q)ターゲット又は抗原について、ターゲット又は抗原上の「相互作用部位」という用語は、リガンド、レセプター、もしくは他の結合パートナーに結合するための部位である、ターゲットもしくは抗原上の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン、もしくはアミノ酸残基のストレッチ、触媒部位、開裂部位、アロステリック相互作用のための部位、ターゲットもしくは抗原の多量体化(ホモ多量体化又はヘテロ二量体化等)に関与する部位、又は、ターゲットもしくは抗原の生物学的作用又はメカニズムに関与するターゲットもしくは抗原上の任意の他の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン、もしくはアミノ酸残基のストレッチを意味する。より一般的には、「相互作用部位」は、本発明のアミノ酸配列又はポリペプチドが、ターゲット又は抗原(及び/又は、ターゲット又は抗原が関与する任意の経路、相互作用、シグナル伝達、生物学的メカニズム、又は生物学的作用)がモデュレーションされるように結合することができる、ターゲット又は抗原上の任意の部位、エピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン、又はアミノ酸残基のストレッチであることができる。
【0212】
r)免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドは、第2ターゲット又は抗原と比較して、前記アミノ酸配列又はポリペプチドが第2ターゲット又はポリペプチドに結合するのについての親和性より、少なくとも10倍、例えば、少なくとも100倍、及び好ましくは、少なくとも1000倍、及び最大10,000倍以上良好な親和性/結合活性(上記されたとおり、K値、K値、Koffレート、及び/又はKonレートとして適切に表現される)で、第1抗原に結合する場合に、第1ターゲット又は抗原に対して「特異的」であると言われる。例えば、第1抗原は、前記アミノ酸配列又はポリペプチドが第2ターゲット又はポリペプチドに結合するのについてのKより、少なくとも10倍小さい、例えば、少なくとも100倍小さい、及び好ましくは、少なくとも1000倍小さい、例えば、10,000倍未満で小さいK値で、ターゲット又は抗原に結合することができる。好ましくは、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドが、第2ターゲット又は抗原と比較して、第1ターゲット又は抗原に対して「特異的」である場合、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドは、前記第1ターゲット又は抗原に(本明細書で定義されたように)指向性を有するが、前記第2ターゲット又は抗原には指向性を有さない。
【0213】
「クロスブロックする」、「クロスブロックされる」、及び「クロスブロックすること」という用語は、天然のリガンドがそのレセプターに結合するのを妨げる、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドの能力を意味するのに、本明細書において互換的に使用される。本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドが別の化合物、例えば、天然のリガンドがそのターゲットへの結合を妨げることができる程度、及びしたがって、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドが本発明に従ってクロスブロックすると言うことができるかどうかは、競合結合アッセイ法を使用して決定することができる。1つの特に適切な定量的クロスブロックアッセイ法は、ラベルされた(例えば、Hisタグ付き又はビオチン化された)本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドと、他の結合剤との間でのターゲットへの結合に関する競合を測定するための、FACS又はELISA系アプローチ又はAlphascreenを使用する。実験部分には、一般的に、結合分子が本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドをクロスブロックするか、又は、クロスブロックすることができるかを決定するのに適したFACS、ELISA、又はAlphascreen置換系アッセイ法が記載されている。該アッセイ法は、本明細書で記載された免疫グロブリン単一可変ドメイン又は他の結合剤のいずれかと共に使用することができることが、理解されるであろう。このため、一般的には、本発明のクロスブロック性アミノ酸配列又は他の結合剤は、例えば、アッセイ中に、かつ本発明の第2アミノ酸配列又は他の結合剤の存在下において、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドの記録された置換えが、0.01mM以下の量で存在する試験されるべき可能性のあるクロスブロック剤(クロスブロック剤は、別の従来のモノクローナル抗体、例えば、IgG、古典的な一価抗体フラグメント(Fab、scFv)、及び操作変異体(例えば、ディアボディ、トリアボディ、ミニボディ、VHH、dAb、VH、VL)であることができる)による、最大理論的置換え(例えば、クロスブロックされる必要があるコールド(例えば、ラベルされていない)免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドによる置換え)の(例えば、ELISA/Alphascreen系競合アッセイ法において)60%~100%又は(例えば、FACS系競合アッセイ法において)80%~100%であるように、上記クロスブロックアッセイ法においてターゲットに結合するであろうものである。
【0214】
t)アミノ酸配列、例えば、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド等は、VHH1型免疫グロブリン単一可変ドメイン又はVHH1型配列が、VHH1コンセンサス配列(QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLDYYAIGWFRQAPGKEREGVSCISSSD GSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA)(配列番号:361)に対して、85%の同一性(クエリの配列としてVHH1コンセンス配列を用い、標準的な設定、すなわちblosom62スコアリングマトリックスでブラストのアルゴリズムを用いる)を有し、強制的に、50位におけるシステイン、すなわち、C50(Kabatナンバリングを使用)を有する場合、「VHH1型免疫グロブリン単一可変ドメイン」又は「VHH1型配列」であると言われる。
【0215】
u)アミノ酸配列、例えば、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド等は、これらの種々の抗原又は抗原決定基の両方に(本明細書で定義されたように)特異的である場合、2種類の抗原又は抗原決定基(例えば、2種類の哺乳類種からの血清アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン及びカニクイザル血清アルブミン)に「交叉反応性」であると言われる。
【0216】
(参照により本明細書に組み入れられる)国際公開公報第08/020079号の第58及び59頁の段落q)に更に記載されているように、免疫グロブリン単一可変ドメインのアミノ酸残基は、Riechmann and Muyldermans, 2000(J. Immunol. Methods 240 (1-2): 185-195;例えば、この刊行物の図2を参照のこと)の文献において、ラクダ由来のVHHドメインに適用されたように、Kabat et al.(「Sequence of proteins of immunological interest」, US Public Health Services, NIH Bethesda, MD, Publication No. 91)に提供されたVドメインについての一般的なナンバリングに従ってナンバリングされる。Vドメイン及びVHHドメインについて当技術分野において周知であるように、各CDRにおけるアミノ酸残基の総数が変動する場合があり、Kabatナンバリングにより示されたアミノ酸残基の総数に対応しない場合がある(すなわち、Kabatナンバリングに従った1つ以上の位置が実際の配列に占有されていない場合があるか、又は、実際の配列が、Kabatナンバリングにより許容された数より多いアミノ酸残基を含有する場合がある)ことに、留意されたい。このことは、一般的には、Kabatに従ったナンバリングは、実際の配列におけるアミノ酸残基の実際のナンバリングに対応してもよいし、又は、対応しなくてもよいことを意味する。VHドメイン及びVHHドメインにおけるアミノ酸崎の総数は、通常、110~120、多くの場合、112~115の範囲にあるであろう。ただし、より短い及びより長い配列も、本明細書で記載された目的で適切であることができることに、留意されたい。
【0217】
また、CDR領域の決定は、種々の方法によっても行うことができる。Kabatに従ったCDR決定において、免疫グロブリン単一可変ドメインのFR1は、1~30位のアミノ酸残基を含む。免疫グロブリン単一可変ドメインのCDR1は、31~35位のアミノ酸残基を含む。免疫グロブリン単一可変ドメインのFR2は、36~49位のアミノ酸を含む。免疫グロブリン単一可変ドメインのCDR2は、50~65位のアミノ酸残基を含む。免疫グロブリン単一可変ドメインのFR3は、66~94位のアミノ酸残基を含む。免疫グロブリン単一可変ドメインのCDR3は、95~102位のアミノ酸残基を含む。免疫グロブリン単一可変ドメインのFR4は、103~113位のアミノ酸残基を含む。
【0218】
ただし、本願において、特に断りない限り、CDR配列は、Kontermann and Dubel(Eds. 2010, Antibody Engineering, vol 2, Springer Verlag Heidelberg Berlin, Martin, Chapter 3, pp. 33-51)に従って決定された。この方法によれば、FR1は、1~25位のアミノ酸残基を含む。CDR1は、26~35位のアミノ酸残基を含む。FR2は、36~49位のアミノ酸を含む。CDR2は、50~58位のアミノ酸残基を含む。FR3は、59~94位のアミノ酸残基を含む。CDR3は、95~102位のアミノ酸残基を含む。FR4は、103~113位のアミノ酸残基を含む。
【0219】
w)図面、配列表、及び実験部/実施例は、本発明を更に説明するためだけに与えられ、他に明確に本明細書中に指示がない限り、本発明の範囲及び/又は添付の特許請求の範囲を何ら限定するものとして解釈又は見なされるべきではない。
【0220】
x)半値阻害濃度(IC50)は、生物学的又は生化学的機能を阻害するのにおける化合物の有効性、例えば、薬理学的効果の尺度である。この定量的測定は、ISV又はナノボディ(阻害剤)が、所定の生物学的プロセス(又は、プロセスの成分、すなわち、酵素、細胞、細胞レセプター、化学遊走、退形成、転移、侵襲性等)を、半分阻害するのにどの程度必要であるかを示す。言い換えれば、物質の半値(50%)阻害濃度(IC)である(50% IC又はIC50)。薬剤のIC50は、用量応答曲線を構築し、種々の濃度のアンタゴニスト、例えば、アゴニスト活性を逆転させることに対する本発明のISV又はナノボディの効果を、逆アゴニスト活性において試験することにより測定することができる。IC50値は、所定のアンタゴニスト、例えば、本発明のISV又はナノボディについて、アゴニストの最大生体応答の半分を阻害するのに必要とされる濃度を測定することにより算出することができる。
【0221】
半値有効濃度(EC50)という用語は、特定の曝露時間後に、ベースラインと最大との間の中間の応答を誘引する、化合物の濃度を指す。本文脈において、EC50は、ポリペプチド、ISV、又はナノボディ効力の尺度として使用される。EC50の段階的な用量応答曲線は、その最大効果の50%が観察される、化合物の濃度を表わす。濃度は、好ましくは、モル単位で表現される。
【0222】
生体系において、リガンド濃度の小さな変化は、典型的には、シグモイド関数に従って、応答の急速な変化をもたらす。増大するリガンド濃度による応答における増大が低下し始める変曲点が、EC50である。これは、ベストフィットのラインの導出により、数学的に決定することができる。推定のためにグラフに頼るのが、ほとんどの場合に都合が良い。EC50が実施例セクションにおいて提供される場合に、実験を、可能な限り正確に、KDを反映するように設計した。言い換えれば、その後、EC50値は、KD値と考えることができる。「平均KD」という用語は、少なくとも1回、ただし、好ましくは、2回以上、例えば、少なくとも2回の実験において得られた平均KD値に関する。「平均」という用語は、数学的な用語である「平均」(データ中の、項目数で割ったデータ合計)を指す。
【0223】
また、化合物の阻害(50%阻害)の尺度であるIC50に関する。競合結合アッセイ法及び機能性アンタゴニストアッセイ法について、IC50は、用量応答曲線の最も一般的な集約尺度である。アゴニスト/刺激物質アッセイ法について、最も一般的な集約尺度は、EC50である。
【0224】
y)本明細書で使用する場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、他に明確に指示がない限り、複数の指示対象を含む。このため、例えば、「1つの試薬(a reagent)」に対する言及は、1つ以上のこのような種々の試薬を含み、「方法(the method)」に対する言及は、本明細書で記載された方法について、改変し、又は、置換することができる、当業者に公知である、同等の工程及び方法に対する言及を含むことに留意されたい。
【0225】
特に断りない限り、一連の要素に先立つ「少なくとも」という用語は、該一連における全ての要素を指すと理解される。当業者であれば、過度の試行錯誤をすることなく、本明細書で記載された本発明の特定の実施態様に対する多くの均等物を認識し、又は、これらを確認することができるであろう。このような均等物は、本発明に包含されることが意図される。
【0226】
本明細書で使用する場合、「及び/又は」という用語は、「及び」、「又は」、及び「前記用語により結び付けられた要素の全て又は任意の他の組み合わせ」の意味を含む。
【0227】
本明細書で使用する場合、「約」又は「およそ」という用語は、所定の値又は範囲の20%以内、好ましくは15%以内、より好ましくは10%以内、及び最も好ましくは5%以内を意味する。
【0228】
この明細書及びそれに続く特許請求の範囲全体を通して、他に必要とされない限り、「含む(comprise)」という語ならびに変形例、例えば、「含む(comprises)」及び「含むこと(comprising)」は、記述された整数もしくは工程、又は、一群の整数もしくは工程の包含を意味するが、任意の他の整数もしくは工程、又は、一群の整数もしくは工程を除外しないと、理解されるであろう。本明細書で使用する場合、「含むこと(comprising)」という用語は、「含有すること(containing)」又は「含むこと(including)」により置換することができ、又は場合により、本明細書で使用する場合、「有すること(having)」という用語により置換することができる。
【0229】
本発明は、少なくとも第1免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)と、少なくとも1つの更なる免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)とを含むポリペプチドであって、前記少なくとも第1ISVが、表面抗原分類3(CD3)に対する高い親和性を有し/同CD3に結合し、前記少なくとも1つの更なるISVが、ターゲット細胞上の抗原に対する高い親和性を有し/同抗原に結合するポリペプチドに関する。
【0230】
典型的には、本発明の多重特異性ポリペプチドは、ターゲット細胞に対する高い親和性の抗原認識を、T細胞活性化と組み合わせ、T細胞本来の特異性とは独立した活性化をもたらす。ターゲット細胞上の細胞表面分子、例えば、腫瘍抗原と、T細胞共レセプターCD3との両方に結合する結合分子の作用モードは、一般的に公知である。T細胞がターゲット細胞に密接に近づくこと、すなわち、前記T細胞が結合することは、ターゲット細胞のT細胞による殺傷をもたらす。本発明において、このプロセスは、増殖性疾患、炎症性疾患、感染性疾患、及び自己免疫性疾患と戦うのに利用される。一般的には、T細胞は、膜孔形成タンパク質、いわゆる、パーフォリンと、細胞死誘引プロテアーゼ、いわゆる、グランザイムとの致死性の組み合わせを含有する顆粒を備えている。好ましくは、これらのタンパク質は、T細胞が殺傷を目的とするターゲット細胞に接近した場合に形成される細胞溶解性シナプスを介して、ターゲット細胞内に運ばれる。通常、T細胞とターゲット細胞との間の接近は、T細胞レセプターのそのマッチングを使用して、MHC/ペプチド複合体に結合するT細胞により達成される。本発明のポリペプチドは、T細胞レセプター/MHC相互作用の不存在下において、T細胞のターゲット細胞へのこのような接近をもたらす。
【0231】
したがって、本発明は、T細胞をターゲット細胞に向かわせる、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0232】
一方のアーム(第1ISV)について、多重特異性ポリペプチドは、T細胞上のT細胞レセプターのシグナル伝達複合体のタンパク質成分であるCD3に対して高い親和性を有し/同CD3に結合する。別のアーム(第2ISV及び/又は第3ISV等)について、多重特異性ポリペプチドは、ターゲット細胞上の抗原を認識し、同抗原に対して高い親和性を有し/同抗原に結合する。好ましくは、T細胞活性化は、多重特異性ポリペプチドがT細胞に対してターゲット細胞の表面上に提示された場合にのみ見られる。活性化についてのターゲット細胞の抗原依存性は、好ましい安全性プロファイルをもたらす。ある実施態様において、本多重特異性ポリペプチドは、T細胞とターゲット細胞とを一過性に繋ぐ。好ましくは、多重特異性ポリペプチドは、ターゲット細胞の非常に強力な再指向性を有する溶解のために、休止ポリクローナルT細胞、例えば、CD4+及び/又はCD8+T細胞を活性化状態に誘引することができる。好ましくは、T細胞は、第1ターゲット細胞の溶解後に、次のターゲット細胞に指向性を有する。
【0233】
2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(例えば、少なくとも2つの本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン)を含むか、又は、これから本質的になるタンパク質及びポリペプチドは、本明細書において、「多価」タンパク質もしくはポリペプチド又は「多価構築物」と呼ばれるであろう。このような多価構築物の一部の非限定的な例は、本明細書における更なる説明から明らかとなるであろう。本発明のポリペプチドは、「多価」である、すなわち、2つ以上の構築ブロック又はISVを含む。その内の、少なくとも第1構築ブロック、ISV、又はナノボディと、第2構築ブロック、ISV、又はナノボディとは異なり、異なるターゲット、例えば、抗原又は抗原決定基に指向性を有する。少なくとも2つの構築ブロック、ISV、又はナノボディを含有する本発明のポリペプチド(その内の、少なくとも1つの構築ブロック、ISV、又はナノボディは第1抗原(すなわち、第1ターゲット、例えば、CD3等)に指向性を有し、少なくとも1つの構築ブロック、ISV、又はナノボディは第2抗原(すなわち、第1ターゲットとは異なる第2ターゲット、例えば、TAA、例えば、CD20又はHER2等)に指向性を有する)は、本発明の「多重特異性」ポリペプチドとも呼ばれるであろう。このようなポリペプチドに存在する構築ブロック、ISV、又はナノボディは、本明細書において、「多価フォーマット」又は「多重特異性フォーマット」にあるとも呼ばれるであろう。このため、例えば、本発明の「二重特異性」ポリペプチドは、第1ターゲット(例えば、CD3)に指向性を有する少なくとも1つの構築ブロック、ISV、又はナノボディと、第2ターゲット(すなわち、前記第1ターゲットとは異なる第2ターゲット、例えば、TAA、例えば、CD20又はHER2等)に指向性を有する少なくとも1つの更なる構築ブロック、ISV、又はナノボディとを含むポリペプチドである。一方、本発明の「三重特異性」ポリペプチドは、第1ターゲット(例えば、CD3)に指向性を有する少なくとも1つの構築ブロック、ISV、又はナノボディと、前記第1ターゲットとは異なる第2ターゲット(例えば、TAA、例えば、CD20又はHER2)に指向性を有する第2構築ブロック、ISV、又はナノボディと、第3抗原(すなわち、第1及び第2ターゲットの両方とは異なる、例えば、別のTAA)に指向性を有する少なくとも1つの更なる構築ブロック、ISV、又はナノボディとを含むポリペプチドである;等である。説明から明らかであろうように、本発明は、本発明の多重特異性ポリペプチドが、第1ターゲットに対する少なくとも第1構築ブロック、ISV、又はナノボディと、第2ターゲットに対する第2構築ブロック、ISV、又はナノボディと、第1及び/又は第2ターゲットそれぞれと同じか又は異なることができる1つ以上のターゲットに指向性を有する任意の数の構築ブロック、ISV、又はナノボディとを含むことができる意味において、二重特異性ポリペプチドに限定されない。構築ブロック、ISV、又はナノボディは、場合により、リンカー配列を介して結合することができる。
【0234】
二重特異性ポリペプチド、二重特異性フォーマット、二重特異性構築物、二重特異性ナノボディ構築物、二重特異性抗体(bispecific)、及び二重特異性抗体(bispecific antibody)という用語は、本明細書において、互換的に使用される。
【0235】
上記及び本明細書における更なる説明から明らかであろうように、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、1つの分子内で、1つ以上の所望の特性又は生体機能を組み合わせる、本明細書で記載された化合物又は構築物(例えば、本明細書で記載された本発明の二価/三価/四価/多価及び二重/三重/四重/多重特異性ポリペプチドを含むが、これらに限定されない)を形成するために、本発明のポリペプチドを、例えば、それらと、他の基、残基、部分、又は結合単位とを適切に組み合わせることにより形成する「構築ブロック」として使用することができる。
【0236】
CD3に結合するISVとターゲット細胞上の抗原に結合するISVとは、本発明のポリペプチドにおいて、任意の順序で配置することができることが、理解されるであろう(実施例セクションにおいても説明されている)。とりわけ、一実施態様において、CD3に結合するISVは、N末端に配置され、ターゲット細胞上の抗原に結合するISVは、C末端に配置される。別の実施態様では、ターゲット細胞上の抗原に結合するISVは、N末端に配置され、CD3に結合するISVは、C末端に配置される。
【0237】
好ましい態様では、本発明のポリペプチドは、少なくとも第1、少なくとも第2、及び少なくとも第3免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)を含み、ここで、前記少なくとも第1ISVは、CD3に対する高い親和性を有し/同CD3に結合し、前記少なくとも第2ISVは、ターゲット細胞上の第1抗原に対する高い親和性を有し/同第1抗原に結合し、前記少なくとも第3ISVは、ターゲット細胞上の第2抗原に対する高い親和性を有し/同第2抗原に結合し、ここで、前記第2抗原は、前記第1抗原とは異なる。前記第1抗原と前記第2抗原とは、同じか又は異なるターゲット細胞上に存在することができる。
【0238】
CD3に結合するISVとターゲット細胞上の第1及び第2抗原に結合するISVとは、本発明のポリペプチドにおいて、任意の順序で配置することができることが、理解されるであろう(実施例セクションにおいても説明されている)。とりわけ、一実施態様において、CD3に結合するISVは、N末端に配置され、ターゲット細胞上の第1抗原に結合するISVは、中央に配置され、ターゲット細胞上の第2抗原に結合するISVは、C末端に配置される。別の実施態様では、CD3に結合するISVは、N末端に配置され、ターゲット細胞上の第2抗原に結合するISVは、中央に配置され、ターゲット細胞上の第1抗原に結合するISVは、C末端に配置される。別の実施態様では、ターゲット細胞上の第1抗原に結合するISVは、N末端に配置され、ターゲット細胞上の第2抗原に結合するISVは、中央に配置され、CD3に結合するISVは、C末端に配置される。別の実施態様では、ターゲット細胞上の第1抗原に結合するISVは、N末端に配置され、CD3に結合するISVは、中央に配置され、ターゲット細胞上の第2抗原に結合するISVは、C末端に配置される。別の実施態様では、ターゲット細胞上の第2抗原に結合するISVは、N末端に配置され、CD3に結合するISVは、中央に配置され、ターゲット細胞上の第1抗原に結合するISVは、C末端に配置される。別の実施態様では、ターゲット細胞上の第2抗原に結合するISVは、N末端に配置され、ターゲット細胞上の第1抗原に結合するISVは、中央に配置され、CD3に結合するISVは、C末端に配置される。
【0239】
本発明は、更に、1つ以上の本発明のISV又はポリペプチドを含むか、又は、これらから本質的になり、場合により、1つ以上の他の基、残基、部分、又は結合単位を更に含む、化合物又は構築物、特に、タンパク質又はポリペプチドに関する。本明細書における更なる開示から当業者に明らかとなるであろうように、このような更なる基、残基、部分、結合単位、又はアミノ酸配列は、本発明のポリペプチドに(及び/又は、それが存在する化合物もしくは構築物に)更なる機能性を提供してもよいし、又は、提供しなくてもよく、本発明のポリペプチドの特性を改変してもよいし、又は、改変しなくてもよい。
【0240】
本発明の化合物、構築物、又はポリペプチドは、本発明の化合物、構築物、又はポリペプチドを提供するために、一般的には、1つ以上の本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインを、1つ以上の更なる基、残基、部分又は結合単位に、場合により、1つ以上の適切なリンカーを介して、適切に結合させる少なくとも1つの工程を含む方法により調製することができる。本発明のポリペプチドは、一般的には、本発明のポリペプチドをコードする核酸を提供し、前記核酸を適切な方法で発現させ、発現された本発明のポリペプチドを回収する工程を少なくとも含む方法によっても調製することができる。このような方法は、それ自体公知の方法において行うことができる。同方法は、例えば、本明細書において更に記載された方法及び技術に基づいて、当業者に明らかであろう。
【0241】
本発明のアミノ酸配列から開始する本発明の化合物、構築物、又はポリペプチドを、設計し/選択し、及び/又は、調製する方法は、本明細書において、前記本発明のアミノ酸配列を「フォーマットする」とも呼ばれる。また、本発明の化合物、構築物、又はポリペプチドの一部を構成する本発明のアミノ酸は、前記本発明の化合物、構築物、又はポリペプチドに「フォーマットされる」、又は、これらのフォーマットされた状態にあると言われる。本発明のアミノ酸配列をフォーマットすることができる方法の例及びこのようなフォーマットの例は、本明細書における開示に基づいて、当業者に明らかであろう。このようなフォーマットされた免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドは、本発明の更なる態様を構成する。
【0242】
例えば、このような更なる基、残基、部分、又は結合単位は、1つ以上の更なる免疫グロブリン単一可変ドメインであることができる。これにより、本化合物又は構築物は、(融合)タンパク質又は(融合)ポリペプチドである。好ましいが非限定的な態様では、前記1つ以上の他の基、残基、部分、又は結合単位は、免疫グロブリン配列である。更により好ましくは、前記1つ以上の他の基、残基、部分、又は結合単位は、ドメイン抗体、ドメイン抗体として使用するのに適した免疫グロブリン単一可変ドメイン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体として使用するのに適した免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)、「dAb」、dAbとして使用するのに適した免疫グロブリン単一可変ドメイン、又はナノボディからなる群より選択される。あるいは、このような基、残基、部分、又は結合単位は、例えば、それ自体が生物学的及び/もしくは薬理学的に活性であっても、又は、活性でなくてもよい、化学基、残基、部分であることができる。例えば、限定されないが、このような基は、本明細書で更に記載されているように、本発明のISV又はポリペプチドの「誘導体」を提供するために、1つ以上の本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドに結合することができる。
【0243】
また、本明細書で記載された1つ以上の誘導体を含むか、又は、同誘導体から本質的になり、場合により、1つ以上のリンカーを介して結合される場合により、1つ以上の他の基、残基、部分、又は結合単位を更に含み、化合物又は構築物も、本発明の範囲内である。好ましくは、前記1つ以上の他の基、残基、部分、又は結合単位は、免疫グロブリン単一可変ドメインである。上記された化合物又は構築物において、1つ以上の本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインと、1つ以上の基、残基、部分、又は結合単位とは、互いに直接、及び/又は、1つ以上の適切なリンカーもしくはスペーサーを介して結合していることができる。例えば、1つ以上の基、残基、部分、又は結合単位が免疫グロブリン単一可変ドメインである場合、リンカーは、免疫グロブリン単一可変ドメインであることもできる。これにより、得られた化合物又は構築物は、融合タンパク質又は融合ポリペプチドである。
【0244】
一部の実施態様では、本ポリペプチドは、少なくとも2つ以上の本明細書で開示された免疫グロブリン単一可変ドメインを含む。一部の実施態様では、本ポリペプチドは、2つ以上の本明細書で開示された免疫グロブリン単一可変ドメインから本質的になる。2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン「から本質的になる」ポリペプチドは、2つ以上の本明細書で開示された免疫グロブリン単一可変ドメインに加えて、更なる免疫グロブリン単一可変ドメインを有さない、ポリペプチドである。例えば、2つの免疫グロブリン単一可変ドメインから本質的になるポリペプチドは、更なる免疫グロブリン単一可変ドメインを何ら含まない。ただし、2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインから本質的になるポリペプチドは、更なる機能性、例えば、ラベル、トキシン、1つ以上のリンカー、結合配列等を含むことができることを、理解されたい。これらの更なる機能性は、アミノ酸系の基及び非アミノ酸系の基の両方を含む。一部の実施態様では、本ポリペプチドは、1つ以上の本明細書で開示された免疫グロブリン単一可変ドメインからなる。「ポリペプチド構築物」及び「ポリペプチド」という用語は、本明細書において、(文脈が他に明確に示さない限り)互換的に使用することができることを、理解されたい。
【0245】
一部の実施態様では、本ポリペプチドは、本明細書で開示された免疫グロブリン単一可変ドメインを含む、多価又は多重特異性構築物を含む。一部の実施態様では、本ポリペプチドは、本明細書で開示された1つ以上の抗体系足場及び/又は非抗体系足場を含む。一部の実施態様では、本ポリペプチドは、血清結合タンパク質部分を含む。一部の実施態様では、血清結合タンパク質部分は、免疫グロブリン単一可変ドメインである。一部の実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメインは、Nanobody(登録商標)である。
【0246】
ポリペプチド上での構築ブロック、例えば、第1構築ブロック、第2構築ブロック、第3構築ブロック等の順序(配向)は、当業者の必要性、及びポリペプチド中におけるこれらの構築ブロックの位置に依存し得る相対的な親和性に応じて選択することができることが理解される。本ポリペプチドがリンカーを含むかどうかは、設計選択事項である。ただし、リンカーの有無を問わず、一部の配向は、他の配向と比較して、好ましい結合特性を提供する場合がある。例えば、本発明のポリペプチドにおける第1及び第2構築ブロックの順序は、(N末端からC末端にかけて):(i)第1構築ブロック(例えば、第1ISV、例えば、第1ナノボディ)-[リンカー]-第2構築ブロック(例えば、第2ISV、例えば、第2ナノボディ);又は(ii)第2構築ブロック(例えば、第2ISV、例えば、第2ナノボディ)-[リンカー]-第1構築ブロック(例えば、第1ISV、例えば、第1ナノボディ);(ここで、リンカーは任意である)であることができる。全ての配向が、本発明に包含される。所望の(結合)特性を提供する構築ブロックの配向を含有するポリペプチドは、例えば、実験セクションで例示されたルーチンなスクリーニングにより、容易に特定することができる。
【0247】
本発明のポリペプチドの第1免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)は、エフェクター細胞、好ましくは、前記エフェクター細胞のTCR複合体、及び更により好ましくは、CD3に対する高い親和性を有し、これらに結合する。
【0248】
エフェクター細胞は、TCR複合体を含む細胞、好ましくは、免疫細胞、例えば、Tヘルパー細胞、単球、マクロファージ、又は樹状細胞、好ましくは、CD4Tヘルパー細胞(CD4細胞、Tヘルパー細胞、又はT4細胞としても公知)、より好ましくは、細胞傷害性T細胞(T細胞、CTL、又はCD8T細胞としても公知)、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)又はナチュラルキラー細胞(NK細胞)である。一部の実施態様では、該細胞は、in vivoにおいて存在する。一部の実施態様では、該細胞は、in vitroにおいて存在する。本発明のエフェクター細胞は、特に、哺乳類細胞、好ましくは、霊長類細胞、及び更により好ましくは、ヒト細胞に関する。
【0249】
本明細書で使用する場合、「TCR複合体」又は「αβ TCR-CD3複合体」という用語は、T細胞表面に提示されるT細胞レセプター複合体を指す(Kuhns et al. 2006, Immunity 24:133-139を参照のこと)。TCR複合体は、6種類のI型1回貫通型膜タンパク質:リガンド認識を担うTCRヘテロ二量体を形成するTCRα及びTCRβ鎖、ならびに、非共有的に会合したCD3γ、CD3δ、CD3ε、及びζ鎖から構成される。これらは、レセプター活性化時にリン酸化される細胞質配列モチーフを有し、大量のシグナル伝達成分をリクルートする。T細胞レセプターのα及びβ鎖は両方とも、定常ドメインと可変ドメインとからなる。ヒトCD3及びヒトTCRα/β定常ドメインについての配列は、表A-10に提供される(配列番号:291~296;参照 UniProtKB:CD3デルタ:P04234、CD3ガンマ:P09693、CD3イプシロン:P07766、CD3ゼータ:P20963、TCRアルファ:P01848、及びTCRベータ:P01850)。
【0250】
ある実施態様において、本発明は、前記第1ISVが、TCR複合体のCD3γ(配列番号:292)、CD3δ(配列番号:291)、及び/もしくはCD3ε(配列番号:293)、又は、それらの多形変異体もしくはアイソフォームに結合する、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0251】
あるいは、本発明は、前記第1ISVが、TCR複合体のCD3γ(配列番号:379)、CD3δ(配列番号:291)、及び/もしくはCD3ε(配列番号:380)、又は、それらの多形変異体もしくはアイソフォームに結合する、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。
【0252】
アイソフォームは、生物学的事象、例えば、選択的プロモーター利用、選択的スプライシング、選択的開始、及びリボソームフレームシフト(全て当技術分野において公知)の1つ又は組み合わせにより同じ遺伝子から生じることができる代替的なタンパク質配列である。
【0253】
本明細書で使用する場合、「T細胞活性化」は、T細胞、例えば、細胞傷害性T細胞の1つ以上の細胞応答を指し、例えば、増殖、分化、サイトカイン分泌、細胞傷害性エフェクター分子の放出、細胞傷害性活性、活性化マーカーの発現、及び再指向性を有するターゲット細胞溶解から選択される。本発明のポリペプチドは、T細胞活性化を誘引することができる。T細胞活性化を測定するのに適したアッセイ法は、本明細書で記載される、例えば、国際公開公報第99/54440号もしくはSchlereth et al. 2005(Cancer Immunol. Immunother. 20: 1-12)に記載されるように、又は、実施例もしくは以下に例示されるように、当技術分野において公知である。
【0254】
ある実施態様において、本発明は、T細胞活性化を誘引する、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。好ましくは、本発明のポリペプチドは、前記第2及び/又は更なるISVがターゲット細胞上の抗原に結合した場合にのみ、T細胞活性化を誘引する。
【0255】
ある実施態様において、本発明は、前記T細胞活性化が、ターゲット細胞上の前記第1抗原に結合した前記ポリペプチドを、T細胞に提示することに依存する、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0256】
本発明のポリペプチドによるT細胞活性化は、CD69、CD25、及び種々の細胞接着分子のアップレギュレーション、サイトカイン(例えば、IFN-γ、TNF-α、IL-6、IL-2、IL-4、及びIL-10)のde nove発現及び/又は放出、グランザイムのアップレギュレーション及びパーフォリンの発現、ならびに/又は、細胞増殖、膜小疱形成、プロカスパーゼ3及び/もしくは7の活性化、核DNAの断片化、ならびに/又は、カスパーゼの基質であるポリ(ADPリボース)ポリメラーゼの開裂によりモニターすることができる。好ましくは、多重特異性ポリペプチドによるターゲット細胞の再指向性を有する溶解は、T細胞レセプター特異性、MHCクラスI及び/もしくはβ2ミクログロブリンの存在、ならびに/又は、任意の同時刺激性刺激とは独立している。
【0257】
ある実施態様において、本発明は、前記T細胞活性化が、MHC認識とは独立している、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0258】
本発明のポリペプチドは、予め刺激されていない末梢ポリクローナルCD8及びCD4陽性T細胞に対する、in vitroにおいて再指向性を有する溶解を示す。本発明のポリペプチドによるT細胞のリクルートによるターゲット細胞の再指向性を有する溶解は、細胞傷害性シナプス形成ならびにパーフォリン及びグランザイムの輸送を伴う。T細胞による細胞溶解は、例えば、Atkinson and Bleackley 1995(Crit. Rev. Immunol 15(3-4):359-384)に記載されている。好ましくは、携わったT細胞は、連続的なターゲット細胞溶解が可能であり、ペプチド抗原処理及び提示又はクローンT細胞分化を妨害する免疫回避メカニズムにより影響を受けない(例えば、国際公開公報第2007/042261号を参照のこと)。in vitroにおいて、再指向性を有する溶解が、低いピコモル濃度で見られる。このことは、非常に少ない数の本発明のポリペプチドが、T細胞をトリガーするために、ターゲット細胞に結合する必要があることを示唆している。実施例で証明されたように、低いターゲット対エフェクター比は、連続的なターゲット細胞溶解を示す場合がある。したがって、本発明は、効力のあるポリペプチドに関する。好ましくは、本発明のポリペプチドは、ターゲット細胞、例えば、ガン細胞の殺傷、例えば、膜孔形成におけるT細胞の刺激、及び、細胞傷害性T細胞顆粒のアポトーシス促進性成分の輸送を媒介する。
【0259】
ある実施態様において、本発明は、前記T細胞活性化が、前記T細胞の1つ以上の細胞応答を生じさせ、ここで、前記細胞応答が、増殖、分化、サイトカイン分泌、細胞傷害性エフェクター分子放出、細胞傷害性活性、活性化マーカーの発現、及び再指向性を有するターゲット細胞溶解からなる群より選択される本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0260】
本明細書で使用する場合、「効力」という用語は、作用物質、例えば、ポリペプチド、ISV、又はナノボディの生体活性の尺度である。作用物質の効力は、例えば、実験セクションで記載されたような、当技術分野において公知の任意の適切な方法により測定することができる。細胞培養系効力アッセイ法は、多くの場合、生体活性を測定するのに好ましいフォーマットである。このようなアッセイ法は、作用物質により誘引される生理学的応答を測定し、比較的短い期間で結果を出すことができるためである。生成物の作用メカニズムに基づく種々の種類の細胞系アッセイ法を、使用することができる。同アッセイ法は、全て当技術分野において周知の、増殖アッセイ法、細胞傷害性アッセイ法、細胞殺傷アッセイ法、レポーター遺伝子アッセイ法、細胞表面レセプター結合アッセイ法、及び、機能的に必須のタンパク質又は他のシグナル分子(例えば、リン酸化タンパク質、酵素、サイトカイン、cAMP等)の誘引/阻害を測定するアッセイ法、Ramos B細胞枯渇モデル、T細胞媒介性腫瘍細胞殺傷アッセイ法(例えば、実施例セクションで表示)を含むが、これらに限定されない。細胞系効力アッセイ法からの結果は、本発明の多重特異性ポリペプチドと、対応する参照の一価ISV、例えば、1つのISV又は1つのナノボディのみを含み、場合により、無関係のナノボディ(参照 実験セクション)を更に含むポリペプチドについて得られた応答とを比較することにより決定された「相対効力」として表現することができる。
【0261】
ある実施態様において、本発明は、前記T細胞活性化が、例えば、約10%超、例えば、20%、30%、もしくは40%、又は更に、50%超、例えば、60%超、例えば、70%、80%、又は更に、90%超、例えば、100%で、ターゲット細胞の広がりを遅延させ、もしくは、最小化し、ターゲット細胞の成長及び/もしくは増殖を阻害し、もしくは、遅延させ、ならびに/又は、ターゲット細胞を殺傷するために、前記ターゲット細胞の活性の阻害を生じさせる(例えば、障害及び/又は兆候を回帰させる)、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0262】
本発明の第1構築ブロック、ISV、ナノボディ、又はVHHは、そのターゲット、すなわち、CD3に対する高い親和性を有する。本発明の第1構築ブロック、ISV、又はナノボディは、例えば、前記第1ターゲットの抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又はコンホーメーション(適用可能である場合)に指向性を有することができる。第1構築ブロック、例えば、第1ISV、ナノボディ、又はVHHは、好ましくは、任意の結合活性作用の影響に関わらず、そのターゲット自体に対するその高い親和性について選択される。
【0263】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、100nM~10pMの平均KD値で、例えば、90nM以下の平均KD値で、更により好ましくは、80nM以下、例えば、70未満、60、50、40、30、20、10、5nM以下、例えば、4、3、2、もしくは1nM未満、例えば、500未満、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20pM以下、例えば、10pM未満の平均KD値で、CD3に結合する、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。好ましくは、KDは、Kinexa、又は、例えば、Proteonにより測定されるSPRにより測定される。例えば、前記KDは、実施例セクションで提示されるように測定される。
【0264】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、一価として測定された場合、高い親和性を有する、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。好ましくは、前記平均KDは、リコンビナントタンパク質での表面プラズモン共鳴(SPR)により測定される。
【0265】
したがって、本発明は、好ましくは、表面プラズモン共鳴により測定された場合、最大約10-5M、最大約10-6M、最大約10-7M、最大約10-8M、最大約10-9M、最大約10-10M、最大約10-11M、及び最大約10-12Mからなる群から選択される、前記CD3に対する(又は同CD3に結合するための)解離定数(KD)を有する本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0266】
また、本発明は、前記第1ISVが、100nM~1pMのEC50値で、例えば、100nM以下の平均EC50値で、更により好ましくは、90nM以下、例えば、80未満、70、60、50、40、30、20、10、5nM以下、例えば、4未満、3、2、もしくは1nM以下、例えば、500未満、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5pM以下、例えば、4pM未満の平均EC50値で、前記CD3に結合する、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0267】
したがって、本発明は、前記平均KDが、一価の第1ISV、例えば、ナノボディ、又は、一価の第1ISV、例えば、ナノボディを含むポリペプチドでのFACS、Biacore、ELISAにより測定される本明細書で記載されたポリペプチドに関する。例えば、前記EC50は、実施例セクションで提示されるように測定される。
【0268】
KDが、EC50と十分相関することは、実施例において示されている。
【0269】
ある実施態様において、本発明は、好ましくは、表面プラズモン共鳴により測定され、又は、実施例セクションで行われたように測定された場合、少なくとも約10M-1s-1、少なくとも約10M-1s-1、少なくとも約10M-1s-1、少なくとも約10M-1s-1、少なくとも約10M-1s-1、10M-1s-1、少なくとも約10M-1s-1、少なくとも約10M-1s-1、及び少なくとも約1010M-1s-1からなる群より選択される、前記CD3に対する(又は、同CD3に結合するための)onレート定数(Kon)を有する、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0270】
ある実施態様において、本発明は、好ましくは、表面プラズモン共鳴により測定され、又は、実施例セクションで行われたように測定された場合、最大約10-3s-1、最大約10-4s-1、最大約10-5s-1、最大約10-6s-1、最大約10-7s-1、最大約10-8s-1、最大約10-9s-1、及び最大約10-10s-1からなる群より選択される、前記CD3に対する(又は、同CD3に結合するための)offレート定数(Koff)を有する、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0271】
本明細書で記載された結合分子、ISV、又はポリペプチドのアミノ酸配列の改変が企図される。例えば、抗体又はISVの結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善するのが望ましい場合がある。結合分子、ISV、又はポリペプチドのアミノ酸配列変異体は、適切なヌクレオチド変化を、結合分子、ISV、又はポリペプチドの核酸に導入することにより、又は、ペプチド合成により調製される。
【0272】
このような改変は、例えば、結合分子、ISV、又はポリペプチドのアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は、同アミノ酸配列内の残基への挿入、及び/又は、同アミノ酸配列内の置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが、最終的な構築物を生じさせるのになされる。ただし、最終的な構築物は、所望の特性を有するという条件である。アミノ酸変化はまた、結合分子の翻訳後プロセスを変化させる、例えば、グリコシル化部位の数又は位置の変更させることもできる。好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸を、CDR中で置換することができ、一方、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は25個のアミノ酸を、フレームワーク領域(FR)中で置換することができる。これらの置換は、好ましくは、本明細書で記載された保存的置換である。付加的に又は代替的に、1、2、3、4、5、又は6個のアミノ酸を、CDRそれぞれに(当然、それらの長さに応じて)、挿入し、又は、欠失させることができる。一方、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は25個のアミノ酸を、FRそれぞれに挿入し、又は、欠失させることができる。
【0273】
結合分子、ISV、又はポリペプチドの特定の残基又は領域(変異誘発に好ましい位置である)を特定するのに有用な方法は、Cunningham and Wells 1989(Science 244: 1081-1085)に記載されている、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。ここで、結合分子内の残基又は一群のターゲット残基が特定され(例えば、荷電残基、例えば、Arg、Asp、His、Lys、及びGlu)、アミノ酸とエピトープとの相互作用に影響を及ぼす、中性又は負に荷電したアミノ酸(最も好ましくは、アラニン又はポリアラニン)により置き換えられる。ついで、置換に対して機能的な感受性を示すアミノ酸位置は、更なる又は他の変異体を置換部位に又は置換のために導入することにより改良される。このため、アミノ酸配列変異を導入するための部位は予め決まっているが、変異自体の性質は、予め決まっている必要はない。例えば、所定部位における変異の性能を分析するために、alaスキャニング又はランダム変異誘発が、ターゲットコドン又は領域において行われる。発現された結合分子変異体は、所望の活性についてスクリーニングされる。
【0274】
好ましくは、アミノ酸配列挿入は、数百以上の残基を含有するポリペプチドに対する、長さが1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の残基の範囲の、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端融合を含む。
【0275】
別の種類の変異体は、アミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、好ましくは、別の残基により置き換えられた、結合分子、ISV、又はポリペプチド中の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸残基を有する。置換変異誘発に最も対象となる部位は、CDR、特に、超可変領域を含むが、FR変異も企図される。例えば、CDR配列が6個のアミノ酸を包含する場合、1、2、又は3つのこれらのアミノ酸が置換されることが考えられる。同様に、CDR配列が15個のアミノ酸を包含する場合、1、2、3、4、5、又は6個のこれらのアミノ酸が置換されることが考えられる。
【0276】
一般的には、アミノ酸が、1つ以上又は全てのCDRにおいて置換される場合、そのようにして得られた「置換」配列は、「元の」CDR配列に対して、少なくとも60%、より好ましくは65%、更により好ましくは70%、特に好ましくは75%、とりわけ好ましくは80%、又は更に、90%超同一であることが好ましい。このことは、「置換」配列に対してどの程度同一であるかは、CDRの長さに依存することを意味する。例えば、5個のアミノ酸を有するCDRは、好ましくは、置換された少なくとも1つのアミノ酸を有するために、その置換配列に対して80%同一である。したがって、結合分子のCDRは、その置換配列に対する種々の度合いの同一性を有することができる。例えば、CDR1は、80%を有することができ、一方、CDR3は、90%を有することができる。
【0277】
好ましい置換(又は置換え)は、保存的置換である。ただし、本ポリペプチドがT細胞上に存在するCD3に第1ISVにより結合し、かつターゲット細胞上の第1抗原に第2ISVにより結合するその能力を保持しており、そして/又は、そのCDRが置換配列に対して同一性を有する(「元の」CDR配列に対して、少なくとも60%、より好ましくは65%、更により好ましくは70%、特に好ましくは75%、とりわけ好ましくは80%同一である)限り、任意の置換(非保存的置換又は以下の表B-1に列記された「例示的な置換」からの1つ以上を含む)が想定される。
【0278】
保存的置換は、以下の表B-1に示される。
【0279】
【表1】
【0280】
配列分析から、CDR中の配列変異は限られた数のみが存在することが、更に証明された(参照 実施例4.2及び表A-1~A-6)。
【0281】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81~100、及び
(b)配列番号:81のアミノ酸配列又は配列番号:81~100のいずれかに対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:101~122、及び
(d)配列番号:101のアミノ酸配列又は配列番号:101~122のいずれかに対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:123~143、及び
(f)配列番号:123のアミノ酸配列又は配列番号:123~143のいずれかに対して、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドに関する。
【0282】
更に好ましいCDR配列は、表A-8に示される。
【0283】
一般的には、表A-8に列記されたCDRの組み合わせ(すなわち、表A-4において同じ列で言及されたもの)が好ましい。このため、ISVにおけるCDRが、表A-8で言及されたCDR配列であるか、又は、表A-8に列記されたCDR配列に対して、4、3、2、又は1個のみのアミノ酸差を有するCDR配列からなる群より適切に選択されたCDR配列である場合、他のCDRの少なくとも1つ好ましくは両方が、表A-8における同じ組み合わせに属する(すなわち、表A-8において同じ列で言及された)CDR配列から適切に選択されるか、又は、同じ組み合わせに属するCDR配列に対して、4、3、2、又は1個のみのアミノ酸差を有するCDR配列からなる群より適切に選択されるのが、一般的に好ましい。
【0284】
得られたバインダーの配列分析から、6つの区別できるクラスターの特定が更にもたらされた。対応するアライメントが提供される(表A-1、表A-2、表A-3、表A-4、表A-5、及び表A-6を参照のこと)。クラスタリングは、CDR2及びCDR3における配列の類似性及び差異に基づいた。クラスターAは、50個のクローン(配列番号:1~50)を含む最も顕著なものである。クラスターB及びクラスターDはそれぞれ、1つのみのクローン(それぞれ、配列番号:51及び配列番号:52)により表わされる。クラスターCは、4つのクローン(配列番号:53~56)を含む。クラスターEは、9つのクローン(配列番号:57~65)を含む。そして、クラスターFは、15個のクローン(配列番号:66~80)を含む。アミノ酸配列における構造的な類似性及び差異に基づくクラスタリングを、実施例により証明されたように、機能的な類似性及び差異に変換した。全てのクラスターの代表を、CD3(実施例3及び4)に結合する高い親和性及びヒトT細胞活性化(実施例4.2)に基づいて単離した。一般的には、クラスターAの代表が、最も良好なEC50値を示した。クラスターCの代表は、クラスターBの代表よりいくらか小さな好ましいEC50値を有したが、クラスターCの代表は、フローサイトメトリーに基づいたT細胞媒介性Ramos殺傷アッセイ法(参照 実施例10)において、より低いIC50値を有した。
【0285】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、
(a)配列番号:81、及び
(b)配列番号:81に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-1位において、Gが、Rに変更されており、
-3位において、Tが、Aに変更されており、
-4位において、Yが、Fに変更されており、
-8位において、Sが、Gに変更されており、かつ/又は
-10位において、Gが、Aに変更されている、ポリペプチドに関する。
【0286】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR2が、
(a)配列番号:101、及び
(b)配列番号:101に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、
ここで、
-3位において、Vが、T又はAに変更されており、
-5位において、Sが、Tに変更されており、
-6位において、Gが、D又はEに変更されており、かつ/又は
-9位において、Tが、S、A、又はPに変更されている、ポリペプチドに関する。
【0287】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR3が、
(a)配列番号:123、及び
(b)配列番号:123に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Iが、Tに変更されており、
-9位において、Iが、Vに変更されており、かつ/又は
-10位において、Aが、Pに変更されている、ポリペプチドに関する。
【0288】
ある実施態様において、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81~87、及び
(b)配列番号81のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:101~109、及び
(d)配列番号:101のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:123~127、及び
(f)配列番号:123のアミノ酸配列に対して、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドに関する。
【0289】
ある実施態様において、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:81により表わされ、CDR2が、配列番号:101により表わされ、CDR3が、配列番号:123により表わされる、ポリペプチドに関する。
【0290】
クラスターBに属するナノボディは、1つのクローンにより表わされる。
【0291】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:88、及び
(b)配列番号:88のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:110、及び
(d)配列番号:110のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:128、及び
(f)配列番号:128のアミノ酸配列に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドに関する。
【0292】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:88により表わされ、CDR2が、配列番号:110により表わされ、CDR3が、配列番号:128により表わされる、ポリペプチドに関する。
【0293】
クラスターCのナノボディは、CDRにおいて、非常に限られた配列変動性を示す。
【0294】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR2が、
(a)配列番号:112、及び
(b)配列番号:112に対して、1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Vが、Aに変更されている、ポリペプチドに関する。
【0295】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:90、及び
(b)配列番号:90のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:112~113、及び
(d)配列番号:112のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:130、及び
(f)配列番号:130のアミノ酸配列に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドに関する。
【0296】
ある態様において、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:90により表わされ、CDR2が、配列番号:112により表わされ、CDR3が、配列番号:130により表わされる、ポリペプチドに関する。
【0297】
クラスターDに属するナノボディは、1つのクローンにより表わされる。
【0298】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:89、及び
(b)配列番号:89のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:111、及び
(d)配列番号:111のアミノ酸配列に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:129、及び
(f)配列番号:129のアミノ酸配列に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドに関する。
【0299】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:89により表わされ、CDR2が、配列番号:111により表わされ、CDR3が、配列番号:129により表わされる、ポリペプチドに関する。
【0300】
クラスターEは、9つのクローンを含む。
【0301】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、
(a)配列番号:91、及び
(b)配列番号:91に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-6位において、Rが、N又はTに変更されており、
-7位において、Nが、Hに変更されており、かつ/又は
-8位において、Mが、Tに変更されている、ポリペプチドに関する。
【0302】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR2が、
(a)配列番号:114、及び
(b)配列番号:114に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-1位において、Rが、Qに変更されており、
-3位において、Tが、Sに変更されており、かつ/又は
-7位において、Dが、A又はKに変更されている、ポリペプチドに関する。
【0303】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR3が、
(a)配列番号:131、及び
(b)配列番号:131に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Sが、Rに変更されており、かつ/又は
-6位において、Sが、Vに変更されている、ポリペプチドに関する。
【0304】
ある実施態様において、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:91~93、及び
(b)配列番号:91のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:114~117、及び
(d)配列番号:114のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:131~133、及び
(f)配列番号:131のアミノ酸配列に対して、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドに関する。
【0305】
ある実施態様において、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:91により表わされ、CDR2が、配列番号:114により表わされ、CDR3が、配列番号:131により表わされる、ポリペプチドに関する。
【0306】
クラスターFに属するナノボディは、15個のクローンにより表わされる。
【0307】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、
(a)配列番号:94、及び
(b)配列番号:94に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-3位において、Sが、T、A、又はGに変更されており、
-5位において、Nが、Sに変更されており、
-6位において、Mが、T又はAに変更されており、かつ/又は
-9位において、Lが、Mに変更されている、ポリペプチドに関する。
【0308】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR2が、
(a)配列番号:118、及び
(b)配列番号:118に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Hが、Vに変更されており、
-5位において、Sが、H又はAに変更されており、
-8位において、Nが、Sに変更されており、かつ/又は
-10位において、Yが、Fに変更されている、ポリペプチドに関する。
【0309】
したがって、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR3が、
(a)配列番号:134、及び
(b)配列番号:134に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-6位において、Aが、S又はDに変更されており、
-7位において、Fが、Y又はAに変更されており、
-8位において、Rが、Hに変更されており、
-9位において、Sが、Aに変更されており、
-11位において、Gが、D、T、N、S、K、又はRに変更されており、かつ/又は
-14位において、Vが、Iに変更されている、ポリペプチドに関する。
【0310】
ある実施態様において、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:94~100、及び
(b)配列番号:94のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:118~122、及び
(d)配列番号:118のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:134~143、及び
(f)配列番号:134のアミノ酸配列に対して、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドに関する。
【0311】
ある実施態様において、本発明は、前記第1ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDR1が、配列番号:94により表わされ、CDR2が、配列番号:118により表わされ、CDR3が、配列番号:134により表わされる、ポリペプチドに関する。
【0312】
本発明のポリペプチドの第2免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)は、ターゲット細胞、好ましくは、ガン細胞上の抗原に対する高い親和性を有し/同抗原に結合する。本明細書で呼ばれる場合、「ターゲット細胞」は、その表面上に特定の抗原を提示している細胞である。好ましい態様では、「ターゲット細胞」は、ガン細胞である。
【0313】
膜(原形質膜又はリン脂質二重層とも呼ばれる)は、細胞の細胞質を取り囲み、細胞の外側の境界である。すなわち、該膜は、細胞の表面である。この膜は、細胞を、その周囲の環境から分離し、保護するのに機能し、主に、リン脂質の二重層から構成される。この膜内には、各種のタンパク質分子、例えば、チャネル、ポンプ、及び細胞レセプターが埋め込まれている。該膜は流動的であるため、タンパク質分子は、該膜内を移動することができる。本明細書で使用する場合、「ターゲット細胞上の抗原」という用語は、細胞の表面上に提示されている分子を意味する。ほとんどの場合、この分子は、細胞の原形質膜中又は同原形質膜上に位置しているであろう。これにより、この分子の少なくとも一部が、三次構造において細胞の外側からアクセス可能な状態にある。原形質膜中に位置している細胞表面分子の非限定的な例は、その三次コンホーメーションにおいて、親水性及び疎水性の領域を含む膜貫通タンパク質である。ここで、少なくとも1つの疎水性領域により、その細胞表面分子が、細胞の疎水性原形質膜中に埋め込まれ、又は、挿入されることが可能であり、一方で、親水性領域は、原形質膜のいずれかの側において、それぞれ細胞質及び細胞外空間に広がっている。
【0314】
前記抗原は、細胞上の任意のターゲット、例えば、腫瘍抗原であることができる。好ましい実施態様では、前記抗原は、前記ターゲット細胞、例えば、ガン細胞に特異的であり、例えば、前記がん細胞上の腫瘍関連抗原(TAA)である。
【0315】
本明細書で使用する場合、「腫瘍抗原」という用語は、腫瘍細胞上に提示されている抗原であると理解することができる。これらの抗原は、多くの場合、分子の膜貫通部分及び細胞質部分と結びついている細胞表面上の細胞外部分に提示される場合があり、これらの抗原は、腫瘍細胞によってのみ提示され、正常又は健常な細胞によっては提示されない場合がある。腫瘍抗原は、腫瘍細胞上だけに発現することができ、又は正常な細胞と比較して、腫瘍特異的変異を表わす場合がある。この場合、これらは腫瘍特異的抗原と呼ばれる。ただし、このことは、一般的なことではないであろう。より一般的には、抗原は、腫瘍細胞及び正常な細胞により提示され、「腫瘍関連抗原(TAA)」と呼ばれる。これらの腫瘍関連抗原は、正常な細胞と比較して、腫瘍細胞上で過剰発現している場合があり又は、正常な組織と比較して、腫瘍組織の構造がそれほど小型でないために、腫瘍細胞における抗体結合に、より良好にアクセス可能である。TAAは、好ましくは、特定の腫瘍の細胞上に発現されるが、好ましくは、正常な細胞では発現されていない抗原である。多くの場合、TAAは、生物発達における(例えば、胎児の発達の間の)特定の時点においてのみ、細胞中に正常に発現され、発達の現時点において生物中で不適切に発現される抗原、又は、抗原を現在発現している臓器の正常な組織又は細胞中では発現されていない抗原である。
【0316】
ある実施態様において、ターゲット細胞上の前記第1抗原は、腫瘍抗原、好ましくは、腫瘍関連抗原(TAA)である。
【0317】
ある実施態様において、ターゲット細胞上の前記第2抗原は、腫瘍抗原、好ましくは、腫瘍関連抗原(TAA)である。
【0318】
ある実施態様において、前記抗原は、正常な細胞上より、ガン細胞上に豊富に存在している。ターゲット細胞上の抗原は、好ましくは、腫瘍関連抗原(TAA)である。好ましいTAAは、MART-1、ガン胎児性抗原(「CEA」)、gp100、MAGE-1、HER-2、CD20、ルイスY抗原、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、上皮成長因子レセプター(EGFR)、繊維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、CD19、及びCD33を含む。
【0319】
正常な造血幹細胞と比較して、AML LSC上に優先的に発現されているため、TAAとして好ましい細胞表面抗原は、CD123、CD44、CLL-1、CD96、CD47、CD32、CXCR4、Tim-3、及びCD25を含む。
【0320】
本発明のポリペプチド内の第2ISVにより結合するためのターゲット細胞上の抗原として適切な他の腫瘍関連抗原は、TAG-72、Ep-CAM、PSMA、PSA、糖脂質、例えば、GD2及びGD3を含む。
【0321】
本発明のTAAは、造血分化抗原、すなわち、表面抗原分類(CD)グループに通常会合する糖タンパク質、例えば、CD4、CD5、CD19、CD20、CD22、CD33、CD36、CD45、CD52、CD69及びCD147;HER2、ErbB3、及びErbB4を含む成長因子レセプター;インターロイキン-2レセプターのガンマ鎖(CD132抗原)、インターロイキン-10レセプターのアルファ鎖(IL-10R-A)、インターロイキン-10レセプターのベータ鎖(IL-10R-B)、インターロイキン-12レセプターのベータ-1鎖(IL-12R-ベータ1)、インターロイキン-12レセプターのベータ-2鎖(IL-12レセプターのベータ-2)、インターロイキン-13レセプターのアルファ-1鎖(IL-13R-アルファ-1)(CD213a1抗原)、インターロイキン-13レセプターのアルファ-2鎖(インターロイキン-13結合タンパク質)、インターロイキン-17レセプター(IL-17レセプター)、インターロイキン-17Bレセプター(IL-17Bレセプター)、インターロイキン21レセプター前駆体(IL-21R)、インターロイキン-1レセプターI型(IL-1R-1)(CD121a)、インターロイキン-1レセプターII型(IL-1R-ベータ)(CDw121b)、インターロイキン-1レセプターのアンタゴニストタンパク質(IL-1ra)、インターロイキン-2レセプターのアルファ鎖(CD25抗原)、インターロイキン-2レセプターのベータ鎖(CD122抗原)、インターロイキン-3レセプターのアルファ鎖(IL-3R-アルファ)(CD123抗原)を含むサイトカインレセプター;ならびに、他のもの、例えば、CD30、IL23R、IGF-1R、IL5R、IgE、CD248(エンドシアリン)、CD44v6、gpA33、Ron、Trop2、PSCA、クラウディン6、クラウディン18.2、CLEC12A、CD38、ephA2、c-Met、CD56、MUC16、EGFRvIII、AGS-16、CD27L、ネクチン-4、SLITRK6、メソセリン、葉酸レセプター、組織因子、axl、グリピカン-3、CA9、Cripto、CD138、CD37、MUC1、CD70、ガストリン放出ペプチドレセプター、PAP、CEACAM5、CEACAM6、CXCR7、N-カドヘリン、FXYD2ガンマa、CD21、CD133、Na/K-ATPase、mIgM(膜結合IgM)、mIgA(膜結合IgA)、Mer、Tyro2、CD120、CD95、CA195、DR5、DR6、DcR3、及びCAIXも含む。
【0322】
したがって、本発明は、前記TAAが、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、上皮成長因子レセプター(EGFR)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、MART-1、ガン胎児性抗原(「CEA」)、gp100、MAGE-1、HER-2、ルイスY抗原、CD123、CD44、CLL-1、CD96、CD47、CD32、CXCR4、Tim-3、CD25、TAG-72、Ep-CAM、PSMA、PSA、GD2、GD3、CD4、CD5、CD19、CD20、CD22、CD33、CD36、CD45、CD52、CD147;ErbB3及びErbB4を含む成長因子レセプター;インターロイキン-2レセプターのガンマ鎖(CD132抗原)、インターロイキン-10レセプターのアルファ鎖(IL-10R-A)、インターロイキン-10レセプターのベータ鎖(IL-10R-B)、インターロイキン-12レセプターのベータ-1鎖(IL-12R-ベータ1)、インターロイキン-12レセプターのベータ-2鎖(IL-12レセプターのベータ-2)、インターロイキン-13レセプターのアルファ-1鎖(IL-13R-アルファ-1)(CD213a1抗原)、インターロイキン-13レセプターのアルファ-2鎖(インターロイキン-13結合タンパク質)、インターロイキン-17レセプター(IL-17レセプター)、インターロイキン-17Bレセプター(IL-17Bレセプター)、インターロイキン21レセプター前駆体(IL-21R)、インターロイキン-1レセプターI型(IL-1R-1)(CD121a)、インターロイキン-1レセプターII型(IL-1R-ベータ)(CDw121b)、インターロイキン-1レセプターのアンタゴニストタンパク質(IL-1ra)、インターロイキン-2レセプターのアルファ鎖(CD25抗原)、インターロイキン-2レセプターのベータ鎖(CD122抗原)、インターロイキン-3レセプターのアルファ鎖(IL-3R-アルファ)(CD123抗原)を含むサイトカインレセプター、CD30、IL23R、IGF-1R、IL5R、IgE、CD248(エンドシアリン)、CD44v6、gpA33、Ron、Trop2、PSCA、クラウディン6、クラウディン18.2、CLEC12A、CD38、ephA2、c-Met、CD56、MUC16、EGFRvIII、AGS-16、CD27L、ネクチン-4、SLITRK6、メソセリン、葉酸レセプター、組織因子、axl、グリピカン-3、CA9、Cripto、CD138、CD37、MUC1、CD70、ガストリン放出ペプチドレセプター、PAP、CEACAM5、CEACAM6、CXCR7、N-カドヘリン、FXYD2ガンマa、CD21、CD133、Na/K-ATPase、mIgM(膜結合IgM)、mIgA(膜結合IgA)、Mer、Tyro2、CD120、CD95、CA195、DR5、DR6、DcR3、及びCAIX、ならびに、関連する多形変異体及びアイソフォームからなる群より選択され、好ましくは、前記TAAが、CD20(Uniplot 11836)、HER2(Uniplot P04626)、それらの多形変異体及び/又はアイソフォームである、本明細書で記載されたポリぺプチドに関する。
【0323】
本発明の第2構築ブロック、ISV、ナノボディ、又はVHHは、その抗原に対する高い親和性を有する。本発明の第2構築ブロック、ISV、又はナノボディは、例えば、ターゲット細胞上の前記抗原の抗原決定基、エピトープ、部分、ドメイン、サブユニット、又はコンホーメーション(適用可能である場合)に指向性を有することができる。
【0324】
本発明のターゲット細胞は、特に、哺乳類細胞、好ましくは、霊長類細胞、更により好ましくは、ヒト細胞に関する。ターゲット細胞は、好ましくは、過剰増殖性細胞、例えば、ガン細胞等である。
【0325】
本発明は、前記第2又は更なるISVが、100nM~10pMの平均KD値で、例えば、90nM以下の平均KD値で、更により好ましくは、80nM以下、例えば、70未満、60、50、40、30、20、10、5nM以下、例えば、4、3、2、もしくは1nM未満、例えば、500未満、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20pM以下、例えば、10pM未満の平均KD値で、ターゲット細胞上の抗原に結合する、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。好ましくは、KDは、KinExA、又は、例えば、Proteonにより測定されるSPRにより測定される。
【0326】
したがって、本発明は、前記第2又は更なるISVが、一価として測定された場合、その抗原に対する高い親和性を有する、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0327】
したがって、本発明は、前記平均KDが、例えば、実施例セクションで記載された、例えば、リコンビナントタンパク質についての表面プラズモン共鳴(SPR)及び/又はKinExAもしくはProteonにより測定される。
【0328】
また、本発明は、前記第2又は更なるISVが、100nM~1pMのEC50値で、例えば、100nM以下の平均EC50値で、更により好ましくは、90nM以下、例えば、80未満、70、60、50、40、30、20、10、5nM以下、例えば、4未満、3、2、もしくは1nM以下、例えば、500未満、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5pM以下、例えば、4pM未満の平均EC50値で、ターゲット細胞上の抗原に結合する、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0329】
したがって、本発明は、前記平均EC50が、一価の第2ISV、例えば、ナノボディ、又は、一価の第2ISV、例えば、ナノボディを含むポリペプチドについて、FACS又はELISAにより測定される、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0330】
KDが、EC50と十分に相関することは、実施例に示されている。
【0331】
複数の抗原の同時ターゲッティングにより、腫瘍回避変異体が発生する可能性を低下させることができる。このため、T細胞関与戦略の治療活性が改善される。本発明は、(ターゲット細胞上の)種々の(ターゲット)抗原に対する免疫グロブリン単一可変ドメインと組み合わせられたCD3 ISVを含む、多重特異性ポリペプチドを提供する(参照 実施例19)。第1抗原と第2抗原との好ましい組み合わせは、以下に提供される(前記抗原に結合するISVは、本発明のポリペプチドにおいて任意の順序で配置することができることが理解されるであろう)。
【0332】
【表2】
【0333】
同様に、ターゲット細胞上のタンパク質又は抗原の複数のエピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン、サブユニット、又はコンホーメーションの同時ターゲッティングにより、腫瘍回避変異体が発生する可能性を低下させることができる。このため、T細胞関与戦略の治療活性が改善される(参照 実施例20)。本発明は、ターゲット細胞上の抗原の種々のエピトープ、抗原決定基、部分、ドメイン、サブユニット、又はコンホーメーションに対する免疫グロブリン単一可変ドメインと組み合わせられた抗CD3 ISVを含む、ポリペプチド(二重パラトープ構築物とも呼ばれる)を提供する。第1TAA ISVと第2TAA ISVとの好ましい組み合わせは、以下に提供される(前記抗原に結合するISVは、本発明のポリペプチドにおいて任意の順序で配置することができることが理解されるであろう)。
【0334】
【表3】
【0335】
本発明のポリペプチド及び組成物は、本発明の疾患及び障害(本明細書において、「本発明の疾患及び障害」とも呼ばれる)の予防及び/又は治療に使用することができる。同疾患及び障害は、ガンを含むが、これに限定されない。「ガン」という用語は、典型的には、制御されていない細胞増殖又は生存により特徴付けられる、哺乳類における病的状態を指す。ガンの例は、ガン腫、神経膠腫、中皮腫、メラノーマ、リンパ腫、白血病、腺ガン、乳ガン、卵巣ガン、子宮頚ガン、神経膠芽腫、多発性骨髄腫(意義不明の単一クローン性免疫グロブリン血症、無症候性及び症候性骨髄腫を含む)、前立腺ガン、及びバーキットリンパ腫、頭頚部ガン、結腸ガン、結腸直腸ガン、非小細胞肺ガン、小細胞肺ガン、食道ガン、胃ガン、膵臓ガン、肝胆道ガン、胆嚢ガン、小腸ガン、直腸ガン、腎臓ガン、膀胱ガン、前立腺ガン、陰茎ガン、尿道ガン、精巣ガン、膣ガン、子宮ガン、甲状腺ガン、副甲状腺ガン、副腎ガン、膵内分泌ガン、カルチノイドガン、骨ガン、皮膚ガン、網膜芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病、又はAIDS関連原発性浸出性リンパ腫、神経外胚葉性腫瘍、横紋筋肉腫(例えば、更なるガンについては、Cancer, Principles and practice(DeVita, et al. eds 1997)を参照のこと);ならびに、上記ガンのいずれかの任意の転移、ならびに、非ガン兆候、例えば、鼻ポリープ;ならびに、本明細書で記載された他の障害及び疾患を含むが、これらに限定されない。
【0336】
免疫グロブリン単一可変ドメインの一般的な説明について、以下の更なる説明及び本明細書で引用された先行技術が参照される。ただし、これに関して、この説明及び先行技術は、いわゆる「V3クラス」の免疫グロブリン単一可変ドメイン(すなわち、V3クラスのヒト生殖系配列に対して高い度合いの配列相同性を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えば、DP-47、DP-51、又はDP-29)を主に説明していることに、留意されたい。同免疫グロブリン単一可変ドメインは、本発明の好ましい態様を構成する。ただし、その最も広い意味において、本発明は、一般的には、あらゆる種類の免疫グロブリン単一可変ドメインに網羅するのであり、例えば、国際公開公報第07/118670号に記載された、例えば、いわゆる「V4クラス」に属する免疫グロブリン可変ドメイン(すなわち、V4クラスのヒト生殖系配列に対して高い度合いの配列相同性を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えば、DP-78)も網羅することに、留意されたい。
【0337】
一般的には、免疫グロブリン単一可変ドメイン(特に、VHH配列及び配列最適化免疫グロブリン単一可変ドメイン)は、特に、(再度本明細書で更に記載された)1つ以上のフレームワーク配列中における(例えば、表B-2に記載された)1つ以上の「ホールマーク残基」の存在により特徴付けることができる。
【0338】
【表4】

【0339】
本発明の免疫グロブリンは、C末端伸長(X)nを含有することもできる(ここで、nは、1~10、好ましくは、1~5、例えば、1、2、3、4、又は5(好ましくは、1又は2、例えば、1であり、各Xは、(好ましくは天然の)アミノ酸残基であり、同アミノ酸残基は、独立して選択され、好ましくは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、又はイソロイシン(I)から独立して選択される)。同C末端伸長については、国際公開公報第12/175741号及び同第15/060643号が参照される。
【0340】
これとは別に、及び/又は、これに加えて、本発明の免疫グロブリンは、国際公開公報第15/060643号(参照により本明細書に組み入れられる)に更に詳細に記載されているように、特定の好ましいアミノ酸残基を、11、89、110、及び/又は112位に有することができる。
【0341】
再度、このような免疫グロブリン単一可変ドメインは、任意の適切な方法において、及び、任意の適切な供給源から得ることができ、例えば、天然のVHH配列(すなわち、ラクダ科の適切な種、例えば、ラマ由来)、又は合成もしくは半合成のVHもしくはVL(例えば、ヒト由来)であることができる。このような免疫グロブリン単一可変ドメインは、「ヒト化」又は他の方法で「配列最適化」されたVHH、「ラクダ化」免疫グロブリン配列(特に、ラクダ化重鎖可変ドメイン配列、すなわち、ラクダ化VH)、ならびに親和性成熟(例えば、合成、ランダム、又は天然の免疫グロブリン配列から開始する)、CDRグラフト化、ベニアリング、種々の免疫グロブリン配列から得られたフラグメントの組み合わせ、オーバラッププライマーを使用するPCRアッセンブリ、及び当業者に周知の免疫グロブリン配列を操作するための同様の技術、又は、本明細書で更に記載された前述のいずれかの任意の適切な組み合わせ等の技術により変更されているヒトVH、ヒトVL、ラクダ科VHHを含むことができる。本明細書で言及されたように、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインの特に好ましいクラスは、天然のVHHドメインのアミノ酸配列に対応するが、前記天然のVHH配列のアミノ酸配列中(及び特に、フレームワーク配列中)の1つ以上のアミノ酸残基を、(例えば、上記で示された)ヒト由来の従来の4本鎖抗体からのVドメイン中の対応する位置に生じる1つ以上のアミノ酸残基により置き換えることにより「ヒト化」されている、アミノ酸配列を有する免疫グロブリン単一可変ドメインを含む。これは、それ自体公知の方法において行うことができる。同方法は、例えば、本明細書における更なる説明及び本明細書で言及されたヒト化についての先行技術に基づいて、当業者に明らかであろう。再度、本発明のこのようなヒト化免疫グロブリン単一可変ドメインは、それ自体公知の任意の適切な方法において得ることができるため、開始材料として、天然のVHHドメインを含むポリペプチドを使用して得られたポリペプチドには厳密に制限されるものではないことに、留意されたい。
【0342】
本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインの別の特に好ましいクラスは、天然のVドメインのアミノ酸配列に対応するが、従来の4本鎖抗体からの天然のVドメインのアミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸残基を、重鎖抗体のVHHドメイン中の対応する位置に生じる1つ以上のアミノ酸残基により置き換えることにより、「ラクダ化」されている、アミノ酸配列を有する免疫グロブリン単一可変ドメインを含む。これは、それ自体公知の方法において行うことができる。同方法は、例えば、本明細書における説明に基づいて、当業者に明らかであろう。このような「ラクダ化」置換は、好ましくは、V-V界面を形成し、及び/又は、同界面に存在するアミノ酸位置、ならびに/又は、本明細書で定義されたいわゆるラクダホールマーク(例えば、国際公開公報第94/04678号ならびにDavies and Riechmann 1994(FEBS letters 339: 285-290)及び1996(Protein Engineering 9: 531-537)も参照のこと)に挿入される。好ましくは、ラクダ化免疫グロブリン単一可変ドメインを生成し、又は、設計するための開始材料又は開始点として使用されるV配列は、好ましくは、哺乳類からのV配列、より好ましくは、ヒトのV配列、例えば、V3配列である。ただし、本発明のこのようなラクダ化免疫グロブリン単一可変ドメインは、それ自体公知の任意の適切な方法において得ることができるため、開始材料として、天然のVドメインを含むポリペプチドを使用して得られたポリペプチドには厳密に制限されるものではないことに、留意されたい。
【0343】
例えば、再度、本明細書で更に記載されたように、「ヒト化」及び「ラクダ化」は両方とも、天然のVHHドメイン又はVドメインそれぞれをコードするヌクレオチド配列を提供し、ついで、それ自体公知の方法において、前記ヌクレオチド配列中の1つ以上のコドンを、新たなヌクレオチド配列が本発明の「ヒト化」又は「ラクダ化」免疫グロブリン単一可変ドメインそれぞれをコードするような方法で変化させることにより行うことができる。ついで、本発明の所望の免疫グロブリン単一可変ドメインを提供するために、この核酸を、それ自体公知の方法において発現させることができる。あるいは、天然のVHHドメイン又はVドメインそれぞれのアミノ酸配列に基づいて、本発明の所望のヒト化又はラクダ化免疫グロブリン単一可変ドメインそれぞれのアミノ酸配列を設計し、ついで、それ自体公知のペプチド合成のための技術を使用して、de noveで合成することができる。また、天然のVHHドメイン又はVドメインそれぞれのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列に基づいて、本発明の所望のヒト化又はラクダ化免疫グロブリン単一可変ドメインそれぞれをコードするヌクレオチド配列を設計し、ついで、それ自体公知の核酸合成のための技術を使用して、de noveで合成することができる。その後、本発明の所望の免疫グロブリン単一可変ドメインを提供するために、このようにして得られた核酸を、それ自体公知の方法において発現させることができる。
【0344】
したがって、本発明は、前記ISVが、ナノボディ、VHH、ヒト化VHH、又はラクダ化Vである、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0345】
一般的には、1つの構築ブロック、1つの免疫グロブリン単一可変ドメイン又は1つのナノボディを含むか、又は、同構築ブロックから本質的になるタンパク質又はポリペプチドは、本明細書において、「一価の」タンパク質もしくはポリペプチド、「一価構築物」、「一価構築ブロック」、「一価免疫グロブリン単一可変ドメイン」、又は「一価ナノボディ」とそれぞれ呼ばれるであろう。
【0346】
また、この態様では、本発明は、本発明のポリペプチドを構成する、一価構築ブロックに関する。
【0347】
したがって、本発明は、CD3の定常ドメインに特異的に結合し、かつ4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とを含むか、又は、これらから本質的になる、ISV又はポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81~100、又は
(b)配列番号:81~100のいずれかのアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:101~122、又は
(d)配列番号:101~122のいずれかのアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:123~143、又は
(f)配列番号:123~143のいずれかのアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ISV又はポリペプチドに関する。
【0348】
上記されたように、種々のクラスターに属するISVを、CDR2及びCDR3における構造の類似性及び差異に基づいて単離した。
【0349】
クラスターAに属する免疫グロブリン単一可変ドメインは、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81~87、及び
(b)配列番号:81のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:101~109、及び
(d)配列番号:101のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:123~127、及び
(f)配列番号:123のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドにより表わされる。
【0350】
別の態様では、クラスターAに属するポリペプチドにおいて、CDR1は、
(a)配列番号:81、及び
(b)配列番号:81に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-1位において、Gが、Rに変更されており、
-3位において、Tが、Aに変更されており、
-4位において、Yが、Fに変更されており、
-8位において、Sが、Gに変更されており、かつ/又は
-10位において、Gが、Aに変更されている。
【0351】
別の態様では、クラスターAに属するポリペプチドにおいて、CDR2は、
(a)配列番号:101、及び
(b)配列番号:101に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-3位において、Vが、T又はAに変更されており、
-5位において、Sが、Tに変更されており、
-6位において、Gが、D又はEに変更されており、かつ/又は
-9位において、Tが、S、A、又はPに変更されている。
【0352】
別の態様では、クラスターAに属するポリペプチドにおいて、CDR3は、
(a)配列番号:123、及び
(b)配列番号:123に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Iが、Tに変更されており、
-9位において、Iが、Vに変更されており、かつ/又は
-10位において、Aが、Pに変更されている。
【0353】
したがって、本発明は、CD3に特異的に結合し、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とを含むか、又は、これらから本質的になる、ISV又はポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:81、及び
(b)配列番号:81に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-1位において、Gが、Rに変更されており、
-3位において、Tが、Aに変更されており、
-4位において、Yが、Fに変更されており、
-8位において、Sが、Gに変更されており、及び/又は
-10位において、Gが、Aに変更されており、
そしてここで、
(ii)CDR2が、
(a)配列番号:101、及び
(b)配列番号:101に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-3位において、Vが、T又はAに変更されており、
-5位において、Sが、Tに変更されており、
-6位において、Gが、D又はEに変更されており、かつ/又は
-9位において、Tが、S、A、又はPに変更されており、
そしてここで、
(iii)CDR3が、
(a)配列番号:123、及び
(b)配列番号:123に対して、1又は2つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Iが、Tに変更されており、
-9位において、Iが、Vに変更されており、かつ/又は
-10位において、Aが、Pに変更されている,ISV又はポリペプチドに関する。
【0354】
別の態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:81により表わされ、CDR2が、配列番号:101により表わされ、CDR3が、配列番号:123により表わされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。好ましくは、本ポリペプチドは、配列番号:1~50のいずれかから選択される。
【0355】
クラスターBに属する免疫グロブリン単一可変ドメインは、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:88、及び
(b)配列番号:88のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:110、及び
(d)配列番号:110のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:128、及び
(f)配列番号:128のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドにより表わされる。
【0356】
別の態様では、クラスターBに属するポリペプチドにおいて、CDR1は、配列番号:88である。
【0357】
別の態様では、クラスターBに属するポリペプチドにおいて、CDR2は、配列番号:110である。
【0358】
別の態様では、クラスターBに属するポリペプチドにおいて、CDR3は、配列番号:128である。
【0359】
別の態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:88により表わされ、CDR2が、配列番号:110により表わされ、CDR3が、配列番号:128により表わされる、ポリペプチドに関する。好ましくは、本ポリペプチドは、配列番号:51である。
【0360】
クラスターCに属する免疫グロブリン単一可変ドメインは、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:90、及び
(b)配列番号:90のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:112~113、及び
(d)配列番号:112のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:130、及び
(f)配列番号:130のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドにより表わされる。
【0361】
別の態様では、クラスターCに属するポリペプチドにおいて、CDR1は、配列番号:90である。
【0362】
別の態様では、クラスターCに属するポリペプチドにおいて、CDR2は、
(a)配列番号:112、及び
(b)配列番号:112に対して、1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Vが、Aに変更されている。
【0363】
別の態様では、クラスターCに属するポリペプチドにおいて、CDR3は、配列番号:130である。
【0364】
したがって、本発明は、CD3に特異的に結合し、かつ4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とを含むか、又は、これらから本質的になる、ISV又はポリペプチドであって、
(i)CDR1が、配列番号:90であり、
そしてここで、
(ii)CDR2が、
(a)配列番号:112、及び
(b)配列番号:112に対して、1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Vが、Aに変更されており、
そしてここで、
(iii)CDR3が、配列番号:130である,ISV又はポリペプチドに関する。
【0365】
別の態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:90により表わされ、CDR2が、配列番号:112により表わされ、CDR3が、配列番号:130により表わされる、ポリペプチドに関する。好ましくは、本ポリペプチドは、配列番号:53~56のいずれかから選択される。
【0366】
クラスターDに属する免疫グロブリン単一可変ドメインは、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:89、及び
(b)配列番号:89のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:111、及び
(d)配列番号:111のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:129、及び
(f)配列番号:129のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドにより表わされる。
【0367】
別の態様では、クラスターDに属するポリペプチドにおいて、CDR1は、配列番号:89である。
【0368】
別の態様では、クラスターDに属するポリペプチドにおいて、CDR2は、配列番号:111である。
【0369】
別の態様では、クラスターDに属するポリペプチドにおいて、CDR3は、配列番号:129である。
【0370】
別の態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:89により表わされ、CDR2が、配列番号:111により表わされ、CDR3が、配列番号:129により表わされる、ポリペプチドに関する。好ましくは、本ポリペプチドは、配列番号:52である。
【0371】
クラスターEに属する免疫グロブリン単一可変ドメインは、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:91~93、及び
(b)配列番号:91のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:114~117、及び
(d)配列番号:114のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:131~133、及び
(f)配列番号:131のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドにより表わされる。
【0372】
別の態様では、クラスターEに属するポリペプチドにおいて、CDR1は、
(a)配列番号:91、及び
(b)配列番号91に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-6位において、Rが、N又はTに変更されており、
-7位において、Nが、Hに変更されており、かつ/又は
-8位において、Mが、Tに変更されている。
【0373】
別の態様では、クラスターEに属するポリペプチドにおいて、CDR2は、
(a)配列番号:114、及び
(b)配列番号:114に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-1位において、Rが、Qに変更されており、
-3位において、Tが、Sに変更されており、かつ/又は
-7位において、Dが、A又はKに変更されている。
【0374】
別の態様では、クラスターEに属するポリペプチドにおいて、CDR3は、
(a)配列番号:131、及び
(b)配列番号:131に対して、1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Sが、Rに変更されており、かつ/又は
-6位において、Sが、Vに変更されている。
【0375】
したがって、本発明は、CD3に特異的に結合し、かつ4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とを含むか、又は、これらから本質的になる、ISV又はポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:91、及び
(b)配列番号:91に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-6位において、Rが、N又はTに変更されており、
-7位において、Nが、Hに変更されており、かつ/又は
-8位において、Mが、Tに変更されており、
そしてここで、
(ii)CDR2が、
(a)配列番号:114、及び
(b)配列番号:114に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-1位において、Rが、Qに変更されており、
-3位において、Tが、Sに変更されており、かつ/又は
-7位において、Dが、A又はKに変更されており、
そしてここで、
(iii)CDR3が、
(a)配列番号:131、及び
(b)配列番号:131に対して、1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Sが、Rに変更されており、かつ/又は
-6位において、Sが、Vに変更されている、ISV又はポリペプチドに関する。
【0376】
別の態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:91により表わされ、CDR2が、配列番号:114により表わされ、CDR3が、配列番号:131により表わされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。好ましくは、本ポリペプチドは、配列番号:57~65のいずれかから選択される。
【0377】
クラスターFに属する免疫グロブリン単一可変ドメインは、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:94~100、及び
(b)配列番号:94のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR1を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR1を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(ii)CDR2が、
(c)配列番号:118~122、及び
(d)配列番号:118のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR2を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR2を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択され、かつ/又は
(iii)CDR3が、
(e)配列番号:134~143、及び
(f)配列番号:134のアミノ酸配列に対して、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列であって、ただし、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有するCDR3を含むポリペプチドが、親和性が表面プラズモン共鳴により測定された場合、4、3、2、又は1つのアミノ酸差を有さないCDR3を含むポリペプチドによる結合と比較して、ほぼ同じか又はより高い親和性で、CD3に結合するという条件であるアミノ酸配列
からなる群より選択される、ポリペプチドにより表わされる。
【0378】
別の態様では、クラスターFに属するポリペプチドにおいて、CDR1は、
(a)配列番号:94、及び
(b)配列番号:94に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-3位において、Sが、T、A、又はGに変更されており、
-5位において、Nが、Sに変更されており、
-6位において、Mが、T又はAに変更されており、かつ/又は
-9位において、Lが、Mに変更されている。
【0379】
別の態様では、クラスターFに属するポリペプチドにおいて、CDR2は、
(a)配列番号:118、及び
(b)配列番号:118に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Hが、Vに変更されており、
-5位において、Sが、H又はAに変更されており、
-8位において、Nが、Sに変更されており、かつ/又は
-10位において、Yが、Fに変更されている。
【0380】
別の態様では、クラスターFに属するポリペプチドにおいて、CDR3は、
(a)配列番号:134、及び
(b)配列番号:134に対して、1、2、3、4、又は5つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-6位において、Aが、S又はDに変更されており、
-7位において、Fが、Y又はAに変更されており、
-8位において、Rが、Hに変更されており、
-9位において、Sが、Aに変更されており、
-11位において、Gが、D、T、N、S、K、又はRに変更されており、かつ/又は
-14位において、Vが、Iに変更されている。
【0381】
したがって、本発明は、CD3に特異的に結合し、かつ4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とを含むか、又は、これらから本質的になる、ISV又はポリペプチドであって、
(i)CDR1が、
(a)配列番号:94、及び
(b)配列番号:94に対して、1、2、3、又は4つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-3位において、Sが、T、A、又はGに変更されており、
-5位において、Nが、Sに変更されており、
-6位において、Mが、T又はAに変更されており、かつ/又は
-9位において、Lが、Mに変更されており、
そしてここで、
(ii)CDR2が、
(a)配列番号:118、及び
(b)配列番号118に対して、1、2、又は3つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-2位において、Hが、Vに変更されており、
-5位において、Sが、H又はAに変更されており、
-8位において、Nが、Sに変更されており、かつ/又は
-10位において、Yが、Fに変更されており、
そしてここで、
(iii)CDR3が、
(a)配列番号:134、及び
(b)配列番号134に対して、1、2、3、4、又は5つのアミノ酸差を有するアミノ酸配列
からなる群より選択され、
ここで、
-6位において、Aが、S又はDに変更されており、
-7位において、Fが、Y又はAに変更されており、
-8位において、Rが、Hに変更されており、
-9位において、Sが、Aに変更されており、
-11位において、Gが、D、T、N、S、K、又はRに変更されており、かつ/又は
-14位において、Vが、Iに変更されている、ISV又はポリペプチドに関する。
【0382】
別の態様では、本発明は、CDR1が、配列番号:94により表わされ、CDR2が、配列番号:118により表わされ、CDR3が、配列番号:134により表わされる、本明細書で記載されたポリペプチドを提供する。好ましくは、本ポリペプチドは、配列番号:66~80のいずれかから選択される。
【0383】
更なる態様では、本発明は、クラスターA、B、C、D、E、又はFに属する少なくとも1つのISV又はポリペプチドによるCD3への結合をクロスブロックする、ポリペプチドに関する。
【0384】
したがって、本発明は、配列番号:1~50を有する少なくとも1つのISV又はポリペプチドによるCD3への結合をクロスブロックする、ポリペプチドに関する。
【0385】
したがって、本発明は、配列番号:51を有するISV又はポリペプチドによるCD3への結合をクロスブロックする、ポリペプチドに関する。
【0386】
したがって、本発明は、配列番号:53~56を有する少なくとも1つのISV又はポリペプチドによるCD3への結合をクロスブロックする、ポリペプチドに関する。
【0387】
したがって、本発明は、配列番号:52を有するISV又はポリペプチドによるCD3への結合をクロスブロックする、ポリペプチドに関する。
【0388】
したがって、本発明は、配列番号:57~65を有する少なくとも1つのISV又はポリペプチドによるCD3への結合をクロスブロックする、ポリペプチドに関する。
【0389】
したがって、本発明は、配列番号:66~80を有する少なくとも1つのISV又はポリペプチドによるCD3への結合をクロスブロックする、ポリペプチドに関する。
【0390】
更なる態様では、本発明は、クラスターA、B、C、D、E、又はFに属する少なくとも1つのISV又はポリペプチドによるCD3への結合からクロスブロックされる、ポリペプチドに関する。
【0391】
したがって、本発明は、配列番号:1~50に属する少なくとも1つのISV又はポリペプチドによるCD3への結合からクロスブロックされる、ポリペプチドに関する。
【0392】
したがって、本発明は、配列番号:51を有するISV又はポリペプチドによるCD3への結合からクロスブロックされる、ポリペプチドに関する。
【0393】
したがって、本発明は、配列番号:53~56に属する少なくとも1つのISV又はポリペプチドによるCD3への結合からクロスブロックされる、ポリペプチドに関する。
【0394】
したがって、本発明は、配列番号:52を有するISV又はポリペプチドによるCD3への結合からクロスブロックされる、ポリペプチドに関する。
【0395】
したがって、本発明は、配列番号:57~65に属する少なくとも1つのISV又はポリペプチドによるCD3への結合からクロスブロックされる、ポリペプチドに関する。
【0396】
したがって、本発明は、配列番号:66~80に属する少なくとも1つのISV又はポリペプチドによるCD3への結合からクロスブロックされる、ポリペプチドに関する。
【0397】
さらに、本発明は、1つ以上の本発明のISV又はポリペプチドを含むか、又は、これらから本質的になり、場合により、1つ以上の他の基、残基、部分、又は結合単位を更に含む、化合物又は構築物、特に、タンパク質又はポリペプチドに関する。本明細書における更なる開示から当業者に明らかとなるであろうように、このような更なる基、残基、部分、結合単位、又はアミノ酸配列は、更なる機能性を本発明のポリペプチド(及び/又は、それが存在する化合物又は構築物)に提供してもよいし、又は、提供しなくてもよいし、本発明のポリペプチドの特性を改変してもよいし、又は、改変しなくてもよい。
【0398】
本明細書で更に記載されるであろう、本発明の具体的で非限定的な態様では、本発明のISV及びポリペプチドは、それらが得られる免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドと比較して、(本明細書で更に記載されたように)血清中で延長した半減期を有することができる。例えば、延長した半減期を有する本発明のISV又はポリペプチドの誘導体を提供するために、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドは、半減期を伸ばす1つ以上の基又は部分(例えば、PEG)に(化学的に又はその他の方法で)結合していることができる。
【0399】
本発明の具体的な態様では、本発明の化合物もしくは構築物又は本発明のポリペプチドは、本発明の対応するISV又はポリペプチドと比較して、延長した半減期を有することができる。このような化合物、構築物、及びポリペプチドの一部の好ましく非限定的な例は、本明細書における更なる開示に基づいて、当業者に明らかとなるであろうし、例えば、(例えば、ペグ化の手段により)その半減期を延長するように化学的に改変されている本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド;血清タンパク質(例えば、血清アルブミン)に結合するための少なくとも1つの更なる結合部位を含む本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド;又は、本発明のISV又はポリペプチドの半減期を延長する少なくとも1つの部分(特に、少なくとも1つのアミノ酸配列)に結合している本発明のISV又はポリペプチドを少なくとも含む本発明の構築物又はポリペプチドを含む。このような半減期延長部分又は免疫グロブリン単一可変ドメインを含む本発明のISV又はポリペプチドの例は、本明細書における更なる開示に基づいて、当業者に明らかとなるであろうし、例えば、1つ以上の本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドが1つ以上の血清タンパク質又はそのフラグメント(例えば、(ヒト)血清アルブミン又はその適切なフラグメント)、又は、血清タンパク質に結合することができる1つ以上の結合単位(例えば、ドメイン抗体、ドメイン抗体として使用するのに適した免疫グロブリン単一可変ドメイン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体として使用するのに適した免疫グロブリン単一可変ドメイン、「dAb」、dAbとして使用するのに適した免疫グロブリン単一可変ドメイン、血清タンパク質、例えば、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、血清免疫グロブリン、例えば、IgG、又はトランスフェリンに結合することができるナノボディ;更なる説明及び本明細書で言及された参考文献が参照される)に適切に結合しているポリペプチド;本発明のISV又はポリペプチドがFc部分(例えば、ヒトFc)又はその適切な部分もしくはフラグメントに結合しているISV又はポリペプチド;又は、1つ以上の本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドが血清タンパク質に結合することができる1つ以上の小型タンパク質又はペプチド(例えば、国際公開公報第91/01743号、同第01/45746号、国際公開第02/076489号、同第08/068280号、同第09/127691号、及び同第11/095545号で記載されたタンパク質及びペプチドを含むが、これらに限定されない)に適切に結合しているポリペプチドを含むが、これらに限定されない。
【0400】
一般的には、延長した半減期を有する本発明の化合物、構築物、又はポリペプチドは、好ましくは、対応する本発明のISV又はポリペプチド自体の半減期より、少なくとも1.5倍、好ましくは、少なくとも2倍、例えば、少なくとも5培、例えば、少なくとも10倍、又は20倍超長い半減期を有する。例えば、延長した半減期を有する本発明の化合物、構築物、又はポリペプチドは、例えば、ヒトにおいて、対応する本発明のISV又はポリペプチド自体と比較して、1時間超、好ましくは2時間超、より好ましくは6時間超、例えば、12時間超、又は更に、24、48、もしくは72時間超延長した半減期を有することができる。
【0401】
本発明の好ましく非限定的な態様では、本発明のこのような化合物、構築物、又はポリペプチドは、例えば、ヒトにおいて、対応する本発明のISV又はポリペプチド自体と比較して、1時間超、好ましくは2時間超、より好ましくは6時間超、例えば、12時間超、又は更に、24、48、もしくは72時間超延長した血清半減期を有する。
【0402】
本発明の別の好ましく非限定的な態様では、本発明のこのような化合物、構築物、又はポリペプチドは、少なくとも約12時間、好ましくは、少なくとも24時間、より好ましくは、少なくとも48時間、更により好ましくは、少なくとも72時間以上のヒトにおける血清半減期を示す。例えば、本発明の化合物、構築物、又はポリペプチドは、少なくとも5日(例えば、約5~10日)、好ましくは、少なくとも9日(例えば、約9~14日)、より好ましくは、少なくとも約10日(例えば、約10~15日)、又は少なくとも約11日(例えば、約11~16日)、より好ましくは、少なくとも約12日(例えば、約12~18日以上)、又は、14日超(例えば、約14~19日)の半減期を有することができる。
【0403】
本発明において、なお、アルブミンターゲッティング結合単位の本構築物への包含によっては、得られた効力又は有効性に本質的な影響を有さないことが証明された。有効性/効力の小さな損失がHSAの存在下において観察されたが、半減期が延長したCD3多重特異性ポリペプチドは、それでも、腫瘍細胞殺傷において効力を有した。アルブミン系薬剤送達が、改善されたガン治療を達成するのに有用であることが証明されている。主に、向上した浸透性及び保持作用ならびにエネルギー及びアミノ酸の供給源としての腫瘍細胞によるアルブミンに対する要求の増大による、腫瘍に対するその受動的なターゲットのためである。ただし、アルブミンは、細胞膜障壁を克服する能動的なメカニズムのみではなく、腫瘍組織に浸透する能力も欠いている(Qianqian Guo et al. Polym. Chem., 2013,4, 4584-4587)。
【0404】
本発明の特に好ましく非限定的な態様では、本発明は、第1及び第2免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)を含み、本明細書で記載された1つ以上(好ましくは、1つ)の血清アルブミン結合免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えば、Alb8、Alb23、Alb129、Alb132、Alb11、Alb11(S112K)-A、Alb82、Alb82-A、Alb82-AA、Alb82-AAA、Alb82-G、Alb82-GG、及びAlb82-GGG(表B-3)と呼ばれる血清アルブミン結合免疫グロブリン単一可変ドメインを更に含む、本発明のポリペプチドを提供する。
【0405】
【表5】
【0406】
したがって、本発明は、血清タンパク質結合部分を更に含む、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0407】
本発明は、前記血清タンパク質結合部分が、血清アルブミンに結合する、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0408】
本発明は、前記血清タンパク質結合部分が、血清アルブミンに結合する免疫グロブリン単一可変ドメインである、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0409】
本発明は、血清アルブミンに結合する前記ISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれ、FR1~FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれ、CDR1~CDR3)とから本質的になる、本明細書で記載されたポリペプチドであって、CDRがKabat定義により決定された場合、CDR1が、SFGMS(配列番号:373)であり、CDR2が、SISGSGSDTLYADSVKG(配列番号:374)であり、CDR3が、GGSLSR(配列番号:375)であり、かつ/又は、CDRがKontermann2010に従って決定された場合、CDR1が、GFTFSSFGMS(配列番号:376)もしくはGFTFRSFGMS(配列番号:377)であり、CDR2が、SISGSGSDTL(配列番号:378)であり、CDR3が、GGSLSR(配列番号:375)である、ポリペプチドに関する。
【0410】
本発明は、血清アルブミンに結合する前記ISVが、Alb8、Alb23、Alb129、Alb132、Alb11、Alb11(S112K)-A、Alb82、Alb82-A、Alb82-AA、Alb82-AAA、Alb82-G、Alb82-GG、Alb82-GGG(表B-3)を含む、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0411】
本発明のポリペプチドにおいて、2つ以上の構築ブロック、ISV、又はナノボディ、及び場合により、1つ以上のポリペプチド、1つ以上の他の基、薬剤、作用物質、残基、部分、又は結合単位は、(例えば、国際公開公報第99/23221号で記載されたように)互いに直接結合することができ、かつ/又は、1つ以上の適切なスペーサーもしくはリンカー、又はそれらの任意の組み合わせを介して、互いに結合することができる。
【0412】
多価及び多重特異性ポリペプチドに使用するのに適したスペーサー又はリンカーは、当業者に明らかであろうし、一般的には、アミノ酸配列を結合させるのに当技術分野において使用される任意のリンカー又はスペーサーであることができる。好ましくは、前記リンカー又はスペーサーは、医薬用途を意図したタンパク質又はポリペプチドの構築に使用するのに適している。
【0413】
一部の特に好ましいスペーサーは、抗体フラグメント又は抗体ドメインを結合させるのに当技術分野において使用されるスペーサー及びリンカーを含む。これらは、上記で引用された一般的な背景技術において言及されたリンカー、及び、例えば、ディアボディ又はScFvフラグメントを構築するのに当技術分野において使用されるリンカーを含む(ただし、これに関して、ディアボディ及びScFvフラグメント中において、使用されるリンカー配列は、適切なV及びVドメインがまとまって完全な抗原結合部位を形成することができる長さ、ある程度の柔軟性、及び他の特性を有するべきであるが、本発明のポリペプチドに使用されるリンカーの長さ又は柔軟性は、特に限定されないことに、留意されたい。各ISV又はナノボディ自体は、完全な抗原結合部位を形成するためである)。
【0414】
例えば、リンカーは、適切なアミノ酸配列、特に、1~50個、好ましくは、1~30個、例えば、1~10個のアミノ酸残基のアミノ酸配列であることができる。このようなアミノ酸配列の一部の好ましい例は、gly-serリンカーを含む。その例は、国際公開公報第99/42077号に記載された、(glyser型、(例えば、(glyser)又は(glyser)等、ならびに、本明細書で言及されたAblynxによる出願(例えば、国際公開公報第06/040153号及び同第06/122825号を参照のこと)に記載されたGS30、GS15、GS9、及びGS7リンカー、ならびに、ヒンジ様領域、たとえば、天然の重鎖抗体のヒンジ領域又は類似する配列(例えば、国際公開公報第94/04678号に記載)である。好ましいリンカーは、表B-4に示されている。
【0415】
【表6】
【0416】
一部の他の特に好ましいリンカーは、ポリ-アラニン(例えば、AAA)、ならびに、リンカーGS30(国際公開公報第06/122825号における配列番号:85)及びGS9(同第06/122825号における配列番号:84)である。
【0417】
他の適切なリンカーは、一般的には、有機化合物又はポリマー、特に、医薬用途のタンパク質に使用するのに適したものを含む。例えば、ポリ(エチレングリコール)部分が、抗体ドメインを結合するのに使用されている。例えば、国際公開公報第04/081026号を参照のこと。
【0418】
使用されるリンカーの長さ、柔軟性の程度、及び/又は他の特性(重要ではないが、ScFvフラグメントに使用されるリンカーについては、普通のことである)は、本発明の最終的なポリペプチドの特性に幾らかの影響を有する場合があることは、本発明の範囲に包含される。同特性は、CD3又は1つ以上の他の抗原に対する親和性、特異性、又は結合活性を含むが、これらに限定されない。本明細書における開示に基づいて、当業者であれば、場合により、いくらかの限られたルーチンな試行錯誤の後に、本発明の特定のポリペプチドに使用するのに最適なリンカーを決定することができるであろう。
【0419】
例えば、第1及び第2ターゲットに指向性を有する構築ブロック、ISV、又はナノボディを含む本発明の多価ポリペプチドにおいて、リンカーの長さ及び柔軟性は、好ましくは、ポリペプチドに存在する本発明の各構築ブロック、ISV、又はナノボディが、その同種のターゲット、例えば、ターゲットそれぞれの抗原決定基に結合することができるような長さ及び柔軟性である。再度、本明細書における開示に基づいて、当業者であれば、場合により、いくらかの限られたルーチンな試行錯誤の後に、本発明の特定のポリペプチドに使用するのに最適なリンカーを決定することができるであろう。
【0420】
使用されるリンカーは、1つ以上の他の好ましい特性又は機能性を、本発明のポリペプチドに付与し、ならびに/又は、(例えば、本発明のISV、ナノボディ、又はポリペプチドの誘導体について本明細書で記載された)誘導体の形成及び/もしくは官能基の付着のための1つ以上の部位を提供することも、本発明の範囲内である。例えば、1つ以上の荷電アミノ酸残基を含有するリンカーは、改善された親水性を提供することができる。一方、小型のエピトープ又はタグを形成し、又は、含有するリンカーは、検出、特定、及び/又は精製の目的で使用することができる。再度、本明細書における開示に基づいて、当業者であれば、場合により、いくらかの限られたルーチンな試行錯誤の後に、本発明の特定のポリペプチドに使用するのに最適なリンカーを決定することができるであろう。
【0421】
最後に、2つ以上のリンカーが、本発明のポリペプチドに使用される場合、これらのリンカーは、同じか又は異なることができる。再度、本明細書における開示に基づいて、当業者であれば、場合により、いくらかの限られたルーチンな試行錯誤の後に、本発明の特定のポリペプチドに使用するのに最適なリンカーを決定することができるであろう。
【0422】
通常、容易な発現及び生成のために、本発明のポリペプチドは、線状ポリペプチドであろう。ただし、その最も広い意味において、本発明は、それに限定されない。例えば、本発明のポリペプチドが、3つ以上の構築ブロック、ISV、又はナノボディを含む場合、それらを、3つ以上の「アーム」を有するリンカーの使用により結合することができる。同各「アーム」は、「星型」構築物を提供するために、構築ブロック、ISV、又はナノボディに結合する。また、通常ほとんど好ましくはないが、円形構築物を使用することもできる。
【0423】
したがって、本発明は、前記第1ISV及び前記第2ISV、ならびに場合により、第3ISV及び/又は血清アルブミンに結合する前記ISVが、互いに直接結合しているか、又は、リンカーを介して結合している、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0424】
本発明は、前記リンカーが、5GS、7GS、9GS、10GS、15GS、18GS、20GS、25GS、30GS、及び35GSのリンカーからなる群より選択される、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0425】
本発明は、前記血清タンパク質結合部分が、非抗体系ポリペプチド(例えば、PEG)である、本明細書で記載されたポリペプチドに関する。
【0426】
また、本発明は、本明細書で記載されたISV、ポリペプチド、及び構築物を調製するための方法に関する。本発明のISV、ポリペプチド、及び構築物は、本明細書における更なる説明から当業者に明らかであろうように、それ自体公知の方法において調製することができる。例えば、本発明のISV、ポリペプチド、及び構築物は、抗体の調製、特に、抗体フラグメント((単一)ドメイン抗体及びScFvフラグメントを含むが、これらに限定されない)の調製のための、それ自体公知の任意の方法において調製することができる。ポリペプチド及び構築物を調製するための一部の好ましく非限定的な方法は、本明細書で記載された方法及び技術を含む。
【0427】
本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物を製造するための方法は、下記工程:
-前記本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物をコードする核酸の、適切な宿主細胞又は宿主生物(本明細書において、「本発明の宿主」とも呼ばれる)
中における、又は、別の適切な発現系における発現、
場合により、続けて、
-このようにして得られた本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物を単離し、かつ/又は、精製すること
を含むことができる。
【0428】
特に、このような方法は、
-本発明のホストを、前記本発明のホストが本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物の内の少なくとも1つを発現し、かつ/又は、生成するような条件下において、培養し、かつ/又は、維持する工程、
場合により、続けて、
このようにして得られた本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物を単離し、かつ/又は、精製する工程
を含むことができる。
【0429】
したがって、本発明はまた、本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物をコードする、核酸又はヌクレオチド配列(「本発明の核酸」又は「本発明のヌクレオチド配列」とも呼ばれる)に関する。本発明の核酸は、一本鎖又は二本鎖DNA又はRNAの形態であることができ、好ましくは、二本鎖DNAの形態である。例えば、本発明のヌクレオチド配列は、ゲノムDNA、cDNA、又は合成DNA(例えば、意図した宿主細胞又は宿主生物中での発現に特に適合させたコドン利用を有するDNA)であることができる。
【0430】
本発明の一実施態様によれば、本発明の核酸は、本明細書で定義されたように、実質的に単離された形態である。また、本発明の核酸は、ベクター、例えば、プラスミド、コスミド、又はYAC等の形態であることができ、これらに存在することができ、及び/又は、これらの一部であることができる。再度、同ベクターは、実質的に単離された形態であることができる。
【0431】
本発明の核酸は、本明細書で提供された本発明のポリペプチド又はタンパク質構築物の情報に基づいて、それ自体公知の方法において調製し、もしくは、得ることができ、かつ/又は、適切な天然の供給源から単離することができる。また、当業者に明らかであるように、本発明の核酸を調製するために、幾つかのヌクレオチド配列、例えば、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列と、例えば、1つ以上のリンカーをコードする核酸とが互いに、適切な方法において結合することもできる。
【0432】
本発明の核酸を生成するための技術は、当業者に明らかであろうし、例えば、自動DNA合成;部位特異的突然変異誘発、2つ以上の天然及び/もしくは合成配列(又は、それらの2つ以上の部分)の組み合わせ、トランケート発現産物の発現をもたらす変異の導入、(例えば、適切な制限酵素を使用して容易に消化し、及び/又は、ライゲーションすることができるカセット及び/又は領域を作製するための)1つ以上の制限部位の導入、ならびに/又は、1つ以上の「ミスマッチ」プライマーを使用するPCR反応による変異の導入を含むことができるが、これらに限定されない。これら及び他の技術は、当業者に明らかであろう。再度、本明細書で言及された標準的なハンドブック、例えば、Sambrook et al. and Ausubel et al及び以下の実施例が参照される。
【0433】
また、本発明の核酸は、当業者に明らかであるように、遺伝子構築物の形態であることもでき、同構築物中に存在することもでき、かつ/又は、同構築物の一部であることもできる。このような遺伝子構築物は、一般的には、遺伝子構築物のそれ自体公知の1つ以上のエレメント、例えば、1つ以上の適切な調節エレメント(例えば、適切なプロモーター、エンハンサー、ターミネーター等)及び本明細書で言及された遺伝子構築物の更なるエレメント等に結合している場合がある、少なくとも1つの本発明の核酸を含む。少なくとも1つの本発明の核酸を含むこのような遺伝子構築物は、本明細書において、「本発明の遺伝子構築物」とも呼ばれるであろう。
【0434】
本発明の遺伝子構築物は、DNA又はRNAであることができ、好ましくは、二本鎖DNAである。本発明の遺伝子構築物は、意図した宿主細胞又は宿主生物の形質転換に適した形態、意図した宿主細胞のゲノムDNA内への組込みに適した形態、又は、意図した宿主生物における独立した複製、維持、及び/もしくは遺伝に適した形態であることもできる。例えば、本発明の遺伝子構築物は、ベクター、例えば、プラスミド、コスミド、YAC、ウイルスベクター、又はトランスポゾン等の形態であることができる。特に、ベクターは、発現ベクター、すなわち、in vitro及び/又はin vivoにおける(例えば、適切な宿主細胞、宿主生物、及び/又は発現系における)発現を提供することができるベクターであることができる。
【0435】
好ましく非限定的な実施態様では、本発明の遺伝子構築物は、
a)少なくとも1つの本発明の核酸を含み;a)が、
b)1つ以上の調節エレメント、例えば、プロモーター、及び場合により、適切なターミネーターに操作可能に結合しており、
場合により、
c)遺伝子構築物のそれ自体公知の1つ以上の更なるエレメントも含み、
ここで、「調節エレメント」、「プロモーター」、「ターミネーター」、及び「操作可能に結合している」という用語は、(本明細書で更に記載されたように)当技術分野におけるその通常の意味を有する。ここで、遺伝子構築物に存在する前記「更なるエレメント」は、例えば、3’もしくは5’-UTR配列、リーダー配列、選択マーカー、発現マーカー/レポーター遺伝子、及び/又は、形質転換もしくは組込み(の効率)を促進し、もしくは、向上させることができるエレメントであることができる。このような遺伝子構築物についてのこれら及び他の適切なエレメントは、当業者に明らかであろうし、例えば、使用される構築物の種類、意図した宿主細胞もしくは宿主生物、対象となる本発明のヌクレオチド配列が発現される方法(例えば、構成的、一過性、又は誘引性の発現による)、及び/又は、使用される形質転換技術により決まる場合がある。例えば、抗体及び抗体フラグメント((単一)ドメイン抗体及びScFvフラグメントを含むが、これらに限定されない)の発現および生成についてそれ自体公知のレギュラトリー配列、プロモーター、及びターミネーターが、本質的に類似する方法で使用することができる。
【0436】
好ましくは、本発明の遺伝子構築物中において、前記少なくとも1つの本発明の核酸と、前記調節エレメント、及び場合により、前記1つ以上の更なるエレメントとは、互いに「操作可能に結合」している。「操作可能に結合」は、互いに機能的な関係にあることを、一般的に意味する。例えば、プロモーターが、コード配列の転写及び/又は発現を開始し、又は、他の方法で制御し/調節することができる場合、プロモーターは、コード配列に「操作可能に結合している」と考えられる(ここで、前記コード配列は、前記プロモーターの「制御下」にあると理解されたい)。一般的には、2つのヌクレオチド配列が操作可能に結合している場合、それらは、同じ配向にあるであろうし、通常、同じリーディングフレームにあることもできる。また、それらは、通常、本質的に連続しているであろうが、これが、必要とされない場合もある。
【0437】
本発明の核酸及び/又は本発明の遺伝子構築物は、宿主細胞又は宿主生物を形質転換するのに、すなわち、本発明のポリペプチド又はタンパク質構築物の発現及び/又は生成のために、使用することができる。宿主は、好ましくは、非ヒト宿主である。適切な宿主又は宿主細胞は、当業者に明らかであろうし、例えば、任意の適切な真菌、原核生物もしくは真核生物の細胞もしくは細胞系統、又は、任意の適切な真菌、原核生物もしくは真核生物、例えば、
-細菌株(グラム陰性株、例えば、Escherichia coli株;Proteus株、例えば、Proteus mirabilis株;Pseudomonas株、例えば、Pseudomonas fluorescens株;ならびに、グラム陽性株、例えば、Bacillus株、例えば、Bacillus subtilis株又はBacillus brevis株;Streptomyces株、例えば、Streptomyces lividans株;Staphylococcus株、例えば、Staphylococcus carnosus株;及びLactococcus株、例えば、Lactococcus lactis株を含むが、これらに限定されない);
-真菌細胞(Trichoderma種、例えば、Trichoderma reeseiからの細胞;Neurospora種
、例えば、Neurospora crassaからの細胞;Sordaria種、例えば、Sordaria macrosporaからの細胞;Aspergillus種、例えば、Aspergillus nigerもしくはAspergillus sojaeからの細胞;又は、他の糸状菌からの細胞を含むが、これらに限定されない);
-酵母細胞(Saccharomyces種、例えば、Saccharomyces cerevisiaeからの細胞、Schizosaccharomyces種、例えば、Schizosaccharomyces pombeからの細胞;Pichia種、例えば、Pichia pastoris又はPichia methanolicaからの細胞;Hansenula種、例えば、Hansenula polymorphaからの細胞;Kluyveromyces種、例えば、Kluyveromyces lactisからの細胞;Arxula種、例えば、Arxula adeninivoransからの細胞;Yarrowia種、例えば、Yarrowia lipolyticaからの細胞を含むが、これらに限定されない);
-両生類細胞又は細胞系統、例えば、Xenopus oocytes;
-昆虫由来細胞又は細胞系統、例えば、lepidoptera由来の細胞/細胞系統(Spodoptera SF9及びSf21細胞を含むが、これらに限定されない)又は、Drosophila由来の細胞/細胞系統、例えば、Schneider及びKc細胞;
-植物又は植物細胞、例えば、タバコ植物;ならびに/又は
-哺乳類細胞もしくは細胞系統、例えば、ヒト由来の細胞もしくは細胞系統、哺乳類由来の細胞もしくは細胞系統(CHO細胞、BHK細胞(例えば、BHK-21細胞)及びヒト細胞もしくは細胞系統、例えば、HeLa、COS(例えば、COS-7)、及びREP.C6細胞を含むが、これらに限定されない);
ならびに、当業者に明らかであろう、抗体及び抗体フラグメント((単一)ドメイン抗体及びScFvフラグメントを含むが、これらに限定されない)の発現及び生成についてそれ自体公知の全ての他の宿主又は宿主細胞であることができる。また、上記で引用された一般的な背景技術、ならびに、例えば、国際公開公報第94/29457号;同第96/34103号;同第99/42077号;Frenken et al. 1998(Res. Immunol. 149: 589-99);Riechmann and Muyldermans 1999(J. Immunol. Met. 231: 25-38);van der Linden 2000(J. Biotechnol. 80: 261-70);Joosten et al. 2003(Microb. Cell Fact. 2: 1);Joosten et al. 2005(Appl. Microbiol. Biotechnol. 66: 384-92);ならびに、本明細書で引用された更なる参考文献も参照される。
【0438】
細胞中でのISV、ポリペプチド、又は構築物の発現について、それらは、例えば、国際公開公報第94/02610号、同第95/22618号、及び米国特許第7004940号;国際公開公報第03/014960号;Cattaneo and Biocca 1997(Intracellular Antibodies: Development and Applications. Landes and Springer-Verlag);及び、Kontermann 2004(Methods 34: 163-170)に記載されているように、いわゆる「細胞内抗体」として発現させることもできる。
【0439】
本発明の好ましく非限定的な一実施態様によれば、本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物は、細菌細胞、特に、大規模医薬品製造に適した細菌細胞、例えば、上記で言及された株の細胞中で生成される。
【0440】
本発明の別の好ましく非限定的な実施態様によれば、本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物は、酵母細胞、特に、大規模医薬品製造に適した酵母細胞、例えば、上記で言及された種の細胞中で生成される。
【0441】
本発明の更に別の好ましく非限定的な実施態様によれば、本発明のISV、ポリペプチド、又は構築物は、哺乳類細胞、特に、ヒト細胞、又は、ヒト細胞系統の細胞、とりわけ、大規模医薬品製造に適したヒト細胞、又は、ヒト細胞系統の細胞、例えば、上記で言及された細胞系統中で生成される。
【0442】
本発明の宿主又は宿主細胞を形質転換するのに適した技術は、当業者に明らかであろうし、意図した宿主細胞/宿主生物及び使用される遺伝子構築物により決まる場合がある。再度、上記で言及されたハンドブック及び特許出願が参照される。
【0443】
形質転換後、本発明のヌクレオチド配列/遺伝子構築物により成功して形質転換された、それらの宿主細胞又は宿主生物を検出し、選択
するための工程を行うことができる。この工程は、例えば、本発明の遺伝子構築物中に存
在する選択マーカーに基づく選択工程、又は、例えば、特異的抗体を使用した本発明のポ
リペプチドの検出に関わる工程であることができる。
【0444】
形質転換された宿主細胞(同宿主細胞は、安定した細胞系統の形態にあることができる)又は宿主生物(同宿主生物は、安定した変異系統又は株の形態であることができる)は、本発明の更なる態様を構成する。
【0445】
好ましくは、これらの宿主細胞又は宿主生物は、それらが本発明のIVS、ポリペプチド、又はタンパク質構築物を(宿主生物の場合には、その少なくとも1つの細胞、部分、組織、又は臓器において)発現するか、又は、(少なくとも)発現することができるようにである(例えば、適切な条件下で)。また、本発明は、例えば、細胞分裂により又は有性生殖もしくは無性生殖により得られた、本発明の宿主細胞又は宿主生物の更なる世代、子孫、及び/又は子も含む。
【0446】
したがって、別の態様では、本発明は、本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物を発現する(又は、適切な環境下において、発現することができる)、及び/又は、それをコードする核酸を含有する、宿主又は宿主細胞に関する。このような宿主又は宿主細胞の一部の好ましく非限定的な例は、一般的には、国際公開公報第04/
041867号、同第04/041865号、又は同第09/068627号に記載されていることができる。例えば、本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物を、有利に、酵母株、例えば、Pichia pastoris株において、発現させ、生成し、又は、製造することができる。国際公開公報第04/25591号、同第10/125187号、同第11/003622号、及び同第12/056000号も参照される。これらの文献には、免疫グロブリン単一可変ドメイン及びそれを含むポリペプチドのPichia及び他の宿主宿主細胞における発現/生成も記載されている。
【0447】
本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物を生成し/これらの発現を得るために、形質転換された宿主細胞又は形質転換された宿主生物を、一般的には、本発明の(所望の)ISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物が発現され/生成されるような条件下において、保持し、維持し、及び/又は、培養することができる。適切な条件は、当業者に明らかであろうし、通常、使用される宿主細胞/宿主生物、及び、本発明の(関連する)ヌクレオチド配列の発現を制御する調節エレメントにより決まるであろう。再度、本発明の遺伝子構築物の段落において、上記で言及されたハンドブック及び特許出願が参照される。
【0448】
一般的には、適切な条件は、適切な培地の使用、適切な食料源及び/又は適切な栄養の存在、適切な温度の使用、及び場合により、適切な誘引因子又は化合物の存在(例えば、本発明のヌクレオチド配列が誘引性プロモーターの制御下にある場合)を含むことができる。それらは全て、当業者により選択することができる。再度、このような条件下において、本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物を、構成的な方法、一過性の方法、又は適切に誘引された際にのみ発現させることができる。
【0449】
本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物は、(上記で言及されたように)未成熟な状態で(最初に)生成することができ、ついで、使用される宿主細胞/宿主生物に応じて、翻訳後修飾に供することができることも当業者に明らかであろう。また、本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物を、再度、使用される宿主細胞/宿主生物に応じて、グリコシル化させることができる。
【0450】
ついで、本発明のISV、ポリペプチド、又はタンパク質構築物を、宿主細胞/宿主生物から、及び/又は、前記宿主細胞もしくは宿主生物が培養された培地から、それ自体公知のタンパク質単離及び/又は精製技術、例えば、(分取)クロマトグラフィー及び/又は電気泳動技術、差動的沈殿技術、(例えば、本発明のポリペプチド又は構築物と融合させた特異的な開裂性アミノ酸配列を使用する)親和性技術、及び/又は、分取免疫グロブリン技術(すなわち、単離されるアミノ酸配列に対する抗体を使用)を使用して、単離することができる。
【0451】
本発明の構築物は、一般的には、本発明の構築物を提供するために、本発明のISV又はポリペプチドを1つ以上の更なる基、残基、部分、又は結合単位に、場合により、1つ以上の適切なリンカーを介して、適切に結合する工程を少なくとも含む方法により調製することができる。ついで、本発明のISV、ポリペプチド、及び構築物を、及び特に、本発明のポリペプチド又は構築物を構成している1つ以上のアミノ酸残基の化学的及び/又は生物学的(例えば、酵素的)改変により、更に改変して、本発明のポリペプチド又は構築物の誘導体を得ることができる。
【0452】
また、本発明は、本発明のISV、ポリペプチド、化合物、又は構築物を含む、医薬組成物に関する。
【0453】
上記方法において、本発明のアミノ酸配列、ISV、ナノボディ、ポリペプチド、化合物、もしくは構築物及び/又はそれらを含む組成物を、任意の適切な方法において、使用される具体的な医薬製剤又は組成物に応じて投与することができる。このため、本発明のアミノ酸配列、ISV、ナノボディ、ポリペプチド、化合物、もしくは構築物及び/又はそれらを含む組成物を、例えば、経口、腹腔内(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、又は、消化管を回避する任意の他の投与経路を介して)、鼻内、経皮、局所、坐剤によって、吸入で、再度、使用される具体的な医薬製剤又は組成物に応じて投与することができる。医師は、このような投与に使用されるのに適した投与経路及び適した医薬製剤又は組成物を、予防され、又は、治療される疾患又は障害及び医師に周知の他の要因に応じて、選択することができるであろう。
【0454】
本明細書で使用する場合、「治療剤」という用語は、過剰増殖性細胞障害、例えば、ガン、又は、1つ以上のその症状の処置及び/又は管理に使用することができる、任意の作用剤を指す。特定の実施態様では、「治療剤」という用語は、本発明の多重特異性ポリペプチドを指す。好ましくは、治療剤は、過剰増殖性細胞障害、例えば、ガン、又は、1つ以上のその症状の治療、予防、及び/又は管理に有用であることが公知であるか、又は、これらに使用されてきた、もしくは、現在使用されている作用剤である。
【0455】
本明細書で使用する場合、ガンに関して「治療的に有効な量」は、ガンの処置及び/又は管理において治療的利益を提供する単独又は他の治療との組み合わせにおける治療量を指す。一態様において、治療的に有効な量は、主に原発性、局所的又は転移したガン組織を破壊し、修飾し、抑制し、又は、除去するのに十分な治療量を指す。別の態様では、治療的に有効な量は、ガンの症状を減少させるのに十分な治療量を指す。別の態様では、治療的に有効な量は、ガンの広がりを遅延させるか、又は、最小化するのに十分な治療量を指す。具体的な実施態様では、治療の治療的に有効な量は、ガン細胞の成長もしくは増殖を阻害し、既存のガン細胞を殺傷し(例えば、ガンを回帰させ)、及び/又は、ガン細胞の他の組織又は領域への広がりを予防する(転移を予防する)のに十分な治療量である。別の具体的な実施態様では、治療の治療的に有効な量は、当技術分野において公知の標準的な方法により測定された場合、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%で、腫瘍の増殖を阻害するのに十分な治療量である。本発明の多重特異性ポリペプチドの量に関して使用された場合、この用語は、治療全体を改善し、望ましくない影響を減少させ、もしくは、回避し、又は、別の治療の治療効果を向上させ、又は、別の治療と相乗する量を包含することができる。一実施態様において、治療の治療的に有効な量は、当技術分野において公知であるか、又は、本明細書で記載されたアッセイ法において、対照(例えば、陰性対照、例えば、リン酸緩衝生理食塩水)に対して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%で、望ましくない影響を減少させ、もしくは、回避し、別の治療の治療効果を向上させ、又は、別の治療と相乗する。
【0456】
本明細書で使用する場合、非ガン過剰増殖性細胞障害に関する「治療的に有効な量」は、前記障害の処置及び/又は管理において治療的利益を提供する単独又は他の治療との組み合わせにおける治療量を指す。一態様において、治療的に有効な量は、非ガン過剰増殖性細胞障害により影響を受けている細胞を破壊し、修飾し、抑制し、又は、除去するのに十分な治療量を指す。別の態様では、治療的に有効な量は、非ガン過剰増殖性細胞障害の症状を減少させるのに十分な治療量を指す。別の態様では、治療的に有効な量は、非ガン過剰増殖性細胞障害の広がりを遅延させるか、又は、最小化するのに十分な治療量を指す。具体的な実施態様では、治療の治療的に有効な量は、非ガン過剰増殖性細胞の成長もしくは増殖を阻害し、既存の非ガン過剰増殖性細胞を殺傷する(例えば、障害を回帰させる)のに十分な治療量である。別の具体的な実施態様では、治療の治療的に有効な量は、当技術分野において公知の標準的な方法により測定された場合、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%で、非ガン過剰増殖性細胞の増殖を阻害するのに十分な治療量である。本発明の多重特異性ポリペプチドの量に関して使用された場合、この用語は、治療全体を改善し、望ましくない影響を減少させ、もしくは、回避し、又は、別の治療の治療効果を向上させ、又は、別の治療と相乗する量を包含することができる。一実施態様において、治療の治療的に有効な量は、当技術分野において公知のアッセイ法において、対照(例えば、陰性対照、例えば、リン酸緩衝生理食塩水)に対して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%で、望ましくない影響を減少させ、もしくは、回避し、又は別の治療の治療効果を向上させ、又は、別の治療と相乗する。
【0457】
本明細書で使用する場合、「治療」という用語は、過剰増殖性細胞障害、例えば、ガンの治療、予防、及び/又は管理に使用することができる、任意のプロトコール、方法、及び/又は作用剤を指す。特定の実施態様では、「治療(therapies)」及び「治療(therapy)」という用語は、生物学的治療、支持的治療、ならびに/又は、当業者、例えば、医療関係者に公知の、過剰増殖性細胞障害、例えば、ガンもしくは1つ以上のその症状の治療、予防、及び/又は管理に有用な他の治療を指す。
【0458】
本明細書で使用する場合、対象に治療を適用するのに関する「処置する」、「処置」、及び「処置すること」という用語は、過剰増殖性細胞障害、例えば、ガンに関連する障害の進行、重症度、及び/もしくは期間の減少もしくは改善、ならびに/又は、1つ以上の治療の適用(1つ以上の予防剤又は治療剤の投与を含むが、これらに限定されない)により生じる1つ以上のその症状の改善を指す。具体的な実施態様では、対象に治療を適用するのに関する「処置する」、「処置」、及び「処置すること」という用語は、過剰増殖性細胞障害、例えば、ガンの進行、重症度、及び/又は期間の減少又は改善を指し、対照(例えば、陰性対照、例えば、リン酸緩衝生理食塩水)に対して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%での、ガン細胞の減少を指す。他の実施態様では、対象に治療を適用するのに関する「処置する」、「処置」、及び「処置すること」という用語は、過剰増殖性細胞障害、例えば、ガンの進行、重症度、及び/又は期間の減少又は改善を指し、ガン細胞数の変化、入院期間の短縮、死亡率の低下、又は、ガンを有する対象の生存期間の延長を指すものではない。
【0459】
本発明のアミノ酸配列、ISV、ナノボディ、ポリペプチド、化合物、及び/もしくは構築物、ならびに/又は、それらを含む組成物は、予防され、又は、治療される過剰増殖性細胞障害、例えば、ガンを予防し、及び/又は、治療するのに適した処置計画に従って投与される。医師は、一般的には、適切な処置計画を、処置される過剰増殖性細胞障害、例えば、ガンのステージ、処置される過剰増殖性細胞障害、例えば、ガンの重症度、及び/又は、その症状の重症度、使用される具体的な本発明のアミノ酸配列、ISV、ナノボディ、ポリペプチド、化合物、及び/もしくは構築物、使用される具体的な投与経路及び医薬製剤又は組成物、患者の年齢、性別、体重、食事、全身状態等の要因、ならびに、医師に周知の類似する要因に応じて、決定することができるであろう。
【0460】
一般的には、処置計画は、1つ以上の本発明のアミノ酸配列、ISV、ナノボディ、ポリペプチド、化合物、及び/もしくは構築物、又は、それらを含む1つ以上の組成物の、1つ以上の薬学的に有効な量又は用量での投与を含む。投与される具体的な量又は用量は、再度、上記で引用された要因に基づいて、医師により決定することができる。
【0461】
一般的には、本明細書で言及された過剰増殖性細胞障害、例えば、ガンの予防及び/又は治療のために、ならびに過剰増殖性細胞障害、例えば、ガンの種類、及び、処置される疾患のステージ、使用される具体的な本発明のアミノ酸配列、ISV、ナノボディ、ポリペプチド、化合物、又は構築物の効力、使用される具体的な投与経路及び具体的な医薬製剤又は組成物に応じて、本発明のアミノ酸配列、ISV、ナノボディ、ポリペプチド、化合物、又は構築物は、一般的には、体重1kg、1日当たりに1グラム~0.01ミリグラム、好ましくは、体重1kg、1日当たりに0.1グラム~0.01ミリグラム、例えば、体重1kg、1日当たりに約0.1、1、10、100、又は1000ミリグラム、例えば、対象の体重1kg当たりに0.1mg~25mgの量で、連続的(例えば、注入による)、1日一回の投与、又は、1日の間に複数回の分割した投与としてのいずれかで投与されるであろう。医師は、一般的には、本明細書で言及された要因に応じて、適切な日量を決定することができるであろう。また、特定の症例において、医師は、例えば、上記で引用された要因及び同医師の専門的な判断に基づいて、これらの量から逸脱して選択することができることも明らかであろう。一般的には、投与される量の幾らかのガイダンスを、実質的に同じ経路を介して投与される同じターゲットに対する比較可能な従来の抗体又は抗体フラグメントについて通常投与される量から、親和性/結合活性、有効性、生体分布、半減期の差、及び、当業者に周知の類似する要因を考慮して得ることができる。
【0462】
通常、上記方法において、1つの本発明のアミノ酸配列、ISV、ナノボディ、ポリペプチド、化合物、又は構築物が使用されるであろう。ただし、2つ以上の本発明のアミノ酸配列、ISV、ナノボディ、ポリペプチド、化合物、及び/又は構築物を、組み合わせで使用するのは、本発明の範囲内である。
【0463】
本発明のISV、ナノボディ、アミノ酸配列、ポリペプチド、化合物、及び/又は構築物は、1つ以上の更なる薬学的に活性な化合物又は成分との組み合わせで、すなわち、組み合わせられた処置計画として使用することもできる。同処置計画により、相乗効果がもたらされてもよいし、又は、もたらされなくてもよい。再度、医師は、このような更なる化合物又は成分及び適切に組み合わせられた処置計画を、上記で引用された要因及び同医師の専門的な判断に基づいて選択することができるであろう。
【0464】
特に、本発明のアミノ酸配列、ISV、ナノボディ、ポリペプチド、化合物、及び/又は構築物は、過剰増殖性障害、例えば、ガン、本明細書で引用された疾患及び/又は障害の予防及び/又は治療に使用されるか、又は、これらに使用することができる他の薬学的に活性な化合物又は成分との組み合わせで使用することができる。その結果として、相乗効果が得られてもよいし、又は、得られなくてもよい。このような化合物及び成分ならびにそれらを投与するための経路、方法、及び医薬製剤又は組成物の例は、医師に明らかであろう。
【0465】
2つ以上の物質又は成分が組み合わせられた処置計画の一部として使用される場合、それらは、同じ投与経路を介して、又は、異なる投与経路を介して、実質的に同じタイミング又は異なるタイミングで(例えば、実質的に同時、連続的、又は交互の計画に従って)投与することができる。同物質又は成分が同時に同じ投与経路を介して投与される場合、それらは、当業者に明らかであろうように、異なる医薬製剤もしくは組成物、又は、組み合わせられた医薬製剤もしくは組成物の一部として投与することができる。
【0466】
一態様において、本開示には、免疫グロブリン単一可変ドメインならびに1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、化合物、及び/又は構築物を含むポリペプチド構築物を投与するための方法が提供される。一部の実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメイン、ポリペプチド、化合物、及び/又は構築物は、医薬組成物として投与される。医薬組成物は、免疫グロブリン単一可変ドメイン及びそのポリペプチド構築物に加えて、薬学的に許容し得る担体を含む。
【0467】
詳細に記載されたように、本開示の医薬組成物は、固形又は液体での投与のために特別の配合することができる。同固体又は液体は、下記:経口投与、例えば、水薬(水溶液もしくは非水溶液又は懸濁液)、錠剤、例えば、頬、舌下、及び全身性吸収を目的としたもの、ボーラス剤、粉末剤、顆粒剤、舌への適用のためのペースト剤;例えば、皮下、筋肉内、静脈内、又は硬膜外注射による、例えば、無菌溶液もしくは懸濁液、又は、持続放出型製剤としての非経口投与;例えば、クリーム剤、軟膏剤、もしくは徐放性パッチ剤、又は、皮膚、肺、もしくは口腔に適用されるスプレー剤としての局所適用;例えば、膣坐剤、クリーム剤、もしくは泡剤として膣内又は直腸内;舌下;眼;経皮;又は鼻、肺、及び他の粘膜表面に適合されるものを含む。
【0468】
「薬学的に許容し得る」という表現は、本明細書において、正常な医療的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題もしくは合併症無しに、合理的な利益/リスク比に見合う、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適した化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために用いられる。
【0469】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容し得る担体」という表現は、対象となる化合物を1つの臓器又は身体の一部から別の臓器又は身体の一部に運ぶか、又は、輸送するのに関わる、薬学的に許容し得る材料、組成物、又は媒体、例えば、液状もしくは固体状の充填剤、希釈剤、賦形剤、又は溶媒内包材料を意味する。各担体は、製剤の他の成分と調和し、患者に対して有害でないという意味において「許容し得」なければならない。薬学的に許容し得る担体として機能することができる材料の一部の例は、糖、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及び酢酸セルロース;粉末状トラガント;モルト;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、ココアバター及び坐剤用ロウ;オイル、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油;グリコール、例えば、プロピレングリコール;ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;エステル、例えば、エチルオレアート及びエチルラウラート;アガー;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝液;ポリエステル、ポリカーボナート、及び/又はポリ酸無水物;ならびに、医薬製剤に利用される他の非毒性で適合性の物質を含む。
【0470】
本開示の製剤は、経口、鼻、局所(頬及び舌下を含む)、直腸、膣、及び/又は非経口投与に適したものを含む。本製剤は、単位剤形で都合良く存在することができ、薬学の分野において周知の任意の方法により調製することができる。単回剤形を製造するのに担体材料と組み合わせることができる活性成分(例えば、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はそのポリペプチド構築物)の量は、処置される宿主及び特定の投与モードに応じて変動するであろう。単回剤形を製造するのに担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、一般的には、治療効果を生じさせる化合物の量であろう。一般的には、この量は、約1%~約99%、好ましくは、約5%~約70%、最も好ましくは、約10%~約30%の活性成分の範囲であろう。
【0471】
特定の実施態様では、製剤は、シクロデキストラン、リポソーム、ミセル形成剤、例えば、胆汁酸、ならびに、ポリマー性担体、例えば、ポリエステル及びポリ酸無水物からなる群より選択される賦形剤を含む。特定の実施態様では、前述の製剤は、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド構築物を経口的に生体利用可能にする。
【0472】
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド構築物を、担体、及び場合により、1つ以上の補助的な成分と会合させる工程を含む。一般的には、本製剤は、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド構築物を、液状担体又は微細に分割された固形担体又は両方と均一かつ密接に会合させ、ついで、必要に応じて、生成物に成形することにより調製される。
【0473】
経口投与に適した製剤は、カプセル剤、カッシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(風味基材、通常、スクロース及びアカシア又はトラガントを使用)、粉末剤、顆粒剤の形態、又は、水性もしくは非水性液中の液剤又は懸濁剤として、又は、水中油もしくは油中水液体エマルションとして、又は、エリキシル剤もしくはシロップ剤として、トローチ剤(不活性な基材、例えば、ゼラチン及びグリセリン、又は、スクロース及びアカシアを使用)として、ならびに/又は、マウスウォッシュ等としてであることができる。それらはそれぞれ、活性成分として、所定量の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド構築物を含有する。また、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド構築物は、ボーラス剤、舐剤、又はペースト剤として投与することもできる。
【0474】
経口投与用の固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣剤、粉末剤、顆粒剤等)において、活性成分は、1つ以上の薬学的に許容し得る担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、ならびに/又は、下記:充填剤もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/又はケイ酸;バインダー、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/もしくはアカシア等;保水材、例えば、グリセロール;崩壊剤、例えば、アガー-アガー、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム;溶液遅延剤、例えば、パラフィン;吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物;湿潤剤、例えば、セチルアルコール、グリセロールモノステアラート、及び非イオン性界面活性剤等;吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイトクレイ;潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物;ならびに、着色剤のいずれかと混合される。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合には、本医薬組成物は、緩衝剤も含むことができる。類似する種類の固形組成物も、例えば、ラクトース又は乳糖及び高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用する、軟及び硬外被ゼラチンカプセル剤における充填剤として利用することもできる。
【0475】
錠剤は、場合により、1つ以上の補助的な成分と共に、圧縮又は成形により製造することができる。圧縮錠剤は、バインダー(例えば、ゼラチン又はヒドロキシ-プロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性な希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、ナトリウムデンプングリコラート又は架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、界面活性又は分散剤を使用して調製することができる。成形錠剤は、適切な機械において製造することができる。この場合、粉末状化合物の混合物が、不活性な液状希釈剤により湿らせられる。
【0476】
錠剤、ならびに本医薬組成物の他の固体剤形、例えば、糖衣剤、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤は、場合により、刻み目が入れられてもよくコーティング及び外被、例えば、腸溶コーティング及び製薬分野において周知の他のコーティングを有するように、調製してもよい。また、それらは、それらの中の活性成分の遅い又は制御された放出を提供するために、例えば、所望の放出プロファイルを提供するように変動する割合で、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム、及び/又はミクロスフェアを使用して、配合することもできる。それらは、急速な放出のために配合する、例えば、凍結乾燥させることができる。それらは、例えば、細菌保持フィルタによるろ過により、又は、滅菌水もしくは一部の他の無菌注射媒体中に使用直前に溶解させることができる無菌固体組成物の形態で殺菌剤を包含させることにより、減菌することができる。これらの組成物は、場合により、不透明剤も含有することができ、消化管の特定部分において、場合により、遅延した方法で、活性成分のみ又は活性成分を優先的に放出する組成のものであることができる。使用することができる埋込み組成物の例は、ポリマー性物質およびロウを含む。活性成分は、マイクロ内包形態であることもでき、可能であれば、1つ以上の上記賦形剤を含むこともできる。
【0477】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容し得るエマルション剤、マイクロエマルション剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、及びエリキシル剤を含む。活性成分に加えて、液体剤形は、当技術分野において一般的に使用される不活性な希釈剤、例えば、水又は他の溶媒等、溶解剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾアート、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、オイル(特に、綿実、ピーナッツ、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ひまし、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含有することができる。
【0478】
不活性な希釈剤の他に、経口組成物は、補助剤、例えば、湿潤剤、乳化剤、及び懸濁化剤、甘味料、香味料、着色剤、芳香剤、及び保存剤も含むことができる。
【0479】
懸濁剤は、活性成分に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、アガー-アガー、及びトラガント、ならびに、それらの混合物を含有することができる。
【0480】
直腸又は膣投与用の医薬組成物の製剤は、坐剤として提示することができる。同坐剤は、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド構築物を、1つ以上の適切な非刺激性賦形剤又は担体と共に混合することにより調製することができる。同賦形剤又は担体は、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤用ロウ、又はサリチラートを含み、室温で固体であるが、体温で液体であるため、直腸又は膣腔において溶融し、活性成分を放出するであろう。
【0481】
膣投与に適した製剤は、当技術分野において適切であることが公知の担体等を含有する、膣坐剤、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡剤、又はスプレー製剤も含む。
【0482】
免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド構築物の局所又は経皮投与用の剤形は、粉末剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ剤、及び吸入剤を含む。活性化合物は、無菌条件下において、薬学的に許容し得る担体及び、必要な場合には、任意の保存剤、緩衝剤、又は噴霧剤と混合することができる。
【0483】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、及びゲル剤は、賦形剤、例えば、動物性及び植物性脂肪、オイル、ロウ、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロール誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、及び酸化亜鉛、又はそれらの混合物を含有することができる。
【0484】
粉末剤及びスプレー剤は、賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物を含有することができる。スプレー剤は、通例の噴霧剤、例えば、クロロフルオロ炭化水素及び揮発性非置換炭化水素、例えば、ブタン及びプロパンを、更に含有することができる。
【0485】
経皮パッチ剤は、免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド構築物の身体への制御された送達を提供する付加的な利点を有する。化合物を適切な媒体中に溶解させ、又は、分散させることにより、このような剤形を構成することができる。吸収促進剤は、皮膚を通過する化合物の流動を増大させるのに使用することもできる。速度制御膜を提供するか、又は、ポリマーマトリックスもしくはゲル中に化合物を分散させることにより、このような流動速度を制御することができる。
【0486】
眼科用製剤、眼の軟膏剤、粉末剤、液剤等も、この開示の範囲内にあることが企図される。
【0487】
非経口投与に適した医薬組成物は、1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチド構築物を、1つ以上の薬学的に許容し得る無菌の等張性水溶液もしくは非水性液、分散液、懸濁液、もしくはエマルション、又は、使用直前に無菌注射液剤又は分散剤に再構成することができる無菌粉末との組み合わせで含む。同粉末は、糖、アルコール、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を意図したレシピエントの血液と等張性にする溶質、又は、懸濁化剤もしくは増粘剤を含有することができる。
【0488】
医薬組成物に利用することができる、適切な水性及び非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、及びそれらの適切な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、ならびに、注射可能な有機エステル、例えば、エチルオレアートを含む。適切な流動性は、例えば、コーティング材料、例えば、レシチンの使用により、分散剤の場合には、必要とされる粒径の維持により、及び、界面活性剤の使用により維持することができる。
【0489】
これらの組成物は、補助剤、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散化剤も含有することができる。対象となる化合物についての微生物作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等の包含により確保することができる。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム等を組成物に含むのが望ましい場合がある。加えて、注射可能な医薬形態の延長した吸収は、吸収を遅延させる作用剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの包含によりもたらすことができる。
【0490】
一部の場合には、薬剤の効果を長くするために、皮下又は筋肉内注射からの薬剤の吸収を遅くするのが望ましい。これは、乏しい水溶性を有する結晶性又は非晶性材料の液体懸濁液の使用により達成することができる。例えば、薬剤の吸収速度は、その溶解速度により決まる。次に、同溶解速度は、結晶サイズ及び結晶形状により決まる場合がある。あるいは、非経口的に投与された剤型の遅延した吸収は、薬剤を油状媒体中に溶解させ、又は、懸濁させることにより達成される。
【0491】
注射可能なデポー形態は、生分解性ポリマー、例えば、ポリラクチド-ポリグリコリド中における対象となる化合物のマイクロ内包マトリックスを形成することにより製造される。ポリマーに対する薬剤の比及び利用される特定のポリマーの性質に応じて、薬剤の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)及びポリ(酸無水物)を含む。注射可能なデポー製剤は、薬剤をリポソーム又はマイクロエマルションに内包することによっても調製される。同リポソーム又はマイクロエマルションは、生体組織に適合性である。
【0492】
この明細書に例示され、検討された実施態様は、本発明を作製し、使用するために、本発明者らが知っている最良の方法を、当業者に教示することのみを意図している。本発明の上記された実施態様の改変及び変更は、上記教示を考慮して、当業者に理解されるように、本発明を逸脱することなく可能である。したがって、特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、本発明は、具体的に記載されたのとは別の方法で実施することができることが、理解される。
【0493】
ここから、本発明は、下記の非限定的で好ましい態様、実施例、及び図面により更に説明されるであろう。
【0494】
この出願全体を通して引用された(参考文献、発効された特許、公開された特許出願、及び同時係属中の特許出願を含む)全ての参考文献の内容全体が、特に、上記で参照された教示について、参照により明示的に組み入れられる。
【実施例
【0495】
実施例1 TCRαβ/CD3細胞系統
全長ヒトT細胞レセプター複合体の6つ全ての鎖のリコンビナント過剰発現を有する、一過性で安定したCHO-K1(ATCC:CCL-61)、HEK293H(Life technologies、11631-017)、Llana(ラマの臍帯細胞からの繊維芽細胞)細胞系統を生じさせた。これについて、TCRアルファ(α)及びTCRベータ(β)鎖のコード配列を、pcDNA3.1から得られたベクター中にCMVプロモーターの下流クローニングした。ポリペプチドの翻訳中にリボソームスキップを誘引するために、2A様ウイルスペプチド配列を、両鎖の間に挿入した。同じベクター中に、CD3複合体のイプシロン、デルタ、ガンマ、及びゼータ鎖のコード配列を、更なるCMVプロモーターの下流に、各鎖の間に2A様ウイルスペプチド配列も使用してクローニングした。加えて、ヒトCD3の4つの鎖のリコンビナント過剰発現を有する安定したHEK293Hクローンを、1つの遺伝子ベクターを使用して、上記と同様に生じさせた。
【0496】
ヒトCD3及びヒトTCRα/β定常ドメインについての配列を、UniProtKB(CD3デルタ:P04234、CD3ガンマ:P09693、CD3イプシロン:P07766、CD3ゼータ:P20963、TCRα:P01848、及びTCRβ:P01850)から検索した。ヒトTCRα/β可変ドメインについての配列を、結晶構造(PDBコード:2IAN、2XN9、及び3TOE)から検索した。
【0497】
ヒトT細胞レセプター複合体の細胞表面発現を、機能的なマウスIgG2b抗ヒトTCRα/β抗体であるクローンBW242/412(Miltenyi、130-098-219)及び機能的なマウスIgG2a抗CD3 PEラベル抗体であるクローンOKT-3(eBioscience、12-0037)を使用して確認した(図1)。
【0498】
実施例2 TCR/CD3によるラマの免疫化、重鎖のみの抗体フラグメントレパートリーのクローニング、及びファージの調製
2.1 免疫化
倫理委員会(Faculty of Veterinary Medicine of the University of Ghent, Belgium- EC2004/044 en EC2005/053)の承認後、ラマ(llama glama)を、単一軟膜からフィコール密度遠心分離により単離されたヒト末梢血リンパ球(PBMC)、又は、ビオチンコンジュゲート抗体を使用する磁性細胞分離によりPBMCから濃縮されたマウスもしくはヒトT及びNK細胞のいずれかにより免疫化した。これらの免疫化戦略のいずれでも、特異的な免疫応答がもたらされなかった。
【0499】
倫理委員会(CRIA, LA1400575, Belgium- EC2012#1)の承認後、3匹の更なるラマを、pVAX1-ヒトTCR(2IAN)/CD3(実施例1に記載)プラスミドベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)及びpVAX1-ヒトTCR(2XN9)/CD3(実施例1に記載)プラスミドベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)により、標準的なプロトコールに従って免疫化した。2匹のラマに、初代ヒトT細胞の1回の皮下注入を更に受けさせた。ヒトT細胞を、健康なボランティア(Blood bank Gent)からの軟膜血から、RosetteSep(StemCell Technologies, #15061)を使用して収集し、続けて、Ficoll-PaqueTM PLUS(GE Healthcare #17-1440-03)において、製造メーカーの説明書に従って濃縮し、液体窒素中で保存した。融解後、細胞を、GibcoからのD-PBS中で洗浄し、再懸濁させ、注入前に氷上で維持した。
【0500】
2.2 重鎖のみの抗体フラグメントレパートリーのクローニング及びファージの調製
動物ごとに、血液サンプルを、1種類の免疫化抗原の注入後に収集した。これらの血液サンプルから、PBMCを、Ficoll-Hypaqueを使用し、製造メーカーの説明書(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ, USA)に従って調製した。免疫化された各ラマについて、ライブラリを、免疫化スケジュール、すなわち、1種類の免疫化抗原の注入後の特定のサブセットに得られたサンプルから単離されたトータルRNAをプールすることにより構築した。
【0501】
簡潔に、PCR増幅VHHレパートリーを、VHHライブラリのファージディスプレイを容易にするように設計されたベクター内に、特定の制限部位を介してクローニングした。ベクターを、pUC119から得た。VHHコード配列を有するフレーム中において、このベクターは、C末端3×FLAG及びHis6タグをコードする。ファージを、標準的なプロトコールに従って調製した(例えば、国際公開公報第04/041865号、同第04/041863号、同第04/062551号、同第05/044858号、及び他の先行技術、ならびに、本明細書で引用されたAblynx. N. V.により出願された出願を参照のこと)。
【0502】
実施例3 TCR/CD3特異的VHHのファージディスプレイによる選択
全てのラマから得られ、ファージライブラリとしてクローニングされたVHHレパートリーを、多数の選択条件を適用する種々の選択戦略に使用した。変数は、i)ヒトTCRα/β/CD3の提示方式(種々の細胞バックグラウンド又は精製された初代T細胞(実施例2.1に記載されたように単離))、ii)抗原濃度、iii)選択ラウンド回数を含んだ。簡潔に、細胞を、ファージライブラリと2時間インキュベーションし、続けて、十分に洗浄し、結合したファージを、トリプシン(1mg/mL)で15分間溶出した。トリプシンをファージ溶出に使用した場合、プロテアーゼ活性を、0.8mM プロテアーゼ阻害剤であるABSFを加えることにより、直ちに中和した。対照として、親細胞系統によるか、又は、抗原によらない選択を、平行して行った。
【0503】
ファージ出力を、個々のVHHクローンの分析のために、E.coliに感染させるのに使用した。周辺質抽出物を、標準的なプロトコールに従って調製した(例えば、国際公開公報第03/035694号、同第04/041865号、同第04/041863号、同第04/062551号、及び他の先行技術、ならびに、本明細書で引用されたAblynx. N. V.により出願された出願を参照のこと)。
【0504】
実施例4 スクリーニング
4.1 フローサイトメトリーアッセイ法におけるTCR/CD3結合ナノボディについてのスクリーニング
周辺質抽出物を、細胞発現TCR/CD3結合について、混合された細胞系統環境における、ヒトTCR/CD3トランスフェクションCHO-K1又はHEK293H細胞及び各CHO-K1又はHEK293H参照細胞系統を使用してスクリーニングした。この目的を達成するために、大型バッチの参照細胞系統を、8μM PKH26によりラベルし、凍結させた。5×10個のPKHラベル参照細胞を、5×10個のターゲット細胞と混合し、周辺質抽出物と共に、4℃で30分間インキュベーションし、3回洗浄した。次に、細胞を、1μg/ml モノクローナルANTI-FLAG(登録商標)M2抗体(Sigma-Aldrich, cat# F1804)と共に、4℃で30分間インキュベーションし、再度洗浄し、ヤギ抗マウスAPCラベル抗体(Jackson Immunoresearch 115-135-164、1:100)と共に、4℃で30分間インキュベーションした。サンプルを、FACSバッファー(GibcoからのD-PBS、Sigmaからの10% FBS、Merckからの0.05% アジ化ナトリウムを含む)中で洗浄し、再懸濁させ、ついで、BD FACSArrayにおいて分析した。まず、総細胞集団の80%超を表わすP1集団を、FSC-SSC分布に基づいて選択した。このゲーティングにおいて、20,000個の細胞を、取得中にカウントした。PKH26-SSC分布に基づいて、PKHラベル親集団及びヒトTCR/CD3非ラベルターゲット集団を選択した。これらの2つの集団について、平均APC値を算出した。
【0505】
4.2 ヒトT細胞活性化アッセイ法におけるTCR/CD3結合ナノボディについてのスクリーニング
複数の試みの後に、標準的なプロトコールに従って、すなわち、96ウェルプレート上にコートした抗体又はナノボディによる精製されたヒトT細胞の活性化は、十分な感度ではなかったことが分かった(データを示さず)。
【0506】
活性を評価するために、異なるアッセイ法を、ビーズ結合T細胞活性化に基づいて開発した。簡潔に、ヤギ抗マウスIgGdynabeads(Life technologies #11033)を、マウス抗flag IgG抗体(Sigma F1804)(15μg/1E7beads)によりコートした。4℃で2時間のインキュベーション後、ビーズを洗浄し、周辺質抽出物 80μlと共に、振とうしながら、4℃で20分間インキュベーションした。結合しなかったナノボディを洗浄し、その後、ビーズ複合体を可溶性マウス抗CD28抗体(Pelicluster CD28 - Sanquin #M1650)と共に加えて、初代ヒトT細胞を精製した(実施例2.1に記載されたように単離した)。対照条件として、非刺激T細胞を使用した。簡潔に、マウス抗flag IgGに結合したヤギ抗マウスIgGdynabeadsを、無関係のナノボディを含有する周辺質抽出物 80μl中でインキュベーションした。洗浄工程中に結合しなかったナノボディの除去後に、無関係のナノボディ-ビーズ複合体を、精製された初代ヒトT細胞に加えた。
【0507】
37℃及び5% COでの24時間のインキュベーション後、ヒトT細胞の活性化状態を、モノクローナルマウス抗ヒトCD69PE(BD # 557050)を使用して、フローサイトメトリーにおけるCD69発現レベルを測定することにより決定した。
【0508】
フローサイトメトリー結合スクリーニング及びT細胞活性化アッセイ法において陽性にスコアされたナノボディを配列決定した。
【0509】
配列分析から、6つの区別できるクラスターの同定がもたらされた。対応するアライメントを提供する(表A-1、表A-2、表A-3、表A-4、表A-5、表A-6)。クラスタリングは、CDR2及びCDR3における配列類似性及び差異に基づいた。クラスターAは、50個のクローン(配列番号:1~50)を含む最も顕著なものである。クラスターB及びクラスターDはそれぞれ、1つのみのクローン(それぞれ、配列番号:51及び配列番号:52)により表わされる。クラスターCは、4つのクローン(配列番号:53~56)を含む。クラスターEは、9つのクローン(配列番号:57~65)を含む。クラスターFは、15個のクローン(配列番号:66~80)を含む。
【0510】
CDRの配列変異を、種々のクラスターについて決定した。クラスターAについて、クローン117G03におけるCDRのアミノ酸配列を、参照として使用した。これに対して、他の全てのクラスターAクローンのCDRを比較した。117G03に対する配列変異を、以下の表に示す。
【0511】
【表7】
【0512】
【表8】
【0513】
【表9】
【0514】
クラスターBについて、クローン60E11におけるCDRのアミノ酸配列を、以下の表に示す。
【0515】
【表10】
【0516】
【表11】
【0517】
【表12】
【0518】
クラスターCについて、クローン33G03におけるCDRのアミノ酸配列を、参照として使用した。これに対して、他の全てのクラスターCクローンのCDRを比較した。33G03に対する配列変異を、以下の表に示す。
【0519】
【表13】
【0520】
【表14】
【0521】
【表15】
【0522】
クラスターDについて、クローン11A10におけるCDRのアミノ酸配列を、以下の表に示す。
【0523】
【表16】
【0524】
【表17】
【0525】
【表18】
【0526】
クラスターEについて、クローン52G04におけるCDRのアミノ酸配列を、参照として使用した。これに対して、他の全てのクラスターEクローンのCDRを比較した。52G04に対する配列変異を、以下の表に示す。
【0527】
【表19】
【0528】
【表20】
【0529】
【表21】
【0530】
クラスターFについて、クローン50A11におけるCDRのアミノ酸配列を、参照として使用した。これに対して、他の全てのクラスターFクローンのCDRを比較した。50A11に対する配列変異を、以下の表に示す。
【0531】
【表22】
【0532】
【表23】
【0533】
【表24】
【0534】
配列に基づくクラスタリングを、機能的な差異に変換した(以下を参照のこと)。
【0535】
4.3 一価ナノボディの精製
実施例4.2で同定された全てのクローンの特徴決定を実行できないため、代表的なナノボディを選択し、三重Flag、His6タグ付きタンパク質として、E. coli TG1中において発現させた。発現を、1mM IPTGの添加により誘引し、37℃で4時間継続した。細胞培養物をスピンした後、周辺質抽出物を、ペレットの凍結-融解により調製した。これらの抽出物を、開始材料として使用した。ナノボディを、IMAC及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により精製した。
【0536】
ナノボディを、純度95%(SDS-PAGEにより評価した場合)に精製した(データを示さず)。
【0537】
実施例5 CHO-K1細胞上に発現されたヒトTCR/CD3及び精製された初代ヒトT細胞へのCD3ナノボディの結合
CHO-K1細胞上に発現されたヒトTCR(2XN9)/CD3及び精製された初代ヒトT細胞への精製された一価CD3ナノボディの結合を、実施例4.1で概説されたフローサイトメトリーにおいて評価した。CD3ナノボディ117G03(クラスターA)、60E11(クラスターB)、33G03(クラスターC)、11A10(クラスターD)、52G04(クラスターE)、及び50A11(クラスターF)の希釈系列(1μMから開始)を、細胞に加えた。
【0538】
結果を、図2に示す。
【0539】
ナノボディはCHO-K1細胞上で発現されたヒトTCR/CD3に明確に結合した。クラスターAの代表は、最良の親和性を示し、続いて、クラスターB、C、F、D、及びEの代表であった。ナノボディは、精製された初代ヒトT細胞に結合したが、CHO-K1ヒトTCR(2XN9)/CD3細胞と比較して、効力がわずかに低かった。クラスターAの代表は、ヒト初代T細胞について、CHO-K1(2XN9)/CD3におけるデータと一致して、最良の親和性を示した。用量応答曲線から得られたEC50値を、表1に表わす。
【0540】
【表25】
【0541】
実施例6 結合エピトープの決定
HEK293H細胞上で発現されたヒトTCR(2IAN)/CD3への結合を、実施例5で概説されたフローサイトメトリーにおいて評価し、HEK293HヒトCD3細胞への結合と比較した。1μMから開始するCD3ナノボディの希釈系列を、細胞に加えた。親HEK293H細胞系統を、TCR/CD3陰性細胞系統として含ませた。
【0542】
結果を、図3に示す。
【0543】
ヒトCD3によりトランスフェクションされたHEK293Hへの結合が、全てのナノボディについて観察された。加えて、一部のNbは、ヒトTCR/CD3によりトランスフェクションされたHEK293Hへの結合を示した。HEK293H親細胞系統への結合は観察されなかった。用量応答曲線から得られたEC50値を、表2に示す。
【0544】
【表26】
【0545】
実施例7 精製されたCD3反応性ナノボディの初代ヒトT細胞活性化能
精製された一価CD3ナノボディの機能性を、ヒトT細胞活性化アッセイ法において評価した。ヤギ抗マウスIgGdynabeads(Life technologies #11033)を、マウス抗flag IgG抗体(Sigma F1804)(15μg/1E7beads)によりコートした。4℃で2時間のインキュベーション後、ビーズを洗浄し、固定(1μg)濃度の精製されたflagタグ付きナノボディと共に、振とうしながら、4℃で20分間インキュベーションした。結合しなかったナノボディを洗浄し、その後、ビーズ複合体を可溶性マウス抗CD28抗体(Pelicluster CD28 - Sanquin #M1650)と共に加えて、別箇の健康なドナーから、初代ヒトT細胞を精製した(実施例2.1に記載されたように単離した)。
【0546】
加えて、ナノボディによる一価CD3結合の効果を、ビーズ上の事前の補捉なしに、抗CD28抗体の存在下において、ナノボディと別箇の健康なドナーから単離され、精製された初代ヒトT細胞とのインキュベーションにより評価した。
【0547】
精製された初代ヒトT細胞の活性化状態を、実施例4.2に記載されたように、37℃及び5% COにおける24時間のインキュベーション後に、モノクローナルマウス抗ヒトCD69PE(BD #557050)を使用するフローサイトメトリーにおいて、CD69の発現を測定することによりモニターした。
【0548】
まとめると、CD3ナノボディは、抗マウスIgGdynabeads上での補捉後に、明確なCD69アップレギュレーションを示した(図4A)。溶液に加えられた場合、CD3反応性ナノボディはどれも、CD69の増大した発現により測定された場合、精製された初代ヒトT細胞を、活性化することができなかった(図4B)。
【0549】
実施例8 細胞上で発現されたヒトT細胞レセプター複合体への二重特異性CD3ポリペプチドの結合
関与したT細胞の腫瘍細胞への再指向性がナノボディにより可能となることを証明するために、CD20抗原を、例示的な腫瘍ターゲットとして選択した。
【0550】
種々のCD3構築ブロック(すなわち、ナノボディ)を、ヒトCD20ターゲッティングナノボディと共に、二重特異性構築物にフォーマットした(表3を参照のこと)。エフェクター及び腫瘍ナノボディを、35GSリンカーにより遺伝的に結合させ、その後に、標準的なプロトコールに従って、酵母のPichia中で発現させた(二重特異性ポリペプチド)。
【0551】
無関係の構築物を、エフェクター又は腫瘍ナノボディを無関係の抗卵リゾチーム(cablys)ナノボディにより置き換えることにより生成した(表3)。
【0552】
【表27】
【0553】
CHO-K1細胞上で発現されたヒトTCR/CD3、精製された初代ヒトT細胞、及びヒトCD20陽性Ramos細胞(ATCC:CRL-1596)への二重特異性構築物の結合を、実施例5で概説されたフローサイトメトリーにおいて評価し、図5に表わす。
【0554】
用量応答曲線から得られたEC50値を、表4に示す。
【0555】
【表28】
【0556】
データは、その一価対照物と比較して、CD3×CD20二重特異性ナノボディの類似する結合を示す(破線)。ただし、CD20×CD3二重特異性ナノボディの結合は、CHO-K1ヒトTCR(2XN9)CD3細胞及び初代ヒトT細胞に対するその一価対照物と比較して低下していた(実線)。ヒトCD20 Ramos細胞では、C末端にCD20を含む二重特異性CD3ナノボディは、低下した結合性を示した。
【0557】
実施例9 フローサイトメトリーベースの殺傷アッセイ法における、二重特異性CD20×CD3ポリペプチドの機能性特徴決定
二重特異性ポリペプチドが腫瘍細胞を殺傷することができたかどうかを評価するために、細胞傷害アッセイ法を、エフェクター細胞としての単離されたヒトT細胞により行った。
【0558】
ヒトT細胞を、実施例2.1に記載されたように単離した。精製されたヒトT細胞の品質及び純度を、抗CD3(eBioscience # 12-0037-73)、抗CD8(BD Bioscience #345775);抗CD4(BD Bioscience #345771):抗CD45RO(BD Bioscience #555493);抗CD45RA(BD Bioscience # 550855)、及び抗CD19(BD Bioscience #555413)、抗CD25(BD Pharmigen #557138)、抗CD69(BD Pharmigen #557050)蛍光ラベル抗体により、フローサイトメトリーアッセイ法において確認した。上記されたPKH-26膜染料によりラベルされた、ヒトCD20を発現しているRamos細胞及びヒトCD20を発現しているRaji細胞(ECACC:85011429)を、ターゲット細胞として使用した。2.5×10個のエフェクター細胞及び2.5×10個のターゲット細胞を、96ウェルV底プレート中において、エフェクター:ターゲット比10:1で共インキュベーションした。濃度依存性細胞溶解を測定するために、二重特異性ポリペプチドの系列希釈(表3)を、サンプルに加え、5% CO雰囲気において、37℃で18時間インキュベーションした。インキュベーション後、細胞を、遠心分離によりペレット化し、FACSバッファーにより洗浄した。その後、細胞を、5nM TOPRO3(Molecular Probes cat# T3605)を添加したFACSバッファー中に再懸濁させて、生きている細胞と死んでいる細胞とを区別した。細胞を、FACSアレイフローサイトメーター(BD Biosciences)を使用して分析した。サンプルごとに、総サンプル容量 80μlを取得した。ゲーティングを、PKH26陽性細胞に設定し、この集団内で、TOPRO3陽性細胞を判定した。
【0559】
CD3二重特異性ポリペプチドは、Ramos細胞の用量依存性殺傷を示した(図6A)。T017000045(クラスターC、T0170033G03-35GS-20CD019C07-FLAG3-HIS6)は、Ramos細胞(図6A)及びRaja細胞(図6B)の両方において、用量依存性殺傷を示した。このことから、観察された細胞傷害効果が1つの腫瘍細胞系統に制限されなかったことが確認される。腫瘍抗原であるCD20の発現レベルを、両細胞系統について測定した(図7)。
【0560】
用量応答曲線から得られたIC50値及び溶解%を、表5に示す(溶解%=500nM ナノボディでの死細胞%-ナノボディ無しの対照での死細胞%)。
【0561】
【表29】
【0562】
これらの結果から、CD3二重特異性ポリペプチドは、腫瘍ターゲット陽性細胞系統のT細胞媒介性殺傷を誘引することができることが証明される。ターゲッティングナノボディ又はエフェクターナノボディのいずれかが、無関係なものに置き換えられた場合、Ramos細胞の生存性に影響を及ぼさないことを観察することができた。二重特異性ポリペプチド中の個々の結合ブロック間における配向には、明確な優位性は存在しなかった。
【0563】
実施例10 xCELLigenceベースの殺傷アッセイ法における二重特異性CD20×CD3ポリペプチドの機能性特徴決定
CD3多重特異性ポリペプチド(表3)を、ヒトエフェクターT細胞の存在下において、リアルタイム電気インピーダンス系技術を使用して、CD20トランスフェクション付着ターゲット細胞におけるその細胞傷害性についても試験した。ここでは、細胞の電極表面への付着により誘引されたインピーダンスの変動を測定した。T細胞は、非付着性であるため、インピーダンス測定には影響を及ぼさない。
【0564】
簡潔に、xCELLigenceステーションを、37℃、5% COのインキュベーター中に入れた。アッセイ培地 50μlを、E-plate 96(ACEA Biosciences; cat#05 232 368 001)の各ウェルに加えた。xCELLigenceシステムにおけるブランク読取りを行い、細胞の不存在下におけるバックグラウンドインピーダンスを測定した。その後、ヒトCD20トランスフェクションCHO-K1細胞又はCHO-K1親細胞(1×10個)を、E-plate 96に播種し、ナノボディの系列希釈 50μlを加えた。RTで30分後、エフェクター:ターゲット比30:1を有するように、ヒトT細胞 50μlを、ウェル当たりに加えた(3×10個)。このプレートを、xCELLigenceステーションに入れた。インピーダンスを、3日間の間15分毎に測定した。データを、アッセイ法開始後44時間分析した。
【0565】
IC50値を、表6に示す。
【0566】
多重特異性ポリペプチドは、腫瘍抗原依存性殺傷を示した。それらは、ヒトCD20トランスフェクションCHO-K1細胞の用量依存性ヒトT細胞媒介性殺傷を誘引した(図8)が、この構築物は、CHO-K1親細胞のT細胞媒介性殺傷を誘引することができなかった(図9)。
【0567】
【表30】
【0568】
これらの結果から、実施例9のフローサイトメトリーベースの殺傷アッセイ法において得られたアウトカムが確認される。加えて、腫瘍ターゲット抗原が存在する場合にのみ、T細胞媒介性殺傷が観察された。このことから、二重特異性ポリペプチドは、細胞傷害性の誘引に関して、そのターゲットに顕著に依存していることが示される。
【0569】
実施例11 二重特異性ポリペプチドのリンカー長評価
CD20/CD3二重特異性ポリペプチドに使用されるリンカー長の細胞傷害能における影響を評価するために、エフェクター及び腫瘍ナノボディを、5GS、9GS、又は35GSリンカーにより、遺伝的に結合させ、その後、標準的なプロトコールに従って、Pichia中で発現させた(表7を参照のこと)。
【0570】
【表31】
【0571】
付着性CHO-K1ヒトCD20ターゲットについてのヒト初代エフェクターT細胞誘引細胞傷害性におけるCD20/CD3二重特異性ポリペプチドに使用されたリンカーの長さの影響を、実施例9に記載されたリアルタイム電気インピーダンス系技術を使用して評価した。
【0572】
結果を、図10に概説する。
【0573】
全ての二重特異性ポリペプチド、すなわち、全てのリンカー長により、特異的な細胞殺傷が証明された。効力について、これらの二重特異性ポリペプチドについての種々のリンカー9GS及び35GSリンカー間で、差はほとんど観察されなかった。
【0574】
実施例12 CD3二重特異性ポリペプチドのエフェクター:ターゲット比の評価
ナノボディの殺傷特性における種々のエフェクター:ターゲット(E:T)比の効果を評価するために、CD20×CD3二重特異性ポリペプチドを、2.5×10個のPKHラベルRamos細胞と共に、それぞれ、2.5×10個(E:T=10:1)、1.25×10個(E:T=5:1)、5×10個(E:T=2:1)、2.5×10個(E:T=1:1)の実施例2で記載されたヒトT細胞の存在下において、インキュベーションした。
【0575】
例示的な結果を、図11に示す。IC50値を、表8に示す。
【0576】
【表32】
【0577】
二重特異性構築物は、18時間のインキュベーション時間後に、ヒトCD20ターゲット細胞の殺傷を、効力の差がほとんどなく、種々のE:T比において、1:1の比でも誘引した。溶解%におけるE:T比への影響が存在するが、これは、インキュベーション時間にも関連し得る(以下を参照のこと)。
【0578】
実施例13 xCELLigenceでの精製された初代ヒトT細胞媒介性アッセイ法におけるCD20/CD3二重特異性構築物の時間依存性細胞溶解活性
CD20×CD3二重特異性構築物の殺傷特性におけるインキュベーション時間の影響を評価するために、ターゲット細胞の特異的溶解を、xCELLigenceにおける種々の時点について算出した。簡潔に、xCELLigenceステーションを、37℃、5% COのインキュベーター中に入れた。アッセイ培地 50μlを、E-plate 96(ACEA Biosciences; cat#05 232 368 001)の各ウェルに加えた。xCELLigenceシステムにおけるブランク読取りを行い、細胞の不存在下におけるバックグラウンドインピーダンスを測定した。その後、ヒトCD20トランスフェクションCHO-K1細胞又はCHO-K1親細胞(1×10個)を、E-plate 96に播種した。20時間後、精製された初代ヒトT細胞(前記)と、100nM又は1.5nM 二重特異性構築物のいずれかとを、それぞれ加えた。細胞指数(CI)を、5日間15分毎に測定した。正規化されたCI(正規化された細胞指数-NCIは、特定の時点における細胞指数値を、精製された初代ヒトT細胞を加えた時点の細胞指数値で割ることにより算出される)を使用して、構築物を含む条件の種々の時点での特異的溶解を、構築物を欠いた条件に対して算出した。(特異的溶解%=((NCI構築物なし-NCI構築物あり)/NCI構築物なし))×100。
【0579】
結果を、図12に示す。
【0580】
ヒト初代T細胞及び多重特異性構築物の添加後1時間で早くも、細胞指数の増大を観察することができる。この増大は、更に長いインキュベーション時間により明確に増大した。最大効果は、インキュベーション時間に明確に依存したが、得られたIC50値は、インキュベーション時間の増大により変化しなかった。無関係の構築物は、ヒトCD20 CHO-K1細胞の殺傷を何ら示さなかった。
【0581】
実施例14 半減期延長の調査
アルブミン結合によるHLEは、種々の要求((i)部分の半減期延長(HLE)及び(ii)多重特異性抗体の有効性を含む)を満たすのに適しているだろうと仮定された。好ましくは、HLE機能は、腫瘍及び組織の浸透を損なわないであろう。
【0582】
ヒト血清アルブミン(HSA)に結合するナノボディであるAlb11を、フォーマットされた分子のin vivo半減期を伸ばすために、多重特異性CD20×CD3ポリペプチドに結合させた(国際公開公報第06/122787号)。数多くのフォーマットを、N末端におけるCD20腫瘍ターゲット構築ブロックと、中央におけるCD3リクルート構築ブロックと、C末端におけるアルブミンターゲットナノボディに基づき、35GSリンカーを使用して生成し、上記で示されたように発現させた。調査されたフォーマットの概要を、表9に示す。
【0583】
【表33】
【0584】
Alb11ナノボディへのHSAの結合がHLE構築物の親和性又は効力に影響を有する場合があるため、半減期延長ナノボディを、CD3過剰発現CHO-K1及び初代ヒトT細胞への結合について特徴決定した。加えて、機能的なT細胞依存性Ramos B細胞殺傷アッセイ法における効力を、HSAの存在及び不存在下において評価した(以下の14.1及び14.2に記載)。
【0585】
14.1 結合特性におけるヒト血清アルブミンの影響
実施例5に記載された実験と同様に、CHO-K1ヒトTCR(2XN9)/CD3細胞、初代ヒトT細胞、及びRamos細胞への半減期延長抗CD3多重特異性構築物の結合を、フローサイトメトリーアッセイ法において評価した。
【0586】
結果を、図13に提供する。このアッセイ法において得られたEC50値を、表10に列記する。
【0587】
【表34】
【0588】
CD20-35GS-CD3 HLE構築物と非HLE構築物との比較から、試験された3つ全ての細胞系統において、同様の結合性が示された。示されたデータから、Alb11構築ブロックの結合は、結合特性に影響を及ぼさなかったことが示された。
【0589】
14.2 ヒトT細胞媒介性B細胞殺傷アッセイ法での効力についてのヒト血清アルブミンの影響
半減期延長抗CD3ナノボディ(表9)の機能性を、実施例10に記載されたヒトT細胞媒介性Ramos殺傷アッセイ法において、30μM HSAの存在及び不存在下で評価し、非HLE二重特異性構築物の機能性と比較した。
【0590】
結果を、図14に示す。このアッセイ法において得られたEC50値を、表11に列記する。
【0591】
【表35】
【0592】
結果から、構築物へのアルブミンターゲットNbの包含も、得られた効力又は有効性について実質的な影響を有さなかったことが示される。有効性/効力の小さな損失がHSAの存在下において観察されたが、半減期延長CD3二重特異性ポリペプチドはそれでも、腫瘍細胞殺傷について効力を有した。
【0593】
実施例15 xCELLigenceに基づくヒトT細胞媒介性HER2陽性腫瘍殺傷アッセイ法における多重特異性ポリペプチドの機能性特徴決定
T細胞を腫瘍細胞に指向させる際のCD3構築ブロックの一般的な適用可能性を評価するために、CD3構築ブロックを、種々のTAA、この場合、HER2に結合するナノボディと組み合わせた。
【0594】
抗CD3構築ブロックを、HER2固体腫瘍抗原に対するナノボディと、2つの配向において組み合わせ(表12)、実施例10に記載されたxCELLigenceに基づくヒトT細胞媒介性HER2陽性腫瘍殺傷アッセイ法において、2つのHER2発現細胞系統:SK-BR-3(ATCC:HTB-30)、MCF-7(ATCC:HTB-22)、及びHER2陰性参照細胞系統であるMDA-MB-468(ATCC:HTB-132)を、ターゲット細胞集団として使用して特徴決定した。ヒトHER2発現レベルを、一価の抗HER2ナノボディHER2005F07を使用し、実施例9に記載されたフローサイトメトリーにおいて、100nM 抗HER2ナノボディを使用して確認し、図15に示した。
【0595】
【表36】
【0596】
簡潔に、SKBR3(4×10個の細胞/ウェル)、MDA-MB-468(4×10個の細胞/ウェル)、又はMCF-7(2×10個の細胞/ウェル)を、96ウェルのE-plateに播種し、6×10個及び3×10個のヒト初代T細胞(エフェクター:ターゲット比15:1)と共に、多重特異性構築物の存在又は不存在下においてインキュベーションし、経時的に追跡した。データを、実験開始の18時間後で分析し、図16に示す。
【0597】
このアッセイ法において得られたIC50値を、表13に列記する。
【0598】
【表37】
【0599】
データから、CD3ナノボディによりヒト初代T細胞を腫瘍細胞に指向させることによる、HER2陽性腫瘍細胞系統の特異的殺傷が示される。このため、CD3構築ブロックは、CTLを腫瘍に指向させるのに広く適用可能である。SKBR3及びMCF-7細胞では、腫瘍抗原密度における大きな差があるにも関わらず、両方とも、多重特異性ナノボディ構築物の添加により、効率的に殺傷される。
【0600】
実施例16 xCELLigence殺傷アッセイ法でのヒトT細胞によるIFN-γ放出におけるCD20/CD3ポリペプチドの効果
CD20×CD3ポリペプチドを、実施例10に記載されたxCELLigenceに基づくヒトT細胞媒介性CHO_K1ヒトCD20殺傷アッセイ法において、サイトカイン分泌を誘引するその能力について評価した。サイトカインIFN-γの放出を、ELISAにより測定した。簡潔に、CHO-K1ヒトCD20細胞を、96 E plateに播種し、20時間後、精製されたヒト初代T細胞を、二重特異性CD20×CD3/無関係の構築物の有無で、実施例13に記載されたように、E plateに加えた。E-plateへのヒト初代T細胞/構築物の添加後72時間で、ヒト初代T細胞によるIFN-γ生成を測定した。Maxisorp96ウェルELISAプレート(Nunc)を、抗ヒトIFN-γ抗体(BD Bioscence #551221)によりコートした。一晩のインキュベーション後、プレートを洗浄し、PBS+2% BSAにより、室温で1時間ブロッキングした。次に、プレートを、上清(2倍希釈) 100μl及び1μg/ml ビオチン化抗ヒトIFN-γ抗体(BD Bioscience, #554550)と共に、振とうしながら、2時間30分インキュベーションし、再度洗浄し、ストレプトアビジン-HRP(Dakocytomation #P0397)と共にインキュベーションした。30分後、TMB One Solution(Promega #G7431)を加えた。反応を、2M H2SO4により停止させ、IFN-γのナノボディ用量依存性生成を、Tecan sunrise 4を使用して、405nmでのOD測定により決定した。
【0601】
結果を、図17に示す。このアッセイ法において得られたEC50値を、表14に列記する。
【0602】
【表38】
【0603】
二重特異性CD20/CD3ポリペプチドは、INF-γの用量依存性生成を示した。無関係の構築物とのインキュベーション又は二重特異性構築物を含まない条件では、IFN-γ生成は何ら誘引されなかった。
【0604】
実施例17 PBMC B細胞枯渇モデルにおけるin vivoでの実証実験
このB細胞枯渇モデルにおいて、ヒトPBMCを、NOGマウスの腹腔内に注射した。PBMC集団に存在するT細胞のポリペプチド媒介性リクルートによるPBMC由来B細胞殺傷を評価した。これは、CD3を介したT細胞のCD20を介したターゲットB細胞への直接結合によりT細胞を活性化させ、その結果として、ターゲット細胞を殺傷する多重特異性ポリペプチドの潜在性を反映する。
【0605】
PBMC NOGマウスモデルでのB細胞枯渇における、CD3/CD20多重特異性ポリペプチド(T017000084、CD20×CD3結合、クラスターA)のin vivoでの有効性を評価し、無関係のポリペプチドT017000088と比較した。研究から、脾臓におけるPBMC由来B細胞枯渇における明確な効果が証明された。
【0606】
詳細には、B細胞枯渇を、0日目(D0)でのγ線源(1.44Gy、60Co)によるマウスの全身照射後3日目(D3)において、PBS 500μL中の3×10個のPBMCをマウスの腹腔内に注射したマウスで評価し、各12匹の動物群にマウスをランダム化した。処置を、D3において、PBMC注入後1時間で開始し、合計7日目(D7)まで5日間連続して繰り返した(図18)。1つの用量レベルのCD3/CD20結合NBを試験した(24mg/kg)。
【0607】
18日目(D18)に、マウスを殺処分し、脾臓を、FACS分析(mCD45、hCD45、hCD19、hCD20)のために収集して、PBMC由来ヒトB細胞(hCD19+ hCD20+ hCD45+ mCD45-)を分析し、その存在を定量した。
【0608】
PBMC由来B細胞枯渇についての結果を、図19に表わす。脾臓において、T017000084で処置された群におけるB細胞カウントは、試験された用量レベルにおいて、無関係のポリペプチド処置群とは、明確に異なっていた。この用量は、最大効果であると推定される。
【0609】
まとめると、これらの結果から、CD3/CD20結合多重特異性ポリペプチドは、このモデルの脾臓において、PBMC由来B細胞を明確に減少させることができることが証明される。このことから、T細胞のターゲットB細胞への架橋によるポリペプチド誘引T細胞活性化及びその後の殺傷が確認された。
【0610】
実施例18 Ramos B細胞枯渇モデルにおけるin vivoでの実証実験
このB細胞枯渇モデルにおいて、Ramos細胞(バーキットリンパ腫細胞系統)及びヒトPBMCをそれぞれ、NOGマウスに対して、静脈内及び腹腔内に注射した。PBMC集団に存在するT細胞のポリペプチド媒介性リクルートによるRamos B細胞及びPBMC由来B細胞殺傷を評価した。これは、CD3を介したT細胞のCD20を介したターゲットB細胞への直接結合によりT細胞を活性化させ、その結果として、ターゲット細胞を殺傷する多重特異性ポリペプチドの潜在性を反映する。
【0611】
Ramos NOGマウスモデルでのB細胞枯渇における、多重特異性ポリペプチドT017000084(CD20×CD3結合)のin vivoでの有効性を評価し、無関係の二重特異性ポリペプチドT017000088(無関係のナノボディ+CD3結合ナノボディ)と比較した。研究から、Ramos B細胞枯渇での骨髄及び脾臓において、ならびに、PBMC由来B細胞枯渇での脾臓において、統計学的に有意な効果が証明された。
【0612】
詳細には、B細胞枯渇を、1日目(D1)に、Roswell Park Memorial Institute(RPMI)培地1640 200μL中の10個 Ramos細胞で、静脈内に注射されたマウスにおいて評価した。この注射を、γ線源(1.44Gy、60Co)によるマウスの全身照射(D0)後24時間で行った。各12匹の動物群にマウスをランダム化した後に、10個のPBMC(PBS 500μL中)を、D3(すなわち、腫瘍細胞注射後2日)で注射した。処置を、D3において、PBMC注射後1時間で開始し、合計7日目まで5日間連続して繰り返した(図20)。1つの用量レベルのCD3/CD20結合ポリペプチドを試験した(24mg/kg)。
【0613】
D20又はD21に、マウスを殺処分し、脾臓及び骨髄(大腿骨)を、FACS分析(mCD45、hCD45、hCD19、hCD20、hCD10)のために収集して、Ramos B細胞(hCD19+ hCD20+ hCD45+ mCD45- hCD10+)及びPBMC由来ヒトB細胞(hCD19+ hCD20+ hCD45+ mCD45- hCD10-)を分析し、その存在を定量した。
【0614】
Ramos B細胞枯渇についての結果を、図21に表わす。無関係の二重特異性ポリペプチドで処置されたマウスを、分析のための対照群とした。統計学的分析を、混合作用ANOVA分析から、F検定により行った。骨髄及び脾臓について、T017000084で処置された群におけるB細胞カウントは、試験された用量レベルにおいて、無関係のポリペプチド処置群とは、統計学的に有意に異なっていた。脾臓において、その用量は、最大効果に近いか、又は、同最大効果であると推定される。
【0615】
PBMC由来B細胞枯渇についての結果を、図22に表わす。骨髄及び脾臓の両方において、T017000084対無関係のポリペプチドについてヒトB細胞数における統計学的に有意な差が、試験された用量レベルにおいて、見られた。この用量は、最大効果であると推定される。
【0616】
まとめると、これらの結果から、CD3/CD20二重特異性ポリペプチドは、このモデルの脾臓及び骨髄において、Ramos B細胞及びPBMC由来B細胞を有意に減少させることができることが証明される。このことから、T細胞のターゲットB細胞への架橋によるナノボディ誘引T細胞活性化及びその後の殺傷が確認される。
【0617】
実施例19 多重特異性T細胞関与ポリペプチドによる腫瘍細胞のターゲッティング
T細胞関与戦略の治療活性を、複数の腫瘍関連抗原の同時ターゲッティングにより改善することができる。多くの場合、腫瘍細胞は、治療においてターゲットされた抗原のダウンレギュレーションにより、回避メカニズムを生じさせる。複数の抗原の同時ターゲッティングにより、腫瘍回避変異体が発生する可能性を低下させるであろう。各腫瘍ターゲッティングナノボディの個々の親和性を、好ましい1つのマーカーへの結合又は両方の腫瘍マーカーへの同時結合のいずれかが達成されるように、変動させることができる。種々の細胞集団に存在する抗原を組み合わせることができ、又は更に、可溶性タンパク質を、腫瘍関連抗原との組み合わせにおいて、ターゲッティングすることができる。
【0618】
ナノボディプラットフォームは、多重特異性フォーマットに種々の特異性を組み合わせるのに理想的に適しているため、本発明のCD3ナノボディは、これらの概念を示しているフォーマットに、すなわち、多重特異性ポリペプチドにおける種々の腫瘍抗原結合ナノボディと組み合わせられる。
【0619】
二重腫瘍抗原ターゲッティングの概念について、第1腫瘍抗原(TA1、例えば、CEA)に対して反応性のナノボディは、TA1とは異なる種々の特異性(TA2、例えば、EGFR)を有する第2ナノボディに、CD3反応性ナノボディとの組み合わせにおいて結合している。構築ブロックの具体的な順序は、フォーマット及び種々の構築ブロック間の適用されるリンカー長の範囲内において変動する。試験されたTA1とTA2との組み合わせを、表15に示す。
【0620】
【表39】
【0621】
半減期延長を試験するために、アルブミン結合ナノボディも、表15に提示されたように、ポリペプチドに含まれる。
【0622】
特異的殺傷を証明するために、混合細胞培養アッセイ系を使用する。この系では、TA1単一陽性(例えば、MC38-huCEA又はMKN45)及びTA2単一陽性腫瘍細胞(例えば、Hela又はHer14)を共インキュベーションする。各腫瘍抗原の発現レベルを、種々の細胞系統において測定し、図23に表わす。本発明のポリペプチド、初代ヒトT細胞、及び必要に応じてアルブミンの添加後、T細胞媒介性細胞傷害性を、サイトメトリー読取りに基づいてモニターする。二重陰性細胞又は1つ以上の無関係のナノボディを含有するフォーマットに対して、比較がなされる。
【0623】
特異的殺傷を検証するために、二重陽性腫瘍(TA1及びTA2について、例えば、LS174T又はLoVo)細胞の誘引された殺傷を、単一陽性腫瘍細胞の誘引された殺傷と比較する。これについて、T細胞媒介性細胞傷害アッセイ法を、両方のマーカーについて陽性の1種類の腫瘍細胞と共に、上記されたように使用する(参照 実施例17)。
【0624】
実施例20 多重特異性T細胞関与ポリペプチドによる腫瘍細胞のターゲッティング
上記で言及されたように、T細胞関与戦略の治療活性を、複数の腫瘍関連抗原の同時ターゲッティングにより改善することができる。腫瘍細胞は、治療においてターゲットされた抗原のダウンレギュレーションによるだけでなく、(点)突然変異を導入することによっても、回避メカニズムを生じさせる。また、この場合には、抗原上の複数のエピトープの同時ターゲッティングにより、腫瘍回避変異体が発生する可能性を低下させるであろう。さらに、1つの抗原上の複数のエピトープをターゲッティングすることは、結合の親和性(結合活性効果)を向上させることができる。
【0625】
ナノボディプラットフォームは、多価フォーマットに種々の特異性を組み合わせるのに理想的に適しているため、本発明の抗CD3ナノボディは、これらの概念を示しているフォーマットに、すなわち、多重特異性ポリペプチドにおける種々の腫瘍抗原結合ナノボディと組み合わせられる。
【0626】
多価腫瘍抗原ターゲッティングの概念について、抗原に対して反応性の2つのナノボディを結合させ(TA1及びTA2それぞれ)、続けて、CD3反応性ナノボディを結合させる。構築ブロックの具体的な順序は、フォーマット及び種々の構築ブロック間の適用されるリンカー長の範囲内において変動する。試験されたTA1とTA2との組み合わせを、表16に示す。
【0627】
【表40】
【0628】
半減期延長を試験するために、Ablナノボディも、表16に提示されたポリペプチドに含まれる。
【0629】
これらの多価フォーマットの効力及び有効性を評価し、実施例10に記載されたアッセイ法と比較可能であるが、ただし、関連する細胞系統(例えば、Hela、Her14、Ls174T、SKBR3、MCF7)を用いたin vitro腫瘍細胞殺傷アッセイ法において、各二重特異性フォーマットと、について比較する。加えて、エフェクター-ターゲット比を、多価/多重特異性ポリペプチドがより低いエフェクター-ターゲット比で、より高い有効性を有するかどうか推測できるように、変動させる。
【0630】

【表41】
【0631】
【表42】
【0632】
【表43】
【0633】
【表44】
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【表45】
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【表47】






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【表48】






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【表49】














【0639】
【表50】

【0640】
【表51】
図1
図2
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図5
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図8
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図10
図11
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図21-1】
図21-2】
図22-1】
図22-2】
図23A
図23B
【配列表】
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