(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20221024BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20221024BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20221024BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/30 B
(21)【出願番号】P 2018078529
(22)【出願日】2018-04-16
【審査請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2017083370
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】林 健二
(72)【発明者】
【氏名】須崎 哲広
(72)【発明者】
【氏名】松尾 昌明
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍太
(72)【発明者】
【氏名】池永 誠
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-183038(JP,A)
【文献】国際公開第2013/002249(WO,A1)
【文献】特開昭63-143850(JP,A)
【文献】特開平01-261850(JP,A)
【文献】国際公開第2016/205929(WO,A1)
【文献】特開2006-165151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07、25/18
H01L 23/29-23/31
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向を向く主面を有する基板と、
前記主面に配置される
とともに、導電性を有する搭載層と、
前記厚さ方向において前記主面が向く側を向く第1素子主面、前記第1素子主面とは反対側を向く第1素子裏面、並びに前記第1素子主面および前記第1素子裏面
につながる第1素子側面を有するとともに、前記第1素子裏面
が前記搭載層に電気的に接合された複数のスイッチング素子と、
前記複数のスイッチング素子の少なくともいずれかの前記第1素子側面を覆う耐湿層と、
前記複数のスイッチング素子、および前記耐湿層
を覆う封止樹脂と、を備え、
前記搭載層に電気的に接合されるとともに、前記複数のスイッチング素子に個別に導通する複数の保護素子をさらに備え、
前記複数の保護素子の各々は、前記第1素子側面に対向する第2素子側面を有し、
前記耐湿層は、前記複数の保護素子の少なくともいずれかの前記第2素子側面を覆っており、
前記耐湿層は、前記第1素子側面と前記第2素子側面との間に挟まれた隙間に対向する前記搭載層の部分を覆うとともに、前記隙間を埋め尽くしている、半導体装置。
【請求項2】
前記搭載層は、前記厚さ方向において前記主面と同じ側を向く上面を有し、
前記耐湿層が覆う前記搭載層の部分は、前記上面のみである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記搭載層は、前記厚さ方向に対して直交する第1方向において互いに離間した上アーム搭載層および下アーム搭載層を含み、
前記複数のスイッチング素子の各々と、前記複数の保護素子の各々と、は、前記上アーム搭載層および前記下アーム搭載層のいずれかに電気的に接合されており、
前記上アーム搭載層および前記下アーム搭載層の各々において、前記複数のスイッチング素子は、前記厚さ方向および前記第1方向に対して直交する第2方向に配列されている、請求項
1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数のスイッチング素子の各々は、前記第1素子主面に設けられた主面電極と、前記第1素子主面に設けられ、かつ前記厚さ方向に視て前記主面電極を囲む絶縁膜と、を有し、
前記複数の保護素子は、前記複数のスイッチング素子の各々の前記主面電極に個別に導通しており、
前記耐湿層は、前記第1素子側面および前記絶縁膜に接しており、
前記耐湿層は、前記厚さ方向に視て前記絶縁膜の周縁を跨いでいる、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記耐湿層は、前記主面電極の少なくとも一部に接する、請求項
4に記載の半導体装置。
【請求項6】
厚さ方向を向く主面を有する基板と、
前記主面に配置されるとともに、導電性を有する搭載層と、
前記厚さ方向において前記主面が向く側を向く第1素子主面、前記第1素子主面とは反対側を向く第1素子裏面、並びに前記第1素子主面および前記第1素子裏面につながる第1素子側面を有するとともに、前記第1素子裏面が前記搭載層に電気的に接合された複数のスイッチング素子と、
前記複数のスイッチング素子の少なくともいずれかの前記第1素子側面を覆う耐湿層と、
前記複数のスイッチング素子、および前記耐湿層を覆う封止樹脂と、を備え、
前記搭載層は、前記厚さ方向に対して直交する第1方向において互いに離間した上アーム搭載層および下アーム搭載層を含み、
前記複数のスイッチング素子の各々は、前記上アーム搭載層および前記下アーム搭載層のいずれかに電気的に接合されており、
前記上アーム搭載層および前記下アーム搭載層の各々において、前記複数のスイッチング素子は、前記厚さ方向および前記第1方向に対して直交する第2方向に配列されており、
前記複数のスイッチング素子の各々は、前記第1素子主面に設けられた主面電極と、前記第1素子主面に設けられ、かつ前記厚さ方向に視て前記主面電極を囲む絶縁膜と、を有し、
前記耐湿層は、前記搭載層、前記第1素子側面および前記絶縁膜に接しており、
前記耐湿層は、前記厚さ方向において前記搭載層と前記第1素子側面との間を跨いでおり、
前記耐湿層は、前記厚さ方向に視て前記絶縁膜の周縁を跨いでおり、
前記主面に配置されるとともに、前記第1方向において前記下アーム搭載層を基準として前記上アーム搭載層とは反対側に位置する導電層と、
前記主面電極と、前記下アーム搭載層および前記導電層のいずれかと、に接続された複数のワイヤと、をさらに備え、
前記複数のワイヤの各々は、前記主面電極に接する第1ボンディング部を有するとともに、前記第1方向に延びており、
前記耐湿層は、前記主面電極および前記第1ボンディング部の各々の少なくとも一部に接しており、
前記主面電極は、前記第2方向において互いに離間した一対の第1パッド部と、前記第2方向において互いに離間し、かつ前記第1方向において前記一対の第1パッド部を基準として前記下アーム搭載層および前記導電層のいずれかとは反対側に位置する一対の第2パッド部と、を有し、
前記複数のワイヤは、前記第1ボンディング部が前記一対の第1パッド部に個別に接する一対の内ワイヤと、前記第1ボンディング部が前記一対の第1パッド部および前記一対の第2パッド部に個別に接する一対の外ワイヤと、を含み、
前記一対の外ワイヤは、前記一対の内ワイヤの前記第2方向の両側に配列されている、半導体装置。
【請求項7】
前記一対の外ワイヤの各々の前記第1ボンディング部は、前記一対の第1パッド部のいずれかに接する第1接続部と、前記一対の第2パッド部のいずれかに接する第2接続部と、前記第1方向において前記第1接続部と前記第2接続部との間に挟まれた連結部と、を有し、
前記連結部は、前記厚さ方向において前記第1素子主面が向く側に向けて突出している、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数のスイッチング素子の各々の前記主面電極に個別に導通する複数の保護素子をさらに備え、
前記複数の保護素子の各々は、前記上アーム搭載層および前記下アーム搭載層のいずれかに電気的に接合されており、
前記耐湿層は、前記複数の保護素子の各々の少なくとも一部に接する、請求項
6または7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記主面に配置されるとともに、前記第1方向において前記下アーム搭載層を基準として前記上アーム搭載層とは反対側に位置する導電層と、
前記主面電極と、前記下アーム搭載層および前記導電層のいずれかと、に接続された複数のワイヤと、をさらに備え、
前記複数のワイヤの各々は、前記主面電極に接する第1ボンディング部を有し、
前記耐湿層は、前記第1ボンディング部の少なくとも一部に接する、請求項
4に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記複数のワイヤの各々は、前記第1方向に延びている、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記複数の保護素子の各々は、前記厚さ方向において前記主面が向く側を向く第2素子主面、および前記第2素子主面に設けられたアノード電極を有し、
前記主面電極に接続された前記複数のワイヤの少なくともいずれかが、前記アノード電極に接続されている、請求項
8ないし10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記基板は、前記第2方向において互いに離間した第1基板および第2基板を含み、
前記第1基板および前記第2基板の各々の前記主面には、前記上アーム搭載層、前記下アーム搭載層および前記導電層の各領域が配置され、
前記第1基板に配置された前記上アーム搭載層の領域に導通する第1電源端子と、前記第1基板に配置された前記導電層の領域に導通する第2電源端子と、前記第2基板に配置された前記下アーム搭載層の領域に導通する出力端子と、をさらに備える、請求項
6ないし11のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項13】
第1部材、第2部材および第3部材を含み、かつ前記第2方向に延びる中継導電部材をさらに備え、
前記第1基板に配置された前記上アーム搭載層の領域と、前記第2基板に配置された前記上アーム搭載層の領域とは、前記第1部材を介して相互に導通し、
前記第1基板に配置された前記下アーム搭載層の領域と、前記第2基板に配置された前記下アーム搭載層の領域とは、前記第2部材を介して相互に導通し、
前記第1基板に配置された前記導電層の領域と、前記第2基板に配置された前記導電層の領域とは、前記第3部材を介して相互に導通している、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記厚さ方向において前記第1基板および前記第2基板を基準として前記搭載層および前記導電層とは反対側に位置するヒートシンクをさらに備え、
前記ヒートシンクは、前記第1基板および前記第2基板に接合されている、請求項
13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記厚さ方向に視て、前記基板の周囲を囲む枠状のケースをさらに備え、
前記第1電源端子、前記第2電源端子、前記出力端子および前記ヒートシンクは、前記ケースに支持され、
前記ケースおよび前記ヒートシンクにより囲まれた領域に、前記封止樹脂が収容されている、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記封止樹脂は、シリコーンゲルである、請求項
1ないし15のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項17】
前記耐湿層は、ポリイミドおよびシリコーンゲルの少なくともいずれかを含む、請求項16に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスイッチング素子を備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、MOSFETなどの複数のスイッチング素子が電気的に接合された半導体装置の一例が開示されている。当該半導体装置は、合成樹脂製のケースと、当該ケースに支持された配線基板とを備える。複数のスイッチング素子は、配線基板に電気的に接合されている。ケースおよび配線基板により囲まれた領域には、シリコーンゲルなどから構成される封止樹脂が充填されている。複数のスイッチング素子は、封止樹脂に覆われている。
【0003】
近年、赤道に近い熱帯気候の地域において、定格電圧が比較的高い半導体装置の需要が高まりつつある。熱帯地方においてこのような半導体装置が置かれる環境は、高温高湿である。このような環境下で半導体装置がより安定した性能を発揮するためには、H3TRB(High Humidity High Temperature Reverse Bias Test:高温高湿逆バイアス)試験に合格することが望ましい。H3TRB試験とは、高温高湿(温度85℃,湿度85%)の条件の下で半導体装置を定格電圧の80%の直流電圧で駆動させた場合における、当該半導体装置の駆動にかかる耐性時間(単位:h)を測定する試験である。H3TRB試験は、半導体装置の駆動にかかる耐性時間が1,000h以上であると合格である。本試験に合格した半導体装置は、高温高湿下においてより安定した性能を発揮することが期待される。
【0004】
特許文献1に開示されているような半導体装置を対象にH3TRB試験を行った結果、当該半導体装置の駆動にかかる装置耐性時間は、1,000hに満たない可能性が高いことを発明者は確認した。高温高湿下に置かれた当該半導体装置において封止樹脂に水分が浸入すると、封止樹脂の絶縁耐圧が低下することにより複数のスイッチング素子にリーク電流が発生することがある。リーク電流が配線基板に到達すると複数のスイッチング素子が破壊されるため、結果として装置耐性時間が短くなる。半導体装置に求められる定格電圧が高くなるほど、装置耐性時間が短くなる傾向がある。こうした事情から、半導体装置が高温高湿下においてより安定した性能を発揮し得るためには、求められる定格電圧に対応したH3TRB試験に合格することが一つの目安となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、高温高湿下においてより安定した性能を発揮することが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、厚さ方向を向く主面を有する基板と、導電性を有し、かつ前記主面に配置された搭載層と、前記厚さ方向において前記主面が向く側を向く第1素子主面、前記第1素子主面とは反対側を向く第1素子裏面、並びに前記第1素子主面および前記第1素子裏面の双方につながる第1素子側面を有するとともに、前記第1素子裏面が前記主面に対向した状態で前記搭載層に電気的に接合された複数のスイッチング素子と、少なくともいずれかの前記第1素子側面を覆う耐湿層と、複数のスイッチング素子、および前記耐湿層の双方を覆う封止樹脂と、を備え、前記耐湿層は、前記厚さ方向において前記搭載層と前記第1素子側面との間を跨ぐように、前記搭載層および前記第1素子側面の双方に接することを特徴とする半導体装置が提供される。
【0008】
本発明の実施において好ましくは、前記封止樹脂は、シリコーンゲルである。
【0009】
本発明の実施において好ましくは、前記耐湿層は、ポリイミドを含む。
【0010】
本発明の実施において好ましくは、前記耐湿層は、シリコーンゲルを含む。
【0011】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に対して直交する第1方向において互いに離間した上アーム搭載層および下アーム搭載層を含み、複数の前記スイッチング素子は、前記上アーム搭載層および前記下アーム搭載層の双方に対して電気的に接合され、前記上アーム搭載層および前記下アーム搭載層の各々において、複数の前記スイッチング素子は、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に配列されている。
【0012】
本発明の実施において好ましくは、複数の前記スイッチング素子の各々は、前記第1素子主面に設けられた主面電極と、前記第1素子主面に設けられ、かつ前記厚さ方向から視て前記主面電極を囲む絶縁膜と、を有し、前記耐湿層は、前記厚さ方向から視たときの前記絶縁膜の周縁を跨ぐように、前記第1素子側面および前記絶縁膜の双方に接する。
【0013】
本発明の実施において好ましくは、前記耐湿層は、前記主面電極の少なくとも一部に接する。
【0014】
本発明の実施において好ましくは、前記主面に配置され、かつ前記第1方向において前記下アーム搭載層に対して前記上アーム搭載層とは反対側に位置する導電層と、前記主面電極と、前記下アーム搭載層および前記導電層のいずれかと、に接続された複数のワイヤと、をさらに備え、複数のワイヤの各々は、前記主面電極に接する第1ボンディング部を有し、前記耐湿層は、前記第1ボンディング部の少なくとも一部に接する。
【0015】
本発明の実施において好ましくは、複数の前記ワイヤは、前記第1方向に延びている。
【0016】
本発明の実施において好ましくは、複数の前記主面電極の各々は、前記第2方向において互いに離間した一対の第1パッド部と、前記第2方向において互いに離間し、かつ前記第1方向において一対の前記第1パッド部に対して前記下アーム搭載層および前記導電層のいずれかとは反対側に位置する一対の第2パッド部と、を有し、複数の前記スイッチング素子の各々において、複数の前記ワイヤは、前記第1ボンディング部が一対の前記第1パッド部に接する一対の内ワイヤと、前記第1ボンディング部が一対の前記第1パッド部および一対の前記第2パッド部の双方に接する一対の外ワイヤと、を含み、一対の前記外ワイヤは、前記第2方向において一対の前記内ワイヤの両側に配列されている。
【0017】
本発明の実施において好ましくは、一対の前記外ワイヤの前記第1ボンディング部の各々は、前記第1パッド部に接する第1接続部と、前記第2パッド部に接する第2接続部と、前記第1方向において前記第1接続部と前記第2接続部との間に挟まれた連結部と、を有し、前記連結部は、前記厚さ方向において前記第1素子主面が向く側に向けて突出している。
【0018】
本発明の実施において好ましくは、前記上アーム搭載層および前記下アーム搭載層の双方に対して電気的に接合されるとともに、複数の前記主面電極に個別に導通する複数の保護素子をさらに備え、複数の前記保護素子の各々は、前記厚さ方向において前記主面が向く側を向く第2素子主面、および前記第2素子主面に設けられたアノード電極を有し、前記主面電極に接続された複数の前記ワイヤの少なくともいずれかが、前記アノード電極に接続されている。
【0019】
本発明の実施において好ましくは、前記耐湿層は、複数の前記保護素子を覆っている。
【0020】
本発明の実施において好ましくは、前記基板は、前記第2方向において互いに離間した第1基板および第2基板を含み、前記第1基板および前記第2基板の各々の前記主面には、前記上アーム搭載層、前記下アーム搭載層および前記導電層の各領域が配置され、前記第1基板に配置された前記上アーム搭載層の領域に導通する第1電源端子と、前記第1基板に配置された前記導電層の領域に導通する第2電源端子と、前記第2基板に配置された前記下アーム搭載層の領域に導通する出力端子と、をさらに備える。
【0021】
本発明の実施において好ましくは、第1部材、第2部材および第3部材を含み、かつ前記第2方向に延びる中継導電部材をさらに備え、前記第1基板に配置された前記上アーム搭載層の領域と、前記第2基板に配置された前記上アーム搭載層の領域とは、前記第1部材を介して相互に導通し、前記第1基板に配置された前記下アーム搭載層の領域と、前記第2基板に配置された前記下アーム搭載層の領域とは、前記第2部材を介して相互に導通し、前記第1基板に配置された前記導電層の領域と、前記第2基板に配置された前記導電層の領域とは、前記第3部材を介して相互に導通している。
【0022】
本発明の実施において好ましくは、前記第1基板および前記第2基板の各々は、前記厚さ方向において前記主面とは反対側を向く裏面を有し、前記第1基板の前記裏面と、前記第2基板の前記裏面と、の双方に接合されたヒートシンクをさらに備える。
【0023】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向から視て前記基板の周囲を囲む枠状のケースをさらに備え、前記第1電源端子、前記第2電源端子、前記出力端子および前記ヒートシンクは、前記ケースに支持され、前記ケースおよび前記ヒートシンクにより囲まれた領域に、前記封止樹脂が収容されている。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる半導体装置によれば、高温高湿下において安定した性能を発揮することが可能となる。
【0025】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の斜視図である。
【
図3】
図1に示す半導体装置の平面図(封止樹脂、耐湿層、および天板を透過)である。
【
図10】
図3の中央拡大図(第3基板周辺)である。
【
図12】
図3のXII-XII線に沿う断面図である。
【
図13】
図3のXIII-XIII線に沿う断面図である。
【
図14】
図3のXIV-XIV線に沿う断面図である。
【
図15】
図3の部分拡大図(それぞれ上アーム搭載層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図18】
図3の部分拡大図(それぞれ下アーム搭載層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図23】比較例の半導体装置の部分拡大断面図(上アーム層に接合されたスイッチング素子)である。
【
図24】本発明の第1実施形態の第1変形例にかかる半導体装置の部分拡大断面図(それぞれ上アーム層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図25】本発明の第1実施形態の第1変形例にかかる半導体装置の部分拡大断面図(それぞれ下アーム層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図26】本発明の第1実施形態の第2変形例にかかる半導体装置の部分拡大平面図(それぞれ上アーム搭載層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図27】
図26のXXVII-XXVII線に沿う断面図である。
【
図28】
図26のXXVIII-XXVIII線に沿う断面図である。
【
図29】本発明の第1実施形態の第2変形例にかかる半導体装置の部分拡大平面図(それぞれ下アーム搭載層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図32】本発明の第1実施形態の第3変形例にかかる半導体装置の部分拡大平面図(それぞれ上アーム搭載層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図33】
図32のXXXIII-XXXIII線に沿う断面図である。
【
図34】
図32のXXXIV-XXXIV線に沿う断面図である。
【
図35】本発明の第1実施形態の第3変形例にかかる半導体装置の部分拡大平面図(それぞれ下アーム搭載層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図36】
図35のXXXVI-XXXVI線に沿う断面図である。
【
図37】
図35のXXXVII-XXXVII線に沿う断面図である。
【
図38】本発明の第1実施形態の第4変形例にかかる半導体装置の部分拡大平面図(それぞれ上アーム搭載層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図39】
図38のXXXIX-XXXIX線に沿う断面図である。
【
図41】本発明の第1実施形態の第4変形例にかかる半導体装置の部分拡大平面図(それぞれ下アーム搭載層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図43】
図41のXLIII-XLIII線に沿う断面図である。
【
図44】本発明の第1実施形態の第5変形例にかかる半導体装置の部分拡大平面図(それぞれ上アーム搭載層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図47】本発明の第1実施形態の第5変形例にかかる半導体装置の部分拡大平面図(それぞれ下アーム搭載層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図48】
図47のXLVIII-XLVIII線に沿う断面図である。
【
図50】本発明の第1実施形態の第4変形例にかかる半導体装置の耐湿層の厚さの相違に基づく、各種試験結果である。
【
図51】本発明の第1実施形態の第4変形例にかかる半導体装置と、比較例の半導体装置とのH3TRB試験結果である。
【
図52】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の部分拡大平面図(それぞれ上アーム搭載層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【
図55】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の部分拡大平面図(それぞれ下アーム搭載層に接合されたスイッチング素子および保護素子)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について、添付図面に基づいて説明する。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1~
図23に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、基板11、第1搭載層211、第2搭載層221、第3搭載層231、複数のスイッチング素子31、耐湿層51および封止樹脂52を備える。これらのうち、第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231は、本発明にかかる特許請求の範囲に記載の「搭載層」の一例である。これらに加え、半導体装置A10は、第1導電層212、第2導電層222、第3導電層232、電源端子24、出力端子25、中継導電部材261、複数の保護素子32、複数のワイヤ41、ヒートシンク61およびケース70をさらに備える。これらのうち、第1導電層212、第2導電層222および第3導電層232は、本発明にかかる特許請求の範囲に記載の「導電層」の一例である。電源端子24は、第1電源端子24Aおよび第2電源端子24Bを有する。なお、
図3は、理解の便宜上、耐湿層51、封止樹脂52および天板79を透過している。
図3においては、XI-XI線およびXII-XII線を一点鎖線で示している。また、
図11および
図12においては、耐湿層51の図示を省略している。
【0029】
図1に示す半導体装置A10は、パワーモジュールである。半導体装置A10は、たとえば様々な電気製品のインバータ装置に用いられる。
図1および
図2に示すように、基板11の厚さ方向zから視て、半導体装置A10は矩形状である。ここで、説明の便宜上、基板11の厚さ方向z(以下「厚さ方向z」に略称する。)に対して直交する方向を、「第1方向x1」と呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向x1の双方に対して直交する方向を、「第2方向x2」と呼ぶ。半導体装置A10の長手方向は、第2方向x2である。
【0030】
基板11は、
図3に示すように、搭載層(第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231)と、導電層(第1導電層212、第2導電層222および第3導電層232)とが配置された電気絶縁部材である。基板11は、第1基板11A、第2基板11Bおよび第3基板11Cの3つの領域を有する。第1基板11A、第2基板11Bおよび第3基板11Cは、第2方向x2において互いに離間した状態で配列されている。第2方向x2において、第1基板11Aと第2基板11Bとの間に第3基板11Cが位置する。基板11は、これ以外の構成として第1基板11Aおよび第2基板11Bの2つの領域を有するものや、1つの領域のみの構成でもよい。
図11に示すように、第1基板11A、第2基板11Bおよび第3基板11Cの各々は、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く主面111および裏面112を有する。
【0031】
基板11の構成材料は、熱伝導性に優れたセラミックスである。このようなセラミックスとして、たとえば窒化アルミニウム(AlN)が挙げられる。基板11は、主面111および裏面112に銅(Cu)箔が接合されたDBC(Direct Bonding Copper)基板を用いることができる。DBC基板を用いることによって、主面111に接合された銅箔をパターニングすることにより、搭載層および導電層などを容易に形成することができる。また、裏面112に接合された銅箔は、伝熱層62(詳細は後述)とすることができる。
【0032】
図3および
図8に示すように、第1基板11Aの主面111には、第1搭載層211、第1導電層212、第1ゲート層213、第1検出層214およびサーミスタ搭載層215が配置されている。これらは、銅箔などの金属薄膜から構成された導電部材である。これらの表面には、たとえば銀(Ag)めっきを施してもよい。
【0033】
第1搭載層211には、
図8に示すように、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32がそれぞれ電気的に接合されている。第1搭載層211は、第1上アーム搭載層211Aおよび第1下アーム搭載層211Bを有する。
【0034】
図8に示すように、第1上アーム搭載層211Aは、第1方向x1における第1基板11Aの一端側(
図8の上方側)に位置する。第1上アーム搭載層211Aは、第2方向x2に沿った帯状をなしている。第1上アーム搭載層211Aには、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32がそれぞれ3個ずつ電気的に接合されている。なお、第1上アーム搭載層211Aに電気的に接合される複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32の個数は、これに限定されない。第1上アーム搭載層211Aにおいて、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32は、いずれも第2方向x2に配列されている。また、第2方向x2においてケース70に近接する第1上アーム搭載層211Aの端部には、第1方向x1に沿った帯状をなす第1電源パッド211Cが形成されている。第1電源パッド211Cは、第1電源端子24Aに導通している。
【0035】
図8に示すように、第1下アーム搭載層211Bは、第1方向x1において第1上アーム搭載層211Aと第1導電層212との間に位置する。第1下アーム搭載層211Bは、第2方向x2に沿った帯状をなしている。第1下アーム搭載層211Bには、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32がそれぞれ3個ずつ電気的に接合されている。なお、第1下アーム搭載層211Bに電気的に接合される複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32の個数は、これに限定されない。第1下アーム搭載層211Bにおいて、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32は、いずれも第2方向x2に配列されている。
図15に示すように、第1下アーム搭載層211Bは、複数のワイヤ41を介して第1上アーム搭載層211Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311(詳細は後述)および複数の保護素子32のアノード電極321(詳細は後述)の双方に導通している。
【0036】
第1導電層212は、
図8および
図18に示すように、複数のワイヤ41を介して第1下アーム搭載層211Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311および複数の保護素子32のアノード電極321に導通している。第1導電層212は、第1方向x1における第1基板11Aの他端側(
図8の下方側)に位置する。第1導電層212は、第2方向x2に沿った帯状をなしている。また、第2方向x2においてケース70に近接する第1導電層212の端部には、第1方向x1に沿った帯状をなす第2電源パッド212Aが形成されている。第2電源パッド212Aは、第2電源端子24Bに導通している。
【0037】
第1ゲート層213は、
図15および
図18に示すように、複数の第1ゲートワイヤ421を介して第1搭載層211に電気的に接合された複数のスイッチング素子31のゲート電極313(詳細は後述)に導通している。第1ゲート層213は、第2方向x2に沿った帯状をなし、かつ厚さ方向zから視て複数のスイッチング素子31に対向している。第1ゲート層213は、第1上アームゲート層213Aおよび第1下アームゲート層213Bを有する。
【0038】
図8に示すように、第1上アームゲート層213Aは、第1方向x1において第1上アーム搭載層211Aとケース70との間に位置する。厚さ方向zから視て、第1上アームゲート層213Aは、第1上アーム搭載層211Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31に対向している。
図15に示すように、第1上アームゲート層213Aは、複数の第1ゲートワイヤ421を介して第1上アーム搭載層211Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31のゲート電極313に導通している。
【0039】
図8に示すように、第1下アームゲート層213Bは、第1方向x1において第1下アーム搭載層211Bと第1導電層212との間に位置する。厚さ方向zから視て、第1下アームゲート層213Bは、第1下アーム搭載層211Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31に対向している。
図18に示すように、第1下アームゲート層213Bは、複数の第1ゲートワイヤ421を介して第1下アーム搭載層211Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31のゲート電極313に導通している。
【0040】
第1検出層214は、
図15および
図18に示すように、複数の第1検出ワイヤ431を介して第1搭載層211に電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311に導通している。第1検出層214は、第2方向x2に沿った帯状をなし、かつ厚さ方向zから視て複数のスイッチング素子31に対向している。第1検出層214は、第1上アーム検出層214Aおよび第1下アーム検出層214Bを有する。
【0041】
図8に示すように、第1上アーム検出層214Aは、第1方向x1において第1上アーム搭載層211Aと第1上アームゲート層213Aとの間に位置する。厚さ方向zから視て、第1上アーム検出層214Aは、第1上アーム搭載層211Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31に対向している。
図15に示すように、第1上アーム検出層214Aは、複数の第1検出ワイヤ431を介して第1上アーム搭載層211Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311に導通している。
【0042】
図8に示すように、第1下アーム検出層214Bは、第1方向x1において第1下アーム搭載層211Bと第1下アームゲート層213Bとの間に位置する。第1下アーム検出層214Bは、第1方向x1に延びる部分および第2方向x2に延びる部分を有するL字の帯状である。これらのうち、第2方向x2に延びる部分は、厚さ方向zから視て第1下アーム搭載層211Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31に対向している。
図18に示すように、第1下アーム検出層214Bは、複数の第1検出ワイヤ431を介して第1下アーム搭載層211Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311に導通している。
【0043】
サーミスタ搭載層215には、
図8に示すように、サーミスタ33が電気的に接合されている。サーミスタ搭載層215は、第1基板11Aの隅の近傍に位置する。サーミスタ搭載層215は、第1上アーム搭載層211A、第1上アームゲート層213Aおよび第1上アーム検出層214Aに囲まれている。サーミスタ搭載層215は、第2方向x2において互いに離間した一対の領域を有する。一方の領域にサーミスタ33の正極が電気的に接合され、他方の領域にサーミスタ33の負極が電気的に接合される。
【0044】
図3および
図9に示すように、第2基板11Bの主面111には、第2搭載層221、第2導電層222、第2ゲート層223および第2検出層224が配置されている。これらは、銅箔などの金属薄膜から構成された導電部材である。これらの表面には、たとえば銀めっきを施してもよい。
【0045】
第2搭載層221には、
図9に示すように、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32がそれぞれ電気的に接合されている。第2搭載層221は、第2上アーム搭載層221Aおよび第2下アーム搭載層221Bを有する。
【0046】
図9に示すように、第2上アーム搭載層221Aは、第1方向x1における第2基板11Bの一端側(
図9の上方側)に位置する。第2上アーム搭載層221Aは、第2方向x2に沿った帯状をなしている。第2上アーム搭載層221Aには、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32がそれぞれ3個ずつ電気的に接合されている。なお、第2上アーム搭載層221Aに電気的に接合される複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32の個数は、これに限定されない。第2上アーム搭載層221Aにおいて、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32は、いずれも第2方向x2に配列されている。
【0047】
図9に示すように、第2下アーム搭載層221Bは、第1方向x1において第2上アーム搭載層221Aと第2導電層222との間に位置する。第2下アーム搭載層221Bは、第2方向x2に沿った帯状をなしている。第2下アーム搭載層221Bには、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32がそれぞれ3個ずつ電気的に接合されている。なお、第2下アーム搭載層221Bに電気的に接合される複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32の個数は、これに限定されない。第2下アーム搭載層221Bにおいて、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32は、いずれも第2方向x2に配列されている。
図15に示すように、第2下アーム搭載層221Bは、複数のワイヤ41を介して第2上アーム搭載層221Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311および複数の保護素子32のアノード電極321に導通している。また、第2方向x2においてケース70に近接する第2下アーム搭載層221Bの端部には、第1方向x1に沿った帯状をなす出力パッド221Cが形成されている。出力パッド221Cは、第2方向x2において第2上アーム搭載層221Aおよび第2導電層222の双方に近接している。出力パッド221Cは、出力端子25に導通している。
【0048】
第2導電層222は、
図9および
図18に示すように、複数のワイヤ41を介して第2下アーム搭載層221Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311および複数の保護素子32のアノード電極321に導通している。第2導電層222は、第1方向x1における第2基板11Bの他端側(
図9の下方側)に位置する。第2導電層222は、第2方向x2に沿った帯状をなしている。
【0049】
第2ゲート層223は、
図15および
図18に示すように、複数の第1ゲートワイヤ421を介して第2搭載層221に電気的に接合された複数のスイッチング素子31のゲート電極313に導通している。第2ゲート層223は、第2方向x2に沿った帯状をなし、かつ厚さ方向zから視て複数のスイッチング素子31に対向している。第2ゲート層223は、第2上アームゲート層223Aおよび第2下アームゲート層223Bを有する。
【0050】
図9に示すように、第2上アームゲート層223Aは、第1方向x1において第2上アーム搭載層221Aとケース70との間に位置する。厚さ方向zから視て、第2上アームゲート層223Aは、第2上アーム搭載層221Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31に対向している。
図15に示すように、第2上アームゲート層223Aは、複数の第1ゲートワイヤ421を介して第2上アーム搭載層221Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31のゲート電極313に導通している。
【0051】
図9に示すように、第2下アームゲート層223Bは、第1方向x1において第2下アーム搭載層221Bと第2導電層222との間に位置する。厚さ方向zから視て、第2下アームゲート層223Bは、第2下アーム搭載層221Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31に対向している。
図18に示すように、第2下アームゲート層223Bは、複数の第1ゲートワイヤ421を介して第2下アーム搭載層221Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31のゲート電極313に導通している。
【0052】
第2検出層224は、
図15および
図18に示すように、複数の第1検出ワイヤ431を介して第2搭載層221に電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311に導通している。第2検出層224は、第2方向x2に沿った帯状をなし、かつ厚さ方向zから視て複数のスイッチング素子31に対向している。第2検出層224は、第2上アーム検出層224Aおよび第2下アーム検出層224Bを有する。
【0053】
図9に示すように、第2上アーム検出層224Aは、第1方向x1において第2上アーム搭載層221Aと第2上アームゲート層223Aとの間に位置する。厚さ方向zから視て、第2上アーム検出層224Aは、第2上アーム搭載層221Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31に対向している。
図15に示すように、第2上アーム検出層224Aは、複数の第1検出ワイヤ431を介して第2上アーム搭載層221Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311に導通している。
【0054】
図9に示すように、第2下アーム検出層224Bは、第1方向x1において第2下アーム搭載層221Bと第2下アームゲート層223Bとの間に位置する。厚さ方向zから視て、第2下アーム検出層224Bは、第2下アーム搭載層221Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31に対向している。
図18に示すように、第2下アーム検出層224Bは、複数の第1検出ワイヤ431を介して第2下アーム搭載層221Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311に導通している。
【0055】
図3および
図10に示すように、第3基板11Cの主面111には、第3搭載層231、第3導電層232、第3ゲート層233および第3検出層234が配置されている。これらは、銅箔などの金属薄膜から構成された導電部材である。これらの表面には、たとえば銀めっきを施してもよい。
【0056】
第3搭載層231には、
図10に示すように、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32がそれぞれ電気的に接合されている。第3搭載層231は、第3上アーム搭載層231Aおよび第3下アーム搭載層231Bを有する。
【0057】
図10に示すように、第3上アーム搭載層231Aは、第1方向x1における第3基板11Cの一端側(
図10の上方側)に位置する。第3上アーム搭載層231Aは、第2方向x2に沿った帯状をなしている。第3上アーム搭載層231Aには、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32がそれぞれ2個ずつ電気的に接合されている。なお、第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合される複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32の個数は、これに限定されない。第3上アーム搭載層231Aにおいて、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32は、いずれも第2方向x2に配列されている。
【0058】
図10に示すように、第3下アーム搭載層231Bは、第1方向x1において第3上アーム搭載層231Aと第3導電層232との間に位置する。第3下アーム搭載層231Bは、第2方向x2に沿った帯状をなしている。第3下アーム搭載層231Bには、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32がそれぞれ2個ずつ電気的に接合されている。なお、第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合される複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32の個数は、これに限定されない。第3下アーム搭載層231Bにおいて、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32は、いずれも第2方向x2に配列されている。
図15に示すように、第3下アーム搭載層231Bは、複数のワイヤ41を介して第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311および複数の保護素子32のアノード電極321に導通している。
【0059】
第3導電層232は、
図10および
図18に示すように、複数のワイヤ41を介して第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311および複数の保護素子32のアノード電極321に導通している。第3導電層232は、第1方向x1における第3基板11Cの他端側(
図10の下方側)に位置する。第3導電層232は、第2方向x2に沿った帯状をなしている。
【0060】
第3ゲート層233は、
図15および
図18に示すように、複数の第1ゲートワイヤ421を介して第3搭載層231に電気的に接合された複数のスイッチング素子31のゲート電極313に導通している。第3ゲート層233は、第2方向x2に沿った帯状をなし、かつ厚さ方向zから視て複数のスイッチング素子31に対向している。第3ゲート層233は、第3上アームゲート層233Aおよび第3下アームゲート層233Bを有する。
【0061】
図10に示すように、第3上アームゲート層233Aは、第1方向x1において第3上アーム搭載層231Aとケース70との間に位置する。厚さ方向zから視て、第3上アームゲート層233Aは、第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31に対向している。
図15に示すように、第3上アームゲート層233Aは、複数の第1ゲートワイヤ421を介して第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31のゲート電極313に導通している。
【0062】
図10に示すように、第3下アームゲート層233Bは、第1方向x1において第3下アーム搭載層231Bと第3導電層232との間に位置する。第3下アームゲート層233Bは、第1方向x1に延びる部分と、第2方向x2に延びる部分を有するL字の帯状である。これらのうち、第2方向x2に延びる部分は、厚さ方向zから視て第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31に対向している。
図18に示すように、第3下アームゲート層233Bは、複数の第1ゲートワイヤ421を介して第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31のゲート電極313に導通している。
【0063】
第3検出層234は、
図15および
図18に示すように、複数の第1検出ワイヤ431を介して第3搭載層231に電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311に導通している。第3検出層234は、第2方向x2に沿った帯状をなし、かつ厚さ方向zから視て複数のスイッチング素子31に対向している。第3検出層234は、第3上アーム検出層234Aおよび第3下アーム検出層234Bを有する。
【0064】
図10に示すように、第3上アーム検出層234Aは、第1方向x1において第3上アーム搭載層231Aと第3上アームゲート層233Aとの間に位置する。厚さ方向zから視て、第3上アーム検出層234Aは、第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31に対向している。
図15に示すように、第3上アーム検出層234Aは、複数の第1検出ワイヤ431を介して第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311に導通している。
【0065】
図10に示すように、第3下アーム検出層234Bは、第1方向x1において第3下アーム搭載層231Bと第3下アームゲート層233Bとの間に位置する。厚さ方向zから視て、第3下アーム検出層234Bは、第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31に対向している。
図18に示すように、第3下アーム検出層234Bは、複数の第1検出ワイヤ431を介して第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311に導通している。
【0066】
第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aは、本発明にかかる特許請求の範囲に記載の「上アーム搭載層」の各領域を指す。また、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bは、本発明にかかる特許請求の範囲に記載の「下アーム搭載層」の各領域を指す。
【0067】
電源端子24は、
図2および
図3に示すように、半導体装置A10に設けられた外部接続端子の一要素である。先述のとおり、電源端子24は、第1電源端子24Aおよび第2電源端子24Bを有する。電源端子24は、半導体装置A10の外部に配置された直流電源に接続され、かつケース70に支持されている。電源端子24の構成材料は、たとえば銅である金属薄板である。なお、当該金属薄板の表面には、ニッケル(Ni)めっきが施されてもよい。第1電源端子24Aは、半導体装置A10の正極(P端子)である。第2電源端子24Bは、半導体装置A10の負極(N端子)である。第1電源端子24Aおよび第2電源端子24Bは、第1方向x1において互いに離間して配置されている。第1電源端子24Aおよび第2電源端子24Bは、ともに同一形状である。
【0068】
図11に示すように、電源端子24は、第1方向x1から視て鉤状に屈曲している。電源端子24において、半導体装置A10の外部に露出し、かつ厚さ方向zに対して直交する部分には、厚さ方向zに貫通する接続孔241が設けられている。接続孔241には、ボルトなどの締結部材が挿入される。
図8に示すように、電源端子24において、ケース70の内部に位置し、かつ厚さ方向zに対して直交する部分には、導電性を有する接続部材242が接続されている。接続部材242は、たとえばアルミニウム(Al)を構成材料とする複数のワイヤである。第1電源端子24Aに接続された接続部材242の他端は、第1上アーム搭載層211Aの第1電源パッド211Cに接続されている。これにより、第1電源端子24Aは、接続部材242を介して第1上アーム搭載層211Aに導通している。また、第2電源端子24Bに接続された接続部材242の他端は、第1導電層212の第2電源パッド212Aに接続されている。これにより、第2電源端子24Bは、接続部材242を介して第1導電層212に導通している。
【0069】
出力端子25は、
図2および
図3に示すように、半導体装置A10に設けられた外部接続端子の一要素である。出力端子25は、第1出力端子25Aおよび第2出力端子25Bの2つに分割されている。なお、出力端子25は、複数に分割されていない単一である構成でもよい。出力端子25は、半導体装置A10の外部に配置されたモータなどの駆動対象に接続され、かつケース70に支持されている。出力端子25は、第2方向x2において基板11に対して電源端子24とは反対側に位置する。出力端子25の構成材料は、電源端子24と同一の金属薄板である。なお、当該金属薄板の表面には、ニッケルめっきが施されてもよい。また、第1出力端子25Aおよび第2出力端子25Bは、第2下アーム搭載層221Bに対して並列接続されている。第1出力端子25Aおよび第2出力端子25Bは、それぞれ外部に配置された半導体装置A10の駆動対象に接続される。第2方向x2において、第1出力端子25Aが第1電源端子24Aに対向し、第2出力端子25Bが第2電源端子24Bに対向している。第1出力端子25Aおよび第2出力端子25Bは、第1方向x1において互いに離間して配置されている。第1出力端子25Aおよび第2出力端子25Bは、ともに同一形状である。
【0070】
図11に示すように、出力端子25は、第1方向x1から視て鉤状に屈曲している。出力端子25において、半導体装置A10の外部に露出し、かつ厚さ方向zに対して直交する部分には、厚さ方向zに貫通する接続孔251が設けられている。接続孔251には、ボルトなどの締結部材が挿入される。
図9に示すように、出力端子25において、ケース70の内部に位置し、かつ厚さ方向zに対して直交する部分には、導電性を有する接続部材252が接続されている。接続部材252は、たとえばアルミニウムを構成材料とする複数のワイヤである。出力端子25に接続された接続部材252の他端は、第2基板11Bに配置された第2下アーム搭載層221Bの出力パッド221Cに接続されている。これにより、出力端子25は、接続部材252を介して第2下アーム搭載層221Bに導通している。
【0071】
中継導電部材261は、
図10に示すように、第1搭載層211と第3搭載層231とを接続し、かつ第2搭載層221と第3搭載層231とを接続している。これにより、第1搭載層211と、第2搭載層221と、第3搭載層231とは、中継導電部材261を介して相互に導通している。あわせて、中継導電部材261は、
図10に示すように、第1導電層212と第3導電層232とを接続し、かつ第2導電層222と第3導電層232とを接続している。これにより、第1導電層212と、第2導電層222と、第3導電層232とは、中継導電部材261を介して相互に導通している。中継導電部材261は、たとえばアルミニウムを構成材料とする複数のワイヤである。
【0072】
図10に示すように、中継導電部材261は、第1部材261A、第2部材261Bおよび第3部材261Cを含む。第1部材261A、第2部材261Bおよび第3部材261Cは、いずれも第2方向x2に延びている。第1部材261Aは、第1上アーム搭載層211Aと第3上アーム搭載層231Aとを接続し、かつ第2上アーム搭載層221Aと第3上アーム搭載層231Aとを接続している。これにより、第1上アーム搭載層211Aおよび第2上アーム搭載層221Aは、第1部材261Aを介して相互に導通している。第2部材261Bは、第1下アーム搭載層211Bと第3下アーム搭載層231Bとを接続し、かつ第2下アーム搭載層221Bと第3下アーム搭載層231Bとを接続している。これにより、第1下アーム搭載層211Bおよび第2下アーム搭載層221Bは、第2部材261Bを介して相互に導通している。第3部材261Cは、第1導電層212と第3導電層232とを接続し、かつ第2導電層222と第3導電層232とを接続している。これにより、第1導電層212および第2導電層222は、第3部材261Cを介して相互に導通している。
【0073】
複数の第1導電部材262は、
図10に示すように、第1ゲート層213と第3ゲート層233とを接続し、かつ第2ゲート層223と第3ゲート層233とを接続している。これにより、第1ゲート層213と、第2ゲート層223と、第3ゲート層233とは、複数の第1導電部材262を介して相互に導通している。複数の第1導電部材262は、たとえばアルミニウムを構成材料とするワイヤである。複数の第1導電部材262は、いずれも第2方向x2に延びている。複数の第1導電部材262は、4本から構成される。1本目の第1導電部材262は、第1上アームゲート層213Aと第3上アームゲート層233Aとを接続している。2本目の第1導電部材262は、第2上アームゲート層223Aと第3上アームゲート層233Aとを接続している。3本目の第1導電部材262は、第1下アームゲート層213Bと第3下アームゲート層233Bとを接続している。4本目の第1導電部材262は、第2下アームゲート層223Bと第3下アームゲート層233Bとを接続している。
【0074】
複数の第2導電部材263は、
図10に示すように、第1検出層214と第3検出層234とを接続し、かつ第2検出層224と第3検出層234とを接続している。これにより、第1検出層214と、第2検出層224と、第3検出層234とは、複数の第2導電部材263を介して相互に導通している。複数の第2導電部材263は、たとえばアルミニウムを構成材料とするワイヤである。複数の第2導電部材263は、いずれも第2方向x2に延びている。複数の第2導電部材263は、4本から構成される。1本目の第2導電部材263は、第1上アーム検出層214Aと第3上アーム検出層234Aとを接続している。2本目の第2導電部材263は、第2上アーム検出層224Aと第3上アーム検出層234Aとを接続している。3本目の第2導電部材263は、第1下アーム検出層214Bと第3下アーム検出層234Bとを接続している。4本目の第2導電部材263は、第2下アーム検出層224Bと第3下アーム検出層234Bとを接続している。
【0075】
ゲート端子27は、
図2~
図4に示すように、半導体装置A10に設けられた外部接続端子の一要素である。ゲート端子27は、外部に配置された半導体装置A10の駆動回路(たとえばゲートドライバなど)に接続される。ゲート端子27は、厚さ方向zから視て基板11に対向して配置され、かつケース70に支持されている。ゲート端子27は、厚さ方向zにおいて基板11の主面111が向く側(厚さ方向z)に向けて突出している。ゲート端子27は、たとえば銅を構成材料とする金属棒である。当該金属棒の表面には、錫(Sn)めっきが施されている。なお、当該金属棒の表面と錫めっきとの間に、ニッケルめっきが施されていてもよい。
図12に示すように、厚さ方向zにおいて基板11に近接するゲート端子27の先端は、第1方向x1に沿うように鉤状に屈曲している。ゲート端子27は、第1ゲート端子27Aおよび第2ゲート端子27Bを含む。第1ゲート端子27Aおよび第2ゲート端子27Bには、一対の第2ゲートワイヤ422が接続されている。一対の第2ゲートワイヤ422の構成材料は、たとえばアルミニウムである。
【0076】
図10に示すように、第1ゲート端子27Aは、厚さ方向zから視て第2上アームゲート層223Aに近接するように第2基板11Bに対向して配置されている。第1ゲート端子27Aに一端が接続された第2ゲートワイヤ422の他端は、第3上アームゲート層233Aに接続されている。これにより、第1ゲート端子27Aは、第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31のゲート電極313に導通している。
【0077】
図10に示すように、第2ゲート端子27Bは、厚さ方向zから視て第3下アームゲート層233Bに近接するように第3基板11Cに対向して配置されている。第2ゲート端子27Bに一端が接続された第2ゲートワイヤ422の他端は、第3下アームゲート層233Bに接続されている。これにより、第2ゲート端子27Bは、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31のゲート電極313に導通している。
【0078】
素子電流検出端子281は、
図2~
図4に示すように、半導体装置A10に設けられた外部接続端子の一要素である。素子電流検出端子281は、外部に配置された半導体装置A10の制御回路に接続される。素子電流検出端子281は、基板11に対向して配置され、かつケース70に支持されている。素子電流検出端子281は、厚さ方向zにおいてゲート端子27が突出する側に向けて突出している。素子電流検出端子281は、ゲート端子27と同一の構成材料に基づく金属棒から構成される。素子電流検出端子281の形状は、ゲート端子27の形状と同一である。このため、厚さ方向zにおいて基板11に近接する素子電流検出端子281の先端は、第1方向x1に沿うように鉤状に屈曲している。素子電流検出端子281は、第1検出端子281Aおよび第2検出端子281Bを含む。第1検出端子281Aおよび第2検出端子281Bには、一対の第2検出ワイヤ432が接続されている。一対の第2検出ワイヤ432の構成材料は、たとえばアルミニウムである。
【0079】
図10に示すように、第1検出端子281Aは、厚さ方向zから視て第2上アーム検出層224Aに近接するように第2基板11Bに対向して配置され、かつ第1ゲート端子27Aに近接している。第1検出端子281Aに一端が接続された第2検出ワイヤ432の他端は、第2上アーム検出層224Aに接続されている。これにより、第1検出端子281Aは、第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311に導通している。
【0080】
図10に示すように、第2検出端子281Bは、厚さ方向zから視て第1下アーム検出層214Bに近接するように第1基板11Aに対向して配置され、かつ第2ゲート端子27Bに近接している。第2検出端子281Bに一端が接続された第2検出ワイヤ432の他端は、第1下アーム検出層214Bに接続されている。これにより、第2検出端子281Bは、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311に導通している。
【0081】
電源電流検出端子282は、
図2~
図4および
図9に示すように、半導体装置A10に設けられた外部接続端子の一要素である。電源電流検出端子282は、外部に配置された半導体装置A10の制御回路に接続され、かつケース70に支持されている。電源電流検出端子282は、厚さ方向zにおいてゲート端子27が突出する側に向けて突出している。電源電流検出端子282は、ゲート端子27と同一の構成材料に基づく金属棒から構成される。電源電流検出端子282は、第1方向x1における位置が第1ゲート端子27Aおよび第1検出端子281Aと同一で、かつ第2方向x2において第1検出端子281Aから第1出力端子25A側に離間して位置する。電源電流検出端子282は、第1方向x1において第2上アーム搭載層221Aに近接するように第2基板11Bに対向して配置されている。電源電流検出端子282の形状は、ゲート端子27の形状と同一である。このため、厚さ方向zにおいて第2基板11Bに近接する電源電流検出端子282の先端は、第1方向x1に沿うように鉤状に屈曲している。当該先端には、電源電流検出ワイヤ44の一端が接続されている。電源電流検出ワイヤ44の他端は、第2上アーム搭載層221Aに接続されている。これにより、電源電流検出端子282は、第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aに導通している。電源電流検出ワイヤ44の構成材料は、たとえばアルミニウムである。
【0082】
一対のサーミスタ端子29は、
図2~
図4および
図8に示すように、半導体装置A10に設けられた外部接続端子の一要素である。一対のサーミスタ端子29は、外部に配置された半導体装置A10の制御回路に接続され、かつケース70に支持されている。一対のサーミスタ端子29は、厚さ方向zにおいてゲート端子27が突出する側に向けて突出している。一対のサーミスタ端子29は、ゲート端子27と同一の構成材料に基づく金属棒から構成される。一対のサーミスタ端子29は、第1方向x1における位置が第1ゲート端子27Aおよび第1検出端子281Aと同一で、かつ第2方向x2において第1ゲート端子27Aから第1電源端子24A側に離間して位置する。一対のサーミスタ端子29は、第1方向x1においてサーミスタ搭載層215に近接するように第1基板11Aに対向して配置されている。一対のサーミスタ端子29の形状は、ゲート端子27の形状と同一である。このため、厚さ方向zにおいて第1基板11Aに近接する一対のサーミスタ端子29の先端は、第1方向x1に沿うように鉤状に屈曲している。一対のサーミスタ端子29の各々の当該先端には、一対のサーミスタワイヤ45の一端が接続されている。一対のサーミスタワイヤ45の他端は、サーミスタ搭載層215の一対の領域に接続されている。これにより、サーミスタ端子29は、サーミスタ33に導通している。一対のサーミスタワイヤ45の構成材料は、たとえばアルミニウムである。
【0083】
複数のスイッチング素子31は、
図3に示すように、第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のそれぞれにおいて、第2方向x2に配列され、かつ電気的に接合された半導体素子である。複数のスイッチング素子31は、厚さ方向zから視て矩形状(半導体装置A10では正方形状)である。スイッチング素子31は、炭化ケイ素(SiC)を主とする半導体材料を用いて構成されたMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。なお、スイッチング素子31は、MOSFETに限らずIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよい。半導体装置A10の説明においては、スイッチング素子31がnチャンネル型であり、かつ炭化ケイ素を主とする半導体材料を用いて構成されたMOSFETを対象とする。半導体装置A10においては、スイッチング素子31の厚さは400μm以下であり、より好ましくは150μm以下である。また、スイッチング素子31の降伏電圧は、1,200V以上である。
【0084】
図15~
図20に示すように、複数のスイッチング素子31の各々は、主面31A、裏面31B、側面31C、主面電極311、裏面電極312、ゲート電極313および絶縁膜314を有する。主面31A、裏面31Bおよび側面31Cは、本発明にかかる特許請求の範囲に記載の「第1素子主面」、「第1素子裏面」および「第1素子側面」を指す。主面31Aは、厚さ方向zにおいて基板11の主面111が向く側を向く。裏面31Bは、主面31Aとは反対側を向く。複数のスイッチング素子31は、裏面31Bが主面111に対向した状態で第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のそれぞれに電気的に接合されている。側面31Cは、主面31Aおよび裏面31Bの双方につながっている。側面31Cは、それぞれが第1方向x1および第2方向x2のいずれかを向く複数の領域(半導体装置A10においては4つの領域)を有する。
【0085】
図15~
図20に示すように、主面電極311は、主面31Aに設けられている。主面電極311には、ソース電流が流れる。主面電極311は、一対の第1パッド部311Aと、一対の第2パッド部311Bとを有する。一対の第1パッド部311Aおよび一対の第2パッド部311Bは、ともに第2方向x2に互いに離間した主面電極311の領域である。第1搭載層211に電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、一対の第2パッド部311Bは、第1方向x1において一対の第1パッド部311Aに対して第1下アーム搭載層211Bおよび第1導電層212のいずれかとは反対側に位置する。なお、一対の第1パッド部311Aに対する一対の第2パッド部311Bの位置関係は、第2搭載層221および第3搭載層231のそれぞれにおいて電気的に接合された複数のスイッチング素子31においても同様である。
【0086】
図15に示すように、第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数の一方の第2パッド部311Bには、複数の第1検出ワイヤ431の一端が接続されている。当該複数の第1検出ワイヤ431の他端は、第1上アーム検出層214A、第2上アーム検出層224Aおよび第3上アーム検出層234Aのいずれかに接続されている。また、
図18に示すように、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数の一方の第1パッド部311Aには、複数の第1検出ワイヤ431の一端が接続されている。当該複数の第1検出ワイヤ431の他端は、第1下アーム検出層214B、第2下アーム検出層224Bおよび第3下アーム検出層234Bのいずれかに接続されている。複数の第1検出ワイヤ431により、複数の主面電極311の各々は、第1検出層214、第2検出層224および第3検出層234のいずれかに導通している。複数の第1検出ワイヤ431の構成材料は、たとえば金(Au)である。
【0087】
図16~
図20(
図18を除く)に示すように、裏面電極312は、裏面31Bの全体にわたって設けられている。裏面電極312には、ドレイン電流が流れる。裏面電極312は、第1接合層391により第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のいずれかに電気的に接合されている。第1接合層391は、導電性を有する。第1接合層391は、複数の裏面電極312と、第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231との間に挟まれている。第1接合層391の構成材料は、たとえば錫を主成分とする鉛フリーはんだである。第1接合層391により、複数の裏面電極312の各々は、第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のいずれかに導通している。
【0088】
図15および
図18に示すように、ゲート電極313は、主面31Aに設けられている。ゲート電極313には、複数のスイッチング素子31の各々を駆動させるためのゲート電圧が印加される。
図15に示すように、第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、ゲート電極313は、主面電極311の一対の第2パッド部311Bに近接している。当該複数のゲート電極313には、一端が第1上アームゲート層213A、第2上アームゲート層223Aおよび第3上アームゲート層233Aのいずれかに接続された複数の第1ゲートワイヤ421の他端が接続されている。また、
図18に示すように、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、ゲート電極313は、主面電極311の一対の第1パッド部311Aに近接している。当該複数のゲート電極313には、一端が第1下アームゲート層213B、第2下アームゲート層223Bおよび第3下アームゲート層233Bのいずれかに接続された複数の第1ゲートワイヤ421の他端が接続されている。複数の第1ゲートワイヤ421により、複数のゲート電極313の各々は、第1ゲート層213、第2ゲート層223および第3ゲート層233いずれかに導通している。複数の第1ゲートワイヤ421の構成材料は、たとえば金である。
【0089】
図15~
図20に示すように、絶縁膜314は、主面31Aに設けられている。絶縁膜314は、電気絶縁性を有する。絶縁膜314は、厚さ方向zから視て主面電極311を囲んでいる。絶縁膜314は、たとえば二酸化ケイ素(SiO
2)層、窒化ケイ素(Si
3N
4)層、ポリベンゾオキサゾール(PBO)層が主面31Aからこの順番で積層されたものである。なお、絶縁膜314においては、当該ポリベンゾオキサゾール層に代えてポリイミド層でもよい。
図15~
図20においては、厚さ方向zから視て絶縁膜314の周縁314Aから主面電極311までに至る長さを、複数のスイッチング素子31のギャップGpとして示している。ギャップGpは、第1方向x1および第2方向x2のいずれかに沿った長さである。周縁314Aは、厚さ方向zから視て矩形状(半導体装置A10では正方形状)をなす。厚さ方向zから視て、周縁314Aの一辺の長さ(周縁314Aが長方形である場合は短辺の長さ)に対するギャップGpの長さの割合は、5~25%とされている。ギャップGpの長さが大になるほど、スイッチング素子31の絶縁耐圧が向上する。
【0090】
複数の保護素子32は、
図3に示すように、第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のそれぞれにおいて、第2方向x2に配列され、かつ電気的に接合された半導体素子である。複数の保護素子32は、厚さ方向zから視て矩形状である。複数の保護素子32は、複数のスイッチング素子31に個別に導通するように配列されている。複数の保護素子32は、複数のスイッチング素子31の主面電極311および裏面電極312の双方に導通している。これにより、1つのスイッチング素子31と、これに対応する1つの保護素子32とは、1組の並列回路を構成している。複数の保護素子32は、たとえば炭化ケイ素を主とする半導体材料を用いて構成されたショットキーバリアダイオードである。半導体装置A10においては、保護素子32の厚さは400μm以下であり、より好ましくは150μm以下である。また、保護素子32の降伏電圧は、1,200V以上である。
【0091】
図15~
図20に示すように、複数の保護素子32の各々は、主面32A、裏面32B、側面32C、アノード電極321およびカソード電極322および絶縁膜323を有する。主面32Aは、本発明にかかる特許請求の範囲に記載の「第2素子主面」を指す。主面32Aは、厚さ方向zにおいて基板11の主面111が向く側を向く。裏面32Bは、主面32Aとは反対側を向く。複数の保護素子32は、裏面32Bが主面111に対向した状態で第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のそれぞれに電気的に接合されている。側面32Cは、主面32Aおよび裏面32Bの双方につながっている。側面32Cは、それぞれが第1方向x1および第2方向x2のいずれかを向く複数の領域(半導体装置A10においては4つの領域)を有する。
【0092】
図15~
図20に示すように、アノード電極321は、主面32Aに設けられている。アノード電極321は、それが設けられた保護素子32が対応するスイッチング素子31の主面電極311に導通している。
【0093】
図16および
図19に示すように、カソード電極322は、裏面32Bの全体にわたって設けられている。カソード電極322は、第2接合層392により第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のいずれかに電気的に接合されている。第2接合層392は、導電性を有する。第2接合層392は、複数のカソード電極322と、第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231との間に挟まれている。第2接合層392の構成材料は、第1接合層391の構成材料と同一である。第2接合層392により、カソード電極322は、第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のいずれかを介して、このカソード電極322が設けられた保護素子32に対応するスイッチング素子31の裏面電極312に導通している。
【0094】
図16および
図19に示すように、絶縁膜323は、主面32Aに設けられている。絶縁膜323は、電気絶縁性を有する。
図15および
図18に示すように、絶縁膜323は、厚さ方向zから視てアノード電極321を囲んでいる。絶縁膜323は、たとえば二酸化ケイ素層、窒化ケイ素層、ポリベンゾオキサゾール層が主面32Aからこの順番で積層されたものである。なお、絶縁膜323においては、当該ポリベンゾオキサゾール層に代えてポリイミド層でもよい。
【0095】
サーミスタ33は、
図3および
図8に示すように、サーミスタ搭載層215に電気的に接合された素子である。サーミスタ33は、たとえばNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタである。NTCサーミスタは、温度上昇に対して緩やかに抵抗が低下する特性を有する。サーミスタ33は、半導体装置A10の温度検出用センサとして用いられる。
【0096】
複数のワイヤ41は、
図15~
図17に示すように、複数のスイッチング素子31の主面電極311と、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bのいずれかと、に接続されている。複数のワイヤ41は、
図18~
図20に示すように、複数のスイッチング素子31の主面電極311と、第1導電層212、第2導電層222および第3導電層232のいずれかと、に接続されている。複数のワイヤ41の構成材料は、たとえばアルミニウムである。ワイヤ41の直径は、第1ゲートワイヤ421および第1検出ワイヤ431のそれぞれの直径よりも大とされている。
【0097】
図15~
図17に示すように、第1上アーム搭載層211Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数のワイヤ41は、複数の主面電極311と第1下アーム搭載層211Bとに接続されている。
図18~
図20に示すように、第1下アーム搭載層211Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数のワイヤ41は、複数の主面電極311と第1導電層212とに接続されている。これにより、第1搭載層211に電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311は、第1下アーム搭載層211Bおよび第1導電層212のいずれかに導通している。
【0098】
図15~
図17に示すように、第2上アーム搭載層221Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数のワイヤ41は、複数の主面電極311と第2下アーム搭載層221Bとに接続されている。
図18~
図20に示すように、第2下アーム搭載層221Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数のワイヤ41は、複数の主面電極311と第2導電層222とに接続されている。これにより、第2搭載層221に電気的に接合されたスイッチング素子31の主面電極311は、第2下アーム搭載層221Bおよび第2導電層222のいずれかに導通している。
【0099】
図15~
図17に示すように、第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数のワイヤ41は、複数の主面電極311と第3下アーム搭載層231Bとに接続されている。
図18~
図20に示すように、第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数のワイヤ41は、複数の主面電極311と第3導電層232とに接続されている。これにより、第3搭載層231に電気的に接合されたスイッチング素子31の主面電極311は、第3下アーム搭載層231Bおよび第3導電層232のいずれかに導通している。
【0100】
図15~
図20に示すように、複数のワイヤ41は、第1方向x1に延びている。複数のワイヤ41の各々は、第1ボンディング部411を有する。複数の第1ボンディング部411は、複数のスイッチング素子31の主面電極311に接する。また、複数のスイッチング素子31の各々において、複数のワイヤ41は、一対の内ワイヤ41Aおよび一対の外ワイヤ41Bを含む。一対の外ワイヤ41Bは、第2方向x2において一対の内ワイヤ41Aの両側に配列されている。
【0101】
図15~
図17に基づき、第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aのそれぞれに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の各々における複数のワイヤ41の構成について説明する。
図17に示すように、一対の内ワイヤ41Aの第1ボンディング部411は、主面電極311の一対の第1パッド部311Aに接する。
図16に示すように、一対の外ワイヤ41Bの第1ボンディング部411は、主面電極311の一対の第1パッド部311Aおよび一対の第2パッド部311Bの双方に接する。
図15および
図16に示すように、一対の外ワイヤ41Bの第1ボンディング部411の各々は、第1接続部411A、第2接続部411Bおよび連結部411Cを有する。第1接続部411Aは、第1パッド部311Aに接する。第2接続部411Bは、第2パッド部311Bに接する。連結部411Cは、第1方向x1において第1接続部411Aと第2接続部411Bとの間に挟まれている。連結部411Cは、厚さ方向zにおいてスイッチング素子31の主面31Aが向く側に向けて突出している。
【0102】
図15および
図16に示すように、第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aのそれぞれに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の各々における複数のワイヤ41は、いずれも第2ボンディング部412を有する。第2ボンディング部412は、保護素子32のアノード電極321に接する。これにより、第1上アーム搭載層211Aに電気的に接合された複数の保護素子32のアノード電極321は、これらに対応する複数のスイッチング素子31の主面電極311と、第1下アーム搭載層211Bとの双方に導通している。第2上アーム搭載層221Aに電気的に接合された保護素子32のアノード電極321は、これらに対応するスイッチング素子31の主面電極311と、第2下アーム搭載層221Bとの双方に導通している。さらに、第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された保護素子32のアノード電極321は、これらに対応するスイッチング素子31の主面電極311と、第3下アーム搭載層231Bとの双方に導通している。
【0103】
図18~
図20に基づき、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bのそれぞれに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の各々における複数のワイヤ41の構成について説明する。
図20に示すように、一対の内ワイヤ41Aの第1ボンディング部411は、主面電極311の一対の第1パッド部311Aに接する。
図19に示すように、一対の外ワイヤ41Bの第1ボンディング部411は、主面電極311の一対の第1パッド部311Aおよび一対の第2パッド部311Bの双方に接する。
図18および
図19に示すように、一対の外ワイヤ41Bの第1ボンディング部411の各々は、第1接続部411A、第2接続部411Bおよび連結部411Cを有する。第1接続部411Aは、第1パッド部311Aに接する。第2接続部411Bは、第2パッド部311Bに接する。連結部411Cは、第1方向x1において第1接続部411Aと第2接続部411Bとの間に挟まれている。連結部411Cは、厚さ方向zにおいてスイッチング素子31の主面31Aが向く側に向けて突出している。
【0104】
図18および
図19に示すように、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bのそれぞれに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の各々における一対の外ワイヤ41Bは、ともに第2ボンディング部412を有する。第2ボンディング部412は、保護素子32のアノード電極321に接する。これにより、第1下アーム搭載層211Bに電気的に接合された複数の保護素子32のアノード電極321は、これらに対応する複数のスイッチング素子31の主面電極311と、第1導電層212との双方に導通している。第2下アーム搭載層221Bに電気的に接合された保護素子32のアノード電極321は、これらに対応するスイッチング素子31の主面電極311と、第2導電層222との双方に導通している。さらに、第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された保護素子32のアノード電極321は、これらに対応するスイッチング素子31の主面電極311と、第3導電層232との双方に導通している。
【0105】
図18に示すように、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bのそれぞれに電気的に接合された複数の保護素子32のアノード電極321の各々には、一対の補助ワイヤ46が接続されている。一対の補助ワイヤ46の他端は、当該複数の保護素子32に対応する複数のスイッチング素子31の主面電極311の一対の第2パッド部311Bに接続されている。一対の補助ワイヤ46は、第2方向x2において一対の外ワイヤ41Bの間に位置する。一対の補助ワイヤ46の構成材料は、複数のワイヤ41の構成材料と同一である。また、補助ワイヤ46の直径は、ワイヤ41の直径と同一である。
【0106】
耐湿層51は、
図15~
図20に示すように、少なくともいずれかの複数のスイッチング素子31の側面31Cを覆っている。耐湿層51の構成材料は、温度サイクルに強く、かつ水分の透過性が封止樹脂52(半導体装置A10ではシリコーンゲル)よりも低い電気絶縁材料が選択される。このような電気絶縁材料が選択された耐湿層51は、ポリイミドおよびシリコーンゲルから構成される。耐湿層51におけるポリイミドおよびシリコーンゲルの重量含有比は、シリコーンゲルが1に対し、ポリイミドが1.5以上7.0以下である。つまり、耐湿層51において、ポリイミドの重量の方がシリコーンゲルの重量よりも大である。耐湿層51においては、ポリイミドの分子、およびシリコーンゲルの分子が混在した状態となっている。より好ましくは、ポリイミドの分子と、シリコーンゲルの分子とが、耐湿層51の全体にわたって均一に分散している。これにより、温度サイクルによって耐湿層51に亀裂が発生することを有効に抑制することができるため、水分の浸入を抑制するという耐湿層51の機能を適切に保持することができる。なお、半導体装置A10においては、ポリイミドおよびシリコーンゲルのみから構成される耐湿層51の例を説明しているが、これらの材料に加えて、さらに他の材料を混合させて耐湿層51を構成することを妨げるものではない。また、半導体装置A10においては、耐湿層51がポリイミドおよびシリコーンゲルの混合材料から構成される例を説明しているが、その他の材料で水分の透過性が低い材料を選択してもよい。たとえば、耐湿層51がポリベンゾオキサゾールおよびシリコーンゲルの混合材料から構成されるものでもよい。
【0107】
半導体装置A10の耐湿層51の形成方法の一例について説明する。ポリイミド、シリコーンゲルおよび溶剤を含み、かつ流動性を有する合成樹脂材料を用意する。当該溶剤は揮発性を有する。次いで、ディスペンサにより搭載層(第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231)に当該合成樹脂材料を滴下させる。これにより、当該合成樹脂材料がスイッチング素子31の側面31Cに濡れ拡がり、側面31Cが当該合成樹脂材料により覆われた状態となる。最後に、当該合成樹脂材料を熱硬化させることにより、耐湿層51が形成される。この際、当該溶剤は揮発する。このような形成方法によれば、スイッチング素子31の側面31Cを覆う耐湿層51を構成することが容易となる。
【0108】
図15~
図17に示すように、耐湿層51は、第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aのいずれかと、少なくともいずれかの複数のスイッチング素子31の側面31Cとの双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zにおいて第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aのいずれかと側面31Cとの間、すなわち接合層39および裏面電極312を跨いでいる。
【0109】
図18~
図20に示すように、耐湿層51は、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bのいずれかと、少なくともいずれかの複数のスイッチング素子31の側面31Cとの双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zにおいて第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bのいずれかと側面31Cとの間、すなわち接合層39および裏面電極312を跨いでいる。
【0110】
したがって、耐湿層51は、第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のいずれかと、少なくともいずれかの複数の側面31Cとの双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zにおいて第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のいずれかと、側面31Cとの間を跨いでいる。
【0111】
図15、
図16、
図18および
図19に示すように、耐湿層51は、スイッチング素子31の側面31Cと、スイッチング素子31と対になる保護素子32(スイッチング素子31に対して逆並列接続された保護素子32)の側面32Cをも一体となって覆っている。これらの図に示す例においては、耐湿層51は、一対のスイッチング素子31および保護素子32に対応して設けられている。すなわち、耐湿層51は複数の領域に分割されており、これらの複数の領域が一対のスイッチング素子31の側面31Cおよび保護素子32の側面32Cを覆う構成となっている。このような構成以外に、第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231の各々において、耐湿層51は、複数のスイッチング素子31の側面31Cを一体となって覆う構成でもよい。
【0112】
封止樹脂52は、
図11および
図12に示すように、ケース70およびヒートシンク61により囲まれた領域に収容されている。
図16、
図17、
図19および
図20に示すように、封止樹脂52は、複数のスイッチング素子31および耐湿層51の双方を覆っている。封止樹脂52は、これらに加えて複数の保護素子32も覆っている。封止樹脂52は、耐熱性および密着性に優れ、かつ電気絶縁性を有する合成樹脂であることが好ましい。封止樹脂52は、たとえば熱硬化性オルガノポリシロキサンを主成分としたシリコーンゲルである。封止樹脂52は、大気に露出している。
【0113】
ヒートシンク61は、
図11および
図12に示すように、基板11の裏面112に接合されている。半導体装置A10では、ヒートシンク61は、第1基板11Aの裏面112と、第2基板11Bの裏面112と、第3基板11Cの裏面112とに、それぞれ伝熱層62および基板接合層69(ともに詳細は後述)を介して接合されている。ヒートシンク61は、たとえば銅からなる金属板から構成される。当該金属板の表面には、ニッケルめっきが施されてもよい。
図7~
図9に示すように、厚さ方向zから視てヒートシンク61の四隅には、複数の支持孔611が設けられている。複数の支持孔611の各々は、厚さ方向zにおいてヒートシンク61を貫通している。複数の支持孔611は、基板11に接合されたヒートシンク61を、ケース70に支持するために用いられる。
【0114】
伝熱層62は、
図11および
図12に示すように、基板11の裏面112に配置されている。伝熱層62は、たとえば銅箔などの金属材料から構成される。伝熱層62は、複数のスイッチング素子31の駆動により発生した熱をヒートシンク61に伝導させる。
【0115】
基板接合層69は、
図11および
図12に示すように、ヒートシンク61と伝熱層62との間に介在する接合材である。半導体装置A10では、基板接合層69の構成材料は、錫を主成分とする鉛フリーはんだである。基板接合層59によって、ヒートシンク61は、基板11に接合される。
【0116】
ケース70は、
図3に示すように、厚さ方向zから視て基板11の周囲を囲む電気絶縁部材である。ケース70は、枠状である。ケース70は、たとえばPPS(ポリフェニレンサルファイド)など、電気絶縁性を有し、かつ耐熱性に優れた合成樹脂から構成される。ケース70は、一対の側壁71、一対の端子台座72、複数の取付け部73、電源端子台74および出力端子台75を有する。
【0117】
図2、
図3、
図5および
図6に示すように、一対の側壁71は、第1方向x1において互いに離間し、かつ溝形状である。各々の側壁71は、第2方向x2および厚さ方向zの双方に沿って配置され、かつ厚さ方向zにおける一端がヒートシンク61に接する。第2方向x2における各々の側壁71の両端は、一対の端子台座72につながっている。一方の側壁71の内部には、第1ゲート端子27A、第1検出端子281A、電源電流検出端子282および一対のサーミスタ端子29が配置されている。また、他方の側壁71の内部には、第2ゲート端子27Bおよび第2検出端子281Bが配置されている。
図8~
図10に示すように、厚さ方向zにおいて基板11に近接するこれらの端子の先端は、いずれも側壁71に支持されている。
【0118】
図3、
図8および
図9に示すように、一対の端子台座72は、第2方向x2において互いに離間している。各々の端子台座72は、第2方向x2に沿って配置されている。一方の端子台座72には、第2方向x2の外側に向けて突出する電源端子台74がつながっており、電源端子24の一部がこの端子台座72に支持されている。他方の端子台座72には、第2方向x2の外側に向けて突出する出力端子台75がつながっており、出力端子25の一部がこの端子台座72に支持されている。
【0119】
図2、
図8および
図9に示すように、複数の取付け部73は、厚さ方向zから視てケース70の四隅に設けられている。複数の取付け部73各々には、厚さ方向zにおいて取付け部73を貫通する取付け孔731が設けられている。複数の取付け孔731の位置は、ヒートシンク61に設けられた複数の支持孔611に対応している。複数の取付け孔731および複数の支持孔611にピンなどの締結部材を嵌め込むことによって、ヒートシンク61はケース70に支持される。
【0120】
図2、
図5および
図8に示すように、電源端子台74は、これにつながる端子台座72とともに電源端子24を支持する。電源端子台74は、第1端子台741および第2端子台742を含む。第1端子台741および第2端子台742は、第1方向x1において互いに離間している。第1端子台741には、第1電源端子24Aの一部が支持されており、この支持された部分が半導体装置A10の外部に露出している。第2端子台742には、第2電源端子24Bの一部が支持されており、この支持された部分が半導体装置A10の外部に露出している。また、
図8および
図13に示すように、第1端子台741および第2端子台742のそれぞれの内部には、ナット743が配置されている。各々のナット743は、厚さ方向zにおいて第1電源端子24Aおよび第2電源端子24Bのいずれかに設けられた接続孔241に対応している。接続孔241に挿入されたボルトなどの締結部材は、ナット743に螺合する。
【0121】
図2、
図6および
図9に示すように、出力端子台75は、これにつながる端子台座72とともに出力端子25を支持する。出力端子台75は、第1端子台751および第2端子台752を含む。第1端子台751および第2端子台752は、第1方向x1において互いに離間している。第1端子台751には、第1出力端子25Aの一部が支持されており、この支持された部分が半導体装置A10の外部に露出している。第2端子台752には、第2出力端子25Bの一部が支持されており、この支持された部分が半導体装置A10の外部に露出している。また、
図9および
図14に示すように、第1端子台751および第2端子台752のそれぞれの内部には、ナット753が配置されている。各々のナット753は、厚さ方向zにおいて第1出力端子25Aおよび第2出力端子25Bのいずれかに設けられた接続孔251に対応している。接続孔251に挿入されたボルトなどの締結部材は、ナット753に螺合する。
【0122】
天板79は、
図2、
図11および
図12に示すように、ヒートシンク61およびケース70によって形成された半導体装置A10の内部領域を塞いでいる。天板79は、基板11の主面111に対向し、かつ厚さ方向zにおいて主面111に対して離間した状態で、ケース70の一対の側壁71に支持されている。天板79は、電気絶縁性を有する合成樹脂から構成される。
【0123】
次に、
図21に基づき、半導体装置A10における回路構成について説明する。
【0124】
図21に示すように、半導体装置A10においては、上アーム回路81および下アーム回路82の2つのスイッチング回路が構成されている。上アーム回路81は、第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aと、これらに電気的に接合された複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32とにより構成される。これらに電気的に接合された複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32は、いずれも第1電源端子24Aと出力端子25との間において並列接続されている。上アーム回路81における複数のスイッチング素子31のゲート電極313は、いずれも第1ゲート端子27Aに並列接続されている。半導体装置A10の外部に配置されたゲートドライバなどの駆動回路により、第1ゲート端子27Aにゲート電圧が印加されることで、上アーム回路81における複数のスイッチング素子31は同時に駆動する。
【0125】
上アーム回路81における複数のスイッチング素子31の主面電極311は、いずれも第1検出端子281Aに並列接続されている。上アーム回路81における複数のスイッチング素子31に流れるソース電流は、第1検出端子281Aを介して、半導体装置A10の外部に配置された制御回路に入力される。
【0126】
上アーム回路81において、第1電源端子24Aおよび第2電源端子24Bにより第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aに印加された電圧は、電源電流検出端子282を介して、外部に配置された半導体装置A10の制御回路に入力される。
【0127】
下アーム回路82は、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bと、これらに電気的に接合された複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32は、いずれも出力端子25と第2電源端子24Bとの間において並列接続されている。下アーム回路82における複数のスイッチング素子31のゲート電極313は、いずれも第2ゲート端子27Bに並列接続されている。半導体装置A10の外部に配置されたゲートドライバなどの駆動回路により、第2ゲート端子27Bにゲート電圧が印加されることで、下アーム回路82における複数のスイッチング素子31は同時に駆動する。
【0128】
下アーム回路82における複数のスイッチング素子31の主面電極311は、いずれも第2検出端子281Bに並列接続されている。下アーム回路82における複数のスイッチング素子31に流れるソース電流は、第2検出端子281Bを介して、半導体装置A10の外部に配置された制御回路に入力される。
【0129】
第1電源端子24Aおよび第2電源端子24Bに直流電源が接続され、かつ上アーム回路81および下アーム回路82における複数のスイッチング素子31が駆動することによって、出力端子25から様々な周波数の交流電圧が出力される。出力端子25から出力された当該交流電圧は、モータなどの電力供給対象に供給される。
【0130】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0131】
半導体装置A10の構成によれば、耐湿層51は、搭載層(第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231)と、少なくともいずれかのスイッチング素子31の側面31Cとの双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zにおいて当該搭載層と側面31Cとの間を跨いでいる。
図22に示すように、高温高湿の影響により水分が封止樹脂52に浸入すると、スイッチング素子31の主面電極311からリーク電流Lcが発生しやすい状態となる。スイッチング素子31おいて、リーク電流Lcは、絶縁膜314の表面および側面31Cを伝って流れようとする。耐湿層51を備えることにより、リーク電流Lcの経路がより長くなるため、リーク電流Lcが流れにくくなる。これにより、リーク電流Lcが、搭載層に到達することを抑制できるため、リーク電流Lcが通電することに起因するスイッチング素子31の破壊防止が図られる。したがって、半導体装置A10によれば、高温高湿下においてより安定した性能を発揮することが可能となる。なお、スイッチング素子31や保護素子32の厚さが150μm以下と比較的薄い場合、リーク電流Lcの経路がより短くなるため、これらの半導体素子に1,200V以上の電圧を印加させるとリーク電流Lcがより流れやすくなる。このように、厚さが比較的薄いスイッチング素子31に耐湿層51を設けると特に有効である。
【0132】
一方、
図23に示すように、耐湿層51を備えない比較例B10では、リーク電流Lcは、スイッチング素子31の側面31Cを伝って搭載層(第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231)に導通してしまう。これにより、スイッチング素子31において、主面電極311と裏面電極312とのショートが起こるため、スイッチング素子31が破壊されることとなる。
【0133】
耐湿層51の構成材料には、ポリイミドを含むことが好ましい。ポリイミドは、温度サイクルに強く、かつ湿気におかされにくい電気絶縁材料である。当該構成材料にポリイミドを含むことにより、
図22に示すように高温高湿下であってもリーク電流Lcをスイッチング素子31の側面31Cに沿って流れにくくするという耐湿層51の機能が発揮される。
【0134】
耐湿層51の構成材料には、ポリイミドに加え、シリコーンゲルをさらに含むことがより好ましい。このような構成材料とすることにより、ポリイミドのみから構成される耐湿層51と比較して、耐湿層51のヤング率を低下させることができる。これにより、半導体装置A10の使用時に発生するスイッチング素子31の熱ひずみに対して耐湿層51が追随しやすくなる。したがって、スイッチング素子31に作用するせん断応力を低減させることができる。
【0135】
また、耐湿層51がポリイミドおよびシリコーンゲルを含む構成とすることにより、耐湿層51の温度サイクルに対する耐性をより向上させることもできる。ポリイミドのみから構成される耐湿層51を備える半導体装置A10に対して-40~125℃の温度サイクル試験を行った場合、半導体装置A10は約20回で破壊された。これは、耐湿層51に亀裂が発生し、その亀裂から水分が浸入したためと考えられる。一方、ポリイミドおよびシリコーンゲルから構成される耐湿層51を備える半導体装置A10に対して同一条件で温度サイクル試験を行った場合、半導体装置A10は1,000回を超えても破壊されなかった。これは、ポリイミドのみから構成される耐湿層51と比較して、耐湿層51のヤング率が低下するため、熱膨張および熱収縮により耐湿層51に発生するせん断応力が低減するためである。したがって、耐湿層51は、ポリイミドおよびシリコーンゲルを含む構成であることがより好ましい。
【0136】
半導体装置A10は、スイッチング素子31の主面電極311に接続された複数のワイヤ41を備える。複数のワイヤ41は、第1方向x1に延びている。これにより、複数のワイヤ41に阻害されることなく、スイッチング素子31の側面31Cを覆う耐湿層51を形成することができる。
【0137】
一対の外ワイヤ41Bの第1ボンディング部411の各々は、第1パッド部311Aに接する第1接続部411Aと、第2パッド部311Bに接する第2接続部411Bと、第1接続部411Aと第2接続部411Bとの間に挟まれた連結部411Cを有する。連結部411Cは、厚さ方向zにおいてスイッチング素子31の主面31Aが向く側に向けて突出している。
図16および
図19に示すように、厚さ方向zにおいてスイッチング素子31の主面電極311の表面から連結部411Cの頂点Cまでに至る連結部411Cの高さHは、ワイヤ41の直径の3倍以上とすることが好ましい。たとえば、ワイヤ41の直径が300μmである場合は、連結部411Cの高さHを900μm以上とすることが好ましい。これにより、連結部411Cが、第1方向x1に弾性変形し得る伸縮体として機能するため、第1接続部411Aおよび第2接続部411Bに作用するせん断応力を低減させることができる。したがって、当該せん断応力により第1ボンディング部411が主面電極311から剥離することを防止できる。半導体装置A10においては、ワイヤ41の直径が400μmとされており、連結部411Cの高さHは1,600μmとされている。なお、半導体装置A10において、連結部411Cの高さHを800μmとした場合、後述するΔT
jパワーサイクル試験により第1接続部411Aおよび第2接続部411Bの少なくともいずれかが剥離することがある。
【0138】
半導体装置A10は、基板11の裏面112に接合されたヒートシンク61を備える。これにより、複数のスイッチング素子31から発生した熱を、半導体装置A10の外部に効率よく放出させることができる。この場合において、基板11は、熱伝導性に優れたセラミックス(窒化アルミニウムなど)から構成されることが好ましい。
【0139】
図24~
図50は、半導体装置A10の変形例である半導体装置A11~半導体装置A15について示している。
【0140】
(第1変形例)
図24および
図25に基づき、半導体装置A10の第1変形例にかかる半導体装置A11について説明する。半導体装置A11は、スイッチング素子31に対する耐湿層51の接触面積が、先述した半導体装置A10の当該接触面積よりも小である例である。なお、
図24の断面位置は、
図16の断面位置と同一である。
図25の断面位置は、
図19の断面位置と同一である。
【0141】
図24および
図25に示すように、耐湿層51は、スイッチング素子31の側面31Cの一部を覆っている。
【0142】
次に、半導体装置A11の作用効果について説明する。
【0143】
半導体装置A11の構成によれば、耐湿層51は、搭載層(第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231)と、少なくともいずれかのスイッチング素子31の側面31Cとの双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zにおいて当該搭載層と側面31Cとの間を跨いでいる。したがって、半導体装置A11によっても、高温高湿下においてより安定した性能を発揮することが可能となる。
【0144】
(第2変形例)
図26~
図31に基づき、半導体装置A10の第2変形例にかかる半導体装置A12について説明する。半導体装置A12は、スイッチング素子31に対する耐湿層51の接触面積が、先述した半導体装置A10の当該接触面積よりも大である例である。
【0145】
図26~
図31に示すように、スイッチング素子31において、耐湿層51は、側面31Cおよび絶縁膜314の双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zから視たときの絶縁膜314の周縁314Aを跨いでいる。
【0146】
次に、半導体装置A12の作用効果について説明する。
【0147】
半導体装置A12の構成によれば、耐湿層51は、搭載層(第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231)と、少なくともいずれかのスイッチング素子31の側面31Cとの双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zにおいて当該搭載層と側面31Cとの間を跨いでいる。したがって、半導体装置A12によっても、高温高湿下においてより安定した性能を発揮することが可能となる。
【0148】
半導体装置A12のスイッチング素子31において、耐湿層51は、側面31Cおよび絶縁膜314の双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zから視たときの絶縁膜314の周縁314Aを跨いでいる。これにより、
図22に示すリーク電流Lcの経路が半導体装置A10よりもさらに長くなるため、リーク電流Lcが半導体装置A10よりも流れにくくなる。また、耐湿層51は絶縁膜314を覆うため、絶縁膜314を外的因子から保護できる。
【0149】
(第3変形例)
図32~
図37に基づき、半導体装置A10の第3変形例にかかる半導体装置A13について説明する。半導体装置A13は、スイッチング素子31に対する耐湿層51の接触面積が、先述した半導体装置A12の当該接触面積よりも大である例である。
【0150】
図32~
図37に示すように、スイッチング素子31において、耐湿層51は、側面31Cおよび絶縁膜314の双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zから視たときの絶縁膜314の周縁314Aを跨いでいる。また、耐湿層51は、主面電極311の少なくとも一部にも接する。
【0151】
次に、半導体装置A13の作用効果について説明する。
【0152】
半導体装置A13の構成によれば、耐湿層51は、搭載層(第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231)と、少なくともいずれかのスイッチング素子31の側面31Cとの双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zにおいて当該搭載層と側面31Cとの間を跨いでいる。したがって、半導体装置A13によっても、高温高湿下においてより安定した性能を発揮することが可能となる。
【0153】
半導体装置A13のスイッチング素子31において、耐湿層51は、側面31Cおよび絶縁膜314の双方に接するとともに、主面電極311の少なくとも一部にも接する。
図32および
図35に示すように、厚さ方向zから視て耐湿層51は、主面電極311の一部と重なりつつ、主面電極311を囲む状態となる。これにより、側面31Cの絶縁耐圧が半導体装置A12よりも向上するため、
図22に示すリーク電流Lcが半導体装置A12よりも流れにくくなる。また、耐湿層51は絶縁膜314を覆うため、絶縁膜314を外的因子から保護できる。
【0154】
(第4変形例)
図38~
図43に基づき、半導体装置A10の第4変形例にかかる半導体装置A14について説明する。半導体装置A14は、スイッチング素子31に対する耐湿層51の接触面積が、先述した半導体装置A13の当該接触面積よりも大である例である。
【0155】
図38~
図43に示すように、スイッチング素子31において、耐湿層51は、側面31Cおよび絶縁膜314の双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zから視たときの絶縁膜314の周縁314Aを跨いでいる。耐湿層51は、主面電極311と、複数のワイヤ41の第1ボンディング部411の少なくとも一部とにも、それぞれ接する。このため、複数のスイッチング素子31は、耐湿層51により全体にわたって覆われている。ただし、第1ボンディング部411は耐湿層51により完全には覆われていないため、第1ボンディング部411の上端は、耐湿層51から露出している。すなわち、スイッチング素子31の主面31Aを覆う耐湿層51の厚さは、ワイヤ41の直径よりも小である。
【0156】
図38、
図39、
図41および
図42に示すように、耐湿層51は、スイッチング素子31に対応する保護素子32の表面の全体を覆っている。ただし、複数のワイヤ41の第2ボンディング部412は耐湿層51により完全には覆われていないため、第2ボンディング部412の上端は、耐湿層51から露出している。すなわち、保護素子32の主面32Aを覆う耐湿層51の厚さは、ワイヤ41の直径よりも小である。
【0157】
次に、半導体装置A14の耐湿層51の形成方法の一例について説明する。ポリイミド、シリコーンゲルおよび溶剤を含み、かつ流動性を有する合成樹脂材料を用意する。当該溶剤は揮発性を有する。次いで、ワイヤボンディング工程により、複数のスイッチング素子31および複数の保護素子32と、これらが搭載された搭載層(第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231)などとの電気的接続を行った後、ディスペンサによりスイッチング素子31および保護素子32のそれぞれの上面に当該合成樹脂材料を滴下させる。当該合成樹脂は流動性を有するため、主面電極311、ゲート電極313および絶縁膜314を含むスイッチング素子31の上面の全体に拡がるとともに、スイッチング素子31の側面31Cから搭載層まで拡がる。保護素子32においても同様に、保護素子32の表面の全体が当該合成樹脂材料により覆われる。これにより、スイッチング素子31の表面の全体が当該合成樹脂材料により覆われた状態となる。当該合成樹脂材料の表面張力により、スイッチング素子31の上面上の当該合成樹脂材料の厚さは略均一となる。最後に、当該合成樹脂材料を熱硬化させることにより、耐湿層51が形成される。この際、当該溶剤は揮発する。このような形成方法によれば、スイッチング素子31および保護素子32を覆う耐湿層51を構成することが容易となる。
【0158】
次に、半導体装置A14の作用効果について説明する。
【0159】
半導体装置A14の構成によれば、耐湿層51は、搭載層(第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231)と、少なくともいずれかのスイッチング素子31の側面31Cとの双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zにおいて当該搭載層と側面31Cとの間を跨いでいる。したがって、半導体装置A14によっても、高温高湿下においてより安定した性能を発揮することが可能となる。
【0160】
複数のスイッチング素子31の各々において、耐湿層51は、側面31Cおよび絶縁膜314の双方に接する。さらに、耐湿層51は、主面電極311と、複数のワイヤ41の第1ボンディング部411の少なくとも一部とにも接する。これにより、スイッチング素子31の全体が耐湿層51に覆われるため、封止樹脂52に浸入した水分がスイッチング素子31の表面に到達することを抑制できる。よって、当該水分の影響に伴う
図22に示すリーク電流Lcに起因した複数のスイッチング素子31の絶縁破壊を、より効果的に防止できる。また、耐湿層51は絶縁膜314を覆うため、絶縁膜314を外的因子から保護できる。
【0161】
複数のスイッチング素子31の各々において、厚さ方向zに突出する第1ボンディング部411の連結部411Cを有する一対の外ワイヤ41Bは、第2方向x2において一対の内ワイヤ41Aの両側に配置されている。これにより、連結部411Cに干渉することなく、スイッチング素子31の主面31Aの上方から耐湿層51を形成するための合成樹脂材料を滴下させることができる。なお、
図38に示すように、半導体装置A14においては、連結部411Cは、一対の外ワイヤ41Bの第1ボンディング部411にのみ設けられている。連結部411Cは、一対の外ワイヤ41Bの第1ボンディング部411のみならず、一対の内ワイヤ41Aの第1ボンディング部411にも設けることも一例として考えられる。しかし、この場合においては、隣り合う2つの連結部411Cがより近接するため、耐湿層51を形成するための合成樹脂材料をスイッチング素子31に滴下させることが困難となる。さらに、当該合成樹脂材料をスイッチング素子31に滴下させた際、連結部411Cの上端まで当該合成樹脂材料が這い上がるおそれがある。このような状態となると、耐湿層51のヤング率は比較的高いため、スイッチング素子31から発せられる熱によって連結部411Cにより大きなせん断応力が作用する。これにより、第1ボンディング部411の第1接続部411Aおよび第2接続部411Bが、スイッチング素子31の主面電極311から剥離するおそれがある。したがって、半導体装置A14の信頼性の観点から、隣り合う2つの連結部411Cの第2方向x2における間隔は、より長く確保されることが好ましい。
【0162】
耐湿層51は、これが覆うスイッチング素子31に対応する保護素子32の全体をも覆っている。これにより、複数の保護素子32を外的因子からより効果的に保護できる。ただし、第1ボンディング部411は耐湿層51により完全には覆われていないため、第1ボンディング部411の上端は、耐湿層51から露出している。すなわち、スイッチング素子31の主面31Aを覆う耐湿層51の厚さは、ワイヤ41の直径よりも小である。これにより、第1ボンディング部411が耐湿層51により完全に覆われた場合と比較して、第1ボンディング部411に作用するせん断応力が過度に大きくなることを抑制できる。したがって、第1ボンディング部411がスイッチング素子31の主面電極311から剥離することを抑制できるため、半導体装置A14の信頼性が向上する。
【0163】
次に、
図50に基づき、半導体装置A14における耐湿層51の好ましい厚さについて説明する。
図50は、半導体装置A14における耐湿層51の厚さの相違に基づく、H3TRB試験結果と、ΔT
jパワーサイクル試験結果とを示している。
図50に示す耐湿層51の厚さは、スイッチング素子31の絶縁膜314の角部(周縁314Aおよび側面31Cの双方につながる部分)における耐湿層51の厚さを指す。H3TRB試験においては、当該試験を行う前に、-40~125℃の温度サイクルを半導体装置A14に与えている。当該温度サイクルの回数は300回である。H3TRB試験において半導体装置A14を駆動させるための直流電圧は、後述のとおり1,360Vである。ΔT
jパワーサイクル試験においては、複数のスイッチング素子31を搭載層(第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231)に電気的に接合させるための第1接合層391の温度ΔT
jを100℃としている。これにより、ΔT
jパワーサイクル試験における温度サイクルの範囲は、50~150℃である。
【0164】
図50の左側の縦軸は、H3TRB試験による半導体装置A14の耐性時間を示している。当該耐性時間とは、当該試験開始から半導体装置A14の少なくともいずれかのスイッチング素子31が絶縁破壊に至るまでの時間である。
図50の右側の縦軸は、スイッチング素子31の主面電極311に接続されたワイヤ41の第1ボンディング部411が、ΔT
jパワーサイクル試験により主面電極311から剥離したときの温度サイクルの回数(ΔT
jパワーサイクル)を示している。要求される当該温度サイクルの回数(
図50に示すΔT
jパワーサイクルの規格値)は、15,000回である。
図50の横軸は、耐湿層51の厚さである。
【0165】
図50に示すように、耐湿層51の厚さが10μmを超えると、半導体装置A14の耐性時間は急激に長くなる。これは、耐湿層51の厚さを大にするほど、水分の浸入に起因したスイッチング素子31の破壊耐性(吸湿信頼性)が向上することを示している。一方、耐湿層51の厚さを徐々に大にすると、ΔT
jパワーサイクルが徐々に低下する。これは、耐湿層51の厚さを大にするほど、ワイヤ41の第1ボンディング部411がスイッチング素子31の主面電極311から剥離しやすくなること、またはワイヤ41の第2ボンディング部412が保護素子32のアノード電極321から剥離しやすくなることを示している。これらの試験結果に基づき、耐湿層51の厚さは、40μm以上200μm以下であることが好ましい。より好ましくは、耐湿層51の厚さは、50μm以上100μm以下である。なお、スイッチング素子31の上面上における耐湿層51の厚さは、耐湿層51の角部における厚さの1.2倍であることが実験的に確認されている。したがって、スイッチング素子31の上面上における耐湿層51の厚さは、48μm以上240μm以下であることが好ましく、より好ましくは、60μm以上120μm以下である。
【0166】
図51は、半導体装置A14と、
図23に示す耐湿層51を備えない比較例B10とのそれぞれについてH3TRB試験を行った際の試験結果(単位:h)を示している。先述のとおり、H3TRB試験に合格(装置耐性時間が1,000h以上)した半導体装置は、高温高湿下においてより安定した性能を発揮することが期待される。定格電圧が1,700Vである場合においてH3TRB試験を行う場合、当該試験において半導体装置A14および比較例B10の両者を駆動させるための直流電圧は、1,360V(定格電圧の80%)に設定される。当該直流電圧に基づきH3TRB試験を行った結果、半導体装置A14の装置耐性時間は1,000h以上であり、合格である。このため、半導体装置A14は、高温高湿下においてより安定した性能を発揮することが期待される。一方、比較例B10の装置耐性時間は10~500hであり、不合格である。このため、比較例B10は、高温高湿下でより安定した性能を発揮するという観点では、半導体装置A14よりも劣ることがいえる。
【0167】
図51に示すように、H3TRB試験を行ったときの封止樹脂52の絶縁抵抗低下率(単位:%)は、半導体装置A14が20%であり、比較例B10が84%である。高温高湿下により封止樹脂52に水分が浸入した場合であっても、耐湿層51が
図22に示すリーク電流Lcを複数のスイッチング素子31の側面31Cに沿って流れにくくすることから、封止樹脂52の絶縁抵抗低下率が
図51に示す結果になると考えられる。
【0168】
(第5変形例)
図44~
図49に基づき、半導体装置A10の第5変形例にかかる半導体装置A15について説明する。半導体装置A15は、スイッチング素子31の上面上における耐湿層51の厚さが、先述した半導体装置A14の当該厚さよりも大である例である。
【0169】
図44~
図49に示すように、複数のスイッチング素子31において、耐湿層51は、複数のスイッチング素子31と、複数のワイヤ41の第1ボンディング部411との双方を覆っている。
【0170】
図44、
図45、
図47および
図48に示すように、耐湿層51は、スイッチング素子31に対応する保護素子32の表面の全体と、保護素子32のアノード電極321に接続された複数のワイヤ41の第2ボンディング部412とを覆っている。
【0171】
次に、半導体装置A15の作用効果について説明する。
【0172】
半導体装置A15の構成によれば、耐湿層51は、搭載層(第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231)と、少なくともいずれかのスイッチング素子31の側面31Cとの双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zにおいて当該搭載層と側面31Cとの間を跨いでいる。したがって、半導体装置A15によっても、高温高湿下においてより安定した性能を発揮することが可能となる。
【0173】
スイッチング素子31において、耐湿層51は、スイッチング素子31と、複数のワイヤ41の第1ボンディング部411との双方を覆っている。これにより、スイッチング素子31の全体が耐湿層51に覆われるため、封止樹脂52に浸入した水分がスイッチング素子31の主面31Aに到達することを抑制できる。よって、当該水分の影響に伴う
図22に示すリーク電流Lcに起因した複数のスイッチング素子31の絶縁破壊を、より効果的に防止できる。また、耐湿層51は絶縁膜314を覆うため、絶縁膜314を外的因子から保護できる。なお、半導体装置A15においても、スイッチング素子31の上面上における耐湿層51の厚さは、48μm以上240μm以下であることが好ましい。
【0174】
〔第2実施形態〕
図52~
図57に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0175】
半導体装置A20は、複数のワイヤ41に代えて複数のクリップ47を備えることが、先述した半導体装置A10と異なる。
【0176】
複数のクリップ47は、
図52~
図54に示すように、複数のスイッチング素子31の主面電極311と、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bのいずれかと、に電気的に接合されている。複数のクリップ47は、
図55~
図57に示すように、複数のスイッチング素子31の主面電極311と、第1導電層212、第2導電層222および第3導電層232のいずれかと、に電気的に接合されている。複数のクリップ47は、銅などの金属薄板に曲げ加工がなされたものである。
図52および
図55に示すように、複数のクリップ47は、厚さ方向zから視て第1方向x1に延びる帯状である。
図53および
図56に示すように、複数のクリップ47は、第2方向x2から視て鉤状である。また、
図53および
図56に示すように、クリップ47を主面電極311などの対象物に電気的に接合させるために、クリップ接合層49が用いられる。クリップ接合層49は、導電性を有する。クリップ接合層49の構成材料は、たとえば錫を主成分とする鉛フリーはんだである。なお、クリップ接合層49を用いる場合、主面電極311の表面には、ニッケルや金などのめっき層が施される。半導体装置A20において、主面電極311が耐湿層51に覆われる構成にすると、クリップ接合層49および当該めっき層も耐湿層51に覆われる。
【0177】
図52~
図54に示すように、第1上アーム搭載層211Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数のクリップ47は、複数の主面電極311と第1下アーム搭載層211Bとに電気的に接合されている。
図55~
図57に示すように、第1下アーム搭載層211Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数のクリップ47は、複数の主面電極311と第1導電層212とに電気的に接合されている。これにより、第1搭載層211に電気的に接合された複数のスイッチング素子31の主面電極311は、第1下アーム搭載層211Bおよび第1導電層212のいずれかに導通している。
【0178】
図52~
図54に示すように、第2上アーム搭載層221Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数のクリップ47は、複数の主面電極311と第2下アーム搭載層221Bとに電気的に接合されている。
図55~
図57に示すように、第2下アーム搭載層221Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数のクリップ47は、複数の主面電極311と第2導電層222とに電気的に接合されている。これにより、第2搭載層221に電気的に接合されたスイッチング素子31の主面電極311は、第2下アーム搭載層221Bおよび第2導電層222のいずれかに導通している。
【0179】
図52~
図54に示すように、第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数のクリップ47は、複数の主面電極311と第3下アーム搭載層231Bとに電気的に接合されている。
図55~
図57に示すように、第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された複数のスイッチング素子31においては、複数のクリップ47は、複数の主面電極311と第3導電層232とに電気的に接合されている。これにより、第3搭載層231に電気的に接合されたスイッチング素子31の主面電極311は、第3下アーム搭載層231Bおよび第3導電層232のいずれかに導通している。
【0180】
図52および
図53に基づき、第1上アーム搭載層211A、第2上アーム搭載層221Aおよび第3上アーム搭載層231Aのそれぞれに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の各々におけるクリップ47の構成について説明する。
図53に示すように、クリップ47は、スイッチング素子31に対応する保護素子32のアノード電極321にもクリップ接合層49を用いて電気的に接合されている。これにより、第1上アーム搭載層211Aに電気的に接合された保護素子32のアノード電極321は、これに対応するスイッチング素子31の主面電極311と、第1下アーム搭載層211Bとの双方に導通している。第2上アーム搭載層221Aに電気的に接合された保護素子32のアノード電極321は、これに対応するスイッチング素子31の主面電極311と、第2下アーム搭載層221Bとの双方に導通している。さらに、第3上アーム搭載層231Aに電気的に接合された保護素子32のアノード電極321は、これに対応するスイッチング素子31の主面電極311と、第3下アーム搭載層231Bとの双方に導通している。
【0181】
図52および
図53に示すように、複数のクリップ47の各々は、厚さ方向zに貫通する開口471を有する。開口471は、第1方向x1においてスイッチング素子31の主面電極311と、保護素子32のアノード電極321との間に位置する。厚さ方向zから視て、開口471からは、スイッチング素子31の絶縁膜314の周縁314Aが視認される。複数のスイッチング素子31の主面電極311に複数のクリップ47を電気的に接合させると、スイッチング素子31の大部分がクリップ47に覆い隠される構成となる。そこで、複数のクリップ47の各々に、厚さ方向zから視てスイッチング素子31に重なる位置において開口471を設けることにより、クリップ47の下方においても耐湿層51を形成するための合成樹脂材料を滴下させることができる。これにより、当該合成樹脂材料をスイッチング素子31の全体にわたって均等に滴下させることができる。なお、半導体装置A20においては、クリップ47に開口471を設ける構成を示しているが、開口471に代えて、厚さ方向zから視てスイッチング素子31に重なる位置において、厚さ方向zに貫通する切欠きをクリップ47に設ける構成としてもよい。
【0182】
図55および
図56に基づき、第1下アーム搭載層211B、第2下アーム搭載層221Bおよび第3下アーム搭載層231Bのそれぞれに電気的に接合された複数のスイッチング素子31の各々におけるクリップ47の構成について説明する。
図56に示すように、クリップ47は、スイッチング素子31に対応する保護素子32のアノード電極321にもクリップ接合層49を用いて電気的に接合されている。これにより、第1下アーム搭載層211Bに電気的に接合された保護素子32のアノード電極321は、これに対応するスイッチング素子31の主面電極311と、第1導電層212との双方に導通している。第2下アーム搭載層221Bに電気的に接合された保護素子32のアノード電極321は、これに対応するスイッチング素子31の主面電極311と、第2導電層222との双方に導通している。さらに、第3下アーム搭載層231Bに電気的に接合された保護素子32のアノード電極321は、これに対応するスイッチング素子31の主面電極311と、第3導電層232との双方に導通している。なお、クリップ47がアノード電極321に電気的に接合されるため、半導体装置A20においては、アノード電極321には、
図18に示す一対の補助ワイヤ46が接続されない。
【0183】
図55および
図56に示すように、複数のクリップ47の各々は、厚さ方向zに貫通する一対の開口471を有する。一対の開口471は、第1方向x1においてスイッチング素子31の主面電極311の両側に位置する。厚さ方向zから視て、一対の開口471からは、スイッチング素子31の絶縁膜314の周縁314Aが視認される。
【0184】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0185】
半導体装置A20の構成によれば、耐湿層51は、第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のいずれかと、複数のスイッチング素子31の側面31Cとの双方に接する。耐湿層51は、厚さ方向zにおいて第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のいずれかと、側面31Cとの間を跨いでいる。したがって、半導体装置A20によっても、高温高湿下においてより安定した性能を発揮することが可能となる。
【0186】
半導体装置A20においては、耐湿層51の構成が半導体装置A10における構成と同一である。なお、半導体装置A20においても、耐湿層51の構成を、先述した半導体装置A11~半導体装置A15に示す構成としてもよい。
【0187】
半導体装置A20は、複数のワイヤ41の代わりとなる複数のクリップ47を備える。クリップ47の横断面積(第2方向x2に沿った断面積)は、複数のワイヤ41の横断面積よりも大である。これにより、クリップ47の電気抵抗は、複数のワイヤ41の電気抵抗よりも低くなる。したがって、半導体装置A20の寄生抵抗が半導体装置A10の寄生抵抗よりも低くなるため、半導体装置A20の電力損失を、半導体装置A10よりも抑制することができる。
【0188】
クリップ47の横断面積は、複数のワイヤ41の横断面積よりも大であるため、クリップ47によれば、複数のワイヤ41よりも熱が第1方向x1に伝導しやすくなる。これにより、複数のスイッチング素子31から発生した熱を、より効率よく拡散させることができる。たとえば第1基板11Aでは、
図21に示す上アーム回路81を構成する第1上アーム搭載層211Aに複数のスイッチング素子31から発生した熱が蓄積されやすい。そこで、複数のクリップ47により、第1上アーム搭載層211Aに蓄積された熱を、第1下アーム搭載層211Bおよび第1導電層212に効率よく拡散させることができる。
【0189】
第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231のそれぞれに電気的に接合される複数のスイッチング素子31の個数は、求められる電力変換に応じて自在に設定できる。また、先述のとおり、第1搭載層211、第2搭載層221および第3搭載層231は、本発明にかかる特許請求の範囲に記載の「搭載層」の一例であるが、「搭載層」の領域数は、本発明のように6つに限定されず、自在に設定できる。
【0190】
先述した実施形態の説明においては、スイッチング素子31と、スイッチング素子31に対して逆並列接続された保護素子32を耐湿層51で覆う例を示したが、保護素子32を用いずにスイッチング素子31を単独で用いる半導体装置(外付けの還流ダイオードを用いない構成)において、当該スイッチング素子31を耐湿層51で覆う構成としてもよい。また、本発明は、スイッチング素子のみならず、整流素子にも適用可能である。たとえば、複数のショットキーバリアダイオードを備える半導体装置においても、本発明を適用することが可能である。この場合において、耐湿層51の材料、厚さ、形成範囲などの構成は、先述した実施形態と同様である。
【0191】
また、先述の実施形態の説明においては、金属薄膜から構成された導電体(搭載層および導電層)が配置された基板11を備え、かつ当該導電体に複数のスイッチング素子31が電気的に接合された半導体装置を例としている。この例に限らず、リードフレームを備え、当該リードフレームにスイッチング素子または整流素子などが電気的に接合され、かつモールド成形された樹脂パッケージ型の半導体装置においても、本発明の適用が可能である。当該半導体装置においても、封止樹脂を介して水分が浸入するおそれがあるため、本発明にかかる耐湿層によりスイッチング素子や整流素子の全面、もしくは側面を覆うことによって同様の効果を得ることが可能である。また、樹脂パッケージ型の半導体装置においても、半導体装置A10のようにワイヤ41により構成されたワイヤボンディングによる接続構造や、半導体装置A20のようにクリップ47により構成された金属薄板による接続構造を適用することができる。
【0192】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0193】
本発明は、特許請求の範囲の記載にかかる構成の他、以下の付記に関する構成を少なくとも含む。
[付記1]
第1導電層と、
前記第1導電層から離間する第2導電層と、
半導体層、前記半導体層の上面に設けられた主面電極、および前記半導体層の下面に設けられた裏面電極を有するとともに、前記第1導電層に搭載され、かつ前記裏面電極が前記第1導電層に電気的に接続される半導体素子と、
前記主面電極と前記第2導電層とに電気的に接続される接続構造と、
前記半導体素子の少なくとも側面を覆う第1絶縁層と、
前記第1絶縁層を覆う第2絶縁層と、を備え、
前記第1絶縁層は、前記第2絶縁層よりも水分の透過性が低い材料から構成されることを特徴とする、半導体装置。なお、第1絶縁層は、水分の浸入を防止するバリア膜としての機能を有する。
[付記2]
前記第1絶縁層は、前記半導体素子の全体を覆っている、付記1に記載の半導体装置。
[付記3]
前記接続構造は、前記主面電極に接する接続部を有し、
前記第1絶縁層は、前記接続部を除いた前記半導体素子の全体を覆っている、付記1に記載の半導体装置。
[付記4]
前記半導体素子の上面と側面との間に位置する角部における前記第1絶縁層の厚さは、40μm以上200μm以下であり、
前記半導体素子の上面上における前記第1絶縁層の厚さは、48μm以上240μm以下である、付記1に記載の半導体装置。
[付記5]
前記半導体素子の上面と側面との間に位置する角部における前記第1絶縁層の厚さは、50μm以上100μm以下であり、
前記半導体素子の上面上における前記第1絶縁層の厚さは、60μm以上120μm以下である、付記4に記載の半導体装置。
[付記6]
前記接続構造は、ワイヤによる接続構造を含み、
前記半導体素子の上面上における前記第1絶縁層の厚さは、前記ワイヤの直径よりも小である、付記1に記載の半導体装置。
[付記7]
前記ワイヤは、前記主面電極に接する接続部を有し、
前記半導体素子の上面上における前記第1絶縁層の厚さは、前記接続部の高さ(主面電極の表面から前記接続部の頂部までの距離)よりも小である、付記6に記載の半導体装置。すなわち、前記接続部の頂部は、前記第1絶縁層から露出している。なお、前記接続部は、ボンディングする際にウェッジツールにより押し潰されているため、前記接続部の高さは、前記ワイヤの直径よりも小である。
[付記8]
前記半導体層の厚さは、400μm以下である、付記1に記載の半導体装置。
[付記9]
前記半導体層の厚さは、150μm以下である、付記8に記載の半導体装置。
[付記10]
前記半導体素子は、前記半導体層の上面を覆い、かつ前記主面電極の周縁を囲む絶縁層を有する耐圧構造をさらに有し、前記第1絶縁層は、前記耐圧構造を覆っている、付記1に記載の半導体装置。なお、前記耐圧構造においては、前記半導体層の上に酸化膜や窒化膜が形成され、その上に前記絶縁層として、ポリイミド層やポリベンゾオキサゾールなどの層が形成されている。
[付記11]
前記第1絶縁層は、ポリイミドおよびポリベンゾオキサゾールのいずれかである合成樹脂を含む、付記1に記載の半導体装置。
[付記12]
前記第1絶縁層は、シリコーンゲルを含む、付記11に記載の半導体装置。
[付記13]
前記第1絶縁層の構成において、前記合成樹脂と前記シリコーンゲルとは、均一に分散している、付記12に記載の半導体装置。
[付記14]
前記第1絶縁層の構成において、前記合成樹脂と前記シリコーンゲルとの重量含有比は、前記合成樹脂の方が大である、付記12または13に記載の半導体装置。
[付記15]
前記第1絶縁層の構成において、前記合成樹脂と前記シリコーンゲルとの重量含有比は、前記シリコーンゲルが1に対して、前記合成樹脂が1.5以上7.0以下である、付記14に記載の半導体装置。
[付記16]
前記接続構造は、ワイヤによる接続構造および金属薄板の接続構造を含む、付記1に記載の半導体装置。
[付記17]
前記半導体層は、炭化ケイ素を主とする半導体材料から構成される、付記1に記載の半導体装置。
[付記18]
前記半導体素子は、MOSFETまたはショットキーバリアダイオードを含む、付記17に記載の半導体装置。
[付記19]
前記半導体素子の降伏電圧は、1,200V以上である、付記1に記載の半導体装置。
[付記20]
前記第1導電層および前記第2導電層は、リードフレームから構成され、
前記第2絶縁層は、前記第1導電層、前記第2導電層、前記半導体素子および前記接続構造を封止するパッケージ樹脂を含む、付記1に記載の半導体装置。
[付記21]
前記第1導電層および前記第2導電層は、絶縁基板の上に配置された金属層であり、
前記第2絶縁層は、前記絶縁基板、前記第1導電層、前記第2導電層、前記半導体素子および前記接続構造を封止する封止樹脂を含む、付記1に記載の半導体装置。なお、前記封止樹脂は、シリコーンゲルを含む。
[付記22]
前記第2絶縁層の表面は、外気(大気中)に露出している、付記1に記載の半導体装置。
[付記23]
付記1ないし22のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第2絶縁層を構成する材料よりも水分の透過性が低い材料またはその前駆体、および揮発性を有する溶剤を含む合成樹脂材料を準備する工程と、
前記裏面電極を前記第1導電層に電気的に接続させる工程と、
前記半導体素子の上面上に前記合成樹脂材料を滴下することによって、前記半導体素子を前記合成樹脂材料により覆う工程と、
前記半導体素子が前記合成樹脂材料により覆われた状態で、前記合成樹脂材料を熱硬化させる工程と、を備えることを特徴とする、半導体装置の製造方法。これにより、前記第1絶縁層が形成される。なお、前記合成樹脂材料を熱硬化させる工程の前段階において、当該合成樹脂材料は前記第1絶縁層の機能を有する必要はなく、その熱硬化後に前記第1絶縁層の機能を有していればよい。たとえば、ポリイミドは前駆体の状態で前記溶剤に溶解しており、熱硬化後にイミド化することによりポリイミドとなり、前記第1絶縁層としての機能が発現される。
[付記24]
前記半導体素子を前記合成樹脂材料により覆う工程の前に、前記主面電極と前記第2導電層とに前記接続構造を接続させる工程をさらに備える、付記23に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0194】
A10:半導体装置
11:基板
11A:第1基板
11B:第2基板
11C:第3基板
111:主面
112:裏面
211:第1搭載層
211A:第1上アーム搭載層
211B:第1下アーム搭載層
211C:第1電源パッド
212:第1導電層
212A:第2電源パッド
213:第1ゲート層
213A:第1上アームゲート層
213B:第1下アームゲート層
214:第1検出層
214A:第1上アーム検出層
214B:第1下アーム検出層
215:サーミスタ搭載層
221:第2搭載層
221A:第2上アーム搭載層
221B:第2下アーム搭載層
221C:出力パッド
222:第2導電層
223:第2ゲート層
223A:第2上アームゲート層
223B:第2下アームゲート層
224:第2検出層
224A:第2上アーム検出層
224B:第2下アーム検出層
231:第3搭載層
231A:第3上アーム搭載層
231B:第3下アーム搭載層
232:第3導電層
233:第3ゲート層
233A:第3上アームゲート層
233B:第3下アームゲート層
234:第3検出層
234A:第3上アーム検出層
234B:第3下アーム検出層
24:電源端子
24A:第1電源端子
24B:第2電源端子
241:接続孔
242:接続部材
25:出力端子
25A:第1出力端子
25B:第2出力端子
251:接続孔
252:接続部材
261:中継導電部材
261A:第1部材
261B:第2部材
261C:第3部材
262:第1導電部材
263:第2導電部材
27:ゲート端子
27A:第1ゲート端子
27B:第2ゲート端子
281:素子電流検出端子
281A:第1検出端子
281B:第2検出端子
282:電源電流検出端子
29:サーミスタ端子
31:スイッチング素子
31A:主面
31B:裏面
31C:側面
311:主面電極
311A:第1パッド部
311B:第2パッド部
312:裏面電極
313:ゲート電極
314:絶縁膜
314A:周縁
32:保護素子
32A:主面
32B:裏面
32C:側面
321:アノード電極
322:カソード電極
323:絶縁膜
33:サーミスタ
391:第1接合層
392:第2接合層
41:ワイヤ
41A:内ワイヤ
41B:外ワイヤ
411:第1ボンディング部
411A:第1接続部
411B:第2接続部
411C:連結部
412:第2ボンディング部
421:第1ゲートワイヤ
422:第2ゲートワイヤ
431:第1検出ワイヤ
432:第2検出ワイヤ
44:電源電流検出ワイヤ
45:サーミスタワイヤ
46:補助ワイヤ
47:クリップ
471:開口
49:クリップ接合層
51:耐湿層
52:封止樹脂
61:ヒートシンク
611:支持孔
62:伝熱層
69:基板接合層
70:ケース
71:側壁
72:端子台座
73:取付け部
731:取付け孔
74:電源端子台
741:第1端子台
742:第2端子台
743:ナット
75:出力端子台
751:第1端子台
752:第2端子台
753:ナット
79:天板
81:上アーム回路
82:下アーム回路
Gp:ギャップ
Lc:リーク電流
C:頂点
H:高さ
z:厚さ方向
x1:第1方向
x2:第2方向