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特許7163059車両用バッテリハウジング、車両用バッテリパック、及び電動車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】車両用バッテリハウジング、車両用バッテリパック、及び電動車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20221024BHJP
   B62D 21/02 20060101ALI20221024BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20221024BHJP
【FI】
B60K1/04 Z ZHV
B62D21/02 Z
H01M50/249
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018086973
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019189168
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】518151386
【氏名又は名称】エーヴィエル・リスト・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】メノン ビクラム
(72)【発明者】
【氏名】ウール マーカス
(72)【発明者】
【氏名】ローランド マカハマー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター デル ネグロ
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-113063(JP,A)
【文献】特開2001-097048(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0069886(US,A1)
【文献】特開平09-098517(JP,A)
【文献】特開2010-036901(JP,A)
【文献】特開2014-069686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B62D 21/02
H01M 50/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラダーフレームを備える車両に搭載される車両用バッテリハウジングであって、
前記ラダーフレームの2本のサイドレール間である第1スペースに配置される第1バッテリ収容部と、
前記第1スペースよりも車高方向下方の第2スペースにおいて、前記第1バッテリ収容部に連結され、前記第1バッテリ収容部の車幅方向における幅よりも大きい幅を有する第2バッテリ収容部と、を含み、
前記第2バッテリ収容部の車幅方向における幅は、前記サイドレール間の距離よりも大きく、前記2本のサイドレールのウェブ間の距離よりも小さい、車両用バッテリハウジング。
【請求項2】
前記第1バッテリ収容部は、一方の前記サイドレールのフランジの車幅方向内側端部と、他方の前記サイドレールのフランジの車幅方向内側端部との間に配置される、請求項に記載の車両用バッテリハウジング。
【請求項3】
前記第2バッテリ収容部は、前記第1バッテリ収容部よりも高い剛性を備える、請求項1又はに記載の車両用バッテリハウジング。
【請求項4】
前記第1バッテリ収容部及び前記第2バッテリ収容部は、同一の金属から形成される、請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両用バッテリハウジング。
【請求項5】
前記第1バッテリ収容部は、バッテリが配置される主収容領域及び前記主収容領域の車幅方向の両端に位置する追加収容領域を備える、請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両用バッテリハウジング。
【請求項6】
前記追加収容領域は、前記サイドレールに向かうにつれて、車高方向の寸法が徐々に小さくなる、請求項に記載の車両用バッテリハウジング。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の車両用バッテリハウジングを備え、
前記第1バッテリ収容部に第1バッテリが収容され、前記第2バッテリ収容部に第2バッテリが収容される、車両用バッテリパック。
【請求項8】
請求項又はに記載の車両用バッテリハウジングを備え、
前記第1バッテリ収容部及び前記第2バッテリ収容部に複数のバッテリが収容され、前記追加収容領域に高電圧配線及び低電圧配線が収容される、車両用バッテリパック。
【請求項9】
請求項又はに記載の車両用バッテリパックを備える電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車又はハイブリッド自動車等の電動車両に用いられる車両用バッテリハウジング、当該車両用バッテリハウジングにバッテリが搭載された車両用バッテリパック、及び当該車両用バッテリパックを備える電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、環境負荷低減の観点に着目し、エンジンのような内燃機関に代えて走行用動力源としてモータを利用する電気自動車、及び当該内燃機関と当該モータとを併用するハイブリッド自動車等の電動車両の開発が進んでいる。特に、これらの電動車両においては、当該モータを駆動するために駆動用のバッテリが搭載され、当該バッテリから当該モータへ電力を供給することにより、車両を走行するために必要となる動力が得られる。
【0003】
近年、このような電動車両に関し、トラック等の商用車の分野においても、その開発が行われている。例えば、特許文献1には、衝突安全性を向上することができる商用車向けのバッテリボックスの保持構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-113063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、商用車は、荷物を積載するための構造、又は車両自体の大型化のために、乗用車と比較して車両重量が大きくなる。このため、乗用車に比べて車両重量が大きい商用車の分野において、十分な走行距離を可能とする電動車両を実用化するためには、電動車両に搭載可能なバッテリ容量を増大することが重要な課題である。
【0006】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、電動車両に搭載可能なバッテリ容量を増大できる車両用バッテリハウジング、当該車両用バッテリハウジングにバッテリが搭載された車両用バッテリパック、及び当該車両用バッテリパックを備える電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本適用例に係る車両用バッテリハウジングは、ラダーフレームを備える車両に搭載される車両用バッテリハウジングであって、前記ラダーフレームの2本のサイドレール間である第1スペースに配置される第1バッテリ収容部と、前記第1スペースよりも車高方向下方の第2スペースにおいて、前記第1バッテリ収容部に連結され、前記第1バッテリ収容部の車幅方向における幅よりも大きい幅を有する第2バッテリ収容部と、を含む。
【0008】
上記適用例に係る車両用バッテリハウジングにおいては、上記のような構成及び、サイドレールと車両用バッテリハウジングとの配置関係により、サイドレールの周辺のスペースを有効に活用してバッテリを搭載することができる。これにより、車両に搭載可能なバッテリ容量の増大が図られることになる。
【0009】
(2)また、本適用例に係る車両用バッテリハウジングは、上記(1)において、前記第2バッテリ収容部の車幅方向における幅は、前記サイドレール間の距離よりも大きくてもよい。このような第2バッテリ収容部の幅の設定により、第2バッテリ収容部におけるバッテリの搭載量が増加され、車両に搭載可能なバッテリ容量の更なる増大が図られる。
【0010】
(3)本適用例に係る車両用バッテリハウジングは、上記(1)又は(2)において、前記第1バッテリ収容部は、一方の前記サイドレールのフランジの車幅方向内側端部と、他方の前記サイドレールのフランジの車幅方向内側端部との間に配置されてもよい。このような第1バッテリ収容部の配置により、第1バッテリ収容部の側方がサイドレールによって囲まれ、車両の側方からの外力から第1バッテリ収容部を保護可能となり、側突安全性を向上させることができる。
【0011】
(4)本適用例に係る車両用バッテリハウジングは、上記(2)又は(3)において、前記第2バッテリ収容部の車幅方向における幅は、前記2本のサイドレールのウェブ間の距離よりも大きくてもよい。このような第2バッテリ収容部の幅の設定により、第2バッテリ収容部におけるバッテリの搭載量が増加され、車両に搭載可能なバッテリ容量の更なる増大が図られる。
【0012】
(5)本適用例に係る車両用バッテリハウジングは、上記(2)又は(3)において、前記第2バッテリ収容部の車幅方向における幅は、前記2本のサイドレールのウェブ間の距離よりも小さくてもよい。このような第2バッテリ収容部の幅の設定により、サイドレールが車両の側方からの外力から第2バッテリ収容部を保護することになり、側突安全性を向上させることができる。
【0013】
(6)本適用例に係る車両用バッテリハウジングは、上記(1)乃至(5)のいずれかにおいて、前記第2バッテリ収容部は、前記第1バッテリ収容部よりも高い剛性を備えてもよい。これにより、車両の側方からの外力から影響を受ける可能性がある第2バッテリ収容部においても、当該外力から収容されたバッテリを保護することができ、側突安全性を更に向上させることができる。
【0014】
(7)本適用例に係る車両用バッテリハウジングは、上記(1)乃至(6)のいずれかにおいて、前記第1バッテリ収容部及び前記第2バッテリ収容部は、同一の金属から形成されてもよい。これにより、第1バッテリ収容部及び第2バッテリ収容部における材料の腐食が防止され、車両用バッテリハウジングの信頼性を高めることができる。
【0015】
(8)本適用例に係る車両用バッテリハウジングは、上記(1)乃至(7)のいずれかにおいて、前記第1バッテリ収容部は、バッテリが配置される主収容領域及び前記主収容領域の車幅方向の両端に位置する追加収容領域を備えてもよい。これにより、サイドレールの周辺のスペースを更に有効に活用し、バッテリ以外の配線等の収納が容易となり、バッテリハウジング内のレイアウト設計の簡素化を図ることが可能になる。
【0016】
(9)本適用例に係る車両用バッテリハウジングは、上記(8)において、前記追加収容領域は、前記サイドレールに向かうにつれて、車高方向の寸法が徐々に小さくなってもよい。これにより、バッテリハウジング内の配線等を整理して収納することができ、バッテリハウジング内のレイアウト設計の簡素化を図ることが可能になる。
【0017】
(10)本適用例に係る車両用バッテリパックは、上記(1)乃至(7)のいずれかの車両用バッテリハウジングを備え、前記第1バッテリ収容部に第1バッテリが収容され、前記第2バッテリ収容部に第2バッテリが収容される。
このような車両用バッテリパックにおいては、サイドレールと車両用バッテリハウジングとの配置関係により、サイドレールの周辺のスペースを有効に活用してバッテリが搭載されていることになる。これにより、車両に搭載可能なバッテリ容量の増大が図られることになる。
【0018】
(11)本適用例に係る車両用バッテリパックは、上記(8)又は(9)の車両用バッテリハウジングを備え、前記第1バッテリ収容部及び前記第2バッテリ収容部に複数のバッテリが収容され、前記追加収容部に高電圧配線及び低電圧配線が収容される。これにより、サイドレールの周辺のスペースを有効に活用され、バッテリハウジング内の配線が整理されて収納可能になる。
【0019】
(12)本適用例に係る電動車両は、上記(10)又は(11)の車両用バッテリパックを備える。このような電動車両においては、サイドレールと車両用バッテリハウジングとの配置関係により、サイドレールの周辺のスペースを有効に活用してバッテリが搭載されていることになる。これにより、バッテリ容量の増大が実現された電動車両が提供されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一実施例に係る電動車両の全体構成を概略的に示す上面図である。
図2】本発明の第一実施例に係るバッテリハウジングの斜視図である。
図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4】本発明の第一実施例に係るバッテリハウジングとサイドレールとの位置関係を示す正面図である。
図5】本発明の第二実施例に係るバッテリハウジングとサイドレールとの位置関係を示す正面図である。
図6】本発明の第三実施例に係るバッテリハウジングとサイドレールとの位置関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施例について、図面を参照しつつその構成について詳細に説明する。
<第一実施例>
【0022】
先ず、図1を参照しつつ、本実施例に係る電動車両1の全体構成を説明する。ここで、図1は、本実施例に係る電動車両の全体構成を概略的に示す上面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施例に係る電動車両1は、ラダーフレーム10、キャブ20、荷箱30、車輪機構40、駆動装置50、及びバッテリパック60を備える電動トラックである。なお、図1では、電動車両1の上面からキャブ20及び荷箱30を透過するように見た場合の上面図として表している。
【0024】
本実施例において、電動車両1は、走行用駆動源としてモータ(電動機)を備える電気自動車として想定されているが、エンジンを更に備えるハイブリッド自動車であってもよい。また、電動車両1は電動トラックに限定されることなく、車両を駆動するためのバッテリを備える他の商用車であってもよい。
【0025】
ラダーフレーム10は、左サイドレール11L、右サイドレール11R、及び複数のクロスメンバ12を有する。左サイドレール11L及び右サイドレール11Rは、電動車両1の前後方向Aに延在し、互いに車幅方向Bに対して平行に配置される。複数のクロスメンバ12は、左サイドレール11Lと右サイドレール11Rとを連結している。すなわち、ラダーフレーム10は、いわゆる梯子型フレームを構成している。そして、ラダーフレーム10は、キャブ20、荷箱30、駆動装置50、バッテリパック60、及び電動車両1に搭載されるその他の重量物を支持する。以下において、左サイドレール11L及び右サイドレール11Rを総称して、単にサイドレール11とも称する。
【0026】
キャブ20は、図示しない運転席を含む構造体であり、ラダーフレーム10の前部上方に設けられている。一方、荷箱30は、電動車両1によって搬送される荷物等が積載される構造体であり、ラダーフレーム10の後部上方に設けられている。
【0027】
車両前方に位置する車輪機構40は、本実施例において、車両前方に位置する左右の前輪41、2つの前輪41の車軸としてのフロントアクスル42から構成される。また、車両後方に位置する車輪機構40は、車両後方に位置し且つ左右に各2つ配置された後輪43、これらの後輪43の車軸としてのリアアクスル44から構成される。そして、本実施例に係る電動車両1においては、後輪43が駆動輪として機能するように駆動力が伝達され、電動車両1が走行することになる。なお、車輪機構40は、図示しないサスペンション機構を介してラダーフレーム10に懸架され、電動車両1の重量を支持する。
【0028】
駆動装置50は、モータユニット51及びギアユニット52を有する。モータユニット51は、モータ53、及びモータ53を収容するモータハウジング54から構成される。ギアユニット52は、複数のギアからなる減速機構55、減速機構55から入力される動力を左右の後輪43に対して振り分ける差動機構56、並びに減速機構55及び差動機構56を収容するギアハウジング57から構成される。
【0029】
また、駆動装置50は、減速機構55及び差動機構56を介して、モータ53の駆動トルクを車両の走行に適した回転速度に減速してリアアクスル44に駆動力を伝達する。これにより駆動装置50は、リアアクスル44を介して後輪43を回転させて電動車両1を走行させることができる。ここで、駆動装置50は、本実施例においては、左サイドレール11L及び右サイドレール11Rに対して車幅方向Bの内側(すなわち、サイドレール間のスペース)に配置され、図示しない支持部材によりラダーフレーム10に支持されている。
【0030】
バッテリパック60は、電動車両1を走行させるためのエネルギー源としてモータ53に電力を供給する複数のバッテリ61と、バッテリ61を収容するバッテリハウジング62を有している。バッテリパック60は、電動車両1に必要とされる電力を蓄えるために比較的大型で大容量の二次電池である。ここで、バッテリパック60は、本実施例において、車幅方向Bに対して左サイドレール11Lと右サイドレール11Rとの間、且つ駆動装置50の車両前方に配置される。例えば、バッテリパック60は、図示しない連結部材によりラダーフレーム10に固定又は懸架される。なお、バッテリパック60とサイドレール11との具体的な位置関係については後述する。
【0031】
次に、図2及び図3を参照しつつ、本実施例に係るバッテリパック60の構造を説明する。ここで、図2は、本実施例に係るバッテリハウジングの斜視図であり、図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。
【0032】
図2に分かるように、バッテリパック60は、前後方向Aに沿って延在するような形状を備えている。また、バッテリパック60は、車幅方向B及び車高方向Cによって規定される平面における断面形状が逆T型となる形状を備えている。
【0033】
図2及び図3に示すように、バッテリパック60の構成部材であるバッテリハウジング62は、第1バッテリ収容部63、第2バッテリ収容部64、隔壁65、複数の接合部材66を備えている。第1バッテリ収容部63及び第2バッテリ収容部64は、バッテリを収納するための開口が設けられた箱型の筐体である。第1バッテリ収容部63と第2バッテリ収容部64とは、隔壁65を介して互いの開口が向かい合うように配置されている。そして、複数の接合部材66が、第1バッテリ収容部63及び隔壁65を貫通し、第2バッテリ収容部64まで到達することにより、第1バッテリ収容部63、第2バッテリ収容部64及び隔壁65が連結されている。
【0034】
このようなバッテリハウジング62の構成により、バッテリハウジング62内には、第1バッテリ収容部63及び隔壁65によって囲まれた直方体状の第1バッテリ収容空間71と、第2バッテリ収容部64及び隔壁65によって囲まれた直方体状の第2バッテリ収容空間72とが形成されている。すなわち、第1バッテリ収容空間71と第2バッテリ収容空間72とが、隔壁65によって分離されて設けられている。
【0035】
図3に示すように、第2バッテリ収容部64の寸法は、第1バッテリ収容部63の寸法よりも大きくなっており、更には第2バッテリ収容空間72の寸法も第1バッテリ収容空間71よりも大きくなっている。具体的には、車幅方向Bにおいて、第2バッテリ収容部64の幅(寸法)は、第1バッテリ収容部63の幅よりも大きく、前後方向A及び車高方向Cにおける第1バッテリ収容部63及び第2バッテリ収容部64の寸法は略同一である。同様に、車幅方向Bにおいて、第2バッテリ収容空間72の幅は、第1バッテリ収容空間71の幅よりも大きく、前後方向A及び車高方向Cにおける第1バッテリ収容空間71及び第2バッテリ収容空間72の寸法は略同一である。このため、第1バッテリ収容空間71と比較して、第2バッテリ収容空間72は、より多くの数量のバッテリ61を収容できることになる。本実施例においては、第1バッテリ収容空間71に2つのバッテリ61が収容され、第2バッテリ収容空間72に3つのバッテリが収容されている。
【0036】
ここで、第1バッテリ収容部63(第1バッテリ収容空間71)に収容されたバッテリ61が第1バッテリに該当し、第2バッテリ収容部64(第2バッテリ収容空間72)に収容されたバッテリ61が第2バッテリに該当し、これらのバッテリ61は、図示しない配線によって電気的に接続されている。なお、当該数量については限定されず、電動車両1に要求される電力量や、バッテリ61の寸法及び特性等に応じて適宜変更することができる。
【0037】
第1バッテリ収容部63、第2バッテリ収容部64、及び隔壁65の材料は、例えば、アルミニウム等の軽金属である。これにより、バッテリパック60自体の重量を低減しつつも、外力に耐えうる強固な構成とすることができる。また、バッテリハウジング62を構成するこれらの部材の材質を同一の金属としてもよい。これにより、バッテリハウジング62の各構成部材を接合する接合部材66の腐食を防止するためである。
【0038】
また、第2バッテリ収容部64の剛性は、第1バッテリ収容部63の剛性よりも高い。例えば、第2バッテリ収容部64の厚みを第1バッテリ収容部63の厚みよりも大きくすることにより、当該剛性を調整してもよい。これは、後述するように、第1バッテリ収容部63は、サイドレール11によって挟まれるように配置されるため、サイドレール11によって側方からの衝突から保護されているものの、第2バッテリ収容部64は、サイドレール11の下方に配置されるため、側突安全性を向上させることが好ましいためである。そして、このような剛性の調整により、第1バッテリ収容部63をより軽量化してバッテリパック60自体の重量を低減しつつも、側突安全性の向上が図られることになる。
【0039】
なお、当該剛性の調整については、厚みによる調整以外に、例えば、ローリング形成によって製造されたシート状の材料に加工を施して第1バッテリ収容部63を形成し、押出成形又は金型鋳造によって比較的に厚く且つ強固なバルク状の材料に加工を施して第2バッテリ収容部64を形成してもよい。また、接合部材66の腐食防止を図ることができれば、第1バッテリ収容部63を樹脂等のより軽量な部材から構成し、第2バッテリ収容部64を金属材料から構成するようにしてもよい。
【0040】
次に、図4を参照しつつ、本実施例に係るバッテリハウジング62とサイドレール11との位置関係を説明する。ここで、図4は、本実施例に係るバッテリハウジング62とサイドレール11との位置関係を示す正面図である。
【0041】
図4に示すように、左サイドレール11Lと右サイドレール11Rとの間には第1スペース81が存在し、当該第1スペース81よりも車高方向Cの下方には第2スペース82が存在している。そして、バッテリハウジング62は、第1スペース81及び第2スペース82にわたって配設されている。
【0042】
より具体的に、バッテリハウジング62の第1バッテリ収容部63は、主として第1スペース81に配置されている。また、本実施例において、第1バッテリ収容部63は、左サイドレール11Lのフランジ13の車幅方向内側端部13aと、右サイドレール11Rの12の車幅方向内側端部13aとの間に配置されている。すなわち、第1バッテリ収容部63の車幅方向における幅は、サイドレール間の距離よりも小さい。ここで、サイドレール間の距離とは、左サイドレール11Lのフランジ13の車幅方向内側端部13aから、右サイドレール11Rのフランジ13の車幅方向内側端部13aまでの距離D1である。
【0043】
一方、バッテリハウジング62の第2バッテリ収容部64及び隔壁65は、サイドレール11の下方である第2スペース82に配置されている。すなわち、バッテリハウジング62の第2バッテリ収容部64及び隔壁65は、第2スペース82において、第1バッテリ収容部63に連結されていることになる。
【0044】
また、本実施例において、第2バッテリ収容部64及び隔壁65の車幅方向Bにおける幅は、サイドレール間の距離D1よりも大きいだけでなく、サイドレール11のウェブ間の距離よりも大きい。すなわち、第2バッテリ収容部64及び隔壁65は、サイドレール11よりも側方に向けて突出していることになる。ここで、ウェブ間の距離とは、左サイドレール11Lのウェブ14の車幅方向外側端面14aから、右サイドレール11Rのウェブ14の車幅方向外側端面14aまでの距離D2である。
【0045】
このようなバッテリハウジング62の構成、及びサイドレール11とバッテリハウジング62との配置関係により、サイドレール11の周辺のスペースを有効に活用してバッテリ61を搭載することができる。このため、電動車両1に搭載可能なバッテリ容量の増大が図られることになる。
【0046】
また、本実施例においては、第2バッテリ収容部64の車幅方向Bにおける幅がサイドレール11のウェブ間の距離よりも大きいため、搭載可能なバッテリ容量の増大が更に図られている。更に、第1バッテリ収容部63がサイドレール11によって挟まれているため、側突安全性の向上も図られることになる。
【0047】
なお、本実施例においては、第1バッテリ収容部63における第1バッテリ収容空間71と、第2バッテリ収容部64における第2バッテリ収容空間72とが隔壁65によって分離されていたが、隔壁65を設けずに、1つの収容空間を形成してもよい。この場合には、第1バッテリ収容部63と第2バッテリ収容部64とにまたがって、バッテリ61が搭載されてもよい。
【0048】
<第二実施例>
上述した第1実施例においては、第2バッテリ収容部64の車幅方向Bにおける幅がサイドレール11のウェブ間の距離よりも大きくなっていたが、サイドレール11のウェブ間の距離よりも小さくてもよい。このような構成のバッテリパックを第二実施例として、図5を参照しつつ説明する。ここで、図5は、第二実施例に係るバッテリハウジングとサイドレールとの位置関係を示す正面図である。
【0049】
図5に示すように、本実施例に係るバッテリパック60においては、第2バッテリ収容部64の車幅方向Bにおける幅が、サイドレール11のウェブ間の距離D2よりも小さく、且つサイドレール間の距離D1よりも大きくなっている。このような構成及び位置関係とすることにより、電動車両1に搭載可能なバッテリ容量の減少を防ぎつつも、第2バッテリ収容部64における側突安全性の向上が図られることになる。
【0050】
なお、第2バッテリ収容部64における側突安全性を更に向上させる観点から、電動車両1に必要なバッテリ容量を確保できる範囲において、第2バッテリ収容部64の車幅方向Bにおける幅をサイドレール間の距離D1よりも小さくしてもよい。
【0051】
<第三実施例>
第一実施例に係るバッテリパック60は、断面形状として逆T型の形状を備えていたが、他の形状を備えていてもよい。以下において、断面形状として逆Y型の形状を備える場合を第三実施例として、図6を参照しつつ説明する。ここで、図6は、本実施例に係るバッテリハウジングとサイドレールとの位置関係を示す断面図である。
【0052】
図6から分かるように、本実施例に係るバッテリパック60’は、第一実施例に係るバッテリパック60と比較して、第1バッテリ収容部63’の形状が異なっており、その他形状は同一である。このため、第1バッテリ収容部63’以外の部材については、第一実施例と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
図6に示すように、第1バッテリ収容部63’においては、サイドレール11の間の第1スペース81において車幅方向Bの寸法が同一であるものの、サイドレール11の下方の第2スペース82において車幅方向Bの寸法が、車高方向Cの下方に向かうにつれて大きくなっている。すなわち、第1バッテリ収容部63’の側壁の一部は、サイドレール11に向かって傾斜している。
【0054】
このような形状により、第1バッテリ収容部63’は、バッテリ61が配置される主収容領域91、及び主収容領域91の車幅方向Bの両端に位置する追加収容領域92を備えることになる。ここで、追加収容領域92は、サイドレール11に向かうにつれて、車高方向Cにおける寸法が徐々に小さくなっている。このような主収容領域91及び追加収容領域92から、第1バッテリ収容空間71’が構成されることになる。
【0055】
そして、追加収容領域92は、主収容領域91のようにバッテリ61を収容できる大きさではないものの、種々の配線を配設できる程度の大きさになっている。本実施形態においては、追加収容領域92に、高電圧配線93、及び低電圧配線94が配設されている。
【0056】
このように、本実施形態においては、サイドレール11の周辺のスペースを更に有効に活用し、バッテリ61同士を接続する配線、バッテリ用の出力配線のスペースを確保することが可能になっている。これにより、バッテリハウジング62’内のレイアウト設計の簡素化を図ることが可能になる。
【符号の説明】
【0057】
1 電動車両
10 ラダーフレーム
11 サイドレール
11L 左サイドレール
11R 右サイドレール
12 クロスメンバ
13 フランジ
13a 車幅方向内側端部
14 ウェブ
14a 車幅方向外側端面
20 キャブ
30 荷箱
40 車輪機構
41 前輪
42 フロントアクスル
43 後輪
44 リアアクスル
50 駆動装置
51 モータユニット
52 ギアユニット
53 モータ
54 モータハウジング
55 減速機構
56 差動機構
57 ギアハウジング
60 バッテリパック
61 バッテリ
62 バッテリハウジング
63 第1バッテリ収容部
64 第2バッテリ収容部
65 隔壁
66 接合部材
71 第1バッテリ収容空間
72 第2バッテリ収容空間
81 第1スペース
82 第2スペース
91 主収容領域
92 追加収容領域
93 高電圧配線
94 低電圧配線
A 前後方向
B 車幅方向
C 車高方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6