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特許7163068一段階分散によるカーボンナノチューブ修飾電池電極粉末の製造
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  • 特許-一段階分散によるカーボンナノチューブ修飾電池電極粉末の製造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】一段階分散によるカーボンナノチューブ修飾電池電極粉末の製造
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20221024BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20221024BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20221024BHJP
   C01B 32/159 20170101ALI20221024BHJP
   C01B 32/162 20170101ALI20221024BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
H01M4/139
B82Y40/00
H01M4/62 Z
C01B32/159
C01B32/162
H01M4/36 A
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018098356
(22)【出願日】2018-05-23
(65)【公開番号】P2019021613
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-04-06
(31)【優先権主張番号】15/604,131
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517090303
【氏名又は名称】ナノシンセシス・プラス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】アヴェチク アルチュニアン
(72)【発明者】
【氏名】ニール ピアス
(72)【発明者】
【氏名】エレナ モーラ ピゴス
【審査官】増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0082404(US,A1)
【文献】特開2016-054113(JP,A)
【文献】特表2007-527844(JP,A)
【文献】特開2004-137121(JP,A)
【文献】特開2016-025077(JP,A)
【文献】特開2016-048698(JP,A)
【文献】特表2013-514630(JP,A)
【文献】特開2016-152100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13 -4/62
B82Y 40/00
C01B 32/159
C01B 32/162
H01G 11/00 -11/86
H01G 10/05 -10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池電極粉末中に単層カーボンナノチューブが分散した分散物の製造方法であって、該方法は、
反応器中で前記単層カーボンナノチューブを含有するエアロゾルを調製する工程と、
前記エアロゾルを前記反応器から前記電池電極粉末を含有する混合器へと直接移し、前記分散物を製造する工程と、
を含み、
前記電池電極粉末は、一次電池電極粉末材料及び二次電池電極粉末材料を含み、
前記二次電池電極粉末材料は、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウムを含む、
製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の製造方法において、
前記一次電池電極粉末材料は有機溶媒を含む、
製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の製造方法において、
前記有機溶媒はn-メチルピロリドンを含む、
製造方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記エアロゾルを前記混合器へ移す際に、前記電池電極粉末を継続的に混合する、
製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の製造方法において、
前記混合器の一部として設けられるメカニカルスターラー、マグネチックスターラー、ボールミル、超音波破砕機、又はこれらの組み合わせを用いて、前記電池電極粉末を継続的に混合する、
製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記反応器中で前記単層カーボンナノチューブを製造しながら、前記エアロゾルを連続的に前記混合器へと移す、
製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記反応器中で炭素源と触媒とを接触させることによって、前記単層カーボンナノチューブを製造する、
製造方法。
【請求項8】
請求項記載の製造方法において、
前記触媒は金属を含む、
製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載の製造方法において、
前記反応器中で触媒前駆体を前記触媒に変換する、
製造方法。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記触媒はナノ粒子を含む、
製造方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記電池電極粉末に対する単層カーボンナノチューブの比は約0.01~80重量%である、
製造方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記電池電極粉末に対する前記単層カーボンナノチューブの比は約0.01~50重量%である、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、単層カーボンナノチューブ(SWNT)の製造方法に関する。この方法では、電池電極粉末中にSWNTを均一分散した分散物を一段階で製造する。
【背景技術】
【0002】
電気伝導性・熱伝導性の機能材料等にSWNTを使用すると、非常に多くの利点が得られる。多くの場合、電池電極粉末材料中にSWNTを分散させて炭素強化複合材料を調製する。対応の非複合材料と比較して、このような炭素強化複合材料はしばしば優れた特性を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の分散技術は高コストであり、加えてナノチューブ特性の低下を招き、アスペクト比低下や欠陥の導入を引き起こす。このような技術で性能を改善するためには、より多くの(より高い重量比の)ナノチューブを添加する必要がある。加えて、従来の技術では、複合材料中で高濃度のSWNTの凝集が起こることが多い。
【0004】
従って、本技術分野では、より効率的で、好ましくはSWNT凝集を低減可能な、SWNT含有分散物の製造方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、一般に、電池電極等に用いられる複合材料の添加剤等として使用可能なSWNTの製造方法に関する。特に、本開示は、電池電極粉末中にSWNTが均一に分散した分散物を一段階で製造する方法を提供する。当該方法では、反応器は混合器と流体連結され、SWNTを含有するエアロゾルを該反応器から電池電極粉末を入れた混合器へ直接移す。
【0006】
本開示のある態様は、上記方法によって得られるSWNT、SWNT含有分散物、及びSWNT含有複合材料に関する。また、本開示のある態様は、上記SWNT含有分散物を製造するための装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明のある実施形態によるSWNT含有分散物を製造するための装置の一例を示す。
図2図2は、本発明のある実施形態によるSWNT含有分散物を製造するための方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、一般に、電池電極等に用いられる複合材料の添加剤等として使用可能なSWNTの製造方法に関する。特に、本開示は、電池電極粉末中にSWNTが均一に分散した分散物を一段階で製造する方法を提供する。当該方法は、反応器を混合器と流体連結するように設けることを含み、SWNTを含有するエアロゾルを反応器から電池電極粉末を入れた混合器へと直接移す。
【0009】
本開示の方法は、SWNTのエアロゾルを調製するための反応器を設けることを含む。幾つかの実施形態においては、該反応器は、化学蒸着法(CVD法)によってSWNTを調製できるように構成される。
【0010】
反応器は、触媒及び/又は触媒前駆体のソース(供給部)、並びに炭素源のソース(供給部)と流体連結される。例えば、図1に示すように、反応器1はソースチャンバ2と流体連結される。このソースチャンバ2は、触媒及び/又は触媒前駆体、並びに/或いは炭素源を収容するように形成されている。幾つかの実施形態においては、反応器を1つ以上のソースチャンバと流体連結する。例えば、触媒及び/又は触媒前駆体、並びに/或いは炭素源のガスを、同一又は異なるソースチャンバに収納してよい。
【0011】
上記方法は、触媒及び/又は触媒前駆体、並びに炭素源を、反応器中に投入する工程を含んでよい。例えば、反応器は、触媒及び/又は触媒前駆体をソースチャンバから反応器へ投入するための第1の注入口を有してよい。図1に示すように、第1の注入口は、例えば液体ポンプ3と連結される。液体ポンプ3を用いて、触媒及び/又は触媒前駆体をソースチャンバ2から反応器1へと供給できる。
【0012】
本明細書において「触媒」という語は、SWNT合成等の化学反応を引き起こすか、或いは加速する成分を表す。例えば、触媒は金属を含有してよい。金属の例としては、遷移金属、ランタニド金属、アクチニド金属、及びこれらの組み合わせ等が挙げられるが、金属はこれらに限定されない。例えば、触媒は、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、カドミウム(Cd)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、白金(Pt)、及び/又はこれらの組み合わせ等の遷移金属を含有してよい。
【0013】
幾つかの実施形態においては、触媒に替えて触媒前駆体を反応器中に投入してよい。また、触媒前駆体と触媒の組み合わせを投入してもよい。本明細書において「触媒前駆体」という語は、活性触媒へと変換可能な成分を表す。触媒前駆体の例としては、遷移金属塩(硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、及び/又はこれらの水和物等)が挙げられるが、触媒前駆体はこれらに限定されない。例えば、触媒前駆体は、メタロセン、金属アセチルアセトナート、金属フタロシアニン、金属ポルフィリン、金属塩、有機金属化合物、金属硫酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩、又はこれらの組み合わせ等であってよい。
【0014】
幾つかの実施形態においては、反応器中で触媒前駆体から触媒を調製してよい。例えば、触媒前駆体を反応器中に投入した後、SWNTを製造する前に、触媒前駆体中の金属等の一成分又は全成分を活性触媒へと還元してよい。反応器は、触媒を製造し得る第1領域を有してよい。
【0015】
幾つかの実施形態においては、触媒及び/又は触媒前駆体はナノ粒子状であってよい。例えば、触媒及び/又は触媒前駆体の直径は、約0.01~500nmであってよく、好ましくは約0.01~250nm、より好ましくは約0.05~200nm、最も好ましくは約0.5~100nmである。
【0016】
幾つかの実施形態においては、触媒及び/又は触媒前駆体は、液状、噴霧状、又はエアロゾル状で、反応器中に投入される。例えば、反応器中に投入する前に、触媒及び/又は触媒前駆体は、第1のキャリアガス(不活性ガス等)と混合される。不活性ガスの例としては、アルゴンガス、水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、図1に示すように、反応器中に投入する前に、触媒及び/又は触媒前駆体は、水素ガスと組み合わせられる。
【0017】
上記方法は炭素源を反応器中に投入する工程を含んでよい。幾つかの実施形態においては、反応器はソースチャンバから反応器中に炭素源を投入するための第2の注入口を有してよい。第2の注入口は、第1の注入口と同じであっても異なるものであってもよい。第2の注入口は液体ポンプと連結されていてよい。この液体ポンプを用いて、炭素源をソースチャンバから反応器へと供給できる。
【0018】
炭素源の例としては、炭化水素、アルコール、エステル、ケトン、芳香族化合物、アルデヒド、及びこれらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、炭素源はキシレン、プロパン、ブタン、ブテン、エチレン、エタノール、一酸化炭素、ブタジエン、ペンタン、ペンテン、メタン、エタン、アセチレン、二酸化炭素、ナフタレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、メタノール、プロパノール、プロピレン、市販燃料ガス(液化石油ガス、天然ガス等)、及びこれらの組み合わせから選択してよい。
【0019】
幾つかの実施形態においては、炭素源は、液状、噴霧状、又はエアロゾル状で、投入される。例えば、炭素源は、第2のキャリアガスと混合される。第2のキャリアガスは第1のキャリアガスと同じ又は異なるものであってよい。炭素源の反応器中への投入は、触媒及び/又は触媒前駆体の投入と同時に、或いはその投入前又は投入後に行ってよい。
【0020】
幾つかの実施形態においては、反応器中でSWNTのエアロゾルを調製してよい。例えば、反応器中、炭素源は触媒粒子の表面で熱分解及び/又は触媒分解される。これによってSWNTが形成され、且つ/或いはSWNTが成長する。
【0021】
幾つかの実施形態においては、1つ以上の熱源(炉等)を用いて、反応器の温度を維持し、且つ/或いは変化させる。図1に示すように、炉4は、反応器1の近傍に設置してよい。例えば、炉4は、反応器1の1つ以上の部分の、1つ又は2つ又はそれ以上の側面の近傍に、設置してよい。或いは、反応器1の1又はそれ以上の部分を、炉4で完全に囲んでもよい。
【0022】
1つ以上の熱源によって、反応器1の温度は、本明細書で記載される反応のうち、1種以上の反応に適した温度に維持される。例えば、炉4を用いて、反応器の温度を、触媒前駆体を活性触媒に還元するのに適した温度に維持してよく、且つ/或いは、SWNTの合成及び/又は形成に適した温度に維持してもよい。
【0023】
幾つかの実施形態においては、反応器1の複数の領域を、それぞれ異なる温度に維持してよい。例えば、反応器の第1領域を、触媒前駆体を活性触媒へと還元するのに適した温度に維持し、且つ、反応器の第2領域の温度を、SWNTの合成及び/又は成長に適した温度に維持してよい。幾つかの実施形態においては、反応器1の各領域を同一及び/又は異なる熱源によって加熱してよい。
【0024】
幾つかの実施形態においては、1つ以上の熱源によって反応器の温度を約200℃~1600℃に維持してよい。
【0025】
反応器中、SWNTはエアロゾルの形態で存在してよい。上記方法はSWNT含有エアロゾルを反応器から混合器へ直接移す工程を含んでよい。このとき混合器には電池電極粉末が入れられている。例えば、図1に示すように、混合器5は、反応器1と流体連結される。混合器5は、反応器1の上、下、又は横に配置されてよい。幾つかの実施形態においては、SWNTを合成しながら、エアロゾルを連続的に混合器に導入してよい。或いは、一旦SWNTの一部又は全てを合成してから、SWNT含有エアロゾルを混合器に導入してもよい。
【0026】
幾つかの実施形態においては、電池電極粉末は、SWNTが分散した材料を調製可能であれば、いかなる材料であってもよい。例えば、電池電極粉末は、一次電池電極粉末材料を含有してよい。本明細書において「一次電池電極粉末材料」という語は、電池電極粉末中に存在する最も主要な成分を表し、例えば、電池電極粉末を構成する全ての材料成分のうち重量百分率が最も高い成分を指す。幾つかの実施形態においては、一次電池電極粉末材料は、金属合金、カーボンピッチ、グラフェン又は酸化グラフェンのシートの分散液、タール、セメント、アスファルト、イミダゾリウム系液体から選択されるイオン性液体、有機溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド、n-メチルピロリドン等)、溶融ポリマー(溶融ポリエステル、エポキシ、ポリイミド、オルガノシリコーン、ナイロン、テフロン(登録商標)、ポリスチレン、ポリエチレン、これらの組み合わせ等)、又はこれらの組み合わせ等の液体を含んでよい。
【0027】
幾つかの実施形態においては、電池電極粉末は1種以上の二次電池電極粉末材料も含んでよい。本明細書において「二次電池電極粉末材料」という語は、一次電池電極粉末材料よりも少ない量で電池電極粉末に含まれる1種以上の成分を表す。
【0028】
幾つかの実施形態においては、二次電池電極粉末材料は、アニオン性界面活性剤等の界面活性剤を含んでよい。アニオン性界面活性剤の例としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リン酸エステル、ポリリン酸エステル、アルキルリン酸エステル、モノアルキルリン酸エステル(MAP)、ブチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、パーフルオロカルボン酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
幾つかの実施形態においては、上記二次材料はバインダーを含んでよい。バインダーの例としては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)等)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はこれらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
幾つかの実施形態においては、SWNT含有エアロゾルは、SWNTを反応器から混合器へ移動させるための1種以上のキャリアガスを含んでよい。このようなキャリアガスは、例えば、触媒及び/又は触媒前駆体、並びに/或いは炭素源を反応器中に投入するために使用される、第1のキャリアガス及び/又は第2のキャリアガスと同じものであってよい。幾つかの実施形態においては、更なる追加のキャリアガスを反応器中に投入してもよく、或いは反応器中に存在させておいてもよい。この追加のキャリアガスは第1のキャリアガス及び/又は第2のキャリアガスと同じであっても異なっていてもよい。例えば、図1に示すように、反応器は、追加のキャリアガス(ヘリウムガス等)を反応器内に投入するためのキャリアガス注入口6を有していてもよい。幾つかの実施形態においては、混合器5は、SWNTを電池電極粉末中に分散させるのに伴い、1種以上のキャリアガスを放出するための出口11を有していてもよい。
【0031】
上記方法はSWNTを電池電極粉末中に分散させる工程を含む。例えば、混合器は分散部を有していてよく、その例としてはメカニカルスターラー、マグネチックスターラー、ボールミル、超音波破砕機、又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。例えば、図1に示すように、混合器5は、一次電池電極粉末材料9及び二次材料10を含有する電池電極粉末中にSWNT8を分散させるように構成された撹拌器(スターラー)7を有してよい。幾つかの実施形態においては、一定の撹拌下でSWNTを混合器に移してよい。
【0032】
幾つかの実施形態においては、各成分の量は、電池電極粉末に対するSWNTの割合が特定の値となるように選択してよい。この割合は、電池電極粉末中でSWNT凝集の発生が少なくなるように選択してよい。例えば、電池電極粉末に対するSWNTの重量比は、約0.01~100重量%であってよく、好ましくは約0.01~80重量%であり、より好ましくは約0.01~65重量%であり、最も好ましくは約0.01~50重量%である。
【0033】
幾つかの実施形態においては、上記方法は、一般的に確立されている方法を用いて、得られた分散物を活性材料と混合する工程、及び/又は該分散物を含むスラリーを調製する工程を、任意に含んでよい。
【0034】
本開示は、上記方法によって得られるSWNT、SWNT含有分散物、及び当該SWNT及び/又はSWNT含有分散物を含む複合材料にも関する。例えば、本開示は上記複合材料を含む電池電極に関する。
【0035】
本開示は上記SWNT含有分散物を製造するための装置にも関する。この装置の各構成要素は、上述した機能を示す限り、様々な配置(例えば、上、下、横)で設置され得ると解すべきである。
【0036】
本明細書では上述の例を用いて実施形態を記載したが、様々な代替、修飾、変更、又は改善を行った物、及び/又は実質的に等価な物も、それが公知か、現在予期できないか、或いは予期できない可能性があるかにかかわらず、当業者には明らかになり得る。上記実施形態は例示を意図したものであって、本発明を限定するものではない。本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。即ち、本開示は、公知の又は後に開発される、様々な代替、修飾、変更、又は改善を行った物、及び/又は実質的に均等な物を、全て包含することを意図している。
【0037】
特許請求の範囲は本明細書に記載した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の文言に適合する全ての範囲が許容されるべきである。単数形で記載した構成要素も、特に説明が無い限り、「唯一」であることを意味するわけではなく、「1つ以上」であることを意味する。本開示の様々な実施形態による構成要素の構造的及び機能的均等物は全て、当業者に既に公知であっても後に公知になるものであっても、参照により本開示に明確に含まれ、特許請求の範囲に包含されるべきである。更に、本明細書の開示は、特許請求の範囲に明示されているか否かにかかわらず、公衆に供されることを意図したものではない。特許請求の範囲に記載の構成は、「means for」という表現で明記されていない限り、ミーンズプラスファンクション形式として解釈されるべきではない。
【0038】
更に、本明細書において、「例(example)」という語は、単なる例示(example、instance、又はillustration)に用いられるものを意味する。本明細書で「例」として記載した実施形態は、必ずしも他の形態よりも好ましい又は有利であるわけではない。特に明記しない限り、「幾つかの(some)」という語は、1つ以上であることを意味する。「A、B、又はCの少なくとも1つ」、「A、B、及びCの少なくとも1つ」、「A、B、C、又はこれらの組み合わせ」等のコンビネーションは、A、B、及び/又はCのいかなる組み合わせも包含し、複数のA、複数のB、又は複数のCも包含し得る。具体的には、「A、B、又はCの少なくとも1つ」、「A、B、及びCの少なくとも1つ」、「A、B、C、又はこれらの組み合わせ」等のコンビネーションは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとB、AとC、BとC、又はAとBとCであってよく、各組み合わせは1種以上の部材A、B、又はCを含み得る。特許請求の範囲に明示されているか否かにかかわらず、本明細書の開示は公衆に供されることを意図したものではない。
図1
図2