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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】充填装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/02 20060101AFI20221024BHJP
   B65B 3/28 20060101ALI20221024BHJP
   B67B 3/20 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
B65B3/02
B65B3/28
B67B3/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018122254
(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公開番号】P2020001745
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【弁理士】
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】平本 眞一
(72)【発明者】
【氏名】三好 洋之
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-328601(JP,A)
【文献】特開2016-064867(JP,A)
【文献】特開平11-314602(JP,A)
【文献】特表2002-536265(JP,A)
【文献】米国特許第06430896(US,B1)
【文献】特表2015-509469(JP,A)
【文献】特開2002-002945(JP,A)
【文献】特開2017-006826(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0313998(US,A1)
【文献】特開2016-175725(JP,A)
【文献】特開平04-082734(JP,A)
【文献】米国特許第8079200(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0170591(US,A1)
【文献】米国特許第4630654(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/00-3/36
B65B 43/00-43/62
B67B 1/00-6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の空のスパウト付き袋から当該平面の延長上一辺から突出したスパウトを、袋が下に位置するように吊り下げて、スパウト付き袋を間欠的に移動直線に沿って搬送方向が直線状の搬送ラインと、
前記搬送ラインの途中に配置され、前記搬送ラインにより搬送される前記空のスパウト付き袋に対して製造に関する情報の印刷を行う印字装置と、
前記印刷が正常に行われたかどうかを検査するカメラと、
前記搬送ラインの途中に配置され、前記印字装置により印刷された空のスパウト付き袋に対して、スパウトを通して液状物を充填するノズルと、
前記搬送ラインの途中に配置され、前記ノズルにより充填されたスパウト付き袋のスパウトに対してスクリューキャップによる封止をするドライバとを有し、
前記搬送ラインは、スパウトを吊持する多数のフックが移動直線に沿って等間隔に設けられ、スパウト付き袋の幅方向が前記移動直線の向きに一致するようにスパウト付き袋を吊持した状態で隣接するフックの間隔のn倍(nは正の整数)だけ前記移動直線上を移動させた後、前記移動直線上から離脱し、前記移動直線を迂回して、前記移動直線に沿った元の位置に各フックを復帰する多連フックと、
前記移動直線上に沿って前記間欠移動の停止位置のそれぞれに配置され、前記移動直線上を移動してきたスパウトを保持し、前記離脱する前記多連フックからスパウトを前記多連フックから取得する多数のホールドとを有し、
前記スパウト付き袋の正面が前記搬送ラインによる搬送方向に対して平行であり、
前記搬送ラインは、前記スパウト付き袋の幅方向に沿って前記印字装置の前を搬送することにより、前記印字装置に対して前記スパウト付き袋の正面を正対させているとともに、
前記搬送ラインは、前記スパウト付き袋の幅方向に沿って前記カメラの前を搬送することにより、前記カメラに対してスパウト付き袋の正面を正対させていることを特徴とするスパウト付き袋用充填装置。
【請求項2】
請求項1に記載の充填装置において、
前記搬送ラインの途中に配置され、前記液状物を充填されたスパウト付き袋の重量を測定する重量計を有し、重量計により測定した重量に基づき、前記ノズルからの流量を修正することを特徴とするスパウト付き袋用充填装置
【請求項3】
請求項1に記載の充填装置において、
前記スクリューキャップによる封止をするドライバは、スクリューキャップの予備締めを行うドライバと、本締めを行うドライバとを有し、
前記多連フックは予備締めを行うドライバと本締めを行うドライバの位置にスパウト付き袋をそれぞれ一旦停止させることを特徴とするスパウト付き袋用充填装置
【請求項4】
請求項3に記載の充填装置において、
前記本締めを行うドライバのトルクが所定の値になってから、スクリューキャップに設けられたマークが所定の回転位置に達するまでの回転角度を検出するコントローラを有することを特徴とするスパウト付き袋用充填装置
【請求項5】
請求項1に記載の充填装置において、
前記搬送ラインの移動直線上であって、前記印字装置と前記ノズルとの間に、前記スパウト付き袋を搬送する際の搬送方向を前記スパウト付き袋の幅方向から、前記スパウト付き袋の厚さ方向に変換する向き変換部を有することを特徴とするスパウト付き袋用充填装置。
【請求項6】
請求項1に記載の充填装置において、
前記搬送ラインは、
スパウト付き袋のスパウトを吊持する多数のフックが移動直線に沿って等間隔に設けられ、スパウト付き袋の幅方向が前記移動直線の向きに一致するようにスパウト付き袋を吊持した状態で隣接するフックの間隔のn倍(nは正の整数)だけ前記移動直線上を移動させた後、前記移動直線上から離脱し、前記移動直線を迂回して、前記移動直線に沿った元の位置に各フックを復帰する多連フックと、
等間隔に連続して設けられたn個のフックに対してn個のスパウトを並列に吊持する袋供給装置と、
前記移動直線上に沿って前記間欠移動の停止位置のそれぞれに配置され、前記移動直線上を移動してきたスパウトを保持し、前記多連フックの離脱によりスパウトを前記多連フックから取得する多数のホールドと、
連続して設けられたn×m個(mは正の整数)のホールドに対応して設けられたn×m個の乗り移りレールと、
前記n×m個のホールドに対応して設けられ、前記多連フックがm回間欠移動を行ったときに、前記n×m個のホールドに取得されたスパウト付き袋を乗り移りレールに引き渡す引き渡し装置とを有しており、
各乗り移りレールに対応してスパウト付き袋への充填を行うノズルが設けられていることを特徴とするスパウト付き袋用充填装置
【請求項7】
請求項1に記載の充填装置において、
前記搬送ラインは、
スパウト付き袋のスパウトを吊持する多数のフックが第1の移動直線に沿って等間隔に設けられ、スパウト付き袋の幅方向が前記第1の移動直線の向きに一致するようにスパウト付き袋を吊持した状態で隣接するフックの間隔のn倍(nは正の整数)だけ前記第1の移動直線上を移動させた後、前記第1の移動直線上から離脱し、前記第1の移動直線を迂回して、前記第1の移動直線に沿った元の位置に各フックを復帰する第1の多連フックと、
スパウト付き袋のスパウトを吊持する多数のフックが第2の移動直線に沿って等間隔に設けられ、スパウト付き袋の幅方向が前記第2の移動直線の向きに一致するように前記スパウト付き袋を吊持した状態で隣接するフックの間隔のn倍だけ前記第2の移動直線上を移動させた後、前記第2の移動直線上から離脱し、前記第2の移動直線を迂回して、前記第1の移動直線に沿った元の位置に各フックを復帰する第2の多連フックと、
スパウト付き袋のスパウトを吊持する多数のフックが第3の移動直線に沿って等間隔に設けられ、前記スパウト付き袋の幅方向が前記第3の移動直線の向きに一致するように前記スパウト付き袋を吊持した状態で隣接するフックの間隔の2×n倍だけ前記第3の移動直線上を移動させた後、前記第3の移動直線上から離脱し、前記第3の移動直線を迂回して、前記第3の移動直線に沿った元の位置に各フックを復帰する第3の多連フックと、
前記第1、第2及び第3の移動直線上に沿って前記間欠移動の停止位置のそれぞれに配置され、前記第1、第2及び第3の移動直線上を移動してきたスパウトを保持し、前記第1及び第2の多連フックの離脱によりスパウトを各多連フックから取得する多数のホールドと、
前記第1の移動直線は前記第3の移動直線の延長上にあり、第3の多連フックからスパウトを取得する連続して設けられた2×n個のホールドに対して、前記第1の多連フックは復帰時に最初の連続したn個のホールドからスパウトを保持するものであり、さらに、
前記2×n個の残りのn個のホールドに対応してn個の乗り移りレールと、前記n個のホールドに取得されたスパウト付き袋を前記乗り移りレールに引き渡す引き渡し装置とを備え、前記第2の多連フックは、復帰時に前記乗り移りレールからスパウトを保持しており、
さらに、
第1及び第2の移動直線のそれぞれに対応してスパウト付き袋への充填を行うノズルが設けられていることを特徴とするスパウト付き袋用充填装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスパウト付き袋の充填装置に関し、特に、清涼飲料等の液体飲料や食品、医薬品、洗剤等の液体や粘性体をスパウト付き袋に充填する充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スパウト付き袋は、スパウトが開封時における注出口となり、清涼飲料等の液体飲料や食品、医薬品等の液体や粘性体等の内容物を、必要なときに摂取または使用することができる、包装袋である。スパウト付き袋としては、例えば、表裏一対の外装フィルムの両側部からガセットフィルムが内側に折り込まれ、そのガセットフィルムの周縁部が外装フィルムにヒートシールされ、かつ外装フィルムの上縁部及び下縁部が相互にヒートシールされた袋に対して、注出口となる口部をスクリューキャップ等の口栓によって開閉することができるスパウトが装着されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アルミ箔と合成樹脂製膜を積層した複合材料で袋が形成され、袋上辺の中央部からスパウトが所定の長さだけ突出したスパウト付き袋が開示されている。
【0004】
このようなスパウト付き袋に例えば清涼飲料等の液状物を充填する場合、例えば特許文献2に示すような充填装置が利用される。特許文献2に開示された充填装置は、間欠的に回転する回転テーブルに、円周方向所定の間隔で、包装袋を保持する袋保持部材を備え、回転テーブルの回転に伴い、回転テーブルの円周方向に配置された多数の工程を順次移動する。工程としては、例えば、包装袋を袋保持部材にセットする工程、製造年月日等の印刷をする工程、ノズルを用いて液状物を袋内へ充填する工程、スパウトの口部の外側を洗浄する工程、スクリューキャップを取り付ける工程、スクリューキャップの締めつけ状態を検査する工程などである。
【0005】
特許文献2の充填装置によれば、全工程が回転テープの周囲に集約され、回転テーブルを一周する間に全工程が完了する。さらに、比較的小容量な包装袋の小さなスパウトに対して、各工程を行う際には袋保持部材によりスパウトを保持したまま回転テーブルを回転させることで、スパウトの位置精度が確保できるという利点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-59928号公報
【文献】特開2001-328601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2においては、充填、スクリューキャップ締め等の作業は、スパウト付き袋が回転テーブルの袋保持部材により保持された状態で行われる。回転テーブルを利用した間欠移動では、スパウト付き袋を幅方向に回転させるものであるため、遠心力が袋の厚さ方向に働き、スパウト付き袋は大きく振れてしまう。このような場合、賞味期限等の製造に関する情報を印刷する際に、印刷装置のヘッドとスパウト付き袋との間隔が安定せず、印刷品質の管理が難しかった。また、重量を測定する際にも半径方向に揺れたままで重量を測定すると、測定精度が落ちてしまい、揺れが収まるのを待ってから重量を測定すると、単位時間当たりの生産効率が落ちる。
【0008】
また、特許文献2では、処理すべきスパウト付き袋を2袋並列に処理している。回転テーブルでは、常に外周側からのみ各工程を実施する装置を設定しており、かつ並列処理では同じ工程が並んで配置される。回転テーブルを一周する間に配置できるスペースには限界があり、さらなる装置の増設が困難である。また、工程を終えた後のスパウト付き袋を排出するには、外周側に向けて排出するしかなく、工場機械レイアウトにおいて設置空間の無駄が生じる。さらには、回転テーブルでは、充填済みのスパウト付き袋を排出した保持部材が、空のスパウト付き袋を受け取っているため、洗浄工程で飛散した汚れがそのまま保持部材に堆積し、新たなスパウト付き袋を汚染する。
【0009】
本発明は上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、充填機内で間欠移動されるスパウト付き袋の振れを低減し、安定した状態で搬送することにより、静止に要する時間を削減し、生産効率を向上した充填装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の充填機によれば、平面状の空のスパウト付き袋から当該平面の延長上一辺から突出したスパウトを、袋が下に位置するように吊り下げて、スパウト付き袋を間欠的に移動直線に沿って搬送する搬送ラインと、
前記搬送ラインの途中に配置され、前記搬送ラインにより搬送される前記空のスパウト付き袋に対して製造に関する情報の印刷を行う印字装置と、
前記搬送ラインの途中に配置され、前記印字装置により印刷された空のスパウト付き袋に対して、スパウトを通して液状物を充填するノズルと、
前記搬送ラインの途中に配置され、前記ノズルにより充填されたスパウト付き袋のスパウトに対してスクリューキャップによる封止をするドライバとを有し、
前記搬送ラインは、前記スパウト付き袋の幅方向に沿って前記印字装置の前を搬送することにより、前記印字装置に対して前記スパウト付き袋の正面を正対させていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、搬送ラインによる搬送方向が直線状であるので、充填処理の多重化や処理が複雑化しても、単に搬送ラインの長さを変更するだけで対応できるため、各処理装置の増設が容易である。また、工程を終えた後のスパウト付き袋を排出するには、移動直線の最終端が開放されており、いずれの方向に向けても排出可能である。
【0012】
本発明によれば、スパウト付き袋は搬送ラインを袋の幅方向に搬送されており、印字装置に対してスパウト付き袋の袋正面が正対している状態であるので、振れが少ない状態でスパウト付き袋が搬送され、かつスパウト付き袋と印字装置との間隔が安定しているため、印刷の文字品質が変動することが無い。また、本発明によれば、スパウト付き袋は搬送ラインを袋の幅方向に搬送されており、印字装置に対してスパウト付き袋の袋正面が正対しているので、振れが少ない状態でスパウト付き袋が搬送され、かつスパウト付き袋とカメラとの間隔が安定しているため、撮像した画像の乱れも少ない。
【0013】
本発明によれば、多連フックは往復するだけであるので、汚染を搬送ラインの上流に移動させないという効果がある。また、スパウト付き袋の移動は直線的であるので、運転管理が向上する。遠心力による振れが無くスパウト付き袋を安定して搬送できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】スパウト付き袋1を示している。図1Aは正面図、図1Bは側面図、図1Cは斜視図、図1Dは他の形態のスパウト付き袋のネック部を示す図、図1Eはネック部断面、図1Fはマガジンを示している。
図2】実施例1による充填装置の概略構成を示す斜視図である。
図3】搬送装置の側面を概略的に示している。
図4】搬送ラインの詳細を示す図であり、図4Aは多連フックとホールドバーの重なり、図4B-Eは多連フックの動作、図4F-Hはホールドバーの動作、図4I-Kは多連フックとホールドバーに対するネック部の関係を示している。
図5】移動直線に対して交差する方向からスパウト付き袋を搬送ラインへ装填し、または、排出する動作を示している。
図6】搬送ライン、分配設備、スタック設備を示している。
図7】充填重量計測について説明をする図である。
図8】実施例2による充填装置の概略構成を示す斜視図である。
図9】実施例3による充填装置の概略構成を示す斜視図である。
図10】スクリューキャブ供給装置等の変形例を示す図である。
図11】実施例4による充填装置の概略構成を示す図であり、図11Aは斜視図、図11Bは動作説明図である。
図12】ドライバからスクリューキャップを排除する機構を示す図であり、図12A図12Bはそれぞれ一つの例である。
図13】ノズルの開閉についての機構を示す図で有り、図13A図13Bはそれぞれ一つの例である。
図14】多連フックの動きを実現するリンク機構の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本願発明の具体的実施の形態を説明する。
図1は、スパウト付き袋1を示している。図1Aは正面図、図1Bは側面図、図1Cは斜視図である。スパウト付き袋1は、充填する前は袋3が折りたたまれて平面状であり、上側の一辺から当該平面の延長上にスパウト2が突出している。本実施例においては、袋3の厚さ方向を「袋3の厚さ方向a1」とし、スパウト2の長さ方向と袋3の厚さ方向a1に直交する方向を「袋3の幅方向a2」と定義する。袋3から突出したスパウト2の部分には、その径方向に広がる3個のフランジ21、22、23が上から順に所定の位置に形成されている。一番下のフランジ23は袋3の上端部の位置にあり、スパウト2と袋3の位置決めをしている。一番上のフランジ21のさらに上側には、スクリューキャップ25が螺合する雄螺子24が設けられている。断面C字状のレール状のマガジン30の端縁31、32がスパウト付き袋のスパウト2の一番上のフランジ21と中間のフランジ22との間に形成されるネック部26に嵌合した状態で取り扱われるのが一般的であり(図1F参照)、袋メーカーからの一般的な納入形態である。図1Dは、他の形態のスパウト付き袋1のネック部である。このスパウト付き袋1は、フランジ21、22の2つのフランジを有する。このほかにも1つだけのフランジをもつタイプのスパウトもあるが説明を省略する。
【0016】
ネック部26は、その断面は様々なものがあるが、袋3の厚さ方向a1に対して平行な対辺26a、26bを有している。また、対辺26a、26bの長さは互いに同じであり、ネック部26の断面は、袋3の厚さ方向a1及び幅方向a2にそれぞれ1対の対辺を有する長方形に内接する形状になっている。上縁シール部33は、袋3の上縁同士及びスパウト2と袋3を接着する。ネック部26の対辺26a、26bがマガジン30の端縁31、32に当接することにより、スパウト付き袋1は、マガジン30に対して同一の向きに整列することができる。一番上のフランジ21と中間のフランジ22との間のネック部26のほかに、中間のフランジ22と一番下のフランジ23の間もネック部27が設けられている。ネック部27も、袋3の厚さ方向a1に対して平行な対辺27a、27bを有している。また、対辺27a、27bの長さは互いに同じである。図1Eの左側上下に図1Bのネック部26と27の断面形状を、図1Eの右側上下に図1Dのネック部26と27の断面形状を示す。これらの断面形状は互いに異なる場合が多いが、袋3の厚さ方向a1及び幅方向a2にそれぞれ1対の対辺を有する長方形に内接する形状になっている点は共通する。図1E左側に示したフランジ21の下側のネック部26は右側に示したネック部26と同じであるが、図1E右側においてはフランジ23の下側のネック部27は袋3とスパウト2とが互いに気密水密に接着する接着部であり、なだらかな断面になっている。
【実施例1】
【0017】
図2は、実施例1による充填装置100の概略構成を示す斜視図である。充填装置100は、スパウト付き袋1を移動直線TL(一点鎖線で示す)の上で間欠送りする搬送ライン110が機台101に設けられている。搬送ライン110の構成については後述するが、スパウト付き袋1は、移動直線TLの方向に、袋3の幅方向a2が沿った姿勢(スパウト2が上で袋3が下)に吊り下げられて搬送される。搬送ライン110は、図中右から左に向かって、スパウト付き袋1を進ませる。
【0018】
搬送ライン110の最上流には、袋供給装置120が設けられており、搬送ライン110上にスパウト付き袋1を供給する。本実施例では、袋供給装置120から2つのスパウト付き袋1が並列して搬送ライン110に移される。搬送ライン110は、2つ分のスパウト付き袋1を次工程に移動して停止する動作を繰り返す間欠移動をする。各工程では、2つのスパウト付き袋1を並列して処理するため、印字/検査を除く各工程において作業を行う機器は2つ並列に配置されている。
【0019】
袋供給装置120からスパウト付き袋1を受け取った搬送ライン110は、印字/検査工程130に進む。印字/検査工程130では、インクジェットプリンター等の印字装置131により、袋3の正面(図1の領域BL)へ製造に関する情報(製造工場番号、製造番号、製造年月日、賞味期限等)の印刷が行われる。スパウト付き袋1は搬送ライン110を、袋3の幅方向a2に搬送されている。スパウト付き袋1は、印字装置131のヘッドに対して袋3の正面が正対している状態で、搬送ライン110を搬送される。印字装置131は、例えばN×Mのドット文字を印刷するときにまずNドット一列を印刷し、スパウト付き袋1の1ドット分の移動により次のNドットを印刷して、これをM回繰り返してドット文字を印刷する。カメラ132により印刷結果が撮像されて、カスレやズレ等の印刷不良の有無についての検査が行われる。カメラ132も、袋3の幅方向a2に搬送されるスパウト付き袋1の正面に対して正対している。印字装置131の印刷及びカメラ132による撮像は、袋3の幅方向a2に移動しているスパウト付き袋1に対して行われる。袋3の幅方向a2に移動しているため、スパウト付き袋1の搬送による振れが少ない。つまり、袋3の幅方向a2に移動する場合、スパウト2と袋3を接着する上縁シール部33の剛性が高いため、スパウト付き袋1を搬送しても揺れにくい。逆に、袋3の厚さ方向a1に移動する場合は、上縁部のシールを軸にしてスパウト付き袋1が容易に揺れてしまう。スパウト付き袋1と印字装置131又はカメラ132との間隔は安定しているため、印刷の文字品質が変動することが無く、かつ撮像した画像の乱れも少ない。また、2つのスパウト付き袋1を隣同志で並送する搬送ライン110であっても印字装置131とカメラ132は一組で作業ができる。さらに、印字装置131とカメラ132を印字/検査ユニット133として一体に設けているため、位置の変更が容易である。また、カメラ132により、文字濃度、大きさ、位置等の情報を取得し、この情報を印字装置131にフィードバックすることにより、スパウト付き袋1に対する印刷が常に最適な状態で行われるように自動で制御することが可能となる。
【0020】
次に、スパウト付き袋1は充填工程に進む。充填工程140では、ノズル141の先端をスパウト付き袋1のスパウト2に押し当てて互いに連通させて、一旦、袋3中の空気を吸い出してから、貯留タンク142から液状物(被充填物)を所定の量だけ充填し、不活性ガスを補充する。貯留タンク142には、一定の圧力が加えられており、液状物がノズル141に向けて押し出されるようになっている。貯留タンク142からノズル141に至る経路143の間には、液状物の流量を計測する電磁流量計144が挿入されており、流量を計測してパルス数により出力する。また、経路143途中には、液状物の温度を検出するセンサ145が設けられている。
【0021】
次に、スパウト付き袋1は洗浄工程150に進む。洗浄工程150では、洗浄液及び空気の吹き付けを行い、スパウト2の外表面を洗浄する。洗浄工程150では、スパウト付き袋1は、2回停止し、洗浄液を吹き出すノズル151による洗浄、そして空気を吹き出すノズル152による乾燥が行われる。充填工程140から洗浄工程150に至る搬送ライン110の下側には、液体皿容器153が設けられており、溢れた液状物や洗浄液の飛散を防止する。
【0022】
スパウト付き袋1は、次にスクリューキャップ25を取り付ける封止工程160に進む。封止工程160では、スパウト付き袋1に対して、3か所の停止位置でスクリューキャップ25を取り付ける作業が行われる。最初の停止位置では、スクリューキャップ供給装置161からスクリューキャップ25がスパウト付き袋1に供給される。スクリューキャップ供給装置161は、スクリューキャップの大きさが選択できるように、予め2系統設けられている。次の停止位置では、ドライバ165による予備締めが行われる。予備締めは、スクリューキャップ25を所定量若しくは所定時間だけ回転させてスパウト2に設けられた雄螺子24にスクリューキャップ25の雌螺子が大まかに螺合させるものである。予備締めの次に、スパウト付き袋1はドライバ166による本締めが行われる。本締めは、スクリューキャップ25をさらに回転させて、スクリューキャップ25を締付ける。予備締めと本締めを一つの工程で行う場合、予備締めの際に最初の1回転の中で空回りする範囲がばらつき、予備締めの時間が一定せずに、本締めを行う時間を確保するために、工程時間を多く取っておく必要があった。しかし、予備締めと本締めの作業を別位置で行うことにより、本締めに利用可能な時間が確保できるので、工程時間を短縮することができる。
【0023】
封止工程160の後工程は重量計測工程170である。重量計測工程170では、重量計171によりスパウト付き袋の重量が測定される。その後、排出工程180において、選別機181により、排出コンベア182上に排出される。もしくは、不良品の場合には回収箱183に収容される。
【0024】
(搬送ライン)
図4は、搬送ライン110の詳細を示している。搬送ライン110は、多連フック111とホールドバー112とを有している。図4Aは、多連フック111とホールドバー112の重なりを断面で示している。ホールドバー112は、スパウト付き袋1の表裏の両側から下側のネック部27に嵌合する。図4B~Eは、多連フック111の動作を示している。図4F~Hは、ホールドバー112の動作を示している。これらの図において、ハッチングされた長方形は、スパウト付き袋1のネック部26若しくは27の断面に対して内接する長方形を示している。
【0025】
多連フック111は、スパウト付き袋1の表裏片側の一方にのみ設けられ、一直線状の本体の一方側の長辺に沿ってフック111aが等間隔に多数設けられている。各フック111aは上側のネック部26に嵌合する切り欠き状になっており、スパウト付き袋1を吊持する。多連フック111は、スパウト付き袋1が移動する移動直線TLに対して等間隔のフック111aを沿わせてスパウト付き袋1が間欠移動する距離だけ移動した後、移動直線上から離脱し、移動直線TLを迂回して、元の移動直線TLに沿った位置に各フック111aを復帰する。多連フック111はホールドバー112と協働して、移動直線TL上から離脱するときスパウト付き袋1を放棄し、復帰するときにスパウト付き袋1を吊持する。隣同志のフック111a間距離のn倍は、多連フック111の間欠移動の移動距離に相当する。nは、多重並列に処理するスパウト付き袋1の数である。2つのスパウト付き袋1を並列して搬送する場合は、フック111a間の距離の2倍だけ移動する。nは正の自然数として定義できる。
【0026】
ホールドバー112は、多連フック111と同一方向に設けられる。停止したスパウト2の下側のネック部27を両脇から挟む。また、間欠移動の停止の際に、作業中におけるスパウト付き袋1の挙動変化を抑制させるために、ホールドバー112はスパウト付き袋1を保持する機能を有している。この保持機能は、間欠移動においてスパウト付き袋1が停止した際に、ホールドバーの間隔を狭めてスパウトを挟持するものである。スパウトを挟持する箇所をホールドと称し、間欠移動の停止の各場所のそれぞれに対応して等間隔に設けられる。本実施例では、ホールドバー112の一方側(両側でも良い)切り欠き状のホールド112aが設けられ、ホールド112a内にスパウト付き袋1のネック部27を閉じ込めて挟持する。ホールド112aは、間欠移動の停止位置に対応して設けられる。
【0027】
図4I~Kは、多連フック111、ホールドバー112に対するネック部26、27の関係を示している。図4Fにおいて、位置p0にスパウト付き袋が存在すると仮定する。図4Bにおいて多連フック111は、移動直線TL上に復帰することにより、スパウト付き袋1を吊持する。このときのネック部26の状態は、図4Iである。この後、ホールドバー112は間隔を広げる。図4Cにおいて多連フック111は、移動直線TLに沿って移動する。図4Gにおいて、スパウト付き袋1はホールドバー112の間を移動する。このときのネック部26、27の状態は、図4Jである。多連フック111による移動直線TL上の移動が停止すると、ホールドバー112は間隔狭めてスパウト付き袋1を保持する。このときのネック部26、27の状態は、図4Kである。図4Dにおいて、多連フック111は移動直線TL上から離脱する。このとき、スパウト付き袋1は、ホールド112aに取得される。図4Eにおいて、多連フック111は迂回経路を経由して、図4Bに示すように元の位置に復帰する。
【0028】
図4L図4Mは、2つのフランジを有するスパウト付き袋1に対する多連フック111、ホールドバー112に対するネック部26、27の関係を示している。図4Iに対応するのが図4Lである。この後、ホールドバー112は間隔を広げる。図4Mにおいて、スパウト付き袋1はホールドバー112の間を移動する。多連フック111による移動直線TL上の移動が停止すると、ホールドバー112は間隔狭めてスパウト付き袋1を保持する。このときのネック部26、27の状態は、図4Nである。尚、ホールド112aは、ネック部29に対応した切り欠きにするのが望ましい。1つのフランジを有するスパウト付き袋1に対しては、フランジの直下に多連フック111は配置し、ホールドバー112はその下側に配置するのが望ましい。
【0029】
多連フック111は往復運動することによりスパウト付き袋1を順次搬送ライン110の下流に搬送しているため、洗浄工程150に位置する多連フック111のフック111aが移動する範囲は固定的である。よって、洗浄工程150において飛散した汚れが、搬送ライン110上流に移動して堆積してゆくことはなく、袋供給装置120から受け取った空のスパウト付き袋1を汚染することが避けられる。このように、スパウト付き袋1を移動直線TLに沿って搬送することにより生じる効果として、まず、汚れがスパウト付き袋1に付着することによって発生する印刷不良を未然に防止できる。所定の印字箇所に汚れが付着し、そこに印字した場合、印字の脱落が発生することが生じることになるが、これを抑止することができる。また、例えば、従来技術の回転テーブル式の充填機と比較した場合、清掃の手間が少なく、汚染範囲の拡大を避けられる。
【0030】
図5は、移動直線TLに対して交差する方向からスパウト付き袋1を搬送ライン110へ装填し(図5A~E)、又は搬送ライン110からスパウト付き袋1を移動直線TLに対して交差する方向に排出する動作を示している(図5F~J)。図中、ホールドバー112は破線で示している。
【0031】
図5Aにおいて、スパウト付き袋1は乗り移りレール41の上で、搬送ライン110の近傍まで移動されている。引き渡し装置42は、乗り移りレール41上のスパウト付き袋1を搬送ライン110へ引き渡す。引き渡し装置42は、アーム43を有しており、スパウト付き袋1を背後からアーム43により押して搬送ライン110の多連フック111に載せ、その後、アーム43を離脱するように動作する(図5B)。多連フック111は移動直線TL上を移動し、スパウト付き袋1のネック部27をホールドバー112に搭載させる(図5C)。そして、図5D図5Eに示すように、多連フック111は、移動直線TL上から離脱し、迂回経路を経由して、図5Aに示す位置に復帰する。
【0032】
図5Fにおいて、引き渡し装置52は、搬送ライン110上の最下流に位置するスパウト付き袋1を乗り移りレール51へ引き渡す。引き渡し装置52はアーム53を有しており、乗り移りレール51の手前に停止したスパウト付き袋1に対し(図5F)、その背後からアーム53により押して乗り移りレール51に載せ(図5H)、その後、アーム53を離脱するように動作する(図5I)。一方、多連フック111は、図5G図5Hに示すように、移動直線TL上から離脱し、迂回経路を経由して、図5Iに示す位置に復帰して、次のスパウト付き袋1を吊持する。次のスパウト付き袋1を移動直線TL上で移動させ(図5J)、乗り移りレール51の手前に停止させる。
【0033】
(袋供給装置)
図2に戻り、袋供給装置120は、搬送装置121、ロボット122、乗り移りレール123、送り出し装置124、及び引き渡し装置125を有している。尚、乗り移りレール123及び引き渡し装置125は、図面奥側で取り出されているスパウト付き袋1に対してのみ図示され、手前側は省略してある。搬送装置121は、一対の無端状チェーン121aを階層的に積み重ねた構造をしており、各一対の無端状チェーン121aは図1に示したマガジン30の多数本を橋渡し状に搭載している。一対の無端状チェーン121aは、スプロケット121bにより間欠的に巡回駆動される。図3は、搬送装置121の側面を概略的に示している。各一対の無端状チェーン121aには、マガジン30の位置決めを行う枠121cが設けられており、作業員は多数のマガジン30を図面右側から搬送装置に設定することができる。一対の無端状チェーン121aは反時計回りに回転する。
【0034】
図2に戻り、ロボット122は、無端状チェーン121a上のマガジン30をピックアップし、送り出し装置124にセットする。一対の無端状チェーン121aはマガジン30がピックアップされると、新たなマガジン30を最終端に移動し停止させる。ロボット122は、マガジン30をどの段の無端状チェーン121aからも、マガジン30を取得することができる。
【0035】
送り出し装置124は、ロボット122からセットされたマガジン30からスパウト付き袋1を乗り移りレール123に移す働きをする。送り出し装置124は、図示しない直線スライド式エアシリンダーにより押し込み部材124aを搬送ライン110方向に移動させることができる。マガジン30に保持されたスパウト付き袋1の背後を押すことにより、マガジン30の延長線上に存在する乗り移りレール123にスパウト付き袋1を移してゆく。本実施例においては、2つのマガジン30がロボット122により送り出し装置124にセットされ、それぞれからスパウト付き袋1を並列に取り出す。よって、押し込み部材124aは2つのマガジン30に対してスパウト付き袋1の背後を並行して2列にして押すものであり、これに対応して乗り移りレール123も2つ平行に配置される。
【0036】
乗り移りレール123は、振動装置(図示せず)により振動させられ、スパウト付き袋1を搬送ライン110の最上流へ移動させる。乗り移りレール123は、搬送ライン110側に向かってやや下方に傾斜している。乗り移りレール123の搬送ライン110側端部近くには、先頭と2番目の袋に当接して、その前進を一時的に阻止する、進退自在な第一及び第二ストッパー(図示せず)が設けてある。引き渡し装置125は、乗り移りレール123上の先頭のスパウト付き袋1を搬送ライン110へ引き渡す。引き渡し装置125により移載されると乗り移りレール123に対して搬送ライン110は直交しているため、乗り移りレール123を移動する際には袋3の厚さ方向a1での移動であったものが、搬送ライン110に移されて以後は袋3の幅方向a2への移動に方向転換される。
【0037】
(スパウト洗浄)
洗浄工程150では、洗浄液及び空気の吹き付けを行い、スパウト2の外表面を洗浄する。図10Bは、ノズル151による洗浄液及びノズル152による空気の吹き付けを行う様子を示している。搬送ラインの上に突出したスパウト2に対して、そのまわりをシェル154、155により取り囲み、シェル154、155内を吸気することにより、洗浄液及び吹きつけた空気を回収する。洗浄液が飛散すると、飛散した洗浄液が付着した箇所が雑菌の増殖源となり、また印字装置に飛散した洗浄液が付着すると印字装置に不具合が発生してしまう。
【0038】
(スクリューキャップ供給装置)
スクリューキャップ供給装置161からスクリューキャップ25がスパウト付き袋に対して搬送される経路は、一部は管路162であり、管路162の入口側からエアーによりスクリューキャップ25を管路162内に吹き込み、管路162をバイブレータ(図示せず)により振動させて、その振動によりスクリューキャップ25を前進させ、間欠移動の停止中のスパウト2にスクリューキャップ25を供給する。振動によりスクリューキャップ25を前進させる代わりに図10Aに示すように、スパウトまでの全行程を覆う管路163として、管路162の出口側に負圧源167を設けても良い。メッシュ164は、吸引した空気を通過させる網状の部材である。エアーによりスクリューキャップ25を搬送する場合、仮にスクリューキャップ供給装置161内から塵埃が送り出されたとしても、塵埃はメッシュ164を通過して負圧源167から排出される。また、負圧源167は、管路162内をスクリューキャップ25が移動する際の補助として機能する。
【0039】
(スクリューキャップ締め検査)
本締めにおいては、ドライバ166がスパウト2に対してスクリューキャップ25を締め付けた時の最終的なトルク値とスパウト2に対するスクリューキャップ25の締め位置を検出する。ドライバ166は、サーボモータにより回転駆動されており、電流値がトルク値を表す情報として、駆動パルス数が回転角度を表す情報として取得できる。スパウト2やスクリューキャップ25は、合成樹脂からなる部材であり、これらの成形に用いる金型は、長時間の使用により摩耗し、成形したスパウト2やスクリューキャップ25の形状に微少な変化が生じる。スパウト付き袋1は液状物が充填されてから比較的長期間保存されるものであるから、スパウト2とスクリューキャップ25に螺合に微少な隙間があると、保存期間中に外気が侵入することによって内容物が腐敗するおそれがある。形状が変化したスパウト2若しくはスクリューキャップ25を螺合したときには、締め付けトルク値やスクリューキャップ25の停止位置が変化するので、これらを図示しないコントローラにログデータとして保存しておくことは、欠陥が発見されたときの不具合の原因究明に有効である。
【0040】
図10C図10Dは本締めを行う工程の例を示している。この本締めの制御は、図示しないコントローラにより行われる。図10Dのフローはコントローラによる工程毎の処理フローである。コントローラは、図示しない電流測定機からドライバ166の駆動電流を取得する。また、コントローラは、ドライバ166のサーボモータに対して駆動パルスを送出する。処理フローS1において、コントローラは回転中のドライバ166の駆動電流値を取得して、これを現時点のトルク値(ドライバ166の電流値)として検出する。処理フローS1では、所定のトルク値と比較して、現時点のトルク値が所定のトルク値に達したかどうかについても検出する。処理フローS2では、カメラ166aの画像に対して公知のパターンマッチング処理を行い、スクリューキャップ25に設けられたマークMKが所定の回転位置まで到達したかどうかを検出する。処理フローS3では、パターンマッチング処理の結果、所定の位置にマークMKが到達したときにドライバ166の回転を停止させ、そのときの駆動電流値からトルク値も検出する。処理フローS4では、所定のトルク値に達してから、コントローラ内部のカウンタの計数を開始し、その後、コントローラは、駆動パルスが発生する毎にカウンタをカウントアップし、所定の回転位置に達したら、そのときまでのカウント値を回転角度(ドライバ166の駆動パルス数)として検出する。マークMKとして、例えばスクリューキャップ25にタンパエビデンス(改ざん防止)機能を付与するために設けられているプルーフバンドの切れ込みを利用することができる。マークMKは、本来停止すべき位置が決まっており、その位置によりスクリューキャップ25とスパウト2との密封状態の合否判定を行うが、スパウト2に付着する水分の影響により、S4において検出する回転角度が変化する場合がある。このような場合に備えて、ドライバ166によるトルク値及びカメラ166aによるマークMKの停止位置の双方を検出しそれぞれを管理することにより、スクリューキャップ25とスパウト2との密封状態を管理することが好ましい。また、検出したトルク値と回転角度とを関連付けてコントローラに記憶し、又はグラフ化することにより、スクリューキャップ25とスパウト2との密封状態の合否判定の中心位置を自動又は手動で設定変更することができる。図10Dでは、停止させたときのトルク値とマークMKの停止位置を表示させているが、停止させたときのトルク値と所定の回転位置までの回転角度を表示させても良い。
【0041】
(重量計測工程)
図7において、スパウト付き袋1の重量は、図7Aのように重量計171により測定される。ホールドバー112は、重量計171の位置で分断されており、重量計171の天秤に連結するホールドバー113が設けられている。図7Bのようにホールドバー113に把持されたスパウト付き袋1のみの重量が重量計171により測定される。ホールドバー113の計測用ホールド113aは、移動直線TLの途中において、等間隔に配置されているホールド112aの一画に代わって配置されている。搬送ライン110において、液状物が充填されたスパウト付き袋1は、重心位置がスパウトの下側に移動している。スパウト付き袋1が重量計171の位置で停止したとき、スパウト付き袋1は袋3の厚さa1方向には柔軟であり、袋3の幅a2方向には固い状態になっている。また、袋3の幅a2方向には、上縁シール部33の剛性も高い。搬送ライン110は、移動直線TL上を間欠移動するものであり、重心位置が下にあったとしても、停止時におけるスパウト付き袋1の揺れは小さい。従って、搬送ライン110の一旦停止位置に設けられる重量計171により、重量を測定する際にも、振れが収まるまでの時間が極めて短い。一方、従来技術の回転テーブルを利用した間欠移動の場合は、スパウト付き袋1を幅方向に回転させるものであるため、遠心力が袋3の厚さ方向に働き、スパウト付き袋1は大きく揺れてしまう。よって、揺れの停止を待つ時間は長い、若しくは振れたままで重量を測定することになり、重量測定結果の精度が落ちる。
【0042】
本実施例においては、図7Cのように電磁流量計144で流量(パルス数)や、センサ145で液状物の温度及びそのときの貯留タンク内の圧力値も測定される。各スパウト付き袋1の重量のデータは、当該スパウト付き袋1の充填時において電磁流量計144で測定した流量(パルス数)や、センサ145による液状物の温度及びそのときの貯留タンク内の圧力値とともにログデータとして図示しないコントローラに記憶される。温度により液状物の粘性が変化し同じ圧力でも流量が変化するため、所定の重量を充填するためには、これらのデータをログとして保存しておくことが有効である。また、図7Dのように、スパウト付き袋1の重量値、パルス数、液状物の温度及び貯留タンク内の圧力値を互いに関連付けて表示可能とするのが良い。また、時間間隔を置いて、所定数のスパウト付き袋の重量を測定し、重量の目標値に合わせるように貯留タンクから供給する液状物の流量を調整しても良い。さらに、液状物の温度により流量が変化することから、測定した液状物の温度により貯留タンクから供給する液状物の流量を調整しても良い。
【0043】
図6は搬送ライン110を示している。図6Aにおいて、実施例1の多連フック111は、空のスパウト付き袋1が搬送ライン110に供給された位置から、最終的に搬送ライン110から排出される位置まで連続しており、間欠移動の距離は、2重並列送りを行うため、スパウト付き袋の間隔の2倍である(n重並列送りの場合は、スパウト付き袋の間隔のn倍、nは正の整数)。図面左側の3つのスパウト付き袋1は、搬送ラインから排出される方向を示しており、図面上下左のどの方向にも排出できる。このことは、次の殺菌工程のラインをどのように配置するかについての自由度を高める効果がある。
【実施例2】
【0044】
図8に実施例2の充填装置200の全体構成を示す。実施例1では、袋供給装置120から2つのスパウト付き袋を並列に搬送ライン110に移し、搬送ライン110は横並びの2つのスパウト付き袋1を並列に処理している。本実施例の充填装置200は、袋供給装置220から並列に取り出すスパウト付き袋1を4つとして、搬送ライン210に載せし、これを分岐設備280により2つずつに分けて、それぞれを搬送ライン211、212により処理する。搬送ライン211、212は、2つのスパウト付き袋1を並列に処理する。
【0045】
一方、実施例2の袋供給装置220は、多数のスパウト付き袋1が収容されている保持レール221dを多数有している。保持レール221dは、図1に示したマガジン30と同じようにC字状の断面を有している。多数の保持レール221dは、コンベア221aに橋渡し状に固定されている。保持レール221dには、別途、マガジン30からスパウト付き袋1が載せられている。送り出し装置124は、保持レール221dから直接的に乗り移りレール123にスパウト付き袋1を取り出す。4つのスパウト付き袋1を取り出す構造は、実施例1の袋供給装置と比較して、乗り移りレール123、送り出し装置124、及び引き渡し装置125の多重度を増やしただけであるため説明を省略する。
【0046】
搬送ライン210には、2つの搬送ライン211、212にスパウト付き袋1を分配する分岐設備280が設けられている。袋供給装置220と分岐設備280との間は、搬送ライン210は4つ分のスパウト付き袋1の距離だけ幅方向a2に移動して停止する動作(4重並列(2×2))を繰り返して間欠移動の動作をする。分岐設備280よりも下流の各搬送ライン211、212は2つ分のスパウト付き袋1の距離だけ移動して停止する間欠移動の動作(2重並列(2×1))をしており、以降の各搬送ライン211、212における工程は実施例1と同じである。各搬送ライン211、212での並列転送数がn個になれば、搬送ライン210での並列転送数は2×n個となる。
【0047】
図6Bは、分岐設備280の構成を示している(但し、図では簡略化のため4重並列送りでは無く、2重並列送り態様で示した。n=1の態様)。分岐設備280は、乗り移りレール281と引き渡し装置282を有している。また、多連フックは、範囲EX1を可動範囲とする2重並列送りを行う多連フック211aと、範囲EX2を可動範囲とする1重並列送りを行う多連フック211b、211cとに分割されている。範囲EX1とEX2は一部重複している。多連フック211aによる移動直線を延長すると多連フック211bによる移動直線が重なる。多連フック211aの最下流の2×n(ここではn=1)に位置するホールドに取得されたスパウトのうち最初のn個は、1重並列送りを行う多連フック211bにより吊持される。次のn個は、乗り移りレール281と引き渡し装置282により搬送ライン212へ送られ、多連フック211cにより吊持される。
【0048】
動作を簡単に説明すると、多連フック211aで2つのスパウト付き袋1を箇所p1、p2に間欠移動停止させる。次に多連フック211bは箇所p1(2つのうち最初)のスパウト付き袋1を取得し、引き渡し装置282はp2箇所(2つのうち残り)のスパウト付き袋1を乗り移りレール281を介して多連フック211cへ渡す。
【実施例3】
【0049】
図9に実施例3の充填装置300の全体構成を示す。実施例1では、搬送ライン110においてスパウト付き袋1が停止箇所に停止した時に液状物の充填を行っている。このため、スパウト付き袋1が停止している間に充填を完了させる必要があり、ノズル141の先端をスパウト付き袋1のスパウト2に押し当てて互いに連通させて、液状物がスパウトの外部へあふれ出ないようにし、液状物の流速を早めて充填している。このような充填方法では、ノズル141をスパウト2から取り外したときに、液状物がスパウト2の外側に付着してしまう場合があるため、次工程の洗浄は欠かせない。
【0050】
一方、実施例3の充填装置300では、スパウト付き袋1のスパウト2の口部の内側に非接触にノズル345を差し込み、先の実施例1と比較して時間を掛けてゆっくり液状物を充填できることを可能にする。このため、本実施例では、充填工程340においては、スパウト付き袋1のスタック設備390を備え、搬送ライン310により間欠送りされてきたスパウト付き袋1を一旦、4倍(例えば2×4=8)スタック(集積)し、多数設けられたノズル345により並列に充填を開始し、充填が終われば下流の搬送ライン311に渡している。例えばn重並列転送の場合には、m倍(mは正の整数)n×m個スタックする。スタック設備390よりも上流/下流の搬送ライン310、311は、実施例1と同等であるので説明を省略する。
【0051】
図6Cは、スタック設備390の構成を示す図である(但し、図では簡略化のため8つスパウト付き袋をスタックするのでは無く、4つ(2×2)の態様で示した。スタック設備390は、乗り移りレール391と引き渡し装置392、393を有している。スタック設備390の動作を説明すると、搬送ライン310の多連フック311aで2つのスパウト付き袋1を箇所p3、p4、p5、p6に間欠移動停止させる。4つのスパウト付き袋1が、4つの乗り移りレール391に正対した位置にそれぞれ配置されると、それぞれの箇所のスパウト付き袋1は、引き渡し装置392により充填位置に送られる。充填が完了する頃には、再度4つスパウト付き袋1が箇所p3、p4、p5、p6に配置されているので、充填が完了したスパウト付き袋1は引き渡し装置393により搬送ライン311の多連フック311bへ移動される。一方、引き渡し装置392により、新たなスパウト付き袋1が充填を待つ位置に移動される。この例では、乗り移りレール391の数は4本であるが、一般化すればn×m本である。
【0052】
上記した実施例1~3によれば、多連フックは往復するだけであるので、汚染を搬送ラインの上流に移動させないという効果がある。また、スパウト付き袋1の移動はスパウト付き袋の幅方向に直線的であるので、スパウトへの印刷結果の検査における運転管理が向上する。すなわち、カメラにより印刷を検査する際に、並行移動するスパウト付き袋1を撮像するので誤検出が少ないのである。従来の回転テーブル式の充填機の場合、移動中に撮像しようとすると遠心力により傾いた不安定な状態でスパウト付き袋1を撮像しなくてはならず、スパウト付き袋1の傾きが収まってから撮像する必要があったが、本実施例では遠心力による振れが無い。つまり、袋3の幅方向a2に移動する場合、スパウト2と袋3を接着する上縁シール部33の剛性が高いため、スパウト付き袋1を搬送しても揺れにくい。逆に、袋3の厚み方向a1に移動する場合は、上縁部のシールを軸にしてスパウト付き袋1が容易に揺れてしまう。このようにスパウト付き袋1が傾かないので、移動中でも正面から撮像できる。
【0053】
上記した実施例1~3によれば、搬送ラインを直線とし、その直線上に工程を並べているので、多重並列可能なスパウト付き袋を増やせることができ、また、工程を終了したスパウト付き袋の排出方向は自由である。さらに、スパウト付き袋はフックの等間隔に従って移動することができるため、各工程の位置はこの間隔に従って設定すれば、正確な移動を確保できるという効果がある。
上記した実施例1~3において、スパウト付き袋1の上側のネック部26に嵌合するフック111aは切り欠きであるが、ネック部26を摘まむ動作を行う機構を有していても良い。
【実施例4】
【0054】
図11に実施例4の充填装置400の構成を示す。実施例1では、搬送ライン110が袋供給装置120から選別機181に排出される全行程中に、スパウト付き袋1の幅方向にスパウト付き袋1を搬送していた。一方、実施例4の充填装置400では、搬送ライン110の移動直線TL上であって、印字装置131とノズル141との間に、スパウト付き袋1を搬送する際の搬送方向をスパウト付き袋1の幅方向a2から、スパウト付き袋1の厚さ方向a1に変換する向き変換部135が設けられている。以下、印字装置131側の搬送ライン110を搬送ライン110a、ノズル141側の搬送ライン110を搬送ライン110bとする。図11Bのように搬送ライン110aの搬送ピッチd1と搬送ライン110bの搬送ピッチd2は互いに異なっており、搬送ライン110bの搬送ピッチd2の方が短い。向き変換部135は、2本(スパウト付き袋1の処理の多重度による)のアーム135aを有しており、各アーム135aがそれぞれスパウト付き袋1を搬送ライン110aから拾い上げて、90度回転させ、搬送ライン110bに移し替える。
【0055】
実施例4によれば、搬送ライン110の全行程においてスパウト付き袋1の幅に搬送ピッチを合わせなくても良いため、幅の広いスパウト付き袋1に対しても搬送ライン110の長さを短くして装置を構成できる。
【0056】
図12は、ドライバ165若しくは166からスクリューキャップ25を排除する機構を示している。スクリューキャップ25がドライバ165若しくは166に残ることは殆ど無いが、キャップ締めが失敗しドライバ165、166にスクリューキャップ25が残ったままとなる事態が発生すると、以降のスパウト付き袋1へのキャップ締めができなくなり、管理者が気付くまで不良品が製造されることになる。
【0057】
図12Aにおいて、ドライバ165若しくは166には、その後ろ側に設けられたシリンダ168による押圧力を、ドライバ165、166の軸心を貫通するプッシュロッド168aによりスクリューキャップ25の頭頂部に伝え、スクリューキャップ25を排除する。プッシュロッド168aは、キャップ締めの際には後退しており、キャップ締めが完了すると押し出される。
【0058】
図12Bにおいては、バネ棒169によりスクリューキャップ25を排除する。バネ棒169は、通常、突出しているがドライバ165若しくは166がスクリューキャップ25に推し当てられたときに後退して復元力を蓄える。ドライバ165若しくは166がキャップ締めを終了し、スクリューキャップ25を押し付ける力を失うと、バネ棒169に蓄えられていた復元力が発現してスクリューキャップ25を排除する。
【0059】
図13は、ノズル141の開閉についての機構を示している。ノズル141は、弁141aをエアシリンダー141bにより開閉するのが一般的であるが、開閉速度にムラがあり、充填量がばらつく問題があった。サーボモータ141c及びその回転運動を線形運動に変換するギア141dを用いることにより、開閉速度のムラを少なくすることができる。
【0060】
図14は、搬送ライン110の多連フック111の動きを実現するリンク機構の一例を示している。多連フック111は、移動直線TLに対して所定距離だけ移動した後、移動直線上から離脱し、移動直線TLを迂回して、元の移動直線TLに沿った位置に復帰する。このような動きの動力源として回転電動機が用いられるが、一般的に単位時間当たり回転数は一定である。移動直線TLを移動する時間と、移動直線TLを離れて再び復帰するまでの時間は、回転電動機の回転数が一定であるので、変更することができなかった。
【0061】
スパウト付き袋1によっては、重量が有りかつ剛性の低いものがある。多連フック111は、移動直線TLを移動する際には、重量が有りかつ剛性の低いスパウト付き袋1を運んでいるのでその揺動を抑止するために、時間をかけて移動することが望ましい。一方、多連フック111が復帰するときにはスパウト付き袋1を運んでいないので、短時間に移動することが望ましい。図14の例においては、電動機としてパルスモータ195を用いる。パルスモータ195には、回転位置検出装置195aが設けられており、所定の回転位置に至ると信号が発せられる。パルスモータ195のコントローラ(図示せず)は、単位時間当たりに発生する駆動パルスの周波数を一回転の中で変更する。すなわち、多連フック111が移動直線TLを移動している最中の周波数に対して、多連フック111が移動直線TLを脱して復帰するまで周波数を高くするように制御する。この結果、移動直線TLを移動する際にはゆっくりと、復帰するときには短時間に運ぶことが可能になる。尚、図14中、g1、g2はリンクの固定端であり、f1、f2、f3は自由端であって、パルスモータ195は、固定端g1に回転力を与える。
【符号の説明】
【0062】
1 スパウト付き袋
2 スパウト
3 袋
21、22、23 フランジ
25 スクリューキャップ
26、27 ネック部
26a、26b 対辺
27a、27b 対辺
30 マガジン
41、51 乗り移りレール
100 充填装置
110 搬送ライン
111 多連フック
112 ホールドバー
120 袋供給装置
121 搬送装置
122 ロボット
131 印字装置
132 カメラ
141 ノズル
142 貯留タンク
144 電磁流量計
145 センサ
151、152 ノズル
161 スクリューキャップ供給装置
165、166 ドライバ
171 重量計
210、211、212 搬送ライン
211a、211b、211c 多連フック
220 袋供給装置
280 分岐設備
300 充填装置
310、311 搬送ライン
311a、311b 多連フック
390 スタック設備
391 乗り移りレール
図1
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図3
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