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特許7163084価格決定装置、プログラム、および価格決定方法
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  • 特許-価格決定装置、プログラム、および価格決定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】価格決定装置、プログラム、および価格決定方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221024BHJP
【FI】
G06Q30/02 318
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018125869
(22)【出願日】2018-07-02
(65)【公開番号】P2020004321
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】519118256
【氏名又は名称】GMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅野 敦夫
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-241993(JP,A)
【文献】特開2002-163437(JP,A)
【文献】特開2000-048259(JP,A)
【文献】特開2009-223456(JP,A)
【文献】特開2002-049812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売対象(商品・サービスを含む)の価格参照元の設定を受け付け、指定競合店として記憶する指定店記憶部と、
前記販売対象の検出に使用する検索情報を受け付けて記憶する検索情報記憶部と、
前記販売対象の価格更新条件を設定する規則設定部と、
ネットワーク上の情報源において前記検索情報の検出を繰り返し、前記販売対象の販売店舗および販売価格を調査して履歴を更新する巡回部と、
前記巡回部の最新履歴に前記指定競合店が存在する場合、前記指定競合店における前記販売対象の前記販売価格を参照価格として抽出する参照価格抽出部と、
前記参照価格抽出部に抽出された前記参照価格を、前記規則設定部が記憶する前記価格更新条件に適用し、前記販売対象の決定価格を求める価格算定部と、
を備える価格決定装置において、
前記規則設定部は、
前記巡回部の履歴に基づいて、前記販売対象の販売店舗数、出荷数量、販売数量、販売価格、ユーザ評価値、レビュー数、入札価格、落札価格、入札数、および購入希望者数の少なくとも一つの市場情報を取得し、前記市場情報に基づいて前記販売対象の売れ行きを推定する推定部と、
推定された売れ行きに応じて、前記価格更新条件を変更する規則制御部と
を有する
ことを特徴とする価格決定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の価格決定装置において、
前記規則設定部は、
前記決定価格を前記指定競合店の前記参照価格と同額に設定する価格更新条件と、
前記決定価格を前記指定競合店の前記参照価格より設定額高く設定する価格更新条件

前記決定価格を前記指定競合店の前記参照価格より設定額安く設定する価格更新条件

前記決定価格を前記指定競合店の前記参照価格に設定率を乗じた額に設定する価格更
新条件と
をユーザ設定により切り替える
ことを特徴とする価格決定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の価格決定装置において、
前記巡回部は、
ネットワーク上の情報源において前記検索情報の検出を繰り返し、前記販売対象の販売店舗および販売価格に加えて、前記販売対象のポイント情報を調査して、履歴を更新し

前記参照価格抽出部は、
前記巡回部の最新履歴に、前記ポイント情報を有する前記指定競合店が存在する場合
、前記指定競合店の前記販売価格から前記ポイント情報の換算額を減算するポイント減算
を行い、前記ポイント減算した後の価格を実質参照価格として抽出し、
前記価格算定部は、
前記参照価格を前記価格更新条件に適用して決定価格を求め、前記実質参照価格を前
記価格更新条件に適用して実質決定価格を求め、前記決定価格と前記実質決定価格との差
額に基づいて前記販売対象の決定ポイント情報を求める第1算定部と、
前記実質参照価格を前記価格更新条件に適用して実質決定価格を求め、予め設定され
た決定ポイント情報の換算額と前記実質決定価格とを加算して決定価格を求める第2算定
部とを備える
ことを特徴とする価格決定装置。
【請求項4】
請求項に記載の価格決定装置において、
前記価格算定部は、
前記販売対象にポイントを付けない場合の決定価格を求め、
ポイントを付けた場合の決定価格および決定ポイント情報と、
ポイントを付けない場合の決定価格と、
の一方または両方を出力する
ことを特徴とする価格決定装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の価格決定装置において、
前記参照価格抽出部は、
前記参照価格またはその価格変動について、正常か異常かを判定し、
前記価格算定部は、
前記参照価格抽出部が前記異常を判定すると、前記決定価格の変更を抑制し、異常価
格による誤誘導を防ぐ
ことを特徴とする価格決定装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の価格決定装置において、
前記検索情報記憶部は、
前記販売対象の検出に使用する検索情報に、前記販売対象に一意に付与される識別コ
ードを含み、
前記巡回部は、
前記識別コードをコードデータベースに照会して、前記販売対象について、事業者、
品番、商標、カテゴリ、関連ワード、除外ワード、仕様、性能、色、寸法、重量、形状、
宣伝文句、シリーズ名、バージョン、販売業者、希望小売価格、および販売開始日の少な
くとも一つの収集情報を取得して前記検索情報に追加する情報収集部と、
ネットワーク上の情報源において検出された検出ワード群から前記検索情報の関連ワ
ードを除外し、前記販売対象の販売店舗および販売価格を抽出するフィルタ処理を施すフ
ィルタエンジン部を備える
ことを特徴とする価格決定装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の価格決定装置において、
販売対象(商品・サービスを含む)の価格参照元の設定を受け付け、指定競合店として指定店記憶部に記憶し、
前記販売対象の検出に使用する検索情報を受け付けて検索情報記憶部に記憶し、
前記販売対象の価格更新条件を規則設定部に設定し、
ネットワーク上の情報源において前記検索情報の検出を繰り返し、前記販売対象の販売店舗および販売価格を調査して巡回部の履歴を更新し、
前記巡回部の最新履歴に前記指定競合店が存在する場合、前記指定競合店における前記販売対象の前記販売価格を参照価格抽出部によって参照価格として抽出し、
前記参照価格抽出部に抽出された前記参照価格を、前記規則設定部が記憶する前記価格更新条件に適用し、価格算定部によって前記販売対象の決定価格を求め、
さらに前記規則設定部は、
前記巡回部の履歴に基づいて、前記販売対象の販売店舗数、出荷数量、販売数量、販売価格、ユーザ評価値、レビュー数、入札価格、落札価格、入札数、および購入希望者数の少なくとも一つの市場情報を取得し、推定部によって前記市場情報に基づいて前記販売対象の売れ行きを推定し、
推定された売れ行きに応じて、規則制御部によって前記価格更新条件を変更する
ことを特徴とする価格決定方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1~6のいずれか1項に記載の前記指定店記憶部、前記規則設
定部、前記検索情報記憶部、前記巡回部、前記参照価格抽出部、および前記価格算定部と
して機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、価格決定装置、サービス提供方法、プログラム、および価格決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット上では、EC(電子商取引)サイトやオンラインのショッピングモールなどの仮想店舗が多数開設され、多様な商品やサービスが販売される。
特許文献1には、このようなインターネット上の仮想店舗において、商品の価格を決定する技術が開示される。すなわち、価格比較サイトにおいて所定の順位(例えば2位)を取るように商品の第1価格をまず決定する。その後、商品の成約率が閾値より高くなると第1価格より高く販売価格を変更し、商品の成約率が閾値を下回ると第1価格より低く販売価格を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-81612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターネット上の仮想店舗の中には、知名度や信頼度が高く、顧客がまず最初に購入希望品の価格を調べる有力店舗がいくつか存在する。これら有力店舗における商品の販売価格が市場の実質的な基準価格となる。
【0005】
また、顧客が自店舗にアクセスする前後において、高頻度で訪れる仮想店舗(ライバル店)も存在する。これらライバル店の価格は、自店舗の価格の比較基準となる。
【0006】
そのため、有力店舗やライバル店よりも僅かでも安値になれば自店舗の成約率は高まる。さらに、自店舗の価格は安定して安いという評判が高まれば、自店舗への再訪率や来訪率は高まる。
逆に、有力店舗やライバル店よりも明らかに高値の設定であれば自店舗の成約率は低くなる。さらに、自店舗の価格は高くて期待外れとの評判が広まることにより、自店舗への再訪率や来訪率は下がってしまう。
【0007】
しかしながら、特許文献1には、このような有力店舗やライバル店に照準を合わせた価格対策について開示がない。
そこで、本発明は、有力店舗やライバル店といった指定競合店に照準を合わせた価格対策の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様である価格決定装置は、販売対象(商品またはサービス)の価格参照元の設定を受け付けて指定競合店として記憶する指定店記憶部と、販売対象の検出に使用する検索情報を受け付けて記憶する検索情報記憶部と、販売対象の価格更新条件を設定する規則設定部と、ネットワーク上の情報源において検索情報の検出を繰り返して販売対象の販売店舗および販売価格を調査して履歴を更新する巡回部と、巡回部の最新履歴に指定競合店が存在する場合、指定競合店における販売対象の販売価格を参照価格として抽出する参照価格抽出部と、参照価格抽出部に抽出された参照価格を規則設定部が記憶する価格更新条件に適用して販売対象の決定価格を求める価格算定部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、指定競合店に対応した価格決定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の構成を説明する図である。
図2】本実施形態の動作を説明する流れ図(1/3)である。
図3】本実施形態の動作を説明する流れ図(2/3)である。
図4】本実施形態の動作を説明する流れ図(3/3)である。
図5】フィルタエンジン部32の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施形態を説明する。
【0012】
1.構成説明
図1は、価格決定システム1の構成を説明する図である。
価格決定システム1は、ユーザ端末100および価格決定装置200を、ネットワークNを介して通信可能に配置して構成される。この価格決定装置200は、情報源400および価格提示先500とも、ネットワークNを介して通信を行う。
【0013】
ユーザ端末100を操作するユーザは、商品やサービス(以下、販売対象という)の販売者または販売代理者であり、価格提示先500の自店舗のサイトや価格比較サイトやネット広告や商品レビューなどに販売対象の価格を提示する者である。ユーザ端末100は、ブラウザソフトなどを介して、価格調査GUI82および価格更新GUI83を表示することで、このユーザからの操作を受け付ける。
【0014】
価格決定装置200は、指定店記憶部21、検索情報記憶部22、規則設定部23、巡回部24、参照価格抽出部25、価格算定部26、および更新操作部27から構成される。
この巡回部24は、情報収集部31、フィルタエンジン部32、および調査履歴33を内部に備える。
また、規則設定部23は、推定部35、および規則制御部36を内部に備える。
さらに、価格算定部26は、第1算定部37、および第2算定部38を内部に備える。
この価格決定装置200を構成する個々の機能は、ハードウェア構成によって実現してもよい。また、サーバ装置(コンピュータ)上でプログラムを実行することにより実現してもよい。この場合のサーバ装置は、単体でもよいし、複数のサーバ装置を用いて役割分担をしてもよい。
【0015】
ネットワークN上の情報源400は、販売対象の情報や、他店舗の情報を収集するための情報源である。例えば、情報源400としては、JANコードデータベース41、オンラインのショッピングモール42、販売店サイト43、商品紹介サイト44、価格比較サイト45、商品レビュープログ46、オークションサイト47がある。また、価格等の情報をネットワーク公開している実店舗を情報源400に加えてもよい。さらに、ブログなどに貼り付けられるネット広告を情報源400に加えてもよい。
【0016】
また、ネットワークNを介して連携する価格提示先500は、自店舗の販売対象の決定価格を提示する先である。この価格提示先500は、価格決定システム1のユーザ登録時や価格提示先500が新たに増えた場合にユーザにより登録される。
例えば、この価格提示先500としては、オンラインのショッピングモール52、販売店サイト53、商品紹介サイト54、価格比較サイト55、商品レビューブログ56、オークションサイト57がある。
また、価格等の情報をネットワークNから書き換え可能な実店舗を価格提示先500に加えてもよい。
さらに、ブログなどに貼り付けられるネット広告を価格提示先500に加えてもよい。
なお、情報源400と価格提示先500では一部が重複してもかまわない。また、オークションサイト57の場合は、ユーザ(出品者)が価格を決定できないため、決定価格は入札のスタート額や、最低落札額を決める場合に使用される。
【0017】
2.動作説明
図2~4は、価格決定システム1の動作を説明する流れ図である。
以下、図2~4に示すステップ番号に沿って、価格決定システム1(価格決定装置200)の動作を説明する。
【0018】
ステップS101: ユーザは、ユーザ端末100のブラウザプログラム上において、価格決定装置200のURL(Uniform Resource Locator)やIPアドレスを介して、価格決定装置200にアクセスし、ログイン操作を行う。
【0019】
ステップS102: 価格決定装置200は、ユーザ端末100からのログイン操作に応えて、ユーザ端末100との連携を開始する。
【0020】
ステップS103: 価格決定装置200は、ユーザ端末100に対して、価格調査のページを返信する。
【0021】
ステップS104: ユーザ端末100は、価格決定装置200から受信した価格調査のページをユーザに対して表示し、価格調査GUI82とする。この価格調査GUI82は、例えばHTML等で記述され、インプットタグなどのUI(ユーザインターフェース)を介して、ユーザによる価格調査のための操作を受け付ける。
まず、ユーザは、価格調査GUI82を操作して、自店舗で販売する(販売している)販売対象について、ネットワーク上で同種の販売対象を検索するための検索情報を設定する。検索情報としては、フリーキーワードなどの商品情報、日時や期間や言語などの検索条件、販売対象に一意に付与される識別コード(ここではJANコード)が含まれる。
【0022】
ステップS105: 続いて、ユーザは、価格調査GUI82を操作して、有力店舗やライバル店を指定競合店として設定する。この指定競合店は、一つでも複数でもよい。
【0023】
ステップS106: ユーザが価格調査GUI82上で確定操作を行うまで、ユーザ端末100は動作をステップS104に戻して、検索情報および指定競合店の設定受け付けを繰り返す。一方、ユーザが価格調査GUI82上で確定操作を行うと、ユーザ端末100は検索情報および指定競合店の情報を価格決定装置200に送信し、ステップS107に動作を移行する。
【0024】
ステップS107: 価格決定装置200は、ユーザ端末100から送信された検索情報および指定競合店の情報を、検索情報記憶部22および指定店記憶部21にそれぞれ格納する。
【0025】
ステップS108: 情報収集部31は、検索情報記憶部22からJANコードを取得し、このJANコードをJANコードデータベース41に照会する。JANコードは、事業者コードとアイテムコードとパリティビットとからなり、色違いの商品にも異なるJANコードが予め付与される。そのため、このJANコードをJANコードデータベース41に照会することにより、販売対象を一意に特定して販売対象に関する正確な収集情報を得ることができる。
【0026】
この収集情報には、販売対象についての情報として、事業者、品番、商標、カテゴリ、関連ワード、除外ワード、仕様、性能、色、寸法、重量、形状、宣伝文句、シリーズ名、バージョン、販売業者、希望小売価格、および販売開始日などの内、いくつかの情報が含まれる。
これらの収集情報は、検索情報記憶部22の検索情報に、重複内容を除いて追加される。
【0027】
ステップS109: 巡回部24は、ネットワーク上の情報源400を巡回しながら、検索情報記憶部22に設定された検索情報(収集情報を含む)について検出を繰り返す。
巡回部24は、巡回中に検出された検索情報の前後の検出ワード群を抽出する。この場合、検索対象がHTML等の書式付きの文書であれば、見出しタグや項目タグなど文書構造の区切りや段落やまとまりを目安にして検出ワード群を抽出することが好ましい。
【0028】
図5に示すT1は、この検出ワード群の一例である。この例では、検索情報として品番『ABCD-100』の他に、JANコードの照会により検索情報に追加された収集情報(性能や仕様)を含むように、検索ワード群が抽出されている。
巡回部24は、検出ワード群を調査結果として検索日時のタイムスタンプと共に調査履歴33に逐次記憶する。
【0029】
ステップS110: フィルタエンジン部32は、検出ワード群から販売対象の販売店舗および販売価格を抽出するフィルタ処理を、次の処理手順で実施する。
【0030】
まず、フィルタエンジン部32は、検出ワード群(図5T1)と検索情報とを対比して、検出ワード群に含まれる検索情報の関連ワードを抽出する。
図5に示すT2は、検出ワード群から抽出された関連ワードである。通常、検索情報には販売店舗や販売価格やポイント情報や送料などの状況変動する情報は含まれないため、関連ワードには販売店舗や販売価格やポイント情報や送料は含まれない。
【0031】
続いて、フィルタエンジン部32は、検出ワード群から関連ワードを除外する。
図5に示すT3は、関連ワードを除外処理した検出ワード群である。この除外処理により、余分なワード群が除かれて、販売店舗や販売価格やポイント情報や送料が残存する。
【0032】
さらに、フィルタエンジン部32は、除外処理後の検出ワード群から、販売店舗、販売価格、および送料の情報を抽出する。
このような価格関連の抽出には価格の正規化表現(通貨記号とカンマと数字の連続)による抽出や、『特価』『セール価格』『送料』などの価格関連ワードの近傍を探索するなどの方法が好ましい。
また、販売店舗については、登録済みの店舗名のデータベースと照合するなどの方法が好ましい。
図5に示すT4は、抽出された販売店舗、販売価格、ポイント情報、および送料の一例である。
【0033】
ステップS111: 巡回部24は、ネットワークを巡回して収集した販売対象の(販売店舗,販売価格,ポイント情報,送料)のデータ群を調査履歴33の最新履歴に追加する。
【0034】
ステップS112: 参照価格抽出部25は、調査履歴33の最新履歴を抽出して、価格調査の結果としてユーザ端末100に返信する。ユーザ端末100は、この価格調査の結果を価格調査GUI82に一覧表示する。
【0035】
ステップS113: ユーザは、この価格調査の結果を確認しながら価格調査の良否を判断する。不具合がなければ、ユーザは価格調査GUI82上において価格調査の設定完了の操作を行う。この完了操作により、価格決定装置200はステップS115に動作を移行する。
【0036】
ステップS114: 一方、価格調査の数が少ない、価格調査の検索に誤りが有るなどの場合、ユーザは検索情報を入れ替えたり、追加したりといった修正操作を行う。この修正操作により、価格決定装置200はステップS107に動作を戻す。
【0037】
ステップS115: 参照価格抽出部25は、調査履歴33から最新履歴を抽出し、販売対象の(販売店舗,販売価格,ポイント情報,送料)のデータ群を取得する。参照価格抽出部25は、これらデータ群の中から指定競合店の情報を探索し、指定競合店の販売価格を参照価格として抽出する。また、指定競合店がポイント情報を付与している場合は、ポイント情報も抽出する。なお、データ群の中に指定競合店が複数存在した場合は、指定競合店の販売価格の内の最低額を参照価格にしてもよい。
【0038】
ステップS116: ユーザ端末100は、指定競合店の参照価格を価格調査GUI82に表示する。
【0039】
ステップS117: 価格調査のみが目的のユーザは、ここで価格調査GUI82の終了操作を行う。この終了処理により、ユーザ端末100はステップS118に動作を移行する。
一方、価格の自動更新を所望するユーザは、価格調査GUI82上において価格更新への移行操作を行う。この移行操作により、価格決定装置200はステップS119に動作を移行する。
【0040】
ステップS118: ユーザ端末100はログアウト処理を行って、価格決定装置200との連携を解除する。以上の一連の動作により価格調査が完了する。
【0041】
ステップS119: 価格決定装置200は、価格更新への移行操作に応えて、価格更新のページをユーザ端末100に返信する。
【0042】
ステップS120: ユーザ端末100は、価格決定装置200から送信された価格更新のページをユーザに表示し、価格更新GUI83とする。
この価格更新GUI83において、ユーザが価格更新の実行開始の起動操作を行うと、ユーザ端末100はステップS125に動作を移行する。
一方、ユーザが価格更新GUI83において価格更新の設定操作を開始すると、ユーザ端末100はステップS121に動作を移行する。
【0043】
ステップS121: ユーザは、価格更新GUI83を介して、通常の売れ行きに際して適用する価格更新条件を設定する。
例えば、ユーザは、価格更新条件を次の四つの選択肢から選ぶ。
(1)参照価格と同額にする。
(2)参照価格よりもnだけ高くする。
(3)参照価格よりもnだけ安くする。
(4)参照価格のp%倍とする。
続いて、ユーザは、価格更新条件に必要なパラメータnまたはpの数値を設定する。
【0044】
ステップS122: 次に、ユーザは、価格更新GUI83を介して、売れ行きが多い場合に適用する価格更新条件を設定する。なお、設定項目はステップS121と同じため重複説明を省略する。
【0045】
ステップS123: さらに、ユーザは、価格更新GUI83を介して、売れ行きが少ない場合に適用する価格更新条件を設定する。なお、設定項目はステップS121と同じため重複説明を省略する。
【0046】
ステップS124: ユーザは、ポイントの扱い方として、第1算定部(ポイント連動式)と、第2算定部(ポイント固定式)のどちらかを選択する。
さらに、ユーザは、販売対象の最低価格を設定する。
以上の設定操作を完了すると、ユーザ端末100はステップS120に動作を戻す。
【0047】
ステップS125: 規則設定部23は、ユーザ端末100からステップS121~S124の一連の設定情報を取得して登録する。なお、これら設定情報がない場合、規則設定部23はユーザによる前回の設定情報、またはデフォルトの設定情報を登録する。
【0048】
ステップS126: 巡回部24は、ネットワーク上の情報源400を巡回しながら、検索情報記憶部22に設定された検索情報(収集情報を含む)について検出を繰り返し、検出ワード群を抽出する。
【0049】
ステップS127: フィルタエンジン部32は、検出ワード群から販売対象の販売店舗および販売価格を抽出するフィルタ処理を実施する。なお、フィルタ処理についてはステップS110と同様であるため、ここでの重複説明を省略する。
【0050】
ステップS128: 巡回部24は、ネットワークを巡回して収集した販売対象の(販売店舗,販売価格,ポイント情報,送料)のデータ群を調査履歴33の最新履歴に追加する。
【0051】
ステップS129: 推定部35は、調査履歴33に基づいて、販売対象の販売店舗数、出荷数量、販売数量、販売価格、ユーザ評価値、レビュー数、入札価格、落札価格、入札数、および購入希望者数などのいくつかの市場情報を取得する。これらの市場情報が高いまたは上昇傾向にあるほど、推定部35は販売対象の売れ行きが高いと推定する。逆に、これらの市場情報が低いまたは下降傾向にあるほど、推定部35は販売対象の売れ行きが低いと推定する。
【0052】
ステップS130: 規則制御部36は、売れ行きの推定結果に応じて、通常時/売れ行き(多)/売れ行き(少)の3通りの価格更新条件から一つを選択し、今回使用する価格更新条件とする。
【0053】
ステップS131: 参照価格抽出部25は、調査履歴33から最新履歴を抽出し、販売対象の(販売店舗,販売価格,ポイント情報,送料)のデータ群を取得する。参照価格抽出部25は、これらデータ群の中から指定競合店の情報を探索し、指定競合店の販売価格を参照価格として抽出する。また、指定競合店がポイント情報を付与している場合は、ポイント情報も抽出する。なお、データ群の中に指定競合店が複数存在した場合は、指定競合店の販売価格の内の最低額を参照価格にするなどのルールを予め定めておくことが好ましい。
【0054】
ステップS132: 参照価格抽出部25は、参照価格またはその価格変動が正常か異常かを判定する。例えば、参照価格抽出部25は、『参照価格が異常に高い』、『参照価格が異常に安い』、『参照価格が短期間に異常な値動きを示した』といったケースを異常と判定し、それ以外のケースを正常と判定する。
価格算定部26は、異常との判定に対して、ステップS126に動作を戻す。この動作により、異常な参照価格による決定価格の誤誘導を防ぐ。
一方、価格算定部26は、正常との判定に対して、決定価格の算定を開始するため、ステップS141に動作を移行する。
【0055】
ステップS141: 価格算定部26は、参照価格からポイント分を減算して、実質参照価格を求める。このポイント分は、ポイント情報を金額に換算した換算額に相当する。
【0056】
ステップS142: 価格算定部26は、ステップS130で売り行きに応じて選択した価格更新条件に実質参照価格を適用し、実質決定価格を求める。例えば、価格更新条件が『参照価格よりも1円安く』であれば、実質参照価格より1円安く実質決定価格が決定される。
【0057】
ステップS143: 価格算定部26は、ポイントの扱いに応じて動作を分岐する。すなわち、第1算定部(ポイント連動式)の場合はステップS144に動作を移行する。また、第2算定部(ポイント固定式)の場合はステップS145に動作を移行する。
【0058】
ステップS144: 第1算定部37は、ステップS130で売り行きに応じて選択した価格更新条件に参照価格を適用し、決定価格を求める。この決定価格が最低価格(ステップS124で設定)を下回る場合、決定価格は最低価格に設定される。
第1算定部37は、決定価格と実質決定価格の差を決定ポイント分とし、この決定ポイント分を逆換算して決定ポイント情報を求める。このような処理の後に、価格算定部26はステップS146に動作を移行する。
【0059】
ステップS145: 第2算定部38は、販売対象に対して自店舗で固定的に付与する決定ポイント情報を所定のポイント付加ルールに基づいて決定し、その決定ポイント情報を金額換算して決定ポイント分を求める。第2算定部38は、実質決定価格に決定ポイント分を加算して、決定価格を求める。この決定価格が最低価格(ステップS124で設定)を下回る場合、決定価格は最低価格に設定される。
【0060】
ステップS146: 価格算定部26は、決定価格から『決定ポイント分×α』を減算し、ポイントを付けない場合の決定価格を求める。ここで、αは通常『1』未満の正の数に設定される。
【0061】
ステップS147: 更新操作部27は、価格提示先500にアクセスして、販売対象の価格更新を行う。
この場合、更新操作部27は、価格提示先500の価格表示の態様に応じて、次の(1)(2)のどちらかを選択して、価格更新を実施する。
(1)決定価格と決定ポイント情報
(2)ポイント無しの決定価格
なお、価格提示先500の価格表示の態様によっては、(1)(2)の両方を選択肢として提示して、消費者が(1)(2)のどちらかを選択可能にすることもできる。
以上の動作の後、価格決定装置200はステップS126に動作を戻すことにより、価格決定装置200は定期的な巡回調査と価格更新を自動的に繰り返す。
【0062】
3.実施形態の補足事項
なお、実施形態では、価格と送料とを別に扱っているが、価格を送料込み価格として扱ってもよい。その場合、送料込み価格として指定競合店に照準を合わせた価格決定を実現することができる。
【0063】
なお、有力店舗であれば、毎回変更されないためデフォルト設定で指定競合店に設定してもよい。また、ライバル店であれば、自店舗へのアクセス前後に訪れる仮想店舗の履歴をとり、履歴から頻度の一定以上高い(又は最も高い)仮想店舗を自動選別して、指定競合店に自動設定してもよい。このようにすれば、ユーザに設定の手間をかけずに、適切な指定競合店の自動設定が可能になる。
【0064】
また、価格更新に際して、比較基準として指定競合店の参照価格を価格提示先500に提示することも好ましい。この場合、指定競合店の店名にはついては伏字(○○電機など)や仮の名前(A店、B店など)にすることがなお好ましい。
【0065】
なお、巡回結果のデータ群の中に指定競合店が存在しない場合は、参照価格抽出部25は、有力店舗やライバル店の候補に優先順位をつけた配列データ(リスト)にデータ群を照合することにより、データ群の中から次点となる指定競合店を自動的に探索してもよい。この場合、販売対象の在庫変動により指定競合店が激しく入れ替わる状況であっても、指定競合店を自動的に選び直すことが可能になる。
【0066】
4.実施形態の効果
【0067】
(1)実施形態では、指定競合店に照準を合わせた価格決定の自動化が可能になる。
【0068】
(2)この指定競合店に、有力店舗を設定することにより、有力店舗に照準を合わせた価格決定の自動化が可能になる。一般に、有力店舗は、知名度や信頼度が高く、顧客がまず最初に購入希望品の価格調査を行うため、有力店舗の価格は、市場における基準価格となる。
そのため、この基準価格(有力店舗の価格)よりも僅かに安値に自店舗の価格を自動決定することにより、収益の減少を僅かに抑えつつ、自店舗の成約率を高めることができる。また、自店舗の価格に対する顧客の期待度が高まることにより、自店舗への再訪率や来訪率が高まる。
また、有力店舗の価格に対してかけ離れて高値にならないように自店舗の価格を自動決定することにより、自店舗の成約率が極端に下がることがなくなる。
【0069】
(3)また、この指定競合店に、ライバル店を設定することにより、ライバル店に照準を合わせた価格決定の自動化が可能になる。一般に、ライバル店は、顧客が自店舗にアクセスする前後に訪れる仮想店舗である。そのため、ライバル店の価格は、顧客が価格を判断する上での比較基準となる。
そのため、比較基準(ライバル店の価格)よりも僅かに安値に自店舗の価格を自動決定することにより、収益の減少を僅かに抑えつつ、自店舗の成約率を高めることができる。また、自店舗の価格に対する顧客の期待度が高まることにより、自店舗への再訪率や来訪率が高まる。
また、ライバル店の価格に対してかけ離れて高値にならないように自店舗の価格を自動決定することにより、自店舗の成約率が極端に下がることがなくなる。
【0070】
(4)本実施形態では、価格更新条件として、同額、nだけ高く、nだけ安く、p%にする といった4パターンが選択できる。さらに、パラメータn,pの数値を設定することもできる。この組み合わせにより、価格更新条件を簡単でありながら詳細に設定することができる。
【0071】
(5)本実施形態では、販売対象の売れ行きを推定し、その売れ行きに応じて価格更新条件を自動的に変更する。
したがって、売れ行きが下がっていると推定された場合に、より安値方向の価格更新条件に自動的に切り替わることにより、成約率の低下を抑えることが可能になる。
また、売れ行きが上がっていると推定された場合には、安値方向の価格更新条件から同額方向または高値方向の価格更新条件に自動的に切り替わることにより、収益を上昇させることが可能になる。
【0072】
(6)本実施形態では、ポイント連動式の自動価格決定と、ポイント固定式の自動価格決定とを選択することができる。ポイント連動式であれば、決定価格の変動を抑えることができるため、自店舗にとって直近の収益変動を抑えることが可能になる。また、ポイント固定式であれば、ポイントが変動しないため、自店舗にとって将来の負担変動を抑えることができる。
【0073】
(7)さらに、本実施形態では、ポイントを付けない場合の価格を自動決定することもできる。ポイントが不要な顧客に対して、指定競合店よりも更に安い価格決定が可能となるため、成約率を一段と高めることが可能になる。
【0074】
(8)本実施形態では、指定競合店の価格やその価格変動が異常か否かを自動的に判定し、異常な場合は決定価格の変更を抑制する。そのため、指定競合店の誤った異常価格に対して、自店舗の価格が誤誘導されることがない。
【0075】
(9)本実施形態では、販売対象に一意に付与される識別コード(例えばJANコード)を用いて販売対象の情報を自動的に収集して、検索情報に追加する。そのため、検索情報が一段と詳細となり、巡回部における販売対象の検索精度を高めることができる。
【0076】
(10)本実施形態では、識別コード(例えばJANコード)を用いて検索情報を詳細にした上で、検出ワード群から検索情報の関連ワードを除外して、販売対象の販売店舗、販売価格、ポイント情報、および送料を抽出する。そのため、販売対象の販売店舗、販売価格、ポイント情報、および送料をより適切に抽出することが可能になる。
【符号の説明】
【0077】
N…ネットワーク、1…価格決定システム、21…指定店記憶部、22…検索情報記憶部、23…規則設定部、24…巡回部、25…参照価格抽出部、26…価格算定部、27…更新操作部、31…情報収集部、32…フィルタエンジン部、33…調査履歴、35…推定部、36…規則制御部、37…第1算定部、38…第2算定部、41…JANコードデータベース、42…ショッピングモール、43…販売店サイト、44…商品紹介サイト、45…価格比較サイト、46…商品レビュープログ、47…オークションサイト、52…ショッピングモール、53…販売店サイト、54…商品紹介サイト、55…価格比較サイト、56…商品レビューブログ、57…オークションサイト、82…価格調査GUI、83…価格更新GUI、100…ユーザ端末、200…価格決定装置、400…情報源、500…価格提示先
図1
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図5