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特許7163099エネルギー管理装置、モデル管理方法及びコンピュータプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】エネルギー管理装置、モデル管理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20221024BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20221024BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G06N20/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018151867
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020027432
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-02-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】福島 亜梨花
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸洋
(72)【発明者】
【氏名】愛須 英之
(72)【発明者】
【氏名】下川 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】柴田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】加納 誠
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-086896(JP,A)
【文献】特開2018-072083(JP,A)
【文献】特表2017-509103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G06N 3/00 - 3/12
G06N 7/08 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記予測部は、前記第1分類ルールを用いて前記移動体に関する消費エネルギー量の第1予測を行い、前記第2分類ルールを用いて前記移動体に関する消費エネルギー量の第2予測を行い、
前記モデル更新管理部は、前記消費エネルギー量の実績値に基づき前記第1予測と前記第2予測との性能を評価し、前記第2予測の性能が前記第1予測の性能よりも高い場合に、前記第2分類ルールを前記移動体に関する消費エネルギー量の予測に用いることを決定し、前記第1予測の性能が高い場合に、前記第1分類ルールを前記移動体に関する消費エネルギー量の予測に用いることを決定する
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予測部は、前記第2分類ルールの生成後に取得された前記移動データを用いて前記第1予測および前記第2予測を行う
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測部は、前記第2分類ルールの生成前に取得された前記移動データをさらに用いて前記第1予測および前記第2予測を行う
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1分類ルールは、決定木であり、前記決定木の複数の末端ノードには前記複数の第1予測モデルが対応づけられており、前記決定木の前記複数の末端ノード以外のノードには前記複数の第1条件が対応づけられており、または、
前記第2分類ルールは、決定木であり、前記決定木の複数の末端ノードには前記複数の第2予測モデルが対応づけられており、前記決定木の前記複数の末端ノード以外のノードには前記複数の第2条件が対応づけられている
請求項1~のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記複数の第1予測モデルのうちの少なくとも1つ、または前記複数の第2予測モデルのうちの少なくとも1つは、複数のタイプのモデルの総和である
請求項1~のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記移動体の移動状況に関する情報は、前記移動体の動作状況と、前記移動体の特性と、前記移動体の移動環境とを表す値を含む
請求項1~のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
移動体の移動状況を表す複数の特徴量を含む移動データを取得する第1ステップと、
前記少なくとも1つの特徴量に関する複数の第1条件と、消費エネルギー量の複数の第1予測モデルとを対応づけた第1分類ルールに基づき、前記移動データが満たす第1条件に対応付いた第1予測モデルを取得し、取得した前記第1予測モデルに基づき、前記移動体の消費エネルギー量の予測値を計算する第2ステップと、
前記移動体の消費エネルギー量の予測値と、前記移動体の消費エネルギー量の実績値との差分に基づき、前記第1分類ルールの更新が必要か否かを判定する第3ステップと、 前記第1分類ルールの更新が必要と判定された場合に、前記前記移動データに基づき、前記少なくとも1つの特徴量に関する複数の第2条件と、複数の第2予測モデルとを対応づけた第2分類ルールを生成する第4ステップと、
を備え、
前記第3ステップは、前記第1分類ルールの更新が必要でないと判定した場合に、前記移動データに基づき前記複数の第1予測モデルの少なくともいずれかの更新が必要か否かを判定し、
前記第4ステップは、前記複数の第1予測モデルの少なくともいずれかの更新が必要であると判定された場合に、前記移動データに基づき、前記更新が必要であると判定された前記第1予測モデルに代わる第3予測モデルを生成する、 情報処理方法。
【請求項9】
移動体の移動状況を表す複数の特徴量を含む移動データを取得する第1ステップと、
前記少なくとも1つの特徴量に関する複数の第1条件と、消費エネルギー量の複数の第1予測モデルとを対応づけた第1分類ルールに基づき、前記移動データが満たす第1条件に対応付いた第1予測モデルを取得し、取得した前記第1予測モデルに基づき、前記移動体の消費エネルギー量の予測値を計算する第2ステップと、
前記移動体の消費エネルギー量の予測値と、前記移動体の消費エネルギー量の実績値との差分に基づき、前記第1分類ルールの更新が必要か否かを判定する第3ステップと、 前記第1分類ルールの更新が必要と判定された場合に、前記移動データに基づき、前記少なくとも1つの特徴量に関する複数の第2条件と、複数の第2予測モデルとを対応づけた第2分類ルールを生成する第4ステップと、
をコンピュータに実行させ
前記第3ステップは、前記第1分類ルールの更新が必要でないと判定した場合に、前記移動データに基づき前記複数の第1予測モデルの少なくともいずれかの更新が必要か否かを判定し、
前記第4ステップは、前記複数の第1予測モデルの少なくともいずれかの更新が必要であると判定された場合に、前記移動データに基づき、前記更新が必要であると判定された前記第1予測モデルに代わる第3予測モデルを生成する
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、モデル管理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle:電気自動車)向け情報提供システムは、EVの高速道路(有料道路)利用時に、地図情報を参照し、EVの到達可能範囲を精度良く予測して、ユーザに利用すべきサービス/パーキングエリア(SA/PA)を推奨するシステムである。EVが電欠にならないよう効率よく、充電設備のあるSA/PAを利用できる計画を策定する必要がある。電欠しないようなSA/PAを計画に策定するためにEVの到達可能範囲を推定する必要があるが、EVの到達可能範囲を推定するためにEVの消費電力量の予測モデルが用いられる。
【0003】
EVの消費電力量は、EV自身の基本特性(車種や重量など)やEVの状態(速度、エアコンの利用状況など)に加えて、気象や道路環境などの外部特性によって大きく作用される。劣化などによりEV基本特性が変化し、又は外部特性の変化の影響が大きいと、予測モデルが消費電力量の予測性能が担保できない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-86896号公報
【文献】国際公開第2017/098631号
【文献】特開2018-72083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、高精度な予測を可能とするモデルを生成するモデル管理装置、モデル管理方法およびコンピュータプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態としての情報処理装置は、移動体の移動状況に関する情報に基づき、前記移動体の複数の特徴量を含む走行データを取得する走行状態管理部と、前記複数の特徴量の少なくとも1つに関する複数の第1条件と、消費エネルギー量の複数の第1予測モデルとを対応づけた第1分類ルールと、前記走行データとに基づき、前記移動体の消費エネルギー量の予測値を計算する予測部と、前記移動体の消費エネルギー量の予測値と、前記移動体の消費エネルギー量の実績値との差分に基づき、前記第1分類ルールの更新が必要な否かを判定する予測評価部と、前記第1分類ルールの更新が必要と判定された場合に、前記走行データに基づき、前記複数の特徴量の少なくとも1つに関する複数の第2条件と、複数の第2予測モデルとを対応づけた第2分類ルールを生成するモデル更新管理部とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る情報処理装置のブロック図。
図2】実施形態に係る通信システムを示す図。
図3】経路情報の一例を示す図。
図4】経路情報のネットワーク構造の例を示す図。
図5】トラフィックカウンタ管理情報の例を示す図。
図6】気象情報の例を示す図。
図7】道路管制情報の一例を示す図。
図8】車両情報の一例を示す図。
図9】充電器情報の一例を示す図。
図10】消費電力量を計算する例を示す図。
図11】消費電力量を計算する他の例を示す図。
図12】学習データの一例を示す図。
図13】分類ルールの一例を示す図。
図14】モデル管理部の動作の一例のフローチャート。
図15】モデル管理部の動作の他の例を示すフローチャート。
図16】モデル管理テーブルおよびカテゴリテーブルの例を示す図。
図17】走行データの例を示す図。
図18】EVの電池残量を計算する具体例を説明するための図。
図19】予測評価部の動作の一例のフローチャート。
図20】モデル更新管理部の動作の一例のフローチャート。
図21】モデル更新管理部の動作の他の例のフローチャート。
図22】実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を示すフローチャート。
図23】システム管理画面の例を示す図。
図24】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は、移動体として電気自動車(以下、EV)を例に説明するが、EV以外の移動体でもよい。そのような移動体の例として、電車、ハイブリッド車、燃料電池車、飛行機、ドローン、電動バイク、ディーゼル機関を持つ車、船などがある。
【0009】
EVは、バッテリーの充電電力(充電エネルギー)を使用して、道路を走行し、様々な地点に移動する。本実施形態ではEVの地点として主にEVが充電を行う地点であるエネルギー供給地点を扱う。ただし、本実施形態の地点は、エネルギー供給地点に限られずに、地図上の任意の地点でかわない。例えば自宅でもよいし、飲食店でもよいし、販売店でもよいし、EVのユーザが任意に指定した地点でもよい。
【0010】
EVは、エネルギー供給地点(以下、供給地点または充電地点と記載する)で電力を供給され、供給された電力をバッテリーに蓄積する。EVはバッテリーに蓄積された電力を使用して移動する。EVは、バッテリーの電力が無くなる前に、次の供給地点に移動し、そこで電力の供給を受ける必要がある。このようにEVは、各供給地点で充電を行いつつ、目的地へ移動する。なお、供給地点には1つまたは複数の充電器(エネルギー供給器)が設置されており、EVは、任意の充電器と有線または無線で接続して、電力の供給を受ける。
【0011】
なお、本実施形態では移動体がEVの場合を想定するため、エネルギー供給は充電、供給地点は充電スタンド、エネルギー供給器は充電器になるが、移動体がガソリン車であれば、エネルギー補給を燃料補給、供給地点をガソリンスタンドおよび燃料補給器に読み替えればよい。また、移動体が飛行機またはドローン等であれば、道路を航空路、船であれば航路と読み替えればよい。このようにEV以外の移動体に対しても、本実施形態と同様の処理が可能である。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置のブロック図である。図1の情報処理装置101は、通信部11、ユーザID登録部12、EVナビ利用登録部13、ユーザDB(データベース)14、地図情報管理部15、道路管制情報管理部16、充電器情報管理部17、気象情報管理部18、車両情報管理部19、システムDB20、制御部21を備える。また情報処理装置101は、モデル管理部31、モデルDB32、予測部41、走行状態管理部51、走行管理DB52、予測評価部61、モデル更新管理部71を備えている。その他、情報処理装置は、オペレータが本装置に指示またはデータを入力する入力手段、データをオペレータに表示する表示手段を備えていてもよい。入力手段の例としてキーボード、マウス、タッチパネル、音声入力用のマイク等がある。表示手段の例として、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、CRT(ブラウン管)、及びPDP(プラズマディスプレイ)等がある。本情報処理装置は、高速道路(有料道路)を利用するEVに対してエネルギー供給地点を推奨するEV向け情報提供システムである。本情報処理装置は、一例として施設管理会社または交通管制局などに設置される。ただし、本情報処理装置は、EVに搭載されているカーナビゲーションシステム(以下、カーナビ)等の車載装置に組み込まれてもいし、路側に設置されることも排除されない。路側に配置される場合、オペレータは本情報処理装置をリモート操作してもよい。
【0013】
通信部11は、通信ネットワークを介して、種々の情報装置や種々のサーバ等と通信を行う。
【0014】
図2に情報処理装置101、種々の情報装置、および種々のサーバを備えた通信システムを示す。図2に示すように、情報処理装置101は、通信ネットワーク220を介して、情報装置201A~201Nやサーバ211A~211Nと接続されている。通信ネットワーク220は、有線または無線またはこれらのハイブリッドのネットワークである。通信ネットワーク220は、無線LANのアクセスポイント等の中継装置を含んでいてもよい。
【0015】
情報装置201A~201Nは、例えばユーザが保持している通信端末(スマートフォン、タブレット装置、携帯電話、ノートPC等)や、EVに搭載されているカーナビ等の車載装置、EVが充電を行う供給地点に設置された充電器、ITSスポット(ETC2.0装置)などの通信装置である。情報装置201A~201Nは本情報処理装置とリアルタイムに通信可能である。ETC2.0装置は、通信端末およびカーナビの少なくとも一方と通信可能であり、例えば、複数の所定のスポットに配置される。所定のスポットはITSスポットでもよいし、経路に沿った箇所でもよいし、高速道路のサービスエリア、料金所、建物などでもよい。ETC装置2.0は、給電地点の入口と出口に設けられてもよく、この場合、EVの入場時刻、出場時刻、入場台数および出場台数を検出してもよい。通信端末は、ユーザが運転しているEVの他の乗車者(例えば助手席に座っている人)が操作してもよい。あるいはユーザが通信端末を操作し、他の代行者がEVを運転してもよい。通信端末への入力は手入力でも音声入力でもよい。以下では、情報装置201A~201Nを情報装置201と総称する。
【0016】
サーバ211A~211Nは、地図情報を管理する地図情報管理サーバ、気象情報を管理する気象情報管理サーバ、車両情報を管理する車両情報管理サーバ、充電器情報を管理する充電器情報サーバ、道路管制情報を管理する道路管制情報サーバ等である。ここで挙げた以外のサーバが配置されていてもよい。以下ではこれらのサーバを総称してサーバ211と記載する。
【0017】
ユーザID登録部12は、情報装置201からユーザ登録要求を受信し、本実施形態に係るEV向け情報提供システムのサービス(EVナビサービス)のユーザ登録を行う。例えばユーザは情報装置201を操作して、EVナビサービスのユーザ登録を行うためのアプリケーションまたはウェブページを開き、ユーザID登録部12にアクセスする。ユーザID登録部12は、ユーザの個人情報やユーザが利用するEVの情報(車種、電池容量、バッテリー劣化度、累計走行距離、タイヤの種類等)を取得し、これらをユーザ情報とする。ユーザID登録部12は、ユーザに対してユーザID(EV_ID)を発行し、ユーザIDとユーザ情報とを関連づけて、ユーザDB14に登録する。
【0018】
EVナビ利用登録部13は、情報装置201から利用登録要求を受信し、EVナビサービスを開始するための利用登録を行う。例えば、ユーザは外出時に自宅またはEVの中等で、情報装置201を操作して、EVナビサービスを受けるためのアプリケーションまたはウェブページを開き、情報装置201から、本サービスを受けるために必要な情報を含む利用登録要求をEVナビ利用登録部13に送信する。例えば、走行日時(出発IC(インターチェンジ)の出発予定日時、現在日時、自宅の出発予定日時など)、出発地(高速道路の出発IC等)、目的地(目的IC等)、EVの電池容量(ユーザ登録時に通知済みの場合は省略してもよい)、バッテリー劣化度(ユーザ登録時に通知済みの場合は省略してもよい)、EVの電池残量(エネルギー残量)、エアコン使用状況(オン/オフ、設定モード、温度設定など)、累積走行距離(ユーザ登録時に通知済みの場合は省略してもよい)、タイヤの種類(ユーザ登録時に通知済みの場合は省略してもよい)、乗車人数等の情報を送信する。これらの情報は、情報装置201がカーナビであれば、カーナビに設定されている情報を送信してもよいし、スマートフォン等であればユーザが入力した情報を送信してもよい。取得したこれらの情報を利用登録情報と称する。EVナビ利用登録部13は、今回のサービス利用に対してID(走行ID)を発行し、走行IDを利用登録情報と関連づけて、ユーザDB14に格納し、また後述する走行状態管理部またはモデル管理部またはこれらの両方に通知する。また、本装置は、利用登録後のユーザの情報装置201と通信して、GPSの位置情報、現在時刻、バッテリーの残存電力量(電池残量)、エアコン使用状況等の情報を取得し、後述する走行状態管理部またはモデル管理部またはこれらの両方に通知する。通信のタイミングとして、リアルタイム、一定時間毎のタイミング、ユーザが登録した出発ICなど所定のICを通過したタイミング、本装置が要求を出してその応答を取得するタイミング、サービスエリア/パーキングエリア(SA/PA)に入ったまたは出たまたはタイミング、SA/PAの近くを通過したタイミングなどがある。
【0019】
ユーザDB14は、ユーザID登録部12およびEVナビ利用登録部13により登録される情報を保持する。ユーザDB14は、例えばメモリ装置、ハードディスク装置、SSD装置など、ハードウェア記憶装置である。
【0020】
制御部21は、情報処理装置101の各部を制御することで、情報処理装置101全体の制御を行い、EV向け情報提供システムの動作を実現する。
【0021】
地図情報管理部15は、サーバ211から地図情報を取得し、取得した地図情報をシステムDB20に保持および管理する。地図情報は、地図要素の位置(緯度、経度)やサイズ、範囲等の情報を表した情報である。例えば地図上の各位置に関連づけられた標高情報、各経路(高速道路の各経路、一般道等の各経路)の距離情報、勾配、カーブの角度、路線、方向、KP(キロポスト)、JCT(ジャンクション)の形状、トンネル、明かり部(トンネル以外の場所)、路面の状況(舗装状況等)を含む。また、地図情報は、高速道路における車線数、インターチェンジ(IC)、サービスエリア/パーキングエリア(SA/PA)の場所等を含む。
【0022】
また、地図情報は、上記の地図要素として、供給地点やSA/PA地点、ICやJCT地点の情報を含む。また、地図情報は、供給地点やSA/PA地点、ICやJCT地点間の経路情報として、経路の距離情報および当該経路の所要走行時間の情報を含んでもよい。
【0023】
図3に供給地点間の経路情報の一例を示す。所要走行時間は、過去の計測値の平均でもよいし、距離を所定速度で走行した場合に要する時間でもよい。また、当該経路の走行に要する所要エネルギーや電費の情報でもよい。所要エネルギーや電費は、実績の統計値(平均値、中央値など)でもよいし、計算式またはシミュレーションにより算出した値でもよい。経路情報を、一般的なネットワーク構造で表現してもよい。
【0024】
図4に、経路のネットワーク構造の例を示す。供給地点Q1~Qnを表すノード間が、破線で示すリンクにより結合されている。リンクは、互いに隣接する供給地点同士を結合する。供給地点Q1は、供給地点Q3と、Q2にそれぞれ隣接していることが分かる。また、供給地点Q1から供給地点Q3への経路は1つであり、供給地点Q1から供給地点Q2への経路も1つである。リンクには、当該リンクで結合される両ノードにより表される供給地点間の経路の特性が割り当てられる(図4においては経路の特性の表記は省略されている)。本例では、供給地点のみのネットワーク構造を示しているが、供給地点のほかにSA/PA地点、ICやJCT地点をノードとして含んでもよい。
【0025】
また、地図情報は、各供給地点間の区間に存在するトラフィックカウンタ(TC)を識別するTC管理情報を含んでいてもよい。TCは供給地点間の区間の交通に関する情報を取得する装置である。TCは、上記の地図要素の一例である。
【0026】
図5に、TC管理情報の例を示す。1番目のエントリのデータでは、供給地点Qjと、隣接する供給地点Qj’との区間に、トラフィックカウンタTC、TC、・・・が配置されている。なお、TC、TC、・・・の順序でトラフィックカウンタが配置されている必要はない。
【0027】
地図情報管理部15は一定期間ごとまたはリアルタイムにサーバ211から地図情報の全部または一部を取得し、更新してもよい。
【0028】
気象情報管理部18は、サーバ211から気象情報を取得し、取得した気象情報をシステムDB20に保持および管理する。
【0029】
図6に、気象情報の一例を示す。気象情報は、例えば予め定めた各地域および各日時の気温、降雨有無、降水量、風速、風向、総日射量、降雪量、路面温度、光度、視程(霧)、放射線、ゲリラ豪雨などの情報を含む。気象情報は、過去および現在までの気象情報のほか、将来の予測の気象情報が取得可能な場合は、予測の気象情報を含んでもよい。気象情報管理部18は、サーバ211から一定時間ごとまたはリアルタイムに気象情報を取得してもよい。
【0030】
道路管制情報管理部16は、サーバ211から、各経路(区間)に関する道路管制情報を取得し、取得した情報を、システムDB20に保持および管理する。道路管制情報として、例えば、トラフィックカウンタ(TC)情報、ETC情報(流入台数、流出台数、EVの車種、EVの電池残量など)がある。その他、発生事象に関する情報として、通行止、渋滞、事故、故障車、工事、落下物、火災、災害、速度規制などがある。また、予測情報の例として、渋滞予測、事故発生予測、ゲリラ豪雨予測、土砂災害予測などもある。トラフィックカウンタの設置位置は上記の地図情報(図5参照)において予め分かっている。
【0031】
図7に、トラフィックカウンタ情報の一例を示す。トラフィックカウンタの情報は、例えば速度[km/h]、占有率(オキュパンシー)[%]、交通量[台/h]、車両密度[台/km]などの情報である。速度は、例えば一定時間毎の、平均速度、最高速度、最低速度などである。道路管制情報管理部16は、サーバ211から一定時間ごとまたはリアルタイムに道路管制情報を取得してもよい。また、道路管制情報が更新される毎にサーバ211から道路管制情報を取得してもよい。なお、道路管制情報管理部16は、サーバ211からではなく、トラフィックカウンタから直接、トラフィックカウンタ情報を取得してもよい。行名に時刻、列名にTCのIDが割り当てられている。表の各要素には速度(平均速度)の値が格納されている。以下では主に道路管制情報としてトラフィックカウンタ情報の場合を想定する。
【0032】
車両情報管理部19は、サーバ211から車種ID、EVメーカー、電池容量、電池種類(リチウムイオン電池等)、総重量(EVに定員まで載ったときの重量やEV自体の重さ)、電費、電池劣化速度、発売年等の情報(車両情報)を取得し、取得した情報をシステムDB20に保持および管理する。
【0033】
図8に、車両情報の一例を示す。車種IDは、車種ごとに異なる値を有する。車両情報を管理するサーバ211は、EVメーカーのサーバでもよいし、複数のEVメーカーの車種情報をまとめて管理するサーバでもよい。車両情報管理部19は、サーバ211から一定時間ごとに車種情報を取得してもよい。あるいは、車種情報をサーバ211ではなく、情報装置201から取得してもよい。
【0034】
充電器情報管理部17は、サーバ211から、各供給地点に設置された1つまたは複数の充電器(エネルギー供給器)についての充電器情報を取得する。充電器情報管理部17は、取得した充電器情報をシステムDB20に保持および管理する。充電器情報管理部17は、各供給地点の充電器の数を把握している。
【0035】
図9に、充電器情報の一例を示す。充電器情報は、例えば、充電器で充電を行ったユーザのユーザID(EV_ID)、供給地点ID、開始充電量、終了充電量、充電開始時刻、充電終了時刻を含む。その他、充電効率、充電回数などの情報が保持されてもよい。開始充電量は、充電器での充電開始時刻でEVのバッテリーに蓄積されている電力量である。終了充電量は、充電器での充電終了時刻でEVのバッテリーに蓄積されている電力量である。終了充電量と開始充電量との差分がEVで充電された電力量である。開始充電量および終了充電量の代わりに、開始充電量および終了充電量のいずれか一方と、充電された電力量との情報を充電器情報が含んでもよい。充電器情報は、該当する供給地点におけるエネルギー供給履歴を表す。充電器情報管理部17は、サーバ211から充電器情報を一定時間ごとまたはリアルタイムに取得してもよい。
【0036】
充電器情報管理部17は、充電器情報をサーバ211からではなく、充電器から直接通信により取得してもよい。または、充電器情報(GPSの位置情報と充電した電力量など)をユーザが情報装置201に入力し、情報装置201から充電器情報を充電器情報管理部17が取得してもよい。あるいは、情報装置201(カーナビ等の車載装置)が、充電した電力量の情報をEVから読み出して、充電器情報を情報処理装置101に送信してもよい。
【0037】
同一ユーザについての充電器情報を時系列に用いることで、供給地点間の区間毎の当該ユーザの消費電力量、走行時間および走行速度等を表す消費履歴情報が得られる。走行時間は、一例として、ある供給地点の充電開始時刻から1つ前の供給地点の充電終了時刻を減算することで得られる。走行速度(平均走行速度)は、当該走行時間を当該区間の距離で除算することで得られる。なお、EVと通信して、リアルタイムに走行速度や走行時刻の情報を取得し、EVから取得される情報から走行速度および走行時間を把握する構成も可能である。
【0038】
図10に、消費履歴情報としてある区間の消費電力量を計算する例を示す。ある同一のEVについての充電器情報から、ある区間の移動の消費電力量を計算する例を示す。ある供給地点(1番目のエントリの供給地点)での充電終了時刻に最も近い充電開始時刻を有する別の供給地点(2番目のエントリの供給地点)を、次の供給地点として特定している。すなわち、3つの黒丸で示す供給地点Qj(前回供給地点)のID、3つの△で示す次の供給地点Qj’(次回供給地点)のIDを特定している。また、供給地点Qjでの充電が終了した時刻(前回利用終了時刻)、供給地点Qj’での充電の開始時刻(次回利用開始時刻)、供給地点Qj’での充電を開始するときの充電量(次回開始充電量)、供給地点Qjでの充電が終了したときの充電量(前回終了充電量)を特定している。前回終了充電量から次回開始充電量を減算することにより、供給地点Qjから供給地点Qj’への移動で消費した消費電力量を計算している。
【0039】
図11に、消費電力量を計算する他の例を示す。この例では情報装置(スマートフォン)から取得した情報を用いる。この情報は、ユーザを識別するID(EV_ID)と、GPS情報地点と、充電量とを表している。この場合、ある地点での充電量を、次の地点での充電量から減算することで、消費電力量を計算している。GPS情報地点は、GPSにより取得した座標でもよいし、地図情報において当該座標に対応づけられた場所・施設等の名称でもよい。
【0040】
システムDB20は、上記の各管理部により取得される情報(外部情報と呼ぶ場合がある)を保持する。各管理部により取得される外部情報は、各管理部内のバッファで保持してもよい。バッファは例えばメモリ装置、ハードディスク装置、SSD装置、ハードウェア記憶装置である。また、システムDB20には、オペレーティングシステムや、情報処理プログラム、情報処理に使用される各種のデータが格納されている。オペレーティングシステムは、情報処理装置101の全体的な動作を制御するためのコンピュータプログラムである。情報処理プログラムは、情報処理装置101が後述する情報処理の各機能を実現するためのコンピュータプログラムである。システムDB20は、例えばメモリ装置、ハードディスク装置、SSD装置、ハードウェア記憶装置である。
【0041】
モデル管理部31は、複数の学習データを用いて、EVの予測消費電力量を計算するモデル(予測モデル)を生成する。学習データは、一例として、消費履歴情報(充電器情報)、気象情報、地理情報、車両情報、道路管制情報、情報装置(スマートフォン、カーナビなど)から取得した情報の全部または一部を用いて生成する。これらの情報は、地理情報管理部15、道路管制情報管理部16、充電器情報管理部17、気象情報管理部18、車両情報管理部19、情報装置201から取得する。
【0042】
モデル管理部31は、取得したこれらの情報の全部または一部を対応付けることで学習データを生成する。例えば、ある走行区間(供給地点間の区間)の消費電力量と、当該経路の走行日時の気象情報(温度など)と、ある走行区間の経路の地理情報(距離、勾配など)と、を対応づけて走行データを生成し、これを学習データとする。後述する走行状態管理部51で取得および管理する走行データを学習データとして利用してもよい。ここで学習用に生成する走行データと、走行状態管理部51で管理する走行データは同じでも異なってもよい。
【0043】
図12に、学習データの一例を示す。履歴IDは、学習用データを識別するための識別子である。消費電力量は、走行区間の走行に使用した電力量である。例えば前述の充電器情報(履歴情報)から取得できる。距離は走行した走行区間の距離であり、速度は走行の平均速度である。走行時間は走行区間の走行に要した時間である。電池容量は、EVが搭載しているバッテリー容量(バッテリー総量とも呼ぶ)。エアコン運転有無は、EVが走行中にエアコンをオンしていたか否かである。気温は走行時の気温を示す。また、車種はユーザが登録したEVの種類を示す。ここに示した項目は一例に過ぎず、他の項目が存在してもよいし、図示の項目の一部が存在しなくてもよい。例えば、走行区間を特定する情報や、経路の勾配、湿度、電池残量などが学習データに含まれていてもよい。学習データに含まれる個々の項目は、EVの特徴量に対応する。速度(平均速度)、距離、走行時間、消費電力量、エアコン運転有無等はEVの動作状況を表し、電池残量、電池の劣化度合い等はEVの特性を表し、気温や勾配等は、EVの走行環境を表す。これらはEVの移動状況を表す情報の一例である。
【0044】
なお、EVが供給地点Qjから次の供給地点Qj’へ移動するのに使用した経路(走行区間)は、情報装置201と直接通信して取得した情報(GPS情報等)から特定すればよい。別の方法としてEVが使用した経路を、消費履歴情報と地理情報から推定することも可能である。あるEVにエネルギーを供給した供給地点Qj(例えばQ1)と、当該EVに次にエネルギーを供給した供給地点Qj’(例えばQ6)との間の移動に使用した経路を推定する場合、供給地点Qjから次の供給地点Qj’への最短の移動経路(最短経路)を、移動に使用した経路として推定してもよい。最短経路問題を解く手法として、一般的なダイクストラ法を始め、ベルマン-フォード法、Gabow 法、ワーシャル-フロイド法などを用いることができる。求めた経路は、例えば(Qj,Q4,…,Qj’)のような供給地点リストで表すことができる。
【0045】
上記の学習データの生成は一例に過ぎず、学習データを作成するために使用する情報の種類の組み合わせは任意に定めることができる。EVの車両情報、および当該EVが走行する日時の道路管制情報の少なくとも一方をさらに用いて学習データを生成してもよい。学習データは、例えば過去一定期間の情報を用いて生成する。
【0046】
モデル管理部31は、複数の学習データを分類ルールに従って、複数のグループ(クラスタと呼んでもよい)に分類する。分類ルールは、例えば、走行距離、走行時間、走行速度、電池残量、勾配情報、気温、車種などの少なくとも1つに基づく基準を有する。
【0047】
分類ルールは、モデルDB32に1つまたは複数格納されている。分類ルールは、オペレータの操作によって事前に作成され、モデルDB32に格納されている。分類ルールはオペレータの操作によって更新されてもよい。また、分類ルールは、後述する処理により作成または更新されてもよい。また、複数の分類ルールが格納されている場合、予測に使用する分類ルールを特定するフラグが設定されていてもよい。分類ルールの構造は、決定木、クラスタモデルなど何でもよい。
【0048】
図13に分類ルールの一例を示す。この分類ルールは、決定木の例である。特徴量が割り当てられたノード(非末端ノード)301、302と、グループA、グループB、グループCが割り当てられた末端ノード303、304、305とを含む。ノード301、302には特徴量の条件(分岐条件)が設定されており、満たす分岐条件によって、下位のノードに分岐される。学習データは、このような構造によって最終的に末端ノード303~305に対応するグループA、グループB、グループCのいずれかに分類される。例えば学習データに含まれる走行速度(特徴量)の値が40km/h未満であり、気温(特徴量)が20度未満であれば、学習データは、グループAに分類される。この例では、決定木のノードの特徴量は、走行速度と、気温のみであるが、他の項目(例えば勾配)が特徴量として選択されてもよい。また、決定木の深さは図の例では2であるが、深さは1でも3以上でもよい。後述するように各グループにはそれぞれ予測モデルが対応づけられる。従って、決定木は、特徴量の複数の第1条件と、複数の第1予測モデルとを対応づけた分類ルールである。
【0049】
モデル管理部31は、分類ルールで分類された各グループに属する学習データに基づき、グループ毎に予測モデル(モデルパラメータ)を生成する。モデル管理部31は、生成した予測モデルをモデルDB32に格納する。モデルDB32は、グループ毎の予測モデルを格納する。
【0050】
予測モデルの構築方法は、人工知能、機械学習、ブラックボックスモデリング、物理モデルを定義するようなホワイトボックスモデリングなど、多くの手法がある。ブラックボックスモデリングは、対象の特性が不明の場合、回帰、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン(SVM)または統計などを用いて、モデルリングを行う方法である。ホワイトボックスモデリングは、対象の特性が分かっている場合に、物理モデルなどを定義して行うモデリングである。本実施形態では、一例として、複数のモデルの和による予測モデルを示す。この場合、予測モデルを構成する個々のモデルをサブモデルと呼んでもよい。予測モデルの型は、一般的に以下の式(1)で表すことができる。
【0051】
【数1】
【0052】
^yはi番目のモデルの予測値(出力値)、βはi番目のモデルの重み係数である。LPはモデルの個数である。^yは予測モデルの出力値であり、各サブモデル^yより計算された消費電力量の重み付け合計和である。サブモデルの数は1つでもよい。サブモデルが示す消費電力量の予測値^yは、EVの走行時の区間消費電力量を含む値であり、その他にもサブモデルは、エアコンの消費電力量、ワイパーの消費電力量、カーナビの消費電力量、EVユーザが車内で充電するスマホの充電容量等を含んでもよい。
【0053】
サブモデルの例として回帰モデル、スペックモデル、離散値モデルがある。回帰モデルおよびスペックモデルは、特徴量として連続値を扱う連続値モデルの一例である。離散値モデルは、特徴量として離散値を扱う離散値モデルの一例である。モデル管理部31は、回帰モデルを生成する回帰モデル化手段35、スペックモデルを生成するスペックモデル化手段36、離散値モデルを生成する離散値モデル化手段37を備えている。一例として、^yは回帰モデル、^yはスペックモデル、^yは離散値モデルである。なお、回帰モデルに関して、予測値と真値(実測値)との誤差の標準偏差を考慮して、以下の(1-1)を用いてもよい。
【0054】
【数2】
SDは、予測モデルの予測値と実測値との誤差の標準偏差等の値であり、γは重み係数である。以下の説明では予測モデルの型として(1)を用いるが(1-1)を用いた場合も同様に実施可能である。また、SDは操作オペレータが入力してもよい。
【0055】
モデルが重回帰モデルの場合、基本関数^y=f(x)は、例えば、以下のように表される。
【数3】
【0056】
,w,w,w,…,wが、推定対象となるモデルパラメータである。x,x,x…,xは入力変数(特徴量)である。^yは、出力変数である。なお、各入力変数の測定単位の差を吸収するために、出力変数とすべての入力変数を、平均値0、分散1に正規化してもよい(スケーリング)。入力変数の一例として、距離、所要時間、外気温などがある。これらは、学習データに含まれる項目である。例えば、xは距離、xは所要時間、xは外気温である。入力変数は、学習データに含まれる複数の項目から計算される別の値でもよい。例えば距離を所要時間で除算することにより得られる速度を、入力変数としてもよい。
【0057】
スペックモデルの場合、基本関数^y=f(x)は、以下の式(3)のように表される。wは推定対象となる係数または定数である。xはある特徴量である。^yは、出力変数である。wは固定値(例えば1)でもよい。xは、学習データに含まれる項目の値でもよいし、(2)の回帰モデルの出力値^yでもよい。スペックモデルで計算される消費電力量は、例えば車種や電池容量に依存する。
【数4】
【0058】
(モデル^yが走行による消費電力を表す場合の例)
特徴量xが距離(km)/電費(km/kWh)でもよい。この場合、電費は例えばカタログスペックの値でもよいし、推定すべき係数でもよい。 wが電費比(車種Aの電費/車種Bの電費)、xが車種Bの消費電力量(回帰モデルで求めた値)でもよい。電費比は推定すべき係数でもよい。この場合、モデルが車種Aと車種Bとが属するグループに対応するモデルであることが考えられる。
wがバッテリーの劣化度合い、xが回帰モデルによる消費電力量でもよい。バッテリーの劣化度合いは、例えば、EVのバッテリーのSoH/平均SoHでもよいし、EVの累積走行距離/平均累積走行距離でもよい。SoHは、State-of-Healthであり、バッテリーの劣化度合いを表す指標である。
wがEVと荷物の総重量/EVの総重量(または平均総重量)、xが回帰モデルによる消費電力量でもよい。EVと荷物の総重量/車の総重量(または平均総重量)はカタログ値に基づき決定してもよいし、学習により推定する係数でもよい。EVと荷物の総重量は、例えば、EVに許可された最大の人数と荷物を載せたときの重量である。
【0059】
(モデル^yがエアコンによる消費電力を表す場合の例)
特徴量xがエアコン使用時間(h)であり、係数wは推定すべき係数であり、単位はkWh/hである。
特徴量xが温度差(Δ℃)であり、係数wは推定すべき係数であり、単位はkWh/Δ℃でもよい。
【0060】
(^yがワイパーによる消費電力を表す場合の例)
特徴量xがワイパー使用時間(h)であり、係数wは推定すべき係数であり、単位はkWh/hである。
【0061】
離散値モデルの場合、基本関数^y=f(x)は、以下の式(4)のように表される。
【数5】
例えば、一定の定数として、EVのエアコンの消費電力量=3(kWh)、またはスマートフォン充電量=1(kWh)がある。離散値モデルの場合、Cが推定すべき係数、または定数(カタログスペックの値など)となる。Cの項目は、学習データに含まれる。離散値モデルによる消費電力量は、例えば走行以外で消費される電力量である。定数Cの項目は、特定の車種や季節、路面状態に対応するモデルを生成することが考えられる。特徴量が複数の値を持つ離散値の場合(例えば、特徴量を季節とした春、夏、秋、冬等)、一般的に公知であるダミー変数化を行うことで、2値の離散値と同じように扱うことができる。
【0062】
式(2)のモデルパラメータw、式(3)の係数wは、式(4)の定数Cは、式(1)に対して最尤法または最小二乗法など、公知の最適化アルゴリズムを適用することで求めればよい。
【0063】
モデル管理部31は、各モデル化手段の少なくとも1つを用いて予測モデルを生成する。予測モデル^yはグループごとに生成する。生成した予測モデルは、モデルDB32に格納する。グループごとに予測モデルを構成する各サブモデルの種類が異なってもよい。例えばグループAの予測モデルに含まれる離散化モデルは、エアコンの消費電力量の値であり、グループBの予測モデルに含まれる離散化モデルはスマートフォンの充電量の値でもよい。この場合、サブモデルごとに複数の種類を用意し、サブモデル間で種類の組み合わせを生成し、各組み合わせを評価する。グループごとに最も評価の高い組み合わせを用いればよい。なお少数しか学習データのないグループについては、回帰モデルについても転移学習を利用してもよい。
【0064】
図14は、モデル管理部31の動作の一例のフローチャートである。各グループについて本フローチャートの動作を行う。対象となるグループについて予測モデルの構築方法の候補を1つまたは複数決定する(S101)。構築方法の例として、回帰モデルとスペックモデルと離散値モデルの合計を表すモデル、回帰モデルとスペックモデルの合計を表すモデル、ニューラルネットワークとスペックモデルと離散値モデルの合計を表すモデルなどがある。個々のサブモデルの型をさらに変更することで、より多くの構築方法が考えられる。
【0065】
対象となるグループに属する学習データで新規の予測モデルを構築する(S102)。各構築方法で構築した予測モデルを仮モデルとしてモデルDB32に登録する(S103)。各仮モデルに試用期間を設けるかを判断する(S104)。例えば新規にモデルを構築するときは試用期間を設けず、予測モデルの更新処理を行うときは、試用期間を設けると判断する。また、試用期間は操作オペレータが任意に設定してもよい。これ以外の方法で判断してもよい。
【0066】
試用期間を設けない場合(NO)、仮モデルを、対象となるグループの学習データを用いて評価する(S105)。一例として、仮モデルの出力値と実際の値との誤差(予測誤差)の総和により評価値(モデル評価値)を計算する。最も評価の高い(モデル評価値が最も小さい)仮モデルを予測モデルとして選択する(S106)。選択されなかった仮モデルはモデルDB32から消去してもよい。
【0067】
ここで交差検証法を用いて各仮モデルを生成および評価してもよい。この場合、ステップS102では、対象となるグループに属する学習データをK個(交差数)に分割する。Kは2以上の整数である。そのうちの1つをテストデータとし、残りのK-1個を訓練データとする。訓練データを用いてモデルを構築する。ステップS105では、構築したモデルをテストデータを用いて評価する。K個の分割データをそれぞれテストデータとしてK回、モデルの生成とモデルの評価とを行い、それぞれ評価値(モデル評価値)を計算する。ステップS106では、モデル評価値の統計値(例えば平均値、中央値、分散、四分位、最大値、最小値など)を計算する。統計値に基づき、各仮モデルのうち評価が最も高い仮モデルを、予測モデルとして選択する。評価方法によって、評価が高いほど統計値が大きい場合、評価が高いほど統計値が低い場合がある。
【0068】
一方、ステップS104において、試用期間を設ける場合(YES)、新規の学習データを収集する(S107)。そして、新規に収集した学習データと、過去に取得した学習データとを用いて、各仮モデルを評価する(S108)。評価の方法はステップS105で説明したのと同様であり、評価に試用するデータとして、新規に収集した学習データが用いられる点が異なる。なお、新規に収集した学習データが評価に十分な個数存在する場合は、新規に収集した学習データのみで評価する構成も排除されない。また、上述した交差検証法を用いることも可能である。この際、過去の学習データと新規の学習データが混在しているため、学習データの分割をランダムに行ってもよい。例えば、所定個のテストデータをランダムにサンプリングし、残りを訓練データとすることをK回繰り返し行う。
【0069】
ステップS108での評価では、新規データの重みを高くしてもよい。例えば誤差の総和を計算する際、新規データに対して計算された誤差には、過去のデータに対して計算された誤差よりも大きな重みを乗じる。また、交差検証法を用いる場合は、サンプリングで新規データがテストデータまたは訓練データとして選択される可能性を、過去のデータよりも高くしてもよい。
【0070】
ここで仮モデルのモデル評価値として上記では仮モデルの出力値と実際の値との誤差の総和である例を示したが、これに限定されない。例えば、以下の式(5)で評価してもよい。ここでは回帰式の例を示しているが、回帰モデルとスペックモデルの合計を用いる場合、下記式に、スペックモデルの実際の値と、推定値との差分を、学習データのサンプル数に応じて正規化した値を加算すればよい。
【数6】
【0071】
また、モデル評価値の他の例として、平均二乗誤差(MSE:Mean Squared Error)、平均絶対誤差(MAE:Mean Absolute Error)、R2値(相関係数Rの2乗であり、決定係数と呼ばれることもある)、平均平方二乗誤差(RMSE:Root Mean Square Error)、平均平方二乗誤差率(RMSPE:Root Mean Square Percentage Error)などがある。
【0072】
消費電力量の実測値と予測値との誤差以外の要素も考慮したモデル評価値を定義してもよい。例えば、モデルのデータサイズに一定の係数を乗じ、上記した誤差の総和等の値に、当該乗算値を加算したものをモデル評価値としてもよい。モデルのデータサイズが大きいほど、モデルを用いた予測の演算に時間を要するため、サイズの小さいモデルが選択され易くすることで、演算時間および演算量の低減が期待できる。
【0073】
モデル管理部31は、前述したように予め与えられた分類ルールを用いる他、分類ルールを自動で生成することも可能である。分類ルールを自動で生成する場合は、下記の説明する方法で分類ルールを生成した後、上記した方法で、分類ルールを用いて予測モデルを構築する処理を行う。ここでは分類ルールとして決定木の場合を示すが、これに限定されるものではない。分類ルールを自動で生成する場合、分類ルールの生成と予測モデルの構築とを同時に行う。予測モデルの予測誤差のばらつきを少なくする方向に決定木を繰り返し分割する。ノードを分割とは、当該ノードに複数の子ノードを生成することである。例えばあるノード(親ノード)の分割数を2にするとは、当該ノードに2つの子ノードを生成することである。換言すると、親ノードに属するデータ群を各子ノードに対応するデータ群に分割することである。この場合、親ノードに割り当てる特徴量と、特徴量の値による分岐の条件とを決定する必要がある。親ノードに割り当てる特徴量は学習データに存在する項目でもよいし、学習データにおける複数の項目を演算した項目でもよい。親ノードの分割数は2ではなく、3以上でもよい。
【0074】
ここではあるノードを2つに分割することを繰り返すことで、分類ルール(決定木)を発展させる例を考える。つまり、親グループを2つのグループ(左グループ、右グループ)に分割することで、分類ルールを成長させていく(決定木の深さを深くしていく)。親ノードにどの特徴量を割り当て、分岐の条件となる特徴量の値を決める際に、SDR(Standard Deviation Reduction:標準誤差減少量)を用いる。
【0075】
図15は、モデル管理部31の動作の例を示すフローチャートである。まず分割数を決定する(S201)。ここでは分割数を2とする。分割数は所定値でもよいし、分割対象となるノードに属する学習データの数や学習データに含まれる項目数に応じて決まる値でもよい。
【0076】
SDRが最大になるように、親ノードに割り当てる特徴量と、分岐の条件となる特徴量の値(特徴量の条件)とを決定する(S202)。決定した特徴量の条件で、学習データを2つの子ノード(左子ノード(左グループ)、右子ノード(右グループ))に分割する。SDRは、一例として以下の式(6)で表される。この例では特徴量として消費電力量を用いている。また、親ノードと子ノードに対して先に予測モデルを構築し、その予測値と実測値の誤差をSDRの特徴量としても構わない。
【0077】
【数7】
【0078】
【0079】
条件の候補となる特徴量の値を複数設定し、複数の候補で上記のSDRを計算する。この際、候補は、親ノードに属する消費電力量をソートし、各値すべてを候補としてもよい。最もSDRが大きい特徴量と、特徴量の条件との組を選択する。このようにして親ノードに2つの子ノードを仮生成する。なお、3つ以上に分割する場合も同様にして、SDRを計算できる。なお、3つの分割の場合、条件の候補となる特徴量の値は例えば2つ存在する。
【0080】
生成した決定木を用いて、学習データを複数のグループに分割し、前述した方法で予測モデルを生成し(S203)、予測モデルの評価値(モデル評価値)を計算する。親ノードの予測モデルのモデル評価値と、各子ノードの予測モデルのモデル評価値とに基づき、決定木が分割条件を満たすかを判断する(S204)。例えば、親ノードの予測モデルのモデル評価値が、2つの子ノードの予測モデルのモデル評価値の平均よりも大きければ(モデル評価値が小さいほど評価が高い場合)、当該決定木は分割条件を満たし、そうでなければ分割条件を満たさないと判断する。分割条件を満たす場合(YES)、親ノードの分割を確定する(上記の仮生成した2つの子ノードを採択する)(S205)。ステップS202に戻り、各子ノードをそれぞれ親ノードとして上記と同様の処理を繰り返す。なお、戻ったステップS202で各子ノードに割り当てる候補となる特徴量を決める際は、上位ノード(親ノードを含む)に既に割り当てられた特徴量を除外してもよい。
【0081】
分割条件を満たさない場合は(NO)、仮生成した子ノードを削除し(分割を中止し)、子ノードを仮生成する前の決定木に戻し(S206)、処理を終了する。子ノードごとに再帰的に本処理が行われる結果、複数の決定木が特定され得る。この場合、例えば、これら複数の決定木の中から、決定木を最終的に選択する。例えば子ノードの予測誤差を表す評価値(ルール評価値)を計算する。例えば、予測誤差の平均、中央値、最大値などの統計値を計算する。ルール評価値が最も小さい決定木を選択する。平均を計算する場合に、子ノード(グループ)に属するデータ数に応じて予測誤差に重みを乗じてもよい。また、子ノード(グループ)に属するEVの総バッテリー量(バッテリー容量のEV台数分の合計)を電費で除算した値が大きいグループほど、重みを小さくしてもよい(除算値が大きいほど電欠しにくいことを意味する)。また、予測誤差が閾値より大きい子ノードの個数をカウントし、当該個数が最も小さい決定木を選択してもよい。また子ノードの個数に一定の係数を乗じたものを、上記のように計算した統計値等の値に加算したものをルール評価値としてもよい。これにより子ノード数が少ない決定木が選ばれ易くなり、演算量および演算時間の低減を図ることができる。
【0082】
処理の終了条件として、上記の分割条件以外の条件を用いてもよい。例えば、決定木が予め定められた深さになったことを条件に処理を終了してもよい。SDRの最大値が閾値未満になったことを条件に処理を終了してもよい。その他の条件でもよい。
【0083】
モデル管理部31は、生成した各予測モデルと分類ルールをモデルDB32で管理する。モデル管理部31は、各予測モデルのモデルIDと、各予測モデルで使用する特徴量の係数とをモデル管理テーブルで管理してもよい。
【0084】
図16(A)にモデル管理テーブルの例を示す。消費電力量および電池容量等の特徴量(入力変数)ごとに、使用する係数の値が示されている。値が0の特徴量は、使用されないことを意味する。特徴量ごとに、連続値か離散値かのカテゴリを示したテーブル(カテゴリテーブル)を図16(B)に示すように管理してもよい。このテーブルを、各特徴量が、離散値モデルで使用されるのか、連続値モデル(回帰モデル、スペックモデル)で使用されるのかの判断に利用してもよい。また、分類ルールは、一般的な木構造を実装する形式(図13参照)でモデルDB32に保持してもよいし、プログラムの形で保持してもよい。また、モデル管理部31は、モデルDB32に各予測モデルのプログラムコード(予測モデルを構成する関数のプログラムコード)を保持してもよい。
【0085】
予測部41は、予測モデルと、EVの予測用データとを用いて、予測対象の走行区間におけるEVの消費電力量を予測する。予測用データは、予測モデルの各サブモデルで使用する項目を含むデータである。ただし、サブモデルで使用する項目が、他のサブモデルの出力値である場合もある。予測対象の走行区間は、例えば、次の充電候補となる供給地点までの区間である。
【0086】
走行状態管理部51は、走行中のEVの走行区間の走行状態(例えば区間毎の消費電力量等)を管理する。走行状態管理部51は、走行中のEVについて、充電を行った拠点間の走行区間の走行データを取得し、走行管理DB52で管理する。走行データは、各管理部15~19やEVナビ利用登録部13で取得されるデータ(移動体の走行状態に関する情報)に基づき生成できる。
【0087】
図17に、高速道路に関する走行管理DB52の例を示す。各EVについて、1回目充電地点と、2回目充電地点と、各種変数とを管理する。3回以上充電を行った場合は、1回目充電地点の列に2回目の充電地点の値が、2回目の充電地点の列に3回目の充電池点の値が入る。4回以上の充電を行った場合も同様の方法で値が入れられる。時間は走行区間の走行に要した時間、消費電力量は、走行区間の走行で使用した消費電力量(実績値)であり、距離は、走行区間の距離である。上り坂は、走行区間において一定値以上の勾配があった経路の長さである。下り坂は、走行区間において一定値未満の勾配があった経路の長さである(負の値で表現している)。ここで示した変数は一例に過ぎず、様々な種類の変数が可能である。例えば、総充電量として、2箇所の充電の合計充電量を追加してもよい。走行状態管理部51は、走行完了後のEVについて、各走行区間で予測した消費電力量を当該EVの走行データに追加してもよい。また、1回目充電地点と2回目充電地点は、消費電力量を求めたい任意の2地点でも構わない。任意の2地点は、例えば、TC間やIC間、IC~充電地点間等、複数の組み合わせも考えられる。
【0088】
また、走行状態管理部51は、予測部41を用いて、EVの電池残量から到達可能な範囲にある供給地点の候補を見つけ、見つけた候補の中から当該EVの次の供給地点を決定する処理を行ってもよい。予測対象の走行区間の開始地点は、例えば任意の供給地点でもよいし、走行中の任意の地点でもよい。走行区間の終了地点は、例えば候補となる供給地点である。走行状態管理部51は走行中のEVに対し、消費電力量の予測値を算出するために、走行データの時間や平均速度等として、予測値や道路情報、気象情報から得られるリアルタイムの現状値を用いてもよい。EVの位置情報が必要な場合は、例えば情報装置201のGPSから通信で取得してもよい。EVのバッテリーの残存電力量(電池残量)等の情報が必要な場合は、情報装置201から通信で取得してもよいし、当該電池残量等の情報を充電器情報から計算してもよい。または、EVの電費を利用して電池残量を推定してもよい。予測モデルで使用する特徴量として電池残量が必要なときは、このように取得または推定した電池残量を使用することができる。
【0089】
走行状態管理部51は、各候補について計算した消費電力量から、EVの電池残量で到達可能な供給地点を絞り込み、この中から次の供給地点を決定する。供給地点を決定する方法は、現在の電池残量で到達可能な供給地点を選択する限り、何でもよい。例えば、目的地までの経路が1つの場合に、各供給地点の混雑状況を考慮して、出来るだけ待ち時間の少ない供給地点を選択してもよいし、目的地までに複数通りの経路が存在する場合、最も短い経路上の供給地点を選択してもよいし、最も渋滞が少ない経路または最も勾配が小さい経路上の供給地点を選択してもよい。目的地のICを降りた後に次に到達可能な供給地点の箇所を考慮して、目的地のICを降りる前の供給地点を決定してもよい。決定した供給地点の情報をユーザの情報装置201(EV)に送信する。送信された情報が情報装置201の画面に表示され、ユーザは、次に向かうべき供給地点を把握する。
【0090】
図18を用いて、走行状態管理部51がEVの電池残量を計算する具体例を説明する。
供給地点A、B、C、D、E、F、G(以下、地点A~G)が、高速道路に配置されている。これらの地点A~Gは、EVの目的地(目的IC)までのある経路に沿って配置されたSA/PAである。EVは、地点Cで充電を行っており、充電完了後の電池残量(SoC(State of Charge)でもよい)を、充電器情報または情報装置201から取得する情報から走行状態管理部51は把握している。電池残量をEaと表す。また、走行状態管理部51は、情報装置201のGPSからEVの速度および時刻の情報を取得できる。EVは、現在走行中であり、地点DとEとの間に位置している。2つの供給地点XとYの区間を、区間XYを記載する。走行状態管理部51は、EVが現在の位置にいるときに、区間CD、区間DE、区間EF、区間FGの消費電力量を計算する例を示す。予測モデルに用いる特徴量の例として、区間の速度(平均速度)、区間の走行に要した走行時間を用いる。
【0091】
区間CDはEVがすでに走行した過去の区間である。区間CDの走行距離DIScd、および地点Dから現在位置Nまでの走行距離DISdnは、地図情報から把握できる。地点Cで充電完了した時刻は、充電器情報または情報装置201から取得した情報から把握できる。現在位置での時刻は本装置の内部のタイマーから取得できる。したがって、地点Cで充電完了した時刻を地点Cの出発時刻とみなせば、地点Cから現在位置Nまでの走行に要した時間tcnを計算できる。なお、EVのGPSから取得する情報に基づき、EVが地点Cを出発した時刻を決定してもよい。地点Cから地点Dまでの走行速度(平均速度)vcdを、(DIScd+DISdn)/tcnとして計算すると、区間CDの走行に要した時間tcdは、DIScd*vcdにより計算できる。よって、vcd、tcdおよびその他の必要な特徴量を予測モデルに入れて、区間CDの消費電力量(^ycd)を計算(予測)できる。なお、地点Dを走行時の時刻を取得できている場合は、区間CD間の距離を、地点Cから地点Dまでの走行に要した時間で除算することにより、vcdを計算してもよい。
【0092】
区間DEは、EVが既に走行した区間(過去の区間)DNと、まだ走行していない区間(未来の区間)NEとを含む。区間DNの速度vdnを、区間CDと同様に、(DIScd+DISdn)/tcnとして計算すると、区間DNの走行に要した時間tdnは、DISdn*vdnにより計算できる。また、区間NEの速度vneとして、当該区間に配置されているトラフィックカウンタ(TC)の値を利用する。例えばTCの速度の最新値でもよいし、過去一定期間(例えば30分)の平均でもよい。区間NEの走行に要する時間tneは、DISne/vneにより計算できる。DISneは、区間NEの距離である。よって、区間DEの走行に要する時間tdeは、tdn+tneにより計算できる。また、区間DEの走行速度(平均速度)vdeは、(DISdn+DISne)/tdeにより計算できる。なお、DISdn+DISneの代わりに、区間DEの距離DISdeを地図情報から直接取得してもよい。よって、vde、tdeおよびその他の必要な特徴量を予測モデルに入れて、区間DEの消費電力量(^yde)を計算(予測)できる。
【0093】
区間EFは、EVがまだ走行していない区間(未来の区間)である。区間EFの速度vefは、当該区間に配置されているトラフィックカウンタ(TC)の値を利用する。例えばTCの速度の最新値でもよいし、過去一定期間(例えば30分)の平均でもよい。区間EFの走行に要する時間tefは、DISef/vefにより計算できる。よって、vef、tefおよびその他の必要な特徴量を予測モデルに入れて、区間EFの消費電力量(^yef)を計算(予測)できる。
【0094】
区間FGは、EVがまだ走行していない区間(未来の区間)である。よって、区間FGの消費電力量(^yfg)は、区間FGと同様にして計算(予測)できる。
【0095】
このように走行区間が過去の区間の場合、過去と未来の両方の区間を含む場合、未来の区間の場合のいずれもEVの消費電力量を計算できる。したがって、地点Cでの電池残量Eaと、各区間の消費電力量とに基づき、EVの現在の電池残量で到達可能な地点を特定できる。
【0096】
予測評価部61は、走行状態管理部51で消費電力量を予測した区間の走行を完了したEVについて、消費電力量の予測値と、消費電力量の実績値との差(誤差)を計算する。計算した誤差に基づき、複数の予測モデルおよび分類ルールの組に対する評価値(以下、更新判定評価値)を算出する。消費電力量の実績値は、充電器情報から算出してもよい。例えばある供給地点Xの充電終了時の電力量と、次に充電を行った供給地点Yの充電開始時の電力量との差に基づき、区間XYの消費電力量の実績値が算出できる。区間XYの消費電力量の予測値は、走行状態管理部51の予測結果から特定できる。区間XYが、走行状態管理部51で予測した連続する複数の区間を含んでもよい。例えば区間XYが、区間CFであれば、区間CD、区間DE、区間EFの予測値を合計することで、区間CFの消費電力量の予測値が算出できる。なお、情報装置201からEVの電池残量の情報を直接通信で取得できる場合に、当該情報を取得して、消費電力量の実績値を算出することも可能である。
【0097】
更新判定評価値は、分類ルールと予測モデルを更新するための処理を開始するか否かの判定のために用いられる。更新判定評価値が、閾値に基づく更新開始条件を満たす場合は(例えば更新判定評価値が閾値より大きい場合)、分類ルールと予測モデルを更新するための処理を開始する。更新判定条件が満たされない場合は(例えば更新判定評価値が閾値より小さい場合)、分類ルールと予測モデルを更新するための処理を開始しない。
【0098】
更新判定評価値は、これまで複数のEVについて1回または複数回計算された誤差に基づき計算される。EVについて誤差が計算されるごとに、更新判定評価値が再計算(更新)される。更新判定評価値の具体例として、平均二乗誤差(MSE)、平均絶対誤差(MAE)、R2値、平均平方二乗誤差(RMSE)、平均平方二乗誤差率(RMSPE)などがある。
【0099】
更新判定評価値は、分類ルールで分類されるグループごとに計算してもよい。グループのうち更新開始条件を満たすグループが閾値以上の場合に、更新開始条件が満たされると判断してもよい。グループ間で更新判定評価値の統計値(平均、中央、または最大値など)を計算し、統計値が閾値以上(または閾値未満。閾値以上および閾値未満のいずれを用いるかは統計値の種類に依存する)の場合に、更新開始条件が満たされると判断してもよい。グループ間で更新判定閾値の平均を計算する場合、グループに重みを設定して重み付け平均を計算してもよい。重みは、グループに属するデータ数が多いほど大きくしてもよい。また、グループに属するEVの総バッテリー量(バッテリー容量のEV台数分の合計)を電費で除算した値が大きいグループほど、重みを小さくしてもよい(除算値が大きいほど電欠しにくいことを意味する)。
【0100】
図19は、予測評価部61の動作の一例のフローチャートである。走行状態管理部51で消費電力量を予測した区間の走行を完了したEVについて、消費電力量の予測値と、消費電力量の実績値との差(誤差)を計算する(S301)。計算した誤差に基づき、複数の予測モデルおよび分類ルールの組に対する評価値(更新判定評価値)を算出する(S302)。更新判定評価値が、閾値に基づく更新開始条件を満たすかを判断し(S303)、更新開始条件を満たす場合は(YES)、分類ルールと予測モデルを更新するための処理の開始を決定する(S304)。更新開始条件が満たされない場合は(NO)、分類ルールと予測モデルを更新するための処理を開始せずに処理を終了する。本フローチャートは例えば1台のEVについて消費電力量の実績値と予測値が取得されるごとに行われてもよいし、一定時間毎または一定数の誤差が計算されるごとに行われてもよい。
【0101】
モデル更新管理部71は、予測評価部61により更新開始条件が満たされると判断した場合、分類ルールと予測モデルの少なくとも一方を更新するための処理を開始する。
【0102】
図20は、モデル更新管理部71の動作の一例のフローチャートである。分類ルールを更新するか否かを判断する(S401)。分類ルールを更新するか否かは任意の方法で判断できる。
【0103】
一例として、分類ルールで分類されるグループ毎に予測モデルの誤差を計算する。誤差の計算のために、例えば一定期間のデータを用いる。誤差の計算に使用するデータとして、予測モデルの作成後に取得されたデータを用いる。当該データに加えて、予測モデルの作成に使用されたデータを用いてもよい。各グループの誤差に基づき評価値(ルール評価値)を計算する。例えば、誤差の平均、中央値または最大値等の統計値を計算する。ルール評価値が閾値以上であれば、分類ルールを更新すると判断し、閾値未満であれば、分類ルールを更新しないと判断する。上記平均を計算する場合に、子ノード(グループ)に属するデータ数に応じて予測誤差に重みを乗じてもよい。また、子ノード(グループ)に属するEVの総バッテリー量(バッテリー容量のEV台数分の合計)を電費で除算した値が大きいグループほど、重みを小さくしてもよい(除算値が大きいほど電欠しにくいことを意味する)。
【0104】
上記の閾値は、オペレータが本装置に入力手段を用いて、入力してもよい。また、ある定めた期間の誤差の平均に一定の係数を乗じた値を、閾値としてもよい。例えば、当該期間の誤差の平均のβ倍の誤差まで許容する場合は、一定の係数の値をβにする。
【0105】
分類ルールを更新するか否かを判断する別の例として、誤差が一定値以上のグループ数をカウントする。カウント値が閾値以上の場合に、分類ルールを更新することを決定する。閾値未満の場合は、分類ルールを更新しないことを決定する。この場合の閾値は、オペレータが本装置に上記の入力手段を用いて、入力してもよい。また、閾値は、グループ数に一定の係数を掛けた値でもよい。例えば誤差の大きいグループ数をグループ数の5%未満まで許容する場合、一定の係数の値を0.05とする。
【0106】
分類ルールを更新する場合は(YES)、図15で説明した分類ルール更新処理を行う(S402)。現在使用している分類ルール(元の分類ルールまたは第1分類ルールと呼ぶ)を、分類ルール更新処理で新たに生成された分類ルール(更新用分類ルールまたは第2分類ルールと呼ぶ)とともにモデルDB32に保存しておく。これは、後述するモデル更新処理で、更新用分類ルールを破棄して、元の分類ルールに戻す可能性があるためである。続いて、分類ルール更新処理で生成された更新用分類ルールに基づき、モデル更新処理を行う(S403)。モデル更新処理の詳細は後述する。
【0107】
一方、分類ルールを更新しない場合は(NO)、現在使用している分類ルール(元の分類ルール)に基づきモデル更新処理を行う(S403)。
【0108】
図21は、上記ステップS403で行うモデル更新処理の動作の一例のフローチャートである。分類ルールとして更新用分類ルールを用いる場合を想定する。ステップS101~S108までは、図14と同じである。
【0109】
モデル更新管理部71は、ステップS101~S108の処理によって各グループの予測モデルを決定する。ここで決定した予測モデルを更新用予測モデルと呼ぶ。更新用分類ルールと、元の分類ルールとを評価する(S501)。つまり、当該更新用分類ルールの各グループの更新用予測モデルを用いてルール評価値(更新用ルール評価値)を計算する。また、元の分類ルールについて元の予測モデルを用いてルール評価値(元のルール評価値)を計算する。なお、ステップS107で収集される新規のデータは、更新用分類ルールの生成後および各仮モデルの生成後に取得された学習データ(走行データ)に対応する。ステップS105で使用されるデータは、更新用分類ルールの生成前および各仮モデルの生成前に取得された学習データ(走行データ)に対応する。
【0110】
更新用ルール評価値と、元のルール評価値とを比較して、更新用分類ルールおよび更新用予測モデルが、元の分類ルールおよび元の分類ルールよりも改善したかを判断する(S502)。例えば更新用ルール評価値が元のル-ル評価値よりも小さい場合、改善したと判断し、そうでない場合は、改善していないと判断する。改善したと判断した場合(YES)、更新用分類ルールと更新用予測モデルで、元の分類ルールおよび元の予測モデルを更新する(S503)。更新前の予測モデルは第1予測モデル、更新後の予測モデルは第2予測モデルに対応する。更新用分類ルールに含まれる特徴量の複数の条件は、特徴量の複数の第2条件に対応する。複数の第2条件は元の分類ルールに含まれる複数の第1条件と同じになる場合もあり得る。一方、改善していないと判断した場合(NO)、元の分類ルール(第1分類ルール)と元の予測モデル(第1予測モデル)を引き続き用いることを決定する(S504)。この場合、更新用分類ルールと更新用予測モデルを廃棄してもよい。
【0111】
上述した説明では、分類ルールとして更新用分類ルールを用いることを想定したが、上述の分類ルール更新処理で元の分類ルールを用いることが決まった場合は、元の分類ルールを用いる。この場合も、図21のフローチャートと同じ処理を行えばよい。ただし、ステップS503では、更新用予測モデルで元の予測モデルを更新する処理は同じであるが、分類ルールは元の分類ルールをそのまま用いる点が更新用分類ルールを用いる場合と異なる。
【0112】
(分類ルールとして元の分類ルールを用いてモデル更新処理を行う場合の他の処理例)
グループごとに更新を行うか否かを判断し、更新を行うことを決定したグループのみ予測モデルを更新し、更新を行わないことを決定したグループについては予測モデルの更新を行わなくてもよい。より詳細には、グループの予測モデル(元の予測モデル)のモデル評価値を計算する。モデル評価値が閾値以上であれば、予測モデルを更新するための処理を開始することを決定し、閾値未満であれば、予測モデルを更新するための更新処理を開始しないことを決定する。当該処理を開始することを決定した場合は、図21のS101~S108の処理を行って、当該グループの予測モデル(更新用予測モデル)を生成する。生成した予測モデルのモデル評価値(更新用モデル評価値)と、元の予測モデルのモデル評価値(元のモデル評価値)を計算および比較する。更新用モデル評価値が元のモデル評価値よりも小さければ、更新用予測モデルは元の予測モデルよりもが改善したと判断し、更新用予測モデルで元の予測モデルを更新する。更新後の予測モデルは、第3予測モデルに対応する。それ以外の場合は、元の予測モデルをそのまま用いることを決定する。
【0113】
上記で更新処理を開始するか否かの判断に用いる閾値は、オペレータが入力手段を用いて入力してもよい。また、ある定めた期間の誤差の平均に一定の係数を乗じた値を、閾値としてもよい。例えば、当該期間の誤差の平均のβ倍の誤差まで許容する場合は、一定の係数の値をβにする。
【0114】
また上述した分類ルール更新処理において分類ルールの一部のみを更新してもよい。例えば、分類ル-ルの各グループの予測モデルのモデル評価値を計算し、モデル評価値が閾値以上のグループを特定する。特定したグループが属する子ノードの親ノードより下位を更新の対象とする。図13の例において、グループA、Bのモデル評価値が閾値以上で、グループCのモデル評価値は閾値未満であったとする。この場合、「気温<20」の親ノードの下位を更新の対象とする。「速度<40」の特徴量と、分岐の条件を規定する特徴量の値(=40)は維持する。モデル更新処理では、前述した図21の処理と同様でよいが、グループCについては予測モデルそのまま使用を継続することを決定して更新の対象から除外してもよいし、図21のフローチャートの処理に従って、更新用の予測モデルを生成してもよい。
【0115】
図22は、本実施形態に係る情報処理装置101の動作の一例を示すフローチャートである。
走行状態管理部51が、通信部11を介して、走行中のEVの走行データを情報装置201(スマートフォン、カーナビなど)から取得する(S601)。走行状態管理部51は、取得した走行データを走行管理DB52に格納する。
【0116】
予測部41は、取得した走行データと、分類ルールと、複数の予測モデル(各グループの予測モデル)を用いて、走行データが示す走行区間について、消費電力量の予測値を算出する(S602)。すなわち走行データと分類ルールに基づき、使用する予測モデルを特定し、特定した予測モデルと走行データに基づいて、消費電力量の予測値を算出する。
【0117】
走行状態管理部51は、上記走行区間におけるEVの消費電力量の実績値を取得する(603)。実績値は、充電器情報から取得してもよいし、情報装置201から取得してもよい。
【0118】
予測評価部61は、算出した消費電力量の予測値と、取得した消費電力量の実績値とに基づき、評価値(更新判定評価値)を算出する(S604)。
【0119】
制御部21が、本処理の終了条件が成立したかを判断する(S605)。例えばオペレータが終了指示を入力した場合に、終了条件が成立したと判断する。終了条件が成立した場合(YES)、本処理を終了し、成立していない場合は(NO)、ステップS606に進む。
【0120】
予測評価部61は、ステップS604で算出した評価値に基づき、分類ルールおよび予測モデルを更新するための処理を開始するか否かを判断する(S606)。具体的には、評価値が更新開始条件を満たすか判断する。例えば、評価値が閾値以上であれば、更新開始条件が成立したと判断し、閾値未満であれば、成立していないと判断する。成立していないと判断した場合は(NO)、ステップS601に戻る。
【0121】
更新開始条件が成立したと判断した場合は(YES)、モデル更新管理部71が、分類ルール更新処理(図15参照)を行う(S607)。続けて、モデル更新処理(図21参照)を行う(S608)。その後、ステップS601に戻る。
【0122】
分類ルール更新処理およびモデル更新処理の結果によって、分類ルールおよび予測モデルがいずれも更新されない場合、いずれか一方のみが更新される場合、分類ルールの一部と予測モデルの一部が更新される場合、予測モデルの一部のみが更新される場合など、様々な態様がある。
【0123】
図23は、システム管理画面の例を示す。図の上図では、分類ルールの各グループの予測モデル(モデル1~4の予測モデル)の予測誤差の推移データが示されている。各モデルの構築日時、最新の予測誤差、利用中止日時が、図の下図に表で示されている。時刻t1までモデル1とモデル2が用いられており、モデル1の予測誤差が時刻t1で急上昇している。時刻t1のモデル1の予測誤差の上昇により、本実施形態の動作により分類ルール更新処理およびモデル更新処理が行われている。モデル1の更新用モデルとしてモデル3とモデル4が生成されている。モデル2は更新の必要がないと判断されて、引き続き使用されている。試用期間中は、モデル3とモデル4とが、モデル1と並行して用いられる。時刻t2(=YYYY/MM/DD HH:MM:SS2)で試用期間が終了する。モデル3とモデル4の平均のモデル評価値が、モデル1のモデル評価値より小さかったため、モデル1は利用が中止され、モデル3とモデル4が時刻t2以降で使用される。モデル2は、時刻2以降も引き続き使用される。なお、図の下の表において、モデル1の現在の予測誤差は時刻t2(利用中止日時)での値である。
【0124】
以上、本実施形態によれば、本情報処理装置の運用時に、EVの消費電力量の予測値と実績値とを取得し、予測値と実績値との誤差に基づき、分類ルールおよび予測モデルの更新が必要かの判断を行う。更新が必要な場合には分類ルールを更新(すなわち新たな分類ルールを生成)し、更新後の分類ルールに応じた予測モデルを生成する。このように分類ルールの更新を行うことにより、予測性能の高い予測モデルを構築できる。
【0125】
また、本実施形態によれば、更新された分類ルールを、過去の走行データまたは未来の走行データまたはこれらの両方で評価し、予測性能が更新前と比べて向上しているかを判定する。予測性能が低下した場合は元の分類ルールに戻す。これにより、分類ルールの更新により予測性能が低下することを防止できる。
【0126】
本実施形態によれば、EV向け情報提供システムの永年使用において車種の増加や性能変化、利用状況の変化に追従して、消費電力量の予測性能を担保できる。
【0127】
図24に、本実施形態に係る情報処理装置101のハードウェア構成を示す。本実施形態に係る情報処理装置101は、コンピュータ装置100により構成される。コンピュータ装置100は、CPU151と、入力インタフェース152と、表示装置153と、通信装置154と、主記憶装置155と、外部記憶装置156とを備え、これらはバス157により相互に接続されている。
【0128】
CPU(中央演算装置)151は、主記憶装置155上で、情報処理装置101の上述の各機能構成を実現するコンピュータプログラムを実行する。CPU151が、コンピュータプログラムを実行することにより、各機能構成は実現される。
【0129】
入力インタフェース152は、キーボード、マウス、及びタッチパネルなどの入力装置からの操作信号を、情報処理装置101に入力するための回路である。
【0130】
表示装置153は、情報処理装置101から出力されるデータまたは情報を表示する。表示装置153は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、CRT(ブラウン管)、及びPDP(プラズマディスプレイ)であるが、これに限られない。コンピュータ装置100から出力されたデータまたは情報は、この表示装置153により表示することができる。
【0131】
通信装置154は、情報処理装置101が外部装置と無線または有線で通信するための回路である。通信装置154を介して外部装置から情報を入力することができる。外部装置から入力した情報を、DBに格納することができる。通信部11は、通信装置154上に構築されることができる。
【0132】
主記憶装置155は、本実施形態の処理を実現するプログラム、およびプログラムの実行に必要なデータ、及びプログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。プログラムは、主記憶装置155上で展開され、実行される。主記憶装置155は、例えば、RAM、DRAM、SRAMであるが、これに限られない。各実施形態における記憶部は、主記憶装置155上に構築されてもよい。
【0133】
外部記憶装置156は、上記プログラムおよびプログラムの実行に必要なデータ、及びプログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。これらのプログラムやデータは、本実施形態の処理の際に主記憶装置155に読み出される。外部記憶装置156は、例えば、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、及び磁気テープであるが、これに限られない。各実施形態における記憶部は、外部記憶装置156上に構築されてもよい。
【0134】
なお、上述のプログラムは、コンピュータ装置100に予めインストールされていてもよいし、CD-ROMなどの記憶媒体に記憶されていてもよい。また、当該プログラムは、インターネット上にアップロードされていてもよい。
【0135】
なお、コンピュータ装置100は、プロセッサ151、入力インタフェース152、表示装置153、通信装置154、及び主記憶装置155を、それぞれ1つ又は複数備えてもよいし、プリンタやスキャナなどの周辺機器を接続されていてもよい。
【0136】
また、情報処理装置101は、単一のコンピュータ装置100により構成されてもよいし、相互に接続された複数のコンピュータ装置100からなるシステムとして構成されてもよい。
【0137】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0138】
101:情報処理装置
11:通信部
12:ユーザID登録部
13:EVナビ利用登録部
14:ユーザDB(データベース)
15:地図情報管理部
16:道路管制情報管理部
17:充電器情報管理部
18:気象情報管理部
19:車両情報管理部
20:システムDB
21:制御部
31:モデル管理部
32:モデルDB
41:予測部
51:走行状態管理部
52:走行管理DB
61:予測評価部
71:モデル更新管理部
201A~201N:情報装置
211A~211N:サーバ
220:通信ネットワーク
100:コンピュータ装置
151:プロセッサ(CPU)
152:入力インタフェース
153:表示装置
154:通信装置
155:主記憶装置
156:外部記憶装置
157:バス
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
図12
図13
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図15
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図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24