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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】引戸駆動装置の取付構造及び引戸装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/643 20150101AFI20221024BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
E05F15/643
E05D15/06 125C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018163408
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020033824
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】片牧 真輔
(72)【発明者】
【氏名】西尾 薫
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-106251(JP,A)
【文献】特開2003-113691(JP,A)
【文献】特開2014-224345(JP,A)
【文献】特開平7-102853(JP,A)
【文献】特開平8-42247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E05D 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸が収納される戸袋の内外に亘って設けられるベース部と、
前記引戸を駆動する駆動部が設けられ、前記駆動部を前記戸袋の開口部の外から前記戸袋内に挿入した状態で前記ベース部に取り外し可能に前記戸袋の外で固定される取付部と、を備え
前記ベース部は、前記取付部の前記戸袋内に挿入される側の先端が差し込まれて鉛直方向への移動が規制されるように固定される押さえ部を備え
引戸駆動装置の取付構造。
【請求項2】
前記押さえ部は、前記ベース部に対して移動可能に設けられる
請求項に記載の引戸駆動装置の取付構造。
【請求項3】
前記ベース部は、前記取付部を前記戸袋の外で固定するねじの頭を取り付ける取付溝を有し、
前記ねじは、ナットによって前記ベース部に締結される
請求項1又は2に記載の引戸駆動装置の取付構造。
【請求項4】
前記ベース部の前記戸袋の外に設置される従動プーリを備え、
前記駆動部は、前記引戸を移動させる環状ベルトが前記従動プーリとの間で掛けられる駆動プーリを有する
請求項1~のいずれか一項に記載の引戸駆動装置の取付構造。
【請求項5】
前記引戸は、それぞれの引戸が異なる戸袋に収納される両開きの引戸であって、
前記引戸を移動させる環状ベルトが掛けられる従動プーリが固定され、いずれか一方の戸袋の開口部の外から戸袋内に挿入した状態で前記ベース部に取り外し可能に前記戸袋の外で固定される第2取付部を備える
請求項1~のいずれか一項に記載の引戸駆動装置の取付構造。
【請求項6】
引戸が収納される戸袋の内外に亘って設けられるベース部と、
前記引戸を駆動する駆動部と、
前記駆動部が設けられ、前記駆動部を前記戸袋の開口部の外から前記戸袋内に挿入した状態で前記ベース部に取り外し可能に前記戸袋の外で固定される取付部と、を備え
前記ベース部は、前記取付部の前記戸袋内に挿入される側の先端が差し込まれて鉛直方向への移動が規制されるように固定される押さえ部を備え
引戸装置。
【請求項7】
前記押さえ部は、前記ベース部に対して移動可能に設けられる
請求項6に記載の引戸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸駆動装置の取付構造及び引戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
引戸駆動装置は、ガイドレールに吊り下げられた戸を、リニアモータ等の駆動部品が駆動することで戸が移動して開閉するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のガイドレールの取付構造では、モータがガイドレールに取り付けられ、ガイドレールの先端に係合部材が取り付けられ、当該係合部材を戸袋内の縦枠に係合させて着脱可能に固定した後、ガイドレールを戸袋外においてねじ止めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-329738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載のガイドレールの取付構造では、リニアモータの交換作業を行う場合に、戸袋外のねじを取り外した後、ガイドレールを戸袋内から引き出して、床に降ろし、リニアモータを交換した後、再びガイドレールを無目まで持ち上げて、戸袋内に差し込んで螺子止めする作業手順となる。このため、上記取付構造では、駆動部品の交換作業に時間が掛かり、作業性が低いという問題がある。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動部品の交換作業に掛かる時間を短縮することのできる引戸駆動装置の取付構造及び引戸装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する引戸駆動装置の取付構造は、引戸が収納される戸袋の内外に亘って設けられるベース部と、前記引戸を駆動する駆動部が設けられ、前記駆動部を前記戸袋の開口部の外から前記戸袋内に挿入した状態で前記ベース部に取り外し可能に前記戸袋の外で固定される取付部と、を備える。
【0007】
上記課題を解決する引戸装置は、引戸が収納される戸袋の内外に亘って設けられるベース部と、前記引戸を駆動する駆動部と、前記駆動部が設けられ、前記駆動部を前記戸袋の開口部の外から前記戸袋内に挿入した状態で前記ベース部に取り外し可能に前記戸袋の外で固定される取付部と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、駆動部が設けられた取付部を戸袋内に対して出し入れすることで、駆動部を戸袋内に対して出し入れすることができる。また、取付部をベース部に取り付けることで駆動部をベース部に取り付けることができ、駆動部の交換のために引戸をベース部から取り外す必要がなく、交換作業を容易に行うことができる。よって、駆動部の交換作業に掛かる時間を短縮することができる。
【0009】
上記引戸駆動装置の取付構造について、前記ベース部は、前記取付部の前記戸袋内に挿入される側の先端が差し込まれて鉛直方向への移動が規制されるように固定される押さえ部を備えることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、押さえ部に取付部の先端を差し込むことで、取付部の先端を固定することができ、駆動部をベース部に容易に取り付けることができるとともに、駆動部をベース部から容易に取り外すことができる。また、駆動部が発生する力の反力を効率的に受けることができる。
【0011】
上記引戸駆動装置の取付構造について、前記押さえ部は、前記ベース部に対して移動可能に設けられることが好ましい。
上記構成によれば、取付部の先端が差し込まれる押さえ部をベース部に対して移動することができるため、引戸が設置される現場に応じて、ベース部に対する駆動部の位置を施工時に調整することができる。
【0012】
上記引戸駆動装置の取付構造について、前記ベース部は、前記取付部を前記戸袋の外で固定するねじの頭を取り付ける取付溝を有し、前記ねじは、ナットによって前記ベース部に締結されることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、取付溝に頭が挿入されたねじに取付部が取り付けられるので、ナットによって締結する前に、取付部を移動させれば、ベース部に沿って駆動部を戸袋の外から戸袋内に移動させることができ、駆動部の交換作業が容易となる。
【0014】
上記引戸駆動装置の取付構造について、前記ベース部の前記戸袋の外に設置される従動プーリを備え、前記駆動部は、前記引戸を移動させる環状ベルトが前記従動プーリとの間で掛けられる駆動プーリを有することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、駆動部が駆動プーリを回転させることで、環状ベルトが駆動され、引戸を開閉させるため、駆動部と駆動プーリとの連結を外すか、駆動プーリと環状ベルトとの掛かりを外せば、駆動部を容易に取り外すことができる。
【0016】
上記引戸駆動装置の取付構造について、前記引戸は、それぞれの引戸が異なる戸袋に収納される両開きの引戸であって、前記引戸を移動させる環状ベルトが掛けられる従動プーリが固定され、いずれか一方の戸袋の開口部の外から戸袋内に挿入した状態で前記ベース部に取り外し可能に前記戸袋の外で固定される第2取付部を備えることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、両開きの引戸において、駆動部と従動プーリとを異なる戸袋に納めることができ、従動プーリが固定された第2取付部を戸袋内に対して出し入れすることで、従動プーリを戸袋内に対して容易に出し入れすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、駆動部品の交換作業に掛かる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】引戸駆動装置の取付構造の第1の実施形態の構成を示す全体斜視図。
図2】同実施形態の引戸駆動装置の取付構造の構成を示す全体背面図。
図3】同実施形態の引戸駆動装置の取付構造の構成を示す戸尻側の斜視図。
図4】同実施形態の引戸駆動装置の取付構造の構成を示す戸先側の斜視図。
図5】同実施形態のベース部の取付溝を示す側面側斜視図。
図6】同実施形態の押さえ部の取付を示す分解斜視図。
図7】同実施形態の取付部に取り付けられた駆動部を示す斜視図。
図8】同実施形態のベース部の取付を示す分解斜視図。
図9】同実施形態の駆動部の取付を示す分解斜視図。
図10】同実施形態の従動プーリの取付を示す分解斜視図。
図11】引戸駆動装置の取付構造の第2の実施形態の構成を示す全体背面図。
図12】同実施形態の第2取付部に取り付けられた従動プーリを示す斜視図。
図13】同実施形態の従動プーリの取付を示す分解背面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、図1図10を参照して、引戸駆動装置の取付構造及び引戸装置の第1の実施形態について説明する。
【0021】
図1及び図2に示すように、引戸装置1は、引戸10と、引戸10を駆動する引戸駆動装置20とを備えている。引戸駆動装置20は、引戸10の上に位置する無目11に設置されている。図1図4は、引戸10が閉じた状態を示している。
【0022】
引戸装置1は、水平方向における両端に設けられる一対の戸先側縦枠12と戸尻側縦枠13とを備えている。戸先側縦枠12は、鉛直方向に立てられた状態で引戸10の戸先側(図中右側)に設置されている。戸尻側縦枠13は、鉛直方向に立てられた状態で引戸10の戸尻側(図中左側)に設置されている。無目11は、これら戸先側縦枠12と戸尻側縦枠13との間の上部に設けられる。戸先側縦枠12と戸尻側縦枠13との間の中央には、方立14が設けられている。方立14は、鉛直方向に立てられた状態で設置されている。方立14は、無目11及び引戸10と干渉しない位置に設けられている。
【0023】
引戸装置1は、戸先側縦枠12と方立14との間が開口15となり、引戸10が閉じているときに開口15が塞がれ、引戸10が開いているときに人が開口15を通行することができる。また、戸尻側縦枠13と方立14との間は図示しない壁が設けられ、引戸10が収納される戸袋16として機能する。このため、戸尻側縦枠13と方立14との間は、壁に埋め込まれた状態となっている。そして、戸袋16は、引戸駆動装置20に対して正面からは無目11によって作業を行うことができず、背面からは壁によって作業を行うことができない。なお、無目11と方立14との間は、隙間があり、戸袋16内に挿入する戸袋16の開口部16Aとして機能する。
【0024】
引戸駆動装置20は、引戸10が吊り下げられるベース部としてのレールベース21と、引戸10を駆動する駆動部としてのモータ22と、駆動プーリ23と、従動プーリ24とを備えている。レールベース21は、戸袋16の内外、すなわち無目11の全長に亘って設けられている。モータ22及び駆動プーリ23は、レールベース21のうち戸袋16内に位置する部分に設置されている。駆動プーリ23は、モータ22に組み付けられており、モータ22によって回転される。従動プーリ24は、レールベース21のうち戸袋16の外に位置する部分に設置されている。駆動プーリ23と従動プーリ24とには、環状ベルトであるタイミングベルト25が掛けられている。このため、タイミングベルト25は、駆動プーリ23の回転によって回転する。
【0025】
引戸10の上端には、一対の戸先側ドアハンガ26及び戸尻側ドアハンガ27が固定されている。戸先側ドアハンガ26及び戸尻側ドアハンガ27には、一対の回転ローラ26A,27Aがそれぞれ設けられている。戸先側ドアハンガ26及び戸尻側ドアハンガ27は、レールベース21に移動可能に吊り下げられている。
【0026】
引戸駆動装置20は、引戸10とタイミングベルト25とを連結する連結部材28を備えている。連結部材28の下端は、戸尻側ドアハンガ27に固定されている。連結部材28の上端は、タイミングベルト25に取り付けられている。よって、タイミングベルト25が回転すると、連結部材28を介して一体に引戸10が移動する。
【0027】
引戸駆動装置20は、モータ22及び駆動プーリ23が設けられた取付部としての取付板30を備えている。取付板30は、レールベース21に設置されている。取付板30は、長尺状の板材であって、レールベース21に設置された状態で一部が戸袋16の外に突出する長さを有している。取付板30は、モータ22を戸袋16の開口部16Aの外から戸袋16内に挿入した状態でレールベース21に取り外し可能に戸袋16の外で固定される。
【0028】
図3に示すように、モータ22及び駆動プーリ23は、一体となったモータ22及び駆動プーリ23を保持する第1保持部材22A及び第2保持部材22Bを介して取付板30に対して上方側からねじ31によって締結されている。第1保持部材22Aはモータ22側を保持し、第2保持部材22Bは駆動プーリ23側を保持している。
【0029】
引戸駆動装置20は、取付板30の戸尻側(図中左側)を固定する押さえ部としての押さえ部材32を備えている。押さえ部材32は、レールベース21の取付金具33の手前、戸尻側縦枠13から離間する側に取り付けられている。押さえ部材32は、取付板30の戸袋16内に挿入される側の先端が差し込まれて、取付板30を固定している。押さえ部材32は、レールベース21に対して移動可能に設けられ、位置を調整した後固定される。レールベース21の戸尻側(図中左側)は、L字状の取付金具33によって戸尻側縦枠13に固定されている。
【0030】
図4に示すように、従動プーリ24は、従動プーリ24を保持する第3保持部材24Aを介してレールベース21に締結されている。第3保持部材24Aは、従動プーリ24を回転可能に保持している。
【0031】
図5に示すように、レールベース21の上部には、機器取付用ボルト34の頭を取り付ける取付溝21Aが設けられている。取付溝21Aは、レールベース21の全長に亘って設けられ、凹溝の上端が内側に曲げられた形状である。このため、レールベース21の端部からのみ機器取付用ボルト34を挿入することが可能である。機器取付用ボルト34は、下を頭、上をねじ部の逆さ向きにして、取付溝21Aに挿入される。なお、機器取付用ボルト34が取付板30をレールベース21に締結するねじに相当する。
【0032】
また、機器取付用ボルト34は、ナット35によってレールベース21に締結される。取付溝21Aの大きさは、機器取付用ボルト34の頭よりも若干大きく形成されている。このため、機器取付用ボルト34は、ナット35によって完全に締め付けられていなければ、取付溝21A内を取付溝21Aに沿って移動させることが可能である。
【0033】
また、レールベース21の下部には、戸先側ドアハンガ26の回転ローラ26A及び戸尻側ドアハンガ27の回転ローラ27Aが取り付けられるガイドレール21Bが設けられている。ガイドレール21Bは、レールベース21の全長に亘って設けられている。
【0034】
図6に示すように、取付金具33のL字状の水平部分は、2組の機器取付用ボルト34とナット35によってレールベース21に固定される。機器取付用ボルト34は、取付溝21Aに頭が挿入されている。取付金具33のL字状の垂直部分には、戸尻側縦枠13に差し込む差込部材33Aが縦枠側(図中左側)に固定されている。
【0035】
押さえ部材32は、取付板30の戸尻側(図中左側)が当接する当接板32Aと、取付板30の上面を押さえる押さえ板32Bとを備えている。当接板32Aの厚さは、取付板30の厚さとほぼ同じである。押さえ板32Bのレールベース21に沿う方向の長さは、当接板32Aのレールベース21に沿う方向の長さよりも戸先側(図中右側)へ長い。押さえ板32Bの戸先側(図中右側)の先端は、上から下へ向かって短くなる斜面となっている。このため、取付板30を押さえ部材32に差し込むときに、取付板30が押さえ板32Bの下方へ誘導されるようになっている。押さえ部材32は、モータ22の起動及び停止時にモータ22が発生する力の反力、鉛直方向への力を受け止め、鉛直方向への移動が規制される。
【0036】
図7に示すように、第1保持部材22Aの一端は、絶縁部材を介してモータ22側に取り付けられている。第1保持部材22Aの他端は、2つのねじ31によって取付板30に締結されている。第2保持部材22Bの一端は、絶縁部材を介して駆動プーリ23側に取り付けられている。第2保持部材22Bの他端は、2つのねじ31によって取付板30に締結されている。そして、取付板30に締結されたねじ31は、取付板30の下面から突出している。これら突出したねじ31の先端は、レールベース21の取付溝21Aに嵌装される。このため、モータ22をレールベース21に取り付けるときに、突出したねじ31の先端によって誘導される。
【0037】
次に、図8図10を参照して、上記引戸駆動装置20の取付作業について説明する。
図8に示すように、まず、レールベース21は、戸袋16の外から挿入して、取付金具33の差込部材33Aを戸尻側縦枠13の差込切欠13Aに差し込むことで、戸尻側縦枠13に固定される。
【0038】
図9に示すように、続いて、レールベース21は、開口15の上方に位置する無目11に複数のねじ36によって固定される。すなわち、レールベース21の戸尻側は差込部材33Aによって戸尻側縦枠13に固定され、レールベース21の戸先側はねじ36によって無目11に固定される。
【0039】
ここで、レールベース21の取付溝21Aには、必要な数の機器取付用ボルト34が予め差し込まれている。予め差し込まれた機器取付用ボルト34は、開口15の上方に位置する。なお、必要な数とは、取付板30を固定するのに必要な数、及び従動プーリ24を保持する第3保持部材24Aを固定するのに必要な数の和以上である。
【0040】
続いて、モータ22及び駆動プーリ23が固定された取付板30を戸袋16の外の背面側より差し込んで、予め差し込まれた機器取付用ボルト34とナット35とによって仮固定する。すなわち、取付板30の戸先側(図中右側)に設けられた貫通孔に機器取付用ボルト34を下方から挿通し、ナット35を上方から機器取付用ボルト34に螺合することで、取付板30をレールベース21に対して移動可能な程度に締結する。
【0041】
続いて、レールベース21に仮固定された取付板30を戸袋16の外から差し込むことで、モータ22がレールベース21に取り付けられる。すなわち、レールベース21の開口15の上方に位置する取付板30を、レールベース21の取付溝21Aに沿って戸袋16内に差し込み、押さえ部材32に当接するまで差し込む。このとき、取付板30は、タイミングベルト25(図示略)が駆動プーリ23に掛けられた状態で差し込まれる。
【0042】
図10に示すように、続いて、取付板30の戸尻側(図中左側)の先端が押さえ部材32の押さえ板32Bの先端に当接したときには、押さえ板32Bの先端の斜面によって押さえ板32Bの下方に誘導される。取付板30の戸尻側の先端が押さえ部材32の当接板32Aに当接すると、押さえ部材32の押さえ板32Bによって取付板30の戸尻側が浮き上がらなくなる。この状態で、仮固定したナット35を締め込み固定する。取付板30が固定された状態において、機器取付用ボルト34及びナット35の位置は開口15の上方に位置している。言い換えると、取付板30の戸先側(図中右側)は、戸袋16の外に位置するレールベース21に機器取付用ボルト34及びナット35によって締結される。このため、ナット35の締付を容易に行うことができる。また、モータ22を取り外すときには、取付板30を戸袋16の外から引き出すことで、取付板30がレールベース21から取り外される。
【0043】
続いて、従動プーリ24が保持された第3保持部材24Aを、開口15の上方に位置するレールベース21に、予め差し込まれた機器取付用ボルト34とナット35の2組によって仮固定する。
【0044】
図2に示すように、続いて、引戸10をガイドレール21Bに吊り下げる。すなわち、引戸10の上部に固定された戸先側ドアハンガ26の回転ローラ26A及び戸尻側ドアハンガ27の回転ローラ27Aをガイドレール21Bに取り付ける。
【0045】
続いて、タイミングベルト25を従動プーリ24に掛け、タイミングベルト25の両端を連結部材28に固定する。続いて、従動プーリ24が保持された第3保持部材24Aを、タイミングベルト25が緩まない位置まで戸先側(図中右側)に移動させて、機器取付用ボルト34とナット35を締結することで、従動プーリ24をレールベース21に固定する。
【0046】
上記のように、モータ22をレールベース21に取り付ける作業は、戸袋16の外から戸袋16内に取付板30を挿入して、戸袋16の外でナット35を締結するため、作業が容易である。また、従動プーリ24をレールベース21に取り付ける作業は、戸袋16の外でナット35を締結するため、作業が容易である。
【0047】
次に、モータ22の交換作業について説明する。
モータ22の交換作業は、引戸10及び従動プーリ24をレールベース21から取り外さずに行うことができる。すなわち、まず、取付板30をレールベース21に締結しているナット35を緩める。続いて、取付板30の戸袋16の外に位置する部分を引いて、取付板30をレールベース21の取付溝21Aに沿って戸袋16の外に引き出す。そして、戸袋16の外においてナット35を機器取付用ボルト34から外して、取付板30をレールベース21から取り外す。こうすることで、モータ22が引戸駆動装置20から取り外される。
【0048】
続いて、新しいモータ22が取り付けられた取付板30に戸袋16の外に位置する機器取付用ボルト34を下方から挿通し、ナット35を上方から機器取付用ボルト34に螺合することで、取付板30がレールベース21に対して移動可能な程度に締結する。そして、レールベース21に仮固定された取付板30を戸袋16の外からレールベース21の取付溝21Aに沿って押さえ部材32まで差し込み、ナット35を締結する。こうすることで、モータ22が引戸駆動装置20に取り付けられる。
【0049】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)モータ22が設けられた取付板30を戸袋16内に対して出し入れすることで、モータ22を戸袋16内に対して出し入れすることができる。また、取付板30をレールベース21に取り付けることでモータ22をレールベース21に取り付けることができ、モータ22の交換のために引戸10をレールベース21から取り外す必要がなく、交換作業を容易に行うことができる。よって、モータ22の交換作業に掛かる時間を短縮することができる。
【0050】
(2)押さえ部材32に取付板30の先端を差し込むことで、取付板30の先端を固定することができ、モータ22をレールベース21に容易に取り付けることができるとともに、モータ22をレールベース21から容易に取り外すことができる。また、モータ22が発生する力の反力を効率的に受けることができる。
【0051】
(3)取付板30の先端が差し込まれる押さえ部材32をレールベース21に対して移動することができるため、引戸10が設置される現場に応じて、レールベース21に対するモータ22の位置を施工時に調整することができる。
【0052】
(4)レールベース21の取付溝21Aに頭が挿入された機器取付用ボルト34に取付板30が取り付けられるので、ナット35によって締結する前に、取付板30を移動させれば、レールベース21に沿ってモータ22を戸袋16の外から戸袋16内に移動させることができ、モータ22の交換作業が容易となる。
【0053】
(5)モータ22が駆動プーリ23を回転させることで、タイミングベルト25が駆動され、引戸10を開閉させるため、駆動プーリ23とタイミングベルト25との掛かりを外せば、モータ22を容易に取り外すことができる。
【0054】
(第2の実施形態)
以下、図11図13を参照して、引戸駆動装置の取付構造及び引戸装置の第2の実施形態について説明する。この実施形態の引戸装置は、両開き引戸(引分け)である点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0055】
図11に示すように、引戸装置2は、2枚の引戸10を備える両開き引戸である。2枚の引戸10は、1組のモータ22、駆動プーリ23、従動プーリ24、及びタイミングベルト25によって開閉移動される。
【0056】
引戸装置2は、水平方向における両端に設けられる一対の右側縦枠17と左側縦枠18とを備えている。右側縦枠17は、鉛直方向に立てられた状態で背面側から見て右側に設置されている。左側縦枠18は、鉛直方向に立てられた状態で背面側から見て左側に設置されている。無目11は、これら右側縦枠17と左側縦枠18との間の上部に設けられている。右側縦枠17と左側縦枠18との間の中央と、右側縦枠17及び左側縦枠18との間のそれぞれ中央には、方立19が設けられている。方立19は、鉛直方向に立てられた状態で設置されている。方立19は、無目11及び引戸10と干渉しない位置に設けられている。
【0057】
引戸装置2は、2つの方立19と方立19との間が開口15となり、引戸10が閉じているときに開口15が塞がれ、引戸10が開いているときに人が開口15を通行することができる。また、右側縦枠17と方立19との間及び左側縦枠18と方立19との間は図示しない壁が設けられ、引戸10が収納される戸袋16として機能する。なお、無目11と方立14との間は、隙間があり、戸袋16内に挿入する戸袋16の開口部16Aとして機能する。
【0058】
レールベース21は、右側の戸袋16内から左側の戸袋16内まで、すなわち無目11の全長に亘って設けられている。モータ22及び駆動プーリ23は、レールベース21のうち左側の戸袋16内に位置する部分に設置されている。従動プーリ24は、レールベース21のうち右側の戸袋16内に位置する部分に設置されている。
【0059】
連結部材28は、左側の引戸10とタイミングベルト25とを連結している。連結部材28の下端は、戸先側ドアハンガ26に固定されている。引戸駆動装置20は、右側の引戸10とタイミングベルト25とを連結する第2連結部材41を備えている。第2連結部材41の下端は、右側の引戸10の戸先側ドアハンガ26に固定されている。第2連結部材41の上端は、タイミングベルト25の左側の引戸10と逆方向に動く部分に取り付けられている。よって、タイミングベルト25が回転すると、第2連結部材41を介して一体に右側の引戸10が移動する。よって、2つの引戸10が開閉する。
【0060】
取付板30は、左側の戸袋16内のレールベース21に設置されている。取付板30は、レールベース21に設置された状態で一部が左側の戸袋16の外に突出する長さを有している。引戸駆動装置20は、従動プーリ24が固定された第2取付板40を備えている。第2取付板40は、レールベース21に設置されている。第2取付板40は、長尺状の板材であって、レールベース21に設置された状態で一部が左側の戸袋16の外に突出する長さを有している。
【0061】
図12に示すように、従動プーリ24は、従動プーリ24を保持する第3保持部材24Aを介して第2取付板40に対して上方側からねじ31によって締結されている。そして、第2取付板40に締結されたねじ31は、第2取付板40の下面から突出している。これら突出したねじ31の先端は、レールベース21の取付溝21Aに嵌装される。このため、従動プーリ24をレールベース21に取り付けるときに、突出したねじ31の先端によって誘導される。
【0062】
図13に示すように、引戸駆動装置20は、第2取付板40の戸尻側(図中右側)を固定する第2押さえ部材42を備えている。第2押さえ部材42は、右側の戸袋16内に取り付けられている。第2押さえ部材42は、第2取付板40の戸袋16内に挿入される側の先端が差し込まれて、第2取付板40を固定している。第2押さえ部材42は、レールベース21に対して移動可能に設けられ、位置を調整した後固定される。第2押さえ部材42は、取付板30に対する押さえ部材32と同様に、第2取付板40に対して機能する。
【0063】
次に、従動プーリ24の取付作業について説明する。
図13に示すように、レールベース21には、モータ22、引戸10等が取り付けられている。続いて、従動プーリ24が固定された第2取付板40を戸袋16の外の背面側より差し込んで、予め差し込まれた機器取付用ボルト34とナット35とによって仮固定する。すなわち、第2取付板40の戸先側(図中左側)に設けられた貫通孔に機器取付用ボルト34を下方から挿通し、ナット35を上方から機器取付用ボルト34に螺合することで、第2取付板40をレールベース21に対して移動可能な程度に締結する。
【0064】
続いて、レールベース21に仮固定された第2取付板40を右側の戸袋16の外から差し込むことで、従動プーリ24がレールベース21に取り付けられる。すなわち、レールベース21の開口15の上方に位置する第2取付板40を、レールベース21の取付溝21Aに沿って戸袋16内に差し込み、第2押さえ部材42に当接するまで差し込む。このとき、第2取付板40は、タイミングベルト25(図示略)が従動プーリ24に掛けられた状態で差し込まれる。
【0065】
続いて、タイミングベルト25(図示略)が駆動プーリ23と従動プーリ24とに掛けられる。そして、タイミングベルト25の両端が第2連結部材41に取り付けられ、第2連結部材41においてタイミングベルト25の張りが調整される。
【0066】
この状態で、仮固定したナット35を締め込み固定する。第2取付板40が固定された状態において、機器取付用ボルト34及びナット35の位置は開口15の上方に位置している。言い換えると、第2取付板40の戸先側(図中左側)は、戸袋16の外に位置するレールベース21に機器取付用ボルト34及びナット35によって締結される。このため、ナット35の締付を容易に行うことができる。また、従動プーリ24を取り外すときには、第2取付板40を戸袋16の外から引き出すことで、第2取付板40がレールベース21から取り外される。
【0067】
上記のように、従動プーリ24をレールベース21に取り付ける作業は、右側の戸袋16の外から右側の戸袋16内に第2取付板40を挿入して、右側の戸袋16の外でナット35を締結するため、作業が容易である。また、従動プーリ24をレールベース21に取り付ける作業は、右側の戸袋16の外でナット35を締結するため、作業が容易である。
【0068】
次に、本実施形態の効果について説明する。なお、第1の実施形態の(1)~(5)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(6)両開きの引戸装置2において、モータ22と従動プーリ24とを異なる戸袋16に納めることができ、従動プーリ24が固定された第2取付板40を戸袋16内に出し入れすることで、従動プーリ24を戸袋16内に容易に出し入れすることができる。
【0069】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記各実施形態では、押さえ部材32をレールベース21に対して移動可能に設けたが、押さえ部材32をレールベース21に対して予め固定して設けてもよい。
【0070】
・上記各実施形態では、取付板30の先端が差し込まれて固定される押さえ部材32を備えたが、押さえ部材32を省略して、レールベース21に対する取付板30の位置を規定する部材があればよい。
【0071】
・上記第2の実施形態では、第2取付板40の先端が差し込まれ、固定される第2押さえ部材42を備えたが、第2押さえ部材42を省略して、レールベース21に対する第2取付板40の位置を規定する部材があればよい。
【0072】
・上記第1の実施形態では、連結部材28の下端を戸尻側ドアハンガ27に固定したが、連結部材28の下端を引戸10に直接固定してもよい。すなわち、連結部材28は、タイミングベルト25と引戸10とを連結する。
【0073】
・上記第2の実施形態では、連結部材28を左側の引戸10の戸先側ドアハンガ26に固定したが、連結部材28を左側の引戸10に直接固定してもよい。また、第2連結部材41を右側の引戸10の戸先側ドアハンガ26に固定したが、連結部材28を右側の引戸10に直接固定してもよい。
【0074】
・上記各実施形態では、機器取付用ボルト34の頭を取り付ける取付溝21Aをレールベース21に設け、機器取付用ボルト34とナット35とによって締結した。しかしながら、取付板30、第2取付板40をレールベース21に取り付けられれば、ねじの頭を取り付ける溝形状以外であってもよい。例えば、取付板30、第2取付板40とレールベース21が係合する形状や、取付板30、第2取付板40がレールベース21を把持する形状等であってもよい。
【0075】
・上記各実施形態では、取付板30に第1保持部材22A及び第2保持部材22Bを取り付けるねじ31を取付板30の下面から突出させて、レールベース21の取付溝21Aに嵌装するようにした。しかしながら、ねじ31を取付板30の下面から突出しないようにしてもよい。
【0076】
・上記第2の実施形態では、第2取付板40に第3保持部材24Aを取り付けるねじ31を取付板30の下面から突出させて、レールベース21の取付溝21Aに嵌装するようにした。しかしながら、ねじ31を第2取付板40の下面から突出しないようにしてもよい。
【0077】
・上記各実施形態において、取付板30、第2取付板40がレールベース21を把持する構成を備えてもよい。例えば、取付板30、第2取付板40を断面コ字状等にして、取付板30、第2取付板40がレールベース21の上端を把持してもよい。このようにすれば、取付板30、第2取付板40をレールベース21に対して戸袋16内に移動させるときに、誘導することができる。
【0078】
・第2の実施形態では、第2連結部材41においてタイミングベルト25の張りを調整した。しかしながら、従動プーリ24が取り付けられた第2取付板40の位置をレールベース21に対して調整することでタイミングベルト25の張りを調整してもよい。
【0079】
・上記各実施形態では、モータ22と駆動プーリ23とを一体としたが、モータ22と駆動プーリ23とが分離可能な構成として、モータ22を交換するときはモータ22と駆動プーリ23との連結を外してもよい。
【0080】
・上記各実施形態では、戸袋16が図示しない壁に埋め込まれた状態としたが、戸袋16が壁に埋め込まれていない引戸装置1,2としてもよい。このような引戸装置であれば、開口15の部分で取付作業や交換作業を行うことができるので、作業性が高くなる。
【符号の説明】
【0081】
1,2…引戸装置、10…引戸、11…無目、12…戸先側縦枠、13…戸尻側縦枠、13A…差込切欠、14…方立、15…開口、16…戸袋、16A…開口部、17…右側縦枠、18…左側縦枠、19…方立、20…引戸駆動装置、21…ベース部としてのレールベース、21A…取付溝、21B…ガイドレール、22…駆動部としてのモータ、22A…第1保持部材、22B…第2保持部材、23…駆動プーリ、24…従動プーリ、24A…第3保持部材、25…環状ベルトであるタイミングベルト、26…戸先側ドアハンガ、26A…回転ローラ、27…戸尻側ドアハンガ、27A…回転ローラ、28…連結部材、30…取付部としての取付板、31…ねじ、32…押さえ部としての押さえ部材、32A…当接板、32B…押さえ板、33…取付金具、33A…差込部材、34…ねじとしての機器取付用ボルト、35…ナット、36…ねじ、40…第2取付部としての第2取付板、41…第2連結部材、42…第2押さえ部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13