(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】再生アスファルト混合物の製造方法及び再生アスファルト混合物
(51)【国際特許分類】
E01C 19/10 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
E01C19/10 A
(21)【出願番号】P 2018164924
(22)【出願日】2018-09-03
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】門田 誠也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 章吾
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅義
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-095102(JP,A)
【文献】特開昭54-021419(JP,A)
【文献】実開昭61-089004(JP,U)
【文献】実開昭60-144606(JP,U)
【文献】特開平02-061208(JP,A)
【文献】特開昭62-258003(JP,A)
【文献】特開昭59-206504(JP,A)
【文献】特開2006-036962(JP,A)
【文献】特開平11-310708(JP,A)
【文献】特開昭57-096106(JP,A)
【文献】特開2010-100996(JP,A)
【文献】米国特許第04802139(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00-19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温下で、または加温して、アスファルト再生骨材に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加する工程と、
前記アスファルト再生骨材を養生する工程と、
養生後の前記アスファルト再生骨材と新規の骨材及び新規のアスファルトを混合する工程と、
を備え
、
前記アスファルト再生骨材は、アスファルト廃材を適切なサイズに破砕したものであり、骨材と、該骨材に付着した旧アスファルトを含み、
前記アスファルト再生骨材は、全質量に対して前記旧アスファルトが3.8質量%以上含まれていることを特徴とする再生アスファルト混合物の製造方法。
【請求項2】
前記再生用添加剤は、飽和分、芳香族分、レジン分を含んだ石油潤滑油系のものであり、
前記再生用添加剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.1質量%以上である請求項1に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。
【請求項3】
前記施工性改善剤は、脂肪酸系化合物またはグリコールエーテル系化合物であり、
前記施工性改善剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.02質量%以上である請求項1または請求項2に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。
【請求項4】
前記再生用添加剤及び/または前記施工性改善剤を添加するときの温度は、-10℃以上130℃以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の再生アスファルト混合物の製造方法。
【請求項5】
前記アスファルト再生骨材を養生する工程は3日以上とした請求項1
から請求項4のいずれか一項に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。
【請求項6】
前記アスファルト再生骨材を養生した後で、前記アスファルト再生骨材を加熱するようにした請求項
5に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。
【請求項7】
前記再生用添加剤及び/または前記施工性改善剤は、前記アスファルト再生骨材に噴射することで添加する請求項1から
請求項6のいずれか一項に記載された再生アスファルト混合物の製造方法。
【請求項8】
再生用添加剤及び/または施工性改善剤が添加されて養生されたアスファルト再生骨材と新規の骨材及び新規のアスファルトとが混合されてなる再生アスファルト混合物であって、
前記アスファルト再生骨材はその表面から内部の旧アスファルト内に前記再生用添加剤及び/または施工性改善剤が浸透して
おり、
前記再生用添加剤は、飽和分、芳香族分、レジン分を含んだ石油潤滑油系のものであり、
前記再生用添加剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.1質量%以上であり、
前記施工性改善剤は、脂肪酸系化合物またはグリコールエーテル系化合物であり、
前記施工性改善剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.02質量%以上であることを特徴とする再生アスファルト混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト再生骨材を利用した再生アスファルト混合物の製造方法及びその製法で得られた再生アスファルト混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アスファルト舗装の表層と基層に施工されたアスファルト混合物の廃材を破砕することでアスファルト再生骨材が製造される。このアスファルト再生骨材は再生アスファルト混合物の材料として用いられ、アスファルト舗装道路に広く施工されている。
例えば、従来の再生アスファルト混合物の製造方法では、アスファルト再生骨材をドライヤで加熱する。そして、加熱した再生骨材を、加熱した新規の細骨材及び粗骨材、新規のアスファルトと共にミキサーに投入して混合することで、再生アスファルト混合物を製造している。
【0003】
しかし、アスファルト舗装のアスファルト再生骨材を繰り返して再生することにより、再生アスファルト混合物は従来の再生アスファルト混合物よりも次第に性能が劣化してしまい、短期間で再生アスファルト舗装に轍掘れやひび割れ等が発生するという問題が生じる。
この問題を解決するため、例えば特許文献1に記載された再生骨材では、油分が付着した表面を削り取ることによって付着した油分量を少なくし、その後の加熱工程において、再生骨材に再生用添加剤を添加してアスファルトと混合することで、再生アスファルト混合物の性能を高めるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された再生アスファルト混合物は、その性能が十分とはいえない。そのため、この場合でも比較的短期間で再生アスファルト舗装に轍掘れやひび割れ等が発生するという問題が生じる。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、より優れた耐久性を発揮できる再生アスファルト混合物の製造方法及び再生アスファルト混合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る再生アスファルト混合物の製造方法は、常温下で、または加温して、アスファルト再生骨材に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加する工程と、アスファルト再生骨材を養生する工程と、養生後のアスファルト再生骨材と新規の骨材及び新規のアスファルトを混合する工程と、を備え、前記アスファルト再生骨材は、アスファルト廃材を適切なサイズに破砕したものであり、骨材と、該骨材に付着した旧アスファルトを含み、前記アスファルト再生骨材は、全質量に対して前記旧アスファルトが3.8質量%以上含まれていることを特徴とする。
本発明によれば、常温下で、または加温して、アスファルト再生骨材に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加することで、アスファルト再生骨材に対して再生用添加剤及び/または施工性改善剤が旧アスファルト内部に深く浸透するため、アスファルト舗装における車両等による轍掘れを抑制して動的安定度が良好で、ひび割れを起こしにくく疲労破壊回数が大きい。
また、本発明に係る再生アスファルト混合物の製造方法は、前記再生用添加剤が、飽和分、芳香族分、レジン分を含んだ石油潤滑油系のものであり、前記再生用添加剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.1質量%以上であってもよい。
また、本発明に係る再生アスファルト混合物の製造方法は、前記施工性改善剤が、脂肪酸系化合物またはグリコールエーテル系化合物であり、前記施工性改善剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.02質量%以上であってもよい。
また、本発明に係る再生アスファルト混合物の製造方法は、前記再生用添加剤及び/または前記施工性改善剤を添加するときの温度は、-10℃以上130℃以下であってもよい。
【0008】
また、アスファルト再生骨材を養生する工程は3日以上とすることが好ましい。
アスファルト再生骨材に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加して養生する期間を3日以上に設定したため、再生骨材に対して再生用添加剤及び/または施工性改善剤が旧アスファルト内部に深く浸透して高い柔軟性を確保できる。
【0009】
また、アスファルト再生骨材を養生した後で、アスファルト再生骨材を加熱することが好ましい。
アスファルト再生骨材に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加して養生した後で加熱することで、アスファルト再生骨材を乾燥させることができる。
【0010】
また、再生用添加剤及び/または施工性改善剤は、アスファルト再生骨材に噴射することで添加することが好ましい。
再生用添加剤及び/または施工性改善剤をアスファルト再生骨材に噴射して添加するため、アスファルト再生骨材の表面に均一に被覆することができる。
【0011】
本発明による再生アスファルト混合物は、再生用添加剤及び/または施工性改善剤が添加されて養生したアスファルト再生骨材と新規の骨材及びアスファルトとが混合されてなる再生アスファルト混合物であって、アスファルト再生骨材はその表面から内部の旧アスファルト内に再生用添加剤及び/または施工性改善剤が浸透しており、前記再生用添加剤は、飽和分、芳香族分、レジン分を含んだ石油潤滑油系のものであり、前記再生用添加剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.1質量%以上であり、前記施工性改善剤は、脂肪酸系化合物またはグリコールエーテル系化合物であり、前記施工性改善剤の添加量は、前記アスファルト再生骨材の全質量に対して0.02質量%以上であることを特徴とする。
本発明によれば、常温下で、または加温して、アスファルト再生骨材に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加して養生することで、再生用添加剤及び/または施工性改善剤が再生骨材の旧アスファルト内部まで浸透して柔軟性を回復することができるため、新規の骨材及び新規のアスファルトと共にミキサー等で混合して製造された再生アスファルト混合物は柔軟性を回復でき、アスファルト舗装の轍掘れとひび割れを長期間にわたって抑制して耐久性が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る再生アスファルト混合物の製造方法及び再生アスファルト混合物によれば、アスファルト再生骨材に常温で、または加温して、再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加して養生することで、再生骨材の柔軟性と耐久性を回復できるため、アスファルト舗装の轍掘れとひび割れを長期間にわたって抑制して耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態による再生アスファルト混合物の製造装置を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す再生アスファルト混合物の製造装置において、再生アスファルト混合物に再生用添加剤を噴射する状態を示す図である。
【
図3】再生骨材に再生用添加剤を添加した図を示すものであり、(a)はアスファルト再生骨材の図、(b)は実施形態による常温下で、または加温して、アスファルト再生骨材に再生用添加剤を添加した状態の図、(c)は従来例による加熱状態でアスファルト再生骨材に再生用添加剤を添加した状態の図である。
【
図4】アスファルト再生骨材に再生用添加剤を添加して養生した試験例と疲労破壊回数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による再生アスファルト混合物の製造方法と再生アスファルト混合物について説明する。
図1は本発明の実施形態による再生アスファルト混合物Aの製造装置1を示すものである。再生アスファルト混合物Aの製造装置1は、新規なアスファルトcを収容して加熱可能なアスファルト貯蔵サイロ2と、新規な粗骨材(石、砕石)bと細骨材(砂)dを加熱するための骨材加熱用ドライヤ3とを備えている。更に、この製造装置1は、アスファルト再生骨材aに再生用添加剤と施工性改善剤のいずれか一方または両方を添加して養生した後、このアスファルト再生骨材aを加熱するための再生骨材加熱用ドライヤ4と、を備えている。
【0015】
また、再生アスファルト混合物Aの製造装置1は、アスファルト再生骨材aと新規のアスファルトcと粗骨材b及び細骨材dとを投入して攪拌混合するミキサー5を備えている。ミキサー5内で攪拌混合された再生アスファルト混合物Aは例えばダンプトラック6に投下されてアスファルト舗装の施工現場に搬送される。或いは、現場でミキサー5から直接、再生アスファルト混合物Aを排出して施工してもよい。
新規のアスファルトcとして、例えばストレートアスファルトやブローンアスファルト、ゴムやポリマーなどを添加した改質アスファルト等の一般的に舗装に用いられるものを採用できる。
【0016】
本実施形態で用いるアスファルト再生骨材aは、既設のアスファルト舗装の補修時や打ち換え時等に発生するアスファルト廃材を適切なサイズに破砕したものである。アスファルトcは飽和分、芳香族分、レジン分、アスファルテン(炭素)の4成分を含んでおり、再生を繰り返して古くなるとオイル分が少なくなり、アスファルテンが多くなる特性を有する。これを旧アスファルトという。アスファルト再生骨材aには、骨材と骨材に付着した旧アスファルトを含んでいる。また、アスファルト再生骨材aは、全質量に対して旧アスファルトc´が3.8質量%以上含まれることが好ましい。
しかも、この旧アスファルトc´の針入度(1/10mm)は10以上であることが好ましい。針入度は回収されたアスファルトの硬さを示す指標であり、針入度試験によって測定される。また、旧アスファルトの圧裂係数(MPa)は1.90以下であることが好ましい。圧裂係数はアスファルト再生骨材の粘弾性(粘り強さや軟らかさ)を表す指標であり、圧裂係数試験によって測定される。
【0017】
また、アスファルト再生骨材aに添加する再生用添加剤は、旧アスファルトc´の柔軟性等の性状を回復させる効果のある添加剤であり、石油潤滑油系のものが挙げられ、例えばRDEX、RJ-1、RJ-T等がある。再生用添加剤の成分は飽和分、芳香族分、レジン分を含んでいる。再生用添加剤の添加量はアスファルト再生骨材aの全質量に対して0.1質量%以上であることが好ましい。
また、施工性改善剤は、再生アスファルト混合物Aの施工性を改善させる添加剤であり、具体的には再生アスファルト混合物Aの粘度を低下させることができる。そのため、スコップやレーキ等の舗装道具を用いた再生アスファルト混合物Aの敷き均し作業が容易になる。施工性改善剤として動植物油系や石油系が挙げられ、例えば脂肪酸系化合物、グリコールエーテル系化合物等がある。施工性改善剤の添加量はアスファルト再生骨材aの全質量に対して0.02質量%以上であることが好ましい。
また、再生用添加剤と施工性改善剤の両方を用いる場合には、その比率によって各添加量が設定される。
【0018】
次に、本実施形態による再生アスファルト混合物の製造方法について、
図1乃至
図3を参照して説明する。
まず、前工程として、既設のアスファルト舗装の補修時や打ち換え時等に掘り起こしたアスファルト廃材を適当な大きさに破砕してアスファルト再生骨材aを製造する。破砕されたアスファルト再生骨材aの粒子は適宜の粒径、例えば粒径13mm~0mmの範囲とし、分級しなくてもよい。アスファルト再生骨材aは、例えば
図3(a)に示す形状であり、粗骨材bや細骨材d等からなる塊状の骨材eの表面に旧アスファルトc´と細骨材dが付着して適宜厚さの被膜の状態とされている。
【0019】
このアスファルト再生骨材aを、
図2に示すように、例えばベルトコンベア8で再生骨材貯蔵サイロ9に運搬する。しかも、ベルトコンベア8から再生骨材貯蔵サイロ9にアスファルト再生骨材aを投下する際、噴射機10によって常温下で、または加温して、再生用添加剤及び/または施工性改善剤をアスファルト再生骨材aに噴霧する。なお、常温下で、または加温して、アスファルト再生骨材aに再生用添加剤および/または施工性改善剤を添加するときの温度は、-10℃~130℃が好ましく、5℃~100℃がより好ましい。このときの温度は、再生骨材加熱用ドライヤ4やミキサー5での混合温度である130℃超~170℃とすると、再生用添加剤および/または施工性改善剤を添加後の養生状態における含浸効果が得難いため、上限を130℃とした。
これら再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加したアスファルト再生骨材aは再生骨材貯蔵サイロ9で養生される。アスファルト再生骨材aの養生期間は、少なくとも3日とする。養生が3日より少ないと、再生用添加剤及び/または施工性改善剤の、骨材eの旧アスファルトc´への浸透が不十分であり性状を十分改善できない。ここで、再生骨材貯蔵サイロ9に代えて、再生骨材貯蔵ヤードを使用してもよい。
【0020】
本実施形態では、常温下で、または加温して、アスファルト再生骨材aの表面に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を噴霧して3日以上養生させるため、
図3(b)に示すようにアスファルト再生骨材aの表面に付着し被覆された再生用添加剤及び/または施工性改善剤が旧アスファルトc´内部に浸透して油分が多くなり軟らかくなる。この場合、再生用添加剤及び/または施工性改善剤はアスファルト再生骨材aの骨材e内まで浸透する必要はないが、表面から旧アスファルトc´内部の深い所まで(好ましくは骨材eの表面まで)均一に混ざり合うため、アスファルト混合物Aの品質が向上する。
これに対し、
図3(c)に示す従来のアスファルト再生骨材aは、加熱した状態で再生用添加剤及び/または施工性改善剤を噴霧するため、骨材eと旧アスファルトc´及び細骨材dが熱で固くなり、再生用添加剤及び/または施工性改善剤は表面に付着して被膜となり、旧アスファルトc´の内部には十分浸透しない。そのため、アスファルト再生骨材aの性状は十分回復しない。
【0021】
そして、本工程として、養生を終えたアスファルト再生骨材aは再生骨材加熱用ドライヤ4で加熱して乾燥させる。また、新規の細骨材d及び粗骨材b等からなる骨材eは骨材加熱用ドライヤ3で加熱して乾燥させ、新規のアスファルトcもアスファルト貯蔵サイロ2内で加熱して乾燥させる。
図1に示す再生アスファルト混合物Aの製造装置1において、乾燥を終えたアスファルト再生骨材aはミキサー5に投入する。また、新規の細骨材d及び粗骨材bとアスファルトcとフィラーもミキサー5に投入して攪拌羽根で攪拌混合して、再生アスファルト混合物Aを製造する。
【0022】
新規の骨材として、細骨材dと粗骨材b以外に、スラグや再生骨材等を含んでいてもよい。フィラーとして、例えば石粉等、一般的にアスファルト舗装に用いられるものを採用することができる。
新規のアスファルトcは、ストレートアスファルトやブローンアスファルト、ゴムやポリマー等を添加した改質アスファルト等、一般的に舗装に用いられるものが好ましい。加熱したアスファルトcに水蒸気や水、特殊添加剤等を添加することで、アスファルトcを発泡させてもよい。アスファルトcを発泡させることでアスファルトcの体積が膨張して粘性が低下するため、通常より低い温度でフォームドアスファルト舗装の施工が可能になる。
また、再生アスファルト混合物Aの材料としてゴムチップを添加してもよい。
【0023】
上述したように、本実施形態による再生アスファルト混合物Aの製造方法及び再生アスファルト混合物Aは、アスファルト再生骨材aに常温で、または加温して、再生用添加剤及び/または施工性改善剤を噴霧等で添加した後、3日以上養生する。そのため、アスファルト再生骨材aの表面に付着した旧アスファルトc´に再生用添加剤及び/または施工性改善剤が浸透し、従来のものよりアスファルト再生骨材aの柔軟性と耐久性を回復できるため、舗装の轍掘れやひび割れの起こりにくい耐久性の高い混合物を得られる。
【実施例】
【0024】
次に本発明の実施形態による再生アスファルト混合物Aの実施例について説明する。
アスファルト再生骨材aのサンプルとして、既設のアスファルト舗装の補修時や打ち換え時等に掘り起こしたアスファルト廃材を適切なサイズに破砕したものを4種類製作し、試験例1,2,3,4とした。これら試験例1,2,3,4に再生用添加剤をそれぞれ添加するものとした。
再生用添加剤の添加量は旧アスファルトc´の劣化の程度により、再生骨材aの全質量に対して0.29質量%とした。また、製造された再生アスファルト混合物Aの配合割合は、再生用添加剤を含む再生骨材aが49.5質量%、新規骨材eが47.3質量%、新規アスファルトcが3.2質量%とした。
【0025】
試験例1は、アスファルト再生骨材aを加熱した後に0.29質量%の再生用添加剤を添加し、2時間養生した。試験例1の再生骨材aは従来から用いられている通常品である。
試験例2は、常温のアスファルト再生骨材aに0.29質量%の再生用添加剤を添加し、1日養生した。
試験例3は、常温のアスファルト再生骨材aに0.29質量%の再生用添加剤を添加し、3日養生した。
試験例4は、常温のアスファルト再生骨材aに0.29質量%の再生用添加剤を添加し、7日養生した。
【0026】
試験例1はアスファルト再生骨材aを加熱した後に養生した。試験例2,3,4は、養生後に所定の温度(例えば160℃)まで加熱した。各試験例1,2,3,4は、加熱した骨材及び新規アスファルトと共にミキサー5内でそれぞれ混合して再生アスファルト混合物Aの供試体1,2,3,4を製作した。
放冷後の各供試体1,2,3,4を試験用に成型し、それぞれ各養生槽内で5℃に冷却した。
各供試体1,2,3,4について、舗装調査・試験法便覧B018T「アスファルト混合物の曲げ疲労試験方法」に準拠して試験を実施した。試験条件は、繰り返し載荷の振幅を300μm、周波数を10Hzとした。
【0027】
試験結果から、各試験例(供試体)1,2,3,4の疲労破壊回数結果は
図4のグラフに示す結果が得られた。試験例1、2では、ひび割れを起こす疲労破壊回数は17700回、19100回であった。一方、養生期間が3日、7日となる試験例3、4では疲労破壊回数は22900回、23600回となり、試験例1,2よりひび割れや轍掘れを起こしにくい再生アスファルト混合物Aが得られたことが確認できた。
そのため、上述した試験結果から、アスファルト再生骨材aに常温で再生用添加剤を添加して3日以上養生することで、従来のものよりも耐久性の高い高品質な再生アスファルト混合物Aが得られた。
【0028】
なお、本発明による再生アスファルト混合物Aとその製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、上記実施形態の構成を適宜置換したり変更したりすることができる。以下に、本実施形態による再生アスファルト混合物Aとその製造方法の変形例について説明するが、上述した実施形態と同一または同様なもの等については同一の符号を用いて説明する。
【0029】
上述した実施形態では、アスファルト再生骨材aについて分級することなく、例えば13mm~0mmの粒径物を混ぜ合わせたものに再生用添加剤を添加したが、再生用添加剤に代えて施工性改善剤を添加してもよいし、両方を添加してもよい。また、アスファルト再生骨材aを例えば13mm~2mmと2mm~0mmに分級して、いずれかの分級物に再生用添加剤及び/または施工性改善剤を添加してもよい。
また、アスファルト再生骨材aに対する再生用添加剤及び/または施工性改善剤の添加に際し、実施形態ではベルトコンベア8から再生骨材貯蔵サイロ9に投下する際に、噴射機10で噴霧するようにしたが、添加の方法は適宜の手法を採用できる。
【符号の説明】
【0030】
1 再生アスファルト混合物の製造装置
2 アスファルト貯蔵サイロ
3 骨材加熱用ドライヤ
4 再生骨材加熱用ドライヤ
5 ミキサー
6 ダンプトラック
9 再生骨材貯蔵サイロ
10 噴射機
a 再生骨材
A 再生アスファルト混合物
b 粗骨材
c アスファルト
c´ 旧アスファルト
d 細骨材