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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】ID表示器及び映像情報表示システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/66 20060101AFI20221024BHJP
   H04N 5/278 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
H04N5/66 D
H04N5/278
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018201533
(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2020068496
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000209751
【氏名又は名称】池上通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】中道 昌之
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-172876(JP,A)
【文献】特開2008-054149(JP,A)
【文献】特開2013-105394(JP,A)
【文献】特開2015-095133(JP,A)
【文献】特開2000-175131(JP,A)
【文献】国際公開第2012/014917(WO,A1)
【文献】特開2015-198403(JP,A)
【文献】特開2007-114964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/66
H04N 5/278
H04N 5/268
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器群から送信される信号に応じて所定の表示を行うID表示器であって、
前記ID表示器は、液晶パネルを具備し、且つ、給電機器であるPoEハブを介して、前記外部機器群と、イーサネット(登録商標)により接続されているとともに、前記PoEハブから必要な電力を受電するもので、
前記外部機器群は、前記ID表示器に対し、タリー情報を表示させるタリー信号を送信可能とするタリープロセス装置と、前記ID表示器に対し、予め設定されたID情報を表示させる信号を送信可能とするシステム設定用コンピュータであり、
前記液晶パネルは、前記タリープロセス装置から、所定のタイミングで送信されるタリー信号に応じたタリー情報と、前記システム設定用コンピュータから送信される予め設定されたID情報とを、それぞれ同一画面上で表示可能に構成されていることを特徴とするID表示器。
【請求項2】
前記ID表示器は、当該ID表示器の設定を行うための設定用ボタンが設けられており、当該設定用ボタンを操作することで、前記液晶パネルの画面上で、前記ID表示器の設定項目を選択し、さらに、その選択した設定項目の実施が行えるよう構成されていることを特徴とする請求項1記載のID表示器。
【請求項3】
前記ID表示器は、SDカードスロットを有しており、当該SDカードスロットに対し、前記ID表示器のファームウェア及び設定項目データを記憶させたSDカードを挿入することにより、前記ID表示器のファームウェアの更新と、前記設定項目の変更を行うことができるようになっていることを特徴とする請求項2記載のID表示器。
【請求項4】
前記液晶パネルは、表示する前記ID情報の文字サイズ及び文字間隔の設定変更により、前記ID情報の複数行での表示が可能となっていることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載のID表示器。
【請求項5】
前記液晶パネルは、前記タリー情報及び前記ID情報のそれぞれの表示において、輝度を調整することができるよう構成されていることを特徴とする請求項1~4何れか1項記載のID表示器。
【請求項6】
外部機器群と、当該外部機器群から送信される信号に応じて所定の表示を行う液晶パネルを具備するID表示器と、を有し、
前記ID表示器は、給電機器であるPoEハブを介して、前記外部機器群と、イーサネット(登録商標)により接続されているとともに、前記PoEハブから必要な電力を受電するもので、
前記外部機器群は、前記液晶パネルの所定位置に所定のタイミングでタリー情報を表示させるタリー信号を送信するタリープロセス装置と、予め設定された前記タリー情報の表示パターンを指定し、且つ、前記液晶パネルの所定位置に、予め設定されたID情報を表示させる信号を送信するシステム設定用コンピュータとからなるものであることを特徴とする映像情報表示システム。
【請求項7】
前記タリープロセス装置は、イーサネット(登録商標)を通じてスイッチャと接続されており、当該スイッチャに連動した所定のタイミングで、前記タリー情報を前記液晶パネルに表示させるものであることを特徴とする請求項6記載の映像情報表示システム。
【請求項8】
前記システム設定用コンピュータは、前記タリー情報の表示パターンを複数設定可能であることを特徴とする請求項6又は7記載の映像情報表示システム。
【請求項9】
前記ID表示器は、SDカードスロットを有しており、当該SDカードスロットに対し、前記ID表示器のファームウェア及び設定項目データを記憶させたSDカードを挿入することにより、前記ID表示器のファームウェアの更新と、前記設定項目の変更を行うことができるようになっていることを特徴とする請求項6~8何れか1項記載の映像情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニター棚などに設置し、映像の素材名称等のID情報の表示や、タリー情報の表示を行うID表示器及び映像情報表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、映像の素材名称等のID情報の表示や、タリー情報の表示を行う表示器54には、例えば、図6に示すように、ドットマトリックスLEDモジュール50を組み合わせてID情報を表示させ、さらに、別の箇所(例えば、下部)に配置した別LEDモジュール52によって、タリー情報を表示させるといったものが用いられている。また、液晶表示器にID情報を表示し、この液晶表示器とは別の箇所に配置した別のモジュールによりタリー情報を表示させるというID表示器も用いられてきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、入力された漢字コードからフォントデータを生成するフォントデータ生成手段と、格子状に配列したLEDから構成されたドット表示手段によって漢字表示が可能に構成された表示手段と、前記フォントデータに基づいて前記表示手段を駆動することにより前記表示手段に漢字を表示させる駆動手段とを備え、前記フォントデータ生成手段と表示手段と駆動手段とが単一のケースに組み込まれて構成されている、ことを特徴とするディスプレイ装置が開示されている。
【0004】
また、図7に示すように、従来のID情報の表示等に用いられるシステム60では、システム側との制御は、タリープロセス装置62がメインで稼働し、SSTパソコン64(システムセットアップターミナル)は、パソコンアプリでID表示器66での表示文字指定や、タリー情報の表示パターンの指定を行う。なお、制御には、ARCHUB68を利用したARCNET(アークネット)が用いられてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-87687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のドットマトリックスLEDモジュールでID情報を表示させる表示器では、赤緑青の3色表示でき、また、全点灯で白も表現することができるとはいえ、全角1文字が16×16ドットの解像度しかないため、複雑な漢字の表現ができず、また、文字サイズや、文字の位置にも制限が生じてしまう。さらに、タリー情報を表示させる別LEDモジュールは、例えば、3ブロックに分割されていて、赤緑の発光色による色表示及び両方点灯による橙色の表示が可能ではあるが(合計3色)、タリー情報の表示サイズや、表示位置を変えることはできない。
【0007】
また、従来の液晶表示器を用いた表示器では、ドットマトリックスLEDモジュールとは違い解像度が高く、漢字文字の表現が可能であるが、タリー情報の表示は、液晶表示器とは別の箇所で行われるため、構造的には構成物が多くなり、大きさやコストの面で問題があると指摘されてきている。また、ARCNETを用いた制御では、同軸カスケード接続の場合、それぞれの機器に、個別外部電源(AC/DCアダプタ)が必要となり、システム構成上煩雑なものとなってしまう。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためのもので、簡易な構成で、高品位・複雑な文字の表示ができ、また、同一画面上にスタイル自由なタリー情報も表示でき、さらに、PoE電源を採用できることから、個別電源を必要とせず、部品入手性改善やコスト削減が可能となるID表示器及び映像情報表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題に対応するため、本発明は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、請求項1記載の発明は、外部機器群から送信される信号に応じて所定の表示を行うID表示器であって、前記ID表示器は、液晶パネルを具備し、且つ、給電機器であるPoEハブを介して、前記外部機器群と、イーサネット(登録商標)により接続されているとともに、前記PoEハブから必要な電力を受電するもので、前記外部機器群は、前記ID表示器に対し、タリー情報を表示させるタリー信号を送信可能とするタリープロセス装置と、前記ID表示器に対し、予め設定されたID情報を表示させる信号を送信可能とするシステム設定用コンピュータであり、前記液晶パネルは、前記タリープロセス装置から、所定のタイミングで送信されるタリー信号に応じたタリー情報と、前記システム設定用コンピュータから送信される予め設定されたID情報とを、それぞれ同一画面上で表示可能に構成されていることを特徴とするID表示器である。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のID表示器であって、前記ID表示器は、当該ID表示器の設定を行うための設定用ボタンが設けられており、当該設定用ボタンを操作することで、前記液晶パネルの画面上で、前記ID表示器の設定項目を選択し、さらに、その選択した設定項目の実施が行えるよう構成されていることを特徴としている。
【0011】
そして、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のID表示器であって、前記ID表示器は、SDカードスロットを有しており、当該SDカードスロットに対し、前記ID表示器のファームウェア及び設定項目データを記憶させたSDカードを挿入することにより、前記ID表示器のファームウェアの更新と、前記設定項目の変更を行うことができるようになっていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、請求項1~3何れか1項記載のID表示器であって、前記液晶パネルは、表示する前記ID情報の文字サイズ及び文字間隔の設定変更により、前記ID情報の複数行での表示が可能となっていることを特徴としている。そして、請求項5記載の発明は、請求項1~4何れか1項記載のID表示器であって、前記液晶パネルは、前記タリー情報及び前記ID情報のそれぞれの表示において、輝度を調整することができるよう構成されていることを特徴としている。
【0013】
またさらに、請求項6記載の発明は、外部機器群と、当該外部機器群から送信される信号に応じて所定の表示を行う液晶パネルを具備するID表示器と、を有し、前記ID表示器は、給電機器であるPoEハブを介して、前記外部機器群と、イーサネット(登録商標)により接続されているとともに、前記PoEハブから必要な電力を受電するもので、前記外部機器群は、前記液晶パネルの所定位置に所定のタイミングでタリー情報を表示させるタリー信号を送信するタリープロセス装置と、予め設定された前記タリー情報の表示パターンを指定し、且つ、前記液晶パネルの所定位置に、予め設定されたID情報を表示させる信号を送信するシステム設定用コンピュータとからなるものであることを特徴とする映像情報表示システムである。
【0014】
そして、請求項7記載の発明は、請求項6記載の映像情報表示システムであって、前記タリープロセス装置は、イーサネット(登録商標)を通じてスイッチャと接続されており、当該スイッチャに連動した所定のタイミングで、前記タリー情報を前記液晶パネルに表示させるものであることを特徴している。さらに、請求項8記載の発明は、請求項6又は7記載の映像情報表示システムであって、前記システム設定用コンピュータは、前記タリー情報の表示パターンを複数設定可能であることを特徴としている。
【0015】
さらに、請求項9記載の発明は、請求項6~8何れか1項記載の映像情報表示システムであって、前記ID表示器は、SDカードスロットを有しており、当該SDカードスロットに対し、前記ID表示器のファームウェア及び設定項目データを記憶させたSDカードを挿入することにより、前記ID表示器のファームウェアの更新と、前記設定項目の変更を行うことができるようになっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、液晶パネルにID情報を表示することができるため、文字解像度が高く、また、複雑な文字でも表示することが可能である。さらに、タリー情報を液晶パネルに表示することができるため、自由なタリー情報の表示パターンを構成することが可能となる。
【0017】
また、本発明によれば、PoE電源を採用するため、個別電源が不要となり、さらに、一般的なイーサネット(登録商標)を採用することから、部品入手性の改善や、コスト削減を実現させることができる。またさらに、イーサネット(登録商標)を採用することで、PC(システム設定用コンピュータ等)との親和性が向上し、通信速度も改善される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るID表示器の実施形態を示した図で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は左側面図を表している。
図2】本発明に係るID表示器の実施形態におけるネットワーク制御系統を示した概略図である。
図3】本発明に係るID表示器の実施形態において、液晶パネルにID情報及びタリー情報を表示させた状態を示す一例図である。
図4】本発明に係るID表示器の実施形態において、液晶パネル上で設定項目(メニュー)を選択する状態を示す一例図である。
図5】本発明に係るID表示器及び映像情報表示システムの実施形態を含む放送システム全体の制御系統を示した概略図である。
図6】従来のID表示器の一例を示した正面図である。
図7】従来のID表示器におけるネットワーク制御系統を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るID表示器及び映像情報表示システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るID表示器の実施形態を示したもので、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は左側面図であり、図2は、本発明に係るID表示器の実施形態におけるネットワーク制御系統を示した概略図である。
【0020】
そして、図3は、本発明に係るID表示器の実施形態において、液晶パネルにID情報及びタリー情報を表示させた状態を示す一例図で、図4は、本発明に係るID表示器の実施形態において、液晶パネル上で設定項目(メニュー)を選択する状態を示す一例図である。さらに、図5は、本発明に係るID表示器及び映像情報表示システムの実施形態を含む放送システム全体の制御系統を示した概略図である。
【0021】
そして、符号については、10がID表示器、12が外部機器群、14が液晶パネル、16がPoEハブ、18がイーサネット(登録商標)、20がタリープロセス装置、22がシステム設定用コンピュータ、24が設定用ボタン、28がSDカードスロット、29がUSBコネクタ、30がスイッチャ、32がルーター、34が周辺棚板、36がルーターリモコン、38がLANケーブル挿入口、40が映像情報表示システムを示している。
【0022】
まず、本実施形態におけるID表示器10は、図1、2、5に示すように、外部機器群12から送信される信号に応じて所定の表示を行うものであって、ID表示器10は、液晶パネル14を具備し、且つ、給電機器であるPoEハブ16を介して、外部機器群12と、イーサネット(登録商標)18により接続されているとともに、PoEハブ16から必要な電力を受電するものである。なお、ID表示器10は、図1(c)に示すLANケーブル挿入口38に、PoEハブ16に接続されるLANケーブルを挿入し、通信及び受電可能な構成をとる。
【0023】
さらに、外部機器群12は、ID表示器10に対し、タリー情報を表示させるタリー信号を送信可能とするタリープロセス装置20と、ID表示器10に対し、予め設定されたID情報を表示させる信号を送信可能とするシステム設定用コンピュータ22であり、液晶パネル14は、タリープロセス装置20から、所定のタイミングで送信されるタリー信号に応じたタリー情報と、システム設定用コンピュータ22から送信される予め設定されたID情報とを、それぞれ同一画面上で表示可能に構成されている。
【0024】
次に、本実施形態における映像情報表示システム40は、図5に示すように、外部機器群12と、外部機器群12から送信される信号に応じて所定の表示を行う液晶パネル14を具備するID表示器10とを有し、ID表示器10は、給電機器であるPoEハブ16を介して、外部機器群12と、イーサネット(登録商標)18により接続されているとともに、PoEハブ18から必要な電力を受電するもので、外部機器群12は、液晶パネル14の所定位置に所定のタイミングでタリー情報を表示させるタリー信号を送信するタリープロセス装置20と、予め設定されたタリー情報の表示パターンを指定し、且つ、液晶パネル14の所定位置に、予め設定されたID情報を表示させる信号を送信するシステム設定用コンピュータ22(図5中、SSTパソコン)とからなるものである。
【0025】
続いて、本実施形態におけるID表示器10と、映像情報表示システム40について、詳細に説明していく。まず、本実施形態における映像情報表示システム40は、図5に示すように、外部機器群12と、外部機器群12から送信される信号に応じて所定の表示を行う液晶パネル14を具備する本実施形態におけるID表示器10とを有するもので、相互に、PoEハブ16を介して、イーサネット(登録商標)18により接続されている。
【0026】
なお、PoEハブ16は、給電機器であることから、ID表示器10は、個別に電源を設けることなく、PoEハブ16から受電することができる。そのため、ID表示器10自体の構成がより簡易なものとなり、小型化を実現することができる。また、電源と制御含めてケーブル1本で接続することができるため、システム構成の簡易化が図れる。さらに、イーサネット(登録商標)18を採用することで、部品入手性の改善や、コスト削減、さらに、PC(システム設定用コンピュータ等)との親和性が向上し、通信速度も改善される。
【0027】
また、外部機器群12は、図5に示すように、液晶パネルの所定位置に所定のタイミングでタリー情報を表示させるタリー信号を送信するタリープロセス装置20と、予め設定されたタリー情報の液晶パネル14における表示パターンを指定し、且つ、液晶パネル14の所定位置に、予め設定されたID情報を表示させる信号を送信するシステム設定用コンピュータ22とからなっている。
【0028】
また、図5に示すように、本実施形態における映像情報表示システム40は、イーサネット(登録商標)18を通じて、それぞれ、映像切替を行うスイッチャ30や、ルーター32、周辺棚板34に収納されている周辺機器(図示せず)、さらに、ルーターリモコン36が接続されている。ただし、この構成は、本発明を限定するものではない。
【0029】
続いて、本実施形態におけるID表示器10は、上記の通り、外部機器群12から送信される信号に応じて所定の表示を行う液晶パネル14を具備するもので、タリープロセス装置20から、所定のタイミングで送信されるタリー信号に応じたタリー情報と、システム設定用コンピュータ22から送信される予め設定されたID情報とを、それぞれ同一画面上で表示可能に構成されている。
【0030】
このように構成されているため、液晶パネルにID情報の高品位な表示をすることができ、また、漢字、全角英数字、半角英数字など、全角JIS第1、第2水準及び半角JIS8コードの文字も表示することが可能である。さらに、タリー情報をID情報と液晶パネル14の同一画面で表示することができるため、図3に示すような、自由なタリー情報の表示パターンを構成することが可能となる。
【0031】
例えば、図3(a)は、液晶パネル14の下部にタリー情報(左から、R/G/Y色で区分け)、そして、上部に漢字とひらがなを組み合わせた素材情報を表示させている。また、(b)は、液晶パネル14の左右にそれぞれタリー情報(左がR色、右がG色)で、それに挟まれた領域に英文字と数字を組み合わせた素材情報を表示させている。さらに、(c)は、液晶パネル14の下部にタリー情報(R色またはG色)、上部に漢字とカタカナを組み合わせた素材情報を表示させている。
【0032】
またさらに、図3(d)は、液晶パネル14の上部にタリー情報(左がG色、右がR色)、下部に英文字と数字を組み合わせた素材情報を表示させている。なお、図中、液晶パネル14上の素材情報を表示させている文字は、白色の背景に黒文字となっているが、黒色の背景に白文字で表示するように構成しても構わない。また、本パターンは、単なる一例であるため、これらが本発明を限定することはない。
【0033】
つまり、システム設定用コンピュータ22と、タリープロセス装置20を組み合わせ、予め設定登録した素材名称(ID情報)と、スイッチャ30に連動したシステムタリー情報をリアルタイムに表示することができる。
【0034】
続いて、図5に示すように、ID表示器10は、素材モニタ(図示せず)の上にそれぞれ配置する装置で、具備する液晶パネル14に素材名称(ID情報)とタリー情報を表示させるものである。ここで、タリー情報とは、どの素材がオンエアーしているかを示すランプで、スタジオカメラの上にランプ(例えば、赤色)が付いていて、演者は、そのカメラに向かって話をするようになっている。
【0035】
一方、サブ調整室内では、複数の素材モニタがあり、そのモニタの上にそれぞれ配置する本実施形態のID表示器10の液晶パネル14に、タリー情報を表示(点灯)させることができるようになっている。なお、素材モニタには、カメラ映像、VTR映像、お天気カメラ、別回線で送られてきた外部映像などが映し出されるものである。
【0036】
システムの制御は、まず、タリープロセス装置20が、スタジオ機器のスイッチャ30や、ルーター32、周辺機器から、今どのカメラの素材を撮影しているか等の情報を集め、その情報を元に該当する素材モニタ上に配置されたID表示器10の液晶パネル14にタリー情報を表示(点灯)させる。
【0037】
一方、ID情報(素材名称)は、システム設定用のアプリケーションをインストールしたシステム設定用コンピュータ22を使用し設定する。これは、例えば、番組前に一度作成し、放送中に変更することはしない。通常は、番組に応じて、予めプリセットデータを作成しておき、それを利用する。
【0038】
続いて、本実施形態におけるID表示器10は、図1(a)、(b)に示すように、ID表示器10の設定を行うための設定用ボタン24が設けられており、この設定用ボタン24を操作することで、図4に示すように、液晶パネル14の画面上で、ID表示器10の設定項目(メニュー項目)を選択し、さらに、その選択した設定項目の実施が行えるようになっている。
【0039】
また、例えば、設定用ボタン24の、例えば、「MENU」を押下すると、液晶パネル14が初期設定画面(設定項目の選択画面に推移)になるようにプログラムしておくのが好ましい。なお、図4のメニュー項目の選択画面は、単なる一例であり、本発明を限定するものではない。ここで、メニュー項目は、例えば、イーサネット(登録商標)18上のIPアドレス設定、液晶パネル14表示文字サイズ設定、表示文字間隔設定、表示文字色設定、タリー情報表示エリアの色指定、表示文字スクロール速度等々の選択ができるようにしておくのがシステム運用上有効である。
【0040】
さらに、本実施形態におけるID表示器10は、図1(b)に示すように、SDカードスロット28を有しており、このSDカードスロット28に、ID表示器10のファームウェア及び上記の設定項目(メニュー項目)を記憶させたSDカードを挿入することにより、ID表示器10のファームウェアの更新と、設定項目(メニュー項目)の変更を行うことができるようになっている。
【0041】
また、本実施形態における映像情報表示システム40も、このID表示器10を有しているものであるため、同様に、ID表示器10のファームウェアの更新と、設定項目(メニュー項目)の変更をSDカードによって行うことができる。さらに、本実施形態では、図1(b)に示すように、USBコネクタ29が設けられており、これを通じて外部PCを接続し、ID表示器10の初期ファイル書込や、プログラム変更等のメンテナンスを行えるようになっている。
【0042】
続いて、本実施形態におけるID表示器10では、上記設定項目(メニュー項目)にあるように、液晶パネル14に表示させるID情報の文字サイズ及び文字間隔の設定を行うことで、ID情報を液晶パネル14上に複数行で表示させることができるようになっている。また、液晶パネル14に表示させるID情報及びタリー情報の輝度を調整することができるように構成するのが好ましい。
【0043】
また、本実施形態における映像情報表示システム40では、システム設定用コンピュータ22は、ID表示器10の液晶パネル14に表示させるタリー情報の表示パターンを予め複数設定可能とし、これにより、例えば、図3に示すように、スタイル自由なタリー情報を液晶パネル14に表示させることができるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、高品位・複雑な文字、また、同一画面上にスタイル自由なタリー情報も表示でき、さらに、個別電源を必要としないため、部品入手性改善やコスト削減を図りつつ、多種多様なID情報及びタリー情報を表示させる必要がある環境で好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 ID表示器
12 外部機器群
14 液晶パネル
16 PoEハブ
18 イーサネット(登録商標)
20 タリープロセス装置
22 システム設定用コンピュータ
24 設定用ボタン
28 SDカードスロット
29 USBコネクタ
30 スイッチャ
32 ルーター
34 周辺棚板
36 ルーターリモコン
38 LANケーブル挿入口
40 映像情報表示システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7