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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】メラミン樹脂発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/14 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
C08J9/14 CEZ
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018230329
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020090642
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松井 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 文哉
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-172736(JP,A)
【文献】特開2018-145381(JP,A)
【文献】特開2020-041081(JP,A)
【文献】特開平11-269343(JP,A)
【文献】特開昭50-040669(JP,A)
【文献】特開平7-157590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
C08G 4/00-16/06
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
E04B 1/82-1/86
G10K 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチレン化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物(A)と、ハイドロフルオロエーテル(B)と、スルホこはく酸塩型界面活性剤(C)と、硬化剤(D)と、を含む混合溶液を発泡させてなることを特徴とするメラミン樹脂発泡体。
【請求項2】
さらに、前記混合溶液が、炭化水素を含むことを特徴とする請求項1記載のメラミン樹脂発泡体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラミン樹脂発泡体に関する。特には、建築分野における壁材、電機分野・自動車分野における吸音部材にも使用可能であるメラミン樹脂発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
メラミンモノマーとホルムアルデヒドとを、触媒の存在下にて反応させることにより、メラミン-ホルムアルデヒド前縮合物が得られる。ここに、発泡剤を添加して加熱することにより、多孔質な形状をもつメラミン樹脂発泡体を製造することができる。この発泡体は、硬度や耐久性に優れることから、家庭用のクリーナースポンジとして広く利用されている。
【0003】
従来、メラミン樹脂発泡体について広く研究がなされている。具体的には、メラミン-ホルムアルデヒド前縮合物、乳化剤、発泡剤及び硬化剤並びに場合により通常の添加物を含有する水性又はアルコール性溶液又は分散液を超高周波照射によって発泡させかつフォームを前縮合物の架橋によって硬化させることより成る、メラミン-ホルムアルデヒド前縮合物をベースとする弾性フォーム及びその製造法が知られている(特許文献1)。
【0004】
しかし、メラミン-ホルムアルデヒド前縮合物を基にしたメラミン樹脂発泡体は、硬度や耐久性に優れる反面、柔軟性や弾力性にやや欠ける傾向があることから、更なる改良が求められていた。さらに、建築分野における壁材、電機分野・自動車分野における吸音部材などに利用するには、吸音性能に改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特公平2-50943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、軽量で、柔軟性や弾力性に富み、吸音性能に優れているメラミン樹脂発泡体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、メチレン化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物(A)と、ハイドロフルオロエーテル(B)と、スルホこはく酸塩型界面活性剤(C)と、硬化剤(D)と、を含む混合溶液を発泡させてなることを特徴とするメラミン樹脂発泡体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかるメラミン樹脂発泡体は、軽量で、柔軟性や弾力性に富み、吸音性能に優れているという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<メチレン化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物>
本発明では、メチレン化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物(A)を用いる。当該(A)成分は、2段階の反応により合成することができる。以下、2段階の反応を、一次反応と二次反応に分けて説明する。
【0010】
まず、一次反応について説明する。一次反応では、メラミンモノマーとホルムアルデヒドとを配合した水溶液に、塩基性触媒を添加し、加熱することにより、メラミン-ホルムアルデヒド前縮合物を合成する。
【0011】
なお、本発明の効果を損なわない範囲内において、ホルムアルデヒド以外のアルデヒド類を配合しても構わない。その他のアルデヒド類としては、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、アクロレイン、グリオキザール、フルフラール、サリチルアルデヒド、シンナムアルデヒドなどが挙げられる。
【0012】
メラミンモノマーと、ホルムアルデヒドを含むアルデヒド類との配合割合としては、モル比で1:1~5であることが好ましく、1:2~4であることが特に好ましい。この範囲内において配合することにより、メラミン樹脂の分子構造が3次元の網目状となることから、機械的特性を飛躍的に向上させることができる傾向がある。
【0013】
塩基性触媒としては、金属の水酸化物やアンモニアなどが挙げられる。塩基性触媒は、一次反応の反応前に添加して、水溶液のpHを調整するが、その際のpHは8以上11未満であることが好ましく、8.5以上10未満であることが特に好ましい。この範囲内であることにより、メラミン-ホルムアルデヒド前縮合物を効率的に合成することができる傾向がある。
【0014】
一次反応の反応温度は、80℃以上110℃未満であることが好ましく、85℃以上105℃未満であることが特に好ましい。さらに、反応時間は、0.5時間以上4時間未満であることが好ましく、1時間以上3時間未満であることが特に好ましい。
【0015】
次に、二次反応について説明する。二次反応としては、一次反応により合成したメラミン-ホルムアルデヒド前縮合物を含む塩基性水溶液に、酸性触媒を添加し、加熱することにより、メチレン化反応をさせ、メチレン化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物を合成する。
【0016】
酸性触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸アミド、酢酸、ギ酸、シュウ酸などが挙げられる。酸性触媒は、一次反応の終了後に添加して、水溶液のpHを調整するが、その際のpHは6以上8未満であることが好ましく、6.5以上7.5未満であることが特に好ましい。この範囲内であることにより、メチレン化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物を効率的に合成することができる。
【0017】
また、二次反応の反応温度は、50℃以上80℃未満であることが好ましく、55℃以上75℃未満であることが特に好ましい。さらに、反応時間は、0.3時間以上3時間未満であることが好ましく、0.5時間以上2時間未満であることが特に好ましい。
【0018】
二次反応の終了後には、必要に応じて塩基性触媒を添加することができる。その場合は、pHを8以上11未満とすることが好ましく、8.5以上10未満とすることが特に好ましい。
【0019】
本発明では、当該(A)成分を合成した後、さらに発泡剤、界面活性剤、及び硬化剤を配合して、メラミン樹脂発泡体を製造する。
【0020】
<発泡剤>
本発明では、発泡剤として、ハイドロフルオロエーテル(B)を用いる。当該(B)成分を用いることにより、柔軟性や弾力性に富み、吸音性能に優れているメラミン樹脂発泡体を製造することができる。
【0021】
当該(B)成分の具体例としては、COCH、COCH、COC、CCF(OCH)Cなどが挙げられる。なお、市販品としては、Novec 7000、Novec 7100、Novec 7200、Novec 7300、Novec 71IPA(いずれもスリーエム社製)などが挙げられる。
【0022】
当該(B)成分の配合割合としては、有効成分に換算して、上記(A)成分100重量部に対して、0.01~100重量部配合することが好ましく、0.03~50重量部配合することがより好ましく、0.05~30重量部配合することがさらに好ましく、0.1~10重量部配合することが特に好ましい。この範囲内において配合することにより、柔軟性や弾力性に富み、吸音性能に優れている発泡体を効率よく製造することができる傾向がある。
【0023】
また、当該(B)成分の他に、発泡助剤として炭化水素を配合することもできる。炭化水素を配合した場合、柔軟性や弾力性、吸音性能がさらに向上する傾向がある。
【0024】
炭化水素としては、炭素数5~18程度の飽和炭化水素であれば、直鎖状、分岐状、環状のいずれであっても構わない。炭化水素の沸点としては、0~100℃であることが好ましく、10~90℃であることが特に好ましい。具体的な化学物質としては、ノルマルペンタン、シクロペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0025】
炭化水素を用いる場合、その配合割合としては、有効成分に換算して、上記(A)成分100重量部に対して、0.1~100重量部配合することが好ましく、0.3~50重量部配合することがより好ましく、0.5~30重量部配合することがさらに好ましく、1~15重量部配合することが特に好ましい。この範囲内において配合することにより、上記(B)成分の効果をさらに高めることができる傾向がある。
【0026】
<界面活性剤>
本発明では、界面活性剤として、スルホこはく酸塩型界面活性剤(C)を用いる。当該(C)成分は、アニオン性の界面活性剤であり、通常は湿潤剤や浸透剤として用いられ、シャンプーや化粧品などに配合されている。
【0027】
一般に界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性であるものや、非イオン性であるものが知られている。このうち、アニオン性の界面活性剤としては、市販の石けんやポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸塩型、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)や分岐アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)などのスルホン酸塩型、ジアルキルスルホこはく酸塩などのスルホこはく酸塩型、アルキル硫酸エステル塩(AS)やポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)などの硫酸エステル塩型のほか、リン酸エステル塩型やアミノ酸型などが挙げられる。
【0028】
本発明の発明者は、上述したアニオン性の界面活性剤のうち、特にスルホこはく酸塩型のものを用いることにより、発泡体のセル構造がきめ細かくなる上、柔軟性や弾力性が著しく向上することを見出した。その反応機構の詳細は不明であるが、その他のアニオン性の界面活性剤と比較して、湿潤性や乳化性に優れていることから、当該(C)成分が、上記(A)成分に隈なく行き届くことで、極めて均一な多孔質構造を生成するものと考えられる。
【0029】
当該(C)成分において、スルホこはく酸の塩としては、例えば、金属塩やアンモニウム塩が挙げられる。当該金属としては、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属であることが好ましく、アルカリ金属であることがさらに好ましく、ナトリウムであることが特に好ましい。その他、置換基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれであっても構わない。また炭素数が6~24であることが好ましく、7~20であることがさらに好ましく、8~16であることが特に好ましい。
【0030】
当該(C)成分の具体例は、市販品として、ビューライトSSS(商品名、スルホこはく酸ラウリル二ナトリウム、三洋化成工業社製)、カラボンDA-72、サンセパラー100、サンモリンOT(いずれも商品名、ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム、三洋化成工業社製)、ビューライトLSS(商品名、ポリオキシエチレンスルホこはく酸ラウリル二ナトリウム、三洋化成工業社製)、エレミノールJS-20(商品名、アルキルアリルスルホこはく酸ナトリウム、三洋化成工業社製)、ビューライトA-5000(商品名、スルホこはく酸ポリオキシエチレンラウロイル-エタノールアミド二ナトリウム、三洋化成工業社製)、ビューライトESS(商品名、ポリオキシエチレンアルキルスルホこはく酸二ナトリウム、三洋化成工業社製)、ペレックスOT-P、ペレックスTR、ペレックスTA(いずれも商品名、ジアルキルスルホこはく酸ナトリウム、花王社製)、コハクールL-300(商品名、ポリオキシエチレンスルホこはく酸ラウリル二ナトリウム、東邦化学工業社製)、コハクールL-40(商品名、スルホこはく酸ラウリル二ナトリウム、東邦化学工業社製)、コハクールL-400(商品名、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)スルホこはく酸二ナトリウム、東邦化学工業社製)などが挙げられる。
【0031】
当該(C)成分の配合割合としては、有効成分に換算して、上記(A)成分100重量部に対して、0.1~100重量部配合することが好ましく、0.3~50重量部配合することがより好ましく、0.5~30重量部配合することがさらに好ましく、1~15重量部配合することが特に好ましい。この範囲内において配合することにより、発泡体のセル面積が小さくなりセル構造がきめ細かくなる上、均一な多孔質構造となることから、セル形状の偏りを抑制することができる傾向がある。
【0032】
<硬化剤>
本発明では、硬化剤(D)を用いる。当該(D)成分を配合することにより、合成後の上記(A)成分の硬化反応を促進することができる。
【0033】
当該(D)成分としては、酸性の水溶液を用いることが好ましい。酸性の水溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸などが挙げられる。
【0034】
当該(D)成分の配合割合としては、有効成分に換算して、上記(A)成分100重量部に対して、0.1~100重量部配合することが好ましく、0.3~50重量部配合することがより好ましく、0.5~30重量部配合することがさらに好ましく、1~15重量部配合することが特に好ましい。この範囲内において配合することにより、上記(A)成分を効率的に硬化させることができる傾向がある。
【0035】
発泡体を製造する方法としては、公知の手法を用いることができる。その例としては、上記(A)~(D)成分を攪拌し混合溶液を得た後、適宜の型内に流し込み、加熱又はマイクロ波などの照射により、発泡させる方法が挙げられる。
【0036】
その他、本発明においては、酸化防止剤、防腐剤、粘着付与剤、可塑剤、ホルムアルデヒド捕捉剤などの各種添加剤が含まれていても良い。
【0037】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。
【実施例
【0038】
(合成例1)
メラミンモノマーを120重量部と、ホルムアルデヒド(37%水溶液)を210重量部とを、撹拌機、還流冷却機及び温度計を備えたセパラブルフラスコに仕込み、塩基性触媒として水酸化ナトリウム(48%水溶液)をpHが9.0となるように添加し、95℃にて120分間かけて反応を行った。その後、パラトルエンスルホン酸アミド(17.5%水溶液)をpHが7.2となるように添加し、70℃にて45分間かけて反応を行なった。反応終了後、自然冷却させ、温度が60℃まで低下した時点で、再び水酸化ナトリウム(48%水溶液)をpHが9.0となるように添加し、固形分が75%となるまで余分な水を除去し、再び自然冷却して、無色透明のメチレン化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物(75%水溶液)を得た。
【0039】
そして、合成例1にて得られたメチレン化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物を、蓋の付いた1Lプラスチック瓶に入れ、30℃にて1日間保存した後、以下の工程により、メラミン樹脂発泡体を製造した。
【0040】
(実施例1)
(A)成分として、上記の合成例1にて得られた、メチレン化メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物(75%水溶液)を100重量部と、
(B)成分として、Novec 7100(商品名、スリーエム社製、ハイドロフルオロエーテル)を0.2重量部と、
(C)成分として、ビューライトSSS(商品名、三洋化成工業社製、スルホこはく酸ラウリル二ナトリウム、42%水溶液)を7.0重量部と、
(D)成分として、ギ酸(98%水溶液)を4.2重量部と、
その他の成分のうち、発泡助剤としてシクロペンタンを4.8重量部と、ホルムアルデヒド捕捉剤として亜硫酸水素ナトリウム(固体)を2.2重量部と、を配合し、ディスクタービン型ミキサーに投入し、回転数3000rpmで1分間攪拌することで混合溶液を得た。
【0041】
得られた混合溶液100gを2Lのポリカップに流し込み、マイクロ波照射機(製品名:YMD-12、周波数:2450MHz、山本ビニター社製)を用いて、300Wにて210秒間マイクロ波を照射することで発泡させた。その後、脱型して、更に200℃で30分間加熱する事で完全硬化させ、実施例1のメラミン樹脂発泡体を得た。
【0042】
(実施例2~4及び比較例1~3)
表1に示す配合により、実施例1と同様にメラミン樹脂発泡体を得た。なお、比較例2及び3では、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(65%水溶液)を用いた。
【0043】
【表1】
【0044】
上記の実施例等にて得られたメラミン樹脂発泡体について、発泡体表面を含まないように発泡体内部を切り出し、試験片を作製して、物性評価を行なった。この結果を表2に示す。
【0045】
<見かけ密度>
試験片の重量を測定し、見かけ密度(g/cm)を算出した。
【0046】
<セル面積>
マイクロスコープ(製品名:VHX-700F、キーエンス社製)を用いて、各試験片を300倍で観察し、1視野につきランダムに5検体のセルを選択して、合計6視野、計30検体のセルの画像を出力した。そして、各検体の面積を測定し、その平均値をセル面積(μm)とした。
【0047】
<圧縮強度>
圧縮試験機(製品名:MCT-2150、エーアンドディ社製)を用いて、10mm/minのテストスピードにて、各試験片(30mm×30mm×20mmt)の厚みを基準として、厚み方向に対して10%、25%、40%、50%圧縮させた時のそれぞれの圧縮強度(kPa)を測定した。
【0048】
<残留歪み>
同様の試験機を用いて、10mm/minのテストスピードにて、各試験片(30mm×30mm×20mmt)の厚みを基準として、厚み方向に対して50%圧縮させ、その状態を30分間保持した後、圧縮を開放し、10分間静置させて、静置後の試験片の厚み(t1)を測定した。そして、下記の式に基づいて、残留歪み(%)を計算した。
残留歪み(%)=(20mm-静置後の試験片の厚み(t1))/20mm×100
【0049】
<吸音率>
各試験片(φ39.5mm×20mmt)について、WinZacMTX(日本音響エンジニアリング社製)を用いて、伝達関数法(JIS A 1405-2)により、200~5000Hzにおける平均垂直入射吸音率を測定した。そのうち、1000Hz、2000Hz、4000Hzにおける吸音率(%)を吸音性能の指標とした。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例にかかるメラミン樹脂発泡体は、軽量で、柔軟性や弾力性に富み、吸音性能に優れているという結果が得られた。その一方で、比較例にかかるメラミン樹脂発泡体においては、比較例1及び2では圧縮強度が低いことから弾力性に欠け、また吸音率も劣っており、比較例3では、残留歪みが大きいことから柔軟性に欠け、また吸音性能も劣っているという結果が得られた。