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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】変化する性質を有する尿道カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20221024BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
A61M25/00 630
A61M25/00 500
A61M25/00 612
A61M1/00 160
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018568220
(86)(22)【出願日】2017-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2017065723
(87)【国際公開番号】W WO2018001968
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】16177066.4
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513279799
【氏名又は名称】デントスプリー・アイエイチ・エービー
【氏名又は名称原語表記】DENTSPLY IH AB
【住所又は居所原語表記】Aminogatan 1, S-431 21 MOLNDAL, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ウタス、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ダールバリ、ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】ロブマル、マルティン
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-512445(JP,A)
【文献】特開2001-218833(JP,A)
【文献】特開2011-250903(JP,A)
【文献】実開昭60-030237(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0297862(US,A1)
【文献】米国特許第05951929(US,A)
【文献】米国特許第04250072(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入端部と排出端部との間に延びる管状シャフトを備える尿道カテーテルであって、前記挿入端部は閉じた前方端部を有し、前記管状シャフトは単一の内部内腔を有し、前記管状シャフトは、異なる性質を有する少なくとも2つの材料から形成され、前記材料の各々は、別個のゾーンおいて実質的に互いに分離されて配置され、前記別個のゾーンの少なくとも1つが、前記管状シャフトの本質的に全長にわたって延びており、ここにおいて、前記別個のゾーンの幅及び厚さのうちの少なくとも1つは、前記材料の様々な相対量を有する前記管状シャフトの2つ以上の均一なセクションを形成するために、前記管状シャフトの長さにわたって変化し、ここにおいて、2つのこのような均一なセクション間の少なくとも1つの移行部が、前記均一なセクション間の緩やかな移行を提供する少なくとも1つの移行セクションによって形成されており、前記管状シャフトは前記管状シャフトの実質的に全長に沿って本質的に一定の外径を有するとともに、前記内部内腔全体に沿って本質的に一定の内径を有し、カテーテルチューブが、内部内腔を取り囲む円形壁を備え、前記円形壁は、前記管状シャフトの円周の周りに及び実質的に全長にわたって、均一且つ一定の肉厚を有する、尿道カテーテル。
【請求項2】
前記移行セクションの各々は、前記管状シャフトの全長の2~30%の範囲内の伸長部を有する、請求項1に記載の尿道カテーテル。
【請求項3】
前記2つ以上の均一なセクションは全体で、前記管状シャフトの全長の少なくとも50%にわたって延びる、請求項1又は2に記載の尿道カテーテル。
【請求項4】
前記2つの材料は異なる硬度を有し、一方はより柔らかであり、一方はより剛性であり、それによって、異なる柔軟性を有する均一なセクションを提供する、請求項1~3のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
【請求項5】
前記管状シャフトは、2つ以上の材料を使用して間欠押出成形によって形成された押出チューブである、請求項1~4のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
【請求項6】
少なくとも2つの前記別個のゾーンの全てが、前記管状シャフトの本質的に全長にわたって連続的に延びている、請求項1~のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
【請求項7】
異なる材料の前記別個のゾーンは、前記尿道カテーテルの長手方向に延び、円周方向において分離されており、前記別個のゾーンは、前記尿道カテーテルの長さに沿って前記円周方向において変化している幅を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
【請求項8】
異なる材料の前記別個のゾーンは、前記尿道カテーテルの長手方向に延び、層において分離されており、各層は、前記尿道カテーテルの全円周の周りに延び、前記層は、前記尿道カテーテルの長さに沿って変化している厚さを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
【請求項9】
前記管状シャフトは、前記挿入端部からより遠く離れている別のセクションよりも柔らかい、前記挿入端部に最も近い均一なセクションを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
【請求項10】
追加のより柔らかい均一なセクションがカテーテルシャフトの中央の近く、又は前記カテーテルシャフトの挿入可能な部分の中央に配置される、請求項9に記載の尿道カテーテル。
【請求項11】
前記管状シャフトは、少なくとも4つの均一なセクションを備え、そのうちの少なくとも2つは相対的により柔らかく、少なくとも2つは相対的により硬く、前記より柔らかいセクション及びより硬いセクションは、全ての隣接する均一なセクション間に配置される移行セクションとともに、カテーテルシャフトの長さに沿って交互に配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
【請求項12】
前記別個のゾーンは、互いに可視的に識別可能であり、それによって、前記尿道カテーテルの回転位置及びカテーテルシャフトに沿った長さ位置のうちの少なくとも1つに関連する目印を提供する、請求項1~11のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
【請求項13】
前記均一なセクションのうちの少なくとも1つは、相対的により柔らかく、25~150MPammの範囲にある曲げ剛性を有し、前記均一なセクションのうちの別のものは、相対的により硬く、180~1600MPa 範囲にある曲げ剛性を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
【請求項14】
前記管状シャフトは、親水性表面コーティングで少なくとも部分的にコーティングされ、前記コーティングは、前記尿道カテーテルの少なくとも挿入可能な部分を覆い、前記親水性表面コーティングは、湿潤時に低摩擦を発揮する、請求項1~13のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
【請求項15】
尿道カテーテルを製造するための方法であって、管状シャフトを形成することを備え、その端部において挿入端部及び排出端部を配置し、前記挿入端部は閉じた前方端部を有し、前記管状シャフトは単一の内部内腔を有し、前記管状シャフトは、異なる性質を有する少なくとも2つの材料から形成され、前記材料の各々は、別個のゾーンおいて実質的に互いに分離されて配置され、前記別個のゾーンのうちの少なくとも1つは、前記管状シャフトの本質的に全長にわたって延び、ここにおいて、前記別個のゾーンの幅及び厚さのうちの少なくとも1つは、前記材料の様々な相対量を有する前記管状シャフトの2つ以上の均一なセクションを形成するために、前記管状シャフトの長さにわたって変化し、ここにおいて、前記均一なセクションのうちの2つの間の少なくとも1つの移行部が、前記均一なセクション間の緩やかな移行を提供する少なくとも1つの移行セクションによって形成され、前記管状シャフトは前記管状シャフトの実質的に全長に沿って本質的に一定の外径を有するとともに、前記内部内腔全体に沿って本質的に一定の内径を有し、カテーテルチューブが、内部内腔を取り囲む円形壁を備え、前記円形壁は、前記管状シャフトの円周の周りに及び実質的に全長にわたって、均一且つ一定の肉厚を有する、方法。
【請求項16】
前記管状シャフトは、間欠押出成形によって作製される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
2つ以上の管状シャフトは、2つの別々の押出ノズルを通じて同時に形成され、前記管状シャフトの前記形成は、互いに関してオフセットされている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記2つ以上の管状シャフト間の前記オフセットは、前記2つ以上の材料の本質的に一定の流量が、前記押出ノズルを通って吐出されるように設定される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿道カテーテルに関する。本発明はまた、対応する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尿道カテーテルは、膀胱から尿を排出させるために一般に使用される。尿道カテーテルの1つのタイプが、いわゆるフォーリーカテーテルと呼ばれる留置カテーテルであり、これは、例えば、数日間、数週間、又は数ヶ月間もの長期間にわたって尿道の適所に維持される。別のタイプの尿道カテーテルが、いわゆる間欠的カテーテルと呼ばれる、短期間の使用を意図したものである。間欠的尿道カテーテルは、膀胱から排尿させるために一旦使用され、次いで抜去される。間欠的カテーテルは、典型的に、数分間使用され、導尿は、典型的に、使用者の彼/彼女自身によって行われる、いわゆる自己導尿であり、典型的に、1日に何回も行われる。典型的に、間欠的導尿用のカテーテルは、尿失禁、尿閉、又は神経因性膀胱機能障害に罹患している患者によって使用される。自己導尿を使用する使用者の多くは、器用さが制限されているか、又は低下している。間欠的カテーテルを使用すると、膀胱は、自然又は人工の尿路を通じて排尿され得る。間欠的導尿用の多くのカテーテルには、親水性コーティングなどが施されており、尿路における安全で快適な挿入のために、湿潤時に平滑で滑りやすい表面を提供する。
【0003】
しかしながら、導尿は、特に男性使用者にとって、多くの場合、複雑になり得る。男性の尿道は長く(典型的に15~29cm)、カテーテルを挿入することが困難であり得るいくつかの湾曲部及び制限されたエリアを備える。一方では、一般に、カテーテルを可能な限り硬く剛性にすることが望ましく、これは、挿入中に後端部からカテーテルを押し進め、制御/操作することを容易にするからである。硬いカテーテルはまた、ねじれ、座屈、及び他の変形に耐えることができる。しかしながら、硬いカテーテルは、尿道における狭く制限された通路をよけて誘導する及び進めることが困難であり、また、使用者に痛みと損傷を引き起こし得る。したがって、この観点からは、カテーテルは、その代わりに可能な限り柔らかくされるべきである。この問題への解決策は、今までは、中間物を使用すること、即ち、柔らかくも硬くもないカテーテルを使用することであり、これは、操作性の観点からすると最適でなく、また、使用者又は患者の痛み、不快感、及び損傷を軽減するという点から見ても最適でない。
【0004】
長さにわたって変化する性質を有する尿道カテーテルを使用するいくつかの提案がなされてきた。例えば、WO2014/077881には、セクション又はゾーンが、これらのセクションにおいて切り抜きなどを設けることによって、他のセクション/ゾーンよりも柔軟にされた尿道カテーテルが開示されている。しかしながら、この提案されたカテーテルは、依然として使用の観点からは最適に程遠く、また、製造が非常に困難でありコストがかかる。
【0005】
したがって、上記で説明された問題を少なくとも部分的に軽減する尿道カテーテルの必要性がある。具体的には、改善された柔軟性/剛性の特性と改善された使いやすさとを有し、より製造のコスト効率の高い、新しい尿道カテーテルの必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、改良された尿道カテーテル、並びにそのような改良された尿道カテーテルを製造するための対応する方法を提供することである。
【0007】
この目的は、添付の特許請求の範囲に記載の方法及び尿道カテーテルを用いて達成される。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、挿入端部と排出端部との間に延びる管状シャフトを備える尿道カテーテルが提供され、管状シャフトは、異なる性質を有する少なくとも2つの材料から形成され、前記材料の各々は、別個のゾーンおいて実質的に互いに分離されて配置され、前記別個のゾーンのうちの少なくとも1つは、好ましくは、管状シャフトの本質的に全長にわたって延び、ここにおいて、前記ゾーンの幅及び厚さのうちの少なくとも1つは、前記材料の様々な相対量を有する管状シャフトの2つ以上の均一なセクションを形成するために、管状シャフトの長さにわたって変化し、ここにおいて、2つのこのような均一なセクション間の少なくとも1つの移行部が、前記均一なセクション間の緩やかな移行(gradual transition)を提供する少なくとも1つの移行セクションによって形成される。
【0009】
少なくとも2つの材料の間で異なる少なくとも1つの性質は、硬度、曲げ剛性、引張係数(tensile modulus)、柔軟性、弾力性、及び色のうちの1つ又は複数に関連し得る。好ましくは、2つの材料は、少なくとも、例えば、ショアA又はマイクロショアAとして測定可能である、硬度について異なる。本発明の文脈において、ショアAは、規格ASTM D2240-05のもとで行われた硬度の測定値を指し、マイクロショアA(μショアA)は、規格DIN ISO 7619のもとで行われた硬度の測定値を指す。マイクロショアAは、例えば、Bareiss社製デジテストIIのような、市販の機器によって測定され得る。
【0010】
変化する厚さ及び/又は幅を有するゾーンに2つの材料を配置することによって、管状シャフトは、長さに沿って変化する性質が与えられる。より具体的には、管状シャフトには、本質的に均一な性質を有する2つ以上の均一なセクションが設けられているが、そこで、そのような均一なセクション間の性質は異なる。したがって、そのような均一なセクションは、例えば、異なる硬度及び/又は柔軟性を有し得る。
【0011】
更に、前記異なる均一なセクション間に移行セクションを配置することによって、前記異なる均一なセクション間のゾーンの幅又は厚さの間の緩やかな移行がある。これによって、非常に堅牢なカテーテルが提供される。緩やかな移行は、カテーテルチューブのねじれ、変形、亀裂及び他の変形及び/又は歪みのリスクを低減させる。これによって、均一なセクション間の堅牢で信頼性のある移行部が提供される。それはまた、製造、包装、保管、及び使用中のカテーテルの変形も防止する。加えて、(1つ又は複数の)移行セクションは、異なる性質を有する部分間の境界をより曖昧にし、これは、非常に有利である。例えば、それはこれらの境界の正確な位置の重要性を低下させ、カテーテルをより用途の広いものにする。
【0012】
また、このようなカテーテルは、以下でより詳細に説明されるように、例えば、間欠押出成形によって、非常にコスト効率的に製造され得ることが判明した。
【0013】
排出端部は、好ましくは、フレア状の後方部として形成され、管状部には、好ましくは、挿入端部又はその近くにおける、少なくとも1つのドレナージ開口部と、排出端部における出口開口部との間に延びる内部内腔が設けられている。挿入端部は、好ましくは、閉じた前方端部を有する。排出端部には、代替として、ルアー接続部のような、他の接続接合部が設けられ得る。このような接続接合部は、カテーテルが投薬などに意図されるとき、特に関心の対象となる。
【0014】
尿道カテーテルは、好ましくは、出口開口部と、カテーテルの近位の挿入端部の近くに配置されたドレナージ開口部との間に延びる、ただ1つの単一の内部内腔を有する。
【0015】
1つ又はいくつかの排出開口部が、挿入端部又はその近くに配置され得る。好ましい実施形態では、排出開口部は、挿入端部からいくらか少し距離を置いて、カテーテルの側壁に配置される。挿入端部、即ち、カテーテルの先端部は、好ましくは、閉じており、好ましくは、丸みを帯びた形状で形成される。しかしながら、代替又は追加として、1つのドレナージ開口部がまた、先端部に形成され得る。
【0016】
本明細書で使用される場合、「管状シャフト」という用語は、その少なくとも一部がチューブを形成する物体を指す。ここで「チューブ」という用語は、その中に内腔を有する細長いシャフトを指す。チューブは、典型的に、細長い中空円筒であり得るが、それはまた、他の断面形状の中空シャフトであってもよい。
【0017】
ここで「フレア状(flared)」という用語は、断面積が少なくともある部分において、挿入端部から離れる方向に増大するように、外側に向かって開く又は広がる形状を示す。フレア状の後方端部は、好ましくは、円形断面を有するが、それはまた、長円形又は楕円形断面などの、非円形断面を有してもよい。
【0018】
尿道カテーテルは、好ましくは、間欠的導尿のための、即ち、毎日数回繰り返される数分間の導尿のような、短時間の使用のための、尿道カテーテルである。「短期間の使用」という用語は、時間が制限されている使用を示し、具体的には、15分未満、好ましくは10分未満、最も好ましくは5分未満の時間期間に制限される。本発明のカテーテルは、自己導尿に極めて好適であり、経験の浅い使用者、及び/又は乏しい器用さに苦しむ使用者によっても安全且つ容易に使用され得る。カテーテルには、好ましくは、カテーテルの少なくとも1つの挿入可能な部分上に施された親水性表面コーティングが更に設けられている。親水性表面コーティングは、水又は生理的食塩水などの、湿潤液での湿潤時に低摩擦を発揮する。
【0019】
尿道カテーテルは、好ましくは、35~40cmの範囲内の全長を有し、20~35cmの範囲内の挿入可能な長さを有する、男性用カテーテルに特に好適である。
【0020】
先端部は、直線状であり得、管状シャフトと同じ方向に延び、丸みを帯びた前方端部を形成し、それによって、ネラトン型のカテーテルを形成する。しかしながら、先端部はまた、湾曲状であり得、チーマン又はクーデ型のカテーテルを形成する。チーマン及びクーデカテーテルは、男性の前立腺の湾曲部をうまく通り抜けるのを支援するために、上向きに角度が付いた先端部を有する。したがって、この先端部の形状は、(例えば、良性前立腺肥大症における)例えば、僅かに肥大した前立腺による、閉塞がある場合に膀胱頸部の通過を容易にし、このような及び他の困難な挿入に役立ち得る。
【0021】
先端部は、例えば、溶融によって、管状シャフトの前方端部に直接形成され得る。しかしながら、同じ又は異なる材料の別々に製造された先端部を設け、その後この先端部を管状シャフトの前方端部に取り付けることもまた可能である。このような別々の先端部は、射出成形によって製造され得るが、それはまた、他の方法で製造されてもよい。別々に製造された先端部は、溶接、接着、及び射出成形のうちの少なくとも1つによって、管状シャフトに接続され得る。
【0022】
好ましくは、1つ又は複数の移行セクションの各々は、管状シャフトの全長の2~30%の範囲内、より好ましくは4~20%の範囲内、最も好ましくは5~10%の範囲内の伸長部を有する。
【0023】
追加又は代替として、1つ又は複数の移行セクションの各々は、好ましくは0.5~10cmの範囲内、より好ましくは1~5cmの範囲内、最も好ましくは2~4cmの範囲内の伸長部を有する。
【0024】
更に、2つ以上の均一なセクションは全体で、好ましくは、管状シャフトの全長の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%にわたって延びる。
【0025】
好ましい実施形態では、2つの材料は、異なる硬度を有し、一方はより柔らかであり、一方はより剛性であり、それによって、異なる柔軟性を有する均一なセクションを提供する。
【0026】
管状シャフトは、好ましくは、2つ以上の材料を使用して間欠押出成形によって形成される押出チューブである。
【0027】
カテーテルチューブは、好ましくは、内側内腔を取り囲む円形壁を備え、ここにおいて、円形壁は、管状シャフトの円周の周りに及び管状シャフトの実質的に全長にわたって、均一且つ一定の肉厚を有する。同様に、カテーテルチューブは、好ましくは、その全長に沿って、一定の又は本質的に一定の外径、並びにその内部内腔全体に沿って、一定の又は本質的に一定の内径を有する。
【0028】
好ましくは、前記別個のゾーンのうちの少なくとも1つが、管状シャフトの本質的に全長にわたって延びる。一実施形態では、2つ以上の別個のゾーンが、管状シャフトの全長にわたって延びる。一実施形態では、前記少なくとも2つの別個のゾーンの両方/全てが、管状シャフトの本質的に全長にわたって連続的に延びる。これは、このゾーンの材料が、管状シャフトの長さにわたる全ての断面において、少なくともある程度存在することを意味する。1つ及び好ましくは両方の異なる材料を全長にわたって連続的に設けることは、特に、間欠押出成形が使用されるとき、非常に効率的な製造を可能にする。
【0029】
実施形態の別のラインでは、異なる材料の別個のゾーンは、カテーテルの長手方向に延び、層において分離されており、各層は、好ましくは、カテーテルの円周の周りに延び、これら層は、カテーテルの長さに沿って変化する厚さを有する。
【0030】
したがって、連続的又は非連続的に延びる(1つ又は複数の)ゾーンは、管状シャフトの全円周の周りに延びる全ての箇所において、例えば、変化する厚さを有する層として配置され得る。これは、この材料の性質を、全長及び全周囲にわたって存在させることを可能にするので有利である。例えば、この材料は、例えば、より少ない摩擦を有していること、より少ない表面の粗さとともにより滑らかであること、コーティングするのがより容易であることなどによって、他のものよりもカテーテルの外表面上での使用により好適であり得、このようにして、全表面がこの材料から作製され得る。
【0031】
実施形態の1つのラインでは、異なる材料の別個のゾーンは、カテーテルの長手方向に延び、円周方向において分離されており、これらゾーンは、カテーテルの長さに沿って円周方向において変化する幅を有する。
【0032】
したがって、連続的又は非連続的に延びるゾーンは、それが管状シャフトにおけるストリップとして少なくとも部分的に延びるように、変化する幅をもって配置され得る。幅は、幅が全周囲又はほぼ全周囲にわたって延びる状態と、幅が周囲の限られた又は非常に限られた部分のみにわたって延びる状態と、それらの間の任意の中間状態との間で変化し得る。このようにして、カテーテルの性質は、長さに沿ったカテーテルの様々な部分及びセクション間のバリエーションに加えて、カテーテルの円周の周りに非対称且つ不均一な性質を提供することにもなる。これによって、カテーテルシャフトは、例えば、垂直方向などの一方向において、水平方向などの別方向よりも柔軟で曲げやすいなど、異なる回転位置において異なる性質を有することになる。これは、例えば、カテーテルを回転させることによって、使用者が挿入中に性質を制御することを可能にするので、非常に有利である。2つの材料及び2つのゾーンが互いに可視的に識別可能である場合、これはまた、カテーテルの回転位置を示す目印としても機能し得、これは、例えば、カテーテルの性質が、異なる方向の間で異なるとき、また、湾曲したチーマン/クーデ先端部が使用されるときも、有利である。代替又は追加として、それは、カテーテルシャフトに沿った長さ位置を示す目印として機能し得る。これは、使用者が挿入中にいつでもカテーテルがどこまで尿道に挿入されたかを知ることを可能にするので、有利である。これは、例えば、ある特定の困難な通路がどこに位置しているかを認識し、カテーテルをより慎重に操作して前記通路に通すことによって、導尿をより効率的に制御するのに有利である。
【0033】
相対的により柔らかい及び相対的により硬いなどの、異なる性質を有する均一なセクションは、様々な方法で配置され得、それによって、様々なニーズを満たす。
【0034】
一実施形態では、管状シャフトは、挿入端部からより遠く離れている別のセクションよりも柔らかい、挿入端部に最も近い均一なセクションを備える。一実施形態では、シャフトは、それらの間の移行セクションとともに、これら2つの均一なセクションのみから成る。前記2つのセクションの各々は、好ましくは、カテーテルシャフトの全長の少なくとも25%にわたって、好ましくは少なくとも40%にわたって、最も好ましくは少なくとも45%にわたって延びる。したがって、典型的に全長30~40cmのカテーテルシャフトを有する男性用カテーテルの場合、より柔らかい前方セクションは、長さ8~19cm、好ましくは12~18cmであり得、より硬い後方セクションは、少なくとも同様の長さを有するか、又は更に長くなり得る。移行セクションは、好ましくは、0.5~10cm、好ましくは1~5、最も好ましくは2~4cmの範囲にある長さを有する。カテーテルを挿入端部に向かってより柔らかくし、排出端部に向かってより硬くすることは、多くの場合、有利である。より柔らかい部分は、挿入をより容易にし、尿道の制限された、湾曲した、又は狭いエリアの通過を容易にし、カテーテルが内部に押し込まれるとき、使用者に不快感及び痛みを引き起こすことなく、且つ尿道に優しく、それ自体が尿道を通る道を見つけることを可能にする。同時に、排出端部に向かってより硬い部分は、使用者が挿入中にカテーテルを操作/制御するのをより容易にし、カテーテルが後ろから効率的に内側に引っ張られること(efficiently pulled inward from behind)を可能にし、カテーテルのねじれ、座屈、及び他の変形を回避する。更に、移行セクションは、異なる性質を有するこれらの異なる部分間の移行を円滑にし、移行エリアにおける問題を回避する。
【0035】
しかしながら、1つより多くのより柔らかい均一なセクション及び/又は1つより多くのより硬い均一なセクションがまた設けられ、長手方向において分配され得る。
【0036】
一実施形態では、管状シャフトは、少なくとも4つの均一なセクションを備え、そのうちの少なくとも2つは相対的により柔らかく、少なくとも2つは相対的により硬く、より柔らかいセクション及びより硬いセクションは、全ての隣接する均一なセクション間に配置される移行セクションとともに、カテーテルシャフトの長さに沿って交互に配置される。
【0037】
好ましくは、カテーテルシャフトは、主により硬い均一なセクションから作製されているとともに、より柔らかい均一なセクションが、それらが最も必要とされる場所に配置される。好ましくは、より硬い均一なセクションは、より柔らかい均一なセクションのうちの任意のものの長さの少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、最も好ましくは少なくとも4倍である、長さ方向における伸長部を有する。例えば、より柔らかい均一なセクションは、挿入端部又はその近くに、及びカテーテルシャフトの中央若しくはカテーテルシャフトの挿入可能な部分の中央又はその近くに配置され得る。
【0038】
男性の尿道は、一般に、陰茎の先端部-外尿道口-から見て、膀胱に向かう方向に、4つのセクションを備える。最初のセクションは、陰茎部と呼ばれ得る。この部分は、比較的直線状であり、カテーテル挿入の観点からは複雑ではない。次に、球部(bulbous part)があり、これは提靱帯によって陰茎部から分離されている。この移行部は、導尿の観点からすると、時に問題になり得る。球部の後に膜様部が続き、そこで、尿道は、急カーブし、また、外括約筋、尿生殖隔膜が位置する比較的短い(1~2cm)この部分は、多くの場合、カテーテルが通過するのが最も困難である。膜様部の後に前立腺部(時に、尿道前立腺部と尿道前立腺前部(pre-prostatic urethra)とに細分される)が続き、これは、前立腺を通り過ぎて、膀胱頸部における内括約筋で終わる。この部分もまた、一部の使用者については、カテーテルが通過するのが困難であり得る。したがって、より柔らかい均一なセクションは、好ましくは、標準的な使用者について、及びカテーテルが完全に挿入されたときに、尿道のこれらの困難なセクションのいくつか又は全ての場所に対応する、カテーテルシャフトの位置に位置し得る。したがって、より柔らかい均一なセクションは、例えば、提靭帯(即ち、尿道の陰茎部と球部との間の移行部)、外括約筋、即ち、前立腺のエリアにおける、尿道膜様部において、及び内括約筋において、のうちの1つ又はいくつかに対応する場所に配置され得る。他のセクションは、より硬い均一なセクションであり得る。更に、移行セクションは、尿道の長さの多少のばらつきなどにもかかわらず、これらのより柔らかいセクションの正確な位置決めをより左右されないようにし、また、カテーテルをより用途の広いものにし、幅広い使用者に使用可能にする。
【0039】
ここで「柔らかい」/「より柔らかい」及び「硬い」/「より硬い」という用語は、それぞれ、相対的により柔軟である及び相対的により剛性であることを意味する。したがって、柔らかい/より柔らかいセクションは、硬い/より硬いセクションに比べて、より低いショアA又はマイクロショアA値、より低い曲げ剛性、及び/又はより低い引張係数を有する。
【0040】
より柔らかいセクション及びより硬いセクションは、前記セクションにおける2つのゾーンのより柔らかい材料及びより硬い材料の量を変化させることによって形成される。好ましくは、より硬いセクションは、前記2つ以上の材料のうちの最も硬い材料、即ち、最も高い硬度、最も高い曲げモーメント、及び/又は最も高い引張係数を有する材料の少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%を含む。(1つ又は複数)他の材料は、好ましくは、0~40%の量において、好ましくは0~30%、例えば、0~25%、0~20%、0~15%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、10~30%、又は10~20%などの量において存在する。それに対応して、より柔らかいセクションは、好ましくは、前記2つ以上の材料のうちの最も柔らかい材料、即ち、最も低い硬度、最も低い曲げモーメント、及び/又は最も低い引張係数を有する材料の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%を含む。(1つ又は複数)他の材料は、好ましくは、0~40%の量において、好ましくは0~30%、例えば、0~25%、0~20%、0~15%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、10~30%、又は10~20%などの量において存在する。
【0041】
一実施形態では、相対的により柔らかい、前記均一なセクションのうちの少なくとも1つは、50~69の範囲にあるマイクロショアA硬度を有し、相対的により硬い、前記均一なセクションのうちの別のものは、70~100の範囲にあるマイクロショアA硬度を有する。
【0042】
一実施形態では、相対的により柔らかい、前記均一なセクションのうちの少なくとも1つは、25~150MPammの範囲にある曲げ剛性を有し、相対的により硬い、前記均一なセクションのうちの別のものは、180~1600MPamm、好ましくは300~1500MPammの範囲にある曲げ剛性を有する。特に、これらの曲げ剛性範囲は、シャリエール(Ch)サイズ12~16のカテーテルに非常に有利であることが分かっている。
【0043】
一実施形態では、相対的により柔らかい、前記均一なセクションのうちの少なくとも1つは、0.5~5MPa、好ましくは2~5MPaの範囲にある引張係数を有し、相対的により硬い、前記均一なセクションのうちの別のものは、10~50MPa、好ましくは15~45MPaの範囲にある引張係数を有する。
【0044】
硬度、曲げ剛性、及び引張係数の前記好ましい範囲のうちの少なくとも1つ、最も好ましくはそれらのうちの2つ又は3つに入る柔らかい部分が、特に有利であることが分かっている。
【0045】
より柔らかい均一なセクションはまた、保管中にカテーテルを曲げる又は湾曲させることを可能にするために使用され得、カテーテルがよりコンパクトな方法でパッケージ内に配置されることを可能にする。より柔らかい材料は、より曲げやすく、一般に、より低い復元性を有し、それによって、保管中の永久変形を軽減し、長期保管後でさえも、パッケージから取り出したとき、カテーテルを比較的直線状の配置に広げることを可能にする。したがって、カテーテルの中央により柔らかい均一なセクションを設けることは、このエリアでカテーテルを曲げること/折り曲げることを容易にし、これは、パッケージの長さを50%以上低減させ得る。更なるより柔らかい均一なセクションがまた、この目的のために設けられて使用され得、カテーテルが、ジグザグ状、カール状などに配置されるように、1回よりも多く曲げられる/折り畳まれることを可能にする。
【0046】
「材料」とは、本願の文脈において、化合していない成分のブレンド又は混合物、又は1つ又は複数の化合した成分によって形成される、単一の材料を意味する。「異なる材料」とは、本発明の文脈において、例えば、硬度、曲げ剛性、及び/又は引張係数に関して、異なる性質を有する材料を意味する。そのような異なる材料は、全く異なる成分によって、成分のより小さい部分又はより大きい部分が異なることによって、又は同じ成分を有するが、処理、加工などによって異なる性質が与えられた材料によって、形成され得る。
【0047】
多くの異なる材料が、2つ以上のゾーンを形成するために、管状シャフトにおいて使用され得る。材料は、各々が単一の材料、又は様々な材料の混合物又はブレンドであり得る。材料は、例えば、ポリオレフィン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、又はポリエチレン、ポリプロピレン若しくはポリ塩化ビニルなどの熱可塑性ポリマー、又は押出成形に好適なその他任意の材料であり得る。具体的には、Mediprene OF 600M及びOF 900Mなどのポリオレフィン系TPE材料、又はTecoflex EG 100A及びEG 80AなどのTPUを使用することが好ましい。上記で説明された材料は、押出成形による製造に特によく適している。しかしながら、特に、射出成形又は浸漬などの他の製造方法が考慮される場合、例えば、ラテックス及び/又はシリコンなどの他の材料もまた使用され得る。
【0048】
2つ以上のゾーンために使用される材料は、全く異なる材料又はブレンドであり得、又は様々なグレードの同じ材料又はブレンドであり得る。2つの材料はまた、本質的に同じ材料であり得るが、添加された可塑剤、軟化剤、充填剤、医療オイル(即ち、医療グレードのオイル)、パラフィン、等によって異ならせる。材料はまた、異なる方法での材料の処理によって、異なる性質が与えられ得る。
【0049】
取り扱い、痛みのない容易な挿入、等のための良好な性質を得るために、管状シャフトの材料は、好ましくは、それらが以下の要件のうちの少なくともいくつか、好ましくは本質的にそれらの全て満たすように、準備及び構成される:
・材料は、既知の滅菌法によって滅菌可能であることが好ましい。具体的には、材料は、尿道カテーテルの放射線滅菌を可能にするために、それが本質的に劣化することなく、少なくとも50kGyに耐え得るような放射線耐性を有することが好ましい。
【0050】
・材料は、好ましくは良好なねじれ性質を有するべきである。
【0051】
・材料は、好ましくは生体適合性であるべきである。
【0052】
・材料は、好ましくは、溶融加工可能であるか、押出成形可能であるか、又は成形、特に射出成形に使用可能であるべきである。
【0053】
・材料は、好ましくは良好な寸法安定性を有するべきである。具体的には、コーティングプロセスの結果としてのカテーテルの長手方向収縮が、元の長さの5%未満、好ましくは1%未満であることが好ましい。
【0054】
管状シャフトは、好ましくは、親水性表面コーティングで少なくとも部分的にコーティングされ、コーティングは、好ましくは、カテーテルの少なくとも挿入可能な部分を覆い、前記親水性表面コーティングは、湿潤時に低摩擦を発揮する。
【0055】
親水性ポリマーは、ポリビニル化合物、特に、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidones)などのポリラクタム(polylactames)、特に、ヘパリン(heparin)、デキストラン(dextran)、キサンタンガム(xanthan gum)、誘導体化多糖類(derivatised polysaccharides)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxy propyl cellulose)、メチルセルロース(methyl cellulose)などの多糖類、ポリウレタン、ポリアクリレート(polyacrylates)、ポリヒドロキシアクリレート(polyhydroxyacrylates)、ポリメタクリレート(polymethacrylates)、ポリアクリルアミド(polyacrylamides)、特に、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxides)などのポリアルキレンオキシド(polyalkylene oxides)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohols)、ポリアミド(polyamides)、ポリアクリル酸(polyacrylic acid)、前述のポリマーのコポリマー、ビニル化合物(vinyl compounds)とアクリレート(acrylates)又は無水物(anhydrides)のコポリマー、ビニルピロリドン(vinylpyrrolidone)とヒドロキシエチルメチルアクリレート(hydroxy ethylmethyl acrylate)のコポリマー、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone)のカチオン性コポリマー(cationic copolymers)及びポリメチルビニルエーテル(polymethylvinyl ether)及びマレイン酸無水物(maleinic acid anyhydride)のコポリマー、ポリラクチド(polyactide)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)及びそれらのコポリマー、のうちの少なくとも1つであり得る。好ましくは、親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドンである。
【0056】
親水性コーティングは、好ましくは、ポリ尿素ネットワーク(polyurea network)を形成し、最も好ましくは、ポリ尿素ネットワークは、基材中の活性水素基への共有結合を形成するように配置される。代替として、親水性コーティングは、基材中の活性水素基へのエステル結合又はエポキシ結合を形成し得る。
【0057】
一実施形態によれば、カテーテルの基材材料のコーティングは、基材の表面に、最初にイソシアネート化合物0.05~40%(重量/体積)を含む溶液、そしてその後、ポリビニルピロリドン0.5~50%(重量/体積)を含有する溶液を順に塗布し、高温で硬化する工程を備えるプロセスによって作製され得る。
【0058】
しかしながら、基材に直接架橋された親水性ポリマーを含むコーティングなどの、他の親水性コーティングも可能である。架橋は、照射によって、例えば、電子線又は紫外線によって、実施され得る。
【0059】
管状シャフトの2つ以上のゾーンにおいて使用される2つ以上の材料が、コーティング性、即ち、意図したコーティングがいかに良く付着し機能するかに関して異なる場合、最良のコーティング性を有する材料は、好ましくは、少なくとも管状シャフトの挿入可能な部分において、管状シャフトの可能な限り外面上に配置される。
【0060】
カテーテルは、好ましくは、使用前にそれを無菌に維持するために、パッケージ内に配置される。
【0061】
カテーテルは、好ましくは、それが本質的に劣化することなく、少なくとも50kGyに耐え得るような放射線耐性を有する。これによって、医療デバイスの性質に影響を及ぼすことなく、医療デバイスの放射線滅菌が使用され得る。
【0062】
本発明の別の態様によれば、尿道カテーテルを製造するための方法が提供され、管状シャフトを形成することを備え、その端部において挿入端部及び排出端部を配置し、管状シャフトは、異なる性質を有する少なくとも2つの材料から形成され、前記材料の各々は、別個のゾーンおいて実質的に互いに分離されて配置され、前記別個のゾーンのうちの少なくとも1つは、好ましくは、管状シャフトの本質的に全長にわたって延び、ここにおいて、前記ゾーンの幅及び厚さのうちの少なくとも1つは、前記材料の様々な相対量を有する管状シャフトの2つ以上の均一なセクションを形成するために、管状シャフトの長さにわたって変化し、ここにおいて、2つの前記均一なセクション間の少なくとも1つの移行部が、前記均一なセクション間の緩やかな移行を提供する少なくとも1つの移行セクションによって形成される。
【0063】
これによって、本発明の第1の態様に関して上記で説明されたものと同様の利点及び性質が得られる。
【0064】
管状シャフトは、好ましくは、間欠押出成形によって作製される。ここで「間欠押出成形」は、2つ以上の材料が少なくともある程度同時に押し出され、2つ以上の材料の流量(flow rate)が経時的に変化する押出プロセスを指す。材料のうちの少なくとも1つが連続的に、ただし変化する流量で供給されるので、押出プロセスは、非常に効率的になるとともに、制御性が増大する。押出チューブは、製造するのに非常にコスト効果が高く、また、非常に明確に定められ均一な肉厚などの、非常に良好な性質も有するので、この製造は非常に有益である。
【0065】
一実施形態では、2つ以上の管状シャフトが、2つの別々の押出ノズルを通じて同時に形成され、前記管状シャフトの形成は、互いに関してオフセットされている。このようにして、2つの材料の総流量は、より一層均一、又はよりほぼ一定になるように制御され得る一方で、個別の押出ノズルへの2つ以上の材料の流量は、著しく変化することが可能である。好ましくは、2つ以上の管状シャフト間のオフセットは、前記2つ以上の材料の本質的に一定の流量が、(組合せにおいて)前記押出ノズルを通って吐出されるように設定される。
【0066】
しかしながら、2(又はそれ以上の)成分射出成形による製造のような、押出成形以外の他の製造方法もまた可能である。
【0067】
本発明のこれら及び他の態様は、以下で説明される実施形態から明らかになり、またそれを参照して解明されるであろう。
【0068】
次に、例として、本発明の実施形態が添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】本発明によるカテーテルの一実施形態を示す図。
図2】本発明のカテーテルの一実施形態による管状シャフトの長さ方向と、いくつかの半径方向とにおける断面図。
図3】本発明のカテーテルの別の実施形態による管状シャフトの長さ方向と、いくつかの半径方向とにおける断面図。
図4】本発明のカテーテルの別の実施形態による管状シャフトの長さ方向と、いくつかの半径方向とにおける断面図。
図5】本発明のカテーテルの別の実施形態による管状シャフトの長さ方向と、いくつかの半径方向とにおける断面図。
図6】本発明のカテーテルの別の実施形態による管状シャフトの長さ方向と、いくつかの半径方向とにおける断面図。
図7】本発明のカテーテルの別の実施形態による管状シャフトの長さ方向と、いくつかの半径方向とにおける断面図。
図8】本発明の一実施形態によるカテーテルの管状シャフトにおける異なるセクションの配置の概略図。
図9】本発明の別の実施形態によるカテーテルの管状シャフトにおける異なるセクションの配置の概略図。
図10】本発明によるカテーテルを製造するための押出成形システムの概略的な概観を示す図。
図11】本発明によるカテーテルを製造するための押出成形システムの別の実施形態の概略的な概観を示す図。
【好ましい実施形態の説明】
【0070】
以下の詳細な説明において、本発明の好ましい実施形態が説明される。しかしながら、異なる実施形態の特徴は、実施形態間で交換可能であり、他の何かが具体的に示されない限り、様々な方法で組み合わされ得ることを理解されたい。また、明確にするために、図面に示されるある特定の構成要素の寸法は、現実の実装形態における対応する寸法とは異なり得ることも留意され得る。以下の説明では、本発明のより完全な理解を提供するために多数の特定の詳細が示されているが、本発明が、これらの特定の詳細なしで実施され得ることは、当業者には明らかであろう。他の例では、本発明を曖昧にしないように、周知の構造又は機能は、詳細には説明しない。
【0071】
以下の説明は、特に、間欠的な使用のための親水性尿道カテーテルに関する。しかしながら、本発明はまた、留置尿道カテーテル用及び非親水性間欠的カテーテル用などの、他のタイプの尿道カテーテルに関連して使用され得る。
【0072】
本発明が関連するタイプの一般的な尿道カテーテル1が、図1に示されており、排出端部におけるフレア状の後方部分2と、後方部分2から前方へ突き出ている細長い管状体3とを備える。開口端(open-ended)の内部内腔(図示せず)が、後方部分2の排出端部(後端部)から、管状シャフト3の丸みを帯びた先端部5、挿入先端部、におけるドレナージ開口部4まで延びる。カテーテルは、好ましくは、ただ1つの、単一の内部内腔を有する。1つ又は複数のドレナージ開口部は、好ましくは、カテーテルの挿入端部の近くに配置される。カテーテルの挿入可能な先端部は、好ましくは、閉じており、好ましくは、丸みを帯びた形状で形成される。後方部分2は、好ましくは、フレア状の端部として形成され、カテーテル1のコネクタとして機能し得、蓄尿袋、ドレナージチューブなどの他のデバイスに接続可能である。
【0073】
細長い管状シャフト3の少なくとも一部は、尿道カテーテルの場合は尿道といった、使用者の身体開口を通じて挿入されることになる挿入可能な長さを形成する。挿入可能な長さとは、通常、患者の尿道に挿入可能である管状シャフト3の長さを意味する。典型的に、これは、女性患者の場合は80~140mm、及び男性患者の場合は200~350mmとなる。少なくともカテーテルの挿入可能な部分には、好ましくは、以下でより詳細に説明される親水性表面層が設けられている。
【0074】
カテーテルは、好ましくは、パッケージとして、及びオプションでは滅菌状態における滅菌バリアとしても機能する、密閉した容器内に配置される。容器は、少なくともカテーテルの挿入可能な部分を収容し、場合によっては、カテーテル全体を、及び好ましくは、カテーテルが親水性カテーテルである場合に、カテーテルを活性化した(activated)、湿潤した状態に維持するために、湿潤流体も収容する。これによって、カテーテルは、パッケージから取り出されると、すぐにそのまま使用できるようになる。代替として、湿潤流体は、容器に接続されているか又は容器内に配置された別個の区画又は入れ物内に配置され得、使用前にカテーテルを湿潤させるために放出されことになる。更に、湿潤流体は、液体の形で存在する必要はないが、例えば、湿気の多い、蒸気を含む空気を入れ物内に提供することによって、気体の形でも存在し得る。しかしながら、カテーテルはまた、乾燥状態でも保管され得る。そのような場合、湿潤流体は、使用直前のカテーテルの湿潤及び活性化のために、パッケージの別個の区画又はパウチ内に配置され得る。乾燥状態で維持されるとき、外部供給源から供給される湿潤流体でカテーテルを湿潤させることも可能である。カテーテルはまた、カテーテル表面の活性化のために追加の湿潤流体が必要とされない、非親水性コーティングなどであり得る。湿潤流体は、好ましくは、水性液体であり、即ち、淡水又は、生理食塩水若しくはその他などの、溶媒として水を含む溶液を使用する。
【0075】
次に、管状シャフトの構造の異なる実施形態を示す図2図9を参照する。管状シャフトは、異なる性質を有する少なくとも2つの材料から形成され、これら材料は、別個のゾーンZS及びZHにおいて実質的に互いに分離されて配置される。これら材料は異なる性質を有し、具体的には、これら材料は異なる硬さを有することが好ましく、したがって、ゾーンZSを形成する材料は、ゾーンZHを形成する材料よりも、相対的により柔らかくより柔軟であり、そうすると、ゾーンZHは、相対的により硬くより剛性である。したがって、これら材料は、好ましくは、硬度、曲げ剛性、引張係数、柔軟性、及び/又は弾力性において異なる。好ましくは、これら材料はまた、色が異なり、又は様々な程度の不透明度/透明度を有するなど、別な方法で互いに可視的に識別可能である。
【0076】
これらの別個のゾーンのうちの少なくとも1つは、管状シャフトの本質的に全長にわたって延びる。更に、ゾーンの幅及び/又は厚さは、これらの異なる材料の様々な相対量を有する管状シャフトの2つ以上の均一なセクションS、Hを形成するために、管状シャフトの長さにわたって変化する。更に、2つのこのような均一なセクション間の少なくとも1つの移行部が、均一なセクション間の緩やかな移行を提供する少なくとも1つの移行セクションTによって形成される。移行セクションTでは、前記異なる均一なセクション間のゾーンの幅又は厚さ間の緩やかな移行がある。
【0077】
図2に示される一実施形態では、ゾーンZS及びZHは、層として配置され、管状シャフトの円周の周りに延びている。この実施形態では、相対的により硬い材料である、ゾーンのうちの1つZHは、管状シャフトの全長にわたって延びる。この層は外側に配置され、管状シャフトの外面を形成する。1つの均一なセクションSでは、ゾーンZHは、相対的に薄く、相対的に柔らかい材料の下層ZSは、相対的に厚い。別の均一なセクションHでは、管状シャフトは、全て相対的に剛性である材料ZHで形成される。中間移行セクションTでは、異なる材料層の厚さの緩やかな移行がある。これによって、管状シャフトには、外表面全体にわたって同じ材料によって形成された外面が設けられているが、一端により柔らかいセクション、他端により硬いセクション、及びこれらのセクション間の緩やかな移行が提供される。
【0078】
図3に示される別の実施形態では、ゾーンZS及びZHは、この場合も層として配置され、管状シャフトの円周の周りに延びている。この実施形態では、相対的により硬い材料である、ゾーンのうちの1つZHは、管状シャフトの全長にわたって延びる。この層は、内側に配置され、管状シャフトの内面を形成する。1つの均一なセクションHでは、このセクションは、全てより硬い材料ZHで形成される。別のセクションSには、より硬い材料の1つの相対的に薄い層ZHと、より柔らかい材料の1つの相対的に厚い層ZSとが設けられている。中間移行セクションTでは、異なる材料層の厚さの緩やかな移行がある。これによって、管状シャフトには、外表面全体にわたって同じ材料によって形成された内面が設けられているが、一端により柔らかいセクション、他端により硬いセクション、及びこれらのセクション間の緩やかな移行が提供される。
【0079】
図4に示される別の実施形態では、ゾーンZS及びZHは、この場合も層として配置され、管状シャフトの円周の周りに延びており、また、両方が管状シャフトの長さにわたって連続的に延びている。この実施形態では、それぞれ相対的により柔らかい及びより硬い材料であるゾーンZS、ZHの両方が、管状シャフトの全長にわたって延びる。これらの層は、内側及び外側に配置され、管状シャフトの内面及び外面を形成する。1つの均一なセクションSでは、このセクションは、より柔らかい材料の相対的に厚い層ZSと、より硬い材料の相対的に薄い層ZHとから形成される。別のセクションHでは、このセクションは、より硬い材料の相対的に厚い層ZHと、より柔らかい材料の相対的に薄い層ZSとから形成される。中間移行セクションTでは、異なる材料層の厚さの緩やかな移行がある。これによって、管状シャフトには、外表面及び内面全体にわたって同じ材料によって形成された内面及び外面の両方が設けられているが、一端により柔らかいセクション、他端により硬いセクション、及びこれらのセクション間の緩やかな移行が提供される。
【0080】
図5に示される別の実施形態では、ゾーンZS及びZHは、ストリップとして配置され、管状シャフトの長さに沿って延びており、変化する幅を有する。1つの均一なセクションSでは、このセクションは、より柔らかい材料の相対的に幅広に延びるストリップZSと、より硬い材料の相対的に幅の狭いストリップZHとから形成される。ここで両方のストリップは、管状シャフトの厚さ全体にわたって延びる。別のセクションHでは、このセクションは、より硬い材料の相対的に幅の広いストリップZHと、より柔らかい材料の相対的に幅の狭いストリップZSとから形成される。中間移行セクションTでは、異なる材料ストリップの幅の緩やかな移行がある。これによって、管状シャフトは、より軟らかい材料及びより硬い材料の非対称分布、及びこれらのセクション間の緩やかな移行が提供される。
【0081】
図6に示される別の実施形態では、ゾーンZS及びZHは、この場合もストリップとして配置され、管状シャフトの長さに沿って延びており、変化する幅を有する。1つの均一なセクションSでは、このセクションは、より柔らかい材料の相対的に幅広に延びるストリップZSと、より硬い材料の相対的に幅の狭いストリップZHとから形成される。しかしながら、ここでは、より硬い材料のストリップZHは、管状シャフトの厚さの限定された部分のみにわたって延び、外面に向かって配置されている。別のセクションHでは、このセクションは、この場合も外面に向かって配置される、より硬い材料の相対的に幅の広いストリップZHと、より柔らかい材料の相対的に幅の狭いストリップZSとから形成される。この場合も、より硬い材料ZHの厚さは限定されている。中間移行セクションTでは、異なる材料ストリップの幅の緩やかな移行がある。これによって、管状シャフトは、より軟らかい材料及びより硬い材料の非対称分布、及びこれらのセクション間の緩やかな移行が提供される。この実施形態では、管状シャフトの内面は、全てより柔らかい材料ZSによって形成される。
【0082】
図7に示される別の実施形態では、ゾーンZS及びZHは、この場合もストリップとして配置され、管状シャフトの長さに沿って延びており、変化する幅を有する。1つの均一なセクションSでは、このセクションは、より柔らかい材料の相対的に幅広に延びるストリップZSと、より硬い材料の相対的に幅の狭いストリップZHとから形成される。しかしながら、ここでは、より硬い材料のストリップZHは、管状シャフトの厚さの限定された部分のみにわたって延び、内面に向かって配置されている。別のセクションHでは、このセクションは、この場合も内面に向かって配置される、より硬い材料の相対的に幅の広いストリップZHと、より柔らかい材料の相対的に幅の狭いストリップZSとから形成される。この場合も、より硬い材料ZHの厚さは限定されている。中間移行セクションTでは、異なる材料ストリップの幅の緩やかな移行がある。これによって、管状シャフトは、より軟らかい材料及びより硬い材料の非対称分布、及びこれらのセクション間の緩やかな移行が提供される。この実施形態では、管状シャフトの外面は、全てより柔らかい材料ZSによって形成される。
【0083】
図8に示される一実施形態では、管状シャフトは、挿入端部からより遠く離れている別のセクションHよりも柔らかい、挿入端部に最も近い均一なセクションSを備える。この実施形態では、シャフトは、それらの間の移行セクションTとともに、これら2つの均一なセクションのみから成る。2つのセクションの各々は、好ましくは、カテーテルシャフトの全長の少なくとも25%にわたって、好ましくは少なくとも40%にわたって、最も好ましくは少なくとも45%にわたって延びる。したがって、典型的に全長30~40cmのカテーテルシャフトを有する男性用カテーテルの場合、より柔らかい前方セクションSは、長さ8~19cm、好ましくは12~18cmであり得、より硬い後方セクションHは、同様の長さを有し得る。
【0084】
しかしながら、1つより多くのより柔らかい均一なセクション及び/又は1つより多くのより硬い均一なセクションがまた設けられ、長手方向において分配され得る。
【0085】
図9に示される別の実施形態では、管状シャフトは、4つの均一なセクションを備え、そのうちの少なくとも2つは相対的により柔らかく、少なくとも2つは相対的により硬く、より柔らかいセクション及びより硬いセクションは、全ての隣接する均一なセクション間に配置される移行セクションとともに、カテーテルシャフトの長さに沿って交互に配置される。したがって、この実施形態では、挿入端部に最も近く配置された第1のより柔らかい均一なセクションS1、第1の移行セクションT1、それに続く第1のより硬い均一なセクションH1、第2の移行セクションT2、第2のより柔らかい均一なセクションS2、第3の移行セクションT3、及び第2のより硬い均一なセクションH2がある。より硬い均一なセクションH1及びH2は、好ましくは、より柔らかい均一なセクションS1及びS2よりも長く、また、好ましくは、移行セクションT1~T3よりも長い。好ましくは、より硬い均一なセクションは、少なくとも2倍の長さである。これによって、管状シャフトは、全体として相対的に硬いが、ある特定の部分はより柔らかくされる。例えば、挿入補助具又はその近くにおける、より柔らかい部分、即ち、セクションS1及びある程度T1は、柔らかい先端部が、カテーテルを湾曲した尿道へと誘導しそれが通る道を見つけること可能にするので、カテーテルの挿入を容易にする。更に、第2のより柔らかいセクションS2、及びある程度移行セクションT2及びT3は、カテーテルの中央及び/又は管状シャフトの挿入可能な部分の中央に柔らかさと柔軟性を提供する。これによって、カテーテルは、使用中に尿道に対して、及び特に、尿道の提靭帯及び/又は膜様部に対して、より優しくなる。これによって、導尿がより快適になるとともに、尿道を傷つける又は損傷するリスクが低減する。中央のこのより柔らかいセクションはまた、折り畳まれた配置でのカテーテルの保管を容易にする。
【0086】
管状シャフトは、好ましくは、間欠押出成形によって製造される。このような製造に使用するための押出成形システムが、図10に概略的に示される。システムは、2つの材料のうちの1つを供給するようにそれぞれ配置された2つの押出機10、11を備える。2つより多くの材料の場合、より多くの押出機がシステムに追加され得る。押出機からの材料は、押出ヘッド又は押出ノズル装置14に供給され、そこで、材料は、上記で説明されたように、所望の方法で共押出成形される。2つの材料の流量は、弁などの調節部材12、13によって制御される。制御装置(図示せず)が、好ましくは設けられ、製造されたチューブにおけるゾーンの所望の形成を得るために、押出機、調節部材、及び押出ノズル装置を連続的に制御するように配置される。
【0087】
押出ノズル装置14からの吐出後、押出チューブは、水槽15などの冷却装置又はクーラーで冷却され得る。システムには、乾燥装置又はドライヤー16、引取装置又はプラー17、及び押出チューブを所望の長さの管状シャフトに切断するための切断装置又はカッター18、等が更に設けられ得る。しかしながら、代替として、押出チューブは、巻取装置などによって巻き取られ得る。また、押出成形の技術分野においてそれ自体既知であるように、押出ノズルに続くこれらの部分の任意のもの又は全てが、省略される、他の同様の装置と置き換えられる、追加の部分で補完される、等できる。
【0088】
押出成形中に連続的に材料の一方又は両方を供給することは、押出成形システムが、これによってより効率的に動作し、より正確に制御され得るので、非常に有利である。
【0089】
また、2つ以上のチューブを同時に製造することも可能である。これによって、押出機によって供給される材料は、2つ以上の押出ノズル装置に供給され得る。このような実施形態は、図11に示されており、そこで、押出機10からの材料は、調節部材12a、12bによって制御されて、押出ノズル装置14a及び14bに供給されることになり、同様に、押出機11からの材料は、調節部材13a、13bによって制御されて、同じ押出ノズル装置14a、14bに供給されることになる。システムは、管状シャフトが2つの押出ノズル装置において異なって製造されるように、押出ノズル装置14a、14bにおいて管状シャフトを製造するように制御され得る。例えば、一方の押出ノズル装置は、先に挿入端部を伴って管状シャフトを製造し得る一方で、他方の押出ノズル装置は、先に後方端部を伴って管状シャフトを製造し得る。例えば、上記図8に関連して説明された管状シャフトの場合、これは、両方の材料の本質的に一定の流れが押出機10、11によって供給され得ることを意味する一方で、2つの押出ノズル装置への2つの材料の流量は、経時的に変化する。代替として、より硬いセクションHが一方の押出ノズル装置によって製造されるとき、より柔らかいセクションが他方の押出ノズル装置によって製造され、逆もまた同様であるといったように、製造が少なくともある程度制御されるように、2つの押出ノズル装置において管状シャフトの製造をオフセットすることも可能である。これはまた、押出機から出てくる材料のより均一な流量を提供し、これは、同様の方法で押出プロセスをより効率的且つより正確に制御可能にする。押出ノズルの後に、先の例で説明されたように、更なるデバイス又は部分15a~18a、15b~18bが設けられ得、図8に示されたように、2つの別個のラインで、又は共通のライン(図示せず)で設けられ得る。
【0090】
2つ以上の材料を同時に押出成形するための押出ノズルは、それ自体従来公知であり、例えば、US5533985、US4250072、US5258160、及びUS2008/0193583に記載されており、これら文献の全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。押出ノズル、又は押出ダイは、好ましくは2つの出口開口部を有し、即ち、2穴管状押出ダイを形成する。
【0091】
管状シャフトの製造後、後方端部及び先端部は、任意の所望の方法で形成され得る。
【0092】
例えば、後方部は、加熱中に少なくとも1つの円錐形マンドレルをチューブ端部へと挿入することによって、フレア状の後方部として形成され得る。したがって、管状シャフトとマンドレルとの間の相対運動が、管状シャフトの端部を円錐形マンドレル上へと押し当て、それによって、管状シャフトの端部をマンドレルの形状になるように広げてフレア加工する。しかしながら、当該技術分野においてそれ自体周知であるように、別々に製造されたコネクタを接着などによって管状シャフトに接続することも可能である。このような別々に製造されたコネクタは、例えば、射出成形によって製造され得、接着、溶接などによって管状シャフトの端部に接続され得る。
【0093】
更に、後方端部の反対側にある、管状シャフトの端部における先端部分は、例えば、溶融によって、所望の形状に形成され得る。更に、管状シャフトの側壁における少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のドレナージ開口部が設けられ得る。これは、打抜き手段を用いた打抜き、又はブランク切断によって達成され得る。しかしながら、当該技術分野においてそれ自体既知であるように、別々に製造された先端部を、例えば、接着によって、管状シャフトの端部に接続することも可能である。このように別々に製造された先端部は、例えば、射出成形によって製造され、接着、溶接などによって管状シャフトの端部に接続され得る。
【0094】
先端部は、直線状であり得、管状シャフトと同じ方向に延び、丸みを帯びた前方端部を形成する。この先端部のタイプは、一般に、ネラトン型のカテーテルとして知られている。このような実施形態では、先端部は、好ましくは、全箇所において管状シャフトの外径以下である外径を有する。先端部は、好ましくは、丸みを帯びた先端部で終わるように、前方方向に円錐形に先細りになって配置される。代替として、先端部は大きくされ得、それによって、カテーテルシャフトよりも大きい外径を有する少なくとも一部を提示する。例えば、大きくされた先端部は、電球などの形状であり得る。
【0095】
ドレナージ開口部が、好ましくは、先端部の側壁及び/又は管状シャフトの前方端部において、いわゆるカテーテルアイと呼ばれる開口部として設けられている。しかしながら、追加又は代替として、カテーテルの長手方向軸に沿って中心に配置されたドレナージ開口部を使用することも可能である。ここでは、カテーテルの前方端部と先端部は閉じておらず、ドレナージ開口部は、カテーテルの内部内腔の伸長部において形成される。
【0096】
また、先端部は、湾曲状であり得、チーマン又はクーデ型のカテーテルを形成する。
【0097】
カテーテルは、様々な長さ及び寸法で作製され得る。典型的に、カテーテルチューブの長さは、それぞれ、女性用カテーテルの場合、50~200mmの範囲にあり、例えば、好ましくは約11、13、又は15cmのカテーテル全長に対応する、約8、10、又は12cmのサイズの長さを有し、また、男性用カテーテルの場合、好ましくは180~450mmの範囲にある長さであり得、例えば、好ましくは約36、38、又は40cmのカテーテル全長に対応する、約32、34、又は36cmのサイズである。ここで示されるカテーテル全長は、カテーテルチューブとフレア状の端部/コネクタを一緒にした長さを指す。乾燥/冷却後のチューブの外径は、好ましくは一定であり、2~7mmの範囲にあり、より好ましくは4~6mmの範囲にある。乾燥/冷却後のチューブの内径は、好ましくは一定であり、1.4~5mmの範囲にあり、より好ましくは2.6~4mmの範囲にある。乾燥/冷却後のチューブの厚さは、好ましくは一定であり、0.5~4mmの範囲にあり、より好ましくは1~3mmの範囲にあり、最も好ましくは1.5~2mmの範囲にある。
実施例
第1の実施例では、管状シャフトは、上記で説明されたように、間欠押出成形によって製造されたものであり、より柔らかいセクション、中間移行セクション、及びより硬いセクションとともに、図8に関連して上記で説明された方法で構造化した。両方の材料を、移行セクションにおける斜めの移行部ともに、図5に関連して上記で説明された方法で、管状シャフトの全長にわたって連続的に設けた。
【0098】
この第1の実施例では、管状シャフトは、Mediprene OF 900M及びOF 600Mとして市販されている、2つのポリオレフィン系TPEブレンド材料によって作製された。
【0099】
管状シャフトは、カテーテルに形成され、基材の表面に、最初にイソシアネート化合物0.05~40%(重量/体積)を含む溶液、そしてその後、ポリビニルピロリドン0.5~50%(重量/体積)を含有する溶液を順に塗布し、高温で硬化することによって、親水性コーティングでコーティングされた。
【0100】
製造されたカテーテルは評価され、また、基準として、Wellspect Healthcareから市販されているLoFric(登録商標)カテーテルと比較した。
【0101】
カテーテルは、4、4.66、及び5.33mmのチューブの外径に対応する、サイズCh 12、14及び16で製造された。
【0102】
最初に、カテーテルの柔らかいセグメント及び硬いセグメントの硬度を、マイクロショアA法を用いて測定した。その結果を下記表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
表から分かるように、より柔らかいセクションとより硬いセクションとの間には著しい差があり、ここで、より柔らかいセクションは、50~60の範囲にあるμショアA硬度を有し、より硬いセクションは、70~90の範囲にある。ほとんどの市販されている親水性尿道カテーテルは、約75~80の硬度を有し、とりわけ、ここではより柔らかいセクションが、著しく低い硬度を有する一方で、より硬いセクションは、従来の尿道カテーテルと同等の、又はそれよりも幾分高い硬度を有する。
【0105】
更に、未加工のカテーテルとコーティングされたカテーテルとの両方について、曲げ剛性を測定した。これから、引張係数も算出した。引張係数を算出するために、カテーテルの内径及び外径を測定した。Ch 12カテーテルは、2.1~2.5mmの範囲にある内径、及び3.6~4.2mmの範囲にある外径を有していた。Ch 14カテーテルは、2.9~3.1mmの範囲にある内径、及び3.8~4.8mmの範囲にある外径を有していた。Ch 16カテーテルは、3.1~3.3mmの範囲にある内径、及び5.1~5.4mmの範囲にある外径を有していた。基準として、LoFric(登録商標)カテーテルも同様に測定した。このカテーテルは、内径2.6mm及び外径4.0mmを有するCh 12カテーテルであった。結果を下記表2に示す。
【0106】
【表2】
【0107】
より柔らかいセクションの曲げ剛性は、25~150MPammの範囲にあり、これは、従来の基準カテーテル(Ch 12、LoFric)よりも低い又はよりはるかに低いことに留意されたい。より硬いセクションは、160~720MPammの範囲にある曲げ剛性を有し、これは、基準カテーテルの曲げ剛性をカバーするが、概して、よりはるかに高い。
【0108】
より柔らかいセクションの引張係数は、3~6MPaの範囲にあり、これは従来の基準カテーテルのものよりもはるかに低い一方で、15~30MPaの範囲にあるより硬いセクションの引張係数は、基準カテーテルの引張係数をカバーするが、概して、よりはるかに高い。
【0109】
滑りやすさ及び粗さを決定するために、コーティングされたカテーテルもまた手動で評価した。カテーテルは、1~10から等級付けされ、ここで、10は、それぞれ摩擦ゼロ及び完全に滑らかな表面に対応する。8より上の値は極めて良好であると考えられ、現在市場で入手可能な最良のカテーテルに対応する。この場合も、同じ基準カテーテルを用いて比較を行った。結果を下記表3に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
したがって、実施例のコーティングは、非常に良好であり、基準カテーテルと同程度に、及びそれよりもわずかに良好にさえ機能することが分かった。
【0112】
コーティングされたカテーテルの摩擦は、100gの型締め力と1.0cm/sの引っ張り速度で、Harland Medical Systemsから入手可能なHarland FTS摩擦試験機を用いて最終的に決定された。この場合も、LoFric基準と比較を行った。より硬いセクションの摩擦係数は、極めて良好(約0.008)であると決定され、LoFric基準(約0.021の摩擦係数を有する)よりも低くさえあった。より柔らかいセクションの材料は、よりわずかに高いが、それでも十分に許容可能な約0.025の摩擦係数を有していた。
【0113】
第2の実施例では、カテーテルは、第1の実施例と同じ方法で製造及び構造化されたが、異なる材料から作製された。この第2の実施例では、管状シャフトは、TPU材料、より具体的には、両方がLubrizol社から市販されているTecoflex EG 80A及びTecoflex EG 100Aによって作製された。
【0114】
この場合も、カテーテルの柔らかいセグメント及び硬いセグメントの硬度を、マイクロショアA法を用いて測定した。その結果を下記表4に示す。
【0115】
【表4】
【0116】
表から分かるように、この実施例でも、より柔らかいセクションとより硬いセクションとの間には著しい差があり、ここで、より柔らかいセクションは、63~68の範囲にあるμショアA硬度を有し、より硬いセクションは、85~94の範囲にある。ほとんどの市販されている親水性尿道カテーテルは、約75~80の硬度を有し、とりわけ、ここでもまた、より柔らかいセクションが、著しく低い硬度を有する一方で、より硬いセクションは、従来の尿道カテーテルと同等の、又はそれよりも幾分高い硬度を有する。
【0117】
更に、曲げ剛性を、第1の実施例に関連して上記で説明したのと同じ方法で測定した。結果を下記表5に示す。
【0118】
【表5】
【0119】
より柔らかいセクションの曲げ剛性は、15~140MPammの範囲にあり、これは、従来の基準カテーテル(Ch 12、LoFric-上記参照)よりも低い又はよりはるかに低いことに留意されたい。より硬いセクションは、120~2000MPammの範囲にある曲げ剛性を有し、これは、基準カテーテルの曲げ剛性をカバーするが、概して、よりはるかに高い。
【0120】
より柔らかいセクションの引張係数は、0.5~5MPaの範囲にあり、これは従来の基準カテーテルのものよりもはるかに低い一方で、20~65MPaの範囲にあるより硬いセクションの引張係数は、基準カテーテルの引張係数をカバーするが、概して、よりはるかに高い。
【0121】
更に、コーティングされたカテーテルのコーティングを第1の実施例と同じ方法で評価したところ、全て完全に許容可能であることが分かった。
結論
当業者は、本発明が、上記で説明された好ましい実施形態に決して限定されないことを理解する。それどころか、添付の特許請求の範囲内において多くの変更及び変形が可能である。例えば、尿道カテーテルは、フレア状の後方部を有している必要はなく、代わりに、管状シャフトの端部で終わってもよく、また、丸みを帯びた、閉じた先端部を有している必要もなく、代わりに管状シャフト自体で終わり得る。更に、閉じた先端部が使用される場合、先端部は、カテーテルの長手方向を直接向いている直線状であるか、先端部の端部がカテーテルの長手方向に対して平行でない方向を向いているように、わずかに湾曲状であるかのいずれかであり得る。更に、多くの異なる材料及び材料の組合せが、管状シャフトを製造するために使用され、それでもなお所望の材料性質を得ることができる。このような変更及び他の変更は、添付の特許請求の範囲内にあるものと解釈されるべきである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 挿入端部と排出端部との間に延びる管状シャフトを備える尿道カテーテルであって、前記管状シャフトは、異なる性質を有する少なくとも2つの材料から形成され、前記材料の各々は、別個のゾーンおいて実質的に互いに分離されて配置され、ここにおいて、前記ゾーンの幅及び厚さのうちの少なくとも1つは、前記材料の様々な相対量を有する前記管状シャフトの2つ以上の均一なセクションを形成するために、前記管状シャフトの長さにわたって変化し、ここにおいて、2つのこのような均一なセクション間の少なくとも1つの移行部が、前記均一なセクション間の緩やかな移行を提供する少なくとも1つの移行セクションによって形成されている、尿道カテーテル。
[2] 前記移行セクションの各々は、前記管状シャフトの全長の2~30%の範囲内、好ましくは4~20%の範囲内、更により好ましくは5~10%の範囲内の伸長部を有する、[1]に記載の尿道カテーテル。
[3] 前記2つ以上の均一なセクションは全体で、前記管状シャフトの全長の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%にわたって延びる、[1]又は[2]に記載の尿道カテーテル。
[4] 前記2つの材料は異なる硬度を有し、一方はより柔らかであり、一方はより剛性であり、それによって、異なる柔軟性を有する均一なセクションを提供する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
[5] 前記管状シャフトは、2つ以上の材料を使用して間欠押出成形によって形成された押出チューブである、[1]~[4]のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
[6] カテーテルチューブが、内側内腔を取り囲む円形壁を備え、ここにおいて、前記円形壁は、前記管状シャフトの円周の周りに及び実質的に全長にわたって、均一且つ一定の肉厚を有する、[1]~[5]のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
[7] 前記別個のゾーンのうちの少なくとも1つは、前記管状シャフトの本質的に全長にわたって延び、好ましくは、前記少なくとも2つの別個のゾーンの全てが、前記管状シャフトの本質的に全長にわたって連続的に延びている、[1]~[6]のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
[8] 異なる材料の前記別個のゾーンは、前記尿道カテーテルの長手方向に延び、円周方向において分離されており、前記ゾーンは、前記尿道カテーテルの長さに沿って前記円周方向において変化している幅を有する、[1]~[7]のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
[9] 異なる材料の前記別個のゾーンは、前記尿道カテーテルの長手方向に延び、層において分離されており、各層は、好ましくは、前記尿道カテーテルの全円周の周りに延び、前記層は、前記尿道カテーテルの長さに沿って変化している厚さを有する、[1]~[8]のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
[10] 前記管状シャフトは、前記挿入端部からより遠く離れている別のセクションよりも柔らかい、前記挿入端部に最も近い均一なセクションを備える、[1]~[9]のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
[11] 前記管状シャフトは、少なくとも4つの均一なセクションを備え、そのうちの少なくとも2つは相対的により柔らかく、少なくとも2つは相対的により硬く、前記より柔らかいセクション及びより硬いセクションは、全ての隣接する均一なセクション間に配置される移行セクションとともに、カテーテルシャフトの長さに沿って交互に配置される、[1]~[10]のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
[12] 前記ゾーンは、互いに可視的に識別可能であり、それによって、前記尿道カテーテルの回転位置及びカテーテルシャフトに沿った長さ位置のうちの少なくとも1つに関連する目印を提供する、[1]~[11]のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
[13] 前記均一なセクションのうちの少なくとも1つは、相対的により柔らかく、25~150MPa mm の範囲にある曲げ剛性を有し、前記均一なセクションのうちの別のものは、相対的により硬く、180~1600MPa mm 、好ましくは300~1500MPa mm の範囲にある曲げ剛性を有する、[1]~[12]のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
[14] 前記管状シャフトは、親水性表面コーティングで少なくとも部分的にコーティングされ、前記コーティングは、好ましくは、前記尿道カテーテルの少なくとも挿入可能な部分を覆い、前記親水性表面コーティングは、湿潤時に低摩擦を発揮する、[1]~[13]のいずれか一項に記載の尿道カテーテル。
[15] 尿道カテーテルを製造するための方法であって、管状シャフトを形成することを備え、その端部において挿入端部及び排出端部を配置し、前記管状シャフトは、異なる性質を有する少なくとも2つの材料から形成され、前記材料の各々は、別個のゾーンおいて実質的に互いに分離されて配置され、前記別個のゾーンのうちの少なくとも1つは、好ましくは、前記管状シャフトの本質的に全長にわたって延び、ここにおいて、前記ゾーンの幅及び厚さのうちの少なくとも1つは、前記材料の様々な相対量を有する前記管状シャフトの2つ以上の均一なセクションを形成するために、前記管状シャフトの長さにわたって変化し、ここにおいて、2つの前記均一なセクション間の少なくとも1つの移行部が、前記均一なセクション間の緩やかな移行を提供する少なくとも1つの移行セクションによって形成される、方法。
[16] 前記管状シャフトは、間欠押出成形によって作製される、[15]に記載の方法。
[17] 2つ以上の管状シャフトは、2つの別々の押出ノズルを通じて同時に形成され、前記管状シャフトの前記形成は、互いに関してオフセットされている、[16]に記載の方法。
[18] 前記2つ以上の管状シャフト間の前記オフセットは、前記2つ以上の材料の本質的に一定の流量が、前記押出ノズルを通って吐出されるように設定される、[17]に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11