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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス用プロテクタ
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/027 20060101AFI20221024BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
B60R16/027 S
B60R16/02 623T
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019024482
(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公開番号】P2020131794
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智哉
(72)【発明者】
【氏名】矢野 真司
【審査官】西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-101543(JP,A)
【文献】特開2007-104828(JP,A)
【文献】特開2004-229343(JP,A)
【文献】特開2013-176205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレスコピック機能を備えた車両のステアリング装置に用いられ、ステアリングホイールの車両前後方向への移動を許容するための余長を有するワイヤハーネスが通される通路を備え、前記通路を構成する互いに対向する一対の壁部の間に通された前記ワイヤハーネスを前記一対の壁部の間でS字状に屈曲するように保持するワイヤハーネス用プロテクタであって、
前記一対の壁部の一方を第1壁部とし、他方を第2壁部としたとき、
前記ステアリングホイールが車両後方側の可動限界位置にある状態で前記ワイヤハーネスと接触して該ワイヤハーネスのS字状に屈曲する状態を保持する保持面を、前記第1壁部及び前記第2壁部の内面にそれぞれ備えており、
前記ステアリングホイールが車両後方側の可動限界位置にある状態で前記ワイヤハーネスのS字状に屈曲する状態を保持する保持面について、該S字状に屈曲する状態の前記ワイヤハーネスの車両後方側の保持面は前記第1壁部の内面が備えるものであるとともに車両前方側の保持面は前記第2壁部の内面が備えるものであり、
前記ステアリングホイールが車両前方側の可動限界位置にある状態で前記ワイヤハーネスと接触して該ワイヤハーネスのS字状に屈曲する状態を保持する保持面を、前記第1壁部及び前記第2壁部の内面にそれぞれ備えており、
前記ステアリングホイールが車両前方側の可動限界位置にある状態で前記ワイヤハーネスのS字状に屈曲する状態を保持する保持面について、該S字状に屈曲する状態の前記ワイヤハーネスの車両後方側の保持面は前記第2壁部の内面が備えるものであるとともに車両前方側の保持面は前記第1壁部の内面が備えるものである、ワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項2】
前記通路は、S字状に屈曲するS字屈曲部を備え、
前記ステアリングホイールが車両後方側の可動限界位置にある状態で前記ワイヤハーネスと接触して該ワイヤハーネスのS字状に屈曲する状態を保持する保持面、及び前記ステアリングホイールが車両前方側の可動限界位置にある状態で前記ワイヤハーネスと接触して該ワイヤハーネスのS字状に屈曲する状態を保持する保持面は、前記S字屈曲部を構成する前記第1壁部及び前記第2壁部の内面に設けられている、請求項1に記載のワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項3】
前記S字屈曲部は、前記ワイヤハーネスのS字状に屈曲する部位における2つの屈曲部の間の中間部位を収容する収容部と、前記収容部よりも幅広をなし前記2つの屈曲部をそれぞれ収容する2つの拡幅収容部とを備えている、請求項に記載のワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項4】
前記ワイヤハーネスを導出する導出部には、前記ワイヤハーネスに固定され、前記ステアリングホイールの車両前後方向への移動に追従して車両前後方向にスライド可能なスライド部材が設けられている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項5】
前記スライド部材は車両前方側を向く前記導出部に設けられ、該導出部には、前記スライド部材と当接して該スライド部材の車両前方側への移動を規制する規制部が設けられ、
前記ステアリングホイールが車両前方側の可動限界位置にある状態で、前記規制部が前記スライド部材と当接するように構成されている、請求項に記載のワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項6】
前記第1壁部の内面には前記通路の幅方向外側に膨らむように湾曲している第1湾曲面が形成されているとともに、前記第2壁部の内面には前記通路の幅方向外側に膨らむように湾曲している第2湾曲面が形成されており、
前記ステアリングホイールが車両前方側の可動限界位置にある状態で、前記規制部が前記スライド部材と当接する状態において、S字状に屈曲する状態の前記ワイヤハーネスの車両後方側の保持面は前記第2壁部の内面の前記第2湾曲面に設けられるとともに車両前方側の保持面は前記第1壁部の内面の前記第1湾曲面に設けられる、請求項5に記載のワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項7】
前記第1壁部の内面には、前記通路の幅方向外側に凸状をなす湾曲面が形成され、
前記ステアリングホイールが車両前方側の可動限界位置にある状態においてS字状に屈曲する前記ワイヤハーネスが、前記湾曲面に沿って屈曲した状態で該湾曲面に当接するように構成された、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のワイヤハーネス用プロテクタ。
【請求項8】
前記通路の長さ方向の端部には、当該端部から導出された前記ワイヤハーネスと当接可能な当接壁が設けられ、
前記当接壁は、一方の前記壁部の前記長さ方向の端部と連なる位置であって、前記通路の幅方向において他方の前記壁部と対向しない位置に設けられている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のワイヤハーネス用プロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のステアリング装置に用いるワイヤハーネス用プロテクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステアリングホイールの車両前後方向の位置を調節可能とするテレスコピック機構を有するステアリング装置では、ステアリングホイール内の電装部からステアリングシャフトに沿って車両前方へ導かれるワイヤハーネスに予め余長を設定することにより、ステアリングホイールの前後移動による影響をワイヤハーネスの接続先へ及ぼさないようにしている(例えば特許文献1や特許文献2を参照)。このようなステアリング装置では、ステアリングホイールの前後移動時に動きのあるワイヤハーネスが周辺部品と干渉しないようにするために、ステアリングホイールの移動に伴うワイヤハーネスの動きを制御するプロテクタを備えている。
【0003】
例えば、特許文献1のプロテクタでは、複数の屈折部を有する板状の保持部材にワイヤハーネスを固定している。この保持部材は、ステアリングホイールが車両後方側の可動限界位置にある状態で略平面状をなし、同状態においてワイヤハーネスを直線状に保持している。そして、ステアリングホイールの車両前方側への移動に伴い、保持部材が各屈折部にて屈折し、その保持部材の屈折に沿ってワイヤハーネスが屈曲するようになっている。
【0004】
また、特許文献2のプロテクタでは、ワイヤハーネスをプロテクタ内でループ状に周回させており、ステアリングホイールの移動に伴いワイヤハーネスのループ状部分の径が変化するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-256423号公報
【文献】特許第2836484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示されたプロテクタでは、ステアリングホイールが車両後方側の可動限界位置にある状態でワイヤハーネスが直線状となる構成となっている。このため、ステアリングホイールを車両後方側の可動限界位置から車両前方側の可動限界位置まで移動させたときのワイヤハーネスの屈曲変化量が大きくなってしまう。これにより、ステアリングホイールの移動に伴ってワイヤハーネスに掛かる負担が大きくなる問題があった。
【0007】
また、上記特許文献2では、ワイヤハーネスをプロテクタ内でループ状に周回させているため、ワイヤハーネスの屈曲度合いが大きくなり、ワイヤハーネスに掛かる負担が大きくなる問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ステアリング装置用のワイヤハーネスに掛かる負担を小さく抑制できるワイヤハーネス用プロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するワイヤハーネス用プロテクタは、テレスコピック機能を備えた車両のステアリング装置に用いられ、ステアリングホイールの車両前後方向への移動を許容するための余長を有するワイヤハーネスが通される通路を備え、前記通路を構成する互いに対向する一対の壁部の間に通された前記ワイヤハーネスを前記一対の壁部の間でS字状に屈曲するように保持するワイヤハーネス用プロテクタであって、前記ステアリングホイールが車両後方側の可動限界位置にある状態で前記ワイヤハーネスと接触して該ワイヤハーネスのS字状に屈曲する状態を保持する保持面を、前記壁部の内面に備えている。
【0010】
上記態様によれば、ステアリングホイールが車両後方側の可動限界位置にある状態、すなわち、ワイヤハーネスが最も伸展される状態において、ワイヤハーネスはプロテクタの通路の内面に設定された保持面と接触してS字の屈曲状態が保持される。つまり、ワイヤハーネスが最も伸展される状態で直線状とならないように構成されるため、ステアリングホイールの移動に伴うワイヤハーネスの屈曲変化量を小さく抑えることができ、その結果、ワイヤハーネスに掛かる負荷を低減することができる。
【0011】
また、ワイヤハーネスをプロテクタ内においてS字に屈曲させる構成のため、プロテクタ内でワイヤハーネスをループ状に周回させる構成に比べてワイヤハーネスの屈曲度合いを小さく構成することが可能であり、この点においてもワイヤハーネスに掛かる負荷の低減に寄与できる。
【0012】
また、前記保持面は、ワイヤハーネスが通される通路を構成する壁部の内面に設けられるため、ワイヤハーネスの屈曲状態を保持するための別部品などを設けることなく、簡素な構成で前記保持面を構成することができる。
【0013】
上記ワイヤハーネス用プロテクタにおいて、前記保持面は、前記一対の壁部の各々に設けられている。
上記態様によれば、ワイヤハーネスが通る通路を構成する互いに対向配置された一対の壁部の各々に保持面が設けられるため、ワイヤハーネスが最も伸展される状態においてワイヤハーネスのS字状に屈曲する状態を保持できる。
【0014】
上記ワイヤハーネス用プロテクタにおいて、前記通路は、S字状に屈曲するS字屈曲部を備え、前記保持面は、前記S字屈曲部を構成する前記壁部の内面に設けられている。
上記態様によれば、通路のS字屈曲部を構成する壁部に保持面が設けられるため、ワイヤハーネスが最も伸展される状態においてワイヤハーネスのS字状に屈曲する状態を保持できる。
【0015】
上記ワイヤハーネス用プロテクタにおいて、前記S字屈曲部は、前記ワイヤハーネスのS字状に屈曲する部位における2つの屈曲部の間の中間部位を収容する収容部と、前記収容部よりも幅広をなし前記2つの屈曲部をそれぞれ収容する2つの拡幅収容部とを備えている。
【0016】
上記態様によれば、ワイヤハーネスの2つの屈曲部をそれぞれ収容する2つの拡幅収容部によって、ワイヤハーネスのS字状に屈曲する部位における屈曲量を確保でき、その結果、ステアリングホイールの移動時におけるワイヤハーネスの好適な余長吸収を実現できる。
【0017】
上記ワイヤハーネス用プロテクタにおいて、前記ワイヤハーネスを導出する導出部には、前記ワイヤハーネスに固定され、前記ステアリングホイールの車両前後方向への移動に追従して車両前後方向にスライド可能なスライド部材が設けられている。
【0018】
上記態様によれば、ステアリングホイールの車両前後方向への移動に伴うスライド部材のスライド動作がワイヤハーネスの安定した余長吸収に寄与し、その結果、ステアリングホイールの移動に伴うワイヤハーネスの動きをより好適に制御できる。また、ワイヤハーネスをプロテクタの所定箇所に移動不能に固定する構成に比べ、ステアリングホイールの移動時にワイヤハーネスに掛かる負担を軽減できる。
【0019】
上記ワイヤハーネス用プロテクタにおいて、前記スライド部材は車両前方側を向く前記導出部に設けられ、該導出部には、前記スライド部材と当接して該スライド部材の車両前方側への移動を規制する規制部が設けられ、前記ステアリングホイールが車両前方側の可動限界位置にある状態で、前記規制部が前記スライド部材と当接するように構成されている。
【0020】
上記態様によれば、ステアリングホイールが車両前方側の可動限界位置にある状態で、ワイヤハーネスが車両前方側の導出部において固定される。すなわち、ステアリングホイールが車両前方側の可動限界位置にある状態におけるワイヤハーネスの車両前方側の導出部からの導出量を規定できる。このため、ステアリングホイールが車両前方側の可動限界位置にある状態において、ワイヤハーネスをS字状の屈曲状態に好適に保持できる。また、プロテクタの外部におけるワイヤハーネスの意図しない撓みの発生を抑制できる。
【0021】
上記ワイヤハーネス用プロテクタにおいて、前記壁部の内面には、前記通路の幅方向外側に凸状をなす湾曲面が形成され、前記ステアリングホイールが車両前方側の可動限界位置にある状態においてS字状に屈曲する前記ワイヤハーネスが、前記湾曲面に沿って屈曲した状態で該湾曲面に当接するように構成されている。
【0022】
上記態様によれば、ステアリングホイールが車両前方側の可動限界位置にある状態、すなわち、ワイヤハーネスの屈曲度合いが大きい状態において、ワイヤハーネスは、通路を構成する壁部の内面に形成された湾曲面に沿って屈曲しつつ該湾曲面に当接する。これにより、ワイヤハーネスの屈曲度合いが大きい状態におけるワイヤハーネスと壁部との接触面積を稼ぐことができる。その結果、ワイヤハーネスから壁部に掛かる応力をより広く分散することができ、好適な構成となる。
【0023】
上記ワイヤハーネス用プロテクタにおいて、前記通路の長さ方向の端部には、当該端部から導出された前記ワイヤハーネスと当接可能な当接壁が設けられ、前記当接壁は、一方の前記壁部の前記長さ方向の端部と連なる位置であって、前記通路の幅方向において他方の前記壁部と対向しない位置に設けられている。
【0024】
上記態様によれば、通路の長さ方向の端部から導出されたワイヤハーネスを当接壁と当接させることで、当該導出部分におけるワイヤハーネスの動きを制限でき、ワイヤハーネスの周辺部品への干渉を抑制できる。また、ワイヤハーネスをS字状に屈曲させる構成では、通路の端部からのワイヤハーネスの導出部分において、ワイヤハーネスが通路の幅方向(一対の壁部の対向方向)の一方側のみに動きやすい。このため、通路の端部(ハーネス導出部分)において、両方の壁部に連なるように当接壁を設けるのではなく、一方側のみに当接壁を設けることで、プロテクタの大型化を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のワイヤハーネス用プロテクタによれば、ステアリング装置用のワイヤハーネスに掛かる負担を小さく抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】(a)実施形態のプロテクタを備えたステアリング装置の斜視図、(b)同ステアリング装置の側面図。
図2】(a)同形態のプロテクタ及びワイヤハーネスの分解斜視図、(b)コルゲートクランプの一部拡大図。
図3】同形態のプロテクタの平面図。
図4】同形態のプロテクタにおける底面側から見た斜視図。
図5】同形態におけるプロテクタの底面の一部拡大図。
図6】(a)(b)(c)ステアリングホイールのテレスコピック機能による移動態様を示す模式図。
図7】(a)(b)(c)プロテクタ内のワイヤハーネスの収容態様を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、ワイヤハーネス用プロテクタの一実施形態について図面に従って説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
【0028】
図1(a)(b)に示す本実施形態のステアリング装置100は、車両に搭載されるものであり、ステアリングホイール50の位置を車両前後方向に調節可能なテレスコピック機能を有する。
【0029】
ステアリングホイール50の中心に連結されて前方へ伸長するステアリングシャフト52は、ステアリングシャフトカバー54で覆われている。ワイヤハーネス10は、ステアリングシャフトカバー54からステアリングシャフト52に沿って配索されている。ワイヤハーネス10におけるステアリングホイール50側の端部は、例えば、ステアリングシャフト52に連結されるコンビネーションスイッチ・ステアリングコラム55(より詳しくはクロックスプリング)に接続されている。
【0030】
ステアリング装置100は、図示しないステアリングロック材を収容するステアリングロックケース60と、ステアリングロックケース60に移動不能に固定されたプロテクタ1とを備えている。本実施形態では、プロテクタ1は、ステアリングロックケース60の下側の位置に設けられている。プロテクタ1は、ステアリングホイール50内の図示しない電装部からステアリングシャフト52に沿って車両前方側へ配策されるワイヤハーネス10の一部を収容している。
【0031】
図2(a)に示すように、プロテクタ1は、プロテクタ本体2と、プロテクタ本体2に取り付けられる蓋3とを備えている。プロテクタ本体2と蓋3は、共に合成樹脂からなる。
【0032】
プロテクタ本体2は、底壁部5と、底壁部5の両側からそれぞれ延出する一対の側壁部6a,6bとを有している。底壁部5及び各側壁部6a,6bは、ワイヤハーネス10が通される断面凹状の通路11を構成している。一対の側壁部6a,6bは、ワイヤハーネス10の収容空間を挟んで互いに対向している。
【0033】
蓋3は、各側壁部6a,6bの開放端側(底壁部5とは反対側)を塞ぐ態様で、プロテクタ本体2に組み付けられる。詳しくは、蓋3に設けられたロック部3rがプロテクタ本体2の各側壁部6a,6bに設けられたロック部2rに係止されることで、蓋3がプロテクタ本体2に固定されるようになっている。
【0034】
図2(a)、図3及び図7(a)に示すように、通路11は、ワイヤハーネス10をS字状に屈曲させた状態で保持するS字屈曲部1Bと、S字屈曲部1Bの車両前方側の端部から車両前方に直線状に延びる前方側導出部1Aと、S字屈曲部1Bの車両後方側の端部に設けられ該車両後方側を向く後方側導出部1Cとを有している。なお、プロテクタ本体2の底壁部5と各側壁部6a,6b及び蓋3は、前方側導出部1A、S字屈曲部1B及び後方側導出部1Cを構成する部位である。
【0035】
図3及び図7(a)に示すように、S字屈曲部1Bにおける底壁部5は、図3中のX-Y平面に対して直交する方向から見て略S字状に屈曲する形状をなしている。S字屈曲部1Bにおける各側壁部6a,6bは、前記X-Y平面と直交する方向から見て、底壁部5の形状に倣ったS字状に屈曲している。なお、本実施形態のS字屈曲部1Bにおける底壁部5及び各側壁部6a,6bは、前記X-Y平面と直交するZ方向にも湾曲している(図4参照)。また、後方側導出部1Cには、蓋3から車両後方側に延出する当接壁3hが形成されている。当接壁3hは、後方側導出部1Cから導出されたワイヤハーネス10が当接可能に構成されている。また、当接壁3hは、一方の側壁部6aの車両後方側の端部と連なる位置であって、通路11の幅方向(側壁部6a,6bの対向方向)において他方の側壁部6bと対向しない位置に設けられている。
【0036】
S字屈曲部1Bにおける一方の側壁部6bには、プロテクタ1の内部側に突出する突出部18が一体形成されている。突出部18の側面18aは、ワイヤハーネス10の収容空間に面している。すなわち、突出部18の側面18aは、通路11を構成する壁部の内面に相当する。
【0037】
前方側導出部1Aにおいて、通路11を構成する各側壁部6a,6bの内側面は、互いに平行な平面状をなしている。以下の説明では、各側壁部6a,6bの対向方向(図3中のY方向と平行な方向)をプロテクタ1の幅方向Yとする。また、プロテクタ1の幅方向Yと直交する方向であって、前方側導出部1Aにおけるワイヤハーネス10の導出方向と平行な方向(図3中のX方向と平行な方向)をプロテクタ1の前後方向Xとする。プロテクタ1は、その幅方向Yが車両の幅方向(車幅方向)に対して平行となるようにステアリング装置100に組み付けられている。
【0038】
前方側導出部1Aにおけるワイヤハーネス10の導出方向と、後方側導出部1Cにおけるワイヤハーネス10の導出方向とは、互いに略平行をなしている。また、前方側導出部1Aと後方側導出部1Cとは、プロテクタ1の幅方向Yにおいて位置がずれるように構成されている。
【0039】
前方側導出部1Aと後方側導出部1Cとの間に設けられたS字屈曲部1Bは、プロテクタ1の幅方向Yに蛇行するS字状をなしている。そして、ワイヤハーネス10は、S字屈曲部1Bの形状に沿って通路11に通されている。すなわち、ワイヤハーネス10は、通路11のS字屈曲部1B内においてプロテクタ1の幅方向Y(本実施形態では車幅方向)に蛇行するように屈曲される。
【0040】
図7(c)に示すように、ワイヤハーネス10は、S字屈曲部1Bを通るS字に屈曲する部位において、2つの屈曲部10aと、その2つの屈曲部10aの間の中間部位10bを有している。通路11のS字屈曲部1Bは、ワイヤハーネス10の前記中間部位10bを収容する収容部31と、ワイヤハーネス10の前記2つの屈曲部10aをそれぞれ収容する2つの拡幅収容部32を備えている。各拡幅収容部32における通路幅(一対の側壁部6a,6bの間隔)は、収容部31における通路幅(一対の側壁部6a,6bの間隔)よりも幅広に設定されている。
【0041】
図4及び図5に示すように、前方側導出部1Aにおける底壁部5には、長孔7を有するクランプ取付部8が設けられている。長孔7は、前方側導出部1Aから車両前方側に導出されるワイヤハーネス10の導出方向に長い形状をなしている。長孔7には、ワイヤハーネス10に固定されたコルゲートクランプ12が、長孔7の形状に沿ってスライド可能(すなわち、前方側導出部1Aにおけるワイヤハーネス10の導出方向に沿ってスライド可能)に装着される。
【0042】
図2(a)に示すように、コルゲートクランプ12は、ワイヤハーネス10に外装されたコルゲートチューブ13の外周面に固定されている。図2(b)に示すように、コルゲートクランプ12に突設したクランプ部12aの両側の係止片12bを、クランプ取付部8の長孔7に通し、該長孔7の幅方向両側縁に前後方向に摺動自在に係止している。これにより、ワイヤハーネス10のコルゲートクランプ12との固定部位が、前方側導出部1Aにおけるワイヤハーネス10の導出方向に沿ってスライド可能に構成されている。
【0043】
図2(a)及び図4に示すように、プロテクタ1は、S字屈曲部1Bにおける底壁部5から側方に突設された第1ブラケット5bと、第1ブラケット5bに設けられた第1係止クランプ16とを備えている。また、プロテクタ1は、前方側導出部1Aにおける底壁部5から側方に突設された第2ブラケット5cと、第2ブラケット5cに設けられた第2係止クランプ17とを備えている。第1及び第2係止クランプ16,17は、ステアリングロックケース60に設けられた図示しない係止穴に挿入されて固定されている。
【0044】
次に、プロテクタ1に対するワイヤハーネス10の収容態様について説明する。
図6(a)及び図7(a)は、ステアリングホイール50がテレスコ可動域の中間位置にある状態を示す。図6(b)及び図7(b)は、ステアリングホイール50が車両後方側の可動限界位置(以下、後方限界位置と言う)にある状態を示す。図6(c)及び図7(c)は、ステアリングホイール50が車両前方側の可動限界位置(以下、前方限界位置と言う)にある状態を示す。
【0045】
図7(a)(b)(c)に示すように、プロテクタ1(通路11)のS字屈曲部1B内において、ステアリングホイール50の移動に伴いワイヤハーネス10のS字の曲がり姿勢が変化する。
【0046】
詳しくは、図7(c)に示すように、ステアリングホイール50が前方限界位置にあるとき、S字屈曲部1B内のワイヤハーネス10におけるS字の屈曲度合いが最大となる。このとき、ワイヤハーネス10は、S字屈曲部1Bにおける側壁部6aの内側面の接点Cと、S字屈曲部1Bにおける側壁部6bの内側面の接点Dとに接触する。
【0047】
接点Cは、側壁部6aの内側面に形成された湾曲面21上に設定されている。湾曲面21は、通路11の幅方向(側壁部6a,6bの対向方向)の外側、つまり、側壁部6bから離間する側に膨らむように湾曲している。また、接点Dは、側壁部6bの内側面に形成された湾曲面22上に設定されている。湾曲面22は、通路11の幅方向(側壁部6a,6bの対向方向)の外側、つまり、側壁部6aから離間する側に膨らむように湾曲している。そして、ステアリングホイール50が前方限界位置にあるとき、S字状に屈曲するワイヤハーネス10が、各湾曲面21,22に沿って屈曲した状態で該湾曲面21,22に当接する。
【0048】
また、このとき、ワイヤハーネス10に固定されたコルゲートクランプ12は、自身のスライド可動域における車両前方側の限界位置にある。つまり、このとき、コルゲートクランプ12は、長孔7の前方側端部7aに当接している。つまり、この長孔7の前方側端部7aは、ステアリングホイール50の前方限界位置(若しくは、その手前位置)でコルゲートクランプ12と当接して該コルゲートクランプ12の車両前方側への移動を規制する。
【0049】
また、このとき、ワイヤハーネス10の後方側導出部1Cからの導出部位は、通路11の幅方向(側壁部6a,6bの対向方向)の一方側(側壁部6a側)に変位し、側壁部6aの車両後方側の端部と連なる位置に設けられた当接壁3hと当接する。この当接壁3hによって、後方側導出部1Cからの導出部分におけるワイヤハーネス10の周辺部品への干渉が抑制されている。
【0050】
一方、図7(b)に示すように、ステアリングホイール50が後方限界位置にあるとき、S字屈曲部1B内のワイヤハーネス10におけるS字の屈曲度合いが最小となる。このとき、ワイヤハーネス10は、S字屈曲部1Bにおける側壁部6aの内側面の接点Bと、S字屈曲部1Bにおける側壁部6bの内側面、詳しくは、突出部18の側面18aの接点Aとに接触する。これにより、ステアリングホイール50が後方限界位置にある状態において、ワイヤハーネス10がS字屈曲部1B内で直線状に伸びきらず、ワイヤハーネス10がS字状に屈曲する状態が保持される。また、ステアリングホイール50の車両後方側への移動に伴い、コルゲートクランプ12は長孔7に沿って車両後方側にスライドする。
【0051】
なお、ステアリングホイール50を後方限界位置から車両前方側に移動させると、ワイヤハーネス10は、後方側導出部1Cから通路11内に押し込まれ、S字屈曲部1B内でのS字の屈曲度合いが大きくなる。また、このとき、コルゲートクランプ12は長孔7に沿って車両前方側にスライドする。
【0052】
図7(a)に示すように、ステアリングホイール50がテレスコ可動域の中間位置(前方限界位置と後方限界位置との間の位置)にあるとき、ワイヤハーネス10は前記接点A,B,C,Dに接触しないものの、S字屈曲部1B内におけるS字の屈曲姿勢は保持されるようになっている。
【0053】
なお、本実施形態において、ステアリングホイール50が後方限界位置から前方限界位置まで移動するときの、S字屈曲部1Bにおけるワイヤハーネス10の余長吸収量は、接点A-B間の距離L3と接点C-D間の距離L4の差で規定される。
【0054】
また、本実施形態において、S字屈曲部1B内でのワイヤハーネス10の屈曲変化量ΔRは、以下の式(1)~(3)で表される。なお、各側壁部6a,6bの内側面において、接点Aを含む湾曲面の曲率半径をRa、接点Bを含む湾曲面の曲率半径をRb、接点Cを含む湾曲面の曲率半径をRc、接点Dを含む湾曲面の曲率半径をRdとする。
【0055】
1/Ra-1/Rc=1/R1・・・(1)
1/Rb-1/Rd=1/R2・・・(2)
1/R1-1/R2=ΔR・・・(3)
そして、ワイヤハーネス10の屈曲変化量ΔRが、ワイヤハーネス径、ワイヤハーネス10を構成する電線の種類、使用条件等に基づいて評価される規定値以下となるように、前記各湾曲面の曲率半径Ra,Rb,Rc,Rdが設定されることが好ましい。
【0056】
次に、プロテクタ1へのワイヤハーネス10の組立手順を説明する。
ワイヤハーネス10の所定箇所にコルゲートチューブ13を外装し、コルゲートチューブ13の外周面にコルゲートクランプ12を取り付ける。
【0057】
次に、ワイヤハーネス10をプロテクタ本体2における通路11(各側壁部6a,6bの間)に挿入する。このとき、コルゲートクランプ12のクランプ部12aを前方側導出部1Aの長孔7に対して組み付ける。その後、蓋3をプロテクタ本体2に被せてロック結合する。
【0058】
次に、プロテクタ1の後方側導出部1Cから導出されたワイヤハーネス10の端部を、ステアリングホイール50内の図示しない電装部に接続する。その後、プロテクタ1の第1及び第2係止クランプ16,17をステアリングロックケース60に挿入係止する。
【0059】
本実施形態の効果について説明する。
(1)プロテクタ1は、ステアリング装置100に用いられるワイヤハーネス10が通される通路11を備え、通路11内でワイヤハーネス10をS字状に屈曲するように保持する。そして、プロテクタ1は、ステアリングホイール50が車両後方側の可動限界位置にある状態で、ワイヤハーネス10と接触して該ワイヤハーネス10のS字状に屈曲する状態を保持する保持面としての接点A,Bを、通路11を構成する側壁部6a,6bの内側面にそれぞれ備えている。
【0060】
上記態様によれば、ステアリングホイール50が車両後方側の可動限界位置にある状態、すなわち、ワイヤハーネス10が最も伸展される状態において、ワイヤハーネス10は通路11の内面に設定された接点A,Bと接触してS字の屈曲状態が保持される。つまり、ワイヤハーネス10が最も伸展される状態で直線状とならないように構成されるため、ステアリングホイール50の移動に伴うワイヤハーネス10の屈曲変化量を小さく抑えることができ、その結果、ワイヤハーネス10に掛かる負荷を低減することができる。
【0061】
また、ワイヤハーネス10をプロテクタ1内においてS字に屈曲させる構成のため、プロテクタ1内でワイヤハーネス10をループ状に周回させる構成に比べてワイヤハーネス10の屈曲度合いを小さく構成することが可能であり、この点においてもワイヤハーネス10に掛かる負荷の低減に寄与できる。
【0062】
また、保持面としての接点A,Bは、ワイヤハーネス10が通される通路11を構成する側壁部6a,6bの内面に設けられるため、ワイヤハーネス10の屈曲状態を保持するための別部品などを設けることなく、簡素な構成で保持面を構成することができる。
【0063】
また、保持面としての接点A,Bは、プロテクタ1の幅方向Yにおいてずれた位置に設定されており、ステアリングホイール50が最も引っ張られた状態(後方限界位置にある状態)においても緩やかな曲げ状態を保持できるようになっている。
【0064】
(2)通路11を構成する互いに対向配置された一対の側壁部6a,6bに接点A,Bがそれぞれ設けられる。このため、ワイヤハーネス10が最も伸展される状態においてワイヤハーネス10のS字状に屈曲する状態を保持できる。
【0065】
(3)通路11は、S字状に屈曲するS字屈曲部1Bを備え、S字屈曲部1Bを構成する側壁部6a,6bの内側面に接点A,Bが設けられる。このため、ワイヤハーネス10が最も伸展される状態においてワイヤハーネス10のS字状に屈曲する状態を保持できる。
【0066】
(4)S字屈曲部1Bは、ワイヤハーネス10のS字状に屈曲する部位における2つの屈曲部10aの間の中間部位10bを収容する収容部31と、収容部31よりも幅広をなし2つの屈曲部10aをそれぞれ収容する2つの拡幅収容部32とを備えている。この態様によれば、ワイヤハーネス10のS字状に屈曲する部位における屈曲量を確保でき、その結果、ステアリングホイール50の移動時におけるワイヤハーネス10の好適な余長吸収を実現できる。
【0067】
(5)前方側導出部1Aには、ワイヤハーネス10に固定され、ステアリングホイール50の車両前後方向への移動に追従して車両前後方向にスライド可能なコルゲートクランプ12(スライド部材)が設けられている。この態様によれば、ステアリングホイール50の車両前後方向への移動に伴うコルゲートクランプ12のスライド動作がワイヤハーネス10の安定した余長吸収に寄与し、その結果、ステアリングホイール50の移動に伴うワイヤハーネス10の動きをより好適に制御できる。また、ワイヤハーネス10をプロテクタ1の所定箇所に移動不能に固定する構成に比べ、ステアリングホイール50の移動時にワイヤハーネス10に掛かる負担を軽減できる。
【0068】
(6)前方側導出部1Aのクランプ取付部8は、コルゲートクランプ12と当接して該コルゲートクランプ12の車両前方側への移動を規制する規制部(長孔7の前方側端部7a)を備える。そして、ステアリングホイール50が車両前方側の可動限界位置にある状態で、長孔7の前方側端部7aがコルゲートクランプ12と当接するように構成されている。
【0069】
上記態様によれば、ステアリングホイール50が車両前方側の可動限界位置にある状態で、ワイヤハーネス10が前方側導出部1Aにおいて固定される。すなわち、ステアリングホイール50が車両前方側の可動限界位置にある状態におけるワイヤハーネス10の前方側導出部1Aからの導出量を規定できる。このため、ステアリングホイール50が車両前方側の可動限界位置にある状態において、ワイヤハーネス10をS字状の屈曲状態に好適に保持できる。また、プロテクタ1の外部におけるワイヤハーネス10の意図しない撓みの発生を抑制できる。
【0070】
(7)側壁部6aの内面には、通路11の幅方向外側(側壁部6bから離間する側)に凸状をなす湾曲面21が形成される。また、側壁部6bの内面には、通路11の幅方向外側(側壁部6aから離間する側)に凸状をなす湾曲面21が形成される。そして、ステアリングホイール50が車両前方側の可動限界位置にある状態、すなわち、ワイヤハーネス10の屈曲度合いが大きい状態において、S字状に屈曲するワイヤハーネス10が、各湾曲面21,22に沿って屈曲した状態で該湾曲面21,22に当接するように構成されている。これにより、ワイヤハーネス10の屈曲度合いが大きい状態におけるワイヤハーネス10と各側壁部6a,6bとの接触面積を稼ぐことができる。その結果、ワイヤハーネス10から各側壁部6a,6bに掛かる応力をより広く分散することができ、好適な構成となる。
【0071】
(8)通路11の長さ方向の一端部(後方側導出部1C)には、当該端部から導出されたワイヤハーネス10と当接可能な当接壁3hが設けられる。この態様によれば、後方側導出部1Cから導出されたワイヤハーネス10を当接壁3hと当接させることで、当該導出部分におけるワイヤハーネス10の動きを制限でき、ワイヤハーネス10の周辺部品への干渉を抑制できる。
【0072】
また、プロテクタ1内でワイヤハーネス10をS字状に屈曲させる構成では、後方側導出部1Cからのワイヤハーネス10の導出部分において、ワイヤハーネス10が通路11の幅方向の一方側(上記実施形態では側壁部6a側)のみに動きやすい。このため、後方側導出部1Cにおいて、各側壁部6a,6bに連なるように当接壁を設けるのではなく、側壁部6a側のみに当接壁3hを設けることで、プロテクタ1の大型化を抑制することが可能となる。
【0073】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、当接壁3hを蓋3に設けたが、特にこれに限定されるものではなく、当接壁3hをプロテクタ本体2側に設けてもよい。
【0074】
・上記実施形態では、側壁部6bからプロテクタ1の内部側に突出する突出部18の側面18a上に前記接点Aが設定されたが、これに特に限定されるものではない。例えば、上記実施形態の構成から突出部18を省略した構成とするとともに、プロテクタ1の外形を構成する側壁部6bを、上記実施形態の突出部18の側面18aの位置まで側壁部6a側に接近させた構成としてもよい。
【0075】
・上記実施形態のプロテクタ1は、コルゲートクランプ12が取り付けられるクランプ取付部8(長孔7)を前方側導出部1Aに備えるが、これに限らず、後方側導出部1Cにクランプ取付部8(長孔7)を備えてもよい。
【0076】
・ワイヤハーネス10に固定されるスライド部材として、コルゲートクランプ12の代わりに、バンドクランプや基板クランプなどを用いてもよい。
・プロテクタ1におけるS字屈曲部1Bの形状などの構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、ステアリング装置の構成などに応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…プロテクタ
2…プロテクタ本体
1A…前方側導出部
1B…S字屈曲部
1C…後方側導出部
3h…当接壁
6a,6b…側壁部
7…長孔
7a…長孔の前方側端部(規制部)
8…クランプ取付部
10…ワイヤハーネス
10a…屈曲部
10b…中間部位
11…通路
12…コルゲートクランプ(スライド部材)
21,22…湾曲面
31…収容部
32…拡幅収容部
50…ステアリングホイール
100…ステアリング装置
A…接点(保持面)
B…接点(保持面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7