(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/10 20060101AFI20221024BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20221024BHJP
H01L 25/04 20140101ALI20221024BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20221024BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
H01L25/10 Z
H01L25/04 Z
H01L23/12 Q
H05K3/46 N
H05K3/46 Q
(21)【出願番号】P 2019048036
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 航
(72)【発明者】
【氏名】仮屋崎 修一
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-507499(JP,A)
【文献】特開2018-093162(JP,A)
【文献】国際公開第2017/138121(WO,A1)
【文献】特開2006-019433(JP,A)
【文献】特開2015-195263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12-23/15
H01L 25/00-25/07
H01L 25/10-25/11
H01L 25/16-25/18
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面、および前記第1面の反対側に位置する第2面、を有し、第1半導体部品を封止する封止体と、
前記第1面上に形成された第1配線部と、
前記第2面上に形成された第2配線部と、
前記封止体を貫通し、前記第1配線部と前記第2配線部とを電気的に接続する複数の貫通導体と、
前記第1配線部上に搭載された第2半導体部品と、
を有し、
前記第1半導体部品は、前記第1配線部、および前記複数の貫通導体を介して前記第2配線部と電気的に接続され、
前記第2半導体部品は、前記第1配線部を介して前記第1半導体部品と電気的に接続され、
前記封止体の前記第1面は、
前記第1半導体部品が配置された第1領域と、
前記第1面の周縁部側に位置する第2領域と、
前記第2領域と前記第1領域の間にある第3領域と、
前記第2領域と前記第3領域の間にある第4領域と、
を有し、
前記第2領域に配置される前記複数の貫通導体の数は、前記第3領域に配置される前記複数の貫通導体の数、および前記第4領域に配置される前記複数の貫通導体の数、のそれぞれより多く、
前記第3領域に配置される前記複数の貫通導体の数は、前記第4領域に配置される前記複数の貫通導体の数より多
く、
前記複数の貫通導体は、
前記第1半導体部品と電気的に接続され、信号が伝送される複数の第1貫通導体と、
前記第1半導体部品と電気的に接続され、前記第1半導体部品の入出力回路に駆動電位を供給する複数の第2貫通導体と、
前記第2半導体部品と電気的に接続され、前記第2半導体部品に駆動電位を供給する複数の第3貫通導体と、
を含み、
前記複数の第1貫通導体は、前記第2領域に最も多く配置され、
前記複数の第2貫通導体は、前記第3領域に最も多く配置され、
前記第1配線部は、
前記第1半導体部品と前記第2半導体部品との間で信号を伝送する複数の第1信号伝送経路と、
前記第1半導体部品と前記複数の第1貫通導体との間で信号を伝送する複数の第2信号伝送経路と、
前記第2半導体部品が搭載される側から順に積層される、第1配線層、第2配線層、および第3配線層と、
を有し、
前記複数の第1信号伝送経路は、前記第1配線層、前記第2配線層、および前記第3配線層のそれぞれに形成され、
前記複数の第2信号伝送経路は、前記第3配線層に形成され、
前記複数の第2信号伝送経路は、前記第1配線層および前記第2配線層を経由せずに前記第1半導体部品と前記複数の第1貫通導体とを電気的に接続され、
前記第3配線層は、
前記複数の第1信号伝送経路に含まれる複数の第1配線と、
前記複数の第2信号伝送経路に含まれる複数の第2配線と、
を有し、
前記第2配線層は、基準電位が供給される第1導体パターンを有し、
前記第1導体パターンは、前記複数の第2配線のそれぞれと重なる、電子装置。
【請求項2】
第1面、および前記第1面の反対側に位置する第2面、を有し、第1半導体部品を封止する封止体と、
前記第1面上に形成された第1配線部と、
前記第2面上に形成された第2配線部と、
前記封止体を貫通し、前記第1配線部と前記第2配線部とを電気的に接続する複数の貫通導体と、
前記第1配線部上に搭載された第2半導体部品と、
を有し、
前記第1半導体部品は、前記第1配線部、および前記複数の貫通導体を介して前記第2配線部と電気的に接続され、
前記第2半導体部品は、前記第1配線部を介して前記第1半導体部品と電気的に接続され、
前記封止体の前記第1面は、
前記第1半導体部品が配置された第1領域と、
前記第1面の周縁部側に位置する第2領域と、
前記第2領域と前記第1領域の間にある第3領域と、
前記第2領域と前記第3領域の間にある第4領域と、
を有し、
前記第2領域に配置される前記複数の貫通導体の数は、前記第3領域に配置される前記複数の貫通導体の数、および前記第4領域に配置される前記複数の貫通導体の数、のそれぞれより多く、
前記第3領域に配置される前記複数の貫通導体の数は、前記第4領域に配置される前記複数の貫通導体の数より多く、
前記複数の貫通導体は、
前記第1半導体部品と電気的に接続され、信号が伝送される複数の第1貫通導体と、
前記第1半導体部品と電気的に接続され、前記第1半導体部品の入出力回路に駆動電位を供給する複数の第2貫通導体と、
前記第2半導体部品と電気的に接続され、前記第2半導体部品に駆動電位を供給する複数の第3貫通導体と、
を含み、
前記複数の第1貫通導体は、前記第2領域に最も多く配置され、
前記複数の第2貫通導体は、前記第3領域に最も多く配置され、
前記第1配線部は、
前記第1半導体部品と前記第2半導体部品との間で信号を伝送する複数の第1信号伝送経路と、
前記第1半導体部品と前記複数の第1貫通導体との間で信号を伝送する複数の第2信号伝送経路と、
前記第2半導体部品が搭載される側から順に積層される、第1配線層、第2配線層、および第3配線層と、
を有し、
前記複数の第1信号伝送経路は、前記第1配線層、前記第2配線層、および前記第3配線層のそれぞれに形成され、
前記複数の第2信号伝送経路は、前記第3配線層に形成され、
前記複数の貫通導体は、前記第1配線部の前記第1配線層に形成された第2導体パターンを介して前記第1半導体部品と電気的に接続され、前記第1半導体部品のコア回路に駆動電位を供給する複数の第4貫通導体を有し、
前記封止体の前記第1面は、第1辺、前記第1辺の反対側の第2辺、前記第1辺および前記第2辺と交差する第3辺、および前記第3辺の反対側の第4辺を有し、
前記複数の第4貫通導体の一部は、前記第1辺と前記第1領域の間に、互いに隣り合うように、前記第1辺側から前記第1領域に向かって配列される、電子装置。
【請求項3】
請求項
2において、
前記複数の第4貫通導体は、前記第1面の前記第2領域および前記第4領域に配置され、かつ、前記第3領域には配置されない、電子装置。
【請求項4】
請求項
3において、
前記複数の第4貫通導体は、前記第3辺と前記第1領域との間、および前記第4辺と前記第1領域との間、には配置されない、電子装置。
【請求項5】
請求項
2において、
前記複数の第4貫通導体の他の一部は、前記第2辺と前記第1領域の間に、互いに隣り合うように、前記第2辺側から前記第1領域に向かって配列される、電子装置。
【請求項6】
請求項
5において、
前記複数の第4貫通導体は、前記第1面の前記第2領域および前記第4領域に配置され、かつ、前記第3領域、前記第3辺と前記第1領域との間、および前記第4辺と前記第1領域との間、のそれぞれには配置されない、電子装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記第2半導体部品側から視た透視平面視において、前記複数の第
3貫通導体は前記第2半導体部品と重なる、電子装置。
【請求項8】
第1面、および前記第1面の反対側に位置する第2面、を有し、第1半導体部品を封止する封止体と、
前記第1面上に形成された第1配線部と、
前記第2面上に形成された第2配線部と、
前記封止体を貫通し、前記第1配線部と前記第2配線部とを電気的に接続する複数の貫通導体と、
前記第1配線部上に搭載された第2半導体部品と、
を有し、
前記第1半導体部品は、前記第1配線部、および前記複数の貫通導体を介して前記第2配線部と電気的に接続され、
前記第2半導体部品は、前記第1配線部を介して前記第1半導体部品と電気的に接続され、
前記封止体の前記第1面側から視た透視平面視において、前記第1面は、
前記第1半導体部品が配置された第1領域と、
前記第1面の周縁部側に位置する第2領域と、
前記第2領域と前記第1領域の間にある第3領域と、
前記第2領域と前記第3領域の間にある第4領域と、
を含み、
前記第2領域に配置される前記複数の貫通導体の配置密度は、前記第3領域および前記第4領域に配置される前記複数の貫通導体の配置密度より高く、
前記第4領域に配置される前記複数の貫通導体の配置密度は、前記第3領域に配置される前記複数の貫通導体の配置密度より低
く、
前記複数の貫通導体は、
前記第1半導体部品と電気的に接続され、信号が伝送される複数の第1貫通導体と、
前記第1半導体部品と電気的に接続され、前記第1半導体部品の入出力回路に駆動電位を供給する複数の第2貫通導体と、
前記第2半導体部品と電気的に接続され、前記第2半導体部品に駆動電位を供給する複数の第3貫通導体と、
を含み、
前記複数の第1貫通導体は、前記第2領域に最も多く配置され、
前記複数の第2貫通導体は、前記第3領域に最も多く配置され、
前記第1配線部は、
前記第1半導体部品と前記第2半導体部品との間で信号を伝送する複数の第1信号伝送経路と、
前記第1半導体部品と前記複数の第1貫通導体との間で信号を伝送する複数の第2信号伝送経路と、
前記第2半導体部品が搭載される側から順に積層される、第1配線層、第2配線層、および第3配線層と、
を有し、
前記複数の第1信号伝送経路は、前記第1配線層、前記第2配線層、および前記第3配線層のそれぞれに形成され、
前記複数の第2信号伝送経路は、前記第3配線層に形成され、
前記複数の貫通導体は、前記第1配線部の前記第1配線層に形成された第2導体パターンを介して前記第1半導体部品と電気的に接続され、前記第1半導体部品のコア回路に駆動電位を供給する複数の第4貫通導体を有し、
前記封止体の前記第1面は、第1辺、前記第1辺の反対側の第2辺、前記第1辺および前記第2辺と交差する第3辺、および前記第3辺の反対側の第4辺を有し、
前記複数の第4貫通導体の一部は、前記第1辺と前記第1領域の間に、互いに隣り合うように、前記第1辺側から前記第1領域に向かって配列される、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体部品を含む電子装置に関し、例えば、互いに電気的に接続された複数の半導体部品を含む電子装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2006-19433号公報)や特許文献2(特開2015-195263号公報)には、配線基板(配線体)の上面および下面にそれぞれ半導体チップ(半導体素子)が搭載された電子装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-19433号公報
【文献】特開2015-195263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、複数の半導体部品が配線部を介して互いに電気的に接続された電子装置の開発を行っている。この一環として、配線部の両面に半導体部品が搭載され、かつ複数の半導体部品が互いに電気的に接続された電子装置について検討を行った。上記電子装置は、複数の半導体部品を電気的に接続する信号伝送経路を短くできるので、半導体部品間の信号伝送品質を向上させることができる。ただし、本願発明者の検討によれば、例えば半導体部品への電力供給経路の伝送特性、あるいは、信号伝送経路の伝送特性など、電子装置の性能向上を図る上で、改善の余地があることが明らかとなった。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態による電子装置は、第1配線部の互いに反対側に搭載される第1および第2半導体部品と、上記第1半導体部品を封止する封止体と、上記第1半導体部品を介して上記第1配線部の反対側に位置する第2配線部と、を有する。上記封止体には、上記第1半導体部品または上記第2半導体部品と電気的に接続される複数の貫通導体が形成される。平面視において、上記封止体は、上記第1半導体部品が配置された第1領域と、上記封止体の第1面の周縁部側に位置する第2領域と、上記第2領域と上記第1領域の間にある第3領域と、上記第2領域と上記第3領域の間にある第4領域と、を有する。上記第2領域には最も多くの上記複数の貫通導体が配置される。上記第3領域には、上記第4領域より多くの上記複数の貫通導体が配置される。
【発明の効果】
【0007】
上記一実施の形態によれば、電子装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施の形態である電子装置の上面図である。
【
図4】
図2に示す電子装置の回路構成例を示す回路ブロック図である。
【
図5】
図2に示す封止体を上面側から視た平面図である。
【
図7】
図2に示す封止体上の配線部の最下層の配線レイアウトの一例を示す平面図である。
【
図8】
図2に示す封止体上の配線部の最上層と最下層との間の配線層のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図9】
図2に示す封止体上の配線部の最上層の配線層のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図10】
図1に対する変形例である電子装置の上面図である。
【
図11】
図10に示す電子装置の封止体を上面側から視た平面図である。
【
図12】
図11に示す封止体上の配線部の最下層の配線レイアウトの一例を示す平面図である。
【
図13】
図12に示す配線部の最上層と最下層との間の配線層のレイアウトの一例を示す平面図である。
【
図14】
図12に示す配線部の最上層の配線層のレイアウトの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0010】
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を含むものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金、あるいはその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金メッキ、Cu層、ニッケル・メッキ等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0011】
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。また、以下の説明において、ある値と他の値とが「同じ」、あるいは「同一」と記載する場合があるが、「同じ」または「同一」の意味は、厳密に全く同じである場合の他、実質的に同等と見做せる範囲内において誤差がある場合も含む。
【0012】
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0013】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチング、あるいはドットパターンを付すことがある。
【0014】
<電子装置>
まず、本実施の形態の電子装置ED1の概要構成について、
図1~
図4を用いて説明する。
図1は本実施の形態の電子装置の上面図である。
図1では、配線部WP1において、メモリ部品MP1およびMP2が搭載される上面WP1tと反対側の面に搭載されるロジックチップLC1の輪郭を点線で示している。
図2は、
図1のA-A線に沿った断面図である。
図3は、
図1に示す電子装置の下面図である。
図3は平面図であるが、複数の半田ボールSB1のそれぞれに模様を付している。半田ボールSB1に付された模様は、信号伝送用、電源電位供給用、基準電位供給用など、流れる電流の種類に応じて区別されている。
図3では、平面図の下方に半田ボールSB1の種類の凡例を示している。
図4は、
図2に示す電子装置の回路構成例を示す回路ブロック図である。
図4では、配線部WP1の範囲を明示するため、配線部WP1に対応する部分に模様を付している。
【0015】
図1および
図2に示すように、本実施の形態の電子装置ED1は、配線部WP1を介して互いに反対側に搭載されるロジックチップ(半導体チップ、半導体部品、半導体装置)LC1と、メモリ部品(半導体部品、メモリパッケージ、半導体装置)MP1およびMP2と、を有する。図示は省略するが、ロジックチップLC1は、半導体基板と、上記半導体基板に形成された複数の半導体素子と、上記半導体素子に接続される配線と、上記配線を介して上記半導体素子に接続される複数の端子(電極、電極パッド)PDL(
図2参照)とを有する。
図2に示す例では、ロジックチップLC1の複数の端子PDLは、ロジックチップLC1の上面(表面)に形成され、下面(裏面)には形成されていない。
【0016】
メモリ部品MP1およびMP2のそれぞれは、複数枚のメモリチップが積層され、パッケージ化された、メモリパッケージである。複数のメモリチップのそれぞれは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)と呼ばれる記憶回路を備える。上記記憶回路は、
図4に示すメモリ回路RAMに対応する。メモリ部品MP1およびMP2のそれぞれは、メモリ回路RAM(
図4参照)に電気的に接続される複数の端子(電極、電極パッド)PDMを有する。
図2に示す例では、複数のメモリ部品MPのそれぞれが有する複数の端子PDMは、メモリ部品MPの下面に形成され、上面には形成されていない。
【0017】
なお、ロジックチップLC1および複数のメモリ部品MPのそれぞれの構成は、上記一例以外に種々の変形例がある。例えば、
図2に示すロジックチップLC1の位置に、1枚あるいは複数枚の半導体チップがパッケージ化された半導体パッケージが搭載される場合がある。また例えば、メモリ部品MPの位置に一枚の半導体チップからなるメモリチップが搭載される場合がある。また、本実施の形態の例では、メモリ部品MPの数は、2個である。メモリ部品MPの数は例えば、1個、あるいは3個以上の場合がある。
【0018】
また、
図2に示すように、電子装置ED1は、封止体MRの上面MRt(
図2参照)上に形成された配線部WP1と、封止体MRの下面MRb上に形成された配線部WP2と、を有する。ロジックチップLC1は、配線部WP1の下面WP1b上に搭載されている。メモリ部品MP1およびMP2は、配線部WP1の上面WP1t上に搭載されている。また、電子装置ED1は、上面MRt、および上面MRtの反対側に位置する下面MRbを有し、ロジックチップLC1を封止する封止体MRと、封止体MRを貫通し、配線部WP1と配線部WP2とを電気的に接続する複数の貫通導体TVと、を有する。
【0019】
図1に示すように、平面視において、ロジックチップLC1は、配線部WP1の下面WP1b(
図2参照)上の中央領域に配置される。メモリ部品MP1およびメモリ部品MP2のそれぞれは、上面WP1t上に搭載され、かつ、ロジックチップLC1と重なる位置に配置される。メモリ部品MP1およびメモリ部品MP2は、互いに離間するように配置される。平面視において、メモリ部品MP1とメモリ部品MP2とに挟まれた領域の一部は、ロジックチップLC1と重なっている。詳細は後述するが、
図2に示す配線部WP1は、メモリ部品MP1とメモリ部品MP2とに挟まれた領域と重なる位置に、電源電位の供給経路に含まれる導体パターンPLVD21を備える。
【0020】
図2に示すように、メモリ部品MP1およびMP2のそれぞれは、複数の端子PDMが設けられた面が、配線部WP1の上面WP1tと対向した状態で配線部WP1の上面WP1t上に搭載される。複数の端子PDMのそれぞれは、例えば、半田バンプ(突起電極、接続端子)SB2を介して、配線部WP1の最上層の配線層に形成された導体パターンと電気的に接続されている。また、ロジックチップLC1は、複数の端子PDLが設けられた面が、配線部WP1の下面WP1bと対向した状態で配線部WP1の下面WP1b上に搭載される。複数の端子PDLのそれぞれは、例えば半田バンプ(突起電極、接続端子)SB3を介して配線部WP1の最下層の配線層に形成された導体パターンと電気的に接続されている。
【0021】
なお、本実施の形態において、半田バンプSB2およびSB3として説明している接続端子には、種々の変形例がある。半田バンプSB2およびSB3に代えて、例えば、柱状に形成した金属部材からなる、Cuピラーを用いる場合がある。また、半田バンプSB2は、メモリ部品MP1およびMP2の外部端子と見做すことができる。半田バンプSB3は、ロジックチップLC1の外部端子と見做すことができる。
【0022】
メモリ部品MP1およびMP2のそれぞれは、配線部WP1を介してロジックチップLC1と電気的に接続される。本実施の形態の場合、配線部WP1は、厚さ方向に積層された複数層の配線層を備える。
図2に示す例では、配線部WP1は、上面WP1t側から、配線層WL1、WL2、およびWL3の順で積層された三層の配線層を備える。ロジックチップLC1の電極パッドと、メモリ部品MP1およびMP2の端子とは、配線部WP1の複数層の配線層WL1、WL2、およびWL3を介して電気的に接続される。
【0023】
また、ロジックチップLC1は、配線部WP1および複数の貫通導体TVを介して配線部WP2と電気的に接続される。配線部WP2には、複数の半田ボール(外部端子、端子)SB1が接続される。複数の半田ボールSB1のそれぞれは、電子装置ED1の外部端子である。電子装置ED1を図示しない外部機器と電気的に接続する際には、外部端子である半田ボールSB1を介して、外部機器に伝送される信号の出力、外部機器から伝送される信号の入力、あるいは、電子装置ED1が備える各種回路に対する駆動電力の供給が行われる。
図3に示すように、複数の半田ボールSB1は、配線部WP2の下面WP2bに配列される。
図3に示す例では、複数の半田ボールSB1は、行列状に配列される。複数の半田ボールSB1の種類毎のレイアウトについては後述する。
【0024】
図4に示すように、複数のメモリ部品MPのそれぞれは、メモリ回路RAMと、メモリ回路RAMに対するデータ信号の入出力動作を行う、入出力回路IOMと、を備える。複数のメモリ部品MPのそれぞれと電気的に接続されるロジックチップLC1は、コア回路CRCと、コア回路CRCに対するデータ信号の入出力動作を行う、入出力回路IOLと、を備える。コア回路CRCは、例えば、メモリ部品MPのメモリ回路RAMの動作を制御する制御回路、あるいはデータ信号に対して演算処理を行う演算処理回路を含む。
【0025】
メモリ部品MP1およびMP2のそれぞれは、ロジックチップLC1との間で、信号(電気信号)SG1を伝送する複数の信号伝送経路SGP1を有する。複数の信号伝送経路SGP1には、例えば、データ信号を伝送するデータ信号伝送経路、動作タイミングを同期するためのクロック信号を伝送するクロック信号伝送経路、および入出力動作を制御する制御信号を伝送する制御信号伝送経路などが含まれる。信号伝送経路SGP1は、主に配線部WP1に形成され、一方の端部がロジックチップの端子PDLに接続され、他方の端部がメモリ部品MPの端子PDMに接続される。メモリ部品MPに接続される信号伝送経路の大部分は、ロジックチップLC1に接続される。
図4に示す例では、メモリ部品MPに接続される全ての信号伝送経路は、ロジックチップLC1に接続される。言い換えれば、
図4に示す例では、ロジックチップLC1を介さずに、メモリ部品MPと配線部WP2とを接続する信号伝送経路はない。ただし、
図4に対する変形例として、ロジックチップLC1を介さずに、メモリ部品MPと配線部WP2とを接続する信号伝送経路が存在してもよい。例えば、メモリ部品MPの動作確認試験を行う際に利用される信号伝送経路などがこれに該当する。この場合でも、メモリ部品MPに接続される信号伝送経路の殆どは、ロジックチップLC1に接続される。
【0026】
また、メモリ部品MP1およびMP2のそれぞれは、メモリ回路RAMを駆動するための電源電位VDMが供給される電源電位供給経路VDMP、および基準電位VSが供給される基準電位供給経路VSPを有する。
図4に示す例では、電源電位VDMと基準電位VSとの電位差が、メモリ回路RAMを駆動する駆動電圧に対応する。基準電位VSは、例えば、接地電位(GND電位)など、電源電位とは異なる値の電位である。なお、
図4では、一例として、メモリ部品MPに一種類の電源電位VDMが供給される例を示している。ただし、変形例として、メモリ部品MPに互いに電位の異なり、かつ、基準電位VSとも異なる複数種類の電源電位が供給されてもよい。
【0027】
電源電位供給経路VDMP、および基準電位供給経路VSPは、配線部WP1(および
図2に示す貫通導体TV)を介して配線部WP2に取り付けられた外部端子である半田ボールSB1に接続される。
【0028】
電源電位VDMが供給される電源電位供給経路VDMPは、メモリ部品MPを駆動する電力供給用の経路なので、ロジックチップLC1を経由しない。詳しくは、電源電位供給経路VDMPは、外部端子である半田ボールSB1が取り付けられた配線部WP2からロジックチップLC1を介さず、かつ、配線部WP1を経由してメモリ部品MP1およびMP2のそれぞれに接続されている。
【0029】
基準電位VSが供給される基準電位供給経路VSPは、ロジックチップLC1に基準電位を供給する経路と電気的に接続される。
図4に示す例では、配線部WP2に接続される基準電位供給経路VSPは、複数の経路に分岐され、分岐された経路の一部はロジックチップLC1に接続され、他部はメモリ部品MP1およびMP2のそれぞれに接続される。
【0030】
ロジックチップLC1は、入出力回路IOLを駆動するための電源電位VDL1を供給する電源電位供給経路VDL1Pと、コア回路CRCを駆動するための電源電位VDL2を供給する電源電位供給経路VDL2Pと、を有する。
図4に示す例では、電源電位VDL1と基準電位VSとの電位差が、入出力回路IOLを駆動する駆動電圧に対応する。また、電源電位VDL2と基準電位VSとの電位差が、コア回路CRCを駆動する駆動電圧に対応する。
図4では、一例として、コア回路CRCを駆動する電位として電源電位VDL2のみを例示的に示している。ただし、コア回路CRCには、上記した演算処理回路、あるいは制御回路など、種々の回路が含まれ、これらの複数の回路がそれぞれ異なる電圧で駆動される場合もある。この場合、コア回路CRCを駆動する電源電位として、互いに異なり、かつ、基準電位VSとも異なる複数種類の電源電位が供給されてもよい。
【0031】
ロジックチップLC1は、メモリ部品MP1またはMP2との間で、信号(電気信号)SG1を伝送する複数の信号伝送経路SGP1を有する。また、ロジックチップLC1は、図示しない外部機器との間で、信号(電気信号)SG2を伝送する複数の信号伝送経路SGP2を有する。信号伝送経路SGP2は、配線部WP1、
図3に示す複数の貫通導体TV、および配線部WP2に形成され、一方の端部がロジックチップの端子PDLに接続され、他方の端部が配線部WP2に接続された複数の半田ボールSB1のそれぞれに接続される。ロジックチップLC1は、メモリ部品MP1およびMP2に接続される複数の信号伝送経路SGP1と、メモリ部品MP1およびMP2を介さずに外部端子である複数の半田ボールSB1に接続される複数の信号伝送経路SGP2と、を備える。
【0032】
図示は省略するが、本実施の形態の電子装置ED1に対する比較例として、図示しない配線基板の同一面上に、ロジックチップLC1および複数のメモリ部品MPをそれぞれ搭載した電子装置がある。本実施の形態の電子装置ED1は、上記比較例の電子装置よりも、信号伝送特性、あるいは、放熱性の観点から、性能を向上させることができる。
【0033】
例えば、
図2に示すように、電子装置ED1は、配線部WP1の互いに反対側の面にロジックチップLC1およびメモリ部品MPが搭載される。また、
図1を用いて説明したように、透視平面視において、ロジックチップLC1とメモリ部品MPとが重なっている。この場合、ロジックチップLC1の複数の端子PDL(
図2参照)と、メモリ部品MPの複数の端子PDM(
図2参照)とを電気的に接続する複数の信号伝送経路SGP1(
図4参照)の経路距離を短縮することができる。
【0034】
例えば、電子装置ED1は、メモリ部品MPよりも駆動時の発熱量が多いロジックチップLC1が配線部WP1と配線部WP2との間に配置される。
図4に示す複数の信号伝送経路SGP1は、配線部WP1に形成されるので、配線部WP2は多層化する必要がない。
図2に示す例では、配線部WP2は、単層の配線層WL4から成る。この場合、配線部WP2の厚さを薄くできるので、ロジックチップLC1から外部への放熱経路の距離を短くできる。したがって、本実施の形態の電子装置ED1は、ロジックチップLC1が厚い配線基板上に搭載された上記比較例の電子装置に対して、放熱特性を向上させることができる。なお、配線基板上にロジックチップLC1が搭載されている場合でも、ロジックチップLC1上にファン、あるいはヒートシンクなどの放熱部品を配置することができれば、放熱性を向上させることができる。ただし、電子装置の用途によっては、配線基板上に放熱部品を配置することが困難である場合がある。例えば、監視カメラ装置のように、ケース内の容積が小さい電子装置の場合、放熱部品を配置するスペースを確保することが難しい。本実施の形態の構造は、上記のように放熱部品の配置スペースの確保が困難な場合に適用して特に有効である。
【0035】
<貫通導体のレイアウト>
電子装置ED1の場合、
図4に示すように、信号伝送経路SGP1、SGP2、電源電位供給経路VDMP、VDL1P、VDL2P、および基準電位供給経路VSPのそれぞれが配線部WP1に形成される。したがって、電子装置ED1の小型化の観点から、多数の配線を効率的に配置することが好ましい。また、電子装置ED1が有する各種回路を安定的に動作させる観点から、各種回路を駆動する駆動電圧の供給経路の伝送ロスを低減することが好ましい。
【0036】
図5は、
図2に示す封止体を上面側から視た平面図である。
図6は、
図5のA部の拡大平面図である。
図5および
図6は平面図であるが、領域R1、R2、R3およびR4の範囲を明示するため、領域R2、R3、およびR4のそれぞれに互いに異なるハッチングを付している。
図5および
図6では、複数の貫通導体TVに流れる電流の種類を識別し易くするため、貫通導体TVのそれぞれに模様を付している。貫通導体TVに付された模様の区別は、
図3に示す半田ボールSB1の種類の凡例と同様である。
【0037】
図5に示すように、封止体MRの上面MRt側から視た透視平面視において、上面MRtは、ロジックチップLC1が配置された領域R1と、上面MRtの周縁部側に位置する領域R2と、領域R2と領域R1の間にある領域R3と、領域R2と領域R3の間にある領域R4と、を含む。
【0038】
領域R2、R3、およびR4には、それぞれ、複数の貫通導体TV(
図2参照)が配置される。領域R1には、ロジックチップLC1が配置されるので、貫通導体TVが配置されない。領域R2、R3、およびR4では、貫通導体TVの配置密度がそれぞれ異なる。詳しくは、
図6に示すように、領域R2に配置される複数の貫通導体TVの数は、領域R3に配置される複数の貫通導体TVの数、および領域R4に配置される複数の貫通導体TVの数、のそれぞれより多い。また、領域R3に配置される複数の貫通導体TVの数は、領域R4に配置される前記複数の貫通導体の数より多い。上記した各領域に配置された貫通導体TVの数は、以下のように表現することができる。すなわち、領域R2に配置される複数の貫通導体TVの配置密度は、領域R3および領域R4に配置される複数の貫通導体TVの配置密度より高い。また、領域R4に配置される複数の貫通導体TVの配置密度は、領域R3に配置される複数の貫通導体TVの配置密度より低い。
【0039】
本実施の形態の場合、
図2に示すように、ロジックチップLC1、メモリ部品MP1およびMP2のそれぞれの外部インタフェースは、配線部WP2に取り付けられる複数の半田ボールSB1である。ロジックチップLC1、メモリ部品MP1およびMP2のそれぞれと、半田ボールSB1と、を互いに電気的に接続する経路は、配線部WP1および貫通導体TVを経由しなければならない。したがって、配線部WP1は、ロジックチップLC1、メモリ部品MP1およびMP2のそれぞれと、半田ボールSB1と、を電気的に接続する多数の配線を備えている。上記多数の配線には、例えば後述する
図7に示す配線WSG2およびWV1が含まれる。
【0040】
多機能化に伴って、外部端子の数が増加傾向にある電子装置ED1の実装面積を低減するためには、
図3に示すように、配線部WP2の中央部および周縁部に、行列状に半田ボールSB1を配列することが好ましい。また、
図3を見て明らかなように、配線部WP2の周縁部に近い程、半田ボールSB1を配置可能なスペースが大きい。この結果、電子装置ED1の小型化を図る場合、配線部WP2の周縁部側に配置される半田ボールSB1の数は、配線部WP2の中央部側に配置される半田ボールSB1の数よりも多い。
【0041】
また、配線部WP1の配線層数を低減するためには、配線の配置密度を高くして、ロジックチップLC1から引き出される配線を単一の配線層で引き回すことが好ましい。
図2に示す配線層WL3において、複数の配線の配置密度は、
図5に示す領域R2と重なる領域が最も低い。一方、領域R3および領域R4と重なる領域では、配線の配置密度が高いため、多数の貫通導体TVを配置することはできない。このため、
図6に示すように、領域R2に配置される複数の貫通導体TVの数は、領域R3および領域R4に配置される複数の貫通導体TVの数より多い。この結果、領域R2に配置される複数の貫通導体TVの配置密度は、領域R3および領域R4に配置される複数の貫通導体TVの配置密度より高い。言い換えれば、貫通導体TVは、配線の配置スペースを阻害する。このため
図5に示すように、複数の貫通導体TVの多くは、平面視において、上面MRtの外周側に寄せて配置される。
【0042】
また、
図2に示す配線層WL3で引き回される多数の配線の前提として、多数の配線経路のそれぞれの特性インピーダンスが、設計上許容されるマージンを満足している必要がある。特性インピーダンスを、例えば50Ωに設定した場合、複数の配線のそれぞれは、ある程度の配線幅を備えている必要がある。後述するように、本実施の形態の場合、
図5に示す領域R3にロジックチップLC1の入出力回路IOL(
図4参照)に駆動電位を供給する複数の貫通導体TV2が配置される。上記したように配線層WL3(
図2参照)において、領域R3と重なる領域は、配線の配置密度が高い領域である。配線の配置密度が高い領域に、複数の貫通導体TV2を配置する場合、貫通導体TV2の配置スペースを確保するため、配線幅を狭くする必要がある。配線経路の特性インピーダンスを考慮すると、配線幅が狭い部分は短い方が良い。したがって、本実施の形態では、領域R3では、配線層WL3での配線経路に沿うように複数の貫通導体TV2の離間距離を近づけて配置している。この結果、領域R3に配置される複数の貫通導体TVの配置密度は、領域R4に配置される複数の貫通導体TVの配置密度より高い。
【0043】
また、領域R2に多数の貫通導体TVが配置される場合、ロジックチップLC1が配置される領域R1と、領域R2に配置される複数の貫通導体TVとを電気的に接続する多数の配線が、配線部WP1(
図2参照)に設けられる。後述する
図7に示す配線WSG2が上記多数の配線に対応する。本実施の形態の場合、領域R3における貫通導体TVの配置密度が低いので、配線部WP1(
図2参照)が領域R3と重なる位置において、多数の配線を配置するスペースを確保することができる。
【0044】
なお、複数の貫通導体TVのそれぞれは、各領域において必ずしも等間隔で配列されているとは限らない。本実施の形態の場合、多数の配線を配置するスペースが確保できればよい。多数の配線を配置するスペースが確保できる範囲内であれば、例えば、領域R4において、複数の貫通導体TVのうちの2個が、特異的に狭いピッチで配置されている場合もある。したがって、上記した貫通導体TVの配置密度とは、各領域の総面積を分母とし、各領域に配置される貫通導体TVの数を分子として算出される。
【0045】
ただし、簡易的には、以下のように算出することができる。例えば、各領域において、互いに隣り合う4個の貫通導体TVを任意に抽出し、この4個の貫通導体TVが配置される領域の面積を分母とし、4を分子として算出する。上記の算出方法により貫通導体TVの配置密度を定義した場合、領域R4における貫通導体TVの配置密度を低くすることにより、
図2に示す配線部WP1のうち、領域R4と重なる位置に多数の配線を配置できる。
【0046】
また、簡易的に算出する別の方法として、以下の方法を用いることができる。すなわち、
図3に示す複数の半田ボールSB1のうち、互いに隣り合う4個(2行×2列)の半田ボールSB1を選択する。選択された4個の半田ボールSB1が配置される領域の面積を分母とし、この領域と重なる位置に配置される貫通導体TVの数を分子とする。上記の算出方法により貫通導体TVの配置密度を定義した場合、領域R4における貫通導体TVの配置密度を低くすることにより、
図2に示す配線部WP1のうち、領域R4と重なる位置に多数の配線を配置できる。
【0047】
本実施の形態の場合、複数の貫通導体TVは、ロジックチップLC1と電気的に接続され、信号が伝送される複数の貫通導体TV1を含む。また、複数の貫通導体TVは、ロジックチップLC1と電気的に接続され、ロジックチップLC1の入出力回路IOLに駆動電位を供給する複数の貫通導体TV2を含む。また、複数の貫通導体TVは、メモリ部品MP(
図4参照)と電気的に接続され、メモリ部品MPに駆動電位を供給する複数の貫通導体TV3を含む。また、複数の貫通導体TVは、ロジックチップLC1およびメモリ部品MPと電気的に接続され、ロジックチップLC1およびメモリ部品MPのそれぞれに基準電位を供給する複数の貫通導体TVSを含む。複数の貫通導体TV1は、領域R2に最も多く配置される。複数の貫通導体TV2は、領域R3に最も多く配置される。複数の貫通導体TV3は、領域R4に最も多く配置される。
【0048】
図3に示す複数の半田ボールSB1は、信号伝送経路SGP2に含まれる複数の半田ボールSB1sg、基準電位供給経路VSPに含まれる半田ボールSB1vs、電源電位供給経路VDL1Pに含まれる半田ボールSB1v1、電源電位供給経路VDL2Pに含まれる半田ボールSB1v2、および電源電位供給経路VDMPに含まれる半田ボールSB1vmを有する。図示は省略するが、配線部WP2は、単層の配線層を有する配線部材である。複数の半田ボールSB1のそれぞれは、配線部WP2の配線層WL4(
図2参照)に形成された導体パターンを介して、複数の貫通導体TV(
図2参照)と電気的に接続されている。
【0049】
図3に示す複数の半田ボールSB1のうち、半田ボールSB1sgの数は、他の種類の電流が流れる半田ボールSB1よりも多い。このため、配線部WP2の下面WP2bにおいて、複数の半田ボールSB1sgは、下面WP2bの周辺領域に最も多く配置される。
図3に示す例において、半田ボールSB1の配列を、最外周から順に、第1列、第2列、第3列・・・と定義すれば、半田ボールSB1の配列のうち、第1列から第5列までの間に半田ボールSB1sgの全部が配置されている。ただし、
図3に示す例では、第1列から第5列までの間には、半田ボールSB1sgの他、半田ボールSB1vs、SB1vm、およびSV1v2のそれぞれが配置される。複数の半田ボールSB1sgが、配線部WP2の下面WP2bの周辺領域に集約して配置されている場合、図示しない実装基板において、信号伝送経路の配線レイアウトを単純化し易いというメリットがある。
【0050】
また、下面WP2bの中央領域には、基準電位供給経路VSPに含まれる半田ボールSB1vsが配列される。また、半田ボールSB1vsは、中央領域の他、電源電位供給経路と信号伝送経路との間に配置される。電源電位供給経路VDL1Pに含まる複数の半田ボールSB1v1は、複数の半田ボールSB1vsが配置される中央領域と、複数の半田ボールSB1sgが配置される周辺領域との間に配置される。また、電源電位供給経路VDMPに含まる複数の半田ボールSB1vmは、X方向において、複数の半田ボールSB1v1が配置される領域と、複数の半田ボールSB1sgが配置される周辺領域との間に配置される。また、複数の半田ボールSB1vmは、X方向に直行するY方向において、複数の半田ボールSB1vsが配置される中央領域と、複数の半田ボールSB1sgが配置される周辺領域との間に配置される。また、電源電位供給経路VDL2Pに含まる複数の半田ボールSB1v2は、Y方向において、複数の半田ボールSB1vmが配置される中央領域と、複数の半田ボールSB1sgが配置される周辺領域との間に配置される。複数の半田ボールSB1v2は、Y方向に延びるように配列される。
【0051】
電子装置ED1のように、複数の半田ボールSB1sgが、配線部WP2の下面WP2bの周辺領域に集約して配置される場合、
図6に示すように、複数の貫通導体TV1が領域R2に最も多く配置されていれば、配線部WP2(
図2参照)において、貫通導体TV1と半田ボールSB1sg(
図3参照)とを電気的に接続する配線の長さを短くできる。また、貫通導体TV1と半田ボールSB1sgとを電気的に接続する配線の長さを短くすることにより、配線レイアウトを単純化できる。この結果、配線部WP2の配線層数の増大を抑制できる。
【0052】
なお、
図6に示す貫通導体TVSは、基準電位を供給する基準電位供給経路VSPに含まれる。基準電位は、各種回路を駆動する電圧の基準電位として用いられる他、信号伝送経路の電磁的なシールド、あるいは信号伝送経路のリファレンス経路として利用される場合がある。
図5に示す例では、貫通導体TVSは、領域R2、R3、およびR4のそれぞれに配置される。
【0053】
図6に示すように、領域R2に配置される貫通導体TVの数は、領域R3に配置される貫通導体TVの数、および領域R4に配置される貫通導体TVの数より多い。この場合、配線部WP1(
図2参照)では、領域R3と重なる位置および領域R4と重なる位置に、多数の配線を配置する必要がある。ロジックチップLC1に接続される配線の数は、ロジックチップLC1に近い程多くなる。したがって、単に配線を配置するスペースのみを考慮すれば、領域R4に配置される貫通導体TVの数が、領域R3に配置される貫通導体TVの数より多い方が好ましい。
【0054】
しかし、本実施の形態の場合、領域R3に配置される貫通導体TVの本数が、領域R4に配置される貫通導体TVの数より多い。ロジックチップLC1の入出力回路IOL(
図4参照)に接続される電源電位供給経路VDL2Pに含まれる複数の貫通導体TV2は、領域R3に最も多く配置される。領域R3は、領域R2、R3、およびR4のうち、最も領域R1に近い領域である。また、領域R3は、領域R1と隣り合う領域である。入出力回路IOLの動作を安定化させるためには、入出力回路IOLを駆動する電力を供給する経路である電源電位供給経路VDL2Pにおける抵抗、あるいはインダクタンスなどのインピーダンスを低減することが好ましい。複数の貫通導体TV2が領域R3に配置されることにより、電源電位供給経路VDL2Pの経路距離を短くできる。すなわち、本実施の形態によれば、電源電位供給経路VDL2Pのインピーダンスを低減することにより、入出力回路IOLの動作を安定化させることができる。
【0055】
<配線レイアウト>
図7は、
図2に示す封止体上の配線部の最下層の配線レイアウトの一例を示す平面図である。
図8は、
図2に示す封止体上の配線部の最上層と最下層との間の配線層のレイアウトの一例を示す平面図である。
図9は、
図2に示す封止体上の配線部の最上層の配線層のレイアウトの一例を示す平面図である。
図7~
図9では、各配線層に形成される多数の配線の一部を例示している。
図7~
図9では、複数の導体パターンに流れる電流の種類を識別し易くするため、
図5および
図6と同様のルールで、導体パターンに模様を付している。
図9において、白抜きで示している導体パターンは、
図4に示す信号伝送経路SGP1に含まれ、半田バンプSB2を介してメモリ部品MPの端子PDMおよびに接続されるパッドである。
【0056】
また、
図7では、配線に流れる電流の種類を識別し易くするため、配線の線種を区別している。詳しくは、メモリ部品MP(
図4参照)に接続される信号伝送経路SGP1に含まれる複数の配線WSG1は一点鎖線で示される。メモリ部品MPを経由せずにロジックチップLC1(
図4参照)と半田ボールSB1(
図4参照)とに接続される信号伝送経路SGP2は、実線で示される。また、ロジックチップLC1の入出力回路IOL(
図4参照)に接続される電源電位供給経路VDL1Pに含まれる配線WV1は、点線で示される。
【0057】
図9では、メモリ部品MP(
図4参照)に電源電位を供給する電源電位供給経路VDMPに含まれる配線WVMを実線で示している。また、
図9では、信号伝送経路SGP1に含まれる配線WSG1を実線で示している。また、
図7~
図9では、
図5を用いて説明した領域R1~R4のそれぞれの境界を二点鎖線で示している。
【0058】
図5に示すように、封止体MRの上面MRtは、辺MRs1、辺MRs1の反対側の辺MRs2、辺MRs1および辺MRs2と交差する辺MRs3、および辺MRs3の反対側の辺MRs4を有する。辺MRs1および辺MRs2はX方向に延びる。辺MRs3および辺MRs4はX方向と交差(
図5では直交)するY方向に延びる。
【0059】
また、
図7~
図9に示すように、配線部WP1の上面MRtは、辺MRs1、辺MRs1の反対側の辺MRs2、辺MRs1および辺MRs2と交差する辺MRs3、および辺MRs3の反対側の辺MRs4を有する。辺MRs1および辺MRs2はX方向に延びる。辺MRs3および辺MRs4はX方向と交差(
図5では直交)するY方向に延びる。
図5に示す上面MRtの辺MRs1は、
図7~
図9の辺WPs1と重なる。
図5の辺MRs2は、
図7~
図9の辺WPs2と重なる。
図5の辺MRs3は、
図7~
図9の辺WPs3と重なる。
図5の辺MRs4は、
図7~
図9の辺WPs4と重なる。
【0060】
本セクションでは、最初に、
図4に示す信号伝送経路SGP1およびSGP2のレイアウトについて説明する。
図7に示すように、配線部WP1の配線層WL3は、複数の信号伝送経路SGP1に含まれる複数の配線WSG1と、複数の信号伝送経路SGP2に含まれる複数の配線WSG2と、を有する。複数の配線WSG2のそれぞれは、一方の端部が領域R1内の導体パターンに接続され、他方の端部が領域R2の導体パターンに接続される。領域R1内にある複数の導体パターンのそれぞれは、
図2に示す半田バンプSB3上に配置される。領域R2内にある複数の導体パターンのそれぞれは、
図5に示す複数の貫通導体TVと接続されている。領域R2内にある複数の導体パターンのうち、配線WSG2の端部が接続される導体パターンは、
図5に示す貫通導体TV1と電気的に接続される。言い換えれば、本実施の形態の場合、
図2に示すロジックチップLC1の端子PDLと貫通導体TVとを電気的に接続する配線WSG2は、配線層WL3のみで引き回される。配線WSG2は、
図9に示す配線層WL1および
図8に示すWL2には形成されていない。
【0061】
複数の配線WSG2のそれぞれが、配線層WL3のみで引き回される場合、以下の効果が得られる。
図7に示すように、配線層WL3には、信号伝送経路SGP1に含まれる複数の配線WSG1が形成される。配線層WL3では、複数の配線WSG1と複数の配線WSG2とは互いに交差しない。また、
図8に示すように、配線部WP1の配線層WL2は、基準電位VS(
図4参照)が供給される導体パターンPLVS2を有する。導体パターンPLVS2は、大面積の導体パターンである。導体パターンPLVS2は、配線部WP1が備える導体パターンのうち、最も大きい面積を持つ。大面積の導体パターンPLVS2は、
図7に示す複数の信号伝送経路SGP2のそれぞれのノイズ影響を低減させるシールド層として機能する。
図8に示す導体パターンのPLVS2は、
図7に示す複数の配線WSG2のそれぞれと重なる。この場合、複数の信号伝送経路SGP2の影響が
図9に示す配線層WL1におよぶことを抑制できる。この結果、配線層WL1におけるレイアウトの自由度を向上させることができる。例えば、配線層WL1に形成された信号伝送経路SGP1と配線層WL3に形成された信号伝送経路SGP2とが互いに重なっていたとしても、配線層WL2の導体パターンPLVS2の電磁シールド効果により、信号伝送経路間の相互のノイズ影響を低減できる。
【0062】
なお、
図7では、見易さのため図示を省略したが、配線層WL3において、信号伝送経路または電源電位伝送経路に含まれる導体パターンがない部分には、基準電位が供給される導体パターンが配置される。また、
図9に示すように、配線部WP1の配線層WL1は、基準電位VS(
図4参照)が供給される導体パターンPLVS1を有する。導体パターンPLVS1は、大面積の導体パターンである。導体パターンPLVS1は、配線部WP1が備える導体パターンのうち、
図8に示す導体パターンPLVS2の次に大きい面積を持つ。
【0063】
図7に示すように、複数の配線WSG1のそれぞれは、一方の端部が領域R1内の導体パターンに接続され、他方の端部が領域R3またはR4に配置される導体パターンに接続される。領域R3またはR4に配置される導体パターンのうち、配線WSG1に接続される導体パターンは、配線層WL1、WL2およびWL3を互いに接続するビア配線(層間導電路)を介して
図9に示す配線層WL1の配線WSG1に接続される。
【0064】
また、配線層WL3に複数の配線WSG1が設けられることは、以下の点で好ましい。
図9に示すように、配線層WL1の中央には、Y方向に沿って延びる幅広の導体パターンPLVD21が配置される。導体パターンPLVD21を設ける理由は後述するが、導体パターンPLVD21は、
図7に示す領域R1において、複数の配線WSG1の端部が接続される導体パターンと重なる。配線層WL3に設けられた複数の配線WSG1は、
図9に示す導体パターンPLVD21と重なる領域から、重ならない領域に向かって延びる。
図7に示す複数の配線WSG1が設けられていない場合、
図9に示すように導体パターンPLVD21が領域R1を跨ぐように延びると、導体パターンPLVD21と信号伝送経路SGP1とが重なる。本実施の形態のように、配線層WL3に設けられた複数の配線WSG1は、
図9に示す導体パターンPLVD21と重なる領域から、重ならない領域に向かって延びるので、導体パターンPLVD21をY方向に沿って、領域R1を跨ぐように延在させることができる。
【0065】
また、配線層WL3に形成された複数の配線WSG1のそれぞれは、
図8に示す配線層WL2の導体パターンPLVS2と重なる。このため、配線層WL3における信号伝送経路SGP1が、配線層WL1に配置された導体パターンPLVD21によるノイズ影響を受けることを抑制できる。
【0066】
次に、
図4に示すロジックチップLC1のコア回路CRCに電源電位を供給する電源電位供給経路VDL2Pについて説明する。コア回路CRCの場合、入出力回路IOLと比較して、瞬間的な電力需要の変化が大きい傾向がある。このように、瞬間的な電力需要の変化に対応して、必要な電力を安定的に供給するためには、電力消費回路の近傍に大面積の導体パターンが設けられていることが好ましい。
【0067】
本実施の形態の場合、
図5に示すように、複数の貫通導体TVは、配線部WP1(
図9参照)の配線層WL1(
図9参照)に形成された導体パターンPLVD21を介してロジックチップLC1と電気的に接続される複数の貫通導体TV4を有する。貫通導体TV4は、
図4に示すロジックチップLC1のコア回路CRCに駆動電位を供給する。複数の貫通導体TV4の一部は、封止体MRの上面MRtの辺MRs1と領域R1の間に、互いに隣り合うように、辺MRs1側から領域R1に向かって配列される。また、複数の貫通導体TV4の他の一部は、封止体MRの上面MRtの辺MRs1と領域R1の間に、互いに隣り合うように、辺MRs1側から領域R1に向かって配列される。
【0068】
複数の貫通導体TV4のそれぞれは、
図9に示す配線層WL1に形成された導体パターンPLVD21と重なる位置に配置される。このため、
図3に示す複数の半田ボールSB1v2と、
図9に示す導体パターンPLVD21とを接続する電源電位供給経路VDL2Pの経路距離を短くすることができる。
【0069】
また、
図9に示す導体パターンPLVD21は、配線部WP1の辺WPs1から辺WPs2に向かってY方向に沿って延びる。導体パターンPLVD21は、領域R1、R2、R3およびR4の全てと重なっている。このように領域R1上に大面積の導体パターンPLVD21が設けられている場合、
図4に示すロジックチップLC1のコア回路CRCの電力需要の急激な変化に対応して、必要な電力を供給できる。
【0070】
また、導体パターンPLVD21は、
図2に示すように、メモリ部品MP1とメモリ部品MP2とに挟まれた領域と重なる位置に、配置される。この場合、
図4に示す信号伝送経路SGP1、あるいは電源電位供給経路VDMPと、電源電位供給経路VDL2Pとの相互の干渉を抑制できる。
【0071】
図5に示す例では、複数の貫通導体TV4は、上面MRtの領域R2および領域R4に配置され、かつ、領域R3には配置されない。このように、貫通導体TV4は、封止体MRの外周側に集約されているので、
図7に示す配線層WL3における複数の配線WSG1およびWSG2のレイアウトを阻害しない。
【0072】
また、
図5に示す例では、複数の貫通導体TV4は、辺MRs3と領域R1との間、および辺MRs4と領域R1との間、には配置されない。この場合、
図7に示す配線部WP1の配線層WL3において、辺WPs3と領域R1との間、および辺WPs4と領域R1との間の領域を、多数の配線を引き回すためのスペースとして活用できる。
【0073】
また、
図7に示す配線層WL3において、
図9に示す導体パターンPLVD21と重なる位置には、導体パターンPLVD23が配置される。導体パターンPLVD23は、導体パターンPLVD21よりは小さいが、大面積の導体パターンである。
図2に示すロジックチップLC1が備える複数の端子PDLが、複数の半田バンプSB3を介して1枚の導体パターンPLVD23に接続される。このように、電源電位供給経路VDL2Pに大面積の導体パターンPLVD21およびPLVD23を設けることにより、電力需要の急激な変化に対応し易くなる。
【0074】
次に、
図4に示すメモリ部品MPの駆動電位を供給する電源電位供給経路VDMPについて説明する。
図5に示すように、電源電位供給経路VDMPに含まれる貫通導体TV3は領域R4に最も多く配置される。ただし、上面MRtの辺MRs1と領域R1との間に配置される貫通導体TV3は、領域R3に配置される。この場合、
図7に示す辺WPs1と領域R1との間の領域R4と重なる領域を、複数の配線WSG1の引き回しスペースとして活用できる。
【0075】
また、
図5に示すように、メモリ部品MP側から視た透視平面視において、複数の貫通導体TV3のそれぞれは、メモリ部品MP1またはMP2と重なる。この場合、電源電位供給経路VDMPの経路距離を短くすることができる。後述する
図14の例と比較すると明らかなように、
図9に示す配線WVMの長さは、
図14に示す配線WVMより短い。すなわち、本実施の形態によれば、電源電位供給経路VDMPのインピーダンスを低減することにより、メモリ回路RAM(
図4参照)の動作を安定化させることができる。なお、本実施の形態の例では、全ての貫通導体TV3がメモリ部品MP1またはMP2と重なる。ただし、変形例としては、複数の貫通導体TV3のうちの一部が、メモリ部品MP1およびMP2と重ならない場合もある。
【0076】
上述の通り、
図1~
図9を用いて説明した電子装置ED1は、
図5に示す複数の貫通導体TVのレイアウトを工夫することにより、電子装置ED1の性能を向上させることができる。電子装置ED1により向上される電子装置ED1の性能には、例えば、
図4に示す信号伝送経路SGP1,SGP2,電源電位供給経路VDL1P,VDL2P,およびVDMのうち、いずれか一つ以上の伝送特性が含まれる。
【0077】
次に、
図10~
図14を用いて
図1~
図9を用いて説明した電子装置ED1に対する変形例について説明する。
図10は、
図1に対する変形例である電子装置の上面図である。
図11は、
図10に示す電子装置の封止体を上面側から視た平面図である。
図12は、
図11に示す封止体上の配線部の最下層の配線レイアウトの一例を示す平面図である。
図13は、
図12に示す配線部の最上層と最下層との間の配線層のレイアウトの一例を示す平面図である。
図14は、
図12に示す配線部の最上層の配線層のレイアウトの一例を示す平面図である。
図11に示す封止体MRの上面MRtは、
図5に示す封止体MRの上面MRtに対応する。
図12~
図14のそれぞれは、
図7~
図9に示す配線層に対応する。
図11~
図14は、平面図であるが、
図5および
図7~
図9と同様のルールで導体パターンに模様を付している。
【0078】
図10に示す電子装置ED2は、配線部WP1の上面WP1t上に1個のメモリ部品MPが搭載されている点で、
図1に示す電子装置ED1と相違する。電子装置ED2の場合、
図1に示す電子装置ED1と比較すると、メモリ部品MPの数が減少したことに伴って配線部WP1に形成される配線の数が少ない。ただし、配線部WP1が有する配線の数が少ない場合、配線部WP1の平面積(例えば、上面WP1tの面積)を小さくする。したがって、
図5を用いて説明した複数の貫通導体TVのレイアウトは、電子装置ED2の場合も同様である。すなわち、
図11に示すように、領域R2に配置される複数の貫通導体TVの数は、領域R3に配置される複数の貫通導体TVの数、および領域R4に配置される複数の貫通導体TVの数、のそれぞれより多い。また、領域R3に配置される複数の貫通導体TVの数は、領域R4に配置される前記複数の貫通導体の数より多い。上記した各領域に配置された貫通導体TVの数は、以下のように表現することができる。すなわち、領域R2に配置される複数の貫通導体TVの配置密度は、領域R3および領域R4に配置される複数の貫通導体TVの配置密度より高い。また、領域R4に配置される複数の貫通導体TVの配置密度は、領域R3に配置される複数の貫通導体TVの配置密度より低い。
【0079】
また、複数の貫通導体TVは、ロジックチップLC1と電気的に接続され、信号が伝送される複数の貫通導体TV1を含む。また、複数の貫通導体TVは、ロジックチップLC1と電気的に接続され、ロジックチップLC1の入出力回路IOL(
図4参照)に駆動電位を供給する複数の貫通導体TV2を含む。また、複数の貫通導体TVは、メモリ部品MP(
図10参照)と電気的に接続され、メモリ部品MPに駆動電位を供給する複数の貫通導体TV3を含む。また、複数の貫通導体TVは、ロジックチップLC1およびメモリ部品MPと電気的に接続され、ロジックチップLC1およびメモリ部品MPのそれぞれに基準電位を供給する複数の貫通導体TVSを含む。複数の貫通導体TV1は、領域R2に最も多く配置される。複数の貫通導体TV2は、領域R3に最も多く配置される。複数の貫通導体TV3は、領域R4に最も多く配置される。
【0080】
図12に示すように、配線層WL3に形成される複数の配線WSG1は、配線部WP1の辺WPs1と、領域R1との間に配置されている。複数の配線WSG1は、配線部WP1の辺WPs1と、領域R1との間に集約されている。複数の配線WSG2のうちの一部は、複数の配線WSG1が形成された領域を回り込むように形成され、辺WPs1と領域R4との間に配置された複数の貫通導体TV1(
図11参照)と電気的に接続されている。
【0081】
図14に示すように、本変形例の場合、配線層WL1に形成される導体パターンPLVD21の延在方向が、
図9に示す例とは異なる。
図14に示すように、本変形例の電子装置ED2(
図10参照)が備える導体パターンPLVD21は、X方向に延在する。メモリ部品MPが1個搭載される場合、メモリ部品MPを配線部WP1の中央領域に配置することが好ましい。この場合、配線層WL1に形成された複数の配線WSG1の一部分が、配線層WL1の中央領域において、Y方向に沿って延びる。このため、本変形例の配線層WL1では、2個に分割された導体パターンPLVD21のそれぞれが、X方向に延びるように配置される。
【0082】
図10に示す電子装置ED2は、上記した相違点を除き、
図1~
図9を用いて説明した電子装置ED1と同様である。このため、電子装置ED1と同様の構造については重複する説明を省略する。
【0083】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0084】
CRC コア回路
ED1,ED2 電子装置
IOL,IOM 入出力回路
LC1 ロジックチップ(半導体チップ、半導体部品、半導体装置)
MP,MP1,MP2 メモリ部品(半導体部品、メモリパッケージ、半導体装置)
MR 封止体
MRb 下面(面、主面)
MRs1,MRs2,MRs3,MRs4 辺
MRt 上面(面、主面)
PDL,PDM 端子(電極、電極パッド)
PLVD21,PLVD23,PLVS1,PLVS2 導体パターン
R1,R2,R3,R4 領域
RAM メモリ回路
SB1,SB1sg,SB1v1,SB1v2,SB1vm,SB1vs, 半田ボール(外部端子、端子)
SB2,SB3 半田バンプ(突起電極、接続端子)
SG1,SG2 信号(電気信号)
SGP1,SGP2 信号伝送経路
TV,TV1,TV2,TV3,TV4,TVS 貫通導体
VDL1,VDL2,VDM 電源電位
VDL1P,VDL2P,VDMP 電源電位供給経路
VS 基準電位
VSP 基準電位供給経路
WL1,WL2,WL3,WL4 配線層
WP1,WP2 配線部
WP1b,WP2b 下面
WP1t 上面
WPs1,WPs2,WPs3,WPs4 辺
WSG1,WSG2,WV1,WVM 配線