(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】膜をベースとする弁
(51)【国際特許分類】
F16K 7/17 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
F16K7/17 B
(21)【出願番号】P 2019213144
(22)【出願日】2019-11-26
(62)【分割の表示】P 2017171473の分割
【原出願日】2008-02-26
【審査請求日】2019-12-26
(32)【優先日】2007-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2007-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2007-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594010009
【氏名又は名称】デカ・プロダクツ・リミテッド・パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】デマーズ、ジェイソン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルト、マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】グラント、ケビン エル.
(72)【発明者】
【氏名】デール、ジェームス ディ.
(72)【発明者】
【氏名】トレイシー、ブライアン
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-035582(JP,A)
【文献】特開平09-287441(JP,A)
【文献】特開平10-196814(JP,A)
【文献】特開平10-281332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K7/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜をベースとする弁であって、
上板(214)と、底板(216)と、前記上板と前記底板との間に位置する中板(204)とを備え、
可撓性の膜(202)が前記上板と前記中板との間に設けられ、
前記上板が、前記膜へ空気圧を供給するように構成された空気圧ポート(208)を有し、
前記中板が、前記膜と流体連通状態にある液体吸入口(218)及び液体排出口(220)と、前記液体吸入口と流体連通状態にある起伏した弁座(210)とを有し、
前記底板が前記液体吸入口及び前記液体排出口を形成し、
前記膜が、前記中板と面する液体側と、反対側に位置して前記上板に面する作動側とを有し、前記膜及び前記上板が制御ガス室(212)を形成し、前記膜及び前記中板が弁室(206)を形成し、
前記膜の肉厚のリム(222)が前記中板内の溝に前記上板によって保持されるように構成され、
前記膜の前記液体側の面は、
前記上板に向かう方向である第1方向に凸となる断面弧状の第1領域と、該第1領域の内部にあり前記第1方向と反対の第2方向に凸となる断面弧状の第2領域とを有す
る予め形成され
た形状であり
、前記膜は前記空気圧ポートを通じた
正圧を受けることにより
前記起伏した弁座(210)に向けて押圧されて前記起伏した弁座(210)をシールするように形成されて配置されている、
膜をベースとする弁。
【請求項2】
前記膜
の予め形成された前記形状は、前記空気圧ポートを通じた
大気を受けることにより、
流れを許容すべく前記弁を開いた状態に保持する形状である、請求項1に記載の膜をベースとする弁。
【請求項3】
平面視において
前記膜の前記第2領域の中心は前記膜の前記
第1領域からずれている、請求項1に記載の膜をベースとする弁。
【請求項4】
前記中板は、前記制御ガス室を形成するように前記膜が配置される凹みを有する、請求項1に記載の膜をベースとする弁。
【請求項5】
前記中板と前記底板(216)との間に形成された液体溝を備え、該液体溝は前記中板の前記液体吸入口及び前記液体排出口を形成する、請求項1に記載の膜をベースとする弁。
【請求項6】
前記空気圧ポートは、前記上板に形成された溝によって形成されている、請求項1に記載の膜をベースとする弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は膜をベースとする弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より各種ポンプカセットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2001-513404号公報
【文献】特表昭63-503116号公報
【文献】米国特許出願公開第2005/0069425号明細書
【文献】特表2005-528168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、膜をベースとする弁及び可撓性の膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ポンプカセットの一態様によれば、同ポンプカセットは、少なくとも一つの流体吸入路と、少なくとも一つの流体排出路とを有するハウジングを含む。また、カセットは、少なくとも一つの往復圧力容量型膜ポンプをハウジング内に含む。圧力ポンプは、流体吸入路からの流体を流体排出路へ汲み出す。また、少なくとも一つの定量ポンプに加えて、中空スパイクがハウジング上に設けられる。定量ポンプは、ハウジング上の中空スパイク及び定量ポンプ流路に流体接続される。定量ポンプ流路は、流体排出路に流体接続される。
【0006】
カセットのこの態様の各種実施形態は、一以上の以下のものを含む。この場合、往復圧力容量型膜ポンプは、湾曲した硬質な室壁と、同硬質な室壁に取り付けられた可撓性膜とを含む。可撓性膜及び硬質な室壁はポンプ室を形成する。また、この場合、カセットは、定量ポンプ流路に流体接続される通気口を含む。この場合、カセットは、通気口に接続されたフィルタを含む。カセットハウジングは、天板、中板、及び底板を含む。いくつかの実施形態は、一以上の以下のものを更に含む。容器を受容及び保持するための容器支持デバイスと、カセット上のスパイクに取り付けるためのカセット取り付けデバイスとを含む容器取付具。容器取付装置は、ハウジングと、同ハウジングの内側にある針とを含む。針は、容器支持装置と流体連結している。また、この場合、カセットは少なくとも一つの弁を更に含む。いくつかの実施形態において、弁は、ハウジングを二つの室に分割する膜を有する弁ハウジングと、作動室と、液室とを含む。いくつかの実施形態において、作動室は少なくとも一つの開口を有し、液体室は少なくとも一つの開口を有する。弁のいくつかの実施形態において、作動室は二つの開口を有する。弁のいくつかの実施形態において、液室は実質的に滑らかな表面を含む。弁のいくつかの実施形態において、作動室は少なくとも一つの膨らみ形状を含む。弁のいくつかの実施形態において、弁は火山形状の弁である。
【0007】
ポンプカセットの別の態様によれば、同ポンプカセットは、少なくとも一つの流体吸入路と、少なくとも一つの流体排出路とを有するハウジングを含む。また、カセットは、少なくとも一つの往復圧力容量型膜ポンプをハウジング内に含む。圧力ポンプは、流体吸入路からの流体を流体排出路へ汲み出す。また、カセットは、ハウジング内に第2流体投与システムを含む。第2流体投与システムは、計量膜ポンプと、第2流体の所定量を第2流体排出路へ汲み出すための第2流体吸入路と、第2流体を第2流体排出路に流体連結するための中空スパイクと、第2流体吸入路に流体接続された通気口とを含む。
【0008】
カセットのこの態様の各種実施形態は、一以上の以下のものを含む。この場合、往復圧力容量型膜ポンプは、湾曲した硬質な室壁と、同硬質な室壁に取り付けられた可撓性膜とを含む。この場合、カセットハウジングは、天板、中板、及び底板を含む。
【0009】
ポンプカセットの別の態様によれば、同カセットは、患者から血液を汲み出すための少なくとも一つの血液吸入路と、血液を透析装置へ汲み出すための少なくとも一つの血液排出路とを含む。また、カセットは、少なくとも二つの往復圧力容量型膜ポンプをハウジング内に含む。圧力ポンプは、患者から血液を透析装置へ汲み出す。また、カセットは、少なくとも二つの弁を含み、同弁はハウジング及び膜を有する。膜はハウジングを作動室及び液室という二つの室に分割する。作動室は少なくとも一つの開口を有し、液室は少なくとも二つの開口を有する。液室は実質的に滑らかな表面を含む。また、カセットは、ヘパリン投与システムをハウジング内に含む。ヘパリン投与システムは、膜ポンプと、ヘパリンの所定量を血液排出路へ汲み出すためのヘパリン吸入路と、ヘパリンをヘパリン排出路に流体連結するための中空スパイクと、ヘパリン吸入路に流体接続される空気補足用のエアフィルタとを含む。
【0010】
カセットのこの態様の各種実施形態は、一以上の以下のものを含む。この場合、往復圧力容量型膜ポンプは、湾曲した硬質な室壁と、同硬質な室壁に取り付けられた可撓性膜とを含む。可撓性膜及び硬質な室壁はポンプ室を形成する。この場合、カセットハウジングは、天板、中板、及び底板を含む。この場合、往復圧力容量型膜ポンプは、少なくとも一面上にディンプルが形成された膜を含む。
【0011】
本発明のこれら態様は排他的ではないことを意味しており、添付の特許請求の範囲及び図面と併せて理解する場合、本発明の他の特徴、態様、及び効果は当業者にとって容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】カセットの実施形態に組み込まれたポッドポンプの例示的な一実施形態を示す断面図。
【
図1B】カセットの実施形態に組み込まれたポッドポンプの別の実施形態を示す断面図。
【
図2A】カセットのいくつかの実施形態に組み込まれた空気圧制御弁の一形式の一実施形態を示す断面図。
【
図2B】カセットのいくつかの実施形態に組み込まれた空気圧制御弁の一形式の別の実施形態を示す断面図。
【
図2C】カセットのいくつかの実施形態に組み込まれた空気圧制御弁の一形式の別の実施形態を示す断面図。
【
図2D】カセットのいくつかの実施形態に組み込まれた空気圧制御弁の一形式の別の実施形態を示す断面図。
【
図2G】弁膜の一実施形態を示す平面図及び断面図。
【
図4A】可変膜を有するカセット内のポッドポンプを示す平面図。
【
図4B】可変膜を有するカセット内のポッドポンプを示す断面図。
【
図4C】ディンプルが形成された可変膜を有するカセット内のポッドポンプを示す平面図。
【
図4D】ディンプルが形成された可変膜を有するカセット内のポッドポンプを示す断面図。
【
図6A】滑らかな表面を有する二重リング膜を示す図。
【
図6B】滑らかな表面を有する二重リング膜を示す図。
【
図6C】ディンプルが形成された表面を有する二重リング膜を示す図。
【
図6D】ディンプルが形成された表面を有する二重リング膜を示す図。
【
図6G】可変表面を有する二重リング膜を示す断面図。
【
図7】ポッドポンプを駆動するために使用される圧力駆動システムを示す概略図。
【
図8】カセットの流体流路の一実施形態を示す概略図。
【
図9A】カセットの例示的実施形態の外側天板を示す等角図。
【
図9B】カセットの例示的実施形態の外側天板を示す平面図。
【
図9C】カセットの例示的実施形態の内側天板を示す等角図。
【
図9D】カセットの例示的実施形態の内側天板を示す平面図。
【
図9E】カセットの例示的実施形態の天板を示す側面図。
【
図10A】カセットの例示的実施形態に従う中板の液体側を示す等角図。
【
図10B】カセットの例示的実施形態に従う中板の液体側を示す平面図。
【
図10C】カセットの例示的実施形態に従う中板の気体側を示す等角図。
【
図10D】カセットの例示的実施形態に従う中板の気体側を示す平面図。
【
図11A】カセットの例示的実施形態に従う底板の内側を示す等角図。
【
図11B】カセットの例示的実施形態に従う底板の内側を示す平面図。
【
図11C】カセットの例示的実施形態に従う底板の外側を示す等角図。
【
図11D】カセットの例示的実施形態に従う底板の外側を示す平面図。
【
図11E】カセットの例示的実施形態に従う底板を示す側面図。
【
図12A】薬瓶が取り付けられたカセットの例示的かつ組み付けられた実施形態を示す平面図。
【
図12B】薬瓶が取り付けられたカセットの例示的かつ組み付けられた実施形態を示す底面図。
【
図12C】薬瓶を有するカセットの例示的かつ組み付けられた実施形態を示す分解図。
【
図12D】薬瓶を有するカセットの例示的かつ組み付けられた実施形態を示す分解図。
【
図13A】組み付けられたカセットの例示的実施形態を示す断面図。
【
図13B】組み付けられたカセットの例示的実施形態を示す断面図。
【
図13C】組み付けられたカセットの例示的実施形態を示す断面図。
【
図14A】定量ポンプの組み付けられた別の実施形態を示す図。
【
図14B】定量ポンプの組み付けられた別の実施形態を示す図。
【
図14C】定量ポンプの組み付けられた別の実施形態を示す分解図。
【
図14D】定量ポンプの組み付けられた別の実施形態を示す分解図。
【
図14E】カセットに接続された定量ポンプの組み付けられた別の実施形態を示す図。
【
図14F】カセットに接続された定量ポンプの部分的に組み付けられた実施形態を示す図。
【
図15A】定量ポンプの別の実施形態に従う外側天板を示す等角図。
【
図15B】定量ポンプの別の実施形態に従う外側天板を示す平面図。
【
図15C】定量ポンプの別の実施形態に従う内側天板を示す底面図。
【
図15D】定量ポンプの別の実施形態に従う内側天板を示す底面図。
【
図16A】定量ポンプの別の実施形態に従う液体側中板を示す等角図。
【
図16B】定量ポンプの別の実施形態に従う液体側中板を示す平面図。
【
図16C】定量ポンプの別の実施形態に従う気体側中板を示す等角図。
【
図16D】定量ポンプの別の実施形態に従う気体側中板を示す底面図。
【
図17A】定量ポンプの別の実施形態に従う内側底板を示す等角図。
【
図17B】定量ポンプの別の実施形態に従う内側底板を示す平面図。
【
図17C】定量ポンプの別の実施形態に従う外側底部を示す等角図。
【
図17D】定量ポンプの別の実施形態に従う外側底部を示す底面図。
【
図18A】カセットの別の実施形態に従う外側天板を示す等角図。
【
図18B】カセットの別の実施形態に従う外側天板を示す平面図。
【
図18C】カセットの別の実施形態に従う内側天板を示す底面図。
【
図18D】カセットの別の実施形態に従う内側天板を示す底面図。
【
図19A】カセットの別の実施形態に従う液体側中板を示す等角図。
【
図19B】カセットの別の実施形態に従う液体側中板を示す平面図。
【
図19C】カセットの別の実施形態に従う気体側中板を示す等角図。
【
図19D】カセットの別の実施形態に従う気体側中板を示す底面図。
【
図20A】カセットの別の実施形態に従う内側底板を示す等角図。
【
図20B】カセットの別の実施形態に従う内側底板を示す平面図。
【
図20C】カセットの別の実施形態に従う外側底板を示す等角図。
【
図20D】カセットの別の実施形態に従う外側底板を示す底面図。
【
図21A】薬瓶を有するカセットの組み付けられた別の実施形態を示す平面図。
【
図21B】薬瓶を有するカセットの組み付けられた別の実施形態を示す底面図。
【
図21C】薬瓶を有するカセットの組み付けられた別の実施形態を示す分解図。
【
図21D】薬瓶を有するカセットの組み付けられた別の実施形態を示す分解図。
【
図22A】組み付けられたカセットの別の実施形態を示す断面図。
【
図22B】組み付けられたカセットの別の実施形態を示す断面図。
【
図23A】カセットの別の実施形態に従う外側天板を示す等角図。
【
図23B】カセットの別の実施形態に従う外側天板を示す平面図。
【
図23C】カセットの別の実施形態に従う内側天板を示す底面図。
【
図23D】カセットの別の実施形態に従う内側天板を示す底面図。
【
図24A】カセットの別の実施形態に従う液体側中板を示す等角図。
【
図24B】カセットの別の実施形態に従う液体側中板を示す平面図。
【
図24C】カセットの別の実施形態に従う気体側中板を示す等角図。
【
図24D】カセットの別の実施形態に従う気体側中板を示す底面図。
【
図25A】カセットの別の実施形態に従う内側底板を示す等角図。
【
図25B】カセットの別の実施形態に従う内側底板を示す平面図。
【
図25C】カセットの別の実施形態に従う外側底板を示す等角図。
【
図25D】カセットの別の実施形態に従う外側底板を示す底面図。
【
図26A】カセットの組み付けられた別の実施形態を示す平面図。
【
図26B】カセットの組み付けられた別の実施形態を示す底面図。
【
図26C】カセットの組み付けられた別の実施形態を示す分解図。
【
図26D】カセットの組み付けられた別の実施形態を示す分解図。
【
図27A】組み付けられたカセットの別の実施形態を示す断面図。
【
図27B】組み付けられたカセットの別の実施形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特徴及び効果は、図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるであろう。
1.ポンピングカセット
1.1 カセット
ポンピングカセットは種々の特徴、例えば、ポッドポンプ、流路、そして、いくつかの実施形態では弁を含む。この説明で図示して説明されるカセットの実施形態は、例示的ないくつかの代替の実施形態を含む。しかしながら、カセットの任意の改変が同様の機能性を含むことを意図している。また、ここで説明されるカセットの実施形態は、
図8A及び
図8Bに示される流体の概略図の実施である。他の実施形態では、カセットは、多様の流体経路、多様な弁の配置、及び多様なポッドポンプの配置のうち少なくとも何れか1つ、並びに多様の数を有するものが本発明の範囲内にある。
【0014】
例示的実施形態では、カセットは天板、中板、及び底板を含む。各板について多様の実施形態が存在する。一般に、天板はポンプ室及び流路を含み、中板は補足的な流路、定量ポンプ及び弁を含み、底板は作動室(いくつかの実施形態では、天板及び底板はバランス室の補助的な部分を含む)を含む。
【0015】
一般に、中板と底板との間に膜が配置されるが、バランス室に関して、膜の一部は中板と天板との間に配置される。いくつかの実施形態は、カセットに取り付けられた膜を含む。その取り付けは、オーバーモールド、捕捉、接着、圧着、溶接、又は任意の処理或いは方法で行われる。しかしながら、例示的実施形態では、板が組みつけられるまで、膜は天板及び底板から分離している。
【0016】
カセットは多様な材料で形成されてもよい。一般に、各種実施形態では、使用される材料は硬質かつ非可撓性を有するものである。好適な実施形態では、板はポリサルフォンから形成されるが、他の実施形態では、カセットは任意の他の硬質な材料から形成され、例示的実施形態では、任意の熱可塑性又は熱硬化性の材料から形成される。
【0017】
例示的実施形態では、膜を正確な位置に配置し、板を順に組み付け、そして板を接続することにより、カセットが形成される。一実施形態において、板はレーザー溶接技術を用いて接続される。しかしながら、他の実施形態において、板は、接着、機械的締結、拘束、超音波溶接、又は板を一緒に取り付ける任意の他の方法で取り付けられてもよい。
【0018】
実際、カセットは、任意の流体源から任意の場所へ流れる任意の種類の流体を汲み出すために使用される。流体の種類は、栄養のあるもの、栄養のないもの、無機化学薬品、有機化学薬品、体液、又は他の任意の流体を含む。加えて、いくつかの実施形態の流体は気体を含むため、いくつかの実施形態では、カセットは気体を汲み出すために使用される。
【0019】
カセットは、所望の場所から来る流体を所望の場所へ汲み出して方向付けるように機能する。いくつかの実施形態において、外側のポンプは流体をカセット内へ汲み出して、カセットポンプは流体を外へ汲み出す。しかしながら、いくつかの実施形態において、ポッドポンプは流体をカセット内へ引き込むとともに、流体をカセットの外へ汲み出す。
【0020】
上述したように、弁の位置に依存して、流体経路の制御が伝達される。従って、異なる位置にある弁又は付加的な弁は、カセットの別の実施形態である。加えて、図示されて上述される流路及び経路は、流路及び経路の単なる例である。他の実施形態は、より多い流体経路、又はより少ない流体経路を有してもよいし、それら加えて或いはそれらに代えて異なる流体経路を有してもよい。更に他の実施形態において、弁はカセットに設けられない。
【0021】
また、上述したポッドポンプの数は、実施形態に依存して変更されてもよい。例えば、図示された上述される例示的かつ代替の実施形態は二つのポッドポンプを含むが、他の実施形態では、カセットは一つのポッドポンプを含む。更に別の実施形態において、カセットは三つ以上のポッドポンプを含む。ポッドポンプは単一のポンプであってもよいし、より連続的な流れを提供すべく二つ並んで機能してもよい。何れかのポンプ又は双方のポンプがカセットの各種実施形態で使用されてもよい。
【0022】
各種の流体吸入口及び流体排出口は流体ポートである。実際、弁の配置及び制御に依存して、流体吸入口は流体排出口となる。従って、流体吸入口又は流体排出口として流体ポートを割り当てることは、説明の目的のみのためである。各種実施形態は、交換可能な流体ポートを有する。流体ポートは、カセット上に特定の流体経路を付与するために提供される。これら流体ポートを常時全て使用する必要はなく、代わりに実際には各種の流体ポートの使用により、カセットの使用の柔軟性が提供される。
【0023】
1.2 例示的の圧力ポッドポンプの実施形態
図1は、カセットの例示的実施形態に従って、流体制御又はポンプカセット(
図3及び
図4も参照)に組み込まれた例示的なポッドポンプ100を示す断面図である。この実施形態において、ポッドポンプは、三つの硬質な部品、即ち、「上」板106、中板108、及び「底」板110から形成される(用語「上部」及び「底部」は相対的なものであり、
図1で示される向きを参照して便宜上ここで使用されていることを留意されたい。)。上部及び底板106,110は、概して半球状の部分を含む。一緒に組みつけられたとき、半球状の部分は、ポッドポンプ100である半球状の室を形成する。
【0024】
膜112は、ポッドポンプ100の中央の空洞を二つの室に分離する。一実施形態において、これら室は、汲み出される流体を受容するポンプ室、及びポンプを空気圧で駆動する制御気体を受容するための作動室である。吸入口102は流体がポンプ室内へ進入することを許容し、排出口104は流体がポンプ室から出て行くことを許容する。吸入口102及び排出口104は、中板108と天板106との間に形成される。空気圧は、正の気圧又は負の気圧による何れかの力として気圧ポート114を通じて提供される。正の気圧は、ポンプ室の容量を最小化、即ち、吸引するようにポッドポンプの空洞の一方の壁に膜112を向かわせるものである。負の気圧は、ポンプ室の容量を最大化するようにポッドポンプ100の空洞の他方の壁に膜112を向かわせるものである。
【0025】
膜112は、中板108内の突出部118によってきつく保持される肉厚のリム116に提供される。従って、製造する際、(例示的実施形態において)底板110が中板108に接続されるまで、膜112は溝108内に配置され、かつ溝108によって保持される。
【0026】
図1A及び
図1Bに示されていないが、ポッドポンプのいくつかの実施形態において、流体側には溝が室壁上に存在する。溝は、空になっているときに膜の折曲部が流体を捕捉することを防止するように作用する。
【0027】
図1には、カセットにおける往復容量型ポンプ100の断面図が示されている。このポッドポンプ100は、可撓性膜112(「ポンプ隔壁」又は「膜」とも称される)を備えており、この膜112は、ポンプ室(「液室」又は「液体ポンプ室」とも称される)壁122と作動室(「空気圧室」とも称される)壁120とが接続する部分に取り付けられている。膜112は、その内部空間を容量可変ポンプ室(ポンプ室壁122の硬質な内面と膜112の表面とによって区画される)と補助容量可変作動室(作動室壁120の硬質な内面と膜112の表面とによって区画される)とに好適に分割している。天板106は、吸入口102と排出口104とを備えており、これら吸入口102及び排出口104の双方は、ポンプ室/液室に流体連通している。底板110は、作動或いは空気圧ポート114を備えており、このポート114は、その作動室に流体連通している。以下より詳細に説明するように、空気圧ポート114において、負圧又は大気への通気と正圧とを相互に供給することにより、膜112が上述の内部空間において前後に移動可能である。膜112が前後に往復移動する際に、ポンプ室と作動室との容積の和は、一定の値に維持される。
【0028】
流体ポンプの標準運転時に、作動或いは空気圧ポート114に負圧又は大気圧への通気を供給することにより、ポンプ室/液室を膨張させるとともに、吸入口102を介して流体をポンプ室に流入させるように、膜112を作動室壁120に向けて後退させる。一方、正の気圧を供給することにより、ポンプ室を縮小させるとともに、排出口104を介してこのポンプ室における液体を圧出するように、膜112をポンプ室壁122に向けて押圧する。このようなポンプ運転の間に、膜112が前後に往復移動する際に、ポンプ室壁122及び作動室壁120の内面は、膜112の移動を制限する。
図1Aに示される実施形態においては、ポンプ室壁122及び作動室壁120の内面は、硬質で滑らかな半球状である。硬質な作動室壁120の代わりに、代替の硬質な制限構造、例えば空気圧を提供するためのベゼルの一部及び一群のリブのうち少なくとも何れか一方は、ポンプ室の容積が最大値に達する際に、その膜の移動を制限することができる。ベゼル及びリブ構造は、米国特許出願第10/697,450号明細書(2003年10月30日に出願された「空気制御のためのベゼルアセンブリ」と題する米国特許出願公開第2005/0095154号明細書)と、それに関連するPCT出願(2004年10月29日に出願された「空気制御のためのベゼル装置」と題する国際出願第US2004/035952号であり、国際公開第2005/044435号)とに記載されている。これら二出願の全体は、本明細書において参照のために援用されている。したがって、この硬質な制限構造、例えば、硬質な作動室壁120、ベゼル又は一群のリブは、ポンプ室の容積が最大値に達した際に、膜112の形状を定める。好ましい実施形態においては、ポンプ室の容積が最小値になったときに、膜112(硬質な制限構造に寄せたとき)及びポンプ室壁122の硬質な内面により、球状のポンプ室が形成される。
【0029】
従って、
図1Aに示される実施形態において、膜112の移動は、ポンプ室壁122及び作動室壁120により制限される。空気圧ポート114を介して供給される正圧と大気への通気又は負圧とが十分に強い間に、膜112は、作動室壁120によって制限される位置から、ポンプ室壁122によって制限される位置に向かって移動する。膜112が作動室壁120に押圧された場合には、膜及びポンプ室壁122により、そのポンプ室の最大容積が定められる。膜がポンプ室壁122に押圧された場合には、ポンプ室の容積が最小になる。
【0030】
例示的実施形態において、ポンプ室壁122及び作動室壁120の双方が半球形状を有し、これにより、ポンプ室は、その容積が最大になったときに回転楕円体となる。容積が最大になった際に回転楕円体、具体的には球状になるポンプ室を使用することにより、ポンプ室の全体において循環流が発生する。このような形状により、ポンプ室において流れの停滞領域の発生を抑制することができる。以下更に説明するように、吸入口102及び排出口104の位置は、ポンプ室における流体の流れにおいて衝撃を発生し、一実施形態において、その流れに停滞領域が発生する可能性を低下させる傾向がある。従って、他の形状と比較して、球状(一般に、回転楕円体)は、液体がポンプ室に流入する際、同ポンプ室を通過する際、及び同ポンプ室から流出する際に、より少ない剪断及び乱流を発生させる傾向がある。
【0031】
図3A~4Bには、ポンプ室内における隆起流体経路30が示されている。この隆起流体経路30により、膜がストロークの終点に達した後に、流体がポッドポンプを継続して流れることができる。従って、この隆起流体経路30は、ポッドポンプにおいて膜に起因して空気又は流体が捕捉される可能性、又はポッドポンプの吸入口或いは排出口が膜によって遮断され、連続的な流れが抑制される可能性を最小限に抑制する。隆起流体経路について、
図9A~9B及び
図18A~18Eを参照して更に説明する。例示的実施形態において特定の寸法を有する隆起流体経路30が示されているが、別の実施形態においては、
図18A~18Eに示されるように、隆起流体経路30がより狭く、更に別の実施形態において、所望の流量又は流体の態様を得るために、隆起流体経路30を任意の寸法に設定することができる。従って、ここで表示、説明される隆起流体経路、ポッドポンプ及び弁の寸法又は他の特性は、例示的実施形態及び別の実施形態にすぎない。他の実施形態は、容易に想到することができる。
【0032】
従って、例えば、ポンプによって汲み出す全ての流体が血液である場合、遠心分離器(これが赤血球に大きな圧迫を加える)は、たくさんの溶血反応及び患者への損害を引起こすことがある。これに対して、上述した種類のポッドポンプ(これが低い剪断力及び乱流を発生させる)は、溶血反応を大幅に低減することができる。同様に、ポンプによって汲み出す流体が界面活性剤、又は他の泡立つ傾向のある流体である場合には、ポッドポンプにおける剪断力及び乱流が低減されることにより、泡立ちを低減することができる。
【0033】
一般的には、剪断力及び乱流のうち少なくとも何れか一方を低減するためには、吸入口及び排出口は、流れの方向の急な、又は突然の変化を回避するように形成されることが望ましい。また、一般的には、吸入口及び排出口(及びポンプ室自体)は、バリを含まないことが望ましい。液体が円滑に流動することを促進するために、吸入口及び排出口のうち少なくとも何れか一方は、丸みを帯びた縁を有してもよい。血液の場合についてこの利点を説明したが、これは一例にすぎず、カセットポンプは、任意の流体を汲み出すことができ、上述した、剪断力に対して敏感な流体又は生物流体に関する利点は、他の流体においても同様に適用することができる。
【0034】
1.3 バランスポッドの例示的実施形態
図1Bには、バランスポッドの例示的実施形態が示されている。このバランスポッドは、
図1Aを参照して上述したポッドポンプとほぼ同様に構成されている。しかしながら、バランスポッドは、作動室及びポンプ室の代わりに、二つの流体バランス室を含み、作動ポートを有していない。更に、各バランス室は、吸入口102と排出口104とを備えている。この例示的実施形態において、各バランス室壁120,122には、溝126がそれぞれ形成されている。溝126については、後でより詳細に説明する。
【0035】
膜112は、二つの室の間にシールを施す。これらのバランス室は、二つの室が等しい容積流量を維持するように、流体の流入と流出とのバランスを保つ。吸入口102と排出口104とは、同じ側にあるように示されているが、別の実施形態においては、各室の吸入口102と排出口104とは、異なる側にある。また、吸入口102と排出口104とは、バランス室が結合された部分における流体経路に応じて両側にあってもよい。
【0036】
バランス室の一実施形態において、膜112は、以下に
図6A~
図6Gを参照して説明する形態を含んでいる。しかしながら、別の実施形態においては、膜112は、二重輪が適用できないように、被覆され、又は他の態様に構成されてもよい。
【0037】
1.4 定量ポンプ及び流体制御システム
この定量ポンプは、任意の流体を供給又は排出可能な任意のポンプであってもよい。この流体は、医薬品、無機化合物又は無機成分、有機化合物又は有機成分、栄養補給食品、栄養成分、栄養化合物又は栄養溶液、或いはポンプによって汲み出し可能な他の任意の流体を含み、これらに限らない。一実施形態において、定量ポンプは膜ポンプである。例示的実施形態において、定量ポンプは、容積がより小さいポッドポンプである。この例示的実施形態において、比較的に大きいポッドポンプ(例えば
図1Aに示されるように)と同様に、吸入口と排出口とを備えている。しかしながら、ポッドポンプと比較して、それらの吸入口及び排出口は、一般的に遥かに小さいものである。例示的な一実施形態において、各吸入口及び排出口の周りには、火山形状の弁のような隆起リングが形成されている。定量ポンプは、膜を備えている。
図5E~5Hには、定量ポンプの膜の様々な実施形態が示されている。一実施形態では、定量ポンプは、所定量の流体を流路の外部に汲み出す。流体がポッドポンプ内にあると、カセットの外部に位置する基準室は、FMSにより排出された容量を測定する。
【0038】
従って、この実施形態により、排出された流体がその後に流体排出口、バランス室或いはポッドポンプに流れることはない。従って、一実施形態において、定量ポンプは、流路から所定量の流体を排出するために使用される。別の実施形態において、定量ポンプは、所定量の流体を排出することにより他の効果を実現するために使用される。
【0039】
FMSは、例えば本明細書において参照のために援用される、米国特許第4,808,161号明細書、米国特許第4,826,482号明細書、米国特許第4,976,162号明細書、米国特許第5,088,515号明細書、米国特許第5,350,357号明細書に記載の技術を用いて、特定の流体制御システムにおける測定、例えば膜のストロークの間にポンプ室を通じて汲み出される主流体の量の測定、又はポンプ室における空気の測定を実行するように使用されてもよい。
【0040】
多数の実施形態において、定量ポンプは、第2流体を流路に汲み出すように使用されることもある。一実施形態において、定量ポンプは、治療品又は化合物を流路に汲み出す。一実施形態では、溶液を作るために、定量ポンプを用いて所定量の化合物を混合室に汲み出す。これらの実施形態のうちの一部では、定量ポンプは、FMSによる容積測定のために設けられている。他の実施形態では、定量ポンプはこのために設けられたものではない。
【0041】
FMSによる測定のために、カセットの外部、例えば空気マニホールド(図示略)には、固定された小さな基準空気室が設けられている。弁により、その基準室と第2圧力センサとが隔離されている。基準室に空気を充填してその圧力を測定し、そしてポンプ室への弁を開くことにより、定量ポンプのストローク容積を正確に計算することができる。基準室がポンプ室に接続された際に、基準室の一定の容積及び圧力の増加に基づいて、その室側にある空気の量を算出することができる。
【0042】
1.5 弁
カセットの例示的実施形態では、一つ以上の弁を備えている。弁は、流路を連通又は遮断することにより、流れを調整するように使用されている。カセットの多数の実施形態に含まれる弁は、一つ以上の火山形状の弁又は滑らかな形状の弁を含んでいる。カセットの所定の実施形態において、チェック弁を含んでもよい。
図2A及び2Bには、火山形状の弁の実施形態が示され、
図2Cには、円滑型弁の実施形態が示されている。更に、
図3A~4Bは、吸入口及び排出口を有するカセットにおけるポッドポンプの例示的実施形態を示している。
【0043】
一般的には、上述したこの種の往復容量型ポンプは、多数の弁を用いて、或いはこれらの弁と併用されて、ポンプを流れる流体を制御することができる。従って、例えば往復容量型ポンプ又はバランスポッドは、流入弁及び流出弁のうち少なくとも何れか一方を用いて、或いはこれらの弁と併用することが可能である。それらの弁は、パッシブ弁又はアクティブ弁である。往復容量型ポンプの例示的実施形態において、膜は、作動室を圧力作動システムに接続する空気圧ポートを通じて供給される気体の、負圧及び正圧、或いは正圧及び大気への通気により、前後に移動しようとする。得られる膜の往復動により、吸入口から流体をポンプ室に吸入し(流出弁は、流体が排出口からポンプ室に吸い戻されることを抑制する)、そして排出口を通じてその流体をポンプ室の外部に汲み出す(流入弁は、流体が流体吸入口から押し戻されることを抑制する)。
【0044】
例示的実施形態において、アクティブ弁は、ポンプ及びカセットを流れる液体を制御している。このアクティブ弁は、制御装置により、流れを所望の方向に導くように駆動されることが可能である。このような構成により、制御装置は、流体が両方向においてポッドポンプを流れるように流れを制御することができる。典型的なシステムにおいて、通常は、流れの方向は、第1方向、例えば吸入口から排出口への方向である。特定の場合には、流れの方向は、その逆方向、例えば排出口から吸入口への方向であってもよい。このような流れの反転は、例えばポンプに呼び水を差す際に、異常な流路の状態(例えば、流路の閉鎖、妨害物、未接続、又は漏れ)をチェックするために、又は異常な流路の状態を解消する(例えば、妨害物を取り除く)ために実行されることが可能である。
【0045】
弁の気圧作動により、圧力制御及びシステムにおいて発生可能な最大圧力に対する自動制限が提供される。システムという背景において、気圧作動は、全てのソレノイド制御弁を流体経路から離間したシステムの片側に容易に配置することができる、という別の利点を有する。
【0046】
図2A及び2Bは、火山形状の弁の二つの実施形態の断面図である。これらの火山形状の弁は、カセットの実施形態に使用可能な気圧制御弁である。膜202は、中板204とともに弁室206を区画している。空気圧は、正圧又は負圧による何れかの力として空気圧ポート208を通じて提供される。正圧は、弁を閉塞、即ち、吸引するように弁座210に膜202を向かわせるものである。負圧は、いくつかの実施形態において、通気口を大気に連通させて弁を開くために膜を弁座210から離間させるものである。制御ガス室212は、膜202、天板214、及び中板204によって区画されている。中板204には、凹みが形成されており、膜202は、制御ガス室212を膜202の一方側に形成するとともに、弁室206を他方側に形成するようにその凹みに配置されている。
【0047】
空気圧ポート208は、天板214に形成された溝により定められている。カセットにおいていくつかの弁の気圧制御を提供することにより、全ての弁は、一つの気圧源により同時に開弁又は閉弁されるように、連動されることが可能である。中板204に形成されて流体経路と一致する溝は、底板216とともに、弁吸入口218及び弁排出口220を区画している。中板204を貫通するように同板に形成された貫通孔は、吸入口218と弁室206とを連通するとともに、弁室206と排出口220とを連通している。
【0048】
膜202は、肉厚のリム222によって構成され、このリム222は、中板204における溝224に緊密に係合されている。従って、天板214が中板204に連結される前に、膜202は、溝224に配置されて保持されることが可能である。従って、この弁の設計は、製造における利点を開示することができる。
図2B~2Cに示されるように、天板214は、膜202が所定の方向において溝224から過度に離間すること、及び膜の肉厚のリム222が溝224から外れることを抑制するために、制御ガス室212内にまで延びる補助部材を備えてもよい。
図2A及び2Bには、二つの実施形態における気圧ポート208の制御ガス室212に対する位置が示されている。
【0049】
図2Cに示される実施形態では、弁室において弁座機構が省略されている。正しくは、
図2Cにおいて、この実施形態における弁は、火山形状の構造を備えていないため、弁室206、即ち流体側は、隆起部を有しておらず、円滑である。この実施形態は、剪断に敏感な流体を汲み出すカセットに適用されている。
図2Dは、弁室が弁膜のシールに有利な隆起領域を有する実施形態を示している。
図2E~2Gには、弁膜の異なる実施形態が示されている。ある例示的実施形態を表示、説明したが、別の実施形態において、弁及び弁膜の変形例が利用されることが可能である。
【0050】
1.6 ポッド膜の例示的実施形態
図4に示されるように、一実施形態において、膜は、変化する断面の厚さを有する。より薄い、より厚い、又は変化する膜は、選択された膜の材料の強度、屈曲特性又は他の特性に適用するために使用されることが可能である。より薄い、より厚い、又は変化する膜壁の厚さは、膜の制御のために採用されることも可能である。これにより、膜が所定の領域において、他の領域と比較してより湾曲し易くし、ポンプの駆動及びポンプ室における主流体の流れの制御に有利である。この実施形態において、膜の断面が最も厚い部分は、膜の中心部にある。しかしながら、変化する断面を有する他の実施形態においては、最も厚い部分及び最も薄い部分は、膜の任意部分に位置してもよい。従って、例えば、比較的に薄い断面は中心の近くに位置し、比較的に厚い断面は膜の周囲の近くに位置してもよい。また、他の構造も可能である。
図5A~5Dには、異なる態様の表面を有する膜の実施形態が示されている。これらの表面は、膜の作動側及び汲み出し側のうち少なくとも一方の異なる部分に位置する、異なる厚さ及び形状のうち少なくとも一方の円滑面(
図5A)、リング(
図5D)、リブ(
図5C)、くぼみ又はドット(
図5B)を含んでいる。膜の一実施形態において、膜は、少なくとも一つの断面において正接の勾配を有するが、他の実施形態において、膜は完全に円滑、或いは実質的に円滑である。
【0051】
図4C,4E及び4Fには、膜の代替実施形態が示されている。この実施形態においては、膜は、くぼみ又はドット付きの表面を有している。
膜は、主流体に対して所望の耐久性及び適合性を有する任意の可撓性材料によって形成されることが可能である。膜は、作動室に供給される流体、液体又は気圧又は真空に応じて湾曲可能な任意の材料によって形成されることができる。膜の動作を促進するために、膜の材料は、生物適合性、温度適合性、又は膜によってそれらの室に汲み出し或いは導入される様々な流体との適合性により選択されてもよい。その例示的実施形態では、膜は高伸張シリコ
ーンによって形成されている。しかしながら、他の実施形態においては、膜は、シリコ
ーン、ウレタン、ニトリル、EPDM(これらに限定されない)を含む任意のエラストマー、ゴム、又は他のゴム、エラストマー或いは可撓性材料によって形成されている。
【0052】
その膜の形状は、多数の変数に基づいて定められる。これらの変数は、室の形状、室のサイズ、主流体の特性、ストローク毎に汲み出される主流体の体積、及び膜がハウジングに取り付けられる方法又はモードを含むが、これらに限らない。膜のサイズは、多数の変数に基づいて定められる。これらの変数は、室の形状、室のサイズ、主流体の特性、ストローク毎に汲み出される主流体の体積、及び膜がハウジングに取り付けられる方法又はモードを含むが、これらに限らない。従って、様々な実施形態において、膜の形状及びサイズをこれらの変数又は他の変数に基づいて変更することができる。
【0053】
膜は任意の厚さを有することができる。しかしながら、一実施形態において、その厚さの範囲は、0.002~0.125インチ(0.051ミリメートル~3.175ミリメートル)である。その所望の厚さは、膜に使用される材料により異なる。一実施形態において、高伸張シリコーンは0.015インチ~0.050インチ(0.381ミリメートル~1.270ミリメートル)の厚さで使用されている。しかしながら、他の実施形態においては、この厚さを変更してもよい。
【0054】
例示的実施形態では、膜は、膜の領域の少なくとも一部において実質的にドーム状の部分を含むように、予め成形されている。
図4E及び4Fには、ドーム状の膜の一実施形態が示されている。また、このドームの寸法を上述した変数の一部又はそれ以上に基づいて変更することができる。しかしながら、他の実施形態においては、膜は予め成形されたドーム状を含まなくてもよい。
【0055】
例示的実施形態において、膜のドームは、液状射出成形により成形されている。しかしながら、他の実施形態においては、そのドームは、圧縮成形により成形されてもよい。代替の実施形態において、膜は実質的に平面状である。他の実施形態においては、そのドームのサイズ、幅、又は重量を変更してもよい。
【0056】
様々な実施形態において、膜は様々な手段及び方法により適切な位置に保持可能である。一実施形態において、膜はカセットの複数の部分の間にクランプで固定され、これらの形態の一部において、カセットのリムは、膜を把持する構造を備えてもよい。他の実施形態において、膜は少なくとも一つのボルト又は他の装置によりカセットに固定されている。別の実施形態において、膜は一枚の樹脂部材によりオーバーモールドされており、その樹脂部材は、溶接又は他の方法によりカセットに付着している。別の実施形態において、膜は、
図1A及び1Bを参照して説明した中板と底板との間に挟まれている。膜をカセットに取り付けるいくつかの実施形態を説明したが、膜をカセットに取り付ける任意の方法又は手段を採用することができる。一つの代替実施形態において、膜はカセットの一部に直接取り付けられている。一実施形態において、膜においてそれらの板によって挟まれている周縁部の厚さは、膜の他の部分の厚さよりも厚い。一実施形態において、この比較的に厚い部分はガスケットであり、一実施形態では、Oリング、リング或いは他の形状のガスケットである。
図6A~6Dには、二つのガスケット62,64を有する膜の一実施形態が示されている。一実施形態では、ガスケット62,64は膜とカセットとの付着ポイントを備えている。別の実施形態において、膜は三つ以上のガスケットを有している。一実施形態において、一つのガスケットを有する膜が含まれている。
【0057】
ガスケットの一実施形態において、ガスケットは膜に接触している。しかしながら、他の実施形態においては、ガスケットは膜と分離した部分である。一実施形態において、ガスケットは膜と同じ材料によって形成されている。しかしながら、他の実施形態においては、ガスケットは膜とは異なる材料によって形成されている。一実施形態において、ガスケットは、膜の周囲にあるリングをオーバーモールドすることにより形成されている。ガスケットは、ポッドポンプハウジングの実施形態を補完するために要求される任意形状のリング又はシールであってもよい。一実施形態において、そのガスケットは、圧縮式のガスケットである。
【0058】
1.7 混合ポッド
カセットの一実施形態は、混合ポッドを備えている。混合ポッドは、混合のための室を有している。一実施形態において、混合ポッドが可撓性構造であり、一実施形態において、混合ポッドの少なくとも一部が可撓性構造である。混合ポッドは、Oリング等のシール、又は膜を備えることができる。この混合ポッドは、所望の任意形状を有することができる。例示的実施形態において、混合ポッドは、膜及び作動ポートを有しないことを除いて、ポッドポンプと同様である。この混合ポッドの一実施形態では、混合ポッド室をシールするためのOリングシールを備えている。従って、例示的実施形態においては、混合ポッドは、流体吸入口及び流体排出口を備える球状の中空のポッドである。ポッドポンプと同様に、室は所望の任意サイズを有することができる。
【0059】
2.圧力ポンプ作動システム
図7は、負圧及び正圧の双方によりポッドポンプ(例えば
図1Aに示されるポッドポンプ)を駆動可能な圧力ポンプ作動システムの一実施形態を示す図である。この圧力作動システムは、正圧及び負圧を間欠的に又は交互に、ポッドポンプの作動室における気体に供給することができる。しかしながら、一実施形態(
図7はこれらの実施形態を示さない)において、ポッドポンプは、正圧及び大気への通気を供給している。このポッドポンプ(可撓性膜、吸入口、排出口、空気圧ポート、ポンプ室、作動室を含み、或いは流入チェック弁及び流出チェック弁、又は他の弁を含む)は、より大きな使い捨てのシステムの一部である。その空気作動システム(作動室圧力変換器、正圧供給弁、負圧供給弁、正圧ガス容器、負圧ガス容器、正圧容器の圧力変換器、負圧容器の圧力変換器、及び電子制御装置(一実施形態では、ユーザインターフェースコンソール、例えばタッチパネル画面を含む)を備える)は、基本単位の一部であってもよい。
【0060】
正圧リザーバは作動室に対して制御ガスの正圧を加えることで、膜をポンプ室が最小容量になる位置(膜がポンプ室の硬質な壁面に当接する位置)へと付勢する。負圧リザーバは作動室に対して制御ガスの負圧を加えることで、膜を反対方向に、つまり、ポンプ室が最大容量になる位置(膜が作動室の硬質の壁面に当接する位置)へと付勢する。
【0061】
弁機構は、それぞれのリザーバと作動室との流体連通状態を制御するのに用いられる。
図7に示すように、独立した弁がそれぞれのリザーバに用いられる。正圧供給弁は正圧リザーバと作動室との間の流体連通を制御し、負圧供給弁は負圧リザーバと作動室との間の流体連通を制御する。これら二つの弁は制御装置によって制御される。二つの独立した弁に代えて単一の三方弁を用いてもよい。弁としてはバイナリー開閉弁や可変絞り弁が使用可能である。
【0062】
制御装置は三個の圧力変換器、つまり作動室圧力変換器、正圧リザーバ圧力変換器、及び負圧リザーバ圧力変換器から圧力情報を入力する。名称から明らかなように、これらの変換器は、作動室の圧力、正圧リザーバの圧力、そして負圧リザーバの圧力を計測する。作動室変換器はベースユニット内に位置するとともに、ポッドポンプ空気圧ポートを通じて作動室と流体連通している。制御装置は二つのリザーバの圧力を監視し、圧力(正圧又は負圧)が両リザーバに適切に加えられるようにする。例示的実施形態において、正圧リザーバは約750mmHg(99986Pa)に保たれ、負圧リザーバは-450mmHg(59992Pa)に保たれる。
図7に示すように、単数又は複数の圧縮機型のポンプ(図示せず)により、両リザーバ内に所望の圧力が維持される。例えば、二つの独立した圧縮機がそれぞれ二つのリザーバに対応するように設けられる。リザーバ内の圧力は単純なバングバング制御を用いて制御されてもよい。この場合、正圧リザーバに対応する圧縮機は、リザーバ内の圧力が所定の閾値を下回ると起動され、負圧リザーバに対応する圧縮機はリザーバ内の圧力が所定の閾値を越えると起動される。ヒステリシスの量は両リザーバについて同一であっても、異なっていてもよい。ヒステリシスバンドを縮小すればリザーバ内圧力の厳格な制御が可能になるが、これは通常、圧縮機の周期周波数の上昇を伴う。リザーバ圧力の非常に厳格な制御が必要な場合や、特定の使用において非常に厳格な制御が望ましい場合は、バングバング制御の代わりにPID制御を採用して、圧縮機に対してPWM信号を用いることも可能である。
【0063】
正圧リザーバにより供給される圧力は、正常な状態において、膜をポンプ室の固い壁面に密着させるくらいの強さがあることが望ましい。同様に、負圧リザーバにより供給される負圧(すなわち真空)は、正常な状態において、膜を動作室の壁面に密着させるくらいの強さがあることが望ましい。しかしながら、より好ましい実施形態においては、リザーバによって供給される正圧及び負圧は十分安全な範囲のものとなる。つまり、正圧供給弁又は負圧供給弁が全開状態であっても、膜に作用する正圧又は負圧が、ポッドポンプを損傷させたり危険な流体圧力(すなわちポンプにより血液や流体の供給を受けている患者に害が及ぶような圧力)を発生させるほど強いものにならないようにする。
【0064】
当然のことながら、
図7に示すような二つのリザーバを用いた空気圧式作動システムの代わりに、他の作動システムを用いて膜を前後に動かしてもよい。しかしながら、一般的には二つのリザーバを用いた空気式作動システムの使用が好ましい。特に、弾性を有する膜を使用する場合は、単一の供給弁と単一のリザーバ圧センサとともに、単一の正圧リザーバ又は単一の負圧リザーバを用いた空気圧作動システムを採用してもよい。このような空気圧作動システムは正のガス圧又は負のガス圧をポッドポンプの作動室に断続的に供給する。単一の正圧リザーバを用いた実施形態においては、作動室に断続的に正圧を供給してポンプを動作させることで、膜をポンプ室の壁面に向けて動かし、ポンプ室の内容物を排出する。また、これによりガス圧力を放出し、膜が弛緩位置に戻ることで流体をポンプ室に引き入れる。単一の負圧リザーバを用いた実施形態においては、作動室に断続的に負圧を供給してポンプを動作させることで、膜を作動室の壁面に向けて動かして、流体をポンプ室に引き入れる。また、これによりガス圧力を放出し、膜が弛緩位置に戻ることで流体をポンプ室から排出する。
【0065】
3.流体の操作
図2A~
図2Dに示すように、例示的実施形態の流体弁は可撓性膜を備えた小さな室を備え、該膜は室を中央付近で流体側と空気圧側に二分している。この例示的実施形態の流体弁は三つの吸入/排出ポートを有し、そのうちの二つは室の流体側に、残りは空気圧側に設けられている。室の空気圧側に設けられたポートは室に対し正圧又は真空を供給可能である(いくつかの実施形態では、真空ではなく大気を導入する)。室の空気圧部分に真空が供給されると、膜は気体側に引き込まれ、流体経路を開放する。これにより、流体が室の空気圧側に流入あるいは流体側から流出することが可能になる。室の空気圧部分に正圧が供給されると、膜は室の流体側に向かって押圧され、流体経路を塞ぎ、流体の流れを止める。流体ポートの一つに設けられた火山形状の弁の実施形態(
図2A,2Bに示す)において、このポートは閉弁の際にまず密閉し、弁の中に残っている流体は火山形状の部分を使わずにポートから排出される。加えて、
図2Dに記載の実施形態の弁では、二つのポートの間に設けられた隆起部分が、作動ストロークの早い段階で(すなわち膜がポートを直接的に密封するより前に)二つのポートを互いに対して密閉することを可能にする。
【0066】
再び
図7を参照して説明すると、圧力弁は流路中の異なる場所に位置するポンプを作動させるために用いられる。この構成では、圧力制御が必要なポンプ室のそれぞれに設けられた圧力センサと二つの可変オリフィス弁とを使用した圧力制御を可能にしている。実施形態の一つにおいて、一つの弁が高圧力供給源に接続され、もう一つの弁が低圧シンクに接続されている。高速制御ループが圧力センサを監視し弁の位置を制御することで、ポンプ室に必要な圧力が保たれる。
【0067】
圧力センサは、室の空気圧部分の圧力を監視するために用いられる。室の空気圧側に対して正圧と真空を交互に作用させることで、膜が室の容量全体にわたって交互に移動される。それぞれのサイクルにおいて、空気圧が真空としてポッドに作用したときに、流体が吸入流体ポートの上流側弁を通って引き込まれる。続いて、空気圧が正圧としてポッドに作用したときに、流体は排出ポートと下流側弁とを通じて排出される。
【0068】
多くの実施形態において、圧力ポンプは二つの室からなる。二つの室が180度の位相差で動作しているとき、流れは基本的に継続する。
4.容量の計測
カセット内の流速はストローク端を検知可能な圧力ポッドポンプにより制御される。外部制御ループにより、必要な流れを発生させるための正確な圧力値が決定される。圧力ポンプは、各ストロークの完了を検出するためのストローク端アルゴリズムを実行可能である。膜が動いている間、室内の計測圧力は所望の正弦波圧力となる。膜が室の壁面に接触すると、正弦波に沿った変化をやめ、圧力は一定になる。圧力信号のこの変化がストロークの終わり、つまり、ストローク端を検出するのに使われる。
【0069】
圧力ポンプの容量は既知である。従って、ストローク端は、室内に既知の容量の流体があることを示す。よって、ストローク端を使えば、容量と等しい割合で流体の流れを制御することができる。
【0070】
上に詳述したように、定量ポンプで圧送された流体の容量を測定するためFMSを使用してもよい。いくつかの実施形態では、FMS容量計測システムを使用せずに定量ポンプで流体を圧送してもよい。しかし、例示的実施形態では、圧送された流体の正確な容量を算出するために、FMS容量計測システムが使用される。
【0071】
5.ポンピングカセットの例示的実施形態
流体経路及び吸入口、排出口などの用語は説明のためにのみ用いられる。他の実施形態では吸入口が排出口として用いられることもある。これらの名称は単に、カセットへの別々の入り口領域を示すものである。(流体排出口にもなりうる)流体吸入口が、例えば、第1流体排出口、第2流体排出口とされる。これは、流体がその吸入口/排出口を通ってカセットから外部にまたカセット内に移動することが可能であることを意味している。いくつかの場合、図面中の二つ以上の吸入口/排出口が同一の符号を付される。これは、その符号を付される吸入口/排出口のすべてが同一の定量ポンプ或いは複数のポッドポンプ(代替実施形態では単一のポッドポンプでもよい)で汲み出すことを意味するに過ぎない。
【0072】
図8には、ポンピングカセット800の流体回路の例示的実施形態が示されている。他の回路図は容易に識別可能である。カセット800は、少なくとも一つのポッドポンプ820,828と少なくとも一つの定量ポンプ830とを有する。また、カセット800は、流体吸入口810を有する。吸入口810を通って供給源からカセットに流体が流れ込む。流体としては少なくとも一つのポッドポンプ820,828によって付与される流速を有する。カセット800は流体排出口824を有する。排出口824を通って、少なくとも一つのポッドポンプ820,828に付与された流速を有する流体がカセット800から排出される。
【0073】
例示的実施形態では、二つのポッドポンプ820,828が使用される。しかしながら、代替実施形態では、カセットは一つ又は複数のポッドポンプを有する。例示的実施形態では、二つのポッドポンプによって安定した流れが提供される。流体が流体排出口824から排出される前に、定量ポンプ830は所定量の第2流体を第2流体供給源から流路に圧送する。
【0074】
図8に示すカセット800の流体回路図は、各種のカセット装置で実施可能である。従って、カセット800の種々の実施形態は
図8の流体回路図で示す流体経路を含むものに限定されるものではない。加えて、弁の種類、弁の作動の順序、そしてポンプの数は、この流体回路図の種々の実施形態に応じて変更可能である。
【0075】
図8に示すように、流体は流体吸入口810からカセットに入り、第1ポンプ流体経路812か第2ポンプ流体経路818に圧送される。一実施形態においては、ポンプ吸入弁814,808が交互に開閉し、ある時点で開放している弁814,808が流体をそれぞれの流体経路812,818とそれぞれのポッドポンプ828,820に流れることを許容する。次に、それぞれのポンプ吸入弁814,808が閉じ、対応するポンプ排出弁816,822が開く。流体はポッドポンプから流体排出口824を通って排出される。しかしながら、他の実施形態では、両弁808,814が同時に開閉する。いくつかの実施形態ではカセット内に弁が設けられない。定量ポンプ830は所定量の第2流体をカセットに接続された流体供給源から汲み出す。定量ポンプ830はポッドポンプ820,828から独立して作動されるので、ポッドポンプ820,828とは違う流量で圧送が可能である。定量ポンプ830は所定量の第2流体を、流体が流体排出口824から排出される前に、第2流体供給源からポイント826の流路に圧送する。供給源はポイント826の主流体経路と交差する流体経路を介して定量ポンプに接続されている。弁832,836は流体を第2供給源からポイント826の流体経路に圧送する。
【0076】
いくつかの実施形態では、定量ポンプ830が使用されなかったり、ポッドポンプ820,828とはかなり異なったポンピングパターンを有したりする。例示的実施形態では、定量ポンプは流体管理システム(FMS)容積測定容量を有する。基準室はカセットの外部に位置する。例示的実施形態では、第2流体供給源はカセットのスパイクに直接的に接続されている液体薬瓶である。スパイクは流路に直接的に接続されている。その他の実施形態では、第2流体供給源に接続されたチューブに接続される。薬瓶に収容される液体は限定されないが、いくつかの実施形態ではヘパリンなどの治療用液体が収容される。しかしながら、他の実施形態では、第2流体は化学療法薬剤、栄養補給剤、抗生物質、そして、その他の栄養価がある治療用液体や栄養価がない治療用液体を含む。
【0077】
液体は流体吸入口810及び流体排出口824に圧送される。いくつかの実施形態では、液体は供給源から連続した流体回路の一部である処理領域に圧送され、供給源に戻される。一実施形態では、カセットは透析装置に接続された流体排出口824を通じて患者から血液を採取するのに用いられる。血液は透析装置内を流れたあとチューブを通って患者に戻される。
【0078】
図8に示される流体経路回路図の実施形態は構造として実施可能である。例示的実施形態において、この構造は複数の作動膜を有する三枚板構造のカセットである。カセットの代替実施形態も以下に詳述する。
図9A,9Bは例示的実施形態に係るカセットの天板900の外側を示している。天板900はポッドポンプ820,828の半分を含む。この半分は供給源からの流体が流れる液体側の半分である。二つの流体経路818,812が図示される。これらの流体経路はそれぞれ対応するポッドポンプ820,828に続いている。ポッドポンプ820,828は隆起流路908,910を有する。隆起流路908,910は、膜(図示せず)がストローク端に達した状態でも流体がポッドポンプ820,828中を流れることを許容する。従って、隆起流路908,910は、膜により空気あるいは流体がポッドポンプ820,828によって止められたり、膜がポッドポンプ820,828の吸入口や排出口を塞いで連続した流れを妨げるのを抑制したりする。例示的実施形態では隆起流路908,910は所定のサイズを有しており、該サイズは流体経路818,812と同じである。しかしながら、代替実施形態では、
図18A~
図18Eに示すように、隆起流路908,910は幅が狭い。また、その代替実施形態では、その目的が所望の流速や流体の挙動を達成することであるため、隆起流路908,910はどのようなサイズでもよい。いくつかの実施形態では、隆起流路908,910及び流体経路818,812は異なるサイズを有する。従って、隆起流路、ポッドポンプ、弁、又はその他の部材に関して図示され詳述されるサイズは、単に例示的実施形態及び代替実施形態であるに過ぎない。他の実施形態は容易に想定可能である。
【0079】
例示的実施形態のカセットでは、天板は容器留め部904及びスパイク902を有する。スパイク902は中空であり流路に連通している。いくつかの実施形態では、針がスパイクに装着される。他の実施形態では、針は容器取付具(
図12Cの1206参照)に接続されている。
【0080】
図9C,9Dには天板900の内側が示される。隆起流路908,910はポッドポンプ820,828の吸入流路912,916及び排出流路914,918に接続される。隆起流路を以下に詳述する。
【0081】
定量ポンプ(図示せず、
図10C,10Dに示す)はスパイクの中空経路902及び通気口906に接続されている。例示的実施形態では、通気口906はエアフィルタ(図示せず)を備えている。例示的実施形態では、エアフィルタは粒子用エアフィルタである。例示的実施形態では、エアフィルタはソミクロン(somicron)疎水性エアフィルタである。様々な実施形態では、フィルタのサイズが変更可能であり、所望の結果を得るためにサイズを変更する場合もある。定量ポンプは通気口906から空気を取り入れ、スパイクの中空経路902を通じて第2流体(図示せず)の容器に圧送し、所定量の第2流体を容器(図示せず)からポイント826の流路に、スパイクの中空経路902を通じて圧送する。この定量ポンプの流体経路は
図9Cに矢印にて示される。
【0082】
図10A,10Bには中板1000の液体側が示される。内側天板に形成された流体経路と相補的な領域が示される。これらの領域は若干盛り上がっており、レーザー溶接可能な表面仕上げを施されている。例示的実施形態では、製造方法としてレーザー溶接が採用されている。流体吸入口810及び流体排出口824も図示されている。
【0083】
図10C,10Dには、例示的実施形態における中板1000の空気側が示される。弁孔808,814,816,822の空気側は中板(
図10Aに図示)の流体側に形成された孔に対応する。
図12C、12Dに示すように、膜1220によって弁808,814,816,822が完成し、膜1226によってポッドポンプ820,828が完成する。弁膜の一実施形態が
図2Eに示される。
図2F,2Gには弁膜の付加的な他の実施形態が示される。定量ポンプ830は膜1224により完成する。定量ポンプ膜の一実施形態が
図5Fに示される。定量ポンプ膜の他の実施形態が
図5E~
図5Hに示される。弁808,814,816,822,832,834,836は空気圧で作動される。膜が孔から遠ざかるように引っ張られると、液体が引き込まれ、膜が孔に向かって押されると、流体の流れは弁808,814,816,822,832,834,836の開閉により方向が決定される。
【0084】
図10A,10Cに示すように、定量ポンプは三つの孔1002,1004,1006を有する。孔1002から空気が定量ポンプ内に引き込まれる。第2孔1004から空気がスパイク/供給源容器に押し出され、液体が供給源容器から引き込まれる。第3孔1006は第2流体を定量ポンプ830から流路826に押し出す。
【0085】
弁832,834,836は第2流体定量ポンプを作動させる。弁832は第2流体/スパイク弁であり、弁834は空気弁であり、弁836は領域826に延びる流路への流体の流れを制御する弁である。
【0086】
図11A及び
図11Bは、底板1100の内側を示す。ポッドポンプ820,828、定量ポンプ830、そして弁808,814,816,822,832,834,836の作動/空気室の内部が示されている。ポッドポンプ820,828、定量ポンプ830、そして弁808,814,816,822,832,834,836は空気圧供給源により作動される。
図11C及び
図11Dは、底板1100の外側を示す。空気供給源はカセットのこの部分に取り付けられる。一つの実施形態では、チューブが弁とポンプ1102の各部分に接続される。いくつかの実施形態では、弁は連動され、同一の空気通路で複数の弁が作動される。
図12A及び
図12Bは、第2流体の容器/供給源1202が取り付けられた組立状態のカセット1200を示す。容器1202は第2流体の供給源を収容し、容器取付具1206によってスパイク(図示せず)に取り付けられている。エアフィルタ1204は通気口(図示せず。
図9Aの906に図示)に取り付けられている。
図12Aには示さないが、容器留め部(
図9Aに904として図示)が容器取付具1206の下方に設けられる。
図12A及び
図12Bに示される組立状態のカセット1200の分解図が
図12C及び12Dに示される。これらの図面には代表的実施形態のポッドポンプ膜1226が示される。例示的実施形態は
図4E及び
図4Fに記載の膜を有する。膜のガスケットは(天板900内に設けられた)液室と(底板1100内に設けられた)空気/作動室との間を密閉する。膜1226のドーム上のディンプルは、他の特徴に加えて、ストローク端で空気や液体が逃げられる空間を確保する。他の実施形態におけるカセットでは、
図5A,5C,5Dに示される膜を使用してもよい。代替実施形態におけるカセットでは、
図6A~
図6Gに示される膜を使用してもよい。上記に詳述したように、これらの膜は二重ガスケット62,64を含む。二重ガスケット62,64の構造は、ポッドポンプの両面が液体を含む場合や、両室を密閉するのが望ましい実施形態で使用するのが望ましい。これらの実施形態では、ガスケットや他の構造(図示せず)に代わるリムが内底板1100に追加され、ガスケット62と協働で底板1100内のポッドポンプ室を密閉する。
図13Aはカセットのポッドポンプ820,828の断面図を示す。膜1226の取り付け状態の詳細がこの図に示される。再び、例示的実施形態では、膜1226ガスケットが中板1000と底板1100に挟持される。中板1000のリムは、天板900内にあるポッドポンプ820,828の室を密閉するガスケットとしての機能を備える。
【0087】
図13Bの断面図は組立状態のカセット内の弁834,836を示す。例示的実施形態において、中板1000と底板1100に挟まれることで膜1220は組みつけられ固定されている。
図13Cの断面図は組立状態のカセット内の弁816,822を示す。例示的実施形態において、中板1000と底板1100に挟まれることで膜1220は組みつけられ固定されている。
【0088】
図14A及び
図14Bは代替実施形態に係る定量ポンプ1400の組立状態を示す。この実施形態では、定量ポンプ1400はカセット(図示せず)に接続されており、従ってカセットとは別体である。
図14Aに示すように、定量ポンプ1400は天板1406を有し、カセット1402と連通する。容器1404は定量ポンプ1400内に位置する。容器1404は液状の第2流体を収容し、カセット1402との流体接続によって、カセット流体経路と接続されている。
図14Bに示すように、定量ポンプ1400は底板1408を有する。底板1408は空気作動ポート1416を有する。
図14Cと
図14Dは定量ポンプの分解図である。中板1412を完成させる膜1410が示される。カセット1414に上の組立状態の定量ポンプが
図14Eに示される。
図14Fには、カセット1414上の、部分的に組み立てられた定量ポンプが示されている。この状態では、中板1408は天板1406によって覆われていない。
【0089】
図15A~
図15Dに示すように、代替実施形態に係る定量ポンプの天板は、
図9C及び
図9Dの定量ポンプを参照して説明された例示的実施形態のカセットにあるような特徴を多数備えたものである。いくつかの実施形態の空気吸入口1416は上記実施形態のようにエアフィルタを有する。
図15Cには空気流の流体経路が矢印で示されている。空気は空気吸入口から取り入れられて、容器(図示せず)に押し出される。
図15Dには第2流路が矢印で示されている。第2流体は容器(図示せず)から汲み出され、ポイント836のカセットに排出される。従って、
図14A~
図17Dに示される代替実施形態の定量ポンプは
図8に示される流体経路の別の適用例であり、定量ポンプ部分がカセットと別体で、カセットに装着されている。
【0090】
図16A及び
図16Bには流体の流路である孔が示される。
図16A,16Dには中板1412の空気側が示される。定量ポンプ830を含む弁832,834,836の空気側が示される。弁832,834,836の孔及び定量ポンプ830は、
図8の回路図や
図10A~
図10Cに示されるカセットの中板の例示的実施形態に示される定量ポンプの周りにある弁に対応する。従って、定量ポンプ、対応する弁及び流路が本実施形態のカセットの外にあるにも関わらず、弁と流路は類似している。従って、例示的実施形態の定量ポンプの特徴についての説明は代替実施形態に係る定量ポンプにあてはまる。
【0091】
図17A及び
図17Bは、内側の底板1408の外側を示す。弁832,834,836の動作側と定量ポンプ830が示される。
図17C及び
図17Dに示すように、外側底板1408は作動ポート1702を有する。空気が作動ポート1702を通って定量ポンプと弁を作動させる。
【0092】
上記したように、例示的実施形態に係るカセットは
図8に示す例示的流体経路の回路を有するものである。しかしながら、例示的実施形態と同一の構成を多く有しつつ、僅かに異なる構造を有するカセットの代替実施形態も可能である。そのような代替実施形態の一が
図18A~
図22Bに示される。
【0093】
図18A~
図22Bに示す別の実施形態において、
図9A~
図12Dに対して使用された部材の対応する部材番号が適用される。
図22A及び
図22Bの断面図は、
図13A及び
図13Cにそれぞれ対応する。
図9A~
図9Eの例示的実施形態と比較する場合、二つの実施形態はわずかに異なるのみであり、この変更は
図18A~
図18Eに最も現れている。特に、
図18A~
図18Eの別の実施形態におけるポッドポンプ820,828上の隆起流路908,910は、
図9A~
図9Eに示される別の実施形態におけるものよりも小さい寸法を有する。加えて、
図9A~
図9Eの例示的実施形態における流路908,910は、縁がより角ばっているのに対して、
図18A~
図18Eに示される実施形態では、流路はより丸みを帯びた縁を有する。レーザー溶接としてより容易に製造が可能なより角ばっている例示的実施形態の縁は、この実施形態において効率的かつ効果的である。
【0094】
ここで、
図23A~
図27Bを参照すると、カセットの別の代替実施形態が示される。しかしながら、この実施形態において、定量ポンプはカセット内に組み込まれたり統合されたりしていない。従って、カセットのこの実施形態において、定量ポンプが所望される場合、別の定量ポンプがカセットに接続される。別の定量ポンプの一実施形態は、
図14A~
図17Dを参照して説明及び示される。多くの特徴、即ち、ポッドポンプ及び流路は、
図9A~
図12Dに示される例示的実施形態と類似している。従って、
図9A~
図12Dに対応する図の説明及び部材番号が
図23A~
図26Dに適用される。
図27A及び
図27Bに示される別の実施形態の断面図は、
図13A及び
図13Cに示される断面図にそれぞれ対応する。
【0095】
ここで、
図24C及び
図24Dを参照すると、別の視点から見た弁808,814,816,822が示されている。
図24C及び
図24Dの弁808,814,816,822を
図10C及び
図10Dの実施形態の808,814,816,822と比較すると、
図24C及び
図24Dの弁808,814,816,822は隆起部2410を含むのに対して、
図10C及び
図10Dの弁808,814,816,822は隆起部2410を含まない。
図10C及び
図10Dに示される弁808,814,816,822は、滑らかな構造を含み、隆起部又は浮き模様の付いた部分を全く含まない。再度、
図24C及び
図24Dを参照すると、弁808,814,816,822の隆起部2410は、特定の流体経路から次の流体経路へ流れる流体に対して異なる封止機構を提供する(ここで、各流体経路は、弁808,814,816,822内の孔によって示される)。
【0096】
ここで、
図23A及び
図23Bを参照すると、天板900の別の実施形態が示されている。再度、この別の実施形態を
図9A及び
図9Bに示される例示的実施形態と比較すると、
図9A及び
図9Bでは、天板900は一つの一体型部品である。しかしながら、
図23A及び
図23Bを再度参照すると、天板900は4つの別々の部品900a,900b,900c,900dである。製造する際、4つの板が中板(
図24A及び
図24Bに示す)の流体側に個別にレーザー溶接又は超音波溶接される。
【0097】
次に、
図25A及び
図25Bを参照すると、底板1100の別の実施形態が示されている。再度、この別の実施形態を
図11A及び
図11Bに示される例示的実施形態と比較すると、
図11A及び
図11Bでは、底板1100は一つの一体型部品である。しかしながら、
図25A及び
図25Bを再度参照すると、底板1100は二つの別々の部品1100a,1100bである。製造する際、二つの板が中板(
図24C及び
図24Dに示す)の気体側に個別にレーザー溶接又は超音波溶接される。ここで、
図27Aを参照すると、天板900a,900b及び底板1100a,1100bからなる多数の部品構造が明らかに示されている。
図27Bは、付加的に天板900a,900bの別々の構造を示す。
【0098】
5.1 ポンピングカセットの例示的実施形態
実際、カセットは、任意の流体源から任意の場所へ流れる任意の種類の流体を汲み出すために使用される。流体の種類は、栄養のあるもの、栄養のないもの、無機化学薬品、有機化学薬品、体液、又は他の任意の流体を含む。加えて、いくつかの実施形態の流体は気体を含むため、いくつかの実施形態では、カセットは気体を汲み出すために使用される。
【0099】
カセットは、所望の場所から来る流体を所望の場所へ汲み出して方向付けるように機能する。いくつかの実施形態において、外側のポンプは流体をカセット内へ汲み出して、カセットポンプは流体を外へ汲み出す。しかしながら、いくつかの実施形態において、ポッドポンプは流体をカセット内へ引き込むとともに、流体をカセットの外へ汲み出す。
【0100】
上述したように、弁の位置に依存して、流体経路の制御が伝達される。従って、異なる位置にある弁又は付加的な弁は、カセットの別の実施形態である。加えて、図示されて上述される流路及び経路は、流路及び経路の単なる例である。他の実施形態は、より多くの流体経路、又はより少ない流体経路を有してもよいし、それら加えて或いはそれらに代えて異なる流体経路を有してもよい。更に他の実施形態において、弁はカセットに設けられない。
【0101】
また、上述したポッドポンプの数は、実施形態に依存して変更されてもよい。例えば、図示された上述される例示的かつ代替の実施形態は二つのポッドポンプを含むが、他の実施形態では、カセットは一つのポッドポンプを含む。更に別の実施形態において、カセットは三つ以上のポッドポンプを含む。ポッドポンプは単一のポンプであってもよいし、より連続的な流れを提供すべく二つ並んで機能してもよい。何れかのポンプ又は双方のポンプがカセットの各種実施形態で使用されてもよい。
【0102】
吸入口及び排出口という用語は、交換可能なものとして使用される。流体は出口から「流入」しても入口から「流出」してもよい。加えて、吸入口/吸出口(「ポート」)が付加されてもよい。カセット上に特定の流体経路を付与するために付加的なポートが提供される。これら付加的なポート常時全て使用する必要はなく、代わりに実際には各種のポートの使用により、カセットの使用の柔軟性が提供される。
【0103】
ポンピングカセットは無数の用途に使用される。しかしながら、例示的な一実施形態において、ポンピングカセットは、患者からカセットの外側の透析装置へ血液を汲み出して、その血液が透析装置を通過してカセットの外側のラインを介して患者へ戻すように流れるのに十分な汲み出し力を提供するために使用される。
【0104】
例示的実施形態は、二つのポッドポンプ、血液吸入口、血液排出口、及びヘパリン定量ポンプを含む。弁は、
図2Dに関して上述した滑らかな弁である。例示的実施形態において、ポッドポンプ膜は、
図4E及び
図4Fに示されるようにディンプルが形成された膜である。
【0105】
血液ポンプカセットは、二重の針及び単一の針の双方の動作を支持する。二つの針で動作する場合、室は交互に充填及び放出するため、血液は両通路内で効果的に連続的なものである。単一の針で動作する場合、ポンプはまず動脈管を介して両ポンプ室を充填し、それから静脈管へ放出する。
【0106】
ここで、
図12C及び
図12Dを参照すると、例示的実施形態において、流体又は血液吸入路は底部810に向けられ、流体又は血液排出路は上部824に向けられる。従って、実際、常の治療の流れがポンプ室を通じて上方へ向かって上部から出て行くように、血液ポンプカセットは方向付けられる。この実施形態において、血液ポンプカセットに流入する実質的に全て又は全ての空気は、透析装置に向かって押される。しかしながら、他の実施形態では、血液吸入路は上部に向けられる。
【0107】
この例示的実施形態において、定量ポンプは、薬瓶又は容器から測定された量のヘパリンを取り出し、そのヘパリンを血液回路/流路内へ送出するヘパリンポンプであり、かつ単一室FMS定量ポンプである。この特徴により、血液ポンプカセットがヘパリンの処方を投与することを可能とする。
【0108】
いくつかの実施形態は、流路内に設けられた空気トラップ、及び少なくとも一つのセンサ素子のうち少なくとも何れか一方を含む。センサ素子は、任意の流体又は非流体センサデータを判断する機能を有する任意のセンサである。一実施形態において、これらのセンサ素子は単一の流路内に含まれる。いくつかの実施形態において、2以上の流路は三つのセンサ素子を含む。三つのセンサ素子の実施形態において、二つのセンサ素子は伝導度センサであり、第3センサ素子は温度センサである。伝導度センサ素子及び温度センサ素子は、本技術分野における任意の伝導度センサ素子又は温度センサ素子である。一実施形態において、伝導度センサ素子は黒鉛棒である。他の実施形態において、伝導度センサ素子は、ステンレス鋼、チタン、プラチナ、或いは、耐腐食皮膜されているが電気的に導電性を有する任意の他の金属からなる棒である。伝導度センサ素子は、プローブ情報を制御装置又は他のデバイスに送信する電気的な導線を含む。一実施形態において、温度センサは、ステンレス鋼のプローブ内に埋め込まれたサーミスタである。しかしながら、別の実施形態において、2007年10月12日に出願され、「センサ装置システム、デバイス、及び方法」と題する係属中の米国特許出願(DEKA-024XX)で説明されたものと同様に、温度センサ素子及び伝導度センサ素子の組み合わせが使用される。別の実施形態において、カセット内にセンサがないもの、又は温度センサのみがあるもの、一以上の伝導度センサのみがあるもの、或いは別の種類のセンサのみがあるものの何れかである。
【0109】
血液ポンプカセットの実施形態について説明したが、他の実施形態が容易に認識される。定量ポンプは、所定量の流体を投与又は除去するために使用される。FMSを用いることにより、この量が計測されるため、追加又は除去される流体の実質的に正確(およそ実質的に正確)な量が分かる。このポンプカセットの他の実施形態は、上述したように異なる膜、又はオーバーモールドされた膜、或いは他の膜の使用を含む。膜の各種実施形態のいくつかは、
図4C~
図6Gを関して上述されて示されている。
【0110】
実際、カセットは、任意の流体源から任意の場所へ流れる任意の種類の流体を汲み出すために使用される。流体の種類は、栄養のあるもの、栄養のないもの、無機化学薬品、有機化学薬品、体液、又は他の任意の流体を含む。加えて、いくつかの実施形態の流体は気体を含むため、いくつかの実施形態では、カセットは気体を汲み出すために使用される。
【0111】
カセットは、所望の場所から来る流体を所望の場所へ汲み出して方向付けるように機能する。いくつかの実施形態において、外側のポンプは流体をカセット内へ汲み出して、カセットポンプは流体を外へ汲み出す。しかしながら、いくつかの実施形態において、ポッドポンプは流体をカセット内へ引き込むとともに、流体をカセットの外へ汲み出す。
【0112】
ここでは、本発明の原理について説明してきたが、この説明は本発明の範囲の限定としてではなく例示としてのみ行ったものであることを当業者によって理解されるであろう。ここで図示及び説明された実施形態に加えて、他の実施形態が本発明の範囲内にあると意図されている。当業者による改変及び置換は、本発明の範囲内にあると考慮される。
【符号の説明】
【0113】
800,1200,1402,1414…カセット、830,1400…定量ポンプ。