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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】ハンドルを備える容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 23/10 20060101AFI20221024BHJP
   B65D 21/032 20060101ALI20221024BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
B65D23/10 A
B65D21/032
B65D1/02 232
B65D1/02 233
B65D1/02 230
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019509934
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2018012575
(87)【国際公開番号】W WO2018181394
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2017069779
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春原 慎
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02292519(EP,A1)
【文献】特表2013-538162(JP,A)
【文献】特開2003-002362(JP,A)
【文献】特開2011-020729(JP,A)
【文献】登録実用新案第3083919(JP,U)
【文献】特表2014-518186(JP,A)
【文献】登録実用新案第3072867(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/10
B65D 21/032
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップを取り付け可能なネック部、前記ネック部の下方に続く肩部、前記肩部の下方に続く胴部及び前記胴部の下端を閉鎖する底部を有する容器であって、
容器の前記ネック部に嵌るように構成された環状部と、
前記環状部に連なるように設けられた第一の延長部と、
前記第一の延長部に連なるように設けられた第一の把持部と、
を備え、
前記環状部が、前記ネック部に設けられた第一の当接部と前記ネック部の周方向に当接可能な第二の当接部を備え、
前記第一の当接部は、前記ネック部の周方向に形成されたフランジが切り欠けられることで形成された矩形の凹溝であり、
前記第二の当接部の一部が前記凹溝に嵌合されたとき、前記第一の当接部と前記第二の当接部との当接により、容器に対して前記第一の延長部が位置決めされる、ハンドルを備える容器
【請求項2】
前記環状部が、前記容器から前記ハンドルが外れることを防止する外れ防止部を備え、前記外れ防止部の一部が前記第二の当接部であり、
前記外れ防止部は、前記環状部から前記環状部の軸線方向に起立する複数の起立部から構成されており、
一部の前記起立部が起立する高さは、前記第一の把持部に近い側に向かうにつれて漸次低くなる、請求項1に記載の容器
【請求項3】
前記第一の延長部と逆向きに、前記環状部に連なるように設けられた第二の延長部と、
前記第二の延長部に連なるように設けられた第二の把持部と、
を備える請求項1又は請求項2に記載の容器
【請求項4】
前記容器は、別の前記容器の前記肩部の一部に前記底部の一部を接触させて自立して積み重ね可能であり、
前記底部は、前記容器を積み重ねた際に前記ハンドルを収容可能な逃げ部を備える、請求項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に取り付け可能な独立したハンドル及びそのハンドルを備える容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ミネラルウォーターや食油等を収容する比較的大きなサイズの容器においては、運搬や取り回し時の利便性を図り、容器のネック部に吊下げ式のハンドル(吊り具)を設ける場合がある。ハンドルには、プリフォーム一体式であるもの(特許文献1及び2)と後付(別体)式であるもの(特許文献3)とが存在する。また、ハンドルを備える容器としては、保管スペースの低減を考慮したスタッカブル容器(特許文献4)がある。スタッカブル容器は、上方容器の底部凹凸領域と下方容器の肩部凹凸領域とを係合させ、スタック時の安定性を高める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国実用新案登録第3072867号公報
【文献】日本国特開2001-030341号公報
【文献】日本国特表2014-518186号公報
【文献】日本国特表2013-538162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一体式ハンドル付容器では成形工程が複雑になる場合がある。また、一体式ハンドルの場合は形状や材質の選択肢が限定される場合があり、大型のハンドルを成形することが難しい場合や、強度が弱くなる場合がある。また、特許文献2で開示されている通り、一体式ハンドル付き容器はハンドルが容器のネック部に一体的に形成されたものである場合が多い。ここで、容器のサイズが5ガロン(約20リットル)程度になると、約20kgもの荷重がハンドル成形部位に局所的に作用することになる。この負荷に耐え得る一体式のハンドルを好適に形成するのは非常に困難である。ハンドルの材質(合成樹脂の種類)を容器と同じにしなくてはならないという制限もある。
【0005】
後付式のハンドルでは、容器と独立して成形することが可能であり、成形の自由度は高い。一方で、従来の後付式のハンドルは容器のネック部に取り付けた後もハンドルがネック部に対し自由に回転してしまう。容器をスタックする場合にハンドルの把持部が上方容器の底部凹凸領域と下方容器の肩部凹凸領域に置かれると、容器のスタックが不安定となる。そのため、スタックする場合には、上方容器と下方容器にハンドルが挟まれないようにハンドルの向きを調整する作業が必要となり、取扱いの面で課題がある。
【0006】
本発明は、形状、材質および大きさを幅広く選択することができ、容器の収容作業を簡便にすることができるハンドルを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、収容作業を簡便にすることができる後付式のハンドルを備える容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできる本発明のハンドルは、
容器のネック部に嵌るように構成された環状部と、
前記環状部に連なるように設けられた第一の延長部と、
前記第一の延長部に連なるように設けられた第一の把持部と、
を備え、
前記環状部が、前記ネック部に設けられた第一の当接部と前記ネック部の周方向に当接可能な第二の当接部を備え、
前記第一の当接部と前記第二の当接部との当接により、容器に対して前記第一の延長部が位置決めされる。
【0009】
この構成のハンドルによれば、ハンドルをネック部へ装着した後に移動(回転)させてネック部の当接部を環状部の当接部に当接させることで、ハンドルの位置決めをすることができる。また、一体式のハンドルと異なり、容器とは別の工程で成形することが可能であり、ハンドルの形状、材質および大きさを幅広く選択することができる。大型容器で求められる、剛性度を高めるような設計も容易に行える。ハンドルを位置決めすることで、ハンドル整列のための装置や人の作業を排除でき、輸送前の容器の収容作業を簡便にすることができる。
【0010】
本発明のハンドルにおいて、
前記環状部が、前記容器から前記ハンドルが外れることを防止する外れ防止部を備え、前記外れ防止部の一部が前記第二の当接部であることが好ましい。
【0011】
この構成のハンドルによれば、容器からハンドルが外れることを防止でき、さらに外れ防止部の一部により位置決めをすることができ、外れ防止と位置決めを一体の機構で実現することができる。
【0012】
本発明のハンドルにおいて、
前記第一の延長部と逆向きに、前記環状部に連なるように設けられた第二の延長部と、
前記第二の延長部に連なるように設けられた第二の把持部と、
を備えることが好ましい。
【0013】
この構成のハンドルによれば、二方向に伸びた二つの把持部を掴んで容器を持ち運ぶことができるため、容器が大きく、重くなった場合でも安定して運搬することができる。また、箱詰めされている場合でも、把持部が二方向に伸びているため把持部が設けられているどちらの方向からでも容易に取り出すことができる。
【0014】
本発明のハンドルを備える容器は、
キャップを取り付け可能なネック部、前記ネック部の下方に続く肩部、前記肩部の下方に続く胴部及び前記胴部の下端を閉鎖する底部を有する容器であって、
前記ネック部が、上記本発明のハンドルの前記第二の当接部と当接可能な前記第一の当接部を備え、
前記第一の当接部と前記第二の当接部との当接により、前記ハンドルが位置決めされている。
【0015】
この構成の容器によれば、ハンドルを容器に装着した後に移動(回転)させて互いの当接部を当接させることで、ハンドルがネック部の所定位置に固定される。これにより、ハンドル整列のための装置や人の作業が不要となり、輸送前の容器の収容作業を簡便にすることができる。
【0016】
本発明の容器において、
前記容器は、別の前記容器の前記肩部の一部に前記底部の一部を接触させて自立して積み重ね可能であり、
前記底部は、前記容器を積み重ねた際に前記ハンドルを収容可能な逃げ部を備えることが好ましい。
【0017】
この構成の容器によれば、容器底部の逃げ部にハンドルが確実に収容できるため、ハンドルの把持部が上方容器の底部凹凸領域と下方容器の肩部凹凸領域に置かれて不安定となることを防止できる。これにより、容器の積み重ね(スタック)が安定化され、ハンドル整列のための装置や人の作業が不要になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、形状、材質および大きさを幅広く選択することができ、容器の収容作業を簡便にすることができるハンドルを提供することができる。
【0019】
また、本発明によれば、収容作業を簡便にすることができる後付式のハンドルを備える容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係るハンドルを表す図であり、(a)はハンドルの正面図、(b)はハンドルの平面図、(c)はハンドルの底面図、(d)はハンドルのA-A断面図である。
図2】実施形態に係るハンドルを装着して当該ハンドルを位置決めすることができる容器を表す図であり、(a)は容器の正面図、(b)は容器の平面図、(c)は容器の底面図、(d)は容器の側面図である。
図3】実施形態に係る容器のハンドルの位置決めの様子を表す図である。
図4】実施形態に係る容器をスタックさせた状態を表す斜視図であり、重ねた上の容器を部分的に断面視した図である。
図5】実施形態に係る容器をスタックさせた状態を表す図である。
図6】実施形態に係る容器をスタックさせた状態を表す図である。
図7】実施形態の第一の変形例を表す図である。
図8】実施形態の第二の変形例を表す図である。
図9】実施形態の第三の変形例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るハンドル及びハンドルを備える容器の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係るハンドル10は、後述する容器20のネック部21(図2参照)に嵌るように構成された環状部11と、環状部11に連なるように設けられた2本の第一の延長部12と、2本の第一の延長部12に連なるように設けられた第一の把持部13と、を備える。ハンドル10は合成樹脂製、例えばポリプロピレン製やポリエチレン製(ポリオレフィン製)、ポリエチレンテレフタレート製(ポリエステル製)であり、射出成形法により製造される。その合成樹脂は、成形性、落下強度及びコスト面等で優れる合成樹脂から選択され、容器20の合成樹脂と異なっていても良い。
【0023】
環状部11は、後述する容器20のネック部21に設けられた少なくとも一つの第一の当接部26(図2図3参照)とネック部21の周方向に当接可能な少なくとも一つの第二の当接部14を備える。本実施形態では、容器20のネック部21の周方向に形成されたフランジ(サポートリング)25の一部を切り欠けさせることで形成されている第一の当接部26に嵌るように、第二の当接部14が環状部11に形成されている。環状部11は鉛直方向(容器20にハンドル10を装着した状態において、容器20の底部24(図2参照)を下にした状態に置ける鉛直(上下)方向を表す。以降の説明において、ハンドル10の上下方向をいう場合は、容器20にハンドル10を装着した状態において、容器20のネック部21から底部24に向かう向きを下方向とし、容器20の底部24からネック部21に向かう方向を上方向とする。ただし、図面を参照して説明している場合は、図面上の方向で説明する場合もある。)に短い中空の略円筒状の形状に形成されており、第一の延長部12と後述する外れ防止部15とが連設される外縁部11aと、その下方向(図1(b)における上方向)に延在する円筒部11bとから構成される。なお、ハンドル10をより確実にネック部21に係止させること等を目的に、第二の当接部14の数を増やしても良い。例えば、第二の当接部14を、環状部11の周方向に環状部11の中心を基準として180°毎に等間隔で2つ、120°毎に等間隔で3つ、90°毎に等間隔で4つ、設けるようにしても構わない(但し、第一の当接部26の数も適宜変更する必要性が生ずる)。
【0024】
外縁部11aは円筒部11bより大径で、平板が円筒部11bの外周に沿って設けられた環状の外観であり(図1(a))、円筒部11bの上端からフランジを形成するように、円筒部11bの外径方向に突出している。第二の当接部14は、外縁部11aの上端より上方向(図1(b)における下方向)に突出する第一の起立部14Aで構成されている。第一の起立部14Aは、正面視(図1(a))では略円弧状で、平面視(図1(b))では下方向に向かうにつれ徐々に拡径する略台形状の、薄板部材として構成されている。第二の当接部14は、環状部11の周方向における長さが第一の当接部26の周方向における空間長さよりわずかに短くなるように形成されている。
【0025】
また、環状部11は、容器20からハンドル10が外れることを防止する外れ防止部15を備えている。外れ防止部15は複数の第二の起立部15Aから構成されており、外縁部11aの上端から外縁部11aの内径方向に傾斜するように設けられている。第二の起立部15Aの形状は第一の起立部14Aとほぼ同じであるが、第一の起立部14Aの方が第二の起立部15Aより高くかつ厚く形成されている。以下では、第一の起立部14Aと第二の起立部15Aとを爪として総称する場合がある。本実施形態において外れ防止部15は、容器20にハンドル10を装着した後に容器20のネック部21を捕まえるように、環状部11の内側に向かうにつれて環状部11の平面(外縁部11aの上端面)に対して高くなるように窄んで形成されている。また、本実施形態において外れ防止部15は、環状部11の周方向に独立して並んだ、例えば15個の爪として形成されている。ハンドル10を容器20に装着すると、容器20のフランジ25にこれら複数の爪の少なくとも一部が容器20の高さ方向に対して当接する(図3参照)。さらに、本実施形態において、前述の第二の当接部14は、前述の外れ防止部15(複数の爪)の一部として形成されている。第二の当接部14の周方向の端には、第二の当接箇所14a、14bが設けられている。本実施形態における第二の当接部14以外の外れ防止部15は、当該第二の当接部14よりも容器20の高さ方向に対する大きさが小さくなるように形成されている。
【0026】
外れ防止部15(第二の起立部15A)の高さは全て同じでも良いが、相対的に高い(長い)第二の起立部15A1と相対的に低い(短い)第二の起立部15A2とから構成し、高さを変えても良い(図1(d))。この場合、第二の起立部15A2の剛性度は第二の起立部15A1より高くなる。好ましくは、後述する連結部12aを境にして、環状部11の第二の当接部14(第一の起立部14A)がある側には相対的に高い第二の起立部15A1を、環状部11の第一の把持部13がある側には相対的に低い第二の起立部15A2を設けると良い。また、第二の起立部15A2の高さは、環状部11の第一の把持部13に近い側に向かうにつれて漸次低くなるように設定されると望ましい。
【0027】
2本の第一の延長部12は、環状部11の周方向における180°離れた位置から延びるように、またそれぞれが略平行になるように形成されている。また、第一の延長部12と環状部11との間には連結部12aが形成されている(図1(a))。
【0028】
第一の把持部13は、2本の第一の延長部12と連なるように形成され、環状部11と2本の第一の延長部12とにより、使用者の手が入る空間を形成している。第一の把持部13は、使用者の指の形状に合うように波形の持ち手として形成されている。また、使用者の指に接触する第一の把持部13及び2本の第一の延長部12の内周側の一部は上下幅広に形成されている。
【0029】
本実施形態に係る容器20は、本実施形態に係るハンドル10を装着して当該ハンドル10を位置決めすることができる容器である。図2に示すように、容器20は、キャップを取り付け可能なネック部21、ネック部21の下方に続く肩部22、肩部22の下方に続く胴部23及び胴部23の下端を閉鎖する底部24を有する。容器20は合成樹脂製、例えばポリエチレンテレフタレート製(ポリエステル製)やポリカーボネート製であり、ブロー成形法により製造される。
【0030】
ネック部21は、ハンドル10の第二の当接部14と当接可能な第一の当接部26を少なくとも一つ備える。本実施形態において第一の当接部26は、ネック部21の周方向に形成されたフランジ25の一部を切り欠けさせることで形成されている。別の言い方をすると、第一の当接部26はフランジ25の外周縁に沿って形成された凹溝(ノッチ)として構成されている。第一の当接部26の周方向の端には、第一の当接箇所26a、26bが設けられている。図3に示すように、ハンドル10を備える容器20では、第一の当接部26と第二の当接部14が周方向に当接することで、ハンドル10の位置決めがされる。位置決めは、第一の当接箇所26aと第二の当接箇所14aとが当接することにより、及び/又は第一の当接箇所26bと第二の当接箇所14bとが当接することによりされる。なお、第一の当接部26は、フランジ25の周方向における180°離れた位置に二つ設けられるのが望ましい。さらに、ハンドル10の位置決め方向のバリエーションを増やすこと等を目的に、第一の当接部26をフランジ25の周方向に3つ以上設けても良い。例えば、第一の当接部26を、フランジ25の周方向にフランジ25の中心を基準として120°毎に等間隔で3つ、90°毎に等間隔で4つ、設けるようにしても構わない。
【0031】
容器20は、図4に示すように、別の容器20の肩部22の一部に底部24の一部を接触させて自立して積み重ね(スタック)可能であり、底部24は容器20を積み重ねた際にハンドル10を収容可能な逃げ部27を備える。底部24には中心部より一定距離離れた径方向外側の位置に水平断面が略扇形状である4つの凸状脚部24aが、肩部22にはネック部21より一定距離離れた径方向外側の位置に水平断面が略扇形状である4つの凹状平坦部22aが、各々設けられる。二つの凸状脚部24aの間に形成される凹陥部が逃げ部27となる。容器の積み重ね(スタック)をより安定させるには、凸状脚部24aと凹状平坦部22aの面積を大きくすることが望ましい。本実施形態では、ハンドル10を収容する逃げ部27に対応した凹陥部24bのみが幅広に形成され、それと直交する凹陥部24cは幅狭に形成されている。なお、逃げ部27は底部24に二つ形成され、互いに底部24の中心に対して対称となる位置に形成されるのが好ましい。図5及び図6に示すように、ハンドル10を備える容器20を積み重ねた際、ハンドル10は容器20の底部24に幅広に設けられている逃げ部27に収容される。
【0032】
本実施形態によれば、ハンドル10をネック部21へ装着した後に移動(回転)させ、ネック部21の第一の当接部26を環状部11の第二の当接部14に当接させることで、ハンドル10の位置決めをすることができる。また、一体式のハンドルと異なり、容器20とは別の工程で独立式のハンドル10を成形することが可能であり、ハンドル10の形状、材質および大きさを幅広く選択することができる。ハンドル10を装着させる容器20のサイズが5ガロン(約20リットル)であっても、十分な剛性度を備えたハンドル10を設計することができる。例えば、ハンドル10を備える容器20の箱詰めにおいて邪魔にならない向きにハンドル10を位置決めすることで、ハンドル10の整列のための装置や人の作業を排除でき、輸送前の容器の収容作業を簡便にすることができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、環状部11が外れ防止部15を備えることで、容器20からハンドル10が意図せずに外れることを防止できる。装着時には、外れ防止部15である複数の爪が開いてフランジ25の上から下へ環状部11を移動させることができるが、ハンドル10を容器20から外そうとする場合は、図3に示すように当該爪が容器20のフランジ25に引っ掛かるため予期せぬハンドル10の外れを防止することができる。さらに外れ防止部15の一部として第二の当接部14が形成されていることにより、外れ防止と位置決めを一体の機構で実現することができる。
【0034】
なお、爪(第一の起立部14Aおよび第二の起立部15A)の高さを第一の把持部13に向かうにつれ低くした場合(第一の把持部13の側に低い(短い)第二の起立部15A2を設けた場合)、静止時は、第一の把持部13が設けられた側の環状部11(第二の起立部15A2の上端)とフランジ25との間に隙間が形成されるため、フランジ25に対しハンドル10を上方に動かすことが可能になり、持ち上げ易さが向上する。また、持ち上げ時は、重心と支点(連結部12aの位置)との関係から、容器20はハンドル10と反対の側にネック部21が若干傾いた状態で支持される。このとき、ハンドル10は屈曲してフランジ25の下面と剛性度が高い第二の起立部15Aが当接して支持面が形成される。よって、把持時における安定性が高められる。
【0035】
また、本実施形態によれば、積み重ね可能な容器20が逃げ部27を備えることにより、逃げ部27にハンドル10が確実に収容できる。容器20を積層させたときに容器20同士の接触部分でハンドル10を挟まないため、積み重ねられた容器の間にハンドルが挟まって容器の積層が不安定となり、容器が崩れることを防止することができる。そして、従来の取り付け後に回転してしまう後付式のハンドルでは容器間にハンドルが挟まらないように人又は装置によってハンドルを動かす必要があったところ、本実施形態のハンドル10及びハンドル10を備える容器20では、ハンドル10の装着時にハンドル10が容器20に対して位置決めされるためハンドル10の整列のための装置や人の作業が不要になる。
【0036】
このように上記実施形態によれば、容器20の収容作業を簡便にすることができるハンドル10及び収容作業を簡便にすることができる後付式のハンドルを備える容器20を提供することができる。
【0037】
本実施形態の第一の変形例としては、図7に示すように、第一の延長部12Aと逆向きに、環状部11Aに連なるように設けられた第二の延長部16Aと、第二の延長部16Aに連なるように設けられた第二の把持部17Aと、を備えるハンドル10Aが挙げられる。
【0038】
第二の延長部16A及び第二の把持部17Aは、本変形例のハンドル10Aの2本の第一の延長部12A及び第一の把持部13Aと同様の形状として設けてもよいし、異なる形状として設けてもよい。
【0039】
第一の変形例では、二方向に伸びた二つの把持部を掴んで容器を持ち運ぶことができるため、容器が大きく、重くなった場合でも、安定して運搬することができる。また、箱詰めされている場合でも、把持部が二方向に伸びているため把持部が設けられているどちらの方向からでも容易に取り出すことができる。
【0040】
本実施形態の第二の変形例としては、図8に示すように、容器20Bの肩部22Bと底部24Bの接触部分が、ハンドル10Bの環状部11Bと第一の延長部12Bと第一の把持部13Bとが作る空間内に入ることで、ハンドル10Bが容器20Bの上面視隅方向に位置決めされてもよい。この場合、ハンドル10Bを容器20Bに対して斜めに位置決めすることで、ハンドル10Bをより大型に成形することができる。
【0041】
本実施形態の第三の変形例として、図9に示すように環状部11と、連結部112aを介して環状部11に連なるように設けられた1本の第一の延長部112と、1本の第一の延長部112に連なるように設けられた第一の把持部13と、を備えるハンドル110が挙げられる。環状部11は、第二の当接部14(第一の起立部14A)、外れ防止部15(第二の起立部15A)、外縁部11a、円筒部11b(図示省略)を備えている。連結部112aおよび1本の第一の延長部112以外のハンドル110の構成については、上記実施形態で説明した態様と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
ハンドル110において、図9における環状部11の下端に連結部112aは設けられており、連結部112aから図9における下方向に第一の延長部112が延びており、図9のける第一の延長部112の下端が第一の把持部13の中央部分と連なっている。第一の延長部112は、上記の実施形態における第一の延長部12と比較して幅広に形成されており、剛性が高められている。第三の変形例に示すように、第一の延長部112を一本としてハンドル110を構成してもよい。
【0043】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0044】
本願は、2017年3月31日付で出願された日本国特許出願(2017-069779)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
【符号の説明】
【0045】
10,10A,10B,110:ハンドル、11,11A,11B:環状部、11a:外縁部、11b:円筒部、12,12A,12B,112:第一の延長部、12a,112a:連結部、13,13A,13B:第一の把持部、14:第二の当接部、14a(14b):第二の当接箇所、14A:第一の起立部、15:外れ防止部、15A,15A1,15A2:第二の起立部、16A:第二の延長部、17A:第二の把持部、20,20B:容器、21:ネック部、22,22B:肩部、23:胴部、24,24B:底部、25:フランジ、26:第一の当接部、26a(26b):第一の当接箇所、27:逃げ部
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