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特許7163297エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生装置内でエアロゾル形成基体のシートを使用するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生装置内でエアロゾル形成基体のシートを使用するための方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20221024BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20221024BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019545351
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2018054090
(87)【国際公開番号】W WO2018150039
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】17156883.5
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】パイネンブルク ヨハネス ペトルス マリア
(72)【発明者】
【氏名】マルガ アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】エダルシェ ステファーヌ アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ブリフカニ ノーリ モヤード
(72)【発明者】
【氏名】ロンディナラ ルシオ マリア
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-147965(JP,A)
【文献】国際公開第2015/155289(WO,A1)
【文献】特表2015-506170(JP,A)
【文献】特表2014-534813(JP,A)
【文献】特表2016-512703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
装置ハウジングと、
前記装置ハウジングに関連付けられるマウスピースと、
前記装置の外部から、非ロール形態のエアロゾル形成基体のシートの少なくとも一部分を受けるように構成され、かつ円筒形状のエアロゾル形成基体を収容するように構成される、受け入れチャンバーと、
前記エアロゾル形成基体の前記シートを保持するためのホルダーと、
前記エアロゾル形成基体のシートを前記ホルダーの周りで円筒形状のエアロゾル形成基体へとロールするためのロール装置と、を備える、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記ホルダーが、一対の保持ピンを備え、前記保持ピンは、互いに離れて配置され、それによってそれらの間に前記エアロゾル形成基体のシートを挿入するための通路を画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記一対の保持ピンが回転可能な基部に対して固定され、前記回転可能な基部が前記装置ハウジングに対して回転可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記受入れチャンバーが前記マウスピース内に位置し、前記マウスピースが、それらを通してエアロゾル形成基体のシートを挿入するための、対向して配置される二つの細長い通路を有する側壁を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記円筒形状のエアロゾル形成基体を加熱するためのヒーターを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ヒーターが、前記ロール装置または前記ホルダー内に組み込まれるか、または前記ロール装置および前記ホルダーの両方に組み込まれる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ヒーターが、保持ピンに組み込まれた第一の発熱体、または前記ロール装置の回転可能な基部内に組み込まれた第二の発熱体を備える、または、保持ピンに組み込まれた第一の発熱体および前記ロール装置の回転可能な基部内に組み込まれた第二の発熱体を備える、請求項5または6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第二の発熱体が、前記第二の発熱体が前記装置ハウジング内に挿入される収縮位置と前記第二の発熱体が前記装置ハウジングから前記受け入れチャンバーへと延在する動作位置との間で可逆的に移動可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記動作位置にある前記第二の発熱体が、それらを通してエアロゾル形成基体のシートを挿入するための、対向して配置される二つの細長い通路に対応して配置され、それによって前記細長い通路を閉じる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ロール装置が前記装置ハウジングに対して回転可能である開いた結合と、前記装置ハウジングに対する前記ロール装置の回転が防止される係止された結合と、を含む、コネクタを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
エアロゾル発生装置においてエアロゾル形成基体のシートを使用するための方法であって、
円筒形状のエアロゾル形成基体を収容するための受け入れチャンバーを備えるエアロゾル発生装置を提供する工程と、
エアロゾル形成基体シートを提供する工程と、前記受け入れチャンバー内に前記エアロゾル形成基体のシートの少なくとも一部分を配置する工程と、
前記エアロゾル形成基体のシートを前記受け入れチャンバー内で円筒形状のエアロゾル形成基体へとロールする工程と、を含む、方法。
【請求項12】
前記受入れチャンバー内に配置された二つの保持ピンの間に、前記エアロゾル形成基体のシートを配置する工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エアロゾル形成基体のシートをロールする前記工程が、装置ハウジングに対して前記装置の部品を回転させる工程、または装置ハウジングに対して前記エアロゾル形成基体のシートを回転させる工程、または装置ハウジングに対して前記装置の部品を回転させる工程と装置ハウジングに対して前記エアロゾル形成基体のシートを回転させる工程の両方を含む、請求項11または12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記円筒形状のエアロゾル形成基体を加熱する工程を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記エアロゾル形成基体のシートが、一つ以上のエアロゾル形成体を含む均質化したたばこ材料のシートである、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生装置内でエアロゾル形成基体のシートを使用するための方法に関する。特に、本発明は、エアロゾル発生装置およびエアロゾル形成基体のシートが円筒形状の基体へとロールされる、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ基体が加熱されるエアロゾル発生装置では、基体は均質化したたばこ材料または再構成たばこ材料のシートで作製されたロッドの形態である。シートは捲縮され、集められてロッドを形成する。
【0003】
たばこロッドを形成するための精密および高価な製造工程を必要としないエアロゾル発生装置および方法を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明によると、エアロゾル発生装置が提供されている。エアロゾル発生装置は、装置ハウジング、装置ハウジングに関連付けられたマウスピース、および円筒形状のエアロゾル形成基体を収容するように構成された受け入れチャンバーを備える。受け入れチャンバーはまた、装置の外部から非ロール形態のエアロゾル形成基体のシートの少なくとも一部分を受けるように構成される。
【0005】
エアロゾル発生装置はさらに、エアロゾル形成基体のシートを保持するためのホルダーと、エアロゾル形成基体のシートを非ロール形態から円筒形状のエアロゾル形成基体へとロールするためのロール装置と、を備える。
【0006】
本発明によるエアロゾル発生装置では、エアロゾル形成基体のシートは、装置において直接使用され、装置によってロッドまたは円筒形状の基体へと形成される、非ロール形態にある。
【0007】
エアロゾル形成基体のシートのロールにより、基体はその後の集合のために捲縮される必要はない。ロールまたはロッド形成、特に、制御されたロッド形成を支持するための、エアロゾル形成基体の構造化は必要ではない。一般に、基体のロールにより、再現性がある円筒形状のエアロゾル形成基体の製造が可能になる。特に、所与の基体およびロールパラメータで、円筒形状の基体の再現性がある引き出し抵抗が達成されうる。
【0008】
エアロゾル形成基体のシートは実質的に平坦な基体であるため、基体は製造する上で、簡単でありコスト効果が高い。さらに、スペースを節約する様式で積み重ねて保存することができる。また、個々の包装が簡素化され、これは製品をより長い間新鮮に保つ場合があり、また輸送中の損傷を減らす場合がある。
【0009】
エアロゾル発生装置、例えば、ロール装置は、エアロゾル形成基体のシートを配置するため、および基体をロールする間に基体を保持するためのホルダーを備える。保持は、例えば、基体を装置内に配置されたポストに対して、またはポストの間に保持する摩擦力によって行われうる。好ましくは、ロール装置またはホルダーは、一対の保持ピンを備える。一対の保持ピンの保持ピンは、相互からある距離に配置され、それによってそれらの間にエアロゾル形成基体のシートを挿入するための通路を画定する。
【0010】
シートは、ピンの間に対称的に配置されるように、保持ピンの間に挿入されることが好ましい。従って、ほぼ等しい長さのシートが保持ピンの両側に延びる。
【0011】
エアロゾル形成基体のシートはホルダーの周りでロールされる。ホルダーは回転可能であることが好ましい。それによって、ホルダー自体が回転可能な基部上に回転可能に取り付けられてもよく、または回転可能な基体上に固定的に取り付けられてもよい。回転可能な基部は、例えば、受け入れチャンバーの一部であってもよく、例えば、受け入れチャンバー底部壁を形成してもよい。
【0012】
保持ピンにより、エアロゾル形成基体のシートを保持ピンの周りでロールすることが可能になる。保持ピンは、共通の中心の周りに回転可能であることが好ましい。ピンは回転可能な基部上に取り付けられることが好ましい。回転可能な基部は、受け入れチャンバー底部壁を形成することが好ましい。一対の保持ピンは、回転可能な基部に対して固定されることが好ましく、回転可能な基部は装置ハウジングに対して回転可能である。
【0013】
ホルダーはロール装置内に組み込まれることが好ましい。
【0014】
受け入れチャンバーは、装置ハウジング内またはマウスピース内に位置してもよい。
【0015】
受け入れチャンバーがマウスピース内に位置する場合、マウスピースは、側壁内に配置される、対向して配置される二つの細長い通路を有する側壁を備えうる。細長い通路により、非ロール形態のエアロゾル形成基体のシートをそれを通して挿入することが可能になる。ホルダーは細長い通路と整列されることが好ましい。特に、一対の距離を置いた保持ピンの形態のホルダー、または一対の保持ピンを備えるロール装置が、ピンの間の通路がマウスピースの細長い通路と整列するように配置されることが好ましい。一対のピンはまた、細長い通路との直接的な整列からずれていてもよい。こうした変位は、ホルダー内のシートの保持を向上させることができ、さらに、シートがホルダーから滑り落ちたり、またはホルダーから外れることを防止しうる。有利なことに、エアロゾル形成基体のシートは、シートのこうした挿入および取り扱いを可能にする安定性および柔軟性を提供する。
【0016】
エアロゾル発生装置のロール装置は、ホルダーの周りに巻かれているエアロゾル形成基体のシートの回転軸が、装置の受け入れチャンバーの長軸方向軸と平行に配置されるように配置されることが好ましい。エアロゾル形成基体のシートの回転軸は、受け入れチャンバーの長軸方向軸に対応することがより好ましい。
【0017】
エアロゾル形成基体のシートの回転軸は、ロール装置の長軸方向軸に平行に配置されることが好ましい。基体のシートの回転軸は、ロール装置の回転軸に対応することがより好ましい。
【0018】
エアロゾル形成基体のシートの回転軸は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行に配置されることが好ましい。基体のシートの回転軸は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に対応することがより好ましい。
【0019】
基体のシートの回転軸は、ホルダーの回転軸または長軸方向軸に対応することが好ましい。そのため、ホルダーの長軸方向軸は、受け入れチャンバーの長軸方向軸に平行に、またはこれに対応して配置されることが好ましい。
【0020】
受け入れチャンバーは円筒の形状を有することが好ましい。円筒形状のエアロゾル形成基体の回転軸は、円筒形状の受け入れチャンバーの長軸方向軸に平行に配置されることが好ましい。円筒形状のエアロゾル形成基体の回転軸は、円筒形状の受け入れチャンバーの長軸方向軸に対応することがより好ましい。
【0021】
装置は、円筒形状のエアロゾル形成基体を加熱するためのヒーターを備える。ヒーターは抵抗性または誘導性のヒーターであることが好ましい。
【0022】
ヒーターは、マウスピース内または装置ハウジング内に配置されうる。ヒーターは、装置ハウジング、例えば装置ハウジング壁内に提供されることが好ましい。
【0023】
ヒーターは、ロール装置に組み込まれてもよい。ヒーターは、ホルダー、特に保持ピン内に組み込まれてもよい。ヒーターは、ロール装置およびホルダーの両方に組み込まれてもよい。
【0024】
ヒーターは、ロール装置の回転可能な基部内に組み込まれてもよい。
【0025】
ヒーターは、保持ピン内に組み込まれた第一の発熱体、またはロール装置の回転可能な基部内に組み込まれた第二の発熱体を備えうる。ヒーターは、保持ピン内に組み込まれた第一の発熱体、およびロール装置の回転可能な基部内に組み込まれた第二の発熱体の両方を備えてもよい。
【0026】
ホルダー内に組み込まれた発熱体により、基体の内側または中心からの、円筒形状のエアロゾル形成基体の加熱が可能になる。
【0027】
例えば、装置ハウジング壁に組み込まれた発熱体により、円筒形状のエアロゾル形成基体の周囲に沿った円筒形状のエアロゾル形成基体の加熱が可能になる。ヒーターをロール装置の回転可能な基部内に組み込む方法に応じて、ロールされた基体の外周加熱が可能である。
【0028】
例えば、第二の発熱体がロール装置の回転可能な基部内に組み込まれる実施形態では、第二の発熱体は、可逆的に移動可能な様式で配置されうる。例えば、第二の発熱体は、第二の発熱体が装置ハウジング内に挿入される収縮位置と、第二の発熱体が装置ハウジングから受け入れチャンバー内に延びる動作位置との間で可逆的に移動可能でありうる。動作位置では、第二の発熱体は、基体が受け入れチャンバー内に配置された時に、円筒形状のエアロゾル形成基体を少なくとも部分的に囲むように配置される。第二の発熱体は、受け入れチャンバー壁の一部分を形成してもよい。
【0029】
第二の発熱体が動作位置にある時、第二の発熱体が、マウスピースの細長い通路と対応して配置され、それによって細長い通路を閉じることが好ましい。それによって、そうでなければマウスピースの細長い通路を通して開く受け入れチャンバーが、第二の発熱体によって閉じられる。
【0030】
第二の発熱体は、受け入れチャンバーの両側に配置された二つの加熱部分を備えることが好ましい。二つの加熱部分は、受け入れチャンバー側壁の湾曲した部分を形成することが好ましい。
【0031】
マウスピースは装置ハウジングから着脱可能であることが好ましい。例えば、マウスピースは、装置ハウジングから完全にまたは部分的に着脱可能でありうる。マウスピースは、例えば、装置ハウジングにヒンジで接続されてもよい。
【0032】
マウスピースは、装置ハウジングに取り外し可能に接続可能であることが好ましい。
【0033】
マウスピースは、装置ハウジング内に配置されたロール装置に接続可能であることが好ましい。
【0034】
装置はコネクタを備えうる。コネクタは、ロール装置が装置ハウジングに対して回転可能である、開いた結合を含む。コネクタは、ロール装置の装置ハウジングに対する回転が防止される係止された結合を含む。
【0035】
例えば、マウスピースおよびロール装置のコネクタは、マウスピースおよびロール装置が係合されて装置ハウジングに対して回転可能な、開いた結合を含みうる。マウスピースおよびロール装置は、マウスピースおよびロール装置が係合されて、装置ハウジングに対する回転が防止される、係止された結合を含みうる。
【0036】
別の方法としてまたは追加的に、ロール装置および装置ハウジングはコネクタを備えうる。開いた結合では、装置ハウジングおよびロール装置は係合せず、ロール装置は装置ハウジングに対して回転可能である。係止された結合では、装置ハウジングおよびロール装置は係合され、ロール装置は装置ハウジングに対して回転可能ではない。
【0037】
開いた結合および係止された結合は、装置のロール状態にある、および装置の使用状態にある装置を画定しうる。加熱およびエアロゾル発生などの装置の使用は、マウスピースおよびロール装置が、または装置ハウジングおよびロール装置が開いた結合にあるときには防止されることが好ましい。ロール装置、および場合によってはさらにマウスピースのロールまたは回転は、ロール装置および装置ハウジングが、またはマウスピースおよびロール装置が係止された結合にあるときには防止されることが好ましい。結合は、装置の制御に接続されてもよく、装置内での巻かれた基体の加熱を防止または許容しうる。
【0038】
エアロゾル発生装置は手持ち式装置である。装置は細長い形状を有することが好ましい。装置はペンの形状を有することが好ましい。
【0039】
本発明によると、エアロゾル発生装置においてエアロゾル形成基体のシートを使用するための方法も提供されている。本方法は、円筒形状のエアロゾル形成基体を収容するための受け入れチャンバーを備えるエアロゾル発生装置を提供する工程を含む。本方法はさらに、エアロゾル形成基体のシートを提供する工程と、受け入れチャンバー内にエアロゾル形成基体のシートの少なくとも一部分を配置する工程と、を含む。本方法のさらなる工程は、エアロゾル形成基体のシートを受け入れチャンバー内で円筒形状のエアロゾル形成基体へとロールする工程を含む。
【0040】
装置はロール装置を備え、またエアロゾル形成基体のシートの少なくとも一部分は、受け入れチャンバー内のロール装置に配置される。
【0041】
本方法はさらに、受け入れチャンバー内に配置された二つの保持ピンの間にエアロゾル形成基体のシートを配置する工程を含みうる。次に、シートは、二つの保持ピンの周りで円筒形状にロールされる。保持ピンは、保持ピンの間にシートを挿入して配置することを可能にするような距離で配置される。
【0042】
本発明による方法では、エアロゾル形成基体のシートをロールする工程は、装置ハウジングに対して装置の部品を回転させる工程、または装置ハウジングに対してエアロゾル形成基体のシートを回転させる工程を含むことが好ましい。本方法は、装置ハウジングに対して装置の回転部品を回転させること、および装置ハウジングに対してエアロゾル形成基体のシートを回転させること、の両方を含みうる。
【0043】
装置の部品の回転は、受け入れチャンバーの部品を回転させることを含むことが好ましい。
【0044】
例えば、二つの保持ピンなどのホルダーを回転させてもよく、または二つの保持ピンなどのホルダーを備えることが好ましい基部をロールしてもよい。
【0045】
本方法は、円筒形状のエアロゾル形成基体を加熱する工程を含むことが好ましい。加熱は、受け入れチャンバーの部分を加熱すること、例えば、受け入れチャンバー壁を加熱することによって、または、ホルダー、例えば、その周りに基体がロールされる保持ピンを加熱することによって行われることが好ましい。ところが、加熱はまた、例えば、エアロゾル形成基体のシート内に配置されたサセプタ材料を誘導加熱することによって、エアロゾル形成基体を直接加熱することによって実施されうる。
【0046】
エアロゾル形成基体のシートは、本発明による装置に配置されるのに十分な柔軟性を有する平坦な基体であり、外径形状へとロールされることが好ましい。
【0047】
「平坦な」基体という用語は本明細書では、実質的に二次元の位相幾何学的マニホールドの形態である基体を意味するために使用される。従って、平坦な基体は、第三の寸法よりも実質的に大きい表面に沿って二次元的に延びる。特に、その表面内での二つの寸法での平坦な基体の寸法は、表面に対して垂直な第三の寸法の少なくとも5倍である。平坦な基体は平面であることが好ましい。
【0048】
エアロゾル形成基体のシートの厚さは、0.2ミリメートル~6ミリメートルの範囲内であってもよく、0.5ミリメートル~4ミリメートル、例えば0.2ミリメートル~2ミリメートル、または0.4ミリメートル~4ミリメートルであることが好ましい。
【0049】
本明細書を通して値が述べられる時はいつでも、その値が明示的に開示されることが理解される。しかしながら、値は技術的考慮に起因して厳密に特定の値ではなくてもよいことも理解される。
【0050】
外径形状のエアロゾル形成基体のシートの直径は、4ミリメートル~18ミリメートルの範囲内であってもよく、6ミリメートル~12ミリメートル、例えば7ミリメートル~10ミリメートルであることが好ましい。
【0051】
エアロゾル形成基体は、円筒形状へとロールされるような柔軟性を備える。基体は、ロールの際に破断または破壊しないような柔軟性を備えることが好ましい。ロールは、基体をそれ自体の上に折り畳むことを除外することが好ましい。基体はロールの際に135度を超えて折り畳まれないことが好ましく、ロール装置によってロールされる際に90度を超えて折り畳まれないことがより好ましい。
【0052】
エアロゾル形成基体のシートは、単一のエアロゾル形成基体のシートであることが好ましい。
【0053】
エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。代わりに、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0054】
エアロゾル形成基体は、例えば、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出されたたばこ、および膨化たばこを含みうる。
【0055】
随意に、エアロゾル形成基体は、そのエアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される、追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むマイクロカプセルも含んでもよく、またこうしたマイクロカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0056】
エアロゾル形成基体は、所望の形状およびサイズへと形成された、または切断された均質化したたばこ材料のシートでありうる。
【0057】
エアロゾル形成基体のシートは実質的に長方形であることが好ましい。
【0058】
たばこ含有エアロゾル形成基体は、たばこ粒子、繊維粒子、エアロゾル形成体、結合剤、および例えばさらに風味を含む。
【0059】
エアロゾル形成たばこ基体は、たばこ材料、繊維、結合剤、およびエアロゾル形成体を含むたばこシートであることが好ましい。たばこシートはキャストリーフであることが好ましい。キャストリーフは、たばこ粒子、繊維粒子、エアロゾル形成体、結合剤、および例えば風味も含むスラリーから形成される、再構成たばこの一形態である。
【0060】
一つ以上のエアロゾル形成体を組み合わせて、その組み合わせたエアロゾル形成体の一つ以上の特性を利用してもよい。例えば、有効成分を運ぶトリアセチンの能力とグリセロールの保湿性を利用するためにトリアセチンをグリセロールおよび水と組み合わせてもよい。
【0061】
エアロゾル形成基体は、蝋または脂肪を含有してもよく、この蝋または脂肪は、固体エアロゾル形成基体からの低い温度でのエアロゾル形成物質の放出のために添加される。一部の蝋または脂肪は、これらの蝋または脂肪を含有する固体基体からエアロゾル形成体が放出される時の温度を下げる能力で知られている。
【0062】
エアロゾル形成基体のシートは、ニコチンで含浸されたセルロース材料のシートであってもよく、一つ以上の風味を含むことが好ましい。
【0063】
好ましくは、エアロゾル形成基体のシートは、一つ以上のエアロゾル形成体を含む均質化されたたばこ材料のシートである。
【0064】
本発明を実施形態に関してさらに説明し、それらの実施形態を下記の図面によって例示する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1図1はエアロゾル発生装置を示す。
図2図2は、エアロゾル形成基体のシートを含む図1のエアロゾル発生装置を示す。
図3図3は、動作位置にある移動可能な発熱体を備えるエアロゾル発生装置を図示する。
図4図4は、装置内に配置されたエアロゾル形成基体のシートを示す。
図5図5は、円筒形状へとロールした後のエアロゾル形成基体のシートを示す。
図6図6は、異なる実施形態の保持ピンを備えるロール装置の概略図である。
図7図7は、異なる実施形態の保持ピンを備えるロール装置の概略図である。
図8図8は、マウスピースの側面図および断面図である。
図9図9は、保持ピンの異なる実施形態を示す。
図10図10は、エアロゾル形成基体のシートを示す。
図11図11は、ロール装置と装置ハウジングとの間のコネクタを図示する。
図12図12は、ロール装置と装置ハウジングとの間のコネクタを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1は、装置ハウジング2およびマウスピース3を備える、ペン形状の電子エアロゾル発生装置を示す。装置ハウジング2内には、電池および制御ユニットが位置しうる(図示せず)。マウスピース3は、装置ハウジング2から着脱可能かつ装置ハウジング2に可逆的に接続可能である。
【0067】
マウスピース3は、巻かれたまたは円筒形状のエアロゾル形成のシート(図1に図示せず)を受けるためのくぼみ4を備える。
【0068】
装置1はまた、装置ハウジング2内に配置されたロール装置7を備える。ロール装置7は、ロールされた構成をエアロゾル形成基体のシートに付与するように構成される。図1に示す実施例では、ロール装置7は装置ハウジング2に回転可能に接続される。より具体的には、ロール装置7の回転可能な基部73は、装置1の軸100の周りを回転しうる。エアロゾル形成基体のシートを保持するためのホルダーは、巻取要素6として具体化される。巻取要素6は、回転可能な基部73に一体的に取り付けられ、この例では距離を置いた二つの突出ピン61、62を含む。ピン61、62は、それらの間に基体のシート5の挿入のための通路を画定するように相互に配置される。
【0069】
装置1はさらに、吸入可能なエアロゾルを生成するためなど、ロールされた構成にある時に基体と協働するよう適合された加熱配置を備える。
【0070】
加熱配置は、巻かれた基体に物理的に接触するためなどの、突出ピン61、62上に配置される第一の内側発熱体を備えうる。
【0071】
別の方法としてまたは追加的に、加熱配置は、例えば、以下にさらに示すように、回転可能な基部7上に取り付けられる第二の外側発熱体を含んでもよい。
【0072】
図2に示す通り、そのロールされていない形態の基体のシート5は、突出ピン61と突出ピン62との間に挿入される。
【0073】
回転可能な基部73は、対向して配置された二つの突起ガイド71を備える。突起ガイド71は、着脱可能なマウスピース3の側壁31の端に沿って位置する対応する受け入れ溝313内に挿入されるように適合される。
【0074】
マウスピース3は、その側壁31に沿って、対向し、かつ遠位に開いた細長い垂直通路311を画定する。これにより、マウスピース3は、装置ハウジング2の回転可能な基部7上に位置付けられ、ロールされていない基体5がマウスピースの垂直通路311を通過しうる。
【0075】
突起ガイド71および対応する受け入れ溝313の協働によって、マウスピース3と回転可能な基部7との間に接続が確立される。
【0076】
マウスピース3と回転可能な基部7との間の接続が確立されると、ユーザーは、矢印101で示されるようにマウスピース3を、例えば手動で回転させうる。これにより、装置ハウジング2に対する回転可能な基部7が回転し、結果として巻取要素6が回転する。巻取要素6のピン61、62の回転により、ピン61、62の周りの基体5のロールが生じる。
【0077】
手動で摺動可能なスイッチ22は、装置ハウジングに配置される。図1および図2で分かるように、スイッチは下方位置にある。スイッチ22は、外側発熱体(図示せず)に接続され、これは図1および2の装置ハウジング2の内側で収縮位置にある。収縮位置では、外側発熱体は、図2で分かるように、突出ピン61と突出ピン62との間の基体5の挿入を可能にする。
【0078】
外側発熱体は、装置ハウジング2内に挿入される収縮位置から、装置ハウジング2から突出する動作位置で移動可能である。外側発熱体は、図3に示す通り、スイッチ22によって移動可能である。
【0079】
図3は、外側発熱体が動作可能な抽出位置にある、装置1の斜視図である。従って、スイッチ22は上方位置にある。
【0080】
外側発熱体は、対向する二つの湾曲した加熱プレート8、9を含む。有利なことに、動作位置にある加熱プレート8、9は、マウスピース3の細長い垂直通路311に対応して位置する。それにより、基体が位置するくぼみ4が閉じられ、加熱プロセスが改善される。
【0081】
別の方法として、外側発熱体はまた、ロールされた基体5を囲み、それを加熱して吸入可能なエアロゾルを発生するように適合された単一の外周プレートを含んでもよい。
【0082】
図3では、マウスピース3は、動作位置にある外側発熱体の上をより良好に見るために、装置ハウジング2から分離されて描写されている。
【0083】
図4は、突出ピン61、62と、ピンの間に位置するロールされていない基体のシート5と、外側発熱体の発熱プレート8、9とを含む、回転可能な基部7を示す、装置1の上面図であり、発熱プレート8、9は、収縮位置にある。
【0084】
図5は、基体のシート5がピン61、62の周りに巻かれており、加熱プレート8、9が動作位置にある装置1の上面図を示す。ロールされたシートは、加熱プレート8、9と密接に接触する。
【0085】
図6および図7は、長方形の断面を有する突出ピン、および円形断面を有する突出ピンの斜視図を示す。図6のさらに距離が置かれたピンは、ピン61とピン62との間のロールされていない基体のシート5の挿入を簡素化する。図7に示すより狭いピンの配置は、ピン61とピン62との間に挿入されると、シートの保持を支持しうる。
【0086】
ピン61、62は回転可能な基部7上に取り付けられ、矢印101の方向で反時計回りに回転しうる。
【0087】
図8は、マウスピース3の側面図および底面図を示す。底面図により、マウスピース3の出口32の上を見ることができる。マウスピースは、出口32に対して狭幅部分を備えた円形断面を有する。図8の実施形態では、対向して配置される垂直通路311は、マウスピースの長さの約半分に沿って延びる。
【0088】
図9は、巻取要素6の突出ピン61、62の形状の異なる例を示す。具体的には、ピン61、62は、円形または長方形の断面を有しうる。長方形の断面を有するピンは、直線であってもよく、または図9び最下部の例に示すように、わずかに湾曲した形状を有してもよい。長方形の断面を有するピン61、62は、並列に配置されてもよく、または一つの線に整列されてもよい。
【0089】
図10は、エアロゾル形成基体のシート5を示す。この平坦なロールされていない形態で、基体は装置1内に挿入されうる。シート5は再構成キャストリーフたばこで作製されることが好ましい。
【0090】
基体5は、装置1で使用されるように構成された、高さ50および長さ51を有する。非限定的な例では、シート5のサイズは12ミリメートル×125ミリメートルである。例えば、サイズは、例えば、所望の巻かれたシートの直径、装置1のくぼみ4のサイズである、サイズ、または所望のエアロゾル発生量に適合されうる。
【0091】
ユーザーとたばこ基体5との直接接触を制限するために、基体5にエンベロープ材料10が提供されてもよい。エンベロープ材料10は紙で作製されることが好ましい。
【0092】
エンベロープ材料10は、基体5をエンベロープ材料から抽出するための開口部部分11を備える。開口部部分11は、エンベロープの開口を容易にするためのタブ112を有する引きはがし線を備える。
【0093】
開口部部分11は、エンベロープ材料10の長軸方向の端に近接して位置する。ユーザーは、タブ112の助けを借りて、引きはがし線11に沿って紙のエンベロープ10を引きはがしうる。短い開口部部分11によって長方形のエンベロープを保持しながら、エンベロープの長い部分を取り外しうる。
【0094】
エンベロープの短い部分を保持することにより、ユーザーは、基体5または基体の一部分を巻取要素6のピン61とピン62との間に位置付け、次に上述のように巻き取りを進めることができる。このようにして、基体5をくぼみ5内に挿入し、ユーザーによる接触を必要とすることなく、ロールすることができる。
【0095】
図11および図12において、回転可能な基部7およびハウジング2は、コネクタ25によって係合可能である。
【0096】
回転可能な部品7は、図12に示す通り、ハウジング2の側面開口部253を通して外向きに延びうるタブ251を備える。それによってハウジングおよび回転可能な基部7が係合され、ハウジングに対する基部7の回転が防止される。図11に示すタブ251の非拡張位置では、回転可能な基部7およびハウジング2は係合していない。この位置では、基部7はハウジング2に対して回転しうる。
【0097】
ハウジング2は、「喫煙」位置と「ロール」位置との間で手動で移動可能なスイッチ252を備える。
【0098】
スイッチ252がロール位置(図11)に設定されると、タブ251は外側に突出することが防止される。したがって、ハウジング2との係合は可能ではない。このように、回転可能な基部7は、基体5が巻取要素6の周りに巻かれるまで、ハウジング2に対して自由に回転できる。
【0099】
スイッチ252が「喫煙」位置に設定されると、(図12)、側面開口部253と対応するときに、タブ251がハウジングから外向きに延びる。したがって、回転可能な基部7とハウジング2との間の接続が確立され、これが基部7とハウジング2との間のさらなる相対的回転を防止する。喫煙位置では、ユーザーは吸入体験を開始しうる。例えば、ユーザーは、図2に示す開始ボタン21を起動させて、基体の加熱を開始しうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12