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特許7163299ハイブリッド車の変速機におけるギヤ比の変更を制御する方法及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】ハイブリッド車の変速機におけるギヤ比の変更を制御する方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/10 20120101AFI20221024BHJP
   B60K 6/387 20071001ALI20221024BHJP
   B60K 6/36 20071001ALI20221024BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20221024BHJP
   B60W 20/30 20160101ALI20221024BHJP
   B60W 20/40 20160101ALI20221024BHJP
   B60W 20/50 20160101ALI20221024BHJP
   B60W 10/02 20060101ALI20221024BHJP
   F16H 61/02 20060101ALI20221024BHJP
   F16H 61/12 20100101ALI20221024BHJP
   F16H 61/68 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
B60W10/10 900
B60K6/387
B60K6/36
B60K6/48
B60W20/30
B60W20/40
B60W20/50
B60W10/02 900
F16H61/02
F16H61/12
F16H61/68
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019547387
(86)(22)【出願日】2018-01-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 FR2018050145
(87)【国際公開番号】W WO2018162809
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】1751980
(32)【優先日】2017-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャントレル, セドリック
(72)【発明者】
【氏名】シャムロワ, アドリヤン
(72)【発明者】
【氏名】ル-ブラーズ, ロナン
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-139227(JP,A)
【文献】国際公開第2015/197927(WO,A1)
【文献】実開昭63-025861(JP,U)
【文献】特開平01-238741(JP,A)
【文献】米国特許第06205874(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 20/50
B60K 6/20 - 6/547
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
F16H 61/02
F16H 61/12
F16H 61/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車の変速機におけるギヤ比の変更を制御し、車両のホイールに向けて様々な変速比で、いくつかのアクチュエータからのトルクをいくつかの爪カップリング(C1、C2、C3)の制御の下で組み合わせる制御方法であって、
前記いくつかの爪カップリング(C1、C2、C3)のうち少なくとも2つの爪カップリング(C1、C3)は共通フィンガ(10)により制御され、当該制御のために、前記共通フィンガ(10)は、2つの平行なギヤシフトラインのいずれかを選択するための選択モータ(Ms)により、前記2つの平行なギヤシフトラインの間を第1の方向(Y)に移動可能であり、かつ、中間のニュートラル位置を経由して2つのギヤの一方又は他方と係合するために、ギヤシフトモータ(Me)により、前記第1の方向(Y)と直交する第2の方向(X)に移動可能であり、
前記共通フィンガ(10)により制御される前記少なくとも2つの爪カップリング(C1、C3)の1つである一次爪カップリング(C1)について、前記第2の方向(X)に沿う軸位置に関して、信頼できる情報が得られない場合に、前記一次爪カップリング(C1)が、各新たなギヤ比解除命令に際して常にニュートラルであることがチェックされ、当該チェックのために、
-前記ギヤシフトモータ(Me)を、前記ニュートラル位置へと開ループ制御し、
-前記共通フィンガ(10)の選択モータ(Ms)を、選択位置へと、所与の期間にわたって作動させ、
-選択における実際の移動を観察し、移動しないか、移動が不十分であってニュートラルが確認されない場合には、所定の係合を承認しない、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項2】
-前記選択位置に、前記期間の終わりに到達した場合は、前記一次爪カップリング(C1)はニュートラル位置にあると確認したうえで、前記変速機の前記ギヤ比のすべてを承認し、
-前記選択位置に、前記期間の終わりに到達しなかった場合は、前記一次爪カップリング(C1)のニュートラル位置は依然として不明であるとして、選択ガイダンスを停止し、前記少なくとも2つの爪カップリング(C1、C3)により係合する前記ギヤ比のいずれも承認しないことを特徴とする、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記期間は、ギヤ比からニュートラルへの、前記一次爪カップリング(C1)の移動の実行時間に安全マージンを加えた時間であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記一次爪カップリング(C1)の軸位置測定信号の状態が不良である場合には、当該一次爪カップリング(C1)の位置は不明であるとみなすことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項5】
ハイブリッド車の変速機におけるギヤ比の変更を制御する制御デバイスであって、中実一次シャフト(5)に接続された内燃機関(1)からのトルク、前記中実一次シャフト(5)に同心の中空一次シャフト(6)に接続された主電気機械(3)からのトルク、及び、前記中実一次シャフト(5)及び中空一次シャフト(6)へのトランスファシャフト(8)に接続された二次電気機械(4)からのトルクが、車両のホイールに向かう共通出力シャフト(7)上に組み合わせられ、当該組み合わせは、前記中実一次シャフト(5)、前記共通出力シャフト(7)、及び前記トランスファシャフト(8)の上にそれぞれ配置された3つの爪カップリング(C1、C2、C3)の制御の下に実施され、前記3つの爪カップリング(C1、C2、C3)のうち一次爪カップリング(C1)及び三次爪カップリング(C3)は共通フィンガ(10)により制御され、当該制御のために、前記共通フィンガ(10)は、2つの平行なギヤシフトラインの間を、選択モータ(Ms)により、第1の方向(Y)に移動可能であり、かつ、前記共通フィンガ(10)は、中間のニュートラル位置を経由して、選択したギヤシフトライン上の2つのギヤの一方又は他方と係合するために、ギヤシフトモータ(Me)により前記第1の方向(Y)と直交する第2の方向(X)に移動可能であり、
前記一次爪カップリング(C1)について、前記第2の方向(X)に沿う軸位置に関して、信頼できる情報が得られない場合に、前記一次爪カップリング(C1)が、各新たなギヤ比解除命令に際して常にニュートラルであることがチェックされ、当該チェックのために、
-前記ギヤシフトモータ(Me)を、前記ニュートラル位置へと開ループ制御し、
-前記共通フィンガ(10)の選択モータ(Ms)を、選択位置へと、所与の期間にわたって作動させ、
-選択における実際の移動を観察し、移動しないか、移動が不十分であってニュートラルが確認されない場合には、所定の係合を承認しない、
ことを特徴とする制御デバイス。
【請求項6】
-前記選択位置に、前記期間の終わりに到達した場合は、前記一次爪カップリング(C1)はニュートラル位置にあると確認したうえで、前記変速機の前記ギヤ比のすべてを承認し、
-前記選択位置に、前記期間の終わりに到達しなかった場合は、前記一次爪カップリング(C1)のニュートラル位置は依然として不明であるとして、選択ガイダンスを停止し、前記共通フィンガにより制御される前記一次爪カップリング(C1)及び三次爪カップリング(C3)により係合する前記ギヤ比のいずれも承認しないことを特徴とする、請求項5に記載の制御デバイス。
【請求項7】
前記期間は、ギヤ比からニュートラルへの、前記一次爪カップリング(C1)の移動の実行時間に安全マージンを加えた時間であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の制御デバイス。
【請求項8】
前記一次爪カップリング(C1)の軸位置測定信号の状態が不良である場合には、当該一次爪カップリング(C1)の位置は不明であるとみなすことを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の制御デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機の制御、特に、ディファレンシャルを用いての、様々な変速比での、車両のホイールに向かう、いくつかのアクチュエータ(内燃機関及び電気機械)からのトルクを組み合わせる、ハイブリッド車のパワートレインに関する。
【0002】
本発明は、この種類の変速機に適用する。この変速機では、ギヤ比の噛み合い及び噛み合い解除は、シンクロナイザなく案内される爪カップリングシステムにより行われる。シャフト上を軸方向に移動可能な爪は、軸方向に固定されている、このシャフト上を自由に回転するピニオンに強固に接続された爪に向けて、制御フォークを用いて案内され、トルクをホイールに伝えるために、シャフト及びピニオンと係合する。
【0003】
より具体的には、この発明は、ハイブリッド車の変速機におけるギヤ比の変更を制御する方法に関する。この方法は、車両のホイールに向かう、様々な変速比での、いくつかのアクチュエータからのトルクを、いくつかの爪カップリングの制御の下で組み合わせる。様々な爪カップリングの少なくとも2つのカップリングは、選択モータにより、第1の方向(Y)に、2つの平行なギヤシフトラインの間を、それらの1つを選択するために、及び、ギヤシフトモータにより、第1の方向と直交する第2の方向(X)に、中間ニュートラル位置を経由することにより2つのギヤの一方又は他方と噛み合うように、移動可能な共通フィンガにより制御される。
【0004】
本発明はまた、ハイブリッド車の変速機におけるギヤ比の変更を制御するデバイスにも関する。このデバイスは、中実一次シャフトに接続された内燃機関からのトルクと、中実一次シャフトに同心の中空一次シャフトに接続された主電気機械からのトルクと、中実及び中空一次シャフトへのトランスファシャフトに接続された二次電気機械からのトルクとを、車両のホイールに向かう共通出力シャフト上にて、中実一次シャフト、二次シャフト、及びトランスファシャフトの上にそれぞれ配置された3つの爪カップリングの制御の下で組み合わせる。第1のカップリング及び第3のカップリングは、選択モータにより、第1の方向に、2つの平行なギヤシフトラインの間を、及び、ギヤシフトモータにより、第1の方向と直交する第2の方向に、2つのギヤ比の一方又は他方と噛み合うように、移動可能な共通フィンガにより制御される。
【背景技術】
【0005】
ここで引用可能なフランス特許第3007696号は、3つのシャフト及び2つの電気機械を有する、3つの爪カップリングシステムを用いる、ハイブリッド変速機アーキテクチャを記載する。そのガイダンスは、それらのそれぞれの、噛み合った状態又は噛み合いが解除された状態の信頼できる知識を必要とする。
【0006】
移動可能な爪及びフォークの作動システムのガイダンスは、固定された爪及びアイドラギヤと関連して、フォーク又は移動可能な爪の正確な位置についての、連続するフィードバックを必要とする。フォーク又は爪の位置情報は通常、位置センサにより送られる。
【0007】
フランス特許第3030005号は、案内付きカップリングシステム式のハイブリッドパワートレイン変速機における、移動可能な爪の噛み合い解除限度位置を制御する方法を開示する。この方法によると、爪の位置の値は、爪制御フォークの位置を測定するセンサから取得される。
【0008】
センサが故障すると、作動システムのガイダンスが中断するリスクがある。これらの状況を踏まえ、運転者に対するパワートレインの可用性の維持が求められる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、爪制御フォークの位置センサがない場合に、又は、故障した場合に、変速機のドライブラインがニュートラル状態にあることを確認することである。
【0010】
この目的のために、本発明は、共通フィンガにより制御される一次爪カップリングの第2の方向(X)に沿う軸位置に関して、信頼できる情報が得られない場合に、以下を提案する:
-ギヤシフトモータMe)を、ニュートラル位置へと開ループ制御
-共通フィンガの選択モータ(Ms)を、選択位置へと、所与の期間にわたって作動させ、
-選択における実際の移動を観察し、移動しないか、移動が不十分であってニュートラルが確認されない場合には、所定の係合を承認しない、
好ましくは:
-所望する選択位置に、期間の終わりに到達した場合は、一次カップリングニュートラル位置にあると確認したうえで、変速機のギヤ比のすべて承認し、
-所望する選択位置に、期間の終わりに到達しなかった場合は、一次カップリングのニュートラル位置依然として不明であるとして、選択ガイダンス停止し、カップリングにより係合するギヤ比のいずれも承認しない
【0011】
本発明は、以下の添付図面を参照し、以下の、本発明の非限定の実施形態の説明を読むことにより、よく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、ハイブリッドパワートレインの簡略レイアウト図である。
図2図2は、同ハイブリッドパワートレインの簡略レイアウト図である。
図3図3は、同ハイブリッドパワートレインの簡略レイアウト図である。
図4図4は、同ハイブリッドパワートレインの簡略レイアウト図である。
図5図5は、ギヤボックスの3つのカップリングの動作を示す。
図6図6は、制御フィンガの選択及び噛み合いゲートを示す。
図7図7は、提示するストラテジのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図4は、3つのシャフト及び2つの電気機械を有する、3つの爪カップリングシステムを用いる、ハイブリッド変速機の一例を示す。その作動は、引用する公表文献に示されている。変速機は、3つのアクチュエータ(内燃機関2、主電気機械3、二次電気機械4)と、内燃機関に接続された中実一次シャフト5と、主電気機械3に接続された中空一次シャフト6と、二次シャフト7と、二次電気機械に接続された中間シャフト8とを含む。ギヤ比は、機械的シンクロナイザが提供されない、3つの爪カップリングC1、爪カップリングC2、爪カップリングC3により噛み合う、すなわち:
-中実一次シャフト5上の、一次カップリングC1として知られる第1のカップリングは、内燃機関の長いギヤ比ICE4と右側にて噛み合い、2つの一次シャフトと左側にて接続されるよう使用される。
-二次シャフト上の、二次カップリングC2として知られる第2のカップリングは、2つの電気系ギヤ比EV1及び電気系ギヤ比EV2と噛み合うよう使用される。
-中間シャフト8上の、トランスファカップリングC3として知られる第3のカップリングは、二次電気機械から、二次シャフト7(右側)又は中空一次シャフト6(左側)へトルクを伝達するよう使用される。
【0014】
3つのカップリングC1、カップリングC2、及びカップリングC3は、図5にしたがって制御され得る、すなわち:
-二次カップリングC2は、カップリングC1及びカップリングC3とは独立して、作動モータM2により平行移動するフィンガ9により制御される。
-カップリングC1及びカップリングC3は、共通フィンガ10により、そのフィンガを、カップリングC1又はカップリングC3の切り欠きに配置する選択モータMsと、選択されたカップリングC1又はカップリングC3を移動させるギヤシフトモータMeと、の作動の下で制御される。
【0015】
変速機は、中実一次シャフト5に接続された内燃機関1からのトルクと、中実一次シャフト5に同心の中空一次シャフト6に接続された主電気機械3からのトルクと、中実及び中空一次シャフト5及び6へのトランスファシャフト8に接続された二次電気機械4からのトルクとを、車両のホイールに向かう共通出力シャフト7上にて、組み合わせる。ギヤ比の変更は、中実一次シャフト5、二次シャフト6、及びトランスファシャフト8の上にそれぞれ配置された3つの爪カップリングC1、爪カップリングC2、及び爪カップリングC3の制御の下で行われる。第1のカップリングC1及び第3のカップリングC3は、選択モータMsにより、第1の方向(Y)に、2つの平行なギヤシフトラインの間を、及び、ギヤシフトモータMeにより、第1の方向と直交する第2の方向(X)に、選択したライン上の2つのギヤの一方又は他方と噛み合うように、移動可能な同フィンガ10により制御される。
【0016】
共通フィンガ10は、図6により示されるH形状のゲート上を移動する。このゲートは、フィンガ10がどのように移動できるかを示す、すなわち:Yに沿うと、カップリングC1又はカップリングC3を選択し、Xに沿うと、選択したカップリングが移動する。そのような選択ゲートは、Xに沿う位置が「ニュートラル」でない場合に、Y軸に沿ういずれの移動を防止するという事実の点において、提示する制御方法は利点がある。1つのギヤ比からの噛み合いを解除する命令が発行され、待機時間が経過すると、システムは、選択アクチュエータMsのY軸に沿う移動を要求し、この選択の実際の移動を観察する、すなわち:
-移動がない場合、又は、移動が不十分である場合は、ニュートラルを確認できず、変速機が故障していると宣言し、所定の噛み合い承認しない、
-移動が十分である場合は、ニュートラルを確認し、ギヤシフトシーケンスのすべてを行うことができる。
【0017】
一次カップリングC1などのカップリングのニュートラル位置を検出する方法は、変速機のニュートラル位置を確認し、ギヤシフトシーケンスを行うことを可能にする。これは続いて、フォーク位置センサが故障していても、承認される。
【0018】
図1図4は、対象の変速機が、4つの、内燃機関のギヤ比ICE1~ギヤ比ICE4と、2つの、電気系ギヤ比EV1及びギヤ比EV2と、それらのハイブリッド的組み合わせとfを有することを示す。安全のため、一次爪C1の位置が不定であると、これらのギヤ比のいくつかが禁止されなければならない。
【0019】
図1及び図2は、一次爪C1がニュートラル位置に確実にある場合に承認されるギヤ比を示す、すなわち:それぞれが、図1における第1の内燃機関のギヤ比ICE1及び図2における第3の内燃機関のギヤ比ICE3である内燃機関のギヤ比ICE1及びギヤ比ICE3;電気系ギヤ比EV1及びギヤ比EV2もまた、二次カップリングC2の移動により承認される。そして、2つの電気系ギヤ比EV1及びギヤ比EV2の、内燃機関のギヤ比ICE1及びギヤ比ICE3とのハイブリッド的組み合わせ。
【0020】
図3及び図4は、一次爪C1が「不定」位置にあると検出される場合に承認されるギヤ比のみを示す、すなわち:2つの電気系ギヤ比EV1及びギヤ比EV2。だたし、内燃機関のギヤ比との、それらのいずれのハイブリッド的組み合わせを除く。
【0021】
制御ループにおける入力信号は以下の通り:
-Claw_prim_psn_vld:一次シャフト爪位置有効性インジケータ(=NOKの場合は0、=OKの場合は1)、
-Safety_claw_prim_psn_vld:冗長一次シャフト爪位置有効性インジケータ(レベル2の安全性)(=NOKの場合は0、=OKの場合は1)、
-Claw_prim_psn_reg:一次爪位置調節状態(=非アクティブの場合は0、又は、=アクティブの場合は1)、
-Selection_psn:一次爪選択位置測定値(=低状態の場合は0、=高状態の場合は1)。
【0022】
出力信号は以下の通り:
-Prim_neut_chr_act:ストラテジの状態を示す(=非アクティブの場合は0、又は、=アクティブの場合は1)、
-Claw_prim_psn_sp:一次爪軸位置(ニュートラル又はギヤ比の噛み合い有り)セットポイント、
-Selection_psn_sp:一次爪選択位置セットポイント(フィンガ10の位置に相当する)(=低状態の場合は0、=高状態の場合は1)、
-Claw_prim_chk_chr:ストラテジの結果を示す情報(=不定位置の場合は0、又は、=ニュートラル位置の場合は1)、
-Ice_switch_req:内燃機関スイッチオフ要求(=スイッチオフ要求のない場合は0、又は =スイッチオフ要求のある場合は1)。
【0023】
フィンガ10により制御されるカップリングC1の爪の(X)に沿う軸位置に関して、信頼できる情報が利用可能でない場合に、承認されるギヤ比の数を制限する、ここに提示する方法は、以下の通り:
-ギヤシフトアクチュエータMeを、ニュートラル位置へと開ループ制御することと、
-選択アクチュエータMsを、選択位置へと、所与の期間にわたって制御すること。
【0024】
所望する選択位置に、期間の終わりに到達した場合は、一次カップリング(C1)ニュートラル位置にあると確認したうえで、変速機のギヤ比のすべてが承認される。反対に、所望する選択位置に、期間の終わりに到達しなかった場合は、一次カップリング(C1)のニュートラル位置依然として不明あるとして、選択ガイダンス停止し、カップリング(C1、C3)により係合するギヤ比はどれも承認されない。
【0025】
本方法を、図7のフローチャートに詳細に示す。その順序は以下の通り。
【0026】
ステップ1
一次爪C1の軸位置測定信号の状態(ニュートラル又はギヤ比の噛み合い有り)が、主制御レベル(Claw_prim_psn_vld)及び冗長制御レベル(Safety_claw_prim_psn_vld)からの有効性インジケータを介してモニタされる。これらの主条件が、アルゴリズムの以降のステップを承認する。
【0027】
ステップ2
これら2つの有効性インジケータの1つが故障(Claw_prim_psn_vld 又はSafety_claw_prim_psn_vld=NOK)を示すと、一次爪の軸位置センサに故障があるとみなされる。位置情報は信頼されず、位置は不定であるとみなされる。
【0028】
ステップ3
信頼できる一次爪の軸位置が利用可能でないため、システムは安全モードに切り替えられる必要があり、一次爪はニュートラル位置へ開ループ制御(Claw_prim_psn_sp)される必要がある。
【0029】
ステップ4
システムは、噛み合っている内燃機関のギヤ比(ICE2又はICE4)からの一次爪の移動の実行時間、そしてこれに加えて安全マージンを含む、較正可能な期間Xにわたって待機する。
【0030】
ステップ5
図中のselection(選択)フィンガ10の選択アクチュエータMsが、較正可能な期間Yにわたって作動する(Selection_psn_sp=1)。このストラテジはまた、アクティブであると宣言される(Prim_neut_chr_act=1)。
【0031】
ステップ6
全作動期間をとおして、selection(選択)によるトップ位置に到達することがモニタされる。トップ位置に到達すると(Selection_psn=1):
-選択ガイダンスが即時停止する(Selection_psn_sp=0及びPrim_neut_chr_act=0)(ステップ6.1.1)、
-一次爪が確実にニュートラル位置にあると宣言される(Claw_prim_chk_chr=1)(ステップ6.1.2)、
-ハイブリッド(Hyb11/12/31/32)及び内燃機関(ICE1又はICE3)のギヤ比が承認される(図3を参照)(ステップ6.1.3)、
-ギヤ比が再度解除されると、ストラテジが再開され(ステップ6.1.4)、一次爪(C1)が、各新たな解除命令において常に確実にニュートラルであるようにする。
【0032】
期間Yの終わりにハイレベルに到達していないと(Selection_psn=0):
-選択ガイダンスが停止する(Selection_psn_sp=0及びPrim_neut_chr_act=0)(ステップ6.2.1)、
-一次爪が不定位置にあると宣言される(Claw_prim_chk_chr=0)(ステップ6.2.2)、
-ハイブリッド及び内燃機関のギヤ比のすべてが、一次爪位置センサにおける故障が修理されるまで、禁止される。加えて、内燃機関のスイッチオフが要求される(Ice_switch_req=1)。
符号説明
C1、C2、C3:爪カップリング
C1:一次爪カップリング
C3:三次爪カップリング
10:共通フィンガ
Ms:選択モータ
Me:ギヤシフトモータ
Y:第1の方向
X:第2の方向
1:内燃機関
3:主電気機械
4:二次電気機械
5:中実一次シャフト
6:中空一次シャフト
7:共通出力シャフト
8:トランスファシャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7