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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】器具ハンドル上の迅速連結装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20221024BHJP
【FI】
A61B17/16
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019548686
(86)(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 US2018021034
(87)【国際公開番号】W WO2018165083
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】15/453,664
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ショイバー・パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】アエビ・ディス
(72)【発明者】
【氏名】レイピア・レット・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ベラパリル・フェリックス
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-501855(JP,A)
【文献】特表2013-521991(JP,A)
【文献】特表2000-503554(JP,A)
【文献】特表平7-501965(JP,A)
【文献】米国特許第5735855(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具ハンドルとともに使用する装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に受容可能なノブであって、前記ノブは、器具バルブ及びネックを受容する鍵穴構造を有する、ノブと、
前記ノブを受容する、前記ハウジング内のスロットと、
を備え、
前記ノブは、器具の設置及び取り外しを容易にするために前記スロット内に圧入され
前記スロットは、円筒状であり、
前記ノブは、直方体の形状を有し、
前記ノブは、前記スロット内に嵌合する丸みを帯びた縁部を有し、
水抜き穴が前記スロットの底部に形成されており、
前記水抜き穴は前記ハウジングを貫通している、装置。
【請求項2】
少なくとも1つのばねと、
前記少なくとも1つのばねを圧縮及び解放するように構成されている、前記ノブに取り付けられた少なくとも1つのばね支持体と、
を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのばねの前記解放により、前記ノブをロック位置に配置する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのばねの前記圧縮により、前記器具の設置及び取り外しを容易にするために前記ノブを開放位置に配置する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記ノブは、挿入された器具の望ましくない分離を防止する切削溝を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ハウジングは高さを有し、前記器具を設置する又は取り外すために、前記ノブが前記高さよりも下に前記スロット内に圧入される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、バルブとネックとシャフトとを有する交換式器具を受容するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記鍵穴構造は、器具受容部と、前記器具と連結する角度付き連結面と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記連結面は、前記器具のネックを、その周囲180度超で受容するように構成された円形状を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ノブは、凹面を有する押圧スポットを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ハウジングは前記ハウジング内の前記ノブの取付方向に垂直な方向にピンを受容するように構成されたピン穴を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記器具が前記装置に連結されたときに回転するのを防止する張り出し部を含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明する実施形態は、様々な交換可能器具を保持及び解放するための連結装置を含む。
【背景技術】
【0002】
器具をハンドルに連結する連結装置は、ピンなどの内部構成要素の屈曲及び破壊、又は器具が連結具に詰まるなどの問題を有し得る。器具の前部に抵抗がないときにハンマがハンドルに当たると、いくつかの問題が生じ得る。部品の慣性及び設計により、部品が望ましくない分離方向に移動できるようになり得る。また、小さい連結域は、接触領域内の永久変形をもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
様々な実施形態の簡単な概要が、以下に提示される。以下の概要では、いくつかの単純化及び省略が行われることがあり、これらは、様々な実施形態のいくつかの態様を強調及び紹介することを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図しない。当業者が本発明の概念を作り上げ、使用することができるようにするために、適切な実施形態に関する詳細な説明が、この後の各項に続く。
【0004】
様々な例示的な実施形態は、器具ハンドルとともに使用する装置であって、ハウジングと、ハウジング内に受容可能なノブであって、ノブは、器具バルブ及びネックを受容する鍵穴構造を有する、ノブと、ノブを受容する、ハウジング内のスロットと、を含み、ノブは、器具の設置及び取り外しを容易にするためにスロット内に圧入される、装置に関する。
【0005】
この装置は、少なくとも1つのばねと、少なくとも1つのばねを圧縮及び解放するように構成されている、ノブに取り付けられた少なくとも1つのばね支持体と、を更に含んでもよい。
【0006】
少なくとも1つのばねの解放により、ノブをロック位置に配置し得る。
【0007】
少なくとも1つのばねの圧縮により、器具の設置及び取り外しを容易にするためにノブを開放位置に配置し得る。
【0008】
スロットは、円筒状とすることができる。
【0009】
ノブは、直方体の形状を有し得る。
【0010】
ノブは、円筒状スロット内に嵌合する丸みを帯びた縁部を有し得る。
【0011】
ノブは、挿入された器具の望ましくない分離を防止する切削溝を含み得る。
【0012】
ハウジングは高さを有し得、器具を設置する又は取り外すために、ノブが高さより下にスロット内に圧入され得る。
【0013】
ハウジングは、バルブとネックとシャフトとを有する交換式器具を受容するように構成され得る。
【0014】
鍵穴構造は、器具受容部と、器具と連結する角度付き連結面と、を含み得る。
【0015】
連結面は、器具のネックを、その周囲180度超で受容するように構成された円形状を有し得る。
【0016】
装置は、ハウジングの中に形成された複数の水抜き穴を含み得る。
【0017】
複数の水抜き穴は、ハウジング内のノブの取付方向と反対側のハウジングの側面上に形成され得る。
【0018】
ノブは、凹面を有する押圧スポットを含み得る。
【0019】
ハウジングは、ハウジング内のノブの取付方向に垂直な方向にピンを受容するように構成されたピン穴を含み得る。
【0020】
ハウジングは、器具が装置に連結されたときに回転するのを防止する張り出し部を含み得る。
【0021】
様々な例示的な実施形態はまた、高さを有し、ノブが内部に挿入されているハウジングを使用して、器具を定位置にロックする方法であって、器具先端部の取り外し及び設置を可能にするようにハウジングの高さよりも下にノブを押圧することと、ノブを解放して、器具先端部を定位置にロックすることと、を含む、方法に関する。
【0022】
器具先端部はハウジングの鍵穴構造内に受容され得、鍵穴構造は器具受容部と連結面と切削溝とを有する。
【0023】
この方法は、第1の位置から第2の位置へノブをシフトさせて、器具を定位置にロックすることを含み得、第1の位置では、器具のネックは実質的に器具受容部内にあり、第2の位置では、器具のネックは実質的に連結面内にある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の追加の目的及び特徴は、図面と併せて読むと、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲からより容易に明らかとなるであろう。いくつかの実施形態が図示及び説明されているが、同様の参照番号は、図面のそれぞれにおける同様の部品を特定する。
図1】本明細書で説明する実施形態による、器具ハンドル上の迅速連結装置の斜視図を示す。
図2】本明細書で説明する実施形態による、迅速連結装置のハウジングの斜視図を示す。
図3図2によるハウジングの底面図を示す。
図4図2によるハウジングの断面図を示す。
図5】本明細書で説明する実施形態による、ノブの斜視図を示す。
図6】本明細書で説明する実施形態による、ノブが挿入されているハウジングを有する迅速連結装置の断面図を示す。
図7図5によるノブの断面図を示す。
図8】本明細書で開示した迅速連結装置とともに使用され得る交換式器具の一端の一例を示す。
図9】本明細書で説明する実施形態による、ロック位置にあるバルブ及びネックの断面図を示す。
図10】本明細書で説明する実施形態による、ノブがロック位置にある迅速連結装置の断面図を示す。
図11】本明細書で説明する実施形態による、ロック位置においてノブが器具ネックを連結面に連結している迅速連結装置の断面図を示す。
図12】本明細書で説明する実施形態による、ノブ及び器具バルブが開放位置にある迅速連結装置の断面図を示す。
図13】本明細書で説明する実施形態による、ノブ及び器具バルブが部分的ロック位置にある迅速連結装置の断面図を示す。
図14】本明細書で説明する実施形態による、器具挿入方向の迅速連結装置の断面図である。
図15】本明細書で開示した実施形態による、ノブに対する衝撃力を示している迅速連結装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面は単に概略図であり、縮尺どおりに描かれていないことを理解されたい。同一の参照番号は、同一又は類似の部品を示すために図面全体にわたって使用されることも理解されたい。
【0026】
本明細書及び図面は、様々な例示的実施形態の原理を示す。このため、当業者は、本明細書には明示的に説明又は提示されていないが、本発明の原理を具体化し、本発明の範囲内に包含される様々な構成を考案することが可能であることを理解されたい。更に、本明細書中に示される全ての実施例は、本発明の原理、及び本技術を推し進めるために本発明者(複数可)によって寄与された概念を理解する際に読者を支援する教育的目的であることが主に明白に意図されており、このような詳細に示された実施例や条件に限定されないものとして解釈されるべきである。また、用語「又は」は、本明細書中で使用される場合、特段の指示(例えば、「又は他方」あるいは「又は代替的に」)がなければ、非排他的論理和(すなわち、及び/又は)を指す。また、いくつかの実施形態を、1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせて新しい実施形態を形成することができるため、本明細書で説明する様々な実施形態は、必ずしも相互に排他的ではない。本明細書中で使用される場合、用語「文脈」及び「文脈オブジェクト」は、特段の指示がなければ、同義であると理解されよう。「第1」、「第2」、「第3」などの記述は、説明される要素の順序を制限することを意味するものではなく、ある要素を次の要素と区別するために使用され、概して交換可能である。
【0027】
一般に、新たに導入された部品に構成要素の番号付けが実行され、新しい参照番号が使用される。いくつかの図面では、過剰な番号付けを防止するために、前の図面の構成要素部品を後の図面に持ち越す。
【0028】
図1は、本明細書で説明する実施形態による、器具ハンドル110上の迅速連結装置100の斜視図を示す。迅速連結装置100は、ノブ130が挿入され連結されたハウジング120を含む。器具ハンドル110は、迅速連結装置100に隣接する近位端と、迅速連結装置100から遠端にある遠位端とを有してもよい。ハンマ又は他の打撃器具(図示せず)を器具ハンドル110の遠位端の打撃キャップ115に対して適用して、迅速連結装置100に連結された器具を打撃の方向に駆動することができる。ハンドル110は、把持目的のためにシリコーンカバーなどでオーバーモールドされた主部140を含んでもよい。主部140は、カバーを通って延び、溶接又は他の方法によって迅速連結装置100のハウジング120に接続されてもよい。ハウジング120は、アルミニウム又は同様の金属若しくは合金で作製された鋳造金属部品であり得る。ハウジング120は、チゼル、ファイル、ナイフ、マロット、骨キュレット、上昇機などを含む複数の交換可能器具のうちの任意の1つを受容及び解放するように構成された器具開口部150を含み得る。図1に示すように、ノブ130は、ハウジング120からロック位置に突出している。
【0029】
図2は、本明細書で説明する実施形態による、迅速連結装置100のハウジング120の斜視図を示す。ハウジング120は、接続ロッド245を含む。接続ロッド245は、ハンドル110の主部140に挿入され、次いでハウジング120に溶接される。ハウジング120の形状又は断面は、接続ロッド245に向かって大きくなっており、器具開口部150に近づくにつれより狭くなるようにテーパ状になっている。ハウジング120のより広い部分は、挿入された器具をハウジング120に連結するのに十分な大きさのノブ130を受容するように構成されている。ハウジング120のより狭い部分は、張り出し部255を含む。張り出し部255は、その外側では丸みを帯びており、内側では平坦である。張り出し部255の内側平坦面は、器具の平坦なセクションと連結して、迅速連結装置100に連結されたときに器具が回転するのを防止する。
【0030】
ハウジング120の外部特徴部は、いくつかの装置要素が受容されるいくつかの涙滴又は水滴面形状225a及び225bを含む。本明細書で説明するように、第1の水滴形状225aを通して、ノブ130を受容するためのスロット210が製造される。第2の水滴形状225bを通して、その片側にピン穴235が位置付けられる。本明細書の実施形態で説明するように、ノブ130がスロット210に挿入された後、ピンがピン穴235に挿入されて、ノブ130がハウジング120から取り外されるのを防止し、したがって、ノブ130をスロット210内に捕捉し、器具を迅速連結装置100に連結することができる。
【0031】
図3は、図2によるハウジング120の底面図を示す。本明細書で説明する実施形態は、挿入されたノブ130をハウジング120から取り外す必要なく、又は迅速連結装置100をハンドル110から取り外すことなく、迅速連結装置100の洗浄を容易にする。ハウジング120の片側には、複数の水抜き穴310a及び310bが製造されている。水抜き穴は、円310a又は細長い楕円310bなどの様々な形状を有するように設計及び製造されてもよいが、この形状は、これらに限定されず、所与の目的を達成するために様々な形状を取り得る。水抜き穴310bは、ハウジング120内に形成された円筒形状のスロットに対応するように湾曲していてもよい。水抜き穴310aは、以下で説明するばねに対応し得る。水抜き穴及びノブ130とハウジング120との間の他の間隙はまた、迅速連結装置100が、洗浄又は再処理のために器具ハンドル110に締結されたままであることを可能にする。
【0032】
図4は、図2によるハウジング120の断面図である。ハウジング120は、ノブ130が挿入される第1の方向でハウジング120内に延びるスロット210を含む。スロット210は、円筒形状を有してもよい。スロット210は、ハウジング120内に延びるが、ハウジング120を完全には貫通しない。スロット210は、ノブ130が挿入される第1のスロット開口部412を含む。スロット210は、ノブ130に連結するために交換式器具の受容された器具バルブ、ネック、及びシャフトが受容される第2のスロット開口部414を含む。ハウジング120の一端は、器具が最初に取り付けられる器具開口部150である。器具は、第2のスロット開口部414と器具開口部150との間に配置されたチャネル416を通過し、その中に固定される。スロット210は、ノブ130がスロット210内に受容される方向である第1の方向に延びてもよい。チャネル416は、器具を受容するために、第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に延びてもよい。
【0033】
図5は、本明細書で説明する実施形態によるノブ130の斜視図を示す。ノブ130は、一般に、4つの壁を備える直方体の形状を有し得る。ノブ130は、4つの壁に隣接する上部505と、上部505の反対側の平坦な下面510とを含み得る。ノブ130の上部505は、ノブ130をスロット210の中へと押圧するのを容易にするために、丸みを帯びた形状、矩形、又は他の形状であってもよい。ノブ130は、アルミニウム又は同様の金属若しくは合金で作製された鋳造金属部品であり得る。洗浄を容易にするために、水、液体、デブリ、及び小粒子が迅速連結装置100を通過するために、ノブ130の直方体形状により、4つの壁と円筒状スロット210との間に空間がもたらされる。ノブ130の上部505は、迅速連結装置100への器具の連結、連結解除、及び取り外しを容易にするためにユーザが押圧することができる、窪んだ凹状押圧スポット515を含んでもよい。
【0034】
スロット210が円筒形状を有するため、ノブ130は、4つの壁をそれぞれ接続して、ノブ130がスロット210内に嵌合して摺動することを可能にする4つの丸みを帯びた角部520を含んでもよい。丸みを帯びた角部520により、ノブ130とスロット210との間の接触面を少量にすることで、非接触領域によってより自由な空間を提供することができ、装置の洗浄を可能にする。ノブ130の上面510は、押圧スポット515を取り囲み、ノブ130の4つの丸みを帯びた角部520に接続するように構成されたリム511を含む。リム511は、第1の平坦部512と、湾曲部513と、第1の平坦部512に実質的に垂直な第2の平坦部514と、を含む、いくつかの部分を含んでもよい。別個に示されているが、第1の平坦部512、湾曲部513、及び第2の平坦部514は、一般に、鋳造金属の1つの連続部品から形成される。
【0035】
本明細書で説明する実施形態は、ノブ130とハウジング120との間に多くの開口部を提供して、迅速連結装置100の洗浄及び再処理のために、水、他の液体、及びデブリがノブ130及びハウジング120を通過できるように構成される。1つの壁522及び反対側の壁(図示せず)には、壁522及び反対側の壁の領域の大部分を占める楕円形の広い開口部523が形成されている。壁522には、ばね支持体530によって分離された、ピンスロット524aと、ばね溝524bと、を含む別の壁524が隣接している。ばね溝524bは、壁522及びその反対側の壁から等距離のノブ130の中央に位置付けられる。広い開口部523は、水及び他の粒子が流れるための空間を提供することができる。ピンスロット524aは、ピン(図10に示されている)の周囲で、ノブ130をスロット210の内外にガイドすることができる。ピンは、ハウジング120のピン穴235を通してピンスロット524a内に挿入される。ピンは、ばね支持体530のピン接触部530aに当接する。器具を挿入又は解放するために押圧スポット515を押圧すると、ノブ130のピンスロット524aは、ピンの周囲で上下に摺動する。ピンは、ピン穴235によってハウジング120内にきつく嵌合することよって適所に保持される。
【0036】
壁522及び524並びにその反対側の壁は平坦であるため、迅速連結装置100は、洗浄時に水、液体、及び他のデブリが通過するように、壁と円筒状スロット210との間に有意な空間を含む。この洗浄の容易さにより、ノブ130をハウジング120から取り外すことなく、かつ迅速連結装置100を隣接するハンドルから取り外すことなく、洗浄プロセスを実行することが可能になる。
【0037】
もう一方の壁524の反対側の壁(図示せず)は、別のばね支持体530の下に別のばね溝524bを含む。反対側の壁上のばね支持体530の上は、洗浄又は再処理時に液体及びデブリが通過するのを可能にするための灌注穴535である。ノブ130の内側は、本明細書で説明するように、器具を定位置でロックするように構成されている、連結面564と大きな角度付き表面564bとを含む鍵穴構造560の部分である。
【0038】
図6は、本明細書で説明する実施形態による、挿入されたノブ130が矩形の上部を有しているハウジング120を有する迅速連結装置100の断面図を示す。ノブ130の上面605は、当業者に認識可能な同様の目的のために使用され得る、概ね矩形形状又は他の多角形形状を有してもよい。
【0039】
図7は、図5によるノブ130の断面図を示す。この図は、器具バルブ及びネック(図8に図示される器具800)が挿入され得る鍵穴構造560を示している。鍵穴構造560は、器具受容セクション762と連結面564と切削溝768とを含む、3つのセクションを含む。ノブ130内の切削溝768は、器具800の前方運動をノブ130の分離運動に変換することを防止する。対向する壁部上の鍵穴構造560の両側には、ばね支持体530が配置されている。ばね(図10に示されている)は、ばね支持体530に対して圧縮及び解放して、迅速連結装置100に器具を挿入し、それに連結し、そこから解放する。ノブ130の頂部は、押圧スポット515である。図示のように、押圧スポット515は、凹状の形状を有してもよく、リム511の第1の平坦部512から内側に窪んでいてもよい。押圧スポット515は、0.5mm程度の深さを有してもよい。
【0040】
図8は、本明細書で開示した迅速連結装置100とともに使用され得る交換式器具の一端の一例を示す。器具800の一端には、バルブ810、第1の角度付き表面810a、角度付きリッジ810b、ネック815、シャフト部820、及び第2の角度付き表面820aがある。器具800は、ノブ130の鍵穴構造560に取り外し可能に取り付けられてもよい。器具800は、様々なヘッドを備える様々な交換式チゼルのうちの1つであってもよい。器具はまた、複数の交換式のファイル、ナイフ、マロット、骨キュレット、上昇機など、又は当業者に理解されるようにハンマ若しくは他の鈍器で打撃され得る他の交換式器具のうちの1つであってもよい。
【0041】
図7及び図8を参照すると、鍵穴構造560は、交換式器具800の端部を受容するように構成されている。連結面564は、器具800のネック815を受容するように構成されている。図14に示すように、連結面564は、小さな角度付き表面564aと大きな角度付き表面564bと平坦面564cとを更に含む。交換式器具800のバルブ810がチャネル416を通して、かつ第2のスロット開口部414を通して挿入されると、器具のネック815は、ノブ130の連結面564の頂部にしっかりと載置される。器具800の適所へのロック、及び望ましくない分離の防止は、バルブ810の第1の角度付き表面810aと連結面564の大きな角度付き表面564bとを連結することによって行われる。適所にあるとき、器具800のバルブ810は、ノブ130の片側に配置され、シャフト部820は、連結面564上に載置されているノブ130の中央のネック815と反対側にある。本明細書で説明する実施形態によれば、ノブ130による器具800の連結は、器具ハンドル110の遠位端上の打撃方向に実質的に垂直な方向であってもよい。垂直な連結、及び連結面564bと第1の角度付き表面810aとの間に形成された接触領域の結果として、器具800は、サイズ調整により迅速連結装置100内に詰まらず、器具ハンドル110の遠位端への自由な打撃中に連結から解放されない。
【0042】
分離の更なる防止は、切削溝768によって実施される。切削溝768は、チゼル又は他の器具が抵抗のないハンマ打撃によって打撃されると、ノブ130上の望ましくない純粋な下向きの力(図15に示すような)を防止し、器具の意図しない分離を防止する。
【0043】
図9は、本明細書で説明する実施形態による、ロック位置にあるバルブ810及びネック815の拡大断面図を示す。ノブ130とともに器具800のネック815を適所に確実に保持するために、大きな角度付き表面564bを含む連結面564は、連結面564より生じた円の180度超上で、第1の角度付き表面810aを含むバルブ810を受容するように構成された円形表面を有してもよい。連結面564の180度超のこの距離は、接触領域を増大させて、切削溝768によって作製された接触領域の減少を相殺する。拡大された接触領域と切削溝との組み合わせは、ハンマ又は打撃器具から器具ハンドル110の遠位端への抵抗のない打撃中における器具800の連結解除及び/又は変形を防止する。
【0044】
図10は、本明細書で説明する実施形態による、器具が挿入されていない、ノブ130ロック位置にある迅速連結装置100の断面図を示す。図1の断面線A-A’に沿って取ると、鍵穴構造560を有するノブ130は、器具が挿入される前、又は器具が取り外された後のロック位置に示されている。迅速連結装置100がロック位置にあるとき、ノブ130は、ハウジング120から突出している。図10には、ノブ130が動き得るスロット210の空間、ばね支持体530、ばね1033、ピン1040、及びピンスロット524aが示されている。ユーザが押圧スポット515を押圧することにより、ノブ130のリム511がスロット210内で前後に摺動することが可能になる。ピン1040は、器具800をロード又はアンロードするときに、又は器具800が存在しないときに、ノブ130の望ましくない回転を防止することができる。ばね支持体530は、ばね1033と相互作用するために、ノブ130に取り付けられても、又はノブ130と一体的に形成されてもよい。ユーザが押圧スポット515を押圧して器具をロード又はアンロードするときに、迅速連結装置100に設置された1つ又は2つのばね1033が圧縮される。押圧スポット515が解放されると、ばね(単数又は複数)1033が拡張し、ノブ130を押してハウジング120から突出するロック位置に延びる。1つのばね溝524b内の単一のばね又は2つのばね溝524b内の2つのばねを使用して、ノブ130を上げ下げすることができる。したがって、ノブ130は、スロット210内に解放可能に位置付けられてもよい。
【0045】
初期の組立て中、ばね1033が圧縮されると、ピン1040はハウジング120内のピン穴235に挿入されて、ピンスロット524aと位置合わせされる。ピン1040は、2つの直径、最初に挿入されるより狭い部分、続いてピンを定位置で保持するのを助けるためのより広い部分を含んでもよい。ピン1040は、ピン1040の圧入をより容易にするようにサイズ決めされてもよい。ピン1040が挿入されると、ノブ130は、ばね支持体530のうちの1つがピンに当接し、ノブ130がスロット210から引き抜かれることを防止するように解放されてもよい。ピン1040から連結面までの距離は、ばね支持体530がピン1040に当接すると、器具800のネック815がハウジング120内にしっかりと保持されるように、予め決められている。製造中、ピン1040は、ハウジング120に圧入及び溶接される。
【0046】
図11は、本明細書で説明する実施形態による、ロック位置においてノブ130が器具ネック815を連結面564に連結している備える迅速連結装置100の断面図を示す。簡略化のために、ピン及びばねは示されていない。図12は、本明細書で説明する実施形態による、ノブ130及び器具ネックが開放位置にある迅速連結装置100の断面図を示す。図13は、本明細書で説明する実施形態による、ノブ130及び器具バルブが部分的ロック位置にある迅速連結装置100の断面図を示す。
【0047】
迅速連結装置100を使用する方法について、添付の図面を参照して本明細書で説明する。実施形態によれば、迅速連結装置100内に連結された器具800を最初に連結又は解放するために、ユーザは、図12に示すように、ノブ130の押圧スポット515をハウジング120の外側に突出するロック位置から、ハウジング120内に押し込むことができる。
【0048】
迅速連結装置100の設計によれば、ノブ130の器具受容セクション(図7に示される762)が、スロット210の第2のスロット開口部414及びチャネル416と位置合わせされるために、ノブ130の上面505全体がハウジング120内に完全に押し込まれる。これを達成するために、図12に示すように、リム511及び押圧スポット515全体が、距離Dだけスロット210に押し込まれる。距離Dは、例えば、スロット210内に0.5mm入っていてもよい。
【0049】
図13に示すように、リム511の第1の平坦部512のみがハウジング120の平坦部1312と同一平面になるように押されるある場合、器具を解放又は挿入することができない。これが生じた場合、連結面564と器具受容セクション762との間の角1370は、器具800の取り外し又は挿入を阻止又は妨害する。したがって、本明細書で説明する実施形態は、器具800の意図しない解放を防止する安全機構として角1370を含む。ハウジング120と同一平面にあるリム511の第1の平坦部512を押圧するだけでなく、スロット210内に完全には押し込まれない平坦面に対してノブ130が押圧される場合、器具800のバルブ810並びに第1の角度付き表面810a及び角度付きリッジ810bを含む第1の角度付き表面は、角1370によって係合され、器具を取り外すことができない。
【0050】
図14は、本明細書で説明する実施形態による、器具挿入方向の迅速連結装置100の断面図である。図14に示すように、ノブ130の連結面564は、挿入された器具800を収容するために、複数の異なる形状を備える外形を有してもよい。断面の連結面は、小さな角度付き表面564a、大きな角度付き表面564b、並びに小さな角度付き表面564aと大きな角度付き表面564bとを接続する平坦面564cを含んでもよい。小さな角度付き表面564aは、器具シャフト820の反対側の角度付き表面820aに当接してもよい。器具800の適所へのロックは、バルブ810の第1の角度付き表面810aと連結面564の大きな角度付き表面564bとによって行われる。平坦面564cは、器具ネック815の反対側の平坦面と連結してもよい。
【0051】
小さな角度付き表面564aと大きな角度付き表面564bとの角度により、ハンドル110の打撃キャップが作用すると、器具800の矢印の方向の前方運動1410は、ノブ130上で前方運動及び半径方向運動に変換される。
【0052】
図15は、本明細書で開示した実施形態によるノブ130に対する衝撃力を示している迅速連結装置100の断面図を示す。器具ハンドル110の打撃キャップ115が作用すると、切削溝768によって作製されたノブ130上の接触領域が低減されることにより、迅速連結装置100内で器具800の純粋な下向き運動はない。図15は、大きな角度付き表面564bを含む連結面564に対して半径方向に作用する複数の力線1510を示す。切削溝768のため、力の群1510内に純粋な下向きの力線は存在しない。ノブ130の半径方向運動は、ハウジング120によって防止される。器具800に反映された残りの力は、連結面564と器具800との間の静止摩擦とノブ130をロック位置に押圧するばね1033の力との組み合わせを超えない。したがって、切削溝768は、迅速連結装置100のノブ130内に取り付けられた器具800の安定化を補助し、器具800は、器具上で起こった前方運動又は力が存在する場合には分離しない。
【0053】
本明細書で説明する実施形態によれば、ハンドルを備えた迅速連結装置100は、器具のための使いやすい、洗浄が容易な、安全かつ効果的な連結機構を提供する。ハンドルを備えた迅速連結装置100は、ユーザの他方の手が器具を挿入又は解放している間に片手で操作されてもよい。この設計により、洗浄を容易にすることができ、迅速連結装置のハンドルからの分解も、ハウジング120からのノブ130の分解も必要としない。
【0054】
様々な実施形態が、特にそれらの特定の態様を参照しながら詳細に説明されてきたが、本明細書で説明する実施形態は、他の実施形態も可能であり、またその詳細については、種々の明白な点において修正が可能であることを理解されたい。当業者にはすでに明らかなように、本明細書で説明する実施形態の趣旨及び範囲内に留めながら変形及び修正を実施することが可能である。したがって、前述の開示、説明、及び図面は、単に例示的な目的のみのためであって、本明細書で説明する実施形態を何ら限定するものではなく、本明細書で説明する実施形態は、特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0055】
〔実施の態様〕
(1) 器具ハンドルとともに使用する装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に受容可能なノブであって、前記ノブは、器具バルブ及びネックを受容する鍵穴構造を有する、ノブと、
前記ノブを受容する、前記ハウジング内のスロットと、
を備え、
前記ノブは、器具の設置及び取り外しを容易にするために前記スロット内に圧入される、
装置。
(2) 少なくとも1つのばねと、
前記少なくとも1つのばねを圧縮及び解放するように構成されている、前記ノブに取り付けられた少なくとも1つのばね支持体と、
を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記少なくとも1つのばねの前記解放により、前記ノブをロック位置に配置する、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記少なくとも1つのばねの前記圧縮により、前記器具の設置及び取り外しを容易にするために前記ノブを開放位置に配置する、実施態様2に記載の装置。
(5) 前記スロットは、円筒状である、実施態様1に記載の装置。
【0056】
(6) 前記ノブは、直方体の形状を有する、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記ノブは、前記円筒状スロット内に嵌合する丸みを帯びた縁部を有する、実施態様5に記載の装置。
(8) 前記ノブは、挿入された器具の望ましくない分離を防止する切削溝を備える、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記ハウジングは高さを有し、前記器具を設置する又は取り外すために、前記ノブが前記高さよりも下に前記スロット内に圧入される、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記ハウジングは、バルブとネックとシャフトとを有する交換式器具を受容するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0057】
(11) 前記鍵穴構造は、器具受容部と、器具と連結する角度付き連結面と、を備える、実施態様1に記載の装置。
(12) 前記連結面は、前記器具のネックを、その周囲180度超で受容するように構成された円形状を有する、実施態様10に記載の装置。
(13) 前記ハウジングの中に形成された複数の水抜き穴を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記複数の水抜き穴は、前記ハウジング内の前記ノブの取付方向と反対側の前記ハウジングの側面上に形成されている、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記ノブは、凹面を有する押圧スポットを含む、実施態様1に記載の装置。
【0058】
(16) 前記ハウジングは前記ハウジング内の前記ノブの取付方向に垂直な方向にピンを受容するように構成されたピン穴を含む、実施態様1に記載の装置。
(17) 前記ハウジングは、前記器具が前記装置に連結されたときに回転するのを防止する張り出し部を含む、実施態様1に記載の装置。
(18) 高さを有し、ノブが内部に挿入されているハウジングを使用して、器具を定位置にロックする方法であって、
器具先端部の取り外し及び設置を可能にするために、前記ハウジングの前記高さよりも下に前記ノブを押圧することと、
前記ノブを解放して、前記器具先端部を定位置にロックすることと、
を含む、方法。
(19) 前記器具先端部は前記ハウジングの鍵穴構造内に受容され、前記鍵穴構造は、器具受容部と連結面と切削溝とを有する、実施態様18に記載の方法。
(20) 第1の位置から第2の位置へ前記ノブをシフトさせて、前記器具を定位置にロックすることを含み、前記第1の位置では、前記器具のネックは実質的に前記器具受容部内にあり、前記第2の位置では、前記器具の前記ネックは実質的に前記連結面内にある、実施態様19に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14
図15