(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】ポリアミド化プロセスのための前駆体の調製におけるモノマーバランス制御
(51)【国際特許分類】
C08G 69/28 20060101AFI20221024BHJP
G01N 21/65 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
C08G69/28
G01N21/65
(21)【出願番号】P 2019555926
(86)(22)【出願日】2018-04-12
(86)【国際出願番号】 US2018027213
(87)【国際公開番号】W WO2018191445
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-09
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317013603
【氏名又は名称】インヴィスタ テキスタイルズ(ユー.ケー.)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】カウシヴァ,ブライアン ディネッシュ
(72)【発明者】
【氏名】モンスター,リーン
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500360(JP,A)
【文献】米国特許第06608678(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド前駆体溶液の二酸-ジアミンバランスを測定及び制御するための、プロセス制御方法であって、
a)
i)異なる既知のモル比の二酸:ジアミンを有する一連のポリアミド前駆体溶液についてのラマンスペクトルを取得し、
ii)前記既知のモル比と取得された前記ラマンスペクトルとの間の関係をモデリングする
ことによって二酸-ジアミンバランスについてのラマンスペクトルの予測モデルを作成することと、
b)前記(a)(ii)のモデルを、前記二酸:ジアミンバランスが未知であるポリアミド前駆体溶液について観察されたラマンスペクトルに適用することと、
c)前記溶液(b)の前記二酸:ジアミンバランスを求めることと、を含む、方法。
【請求項2】
工程(c)で求められた前記二酸:ジアミンバランスを設定点と比較すること、を更に含む、請求項1に記載のプロセス制御方法。
【請求項3】
前記求められた二酸:ジアミンバランスの前記設定点との前記比較に応じて、少なくとも1つのプロセス変数を調節すること、を更に含む、請求項2に記載のプロセス制御方法。
【請求項4】
前記調節されるプロセス変数が、ジカルボン酸又はジカルボン酸リッチな送り流の流量、ジアミン又はジアミンリッチな送り流の流量、滞留時間、及び添加剤の流量からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記モデリングa(ii)が、部分最小二乗統計分析を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリアミド前駆体溶液が、ジカルボン酸、ジアミン、及び水を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ジカルボン酸が、アジピン酸を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ジアミンが、ヘキサメチレンジアミンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス制御方法を含む、ポリアミドを調製するプロセス。
【請求項10】
前記ポリアミドが、ナイロン6,6である、請求項9に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリアミド化のための送り原料として好適な水性塩溶液を調製する方法に関する。好適な前駆体をポリアミド化プロセスに供給するために使用される、連続、バッチ、若しくは半バッチプロセス又は送りシステムのいずれかの特性評価及び制御において有用なモルバランスの推定を提供するために、ラマン分光法及び計量化学モデリングを適用する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドの生産を成功させるには、塩溶液の出発モノマーバランスを正確に制御する必要がある。一般に、これは、まず出発物質のおよそバランスのとれた溶液を作製し、続いて1つ以上の調節工程を行うことによって達成される。これらのプロセスは、連続、半バッチ、又はバッチ式のプロセススキームで実施され得る。
【0003】
ジアミン及びジカルボン酸を含有する水溶液の調製は、その有用なポリアミドへの変換において重要かつ共通の中間工程である。これらの溶液を作製する工業プロセスは、手頃でありかつプロセス流を所望の組成及び濃度で維持することが可能な、制御スキームを必要とする。有効に制御することによって、ポリマー品質が改善され、望ましくない固体の沈殿が避けられる。
いくつかのアプローチが、調製の初期工程のおおまかな制御に好適である。第1の混合工程への送り量のみに基づく制御は、体積測定、重量測定、又は他の従来のプロセス計装で達成することができる。オンラインpH計器も利用可能である。pHベースのシステムによって最良の結果を得るには、副流の希釈度及び温度の広範な制御をpH計器によって分析することが必要になる。
【0004】
既に知られている塩生産設備は、一般的に、制御の基盤としてpH計装に依存している。pH計器は、それを較正するために使用される緩衝液によって精度が決定されることから、制限された精度を有する。加えて、pH計器はドリフト及びファウリングを受ける。pH測定の精度は、ポリマー生産のために使用される塩について、塩バランスのばらつきを低減して塩特性が変動するのを防ぐために塩の貯蔵及びブレンドを必要とするようなものである。塩の貯蔵には費用がかかり、使用される塩の最高濃度を制限する。
【0005】
モノマーバランスの微調整は、実験室でのpH試験のためにサンプルを収集し、続いて、容器内で調節する逐次工程によって、半バッチ又はバッチ式の操作内で達成することができる。
【0006】
米国特許第3,730,685号は、溶液の滴定を自動的に実行するプロセスに関する。
【0007】
米国特許第4,213,884号及び同第4,251,653号は、濃縮塩溶液を生産するための2段階プロセスに関する。
【0008】
米国特許第4,442,260号は、重要なプロセス制御パラメータとして塩負荷の重量を使用する、濃縮水性塩溶液を生産するための多段階プロセスに関する。
【0009】
米国特許第5,801,278号は、pHの変動をプロセスの一貫性の指標として使用する、実質的に固体の微粒子形態の塩を直接調製する方法に関する。
【0010】
米国特許第9,561,999号は、塩のモノマーバランスを制御するためにpHの測定を使用する、2段階塩プロセスに関する。
【0011】
最近の出願群のそれぞれの態様は、現行の制御システムの相対的複雑さを示すために一緒に検討され得る:国際公開第2014/179057号、同第2014/179058号、同第2014/179060号、同第2014/179061号、同第2014/179062号、同第2014/179064号、同第2014/179065号、及び同第2014/179066号。参照文献は、粉末状ジカルボン酸の送り速度のばらつきを制限するためのウェイト・イン・ロス(weight-in-loss)フィーダー、オンラインpH測定のために希釈度及び温度を制御するためのサンプルループ、オフラインpH測定、屈折計を使用して濃度を測定するためのサンプルループ、密度測定、並びにモルバランス及び濃度の制御を調整するための予測モデルを構築するために記述されるシステムからの様々な測定値の使用を含む、様々な特徴に関する。
【0012】
米国特許第8,772,439号は、水性塩溶液を生産するための、初期の特許の2段階プロセスに関する。二酸-ジアミンのバランスは、pHによって決定される。
【0013】
米国特許第8,802,810号は、脂肪族、脂環式、及び芳香族の二酸の様々な組み合わせの水性塩溶液を生産するための多段階プロセスに関する。二酸とジアミンとの間のモルバランスは、pHに基づく。
【0014】
米国特許第9,561,999号は、温度、組成、及び濃度に対するpHの感度に関する。
【0015】
米国特許第4,233,234号は、水性ナイロン塩溶液の連続調製であって、次にバルク流を少し取り除き、10%濃度に希釈しpHを測定する、調製に関する。pHシグナルは、モルバランスを調整するために必要に応じてバルク流に注入されるトリムジアミンの量を制御するために使用される。
【0016】
米国特許第2,130,947(A)号は、ジアミン及びジカルボン酸が高分子量に重合するモル比で存在することを保証するための、制御点としてのpH曲線の変曲に関する。
【0017】
塩バランスを測定するための当該技術分野における別の技術は、近赤外((NIR)(near infrared)分光法の技術である。例えば、米国特許第5,532,487号、同第6,169,162号、同第6,696,544号、及び同第6,995,233号を参照されたい。NIRは、頑丈な(rugged)オンラインプローブを使用するという利点を有する。しかしながら、この計器は較正するのが困難である場合があり、また、較正は維持する必要のある場合がある。加えて、近赤外領域では、水分含量及び温度変化に対する感度が高い。pHシステムとは異なり、NIRシステムは、水分含量及び温度を一定に保持することは求められないが、成功するためには、NIRプロセッサが、PLSモデルへの入力として正確な濃度及び温度データを有していなければならない。NIR較正セットは、その変数を組み込まなければならず、後続のモデルには、信頼性が高くかつ正確なデータを供給する必要がある。これらの感度は、要求が厳しく、技術のロバスト性を低下させる。
【0018】
これらの2つのアプローチの限界は、製造現場の設計にみることができる。下流の重合設備の安定かつ一貫した操作を確保するために、塩調製後に大きな中間貯蔵容器を使用することが一般的である。これは、設定点前後の短期的変動を平均することによって、計装における偶発誤差を克服するのに役立つ。貯蔵容量には費用がかかるので、組成物における短期的変動を相殺するために大量の材料を貯蔵する必要がない制御方法を提供することが望ましい。
【0019】
最も古いアプローチは、オフライン希釈度及び温度コンディショニングのためにバッチプロセスからサンプルを回収し、続いて、pH測定及び任意の必要なバッチ調節を行うことである。より新しいアプローチは、これを自動化し、典型的には、希釈度及び温度制御、続いて、オンラインpH計器にスリップ流を転向する連続塩プロセスの状況においてそうする。経時的なドリフトを最小限に抑えるために、実験室でのpH測定結果をオンラインpH結果と比較してもよく、オンライン計器を適宜調節してもよい。このような改善は、NIRベースのシステムにも適用されている。
【0020】
ポリアミド化システムのモニタリング及び制御に使用される計装は、費用がかかりかつ不十分である。コスト及び複雑さを低減するためのアプローチが必要である。したがって、プロセス条件の正常範囲内で高い信頼性にて、一貫して、かつ正確に機能する、ポリアミド化送り流を分析するための、比較的単純で低コストのオンライン方法を提供することが望ましい。このような単純かつ信頼性の高い方法が、ポリアミド製造において非常に望ましい。この方法はまた、手頃に商業的規模で実施することが必要でもある。
【0021】
別の分析方法は、Schnellらの米国特許第4,620,284号に開示されているようなラマン分光法である。Schnellらの特許は、ラマンを使用して混合物中の成分を直接同定する方法に関する。全ての混合物がラマンによって容易に分析できるわけではない。時に、溶液中の2つの分子の組み合わせから、溶液中のいずれかの成分のみの特徴を示すものではない新しいピークが生じる。いくつかの溶液は、(i)個々の成分自体、(ii)溶液中の成分間の相互作用、及び(iii)溶液中の成分の総濃度からスペクトル特徴を生成することがある。スペクトル特徴の生成における列挙された要因の正確な役割は、完全には理解されていない。特に、異なる塩バランスの水性ポリアミド塩溶液からは、塩バランスを決定するのに十分な情報を提供するようには思われないスペクトルが生じる場合がある。
【0022】
したがって、課題は、ポリアミドを作製するための、水性塩溶液中の二酸とジアミンとのバランスを制御するための、リアルタイムオンライン測定方法を開発することである。
【発明の概要】
【0023】
ポリアミド、特にナイロンを作製するための、縮合重合プロセスへの送り原料中の塩バランスを測定及び/又は制御するための、ラマン分光法及び計量化学モデリングの組み合わせを使用する方法が開示される。
【0024】
ポリアミド前駆体溶液の二酸-ジアミンバランスを測定及び制御するための、プロセス制御方法であって、
a)
i)異なる既知のモル比の二酸:ジアミンを有する一連のポリアミド前駆体溶液についてのラマンスペクトルを取得し、
ii)当該既知のモル比と取得された当該ラマンスペクトルとの間の関係をモデリングする
ことによって、二酸-ジアミンバランスについてのラマンスペクトルの予測モデルを作成することと、
b)(a)(ii)のモデルを、二酸:ジアミンバランスが未知であるポリアミド前駆体溶液について観察されたラマンスペクトルに適用することと、
c)溶液(b)の二酸:ジアミンバランスを求めることと、を含む、方法が開示される。
【0025】
開示されるプロセス制御方法の一態様は、工程(c)で求められた二酸:ジアミンバランスを設定点と比較すること、を更に含む。
【0026】
開示されるプロセス制御方法の別の態様は、求められた二酸:ジアミンバランスの設定点との比較に応じて、少なくとも1つのプロセス変数を調節することを更に含む。
【0027】
開示されるプロセス制御方法の一態様では、ポリアミド前駆体溶液は、少なくとも1つのジカルボン酸、少なくとも1つのジアミン、及び水を含む。
【0028】
開示されるプロセス制御方法の別の態様では、ジカルボン酸はアジピン酸を含む。
【0029】
開示されるプロセス制御方法の一態様では、ジアミンはヘキサメチレンジアミン(HMD)(hexamethylenediamine)を含む。
【0030】
開示されるプロセス制御方法の更なる態様では、工程(c)で調節されるプロセス変数は、ジカルボン酸又はジカルボン酸リッチな送り流の流量、ジアミン又はジアミンリッチな送り流の流量、滞留時間、及び添加剤の流量からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施例1の実施形態による、アジピン酸及びHMD溶液のラマンスペクトルの重ね合わせの図である。
【
図2】実施例1の表1の組成による、測定されたラマンスペクトルの図である。
【
図3】
図2のデータについての、及び、実施例1による4成分PLSモデル予測性の図である。各サンプルにつき一連の連続スペクトルを記録し、各々の得られたスペクトルを、4成分PLSモデルを用いて分析し、このようにして、推定DE値を提供した。
【
図4】実験室での分析データ[X軸上]と平均化された推定DE値[Y軸上]との間のパリティプロットの図である。4成分PLSモデルは、実施例1による12点データから作成される。
【
図5】実施例1のデータによる代替モデリングアプローチを使用した分析予測性の図である。
【
図6】実施例4の実施形態によるフィードフォワード制御構成の概略図である。
【
図7】実施例5の実施形態によるフィードバック制御構成の概略図である。
【
図8】実施例6の実施形態によるフィードバック制御構成の概略図である。
【
図9】実施例7の実施形態によるプロセス制御構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ポリアミド前駆体溶液の二酸-ジアミンバランスを測定及び制御するための、プロセス制御方法であって、
a)
i)異なる既知のモル比の二酸:ジアミンを有する一連のポリアミド前駆体溶液についてのラマンスペクトルを取得し、
ii)当該既知のモル比と取得された当該ラマンスペクトルとの間の関係をモデリングする
ことによって、特徴の値についてのラマンスペクトルの予測モデルを作成することと、
b)(a)(ii)のモデルを、二酸:ジアミンバランスが未知であるポリアミド前駆体溶液について観察されたラマンスペクトルに適用することと、
c)溶液(b)の二酸:ジアミンバランスを求めることと、を含む、方法が開示される。
【0033】
開示されるプロセス制御方法は、工程(c)で求められた二酸:ジアミンバランスを設定点と比較すること、を含み得、更に、求められた二酸:ジアミンバランスの設定点との比較に応じて、少なくとも1つのプロセス変数を調節すること、を含み得る。
【0034】
ポリアミド前駆体溶液は、ジカルボン酸、ジアミン、及び水を含み得る。ジカルボン酸はアジピン酸であってよく、ジアミンはヘキサメチレンジアミンであってよい。
【0035】
ポリアミド前駆体溶液をバッチ、半バッチ、又は連続重合装置に送り込むこと、を含む、ナイロン-6,6の調製プロセスが更に開示される。当該プロセスは、ジカルボン酸又はジカルボン酸リッチな送り流の流量、ジアミン又はジアミンリッチな送り流の流量、滞留時間、及び添加剤の流量のうちの1つ以上を調節することによって制御され得る。
【0036】
ジアミン及びジカルボン酸の塩の熱重縮合は、重合を介したポリアミドの生産の最も重要な手段の1つである(ポリアミド化としても知られている)。まず、酸-塩基中和塩を形成するのに有効な条件下でジアミン及びジカルボン酸成分を反応させ、次いで、当該塩を重縮合条件に供してポリアミドを調製する。場合によっては、アミノカルボン酸、アミノニトリル、又はラクタムの重合を介してポリアミドを生産することもできる。
【0037】
ポリアミド化又は重合プロセスは、適切なモノマーバランスを用いてポリアミド(例えば、ナイロン6,6)塩溶液を調製する塩のバランスをとる(salt strike)工程、当該塩溶液から水の一部を蒸発させる蒸発工程、ポリアミド化のための、熱及び圧力下に当該塩溶液を配置するオートクレーブプロセス、並びに本質的に最終のポリマー原材料を形成する押出成形/切断工程などの工程を含み得る。一般的に当業者には理解されるように、他の工程が含まれていてもよい。
【0038】
ナイロンを作製するための、縮合重合プロセスへの送り原料中の塩バランスを測定及び/又は制御するための、ラマン分光法と計量化学モデリングとの組み合わせを使用する方法が開示される。
【0039】
計量化学分析の適用は、較正を伴う。圧力、流れ、温度、赤外線、ラマン、NMRスペクトル、及び質量スペクトルなどの化学的系の測定された特性に基づいて対象となる特性を予測するために、較正モデルを開発し、使用することができる。例としては、検体濃度に対する多重波長スペクトル応答に関連する多変量モデルの開発が挙げられる。このプロセスは、各サンプルについての検体濃度及び塩モノマーバランス、並びにそのサンプルの対応するスペクトルを含む、多数の参照サンプルからデータを収集することによる較正データを伴う。部分最小二乗回帰又は主成分回帰などの多変量較正技術を使用して、検体濃度に対する多変量応答に関連する数学モデルを構築することができる。このようなモデルは、新たな(未知の)サンプルの濃度を予測するのに有用であり得る。
【0040】
本開示は、塩組成物のオンライン分析及び制御の手段としての、計量化学モデリング及びラマンスペクトルの分析の適用に関する。有利には、ラマンスペクトルは、温度又は水分の変動に対して比較的低い感度を有し、したがって、より基本的に安定なシグナルを提供する。温度及び濃度に対する感度が低いと、配置構成の簡略化につながる。
【0041】
ラマンスペクトルは、pH測定よりも単純な配置シナリオを提供するプロセス条件で収集することができる。水分及び温度に対する感度が低いほど、NIRモデリングよりもノイズ及び誤差の発生源が少なくなる。適切な安定性によって、平衡点(バランスをとった点)と生産との間に大きな緩衝貯蔵を伴わないプラント構成を使用することが可能になる。
【0042】
最新のプローブを高品質の分光計器及び計量化学モデリングと組み合わせることによって、モノマーバランスの制御に好適な精度で迅速かつ正確なフィードバックを提供することができる、システムが得られる。速度、精度、及びロバスト性によって、プロセス設計をより低コストであるとみなすものにでき、並びに、平衡塩溶液の貯蔵を低減又はなくすることができる。
【0043】
系の組成を変化させ、スペクトルを収集し、続いて、収集されたサンプルの分析及びスペクトルの分析を行うことによって、特定の系のための、計量化学モデルが開発される。次いで、入力スペクトルを分析し、溶液のエンドバランス(ends balance)の推定値を得ることによって、得られたモデルを動的に使用する。
【0044】
様々な市販の数理解析ソフトウェアパッケージが、異なる溶液によって生成されたスペクトルと当該溶液の比濃度(specific concentrations)、温度、及び全濃度との間の関係の数理モデルを開発するのに非常に適している。
【0045】
計量化学分析及びモデリングのための市販のソフトウェアパッケージの非限定的な例としては、Simca[Sartorius Stedim Biotech;http://umetrics.com/products/simca]、PLS Toolbox or Solo[Eigenvector;http://www.eigenvector.com]、The Unscrambler X[Camo Software;http://www.camo.com/rt/Resources/chemometrics.html]、GRAMS[ThermoFisher;https://www.thermofisher.com/order/catalog/product/INF-15000]、Horizon[ABB;http://new.abb.com/products/measurement-products/analytical/ft-ir-and-ft-nir-software/horizon-mb-qa-software]、PLSplus IQ[Adept Scientific;http://www.adeptscience.co.uk/products/lab/ gramsai/plsplus-iq-spectroscopy-chemometrics-toolbox.html]などを挙げることができる。これらのソフトウェアパッケージはいずれも、実施例1で得られたラマンスペクトルなどのスペクトル応答を直接受け取ることができ、根底にある特徴のモデリング及び推定値の作成を支援するためにフィルタリング、正規化、導関数化、又は他の修正を提供することができる。
【0046】
あるいは、上記計量化学モデリングから得られる処理されたデータファイルを、他の技術によって分析するためにエクスポートしてもよい。このアプローチの一例は、実施例3のMiniTab分析を使用することによって示されるものなど、一般的な多変量分析内のスペクトル応答の任意の特定の範囲のピーク高さ又はピーク面積を使用することであり得る。このような分析を行うために、いくつかのソフトウェアパッケージが市販されている。
【0047】
ラマン分光測定用の計測プローブは、流れライン、スリップ流、主プロセス容器、移送若しくは測定容器、又は任意の他の好適なプロセス点に挿入され得る。あるいは、実験室サンプル収集点にラマンプローブを配置してもよい。プローブ位置の選択は、利用される特定のプロセス設計及び制御スキームに適切である必要がある。
【0048】
実施例4に記載され、
図6に概略的に表される実施形態では、酸リッチな溶液の流れラインにラマン分光測定用の計測プローブを挿入してよい。実施例5に記載され、
図7に概略的に表される別の実施形態では、塩平衡化プロセス容器からの出力流れラインにラマン分光測定用の計測プローブを挿入してよい。実施例6に記載され、
図8に概略的に表される更に別の実施形態では、酸希釈プロセス容器からの出力流れラインにラマン分光測定用の計測プローブを挿入してよい。実施例7に記載され、
図9に概略的に表される一実施形態では、塩溶液供給容器の内容物にラマン分光測定用の計測プローブを浸してよい。プロセス制御の分野における当業者であれば、アプリケーションが、これらのうちのいずれかを単独で、又はプロセス制御アーキテクチャと統合された他のプロセス制御計器及び装置と組み合わせて伴っていてよいことを理解するであろう。
【0049】
好適な塩溶液としては、ポリアミドの水性前駆体が挙げられ、これは、縮合反応を行ってナイロンを作製するために、バッチ又は連続重合装置に充填され得る。このような前駆体のリストは、当該技術分野において公知であり、ナイロン6,6、ナイロン6,12、ナイロン6,10、ナイロン4,6など、並びにこれらの任意のコポリマー又はブレンドを製造するのに適切なものを挙げることができる。ポリマー添加剤を含めることは、想定される実施形態からの逸脱ではない。
【0050】
ラマンプローブは、所望の実施形態によって必要とされる場合、好適なプロセス位置に固定される。照射レーザは、分光計から光ファイバーケーブルを介してプローブを通ってプロセス流体に透過される。また、プローブのレンズは、散乱光を集める。次いで、ラマン散乱光のみが含まれるように散乱光をフィルタに通す。次いで、波長の関数として散乱光強度のスペクトルに処理され得るように、この散乱光を分割する。これらのデータは、当業者によく知られているものなどのスペクトル処理ソフトウェアを使用してコンピュータによって処理される。所望の解像度を達成するために必要な場合、複数の個々のスペクトルを単一の複合スペクトルに同時追加することができ、同時追加されるスペクトルの数は、必要とされる実施形態、構成、計器、及び解像度に依存する。同時追加されるスペクトルの数は、サンプリングレートの周期性を固定する。部分最小二乗[又はPLS]計量化学モデルを用いてこれらのラマンスペクトルを分析して、リアルタイム塩モノマーバランスの連続推定値を与える。次いで、ジアミン及び/又は二酸のプロセスへの流れを正確に計量することによって、目標からの任意の偏差について塩のモノマーバランスを補正するために、このモノマーバランス推定値を使用することができる。
【0051】
ジモノマーポリアミドは、ジカルボン酸とジアミンとの縮合重合から誘導されるものである。アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンは、例えば、通常重合してナイロン6,6を形成する。コポリアミドは、多くの場合、2つを超えるモノマーを含有する水溶液又は水溶液のブレンドから調製される。
【0052】
ジカルボン酸成分は、好適には、分子式(I):HO2C-R1-CO2H;[式中、R1は、二価の脂肪族基、脂環式基、若しくは芳香族基、又は共有結合を表す]の少なくとも1つのジカルボン酸である。R1は、好適には、2~20個の炭素原子、好ましくは2~12個の炭素原子、より好ましくは2~10個の炭素原子を含む。R1は、直鎖若しくは分枝鎖、好ましくは直鎖の、2~12個の炭素原子、若しくは2~10個の炭素原子、例えば、2、4、6若しくは8個の炭素原子を含むアルキレン基、非置換フェニレン基、又は非置換シクロヘキシレン基であってよい。所望により、R1は、1つ以上のエーテル基を含有していてもよい。好ましくは、R1は、2~12個の炭素原子、又は2~10個の炭素原子、例えば、2、4、6又は8個の炭素原子を含むアルキレン基、より好ましくは直鎖アルキレン基である。
【0053】
好適な二酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、ヘキサン-1,6-二酸(アジピン酸)、オクタン-1,8-二酸(スベリン酸)、アゼライン酸、デカン-1,10-二酸(セバシン酸)、ウンデカン二酸、ドデカン-1,12-二酸、マレイン酸、グルタコン酸、トラウマチン酸、ムコン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-又は1,3-フェニレン二酢酸、1,2-又は1,3-シクロヘキサン二酢酸、ベンゼン-1,2-ジカルボン酸(フタル酸)、ベンゼン-1,3-ジカルボン酸(イソフタル酸)、ベンゼン-1,4-ジカルボン酸(テレフタル酸)、4,4’-オキシビス(安息香酸)、4,4-ベンゾフェノンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、p-t-ブチルイソフタル酸、及び2,5-フランジカルボン酸、並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましいジカルボン酸は、アジピン酸である。これらの二酸は、粉末形態で、溶融形態で、ケーキとして、スラリーとして、又は水溶液として供給され得る。これらの二酸は、低濃度の不純物を有する純粋な形態で供給されてもよく、又は他の二酸若しくはモノマーとのブレンド比のとおりに供給されてもよい。
【0054】
ジアミン成分は、好適には、式(II):H2N-R2-NH2;[式中、R2は、二価の脂肪族基、脂環式基、若しくは芳香族基を表す]の少なくとも1つのジアミンである。R2は、好適には、2~20個の炭素原子、好ましくは4~12個の炭素原子、より好ましくは4~10個の炭素原子を含む。R2は、直鎖若しくは分枝鎖、好ましくは直鎖の、4~12個の炭素原子、より好ましくは4~10個の炭素原子、例えば、4、6、若しくは8個の炭素原子を含むアルキレン基、非置換フェニレン基、又は非置換シクロヘキシレン基であってよい。所望により、R2は、1つ以上のエーテル基を含有していてもよい。好ましくは、R2は、4~12個の炭素原子、若しくは4~10個の炭素原子、例えば、2、4、6、若しくは8個の炭素原子を含むアルキレン基、より好ましくは直鎖アルキレン基である。
【0055】
好適なジアミンの例としては、エタノールジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン(プトレシン)、ペンタメチレンジアミン(カダベリン)、ヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、2-メチルヘキサメチレンジアミン、3メチルヘキサメチレンジアミン、2,2-ジメチルペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、5-メチルノナンジアミン、イソホロンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,7,7-テトラメチルオクタメチレンジアミン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、所望により1つ以上のC1~C4アルキル基で置換されたC2~C16脂肪族ジアミン、脂肪族ポリエーテルジアミン、並びに2,5-ビス(アミノメチル)フランなどのフランジアミン、キシリレンジアミン、並びにこれらの混合物が挙げられる。ヘキサメチレンジアミンが、好ましいジアミンである。これは、通常、取り扱い態様を改善するためにわずかな水を含有するが、無水形態で供給されてもよい。計量精度を向上させるために、より希釈された形態でプロセスに供給されてもよい。
【0056】
これらの二官能性モノマーに加えて、他のモノマーを含むことが、時に有用である。これらのモノマーとしては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、カプロン酸、エナント酸、オクタン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、エルカ酸などの一官能性カルボン酸を挙げることができる。また、これらのモノマーとしては、α-アセタラクタム、α-プロピオラクタム、β-プリオピオラクタム、γ-ブチロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-バレロラクタム、カプロラクタムなどのラクタムを挙げることができる。また、これらのモノマーとしては、α-アセトラクトン、α-プロピオラクトン、β-プリオピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-バレロラクトン、カプロラクトンなどのラクトンを挙げることができる。これらのモノマーとしては、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、エトヘキサジオール、p-メンタン-3,8-ジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオールなどの二官能性アルコールを挙げることができる。モノマーとしては、6-アミノヘキサン酸、5-アミノペンタン酸、7-アミノヘプタン酸などの、1つのカルボン酸官能基と1つのアミン官能基とを有するものを挙げることができる。グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミンなどのより高度の官能性を有する分子を使用することもできる。これらのモノマーはまた、エタノールアミン、ジエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、1-アミノ-2-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、3-アミノ-1-ブタノール、2-アミノ-1-ブタノール、4-アミノ-2-ブタノール、ペンタノールマイン、ヘキサノールアミンなどの好適なヒドロキシルアミンであってもよい。前駆体溶液は、本開示から逸脱することなく、これらのモノマーのいずれかを含み得ることが理解される。
【0057】
ポリマーの好適な例としては、PA22、PA46、PA66、PA77、PA610、PA612、PA1010、PA1212などのAABB型ポリアミド(ナイロン)樹脂などを挙げることができるが、これらに限定されない。ポリマー業界では、用語「ポリアミド」は、「ナイロン(Nylon)」と互換的に使用され、両方ともポリマー科学の当業者には同じ意味を有する。例えば、ポリアミド6(PA6)はナイロン6(N6)とも称される。同様に、ポリアミド66(PA66)は、ナイロン66又はナイロン-6,6(N66)とも称される。
【0058】
好適なポリアミドの例としては、ポリテトラメチレンアジパミド(PA46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA66)、ポリヘキサメチレンドデカアミド(PA612)、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、ポリ-ヘキサメチレンテレフタルアミド(「6T」として知られている)、ポリ-ヘキサメチレンイソフタルアミド(「6I」として知られている)、2-メチル-1,5-ペンタメチレンテレフタルアミド(「MPMD-T」-又は「DT」として知られている)、2-メチル-1,5-ペンタメチレンイソフタルアミド(「MPMD-I」又は「DI」として知られている)、及びこれらの組み合わせ、例えば、「66/6T」、「66/6I」、「6I/6T」、「DT/DI」、「66/DT/DI」などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0059】
ジアミン及び二酸からポリアミドを生成する概念は、アミノ酸又はラクタムなどの他の好適なコモノマーの概念も包含することを理解すべきである。範囲を限定することものではないが、アミノ酸の例としては、6-アミノヘキサン酸;7-アミノヘプタン酸;11-アミノデカン酸;12-アミノドデカン酸を挙げることができる。本開示の範囲を限定するものではないが、ラクタムの例としては、カプロラクタム、エナントラクタム;ラウリルラクタムを挙げることができる。開示されるプロセスに好適な送り原料は、ジアミン、二酸、アミノ酸、及びラクタムの混合物を含んでいてよく、単官能性モノマー及び多官能性モノマーを含んでいてよい。
【実施例】
【0060】
実施例1:ラマンスペクトルを用いたPLSモデルの開発
直径1/2”のプローブをおよそ撹拌器の高さ又は約300mLの充填ラインに固定するのに好適なサイドポートを備える1リットルのジャケット付き反応器を製作した。直径1/2”のMarqMetrix Performance Ballプローブ(MarqMetrix Inc.(Seattle,Washington)から入手可能)を適切なプロセス取付部品で定位置に固定した。このプローブを、5メートルの光ファイバー線を介してHyperFlux PRO Plusラマン分光機器(Tornado Spectral Systems(Toronto,Ontario)から入手可能)に接続した。このHyperFlux PRO Plusは、495mWの出力による785nmのレーザを利用していた。収集された各スペクトルファイルは、750ミリ秒の曝露から収集された25スペクトルの同時追加であった。
【0061】
表1に示す成分を慎重に計量し、系を撹拌しながら約75℃まで加熱することによって、初期溶液を調製した。使用したヘキサメチレンジアミン(HMD)は、20%の水を含有していた(表のデータはこれを考慮している)。高精度化学天秤を使用して成分を計量し、重量測定データからモノマー含有量を計算した。表1中、モノマーバランスは、「DE」として特徴付けられ、これは、カルボン酸基のミリ当量からアミン基のミリ当量を減じ、この差を溶液中の全固形分重量によって正規化することによって計算される末端差(difference-of-ends)を表す。モノマーバランスは、直接滴定によって又は較正されたpH試験を介してなどの他の方法で評価することもできる。表1では、重量測定アプローチを使用した。
【0062】
各組成物について、複数のスペクトルを収集した。スペクトルを収集した後、更なるアジピン酸(AA)又は80%ヘキサメチレンジアミン(HMD)のいずれかを慎重に計量することによって溶液を改変し、濃度を維持するために各工程で水を添加した。
【表1】
【0063】
図1は、アジピン酸及びHMD溶液のラマンスペクトルの重ね合わせの図である。
図1中、X軸はスペクトル波長(cm-1)であり、Y軸はその対応する強度測定値である。
図1のデータから、例えば、800~900cm-1、約1400cm-1、1500cm-1、約1750cm-1の波長領域など、スペクトルが異なるいくつかの波長範囲が存在することが確認された。
【0064】
図2は、表1の組成による、測定されたラマンスペクトルの図である。
図2のスペクトルが、個々のモノマーについて得られた
図1のスペクトルと比較して異なるシグネチャを示したことは明らかであった。
図1と比較して、
図2では主ピークが消失し、いくつかの他のピークが現れ、また、スペクトル内の相対ピーク高さがシフトしていた。
【0065】
最も一般的に公開されているラマン研究では、挙動を特徴付けるために相対強度の単純モデルを可能にする特定の波長における明確な差異が見出される。しかし、表2の組成物について測定されたラマンスペクトルは、相対強度の単純モデルを適用するための特定の波長における明確な差異を示さなかったため、
図2についてはこのアプローチは不可能であった。
図2のデータからは、任意の特定の波長における明白な差異が明らかにならなかった。
【0066】
予想外かつ驚くべきことに、
図2のラマンスペクトルデータについて部分最小二乗(PLS)分析を適用すると、明確な差異のいくつかの波長範囲がPLSモデル内に出現することが見出された。
【0067】
全てのスペクトルを収集した後、SimcaP[MKS Data Analytics Systems(Malmo,Sweden)から市販されている]を使用して分析した。これは、約0.988のR二乗値によって表されるように優れた予測能力を有する4成分PLSモデルの開発につながった。
【0068】
以下の表2は、
図2のデータのラマンスペクトル分析から得られたPLSモデル結果の要約である。
【表2】
【0069】
図3は、
図2のデータのDEを予測するためのPLS-モデルの図である。
図3中、X軸は、表1の組成物についてPLSモデルで予測されたDE値であり、Y軸は、重量測定法から得られたその対応するDE値である。各DE値について、多点データセットは、収集され分析された複数のラマンスペクトルを表し、優れた再現性である。
図3のデータ点を通る線[図示せず]のR二乗値は約0.988であり、これは優れたモデル予測性を示す。したがって、
図3は、それを開発するために使用されたスペクトルのサブセットにおけるPLSモデルの記述的能力を示す。
【0070】
したがって、実施例1は、ポリアミド化工程よりも先に適切なモノマーバランスをとるためにロバストなプロセス制御を達成するための、ラマン分光測定の実用的な使用を実証する。
【0071】
実施例2:実験室で分析された組成物のPLSモデル予測性
実施例1の方法によるモデルアプローチを、操作中に収集されるプロセスサンプルの予測に適用して、実験室規模のpH/滴定分析を用いてオフラインで分析した。
【0072】
図4は、表1の12点組成データから開発されたPLSモデルを使用した、実験室での分析から求められたDE[X軸上に示されている]と予測DE値[Y軸上に示されている]との間のパリティプロットである。
図4中、実線は二乗データ点をつないでおり、点線は勾配が約0.994である対応する直線当てはめである。データ一致の品質から、実施例1のモデルアプローチが優れた予測性を得たので、重合中のモノマーバランスについてロバストなプロセス制御を実施するための有用な技術であり得ることは明らかであった。したがって、
図4は、実施例1のスペクトルデータから開発されたPLSモデルがこの実施例のプロセスサンプルについていかに機能を発揮するかを示す。
【0073】
実施例3:ラマンスペクトルを用いた代替の統計モデル開発
表1の組成物についての実施例1のスペクトルデータを使用して、以下の6つの特定の範囲を、PLSモデリング内で重要であると特定し、有意義な分析のために選択した。
範囲1[R1]:1639-1762cm-1
範囲2[R2]:2825-2901cm-1
範囲3[R3]:1088-1125cm-1
範囲4[R4]:895-914cm-1
範囲5[R5]:961-985cm-1
範囲6[R6]:825-836cm-1
【0074】
図2中の6つの波長範囲に対応する強度を、各範囲にわたって積分した。次いで、各範囲の積分を多変量統計分析[MiniTab統計パッケージ]内で使用した。この分析により、DE値を予測するための、以下の多変量モデルが得られた:
DE=-32845+1765[R1]-4.51[R2]-125.9[R3]+1095[R4]-94[R5]-379[R6]-30.2[R1]
2-16.8[R4]
2
【0075】
図5は、この実施例の代替のモデリングアプローチを使用した分析予測性の図である。
図5では、重量分析を介して求められた表1のデータのDE値がX軸にプロットされ、上記多変量モデル方程式から予測されたDE値がY軸にプロットされている。
図5に示される点線から0.941のR二乗値が得られ、上記多変量モデルの合理的に良好な予測可能性が実証される。
図5中の各X軸データ点について、多点データセットはデータの再現性を表している。
【0076】
したがって、実施例3は、ポリアミド化工程よりも先に適切なモノマーバランスをとるためにロバストなプロセス制御を達成するための、ラマン分光測定の実用的な使用を実証する。
【0077】
実施例4:送り原料混合物のフィードフォワードプロセス制御
この実施例では、フィードフォワードプロセス制御スキームにおいてモノマーバランス、すなわちDE値を求めるために、実施例1のDEアプローチを予測するための、PLS-モデルを適用する。
図6は、このようなフィードフォワード制御構成の概略図である。
【0078】
図6に示されているように、約58重量%の全固形分を含有する酸リッチな送り原料混合物[モルベースで約2.43:1のAA:HMD]を運ぶ流れライン11が概略的に示されている。送り原料混合物はインライン静的混合装置12を通過する。ラマン分光プローブ13は、静的混合装置12の下流の流れライン11に挿入されている。流動している送り原料混合物のラマンスペクトルをラマン分光計装置14で測定し、実施例1による4成分PLS分析を用いてコンピュータ15によって分析する。
【0079】
DEを予測するための、PLS-モデルは、分析された送り原料のモノマーバランス又はDE値予測を提供する。
図6中にハッシュ線(hashed line)として示される得られたシグナルは、40重量%HMD水溶液の後続の添加を、バルブ付き供給ライン16を通して計量及び制御して、所望のモノマーバランスを達成するために、フィードフォワード方式で集積される。所望のモノマーバランス[DE値]を有する送り原料は、下流の重合プロセスまで前方に送られる。
【0080】
静的混合装置12は所望によるものである。必要に応じて、撹拌容器を介して又はポンプを通して混合操作を所望により達成することができる。いくつかのプロセス設計内では、成分混和性及び内部流れ乱流が十分であるので、追加の混合の必要はないことが見出され得る。
【0081】
実施例5:塩平衡化容器のためのフィードバックプロセス制御
この実施例では、フィードバックプロセス制御スキームにおいてモノマーバランス、すなわちDE値を求めるために、実施例1のDEアプローチを予測するための、PLS-モデルを適用する。
図7は、このようなフィードバック制御構成の概略図である。
【0082】
図7に概略的に示されるように、下流重合プロセスに送られる前に適切なモノマーバランスをとるために、バッフル付き塩平衡化プロセス容器111を使用する。塩平衡化容器内での混合は、モーター駆動式撹拌器112、外部ポンプ循環ループ113、又は
図7に示すようにこれらの2つの組み合わせによって達成され得る。循環ループ113における熱交換装置114は、塩平衡化容器の内容物に必要な温度モニタリング/制御を提供する。塩平衡化容器111は、約58重量%の全固形分を含有する酸リッチな送り原料[モルベースで約2.43:1のAA:HMD]、脱塩[DM]水、及び追加のHMDを受容する。HMDの流れが制御可能な範囲である限り、本開示から逸脱することなく、プロセス設計者にとって便利な任意の二酸:ジアミンモル比を使用できることが見出され、このような考慮事項は当該技術分野において公知である。同様に、本開示から逸脱することなく、他の濃度の酸リッチな送り原料を便利なものとして使用してもよい。塩平衡化容器は、オーバーヘッドスペース内に維持された不活性[窒素]ブランケット下で動作する。
【0083】
図7に示すように、塩平衡化容器111からの出力ライン116にラマン分光プローブ115を取り付ける。流動している出力ライン混合物のラマンスペクトルを分光計装置117によって測定し、実施例1又は実施例2のいずれかによる4成分PLS分析を用いてコンピュータ118によって分析する。
【0084】
DEを予測するための、PLS-モデルは、分析された混合物のモノマーバランスの推定又はDE値予測を提供する。
図7中にハッシュ線として示される得られたシグナルは、入力ライン119を介した40重量%HMD水溶液の循環ループ113のポンプ112への添加を計量及び制御するために、フィードバック方式で集積される。それによって、
図7に示されるフィードバック制御スキームを使用して、塩平衡化容器の内容物のモノマーバランス[又はDE値]をモニタ及び調整する。所望のモノマーバランスで、出力ライン送り原料混合物を、下流プロセスに取り込む。
【0085】
図示されてはいないが、塩平衡化容器におけるモノマー送り制御の一方又は両方にフィードバックモードで4成分PLS分析シグナルを使用してもよい。また、実施例4に記載されているように、フィードフォワードモードでトリムジアミン系と組み合わせてもよい。また、プロセス全体を安定した状態に保つために2つの組み合わせを適用してもよい。あるいは、当該シグナルを使用して、酸リッチな送り原料の容器への流入流量を制御することもできる。
【0086】
また、HMD制御ループの調整は、二次計器[
図7には示されていない]を組み込むことによって改善され得ることも見出されている。これらは、塩送り原料又は塩出力ラインにおける流量計、塩平衡化容器における液面計、バルブ動作インジケータ、又はアセンブリ内の他の計器を含み得る。調整に対するこのような改善は、塩平衡化容器内のモノマーバランスに対して制御ループ内のラマン機器を使用するこの実施例からの逸脱を表すものではない。
【0087】
塩平衡化容器への流れ接続の構成は、モノマーバランスを制御するためにラマン機器を使用する原理に限定されるものではないことも見出されている。
図7では、例えば、単一のHMD送り原料は、酸溶解容器に接続される前にDM水の送り原料と組み合わせられる。これらは、本発明から逸脱することなく、容器に直接別々に接続されてもよい。また、この実施例から逸脱することなく、1つを超えるHMD送り原料を適用してもよい。例えば、未希釈又は希釈HMDの1つ以上のトリム送り原料は、ラマン機器のフィードバックを介して制御されてもよく、1つ以上の粗HMD送り原料を、トリム送り原料をその制御範囲の最適な部分に維持するように変動させてもよい。また、ラマンプローブ自体は、この実施例から逸脱することなく、独立スリップ流、バイパス、再循環サンプルポット、又は他の構成に配置されてもよい。
【0088】
塩平衡化タンク内の混合システムの設計は、モノマーバランスを制御するためにラマン機器を使用する原理に限定されるものではないことも見出されている。異なる撹拌器設計を使用してもよい。異なるバッフル設計及び構成を使用してもよい。機械的ミキサを補うか又は置き換えるためにジェットミキサーを使用してもよい。異なる容器比率[L/D又はアスペクト比]を使用してもよい。多くの変形例が、当該技術分野において公知である。ラマンシグナルは、塩平衡化容器の内容物の代表的なサンプルに基づくことが望ましいため、良好な混合が必要とされ、混合を行う方法の詳細は、本開示から逸脱することなく変化させることができる。
【0089】
実施例6:酸溶解容器のためのフィードバックプロセス制御
この実施例では、フィードバックプロセス制御スキームにおいてモノマーバランス、すなわちDE値を求めるために、実施例1のDEアプローチを予測するための、PLS-モデルを適用する。
図8は、このようなフィードバック制御構成の概略図である。
【0090】
図8に概略的に示されているように、下流重合プロセスへ送られる前に適切なモノマーバランスをとるために、バッフル付き酸溶解プロセス容器211を使用する。酸溶解容器211内での混合は、モーター駆動式撹拌器212、外部ポンプ循環ループ213、又は
図8に示されるようにこれらの2つの組み合わせによって達成され得る。循環ループ213内の熱交換装置214は、酸溶解容器の内容物に必要な温度モニタリング/制御を提供する。酸溶解容器211は、スクリューコンベア215を介して固体アジピン酸[AA]送り原料を、並びに、ライン216を介して脱塩水及びHMDを、受容する。酸溶解容器211は、所望により、オーバーヘッドスペース内に維持された不活性窒素ブランケット(窒素など)下で動作する場合もあり、又はいくつかの組成物については、周囲条件下で動作する場合もある。
【0091】
図8に示すように、循環ループ213にラマン分光プローブ217を取り付ける。循環している送り原料混合物のラマンスペクトルを分光計装置218で測定し、実施例1又は実施例2のいずれかによる4成分PLS分析を用いてコンピュータ219によって分析する。
【0092】
DEを予測するための、PLS-モデルは、分析された混合物のモノマーバランスの推定又はDE値予測を提供する。
図8中にハッシュ線として示される得られたシグナルは、ジアミン送り量[
図8に示される]を計量及び制御するためにフィードバック方式で集積されるか、又は所望により、酸フィーダー[
図8には図示されていない]のスクリュー速度を変化させるために使用され得るか、又は所望により、下流流動制御のための組成物のデータ収集及び推定のために厳密に使用され得る。所望のモノマーバランスで、出力ライン送り原料混合物を、下流プロセスに取り込む。
【0093】
また、HMD制御ループの調整は、二次機器[
図8には示されていない]を組み込むことによって改善され得ることも見出されている。これらは、塩出力ラインにおけるスクリューフィーダー若しくは流量計又は混合タンクにおける液面計又はアセンブリ内の他の計器からの、AA送り量を平均化すること、を含み得る。調整に対するこのような改善は、酸溶解容器内のモノマーバランスに対して制御ループ内のラマン機器を使用するこの実施例からの逸脱を表すものではない。
【0094】
酸溶解容器への流れ接続の構成は、モノマーバランスを制御するためにラマン機器を使用する原理に限定されるものではないことも見出されている。
図8では、例えば、単一のHMD送り原料は、酸溶解容器に接続される前にDM水の送り原料と組み合わせられる。これらは、この実施例から逸脱することなく、容器に直接別々に接続されてもよい。また、この実施例から逸脱することなく、1つを超えるHMD送り原料を適用してもよい。例えば、未希釈又は希釈HMDの1つ以上のトリム送り原料は、ラマン機器のフィードバックを介して制御されてもよく、1つ以上の粗HMD送り原料を、トリム送り原料をその制御範囲の最適な部分に維持するように変動させてもよい。また、水及びHMD送り原料の接続は、再循環ポンプの吸引部に、又は熱交換ループ若しくは別のバイパスループ内に、又は容器内の液面下になど、容器の周囲の他の点で行われてもよい。このような流れ構成の一般的に知られている変形例は、プロセス設計者にとっての利便性の問題であり、この実施例からの逸脱を表すものではない。
【0095】
酸溶解タンク内の混合システムの設計は、モノマーバランスを制御するためにラマン機器を使用する原理に限定されるものではないことも見出されている。異なる撹拌器設計を使用してもよい。異なるバッフル設計及び構成を使用してもよい。ジェットミキサーを使用してもよい。異なる容器比率[L/D又はアスペクト比]を使用してもよい。多くの変形例が、当該技術分野において公知である。ラマンシグナルは、酸溶解容器の内容物の代表的なサンプルに基づくことが望ましいため、良好な混合が必要とされ、混合を行う方法の詳細は、この実施例から逸脱することなく変化させることができる。
【0096】
実施例7:塩溶液供給容器のためのオンラインプロセス制御
この実施例では、重合装置に送り原料を供給する塩溶液供給容器に対して行ってよいジアミン調節を求めるために、実施例1のDEアプローチを予測するための、PLS-モデルを適用する。
図9は、このようなプロセス制御構成の概略図である。
【0097】
図9に概略的に示されているように、下流重合プロセスに送り込まれる前にモノマーバランスを微調整するために、バッフル付き塩溶液供給容器311が使用される。塩溶液供給容器における混合は、
図9に示されるようにモーター駆動式撹拌器312によって達成され得る。上流の塩調製プロセスからの塩溶液が、塩溶液供給容器に送り込まれる。
【0098】
図9に示されているように、塩溶液供給容器311の内部にラマン分光プローブ313が浸される。塩溶液供給容器の内容物のラマンスペクトルを分光計装置314で測定し、実施例1又は実施例2のいずれかによる4成分PLS分析を用いてコンピュータ315によって分析する。
【0099】
DEを予測するための、PLS-モデルは、分析された混合物の即時モノマーバランス又はDE値予測を提供する。
図9にハッシュ線として示されている得られたシグナルは、下流重合プロセスにとって望ましい最終モノマーバランスを維持し制御する、供給容器[
図9に示されている]内の塩溶液バッチへの全ジアミン負荷を微調節するために集積される。供給容器の内容物は、下流プロセスにポンプ輸送される。未希釈HMDの代わりに希釈HMDを送り原料として使用することは、場合によっては制御の改善を提供することが見出されており、これは、この実施例からの逸脱を表すものではない。複数の送り原料が同じ濃度であってもよく同じ濃度でなくてもよい、例えば、粗調節のためのより大きな送り原料及び微調節のためのより小さい送り原料などの1つを超えるHMD送り原料を使用することも、制御の改善を提供することが見出され、この実施例からの逸脱とはみなされない。
【0100】
全HMD負荷を制御するために使用される計装の選択も、この実施例から逸脱することなく変更することができる。
図9の構成は、HMD流量が調節される連続又は半連続モードにおけるモノマーバランスの微調整としてこのシステムが使用される場合に、好適であることが見出されている。あるいは、全HMD負荷が使用されるバッチ又は半バッチモードでこの構成を使用してもよい。その範囲内で、場合によっては、計量器において小さな充填ポットを使用することも好適な計装構成であることが見出されている。塩送り原料における流量計を積算することから又は液面計若しくは他の手段を介して得られた、塩負荷の推定値を使用することは、HMD負荷又は流量を調整ために有益である。
【0101】
これは、迅速なフィードバックによる自動システムであるので、バッチ調節に複数のHMD注入を使用することは煩雑ではなく、微調整において有用であり得ることが見出されている。単一のHMD添加が使用されるか又は複数サイクルのHMD添加及びスペクトルサンプリングが使用される場合、この実施例から逸脱するものではない。
【0102】
塩溶液供給容器バッチは、重合プロセスへの充填中にこの方法でモニタされ得る。塩溶液供給容器からの複合同時追加スペクトルは、重合操作のための、所望のモノマーバランスのために使用される。
【0103】
実施例8:プロセスサンプリング及びオフライン分析を使用する制御
実施例4~7に記載されているようなラマンスペクトル分析を用いる開示されたオンライン制御スキームが存在しない場合、サンプリング点から送り原料サンプルを引き出すが、その位置は、
図6、
図7、
図8、又は
図9のいずれかに概略的に示されている。いずれの場合も、収集された送り原料サンプルを適切にコンディショニングし、取り扱い、実験室に輸送し、オフラインで分析する必要がある。pH/滴定法などの実験室分析から、モノマーバランスを求める。次いで、目標モノマーバランスからの偏差により、送り原料流及び他の送り装置に対する任意の必須の調節を考慮する。プロセスサンプルが採取された時点から、制御のために実験室分析が利用可能となる時点まで数時間の時間遅延がある。サンプリングとモノマーバランス決定との間のこのタイムラグは、定常状態の下流プロセス条件を維持する観点からは望ましくない。このアプローチでは、オフライン分析は、リアルタイムのプロセス条件に追いつくために絶えず務める。これは、特に、プロセスが任意の段階的変化過渡状態又は非定常状態を経るときに困難になる。ポリアミド化プロセス全体が、材料損失の増加と共に、プロセス調節の遅延及び的外れの発生に悩まされる。
【0104】
本開示の例示的な実施形態について詳細に説明してきたが、当業者には様々な他の改変が明らかであり、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく容易になされ得ることが理解されるであろう。したがって、本発明の特許請求の範囲は、本明細書に記載される実施例及び詳細な説明に限定されることを意図するものではなく、特許請求の範囲は、本開示が関連する当業者によってその等価物として扱われる全ての特徴を含む、本開示に存在する特許可能な新規性の全ての特徴を包含するものと解釈されることを意図する。