(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】たこ焼き用ミックス
(51)【国際特許分類】
A21D 2/18 20060101AFI20221024BHJP
A21D 2/36 20060101ALI20221024BHJP
A21D 13/40 20170101ALI20221024BHJP
A21D 2/14 20060101ALI20221024BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20221024BHJP
A21D 10/00 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
A21D2/18
A21D2/36
A21D13/40
A21D2/14
A23L35/00
A21D10/00
(21)【出願番号】P 2019562136
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2018047992
(87)【国際公開番号】W WO2019131820
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】P 2017251907
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 昭良
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-085524(JP,A)
【文献】特開平06-062813(JP,A)
【文献】特開2002-355012(JP,A)
【文献】特開2003-052341(JP,A)
【文献】特開平06-277011(JP,A)
【文献】特開平09-299069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L,A21D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミックス中に、アルギン酸類0.01~5質量%、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉1~20質量%並びに油脂加工小麦粉50質量%以上を含有
し、
前記油脂加工小麦粉が、小麦粉と液体油脂との混合物であるたこ焼き用ミックス。
【請求項2】
前記油脂加工小麦粉における油脂と小麦粉との質量比が、前者:後者として、1:5~30である請求項1記載のたこ焼き用ミックス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のたこ焼き用ミックス及び水性液体を含有するたこ焼き生地。
【請求項4】
たこ焼き用ミックスと
前記水性液体との質量比が、前者:後者として、1:2~7である請求項3記載のたこ焼き生地。
【請求項5】
アルギン酸類0.002~2質量%と、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉0.2~10質量%と、油脂加工小麦粉10質量%以上と、水性液体とを含有
し、
前記油脂加工小麦粉が、小麦粉と液体油脂との混合物であるたこ焼き生地。
【請求項6】
請求項1若しくは2に記載のたこ焼き用ミックス又は請求項3~5の何れか1項に記載のたこ焼き生地を含有するたこ焼き。
【請求項7】
アルギン酸類0.005~2.5質量%と、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉0.3~12質量%と、油脂加工小麦粉12質量%以上とを含有
し、
前記油脂加工小麦粉が、小麦粉と液体油脂との混合物であるたこ焼き。
【請求項8】
請求項1若しくは2に記載のたこ焼き用ミックス又は請求項3~5の何れか1項に記載のたこ焼き生地を用いるたこ焼きの製造方法。
【請求項9】
アルギン酸類と、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉と、油脂加工小麦粉と、水性液体とを混合してたこ焼き生地を得、該たこ焼き生地を焼成する工程を含む、たこ焼きの製造方法であって、
前記たこ焼き生地が、アルギン酸類0.002~2質量%と、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉0.2~10質量%と、油脂加工小麦粉10質量%以上と、水性液体とを含有
し、
前記油脂加工小麦粉が、小麦粉と液体油脂との混合物である、たこ焼きの製造方法。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のたこ焼き用ミックスを製造する方法であって、
小麦粉と
液体油脂とを混合して油脂加工小麦粉を得る工程、並びに
得られた油脂加工小麦粉、アルギン酸類並びにアセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉を混合する工程
を含む、たこ焼き用ミックスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たこ焼き用ミックスに関する。詳細には、焼きたてでも、冷めた後に再加熱した時でも、たこ焼きらしい外観を好ましく維持でき、表面がカリッとして中身はとろりとした食感のたこ焼きが得られるたこ焼き用ミックスに関する。
【背景技術】
【0002】
たこ焼きは、具材にたこ等を含み、小麦粉を主体とする液状生地を型に入れて焼成する食品で、独特の球状の外観と、表面はカリッと、中身はとろりとした食感を有しており、人気が高い食品である。たこ焼きは球状の窪みがついたたこ焼き器で調理され、通常は出来立てで食するが、近年は予め調理済みのたこ焼きを冷凍保存した状態で販売し、これを電子レンジ等で再加熱するだけで簡便に喫食できる製品も登場している。たこ焼きは前述のたこ焼き器で製造される過程で、たこ焼き器と接する表面は焼き固められ、球状の外観とカリッとした食感が生まれ、内部は比較的穏やかに加熱されるためとろりと焼きあがる。しかし、このような外観や食感は、焼き立てでは良好であっても、時間の経過とともに失われてしまい、つぶれたボールのようなひしゃげた外観と、とろみが失われて団子様の硬い食感になってしまっていた。また、冷凍後に電子レンジで加熱した場合でも、マイクロ波による水分子の加熱振動により、やはりたこ焼き独得の外観や食感は失われやすかった。
【0003】
従来からたこ焼きの食感を向上させるための技術が提案されている。特許文献1には、平均粒子径が20μm以下の増粘安定剤を含有するたこ焼き・お好み焼き用改質剤が記載されている。特許文献2には、穀粉類に油脂及びアセチル化澱粉を含有させたたこ焼き用ミックスが記載されている。特許文献3には、穀粉類にアセチル化酸化澱粉を含有させたたこ焼き用ミックスが記載されている。特許文献4には、穀粉類に油脂及びエーテル化澱粉を含有させたたこ焼き用ミックスが記載されている。しかし、これらの技術は、主に食感の向上を目的としたもので、外観については改良の余地があり、外観を良好に維持できるさらなる技術が望まれている。
また特許文献5には、特定の油脂加工澱粉で処理したタコ類を用いてたこ焼きを製造できることが記載されている。しかし、この技術は、魚介類の加熱による歩留り低下の改善や、魚介類そのものの食感改善に寄与し、たこ焼きの外観や食感を改善するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-355012号公報
【文献】特開2003-52341号公報
【文献】特開2013-85524号公報
【文献】特開平6-62813号公報
【文献】特開2009-112269号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、焼きたてでも、冷めた後に再加熱した場合でも、たこ焼きらしい外観を好ましく維持でき、表面がカリッとして中身はとろりとした食感のたこ焼きを提供することである。
【0006】
本発明は、ミックス中に、アルギン酸類0.01~5質量%、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉1~20質量%並びに油脂加工小麦粉50質量%以上を含有するたこ焼き用ミックスである。
【0007】
また本発明は、前記の本発明のたこ焼き用ミックス及び水性液体を含有するたこ焼き生地である。
また本発明は、アルギン酸類0.002~2質量%と、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉0.2~10質量%と、油脂加工小麦粉10質量%以上と、水性液体とを含有するたこ焼き生地である。
【0008】
また本発明は、前記の本発明のたこ焼き用ミックス又はたこ焼き生地を含有するたこ焼きである。
また本発明は、アルギン酸類0.005~2.5質量%と、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉0.3~12質量%と、油脂加工小麦粉12質量%以上とを含有するたこ焼きである。
【0009】
また本発明は、前記の本発明のたこ焼き用ミックス又はたこ焼き生地を用いるたこ焼きの製造方法である。
また本発明は、アルギン酸類と、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉と、油脂加工小麦粉と、水性液体とを混合してたこ焼き生地を得、該たこ焼き生地を焼成する工程を含む、たこ焼きの製造方法であって、前記たこ焼き生地が、アルギン酸類0.002~2質量%と、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉0.2~10質量%と、油脂加工小麦粉10質量%以上と、水性液体とを含有する、たこ焼きの製造方法である。
【0010】
また本発明は、前記の本発明のたこ焼き用ミックスを製造する方法であって、小麦粉と油脂とを混合して油脂加工小麦粉を得る工程、並びに得られた油脂加工小麦粉、アルギン酸類並びにアセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉を混合する工程を含む、たこ焼き用ミックスの製造方法である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のたこ焼き用ミックスは、ミックス100質量%中に、アルギン酸類0.01~5質量%、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉1~20質量%並びに油脂加工小麦粉50質量%以上を含有することを特徴とする。
【0012】
本発明で用いるアルギン酸類としては、食用に利用できるものであればいずれのものでも採用できるが、例えば、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステルが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アルギン酸塩としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等の1価塩;アルギン酸カルシウム等の2価塩;アルギン酸アンモニウム等の塩基性塩が挙げられる。アルギン酸エステルとしては、例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステルが挙げられる。これらのアルギン酸類の中でも特に、アルギン酸プロピレングリコールエステルが好ましい。
【0013】
本発明で用いるアルギン酸類の含有量は、ミックス100質量%中、0.01~5質量%であり、好ましくは0.08~2質量%、さらに好ましくは0.2~1質量%である。アルギン酸類の含有量が0.01質量%未満であると、たこ焼きらしい外観の維持が難しくなり、5質量%を超えると、食感が硬くなる。
【0014】
本発明で用いるアセチル化酸化澱粉としては、安定剤、増粘剤、乳化剤等として市販されているものを適宜用いることができる。また、未加工の澱粉を用いて、常法によりアセチル化及び酸化の加工を行ったものも同様に用いることができる。またヒドロキシプロピル化澱粉についても、同様に、未加工の澱粉を用いて常法によりヒドロキシプロピル化の加工を行ったものや、市販されているヒドロキシプロピル澱粉を用いることができる。アセチル化酸化澱粉及びヒドロキシプロピル化澱粉に用いられる澱粉の由来としては、馬鈴薯澱粉、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、小麦澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉等が挙げられ、これらの澱粉の1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉及び馬鈴薯澱粉から選択される1以上に由来するアセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉を用いることが、冷めた後や冷蔵冷凍保管後の再加熱時の食感の観点から好ましく、アセチル化酸化タピオカ澱粉がより好ましい。
【0015】
本発明で用いるアセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉の含有量は、ミックス100質量%中、1~20質量%であり、好ましくは3~15質量%、さらに好ましくは5~10質量%である。アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉の含有量が1質量%未満であると、たこ焼き内部のとろりとした食感を維持することが難しくなり、20質量%を超えると、ねちゃついた食感が強くなる。
【0016】
本発明で用いる油脂加工小麦粉としては、小麦粉に微量の食用油脂を付着させる加工処理を行ったものであれば、いずれも用いることができる。本発明で用いる油脂加工小麦粉は、典型的には、小麦粉と油脂とを混合するなどして、小麦粉に微量の油脂を付着させるだけの処理で得られるものであるが、さらに他の処理、例えば、油脂が付着した小麦粉に加水して懸濁液を得、該懸濁液を油ちょうする処理を施したものを用いることもできる。このような油ちょうを経て得られる油脂加工小麦粉は、いわゆる揚げ玉である。しかしながら、本発明の所定の効果がより確実に奏されるようにする観点から、油脂加工小麦粉としてはこのような揚げ玉の形態よりも、小麦粉に微量の油脂を付着させただけで得られ、該小麦粉本来の形態が実質的に維持されている、常温常圧で粉体の形態の方が好ましい。
【0017】
油脂加工に用いる小麦粉は通常の食用に用いられる、外国産や日本産の小麦粉を利用でき、具体的には、外国産小麦粉として、オーストラリア産スタンダード・ホワイト、ワン・シー・ダブリュ、ウエスタン・ホワイト、ハード・レッド・ウインター、ダーク・ノーザン・スプリング等が挙げられ、日本産小麦粉として、きたほなみ、チクゴイズミ等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、油脂は通常の食用の液体油脂や固形油脂を適用することができ、具体的には、大豆油、コーン油、菜種油、パーム油、ごま油、オリーブオイル等の植物油脂、バター(乳脂)、ラード(豚脂)等の動物油脂が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
油脂加工小麦粉は、これらの小麦粉及び油脂を予め混合し、必要に応じて整粒や粒度調整、乾燥等を行って製造することができる。小麦粉と油脂とを混合する際、小麦粉全体に油脂が十分行き渡って付着するようによく混合することが好ましく、そのためには、上記に挙げた油脂の中でも、常温常圧で液体の油脂、具体的には、大豆油、コーン油、菜種油等を用いることが好ましく、また、リボンミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー等を使って混合することが好ましい。
【0019】
本発明の油脂加工小麦粉における油脂と小麦粉の質量比(油脂:小麦粉)は、目的とする効果をより高く奏させる観点から、好ましくは1:5~30、より好ましくは1:10~25である。
【0020】
本発明で用いる油脂加工小麦粉は、予め調製された油脂加工小麦粉を用いるか、前記の小麦粉と油脂とを、予め混合して油脂加工小麦粉とした後、前記アルギン酸類並びにアセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉と混合して用いることが好ましい。つまり、油脂加工小麦粉とするための小麦粉と油脂の混合の際に、小麦粉及び油脂をこれら以外の成分と共に混合することは好ましくない。しかし、風味づけ等のため、若干量の香料や着色料等のその他の成分を小麦粉及び油脂と共に混合してもよく、但し、その場合であっても、これらのその他の成分は、油脂加工小麦粉全量中に10質量%以下となる量であることが好ましい。
尚、後述する比較例4から明らかな通り、予め油脂加工小麦粉とせずに小麦粉と油脂を別個のまま、アルギン酸類並びにアセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉と共に混合してたこ焼き用ミックスとしても、本発明の効果は得られない。
【0021】
本発明で用いる油脂加工小麦粉の含有量は、ミックス100質量%中、50質量%以上であればよく、前記のアルギン酸類とアセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉を除くすべてが油脂加工小麦粉であってもよい。油脂加工小麦粉の含有量は好ましくは60~98質量%、より好ましくは65~97質量%、さらに好ましくは70~96質量%である。50質量%未満であると、たこ焼き表面がカリッとして中身はとろりとした食感を維持することが難しくなる。
【0022】
本発明のたこ焼き用ミックスには、上記のアルギン酸類、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉並びに油脂加工小麦粉のほかに、たこ焼き用ミックスに従来用いられているその他の原材料を適宜含有させることができる。その他の原材料としては、米粉や大麦粉等の穀粉類、油脂加工していない小麦粉、未加工の澱粉類、アセチル化酸化又はヒドロキシプロピル化以外の加工をした澱粉類、糖類、食塩、調味料、植物性蛋白質(大豆粉、小麦蛋白等)、ヤマイモ粉、卵粉(全卵粉、卵黄粉、卵白粉)、雑節類(カツオ節、サバ節、ソーダ節、炒り子、マグロ節等)、粉末昆布、膨張剤、増粘剤、香辛料、エキス・スープ類、乾燥野菜類、粉末海老のような粉砕した具材等が挙げられる。本発明の効果を損ねないようにする観点から、その他の原材料の含有量は、ミックス全量中に、合計で20質量%以下とすることが好ましい。
【0023】
本発明のたこ焼き用ミックスは、例えば、小麦粉と油脂とを混合して油脂加工小麦粉を得る工程、並びに得られた油脂加工小麦粉、アルギン酸類並びにアセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉、必要に応じてその他の原材料を混合してたこ焼きミックスを得る工程によって製造することができる。油脂加工小麦粉を得る工程には、油脂加工小麦粉に関する前述の説明を適宜適用することができる。また、得られた油脂加工小麦粉、アルギン酸類並びにアセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉、並びに必要に応じてその他の原材料の混合は、常法により行えばよく、例えば、手で撹拌混合してもよいし、ミキサー、ブレンダー、シェイカー等を使って混合してもよい。
【0024】
本発明のたこ焼き用ミックスを用いてたこ焼きを製造する際は、常法に従って、本発明のたこ焼き用ミックスからたこ焼き生地を調製して焼成すればよい。該たこ焼き生地は、本発明のたこ焼き用ミックス及び水性液体を含有するもので、本発明のたこ焼き用ミックスに加水して溶液(懸濁液)としたものであり、加水には、水や、だし汁、しょうゆ、液卵等の水性液体を用いることができる。たこ焼き用ミックスと水性液体の比率は、ミックス:水性液体として、1:2~10程度、好ましくは1:2~7、より好ましくは1:3~7である。
【0025】
本発明のたこ焼き生地は、アルギン酸類と、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉と、油脂加工小麦粉と、水性液体とを含有する。本発明のたこ焼き生地における各成分の含有量は、下記範囲にあることが好ましい。
・アルギン酸類:好ましくは0.002~2質量%、より好ましくは0.01~0.5質量%、更に好ましくは0.02~0.2質量%
・アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉:好ましくは0.2~10質量%、より好ましくは0.5~10質量%、更に好ましくは1~5質量%
・油脂加工小麦粉:好ましくは10質量%以上、より好ましくは12~30質量%、更に好ましくは15~25質量%
・水性液体:好ましくは50~85質量%、より好ましくは60~80質量%
【0026】
本発明のたこ焼きは、アルギン酸類と、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉と、油脂加工小麦粉とを含有する。本発明のたこ焼きにおける各成分の含有量は、下記範囲にあることが好ましい。
・アルギン酸類:好ましくは0.005~2.5質量%、より好ましくは0.02~0.7質量%、より好ましくは0.03~0.3質量%
・アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉:好ましくは0.3~12質量%、より好ましくは0.7~12質量%、更に好ましくは1.5~7質量%
・油脂加工小麦粉:好ましくは12質量%以上、より好ましくは14~35質量%、更に好ましくは17~30質量%
【0027】
本発明には、アルギン酸類と、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉と、油脂加工小麦粉と、水性液体とを混合してたこ焼き生地を得、該たこ焼き生地を焼成する工程を含む、たこ焼きの製造方法が包含される。この本発明のたこ焼きの製造方法において、中間物であるたこ焼き生地における各成分の含有量は、前記の本発明のたこ焼き生地におけるそれと同じでよい。この本発明のたこ焼きの製造方法では、たこ焼き生地原料(アルギン酸類、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉、油脂加工小麦粉、水性液体)の添加順序は特に制限されず、例えば、前記の本発明のたこ焼き用ミックスに水性液体を添加してもよく、あるいは、該ミックスに含まれる成分(アルギン酸類、アセチル化酸化澱粉及び/又はヒドロキシプロピル化澱粉、油脂加工小麦粉)のうちの一部を予め混合して混合物を得、該混合物と該成分の残りと水性液体とを混合してもよい。
【0028】
本発明のたこ焼きは、焼成後直ぐに食してもよく、適宜冷ました後に食してもよく、冷蔵又は冷凍処理して保存後、電子レンジ等で解凍、再加熱して食してもよい。冷凍保存したたこ焼きを解凍、再加熱して食する場合、該冷凍保存したたこ焼きを、食する前日より解凍を兼ねて冷蔵保存にしておいて、食する当日に電子レンジ等で再加熱して食してもよい。
【実施例】
【0029】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0030】
(製造例1~6)油脂加工小麦粉の製造
外国産小麦粉に油脂加工を行った。具体的には、市販の薄力粉(日清フーズ製:フラワー)と大豆油を表1の質量比でミキサーを用いてよく混合し、油脂加工小麦粉とした。
【0031】
【0032】
(実施例1~7及び比較例1~4)
下記の表2に示す配合で各原料を混合し、たこ焼き用ミックスを製造した。使用した原料は以下の通りである。
アルギン酸類:キミカ製、アルギン酸プロピレングリコールエステル
アセチル化酸化澱粉:J-オイルミルズ製、アセチル化酸化タピオカ澱粉
ヒドロキシプロピル化澱粉:松谷化学工業製、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉
【0033】
(試験例)
各たこ焼き粉ミックス100gに、水400gを加え、攪拌混合して生地を調製した。このたこ焼き生地を190℃に熱したたこ焼き器(直径4cm)に流し込んだ。そこに、たこのぶつ切り、天かす、ネギ及び紅生姜を加えて加熱し、たこ焼き器に接した部分が焼けてきたら、竹串を用いて、生地を反転させた。さらに全体に熱が通るまで焼成し、たこ焼きを得た。
得られたたこ焼きを訓練された専門のパネラー10名に食してもらい、たこ焼きの表面と内部の食感について下記評価基準により評価した。また、焼成後冷めてから、-18℃の冷凍庫で7日間保存し、電子レンジにて再加熱(たこ焼き6個を600Wにて3分半加熱)した際のたこ焼きの外観及び内部の食感を、下記評価基準により評価した。これらの結果をパネラー10名の平均点で表2に示す。
【0034】
(外観の評価基準)
5 高さが4cmできれいな球状をしている
4 高さが4cmであるが、わずかに変形がある
3 高さが3cm以上4cm未満で、わずかに変形がある
2 高さが3cm以上4cm未満で、つぶれたような変形がある
1 高さが3cm未満で、つぶれたような変形がある
(表面の食感の評価基準)
5 カリッとした食感が充分にあり、非常に良好
4 カリッとした食感があり、良好
3 やや柔らかいか、やや硬く噛み切りにくく、やや不良
2 柔らかいか、硬すぎて噛み切りにくく、不良
1 柔らかすぎるか、硬くまとわりつくようであり、非常に不良
(内部の食感の評価基準)
5 とろりとした食感が充分にあり、非常に良好
4 とろりとした食感があり、良好
3 ややねちゃつくか、ややもっさりとしており、やや不良
2 ねちゃつくか、もっさりとした食感があり、不良
1 ねちゃつきが強すぎるか、水気が無くもっさりとした食感が強すぎ、非常に不良
【0035】
【0036】
(実施例8~22及び比較例5~9)
下記の表3~5に示す配合とした以外は、実施例3と同様にたこ焼き用ミックスを製造し、試験例と同様に評価した。その結果を表3~5に示す。なお、表3~5には、実施例3の結果を再掲する。
【0037】
【0038】
【0039】
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、焼きたてでも、冷めた後に再加熱した場合でも、たこ焼きらしい外観を好ましく維持でき、表面がカリッとして中身はとろりとした食感のたこ焼きを提供することができる。