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特許7163329対物レンズ、カメラ、及びそのような対物レンズを備える光遺伝学に適応したシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】対物レンズ、カメラ、及びそのような対物レンズを備える光遺伝学に適応したシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20221024BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20221024BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221024BHJP
   G02B 3/14 20060101ALN20221024BHJP
【FI】
G02B13/00
A61F9/007 190B
H04N5/225 400
G02B3/14
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019572737
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018067487
(87)【国際公開番号】W WO2019002509
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】17305805.8
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518445724
【氏名又は名称】ジェンサイト・バイオロジクス
(73)【特許権者】
【識別番号】507416908
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
(73)【特許権者】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク
(73)【特許権者】
【識別番号】500248467
【氏名又は名称】アンスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サントゥ エ ドゥ ラ ルシェルシェ メディカル(イーエヌエスエーエールエム)
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル シャバ
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム シェネグロ
(72)【発明者】
【氏名】シャルリエ ガル
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-528559(JP,A)
【文献】特表2009-543152(JP,A)
【文献】特開2011-13583(JP,A)
【文献】特表2006-504132(JP,A)
【文献】特開2005-352240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/00 - 11/30
G02B 3/00 - 3/14
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
H04N 5/222 - 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
100ピクセルを超えるピクセルを備えるイメージャ(12)に対して10度の物体視野の結像を行う対物レンズ(10)であって、伝搬方向(Z)は対物レンズ(10)に対して定義され、対物レンズ(10)は、伝搬方向(Z)の順に、
複数のレンズ(L1、L2、L3)を備える第1レンズユニット(U1)であって、前記第1レンズユニット(U1)は第1焦点距離(fU1)及び第1ディメンション(DU1)を持ち、前記第1焦点距離(fU1)は正であり、前記第1ディメンション(DU1)は15ミリメートル未満である第1レンズユニット(U1)と、
90度の角度で曲がるように構成される曲げミラー(M)と、
液体レンズ(LL)と、
複数のレンズ(L4、L5)を備える第2レンズユニット(U2)であって、前記第2レンズユニット(U2)は第2焦点距離(fU2)及び第2ディメンション(DU2)を持ち、前記第2焦点距離(fU2)は正であり、前記第1焦点距離(fU1)と前記第2焦点距離(fU2)の間の比率(R1)は、1.0と2.0の間に含まれ、前記第1ディメンション(DU1)と前記第2ディメンション(DU2)の間の比率(R2)は2以上である第2レンズユニット(U2)と
を備える対物レンズ(10)。
【請求項2】
前記第1レンズユニット(U1)及び前記第2レンズユニット(U2)に属する各レンズ(L1、L2、L3、L4、L5)の材料は、2つの異なる材料から選択される、請求項1に記載の対物レンズ。
【請求項3】
前記第1レンズユニット(U1)の前記レンズ(L1、L2、L3)の数及び前記第2レンズユニット(U2)の前記レンズ(L4、L5)の数は4以下である、請求項1又は2に記載の対物レンズ。
【請求項4】
前記第1レンズユニット(U1)及び前記第2レンズユニット(U2)の少なくとも一方は、両凸レンズ及び凹メニスカスを含む、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の対物レンズ。
【請求項5】
前記第1レンズユニット(U1)及び前記第2レンズユニット(U2)に属する各レンズ(L1、L2、L3、L4、L5)は、両凸レンズ又はメニスカスレンズのみから選択される、請求項1から4のうちいずれか1項に記載の対物レンズ。
【請求項6】
前記第1レンズユニット(U1)は、前記伝搬方向において、収束レンズである第1レンズ(L1)及び発散レンズである第2レンズ(L2)を少なくとも含み、前記第2レンズ(L2)の焦点距離(fL2)と前記第1レンズ(L1)の焦点距離(fL1)の間の絶対値における比率(R3)は、1.8から2.2の間に含まれる、請求項1から5のうちいずれか1項に記載の対物レンズ。
【請求項7】
前記第1焦点距離(fU1)は、30.0ミリメートルと40.0ミリメートルの間に含まれる、請求項1から6のうちいずれか1項に記載の対物レンズ。
【請求項8】
前記第2焦点距離(fU2)は、20.0ミリメートルと35.0ミリメートルの間に含まれる、請求項1から7のうちいずれか1項に記載の対物レンズ。
【請求項9】
前記第2レンズユニット(U2)は、前記伝搬方向の前記順序で、発散レンズである第4レンズ(L4)及び収束レンズである第5レンズ(L5)を少なくとも含み、前記第4レンズ(L4)の焦点距離(fL4)と前記第5レンズ(L5)の焦点距離(fL5)の間の絶対値における比率(R4)は1.8から3.6の間に含まれる、請求項1から8のうちいずれか1項に記載の対物レンズ。
【請求項10】
前記第1レンズユニット(U1)の第1レンズ(L1)は、入射焦点距離(fL1)を持ち、前記第2レンズユニット(U2)の最終レンズ(L5)は、出口焦点距離(fL5)を持ち、前記出口焦点距離(fL5)と前記入射焦点距離(fL1)の間の比率(R5)は、絶対値において0.7から1.0の間に含まれる、請求項1から9のうちいずれか1項に記載の対物レンズ。
【請求項11】
前記第1レンズユニット(U1)は、3つのレンズ(L1、L2、L3)で構成される、請求項1から10のうちいずれか1項に記載の対物レンズ。
【請求項12】
前記第2レンズユニット(U2)は、2つのレンズ(L4、L5)で構成される、請求項1から11のうちいずれか1項に記載の対物レンズ。
【請求項13】
100ピクセルを超えるピクセルを備えるイメージャ(12)と、請求項1から12のいずれか1項に記載の対物レンズ(10)とを備える、カメラ(20)。
【請求項14】
請求項13に記載のカメラ(20)を含むことによって視力を少なくとも部分的に回復するように構成された、光遺伝学に適合したシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、10度の物体視野をイメージャ上に撮像するための対物レンズに関する。本発明は、光遺伝学に適合した関連カメラ及び関連システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
網膜は光受容体で構成され、光受容体は、光変換による網膜の光感受性に関与する高度に特殊化されたニューロンであり、つまり、視覚システム内でイベントのカスケードを伝播する電気信号と化学信号への光の変換であり、最終的に世界の表現を生成する。脊椎動物の網膜では、光受容体タンパク質であるロドプシンの活性化により光変換が開始される。
【0003】
網膜色素変性症(RP)又は黄斑変性(MD)の場合など、光受容体の損失又は変性は、網膜内の視覚情報の光変換を完全には阻害しないにしてもひどく妥協する。視細胞の喪失及び/又は視細胞機能の喪失は、視力の低下、光感受性の低下、及び失明の主な原因である。
【0004】
現在、遺伝子治療、幹細胞治療、光遺伝学、及び人工網膜を含む、網膜変性疾患に特化したいくつかの治療アプローチが開発されている。(Scholl et al., 2016, Science Translational Medicine, 8 (368), 368rv6)
【0005】
例えば、光遺伝学と呼ばれる遺伝子工学及び神経工学技術により、脳内の他のニューロンに影響を与えることなく、定義されたニューロン集団の活動を制御することにより、被験者の網膜の光感受性を回復することが提案されている。欠陥遺伝子の置換又は修復、又はタンパク質欠乏又は機能不全の修正による遺伝的欠陥の回避を試みる従来の遺伝子治療とは対照的に、光遺伝学的アプローチを使用して、網膜の通常は非感光性の細胞に光に反応する能力を付与し、患者の有用な視力を回復することができる。双極細胞又は神経節細胞に細胞外電気刺激を提供する網膜チップインプラントとは異なり、光遺伝学ベースの治療法は、細胞内から細胞を刺激する。
【0006】
光遺伝学(Deisseroth. Nat Methods 8 (1): 26-9, 2011)は、遺伝学と光学の組み合わせを意味し、生体組織の特定の細胞内の明確なイベントを制御する。光遺伝学は、(i)細胞膜での外因性の光反応性タンパク質の発現により標的細胞を光に敏感にするために遺伝子を改変し、(ii)光反応性タンパク質に光を提供できる照明デバイスを提供することから成る。
【0007】
外因性の光反応性タンパク質の例は、哺乳類ニューロンでの発現用に設計されており、ウイルスベクターを使用して特定の神経集団に遺伝的に標的化することができる光活性化イオンチャネル及びポンプ(チャネルロドプシン-2[ChR2]、ハロロドプシン[NpHR])をエンコードする植物及び微生物(例、古細菌、細菌、及び真菌)に由来するオプシン遺伝子の使用を記載する国際公開第2007024391号パンフレット、国際公開第2008022772号パンフレット、又は国際公開第2009127705号パンフレットによって提供される。適切な波長の光にさらされると、オプシンを発現するニューロンで活動電位が誘発され、それによりこれらの細胞に対する光感受性が付与される。同様に、国際公開第2013013071231号パンフレットは、互いに及び最新技術(例:ChR2/VChR1)とは異なる活性化スペクトルを持っている新しいチャネルロドプシン、クロノスとクリムソンを開示し、複数の異なる波長の光を使用して、異なる細胞で遺伝的に発現される異なる活性化スペクトルを持つチャネルを発現することにより同じ組織内の異なる細胞セットを脱分極することができ、そして、異なる色の光で組織を照らす。
【0008】
光遺伝学は、選択的なニューロンの活性化/抑制のための非常に強力なツールであり、例えば、人間を含む、生きている動物の神経機能を、特に目において(Busskamp et al., 2012, Gene Therapy 19 (2): 169-75)、回復するために使用できる(Boyden et al., 2005, Nature Neuroscience 8 (9): 1263-68)。
【0009】
それにもかかわらず、選択された光の波長は、光反応性タンパク質の最適な波長に近いことが示されている(Nagel et al. 2003, Proceedings of the National Academy of Sciences 100 (24): 13940-45, Klapoetke et al. 2014, Nature Methods 11 (3) 338-46)、これらの光反応性タンパク質は、光に対する感度が非常に低いことが示されている(Asrican et al. 2013, Front Neural Circuits, 2013, 7:160 ; Busskamp et al. 2012, Gene Therapy 19 (2): 169-75)。したがって、光によるタンパク質活性化の最小レベルを得るために、標的細胞又はタンパク質が受ける光の強度は最小値を超えるものとする(Barrett et al., 2014, Visual Neuroscience 31 (4-5): 345-354)。結果として、適切な波長で充分な放射照度を提供する外部デバイスは必須である。
【0010】
あるいは、これらの患者の視覚補綴システムで少なくとも部分的に視力を回復することが提案されている。これらのシステムは、網膜組織の一部が変性しているが、網膜の大部分は無傷のままであり、光依存性電気刺激によって直接刺激される可能性があるという事実を活用することにより、視覚障害のあるユーザーのために、控えめな視覚と向きの感覚を少なくとも部分的に再確立するのに役立つツールである網膜インプラントを備える。通常、網膜インプラントは患者の目に埋め込まれ、光刺激により残りの神経細胞を電気的に励起する。刺激されると、これらの残りの神経細胞は人工的に誘導された電気インパルスを視神経を通して脳の視覚部分に伝える。
【0011】
網膜インプラントは、網膜上及び網膜下の2つのカテゴリに大きく分けることができる(Lin et al., 2015, Retinal prostheses in degenerative retinal diseases, J Chin Med Assoc.; 78(9):501-5)。網膜上デバイスは、網膜の内面、すなわち最初に入射光にさらされ、神経節細胞の神経線維が視神経に向かう途中の網膜の側面の上又は近くに配置される。網膜上インプラントは、通常、盲目の又は部分的に盲目の患者の視力を再構築又は改善するため、眼のレンズを通して網膜上の外眼装置(通常はカメラと入射光をデコードするためのマイクロ電子回路)によって投影された画像を受信できる複数のピクセル要素を備え、画像を電気信号に変換し、複数の刺激電極を介して信号を電気刺激にさらに伝達して、チップに隣接する網膜細胞を刺激するためのチップで構成される。対照的に、網膜下デバイスは、網膜の下、網膜とその下の網膜色素上皮又は他のより深い組織との間に配置される。現在利用可能な網膜下技術は、単一の剛性で一般的に平面のチップの移植に依存する。さらに、大きな視野をカバーするために、複数のチップを移植できることが望ましいことが示されている(Lee et al. (2016). Implantation of Modular Photovoltaic Subretinal Prosthesis. Ophthalmic Surgery, Lasers and Imaging Retina, 47(2), 171-174)。
【0012】
人工網膜及び光遺伝学的治療は、2つの主要なコンポーネントに依存する。網膜上で設計された1番目のコンポーネントは、光子を電気化学信号に変換することで光感度を提供する:人工網膜システムのインプラントと、光遺伝学的治療で網膜細胞に遺伝的に導入された光依存性イオンチャネルタンパク質。2番目のコンポーネントは、視覚情報(通常はカメラ又はフォトダイオードの配列で取得)をエンコードし、前者のコンポーネントが必要とする入力信号に変換するために必要である。人工網膜では、入力信号は、能動電極のマトリックス又は受動部品を活性化できる光のパルスによって供給される電流である。光遺伝学遺伝子治療では、配信される入力信号は、定義された時空間的にオプトジェネティックタンパク質を活性化するのに必要な適切な強度と波長の光パルスである。
【0013】
光の感度を回復するために使用されるアプローチに関係なく、視覚情報をリアルタイムでエンコードできる刺激装置が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、網膜色素変性症に冒された盲目の被験者の部分的な視力を回復するシステムで使用される刺激装置に埋め込まれるように構成された対物レンズを提供することを目的とする。
【0015】
このため、出願人の研究のおかげで、出願人は、そのような対物レンズによって満たされるべき要件を表明した。
【0016】
まず、対物レンズの大きさを小さくする必要がある(特に25ミリメートル未満)。
【0017】
さらに、対物レンズは、特に30マイクロメートル(μm)未満の充分な解像度を提供する必要がある。
【0018】
さらに、対物レンズは10度の物体視野を提供する必要がある。
【0019】
対物レンズは、焦点距離が調整可能であり、40センチメートルを超える場所にある物体を撮像できるようにする必要がある。
【0020】
このため、100ピクセルを超えるピクセルを備えるイメージャに対して10度の物体視野の結像を行う対物レンズであって、伝搬方向は対物レンズに対して定義され、対物レンズは、伝搬方向の順に、第1レンズユニットと、曲げミラーと、液体レンズと、第2レンズユニットを備える対物レンズが提案される。第1レンズユニットは、複数のレンズを備え、第1レンズユニットは第1焦点距離及び第1ディメンションを持ち、第1焦点距離は正であり、第1ディメンションは15ミリメートル未満である。曲げミラーは、90度の角度で曲がるように構成される。第2レンズユニットは、複数のレンズを備え、第2レンズユニットは第2焦点距離及び第2ディメンションを持ち、第2焦点距離は正であり、第1焦点距離と第2焦点距離の間の比率は、1.0と2.0の間に含まれ、第1ディメンションと第2ディメンションの間の比率は2以上である。
【0021】
曲げミラーの存在と第1ディメンション上の制限により、対物レンズのサイズが小さくなった。
【0022】
液体レンズを使用すると、焦点距離が調整可能になり、40センチメートルを超える物体を撮像できる。
【0023】
さらに、正の焦点距離を持つ2つのレンズユニットを備えた特定のアーキテクチャであって、第1焦点距離と第2焦点距離の比は1.0~2.0で構成され、第1ディメンションと第2ディメンションの比は2以上であるアーキテクチャは、10度の物体視野に対して充分な解像度を提供する画質を得ることができる。
【0024】
前述のとおり、対物レンズのアーキテクチャの利点は、レンズシーケンスと開口絞りの定義に関係なく得られる。
【0025】
有利ではあるが必須ではない発明のさらなる側面によれば、対物レンズは、技術的に許容される任意の組み合わせで、以下の1つ以上の機能を組み込むことができる。
第1レンズユニット及び第2レンズユニットに属する各レンズの材料は、2つの異なる材料から選択される。
この機能により、充分な画像品質を維持しながら、関連するレンズの前述の数を減らすことができる。その結果、このような機能は、サイズが縮小された対物レンズの取得にも貢献する。
第1レンズユニットのレンズの数及び第2レンズユニットのレンズの数は4以下である。
この機能により、前述の対物レンズに存在するレンズの前述の数が減少し、前述の対物レンズの前述のサイズが著しく減少する。
第1レンズユニット及び第2レンズユニットの少なくとも一方は、両凸レンズ及び凹メニスカスを含む。
このような機能により、上記のレンズの数を制限し、充分な画質を維持できる。また、これにより、対物レンズの製造が容易になる。
第1レンズユニット及び第2レンズユニットに属する各レンズは、両凸レンズ又はメニスカスレンズのみから選択される。
このような機能により、上記のレンズの数を制限し、充分な画質を維持できる。また、これにより、対物レンズの製造が容易になる。
第1レンズユニットは、少なくとも2つのレンズで構成され、伝搬方向において第1レンズは収束レンズ及び発散レンズであり、発散レンズの焦点距離と収束レンズの焦点距離の間の絶対値における比率は、1.8から2.2の間に含まれる。
このような機能により、簡単に良い画質を得ることができる。これにより、縮小されたサイズの対物レンズも得られる。
第1焦点距離は、30.0ミリメートルと40.0ミリメートルの間に含まれる。
このような機能により、前述の第1レンズユニットの前述の焦点距離が制限される。これにより、サイズが縮小された対物レンズが生成される。
第2焦点距離は、20.0ミリメートルと35.0ミリメートルの間に含まれる。
このような機能により、前述の第2レンズユニットの前述の焦点距離が制限される。これにより、サイズがさらに縮小された対物レンズが作成される。
第2レンズユニットは、伝搬方向の順序で、発散レンズ及び収束レンズを含み、発散レンズの焦点距離と収束レンズの焦点距離の間の絶対値における比率は1.8から3.6の間に含まれる。
このような機能の存在により、前述の画像の前述の品質が向上する。
第1レンズユニットの第1レンズは、入射焦点距離を持ち、第2レンズユニットの最終レンズは、出口焦点距離を持ち、出口焦点距離と入射焦点距離の間の比率は、絶対値において0.7から1.0の間に含まれる。
このような機能により、10度全体の視野で良好な画質を得ることができる。
第1レンズユニットは、3つのレンズで構成されている。
このような機能により、上記のレンズの数を制限し、充分な画質を維持できる。また、これにより、製造レンズの製造が容易になる。
第2レンズユニットは、2つのレンズで構成されている。
このような機能により、上記のレンズの数を制限し、充分な画質を維持できる。また、これにより、対物レンズの製造が容易になる。
【0026】
また、この仕様は、前述のとおり、100ピクセルを超えるイメージャと、対物レンズを備えたカメラに関するものである。
【0027】
また、前述のカメラを備えた光遺伝学に適したシステムも提案されている。
【0028】
光遺伝学に適合した上記のシステムは、少なくとも部分的には患者の眼に埋め込まれることを意図している。特に、システムのカメラは、患者の眼に移植されることを意図している。
【0029】
これは、上記のシステムが上記の眼に埋め込まれるために品質と安全基準を尊重しなければならないことを導くかもしれない。さらに、これは、眼に移植されるために、サイズ及び形態に関して構造的にシステムの境界を定めることにつながる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、本発明の目的を制限することなく、添付の図面と対応する例示的な例として与えられる以下の説明に基づいてより良く理解されるであろう。添付図では:
図1】対物レンズとイメージャを概略的に示し、この対物レンズは、第1レンズユニットと第2レンズユニットで構成される。
図2図1の第1レンズユニットの概略図を示す。
図3図1の第2レンズユニットの概略図を示す。
図4図1の要素を含む光遺伝学に適合したシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
対物レンズ10とイメージャ12を図1に模式的に示す。
【0032】
対物レンズ10は、イメージャ12に10度の物体視野を投影するように構成されている。
【0033】
対物レンズ10の伝播方向Zが定義される。伝播方向Zは、対物レンズの一部である各光学素子の光軸として定義される。
【0034】
対物レンズ10は、伝播方向Zの順に、第1レンズユニットU1、曲げミラーM、液体レンズLL、及び第2レンズユニットU2を含む。
【0035】
第1レンズユニットU1は、複数のレンズを備えている。
【0036】
第1レンズユニットU1のレンズ数は4個以下である。
【0037】
第1レンズユニットU1に属する各レンズの材料は、2つの異なる材料から選択される。
【0038】
例えば、2つの異なる材料はN-BK7とN-SF11である。
【0039】
第1レンズユニットU1は、第1焦点距離fU1と第1ディメンションDU1を持っている。
【0040】
最初の焦点距離fU1は正である。
【0041】
一例によれば、第1焦点距離fU1は、30.0ミリメートル(mm)から40.0mmの間に含まれる。
【0042】
第1ディメンションDU1は15mm未満である。
【0043】
曲げミラーMは、90度の角度で曲がるようになっている。
【0044】
第1レンズユニットU1に対して第1光軸OA1が定義され、液体レンズLL及び第2レンズユニットU2に対して第2光軸OA2が定義される。
【0045】
「曲げミラーMは90度の角度で曲がるようになっている」という表現は、第1光軸OA1と第2光軸OA2が垂直であることを意味する。
【0046】
図1の例では、曲げミラーMは、第1光軸OA1と第2光軸OA2に対して45度に配置された平面ミラーである。
【0047】
液体レンズLLは、電圧を加えると焦点距離が変化するようになっている。
【0048】
液体レンズの焦点距離の変化により、対物レンズ10は、第1レンズユニットU1から40センチメートル以上離れた場所にある物体の画像に構成する。
【0049】
複数のレンズで構成される第2レンズユニットU2。
【0050】
第2レンズユニットU2のレンズの数は4個以下である。
【0051】
第2レンズユニットU2に属する各レンズの材料は、2つの異なる材料から選択される。
【0052】
例えば、2つの異なる材料はN-BK7とN-SF11である。
【0053】
第2レンズユニットU2には、第2焦点距離fU2と第2ディメンションDU2がある。
【0054】
第2焦点距離fU2は正である。
【0055】
第1焦点距離fU1と第2焦点距離fU2の比は、第1比率R1と呼ばれる。これは数学的に次のように表現できる。
【数1】
【0056】
第1比率R1は1.0から2.5の間に含まれる。
【0057】
数学的には、これは次のことを意味する。
【数2】
【0058】
具体例として、第2焦点距離fU2は20.0mm~35.0mmの間に含まれる。
【0059】
第1ディメンションDU1と第2ディメンションDU2の比率は、第2比率R2と呼ばれる。これは数学的に次のように表現できる。
【数3】
【0060】
第2比率R2は2以上である。数学的には、これは次のことを意味する。
【数4】
【0061】
第2比率R2は3以下である。数学的には、これは次のことを意味する。
【数5】
【0062】
第1レンズユニットU1の具体例を図2に示す。
【0063】
この場合、第1レンズユニットU1は3つのレンズで構成される。
【0064】
伝播方向の順に、第1レンズユニットU1の第1レンズは第1レンズL1、第1レンズユニットU1の第2レンズは第2レンズL2、第1レンズユニットU1の第3レンズは第3レンズL3と呼ぶ。
【0065】
第1レンズL1は収束レンズである。
【0066】
第1レンズL1の焦点距離はfL1である。
【0067】
焦点距離fL1は、対物レンズの入射焦点距離である。
【0068】
また、第1レンズL1は両凸レンズである。
【0069】
定義では、両凸レンズは、両面が凸面のレンズである。
【0070】
この特定の例では、第1レンズL1は、両凸面の曲率半径が同じであることを意味する等凸レンズである。
【0071】
第2レンズL2は発散レンズである。
【0072】
第2レンズL2の焦点距離はfL2である。
【0073】
第2レンズL2はメニスカスであり、1つの凸面と1つの凹面を持つレンズである。このようなメニスカスは、凸凹レンズとも呼ばれる。
【0074】
この場合、第2レンズL2は負のメニスカスである。
【0075】
第2レンズL2の焦点距離fL2と第1レンズL1の焦点距離fL1との絶対値の比率を第3比率R3と呼ぶ。
【0076】
第3比率R3は1.8から2.2の間に含まれる。
【0077】
数学的には、これは次のことを意味する。
【数6】
【0078】
第3レンズL3は発散レンズである。
【0079】
第3レンズL3は、焦点距離fL3を有する。
【0080】
第3レンズL3はメニスカスである。
【0081】
第3レンズL3は、この場合、正のメニスカスである。
【0082】
第2レンズユニットU2の具体例を図3に示す。
【0083】
その場合、第2レンズユニットU2は2つのレンズで構成される。
【0084】
伝播方向の順に、第2レンズユニットU2の第1レンズを第4レンズL4、第2レンズユニットU2の第2レンズを第5レンズL5と呼ぶ。
【0085】
第4レンズL4は発散レンズである。
【0086】
第4レンズL4は焦点距離fL4を有する。
【0087】
第4レンズL4はメニスカスである。
【0088】
第4レンズL4は、この場合、負のメニスカスである。
【0089】
第5レンズL5は収束レンズである。
【0090】
第5レンズL5は、焦点距離fL5を有する。
【0091】
第5レンズL5の焦点距離fL5は、対物レンズの出口焦点距離である。
【0092】
具体例では、第5レンズL5は両凸レンズである。
【0093】
より正確には、第5レンズL5は等凸レンズである。
【0094】
別の変形例では、第5レンズL5はメニスカス、特に正のメニスカスである。
【0095】
第4レンズL4の焦点距離と第5レンズL5の焦点距離との間の絶対値の比率は、第4比率R4と呼ばれる。これは数学的に次のように表現できる。
【数7】
【0096】
第4比率R4は1.8から3.6の間に含まれる。
【0097】
数学的には、これは次のことを意味する。
【数8】
【0098】
絶対値での出口焦点距離と入射焦点距離の比率は、第5比率R5と呼ばれる。
【0099】
図2及び3の特定の場合、第5比率R5は、第5レンズL5の焦点距離fL5と第1レンズL1の焦点距離fL1の絶対値の比率である。
【0100】
数学的には、これは次のことを意味できる。
【数9】
【0101】
第5比率R5は、0.7と1.0の間に含まれる。
【0102】
数学的には、これは次のことを意味する。
【数10】
【0103】
イメージャ12は、ピクセルの配列14とカバーガラス16のセットである。
【0104】
ピクセルの配列14は100以上のピクセルを含む。
【0105】
特定の例では、ピクセルの配列14は、240ピクセル当たり304ピクセルの配列である。
【0106】
ピクセルの配列14は、例えば、CMOS技術で作られている。
【0107】
カバーガラス16は、平行平面板である。
【0108】
イメージャ12に関連する対物レンズ10の操作について説明する。
【0109】
第1レンズユニットU1から40センチメートル以上離れた位置にある対物レンズ10の視野内の物体は、ピクセルの配列14上に結像される。
【0110】
より正確には、物体は、波長が第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3を連続的に通過する可視範囲にある光線を放射する。この光線は、曲げミラーMで反射され、液体レンズLLを通過してから、第2レンズユニットU2、つまり第4レンズL4と第5レンズL5を通過する。その後、光線はカバーガラスに伝播し、ピクセルの配列14の1つのピクセルによって収集される。
【0111】
これは、オブジェクトによって放出される各光線、より一般的にはイメージャ12と連携してシーンが対物レンズ10によって撮像されるときに撮像される各オブジェクトに対して発生する。
【0112】
このような対物レンズ10の得られた光学性能は、「特定の実施形態の説明」と呼ばれるセクションに記載されている特定の例で詳述されている。
【0113】
このセクションから、対物レンズはサイズを小さくし、レンズを移動するための機械装置を使用しないため、対物レンズの実装が容易になるようである。対物レンズは、充分な解像度を提供することも可能にする。さらに、対物レンズは、10度の物体視野を提供する。対物レンズは、焦点距離が調整可能であるため、40センチメートル以上にある物体を撮像できる。
【0114】
したがって、対物レンズ10とイメージャ12を使用すると、網膜色素変性症の影響を受けたブリング被験者の視力を部分的に回復するシステムで使用される刺激装置に組み込むのに適したカメラを構成できる。
【0115】
言い換えれば、そのようなカメラは、光遺伝学に適合したシステムの一部になるように構成されている。
【0116】
対物レンズ10とイメージャ12を組み込んだ刺激装置18の例を図4に示す。このようなコンテキストでは、一連の対物レンズ10とイメージャ12は、視覚的なフロントエンドであるカメラ20である。
【0117】
刺激装置18は、コントローラ22と投影ユニット24も備えている。
【0118】
イメージャ12は、QVGA ATIS(非同期時間ベースのイメージセンサー)神経形態シリコン網膜である。特定の時間間隔でフレームを送信するのではなく、イメージャ12の各ピクセルは、光が局所的に変化するとすぐに、その座標をエンコードするイベントを非同期的に送信する。イベントはまた、対応する光強度レベルを計算するために、時間を通して光を統合する専用のピクセルベースの回路をトリガーする。したがって、各ピクセルは非同期で、他のピクセルと並行して動作し、フレームが情報を送信するのを待つ必要はない。各ピクセルは、何か新しいことがローカルで発生した場合にのみ情報を送信する。
【0119】
これは、低遅延で帯域幅効率の高いエンコードスキームに変換され、生物学的同等物と同じ特性を共有する。実際、この表現を使用して網膜神経節細胞のイン・ビトロ応答を複製することが可能である。さらに、ピクセルは情報の変更のみを送信するため、冗長性は低く保たれ、後続の処理レイヤーに明らかな利点がある。このアプローチは、フレームを送信する従来の方法とは対照的であり、広範囲の照明で高速のデータ駆動型コントラスト検出を提供する。
【0120】
このイメージャ14の使用にはいくつかの利点がある。視細胞の修復の場合、イメージャ14は、高速で高ダイナミックレンジのグレーレベル情報を提供する。網膜神経節細胞の活性化の場合、イメージャ14は、広い強度範囲にわたって前処理された輪郭又はイベント信号を提供する。イメージャ14の時間分解能も、人間の網膜の1つに一致する。低時間解像度での投影は、速度の判定、オブジェクトのカウント、数字の識別などの日常的なタスクで移動刺激を観察するときの行動パフォーマンスに影響を与える。
【0121】
投影ユニット24は、光源及びDLP3000デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を制御するテキサスインスツルメントライトクラフターである。DMDは608x684のミラーアレイで構成され、ONとOFFという名前の2つの個別の角度位置間を0.7ミリ秒(ms)ごとに切り替え、ON位置は入射光をターゲットに向けて反射する。処理されたイベントは、対応するミラーをオンに設定することによりエンコードされる。グレーレベルは、パルス幅変調の形式でエンコードされる。
【0122】
処理ユニットは、イベントベースのフィルタリングチェーンを実行するARMベースの組み込みLinux(登録商標)システムで構成されている。システムは、PCI Expressリンクを介して、イメージャ14及びDMDの低レベル管理を処理するFPGAボードと通信し、Linuxドライバーで抽象化される。視覚センサーから受信した情報は、フィルタリングパイプラインによって処理され、投影のためにDMDに送信される。このフィルターパイプラインは、遺伝的に導入されたイオンチャネルの電気生理学的特性に構成するように、ノイズ低減、照射される網膜領域のサイズ、及び各ピクセルの光パルスダイナミクスを処理する。フィルタリングパイプラインは、さまざまな種類のニューロンを刺激するために使用されるアルゴリズムも処理する。
【0123】
そのような場合、投影ユニット24及びコントローラ22は、制御された光強度で物体を照明するためのデバイスを構成し、光強度は、満たされるべき複数の条件を満たしたときに制御され、複数の条件は、条件を含む。所定の時間の強度及び一定期間の線量に関する条件に対して、デバイスは、満たされる条件の少なくとも1つを満たさない強度のビームを生成するように構成された光源を備える。この装置は、入射ビームの強度を測定するように構成されたフォトダイオードと、入口から少なくとも1つの出口に光を伝えるように構成された光学システムとを含み、光源、フォトダイオード、及び光学システムは、デバイスが2つの異なる構成、つまり、光源から放射された光の第1部分が物体に伝達され、光源から放射された光の第2部分がフォトダイオードに伝達される動作構成と通常の動作では、光源によって生成された光が物体にもフォトダイオードにも送信されない制御構成とを持つように配置される。また、デバイスは、デバイスが制御構成にあるときにフォトダイオードで測定された強度と満たすべき条件に基づいて、第1部分の値を制御するように構成されたコントローラを備えている。
【0124】
特定の実施形態によれば、満たすべき1つの条件は、任意の時点での光強度が最大強度以下であるということであり、満たすべき1つの条件は、任意の時点での光強度が最小以上であるということである。強度及び満たされるべき1つの条件は、その期間中の線量が最大値以下であることである。
【0125】
さらに、光学システムは複数のリフレクターを備え、各リフレクターは、リフレクターが入射ビームをオブジェクトに向けて反射する第1の位置、リフレクターが入射ビームをフォトダイオードに向けて反射する第2の位置、反射器が入射ビームを物体にもフォトダイオードにも反射しない第3の位置という3つの位置を備え、コントローラは、各リフレクターの位置を指令するように構成され、コントローラが各リフレクターに第1位置又は第2位置にあるようにコマンドを出すと、デバイスは動作構成になり、各リフレクターが3番目の位置にあるように命令された場合、デバイスは制御構成になる。
【0126】
コントローラは、デバイスが制御構成にあるときにフォトダイオードで測定された強度に基づき、満たすべき条件に基づいて、第1の位置で移動する反射器の数を推定するようにさらに構成させることができ、推定された数のミラーに第1の位置に移動するよう命令する。
【0127】
具体的には、光源は光源のマトリックスであり、各光源には、光源が光を発しない無給電状態と、光源が光を発する給電状態という2つの状態があり、コントローラは、各光源の状態を制御するようになっている。
【0128】
特定の例として、照明される平面がオブジェクトに対して定義され、光源と光学システムの少なくとも一方は、異なるレベルの光の強さで照らされるいくつかの独立した空間領域は、デバイスが動作構成にあるときに照らされる平面で定義できるように構成される。
【0129】
さらに、光学システムは、点拡がり関数がシステム出力よりも30μm未満、好ましくは25μm未満であることを保証する光学部品を含んでもよい。特定の例として、光学システムは、光学収差を補正するように構成されたシステムを備え、光学収差を補正するように構成されたシステムは調整可能である。例えば、システムは液体レンズである光学収差を補正するように構成されている。
【0130】
上記で考慮され、「特定の実施形態の詳細な説明」のセクションでも説明された実施形態及び代替実施形態を組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を生成することができる。
【0131】
特定の実施形態の詳細な説明
以下に、3つの実施形態をより詳細に説明する。
【0132】
その後、各実施形態の対物レンズを構成する光学素子の数値データを表1、4、7に示す。数値データでは、光学素子の名前が与えられ、光学素子が属するユニット、その性質、第1半径Rinの値、第2半径Routの値、光学部品の厚さDin-out、光学部品の材料、光学部品の焦点距離、及びその位置が与えられる。
【0133】
レンズの場合、光学部品の性質はそのレンズの性質(両凸、メニスカス、又はその他)である。
【0134】
第1半径Rinの値は、入射光線の影響を受ける光学部品の第1表面の半径の値であり、考慮される光学部品の入射半径である。
【0135】
同様に、第2半径Routの値は、入射光線の影響を受ける光学部品の第2表面の値であり、考慮される光学部品の出口半径である。
【0136】
光学素子の厚さDin-outは、対象となる光学素子の第1面(入射面)と第2面(出射面)の間の距離である。厚さは、光学部品に定義された光軸に沿って測定された距離である。
【0137】
焦点距離は、第1半径Rin、第2半径Rout、光学素子の厚さDin-out及び材料の光学指数に基づいて取得される。
【0138】
光学系の位置は、前の光学系との距離である。より正確には、位置は、前の光学素子の出射面と考慮された光学素子の入射面との間の距離である。この距離は、光軸に沿って測定される。これが、第1レンズL1の位置がない理由を説明する。実際、第1レンズL1の参照はない。
【0139】
表1、4、及び7で得られた値から、対物レンズを特徴付ける数値が推定される。各実施形態の対物レンズを構成する光学系の推定数値データを表2、5、8に示す。より正確には、光学系の推定数値データは、第1焦点距離fU1、第1ディメンションDU1、第2焦点距離fU2、第2ディメンションDU2、第1比率R1、第2比率R2、第3比率R3、第4比率R4、及び第5比率R5である。
【0140】
第1焦点距離fU1は、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3の焦点距離と、これらのレンズL1、L2及びL3の相対位置に基づいて、例えばガルストランド法を用いて得られる。
【0141】
第1ディメンションDU1は、第1レンズL1の厚さ、第1レンズL1と第2レンズL2の間の距離、第2レンズL2の厚さ、第2レンズL2と第3レンズL3の間の距離、及び第3レンズL3の厚さの合計に対応する。
【0142】
第2焦点距離fU2は、例えばガルストランド法を用いて、第4レンズL4、第5レンズL5の焦点距離、及びこれらのレンズL4及びL5の相対位置に基づいて得られる。
【0143】
第2ディメンションDU2は、第4レンズL4の厚さ、第4レンズL4と第5レンズL5との間の距離、及び第5レンズL5の厚さの合計に対応する。
【0144】
念のため、第1比率R1は、第1焦点距離fU1と第2焦点距離fU2の比率であり、第2比率R2は、第1ディメンションDU1と第2ディメンションDU2の比率であり、第3比率R3は、第2レンズL2の焦点距離fL2と第1レンズL1の焦点距離fL1との間の絶対値の比率であり、第4比率R4は、第4レンズL4の焦点距離fL4とL5の第5レンズの焦点距離fL5との間の絶対値の比率であり、第5比率R5は、第1レンズL1の焦点距離fL1と第5レンズL5の焦点距離fL5との絶対値の比率である。
【0145】
各実施形態の光学性能は、それぞれ表3、6及び9に見出すことができる。
【0146】
これらの各表では、変調伝達関数(MTF)の値は、軸上及び軸外(撮像された視野の端)で1ミリメートルあたり30ラインに対して与えられ、対物レンズ10から40センチメートルまでのオブジェクトの距離と無限遠に対応する距離に対して与えられる。スポットサイズの二乗平均平方根(RMS)半径の対応する値が与えられる。
【0147】
実施形態1
実施形態1は、光線追跡シミュレータのおかげでシミュレートされた。そのような実施形態1は、レンズL2、L3、及びL4である3つの特定のレンズのみを必要とする。他の光学部品は市販されている。
【0148】
例えば、第1レンズL1は、OptoSigma(登録商標)からのリファレンスSLB-15B-20PMに対応してもよく、第5レンズは、Edmund Optics(登録商標)からのリファレンス番号63-665に対応してもよく、液体レンズはVarioptic(登録商標)からのリファレンスA58N0に対応してもよい。
【0149】
【表1】
【0150】
N-BK7のインデックスは1.5168で、アッベ数は64.17である。
【0151】
N-SF11のインデックスは1.7847で、アッベ数は25.68である。
【0152】
上記の結果により、次の表に示す推定値を取得できる。
【0153】
【表2】
【0154】
実施形態1では、以下の光学性能が得られる。
【0155】
【表3】
【0156】
これらの光学性能は、実施形態1による対物レンズ10が以下の望ましい要件に準拠していることを示す。望ましい要件とは、
より小さいサイズを有すること、
充分な解像度、
10度の物体視野を備えること、及び
調整可能な焦点距離を提供することにより、40センチメートルを超える位置にあるオブジェクトを撮像できること。
【0157】
実施形態2
実施形態2は、光線追跡シミュレータのおかげでシミュレートされた。そのような実施形態2は、レンズL2、L3、L4、及びL5である4つの特定のレンズのみを必要とする。他の光学部品は市販されている。
【0158】
例えば、液体レンズはVarioptic(登録商標)からのリファレンスA58N0に対応してもよい。
【0159】
【表4】
【0160】
これにより、次の表が得られる。
【0161】
【表5】
【0162】
実施形態2では、以下の光学性能が得られる。
【0163】
【表6】
【0164】
これらの光学性能は、実施形態2による対物レンズ10が以下の望ましい要件に準拠していることを示す。望ましい要件とは、
より小さいサイズを有すること、
充分な解像度、
10度の物体視野を備えること、及び
調整可能な焦点距離を提供することにより、40センチメートルを超える位置にあるオブジェクトを撮像できること。
【0165】
実施形態3
実施形態3は、光線追跡シミュレータのおかげでシミュレートされた。そのような実施形態2は、レンズL1、L2、L3、及びL4である4つの特定のレンズのみを必要とする。他の光学部品は市販されている。
【0166】
例えば、液体レンズはVarioptic(登録商標)からのリファレンスA58N0に対応してもよい。
【0167】
【表7】
【0168】
これにより、次の表が得られる。
【0169】
【表8】
【0170】
実施形態3では、以下の光学性能が得られる。
【0171】
【表9】
【0172】
これらの光学性能は、実施形態2による対物レンズ10が以下の望ましい要件に準拠していることを示す。望ましい要件とは、
より小さいサイズを有すること、
充分な解像度、
10度の物体視野を備えること、及び
調整可能な焦点距離を提供することにより、40センチメートルを超える位置にあるオブジェクトを撮像できること。
図1
図2
図3
図4