(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 15/03 20210101AFI20221024BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20221024BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20221024BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20221024BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20221024BHJP
G03B 15/06 20210101ALI20221024BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20221024BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221024BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20221024BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20221024BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20221024BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20221024BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221024BHJP
【FI】
G03B15/03 W
F21S2/00 311
F21S2/00 390
F21V19/00 150
F21V19/00 170
G03B15/02 G
G03B15/02 T
G03B15/02 V
G03B15/05
G03B15/06
G03B17/56 A
G03B17/56 E
H04N5/225 600
H05B45/10
H05B45/20
H05B47/155
H05B47/16
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020182175
(22)【出願日】2020-10-30
(62)【分割の表示】P 2018018332の分割
【原出願日】2018-02-05
【審査請求日】2021-01-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391010116
【氏名又は名称】EIZO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】杉井 伸章
(72)【発明者】
【氏名】片山 拓也
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09429817(US,B1)
【文献】特開2005-055546(JP,A)
【文献】特表2004-535656(JP,A)
【文献】特開2012-239200(JP,A)
【文献】特開2003-032518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/03
H04N 5/225
G03B 15/02
G03B 15/06
G03B 15/05
G03B 17/56
F21S 2/00
F21V 19/00
H05B 45/10
H05B 45/20
H05B 47/155
H05B 47/16
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象物としての物体を載置するための載置台と、
前記載置台に載置された撮影対象物の画像を撮影するカメラと、
前記載置台を囲むように設けられた側壁と、
前記側壁の内側に取り付けられた側方照明ユニットを備え、
前記載置台の上方に、上部照明ユニットを有する上部照明板をさらに備え、
前記側方照明ユニットは、複数の発光素子を備え、
前記側方照明ユニットにおいて前記複数の発光素子をON/OFFする制御を含む制御をすることにより、前記載置台の照明条件を異ならせながら、前記カメラにより、同一の撮影対象物について複数の照明条件における複数の画像を撮影し、
前記カメラが、前記上部照明板の開口を介して前記載置台に向けて配置され、
前記上部照明ユニットの点灯状態を個々に変更することにより、前記載置台の照明条件を異ならせる、撮像装置。
【請求項2】
前記側壁が開閉可能である、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記上部照明板が上下に移動可能である、請求項
1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記カメラが、前記開口に沿って移動可能である、請求項
1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記カメラが、前記上部照明板の法線に対する角度を変更可能である、請求項
1から4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記カメラが複数設けられた、請求項1~
5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記側方照明ユニットが、平行に配置された配線基板と、前記配線基板間に接続された発光素子基板とを備え、
前記側壁が、前記側方照明ユニットを支持するラックを有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記側方照明ユニットが複数のLED発光素子を備え、
前記複数のLED発光素子のうち発光させるLED発光素子の位置、数、発光させる順序、出射光の強度、および、出射光の色、のうち少なくとも1つを変化させることにより、前記載置台の照明条件を異ならせる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記上部照明ユニットが複数のLED発光素子を備え、
前記複数のLED発光素子のうち発光させるLED発光素子の位置、数、発光させる順序、出射光の強度、および、出射光の色、のうち少なくとも1つを変化させることにより、前記載置台の照明条件を異ならせる、請求項
1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記載置台がターンテーブルを備えた、請求項1~
9のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明条件を様々に異ならせて画像を撮影するために用いられる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AI(Artificial Intelligence)を利用したシステム開発が様々な分野で進んでいる。AIを生成する際には、多量の学習用データを読み込ませて学習させる必要がある。例えば、下記の特許文献1には、動画や静止画像から物体検出や物体識別を実施するための学習データとして、大量の物体画像を集めるための学習データ生成装置が開示されている。
【0003】
特許文献1には、物体を様々な方向から撮影するために回転台を備えた撮影環境を用いることが記載されている。また、照明条件を異ならせるために、照明の種類を異ならせたり、照明を固定している台の高さを段階的に変えたり、台の位置を移動させたりすることが記載されている。また、物体を様々な高さから撮影するために、カメラを固定している台の高さを段階的に変えることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1に開示された構成では、照明やカメラを固定する台の高さを変えるための機械的構造や制御機構が必要とされる。また、大量の画像を撮影する際に、照明の固定位置を移動させる工程が入ると、撮影に時間を要するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、照明の固定位置を移動させる手間を要せずに、照明環境を様々に変化させて対象物の撮影をすることが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る撮影装置は、撮影対象物を載置するための載置台と、前記載置台に載置された撮影対象物の画像を撮影するカメラと、前記載置台を囲むように設けられた複数の側壁と、前記複数の側壁の内側に取り付けられた複数の側方照明ユニットとを備え、前記複数の側方照明ユニットの点灯状態を個々に変更することにより、前記載置台の照明条件を異ならせることができる。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、照明の固定位置を移動させる手間を要せずに、照明環境を様々に変化させて対象物の撮影をすることが可能な撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、撮像装置において、扉を開けた状態を示す上面図である。
【
図5】
図5は、撮像装置の扉の内側の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、撮像装置の扉の内側に取り付けられる照明ユニットの構成を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、上部照明板の下面に設置される照明ユニットの概略構成を示す平面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る撮像装置内のカメラの配置を示す模式図である。
【
図9A】
図9Aは、扉の内側の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図9B】
図9Bは、扉の内側の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図9C】
図9Cは、扉の内側の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図9D】
図9Dは、扉の内側の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図9E】
図9Eは、扉の内側の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図9F】
図9Fは、扉の内側の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図9G】
図9Gは、扉の内側の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図9H】
図9Hは、扉の内側の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図9I】
図9Iは、扉の内側の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図10A】
図10Aは、上部照明板の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図10B】
図10Bは、上部照明板の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図10C】
図10Cは、上部照明板の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図10D】
図10Dは、上部照明板の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図10E】
図10Eは、上部照明板の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図10F】
図10Fは、上部照明板の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図10G】
図10Gは、上部照明板の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【
図10H】
図10Hは、上部照明板の照明ユニットの照明状態の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1の構成にかかる撮像装置は、撮影対象物を載置するための載置台と、前記載置台に載置された撮影対象物の画像を撮影するカメラと、前記載置台を囲むように設けられた複数の側壁と、前記複数の側壁の内側に取り付けられた複数の側方照明ユニットとを備え、前記複数の側方照明ユニットの点灯状態を個々に変更することにより、前記載置台の照明条件を異ならせる。
【0011】
この第1の構成によれば、載置台を囲むように設けられた複数の側壁の内側に取り付けられた複数の側方照明ユニットにおいて、点灯状態を個々に変更することにより、前記載置台の照明条件を異ならせることができる。
【0012】
このように、側方からの照明条件を様々に異ならせることにより、一つの撮影対象物に対して、光の入射方向が異なる画像を大量に撮影することが容易となる。これは特に、光の入射方向によって反射状態が大きく変わる金属製品等の画像を撮影する際に、非常に便利である。
【0013】
第2の構成にかかる撮像装置は、前記第1の構成において、前記複数の側壁の少なくとも一つが開閉可能としたものである。
【0014】
第2の構成によれば、側壁の少なくとも一つを開閉可能としたことにより、側壁の内側に側方照明ユニットを取り付けたり、側壁の内側から側方照明ユニットを取り外したりする作業が容易となる。また、載置台へ撮影対象物を載置したり取り除いたりする作業を容易に行うことができる。
【0015】
第3の構成にかかる撮像装置は、前記第1または第2の構成において、前記載置台の上方に、複数の上部照明ユニットを有する上部照明板をさらに備え、前記複数の上部照明ユニットの点灯状態を個々に変更することにより、前記載置台の照明条件を異ならせる。
【0016】
第3の構成によれば、載置台の上方の上部照明板において、複数の上部照明ユニットの点灯状態を個々に変更することにより、前記載置台の上方からの照明条件を異ならせることができる。これにより、側方からの照明条件の変化に加えて、上方からの照明条件のバリエーションも増やすことができる。
【0017】
第4の構成にかかる撮像装置は、前記第3の構成において、前記上部照明板が上下に移動可能である。
【0018】
第4の構成によれば、載置台と上部照明板との距離を様々に設定することができるので、上方からの照明条件のバリエーションをさらに増やすことができる。
【0019】
第5の構成にかかる撮像装置は、前記第3または第4の構成において、前記カメラが、前記上部照明板の開口を介して前記載置台に向けて配置されている。
【0020】
第5の構成によれば、上部照明板に開口を設けたことにより、上部照明板の上方にカメラを設置することができる。
【0021】
第6の構成にかかる撮像装置は、前記第5の構成において、前記カメラが、前記開口に沿って移動可能である。
【0022】
第6の構成によれば、上部照明板の開口に沿ってカメラの位置を変えることにより、撮影角度が異なる画像を撮影することが可能となる。
【0023】
第7の構成にかかる撮像装置は、前記第5または第6の構成において、前記カメラが、前記上部照明板の法線に対する角度を変更可能である。
【0024】
第7の構成によれば、上部照明板の法線に対するカメラの角度を変更可能としたことにより、撮影角度が異なる画像を撮影することが可能となる。
【0025】
第8の構成にかかる撮像装置は、前記第1~7のいずれかの構成において、前記カメラが複数設けられている。
【0026】
第8の構成によれば、複数のカメラを用いることにより、大量の画像を効率良く撮影することができる。
【0027】
第9の構成にかかる撮像装置は、前記第1~8のいずれかの構成において、前記照明ユニットが、平行に配置された配線基板と、前記配線基板間に接続された発光素子基板とを備え、前記側壁が、前記側方照明ユニットを支持するラックを有する。
【0028】
第9の構成によれば、簡便な工程で側方照明ユニットを側壁に取り付けることが可能となる。
【0029】
第10の構成にかかる撮像装置は、前記第1の構成において、前記複数の側方照明ユニットのそれぞれが複数のLED発光素子を備え、前記複数のLED発光素子のうち発光させるLED発光素子の位置、数、発光させる順序、出射光の強度、および、出射光の色、のうち少なくとも1つを変化させることにより、前記載置台の照明条件を異ならせる。
【0030】
第10の構成によれば、側方照明ユニットの複数のLED発光素子を用いて、載置台の照明条件のバリエーションを数多く実現することができる。
【0031】
第11の構成にかかる撮像装置は、前記第3の構成において、前記複数の上部照明ユニットのそれぞれが複数のLED発光素子を備え、前記複数のLED発光素子のうち発光させるLED発光素子の位置、数、発光させる順序、出射光の強度、および、出射光の色、のうち少なくとも1つを変化させることにより、前記載置台の照明条件を異ならせる。
【0032】
第11の構成によれば、上部照明ユニットの複数のLED発光素子を用いて、載置台の照明条件のバリエーションを数多く実現することができる。
【0033】
第12の構成にかかる撮像装置は、前記第1~第11のいずれかの構成において、前記載置台がターンテーブルを備えている。
【0034】
第12の構成によれば、撮影対象物をターンテーブルに載置し、ターンテーブルを回転させることにより、撮影対象物に対する撮影方向を様々に異ならせることができる。
【0035】
[実施形態]
以下、図面を参照し、本発明の具体的な実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0036】
まず、
図1~
図4を参照しながら、本発明の一実施形態に係る撮像装置100の概略構成について説明する。
図1は、撮像装置100の概略構成を示す斜視図である。なお、
図1~
図4においては、撮像装置100の内部に設けられた照明ユニットの図示を省略している。照明ユニットについては、
図5以降を参照しながら別途説明する。
【0037】
撮像装置100は、
図1および
図2に示すように、底板1を備えている。本実施形態においては、底板1は、平面形状が正八角形である。底板1は、金属または樹脂等の任意の素材で形成することができる。底板1上には、円板状のターンテーブル11が備え付けられている。ターンテーブル11の表面はクロス12で覆われている。クロス12は、ターンテーブル11の側面に沿って取り付けられるクロス固定リング13によって、ターンテーブル11に固定されている。撮影対象物は、このクロス12上に載置される。クロス12の色や材質は、撮影対象物の輪郭を際立たせたり、使用時の状況と条件を合わせたりする等の目的で、適宜に選択すればよい。ターンテーブル11は、中心を軸として回転するよう構成されている。ターンテーブル11は、ここでは図示を省略するが、モータ等によって一定の角速度で回転駆動されるように構成されている。このように底板1が回転する構成とすれば、撮影対象物に対する光の当たり方を様々に異ならせた状態での撮影が可能となる。
【0038】
正八角形の底板1の隅角の1箇所おきに、すなわち、底板1の隅角の4箇所に、支柱8a~8dが取り付けられている。支柱8a~8dは、底板1とほぼ同じ外形の天板2を支えている。また、支柱8a~8dには、それぞれ2枚の扉7が取り付けられている。すなわち、撮像装置100は、8枚の扉7a~7hを備えている。扉7a~7hは、
図3に示すように、底板1および天板2の8辺のそれぞれに沿うように配置されている。
【0039】
扉7aには、上部窓70a1と下部窓70a2が設けられている。扉7b~7hにも、同様に窓が設けられている。上部窓70a1と下部窓70a2上部窓70a1と下部窓70a2は、単なる開口であっても良いし、透明ガラス等が入れられていても良い。また、本実施形態では、上部窓70a1と下部窓70a2との2つの窓が設けられているが、窓は1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。あるいは、扉に窓がない構成であっても良い。なお、全ての扉に窓を設ける必要はないが、照明条件を均一にするために、窓を設ける場合は、8枚の扉における窓の位置、形状、および大きさを対称的にすることが好ましい。なお、窓を設けることにより、装置全体を軽量化することができるという利点がある。また、必要に応じて、窓を通して側面からも撮影を行うことができるよう、窓の外にもカメラが取り付けられるように構成しても良い。
【0040】
図4は、扉7a~7hを全て開けた状態を上から見た状態を示す模式図である。
図4に示すように、支柱8aには、扉7a・7bが取り付けられている。支柱8dには、扉7c・7dが取り付けられている。支柱8cには、扉7e・7fが取り付けられている。支柱8bには、扉7g・7hが取り付けられている。扉7a~7hは、蝶番によって支柱8a~8dに取り付けられている。
図4に示すように、扉7a~7hは、支柱8a~8dを軸として、外側へ約90度開く。
【0041】
天板2は、
図1および
図3に示すように、中央部が広く開口しており、その開口部上に梁状部材3a・3bが十字状にわたされている。梁状部材3a・3bの端部は、支柱8a~8dに固定されている。
【0042】
梁状部材3aには、鉛直下方へ延びる2本の吊下部材5a・5bが固定されている。吊下部材5a・5bによって、上部照明板4が支持されている。上部照明板4の外形は、底板1と相似形の正八角形である。上部照明板4は、ターンテーブル11との距離を調整するために、上下方向に移動させることが可能である。例えば、
図2において、上部照明板4は、符号4’で示す位置まで移動させることができる。このように、上部照明板4は、上下移動させるために、移動時に扉7a~7fと干渉しない大きさに形成されている。
【0043】
図2および
図3に示すように、天板2上の吊下部材5a・5bの根元部分に、ストッパー5c・5dが設けられている。ストッパー5c・5dを緩めると、吊下部材5a・5bが天板2の下方に突出する長さを調整することができる。これにより、ターンテーブル11に対する上部照明板4の高さ位置を調整することができる。適宜の高さ位置に上部照明板4を設定した後に、ストッパー5c・5dを締結位置に動かすことにより、上部照明板4の高さが固定される。なお、この例では、ターンテーブル11に対する上部照明板4の高さを手動で設定する構成としているが、モータ制御等によって、ターンテーブル11に対する上部照明板4の高さを自動的に制御する構成としても良い。
【0044】
上部照明板4の下面には、後に詳しく説明するが、その全面に多数のLED光源が配置されている。上部照明板4には、
図1および
図3に示すように、上から見た場合に梁状部材3bと重なる位置に、開口4aが設けられている。開口4aは、第1カメラ6aおよび第2カメラ6bの対物レンズを受け入れるように形成されている。これにより、開口4aを通して、ターンテーブル11上の撮影対象物を、第1カメラ6aおよび第2カメラ6bによって撮影することができる。
【0045】
次に、
図5~
図8を参照しながら、撮像装置100に設けられる照明の構成について説明する。
【0046】
まず、扉7a~7hの内側に設けられる照明ユニットについて説明する。
【0047】
図5は、扉7aのみを例示しているが、扉7a~7hは、ラック71・72の構成に関しては、全て共通の構成を有する。したがって、ここでは扉7aについてのみ説明を行うが、扉7b~7hも同様の構成を有する。
【0048】
図5に示すように、扉7aには、後述する照明ユニットを支持するためのラック71・72が設けられている。ラック71・72は、扉7aの内側において、窓70a1・70a2の左右に、上下方向に連続して延設されている。
【0049】
ラック71は、固定面711、外側側面712、および内側側面713を備えている。固定面711は、扉7aの内面に固定される。外側側面712は、扉7aの幅方向における端部側に設けられ、扉7aの内側方向に突出する。内側側面713は、外側側面712に対向し、凹部713pおよび凸部713qを備えている。凸部713pおよび凹部713qは、ラック71の長さ方向にわたって交互に設けられる。
【0050】
ラック72は、固定面721、外側側面722、および内側側面723を備えている。固定面721は、扉7aの内面に固定される。外側側面722は、扉7aの幅方向における端部側に設けられ、扉7aの内側方向に突出する。内側側面723は、外側側面722に対向し、凹部723pおよび凸部723qを備えている。凸部723pおよび凹部723qは、ラック72の長さ方向にわたって交互に設けられる。
【0051】
図6は、ラック71・72に取り付けられる照明ユニット21の概略構成を示す斜視図である。照明ユニット21は、互いに平行に配置された配線基板91・92の間に、複数のLED基板93~98が互いに平行に接続された構成を有する。なお、
図6の例では、LED基板を6枚のみ図示しているが、LED基板の数はこれに限定されない。
【0052】
LED基板93~98のそれぞれには、LED発光素子99が複数配置されている。配線基板91・92には、LED発光素子99のそれぞれのON/OFFを制御するための制御回路等を任意に配置することができる。なお、本実施形態においては、それぞれの扉について、LED基板93~98に取り付けられた複数のLED発光素子99を同時にON/OFF制御する。しかし、個々のLED発光素子99のON/OFFを独立に制御することも可能である。例えば、LED基板93~98の一部のみにおいてLED発光素子99を点灯させるようにしても良い。また、一つのLED基板上で、複数のLED発光素子を順次に点灯させるようにしても良い。
【0053】
また、
図6の例では、LED基板93・94は隣接して配置され、その隣にLED基板2枚分の間隔をあけてLED基板95が配置され、さらにその隣にLED基板2枚分の間隔をあけてLED基板96・97が配置され、その次にLED基板1枚分の間隔をあけてLED基板98が配置されている。ただし、LED基板の配置パターンはこの例に限定されず、所望の照明効果を得るために、LED基板の配置間隔等は任意に調整することが可能である。
【0054】
配線基板91・92の幅は、ラック71・72の固定面711・721の幅よりも若干小さく形成されている。LED基板93~98の間隔およびそれぞれの幅は、LED基板93~98のそれぞれがラック71・72の凹部713p・723pに受け入れられるように設定されている。LED基板93~98の長さは、配線基板91をラック72の固定面721に沿って外側側面722と内側側面723との間に配置すると同時に、配線基板92をラック71の固定面711に沿って外側側面712と内側側面713との間に配置できるように設定される。これにより、照明ユニット21を、LED発光素子99が内側を向くように、ラック71・72に取り付けることができる。なお、配線基板91・92と固定面711・721との間に、他の配線基板などを適宜設置しても良い。
【0055】
また、照明ユニット21は、ラック71・72の固定面711・721にビス等で固定されるが、照明条件を変更したい場合には、容易に取り外すことができる。
【0056】
あるいは、LED基板を、ラック71・72の凹部713p・723pに等間隔に配置しておき、所望の照明条件に応じて必要な行(LED基板)のみを点灯させるようにすれば、照明ユニット21を取り外すことなく、照明条件を変更することができる。
【0057】
また、本実施形態の構成では、
図4に示したように、扉7a~7hが外側に大きく開くので、扉7a~7hの内側に設けられたラック71・72に対する照明ユニット21の取り付けや取り外し作業を、容易に行うことができる。
【0058】
次に、上部照明板4の下面に設けられる照明ユニットの構成について、
図7および
図8を参照しながら説明する。
図7は、上部照明板4の下面に設置される照明ユニットの概略構成を示す平面図である。
図7に示すように、上部照明板4の下面には、照明ユニット31a~31dが取り付けられている。照明ユニット31a~31dのそれぞれは、LED基板に複数のLED発光素子32が取り付けられた構造である。
【0059】
本実施形態においては、照明ユニット31a~31dのそれぞれにおいて取り付けられた複数のLED発光素子32は、同時にON/OFF制御される。しかし、配線の仕方や制御を調整することにより、照明ユニット31a~31dのそれぞれに取り付けられた複数のLED発光素子32を、様々な順序でON/OFF制御することも可能である。
【0060】
次に、扉7a~7hに取り付けられた照明ユニット21のON/OFFパターンについて説明する。なお、ここでは、扉7a~7hの照明ユニット21を、照明ユニット21a~21hとそれぞれ称する。また、ここでは、照明ユニット21a~21hのそれぞれは、点灯状態においては白色光を出射するものとする。
【0061】
照明ユニット21a~21hについては、照明ユニット21a~21hの全てが消灯(OFF)されている状態(
図9A)、照明ユニット21bのみが点灯(ON)された状態(
図9B)、照明ユニット21cのみが点灯(ON)された状態(
図9C)、照明ユニット21dのみが点灯(ON)された状態(
図9D)、照明ユニット21eのみが点灯(ON)された状態(
図9E)、照明ユニット21fのみが点灯(ON)された状態(
図9F)、照明ユニット21gのみが点灯(ON)された状態(
図9G)、照明ユニット21hのみが点灯(ON)された状態(
図9H)、照明ユニット21aのみが点灯(ON)された状態(
図9I)、の合計9種類の照明状態のうち、いずれかを選択することが可能である。なお、
図9A~
図9Iにおいては、点灯状態の照明ユニットを実線で示し、消灯状態の照明ユニットを破線で示している。
【0062】
次に、上部照明板4の照明ユニット31a~31dのON/OFFパターンについて説明する。
図10A~
図10Hにおいても、点灯状態の照明ユニットを実線で示し、消灯状態の照明ユニットを破線で示している。また、ここでは、照明ユニット31a~31dのそれぞれは、点灯状態においては白色光を出射するものとする。照明ユニット31a~31dについては、照明ユニット31a~31dの全てが消灯(OFF)されている状態(
図10A)、照明ユニット31a~31dの全てが点灯(ON)されている状態(
図10B)、照明ユニット31a・31dが点灯され、照明ユニット31b・31cが消灯されている状態(
図10C)、照明ユニット31a・31dが消灯され、照明ユニット31b・31cが点灯されている状態(
図10D)、照明ユニット31a・31bが点灯され、照明ユニット31c・31dが消灯されている状態(
図10E)、照明ユニット31a・31bが消灯され、照明ユニット31c・31dが点灯されている状態(
図10F)、照明ユニット31a・31cが点灯され、照明ユニット31b・31dが消灯されている状態(
図10G)、照明ユニット31a・31cが消灯され、照明ユニット31b・31dが点灯されている状態(
図10H)、の合計8種類の照明状態のうち、いずれかを選択することが可能である。
【0063】
したがって、扉7a~7hの照明ユニット21a~21hの9パターンと、上部照明板4の照明ユニット31a~31dの8パターンとの組み合わせで、合計72パターンの照明状態を実現することが可能である。
【0064】
なお、この実施形態においては、扉7a~7hの照明ユニット21a~21hのそれぞれにおいて、全てのLED発光素子を同時にON/OFF制御するものとした。また、上部照明板4の照明ユニット31a~31dのそれぞれにおいて、全てのLED発光素子を同時にON/OFF制御するものとした。しかし、前述したように、LED発光素子のON/OFFのタイミングを様々に異ならせることにより、多様なバリエーションの照明状態を実現することができる。
【0065】
例えば、照明ユニット21a~21hのそれぞれにおいて、LED基板93~98(
図6参照)を1列ずつ発光させるようにしても良い。また、LED基板93~98を発光させる順序も任意に設定することができる。例えば、LED基板93~98上のLED発光素子を上から(あるいは下から)1列ずつ順次に発光させるようにしても良いし、それ以外の所定の順序またはランダムな順序で発光させても良い。また、1列ずつではなく、同時に複数行を発光させるようにしても良い。
【0066】
さらに、LED基板93~98のそれぞれの基板上の複数のLED発光素子を、1個ずつ発光させるようにしても良い。また、1つのLED基板上の複数のLED発光素子を発光させる順序も任意に設定することができる。例えば、1つのLED基板上に並んだ複数のLED発光素子を端から順に1個ずつ順次に発光させるようにしても良いし、それ以外の所定の順序またはランダムな順序で発光させても良い。また、1個ずつではなく、同時に複数個のLED発光素子を発光させるようにしても良い。
【0067】
また、画像の平均の明るさを均一にするために、扉7a~7hの照明ユニット21a~21hおよび上部照明板4の照明ユニット31a~31dに取り付けられている多数のLED発光素子のうち、発光させるLED発光素子の位置や個数に応じて、それらのLED発光素子の輝度を調整するようにしても良い。
【0068】
あるいは、上記とは逆に、画像の明るさを様々に異ならせるために、扉7a~7hの照明ユニット21a~21hおよび上部照明板4の照明ユニット31a~31dに取り付けられている多数のLED発光素子のうち、発光させるLED発光素子の位置や個数に応じて、それらのLED発光素子の輝度を調整するようにしても良い。
【0069】
次に、第1カメラ6aと第2カメラ6bの配置について説明する。
図9に示すように、第1カメラ6aは、上部照明板4の開口4aの長手方向に沿って平行移動が可能な状態で、梁状部材3bから延びるアーム9aにより支持されている。また、アーム9aは、上部照明板4の法線に対する第1カメラ6aの角度を変更することも可能である。第2カメラ6bは、梁状部材3bから延びるアーム9bにより支持されている、第2カメラ6bも、第1カメラ6aと同様に、開口4aの長手方向に沿って平行移動が可能であり、上部照明板4の法線に対する角度を変更することも可能である。
【0070】
このように、複数のカメラを備え、互いに異なる位置から異なる角度で撮影することにより、短時間で大量の画像を撮影することができる。また、第1カメラ6aと第2カメラ6bとにおいて撮影条件を異ならせても良い。
【0071】
以上、本発明の実施形態をいくつか説明したが、本発明の実施形態は、以上の具体例にのみ限定されず、種々の変更が可能である。
【0072】
例えば、上記の実施形態では、底板1にターンテーブル11が設けられた構成を例示した。しかし、ターンテーブル11を省略し、底板1(または回転しない載置台)に撮影対象物を載置するように構成しても良い。
【0073】
また、上記の実施形態では、底板1の周囲に8枚の扉を設け、それぞれの扉の内部に照明ユニットを取り付けた構成を例示した。しかし、扉の枚数はこれに限定されない。また、全ての扉に照明ユニットを取り付けることは、必須ではない。
【0074】
さらに、上記の実施形態では、上部照明板4に取り付けた照明ユニット31と、側面の扉7に取り付けた照明ユニット21との両方を用いて、上部からと側面からの両方において照明条件を異ならせることが可能な構成を例示した。しかし、上部と側面のいずれか一方のみに照明ユニットを設けた構成としても良い。
【0075】
また、上記の実施形態においては、照明ユニット21・31が点灯時に白色光を出射するものとした。しかし、LED発光素子は様々な色の光を出射することが可能であるので、出射光の色を異ならせることにより、照明条件のバリエーションをさらに増やすことも可能である。例えば、照明の色温度をシミュレーションするために、所望の色温度に応じて、扉7a~7hの照明ユニット21a~21hおよび上部照明板4の照明ユニット31a~31dに取り付けられているLED発光素子のうち、発光させるLED発光素子の発光色を調整するようにしても良い。また、LED発光素子からの出射光の強度を異ならせることにより、照明条件のバリエーションをさらに増やしても良い。また、画像の輝度がおおむね一律となるように、発光させるLED発光素子の個数に応じて出射光の強度を調整するようにしても良い。
【0076】
また、上記の実施形態においては、8枚の扉の全てが外側へ開く構成を例示した。しかし、全ての扉が開くように構成されている必要はない。
【符号の説明】
【0077】
1…底板、2…天板、3a・3b…梁状部材、4…上部照明板、4a…照明板開口、5a・5b…吊下部材、6a…第1カメラ、6b…第2カメラ、7a~7f…扉、8a~8d…支柱、11…ターンテーブル、12…クロス、13…クロス固定リング、21…照明ユニット、31…照明ユニット、32…LED発光素子、91・92…配線基板、93~98…LED基板、99…LED発光素子、100…撮像装置