(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-21
(45)【発行日】2022-10-31
(54)【発明の名称】光学テープにおける正確なトラッキングのためのサーボパターン
(51)【国際特許分類】
G11B 7/24009 20130101AFI20221024BHJP
G11B 7/003 20060101ALI20221024BHJP
G11B 7/09 20060101ALI20221024BHJP
G11B 7/24035 20130101ALI20221024BHJP
G11B 7/135 20120101ALI20221024BHJP
【FI】
G11B7/24009
G11B7/003 Z
G11B7/09 C
G11B7/24035
G11B7/135
(21)【出願番号】P 2020505271
(86)(22)【出願日】2018-07-31
(86)【国際出願番号】 US2018044458
(87)【国際公開番号】W WO2019027937
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-01
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャンセン,クラーク
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-166164(JP,A)
【文献】特開平01-258241(JP,A)
【文献】特表2013-516027(JP,A)
【文献】特開平11-296831(JP,A)
【文献】米国特許第06762900(US,B2)
【文献】特開2006-228336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0206477(US,A1)
【文献】特表2005-518053(JP,A)
【文献】特開平08-030942(JP,A)
【文献】特表2013-521592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/24009
G11B 7/003
G11B 7/09
G11B 7/24035
G11B 7/135
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学テープであって、
基板層を備え、前記基板層は、
前記光学テープの幅にわたって第1の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第1のセットと、
前記光学テープの前記幅にわたって前記第1の方向と異なる第2の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第2のセットとを含み、前記光学テープはさらに、
書換え可能な記録層と、
前記平行な物理的グルーブの第1および第2のセットと重なる部分においてマスクオフされる反射層とを備える、光学テープ。
【請求項2】
前記平行な物理的グルーブの第1のセットのサブセットが、前記光学テープの長さに沿って、前記平行な物理的グルーブの第2のセットのサブセットと交互になっている、請求項1に記載の光学テープ。
【請求項3】
前記平行な物理的グルーブの第2のセットの1つのサブセットによって離隔された前記平行な物理的グルーブの第1のセットの2つのサブセットが、前記光学テープにおいてサーボフレームを形成する、請求項2に記載の光学テープ。
【請求項4】
前記平行な物理的グルーブの第1のセットの前記2つのサブセット間の一定の離隔距離は、前記光学テープの速度を求めるために用いられる、請求項3に記載の光学テープ。
【請求項5】
前記平行な物理的グルーブの第1のセットの1つのサブセット上の横位置における第1の地点と前記平行な物理的グルーブの第2のセットの前記1つのサブセット上の前記横位置における第2の地点との間の距離は、前記横位置におけるデータトラックを求めるために用いられる、請求項3に記載の光学テープ。
【請求項6】
前記平行な物理的グルーブの第1および第2のセットの各サブセットは、複数の等間隔をおいて配置された平行な物理的グルーブを含む、請求項2に記載の光学テープ。
【請求項7】
光学テープであって、
基板層を備え、前記基板層は、
前記光学テープの幅にわたって第1の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第1のセットと、
前記光学テープの前記幅にわたって前記第1の方向と異なる第2の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第2のセットとを含み、
前記平行な物理的グルーブの第1および第2のセットの各サブセットは、複数の等間隔をおいて配置された平行な物理的グルーブを含み、
前記複数の等間隔をおいて配置された平行な物理的グルーブは、前記複数の等間隔をおいて配置された平行な物理的グルーブの各々の幅と等しい間隔で離隔され、
前記光学テープは、さらに書換え可能な記録層を備える、光学テープ。
【請求項8】
前記平行な物理的グルーブの第1および第2のセットの各グルーブの幅は1ミクロンである、請求項1から7のいずれか1項に記載の光学テープ。
【請求項9】
前記記録層は、一連の平行なデータトラックを含み、前記一連の平行なデータトラックにおいて隣接するデータトラックは、前記平行な物理的グルーブの第1および第2のセットによって離隔されていない、請求項1から8のいずれか1項に記載の光学テープ。
【請求項10】
前記一連の平行なデータトラックは、前記光学テープの長さに沿って延びる、請求項9に記載の光学テープ。
【請求項11】
前記書換え可能な記録層は、結晶状態と非結晶状態との間で変化する相変化材料を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の光学テープ。
【請求項12】
テープドライブであって、
光学ピックアップユニット(OPU)を備え、前記OPUは、
光学テープに対して読出しまたは書込みを行なうように構成されたレーザを含み、前記光学テープは、
前記光学テープの幅にわたって第1の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第1のセットと、
前記光学テープの前記幅にわたって前記第1の方向と異なる第2の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第2のセットとを含み、前記OPUはさらに、
前記レーザのためのアクチュエータを備え、前記テープドライブはさらに、
前記OPUのためのコントローラを備え、前記コントローラは、
前記光学テープ上の前記OPUの横位置について、前記平行な物理的グルーブの第1のセットの平行な物理的グルーブの第1のサブセットと、前記平行な物理的グルーブの第2のセットの平行な物理的グルーブの第2のサブセットとの間の距離を、
前記横位置における前記平行な物理的グルーブの第1のサブセットの検出と前記平行な物理的グルーブの第2のサブセットの検出との間にわたる第1の時間間隔を求めることと、
前記第1のサブセットの検出と前記横位置における前記平行な物理的グルーブの第1のセットの平行な物理的グルーブの第3のサブセットの検出との間にわたる第2の時間間隔を求めることと、
前記第1の時間間隔と第2の時間間隔との比例用いて、前記横位置におけ
るデータトラックを識別することとによって、定期的に検出し、
前記距離に基づいて、前記横位置におけるデータトラックを識別し、および、
前記距離を用いて、前記レーザによる前記データトラックの読出しおよび書込みの間、前記OPUの前記横位置を維持するように構成されている、テープドライブ。
【請求項13】
(a)前記平行な物理的グルーブの第1および第3のサブセットは、前記光学テープの前記平行な物理的グルーブの第2のサブセットによって離隔されており、
(b)前記平行な物理的グルーブの第1、第2、および第3のサブセットは、前記光学テープにおいてサーボフレームを形成し、
(c)前記コントローラはさらに、
前記光学テープにおける対象データトラックの対象横位置を求めるように、および、
前記距離に基づいて、前記OPUを前記横位置から前記対象横位置に移動させるために前記ア
クチュエータに対して信号を生成するように構成されている、請求項12に記載のテープドライブ。
【請求項14】
テープドライブであって、
光学ピックアップユニット(OPU)を備え、前記OPUは、
光学テープに対する読出しまたは書込みを行なうように構成されたレーザを含み、前記光学テープは、
前記光学テープの幅にわたって第1の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第1のセットと、
前記光学テープの前記幅にわたって前記第1の方向と異なる第2の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第2のセットとを含み、
前記平行な物理的グルーブの第1および第2のセットの各サブセットは、複数の等間隔をおいて配置された平行な物理的グルーブを含み、
前記複数の等間隔をおいて配置された平行な物理的グルーブは、前記複数の等間隔をおいて配置された平行な物理的グルーブの各々の幅に等しい間隔で離隔されており、前記OPUはさらに、
前記レーザのためのアクチュエータを含み、前記テープドライブはさらに、
前記OPUのためのコントローラを備え、前記コントローラは、
前記光学テープ上の前記OPUの横位置について、前記平行な物理的グルーブの第1のセットにおける平行な物理的グルーブの第1のサブセットと、前記平行な物理的グルーブの第2のセットにおける平行な物理的グルーブの第2のサブセットとの間の距離を定期的に検出し、
前記距離に基づいて、前記横位置におけるデータトラックを識別し、および、
前記距離を用いて、前記レーザによる前記データトラックの読出しおよび書込みの間、前記OPUの前記横位置を維持するように構成されている、テープドライブ。
【請求項15】
方法であって、
テープドライブの光学ピックアップユニット(OPU)によって生成された一連の読出しを受信することを備え、前記一連の読出しは、
光学テープの幅にわたって第1の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第1のセットと、
前記光学テープの前記幅にわたって前記第1の方向と異なる第2の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第2の方向のセットとから生成され、前記方法はさらに、
前記読出しを用いて、前記光学テープの横位置について、前記平行な物理的グルーブの第1のセットの平行な物理的グルーブの第1のサブセットと前記平行な物理的グルーブの第2のセットの平行な物理的グルーブの第2のサブセットとの間の距離を、
前記横位置における前記平行な物理的グルーブの第1のサブセットの検出と前記平行な物理的グルーブの第2のサブセットの検出との間にわたる第1の時間間隔を求めることと、
前記第1のサブセットの検出と前記横位置における前記平行な物理的グルーブの第1のセットの平行な物理的グルーブの第3のサブセットの検出との間にわたる第2の時間間隔を求めることと、
前記第1の時間間隔と第2の時間間隔との比例を用いて前記横位置におけ
るデータトラックを識別することとによって、定期的に検出することを備え、前記方法はさらに
、
前記距離に基づいて、前記横位置におけるデータトラックを識別することと、
前記距離を用いて、前記OPUによる前記データトラックの読出しおよび書込みの間、前記横位置を維持することとを備える、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、光学テープ記憶装置に関する。本開示は特に、光学テープにおける正確なトラッキングのためのサーボパターンに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
光学テープ記憶技術では、一般に、レーザがテープ上の適切なトラック位置に対するデータの読み書きを行なうことができるように、光学テープに対してレーザをテープドライブにおいて位置決めするために正確なトラッキング性能が必要である。レーザの位置決めを支援するために、位置情報を符号化するサーボパターンが、光学テープの製造中に光学テープに書込まれてもよい。テープヘッドがサーボパターンを読出してもよく、テープヘッドのためのコントローラが、サーボパターンから復号された位置信号を用いて、テープヘッドの位置がトラック間で移動するように、および/または所与のトラックをたどるように調節してもよい。
【0003】
従来の光学ディスク記憶装置から流用されたサーボパターンは、交互のランド‐グルーブパターンを用いて、テープにおいて個々のデータトラックの境界を定める。各データトラックは、所与のランドに書込まれ、対応するランドの周期的なウォブルによって一意に識別されてもよい。あるデータトラックから他のデータトラックに移動するために、テープドライブは、データトラックを離隔する距離の推定値だけレーザを移動してもよい。レーザはその後、レーザの新しい位置においてウォブルを復号して、レーザによって現在読出されているトラックが正しいものかどうかを判断してもよい。トラックが正しい対象データトラックではない場合、正しいトラックが見つかるまでプロセスを繰返してもよい。その結果、光学テープドライブのためのサーボトラッキングシステムは、常習的で、反復性の、および高価なこともあるエラーリカバリー技術を用いて、光学テープの読出しおよび/または書込みの間に正しいトラックを突き止め、識別してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
このセクションで説明される手法は遂行可能な手法であるが、必ずしも過去に考案または遂行された手法ではない。したがって、特に明示されない限り、このセクションで説明される手法のうちのいずれも、このセクションに含まれているというだけで先行技術とみなされるべきではない。
【0005】
実施形態は、限定ではなく例示として添付の図面の図において示されている。なお、本開示における「ある(an)」または「1つの(one)」実施形態への言及は、必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、そのような言及は少なくとも1つの実施形態を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】1つ以上の実施形態に係るシステムを示す図である。
【
図2】1つ以上の実施形態に係る光学テープ上の例示的なサーボパターンを示す図である。
【
図3】1つ以上の実施形態に係るテープドライブを動作させるフローチャートを示す図である。
【
図4】1つ以上の実施形態に係る光学テープ上の横位置におけるデータトラックを識別するフローチャートを示す図である。
【
図5】1つ以上の実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
以下の説明では、説明の目的で、徹底した理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明されている。1つ以上の実施形態は、これらの具体的な詳細がなくても実践することが可能である。1つの実施形態で説明される特徴は、異なる実施形態で説明される特徴と組合せることが可能である。いくつかの例では、本発明を不必要に曖昧にするのを避けるために、よく知られた構造およびデバイスについて、ブロック図を参照して説明される。
【0008】
1.全体の概要
2.システムアーキテクチャ
3.光学テープにおける正確なトラッキングのためのサーボパターン
4.実施形態例
5.光学テープ上での正確なトラッキング
6.光学テープ上の横位置におけるデータトラックの識別
7.コンピュータネットワークおよびクラウドネットワーク
8.その他;追加
9.ハードウェアの概要
【0009】
1.全体の概要
光学テープにおいて正確なトラッキングを行なうための技術が提供される。これらの技術は、光学テープ上にサーボパターンを設けこれを使用することを含む。サーボパターンは、光学テープの幅にわたって第1の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第1のセットと、光学テープの幅にわたって第1の方向と異なる第2の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第2のセットとを含む。平行な物理的グルーブの第1のセットのサブセットは、光学テープの長さに沿って、平行な物理的グルーブの第2のセットのサブセットと交互になる。平行な物理的グルーブの第2のセットの1つのサブセットによって離隔された平行な物理的グルーブの第1のセットの2つのサブセットが、光学テープにおいてサーボフレームを形成する。
【0010】
本明細書において説明されるおよび/または特許請求の範囲に記載される1つ以上の実施形態は、この全体の概要のセクションには含まれない場合もある。
【0011】
2.アーキテクチャの概要
図1は、1つ以上の実施形態に係るシステムを示す図である。
図1に示すように、システムは、光学テープ116上で読み書きを行なうテープドライブ102を備え得る。光学テープ116は、光学テープの長さにわたる一連の平行なデータトラック上にデジタルデータを記憶するために使用されてもよい。たとえば、光学テープ116は、データセンターにおいてデータの保管および/または保存を行なうために、および/または編成のために用いられてもよい。
【0012】
光学テープ116の読出しまたは書込みの間、テープドライブ102は、複数のリールドライブモータ124~126によって、カートリッジ120の1つのリール118から他のリール122へと、光学テープ116を巻き戻し得る。光学テープ116が巻き戻されるにつれて、光学ピックアップユニット(OPU)114が、光学テープ116上に書込まれたサーボパターンから、位置信号104を生成し得る。たとえば、OPU114は、光学テープ116上のデータトラックに対して読み書きを行なう読み書きレーザ、および/または、光学テープ116上のサーボパターンを読出すことによって位置信号104を生成する光検出器を含み得る。
【0013】
光学テープ116上の従来のサーボパターンは、光学テープ116の長さに沿って延びる一連の平行なランドおよびグルーブを含み得る。各ランドはデータトラックを表してもよく、隣接するデータトラックの各ペアは、グルーブによって離隔されてもよい。OPU114および/またはテープドライブ102の他の構成要素は、対応するデータトラックのトラック番号を識別するために、(たとえば、ウォブルからトラック番号を復号することによって)ランドにおける周期的なウォブルを読出してもよい。そのため、構成要素は、OPU114が現在位置するデータトラックにおけるウォブルの部分の読出しおよび復号をして初めて、OPU114の横位置を識別し得る。
【0014】
レーザ、光検出器、および/またはOPU114の他の構成要素は、OPU114の横位置を調節するアクチュエータ106と、アクチュエータ106を制御するための信号を生成するコントローラ108とに連結されてもよい。たとえば、コントローラ108は、OPU114によって生成された位置信号104を、光学テープ116上の対象データトラックのための対象位置信号と比較する閉ループコントローラでもよい。OPU114を対象データトラックまで移動させるために、コントローラ108は、この比較に基づいて、アクチュエータ106の1つ以上の構成要素に対して制御信号を生成してもよく、アクチュエータ106は、この制御信号に従ってOPU114を再位置決めしてもよい。その後、新しい位置信号104がOPU114の新しい位置から生成され、対象に基づいて位置信号104を連続して更新するためにコントローラ108にフィードバックされる。たとえば、位置信号104は対象位置信号と比較されてもよく、コントローラ108からの制御信号とアクチュエータ106の出力とは、位置信号104と対象位置信号との間の差を表すトラッキングエラーを最小にするために用いられてもよい。
【0015】
1つ以上の実施形態では、システムは、
図1に示される構成要素よりも多い、または少ない構成要素を含み得る。たとえば、コントローラ108は、OPU114、アクチュエータ106、および/または光学テープ116から位置信号104を生成するための他の構成要素を含んでもよい、これらを用いて実行してもよい、またはこれらを除いてもよい。そのような構成要素は、互いにローカルまたはリモートであってもよく、ソフトウェアおよび/またはハードウェアに実装されてもよく、および/または、複数のアプリケーションおよび/またはマシンに分散されてもよい。また、複数の構成要素は、1つのアプリケーションおよび/またはマシンに連結されてもよい。そうではなく、1つの構成要素に関して説明される動作は、他の構成要素によって行われてもよい。
【0016】
コンピュータネットワークに関するさらなる実施形態および/または例については、以下の「コンピュータネットワークおよびクラウドネットワーク」と題されたセクション6で説明する。
【0017】
1つ以上の実施形態では、データリポジトリが、データを記憶するためのいずれかの種類の物理的なまたは仮想的な記憶装置および/またはデバイス(たとえば、ファイルシステム、データベース、テーブルの集合、または任意の他の記憶機構)である。さらに、データリポジトリは、複数の異なる記憶装置および/またはデバイスを含み得る。複数の異なる記憶装置および/またはデバイスは、同じタイプであってもなくてもよい、または、同じ物理的サイトに位置していても位置していなくてもよい。データリポジトリは、テープドライブ102と同じコンピューティングシステム上でまたはテープドライブ102から分離したコンピューティングシステム上で、実装または実行されてもよい。たとえば、データリポジトリは、測定値および/または位置信号104と関連する計算値および/または対象位置信号または対象データトラックを格納してもよい。データリポジトリは、直接接続でまたはネットワークを介して、テープドライブ102に通信可能に連結されてもよい。
【0018】
1つ以上の実施形態では、テープドライブ102は、光学テープ記憶装置の飽和に基づく検証を行なうように構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェアを表す。そのような動作の例について以下で説明する。
【0019】
ある実施形態では、テープドライブ102は、1つ以上のデジタルデバイス上に実装される。「デジタルデバイス」という用語は一般に、プロセッサを含む任意のハードウェアデバイスを表す。デジタルデバイスは、アプリケーションまたは仮想マシンを実行する物理的なデバイスを表し得る。デジタルデバイスの例としては、コンピュータ、タブレット、ラップトップ、デスクトップ、ネットブック、サーバ、ウェブサーバ、ネットワークポリシーサーバ、プロキシサーバ、汎用マシン、特定の機能のハードウェアデバイス、ハードウェアルータ、ハードウェアスイッチ、ハードウェアファイアウォール、ハードウェアネットワークアドレストランスレータ(NAT)、ハードウェアロードバランサ、メインフレーム、テレビ、コンテンツレシーバ、セットトップボックス、プリンタ、携帯電話機、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(「PDA」)、無線受信機および/または送信機、基地局、通信監理デバイス、ルータ、スイッチ、コントローラ、アクセスポイント、および/またはクライアントデバイスが挙げられる。
【0020】
3.光学テープにおける正確なトラッキングのためのサーボパターン
1つ以上の実施形態では、テープドライブ102は、光学テープ116の読出しおよび/または書込みの間にOPU114の横位置に関する連続したフィードバックを提供するサーボパターンを用いて、正確なトラッキングを行なう機能を含む。
図2に示すように、サーボパターンは、光学テープ(たとえば、
図1の光学テープ116)の幅の一部または全てにわたるバンド252にまたがって、かつ、光学テープの長さに沿って、前後に交互になる平行なグルーブ234~242の繰返しのセットを含み得る。たとえば、グルーブ234~242および/または平行なグルーブ(図示せず)の他のセットは、光学テープの長さに沿ってジグザグの「千鳥」パターンを形成し得る。千鳥パターンは、光学テープの幅にわたる一連の隣接したバンドにまたがって繰返されてもよい(たとえば、光学テープの幅にまたがる4つの千鳥パターンで、各パターンは、幅の1/4にわたりテープドライブの4つの異なるOPUのうち1つによってスキャンされるバンドを占めている)。このパターンでは、3セットのグルーブ234、238、242が、互いに平行であり、光学テープに沿って一定間隔で配設されており、2セットのグルーブ236および240が、互いに平行であり、光学テープに沿って一定間隔で配設されている。それゆえ、グルーブ234、238、および242は、光学テープのバンド252にわたって一方の方向(たとえば、上方向)に傾斜してもよく、グルーブ236および240は、バンド252にわたって他の方向(たとえば、下方向)に傾斜してもよい。グルーブ234~242の傾斜によって形成される角度は、0°および90°を除く0~90°の範囲でもよい。たとえば、グルーブ234~242は、光学テープの縁から15~20°傾斜してもよい。
【0021】
グルーブ234~242の各セットは、(たとえば、グルーブ234~242がまたがるバンド252の対応する部分の上部または底部において)直前のグルーブのセットが終わるとただちに開始してもよい。代替的に、グルーブ234~242の各セットは、隣接するグルーブのセットのどちらか一方または両方から所定の距離だけ間隔をおいて配置されてもよい。
【0022】
グルーブ234~242は、光学テープにおいて書換え可能な記録層244の上方および/または下方に重ねられた基板上に形成されてもよい。たとえば、記録層244は、テープドライブ(たとえば、
図1のテープドライブ102)においてOPU(たとえば、
図1のOPU114)によって生成されるレーザビームに対する露光に基づいて、反射結晶状態と黒い非結晶(dark amorphous)状態との間で変化する相変化材料を含み得る。OPUはそのため、記録層224の選択された領域を加熱するためにレーザを用いることによって光学テープに対して書込みを行ってもよく、記録層224上の以前に記録されたダークスポットおよび反射領域のスキャンによって光学テープから読出しを行ってもよい。
【0023】
グルーブ234~242および/またはグルーブ234~242によって形成されるサーボパターンは、複数の方法で生成可能である。第1に、グルーブ234~242の各セットは、基板に刻込まれたおよび/または他の態様で形成された複数の等間隔をおいて配置されたグルーブを含んでもよく、隣接するグルーブは、所定幅の比較的高い「ランド」によって離隔されている。たとえば、各グルーブは1ミクロンの幅でもよく、所与の平行なグルーブのセットにおいて隣接するグルーブは、1ミクロンの距離だけ離隔されていてもよい。その結果、平行なグルーブの各セットにおけるグルーブ間の離隔は、(たとえば、セットがOPUの真下を通過すると)OPUによるセットの検出および/または解像を容易にするように、グルーブの幅に略等しくてもよい。
【0024】
第2に、グルーブ234~242によって覆われる光学テープの部分は、光学テープの他の領域と異なる反射率を有し得る。たとえば、光学テープは、OPUによる光学テープ上のデータの読出しおよび/または書込みを容易にする反射層(図示せず)を有してもよい。OPUによるグルーブ234~242の検出を容易にするために、反射層は、グルーブ234~242と重なる光学テープの領域においてマスクオフされてもよい、および/または取り除かれてもよい。
【0025】
グルーブ234~242は、光学テープ上のデータトラックに平行でない方向に沿って延びてもよい。たとえば、記録層224は、光学テープの長さに沿って延在し、かつ、2つの異なる(たとえば逆の)角度でグルーブ234~242と交差する一連の平行なデータトラックを有し得る。データトラックはきわめて小さな距離(たとえば、ナノメートル)で離隔されることがあるため、OPUの精巧なトラッキング制御が、光学テープに対する正確な読出しおよび書込みに必要な場合がある。
【0026】
1つ以上の実施形態では、グルーブ234~242によって形成されるサーボパターンは、OPUによって感知され、OPUの横位置を連続して評価し、かつ、光学テープの読出しおよび書込みの間に正確なトラッキングを行なうようにコントローラ(たとえば、
図1のコントローラ108)によって使用される。特に、サーボパターンのグルーブ(たとえば、グルーブ234~238、グルーブ236~240、グルーブ238~242など)の3つの連続するセットは、光学テープにおいてサーボフレームを形成し得る。サーボフレーム内で、グルーブの外側の2つのセット間の一定の離隔距離は、光学テープがテープドライブにおいて巻き戻される際に光学テープの速度を求めるために使用されてもよい。その後、光学テープの速度は、バンド252に沿った所与の横位置に関して、サーボフレームのグルーブの外側のセットとサーボフレームのグルーブの中間のセットとの間の距離を求めるために使用されてもよい。たとえば、この距離は、グルーブの外側のあるセットの検出とグルーブの中間のセットの検出との間にわたる時間間隔を、グルーブの第1の外側のセットの検出とグルーブの第2の外側のセットの検出との間にわたるより長い時間間隔で除算することによって求めてもよい。その結果、この距離は、(たとえば、光学テープの長さに沿って100~200ミクロンごとに)新しいサーボフレームがOPUによって読出されるごとに更新され得る。
【0027】
光学テープがOPUの真下を移動すると、コントローラは、バンド252に沿ったOPUの横位置を求めるように、サーボパターンのグルーブの2つの隣接するセット間の距離を用い得る。その後、コントローラは、データトラックの読出しおよび書込みの間にOPUの横位置を維持するために、および/または、OPUを対象データトラックに移動させるために、この距離を用い得る。
【0028】
たとえば、コントローラは、コントローラが、サーボパターンのグルーブの2つの隣接するセット間の相対距離から計算されるようなOPUの現在の横位置を対象データトラックについての対象横位置と比較する閉ループ環境において実行し得る。対象データトラックは、OPUが位置する現在のデータトラック、または光学テープ上の異なるデータトラックでもよい。横位置と対象横位置との間の差に基づいて、コントローラは、OPUについてアクチュエータに対する制御信号を生成してもよく、アクチュエータは、この制御信号に従ってテープヘッドを再位置付けしてもよい。その後、横位置と対象横位置との間のトラッキングエラーを最小にするために、グルーブの隣接するセット間の新しい距離がOPUの新しい位置から生成され、コントローラにフィードバックされる。2つの異なるデータトラック間でOPUを移動させるために、コントローラは、OPUが対象データトラックに近づいてこれを捕捉すると、OPUをまず比較的大きな量だけ、続いて小さな量だけ移動させる制御信号を生成し得る。
【0029】
図2のサーボパターンは光学テープ上の個々のデータトラックの境界を定めるために用いられないため、サーボパターンを用いたトラッキングは、光学テープ上の異なる数のデータトラックおよび/または面密度に適合され得る。その結果、同じ光学テープおよび/またはサーボパターンは、テープドライブによってサポートされる異なる面密度に対応するように、光学テープ上で刻み込まれるべき従来の「ランドおよびグルーブ」サーボパターンの異なるセットを必要とせずに、異なる面密度で読出しおよび書込みを行なうテープドライブと共に使用され得る。
【0030】
4.実施形態例
詳細な例について、明確にする目的で以下で説明する。以下で説明される構成要素および/または動作は、1つの具体例として理解されるべきであるが、これは、特定の実施形態に適用可能でない場合がある。したがって、以下で説明される構成要素および/または動作は、請求項のいずれかの範囲を制限すると理解されるべきではない。
【0031】
図2のサーボパターンを続けると、コントローラは、OPUの横位置を求めるために、上方向に傾斜したグルーブ(たとえば、グルーブ234、238、および242)の2つの外側のセットと下方向に傾斜したグルーブ(たとえば、グルーブ236および240)の中間のセットとを含むサーボフレームを用い得る。代替的にまたは追加して、コントローラは、OPUの横位置を求めるために、下方向に傾斜したグルーブの2つの外側のセットと上方向に傾斜したグルーブの中間のセットとを含むサーボフレームを用い得る。
【0032】
コントローラは、OPUからのサーボパターンの奇数または偶数の読出しとして、グルーブの外側の2つのセットを検出してもよい。光学テープが一定速度で巻き戻される場合、奇数または偶数の読出しは、実質的に等しい時間間隔だけ離れていてもよい。その後、サーボパターンの連続する読出しを離隔する時間間隔は、光学テープ上のOPUの横位置を求めるために使用され得る。
【0033】
たとえば、コントローラは、グルーブ234~238を含むサーボフレームの読出しを取得してもよい。コントローラは、サーボフレームのグルーブ234~236の第1の2つのセットの読出しを離隔する比較的短い時間間隔として、および/または、サーボフレームのグルーブ236~238の第2および第3のセットの読出しを離隔する比較的長い時間間隔として、光学テープの上部付近の横位置を検出し得る。逆に、コントローラは、サーボフレームのグルーブ234~236の第1の2つのセットの読出しを離隔する比較的長い時間間隔として、および/または、サーボフレームのグルーブ236~238の第2および第3のセットの読出しを離隔する比較的短い時間間隔として、光学テープの底部付近の横位置を検出し得る。
【0034】
他の例では、コントローラは、グルーブ236~240を含むサーボフレームから読出しを取得してもよい。コントローラは、グルーブ236~238の第1の2つのセットの読出しを離隔する比較的長い時間間隔として、および/または、サーボフレームのグルーブ238~240の第2および第3のセットの読出しを離隔する比較的短い時間間隔として、光学テープの上部付近の横位置を検出し得る。他方で、コントローラは、サーボフレームのグルーブ236~238の第1の2つの読出しを離隔する比較的短い時間間隔として、および/または、サーボフレームのグルーブ238~240の第2および第3のセットの読出しを離隔する比較的長い時間間隔として、光学テープの底部付近の横位置を検出し得る。
【0035】
両方の例において、サーボパターンのグルーブが光学テープの縁に対して同じ角度で上方向および下方向に傾斜している場合、光学テープの中間付近の横位置は、サーボフレームのグルーブの第1の2つのセットならびにグルーブの第2および第3のセットを離隔する略等しい長さの時間間隔として検出され得る。さらに、OPUの横位置は、サーボフレームのグルーブの2つの連続するセットの読出し間の第1の時間間隔と、サーボフレームのグルーブの第1および第3のセットの読出し間の第2の時間間隔との比例(比率)から求められ得る。たとえば、第2の時間間隔の30%の長さの第1の時間間隔は、OPUが光学テープの2つの縁間の経路の10分の3に位置すると示し得る。
【0036】
その結果、コントローラによって解像可能なデータトラックの数が、上記の比例が計算される精度によって影響を受けることがある。前述の例を続けると、第1の時間間隔は、バンド252に沿ってOPUの相対的な横位置を求めるために、第2の時間間隔で除算され得る。したがって、コントローラによって識別可能な個々のデータトラックの数は、除算の結果における有効桁数に基づいて求められ得る。第1の時間間隔を第2の時間間隔で除算すると2桁の有効桁数が生じる場合、コントローラは、光学テープにおいて最大で100のデータトラックを解像し得る。第1の時間間隔を第2の時間間隔で除算することによって4桁の有効桁数が生じる場合、コントローラは、光学テープにおいて最大で10,000のデータトラックを解像し得る。
【0037】
次に、コントローラは、光学テープにおいてトラッキングを行なうための制御信号を生成するために、サーボフレームの読出しと、OPUの対応する横位置とを用い得る。たとえば、コントローラは、最新のサーボフレームから計算された横位置を、光学テープ上のデータトラックに一致させてもよい。また、コントローラは、OPUをバンド252に沿って上方向または下方向にシフトさせるために、制御信号を生成し得る。上方向のシフトによって連続するサーボフレームのグルーブの第1の2つのセットの読出しを離隔する時間間隔を減少させ、かつ、下方向のシフトによって時間間隔を増加させる場合、コントローラは、上方向に傾斜するグルーブの2つの外側のセットと下方向に傾斜するグルーブの中間のセットを含むサーボフレームから、横位置を計算していてもよい。上方向のシフトによって時間間隔を増加させ下方向のシフトによって時間間隔を減少させる場合、コントローラは、下方向に傾斜するグルーブの2つの外側のセットと上方向に傾斜するグルーブの中間のセットとを含むサーボフレームから、OPUの横位置を計算していてもよい。コントローラが所与のサーボフレームのグルーブの3つのセットの構成を求めた後で、コントローラは、光学テープにおける個々のデータトラックに対する読出しおよび書込み、および/またはデータトラック間の移動を行なうために、同じ構成で次のサーボフレームからの読出しを用いてもよい。
【0038】
当業者であれば、
図2のサーボパターンを、他の方法でOPUの横位置および光学テープの対応するデータトラックを求めるために用いることができると理解するであろう。たとえば、コントローラは、グルーブの中間のセットとグルーブの1つの外側のセットとの間の相対的な距離をグルーブの2つの外側のセット間の相対的な距離と比較する代わりに、またはこれに加えて、所与のサーボフレームのグルーブの第1および第2のセット間の相対的な距離をサーボフレームのグルーブの第2および第3のセット間の相対的な距離と比較することによって、OPUの横位置を求めてもよい。
【0039】
5.光学テープにおける正確なトラッキング
図3は、1つ以上の実施形態に係る光学テープ上でトラッキングを行なうフローチャートを示す図である。1つ以上の実施形態では、ステップのうち1つまたは複数を省略してもよく、繰返してもよく、および/または、異なる順番で行ってもよい。したがって、
図3に示すステップの具体的な配列は、実施形態の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0040】
まず、テープドライブにおいてOPUによって生成された一連の読出しが受信される(動作302)。これらの読出しは、光学テープの基板において形成された平行な物理的グルーブの交互のセットから生成されてもよい。たとえば、物理的グルーブの1つのセットが光学テープにおいて一方向(たとえば、上方向)に傾斜してもよく、物理的グルーブの別のセットが、光学テープにおいて別の方向(たとえば、下方向)に傾斜してもよい。物理的グルーブの各セットは、所定の数の等間隔をおいて配置されたグルーブ(たとえば、4~5)を有してもよい。さらに、所与のセットのグルーブ間の間隔は、OPUによってセットの解像および/または検出を容易にするように選択されてもよい。たとえば、所与のセットの4つの平行なグルーブは各々、1ミクロンの幅を有してもよく、1ミクロンだけ間隔を置いて配置されてもよい。物理的グルーブの検出をさらに容易にするために、光学テープは、平行な物理的グルーブと重なる部分においてマスクオフされる反射層を含み得る。
【0041】
次に、読出しを用いて、光学テープ上のOPUの横位置について、光学テープの幅にまたがって第1の方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第1のセットと、光学テープの幅にまたがって第2の異なる方向に傾斜した平行な物理的グルーブの第2のセットとの間の距離が検出される(動作304)。また、
図4に関して以下でさらに詳細に説明されるように、横位置におけるデータトラックが、この距離に基づいて識別される(動作306)。
【0042】
横位置におけるデータトラックは、OPUによる読出しまたは書込みについて正しいデータトラックでもよい、または、そうでなくてもよい(動作308)。データトラックが正しい場合、距離を用いて、OPUによるデータトラックの読出しおよび書込みの間、横位置を維持する(動作314)。たとえば、OPUのためのコントローラは、特定のマージンのエラー内で動作304において計算された距離を維持する制御信号を生成し得る。
【0043】
データトラックが正しくない場合、光学テープにおける対象データトラックの対象横位置が求められ(動作310)、OPUを横位置から対象横位置まで移動させるための信号が、距離に基づいて生成される(動作312)。たとえば、この信号は、OPUの現在の横位置と対象横位置との差で表されるトラッキングエラーを最小にする制御信号でもよい。
【0044】
トラッキングは、テープドライブによる光学テープの読出しおよび書込み中は継続してもよい(動作316)。そのようなトラッキング中は、平行な物理的グルーブのセットの読出しは、OPUによって生成されてもよく、OPUの横位置を表す平行な物理的グルーブの隣接するセット間の距離と横位置におけるデータトラックとを定期的に識別するために使用されてもよい(動作302~306)。その後、この距離は、データトラックにとどまるため、または異なるデータトラックまで移動するために用いられてもよい(動作308~314)。動作302~316は、光学テープの読出しまたは書込みがもはや行われなくなるまで繰返されてもよい。
【0045】
6.光学テープ上の横位置におけるデータトラックの識別
図4は、1つ以上の実施形態に係る光学テープ上の横位置におけるデータトラックを識別するフローチャートを示す図である。1つ以上の実施形態では、ステップのうち1つまたは複数は、省略されてもよく、繰返されてもよく、および/または、異なる順番で行われてもよい。そのため、
図4に示すステップの具体的な配列は、実施形態の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0046】
まず、横位置における、平行な物理的グルーブの第1のセットの検出と平行な物理的グルーブの第2のセットの検出との間にわたる第1の時間間隔が求められる(動作402)。たとえば、平行な物理的グルーブの第1および第2のセットは、光学テープ上のサーボパターンに刻み込まれた平行な物理的グルーブの隣接するセットでもよい。次に、平行な物理的グルーブの第1のセットの検出と第2のセットによって第1のセットから離隔された平行な物理的グルーブの第3のセットの検出との間にわたる第2の時間間隔が求められる(動作404)。たとえば、平行な物理的グルーブの第1、第2、および第3のセットは、光学テープのサーボフレームを形成する物理的グルーブの連続したセットでもよい。
【0047】
最後に、第1の時間間隔と第2の時間間隔との比例を用いて、横位置におけるデータトラックが識別される(動作406)。たとえば、第1の時間間隔を第2の時間間隔で除算して、0~1の範囲の値を取得してもよい。この値は、光学テープの2つの縁間からの比例距離として、横位置を表してもよい。その後、横位置は、光学テープのデータトラックの数、および/またはデータトラック間の離隔距離に基づいて、データトラックにマッピングされてもよい。
【0048】
7.その他;追加
実施形態は、ハードウェアプロセッサを含み、かつ、本明細書で説明された、および/または以下の請求項のいずれかに記載された動作のいずれかを行なうように構成された1つ以上のデバイスを有するシステムに向けられている。
【0049】
ある実施形態では、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、1つ以上のハードウェアプロセッサによって実行されると、本細書で説明されたおよび/または請求項のいずれかに記載された動作のいずれかを行わせる命令を含む。
【0050】
本明細書で説明された特徴および機能のいかなる組み合わせも、1つ以上の実施形態に従って用いられ得る。前述の明細書では、実施形態は、実装ごとに異なり得る多くの具体的な詳細を参照して説明された。したがって、明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味で理解されるべきである。発明の範囲の唯一かつ排他的な指標および出願人が意図する発明の範囲は、本願に由来する請求項の組の、このような請求項の元になる特定の形式の、後の任意の修正が含まれる、文言上のかつ均等物の範囲である。
【0051】
8.ハードウェアの概要
一実施形態によると、本明細書で説明される技術は、1つ以上の専用コンピューティングデバイスによって実装される。専用コンピューティングデバイスは、ハードワイヤードされてこれらの技術を行ってもよい、または、これらの技術を実行するように永続的にプログラムされた1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、もしくはネットワークプロセッサ(NPU)でもよい、または、ファームウェア、メモリ、他の記憶装置、またはこれらの組み合わせにおいてプログラム命令に従ってこれらの技術を行なうようにプログラムされた1つ以上の汎用ハードウェアプロセッサを含み得る。また、そのような特定用途コンピューティングデバイスは、これらの技術を達成するために、カスタムプログラミングにカスタムハードワイヤードロジック、ASIC、FPGA、またはNPUを組合わせてもよい。特定用途コンピューティングデバイスは、デスクトップコンピュータシステム、ポータブルコンピュータシステム、携帯用デバイス、ネットワーキングデバイス、または、技術を実装するためにハードワイヤードロジックおよび/もしくはプログラムロジックを組込んだ任意の他のデバイスでもよい。
【0052】
たとえば、
図5は、本発明のある実施形態が実装され得るコンピュータシステム500を示すブロック図である。コンピュータシステム500は、バス502または情報を伝えるための他の通信機構と、情報を処理するためにバス502に連結されたハードウェアプロセッサ504とを含む。ハードウェアプロセッサ504は、たとえば、汎用マイクロプロセッサでもよい。
【0053】
コンピュータシステム500は、情報およびプロセッサ504によって実行される命令を格納するためにバス502に連結された、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶装置などのメインメモリ506も含む。メインメモリ506は、プロセッサ504によって実行される命令の実行中に一時変数または他の中間情報を格納するためにも使用され得る。このような命令は、プロセッサ504にアクセス可能な非一時的な記録媒体に格納されると、命令において指定された動作を行なうようにカスタマイズされた専用マシンにコンピュータシステム500を変える。
【0054】
コンピュータシステム500はさらに、プロセッサ504のための静的情報、および命令を格納するためにバス502に連結された読出し専用メモリ(ROM)508または他の静的記憶装置を含む。磁気ディスクまたは光ディスクなどの記憶装置510が設けられ、情報および命令を格納するためにバス502に連結される。
【0055】
コンピュータシステム500は、コンピュータのユーザに対して情報を表示するための陰極線管(CRT)などのディスプレイ512にバス502を介して連結され得る。英数字および他のキーを含む入力デバイス514は、プロセッサ504に対して情報およびコマンド選択を伝えるためにバス502に連結される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ504に伝えるための、およびディスプレイ512上でのカーソル移動を制御するための、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソルコントローラ516である。この入力デバイスは、通常、第1の軸(たとえばx)および第2の軸(たとえばy)という2つの軸において2つの自由度を有し、これによって、この装置は、面における位置を指定できる。
【0056】
コンピュータシステム500は、本明細書に記載される技術を、コンピュータシステムと組合わされてコンピュータシステム500を専用マシンとするかまたは専用マシンとなるようにプログラミングする、カスタマイズされたハードワイヤードロジック、1つ以上のASICもしくはFPGA、ファームウェアおよび/またはプログラムロジックを用いて実装してもよい。一実施形態によると、本明細書における技術は、メインメモリ506に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサ504が実行することに応答して、コンピュータシステム500によって行なわれる。このような命令は、記憶装置510などの他の記録媒体からメインメモリ506に読込まれ得る。メインメモリ506に含まれる命令のシーケンスを実行することにより、本明細書に記載の処理ステップがプロセッサ504によって実行される。代替的な実施形態において、ハードワイヤード回路を、ソフトウェア命令の代わりにまたはソフトウェア命令と組合わせて使用してもよい。
【0057】
本明細書において使用される「記録媒体」という用語は、データおよび/または特定の方法でマシンを動作させる命令を格納する任意の非一時的な媒体をいう。このような記録媒体は、不揮発性の媒体および/または揮発性の媒体を含み得る。不揮発性の媒体は、たとえば、記憶装置510などの光ディスクまたは磁気ディスクを含む。揮発性の媒体は、メインメモリ506などの動的メモリを含み得る。記録媒体の一般的な形式は、たとえば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、光学テープ、もしくは他の任意の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、他の任意の光学データ記憶媒体、孔のパターンを有する任意の物理的な媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH‐EPROM、NVRAM、他の任意のメモリチップもしくはカートリッジ、コンテントアドレッサブルメモリ(CAM)、および3値連想メモリ(TCAM)を含む。
【0058】
記録媒体は、伝送媒体と異なるが、伝送媒体と併せて使用され得る。伝送媒体は、記録媒体間の情報の転送に関わる。たとえば、伝送媒体は、バス502を包含するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。また、伝送媒体は、電波および赤外線データ通信時に生成されるような音波または光波の形式を取り得る。
【0059】
さまざまな形式の媒体は、実行のためにプロセッサ504に1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを搬送することに関わり得る。たとえば、命令は、リモートコンピュータの磁気ディスクまたはソリッドステートドライブ上に最初は担持され得る。リモートコンピュータは、そのダイナミックメモリに命令をロードし、モデムを用いて電話回線を介して命令を送ることができる。コンピュータシステム500内のモデムは、電話回線上のデータを受け、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。赤外線検知器は、赤外線信号で運ばれたデータを受信することができ、適切な回路によってこのデータをバス502上に置くことができる。バス502はデータをメインメモリ506に送り、このメインメモリから、プロセッサ504は命令を取出して実行する。メインメモリ506が受信したコマンドは、プロセッサ504による実行の前または後に記憶装置510上に任意に格納され得る。
【0060】
コンピュータシステム500は、バス502に連結された通信インターフェイス518も含む。通信インターフェイス518は、ローカルネットワーク522に接続されたネットワークリンク520に連結する双方向データ通信を提供する。たとえば、通信インターフェイス518は、統合サービスデジタル網(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、または、対応する種類の電話回線へのデータ通信接続を提供するモデムでもよい。別の例として、通信インターフェイス518は、ローカルエリアネットワーク(LAN)カードであり互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供してもよい。無線リンクも実装され得る。このような実装例において、通信インターフェイス518は、さまざまな種類の情報を表わすデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を送信および受信する。
【0061】
ネットワークリンク520は通常、1つ以上のネットワークを介して他のデータ装置へのデータ通信を提供する。たとえば、ネットワークリンク520は、ローカルネットワーク522を介し、ホストコンピュータ524へ、または、インターネットサービスプロバイダ(ISP)526によって運営されるデータ機器へ、接続を提供し得る。そうすると、ISP526は、現在一般的に「インターネット」528と呼ばれている全世界パケットデータ通信網を介してデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク522およびインターネット528はいずれも、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を使用する。コンピュータシステム500へおよびコンピュータシステム500からデジタルデータを搬送する、さまざまなネットワークを介する信号、ならびに、ネットワークリンク520上の、通信インターフェイス518を介する信号は、伝送媒体の形態の例である。
【0062】
コンピュータシステム500は、ネットワーク、ネットワークリンク520、および通信インターフェイス518を介して、メッセージの送信、およびプログラムコードを含むデータの受信を行なうことができる。インターネットの例において、サーバ530は、インターネット528、ISP526、ローカルネットワーク522、および通信インターフェイス518を介してアプリケーションプログラムのための要求されたコードを送信し得る。
【0063】
受信されたコードは、受信されるとプロセッサ504によって実行され得る、および/または記憶装置510に格納され得る、または、後で実行するために他の不揮発性記憶装置に格納され得る。
【0064】
上記明細書では、実装毎に異なり得る多数の具体的な詳細を参照して本発明の実施形態を説明している。このため、明細書および図面は、限定的ではなく例示的な意味で考慮されねばならない。発明の範囲の唯一かつ排他的な指標および出願人が意図する発明の範囲は、本願に由来する請求項の組の、このような請求項の元になる特定の形式の、後の任意の修正が含まれる、文言上のかつ均等物の範囲である。